説明

成形同時加飾成形品の製造方法及びその成形品、並びに加飾シート

【課題】ゲート流れの発生を抑えて、成形同時加飾成形品の意匠性の低下を抑えることができる成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】キャビティを有する金型内に加飾シートを配置した状態で、金型のゲートを通じて溶融樹脂を金型内に射出し、樹脂成形品の表面に前記加飾シートを密着させる成形同時加飾成形品の製造方法であって、加飾シートは、基体シートと、当該基体シート上に積層され、活性エネルギー線硬化性樹脂を有する層を含む複数の層とを備え、溶融樹脂の射出前において、前記樹脂を有する層のゲート対向予定領域に、活性エネルギー線を照射して、当該ゲート対向予定領域を予め硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品の表面を加飾シートを用いて加飾する成形同時加飾成形品の製造方法及びその成形品、並びに加飾シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話やパーソナルコンピュータの筐体などに用いられる樹脂成形品の表面を加飾する方法として、加飾シートを利用した成形同時加飾法が知られている。加飾シートは、基体シート上に、剥離層、柄層、接着層などで構成される転写層を設けたものである。
【0003】
成形同時加飾法は、加飾シートを金型のキャビティ内に配置した状態で金型内に挟み込み、当該金型内に溶融樹脂を射出したのち適宜冷却して樹脂成形品を得るのと同時に、当該樹脂成形品の表面に加飾シートを接着したのち基体シートを剥離して、樹脂成形品の表面に装飾を行う技術である。この成形同時加飾法は、印刷法では直接図柄を形成することが困難な形状の樹脂成形品であっても、当該樹脂成形品の表面に図柄を形成することができるという特長を有している。なお、ここでは、この成形同時加飾法により加飾シートで加飾された樹脂成形品を成形同時加飾成形品という。
【0004】
従来の成形同時加飾成形品の製造方法及び加飾シートの一例としては、例えば、特許文献1(特開2005−186395号公報)に開示されたものがある。特許文献1には、成形同時加飾成形品にクラックが生じるのを防止することを目的として、基体シート上に紫外線硬化性を有する半硬化状態の保護層と、紫外線吸収層と、紫外線硬化性を有するコレステリック液晶層とを順次積層した加飾シートを用いて、成形同時加飾成形品を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−186395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の成形同時加飾成形品の製造方法においては、金型内に溶融樹脂を射出する際、高温の溶融樹脂を高圧力で射出するのが一般的である。この溶融樹脂の熱や圧力により接着層の表面が溶け、転写層と樹脂成形品とが密着することとなる。
【0007】
しかしながら、例えば、接着層の厚みが厚すぎたり、接着層に含まれる残留溶剤の量が多すぎたりする場合においては、溶融樹脂の射出時の熱で溶融した接着層が、溶融樹脂の流れに伴って流されてしまい、隣接する柄層や剥離層の一部も同時に流れるおそれがある。この場合、成形同時加飾成形品の意匠性が低下することとなる。この問題は、特に、溶融樹脂を射出する部分である金型のゲート付近で生じる。これは、通常、金型の温度と溶融樹脂の温度とにかなり差があることに起因する。すなわち、金型のゲートから射出された溶融樹脂の温度は、ゲート付近では高温であるが、ゲートから遠ざかるに従い金型の温度の影響を受けて低温に移行する。このため、金型のゲート付近において、接着層が溶けすぎて、柄層や剥離層の一部が溶けて流れやすくなる。以下、接着層を除いた転写層の一部が溶けて流れ、意匠性が損なわれることを「ゲート流れ」という。
【0008】
従って、本発明の目的は、上記課題を解決することにあって、ゲート流れの発生を抑えて、成形同時加飾成形品の意匠性の低下を抑えることができる成形同時加飾成形品の製造方法及びその成形品、並びに加飾シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、キャビティを有する金型内に加飾シートを配置した状態で、前記金型のゲートを通じて溶融樹脂を前記金型内に射出して、樹脂成形品の表面に前記加飾シートを密着させる成形同時加飾成形品の製造方法であって、
前記加飾シートは、基体シートと、当該基体シート上に積層され、活性エネルギー線硬化性樹脂を有する層を含む複数の層とを備え、
前記溶融樹脂の射出前において、前記樹脂を有する層のゲート対向予定領域に、活性エネルギー線を照射して、当該ゲート対向予定領域を予め硬化させる、成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
ここで、「ゲート対向予定領域」とは、活性エネルギー線硬化性樹脂を有する層において、加飾シートが金型内に配置されたときに金型のゲートと対向する領域を意味する。
【0010】
本発明の第2態様によれば、前記樹脂を有する層は、前記基体シートの全面に形成されている、第1態様に記載の成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の第3態様によれば、前記樹脂を有する層は、前記加飾シートの外表層よりも内側に配置されている、第1又は2態様に記載の成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の第4態様によれば、前記加飾シートの前記外表層と前記樹脂を有する層との間に形成されている層が透明である、第3態様に記載の成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の第5態様によれば、前記加飾シートは、前記樹脂を有する層を複数有し、
