説明

成形部材の製造方法およびこの種の成形部材

【課題】使用されたポリアミドの溶融液剛性によって制限されることなく生産可能な大きな幾何学的形状物の経済的な製造を可能にする方法を提供する。
【解決手段】ポリアミド成形部材を少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物と縮合させながら成形部材を製造する方法の場合に、a)ポリアミド成形部材を準備し、b)ポリアミド成形部材と少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物との混合物を製造し、c)この混合物を場合によっては貯蔵しおよび/または運搬し、d)引続きこの混合物を成形部材に加工し、この場合に、この工程で初めて縮合を行ない、この場合には、さらに、この成形部材は、少なくとも30mmの外径および少なくとも1mmの肉厚を有する中空体または中空異形成形材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドを加工する際に溶融液剛性を上昇させながら成形部材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドは、主鎖中に基−CO−NH−を含有する高分子である。このポリアミドは、それぞれ2個の同じ反応性基、例えば−NHまたは−COOHを含有する2個の異なる二官能性モノマー構成単位から得ることができるかまたはそれぞれ1個のアミノ基およびカルボキシル基を有することができるかまたはそれぞれ1個のアミノ基およびカルボキシル基から形成することができる単一の二官能性構成単位から得ることができる。ポリアミドは、例えばジアミンとジカルボン酸との重縮合反応またはアミノカルボン酸の重縮合反応によって製造されるか、或いは、ラクタムの開環重合によって製造される。
【0003】
一般に、ポリアミドは、高い溶融液剛性を必要とする使用のために、2工程法により製造される。この場合には、最初に、例えばKunststoff-Handbuch, 第3/4巻 Technische Thermoplaste, Polyamide; 編者Becker, Braun; Carl Hanser Verlag, 1998に記載されているように、比較的低粘稠なプレポリマーの製造は圧力反応器中で行なわれる。こうして第1の反応工程で得られる前駆生成物は、引続き残留する末端基の反応、例えば固体相後縮合によって分子量の必要とされる最終値に上昇される。得られた高分子量のポリアミドには、通常、添加剤、例えば導電性添加剤、安定剤、可塑剤、核形成剤、加工助剤、着色剤等が添加され;さらに、こうして得られた成形材料は、高められた溶融液剛性が必要とされる、なかんずく吹込成形の場合または熱成形の場合の管状押出において使用される。しかしながら、必要とされる水準への分子量の上昇には、長い反応時間または滞留時間が必要とされ、したがってこの場合に付加的な処理費用が生じることは、欠点である。
【0004】
WO 00/66650には、ポリアミドの縮合のために、少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物を使用することが記載されており、この場合、性質は、確実に安定的に調節されることができ、ゲル形成または不均一性を生じることなく、縮合された材料の多重加工を行なう方法が開示されている。前記原理に基づく、ポリアミドの場合の分子量を調節するための添加剤は、Brueggemann KG社からBrueggolen M1251の名称で販売されている。一次的な使用は、押出成形材料に再使用される、PA6またはPA66からなるリサイクル品(Recyclat)のための粘度調節の範囲内にある。添加剤Brueggolen M1251は、酸末端基を有するPA6中の低粘稠なポリカーボネートのマスターバッチ、例えばLexan 141である。分子量の形成は、縮合することができる材料中に含有されているアミノ末端基とポリカーボネートとの反応に由来する。
【0005】
前記方法の効果は、WO 00/66650中でPA6およびPA66の縮合の実施例に示されており、この場合相応する重縮合体は、部分的に純粋な形で使用されるが、しかし、部分的に添加剤、例えばガラス繊維およびモンタナート(Montanat)も含有されている。
【0006】
しかし、大きな寸法の幾何学的形状体(管、異形成形材、他の中空体)の場合には、なかんずく重力に制限されて金型からの退出後に多種多様な困難を生じうる。この場合、退出する溶融管を浸漬することは、溶融粘度が低いことの場合による証拠である。重力は、肉厚のずれをまねき、したがって中空体の壁厚の不規則な分布が生じうる。その上、異形成形材の押出の場合には、達成しうる幾何学的寸法および幾何学的形状は、著しく制限されている。前記の好ましい幾何学的形状物を技術的、経済的に質量を維持しながら確実に製造しうるためには、従来のポリアミドの溶融液剛性では不十分である。更に、低い溶融液剛性は、変動の多い不安定な押出経過曲線をまねき、この押出経過曲線は、溶融ストランドが変動しながら較正単位装置中に侵入することによって表わすことができる。これは、生産の故障をまねきうる。これとは異なり、溶融管がノズルからの退去後に高い溶融液剛性を有する場合には、この溶融管は、よりいっそう安定的に走行され、外部の押出の影響に対して敏感でなくなる。垂直方向の押出の場合(例えば、プレフォーム)、押し出された溶融管は、捩れ傾向を有していてはならず、それによって肉厚は、減少されるであろうし、また、溶融管は、引き裂かれることがないであろう。前記の押出技術によって生産可能な幾何学的形状物の大きさは、現在、使用されたポリアミドの溶融液剛性によって制限されている。この場合、大きな寸法の幾何学的形状物を押出しうるためには、まさに高い溶融液剛性が必要とされる。
