説明

成熟樹状細胞組成物およびその培養方法

本発明は、免疫刺激細胞を調製して用い、免疫応答を高める方法を提供する。本発明は、成熟樹状細胞(DC)を調製する方法であって、下記の一連の工程を含んでなる方法を提供する:(a)単離した未成熟樹状細胞(iDC)をインターフェロンγ受容体(IFN-γ-R)アゴニストおよび/または腫瘍壊死因子α受容体(TNF-αR)アゴニストを含んでなる第一のシグナルでシグナル化して、シグナル化樹状細胞を産生し、(b)前記シグナル化樹状細胞を有効量のCD40アゴニストを含んでなる第二の一過性シグナルでシグナル化して、CCR7+成熟樹状細胞を産生させる。本発明は、本発明の方法によって調製された増加した個体群の樹状細胞も提供する。これらの樹状細胞は、免疫刺激特性を高め、IL-12分泌を増加させ、および/またはIL-10分泌を減少させる。CD40シグナル化は、CD40Lをコードする外来ポリヌクレオチド(例えば、mRNAまたはDNA)から翻訳された一以上のポリペプチド、CD40受容体に対するアゴニスト性抗体、またはCD40リガンドポリペプチドによって開始することができる。増加した個体群は、DCに免疫原を投与することによってさらに変更することができる。DCは、免疫原をその細胞表面に取り上げ、処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2004年10月7日出願の米国仮出願第60/522,512号について優先権を主張するものであり、前記明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、成熟樹状細胞の産生および細胞治療におけるその使用、および免疫エフェクター細胞の感作に関する。成熟樹状細胞は、未成熟樹状細胞から産生させることができる。
【0003】
背景技術
細胞治療は、修飾抗原提示細胞(APC)または免疫エフェクター細胞を利用し、患者における免疫応答を引き起こす。抗原提示細胞が免疫応答を引き起こすため、それらは細胞治療にとって中枢を成す。実際に、それらは、Tリンパ球から一次免疫応答を誘導することができる唯一の細胞である。
【0004】
樹状細胞(DC)は、適応免疫に関与する最も強力なAPCである。それらは、ナイーブT細胞およびB細胞による免疫応答の開始を調整し、抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を誘導する。DCは幾つかの方法で分化され、イン・ビボでヘルパーT細胞およびキラーT細胞を準備する。例えば、末梢組織に存在する未成熟DCは、抗原を捕捉し免疫原性MHCペプチド複合体を産生する能力を備えている。炎症性サイトカインのような成熟誘導刺激に応じて、未成熟DCは、接着および補助的刺激分子の上方調節によって強力なT細胞刺激因子に進化する。同時に、それらは二次リンパ器官に遊走して、微量の抗原特異的T細胞を選択して刺激する。しかしながら、T細胞の強力な刺激は、反応T細胞のエフェクター機能を指定する補助的刺激分子の他に細胞表面上のMHC/ペプチド複合体の利用可能性を増加させる工程であるDC成熟の後にのみ起こる。実際に、未成熟DCは抗癌および他の免疫療法では有害であることがあり、それらは免疫刺激よりはむしろ免疫寛容を誘導することができるからである。
【0005】
補助的刺激は、T細胞が典型的にはクローン増殖を誘導する十分なサイトカインレベルを産生するのに必要である。樹状細胞が強力な抗原提示細胞となるその一つの特徴は、Tリンパ球上でCD28分子を活性化するCD80分子およびCD86分子のような免疫応答の補助的刺激分子に富んでいることである。代わりに、Tヘルパー細胞はCD40Lを発現し、CD40LはCD40をDCに連結する。DCとT細胞とのこれらの相互作用によって、前者が「成熟」し、後者のエフェクター機能が発達する。CD54分子またはCD11a/CD18分子のような接着分子の発現によって、樹状細胞とT細胞との協同作用が促進される。樹状細胞のもう一つの特別な特徴は、それらの分化の工程によって異なる機能を展開することである。例えば、抗原の捕捉とその形質転換は未成熟樹状細胞の二つの主要な機能であり、一方、抗原を提示してT細胞を刺激するその能力は、樹状細胞が組織およびリンパ節に遊走するに従って増加する。この機能性の変化は、樹状細胞の成熟に対応している。例えば、未成熟樹状細胞の成熟樹状細胞への移行は、免疫応答の開始における基本過程を表している。伝統的には、この成熟に続いて、この過程中にDC上の表面マーカーの変化が観察された。樹状細胞の様々な段階の成熟に特徴的で、より重要な細胞細胞表面マーカーを、表Iに要約した。しかしながら、表面マーカーは、成熟過程によって変化する可能性がある。
【0006】
【表1】

【0007】
現在、免疫療法には、未成熟DCよりも成熟DCが用いられる。完全に成熟した子孫のDCのみがGM-CSF受容体(GM-CSF-R)を欠いており、GM-CSFの除去時/非存在下において安定に成熟したままである。また、成熟DCは、イン・ビトロおよびイン・ビボでのT細胞応答の誘導に優れていることが示されている。対照的に、未成熟DCは、調節T細胞を誘導することによってイン・ビトロ(Jonuleit et al. (2000) Exp. Med. 192:1213)ならびにイン・ビボ(Dhodapkar et al. (2001) Exp. Med. 193:233)で免疫寛容を誘導することが報告されている。成熟樹状細胞は、イン・ビトロまたはイン・ビボで抗原を取り上げてTリンパ球に提示するのにも有用である。これらの修飾DCにより感作された修飾抗原提示DCおよび/またはT細胞は、診断薬、治療、ワクチン接種、研究、スクリーニング、および遺伝子送達など多くの用途を有する。
【0008】
成熟樹状細胞の部類に属している白血球は1%未満であるため、末梢血から成熟樹状細胞を単離することは困難である。また、成熟DCは組織から抽出することも困難である。この困難性から、細胞治療におけるDCが治療上の利益を有する可能性と相俟って、代替供給源を用いて成熟樹状細胞を生成する新しい方法のために研究および開発が行われてきた。幾つかの方法では、未成熟樹状細胞から成熟DCが産生されることが報告されている。
【0009】
例えば、Jonuleitら(Eur J Immunol (1997) 12:3135-3142)は、サイトカインカクテル(IL-1β、TNF-α、IL-6、およびPGE2)を含む培地での培養による未成熟ヒトDCの成熟を開示している。
【0010】
WO95/28479号には、末梢血細胞を単離し、CD34+血液前駆細胞を増加させた後、造血増殖因子およびサイトカインの組合せで増殖することによる樹状細胞の調製方法が開示されている。
【0011】
欧州特許公開第EP-A-0 922 758号には、マクロファージまたは樹状細胞特性を発現する潜在能力を有する多能性細胞に由来する未成熟樹状細胞からの成熟樹状細胞の産生が開示されている。この方法は、未成熟樹状細胞をIFN-γを含む樹状細胞成熟因子と接触させる必要がある。
【0012】
欧州特許公開第EP-B-0 633 930号には、最初にヒトCD34+造血細胞を(i)GM-CSF、(ii)TNF-αおよびIL-3、または(iii)GM-CSFおよびTNF-αと共に培養して、CD1a+造血細胞の形成を誘発することによる、ヒト樹状細胞の産生が教示されている。
【0013】
特許公開第2004/0152191号には、樹状細胞をRU 41740と接触させることによるその成熟が開示されている。
【0014】
米国特許公開第2004/0146492号には、造血幹細胞を形質転換した後、この幹細胞をGM-CSFを含む培地で培養することにより幹細胞を樹状細胞に分化させることによる、組換え樹状細胞の産生方法が教示されている。
【0015】
米国特許公開第2004/0038398号には、哺乳類の末梢血からのDCと単球の実質的に精製された個体群の調製方法が開示されている。骨髄性細胞を哺乳類の末梢血から単離し、DCをこの個体群から分離して、単球の副次的個体群を生成する。次に、DCを抗CD2抗体を用いる負の選択によって増やし、T細胞を除く。
【0016】
成熟DCは機能的に有能であり、従って抗原特異的T細胞を誘導するために有用であるが、全ての成熟DCがこれらの応答を誘導するように最適化されるものではない。幾つかの成熟DCは、IL-12を分泌することによりTヘルパー細胞を刺激することもあることが示されている。Macatonia et al. (1995) Immunol. 154:5071、Almja et al. (1998) Immunol. 161:868、およびUnintford et al. (1999) Immunol. 97:588。また、IL-12は動物モデルで抗原に対する抗原特異的CD8+T細胞応答を高めることも示されている。Schmidt et al. (1999) Immunol. 163:2561。
【0017】
“Mosca et al. (2000) Blood 96:3499”には、可溶性CD40L三量体とIFN-γ1bを両方とも含むAIM V培地でDCを培養することにより、可溶性CD40L三量体のみを含む培地での培養と比較してIL-12発現が増加することが開示されている。
【0018】
“Koya et al. (2003) J. Immunother. 26(5):451”には、IFN-γの存在下でCD40リガンドをコードするレンチウイルスベクターを用いて未成熟DCを形質導入することによってIL-12発現を高めることができることが報告されている。90%を上回るCD40Lを形質導入したDCが、それらの細胞表面でCD83を発現した。不運なことに、レンチウイルスを形質導入した細胞は治療目的には適しておらず、形質導入細胞のゲノムにプロウイルスを組込むことにより白血病を生じる可能性がある。さらに、CD40Lの永続的発現は、APC機能および生存能力に有害な影響を与えることがある。
【0019】
この研究では、イン・ビボにおいて抗腫瘍免疫を生じるにはDCがCD40を介して成熟する必要があることを報告した“Mackey, et al. (1998) J. Immunol. 161:2094”の初期の研究を補足したものである。同様に、“Kuniyoshi, J.S. et al. (1999) Cell Immunol. 193:48”は、可溶性三量体CD40リガンドとIFN-γで処理したDCが、強力なT細胞増殖を刺激し、抗原特異的な溶解の増加したT細胞を誘導することを示した。“Kalady, M.F. et al. (2004) J. Surg. Res. 116:24”は、黒色腫抗原MART-1をコードするmRNAでトランスフェクトしたヒト単球由来のDCまたは同時にまたは連続的に加えられる様々な成熟刺激に暴露したインフルエンザM1マトリックスタンパク質が、抗原提示、IL-12分泌、およびこれらのDCの存在下で高められたエフェクターT細胞の免疫原性における変動性を示すことを報告した。最も重要なことには、この研究は、IL-1β、TNF-α、IL-6、およびPGE2からなる「サイトカインカクテル」に続いて、細胞外の可溶性CD40Lタンパク質を使用することは、全ての薬剤を同時に使用することより優れていることを示していた。しかしながら、これらの著者らは、連続工程におけるIFN-γシグナル化と一過性CD40Lシグナル化の組合せを研究しなかった。さらに、IFN-γとCD40Lが同時に培地に加えられる場合には、IL-12が産生するが、最近の従来技術は、トリプトファンを代謝する酵素が誘導されて反応T細胞が欠乏し、次いで増殖できなくなるため、生成するDCは前炎症性(pro-inflammatory)よりもむしろ実際には免疫抑制性であることを示している(Hwu et al. (2000) J. Immunol. 164: 3596、Munn et al. (2002) 297:1867、およびGrohmarinn et al. (2003) Trends Immunol. 24:242)。従って、最近の文献は、IFN-γとCD40Lの組合せは免疫力を増加するものではないことを示唆している。本発明は、DC成熟の改良法および免疫力を有する成熟DCの提供が長期間、求められていることに対処している。
【発明の概要】
【0020】
本出願人らは、未成熟樹状細胞がインターフェロンγ受容体(IFN-γR)アゴニストを含んでなる第一のシグナルに続いて、CD40アゴニストを含んでなる第二のシグナルで順次シグナル化される場合に強力な免疫刺激が起こることを見出した。従って、本発明は、成熟樹状細胞(DC)を調製する方法であって、下記からなる一連の工程を含んでなる方法を提供する:(a)単離した未成熟樹状細胞(iDC)をインターフェロンγ受容体(IFN-γR)アゴニストと、場合によってTNF-αRアゴニストを含んでなる第一のシグナルでシグナル化して、IFN-γRアゴニストシグナル化樹状細胞を産生し、(b)前記IFN-γRアゴニストシグナル化樹状細胞を有効量のCD40アゴニストを含んでなる第二の一過性シグナルでシグナル化してCCR7+成熟樹状細胞を産生させる。
【0021】
好ましい態様では、未成熟DCを、さらにPGE2および場合によってTNF-αと接触させる。別の態様では、この方法は、さらに未成熟DC、シグナル化DC、および/またはCCR7+成熟樹状細胞を下記からなる群から選択される化合物と接触させることを含んでなる:ガラクトシルセラミド、グリコシルセラミド、ガラクトフラノシルセラミド、アラビノピラノシルセラミド、α-C-ガラクトシルセラミド、およびα-Sガラクトシルセラミド。好ましくは、この化合物はガラクトシルセラミドである。最も好ましくは、そのガラクトシルセラミドは(2S,3S,4R)-1-O-(α-D-ガラクトピラノシル)-2-(N-ヘキサコサノイルアミノ)-1,3,4-オクタデカントリオール(KRN7000)である。
【0022】
本発明のもう一つの態様では、IFN-γRアゴニストを腫瘍壊死因子α受容体(TNF-αR)アゴニストに代えることができる。従って、本発明は増加した(enriched)個体数の成熟樹状細胞(DC)の調製方法であって、未成熟樹状細胞を腫瘍壊死因子α受容体(TNF-αR)アゴニストを含んでなる第一のシグナルに続いて、CD40アゴニストを含んでなる第二のシグナルで順次シグナル化することにより、増加した個体数の成熟樹状細胞を調整することを含んでなり、前記シグナル化は有効量のIL-1βまたはIL-6の非存在下で行われる方法を提供する。好ましくは、未成熟DCは、さらにPGE2と接触させる。
【0023】
好ましいIFN-γRアゴニストは哺乳類IFN-γであり、好ましくはヒトIFN-γおよびその活性断片である。好ましいTNF-αRアゴニストは哺乳類TNF-αであり、好ましくはヒトTNF-αおよびその活性断片である。好ましいCD40アゴニストは哺乳類CD40リガンド(CD40L)であり、好ましくはヒトCD40Lおよびその活性断片および変異体、ならびにCD40受容体に対する作用性(agonistic)抗体である。シグナル化は、培地にシグナル化アゴニストを供給し、アゴニストを細胞に導入し、および/または作用性(agonistic)ポリペプチドをコードするmRNAを樹状細胞中で翻訳することによって開始することができる。この方法は、イン・ビボまたはエクス・ビボで実施することができる。本発明の方法によってエクス・ビボで成熟した樹状細胞を、次に対象者に投与して免疫応答を高めることができる。
【0024】
それぞれの樹状細胞は、免疫原をDCに投与することによって、さらに修飾することができる。DCは免疫原を吸収して処理し、その細胞表面に表示する。免疫原は、イン・ビボまたはエクス・ビボで輸送することができる。成熟した培養DCを対象者に投与して、免疫応答を誘導し、または高めることができる。さらにもう一つの態様では、抗原負荷成熟DCを用いて、ナイーブ免疫エフェクター細胞を感作する。
【0025】
もう一つの態様では、本発明は、CD83+CCR7-成熟DCおよびCD83+CCR7+成熟DCのようなイン・ビトロで成熟した樹状細胞を含んでなる組成物を提供する。本発明の成熟樹状細胞は、未成熟樹状細胞と比較して高レベルのIL-12を発現し、および/または樹状細胞106個当たり500pg未満のIL-10を発現する。本発明の組成物は、対象者に有効量の個体数を投与することによって対象者に免疫応答を生じさせるのに有用である。
【0026】
配列リストの簡単な説明
配列番号:1は、ヒトCD40L cDNAである。ヌクレオチド40 - 825はATG翻訳開始コドンとTGA翻訳停止コドンを含む、コード領域を表す。
【0027】
配列番号:2は、完全長のヒトCD40Lタンパク質に対する、アミノ酸配列である。
【0028】
配列番号:3は、ヒトCD40 cDNAである。ヌクレオチド67 - 522は、ATG翻訳開始コドンとTAG翻訳停止コドンを含む、コード領域を表す。
【0029】
配列番号:4は、ヒトCD40に対するアミノ酸配列(CD40Lに対する受容体)である。
【0030】
配列番号:5は、ヒトIFN-γ cDNAである。ヌクレオチド109 - 609は、ATG翻訳開始コドンと翻訳停止コドンを含む、コード領域を表す。
【0031】
配列番号:6は、ヒトIFN-γに対するアミノ酸配列である。
【0032】
配列番号:7は、ヒトTNF-α cDNAである。ヌクレオチド170 - 971は、ATG翻訳開始コドンとTGA翻訳停止コドンを含む、コード領域を表す。
【0033】
配列番号:8は、ヒトTNF-αに対するアミノ酸配列である。
【0034】
配列番号:9は、マウスCD40L cDNAである。ヌクレオチド13 - 795は、ATG翻訳開始コドンとTGA翻訳停止コドンを含む、コード領域を表す。
【0035】
配列番号:10は、完全長のマウスCD40Lタンパク質に対する、アミノ酸配列である。
【0036】
配列番号:11は、CD40L 5'プライマーである。
【0037】
配列番号:12は、CD40L 3' プライマーである。
【0038】
配列番号:13は、最適化ヒトCD40L mRNAに対応するDNA配列である。
【0039】
配列番号:14は、CD40受容体3'UTRである。
【0040】
配列番号:15は、ヒトβ-アクチン3'UTRの最終エキソンの未翻訳領域である。
【0041】
配列番号:16は、ヒトβアクチン3'UTRの最小機能的要素である。
【0042】
配列番号:17は、サルロタウイルス遺伝子6 3'UTRである。
【0043】
配列番号:18は、サルロタウイルス遺伝子6 3'UTRの最小機能的要素である。
【0044】
配列番号:19は、ヒトHsp70 5'UTR(HSPA1A)である。
【0045】
配列番号:20は、マウスVEGF 5'UTRである。
【0046】
配列番号:21は、マウスVEGF 5'UTRの最小機能的要素である。
【0047】
配列番号:22は、脾臓壊死ウイルスLTR RU5領域である。
【0048】
配列番号:23は、タバコ腐蝕ウイルス5'リーダー配列配列である。
【0049】
配列番号:24-25は、それぞれHLA-A201制限MART-APLペプチド、天然ペプチド、およびPSA-1ペプチドである。
【発明の具体的説明】
【0050】
この開示中で、様々な公開文献、特許明細書、および公開特許明細書が確認用引例によって引用される。これらの公開文献、特許明細書、および公開特許明細書の開示内容は、本発明が関連する技術の状態を一層完全に記載する目的でその開示の一部として本明細書に引用される。
【0051】
本発明の実施では、特に断らない限り分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の慣用の技術が用いられ、これらは当該技術分野の技術の範囲内にある。これらの方法は、下記の公開文献に記載されている。例えば、Sambrook et al.「分子クローニング:実験室便覧(MOLECULARCLONING: A LABORATORY MANUAL)」, 第2版(1989)、「分子生物学における最新のプロトコール(CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULARBIOLOGY)」(Ausubel et al.監修(1987))、「酵素学の方法シリーズ(the series METHODS IN ENZYMOLOGY)」(Academic Press, Inc.)、「PCR: 実際的方法(PCR: A PRACTICAL APPROACH)」(M. MacPherson et al., IRL Press, Oxford University Press (1991))、「PCR 2:実際的方法(PCR 2: A PRACTICAL APPROACH)」(MacPherson, Hames and Taylor 監修(1995))、「抗体、実験室便覧(ANTIBODIES, A LABORATORY MANUAL)」(Harlow and Lane監修(1988))、「抗体の使用、実験室便覧(USING ANTIBODIES, A LABORATORY MANUAL)」(Harlow and Lane監修(1999))、および「動物細胞培養(ANIMAL CELL CULTURE)」(Freshney 監修(1987))を参照されたい。
【0052】
定義
明細書および特許請求の範囲で用いられる単数形“a”、“an”、および“the”は、文脈から明らかに他のものを指示するものでない限り、複数形を包含する。例えば、「一個の細胞」は、その混合物などの複数の細胞を包含する。
【0053】
本明細書で用いられる「含んでなる」という用語は、組成物および方法が列記された要素を包含するが、他のものを除外しないことを意味すると解釈される。「から本質的になる」とは、組成物および方法を定義するのに用いられる場合には、組合せにとって本質的に重要な他の要素を除外することを意味する。従って、本明細書に定義される要素から本質的になる組成物は、単離および精製法からの微量混入物および薬学上許容可能な担体、例えば、リン酸緩衝食塩水、防腐剤などを除外しない。「からなる」とは、他成分の微量より多い要素および本発明の組成物を投与するための実質的方法過程を除外することを意味する。これらのそれぞれの転換用語によって定義される態様は、本発明の範囲内にある。
【0054】
全ての数値による指定、例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量(範囲を包含する)は、0.1の増加によって(+)または(-)に変化する近似値である。常に明確に述べられてはいないが、本明細書に記載の試薬は単なる例示のためのものであり、これと同等なものは当該技術分野で知られていることを理解されるべきである。
【0055】
「抗原」という用語は、当該技術分野で十分に理解されており、免疫原性である物質、すなわち免疫原を包含する。任意の抗原の使用は、本発明における使用を想定したものであり、従って、自己抗原(正常または疾患関連)、感染性抗原(例えば、微生物抗原、ウイルス抗原など)、または何か他の外来抗原(例えば、食物成分、花粉など)を包含するが、これらに限定されないことを理解されるであろう。「抗原」あるいは「免疫原」は、二種類以上の免疫原のコレクションに当てはまるので、複数の免疫原に対する免疫応答を同時に調節することができる。さらに、この用語は、免疫原または抗原の様々な異なる処方物の全てを包含する。
