説明

成形品及びインモールド転写箔

【課題】成形品の転写層の変形・損傷を防止する。
【解決手段】1次成形樹脂10´と、1次成形樹脂10´側から加飾層33、ポリエステル又はポリウレタン又はポリイミド又はセルロースのいずれか、もしくはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる混合物を主成分とする箔流れ防止用印刷層31が順に積層され、1次成形層10の表面に転写された転写層30と、その転写層30の箔流れ防止用印刷層31側に形成された2次成形樹脂20´と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば異なる樹脂材料を用いて一体に成形された成形品、成形に用いられるインモールド転写箔に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、以下のような2色成形法が知られている。まず絵柄層等が形成されたインモールド転写箔を挟み込むように1次成形用キャビティ型とコア型とが型閉めされ、溶融した1次成形樹脂が射出されることで、表面に絵柄層が転写した1次成形樹脂部が成形される。そして1次成形樹脂部が装着されたキャビティ型と2次成形用コア型とが型閉めされ、2次成形樹脂が射出されることで、1次成形樹脂部の表面を覆うように2次成形樹脂部が成形される(例えば、特許文献1参照)。2色成形法で製造された成形品では、インモールド転写箔から1次成形樹脂部に転写された絵柄層が2次成形樹脂部により保護されるという利点がある。
【0003】
以下、上記の成形に用いられるインモールド転写箔について説明する。
インモールド転写箔は、ベースフィルムと、該ベースフィルム上に形成された転写層から構成されている。転写層は、複数の層から構成されており、一例としてベースフィルム側から順にハードコート層、図柄や文字等(絵柄)が施された加飾層、接着層の積層構造となっている。絵柄を印刷したインモールド転写箔を成型金型内にセットし、射出された溶融樹脂の圧力と熱によりインモールド転写箔の転写層を1次成形樹脂に転写する。このようにしてインモールド転写箔に施した絵柄を樹脂成形部に転写し、成形と表面加飾を同時に行う。
【0004】
加飾層は成形品にデザイン性を付与するための層である。接着層は転写層を成形品に接着するための層で、射出された溶融樹脂の熱によって軟化して接着力を発現する。加飾層と接着層は、例えばシルク印刷やグラビア印刷により形成される。
加飾層のベースフィルム側にはハードコート層を設けたものが多い。ハードコート層は転写した加飾層を摩擦や引っ掻きによる傷から守るための層である。ハードコート層は、印刷法によって形成されることもあるが、例えばブレードコーターを用いてベースフィルム全面に塗布されることも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−11523号公報(図3〜図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のインモールド転写箔を用いて上述の2色成形法を行なうと、2次成形時に高圧力及び高温で流動する樹脂によって、転写層が変形したり損傷を受けたりすることがあった。このように、ベースフィルムに印刷されたインキの層が変形したり損傷を受けたりすることは、箔流れ、インキ流れと呼ばれる。印刷流れということもある。転写層の加飾層が箔流れを起こすと、デザインが設計どおりにならない。
また、転写層の中には、例えば導電インキを印刷することによって、アンテナや静電スイッチのような回路の機能を担う導電配線を形成することもできるが、もしもこのような導電配線が形成されている場合には、箔流れが起こると、導電配線のショートや断線が発生して回路が設計どおりに動作しなくことがある。
【0007】
加飾層のベースフィルム側に従来のハードコート層が形成されたインモールド転写箔を用いた場合は、2次成形の樹脂と加飾層との間にハードコート層が介在するので、2次成形時に高圧力及び高温で流動する樹脂が加飾層に直接は接触しないが、やはり箔流れが起こる。
【0008】
一般にハードコート層の材料には、硬度が高いアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂(これらには紫外線硬化型樹脂が多い)がよく用いられるが、これらの材料は硬度が高い反面、脆い側面(ぜい性)もある。そのため、こうしたハードコート層は擦傷を防ぐのには適しているが、2次成形時に流動する高圧力及び高温(圧力は100MPa以上、温度は200℃以上になりうる)の樹脂によって印刷層が変形や損傷するのを防ぐ機能は十分であるとは言えない。高圧力及び高温の流動樹脂によってハードコート層が損傷して、その下の加飾層の模様が変形したり、導電配線のショートや断線が発生したりする。
【0009】
本開示は、上記の状況を考慮してなされたものであり、成形品の転写層の変形、損傷を防止する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一側面の成形品は、1次成形層と、加飾層、ポリエステル又はポリウレタン又はポリイミド又はセルロースのいずれか、もしくはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる混合物を主成分とする箔流れ防止用印刷層を少なくとも有し、1次成形層側から近い順に加飾層、箔流れ防止用印刷層であり、1次成形層の表面に転写された転写層と、該転写層の箔流れ防止用印刷層側に形成された2次成形層と、を有する。
【0011】
本開示の一側面の成形品によれば、上記材料を用いた箔流れ防止用印刷層は、従来のハードコート層に用いられるアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂と比べると、靭性が高い。そのため、2次成形時に転写層に対し高圧力及び高温の樹脂が流動しても箔流れ防止用印刷層は破壊されない。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、成形品の転写層の変形や損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電子機器の外観上見える部分の一部を構成する構造体である成形品として、電子機器の筐体の一部である前面カバーの成形品を示す平面図である。
【図2】図1に示した前面カバーの裏面側(筐体の内部側)を示す平面図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】成形品である筐体の前面カバーの成形方法についての説明図であり、キャビティプレートと第1のコアプレートとが対面した状態を示している。
【図5】図4に示す状態から型締めが行われ、1次成形用樹脂が充填された状態を示す説明図である。
【図6】キャビティプレートと第2のコアプレートとが対面した状態を示す説明図である。
【図7】図6に示す状態から型締めが行われた状態を示す図である。
【図8】A〜Cは、一般的なインモールド転写箔に導電配線層を設けて2色成形する場合の説明図である。
【図9】A〜Cは、第1の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行った場合の説明図である。
【図10】A〜Cは、第2の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行った場合の説明図である。
【図11】A〜Cは、第3の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行った場合の説明図である。