【0007】
しかし、高い溶融液剛性を有するポリアミド成形材料を押出すことは、粘度が高いために困難である。このために、機械装置中に極めて高い圧力構造が必要とされるが;それにも拘わらず、経済的に重要な押出速度の場合には、大きな寸法の幾何学的形状物を製造することもできない。それというのも、既に少ない通過量の場合には、極めて高い電動機負荷が存在するからである。
【特許文献1】WO 00/66650
【非特許文献1】Kunststoff-Handbuch, 第3/4巻 Technische Thermoplaste, Polyamide; 編者Becker, Braun; Carl Hanser Verlag, 1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、前記欠点を回避し、大きな幾何学的形状物の経済的な製造を可能にする方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、
a)ポリアミド成形部材を準備し、
b)ポリアミド成形部材と少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物との混合物を製造し、
c)この混合物を場合によっては貯蔵しおよび/または運搬し、
d)引続きこの混合物を成形部材に加工し、この場合に、この工程で初めて縮合を行ない、この場合には、さらに、この成形部材は、少なくとも30mm、有利に少なくとも60mm、殊に有利に少なくとも110mmの外径および少なくとも1mm、有利に少なくとも3mm、特に有利に少なくとも6mm、殊に有利に少なくとも10mmの肉厚を有する中空体または中空異形成形材であることを特徴とする、ポリアミド成形部材を少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物と縮合させながら成形部材を製造する方法によって解決された
意外なことに、前記の添加形式で加工中に溶融液剛性の顕著な上昇が生じ、同時に電動機負荷が生じることが確認された。それによって、高い溶融粘度にも拘わらず、加工の際には、高い通過量を達成することができ、それによって製造法の経済性の改善が生じる。
【0010】
本発明の範囲内で適したポリアミドアミドは、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミンまたはジカルボン酸を基礎とする。更に、このポリアミドは、例えばトリカルボン酸、トリアミンまたはポリエチレンイミンに由来する、分枝鎖状で作用する構成成分を含有していてよい。適当なタイプには、それぞれホモポリマーまたはコポリマーとして、例えばPA6、PA46、PA66、PA610、PA66/6、PA6/6T、PA66/6Tならびに殊にPA612、PA1010、PA1012、PA1212、PA613、PA1014、PA11、PA12または透明なポリアミドである。透明なポリアミドは、例えば次のものがこれに該当する:
− テレフタル酸と2.2.4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび2.4.4−トリメチルヘキサメチレンジアミンからなる異性体混合物とのポリアミド、
− イソフタル酸と1.6−ヘキサメチレンジアミンとからなるポリアミド、
− テレフタル酸/イソフタル酸と1.6−ヘキサメチレンジアミンとからなる混合物からのコポリアミド、
− イソフタル酸と3.3′−ジメチル−4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとラウリンラクタムまたはカプロラクタムとからなるコポリアミド、
− 1.12−ドデカン二酸と3.3′−ジメチル−4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンと場合によってはラウリンラクタムまたはカプロラクタムとからなる(コ)ポリアミド、
− イソフタル酸と4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとラウリンラクタムまたはカプロラクタムとからなるコポリアミド、
− 1.12−ドデカン二酸と4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとからなるポリアミド、
− テレフタル酸/イソフタル酸混合物と3.3′−ジメチル−4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとラウリンラクタムとからなるコポリアミド。
【0011】
更に、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン、ジカルボン酸およびポリエーテルジアミンおよび/またはポリエーテルジオールを基礎とするポリエーテルアミドが適当である。
【0012】