前記溶融樹脂の射出前において、前記それぞれの樹脂を有する層のゲート対向予定領域に活性エネルギー線を照射して、当該それぞれのゲート対向予定領域を予め硬化させる、第1〜4態様のいずれか1つに記載の成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【0014】
本発明の第6態様によれば、前記加飾シートは、少なくとも剥離層と接着層とを有し、
前記剥離層と前記接着層の少なくともいずれ一方が前記樹脂を有する層である、第1又は2態様に記載の成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【0015】
本発明の第7態様によれば、前記加飾シートは、少なくとも剥離層と柄層と接着層とを有し、
前記剥離層と前記柄層と前記接着層のうち少なくともいずれ1層が、前記樹脂を有する層である、第1又は2態様に記載の成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【0016】
本発明の第8態様によれば、前記接着層が前記樹脂を有する層である、第6又は7態様に記載の成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【0017】
本発明の第9態様によれば、前記接着層は、前記基体シート側に配置される第1接着層と、前記第1接着層上に積層され、前記加飾シートの外表層となる第2接着層とを有する複層構造で構成され、
前記第2接着層が前記樹脂を有する層である、第6又は7態様に記載の成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【0018】
本発明の第10態様によれば、前記柄層は、前記基体シート側に配置される第1柄層と、前記第1柄層上に積層される第2柄層とを有する複層構造で構成され、
前記第2柄層が前記樹脂を有する層である、第7態様に記載の成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【0019】
本発明の第11態様によれば、前記ゲートは、前記成形同時加飾成形品の平坦部分と対向する位置に位置している、第1〜10態様のいずれか1つに記載の成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【0020】
本発明の第12態様によれば、前記樹脂は、紫外線又は電子線硬化性樹脂であり、前記活性エネルギー線は、紫外線又は電子線である、第1〜11態様に記載の成形同時加飾成形品の製造方法を提供する。
【0021】
本発明の第13態様によれば、キャビティを有する金型内に加飾シートを配置した状態で、前記金型のゲートを通じて溶融樹脂を前記金型内に射出して、樹脂成形品の表面に前記加飾シートを密着させる成形同時加飾成形品の製造方法に用いられる加飾シートであって、
前記加飾シートは、基体シートと、前記基体シート上に積層され、活性エネルギー線硬化性樹脂を有する層を含む複数の層とを備え、前記樹脂を備える層のゲート対向予定領域のみが硬化している、加飾シートを提供する。
【0022】
本発明の第14態様によれば、第13態様に記載の加飾シートにより表面を加飾された成形同時加飾成形品を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の成形同時加飾成形品の製造方法によれば、前記溶融樹脂の射出前に、前記加飾シートの前記ゲート対向予定領域を予め硬化させるようにしているので、ゲート流れの発生を抑えて、成形同時加飾成形品の意匠性の低下を抑えることができる。
【0024】
なお、ゲート流れは、例えば、加飾シートの乾燥条件を高めることにより接着層や柄層が含む残留溶剤の量を少なくしたり、接着層の塗布量を少なくしたりするなどの別の方法でも抑えることは可能である。しかしながら、この場合、特に溶融樹脂の熱と圧力がかかりにくい樹脂成形品の外周部において、加飾シートが樹脂成形品に対して密着不良を起こすおそれがある。また、ゲート流れは、例えば、加飾シート中に熱硬化性樹脂を有する層を設け、当該層のゲート対向予定領域を熱硬化させることにより抑えることもできる。しかしながら、熱硬化性樹脂を有する層を熱硬化させた場合、その硬化部分の表面には凹凸が形成される。このため、熱硬化性樹脂を有する層の一部のみを硬化させた場合には、当該層を透明部材により構成した場合であっても、前記凹凸がある部分と無い部分との境界を視覚的に隠すことができず、意匠性に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、熱硬化性樹脂を有する層の全体を硬化させた場合には、意匠性の低下を抑えることができるが、特に溶融樹脂の熱と圧力がかかりにくい樹脂成形品の外周部において、前記密着不良を起こすおそれがある。また、熱硬化性樹脂を有する層の全体を硬化させた場合、加飾シートの柔軟性が損なわれるため、成形同時加飾成形品に曲率の大きな部分があるような場合には、当該部分にクラックが生じやすい。また、加飾シート全体に熱硬化性樹脂を有する層を設けて硬化させると、加飾シートの柄層の強度が上がる為に、射出成型品のパーティングラインで柄層が切れにくく、箔バリが生じやすい。
【0025】
