説明

成形品集積装置

【課題】成形品の落下時の衝撃を和らげることで、成形品に傷がつくことを防止できる成形品集積装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態に係る成形品集積装置1は、筒型布状部材10、駆動装置20、エア吹き出し装置30を備えている。筒型布状部材10が下降する際に、エア吹き出し装置30により筒型布状部材10の側面にエアを吹き付けることで、筒型布状部材10は、側面が内側に折り畳まれて受け部が形成された待機状態となる。落下してきた成形品60は、筒型布状部材10内の受け部に着地し、その後、駆動装置20により筒型布状部材10が上昇すると、筒型布状部材10の下端が開口され、成形品60は、筒型布状部材10の下方に落下して集積される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品を集積するための成形品集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成型機等によって成型・排出されたプラスチック成型品等の小型成形品は、そのまま自然落下によりストックケース(集積箱)に貯められることが多かった。また、下記特許文献1には、成形部品を空気搬送によって搬送する際に、成形部品が壁面等に衝突して破損したり変形したりするのを防止するための搬送集積装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−7150号公報
【0004】
この特許文献1には、空気搬送流路の出口を上方に向けることにより、成形部品をストック室に自然落下させ、部品の破損や変形を防止する構成が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、自然落下により成形品を集積箱にストックする場合、既にストックされている部品に自然落下してきた成形品が衝突する際に傷がついたりするといった問題があった。このため、傷がつきやすい材質の小型精密部品等の場合には、成型機等から作業者が手で部品を取り出す場合もあり、作業性が低下するといった問題も出ている。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、成形品の落下時の衝撃を和らげることで、成形品に傷がつくことを防止できる成形品集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る成形品集積装置は、成形品を集積するための成形品集積装置であって、成形品が落下してくる位置に配置される、上下端が開口した筒型部材と、前記筒型部材を上下往復動させるための駆動手段と、前記筒型部材の側面にエアを吹き付けるためのエア吹き出し手段と、前記駆動手段および前記エア吹き出し手段を制御するための制御手段と、を備え、前記筒型部材が下降する際に、前記エア吹き出し手段により前記筒型部材の側面にエアを吹き付けるように前記制御手段が制御することで、前記筒型部材が折り畳まれて落下してくる成形品の受け部が形成された待機状態となることを特徴とする。
さらに、本発明に係る成形品集積装置は、前記制御手段が、前記待機状態の前記筒型部材内に前記成形品が落下して前記受け部に着地した後、前記駆動手段により前記筒型部材を上昇させることで、前記成形品を前記筒型部材の下方に載置することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る成形品集積方法は、成形品を集積するための成形品集積方法であって、側面にエアを吹き付けながら筒型部材を下降させることで、前記筒型部材を折り畳まれた待機状態とする下降工程と、前記待機状態にある筒型部材の上端開口部内に成形品を落下させる落下工程と、前記筒型部材を上昇させることで、前記筒型部材の下端開口を開放し、前記成形品を前記筒型部材の下方へ載置する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る成形品集積装置によれば、成形品の落下時の衝撃を和らげることができ、成形品同士の衝突等によって成形品に傷がついたり破損したりするのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る成形品集積装置の斜視図である。同図に示すように、成形品集積装置1は、筒型部材10、駆動装置20、エア吹き出し装置30を備えている。
【0011】
筒型部材10は、例えば、断面50cm角の正方形、高さ100cmの角筒形状をしており、上下端が開口した綿製の筒型布11と、筒型布11の上側開口端に沿って設けられ、上端を正方形に開口して保持すると共に駆動装置への連結部材として作用する開口枠部材12とを備えている。
【0012】
駆動装置20は、筒型部材10を上下方向に往復動させるための装置であり、エアシリンダ21、被駆動部材22、固定棒25、エアコンプレッサ26、制御回路27を備えている。ここで、固定棒25、エアコンプレッサ26および制御回路27は、エア吹き出し装置30と共用である。
【0013】
エアシリンダ21は、固定棒25の所定の高さに固定されており、エアコンプレッサ26から送られてくる圧縮空気を駆動源として、制御回路27の制御に従って被駆動部材22を上下方向へ往復動させる。被駆動部材22には、開口枠部材12が連結固定されており、被駆動部材22が上下動すると、筒型部材10の上端部が一緒に上下動する。
【0014】