【0056】
「天然」抗原、「自然」抗原、または「野生型」抗原は、エピトープを含むポリペプチド、タンパク質、または断片であり、天然生物学的供給源から単離され、かつMHC/ペプチド複合体、特に対象者におけるT細胞抗原受容体として提供される場合には、抗原受容体に特異的に結合することができる。
【0057】
「腫瘍関連抗原」または「TAA」という用語は、腫瘍と関連する抗原を表す。周知のTAAの例としては、gp100、MART、およびMAGEが挙げられる。
【0058】
「主要組織適合複合体」または「MHC」という用語は、T細胞への抗原提示および迅速な移植拒絶に必要な細胞表面分子をコードする遺伝子の複合体を表す。ヒトでは、MHCは「ヒト白血球抗原」または「HLA」複合体としても知られている。MHCによってコードされるタンパク質は「MHC分子」として知られており、クラスIおよびクラスIIのMHC分子に分類されている。クラスI MHC分子としては、β2-ミクログロブリンと一価で結合したMHCにコードされたα鎖からなる膜ヘテロ二量体性タンパク質が挙げられる。クラスI MHC分子は、ほぼすべての核形成細胞によって発現され、CD8+T細胞への抗原提示で機能することが示されている。クラスI分子としては、ヒトのHLA-A、B、およびCが挙げられる。クラスII MHC分子としては、非共有的に会合したα鎖およびβ鎖からなる膜ヘテロ二量体性タンパク質も挙げられる。クラスII MHC分子はCD4+T細胞で機能することが知られており、ヒトではHLA-DP、HLA-DQ、およびHLA-DRが挙げられる。
【0059】
「抗原提示細胞(APC)」という用語は、免疫系の特異的エフェクター細胞によって認識可能なペプチド-MHC複合体の形態で一以上の抗原を提示し、提示された抗原または複数の抗原に対する効果的な細胞性免疫応答を誘導することができる細胞の種類を表す。APCは、マクロファージ、B細胞、内皮細胞、活性化T細胞、および樹状細胞のような完全な細胞全体、またはβ2-ミクログロブリンに複合体形成した精製MHCクラスI分子のような天然に存在するまたは合成の他の分子であってもよい。多くの種類の細胞がT細胞認識の目的でその細胞表面に抗原を提示することができると考えられるが、樹状細胞のみは抗原を効率的な量で提示してナイーブT細胞を活性化し、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を行うことができる。
【0060】
「樹状細胞(DC)」という用語は、様々なリンパおよび非リンパ組織に見られる形態学的に類似した細胞形態の多様な個体群を表す(Steinman (1991) Ann. Rev. Immunol. 9:271-296)。樹状細胞は、生体内で最も強力で好ましいAPCを構成している。樹状細胞は単球から分化することができるが、それらは異なる表現型を有している。例えば、特定の分化マーカーであるCD14抗原は樹状細胞には見られないが、単球には存在している。また、成熟樹状細胞は貪食性でないが、単球は強力な貪食細胞である。成熟DCは、T細胞活性化および増殖に必要な全てのシグナルを提供できることが示される。
【0061】
「免疫エフェクター細胞」という用語は、抗原を結合することができ、かつ免疫応答を介在する細胞を表す。これらの細胞としては、T細胞、B細胞、単球、マクロファージ、NK細胞、および細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、例えば、CTL系、CTLクローン、および腫瘍、炎症性、または他の浸潤物由来のCTLが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
「ナイーブ」免疫エフェクター細胞は、その細胞を活性化することができる抗原に暴露されたことがない免疫エフェクター細胞である。ナイーブ免疫エフェクター細胞の活性化には、ペプチド:MHC複合体の認識およびプロフェッショナルAPCによる補助的刺激シグナルの同時伝達を行って、増殖して抗原特異的アーム付きエフェクターT細胞に分化することが必要である。
【0063】
「免疫応答」は、広義には外来物質に対するリンパ球の抗原特異的応答を表す。免疫応答を誘導することができるあらゆる物質も「免疫原性」であるといわれ、「免疫原」として表される。全ての免疫原は抗原であるが、全ての抗原が免疫原性であるとは限らない。本発明の免疫応答は、体液性(抗体活性を介する)または細胞依存性(T細胞活性化を介する)であってもよい。
【0064】
本明細書で用いられる「感作された抗原特異的免疫エフェクター細胞」という用語は、既に抗原と接触した、上述のように定義された免疫エフェクター細胞である。そのナイーブな対応物とは対照的に、感作された抗原特異的免疫エフェクター細胞の活性化には、補助的刺激シグナルは必要ない。ペプチド:MHC複合体の認識で十分である。
【0065】
「活性化」は、T細胞に関して用いられる場合には、細胞がもはやG0期には無く、一以上の細胞毒、サイトカイン、および細胞の種類に特徴的な他の関連した膜関連タンパク質(例えば、CD8+またはCD4+)を産生し始めることを意味し、表面での特定のペプチド/MHC複合体を表示する任意の標的細胞を認識し、結合することができ、かつそのエフェクター分子を放出することができる。
【0066】
本明細書で用いられる「対象者に免疫応答を誘導する」という用語は、当該技術分野で理解されている用語であり、対象者に抗原(またはエピトープ)を導入する前の免疫応答(もしあれば)に対して、対象者に抗原(またはエピトープ)を導入した後に検出または測定することができる抗原(またはエピトープ)に対する免疫応答における少なくとも約2倍、あるいは少なくとも約5倍、あるいは少なくとも約10倍、あるいは少なくとも約100倍、あるいは少なくとも約500倍、あるいは少なくとも約1000倍以上の増加を表す。抗原(またはエピトープ)に対する免疫応答としては、抗原特異的(またはエピトープ特異的)抗体の産生、および抗原(またはエピトープ)に特異的に結合する分子を表面に発現する免疫細胞が挙げられるが、これらに限定されない。所定の抗原(またはエピトープ)に対する免疫応答が誘導されたかどうかを測定する方法は、当該技術分野で知られている。例えば、抗原特異的抗体は、例えば、試料中の抗体の固定抗原(またはエピトープ)への結合を検出可能に標識した第二の抗体(例えば、酵素標識マウス抗ヒトIg抗体)で検出するELISAなど、これらに限定されない当該技術分野で知られている様々なイムノアッセイのいずれかを用いて検出することができる
【0067】
「補助的刺激分子」は、抗原提示細胞およびT細胞の表面で発現した受容体-リガンド対の間の相互作用に関与している。過去数年にわたって蓄積された研究は、静止T細胞はサイトカイン遺伝子発現および増殖を誘導する少なくとも二つのシグナルを必要とすることを納得のいくように示している(Schwartz, R.H. (1990) Science 248: 1349-1356およびJenkins, M.K. (1992) Immunol. Today 13:69-73)。特異性を付与するシグナルである一つのシグナルは、TCR/CD3複合体と適当なMHC/ペプチド複合体との相互作用によって産生することができる。第二のシグナルは抗原特異的ではなく、「補助的刺激」シグナルと呼ばれる。このシグナルは、当初はマクロファージおよび樹状細胞、いわゆる「プロフェッショナル」APCのような骨髄由来のアクセサリー細胞によって提供される活性として定義された。幾つかの分子は、補助的刺激活性を高めることが示されている。これらは、熱安定抗原(HSA)(Liu, Y. et al. (1992) 3. Exp. Med 175:437-445)、コンドロイチン硫酸改質MHCインバリアント鎖(li-CS)(Naujokas, M.F. et al. (1993) Cell 74:257-268)、細胞内接着分子1 (ICAM-1)(Van Seventer, G.A. (1990) Immunol. 144:4579-4586)、B7-1およびB7-2/B70 (Schwartz, R.H. (1992) Cell 71:1065-1068)である。これらの分子は、それぞれT細胞上の同起源のリガンドと相互作用することによって補助的刺激(co-stimulation)を補助すると思われる。補助的刺激分子は、通常の生理学的条件下でナイーブT細胞を完全に活性化するのに必要な(複数の)補助的刺激シグナルを媒介する。一つの典型的な受容体-リガンド対は、APC5の表面の補助的刺激分子のB7ファミリー、およびT細胞上のその対向受容体(counterreceptor)CD28またはCTLA-4である(Freeman, et al. (1993) Science 262:909-911、Young, et al. (1992) Clin. Invest. 90:229、およびNabavi, et al. (1992) Nature 360:266-268)。他の重要な補助的刺激分子は、CD40およびCD54である。「補助的刺激分子」という用語は、任意の単一分子または分子の組合せであって、T細胞の表面でTCRによって結合したMHC/ペプチド複合体と共に作用する場合、ペプチドを結合するI細胞の活性化を行う補助的刺激効果を提供するものを包含する。従って、この用語は、APC、その断片(単独での、別の(複数の)分子との複合体として、または融合タンパク質の一部として)のようなMHC複合体と一緒に同起源のリガンドに結合してT細胞の表面のTCRがペプチドに特異的に結合する場合、T細胞を活性化する抗原提示マトリックス上のB7または他の(複数の)補助的刺激分子を包含する。常に明確に述べられてはいないが、野生型または精製した補助的刺激分子(例えば、組換えにより産生したものまたはその突然変異)と同様な生物活性を有する分子を本発明の精神および範囲内で用いようとするものである。
【0068】
本明細書で用いられる「サイトカイン」という用語は、例えば、成長または増殖を誘発する細胞上の様々な効果を発揮する多数の因子の任意の一つを表す。本発明の実施に単独でまたは組み合わせて用いることができるサイトカインの非限定的例としては、インターロイキン-2(IL-2)、幹細胞因子(SCF)、インターロイキン-3(IL-3)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-12 (IL-12)、G-CSF、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン-1α(IL-1α)、インターロイキン-1L(IL-1L)、MIP-11、白血病抑制因子(LIF)、c-キットリガンド、トロンボポエチン(TPO)、およびflt3リガンドが挙げられる。本発明の一つの態様としては、有効量のIL-1βおよび/またはIL-6を培地から除外する培養条件が挙げられる。サイトカインは、例えば、Genzyme(フラミングハム, マサチューセッツ)、Genentech(南サンフランシスコ, カリフォルニア)、Amgen(サウザンドオークス, カリフォルニア)、R&D Systems(ミネアポリス, ミネソタ)、およびImmunex(シアトル, ワシントン)のような数社の販売会社から市販されている。常に明確に述べられてはいないが、野生型または精製した補助的刺激分子(例えば、組換えにより産生したものまたはその突然変異)と同様な生物活性を有する分子を本発明の精神および範囲内で用いようとするものである。
【0069】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「核酸分子」という用語は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を表すのに互換的に用いられる。ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはそれらの類似体を含むことができる。ヌクレオチドは任意の三次元構造を有することができ、既知または未知の任意の機能を実行することができる。「ポリヌクレオチド」という用語は、例えば、一本鎖、二本鎖、および三重らせん分子、遺伝子または遺伝子断片、エキソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離したDNA、任意の配列の単離したRNA、核酸プローブ、およびプライマーを包含する。天然核酸分子の他に、本発明の核酸分子は修飾核酸分子を含んでなることもできる。本明細書で用いられるmRNAは、樹状細胞で翻訳することができるRNAを表す。このようなmRNAは、典型的にはキャップが形成されており、リボソーム結合部位(コザック配列)と翻訳開始コドンを有する。
【0070】
「ペプチド」という用語は、その最も広義な意味では、二以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸類似体、または擬似ペプチドの化合物を表す。サブユニットは、ペプチド結合によって連結していることがある。別の態様では、サブユニットは、他の結合、例えば、エステル、エーテルなどによって連結していることがある。本明細書で用いられる「アミノ酸」という用語は、天然および/または非天然(unnatural)または合成アミノ酸、例えば、グリシン、およびD光学異性体およびL光学異性体、アミノ酸類似体、および擬似ペプチドを表す。三つ以上のアミノ酸のペプチドは、ペプチド鎖が短い場合にはオリゴペプチドと一般に呼ばれている。ペプチド鎖が長い場合には、そのペプチドは一般にポリペプチドまたはタンパク質と呼ばれる。
【0071】
「遺伝子修飾した」という用語は、外来遺伝子または核酸配列であって、それがまた細胞またはその子孫の遺伝子型または表現型を変更するものを含みおよび/または発現することを意味する。換言すれば、細胞の内在ヌクレオチドに対する任意の付加、欠失、または切断を表す。
【0072】
本明細書で用いられる「発現」とは、ポリヌクレオチドをmRNAに転写し、mRNAをペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳する過程を表す。ポリヌクレオチドが適当な真核生物宿主のゲノムDNAに由来する場合には、発現はmRNAのスプライシングを包含することがある。発現に必要な調節要素としては、RNAポリメラーゼに結合するためのプロモーター配列およびリボソーム結合のための転写開始配列が挙げられる。例えば、細菌性発現ベクターとしては、lacプロモーターのようなプロモーター、および転写開始のためのシャイン-ダルガノ配列および開始コドンAUG(Sambrook et al. (1989)前記引用)が挙げられる。同様に、真核生物発現ベクターとしては、RNAポリメラーゼIIに対する非相同プロモーターまたは相同プロモーター、下流のポリアデニル化シグナル、開始コドンAUG、およびリボソームの解離のための終止コドンが挙げられる。これらのベクターは、購入することができ、または当該技術分野で知られている方法、例えば、一般にベクターを構築するための下記の方法に記載の配列によって組み立てることができる。
【0073】
「転写調節下」とは、当該技術分野で理解されている用語であり、ポリヌクレオチド配列の転写、通常はDNA配列の転写が、転写の開始に寄与し、または促進する要素への操作連結に依存していることを示唆している。「操作連結」とは、要素同士が機能できる配置になる並置を表す。
【0074】
「遺伝子送達媒体」は、挿入されたポリヌクレオチドを宿主細胞に運ぶことができる任意の分子と定義される。遺伝子送達媒体の例は、リポソーム、天然ポリマー、および合成ポリマーなどの生体適合性ポリマー、リポタンパク質、ポリペプチド、多糖類、リポ多糖類、人工ウイルスエンベロープ、金属粒子、および細菌、またはバキュロウイルス、アデノウイルス、およびレトロウイルスのようなウイルス、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌ベクター、および様々な真核生物および原核生物宿主での発現について記載され、かつ遺伝子治療ならびに単純なタンパク質発現に用いることができる当該技術分野で典型的に用いられる他の組合せ媒体である。
【0075】
本明細書で用いられる「遺伝子送達」、「遺伝子導入」、「トランスフェクション」などは、導入に用いられる方法とは関係なく外来ポリヌクレオチドの宿主細胞への導入を表す用語である。トランスフェクションは、任意の核酸の細胞内部への送達を表す。遺伝子送達は、宿主細胞のゲノムへ組込むことができる、または宿主細胞ゲノムを独立して複製することができる核酸の送達を表す。遺伝子送達または遺伝子導入は、mRNAの細胞への導入を表さない。トランスフェクション法は、エレクトロポレーション、タンパク質をベースとする核酸送達複合体、脂質をベースとする核酸送達複合体、およびカチオン性イオンをベースとする核酸送達複合体、ウイルスベクター、「遺伝子ガン(gene gun)」送達のような様々な技術、および当業者に知られている様々な他の技術が挙げられる。導入されたポリヌクレオチドは宿主細胞に安定的に保持することができ、または一過性の発現を行うことができる。好ましい態様では、mRNAはDCに導入され、一過的に発現される。安定な保持には、典型的には、導入されたポリヌクレオチドが宿主細胞と適合性の複製の起源を含むか、または染色体外レプリコン(例えば、プラスミド)または核またはミトコンドリア染色体のような宿主細胞のレプリコンへ組込むことが必要である。ベクターの数は、当該技術分野で知られており、かつ本明細書に記載されているように、哺乳類細胞への遺伝子の導入を介在することができる。
【0076】
「ウイルスベクター」は、イン・ビボ、エクス・ビボ、またはイン・ビトロで宿主細胞に送達されるポリヌクレオチドを含んでなる組換えによって産生するウイルスまたはウイルス粒子として定義される。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アルファウイルスベクターなどが挙げられる。セムリキ森林熱ウイルスをベースとするベクターおよびシンドビスウイルスをベースとするベクターのようなアルファウイルスベクターは、遺伝子治療および免疫療法に用いるためにも開発されている。Schlesinger and Dubensky (1999) Curr. Opin. Biotechnol. 5:434-439およびZaks et al. (1999) Nat. Med. 7:823-827を参照されたい。遺伝子導入がレトロウイルスベクターによって介在される態様では、ベクター構築物は、レトロウイルスゲノムまたはその一部、および治療遺伝子を含んでなるポリヌクレオチドを表す。本明細書で用いられる「レトロウイルス介在遺伝子導入」または「レトロウイルス形質導入」は同じ意味を有し、細胞に入り込み、そのゲノムを宿主細胞ゲノムに組込むウイルスによって、遺伝子または核酸配列が宿主細胞に安定に導入される過程を表す。ウイルスは感染の正常な機構を介して宿主細胞に入り、または修飾されて異なる宿主細胞表面受容体またはリガンドに結合して細胞に入ることができる。本明細書で用いられる「レトロウイルスベクター」は、外来核酸ウイルスまたはウイルス様侵入機構を介して細胞に導入することができるウイルス粒子を表す。
【0077】
レトロウイルスは遺伝子情報をRNAの形態で有しているが、ウイルスが細胞に感染すると、RNAはDNA形態に逆転写されて、感染細胞のゲノムDNAに組込まれる。組込まれたDNA形態は、プロウイルスと呼ばれる。
【0078】
遺伝子導入がアデノウイルス(Ad)、擬似アデノウイルス、またはアデノ随伴ウイルス(MV)のようなDNAウイルスベクターによって媒介される態様では、ベクター構築物はウイルスゲノムまたはその一部、および導入遺伝子を含んでなるポリヌクレオチドを表す。アデノウイルス(Ad)は、比較的詳細に特性決定された同種のウイルスの群であり、五十種類以上の血清型を含んでいる(例えば、WO 95/27071号を参照)。Adは成長が容易であり、宿主細胞ゲノムへの組込みを必要としない。組換えAdに由来するベクター、特に野生型ウイルスの組換えおよび発生の能力を減少させるものも構築されている(WO 95/00655号およびWO 95/11984号明細書)。野生型MVは、感染性と宿主細胞ゲノムへ組込む特異性が高い(Hermonat and Muzyczka (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6466-6470およびLebkowski et al. (1988) Mol. Cell. Biol. 8:3988-3996参照)。
【0079】
プロモーターと、ポリヌクレオチドを操作連結することができるクローニング部位とを含むベクターは、当該技術分野で知られている。このようなベクターはイン・ビトロまたはイン・ビボでRNAを転写することができ、Stratagene(ラ・ヨラ, カリフォルニア)およびPromega Biotech (マディソン, ウイスコンシン)のような供給元から発売されている。発現および/またはイン・ビトロ転写を最適にするには、クローンの5'未および/または3'未翻訳部分を除き、付加し、または変更し、余分の潜在的に不適当な代替翻訳開始コドンまたは転写または翻訳のレベルで発現を妨げ、または減少させることがある他の配列を削除する必要があることがある。あるいは、コンセンサスリボソーム結合部位を、開始コドンの5'に隣接して挿入し、発現を高めることができる。
【0080】
遺伝子送達媒体は、DNA/リボソーム複合体および標的ウイルスタンパク質-DNA複合体などの幾つかの非ウイルスベクターも含む。標的抗体またはその断片をも含んでなるリポソームを、本発明の方法に用いることができる。細胞への送達を高めるため、本発明の核酸またはタンパク質を、TCR、CD3、またはCD4のような細胞表面抗原に結合する抗体またはその結合断片に接合させることができる。
【0081】
「ハイブリダイゼーション」とは、一種類以上のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合を介して安定化される複合体を形成する反応を表す。水素結合は、ワトソン-クリック塩基対、ホークスタイン結合によって、または任意の他の配列特異的方法で起こっても良い。この複合体は、二重構造を形成する二本鎖、複数鎖複合体を形成する三本以上の鎖、一本の自己ハイブリダイズ鎖、またはこれらの任意の組合せを含んでなることがある。ハイブリダイゼーション反応は、PCR反応の開始、またはリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素開裂のようなさらに広汎な工程の一工程を構成することがある。
【0082】
ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、下記の通りである。目的とする核酸を含むフィルターの予備ハイブリダイゼーションを、6xSSC、50mM Tris-HCl(pH 7.5)、1mM EDTA、0.02%フィコール、0.02% BSA、および500μg/mLの変性サケ精子DNAから構成される緩衝液中で65℃で八時間から一晩行う。フィルターを、100μg/mLの変性サケ精子DNAと5-20xl06cpmの32Pで標識したプローブを含む予備ハイブリダイゼーション混合物中で65℃の好ましいハイブリダイゼーション温度で四十八時間のハイブリダイゼーションを行う。次いで、フィルターを2xSSC、0.01%フィコール、および0.01% BSAを含む溶液で37℃にて一時間洗浄した後、0.lxSSC中で50℃にて四十五分間洗浄する。洗浄工程の後、ハイブリダイゼーションしたプローブは、オートラジオグラフィーによって検出可能となる。このような方法は、当該技術分野で周知であり、Sambrook et al., 1989およびAusubel et al., 1989に引用される。
【0083】
ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドまたはポリペプチド領域)は、別の配列に対して一定比率(例えば、80%、85%、90%、または95%)の「配列同一性」を有し、整列した場合に、二つの配列の比較において塩基(またはアミノ酸)の比率が同じであることを意味する。この配列、および相同性割合または配列同一性は、周知のBLAST配列プログラムおよびデフォルトパラメーターを用いて決定される。代替プログラムは、下記のデフォルトパラメーターを用いるBLASTNおよびBLASTPである。遺伝子コード=標準、フィルター=なし、鎖=両形態、カットオフ=60、期待値=10、マトリックス=BLOSUM62、配列数= 50配列、ソート= HIGH SCORE、データベース=ノン・レダクタント, ジェンバンク(GenBank) + EMBL + DDBJ + PDB + ジェンバンク(GenBank) CDS翻訳 + SwissProtein + SPupdate + PIR。これらのプログラムの詳細は、下記のワールド・ワイド・ウェブアドレス:ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLASTに記載されている。
【0084】
「単離した」という用語は、成分、細胞などポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそれらの断片が通常は天然で会合しているものから分離されることを意味する。例えば、ポリヌクレオチドに関して、単離されたポリヌクレオチドは、通常は染色体中で会合している5'配列および3'配列から分離されているものである。当業者に明らかなように、天然には存在しないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそれらの(複数の)断片は、その天然に存在する対応物から識別するのに「単離」の必要はない。さらに、「濃縮した」、「分離した」、または「希釈した」ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそれらの(複数の)断片は、容積当たりの分子の濃度または数は天然に存在する対応物と比較して「濃縮した」ものより大きいか、または「分離した」ものより小さいという点において、その天然に存在する対応物から識別可能である。一次配列または例えば、グリコシル化パターンが天然に存在する対応物と異なるポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそれらの(複数)の断片は、一次配列によってあるいはグリコシル化パターンのような別の特性によって天然に存在する対応物と区別することができるので、単離形態で存在する必要はない。本明細書に開示されている発明のそれぞれについて明確に述べられてはいないが、下記に適当な条件下で開示されている組成物のそれぞれについての前記態様の全ては本発明によって提供されることを理解すべきである。従って、天然には存在しないポリヌクレオチドは、単離した天然に存在するポリヌクレオチドとは異なる態様として提供される。細菌細胞で産生したタンパク質は、天然で産生される真核生物細胞から単離される天然に存在するタンパク質とは異なる態様として提供される。樹状細胞のような哺乳類細胞は、生体で見出される解剖学上の部位から除去される場合には、単離される。
【0085】
「宿主細胞」、「標的細胞」、または「レシピエント細胞」は、ベクター、または外因性核酸分子、ポリヌクレオチド、および/またはタンパク質の取り込みのレシピエントであることができる、またはレシピエントであったことがある任意の個々の細胞を包含するものと解釈される。単細胞の子孫を包含するものとも解釈され、この子孫は自然、偶然、または意図的な突然変異により必ずしも元の親細胞と(形態において、またはゲノムまたは全DNA補体において)完全に同一ではないことがある。細胞は原核生物または真核生物細胞であってもよく、細菌細胞、酵母細胞、動物細胞、および哺乳類細胞、例えば、ネズミ、ラット、サル、またはヒトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
「対象者」は脊椎動物、好ましくは哺乳類であり、さらに好ましくはヒトである。哺乳類としては、ネズミ、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物、および愛玩動物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
「コントロール」とは、比較のための実験で用いられる別の対象者または試料である。コントロールは、「ポジティブ」または「ネガティブ」であってもよい。例えば、実験の目的が免疫応答と特定の培養条件の相関を決定することである場合には、ポジティブコントロールとネガティブコントロールを用いるのが一般に好ましい。
【0088】
「癌」とは、相対的に自律的増殖を示す細胞の異常な存在を意味し、従って癌細胞は細胞増殖制御をかなり喪失したことを特徴とする異常成長表現型を示す。癌細胞は、良性または悪性の可能性がある。様々な態様では、癌は膀胱、血液、脳、乳房、結腸、消化管、肺、卵巣、膵臓、前立腺、または皮膚を冒す。本明細書で用いられる癌細胞の定義としては、原発性癌細胞だけでなく、癌細胞の祖先に由来する任意の細胞も挙げられる。これは、転移癌細胞、イン・ビトロ培養物、および癌細胞由来の細胞系が挙げられる。癌としては、固形腫瘍、液状腫瘍、血液学的悪性疾患、腎細胞癌、黒色腫、乳癌、前立腺癌、精巣癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、肺癌、神経芽細胞腫、膠芽腫、網膜芽腫、白血病、骨髄腫、リンパ腫、肝癌、腺腫、肉腫、癌腫、芽細胞腫などが挙げられるが、これらに限定されない。通常は固形腫瘍として現れる癌の型を表す場合、「臨床的に検出可能な」腫瘍は、例えば、CATスキャン、磁気共鳴画像法(MRI)、X線、超音波、または触診のような処置によって腫瘍質量に基づいて検出可能なものである。生化学的または免疫学的所見のみで、この定義を満たすのは不十分である場合がある。
【0089】
「培養する」という用語は、イン・ビトロまたは適当な培地での細胞の保持、分化、および/または増殖を表す。
【0090】
「増加した」とは、生体に存在する組織に見られるよりも大きい比率の全細胞に存在する細胞を含んでなる組成物を意味する。例えば、本発明の方法によって作製されたCD83+CCR7- DCおよびCD83+CCR7+ DC の増加した培養物および製剤は、生体に存在する組織における比率と比較して、全細胞より高い比率で存在する(例えば、血液、皮膚、リンパ節など)。
【0091】
「組成物」とは、活性薬剤と、アジュバントのような不活性(例えば、検出可能な薬剤または標識)または活性な別の化合物または組成物との組合せを意味するものと解釈される。
【0092】
「医薬組成物」とは、活性薬剤と、イン・ビトロ、イン・ビボ、またはエクス・ビボでの診断目的または治療目的に適する組成物を作製する不活性または活性の担体との組合せを包含するものと解釈される。
【0093】
本明細書で用いられる「薬学上許容可能な担体」という用語は、標準的薬学担体、例えば、リン酸緩衝食塩溶液、水、およびエマルション、例えば、油/水エマルションまたは水/油型エマルション、および様々な種類の湿潤剤のいずれかを包含する。組成物は、安定剤および防腐剤を包含することもできる。例えば、担体、安定剤、およびアジュバントについては、Martin著「レミントンの薬科学(REMINGTON'S PHARM. SCL.)」, 第18版(Mack Publ. Co., Easton (1990))を参照されたい。
【0094】
「有効量」とは、医学的状態(疾患、感染など)の高められた免疫応答、治療、予防、または改善のような有益または所望な結果を得る十分な量である。有効量は、一以上の投与、適用、または投薬で投与することができる。適当な投薬量は、体重、年齢、健康、治療を行う疾患または状態、および投与経路によって変化する。
【0095】
本明細書で用いられる「シグナル化」とは、未成熟または成熟樹状細胞を、IFN-γ受容体アゴニスト、TNF-α受容体アゴニスト、CD40Lポリペプチド、または他のCD40アゴニストと接触させることを意味する。一つの態様では、これらのアゴニストは、外部から供給される(例えば、細胞培地)。もう一つの態様では、ポリペプチドアゴニストは、ポリペプチドをコードする核酸による未成熟または成熟樹状細胞のトランスフェクションによって供給される。あるいは、核酸アプタマーアゴニストは、培地にまたはトランスフェクションによって供給することができた。(複数の)ポリペプチドを、ポリペプチドをコードする核酸により樹状細胞をトランスフェクトすることによって供給する場合には、シグナル化は核酸によるトランスフェクションよりはむしろポリペプチドをコードするmRNAの翻訳時に行われる。一つの態様では、本発明は、イン・ビボおよび/またはイン・ビトロで強力な免疫刺激応答を誘導する増加した個体数の成熟樹状細胞(DC)の製造方法を提供する。本明細書で用いられる「成熟樹状細胞」という用語は、未成熟DC(iDC)と比較して補助刺激分子CD83の細胞表面発現を高める樹状細胞を意味する。本発明の成熟DCとしては、CD83+CCR7- DCおよびCD83+CCR7+ DCが挙げられる。第二のシグナルであるCD40アゴニストを、未成熟CD83-CCR7-DCまたはCD83+CCR7-成熟DCに加えることができる。
【0096】
文献(Schaft 2005, Bonehill 2004)には、抗原コードRNAによるDCの成熟後、エレクトロポレーションによりDCの免疫応答を引き起こす能力が一層大きくなることを示唆している。従って、CD83+CCR7-成熟DCに対するCD40Lシグナル化の時期を変更することにより(表現型成熟後)、「CD40Lベース工程」(CD83--iDCの連続IFN-γシグナル化およびCD40Lシグナル化)を変更する方法が開発された。この態様では、DCを最初に「炎症伝達物質」、IFN-γおよびTNF-α、および場合によってPGE2を培地に加えた後、12-30時間(好ましくは約18時間)後にCD40L mRNAおよび抗原コードmRNAでエレクトロポレーションを行うことによって表現型の成熟を行った。この新規な方法は、CD83+CCR7+成熟DCを産生する目的でCD40Lによる成熟後エレクトロポレーションに対して「PME-CD40L」と命名された。エレクトロポレーションの四時間後に回収されワクチンとして処方された細胞は、イン・ビトロ分析法で最大免疫力を伝達することが示された(実施例参照)。さらにもう一つの増加としては、DCにNKT細胞の活性化リガンド、すなわちα-ガラクトシルセラミドでパルスを加え、このエフェクター細胞の個体群を免疫応答に補充することができる。NKT細胞は、TヘルパーおよびT細胞傷害性細胞の両性質を示し、NKT細胞はIFN-γを分泌し、CD40Lを提示し、グランザイムBを分泌することができ、後者は標的細胞にアポトーシスを誘導する。従って、NKT細胞の補充によって、追加のNKT細胞 CD40L/DCCD40相互作用によりDC機能を高めることができ、またはヘルパーサイトカインを分泌し、および/または標的細胞に対する直接的溶解効果に寄与することによって細胞性免疫応答を増幅することができる。
【0097】
iDCに対する第一のシグナル(IFN-γ受容体アゴニストおよび/またはTNF-α受容体アゴニスト)およびCD83-CCR7- iDCまたはCD83+CCR7-成熟DCに対する第二のシグナル(CD40アゴニスト)による連続シグナル化の後、生成するDCは、(i) 補助刺激分子CD80、CD83、およびCD86の細胞表面発現が高められ、ii) CCR7+であり、iii) IL-12p70ポリペプチドまたはタンパク質を分泌し、および/またはかなり減少したレベル(106個のDC当たり0 - 500pg)のIL-10を分泌することを示している。好ましい態様では、本発明の成熟CD83+CCR7+DCは、少なくとも1000pgのIL-12/106DC、好ましくは少なくとも2000、3000、4000、5000、または6000pgのIL-12/106DC、さらに好ましくは少なくとも7000、8000、9000、または10,000pgのIL-12/106DC、最も好ましくは少なくとも12,000、15,000、17,000、または20,000pgのIL-12/106DCを産生する。IL-10およびIL-12のレベルは、未成熟DCからのDC成熟の誘導の三十六時間後までに回収した培養上清のELISAにより決定することができる。Wierda et al. (2000) Blood 96:2917、Ajdary et al. (2000) Infection and Immunity 68:1760。
【0098】
未成熟DCは、DC前駆細胞を含む適当な組織供給源から単離し、または調製し、イン・ビトロで分化して未成熟DCを産生することができる。例えば、適当な組織供給源は、一以上の骨髄細胞、末梢血前駆細胞(PBPC)、末梢血幹細胞(PBSC)、および臍帯血細胞であってもよい。好ましくは、組織供給源は、末梢血単核球(PBMC)である。組織供給源は新鮮であるかまたは冷凍したものでもよい。もう一つの態様では、細胞または組織供給源を、非幹細胞または前駆細胞の成長および分化を促進する有効量の増殖因子で前処理し、次いで目的とする細胞から一層容易に分離する。これらの方法は当該技術分野で知られており、Romani, et al. (1994) Exp. Med. 180:83およびCaux, C. et al. (1996) Exp. Med. 184:695に簡単に記載されている。一つの態様では、未成熟DCSは、末梢血単核球(PBMC)から単離される。好ましい態様では、PBMCをインターロイキン4(IL-4)および/またはIL-13の存在または非存在下で有効量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)で処理し、PBMCを未成熟DCに分化させる。最も好ましくは、PBMCをGM-CSFおよびIL-4の存在下にて約4-7日間、好ましくは約5-6日間培養して、未成熟DCを産生させる。好ましい態様では、第一のシグナルを4、5、6、または7日目に、最も好ましくは5日目または6日目に加える。さらに、GM-CSFならびにIL-4および/またはIL-13は、第一および/または第二のシグナル化の時点で培地に含まれていてもよい。
【0099】
ヒトを含む動物における樹状前駆細胞の数を増加させるため、対象者に造血を刺激する物質を前投与することができる。このような物質としては、G-CSFおよびGM-CSFが挙げられるが、これらに限定されない。投与される造血因子の量は、この因子を投与する個体の細胞格差を観察することによって当業者が決定することができる。典型的には、G-CSFおよびGM-CSFのような因子の投薬量は、細胞傷害性薬剤での治療から回復している個体を治療するのに用いられる投薬量と同様となる。一例としては、GM-CSFまたはG-CSFを標準的用量で4-7日間投与した後、供給源組織を除去して、樹状細胞前駆体の比率を増加させることができる。米国特許第6,475,483号には、G-CSFを毎日300μgずつ5-13日間投薬およびGM-CSFを毎日400μgずつ4-19日間投薬することにより、樹状細胞が十分な収量で得られることが教示されている。
【0100】
本発明の方法は、強力な免疫刺激薬である増加した個体数の成熟CD83+CCR7+樹状細胞を産生する。具体的には、本発明は、成熟樹状細胞(DC)を調製する方法であって、(a)単離した未成熟樹状細胞(iDC)をインターフェロンγ受容体(IFN-γR)アゴニストと、場合によってTNF-αRアゴニストを含んでなる第一のシグナルでシグナル化して、IFN-γRアゴニストシグナル化樹状細胞を産生し、(b)前記IFN-γRアゴニストシグナル化樹状細胞を有効量のCD40アゴニストを含んでなる第二の一過性シグナルでシグナル化してCCR7+成熟樹状細胞を産生させる一連の工程を含んでなる方法を提供する。本発明は、さらにCD83+CCR7-成熟DCおよびCD83+CCR7+成熟DCを提供する。好ましい態様では、本発明のCD83+CCR7+成熟DCおよび/またはCD83+CCR7-成熟DCは、一時的にCD40Lポリペプチドを発現する。好ましくは、CD40Lは、細胞表面上よりもむしろ細胞内に主として局在している。最も好ましくは、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%のCD40Lポリペプチドが細胞内に局在している。
【0101】
別の態様では、未成熟樹状細胞を有効量のTNF-α受容体アゴニストでシグナル化した後、CD40アゴニストでシグナル化する。従って、本発明は、成熟樹状細胞(DC)の調製方法であって、単離した未成熟樹状細胞を腫瘍壊死因子α受容体(TNF-αR)アゴニストを含んでなる第一のシグナルに続いてCD40アゴニストを含んでなる第二のシグナルにより順次シグナル化し、前記シグナル化が有効量のIL-1βおよび/またはIL-6の非存在下におけるものであることを特徴とする、方法を提供する。
【0102】
いずれかの態様(第一のシグナルとしてのIFN-γRアゴニストまたはTNF-αRアゴニスト)について、第二のCD40アゴニストシグナルをCD83-CCR7- iDCまたはCD83+CCR7成熟 DCに加えることができる。好ましい態様では、未成熟DCおよび/または成熟DCをPGE2と接触させる。好ましくは、細胞を、それらが第一のシグナル(IFN-γRアゴニストまたはTNF-αRアゴニスト)を受け取るのとほぼ同時にPGE2と接触させる。好ましい態様では、GM-CSFおよび、IL-4またはIL-13の少なくとも一方は、樹状細胞が第一シグナルおよび第二シグナルを受け取る際に培地に含まれる。さらなる態様では、この方法は、未成熟樹状細胞、シグナル化樹状細胞、および/またはCCR7+樹状細胞をCD1d制限NKT細胞を活性化した後、先天性および養子免疫を増強することができるNKT細胞リガンドと接触させることをさらに含んでなる。好ましい態様では、NKT細胞リガンドは、α-ガラクトシルセラミド、α-グルコシルセラミド、α-6-デオキシガラクトシルセラミド、α-6-デオキシガラクトフラノシルセラミド、β-6-デオキシガラクトフラノシルセラミド、β-アラビノシルセラミド、α-C-ガラクトシルセラミド、およびα-S-ガラクトシルセラミドからなる群から選択される化合物である。好ましい化合物は、KRN7000 ((2S,3S,4R)-1-O-(α-D-ガラクトピラノシル)-2-(N-ヘキサコサノイルアミノ)-1,3,4-オクタデカントリオール)として知られているα-ガラクトシルセラミドである。
【0103】
日本国特許第3068910号に開示されたアゲラスフィンは、当初は海綿に見出された化合物の種類であり、α-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)構造、免疫刺激、および抗腫瘍活性を有する。KRN7000は、米国特許第5,767,092号に開示されているアゲラスフィンの強力な合成類似体であり、その内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。アゲラスフィンの他の有用な類似体は、米国特許第5,936,076号に開示されており、その内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。KRN7000の構造を下記に示す。
【化1】

【0104】
KRN7000のグリコシルセラミド類似体(例えば、α-ガラクトシルセラミド、α-グルコシルセラミド、α-6-デオキシガラクトシルセラミド、α-6-デオキシガラクトフラノシルセラミド、β-6-デオキシガラクトフラノシルセラミド、β-アラビノシルセラミド)は、米国特許第5,849,716号に開示されており、その内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。米国特許第5,780,441号(その内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)には、KRN7000のオリゴ糖(二、三、四、五糖類)誘導体が開示されている。KRN7000およびKRN7000抗原負荷したDCを産生し、かつヒトNKT細胞を活性化するための関連類似体は、米国特許出願連続番号第09/721,768号および米国特許第6,531,453号に開示されており、前記特許明細書のそれぞれの内容は、その開示の一部として具体的に本明細書に引用される。
【0105】
米国特許第5,936,076号(その内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)には、下記式で表されるα-ガラクトシルセラミド化合物が開示されている:
【化2】

[前記式中、脂肪酸鎖であるRは下記を表し:
【化3】

(前記式中、R2は、HまたはOHを表し、Xは、0-26の整数を表す)または
Rは、-(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3を表し、そして
R1は、下記の(a)-(e)によって定義される置換基のいずれか一つを表す:
(a) -CH2(CH2)YCH3
(b) -CH(OH)(CH2)YCH3
(c) -CH(OH)(CH2)YCH(CH3)2
(d) -CH=CH(CH2)YCH
(e) -CH(OH)(CH2)YCH(CH3)CH2CH3
(式中、Yは、5-17の整数である)。]。
【0106】