これに対して、本発明の成形同時加飾成形品の製造方法によれば、接着層や柄層が含む残留溶剤の量を少なくすることなく、また、接着層の塗布量を少なくすることなく、ゲート流れの発生を抑えることができるので、前記密着不良の問題も解決することができる。また、熱硬化性樹脂を用いることなく、ゲート流れの発生を抑えるので、前記クラックの問題も解決することができる。
【0026】
本発明の加飾シートによれば、前記樹脂を備える層のゲート対向予定領域のみが硬化しているので、成形同時加飾成形品のゲート流れの発生を抑えて、成形同時加飾成形品の意匠性の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態にかかる成形同時加飾成形品の製造方法に用いる加飾シートの断面図である。
【図2】図1の加飾シートの一部に活性エネルギー線を照射する様子を示す断面図である。
【図3】図1の加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる成形同時加飾成形品の製造方法に用いる成形同時加飾装置の概略構成を示す側面図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる成形同時加飾成形品の製造方法により製造される成形同時加飾成形品の断面図である。
【図6A】加飾シートの第1変形例を示す断面図である。
【図6B】図6Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図7A】加飾シートの第2変形例を示す断面図である。
【図7B】図7Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図8A】加飾シートの第3変形例を示す断面図である。
【図8B】図8Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図9A】加飾シートの第4−6変形例を示す断面図である。
【図9B】図9Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図9C】図9Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図9D】図9Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図10A】加飾シートの第7変形例を示す断面図である。
【図10B】図10Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図11A】加飾シートの第8変形例を示す断面図である。
【図11B】図11Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図12A】加飾シートの第9変形例を示す断面図である。
【図12B】図12Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図13A】加飾シートの第10−12変形例を示す断面図である。
【図13B】図13Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図13C】図13Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図13D】図13Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図14A】加飾シートの第13−15変形例を示す断面図である。
【図14B】図14Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図14C】図14Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【図14D】図14Aの加飾シートの一部が硬化した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
《実施形態》
図1は、本発明の実施形態にかかる成形同時加飾成形品の製造方法に用いる加飾シートの断面図である。
【0030】
図1において、加飾シート1は、基体シート11と、基体シート11上に積層された転写層12とを有している。転写層12は、基体シート11上に積層された剥離層13と、剥離層13上に積層された柄層14と、柄層14上に積層された接着層15fとを有している。接着層15fは、後で詳しく説明するように、活性エネルギー線硬化性樹脂の一例である紫外線又は電子線硬化性樹脂を有するように構成されている。なお、本明細書では、紫外線又は電子線硬化性樹脂を有する層と、当該樹脂を含まない層とを区別するため、当該樹脂を有する層に「f」の符号を付すようにしている。
【0031】
基体シート11は、転写層12を支持するシートである。基体シート11としては、例えば、ポロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シート、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系シート、あるいはこれらが複合されたシートなどを用いることができる。
【0032】
剥離層13は、基体シート11を転写層12から剥離させるための層である。剥離層13は、基体シート11を転写層12から剥離した際、最外面となる層、すなわち、成形同時加飾成形品の外表面となる層である。このため、剥離層13は、ハードコート機能を有していることが好ましい。
【0033】