エア吹き出し装置30は、筒型部材10の側面にエアを吹き付けるための装置であり、エアノズル31、固定棒25、エアコンプレッサ26、制御回路27を備えている。エアノズル31は、固定棒25の所定の高さに配置されており、エアコンプレッサ26から送られてくる圧縮空気を利用して、制御回路27の制御に従って、所定のタイミングで所定の時間、吹き出し口から筒型部材10に向けてエアを吹き付ける。
【0015】
以上、成形品集積装置1の構成について説明したが、続いて、成形品集積装置1の設置状態について説明する。図2は、成形品集積装置1の設置状況を示す図である。同図に示すように、成形品集積装置1は、成型機50から成形品60が落下してくる位置に配置される。本実施形態においては、成型機50から排出された成形品60は、シューター51の傾斜した上面に自然落下した後、傾斜面を転がりながらシューター51の側方(図中右側)へと落下していく。
【0016】
よって、成形品集積装置1は、シューター51に隣接して、シューター51から落下してくる成形品60が、上端開口から筒型部材10の内部に受け入れられるような位置に配置される。また、筒型部材10の下方にはストックケース61が配置され、この中に成形品集積装置1を通過した成形品60が順次載置されながら集積されていく。ここで、図2に一点鎖線で示すように、成型機50と成形品集積装置1の制御回路27とは、信号線でつながれており、成型機50から制御回路27へと、成型機50が成形品60を排出したことを示す信号を送信可能に構成されている。
【0017】
次に、図3〜図7を参照しながら、成形品集積装置1の動作サイクルについて詳細に説明する。図3は、成形品集積装置1の待機状態を示す図、図4は、筒型部材10の内部に成形品60が落下している状態を示す図、図5は、筒型部材10が上昇している状態を示す図、図6は、筒型部材10が最上部まで上昇した状態を示す図、図7は、筒型部材10が下降している状態を示す図である。
【0018】
まず、図3に示す待機状態では、筒型部材10は、被駆動部材22と共に下降した状態である。また、後述するように、筒型部材10の筒型布11は、その側面が内側に折り曲げられた状態で畳まれており、筒型部材10の内部は成形品60がそのまま通過できないように、成形品60の受け部が形成された状態となっている。
【0019】
続いて、図4に示すように、成型機50から成形品60が排出されると、成形品60は、まずシューター51上に落下した後に、その傾斜した上面を転がり、開口枠部材12によって広げられている筒型布11の上側開口部内へと落下する。この落下工程においては、筒型布11は側面が内側に折り込まれた待機状態となっており、筒型部材10の上側開口部内へと落下した成形品60は、そのまま筒型部材10内を通過して下方へ落下するのではなく、内側へ折り込まれた筒型布11の受け部に着地することになる。
【0020】
このように、新たに落下してくる成形品60は、既にストックケース内に集積されている成形品60に直接衝突するのではなく、筒型布11の受け部に着地することになるので、この筒型布が緩衝材として作用し、成形品同士の直接衝突を回避できる。ここで、成形品60を排出する際に、成型機50は、成形品60を排出したことを示す排出信号を制御回路27へと送信する。
【0021】
続いて、図5においては、制御回路27の制御により、エアシリンダ21が被駆動部材22を駆動し、筒型部材10を上昇させる。この上昇工程は、制御回路27が成型機50からの排出信号を受信してから、所定の時間経過後(例えば、20秒経過後)に行われるように、制御回路27においてタイマー設定されている。このように、成型機50から成形品60が排出されてから所定の時間経過後であれば、成形品60が確実に筒型部材10内の受け部に着地した状態となっている。もちろん、この時間は適宜変更可能であり、成型機50からの成形品排出周期および駆動装置20の往復動周期等を考慮して、所定の時間に設定すれば良い。
【0022】
上昇行程において筒型部材10が上昇すると、折り込まれていた筒型布11が筒型に伸びる、すなわち、受け部が開放されるため、筒型部材10の上下端が開通し、筒型部材10の下端が開口される。よって、受け部に載置されていた成形品60は、そのまま下方へ降ろされ、ストックケース61内に載置されることになる。このとき、ストックケース61内に既に成形品60が集積されていた場合には、新たに集積される成形品60は、既に集積されている成形品60と接触することになるが、落下距離が短く、接触する際の落下速度が非常に遅いため、成形品60同士の接触により傷がついたり破損したりするといったことが生じない。
【0023】
続いて、図6に示すように、筒型部材10がエアシリンダ21の上側に達すると、制御回路27の制御により、エアシリンダ21への圧縮空気の供給が停止され、筒型部材10の下降、すなわち下降工程が開始される。
【0024】
筒型部材10の下降が開始すると、図7に示すように、制御回路27の制御により、エア吹き出し装置30のエアノズル31から、エアが筒型部材10の側面へと吹き付けられる。本実施形態における筒型部材10の下降時間は約1秒であり、エアノズル31からのエア吹き付けも1秒程度行われる。
【0025】
エアが吹き付けられた筒型部材10の筒型布11の側面は、図7に示すように、内側に押されて折り曲げられることになる。このとき、筒型部材10は下降を続けているので、筒型部材10がエアシリンダ21の下端まで下降した際には、図3に示すように、筒型部材10は、その側面が内側に折り畳まれて、受け部が形成された待機状態となる。
【0026】
この状態では、筒型部材10の上端開口から下端開口までは閉ざされた状態となり、上述したように、上端開口から筒型部材10内に落下した成形品60は、折り畳まれた筒型布11の受け部に着地することになる。