【図12】A〜Cは、第4の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行った場合の説明図である。
【図13】A〜Cは、第5の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行った場合の説明図である。
【図14】A〜Cは、第6の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行った場合の説明図である。
【図15】A〜Cは、第7の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行った場合の説明図である。
【図16】図15Aのインモールド転写箔を示す平面図である。
【図17】A,B,Cはそれぞれ、各実施例の1次成形層の外形、2次成形層の外形、2色成形品の断面を示す図である。
【図18】実施例の転写層の導電配線の形状と2次成形層との位置関係を示した平面図である。
【図19】2次成形時の圧力と時間との関係を示したグラフである。
【図20】A,Bは箔流れが生じた成形品、Cは本開示のインモールド転写箔を用いた場合の成形品の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。説明は下記の順序で行う。なお、各図において共通の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
1.第1の実施形態(加飾層、導電配線層のベースフィルム側に箔流れ防止のための印刷層を有する例:図9)
2.第2の実施形態(導電配線層の上下に印刷層を有する例:図10)
3.第3の実施形態(加飾層、導電配線層のベースフィルム側に箔流れ防止のための印刷層を有し、2次成形層が透明な例:図11)
4.第4の実施形態(導電配線層の上下に印刷層を有し、2次成形層が透明な例:図12)
5.第5の実施形態(接着層が1次成形層側と2次成形層側の双方に有する例:図13)
6.第6の実施形態(導電配線層の上下に印刷層を有し、接着層が1次成形層側と2次成形層側の双方に有する例:図14)
7.第7の実施形態(接着層がはみ出した例:図15,図16)
8.実施例と比較例
【0015】
<1.第1の実施形態>
(成形品の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る、図示しない電子機器の外観上見える部分の一部を構成する構造体である成形品(2色成形品)として、その電子機器の筐体の一部である前面カバーの成形品を示す平面図である。
【0016】
電子機器としては、例えば携帯電話機、携帯型音楽プレーヤー、PDA(Personal Digital Assistant)等、携帯型電子機器が挙げられる。筐体の図示しない本体にこの前面カバー100が装着されて電子機器が構成される。
【0017】
図2は、その前面カバー100の裏面側2(筐体の内部側)を示す平面図である。図3は、図2におけるA−A断面図である。
【0018】
これらの図に示すように、前面カバー100は、その前面カバー100の表面側1の層を形成する1次成形層10、裏面側2の層を形成する2次成形層20、及びこれらの間に挟み込まれた転写層30を有する。
【0019】
1次成形層10は、1次成形層側から加飾層の絵柄を見えるようにするため透明又は半透明の樹脂である。1次成形層10の材料は、例えば塩化ビニル、アクリル樹脂、ABS樹脂等の汎用樹脂、PC樹脂、ABS樹脂とPC樹脂の混合樹脂等のプラスチックが用いられる。加飾層を含むインモールド転写箔の層構成については後述する。
【0020】
2次成形層20は、筐体の本体との締結用の、図示しないボス構造、スナップフィット、またはプレスフィット等の構造を有する。2次成形層20の材料としては、例えば、機械的強度が比較的高いABS樹脂、PC樹脂、ABS樹脂とPC樹脂の合成樹脂、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(アクリル))、PS(ポリスチレン)等の樹脂が用いられる。
【0021】
前面カバー100の1次成形層10の一部、この例では窓部5を形成するように1次成形層10の裏面側2に2次成形層20が形成される。前面カバー100はこの窓部5を含む主面100aと、その主面100aにほぼ垂直に設けられた側面100bとを有する。
【0022】
後述するように、1次成形層10及び2次成形層20の間には、インモールド転写箔から転写された転写層30が配置される。電子機器では、液晶ディスプレイやEL(Electro-Luminescence)ディスプレイを構成する図示しないパネルが、その窓部5に前面カバー100の裏面側2から対面するように配置される。つまり、透明又は半透明の1次成形層10に窓部5である透明部分が残るように、転写層30及び2次成形層20が形成される。
【0023】
なお、電子機器の外観上見える部分の一部を構成する構造体である成形品として、窓部5を有する前面カバー100を例に説明したが、この例に限らず、その他の構成を採り得ることは勿論である。
【0024】
(成形品の成形方法(製造方法))
図4〜図7は、前面カバー100の、インモールド成形による製造方法を説明するための図である。
【0025】
1次成形層10を形成するための金型として、図4に示すように、キャビティ51aを有するキャビティプレート51と、第1のコア52aを有する第1のコアプレート52とが用意される。そして、図5に示すように、キャビティプレート51に設けられたランナー51b及びゲート51c(図4参照)を介して、キャビティ51a内に1次成形用樹脂10’が充填されるとともに、キャビティ51a内に第1のコアプレート52の第1のコア52aが挿入されて型締めが行われる。所定の温度及び圧力が1次成形用樹脂10’に加えられるとともに、その樹脂の温度及び圧力によって1次成形用樹脂10’に対してのインモールド転写箔30’の表面に形成された転写層30の溶融転写が行われる。
【0026】
次に、2次成形層20を形成するための金型として、図6に示すように転写層30が転写された1次成形用樹脂10’が貼り付いたキャビティプレート51と、第2のコア53aを有する第2のコアプレート53とが用意される。典型的には、第1のコアプレート52及び第2のコアプレート53は一体的に設けられ、1つのプレートに第1のコア52a及び第2のコア53aが形成されている。そして、第1のコア52aにより1次成形層10が形成された後、第2のコア53aと、キャビティプレート51のキャビティ51aとが対面するようにそのコアプレートが回転する。
【0027】
図7に示すように第2のコアプレート53に設けられたランナー53b及びゲート53c(図6参照)を介して、キャビティプレート51のキャビティ51a内に2次成形用樹脂20’が充填されるとともに、キャビティ51a内に第2のコアプレート53の第2のコア53aが挿入されて型締めが行われる。所定の温度及び圧力が2次成形用樹脂20’に加えられる。
【0028】
この後、離型が行われる。すなわち、金型から成形品が取り外される。これにより、成形品の成形が終了する。
【0029】
以上のように、本実施形態に係る成形品では、1次成形層10と2次成形層20との間に、インモールド転写箔30’の一部である転写層30(後述する導電配線層、加飾層など)が挟み込まれている。成形品の一部において、言わば1次成形層10及び2次成形層20が半導体回路チップのパッケージングのような機能を果たす。これにより、転写層30を1次成形層10及び2次成形層20との間に保持しておくことができる。