剥離層13の材質としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いることができる。剥離層13に硬度が必要な場合には、紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いてもよい。
【0034】
剥離層13の形成方法としては、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法を用いることができる。
【0035】
柄層14は、絵柄等を表現するための層であり、剥離層13上に、通常は印刷層として形成する。
柄層14の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料又は染料を着色剤として含有する着色インキなどを用いることができる。
【0036】
柄層14の形成方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの通常の印刷法を用いることができる。なお、柄層14において、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。また、柄層が単色の場合には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を用いてもよい。
【0037】
接着層15fは、転写層12と被加飾物である樹脂成形品とを接着するための層である。接着層15fの材質としては、樹脂成形品の材質に適した感熱性又は感圧性の樹脂を適宜使用することができる。例えば、樹脂成形品の材質がアクリル系樹脂の場合には、アクリル系樹脂を用いるとよい。また、樹脂成形品の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合には、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを用いるとよい。また、樹脂成形品の材質がポリプロピレン樹脂の場合には、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を用いるとよい。
【0038】
接着層15fの形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法を用いることができる。
【0039】
また、本実施形態において、接着層15fは、ゲート流れを防止するための層である。このため、接着層15fは、紫外線又は電子線硬化性樹脂を有するように構成されている。具体的には、接着層15fは、紫外線又は電子線硬化性樹脂を前記感熱性又は感圧性の樹脂に混合して構成されている。なお、接着層15fは、紫外線又は電子線硬化性と、感熱性又は感圧性の両方の性質を有する樹脂単体で構成されてもよい。これにより、接着層15fは、図2に示すように、活性エネルギー線照射機2から活性エネルギー線の一例である紫外線(UV)又は電子線(EB)が照射されることによって、図3に示すように当該照射された領域15cが硬化するように構成されている。本実施形態において、紫外線を照射する接着層15fの領域は、後で詳しく説明するように、加飾シート1が金型内に配置されたときに金型のゲートと対向する領域であるゲート対向予定領域である。
【0040】
前記紫外線又は電子線硬化性樹脂としては、アクリレート系化合物又は誘導体、不飽和ポリエステル系化合物又は誘導体、エン/チオール系化合物又は誘導体などのラジカル系硬化樹脂、エポキシ系化合物又は誘導体、ビニルエーテル系化合物又は誘導体、オキセタン系化合物又は誘導体などのカチオン系硬化樹脂などを用いることができる。
【0041】
なお、紫外線又は電子線硬化性樹脂は、接着層15f中に全面に塗布されていることが好ましい。これにより、成形同時加飾成形品の意匠に前記樹脂のバラツキによるムラが生じることを抑えることができる。
【0042】
次に、図4を用いて、本発明の実施形態にかかる成形同時加飾成形品の製造方法に用いる成形同時加飾装置について説明する。図4は、本発明の実施形態にかかる成形同時加飾成形品の製造方法に用いる成形同時加飾装置の概略構成を示す側面図である。なお、成形同時加飾成形品の製造方法に用いる成形同時加飾装置は、この構成に限定されるものではなく、他の既知の成形同時加飾装置であってもよい。
【0043】
図4に示す成形同時加飾装置は、金型20と、射出成形機30と、加飾シート供給装置40とを備えている。
金型20は、凹状のキャビティ21Aを有する可動型21と、凹状のキャビティ22Aを有する固定型22とを備えている。
【0044】
射出成形機30は、固定型22を支持する固定プラテン31と、可動型21を支持する可動プラテン32と、固定プラテン31のプラテン面(固定型支持面)から立設され可動プラテン32をそれぞれ摺動可能に貫通する複数本のタイバー33とを備えている。射出成形機30は、可動プラテン32を固定プラテン31へ向けてタイバー33上を摺動させることによって、固定型22と可動型21とを型閉じすることが可能である。また、射出成形機30は、前記型閉じ状態において可動型21のキャビティ21Aと固定型22のキャビティ22Aとによって形成されるキャビティ空間に、射出ノズル34を用いて溶融樹脂を固定型22に設けられたゲート35から射出して樹脂成形品16を成形することができるように構成されている。ゲート35は、丸、楕円、スリットなど任意の形状であってよい。
【0045】
加飾シート供給装置40は、可動型21と固定型22との間に加飾シート1を供給する装置である。加飾シート供給装置40は、加飾シート送出装置41と加飾シート巻取装置46とを備えている。
【0046】