【0027】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態によれば、成形品の落下時の衝撃を和らげることができ、成形品同士の衝突等によって成形品に傷がついたり破損したりするのを防止することができる。また、これにより、作業者が手で成形品を取り出す必要もなくなり、作業性を向上させることができると共に、夜間の無人自動成形等も可能となる。
【0028】
本発明の実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、筒型部材10の材質を綿製としているが、成形品が落下・着地する際の衝撃を和らげることができると共に、エア吹き付けにより折り曲げ可能なものであれば、適宜他の材質の布状部材を用いることができる。例えば、合成繊維、天然繊維および合成樹脂フィルム等を用いることができる。このとき、筒型部材へ吹き付けるエアの圧力は、材質により適宜変更されることになる。
【0029】
また、本実施形態においては、成型機からの射出成型された成型品(成形品)を扱う場合を例に挙げて説明したが、本実施形態に係る成形品集積装置は、成形品同士の衝突により傷がつくおそれのある成形品であれば適宜適用可能であり、回路基板や組立部品等の成形品にも適用できる。
【0030】
また、成形品集積装置を構成する部材のサイズ、形状等も適宜変更可能であり、例えば、筒型部材は、角筒型でなく円筒型でも良い。また、筒型部材の設置位置や高さ、往復動距離等も適宜調整可能であり、様々な状況の成形品の集積に対応可能である。
【0031】
また、本実施形態では、成型機が成形品を排出したことを、成型機から成形品集積装置へ信号により伝達しているが、成形品集積装置に成形品の落下を検知するセンサを設置し、その出力に基づいて動作するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本実施形態に係る成形品集積装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る成形品集積装置の設置状況を示す一部断面図を含む正面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る成形品集積装置の動作サイクルを説明するための一部断面図を含む正面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る成形品集積装置の動作サイクルを説明するための一部断面図を含む正面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る成形品集積装置の動作サイクルを説明するための一部断面図を含む正面図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る成形品集積装置の動作サイクルを説明するための一部断面図を含む正面図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る成形品集積装置の動作サイクルを説明するための一部断面図を含む正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 成形品集積装置
10 筒型部材
20 駆動装置
21 エアシリンダ
26 エアコンプレッサ
27 制御回路
30 エア吹き出し装置
31 エアノズル
50 成型機
60 成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品を集積するための成形品集積装置であって、
成形品が落下してくる位置に配置される、上下端が開口した筒型部材と、
前記筒型部材を上下往復動させるための駆動手段と、
前記筒型部材の側面にエアを吹き付けるためのエア吹き出し手段と、
前記駆動手段および前記エア吹き出し手段を制御するための制御手段と、を備え、
前記筒型部材が下降する際に、前記エア吹き出し手段により前記筒型部材の側面にエアを吹き付けるように前記制御手段が制御することで、前記筒型部材が折り畳まれて落下してくる成形品の受け部が形成された待機状態となることを特徴とする成形品集積装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記待機状態の前記筒型部材内に前記成形品が落下して前記受け部に着地した後、前記駆動手段により前記筒型部材を上昇させることで、前記成形品を前記筒型部材の下方に載置することを特徴とする請求項1に記載の成形品集積装置。
【請求項3】
成形品を集積するための成形品集積方法であって、
側面にエアを吹き付けながら筒型部材を下降させることで、前記筒型部材を折り畳まれた待機状態とする下降工程と、
前記待機状態にある筒型部材の上端開口部内に成形品を落下させる落下工程と、
前記筒型部材を上昇させることで、前記筒型部材の下端開口を開放し、前記成形品を前記筒型部材の下方へ載置する上昇工程と、を含むことを特徴とする成形品集積方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−137785(P2008−137785A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326675(P2006−326675)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(396001016)株式会社サンケミ (1)
【Fターム(参考)】