有利に出発化合物は、5000超、殊に8000超の分子量Mを有する。この場合には、末端基が少なくとも部分的にアミノ基として存在するポリアミドが使用される。例えば、アミノ末端基として、末端基の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%が存在する。ジアミンまたはポリアミンを調節剤として使用しながらよりいっそう高いアミノ末端基含量を有するポリアミドの製造は、公知技術水準である。本願の場合には、ポリアミドの製造の際に有利に4〜44個のC原子を有する脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンまたは芳香脂肪族ジアミンは、調節剤として使用される。適当なジアミンは、例えばヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2.2.4−トリメチルヘキサメチレンジアミンまたは2.4.4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1.4−ジアミノシクロヘキサン、1.4−ジメチルアミノシクロヘキサンまたは1.3−ジメチルアミノシクロヘキサン、4.4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4.4′−ジアミノ−3.3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4.4′−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、イソホロンジアミン、メタキシリリデンジアミンまたはパラキシリリデンジアミンである。
【0013】
更に、好ましい実施態様において、ポリアミドを製造する場合には、ポリアミンが調節剤および同時に分枝化剤として使用される。このための例は、ジエチレントリアミン、1.5−ジアミノ−3−(β−アミノエチル)ペンタン、トリス(2−アミノエチル)アミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−N′,N′−ビス[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]−エチル]−1,2−エタンジアミン、デンドリマーならびにポリエチレンイミン、殊にアジリジンを重合させることによって得ることができ(Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, 第E20巻,第1482〜1487頁, Georg-Thieme Verlag Stuttgart, 1987)かつ一般に次のアミノ基分布:
第1アミノ基25〜46%、
第2アミノ基30〜45%および
第3アミノ基16〜40%
を有する分枝鎖状ポリエチレンイミンである。
【0014】
本発明による方法において、少なくとも2個のカーボネート単位を有する少なくとも1つの化合物は、使用されたポリアミドに対する比で計算された、0.005〜10質量%の量比で使用される。有利に、この比は、0.01〜5.0質量%の範囲内、特に有利に0.05〜3質量%の範囲内にある。この場合、”カーボネート”の概念は、炭酸と殊にフェノールまたはアルコールとのエステルを意味する。
【0015】
少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物は、低分子量、オリゴマーまたはポリマーであることができる。この化合物は、完全にカーボネート単位から形成されていてもよいし、なお他の単位を有していていてもよい。この単位は、特にオリゴアミド単位またはポリアミド単位、オリゴアミドエステル単位またはポリアミドエステル単位、オリゴアミドエーテル単位またはポリアミドエーテル単位、オリゴアミドエーテルエステルアミド単位またはポリアミドエーテルエステルアミド単位、或いはオリゴアミドエーテルアミド単位またはポリアミドエーテルアミド単位である。このような化合物は、公知のオリゴマー化法または重合法によって製造されてもよいし、ポリマー類似の反応によって製造されてもよい。
【0016】
1つの好ましい実施態様において、少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物は、例えばビスフェノールAを基礎とするポリカーボネートであるか、またはこの種のポリカーボネートブロックを含有するブロックコポリマーである。
【0017】
少なくとも2個のカーボネート単位を有する、添加剤として使用される化合物をマスターバッチの形で供給することが、添加剤の正確な計量供給を可能にすることは好ましい。それというのも、よりいっそう大量が使用されるからである。その上、マスターバッチの使用によって、押出物の品質が改善されることが達成されることが判明した。マスターバッチは、マトリックス材料として有利に本発明による方法で縮合されるポリアミドを含むかまたは、それと相容性のポリアミドは、反応条件下で縮合することができるポリアミドへの同時の結合をも受けるが、しかし、非相容性のポリアミドも反応条件下で縮合することができるポリアミドへの同時の結合を受け、この事実は、相容性を生じさせる。マトリックス材料としてマスターバッチ中で使用されるポリアミドは、有利に5000超、殊に8000超の分子量Mを有する。この場合には、末端基が主にカルボン酸基として存在するポリアミドが好ましい。例えば、末端基の少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%は、酸基として存在する。
【0018】