加飾シート送出装置41は、長尺の加飾シート1が巻回された回転軸を備える加飾シート送出ロール42と、ガイドローラー43と、フレーム44と、固定部45とを備えている。加飾シート送出装置41は、加飾シート送出ロール42を回転させることによって加飾シート1を送り出し、当該送り出された加飾シート1をガイドローラー43によって可動型21と固定型22との間に向けて移動させる。加飾シート送出ロール42とガイドローラー43とは、互いに平行に配置され、フレーム44に回転可能に軸支されている。フレーム44には、ガイドローラー43の回転軸と平行で且つフレーム44の表面と直交方向に固定部45が取り付けられている。この固定部45は、可動プラテン32のプラテン面(可動型支持面)と平行となるように、当該プラテン面にボルトなどの締結部材により固定されている。
【0047】
加飾シート巻取装置46は、転写層12から剥離され可動型21と固定型22との間を通過した加飾シート1の基体シート11を、ガイドローラー48によって加飾シート巻取ロール47に移動させ、加飾シート巻取ロール47を回転させることによって基体シート11を巻き取る。加飾シート巻取ロール47とガイドローラー48とは、加飾シート送出ロール42及びガイドローラー43と平行に配置され、フレーム49に回転可能に軸支されている。フレーム49には、ガイドローラー48の回転軸と平行で且つフレーム49の表面と直交方向に板状の固定部50が取り付けられている。この固定部50は、可動プラテン32のプラテン面と平行となるように、当該プラテン面にボルトなどの締結部材により固定されている。
【0048】
次に、図1〜図5を参照しつつ、本発明の実施形態にかかる成形同時加飾成形品の製造方法について説明する。図5は、本発明の実施形態にかかる成形同時加飾成形品の断面図である。
【0049】
まず、図4に示すように、加飾シート1を加飾シート送出ロール42と加飾シート巻取ロール47との間にセットする。なお、ここでは、接着層15fのゲート対向予定領域15cが予め硬化されている加飾シート1を加飾シート送出ロール42にセットするものとするが、本発明はこれに限定されない。ゲート対向予定領域15cが金型20内に配置されて、型閉じされた金型20内に溶融樹脂が射出されるよりも前に、ゲート対向予定領域15cが硬化されていればよい。例えば、ガイドローラー43と可動型21との間に活性エネルギー線照射機2を配置し、当該照射機2からゲート対向予定領域15cに紫外線又は電子線を照射して、ゲート対向予定領域15cを硬化させるようにしてもよい。
【0050】
次いで、加飾シート送出ロール42から加飾シート1を送り出し、ゲート対向予定領域15cをゲート35と対向する位置に位置させる。なお、通常、加飾シートには、樹脂成形品に対する柄合わせのため、位置合わせマークが付与されている。この位置合わせマークと柄層の柄とゲート対向予定領域との位置関係は、常に一定である。従って、位置合わせマークの位置をカメラ等で認識することで、ゲート対向予定領域の位置を知ることができる。この認識結果に基づいて加飾シート送出ロール42の加飾シート送出量(又は加飾シート巻取ロール47の加飾シート巻取量)を制御することで、ゲート対向予定領域とゲート35との位置合わせを正確に行うことができる。なお、加飾シートに柄合わせのための位置合わせマークが付与されていない場合には、ゲート対向予定領域15cから一定の距離離れた加飾シート1上の位置に位置合わせマークを付与すればよい。この場合、前記位置合わせマークを別途設けたカメラ等で認識し、当該認識結果に基づいて加飾シート送出ロール42の加飾シート送出量(又は加飾シート巻取ロール47の加飾シート巻取量)を制御することで、ゲート対向予定領域とゲート35との位置合わせを正確に行うことができる。
【0051】
次いで、加飾シート1を可動型21と固定型22との間に配置した状態で、可動型21と固定型22とを型閉じする。
次いで、キャビティ21Aとキャビティ22Aによって形成されるキャビティ空間に、射出ノズル34を用いて溶融樹脂をゲート35から射出する。これにより、図5に示すように、樹脂成形品16が成形されるとともに、当該樹脂成形品16の表面に加飾シート1が密着する。このとき、接着層15fのゲート対向予定領域15cが予め硬化されているので、接着層15fが過度に溶かされることがない。従って、ゲート流れが抑えられる。また、接着層15fのゲート対向予定領域15c以外の領域については、硬化されていないので、接着層15fが硬すぎることによるクラックや密着不良の発生が抑えられる。なお、接着層15fは、紫外線又は電子線硬化性樹脂を前記感熱性又は感圧性の樹脂に混合して(あるいは紫外線又は電子線硬化性と、感熱性又は感圧性の両方の性質を有する樹脂単体で)構成されているので、ゲート対向予定領域15cは硬化後も接着力を有している。このため、ゲート対向予定領域15cにおいても密着不良の発生は抑えられる。なお、接着層15fのゲート対向予定領域15cの硬化後の接着力は、硬化前よりも弱まるが、ゲート部分では溶融樹脂の熱と圧力が十分にかかるので、接着層15fのゲート対向予定領域15cは問題なく樹脂成形品16に接着する。
【0052】
樹脂成形品16を適宜冷却して樹脂成形品16が硬化した後、可動型21と固定型22との型閉じ状態を解除する。これにより、基体シート11が、樹脂成形品の表面に転写層12を残して、転写層12から剥離され、図5に示すような成形同時加飾成形品3が製造される。剥離された基体シート11は、加飾シート巻取ロール47に巻き取られる。
【0053】