WO 03/105769号、米国特許出願第2004/0127429号(その内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)、およびShimieg J. et al., (2003) J. Exp. Med. 198:1631-1641には、α-C-糖脂質であって、α-ガラクトシルセラミドおよびα-グルコシルセラミドのようなα-グリコシルセラミドのグリコシド結合上の酸素原子が炭素原子によって置換されている構造が開示されている。代表的な化合物の構造を下記に示す。
【化4】

【0107】
WO 03/016326号(その内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)には、下記の構造を有する「C4」または「OCH」のような切端セラミドを有するKRN7000類似体が開示されている。
【化5】

【0108】
米国特許第6,63 5,622号(その内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)には、α-C-糖脂質、N-糖脂質、またはS-糖脂質であって、ガラクトシルセラミドのグリコシド結合上の酸素原子が-(CH2)a-CH=CH-(CH2)a'-、-(CH2)a-S(O)0-2-CH2-、または-NHCH2- (式中、aおよびa'はそれぞれ0-5の整数を表し、a + a'は5以下である)によって置換されているものが開示されている。
【0109】
好ましい態様では、IFN-γRアゴニストはIFN-γまたはその生物活性断片である。好ましくは、IFNγは哺乳類IFNγであり、最も好ましくはヒトIFNγである。ヒトIFNγのcDNAおよびアミノ酸配列を、それぞれ配列番号:5および6に示す。好ましくは、IFNγは配列番号:6またはその断片に示される配列を有する。一つの態様では、IFN-γRは、配列番号:6と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドである。好ましくは、IFN-γRアゴニストは、配列番号:6と少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。IFN-γRアゴニストの活性を試験する方法は、当業者に知られており、これらの方法の幾つかを以下に説明する。未成熟DCは、IFN-γRアゴニストを培地に添加することによって、またはIFN-γRアゴニストを樹状細胞で発現させることによってシグナル化することができる。一つの態様では、DCを配列番号:6またはその生物活性断片のようなIFN-γRアゴニストをコードするmRNAでトランスフェクトする。次に、樹状細胞内でmRNAの翻訳時にシグナル化が起こる。最も好ましくは、IFN-γRアゴニストを、未成熟DCを含む培地に加える。好ましい態様では、培地はさらにPGE2および/またはGM-CSF+IL-4またはIL-13を含んでなる。
【0110】
IFN-γの受容体は、二個のサブユニット、すなわちIFN-γR1であるリガンド結合鎖(α鎖としても知られている)およびIFN-γR2であるシグナル伝達鎖(β鎖または補助因子1としても知られている)を有する。これらのタンパク質は、異なる染色体上にある別々の遺伝子(それぞれIFNGR1およびIFNGR2)によってコードされる。リガンド結合(またはα)鎖はIFN-γと相互作用するので、それらは二量体化し、二本のシグナル伝達(またはβ)鎖と会合する。受容体集合体は、ヤヌスキナーゼJAK1およびJAK2を活性化し、IFN-γR1の細胞内ドメイン上のチロシン残基をリン酸化する。これにより、(「転写のシグナルトランスデューサーおよびアクチベーター」のための)STAT1が補充されてリン酸化され、ホモ二量体を形成し、核へ転位して、広汎なIFN-γ反応遺伝子を活性化する。シグナル化の後、リガンド結合鎖は内在化して、解離する。次に、これらの鎖を細胞表面に再循環させる。Bach et al. (1997) Ann. Rev. Immunol. 15, 563-591およびLammas, Casanova and Kumararatne (2000) Clin Exp Immunol 121, 417-425。ヒトIFN-γとIFN-γRα (sIFN-γRα)の可溶性のグリコシル化細胞外部分との複合体の結晶構造は、多波長異常回折法を用いて2.9Åの分解能で決定した。Thiel et al. Structure 8:927-936 (2000)。
【0111】
一つの分析では、INF-γのようなIFN-γ受容体アゴニストは、ヒト腸上皮Caco-2細胞でNa+-K+-ATPアーゼ活性を経時的および濃度依存的に減少させる。Na+-K+-ATPアーゼ活性は、全部およびウワバイン感受性ATPアーゼとの間の差として測定することができる。IFN-γで処理すると、全部およびリン酸-STAT1の発現が著しく増加し、これはp38 MAPKの活性化を伴っている。p38 MAPキナーゼ活性は、p38 MAPキナーゼアッセイキットを用いるウェスタンブロット法によって分析することができる。全部およびリン酸化STAT1タンパク質レベルを、PhosphoPlus Statiを用いて検出した。IFN-γによって動作に設定された形質導入機構は、活性化下流STAT1リン酸化と、Raf-1、MEK、ERK2、およびp38 MAPK経路の活性化を伴う。Magro et al., Br J Pharmacol アドバンス・オンライン・パブリケーション(advance online publication), July 26, 2004; doi:10. 1038/sj.bjp.0705895を参照されたい。前記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0112】
説明のため、IFN-γ受容体アゴニスト、TNF-α受容体アゴニスト、および/またはCD40アゴニストによるシグナル化は、細胞をそれぞれIFN-γポリペプチドおよび/またはタンパク質、および/またはTNF-αポリペプチドまたはタンパク質、および/またはCD40アゴニストと直接接触させることによって提供することができる。あるいは細胞とIFN-γRアゴニスト、TNF-αRアゴニスト、またはCD40アゴニストとのシグナル化は、樹状細胞内でのこれらのポリペプチドまたはタンパク質をコードするmRNAの翻訳時に起こってもよい。従って、シグナル化は、IFN-γRアゴニスト、TNF-αRアゴニスト、およびCD40アゴニストポリペプチドおよび/またはタンパク質の発現時に起こる。
【0113】
本発明の方法で用いられる第二のシグナルは、CD40アゴニストによる一過性シグナルである。Koyaら(前記引用)に記載されているレンチウイルスからのCD40Lの構成的発現のような、CD40アゴニストポリペプチドの持続的発現は、一過性発現とは考えられない。CD40アゴニストを含む培地がDCから除去されるか、またはDCがCD40アゴニストをコードするmRNAを負荷している場合には、シグナルは一過性であると考えることができる。CD40アゴニストシグナルは、DCがCD40アゴニストをコードする発現ベクター、を負荷しているか/でトランスフェクトされる場合には、1)CD40アゴニスト発現を行うプロモーターがDCで構成的でないか、または2)発現ベクターがDCにおけるDCゲノムあるいは複製物に組込まれないという条件で一過性であると考えることもできる。
【0114】
好ましい態様では、CD40アゴニストは、CD40LポリペプチドまたはCD40作用性抗体である。一般に、CD40を結合するリガンドは、CD40アゴニストとして作用することができる。本出願人らは、CD40Lを含んでなる第二のシグナルを未成熟または成熟DCのCD40L mRNAによるトランスフェクションによって投与すると、続いて免疫抑制よりはむしろ免疫刺激応答を誘導する修飾DCを産生することを示した。一つの態様では、CD40L mRNAでトランスフェクトした樹状細胞を、トランスフェクションの直後でCD40L mRNAの翻訳前にIFN-γ(および同様に優先的にPGE2)を含む培地で培養して、有効量のCD40Lシグナルを産生する。この態様では、IFNγをCD40L mRNAによるトランスフェクションの後に加えるにも拘わらず、樹状細胞はCD40LmRNAの翻訳時に生じるシグナルの前にIFNγシグナルを受け取る。従って、薬剤を細胞に送達する順序は、CD40Lシグナル化がIFN-γシグナル化の後に起こらなければならないという点においてのみ重要である。以下においてさらに詳細に説明するように、DCのシグナル化がイン・ビボまたはエクス・ビボで生じることができ、あるいは一以上の組がエクス・ビボで起こり、かつこの方法の残りの過程がイン・ビボで起こる可能性もある。
【0115】
一つの態様では、CD40アゴニストはCD40を結合させるアプタマー(aptamer)である。同様に、IFN-γおよびTNF-αは、アプタマー(aptamer)、抗体など同様な生物活性を有するものによって置換されていることがある。最も好ましくは、CD40アゴニストは、CD40LをコードするmRNAとして送達される。
【0116】
本明細書で用いられる「CD40リガンド」(CD40L)は、CD40受容体を特異的に認識し、活性化し、かつその生物活性を活性化する任意のポリペプチドまたはタンパク質を包含する。この用語は、CD40Lの膜貫通形態および可溶性形態を包含する。好ましい態様では、CD40アゴニストは哺乳類のCD40Lであり、好ましくはヒトのCD40Lである。ヒトcDNAおよびマウスcDNA、およびタンパク質の配列を、それぞれ図16および17に示す。ヒトCD40L cDNAおよび対応するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:1および2に示す。CD40Lのオープンリーディングフレームは配列番号:1のヌクレオチド40 - 822によって表され、TGA停止コドンは823 - 825位にある。また、切端CD40L (配列番号:1のヌクレオチド残基178 - 825によってコードされる配列番号:2の残基47 - 261)、および配列番号:1のヌクレオチド43 - 825、配列番号:1の181 - 825、配列番号:1の193 - 825、配列番号:1の376 - 825、配列番号:1の379 - 825、および配列番号:1の400 - 825によってコードされるCD40L断片も、本発明の方法に有用である。好ましい態様では、CD40Lポリペプチドは、下記からからなる群から選択される:
a)配列番号:2を含んでなるポリペプチド、b)配列番号:2のアミノ酸残基47 - 261を含んでなるポリペプチド、c)配列番号:2のアミノ酸残基51 - 261を含んでなるポリペプチド、d)配列番号:2のアミノ酸残基120 - 261を含んでなるポリペプチド、e)配列番号:2のアミノ酸残基113 - 261を含んでなるポリペプチド、f)配列番号:2のアミノ酸残基112 - 261を含んでなるポリペプチド、g)配列番号:10を含んでなるポリペプチド、h)配列番号:2のアミノ酸残基35 - 261を含んでなるポリペプチド、i)配列番号:2のアミノ酸残基34 - 225を含んでなるポリペプチド、j)配列番号:2のアミノ酸残基113 - 225を含んでなるポリペプチド、k)配列番号:2のアミノ酸残基120 - 225を含んでなるポリペプチド、および1)(a) - (k)のいずれかのポリペプチドの断片であって、CD40に結合している前記断片。
【0117】
好ましくは、CD40Lポリペプチドは、下記からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含んでなるmRNAによってコードされる:
a)配列番号:1のポリヌクレオチド、b)配列番号:1のヌクレオチド40 - 822を含んでなるポリヌクレオチド、c)配列番号:1のヌクレオチド178 - 822を含んでなるポリヌクレオチド、d)配列番号:1のヌクレオチド190 - 822を含んでなるポリヌクレオチド、e)配列番号:1のヌクレオチド397 - 822を含んでなるポリヌクレオチド、f)配列番号:1のヌクレオチド376 - 822を含んでなるポリヌクレオチド、g)配列番号:9のポリヌクレオチド、h)配列番号:13のポリヌクレオチド、i)(a) - (h)のいずれかのポリヌクレオチドと少なくとも80%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、j)(a) - (h)のいずれかのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド、およびk)さらに配列番号:14、15、16、17、または18の核酸からなる群から選択される3'未翻訳配列、および/または配列番号:19、20、21、22、または23の核酸からなる群から選択される5'未翻訳配列を含んでなる(a) - (j)のポリヌクレオチド。
【0118】
あるいは、CD40Lポリペプチドは、下記からなる群から選択されるポリペプチドに少なくとも77%の配列同一性を有するポリペプチドである:
a)配列番号:2を含んでなるポリペプチド、b)配列番号:2のアミノ酸残基47 - 261を含んでなるポリペプチド、c)配列番号:2のアミノ酸残基51 - 261を含んでなるポリペプチド、d)配列番号:2のアミノ酸残基120 - 261を含んでなるポリペプチド、e)配列番号:2のアミノ酸残基113 - 261を含んでなるポリペプチド、f)配列番号:2のアミノ酸残基112 - 261を含んでなるポリペプチド、g)配列番号:10を含んでなるポリペプチド、h)配列番号:2のアミノ酸残基35 - 261を含んでなるポリペプチド、i)配列番号:2のアミノ酸残基34 - 225を含んでなるポリペプチド、j)配列番号:2のアミノ酸残基113 - 225を含んでなるポリペプチド、k)配列番号:2のアミノ酸残基120 - 225を含んでなるポリペプチド、および1)(a) - (k)のいずれかのポリペプチドの断片であって、CD40に結合する前記断片。
【0119】
CD40は、最初にBリンパ球上で発現した受容体として特性決定された。Schonbeck and Libby (2001) Cell Mol. Life Sci. 58:4。その後、B細胞CD40と活性化T細胞で発現されるCD40Lとの連結が、T細胞依存性B細胞活性化(すなわち、増殖、免疫グロブリン分泌、およびクラススイッチ)に本質的であることが見出された。その後、機能性CD40は、造血前駆細胞、Tリンパ球、好塩基球、好酸球、単球/マクロファージ、樹状細胞、上皮細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、ケラチノサイト、繊維芽細胞、および癌腫などB細胞以外の様々な細胞型で発現することが明らかになった。Schonbeck and Libby (2001)(前記引用)。
【0120】
CD40リガンドは、1993年にクローニングされ、Gauchat, et al. (1993) FEBS Lett. 315:259により報告された。Grafらは、これを染色体Xq26.3-q27.1にマッピングした(Graf, et al. (1992) Eur. J. Immunol. 22:3191-3194)。CD40リガンドの細胞会合した完全長の39kDa形態の短めの可溶性形態は、分子量が33 kDaおよび18 kDaであることが報告されている。Graf, et al. (1995) Eur. J. Immunol. 25:1749、Ludewig, et al. (1996) Eur. J. Immunol. 26:3137、Wykes, et al. (1998) Eur. J. Immunol. 28:548。18kDaの可溶性形態は、細胞内タンパク分解開裂によって生成し、これは細胞質尾部、膜貫通領域、および細胞外ドメインの一部を欠いているが、CD40結合ドメインを保存し、CD40受容体に結合する能力を保持しており、従ってCD40受容体シグナル化剤の一例である。Graf, et al. (1995)(前記引用)。
【0121】
米国特許第5,981,724号には、ヒトCD40リガンド(CD40L)ならびにベクターをコードするDNA配列、およびCD40Lポリペプチドを産生するための形質転換宿主細胞が開示されている。米国特許第5,962,406号には、ヒトCD40Lの可溶性形態をコードするDNA配列が開示されている。
【0122】
CD40Lに対する哺乳類同族体の典型的な配列は、下記のジェンバンク(GenBank)登録番号: NM-204733 (Gallus gallus (ニワトリ))、DQ054533 (Ovis aries (ヒツジ))、Z48469 (Bos taurus (ウシ))、AY333790 (Canis familiaris (イヌ))、Macaca nemestrina (ブタオザル))、AF344844 (Callithrixjacchus (シロフサミミマーモセット))、AF34481 (Cercicebus torquatus atys (ハイイロマンガベイ))、AF344860 (Aotus trivirgatus (ヨザル))、AF344859 Macaca mulatta (アカゲザル))、AF116582 (Rattus nevegicus (ノルウェーラット))、およびAF079105 (Felus catus (ネコ))を有する。
【0123】
CD40受容体は、CD40アゴニスト抗体、その抗体断片、誘導体、および変異体を用いて活性化することもできる。CD40アゴニスト抗体は、Mabtech (Nacka, スウェーデン)のような市販業者から購入することができる。これらの薬剤を生成するための例および方法は、以下にも提供している。この文献は、CD40アゴニスト抗体および抗体断片の例も提供する。例えば、Osada, et al. (2002) 25(2):176およびLedbetter, J.A. et al. (1997) Crit. Reviews in Immunol. 17:427を参照されたい。
【0124】
前記のように、CD40Lの生物活性を有する薬剤は、CD40Lをコードする外来ポリヌクレオチド(mRNAまたはDNA)から翻訳されたポリペプチドであってもよい。例えば、CD40L mRNAは、配列番号:1または配列番号:3の配列を有する。あるいは、細胞は有効量のCD40Lタンパク質および/またはポリペプチド、例えば、配列番号:2または配列番号:4の配列を有するものでシグナル化される。修飾CD40Lを、本発明の方法で用いることもできる。例えば、CD40Lとしては、任意の数のアミノ酸が付加、除去、または置換によって保存的にまたは非保存的に変更された分子が挙げられる。但し、生成するタンパク質はDC表面上のCD40と結合する。「保存的変更」とは、同様な電荷密度、親水性または疎水性、大きさ、および/または立体配置の代替アミノ酸(例えば、Ileに対するVal)を生じる変更である。対照的に、「非保存的変更」とは、異なる電荷密度、親水性または疎水性、大きさ、および/または立体配置の代替アミノ酸(例えば、Pheに対するVal)を生じる変更である。このような修飾を行うことの意味は当該技術分野で周知であり、市販のキットおよびベクター(例えば、New England Biolabs, Inc., ベヴァリー, マサチューセッツ、Clontech, パロアルト, カリフォルニアから発売されているもの)によって行うこともできる。
【0125】
薬剤が、この薬剤をコードするポリヌクレオチドまたは遺伝子として送達される場合には、有効量のポリヌクレオチドを当該技術分野で知られている任意の方法によって複製できる。PCR技術はDNAを複製する一手段であり、米国特許第4,683,195号、4,800,159号、4,754,065号、および4,683,202号、および「PCR: ポリメラーゼ連鎖反応(PCR: THE POLYMERASE CHAIN REACTION)」(Mullis et al.監修, Birkhauser Press, ボストン(1994))およびその引用文献に記載されている主題である。ポリヌクレオチドを生成する他の方法は、以下に示す。
【0126】
未成熟樹状細胞をTNF-α受容体のアゴニストで刺激した後にCD40アゴニストで刺激する本発明の態様では、この方法は、有効量のインターロイキン1β (IL-1β)および/またはインターロイキン6 (IL-6)の非存在下で行う。IL-1βおよびIL-6のようなタンパク質の存在の検出方法は、当該技術分野で知られている。
【0127】
当業者であれば、CD40L mRNAおよび/またはCD40Lポリペプチドを発現する成熟DCの存在についての個体群からDCの細胞または小個体群を採取することによって、いつこの方法の目的が達成されるかを決定できる。もう一つの態様では、本発明の成熟CD83+CCR7+DCは、インターロイキン12(IL-12)p35タンパク質を発現する。もう一つの態様では、成熟CD83+CCR7+ DCはIL-12p70タンパク質を発現し、および/またはIL-10を限定的に発現する(最高で500pg/mL/106DCまで)。
【0128】
この方法の工程は、イン・ビボまたはエクス・ビボで実施することができる。エクス・ビボで実施する場合には、この方法は開放系または閉鎖系で行うことができる。細胞個体群を培養して高める方法および系は、当該技術分野で知られている。米国特許公開第2004/0072347号の実施例1および2を参照されたい。また、米国特許公開第2003/0235908号も参照されたい。前記明細書には、細胞増殖のための閉鎖系が記載されている。
【0129】
本発明のもう一つの態様では、前記方法は、未成熟または成熟DCに後で成熟DCによって処理および提示される有効量の抗原を加えることによって修飾される。従って、本発明の方法は、さらにiDC、シグナル化DC、またはCCR7+成熟DCに一以上の抗原または一以上の抗原をコードする(複数の)ポリヌクレオチドを導入して、抗原負荷CCR7+成熟DCを産生させることを含んでなる。抗原または抗原をコードするポリヌクレオチドは、前記第一のシグナルの前に導入することができる。あるいは、抗原または抗原をコードするポリヌクレオチドは、前記第一のシグナルの後であって前記第二のシグナルの前に輸送される。もう一つの態様では、抗原またはポリヌクレオチドは、前記第二のシグナルの後または前記第二のシグナルと実質的に同時に輸送される。
【0130】
例えば、抗原としては、病原体、病原体溶解物、病原体抽出物、病原体ポリペプチド、ウイルス粒子、細菌、タンパク質、ポリペプチド、癌細胞、癌細胞溶解物、癌細胞抽出物、癌細胞特異的ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。抗原は、天然に存在しているか、または組換えにより産生することができる。免疫原は、以下に簡単に記載される当該技術分野で知られている方法を用いてポリペプチド、タンパク質、または核酸として細胞に輸送することができる。好ましくは、一以上の抗原をコードする一以上のポリヌクレオチドを、iDC、シグナル化DC、またはCCR7+成熟DCに導入する。ポリヌクレオチドは、当該技術分野で知られている方法によってDCに導入することができる。好ましい態様では、ポリヌクレオチドはエレクトロポレーションによって導入される。最も好ましくは、ポリヌクレオチドはmRNAである。好ましい態様では、抗原またはmRNAをコードする抗原は、CD40アゴニストをコードするmRNAと共に、またはCD40アゴニストのシグナル化と実質的に同時に導入される。