【0030】
特に、加飾層、また、導電配線層が、1次成形層10及び2次成形層20の間に配置される。これにより、加飾層、導電配線層が損傷を受けたり、粉塵等が導電配線層に付着して電気的導通が阻害されたりすることを防止することができる。
【0031】
(一般的なインモールド転写箔に導電配線層を設けて2色成形する場合の説明)
ここで、インモールド転写箔の転写層に導電配線層を設け、多色成形方法を適用した成形品に電気的な機能を付与することを想定する。具体的な電気的機能としては、例えばアンテナや静電スイッチ、タッチセンサ、配線などがある。なお、特許3118276号公報などに導電配線層の例が記載されているが、この特許公報に記載されたものは単一の樹脂による成形に係るものであり、2色成形品に係るものではない。
【0032】
図8は、一般的なインモールド転写箔に導電配線層を設けて2色成形する場合の説明図であり、図8Aはインモールド転写箔の構造、図8Bはインモールド転写箔の転写層を1次成形樹脂に転写した状態、図8Cはさらに2次成形樹脂を成形して2色成形品にした状態を示している。
【0033】
インモールド転写箔200´は、一定の離型性を有するベースフィルム201と、該ベースフィルム201上に形成された転写層200から構成されている。転写層200は、ベースフィルム201側から順にハードコート層211、導電配線層212、加飾層213、接着層214の積層構造となっている(図8A)。1次成形により、インモールド転写箔200´の転写層200が1次成形樹脂10´に転写され(図8B)、その後、1次成形品のハードコート層211の上から2次成形樹脂20´による2次成形が行われ2次成形品を得る(図8C)。加飾層213には、ハードコート層211が当該加飾層213の下側(ベースフィルム201側)に設けられている。
【0034】
既述したように、一般的なインモールド転写箔に設けられるハードコート層の材料には、硬度が高いアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等がよく用いられる。2色成形において、2次成形時に高圧力・高温で流動する樹脂によってハードコート層が損傷した場合、その下の層(ここでは、加飾層213の模様や導電配線層212の配線パターン)が変形・損傷する恐れがある。特に、導電配線層の配線パターンに断線やショートが損傷すると、2色成形品の電気的な機能に障害が発生してしまう。そこで、2次成形時に高圧力・高温で流動する樹脂によって転写される層に変形・損傷が及ばないようにすることが求められる。
【0035】
(本開示に係る導電配線層を有するインモールド転写箔を用いた2色成形の説明)
以下、第1の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行う場合を説明する。
本実施形態は、インモールド転写箔の加飾層及び導電配線層のベースフィルム側に、従来のハードコート層ではなく所定樹脂からなる印刷層(箔流れ防止用印刷層の一例)を設け、2次成形において、1次成形品に転写された層の変形・破壊の防止を図る例である。
【0036】
図9は、第1の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行う場合の説明図であり、図9Aはインモールド転写箔の構造、図9Bはインモールド転写箔の転写層を1次成形樹脂に転写した状態、図9Cはさらに2次成形樹脂を成形して2色成形品にした状態を示している。
【0037】
インモールド転写箔30´は、ベースフィルム3と、該ベースフィルム3上に形成された転写層30から構成されている。転写層30は、ベースフィルム3側から順に印刷層31、導電配線層32、加飾層33、接着層34の積層構造となっている(図9A)。1次成形により、インモールド転写箔30´の転写層30が1次成形樹脂10´に転写され(図9B)、その後、1次成形品の印刷層31の上から2次成形樹脂20´による2次成形が行われ2色成形品を得る(図9C)。
【0038】
ベースフィルム3の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の樹脂が用いられる。
【0039】
導電配線層32は、所望の電気的な機能を実現するような回路の形状にパターニングされた導電材料の層で、銀ペースト、カーボンペーストなどの導電ペーストをパターン印刷して形成してもよいし、金属薄膜を蒸着した後にパターニングして形成してもよい。
導電配線は1層であってもよいし、プリント基板の多層基板のような回路を形成するために、2層以上であってもよい。2層以上にする場合には、多層基板と同様に、層と層の間に絶縁層を配置し、ある層の回路を別の層の回路と接続する必要がある場合には、絶縁層の適当な箇所にスルーホールを設け、スルーホールに導電材料を充填して接続するようにする。
【0040】
加飾層33は筐体にデザイン性を付与するための層であり、例えばシルク印刷やグラビア印刷により形成される。加飾層は1層であってもよいし、2層以上であってもよい。2層以上にする場合には、例えば1つの層を下地のデザインとし、他の層をその下地の上に付加される文字や図形等のデザインとするような形態が考えられる。
【0041】
接着層34の材料は、接着したい樹脂の材料によって最適な材料を選択する必要があるが、例えば塩酢ビ(塩酸ビニルと酢酸ビニルの共重合体の略称)、アクリル、ポリエステル、ポリカーボネートなどがある。接着層34は、成形時の高圧力及び高温によって溶融して1次成形樹脂10´の表面と混合し、もしくは成形時に1次成形樹脂10´の表面から浸透して該1次成形樹脂10´と混合することにより、転写層30と1次成形樹脂10´を接着する。
【0042】
本例では、印刷層31を加飾層33及び導電配線層32の下側(ベースフィルム3側)に形成する。そして印刷層31に、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、セルロースのいずれか、もしくはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる混合物を主成分とする材料を用いる。こうした材料の印刷層31は、従来のハードコート層に用いられるアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂と比べると、硬度は低いが靭性が高い(脆くない)。そのため2次成形時に高圧力・高温の樹脂が流動しても印刷層31は破壊されず、加飾層33、導電配線層32の変形・損傷を防ぐことができる。なお、印刷層31を靭性が高い膜にするために、上記材料の2液硬化型インキを用いることがより好適である。
【0043】
印刷層31の膜厚は2μm〜40μmとすることが必要で、さらに好ましくは5μm〜20μmである。膜厚が小さ過ぎると箔流れを防止する効果が不十分になり、膜厚が大き過ぎると膜の内部応力が大きくなるため、印刷後の乾燥時に乾燥収縮によるクラックが発生したり、曲面形状の部分に転写する際にクラックが発生したりするおそれがある。
【0044】
なお、印刷層31は、主成分として少なくとも上述した材料やそれらの組み合わせからなる混合物を含有していればよく、さらにフィラーや顔料を含んでいてもよい。フィラーとしては、例えば酸化ケイ素の粒子や樹脂ビーズ(例えばウレタンビーズ)等を使用することができる。印刷層31がフィラーを含むことにより、印刷層31にピンホールが発生しにくくなり、2色成形の歩留まりがよくなる。また、印刷層31に顔料を含有させることによって、印刷層31を加飾(デザイン)のために利用することもできる。