以上、本発明の実施形態にかかる成形同時加飾成形品の製造方法によれば、溶融樹脂の射出前に、接着層15fのゲート対向予定領域15cを予め硬化させるようにしているので、ゲート流れの発生を抑えて、成形同時加飾成形品3の意匠性の低下を抑えることができる。また、接着層15fのゲート対向予定領域15c以外の領域については、硬化させないので、接着層15fが硬すぎることによるクラックや密着不良の発生も抑えることができる。
【0054】
なお、ゲート対向予定領域15cは、図5に示すように、樹脂成形品16の曲面部分ではなく樹脂成形品16の平坦部分に対応する位置に位置していることが好ましい。これにより、硬化させたゲート対向予定領域15cにクラックが生じるおそれも無くすことができる。
【0055】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記実施形態では、紫外線又は電子線硬化性樹脂を接着層が有するように加飾シートを構成したが、本発明はこれに限定されない。紫外線又は電子線硬化性樹脂を有する層はベタつく性質があるので、加飾シート1の外表層に紫外線又は電子線硬化性樹脂を有する層があることは、取り扱い性が悪化するとともに、当該層の一部が剥離するブロッキングが発生するおそれがあることから好ましくない。
【0056】
(加飾シートの第1変形例)
このため、図6Aに示すように、紫外線又は電子線硬化性樹脂を接着層15に代えて柄層14fが有するように加飾シートを構成してもよい。これにより、柄層14f及び剥離層13のゲート流れを抑えることができるとともに、加飾シートの取り扱い性を向上させ、ブロッキングの発生も抑えることができる。この場合、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図6Bに示すゲート対向予定領域14cである。
【0057】
(加飾シートの第2変形例)
また、図7Aに示すように、紫外線又は電子線硬化性樹脂を剥離層13fが有するように加飾シートを構成してもよい。これにより、剥離層13fのゲート流れを抑えることができるとともに、加飾シートの取り扱い性を向上させ、ブロッキングの発生も抑えることができる。この場合、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図7Bに示すゲート対向予定領域13cである。
【0058】
なお、前記構成において、柄層14の耐熱性が低いことにより柄層14にゲート流れが発生する場合は、剥離層13fのゲート対向予定領域13cを硬化させてもゲート流れの発生を防ぐことはできない。これに対して、紫外線又は電子線硬化性樹脂を柄層14又は接着層15fが有するように加飾シートを構成した場合には、ゲート流れの発生を防ぐことができる。すなわち、転写層12において、ゲート流れが生じるおそれがある層のうち最も外側(基体シート11から離れる側)に位置する層に紫外線又は電子線硬化性樹脂が含まれていることが好ましい。
また、加飾シート1の外表層と紫外線又は電子線硬化性樹脂を有する層との間に配置される層は、透明であることが好ましい。当該層が透明でない場合(例えば後述する金属薄膜層である場合)は、紫外線又は電子線が当該層に進路を阻害されて、紫外線又は電子線硬化性樹脂を有する層に到達しないおそれがある。
【0059】
(加飾シートの第3変形例)
また、前記実施形態では、紫外線又は電子線硬化性樹脂が1層のみに含まれる加飾シートについて説明したが、紫外線又は電子線硬化性樹脂は、図8Aに示すように、2層以上に含まれてもよい。図8Aは、紫外線又は電子線硬化性樹脂が柄層14fと接着層15fの2層に含まれている加飾シートの例を示している。この場合、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図8Bに示すゲート対向予定領域14c及び15cである。
【0060】
(加飾シートの第4−6変形例)
また、前記実施形態では、剥離層13と柄層14と接着層15の3層で転写層が構成されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。ゲート流れは柄層14だけでなく剥離層13でも発生するので、例えば、図9Aに示すように、転写層12は、剥離層13と接着層15の2層で構成されてもよい。この場合、紫外線又は電子線硬化性樹脂は、剥離層13と接着層15の少なくともいずれか1つの層に含まれていればよい。紫外線又は電子線硬化性樹脂が接着層15fに含まれる場合(第4変形例)、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図9Bに示すゲート対向予定領域15cである。紫外線又は電子線硬化性樹脂が剥離層13fに含まれる場合(第5変形例)、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図9Cに示すゲート対向予定領域13cである。紫外線又は電子線硬化性樹脂が剥離層13f及び接着層15fの2層に含まれる場合(第6変形例)、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図9Dに示すゲート対向予定領域13c及び15cである。
【0061】
(加飾シートの第7変形例)
また、前記では、剥離層13と柄層14と接着層15のいずれかの層が紫外線又は電子線硬化性樹脂を有するように加飾シートを構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10Aに示すように、基体シート11と剥離層13との間に離型層17fを設け、当該離型層17fが紫外線又は電子線硬化性樹脂を有するように加飾シートを構成してもよい。離型層17fは、基体シート11からの剥離層13の剥離性を向上させるための層である。この場合、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図10Bに示すゲート対向予定領域17cである。