【0131】
この方法は、細胞を有効量のサイトカインまたは補助的刺激分子、例えば、GM-CSF、IL-4、およびPGE2と接触させることによってさらに修飾することができる。未成熟DCをTNFαRアゴニストでシグナル化した後に、CD40アゴニストによりシグナル化する態様では、有効量のIL-1βおよび/またはIL-6が培養物から特異的に除外される。
【0132】
抗原は、抗原の調製または抗原を誘導してそれがAPCに遭遇する環境に入れることにヒトの介入が関与しないという点で「天然」形態で輸送される。あるいはまたはさらに、抗原は、例えば慣用される通常のアレルギー注射または腫瘍溶解物で投与される型の粗精製剤を含んでなることがある。抗原は、あるいは例えば、少なくとも約90%の純度に実質的に精製することができる。
【0133】
抗原がペプチドである場合は、例えば単離したタンパク質のタンパク質分解開裂によって生成させることができる。様々な開裂薬剤のいずれを用いることもでき、ペプシン、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシンなどが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、ペプチドは、好ましくは当該技術分野で入手可能な自動合成装置上で化学的に合成することができる。また、組換え技術を用いて、目的のペプチドをコードする核酸を作製し、ペプチドを所望な条件下で発現させることができる。
【0134】
抗原は、任意の天然に存在する化合物とは異なる構造を有することもできる。本発明の別の態様では、抗原は、この抗原が天然に存在する抗原の構造と実質的に同一であるが、天然に存在する化合物の正確な構造とは一以上の偏差を含む構造を有するという点において「修飾抗原」である。例えば、天然に存在する抗原がタンパク質またはポリペプチド抗原である場合には、そのタンパク質またはポリペプチド抗原と比較して修飾抗原は、一以上のアミノ酸の付加、置換、または欠失において天然に存在する抗原とは異なるアミノ酸配列を有し、および/またはアミノ酸に共有結合した一以上の化学残基の付加、置換、または欠失によって天然に存在する抗原の対応するアミノ酸とは異なる一以上のアミノ酸を含む。一つの態様では、天然に存在する抗原および修飾抗原は、少なくとも約75%の同一性を有する少なくとも5 アミノ酸の少なくとも一個の領域を共有している。当業者であれば、それらの同一性の範囲を決定する目的での二つのアミノ酸配列の比較において、同一アミノ酸の伸展(stretches)(すなわち、少なくとも二つの領域)の間隔を常に正確に保存する必要はないことが理解されるであろう。天然に存在するおよび修飾タンパク質またはポリペプチド抗原は、少なくとも五個のアミノ酸の少なくとも一つの領域についてのアミノ酸配列において少なくとも約80%の同一性、さらにあるいは85%、90%、95%、または99%を上回る同一性を示すことができる。指定した程度の同一性を示すことは、アミノ酸配列のずっと長い領域(例えば、10、20、50、または100以上のアミノ酸)に有用であることが多い。
【0135】
好ましい態様では、抗原はこの抗原をコードするポリヌクレオチドまたは遺伝子として輸送されるので、遺伝子の発現によって治療される個体(イン・ビボで輸送される場合)または細胞培養系(イン・ビトロで輸送される場合)のいずれでも抗原が産生される。発現可能な遺伝子を含む核酸を生成し、かつ発現可能な遺伝子によってコードされる任意のタンパク質を産生する発現系にこれらの核酸を導入する技術は、当該技術分野で知られており、以下に簡単に説明する。好ましくは、抗原をコードするmRNAをDCに導入する。
【0136】
一つの態様では、免疫原を前記第一のシグナルの前に輸送し、第一のシグナルはIFNγRアゴニストまたはTNF-αRである。あるいは、免疫原を前記第一のシグナルの後であって、かつ前記第二のシグナルの前に輸送するか、または免疫原を前記第二のシグナルの後に輸送する。もう一つの態様では、免疫源を前記第二のシグナルと実質的に同時に輸送する。
【0137】
いずれか特定の組成物または用途に用いられる抗原の量は、当業者であれば容易に理解されるように、特定の抗原の性質およびこれを用いる用途の性質によって変化する。
【0138】
抗原を負荷した樹状細胞は、(複数の)抗原に対する免疫応答を生じさせるのに有用である。従って、一つの態様では、本発明は、対象者に有効量の免疫原を負荷したCCR7+成熟DCを投与することを含んでなる、対象者に免疫応答を生じさせる方法を提供する。負荷したDCは、対象者にとって同種または自己由来であってもよい。
【0139】
本発明は、さらに免疫エフェクター細胞を刺激する方法であって、前記細胞を本発明の方法によって産生した抗原を負荷したCCR7+成熟DCの存在下にて培養し、刺激された免疫エフェクター細胞を産生することを含んでなる、方法を提供する。もう一つの態様では、本発明は、対象者に有効量の前記刺激した免疫エフェクター細胞を投与することを含んでなる、対象者の免疫を高める方法を提供する。
【0140】
本発明のもう一つの態様では、有効量のサイトカインおよび/または補助的刺激分子を細胞または患者にイン・ビトロまたはイン・ビボで送達する。これらの薬剤は、ポリペプチド、タンパク質、あるいはそれらをコードするポリヌクレオチドまたは遺伝子として送達することができる。サイトカイン、補助的刺激分子、およびケモカインは、不純物の混じった製剤(例えば、細胞にとって内因性または外因性のサイトカイン遺伝子を発現する細胞の単離物)として、または「精製」形態で提供することができる。精製された製剤は、好ましくは少なくとも約90%の純度であるか、あるいは少なくとも約95%の純度、あるいはまた少なくとも約99%の純度である。あるいは、サイトカインをコードするまたは薬剤を誘導する遺伝子を提供し、治療を行う個体でまたは発現したサイトカインまたは誘導剤を個体に投与する目的で得ることができる別の発現系(例えば、イン・ビトロ転写/翻訳系または宿主細胞)でサイトカインまたは誘導剤を産生するようにすることができる。
【0141】
サイトカインと抗原が両方とも個体に送達される場合には、それらを一緒にまたは別々に提供することができる。それらをポリペプチドまたはタンパク質として送達する場合には、それらは通常のカプセル化手段で、または共有結合、水素結合、疎水性相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用などのような物理的会合によって送達することができる。もう一つの態様では、化合物が一緒に供給され、両者をコードする遺伝子が提供される。例えば、両者に対する遺伝子は、同一核酸分子の一部として提供することができる。幾つかの態様では、この核酸分子を、サイトカインと抗原がペプチド結合を介して互いに共有結合している融合タンパク質としての単一の連続的ポリヌクレオチドから両因子が発現されるように、調製することができる。あるいはまたはさらに、遺伝子を同一のまたは同等な制御配列に結合させ、両遺伝子を同一刺激に応答して個体内で発現させることができる。異なる条件下で異なる宿主細胞で活性である多種多様な異なる制御配列が、当該技術分野で知られている。構成的制御配列、誘導的制御配列、および抑制的制御配列などこれらの制御配列を本発明に準じて用いることができるが、誘導的または抑制的配列が、遺伝子発現の時期についての追加的制御が望ましい用途には特に好ましい。
【0142】
サイトカインおよび/または抗原の投与は、場合によって、例えばアジュバントまたは他の免疫調節化合物のような任意の他の所望な免疫系調節因子と組み合わせることができることは当業者には理解されている。
【0143】
抗原は、抗原をコードするポリヌクレオチドまたは遺伝子の形態で送達することもできる。抗原は、第一のポリペプチド(例えば、第一の抗原)からの配列の一部を第二のポリペプチド(例えば、第二の抗原、シグナル配列、膜貫通ドメイン、精製ハンドルなど)からの配列の一部をペプチド結合によって連結することによって修飾することもできる。当業者であれば、本発明に準じて用いるこのような融合タンパク質の多様性を理解するであろう。組換え技術では、さらにアミノ酸配列の置換、欠失、付加、または逆位によってポリペプチドまたはタンパク質抗原のアミノ酸配列を容易に修飾することができる。
【0144】
免疫原が抗原の断片である場合には、これを例えば単離したタンパク質のタンパク質分解による開裂によって生成することができる。ペプシン、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシンなど様々な開裂薬のいずれを用いることができるが、これらに限定されない。あるいは、ペプチドは、当該技術分野で入手可能な、好ましくは自動合成装置上で化学的に合成することができる(例えば、Stewart et al.,「固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis)」, 第2版, Pierce Chemical Co., 1984を参照)。また、組換え技術を用いて、目的とするペプチドをコードする核酸を作製し、所望な条件下で(例えば、宿主細胞でまたはこれを容易に精製することができるイン・ビトロ発現系で)そのペプチドを発現させることができる。
【0145】
好ましい態様では、抗原は癌細胞または病原体に由来する。好ましくは、腫瘍細胞は、腎癌細胞、多発性骨髄腫細胞、または黒色腫細胞である。好ましい病原体は、HIVおよびHCVである。好ましい態様では、抗原は、腫瘍細胞または病原体から単離した、または由来するRNAの形態の抗原提示細胞に送達される。任意の細胞(例えば、腫瘍細胞または病原体細胞)から抽出されるRNAのRT-PCRおよびイン・ビトロ転写の方法は、同時に係属しているPCT/US05/32710号および米国仮出願第60/525,076号に開示されており、それらの明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0146】
本発明に用いられる抗原は、天然に存在する化合物であってもよく、あるいは任意の天然に存在する化合物とは異なる構造を有していてもよい。本発明のある態様では、抗原は、その抗原が天然に存在する抗原と実質的に同一であるが、天然に存在する化合物の正確な構造から一以上の偏差を包含する構造を有するという点において、「修飾抗原」である。
【0147】
本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかによって調製した成熟DCの増加した個体群も提供する。本発明の方法によって調製される成熟DCは、増強された免疫刺激特性を有する。もう一つの態様では、本発明は、増加した個体群の成熟DCを保管する方法であって、本発明の増加した樹状細胞個体群を適当な条件下にて適当な低温保存薬と接触させることを含んでなる、方法を提供する。
【0148】
本明細書に記載の組成物は、対象者に有効量の増加した個体群の細胞、例えばDC、修飾DC、または感作された免疫エフェクター細胞を投与することによって対象者に免疫応答を生じさせるのに有用である。細胞は、同種または自己由来であってもよい。それらを対象者に投与して、対象者に有効量の前記の増加個体群を投与することを特徴とする免疫応答を生じさせ、または誘導することができる。細胞は、対象者にとって同種または自己由来であってもよい。それらを用いて、T細胞のような免疫エフェクター細胞を本発明の成熟DCの存在下で、かつ成熟DCを犠牲にして培養することによって免疫エフェクター細胞を感作することもできる。感作されたエフェクター細胞を用いて、対象者に有効量のこれらの細胞を送達することによって対象者の免疫を増強することもできる。
【0149】
ポリヌクレオチドを生成して送達する方法
本発明の一部の態様では、ポリヌクレオチドを用いる必要がある。これらは、当該技術分野で知られている任意の方法を用いて生成させ、複製することができ、例えば当業者は、本明細書で提供される配列と市販のDNA合成装置を用いて、DNAを複製することができる。あるいは、それらはポリヌクレオチド、適当なプライマー分子、酵素のような化合物、およびそれらの複製の指令の線形配列を提供し、化学的にヌクレオチドを適正な方向に複製または連結して、ポリヌクレオチドを得ることができる。別の態様では、これらのポリヌクレオチドは、さらに単離される。さらにその上、当業者であれば、ポリヌクレオチドを適当な複製ベクターに挿入し、このベクターを適当な宿主細胞(原核生物または真核生物)に挿入して、複製および増幅を行うことができる。このようにして増幅されたDNAは、当業者に周知の方法によって細胞から単離することができる。この方法によってポリヌクレオチドを得る方法、ならびにそれによって得られるポリヌクレオチドを、さらに本明細書で提供される。
【0150】
一つの態様では、薬剤(例えば、CD40L)は、mRNAとして送達される。RNAは、最初にDNAポリヌクレオチドを適当な宿主細胞に挿入することによって、または好ましくはイン・ビトロ転写によって得ることができる。DNAは、任意の適当な方法によって、例えば適当な遺伝子送達媒体(例えば、リボソーム、プラスミド、またはベクター)を用いて、またはエレクトロポレーションによって挿入することができる。細胞が複製して、DNAがRNAに転写される場合には、RNAは、次に当業者に周知の方法、例えばSambrook et al. (1989)(前記引用)に記載の方法を用いて単離することができる。例えば、mRNAはSambrook, et al. (1989)(前記引用)に記載の手順に従って様々な細胞溶解酵素または化学溶液を用いて単離し、または製造業者によって提供される添付説明書に従って核酸結合樹脂によって抽出できる。
【0151】
好ましい態様では、CD40L発現カセットは、T7プロモーターまたはSP6プロモーターのようなイン・ビトロ転写に適当なプロモーターを含む。好ましくは、イン・ビトロで転写されたCD40LまたはCD40アゴニストmRNAの安定性および転写の効率を最適にする。例えば、配列番号:13は、最適化CD40L mRNAを表し、5'未翻訳領域のATGコドンは変更されており、翻訳の不正確な開始を回避した。
【0152】
mRNAの安定性および/または翻訳効率は、3'UTRおよび/または5'UTRをmRNAに包含することによって増加させることもできる。3'UTRの好ましい例としては、ヒトCD40、β-アクチン、およびロタウイルス遺伝子6 由来のものが挙げられる。5'UTRの好ましい例としては、CD40L、およびHsp70、VEGF、脾臓壊死ウイルスRU5、およびタバコ腐蝕ウイルスの5'UTRにおける翻訳エンハンサーが挙げられる。
【0153】
例えば、CD40L発現は、通常は部分的には3'UTRを介したmRNAの不安定性によって調節され、従ってCD40L 3'UTRは一般のCD40L mRNAには含まれない。CD40Lは、通常、DCでは発現しない。対照的に、CD40受容体はDCで発現し、その発現は転写後に、特にmRNAの安定性のレベルで調節されることを示す証拠は文献には見られない。CD40L mRNAの3'末端または領域にCD40受容体3'UTR(配列番号:14、またはその活性断片)を包含することにより、任意の望ましくない調節活性を与えることのない天然に存在するCD40のメッセージと同様なRNA 3'未翻訳配列が得られる。
【0154】
β-アクチンは、ヒトの非筋肉細胞で多量に発現する遺伝子である。ヒトβ-アクチンプロモーターは、哺乳類細胞系およびトランスジェニックマウスで遺伝子発現を行うのに広く用いられてきた。β-アクチン3'UTR +隣接領域の包含により、β-アクチンプロモーターを含む遺伝子発現構築物からmRNA蓄積のレベルがさらに増加することが示された。Qin and Gunning (1997) Journal of Biochemical and Biophysical Methods 36 pp.63 - 72。配列番号:15は、ヒトβアクチン3'UTRの最終エキソンの未翻訳領域を表す。配列番号:16は、この3'UTRの最小領域を示す。
【0155】
サルロタウイルス遺伝子6 mRNAの3'UTR(配列番号:17)は、そのキャップした非ポリアデニル化ウイルス転写物における翻訳のエンハンサーとして機能する。3'UTRは、ウサギ網状赤血球溶解物における異種レポーターの翻訳を増強することも示されている。Yang et. al., 2004 Archives of Virology 149:303-321。この3'UTRの最小機能要素を、配列番号:18に示す。
【0156】
ヒトhsp70遺伝子の5' UTR(配列番号:19)は、ストレス誘導の非存在下にて、メッセージ安定性に劇的影響を与えることなく、レポーターmRNAの翻訳を増加することが示されている。エンハンサー機能は、多数のヒト細胞系で示されている。Vivinus, et al., 2001 European Journal of Biochemistry 268:1908-1917。
【0157】
マウスVEGF 5'UTR(配列番号:20)はモノシストン性レポーターRNAの翻訳を増強し、IRES(内部リボソーム侵入部位)活性も有している。そのエンハンサー活性は、ラット、ハムスター、およびヒト細胞系で明らかにされている。完全長の5'UTRは1014ヌクレオチドであるが、163ヌクレオチド突然変異体種(配列番号:21)が一層活性が高いことが示された。Stein et al., 1998 Molecular and Cellular Biology 18:3112-3119。
【0158】
脾臓壊死ウイルス(SNV)は鳥レトロウイルスである。ウイルス5'LTRのRU5領域(配列番号:22)は、ヒト293細胞の非ウイルスレポーターRNAの翻訳効率を刺激する。Roberts and Boris-Lawrie 2000 Journal of Virology 74:8111-8118。
【0159】
タバコ腐蝕ウイルスRNAの143ヌクレオチドの5'リーダー(配列番号:23)は、植物および動物細胞系におけるレポーターmRNAのキャップ非依存性翻訳を促進する。リーダー配列はキャップ形成転写体の翻訳をさらに増強しないが、樹状細胞におけるキャップ非依存性CD40L発現はイン・ビトロのキャップ形成の非常に魅力的な代替物である。Gallie et al. (1995) Gene 165:233-238、Niepel and Gallie (1999) Journal of Virology 73:9080-9088、Gallie, Journal of Virology (2001) 75:12141-12152。
【0160】
樹状細胞は当該技術分野で知られている方法によってトランスフェクションを行うことができ、その方法としては、リン酸カルシウム沈澱、マイクロインジェクション、またはエレクトロポレーションが挙げられるが、これらに限定されない。それらは、単独でまたは適当な担体、例えばリン酸緩衝食塩水のような薬学上許容可能な担体と組み合わせて加えることができる。あるいはまたはさらに、核酸を発現または挿入ベクターに組込んで、細胞に組込むことができる。プロモーターおよび、ポリヌクレオチドを操作連結することができるクローニング部位を両方とも含むベクターは、当該技術分野で知られている。このようなベクターは、RNAをイン・ビトロまたはイン・ビボで転写することができ、Stratagene(ラ・ヨラ, カリフォルニア)およびPromega Biotech (マディソン, ウィスコンシン)のような供給元から市販されている。発現および/またはイン・ビトロ転写を最適にするには、クローンの5'および/または3'未翻訳部分を除去し、添加し、または変更して、余分の潜在的で不適当な代替翻訳開始コドン、または転写もしくは翻訳のレベルでの発現を妨害しまたは減少させることがある他の配列を除去することが必要なことがある。あるいは、コンセンサスリボソーム結合部位を、開始コドンの5'の隣りに挿入し、発現を増強することができる。ベクターの例は、ウイルス、例えばバキュロウイルスおよびレトロウイルス、バクテリオファージ、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、コスミド、プラスミド、真菌ベクター、および当該技術分野で典型的に用いられ、様々な真核生物および原核生物宿主での発現について報告されており、かつ遺伝子治療ならびに簡単なタンパク質発現に用いることができる他の組換え媒体である。
【0161】
これらの中には、DNA/リボソーム複合体および標的ウイルスタンパク質DNA複合体など幾つかの非ウイルスベクターがある。細胞への送達を増強するため、本発明の核酸またはタンパク質を、細胞表面抗原に結合する抗体またはその結合断片に接合させることができる。標的抗体またはその断片をも含んでなるリポソームを、本発明の方法で用いることができる。本発明は、本明細書に記載の方法で用いられる標的複合体も提供する。
【0162】
ポリヌクレオチドは、当該技術分野で知られている方法を用いてベクターゲノムに挿入される。例えば、挿入およびベクターDNAを、適当な条件下で制限酵素と接触させ、互いに対を成し、かつリガーゼと結合することができるそれぞれの分子上に相補性末端を作製することができる。あるいは、合成核酸リンカーを、制限ポリヌクレオチドの末端に連結することができる。これらの合成リンカーは、ベクターDNAの特定の制限部位に対応する核酸配列を含んでいる。さらに、末端コドンと適当な制限部位を含むオリゴヌクレオチドを連結させて、下記の幾つかまたは全てを含むベクターに挿入することができる:
選択可能マーカー遺伝子、例えば、哺乳類細胞中の安定または一過性トランスフェクタントを選択するためのネオマイシン遺伝子、高レベルの転写を行うためのヒトCMVの極初期遺伝子由来のエンハンサー/プロモーター配列、mRNA安定性のためのSV40由来の転写終止およびRNAプロセシングシグナル、複製のSV40ポリオーマ源および適正なエピソーム複製のためのColE1、万能(versatile)多クローニング部位、およびセンスRNAおよびアンチセンスRNAのイン・ビトロ転写のためのT7およびSP6 RNAプロモーター。他の手段は、当該技術分野で知られており、利用可能である。
【0163】
タンパク質およびポリペプチドの調製および単離