【0045】
本実施形態のインモールド転写箔及び成形品は、少なくとも1次成形層側から近い順に接着層34、加飾層33、印刷層31を有し、これら接着層34、加飾層33、印刷層31の積層順が前後しなければよい。すなわち、これらの層の積層順が守られていれば隣接していなくてもよい。例えば図9のように、加飾層33と印刷層31の間に、導電配線層32や透明樹脂層などの他の層が形成されていても、同様の効果が得られる。
【0046】
また、2次成形層と1次成形層との接着強度を向上させるために、印刷層31の2次成形層側(インモールド転写箔においてはベースフィルム側)に、2次成形樹脂との接着層を設けてもよい。この接着層の材料も接着層34の材料と同様に、接着したい樹脂の材料によって最適な材料を選択する必要があり、例えば塩酢ビ(塩酸ビニルと酢酸ビニルの共重合体の略称)、アクリル、ポリエステル、ポリカーボネートなどが挙げられる。ただし、塩酢ビを用いると、ベースフィルムと転写層の密着性が強くなり過ぎることがある。
【0047】
なお、本例では導電配線層32を有するインモールド転写箔30´の例を説明したが、成形品に電気的な機能を付与しない場合には、導電配線層32のないインモールド転写箔に上記印刷層31を適用してもよい。
【0048】
<2.第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行った場合を説明する。本例は、上記印刷層31を導電配線層の上下両側に設けた例である。
【0049】
図10は、第2の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行う場合の説明図であり、図10Aはインモールド転写箔の構造、図10Bはインモールド転写箔の転写層を1次成形樹脂に転写した状態、図10Cはさらに2次成形樹脂を成形して2色成形品にした状態を示している。
【0050】
インモールド転写箔40´は、ベースフィルム3と、該ベースフィルム3上に形成された転写層40から構成されている。転写層40は、ベースフィルム3側から順に第1の印刷層31−1、導電配線層32、第2の印刷層31−2、加飾層33、接着層34の積層構造となっている(図10A)。1次成形により、インモールド転写箔40´の転写層40が1次成形樹脂10´に転写され(図10B)、その後、1次成形品の第1の印刷層31−1の上から2次成形樹脂20´による2次成形が行われ2色成形品を得る(図10C)。
【0051】
このように、導電配線層の下側(ベースフィルム3側)だけでなく、上下両側に印刷層31(第1の印刷層31−1、第2の印刷層31−2)を設けて導電配線層を挟むようにすると、変形・損傷の防止の観点から、さらに好ましい。
【0052】
第2の実施形態においても第1の実施形態と同様に、2次成形層と1次成形層との接着強度を向上させる目的で、第1の印刷層31−1の2次成形層側(インモールド転写箔においてはベースフィルム側)に、2次成形樹脂との接着層を設けてもよい。この接着層の材料も、接着したい樹脂の材料によって最適な材料を選択する必要があり、例えば塩酢ビ(塩酸ビニルと酢酸ビニルの共重合体の略称)、アクリル、ポリエステル、ポリカーボネートなどが挙げられる。ただし、塩酢ビを用いると、ベースフィルムと転写層の密着性が強くなり過ぎることがある。
また第1の実施形態と同様に、加飾層や導電配線層は1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
【0053】
<3.第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行った場合を説明する。本例は、1次成形層10が不透明な樹脂とし、2次成形層20が透明又は半透明な樹脂としたものである。不透明な樹脂である1次成形層10の材料としては、第1の実施形態で2次成形層20の材料として説明したものが用いられる。例えば、1次成形層10の材料として、機械的強度が比較的高いABS樹脂、PC樹脂、ABS樹脂とPC樹脂の合成樹脂、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(アクリル))、PS(ポリスチレン)等の樹脂が用いられる。また、透明又は半透明な樹脂である2次成形層20の材料としては、第1の実施形態で2次成形層20の材料として説明したものが用いられる。例えば、2次成形層20の材料として、塩化ビニル、アクリル樹脂、ABS樹脂等の汎用樹脂、PC樹脂、ABS樹脂とPC樹脂の混合樹脂等のプラスチックが用いられる。
なお、この第3の実施形態に係るインモールド転写箔50′を構成する各層やベースフィルムは、他の実施形態で説明した各層やベースフィルムと同じものが適用可能であり、具体的な各層の材料名,機能,膜厚は省略する。
【0054】
図11は、第3の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2次成形を行う場合の説明図である。図11Aはインモールド転写箔の構造、図11Bはインモールド転写箔の転写層を1次成形樹脂に転写した状態、図11Cはさらに2次成形樹脂を成形して2色成形品にした状態を示している。
【0055】
インモールド転写箔50´は、ベースフィルム3と、該ベースフィルム3上に形成された転写層50から構成されている。転写層50は、ベースフィルム3側から順に加飾層33、導電配線層32、印刷層31、接着層34の積層構造となっている(図11A)。1次成形により、インモールド転写箔50´の転写層50が1次成形樹脂10´に転写され(図11B)、その後、1次成形品の加飾層33の上から2次成形樹脂20´による2次成形が行われ2色成形品を得る(図11C)。
本例では、印刷層31を加飾層33及び導電配線層32の上側(第1成形層側)に形成する。
【0056】
本実施形態のインモールド転写箔及び成形品は、少なくとも1次成形層側から近い順に接着層34、印刷層31、加飾層33を有し、これら接着層34、印刷層31、加飾層33の積層順が前後しなければよい。すなわち、これらの層の積層順が守られていれば隣接していなくてもよい。例えば図11のように、印刷層31と加飾層33の間に、導電配線層32や透明樹脂層などの他の層が形成されていても、同様の効果が得られる。
【0057】
なお、本例では導電配線層32を有するインモールド転写箔50´の例を説明したが、成形品に電気的な機能を付与しない場合には、導電配線層32のないインモールド転写箔に上記印刷層31を適用してもよい。
【0058】
<4.第4の実施形態>
次に、第4の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行った場合を説明する。本例は、1次成形層10が不透明な樹脂とし、2次成形層20が透明又は半透明な樹脂とした上で、上記印刷層31を導電配線層の上下両側に設けた例である。
不透明な樹脂である1次成形層10の材料と、透明又は半透明な樹脂である2次成形層20の材料は、第3の実施形態で説明したものが用いられる。
また、この第4の実施形態に係るインモールド転写箔60′を構成する各層やベースフィルムは、他の実施形態で説明した各層やベースフィルムと同じものが適用可能であり、具体的な各層の材料名,機能,膜厚は省略する。
【0059】
図12は、第4の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行う場合の説明図であり、図12Aはインモールド転写箔の構造、図12Bはインモールド転写箔の転写層を1次成形樹脂に転写した状態、図12Cはさらに2次成形樹脂を成形して2色成形品にした状態を示している。