【0062】
離型層17の材質としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤、及びこれらの複合型離型剤などを用いることができる。離型層の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
【0063】
(加飾シートの第8変形例)
また、図11Aに示すように、柄層14と接着層15との間にアンカー層18fを設け、当該アンカー層18fが紫外線又は電子線硬化性樹脂を有するように加飾シートを構成してもよい。アンカー層18fは、互いに隣接する層の密着性を向上させるための層である。この場合、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図11Bに示すゲート対向予定領域18cである。なお、アンカー層18fは、基体シート11と離型層17との間や、剥離層13と柄層14との間に設けられてもよい。
【0064】
アンカー層18の材質としては、二液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを用いることができる。
【0065】
アンカー層18の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法などを用いることができる。
【0066】
(加飾シートの第9変形例)
また、図12Aに示すように、柄層14と接着層15との間に金属薄膜層19fを設け、当該金属薄膜層19fが紫外線又は電子線硬化性樹脂を有するように加飾シートを構成してもよい。金属薄膜層19fは、柄層14に金属光沢を与えるための層である。この場合、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図12Bに示すゲート対向予定領域19cである。なお、金属薄膜層19fは、剥離層13と柄層14との間に設けられてもよい。
【0067】
金属薄膜層19の材質としては、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金又は化合物を用いることができる。金属薄膜層19の材質は、表現したい金属光沢色に応じて適宜選択すればよい。金属薄膜層19の形成方法としては、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などの方法を用いることができる。
【0068】
(加飾シートの第10−12変形例)
また、前記第1実施形態では、接着層15を単一の層としたが、本発明はこれに限定されず、複層構造であってもよい。図13Aは、接着層15を第1接着層15Aと第2接着層15Bの2層構造とした例を示している。紫外線又は電子線硬化性樹脂は、第1接着層15Aと第2接着層15Bの少なくとも1つの層に含まれていればよい。紫外線又は電子線硬化性樹脂が第1接着層15Afに含まれる場合(第10変形例)、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図13Bに示すゲート対向予定領域15Acである。この場合、柄層14f及び剥離層13のゲート流れを抑えることができるとともに、加飾シートの取り扱い性を向上させ、ブロッキングの発生も抑えることができる。紫外線又は電子線硬化性樹脂が第1接着層15Bfに含まれる場合(第11変形例)、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図13Cに示すゲート対向予定領域15Bcである。紫外線又は電子線硬化性樹脂が第1接着層15Af及び第2接着層15Bfに含まれる場合(第12変形例)、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図13Dに示すゲート対向予定領域15Ac及び15Bcである。
【0069】
(加飾シートの第13−15変形例)
また、図14Aに示すように、柄層14を第1柄層14Aと第2柄層14Bの2層構造としたものを示している。紫外線又は電子線硬化性樹脂は、第1柄層14Aと第2柄層14Bの少なくとも1つの層に含まれていればよい。
【0070】
紫外線又は電子線硬化性樹脂が第1柄層14Afに含まれる場合(第13変形例)、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図14Bに示すゲート対向予定領域14Acである。なお、この場合、第1柄層14Aのゲート流れは抑えられるものの、第2柄層14Bのゲート流れは抑えられないおそれがある。従って、成形同時加飾成形品の意匠性の低下が抑えられない場合がある。
【0071】
紫外線又は電子線硬化性樹脂が第1柄層14Bfに含まれる場合(第14変形例)、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図14Cに示すゲート対向予定領域14Bcである。この場合、第2柄層14Bのゲート対向予定領域14Bcが硬化していることにより、第1柄層14Aのゲート流れが抑えられるので、成形同時加飾成形品の意匠性の低下が抑えられる。
【0072】
紫外線又は電子線硬化性樹脂が第1柄層14Af及び第2柄層14Bfに含まれる場合(第15変形例)、紫外線又は電子線を照射して硬化するのは、図13Dに示すゲート対向予定領域14Ac及び14Bcである。