ポリペプチドおよびタンパク質は、本発明の様々な方法の必要成分である。タンパク質およびポリペプチドは、Perkin Elmer/Applied Biosystems, Inc., Model 430Aまたは431A(フォスター・シティー, カリフォルニア, 米国)製などの市販の自動ペプチド合成装置を用いる化学合成によって得ることができる。合成したタンパク質またはポリペプチドを沈澱させ、例えば高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によってさらに精製することができる。あるいは、タンパク質およびポリペプチドは、本明細書に記載の既知の組換え法によって下記のような宿主細胞およびベクター系を用いて得ることができる。
【0164】
任意のペプチドを修飾して変更された特性を有するものを得ることができることは、当業者に周知である。本明細書で用いられる「アミノ酸」という用語は、グリシン、およびD光学異性体およびL光学異性体の両方、およびアミノ酸類似体および擬似ペプチドなどの天然および/または非天然(unnatural)または合成アミノ酸を表す。三つ以上のアミノ酸からなるペプチドは、ペプチド鎖が短い場合には、オリゴペプチドと一般に呼ばれる。ペプチド鎖が長い場合には、ペプチドは一般にポリペプチドまたはタンパク質と呼ばれる。本発明で用いるペプチドを修飾して、非天然(unnatural)アミノ酸を包含させることができる。従って、ペプチドは、D-アミノ酸、D-アミノ酸およびL-アミノ酸の組合せ、および特殊な特性をペプチドに伝達するための様々な「意図的に作られた(designer)」アミノ酸(例えば、β-メチルアミノ酸、C-α-メチルアミノ酸、およびN-α-メチルアミノ酸など)を含んでなることがある。さらに、特異的アミノ酸を特異的カップリング工程に割り当てることによって、α-へリックス、βターン、βシート、γターンを有するペプチド、および環状ペプチドを生成させることができる。もう一つの態様では、有用な化学的および構造的特性を付与するペプチドのサブユニットが選択される。例えば、D-アミノ酸を含んでなるペプチドは、イン・ビボでL-アミノ酸に特異的なプロテアーゼに耐性であってもよい。D-アミノ酸を有する修飾化合物は、レトロ-インベルソ(retro-inverso)ペプチドとしての本発明のペプチドを産生するために逆順で配列されたアミノ酸を用いて合成することができる。また、本発明によれば、一層良好に定義された構造特性を有するペプチドの調製、および擬似ペプチド、およびエステル結合のような擬似ペプチド結合を用いる新規な特性を有するペプチドの調製も考えられる。もう一つの態様では、ペプチドは還元したペプチド結合、すなわちR1-CH2NH-R2 (式中、R1およびR2は、アミノ酸残基またはアミノ酸配列である)を組込んでいるペプチドを生成することができる。還元ペプチド結合は、ジペプチドサブユニットとして導入することができる。このような分子は、ペプチド結合の加水分解、例えば、プロテアーゼ活性に耐性である。このような分子は、代謝的分解またはプロテアーゼ活性に耐性であるため、イン・ビボでの半減期が延びるなどの特有の機能を有するペプチドを提供する。さらに、別の系では、束縛されたペプチドの機能活性が増強することは周知であり(Hruby (1982) Life Sciences 31:189-199およびHruby et al. (1990) Biochem 3. 268:249-262)、本発明は、他の全ての位置にランダム配列を組込んでいる束縛ペプチドを産生する方法を提供する。
【0165】
幹細胞の単離方法
イン・ビトロでの樹状細胞への増殖および分化を目的とするCD34+幹細胞の単離および増殖については、多くの方法が当該技術分野で知られている。例えば、米国特許第5,199,942号を参照されたい。前記明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。下記の記載は単なる例示のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0166】
CD34+幹細胞は、骨髄細胞から、または骨髄細胞または他の供給源をCD4+およびCD8+(T細胞)、CD45+(panB細胞)、およびGR-1のような所望でない細胞を結合する抗体とパンニングすることによって単離することができる。このプロトコールについては、Inaba, et al. (1992)3. Exp. Med. 176:1693-1702を参照されたい。ヒトCD34+細胞は、臍帯血、骨髄外植片、および可動化末梢血などの様々な供給源から得ることができる。CD34+細胞は、抗体アフィニティー法により精製することができる。例えば、Paczesny et al. (2004) 3 Exp Med. 199:1503 -11、Ho, et al. (1995) Stem cell 13 (suppl. 3):100-105、Brenner (1993) Journal of Hematotherapy 2:7-17、およびYu, et al. (1995) PNAS 92:699-703を参照されたい。
【0167】
幹細胞の未成熟樹状細胞への分化
CD34+幹細胞は、この細胞を適当なサイトカインとインキュベートすることによって樹状細胞に分化させることができる。Inabaら(1994)(前記引用)の文献には、ネズミ幹細胞をネズミGM-CSFと共にインキュベートすることによる幹細胞の樹状細胞へのイン・ビトロでの分化が記載されている。簡単に説明すれば、単離した幹細胞を1 - 200ng/mLのネズミGM-CSF、好ましくは約20ng/mL GM-CSFと共に標準的RPMI成長培地でインキュベートする。培地は、一日置きに約一回ずつ新鮮な培地に置換する。約5-7日間培養した後、表面マーカーの発現および形態学によって評価したところ、大部分の細胞は樹状である。樹状細胞を、蛍光活性化セルソーター(FACS)または他の標準的方法によって単離する。
【0168】
ネズミCD34+幹細胞は、この細胞をネズミGM-CSFと共に培養することによって樹状細胞に分化させることができる。典型的には、培養物中のGM-CSFの濃度は、少なくとも約0.2ng/mLであり、好ましくは少なくとも約1ng/mLである。この範囲は、約20ng/mL - 200ng/mLであることが多い。多くの好ましい態様では、用量は約100ng/mLである。場合によって、ネズミDCを作製するために、IL-4を同様な範囲で加える。
【0169】
ヒトCD34+造血幹細胞は、好ましくはイン・ビトロでこの細胞をヒトGM-CSFおよびTNF-αと共に培養することによって分化する。例えば、Szabolcs, et al. (1995) 154:5851-5861を参照されたい。ヒトGM-CSFを同様の範囲で用い、TNF-αを加えて、分化を促進することもできる。TNF-αは、典型的にはほぼ同じ範囲でも加えられる。場合によって、SCFまたは他の増殖リガンド(例えば、F1t3)を同様の用量範囲で加えて、ヒトDCを分化させる。
【0170】
当業者には明らかなように、幹細胞および単球を樹状細胞に分化するための用量範囲は近似的なものである。供給業者が異なったり、同一供給業者からのサイトカインのロットが異なると、サイトカインの活性が変化する。任意の特定のサイトカインについて最適用量を決定するのに用いる技術の一つにより、容易にそれぞれのサイトカインを滴定することができる。
【0171】
単球の樹状細胞への分化
DCは、末梢血中の普通の非増殖性CD14+前駆体(単球)からGM-CSFおよびIL-4、またはGM-CSFおよびIL-13を含む培地で培養することによって生成させることができる(例えば、WO 97/29182号参照)。この方法は、Sallusto and Lanzavecchia (1994) J. Exp. Med. 179:1109およびRomani et al. (1994) J. Exp. Med. 180:83に記載されている。簡単に説明すれば、CD14+前駆体は多量に存在するので、(末梢血中のCD34+細胞およびさらに関与する前駆体を増加させるのに用いられる)G-CSFのようなサイトカインによる患者の予備治療はほとんどの場合に不必要であることが報告されている(Romani et al. (1996) J. Immunol. Methods 196:137)。他の研究者らは、この方法によって生成したDCはむしろ相同であると思われ、未成熟状態で、または完全に分化した、または成熟した状態で産生させることができることを報告している。FCS(ウシ胎児血清)のような非ヒトタンパク質を回避し、完全かつ不可逆的に成熟した安定なDCを成熟刺激として自己由来単球ならし培地を用いることによって得ることができることが示された(Romani et al. (1996) Immunol. Methods 196:137、Bender et al. (1996) J. Immunol. Methods 196:121)。しかしながら、本発明とは対照的に、これらの研究では、IL-12のレベルが増加し、および/またはIL-10のレベルが減少した成熟DCは得られなかった。
【0172】
抗原負荷
樹状細胞に抗原を負荷する方法は、当業者に知られている。一つの態様では、樹状細胞は、抗原を含む培地で培養される。次いで、DCはMHC分子と会合している細胞表面上の抗原を吸収して処理する。好ましくは、DCは、抗原をコードする核酸によるトランスフェクションによって抗原が負荷される。DCのトランスフェクションの方法は、当業者に知られている。
【0173】
T細胞の単離および増殖
本発明の幾つかの方法では、T細胞は哺乳類から単離され、成熟した修飾DCによってイン・ビトロで感作(または活性化)することができる。一つの方法では、フィコール-ハイパーク密度勾配遠心分離を用いて、確立された手続きに従って赤血球および好中球からPBMCを分離する。細胞を、1%ウシ胎児血清(FBS)を加えた改質AIM-V(AIM-V(GIBCO)に2mMグルタミン、10μg/mL硫酸ゲンタマイシン、50μg/mLストレプトマイシンを加えたものからなる)で洗浄する。T細胞を標準的手法に準じてカラムまたは磁性ビーズにカップリングした適当なモノクローナル抗体によるネガティブ選択またはポジティブ選択によって増殖させる。細胞の一定分量を、CD4、CD8、CD3、およびCD14などの細胞表面表現型について分析する。例示の目的で、細胞を洗浄し、前記のように改質し、5%FBSと100U/mLの組換えIL-2 (rIL-2)を含むAIM-V(補足したAIM-V)1mL当たり約5 x 105個の細胞の濃度で再懸濁する。細胞がHIV+患者から単離される場合には、25nMのCD4-PE40 (緑膿菌外毒素Aの転座およびADP-リボシル化ドメインに結合したHIV結合CD4ドメインからなる組換えタンパク質)、またはHIVに選択的にハイブリダイゼーションする他の同様な組換え細胞傷害性分子を細胞培養物に加え、細胞増殖の残りについて、培養物からHIVに感染した細胞を選択的に除去する。CD4-PE40は、HIVに感染した細胞培養物でのp24産生を阻害し、HIV-1に感染した細胞を選択的に殺すことが示されている。
【0174】
増殖を刺激するため、OKT3モノクローナル抗体(Ortho Diagnostics)を、10ng/mLの濃度になるまで加えることができ、細胞を24ウェルのプレートにウェル当たり0.5mLずつ移植する。細胞を、約37℃の温度で5%CO2の加湿インキュベーターで四十八時間培養する。培地を、5μL/mLの硫酸プロタミン、100U/mLのrIL-2、100U/mLのペニシリン、0.25μg/mLのアンホテリシンB/mL、および付加の100μg/mLのストレプトマイシン(25nM CD4-PE40を加えることができる)を加えた細胞と1mLのベクターを含む上清(下記)から吸引する。
【0175】
細胞の単離および特性決定
もう一つの態様では、細胞表面マーカーを用いて、本発明の方法を実施するのに必要な細胞を単離することができる。例えば、ヒト幹細胞は典型的にはCD34抗原を発現し、一方、DCはMHC分子および補助的刺激分子(例えば、B7-1およびB7-2)である、顆粒球、NK細胞、B細胞、およびT細胞に特異的なマーカーを欠くものを発現する。表面マーカーの発現により、これらの細胞の同定および精製が促進される。これらの同定および単離の方法としては、FACS、カラムクロマトグラフィー、磁性ビーズによるパンニング、ウェスタンブロット法、X線撮影法、電気泳動、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超核酸クロマトグラフィーなど、および流体またはゲル沈降反応、免疫拡散(単純または二重)、免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着定量法(ELISA)、免疫蛍光分析法などのような様々な免疫学的方法が挙げられる。免疫学的および免疫分析法の手順の一般的な総説については、Stites and Terr (監修)1991 「基礎および臨床免疫学(Basic and Clinical Immunology)」(第7版)、およびPaul(前記引用)を参照されたい。抗原を選択するための抗体の作製方法の論文については、Harlow and Lane (1989)(前記引用)を参照されたい。
【0176】
細胞精製の際の細胞を検出するための細胞単離または免疫学的検定は、数種類の形態のいずれか、例えばMaggio(監修)(1980)「酵素免疫分析法(Enzyme Immunoassay)」CRC Press, ボカ・レートン, フロリダ、Tijan (1985)「酵素免疫分析法の実際および理論: 生化学および分子生物学の実験室技術(Practice and Theory of Enzyme Immunoassays, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)」, Elsevier Science Publishers B.V., アムステルダム、Harlow and Lane(前記引用)、Chan(監修)(1987)「イムノアッセイ: 実際の手引(Immunoassay: A Practical Guide)」Academic Press, オーランド, フロリダ、Price and Newman(監修)(1991)「免疫分析法の原理と実際(Principles and Practice of Immunoassays)」Stockton Press, ニューヨーク、およびNgo(監修)(1988)「非同位体的免疫分析法(Non-isotopic Immunoassays)」Plenum Press,ニューヨークに記載されているもので行うことができる。
【0177】
細胞は、FACS分析のようなフローサイトメトリー法によって単離して、特性を決定することができる。多種多様のフローサイトメトリー法が知られている。蛍光活性化フローサイトメトリーの一般的総説については、例えば、Abbas et al. (1991)「細胞および分子免疫学(Cellular and Molecular Immunology)」W.B. Saunders Company, 特に第3章、およびKuby(1992)「免疫学(Immunology)」 W.H. Freeman and Company, 特に第6章を参照されたい。FACS装置は、例えばBecton Dickinsonから入手可能である。
【0178】
細胞抗原を標識するのに用いることができる標識薬剤としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、タンパク質、またはアフィニティーマトリックス、炭水化物または脂質のような他のポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。検出は、免疫ブロッティング、ウェスタンブロット分析、放射性マーカーまたは生物発光マーカー、毛細管電気泳動、または大きさ、電荷、または親和性に基づいて分子を追跡する他の方法のような任意の既知の方法によって行われる。
【0179】
抗体
本発明の方法の別の態様では、抗体を用いる必要がある。このような抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであってもよい。それらは、抗体誘導体または抗体変異体であってもよい。それらは、キメラ、ヒト化、またはヒト自体であってもよい。タンパク質またはポリペプチドを用いると、当業者であれば、この受容体に特異的に結合する抗体をさらに生成させることができる。Fab、Fab'、Fab2、Fab'2、および一本鎖可変領域などの抗体の機能性断片または誘導体を用いることもできる。抗体は、細胞培養、ファージ、またはウシ、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、ゴリラなどの様々な動物で産生させることができるがこれらに限定されない。これらの断片または誘導体は、タンパク質またはその断片についての結合の特異性を保持している限り、用いることができる。抗体は、結合の特異性について適切な抗原に対する結合を不適切な抗原または抗原混合物に対する結合と所定の条件の組で比較することによって試験することができる。抗体が不適切な抗原の少なくとも2、5、7、および好ましくは10倍の適切な抗原に結合している場合には、この抗体は特異的であると考えられる。
【0180】
このような部分的または完全なヒト抗体を作製する技術は当該技術分野で知られており、いずれのこれらの技術を用いることもできる。一つの態様によれば、完全なヒト抗体配列は、ヒト重鎖抗体遺伝子およびヒト軽鎖抗体遺伝子を発現するように遺伝子工学処理を施したトランスジェニックマウスで作製することができる。異なる種類の抗体を産生することができる、このようなトランスジェニックマウスの多数の株が作製されている。所望な抗体を産生しているトランスジェニックマウス由来のB細胞を融合させて、所望な抗体を継続的に産生するためのハイブリドーマ細胞系を作製することができる。例えば、Russel et al. (2000) Infection and Immunity April 2000: 1820-1826、Gallo et al. (2000) European J. of Immun. 30:534-540、Green (1999) J. of Immun. Methods 231:11-23、Yang et al. (1999A) J. of Leukocyte Biology 66:401-410、Yang (1999B) Cancer Research 59(6):1236-1243、Jakobovits (1998) Advanced Drug Delivery Reviews 31:33-42、Green and Jakobovits (1998) Exp. Med. 188(3):483-495、Jakobovits (1998) Exp. Opin. Invest. Drugs 7(4):607-614、Tsuda et al. (1997) Genomics 42:413-421、Sherman-Gold (1997). Genetic Engineering News 17:14、Mendez et al. (1997) Nature Genetics 15:146-156、Jakobovits (1996)「ウィアの実験免疫学の手引、組込まれた免疫系 第IV巻(WEIR'S HANDBOOK OF EXPERIMENTAL IMMUNOLOGY, THE INTEGRATED IMMUNE SYSTEM VOL. IV)」, 194.1 - 194.7、Jakobovits (1995) Current Opinion in Biotechnology 6:561-566、Mendez et al. (1995) Genomics 26:294-307、Jakobovits (1994) Current Biology 4:761-763、Arbones et al. (1994) Immunity 1:247-260、Jakobovits (1993) Nature 362:255-258、Jakobovits et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2551-2555、Kucherlapati, et al. 米国特許第6,075,181号を参照されたい。
【0181】
抗体は、ファージ提示法を用いて作製することもできる。このような手法を用いて、初期抗体を単離し、または特異性または親和力特性の変更された変異体を生成させるのに用いることができる。一本鎖Fvは、便宜的に用いることもできる。それらは、所望ならば、ワクチン接種したトランスジェニックマウスから作製することができる。
【0182】
本発明の抗体を修飾して、キメラ抗体を作製することもできる。キメラ抗体は、抗体の重鎖および軽鎖の様々なドメインが二以上の種由来のDNAによってコードされているものである。例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい。
【0183】
「抗体変異体」という用語は、二個の抗原結合部位を有する小さな抗原断片であり、同一ポリペプチド鎖(VH VL)で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含んでなる断片である「ダイアボディ(diabodies)」も包含する。例えば、欧州特許第404,097号、WO 93/11161号、およびHollinger et al., (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448を参照されたい。同じ鎖の二個のドメインの間で対を成すには短すぎるリンカーを用いることによって、これらのドメインは別の鎖の相補性ドメインと対を成し、二個の抗原結合部位を形成しなければならなくなる。Chenらの米国特許第6,632,926号も参照されたい。この明細書には、親抗体の超可変領域に挿入された一個以上のアミノ酸と、抗原に対する親抗体の結合親和性より少なくとも約二倍強い標的抗原に対する結合親和性を有する抗体変異体が開示されている。この用語は、抗体または断片の線状ポリペプチドに対する翻訳後修飾も包含する。「抗体変異体」という用語は、「線状抗体」も包含する。このような変異体を作製する手順は当該技術分野で知られており、Zapata et al. (1995) Protein Eng. 8(10):1057-1062に記載されている。簡潔に説明すれば、これらの抗体は、一対の抗原結合領域を形成する縦列Fdセグメント(VH〜CH1-VH-CH1)の対を含んでなる。線状抗体は、二重特異性または単一特異性であってもよい。
【0184】
核酸の検出方法
目的の遺伝子(例えば、CD40Lおよび/またはIL-12p35)の発現を定量するための様々な方法が知られており、ハイブリダイゼーション分析法(ノーザンブロット分析)およびPCRに基づくハイブリダイゼーション分析法が挙げられるが、これらに限定されない。IL-12 p35 mRNAまたはCD40L mRNAのようなmRNAレベルの変更についての分析では、試料に含まれる核酸を最初に抽出することができる。例えば、mRNAは、Sambrook et al. (1989)(前記引用)に記載の手順に従って様々な細胞溶解酵素または化学的溶液を用いて単離し、または市販の核酸結合樹脂により製造元によって提供された添付説明書に従って抽出することができる。抽出した核酸試料に含まれるmRNAは、次に標準的手順に準じてそれぞれ核酸プローブおよび/またはプライマーを用いてハイブリダイゼーション(例えば、ノーザンブロット分析)および/または増幅法によって検出することができる。