マスターバッチ中に少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物の濃度は、特に0.15〜50質量%、特に有利に0.2〜25質量%、殊に有利に0.3〜15質量%である。このようなマスターバッチの製造は、当業者に公知の通常の方法によって行なわれる。
【0019】
少なくとも2個のカーボネート単位を有する適当な化合物ならびに適当なマスターバッチは、WO 00/66650中に詳細に記載されており、この場合この刊行物は、参考のために明細書中に記載されている。
【0020】
本発明は、製造に応じて少なくとも5ppmの燐を酸化合物の形で含有するポリアミドの場合に使用可能である。この場合、ポリアミド成形部材には、配合前または配合時にポリアミドに対して0.001〜10質量%の弱酸の塩が添加される。適当な塩は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10337707号明細書中に開示されており、この場合この刊行物は、参考のために明細書中に記載されている。
【0021】
しかし、本発明は、製造に応じて燐を酸性化合物の形で5ppm未満含有するか、または燐を全く含有しないポリアミドの場合と同様に使用可能である。実際に、この場合には、弱酸の相応する塩を添加することができるが、しかし、弱酸のの相応する塩を添加してはならない。
【0022】
本発明による方法においては、ポリアミド成形材料の製造の際に使用される通常の添加剤を使用することができる。このための詳細な例は、着色剤、難燃剤および防炎加工剤、安定剤、充填剤、耐ブロッキング性改良剤、離型剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、結晶化促進剤、静電防止剤、滑剤、加工助剤ならびにポリアミドと通常配合される他のポリマーである。
【0023】
前記添加剤の例は、次の通りである:
着色剤:二酸化チタン、鉛白、亜鉛白、リプトン(Liptone)、アンチモン白、カーボンブラック、酸化鉄黒、マンガン黒、コバルト黒、アンチモン黒、クロム酸鉛、鉛丹、亜鉛黄、亜鉛緑、カドミウム赤、コバルト青、ベルリンブルー、ウルトラマリン、マンガンバイオレット、カドミウム黄、シュバインフルト緑、モリブデンオレンジおよびモリブデン赤、クロムオレンジおよびクロム赤、酸化鉄赤、酸化クロム緑、ストロンチウム黄、モリブデン青、白亜、黄土、アンバー、緑土、焼きシエナ土、黒鉛または可溶性有機染料。
【0024】
難燃剤および防炎加工剤:三酸化アンチモン、ヘキサブロムシクロドデカン、テトラクロロビスフェノールまたはテトラブロモビスフェノールおよびハロゲン化燐酸塩、硼酸塩、クロロパラフィンならびに赤燐、さらにスズ酸塩、メラミンシアヌレートおよびその縮合生成物、例えばメラム(Melam)、メレム(Melem)、メロン(Melon)、メラミン化合物、例えばメラミンピロリン酸塩およびメラミンポリリン酸塩、アンモニウムポリホスフェート、水酸化アルミニウム、水酸化カリウムならびにハロゲンを含有しない燐有機化合物、例えばレソルシノールジフェニルホスフェートまたはホスホン酸エステル。
【0025】
安定剤:金属塩、殊に銅塩およびモリブデン塩ならびに銅錯体、亜燐酸塩、立体障害フェノール、第2アミン、UV吸収剤およびHALS安定剤。
【0026】
充填剤:ガラス繊維、ガラス玉、微粉砕ガラス繊維(Mahlglasfaser)、珪藻土、タルク、カオリン、粘土、CaF、酸化アルミニウムならびに炭素繊維。
【0027】
耐ブロッキング性改良剤および滑剤:MoS、パラフィン、脂肪アルコールならびに脂肪酸アミド。
【0028】
離型剤および加工助剤:ワックス(Montanate)、モンタン酸ロウ、モンタンエステルロウ、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、SiO、珪酸カルシウムならびにペルフルオロポリエーテル。
【0029】
可塑剤:BBSA、POBO。
【0030】
耐衝撃性改良剤:ポリブタジエン、EPM、EPDM、HDPE、アクリレートゴム。
【0031】
耐電防止剤:カーボンブラック、炭素繊維、グラファイトフィブリル(Graphitfibrille)、多価アルコール、脂肪酸エステル、アミン、酸アミド、第四アンモニウム塩。
【0032】
他のポリマー:ABS、ポリプロピレン。
【0033】
前記の添加剤は、当業者に公知の通常の量で使用されてよい。
【0034】
少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物は、それ自体またはマスターバッチとして、本発明により配合の後に初めて添加されるが、しかし、遅くとも加工中に添加される。好ましくは、加工の際に濃縮することができるポリアミドまたは濃縮することができるポリアミド成形材料は、顆粒として、少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物の顆粒または相応するマスターバッチと混合される。しかし、配合された完成ポリアミド成形材料と少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物またはマスターバッチとの顆粒混合物が製造されてもよく、引続き輸送されてもよいし、貯蔵されてもよく、その後に加工されてもよい。勿論、相応して粉末混合物を用いて実施されてもよい。重要なことは、混合物が加工の際に初めて溶融されることである。加工の際には、溶融液を徹底的に混合することが望ましい。しかし、マスターバッチは、同様に溶融液の流れとして増結された押出機を用いて加工することができるポリアミド成形材料の溶融液中に供給されてもよく、次に徹底的に混入されてよい。