【0060】
インモールド転写箔60´は、ベースフィルム3と、該ベースフィルム3上に形成された転写層60から構成されている。転写層60は、ベースフィルム3側から順に加飾層33、第1の印刷層31−1、導電配線層32、第2の印刷層31−2、接着層34の積層構造となっている(図12A)。1次成形により、インモールド転写箔60´の転写層60が1次成形樹脂10´に転写され(図12B)、その後、1次成形品の加飾層33の上から2次成形樹脂20´による2次成形が行われ2色成形品を得る(図12C)。
【0061】
このように、導電配線層の下側(ベースフィルム3側)だけでなく、上下両側に印刷層31(第1の印刷層31−1、第2の印刷層31−2)を設けて導電配線層を挟むようにすると、変形・損傷の防止の観点から、さらに好ましい。
【0062】
第4の実施形態においても他の実施形態と同様に、加飾層や導電配線層は1層であってもよいし、2層以上であってもよい。また、成形品に電気的な機能を付与しない場合には、導電配線層32を省略してもよい。
【0063】
<5.第5の実施形態>
次に、第5の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2次成形を行った場合を説明する。本例は、第3の実施形態に係るインモールド転写箔に、さらに2次成形層と1次成形層との接着強度を向上させるために、加飾層33の2次成形層側(インモールド転写箔においてはベースフィルム側)に、2次成形樹脂との接着層を設けたものである。
【0064】
本例は、1次成形層10が不透明な樹脂とし、2次成形層20が透明又は半透明な樹脂である。不透明な樹脂である1次成形層10の材料と、透明又は半透明な樹脂である2次成形層20の材料は、第3の実施形態で説明したものが用いられる。
また、この第5の実施形態に係るインモールド転写箔70′を構成する各層やベースフィルムは、他の実施形態で説明した各層やベースフィルムと同じものが適用可能であり、具体的な各層の材料名,機能,膜厚は省略する。
【0065】
図13は、第5の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行う場合の説明図であり、図13Aはインモールド転写箔の構造、図13Bはインモールド転写箔の転写層を1次成形樹脂に転写した状態、図13Cはさらに2次成形樹脂を成形して2色成形品にした状態を示している。
【0066】
インモールド転写箔70´は、ベースフィルム3と、該ベースフィルム3上に形成された転写層70から構成されている。転写層70は、ベースフィルム3側から順に第1の接着層34−1、加飾層33、導電配線層32、印刷層31、第2の接着層34−2の積層構造となっている(図13A)。1次成形により、インモールド転写箔70´の転写層70が1次成形樹脂10´に転写され(図13B)、その後、1次成形品の第1の接着層34−1の上から2次成形樹脂20´による2次成形が行われ2色成形品を得る(図13C)。
本例では、印刷層31を加飾層33及び導電配線層32の上側(第1成形層側)に形成する。
【0067】
本実施形態のインモールド転写箔及び成形品は、少なくとも1次成形層側から近い順に第2の接着層34−2、印刷層31、加飾層33、第1の接着層34−1を有し、これら接着層34、印刷層31、加飾層33、第1の接着層34−1の積層順が前後しなければよい。すなわち、これらの層の積層順が守られていれば隣接していなくてもよい。例えば図13のように、印刷層31と加飾層33の間に、導電配線層32や透明樹脂層などの他の層が形成されていても、同様の効果が得られる。
【0068】
このように、2つの接着層34−1,34−2がある転写層70を使用して成形を行うことで、2次成形層と1次成形層との接着強度が向上する。第1の接着層34−1の材料は、第2の接着層34−2(第1の実施形態での接着層34)の材料と同様に、接着したい樹脂の材料によって最適な材料を選択する必要がある。例えば、塩酢ビ(塩酸ビニルと酢酸ビニルの共重合体の略称)、アクリル、ポリエステル、ポリカーボネートなどが挙げられる。ただし、塩酢ビを用いると、ベースフィルムと転写層の密着性が強くなり過ぎることがある。
【0069】
なお、第5の実施形態においても他の実施形態と同様に、加飾層や導電配線層は1層であってもよいし、2層以上であってもよい。また、成形品に電気的な機能を付与しない場合には、導電配線層32を省略してもよい。
【0070】
<6.第6の実施形態>
次に、第6の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行った場合を説明する。本例は、第4の実施形態に係るインモールド転写箔に、さらに2次成形層と1次成形層との接着強度を向上させるために、第1の印刷層31−1の2次成形層側(インモールド転写箔においてはベースフィルム側)に、2次成形樹脂との接着層を設けたものである。
【0071】
本例は、1次成形層10が不透明な樹脂とし、2次成形層20が透明又は半透明な樹脂である。不透明な樹脂である1次成形層10の材料と、透明又は半透明な樹脂である2次成形層20の材料は、第3の実施形態で説明したものが用いられる。
また、この第6の実施形態に係るインモールド転写箔80′を構成する各層やベースフィルムは、他の実施形態で説明した各層やベースフィルムと同じものが適用可能であり、具体的な各層の材料名,機能,膜厚は省略する。
【0072】
図14は、第6の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行う場合の説明図であり、図14Aはインモールド転写箔の構造、図14Bはインモールド転写箔の転写層を1次成形樹脂に転写した状態、図14Cはさらに2次成形樹脂を成形して2色成形品にした状態を示している。
【0073】
インモールド転写箔80´は、ベースフィルム3と、該ベースフィルム3上に形成された転写層80から構成されている。転写層80は、ベースフィルム3側から順に第1の接着層34−1、加飾層33、第1の印刷層31−1、導電配線層32、第2の印刷層31−2、第2の接着層34−2の積層構造となっている(図14A)。1次成形により、インモールド転写箔80´の転写層80が1次成形樹脂10´に転写され(図14B)、その後、1次成形品の第1の接着層34−1の上から2次成形樹脂20´による2次成形が行われ2色成形品を得る(図14C)。
【0074】
このように、2つの接着層34−1,34−2がある転写層80を使用して成形を行うことで、2次成形層と1次成形層との接着強度が向上する。
【0075】
なお、第6の実施形態においても他の実施形態と同様に、加飾層や導電配線層は1層であってもよいし、2層以上であってもよい。また、成形品に電気的な機能を付与しない場合には、導電配線層32を省略してもよい。
【0076】
<7.第7の実施形態>
次に、第7の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2次成形を行った場合を説明する。本例は、第5の実施形態に係るインモールド転写箔と同様の層構成とした上で、第1の接着層34−1を、他の層よりもはみ出した外形形状としたものである。
【0077】
本例は、1次成形層10が不透明な樹脂とし、2次成形層20が透明又は半透明な樹脂である。不透明な樹脂である1次成形層10の材料と、透明又は半透明な樹脂である2次成形層20の材料は、第3の実施形態で説明したものが用いられる。
また、この第7の実施形態に係るインモールド転写箔90′を構成する各層やベースフィルムは、他の実施形態で説明した各層やベースフィルムと同じものが適用可能であり、具体的な各層の材料名,機能,膜厚は省略する。