【0185】
少なくとも10個のヌクレオチドを有し、かつ検出される核酸に対して配列相補性または相同性を示す核酸分子を、診断法においてハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーとして用いることができる。「完全に調和した」プローブは特異的ハイブリダイゼーションには必要ないことが当該技術分野で知られている。少数の塩基の置換、欠失、または挿入によって行われたプローブ配列の小さな変化は、ハイブリダイゼーションの特異性に影響しない。一般に、(最適に配列された場合には)20%程度の塩基対の不一致は、許容することができる。例えば、CD40L mRNAの検出に有用なプローブは、以前に同定された配列(例えば、配列番号:1または3参照)に含まれる相当する大きさの相同領域に対して少なくとも約80%の同一性を有する。あるいは、相同領域の整列の後には、プローブは対応する遺伝子配列に対して少なくとも85%またはさらに少なくとも90%の同一性を有する。断片の全体の大きさならびに相補性伸展(stretches)の大きさは、特定の核酸セグメントの目的とする使用または用途によって変化する。遺伝子のより小さな断片が、相対的にハイブリダイゼーションの態様で用いられ、相補性領域の長さは、例えば検出しようとする相補的配列に準じて約10 - 約100ヌクレオチドまたは完全長の間で変化してもよい。
【0186】
約10ヌクレオチドの長さより大きな伸展(stretches)にわたって相補的配列を有するヌクレオチドプローブにより、ハイブリッドの安定性および選択性が増加し、それにより得られた特定のハイブリッド分子の特異性が向上する。長さが約25を上回る、さらに好ましくは約50ヌクレオチドを上回る、または所望ならばさらに長いヌクレオチドの遺伝子相補性伸展を有する核酸分子を設計することができる。このような断片は、例えば、化学的手段によって、米国特許第4,603,102号に記載の二個のプライミングオリゴヌクレオチドを用いるPCRTM法のような核酸再生技術の応用によって、または選択された配列を組換え体産生のための組換えベクターに導入することによって、断片を直接合成することにより容易に調製することができる。
【0187】
一部の態様では、ハイブリダイゼーション検出するための標識およびそのための相補的配列など、適切な手段と組み合わせて本発明の核酸配列を用いるのが有利である。蛍光、放射性、酵素、またはアビジン/ビオチンのような他のリガンドなど検出可能なシグナルを生じることができる多種多様の適切なインジケーター手段が当該技術分野で知られている。放射性または他の環境上望ましくない試薬の代わりに、蛍光標識または酵素タグ、例えばウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、またはペルオキシダーゼを用いることもできる。酵素タグの場合には、ヒトの目に見えるまたは分光光度法による手段を提供する目的で用いることができる比色インジケーター基質が知られており、相補性の核酸を含む試料による特異的ハイブリダイゼーションを同定する。
【0188】
ハイブリダイゼーション反応は、異なる「ストリンジェンシー」の条件下で行うことができる。関係のある条件としては、温度、イオン強度、インキュベーション時間、ホルムアミドのような反応混合物中の追加の溶質の存在、および洗浄手順が挙げられる。高めのストリンジェンシー条件は、高めの温度および低めのナトリウムイオン濃度のような、ハイブリダイゼーション要素間の最小相補性をより高くして、安定なハイブリッド複合体を形成するのに必要な条件である。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを増加させる条件は周知であり、文献に公表されている。例えば、Sambrook, et al. (1989)(前記引用)を参照されたい。定量的PCR、またはVelculescu et al. (1995) Science 270:484-487に記載の遺伝子発現の連続分析(SAGE)のような高処理量分析を用いて、mRNAレベルまたはその発現を検出し、定量することもできる。簡潔に説明すれば、この方法は、転写体を含むと考えられる細胞または組織試料から複数のmRNAを単離することを含んでなる。場合によって、遺伝子転写体をcDNAに転化することができる。遺伝子転写体の抽出試料に配列特異性分析を行い、定量する。これらの遺伝子転写体配列の存在量を、病気に罹ったおよび健康な患者についての通常のデータセットを含む参照データベース配列の存在量と比較する。患者は、患者のデータセットが極めて緊密に相関し、かつこの応用では、転写体のディファレンシャル(differential)を含む(複数の)疾患を有する。
【0189】
ある態様では、遺伝子または遺伝子転写体の増幅および検出に、ポリヌクレオチドをヌクレオチドプローブまたはプライマーとして用いる必要があることがある。異なった形で発現したmRNAの検出に有用なプライマーは、遺伝子またはポリヌクレオチドの類似した大きさの相同領域に少なくとも約80%の同一性を有する。本発明の目的には、増幅は合理的適合度を有する標的配列を複製することができるプライマー依存性ポリメラーゼを用いる任意の方法を意味する。増幅は、T7 DNAポリメラーゼE. coli DNAポリメラーゼのクレノウ断片、および逆転写酵素のような天然、または組換えDNAポリメラーゼによって行うことができる。
【0190】
PCRの一般的手続きは、MacPherson et al., 「PCR:実際的方法(PCR: A PRACTICAL APPROACH)」, (IRL Press at Oxford University Press (1991))に教示されている。しかしながら、それぞれの応用反応に用いられるPCR条件は、実験的に決定される。多数のパラメーターによって、反応の成功が影響される。それらの中には、アニーリング温度および時間、増殖時間、Mg2+ ATP濃度、pH、およびプライマー、鋳型、およびデオキシリボヌクレオチドの相対濃度がある。
【0191】
増幅後に、生成するDNA断片は、アガロースゲル電気泳動に続いて臭化エチジウム染色と紫外線照射による可視化によって検出することができる。目的とする異なった形で発現した遺伝子の特異的増幅は、増幅したDNA断片が予想した大きさを有し、示唆された制限消化パターンを示し、および/または正確なクローニングしたDNA配列にハイブリダイズすることを示すことによって実証することができる。遺伝子発現を検出する他の方法は、当業者に知られている。例えば、国際PCT出願WO 97/10365号、米国特許第5,405,783号、5,412,087号、および5,445,934号、5,405,783号、5,412,087号、5,445,934号、5,578,832号、5,631,734号、および「生化学および分子生物学の実験技術、第24巻: 核酸プローブを用いるハイブリダイゼーション(LABORATORY TECHNIQUES IN BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY, Vol. 24: Hybridization with Nucleic Acid Probes)」, Tijssen, 監修, Elsevier, ニューヨーク(1993)を参照されたい。
【0192】
タンパク質またはポリペプチドの検出法および定量法
タンパク質分析については様々な技術が当該技術分野で利用可能であり、放射免疫測定(radioimmunoassay)、ELISA(酵素結合免疫吸着定量法)、「サンドイッチ」免疫測定法、免役放射定量測定法、イン・サイチュー(in situ)免疫測定法(例えば、金コロイド、酵素、または放射性同位体標識を用いる)、ウェスタンブロット分析、免疫沈降分析法、免疫蛍光分析法、およびPAGE-SDSが挙げられるが、これらに限定されない。
【0193】
エクス・ビボ療法
前記のように、本発明は、本発明の方法によって産生された樹状細胞または教育されたT細胞を用いるエクス・ビボ療法も提供する。例えば、免疫原で形質転換した樹状細胞を用いて、細胞傷害性およびヘルパーT細胞をイン・ビトロで活性化することができる。あるいは、形質転換した樹状細胞を哺乳類に導入して、T細胞をイン・ビボで活性化する。さらにまた、イン・ビトロで感作されたT細胞を、T細胞を活性化してクラスIのMHC分子を認識するものに対応する抗原性ペプチドを有する標的細胞に対してT細胞が細胞傷害性である哺乳類に導入することができる。これらの標的細胞は、典型的には癌細胞、またはMHCクラスI表面で特有の抗原性ペプチドを発現する感染細胞である。
【0194】
同様に、MHCクラスIIに関する抗原性ペプチドを認識するヘルパーT細胞を、クラスIおよびクラスIIのMHCに関して抗原性ペプチドを含んでなる本発明のDCによって刺激することもできる。また、ヘルパーT細胞は標的細胞に対する免疫応答も刺激する。細胞傷害性T細胞と同様に、ヘルパーT細胞は組換えDCでイン・ビトロまたはイン・ビボで刺激される。
【0195】
樹状細胞およびT細胞は、DCおよび/または活性化T細胞を投与しようとする哺乳類から単離することができる。あるいは、細胞は提供者から提供されるまたは細胞バンク(例えば、血液銀行)に保管されている同種のものであってもよい。
【0196】
イン・ビボ療法
本発明の方法によって産生されるT細胞または樹状細胞は、直接対象者に投与して、選択された免疫原に対して活性なT細胞を産生することができる。投与は、細胞を良好に送達して、最終的に対象者の血液または組織細胞と接触させるための当該技術分野で知られている方法によることができる。
【0197】
細胞を、任意の適当な方法で、しばしば薬学上許容可能な担体と共に投与する。本発明に関する細胞を対象者に投与する適当な方法は利用可能であり、二種類以上の経路を用いて特定の細胞組成物を投与することができるが、特定の経路は別の経路より一層即時的で、かつ一層効果的な反応を提供できることが多い。好ましい投与経路としては、皮内投与および静脈内投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0198】
薬学上許容可能な担体は、部分的には投与される特定の組成物ならびに組成物を投与するのに用いられる特定の方法によって決定される。従って、多種多様な本発明の医薬組成物の適当な処方物がある。最も典型的には、品質管理(微生物学、クローン原性法、生存試験)を行い、ジフェンヒドラミンおよびヒドロコルチゾンを投与した後に細胞を対象者に再導入する。例えば、Korbling et al. (1986) Blood 67:529-532およびHaas et al. (1990) Exp. Hematol. 18:94-98を参照されたい。
【0199】
非経口投与に適した処方物、例えば、関節内(関節部へ)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、結節内、および皮下経路によるような非経口投与に適当な処方物、および担体としては、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬、および処方物を目的とする受容者の血液と等張性にする溶質を含むことができる等張の滅菌した注射用水溶液、および懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含むことができる水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。皮内投与および静脈内投与は、本発明のDCまたはT細胞を投与する好ましい方法である。
【0200】
対象者に投与される細胞(例えば、活性化T細胞または樹状細胞)の用量は、対象者で経時的に有益で所望な治療応答を行い、または癌細胞の増殖を阻害し、または感染を阻止するのに有効な有効量である。
【0201】
単なる例示の目的で、この方法を対象者からの血液試料を採取し、かつ節約することによって実施した後、分析と比較のために注入することができる。一般的には、少なくとも約104 - 106、典型的には1 x 108 - 1 x 1010個の細胞を70 kgの患者に約60-120分かけて静脈内または腹腔内に注入する。一つの態様では、投与は静脈内注入による。生命徴候およびパルス酸素測定法による酸素飽和を、綿密に観察する。血液試料は、注入の五分後および一時間後に採取し、分析のために取っておく。細胞の再注入は、一年間に全体で10-12回の治療の目的でほぼ毎月繰り返し行う。最初の治療の後、医師の裁量で外来患者ベースで注入を行うことができる。再注入を外来患者として行う場合には、治療の後少なくとも四時間、参加者を観察する。
【0202】
投与のため、本発明の細胞を、対象者の質量および健康全般に適合するように、有効用量、細胞型のLD-50(または他の毒性の尺度)、および様々な濃度での細胞型の副作用によって決定される割合で投与することができる。投与は、単回用量または分割用量で行うことができる。本発明の細胞は、既知の従来療法による症状のための他の治療薬、例えば細胞傷害性薬剤、ヌクレオチド類似体、および生物応答改質剤を追加することができる。同様に、生物応答改質剤は、場合によって本発明のDCまたは活性化T細胞による治療の目的で加えられる。例えば、細胞は、場合によってアジュバント、またはGM-CSF、IL-12またはIL-2のようなサイトカインと共に投与される。
【0203】
イン・ビトロアッセイおよびキット
本発明は、本発明の成熟化法を実施するための商業上の重要なキットを提供する。一つの態様では、キットは、IFNγポリペプチドまたはIFNγ mRNAをイン・ビボまたはイン・ビトロで発現する発現カセット、およびCD40Lポリペプチド、またはCD40LのCD40L mRNAイン・ビボまたはイン・ビトロ発現を発現する発現カセットを含んでなる。もう一つの態様では、このキットは、TNFαポリペプチドまたはTNFαmRNAをイン・ビボまたはイン・ビトロで発現する発現カセット、およびCD40Lポリペプチド、またはCD40LのCD40L mRNAイン・ビボまたはイン・ビトロ発現を発現する発現カセットを含んでなる。これらのキットは、イン・ビトロ転写のためのRNAポリメラーゼをさらに含んでもよい。
【0204】
免疫原性の評価方法
本発明の方法によって産生される抗原提示細胞または教育されたT細胞の免疫原性は、下記のものを包含するがそれらに限定されない周知の方法によって決定することができる。
【0205】
51Cr-放出溶解分析法
ペプチドをパルスし、51Crを標識した標的の抗原特異的T細胞による溶解を比較することができる。「一層活性の高い」組成物は、経時的な標的のより大きな溶解を示す。溶解の速度論ならびに固定時点(例えば、四時間)の全般的標的溶解を用いて、性能を評価することができる。Ware et al. (1983) 3. Immunol. 131:1312。
【0206】
サイトカイン放出分析法
修飾APCに接触したT細胞によって分泌されるサイトカインの種類および量の分析は、機能活性の尺度とすることができる。サイトカインはELISAまたはELISPOT分析法によって測定して、サイトカイン産生の速度および総量を決定することができる。Fujihashi et al. (1993) J. Immunol. Meth. 160:181、Tanquay and Killion (1994) Lymphokine Cytokine Res. 13:259。
【0207】
イン・ビトロのT細胞教育
本発明の組成物を、正常な提供者または患者由来のPBMCからの反応性T細胞個体群を誘発する能力について分析することができる。この系では、誘導したT細胞を溶解活性、サイトカイン放出、ポリクローン性、および抗原性エピトープに対する交差反応性について試験することができる。Parkhurst et al. (1996) Immunol. 157:2539。
【0208】
トランスジェニック動物モデル
免疫原性は、HLAトランスジェニックマウスを本発明の組成物でワクチン接種して、誘導された免疫応答の性質および大きさを測定することによってイン・ビボで評価することができる。あるいは、hu-PBL-SCIDマウスモデルは、ヒトPBLの養子免疫伝達によってマウスにヒト免疫系を再構築することができる。これらの動物に組成物をワクチン接種し、Shirai et al. (1995) J. Immunol. 154:273、Mosier et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2443に以前に記載されているように免疫応答について分析することができる。
【0209】
増殖分析法
T細胞は、反応性組成物に応答して増殖する。増殖は、例えば3H-チミジン接種を測定することによって定量的に観察することができる。Caruso et al. (1997) Cytometry 27:71。
【0210】
霊長類モデル
非ヒト霊長類(チンパンジー)モデル系を用いて、HLA制限リガンドのイン・ビボ免疫原性を観察することができる。チンパンジーは、ヒトMHC分子と重複しているMHC-リガンド特異性を共有しており、従って相対的イン・ビボ免疫原性についてHLA制限リガンドを試験することができる。Bertoni et al. (1998) Immunol. 161:4447。
【0211】
TCRシグナル形質導入結果の観察
幾つかの細胞内シグナル形質導入結果(例えば、リン酸化)は、MHC-リガンド複合体によるTCR関与の成功と関連している。これらの事象の定性的および定量的分析は、TCR関与によりエフェクター細胞を活性化する組成物の相対的能力と相関している。Salazar et al. (2000) Tnt. J. Cancer 85:829、Isakov et al. (1995) J. Exp. Med. 181:375。
【実施例】
【0212】
前記の説明によれば、以下の実施例は本発明の様々な態様の例示を目的するものであり、限定するものではない。
【0213】
試薬:
Histopaque 1077およびTween 20は、Sigma (セントルイス, ミズーリー)から購入した。PBSおよびX-VIVO 15は、Cambrex (イースト・ラザフォード, Ni)から購入した。AIM-V培地、イスコブの改良ダルベッコ培地、およびRPMI 1640培地ならびにトリパン・ブルーおよびウシ胎児血清(FBS)は、Invitrogen (カールスバード(Carlsbad), カリフォルニア)から購入した。Viaspanは、Dupont Pharma Labs (ウィルミントン, デラウェア)から購入した。GM-CSF、IL-4、TNF-α、IL-1β、IL-6、およびIFN-γは、全てR&D Sytems (ミネアポリス, ミネソタ)から購入した。PGE2は、Cayman Chemicals (アナーバー, カリフォルニア)から購入した。可溶性CD40Lは、Alexis Biochemicals (サンディエゴ, カリフォルニア)から購入した。ヒトAB血清は、Valley Biochemical (ウインチェスター, バージニア)から購入した。
【0214】
サイトカインCCL19およびCCL21は、Peprotech (ロッキーヒル, ニュージャージー)から購入した。表現型抗体(HLA-ABC、HLA-DR、CD80、CD86、CD83、CD14、およびネガティブ同位体コントロール)、ELISポット(ELISpot)抗体の対(IFN-γおよびIL-2)ELISAセット(IL-12およびIL-10)、およびストレプトアビジン-HRPは、全てBD Opt EIA試薬セットB pH9.5と共にBD Pharmingen (サンディエゴ, カリフォルニア)から購入した。AECペルオキシダーゼ基質は、Vector labs(Vector Labs, バーリンガム, カリフォルニア)から購入した。ブロッキング抗CD40L抗体は、eBioscienceから購入した。CD1d/α-ガラクトシルセラミド(KRN7000)四量体および天然 KRN7000は、キリンビール、医薬部門、東京、日本から寄贈された。MART-1/HLA-A201四量体は、Beckman-Coulter (マイアミ, フロリダ)から購入した。
【0215】
DC生成
ヒトPBMCは、Life Blood (メンフィス, テネシー)によって提供された健康なボランティアからの白血球分離採血法によるコレクションから単離した。PBMCは、フィコール-ヒストペイク(Histopaque)密度遠心分離によって調製し、PBSで四回、室温にて洗浄した。2 x 108個のPBMCを30mLのAIM-V培地に再懸濁し、150cm3のプラスチックフラスコに37℃で二時間接着させた。非接着細胞を除き、残りの細胞をGM-CSF (1000U/mL)およびIL-4 (1000U/mL)を補ったX-VIVO 15培地で5%CO2にて37℃で5-6日間培養した。
【0216】
CD40Lのクローニング
T細胞を、RPMI中でPMAで一時間刺激した。細胞を回収し、PBSで一回洗浄した。総RNAは、QIAGEN RNイージー法(QIAGEN RNeasy procedure)を用いて抽出した。活性化T細胞からの総RNA 1μgを、高適合性Advantage Polymerase (Clontech)を用いるGene Amp Goldキット(Applied Bioscience)を用いて一つのチューブRT-PCR(one tube RT-PCR)反応に入れた。CD40L配列の遺伝子特異的プライマーは、CD40L配列 CD40L 5'プライマー: 5'-GCATCATCGAAACATACAACC-3'(配列番号:11)およびCD40 3'プライマー: 5'-GTATTATGAAGACTCCCAGCG-3' (配列番号:12)の塩基47および塩基859に対応している。PCR断片を精製して、T4 DNAリガーゼ(Invitrogen)を用いてpCR2.1ベクターにサブクローニングした。ジェンバンク(GenBank)コンセンサス配列を有するCD40Lオープンリーディングフレームおよび配列の配列分析により、二つの突然変異の存在が明らかになった。一つの突然変異は保存的であり、アミノ酸変化を生じなかった。もう一つの置換は、機能性アミノ酸変化Asn-Serを生じた。位置指定突然変異誘発は、非保存的アミノ酸変化を修正して、アスパラギンに戻すために行った。簡単に説明すれば、10-40ngのCD40L PCR2.1プラスミドDNAを、特注の5'リン酸化し、HPLC精製したプライマー(QIAGEN)、PFU Ultra酵素、ならびに10 x PCR緩衝剤(Stratagene)およびdNTPS(Clontech)を用いる位置指定突然変異誘発で用いた。PCR反応の後、Dpn I制限酵素(Promega)を加え、37℃で一時間インキュベートし、親鋳型を消化した。次に、この反応物5μLをOneshot MACH T1Rコンピテント細胞(Invitrogen)に形質転換し、新たに作製したアンピシリン含有LBプレートで培養した。六個のコロニーを選択し、アンピシリンを含むLBで一晩培養し、3mL培養物として生育した。DNAは、プラスミドミニプレップ(miniprep)(QIAGEN)を用いて単離した。それぞれのクローンについて精製したDNAの一部を、M13FプライマーおよびM13Rプライマー(Invitrogen)を用いるCD40Lオープンリーディングフレームの配列分析のために、ノースカロライナ大学(UNC)のシークエンシング施設に提出した。次に、全てのクローンを、DNASTAR Seqman分析ソフトウエアを用いてCD40Lについてコンセンサスジェンバンク(GenBank)配列に対して整列させた。正確な突然変異誘発塩基を含むことについて、クローン番号2(CD40L WT PCR 2.1と改名)を選択した。