【0035】
本発明により製造された成形部材は、殊に大きな直径を有する中空体または中空異形成形体、例えばガス導管、海洋用導管、供給導管、海峡用ケーブル、ガソリンスタンド用供給導管、通気用導管、空気吸い上げ管、タンク注入用接続管、貯蔵容器または燃料タンクである。この種の成形部材は、例えば吸込吹込成形(Saugblasformen)、3-D-吹込成形、チューブ挿入法(Schlaucheinlegeverfahren)およびチューブマニピュレーション法(Schlauchmanipulationsverfahren)を含めて押出法、同時押出法または吹込成形法によって製造可能である。前記方法は、公知技術水準である。
【0036】
この場合、前記中空体または中空異形成形材の壁面は、単層であってもよく、この場合には、完全に特許請求の範囲の記載により使用される形成材料からなることができるが、しかし、前記壁面は、多層であってもよく、この場合本発明により使用される成形材料は、外層、内層および/または中央層を形成することができる。別の単層または別の多層は、別のポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロポリマーを基礎とする成形材料からなるか、または金属、例えば鋼からなる。例えば、海洋用導管は、多くの場合に多層で形成されており;前記海洋用導管は、一般に該管の内側ならびに外側に対してポリマー層によって媒体から保護されている鋼構造からなる。
【0037】
以下、本発明を例示的に詳説する。試験においては、次の材料を使用した:
NH基50ミリ当量/kgおよびCOOH基9ミリ当量/kg、ηrel約2.15を有する、アミン調節されたPA12。製造に応じて、燐54.5ppmを含有する。
【0038】
NH基8ミリ当量/kgおよびCOOH基50ミリ当量/kg、ηrel約2.15を有する、酸調節されたPA12。製造に応じて、燐54.5ppmを含有する。
【0039】
Brueggolen(登録商標)M1251、低粘稠なポリカーボネートと酸末端基を有するPA6との混合物。
【0040】
Ceasit(登録商標)PC(ステアリン酸カルシウム)。
【0041】
型Werner & Pfleiderer ZSK 30の二軸押出機上で、第1表中に記載の化合物を製造した。
【実施例】
【0042】
比較例AおよびBならびに実施例1:
3つの帯域の軸およびL=25Dを有する直径50mmのReifenhaeuser社の一軸押出機上で、第2表に記載の使用物質を顆粒または顆粒混合物から出発して加工し、2.9mmの肉厚および32mmの外径を有する管として押し出した。比較例Bと実施例1とを対比させた場合には、極めて高い高分子量のポリアミドからなる管を製造するために、本発明によれば、明らかに低い電動機負荷が必要とされたことが確認される。
【0043】
化合物Bを直接使用した場合には、ηrel(分子量のための尺度として)は、剪断下での鎖分解によって最初の2.55から2.30へ減少する。本発明による方法の場合(実施例1)には、この種の鎖分解は、確認することができない。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド成形部材を少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物と縮合させながら成形部材を製造する方法において、
a)ポリアミド成形部材を準備し、
b)ポリアミド成形部材と少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物との混合物を製造し、
c)この混合物を場合によっては貯蔵しおよび/または運搬し、
d)引続きこの混合物を成形部材に加工し、この場合に、この工程で初めて縮合を行ない、この場合には、さらに、この成形部材は、少なくとも30mmの外径および少なくとも1mmの肉厚を有する中空体または中空異形成形材であることを特徴とする、ポリアミド成形部材を少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物と縮合させながら成形部材を製造する方法。
【請求項2】
ポリアミドを調節剤としてのジアミンまたはポリアミンを使用しながら製造する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2個のカーボネート単位を有する化合物をマスターバッチとして使用する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項の記載により製造された成形部材。
【請求項5】
成形部材がガス導管、海洋用導管、供給導管、海峡用ケーブル、ガソリンスタンド用供給導管、通気用導管、空気吸い上げ管、タンク注入用接続管、貯蔵容器または燃料タンクである、請求項4記載の成形部材。
【請求項6】
壁面が多層で構成されている、請求項4または5記載の成形部材。

【公開番号】特開2006−225660(P2006−225660A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37514(P2006−37514)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】