【0078】
図15は、第7の実施形態に係るインモールド転写箔を用いて2色成形を行う場合の説明図であり、図15Aはインモールド転写箔の構造、図15Bはインモールド転写箔の転写層を1次成形樹脂に転写した状態、図15Cはさらに2次成形樹脂を成形して2色成形品にした状態を示している。
【0079】
インモールド転写箔90´は、ベースフィルム3と、該ベースフィルム3上に形成された転写層90から構成されている。転写層90は、図13に示した転写層70と同様に、ベースフィルム3側から順に第1の接着層34−1、加飾層33、導電配線層32、印刷層31、第2の接着層34−2の積層構造となっている(図15A)。1次成形により、インモールド転写箔90´の転写層90が1次成形樹脂10´に転写され(図15B)、その後、1次成形品の第1の接着層34−1の上から2次成形樹脂20´による2次成形が行われ2色成形品を得る(図15C)。
【0080】
ここで、本例では、図15Aに示すように、ベースフィルム3と接した第1の接着層34−1として、他の層31,32,33,34−2よりも外形形状を大きくし、はみ出し部34−1aを設ける。インモールド転写箔90´のその他の部分は、第5の実施形態に係るインモールド転写箔70′と同じである。
図16は、図15Aに示すインモールド転写箔90′の平面図である。図16に示すように、ベースフィルム3と接した第1の接着層34−1が、インモールド転写箔90´の周囲全てで、はみ出し部34−1aを有する。即ち、第1の接着層34−1が、加飾層33、導電配線層32、印刷層31、第2の接着層34−2の外形よりも大きくなっている。
【0081】
第1の接着層34−1の材料は、加飾層33、導電配線層32、印刷層31の材料と比較するとベースフィルムから剥がれやすいことが多い。従って第1の接着層34−1の外形から加飾層33、導電配線層32、印刷層31がはみ出さないようにすれば、転写層90がベースフィルムから剥がれやすくなり、1次成形において転写不良が発生する確率が低くなる。
上記のように第1の接着層34−1にはみ出し部34−1aを設けると、印刷の位置ずれによって第1の接着層34−1の外形から加飾層33、導電配線層32、印刷層31がはみ出すのを防ぐことができ、転写不良の発生を抑制できる。
なお、図15,図16の例では、第5の実施形態に係るインモールド転写箔と同様の層構成とした上で、第1の接着層34−1を、他の層よりもはみ出した外形形状とした。これに対して、その他の構成のインモールド転写箔において、ベースフィルムと接した接着層を、同様に加飾層33や箔流れ防止用の印刷層31などの外形より大きくしてもよい。
【0082】
<8.実施例と比較例>
[第1実施形態に係る実施例]
以下、第1の実施形態に係る実施例を説明する。この実施例は、インモールド転写箔において導電配線層の2次成形層側のみに箔流れ防止用印刷層を有し、その箔流れ防止用印刷層に種々の材料を適用した例である。
【0083】
(実施例1−1)
箔流れ防止用印刷層に、ポリエステル系樹脂を適用した場合のインモールド転写箔の構造を、表1に示す。この例では箔流れ防止用印刷層の厚さは8μmである。メーカー名は、「株式会社」を省略して表記している。
【表1】

【0084】
なお、実施例1−1において、加飾層及び箔流れ防止用印刷層のインキには、次の硬化剤を15%添加して使用している。硬化剤を適切に添加することで、より靱性の高い膜にして、箔流れを防ぐ効果を高めることができる。
型番:200硬化剤
メーカー:帝国インキ製造
【0085】
(実施例1−2)
箔流れ防止用印刷層に、ポリウレタン系樹脂を適用した場合のインモールド転写箔の構造を、表2に示す。この例では箔流れ防止用印刷層の厚さは8μmである。
【表2】

【0086】
なお、実施例1−2において、加飾層及び箔流れ防止用印刷層のインキには、次の硬化剤を10%添加して使用している。
型番:JA−950
メーカー:十条ケミカル
【0087】
(実施例1−3)
箔流れ防止用印刷層に、セルロース系樹脂を適用した場合のインモールド転写箔の構造を、表3に示す。この例では箔流れ防止用印刷層の厚さは8μmである。
【表3】

【0088】
なお、実施例1−3において、加飾層及び箔流れ防止用印刷層のインキには、次の硬化剤を10%添加して使用している。
a)箔流れ防止用印刷層の硬化剤
型番:H硬化剤
メーカー:セイコーアドバンス
b)加飾層の硬化剤
型番:JA−950
メーカー:十条ケミカル
【0089】
(実施例1−4)
箔流れ防止用印刷層に、ポリイミド系樹脂を適用した場合のインモールド転写箔の構造を、表4に示す。この例では箔流れ防止用印刷層の厚さは8μmである。
【表4】

【0090】
なお、実施例1−4において、加飾層のインキには、次の硬化剤を10%添加して使用している。この例では、加飾層にのみ硬化剤を添加しているが、勿論、箔流れ防止用印刷層に添加してもよい。
型番:JA−950
メーカー:十条ケミカル
【0091】
[第2の実施形態に係る実施例]
以下、第2の実施形態に係る実施例を説明する。これらの実施例は、インモールド転写箔において導電配線層の1次成形層側と2次成形層側の両側に箔流れ防止用印刷層を有し、その箔流れ防止用印刷層に種々の材料を適用した例である。
【0092】
(実施例2−1)
箔流れ防止用印刷層に、ポリエステル系樹脂を適用した場合のインモールド転写箔の構造を、表5に示す。この例では箔流れ防止用印刷層の厚さは8μmである。
【表5】

【0093】
なお、実施例2−1において、加飾層及び箔流れ防止用印刷層のインキには、次の硬化剤を15%添加して使用している。
型番:200硬化剤
メーカー:帝国インキ製造
【0094】
(実施例2−2)
箔流れ防止用印刷層に、ポリウレタン系樹脂を適用した場合のインモールド転写箔の構造を、表6に示す。この例では箔流れ防止用印刷層の厚さは8μmである。
【表6】

【0095】
なお、実施例2−2において、加飾層及び箔流れ防止用印刷層のインキには、次の硬化剤を10%添加して使用している。
型番:JA−950
メーカー:十条ケミカル
【0096】
(実施例2−3)
箔流れ防止用印刷層に、セルロース系樹脂を適用した場合のインモールド転写箔の構造を、表7に示す。この例では箔流れ防止用印刷層の厚さは8μmである。
【表7】

【0097】
なお、実施例2−3において、加飾層及び箔流れ防止用印刷層のインキには、次の硬化剤を10%添加して使用している。
a)箔流れ防止用印刷層の硬化剤
型番:H硬化剤
メーカー:セイコーアドバンス
b)加飾層の硬化剤
型番:JA−950
メーカー:十条ケミカル
【0098】
(実施例2−4)
箔流れ防止用印刷層に、ポリイミド系樹脂を適用した場合のインモールド転写箔の構造を、表8に示す。この例では箔流れ防止用印刷層の厚さは8μmである。
【表8】

【0099】
なお、実施例2−4において、加飾層のインキには、次の硬化剤を10%添加して使用している。この例では、加飾層にのみ硬化剤を添加しているが、勿論、箔流れ防止用印刷層に添加してもよい。
型番:JA−950
メーカー:十条ケミカル
【0100】
[実施例のインモールド転写箔の作成条件]
(1.印刷条件)
導電配線層は250メッシュのポリエステルメッシュを使用したスクリーンマスクを用い、その他の層は200メッシュのポリエステルメッシュを使用したスクリーンマスクを用いて、スキージ角度70度、スキージスピード25mm/秒で各層を印刷した。
(2.乾燥・硬化のための加熱処理条件)
2−1.実施例1−4,2−4以外の場合