【0073】
なお、上記様々な実施形態(変形例)のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明にかかる成形同時加飾成形品の製造方法及びその成形品、並びに加飾シートは、ゲート流れの発生を抑えて、成形同時加飾成形品の意匠性の低下を抑えることができるので、携帯電話やパーソナルコンピュータの筐体など樹脂成形品の加飾の用途に有用である。
【符号の説明】
【0075】
1 加飾シート
2 活性エネルギー線照射機
3 成形同時加飾成形品
11 基体シート
12 転写層
13 剥離層
14 柄層
15 接着層
16 樹脂成形品
17 離型層
18 アンカー層
19 金属薄膜層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを有する金型内に加飾シートを配置した状態で、前記金型のゲートを通じて溶融樹脂を前記金型内に射出して、樹脂成形品の表面に前記加飾シートを密着させる成形同時加飾成形品の製造方法であって、
前記加飾シートは、基体シートと、当該基体シート上に積層され、活性エネルギー線硬化性樹脂を有する層を含む複数の層とを備え、
前記溶融樹脂の射出前において、前記樹脂を有する層のゲート対向予定領域に、活性エネルギー線を照射して、当該ゲート対向予定領域を予め硬化させる、成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂を有する層は、前記基体シートの全面に形成されている、請求項1に記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂を有する層は、前記加飾シートの外表層よりも内側に配置されている、請求項1又は2に記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項4】
前記加飾シートの前記外表層と前記樹脂を有する層との間に形成されている層が透明である、請求項3に記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項5】
前記加飾シートは、前記樹脂を有する層を複数有し、
前記溶融樹脂の射出前において、前記それぞれの樹脂を有する層のゲート対向予定領域に活性エネルギー線を照射して、当該それぞれのゲート対向予定領域を予め硬化させる、請求項1〜4のいずれか1つに記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項6】
前記加飾シートは、少なくとも剥離層と接着層とを有し、
前記剥離層と前記接着層の少なくともいずれ一方が前記樹脂を有する層である、請求項1又は2に記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項7】
前記加飾シートは、少なくとも剥離層と柄層と接着層とを有し、
前記剥離層と前記柄層と前記接着層のうち少なくともいずれ1層が、前記樹脂を有する層である、請求項1又は2に記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項8】
前記接着層が前記樹脂を有する層である、請求項6又は7に記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項9】
前記接着層は、前記基体シート側に配置される第1接着層と、前記第1接着層上に積層され、前記加飾シートの外表層となる第2接着層とを有する複層構造で構成され、
前記第2接着層が前記樹脂を有する層である、請求項6又は7に記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項10】
前記柄層は、前記基体シート側に配置される第1柄層と、前記第1柄層上に積層される第2柄層とを有する複層構造で構成され、
前記第2柄層が前記樹脂を有する層である、請求項7に記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項11】
前記ゲートは、前記成形同時加飾成形品の平坦部分と対向する位置に位置している、請求項1〜10のいずれか1つに記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項12】
前記樹脂は、紫外線又は電子線硬化性樹脂であり、前記活性エネルギー線は、紫外線又は電子線である、請求項1〜11に記載の成形同時加飾成形品の製造方法。
【請求項13】
キャビティを有する金型内に加飾シートを配置した状態で、前記金型のゲートを通じて溶融樹脂を前記金型内に射出して、樹脂成形品の表面に前記加飾シートを密着させる成形同時加飾成形品の製造方法に用いられる加飾シートであって、
前記加飾シートは、基体シートと、前記基体シート上に積層され、活性エネルギー線硬化性樹脂を有する層を含む複数の層とを備え、前記樹脂を備える層のゲート対向予定領域のみが硬化している、加飾シート。
【請求項14】
請求項13に記載の加飾シートにより表面を加飾された成形同時加飾成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【公開番号】特開2010−247493(P2010−247493A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101999(P2009−101999)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】