各層を印刷した後に90℃で10分間乾燥して、積層していき、全部の層を積層した後に140℃で60分加熱処理を行った。
2−2.実施例1−4,2−4の場合
各層を印刷した後に、箔流れ防止用印刷層は140℃で10分間、他の層は90℃で10分間乾燥して、積層していき、全部の層を積層した後に150℃で60分加熱処理を行った。
【0101】
[実施例と比較例の比較評価]
次に、第1の実施形態に係る実施例1−1〜1−4及び第2の実施形態に係る実施例2−1〜2−4と、比較例を比較評価した実験の結果を説明する。まず、比較例として、箔流れ防止用印刷層の材料もしくは厚さが本開示の条件を満たさない2例のインモールド転写箔を説明する。
【0102】
(比較例1)
箔流れ防止用印刷層に、本開示で指定する樹脂以外の樹脂(エポキシ系樹脂)を適用した場合のインモールド転写箔の構造を、表9に示す。
【表9】

【0103】
比較例1において、箔流れ防止用印刷層の材料はエポキシ系の紫外線硬化樹脂で、紫外線を積算光量1000ミリジュールとなるように照射して硬化させた。
加飾層のインキには、次の硬化剤を10%添加して使用している。
型番:JA−950
メーカー:十条ケミカル
【0104】
(比較例2)
箔流れ防止用印刷層に、本開示で指定する樹脂(ポリウレタン系樹脂)を適用したが、厚さが不足した場合のインモールド転写箔の構造を、表10に示す。この例では箔流れ防止用印刷層の厚さは1μmである。
【表10】

【0105】
比較例2において、加飾層及び箔流れ防止用印刷層のインキには、次の硬化剤を10%添加して使用している。
型番:JA−950
メーカー:十条ケミカル
【0106】
(比較実験の概要)
2次成形層の成形条件のピーク圧力と充填時間を変えて、実施例と比較例のインモールド転写箔の転写層をどれだけ過酷な成形条件に耐えられるかを比較した。図17A,B,Cはそれぞれ、各実施例の1次成形層の外形、2次成形層の外形、2色成形品の断面を示す図である。図18は、実施例の転写層の導電配線の形状と2次成形層との位置関係を示した平面図である。
【0107】
(比較実験で作製した2色成形品の概要)
1)透明アクリル樹脂を用いて成形した1次成形層に実施例と比較例のインモールド転写箔の転写層を転写し、さらに黒いABS樹脂を用いて2次成形層を成形して、図17A,図17B,図17Cのような2色成形品を作製する実験を行った。図17Aは1次成形層の外形を示す図である。図17Bは2次成形層の外形を示す図である。図17Cは2色成形品の断面(図17BのBーBの位置の断面)を示す図である。
2)転写層の導電配線層は、図18のような形状とし、2次成形後に導電配線21が断線したかどうかをテスタで検査した。
3)導電配線以外の層は、図11Aの1次成形層10の形状を覆うようなベタ印刷層とし、2次成形後に箔流れが発生したかどうかを目視で評価した。
【0108】
(2次成形の成形条件設定の詳細)
図19のような2次成形時の圧力プロファイルのピーク圧力と充填時間を変えて成形を行い、(1)箔流れが発生するか、(2)導電配線層の断線が発生するかを評価した。
・実験1
2次成形時の充填時間を0.3秒に固定して、ピーク圧力をどこまで上げると箔流れ・断線が発生するかを調べた。
・実験2
2次成形時のピーク圧力を150MPaに固定して、充填時間をどれだけ長くすると箔流れ・断線が発生するかを調べた。
【0109】
(比較実験の結果)
・実験1の結果
箔流れが発生したピーク圧力は表11の通りで、すなわちどの実施例でも150MPa以下では箔流れも断線も発生しなかった。これに対して比較例では100MPa以下で箔
流れ・断線が発生した。
【表11】

【0110】
・実験2の結果
箔流れが発生した充填時間は表12の通りで、すなわちどの実施例でも充填時間1秒以下では箔流れも断線も発生しなかった。これに対して比較例では0.4秒以下で箔流れ・断線が発生した。
【0111】
導電配線層の上下両側に箔流れ防止用印刷層が形成されたインモールド転写箔を用いて2次成形を実施した場合でも、同様の結果が得られた。
【表12】

【0112】
(比較例で発生した箔流れの写真と、実施例との比較)
図20A,Bは箔流れが生じた成形品(比較例1,2)、図20Cは本開示のインモールド転写箔を用いた場合の成形品の例を示す説明図である。
図20A〜Cは図1と同じ向きに2色成形品を見た写真で、下側に2次成形樹脂を充填するためのゲートがあり、図の下から上に向かって2次成形樹脂が流れる。写真(図20C)のように1次成形層10側から見ると、もし箔流れが全く無い場合には、透明アクリル樹脂と透明な接着層を通して、白い加飾層33だけが見える。しかしながら、図20A,Bに示す箔流れが発生した比較例1,2においては、加飾層33などが2次成形樹脂に流されて破損し、その下にある黒い2次成形樹脂20b1〜20b4が見える。これに対して箔流れが発生しなかった図20Cの実施例の2色成形品においては白い加飾層33だけが見える。
【0113】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
1次成形層と、
加飾層、ポリエステル又はポリウレタン又はポリイミド又はセルロースのいずれか、もしくはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる混合物を主成分とする箔流れ防止用印刷層を少なくとも有し、前記1次成形層側から近い順に前記加飾層、前記箔流れ防止用印刷層であり、前記1次成形層の表面に転写された転写層と、
前記転写層の前記箔流れ防止用印刷層側に形成された2次成形層と、
を有する成形品。
(2)
前記箔流れ防止用印刷層の膜厚が2μm〜40μmである
前記(1)に記載の成形品。
(3)
前記1次成形層に対する距離が前記加飾層より遠く前記箔流れ防止用印刷層より近い導電配線層、をさらに有する
前記(1)又は(2)に記載の成形品。
(4)
前記箔流れ防止用印刷層が、前記導電配線層の上下両側に形成されている
前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の成形品。
(5)
前記箔流れ防止用印刷層の膜厚が5μm〜20μmである
前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の成形品。
(6)
前記転写層の前記2次成形層側に形成された接着層、をさらに有し、
前記接着層は、前記転写層の前記加飾層、前記箔流れ防止用印刷層の外形よりも大きくした
前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の成形品。
(7)
1次成形層と、加飾層、ポリエステル又はポリウレタン又はポリイミド又はセルロースのいずれか、もしくはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる混合物を主成分とする箔流れ防止用印刷層を少なくとも有し、
前記1次成形層側から近い順に前記箔流れ防止用印刷層、前記加飾層であり、
前記1次成形層の表面に転写された転写層と、前記転写層の前記加飾層側に形成された2次成形層と、
を有する成形品。
(8)
前記箔流れ防止用印刷層の膜厚が2μm〜40μmである
前記(7)に記載の成形品。
(9)
前記1次成形層に対する距離が前記箔流れ防止用印刷層より遠く前記加飾層より近い導電配線層、をさらに有する
前記(7)又は(8)に記載の成形品。
(10)
前記箔流れ防止用印刷層が、前記導電配線層の上下両側に形成されている
前記(7)〜(9)のいずれか1項に記載の成形品。
(11)
前記箔流れ防止用印刷層の膜厚が5μm〜20μmである
前記(7)〜(10)のいずれか1項に記載の成形品。
(12)
前記転写層の前記2次成形層側に形成された接着層、をさらに有し、
前記接着層は、前記転写層の前記加飾層、前記箔流れ防止用印刷層の外形よりも大きくした
前記(7)〜(11)のいずれか1項に記載の成形品。
(13)
離型性を有するベースフィルムと、
前記ベースフィルム上に、ポリエステル又はポリウレタン又はポリイミド又はセルロースのいずれか、もしくはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる混合物を主成分とする箔流れ防止用印刷層、加飾層、1次成形層が接着される接着層を少なくとも有し、前記ベースフィルム側から近い順に前記箔流れ防止用印刷層、前記加飾層、前記接着層である転写層と、を備える
インモールド転写箔。
(14)
離型性を有するベースフィルムと、
前記ベースフィルム上に、ポリエステル又はポリウレタン又はポリイミド又はセルロースのいずれか、もしくはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる混合物を主成分とする箔流れ防止用印刷層、加飾層、1次成形層が接着される接着層を少なくとも有し、前記ベースフィルム側から近い順に前記加飾層、箔流れ防止用印刷層、前記接着層である転写層と、を備えるインモールド転写箔。
(15)
前記転写層の前記ベースフィルム側に形成された接着層、をさらに有し、
前記接着層は、前記転写層の前記加飾層、前記箔流れ防止用印刷層の外形よりも大きくした
前記(13)又は(14)に記載のインモールド転写箔。
【0114】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、応用例を取り得ることは勿論である。すなわち、上述した各実施形態の例は、本開示の好適な具体例であるため、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本開示の技術範囲は、各説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。例えば、以上の説明で挙げる使用材料とその使用量、処理時間、処理順序および各パラメータの数値的条件等は好適例に過ぎず、また説明に用いた各図における寸法、形状および配置関係も概略的なものである。
また、例えば箔流れ防止用印刷層を加飾層として利用してもよい。
【符号の説明】
【0115】
3…ベースフィルム、5…窓部、10…1次成形層、10´…1次成形樹脂、20…2次成形層、20´…2次成形樹脂、30…転写層、30´…インモールド転写箔、31,31−1,31−2…印刷層(箔流れ防止用印刷層)、32…導電配線層、33…加飾層、34,34−1,34−2…接着層、34−1a…接着層のはみ出し部、40,50,60,70,80,90…転写層、40´,50´,60´,70´,80´,90´…インモールド転写箔、51…キャビティプレート、51a…キャビティ、51b…ランナー、51c…ゲート、52…第1のコアプレート、52a…第1のコア、53…第2のコアプレート、53a…第2のコア、53b…ランナー、53c…ゲート、100…前面カバー(成形品)、100a…主面、100b…側面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次成形層と、
加飾層、ポリエステル又はポリウレタン又はポリイミド又はセルロースのいずれか、もしくはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる混合物を主成分とする箔流れ防止用印刷層を少なくとも有し、前記1次成形層側から近い順に前記加飾層、前記箔流れ防止用印刷層であり、前記1次成形層の表面に転写された転写層と、
前記転写層の前記箔流れ防止用印刷層側に形成された2次成形層と、
を有する成形品。
【請求項2】
前記箔流れ防止用印刷層の膜厚が2μm〜40μmである
請求項1に記載の成形品。
【請求項3】
前記1次成形層に対する距離が前記加飾層より遠く前記箔流れ防止用印刷層より近い導電配線層、をさらに有する
請求項2に記載の成形品。
【請求項4】
前記箔流れ防止用印刷層が、前記導電配線層の上下両側に形成されている
請求項3に記載の成形品。
【請求項5】
前記箔流れ防止用印刷層の膜厚が5μm〜20μmである
請求項2に記載の成形品。
【請求項6】
前記転写層の前記2次成形層側に形成された接着層、をさらに有し、
前記接着層は、前記転写層の前記加飾層、前記箔流れ防止用印刷層の外形よりも大きくした
請求項1に記載の成形品。
【請求項7】
1次成形層と、加飾層、ポリエステル又はポリウレタン又はポリイミド又はセルロースのいずれか、もしくはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる混合物を主成分とする箔流れ防止用印刷層を少なくとも有し、
前記1次成形層側から近い順に前記箔流れ防止用印刷層、前記加飾層であり、
前記1次成形層の表面に転写された転写層と、前記転写層の前記加飾層側に形成された2次成形層と、
を有する成形品。
【請求項8】
前記箔流れ防止用印刷層の膜厚が2μm〜40μmである
請求項7に記載の成形品。
【請求項9】
前記1次成形層に対する距離が前記箔流れ防止用印刷層より遠く前記加飾層より近い導電配線層、をさらに有する
請求項8に記載の成形品。
【請求項10】
前記箔流れ防止用印刷層が、前記導電配線層の上下両側に形成されている
請求項9に記載の成形品。
【請求項11】
前記箔流れ防止用印刷層の膜厚が5μm〜20μmである
請求項8に記載の成形品。
【請求項12】
前記転写層の前記2次成形層側に形成された接着層、をさらに有し、
前記接着層は、前記転写層の前記加飾層、前記箔流れ防止用印刷層の外形よりも大きくした
請求項7に記載の成形品。
【請求項13】
離型性を有するベースフィルムと、
前記ベースフィルム上に、ポリエステル又はポリウレタン又はポリイミド又はセルロースのいずれか、もしくはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる混合物を主成分とする箔流れ防止用印刷層、加飾層、1次成形層が接着される接着層を少なくとも有し、前記ベースフィルム側から近い順に前記箔流れ防止用印刷層、前記加飾層、前記接着層である転写層と、を備える
インモールド転写箔。
【請求項14】
離型性を有するベースフィルムと、
前記ベースフィルム上に、ポリエステル又はポリウレタン又はポリイミド又はセルロースのいずれか、もしくはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる混合物を主成分とする箔流れ防止用印刷層、加飾層、1次成形層が接着される接着層を少なくとも有し、前記ベースフィルム側から近い順に前記加飾層、箔流れ防止用印刷層、前記接着層である転写層と、を備えるインモールド転写箔。
【請求項15】
前記転写層の前記ベースフィルム側に形成された接着層、をさらに有し、
前記接着層は、前記転写層の前記加飾層、前記箔流れ防止用印刷層の外形よりも大きくした
請求項13記載のインモールド転写箔。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−28153(P2013−28153A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98692(P2012−98692)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】