【0217】
DCのトランスフェクションのためのmRNAの生成
CD40L WT PCR2.1プラスミドをSpel制限酵素を用いて線形化し、フェノール/クロロホルム抽出に続いてエタノール沈澱によって精製した。線形鋳型を水で再構成し、mMessage mMachine T7 Ultraキット(Ambion)を用いて製造元の指示に従ってイン・ビトロで転写した。ポリアデニル化反応に進む前に、RNAの一部を最終分析のために取っておいた。ポリアデニル化RNAは、RNイージーカラム(QIAGEN)を用いてRNAクリーンアップのプロトコールに従って精製した。RNAを水で溶出し、個別に-150℃以下で保管した。ポリA尾部の長さは、RNA Bioanalyzer 2100を用いる非ポリアデニル化RNAと最終生成物の比較分析によって決定した。
【0218】
DCのエレクトロポレーション
エレクトロポレーションの前に、DCを採取してPBSで洗浄した後、冷却したViaspan(Barr Laboratories)に0. 5mL中に4 x 107/mLでまたは0.2mL中に2.5 x 107/mLで再懸濁し、氷上に置いた。DCをmRNA (mRNAコード抗原について1または2μg/106およびCD40L mRNAについて4μg/106)と混合し、4mmギャップのエレクトロポレーションキュベットに入れ、Biorad装置を用いてエレクトロポレートした。エレクトロポレーションの直後に、DCをX-VIVO 15培地で洗浄し、最後にGM-CSF (800U/mL)およびIL-4 (500U/mL)を1 x 106/mLで補ったX-VIVO 15に再懸濁し、低粘着性の6ウェルプレート(BD Biosciences, フランクリンレイクス, ニュージャージー)で37℃にて四時間または二十四時間培養した。下記の追加の成熟刺激も、この時点で添加した。
【0219】
DC成熟 - CD40Lベース工程
エレクトロポレーションの後、CD40L mRNAでトランスフェクトしたDCを、IFN-γ(1000U/mL)、TNF-α(10ng/mL)、またはIFN-γとPGE2 (1μg/mL)の組合せで処理した。比較すると、未成熟DCは様々な抗原コードmRNAでトランスフェクトした後、TNF-α (10ng/mL)、IL-1β (10ng/mL)、IL-6 (100ng/mL)、およびPGE2 (1μg/mL)、または可溶性CD40L (200ng/mL) + エンハンサー (1μg/mL)を含んでなり、同時または連続的に1000U/mLのIFN-γを加えた「サイトカインカクテル」で処理した。
【0220】
DC成熟 - PME-CD40L法
未成熟DCを、TNF-α (10ng/mL)、IFN-γ (1000U/mL)、およびPGE2 (1μg/mL)で培養五日目で表現型に成熟した。六日目に、DCを採取し、前記のように抗原とCD40L mRNAを用いてエレクトロポレーションを行い、800U/mL GM-CSFと500U/mL IL-4を含むX-VIVO 15培地で四時間培養した後、採取し、またはワクチン生産のために処方した。
【0221】
α-ガラクトシルセラミド(KRN7000)と組み合わせたCD40Lベース工程を用いるDC成熟
100ng/mLのKRN7000を、500U/mLのIFN-γと1μg/mLのPGE2による二十四時間の培養と組み合わせた、エレクトロポレーションの直後にCD40Lベース工程のDCに適用した。
【0222】
DCのフローサイトメトリー分析
106個のDCを採取し、冷却したPBS/1%FCSに再懸濁した。MHC分子(HLA-ABC、HLA-DR)、補助刺激分子(CD80、CD86)、成熟マーカー(CD83)、および単球マーカー(CD14)に特異的なフィコエリトリン(PE)またはFITC接合抗体を、96ウェルプレート(BD Biosciences)中でウェル当たり1 x l05個のDCと混合し、4℃で少なくとも十五分間インキュベートした。同位体と調和した抗体を、コントロールとして用いた。十分に洗浄した後、CellQuestソフトウェア(BD Biosciences)を用いるFACScaliburフローサイトメーター(BD Biosciences)で蛍光分析を行った。
【0223】
CD40L の細胞内発現を、下記のようにして測定した。2 x 105個のDCまたはHeLa細胞をCD40L mRNAによるトランスフェクション後の様々な時点で採取し、250μLのCytofix/Cytoperm溶液(BD Biosciences)に少なくとも十分間から二時間まで4℃で再懸濁した。細胞を2mLの染色緩衝液(PBS、BSA、NaN3、およびEDTA)で二回洗浄し、0.5mLの染色緩衝液に再懸濁し、4℃で一晩保管した。細胞を2.0mLのPerm/Wash溶液(BD Biosciences)に十五分間再懸濁し、遠心分離して、100μLのPerm/Wash溶液に再懸濁した。20μLのマウス抗ヒトCD40L PEおよび抗ヒトCD40 APC (BD Biosciences)またはマウスIgGl PEおよびIgG1 APC (BD Biosciences)を、それぞれの時点で集めて浸透化したDC製剤に加え、4℃で三十分間暗所でインキュベートした。細胞を1mLのPerm/Wash溶液で二回洗浄し、染色緩衝液に再懸濁した後、フローサイトメトリー分析を行った。
【0224】
細胞内サイトカイン染色(ICS)は、次のようにして行った。l x 106/mLの感作したCD8+T細胞19日目に共培養物から取り出し、200μLのR10培地中でPME DC標的(RCC、スルビビン、G250、hTERT、またはeGFP)を用いて37℃、5% CO2で一時間再刺激した後、ブレフェルジンA (BD GolgiPlug, カタログ番号555029)を1μL/mLで加えた。細胞は、37℃でさらに十六時間インキュベートした。細胞を洗浄して、5μLのCD8/CP-cy5.5 (BD 341051)を含む150μLのFACS緩衝液に再懸濁し、4℃でインキュベートした。三十分後、細胞を2%パラホルムアルデヒド(PFA)で二回洗浄して、再懸濁させた。細胞を次に十分後に洗浄した後、0.1%サポニンに室温(RT)で十分間浸透した後、2μLのブロッキング抗体であるマウスIgG1ピュア(BD 349040)とインキュベートした。室温で十分間のインキュベーションの後、0.5μL IFN-γ-APC (BD 554681)、10μL IL-2-FITC (BD 554702)、および10μL CD69-PE (BD 555531)抗体を、それぞれの試料管に加えた。試料を、暗所にてRTで三十分間インキュベートした。細胞を2% PFAに再懸濁し、最後に0.1%サポニンで洗浄した。FACSサイトメトリーによって分析を行い、100,000の結果を集めた。
【0225】
HeLa細胞中でmRNAから発現する場合のCD40L機能性分析
HeLa細胞を10% FBS/DMEMで成長させた後、採取して、4mmキュベット中でGFPおよびCD40L RNA (それぞれ20 μg/5 x l06細胞)でエレクトロポレートした。トランスフェクション後の回収率は約70%であり、細胞を6ウェル皿で培養し、一晩培養した。一晩培養した後、トランスフェクトしたHELA細胞を剥離により採取し、マウスIgG1-PEまたは抗ヒトCD40L-PE (両方とも、BD Biosciences,サンディエゴ, カリフォルニア)で染色し、CD40Lの細胞表面発現を探した。2 x 105細胞/試験管を、1% FBS/PBS中10μg/mLの抗体で4℃にて三十分間染色した。細胞を、FACScaliberフローサイトメーターとCellquestソフトウェア(BD Biosciences)を用いて分析した。HeLaで発現したCD40Lの機能を分析するため、1 x 106個の未成熟樹状細胞を6ウェル皿(2mL総量)中で、1000U/mLのIFN-γ(R&D Systems, ミネアポリス, ミネソタ)を加えた5% huAB血清/RPM1中で1 x 106個のHeLa細胞と一晩共培養した。ブロッキングCD40Lモノクローナル抗体 (eBioscienceからの24-31)を10μg/mLで適合したウェルに加え、タンパク質の細胞表面発現が樹状細胞の刺激に必要なことを確かめた。培養上清を18-24時間後に採取し、サイトカインIL-10およびIL-12の発現をELISA(BD Biosciences)によって分析した。
【0226】
遊走試験
DCの走化性を、24ウエルのトランスウェルチャンバー(Corning Costar, アクトン, マサチューセッツ)中で孔の大きさが8μmのポリカーボネートフィルターを介する遊走により測定した。イスコブス(Iscoves)改良ダルベッコ培地または3-300ng/mLのCCL19、5-250ng/mLのCCL21両者の組合せを含むAIM-V培地、または培地単独中の5%ヒトAB血清を、下のチャンバーに加えた。0.1mL中1-5 x 105個のDCを上のチャンバーに加え、37℃で2-3時間インキュベートした。下のチャンバーを5mL試験管(BD Biosciences)に採取し、0.1mL PBSに再懸濁し、生細胞数をトリパンブルーを用いて計数した。
【0227】
ELISポット(ELISpot)
PVDF膜ELISポット(ELISpot)プレート(Millipore, バレリカ, マサチューセッツ)に5μg/mLモノクローナル抗IFN-γまたは抗IL-2捕捉抗体(BD Pharmingen, サンディエゴ, カリフォルニア)をコートして、4℃で二十四時間インキュベートした。インキュベーションの後、プレートをPBS/0.05% Tween 20で洗浄し、5%ヒトAB血清/RPMI 1640培地で一時間ブロックした。PBMC、T細胞、またはCD8増加T細胞を105個の細胞/ウェル、および1 x 104個の細胞/ウェルのmRNAをトランスフェクトし、抗原を負荷したDC標的を10 : 1のエフェクター:標的比で培養し、37℃、5% CO2で少なくとも十六時間インキュベートした。
【0228】
インキュベーションの後、プレートを六回洗浄し、抗IFN-γ検出抗体(BD Pharmingen)または抗IL-2検出抗体(BD Pharmingen)を適切なプレートに1μg/mLで二時間加えた。さらに六回洗浄した後、ストレプトアビジン-HRP(BD Pharmingen)をそれぞれのウェルに一時間加えた。最後に、もう一回の洗浄サイクルの後、AEC ペルオキシダーゼ基質で5-15分間発色させ、水で停止した。プレートを風乾した後、CTL Immunospotプレートリーダー(CTL, クリーブランド, オハイオ)で分析した。
【0229】
ELISA
IL-12およびIL-10 ELISAセット(BD Pharmingen)については、BD Pharmingenによって公表され、BD Opt EIA試薬セットB pH9.5を用いる方法である。簡単に説明すれば、ELISAプレート(BD Biosciences)に抗IL-12p70または抗IL-10 ELISA捕捉抗体のコーティング緩衝液を4℃で二十四時間コートした。プレートを200μL/ウェルの10% FCS/PBSで一時間ブロックした後、標準物(BD Pharmingen)および上清試料を100μL/ウェルずつ二回加え、室温で二時間インキュベートした。プレートを洗浄し、抗サイトカイン検出抗体を加え、一時間インキュベートし、プレートを洗浄して、溶液を100μLのストレプトアビジン-HRPに代えて、室温でさらに一時間インキュベートした。プレートを再度洗浄し、発色基質を10-20分間加えた後、停止溶液を用いて発色を停止した。プレート分析は、KCジュニアソフトウェア(Winooski, バーモント)を備えたBio-Tek装置EL x 800プレートリーダーを用いて行った。結果は、ピコグラム数/mL/106 DCを示す。この分析法は1mLが106個のDCに対応するように設定されているので、これらの結果はピコグラム数/mL/106DCとして表すこともできる。例えば、3000pg/mL/106DCは、3000pg/106DCと同等である。
【0230】
CTL誘導
mRNAでトランスフェクトした成熟樹状細胞を、CD8精製T細胞と共培養した。全ての共培養は、R-10培地(10mM HEPES pH7.4、1mMピルビン酸ナトリウム、0.1mM非必須アミノ酸、2mMグルタミン酸ナトリウム、55μMβ-メルカプトエタノールを加えた10%FBS、RPMI-1640)で行った。全ての細胞培養試薬は、Invitrogen(カールスバード, カリフォルニア)製であった。CD8+細胞は、単球粘着工程から採取した非接着細胞由来のCD8+T細胞単離キットII(Miltenyi Biotec, オーバーン, カリフォルニア)を用いて精製した。CD8+細胞を、前記の方法で調製した樹状細胞と10 : 1のCD8+:DCで混合した。最初の七日間、細胞を0.2U/mLのIL-2(R&D Systems, ミネアポリス, ミネソタ)を加えた培地で培養した後、24ウエルの組織培養皿に1mL(1 x 106個のCD8+細胞)/ウェルずつ加えた。この最初の七日間の培養後、CD8+細胞を採取し、計数して、5U/mLのIL-2を加えた培地で新鮮なDC刺激因子と共に10:1で再培養した。再度細胞を一週間培養した後、新鮮なDCと20U/mLのIL-2で再刺激した。CTL分析法は、三回目の刺激の後三日間または七日間行った。
【0231】
CTL分析法
T2細胞を、10μg/mLのHLA-A201制限MART-APLペプチド(LAGIGILTV:配列番号:24)または天然ペプチド(AAGIGILTV:配列番号:25)またはPSA-1ペプチド(FLTPKKLQCV:配列番号:26)を用いてFBS/RPMI培地中で一晩インキュベートすることによってパルスを加え、洗浄した後、CTLとして使用した。樹状細胞標的を前記の方法でGFP mRNA、MART-1 APL mRNA、Flu-M1 mRNAでトランスフェクトし、未成熟で一晩インキュベートした。パルスを加えたT2細胞は、100μCiのNa51Cr(Perkin-Elmer Life and Analytical Sciences, Inc., ボストン, マサチューセッツ)と共に37℃で九十分間インキュベートした。過剰の51Crを洗浄によって除き、5000の標識した標的を様々なE:T比のCD8+細胞とともに四時間インキュベートした。非特異的溶解は、パルスを加えないT2細胞を25,000細胞/ウェル加えることによって減少した。放出された51Crを、上清中でシンチレーション計測によって測定した。総放出量は1% Triton X-100を標的に加えることによって計算され、自然放出は培地のみを加えることによって計算された。溶解率は、式(放出された試料のcpm - 自然cpm)/(総放出 - 自然放出cpm)を用いて計算した。
【0232】
KRN7000パルスしたCD40Lベース工程で成熟したDCを用いるMART-1特異的CTLの誘導
DCは、前記のように「CD40Lベース工程」を用いて生成させ、MART-1をコードするmRNAを負荷した。エレクトロポレーションの後、DCをKRN7000、IFN-γ、およびPGE2とインキュベートした。DCとPBMCを1 : 10の比で20U/mLのIL-2の存在下にて共培養した。PBMCを同一条件下で三回再刺激し、CTL誘導の頻度をMART-1/A2四量体で染色することによって測定し、NKT細胞の増殖をKRN7000/CD1d四量体を用いてFACSによって数えた。
【0233】
実験例の結果
インターフェロン-γおよびCD40Lを用いる連続成熟は、IL-12p70の分泌を最適にする。
未成熟DCを、GM-CSFおよびIL-4を含むX-VIVO 15培地で接着細胞PBMCを六日間培養することによって調製した。DCを六日目に回収し、106個のDC当たり2μgのeGFPをコードするmRNAでエレクトロポレートし、「サイトカインカクテル」で三十六時間成熟させた。あるいは、同時または連続的に加えられるIFN-γおよび可溶性CD40Lの存在下にて、DCを培養することによって成熟させた。補助刺激分子の発現の増加についてDCを観察したが、最も重要なことには、IL-12p70対IL-10の分泌について観察した。図1は、サイトカインカクテルで成熟したDCは、三十六時間の培養期間にわたってIL-12p70と比較して過剰のIL-10を培養上清中に分泌することを示している。対照的に、可溶性CD40LとIFN-γで同時に成熟させたDCは、過剰のIL-12p70を分泌する。しかしながら、十八時間のIFN-γの連続添加の後に可溶性CD40Lを直接培養物に加え、さらに十八時間培養したところ、IL-12p70の分泌レベルは有意に高まった。意外なことには、可溶性CD40Lに続いてIFN-γを加えたところ、IL-12p70の有意な分泌は防止された。結論として、「プライム(prime)」DC成熟に対する本質的刺激(IFN-γ)に続く可溶性CD40Lによって送達される代理Tヘルパー細胞シグナルの連続的送達により、IL-12p70分泌に対するDC成熟が最適になる。
【0234】
CD40LをコードするmRNAでトランスフェクトしたHeLa細胞と未成熟DCSの共培養により、DC由来のIL-12p70が誘導される。
図2は、CD40LをコードするmRNAでトランスフェクトしたHeLa細胞が、抗CD40L抗体とフローサイトメトリーによって明らかされるように、二十四時間の培養の後にCD40Lタンパク質の有意な細胞表面発現を生じることを示している。CD40L mRNAでトランスフェクトしたHeLa細胞を、1000U/mLのIFN-γの存在下にて未成熟DCと共培養した。表IIは、伸長したポリ-A尾部(>400「A」)でトランスフェクトしたHeLa細胞は、未成熟DCと十八時間の培養期間にわたって培養する場合、有意なIL-12p70分泌を誘導することができることを示している。重要なことは、ブロッキング抗CD40L抗体を含むと、IL-12p70の分泌が妨げられることであり、トランスフェクトしたmRNA配列によってコードされるタンパク質の同一性および機能上の重要性が確かめられる。
【0235】
【表2】

【0236】
CD40L mRNAでトランスフェクトし、IFN-γの存在下で培養した樹状細胞はIL12p70を分泌する。
未成熟DCをGM-CSFとIL-4との培養において六日後に採取し、CD40L mRNA (400-ポリA)を滴定することによってトランスフェクトし、直ちに1000U/mLのIFN-γの存在下で培養した。図3は、十八時間の培養後に回収した上清がIL-10と比較して過剰のIL-12p70を含み、最適サイトカイン分泌には少なくとも4μgのCD40LmRNA/106DCが必要とされることを示している。CD40L mRNAペイロードを4μg/106DC以上に増加すると、成熟後のDC収率が相当減少する(データは示さない)。並行実験において、未成熟DCを4μgのCD40L mRNA/106細胞でトランスフェクトし、IFN-γを直ちに培養物に滴加した。図4は、IL-12p70の最適誘導を支持するには、少なくとも100U/mLのIFN-γが必要であることを示す。図5aは、IL-12p70がトランスフェクション後およびIFN-γとの共培養の6-8時間後に検出可能なレベルで現れ、培養上清における最適蓄積は20-24時間、記録されることを示す。対照的に、10ng/mLの TNF-αをIFN-γの代わりに用いても、IL-12産生が維持されるが、レベルは減少する(図5b)。さらに、IFN-γは、TNF-αよりも低いレベルのIL-10産生を同時に生じる(図5c)。
【0237】
CD40L mRNAでトランスフェクトしたDCによるIL-12p70の誘導は、細胞-細胞相互作用とは反対に「細胞内シグナル化」によって変化する。
図2は、mRNAから翻訳されたCD40Lタンパク質はトランスフェクト細胞の細胞表面で発現することができ、タンパク質は、DC上の対応物、すなわちCD40との相互作用の結果IL-12p70分泌のために適切にシグナル化する能力を保持することを示す。トランスフェクトDCでのCD40Lの細胞分布を決定するため、DCをトランスフェクション後の様々な時点で採取し、細胞表面または細胞内コンパートメントのCD40Lの存在を測定した。図6aおよび図6bは、CD40Lの大半が細胞内コンパートメント内に局在しており、有意なタンパク質発現(27% DC CD40Lポジティブ)はトランスフェクションの60分後まで現れないことを示す。従って、IFN-γはトランスフェクションの直後に加えられるが、成熟事象の送達は、CD40Lに先行するIFN-γシグナルにより連続的(sequential)である。図1に示されるように、IFN-γおよびCD40LによるDCの連続的(sequential)成熟がIL-12p70分泌を最適にする。さらに、図7は、CD40Lでトランスフェクトされ、かつIFN-γで処理されたDCをトランスフェクション後の十八時間過剰のブロッキング抗CD40L抗体の存在下にて培養すると、有意なレベルのIL-12p70をなお分泌することを示す。このデータは、この系でIL-12p70の産生に必要なCD40L/CD40相互作用が細胞内コンパートメント内で起こり得ることを示す。
【0238】
CD40Lポジティブ細胞の経時的頻度
未成熟DCを、4μgのCD40L mRNA/106DCでトランスフェクトし、1000U/mLのIFN-γで補助成熟した。あるいは、CD40L染色のネガティブコントロールとして、未成熟DCを「サイトカインカクテル」で成熟させた。最大頻度の発現はCD40L RNAによるトランスフェクションの約3-4時間後に達成され(図6b参照)、細胞を固定して浸透すると、DCの80%はCD40Lを発現するが、細胞表面染色ではDCの約15%しか検出されない(図6c)。このデータは、CD40Lタンパク質の大半がDC内に保持され、細胞表面では発現しないことを示す。CD40Lタンパク質は一時的に発現し、DCの大半はトランスフェクションの二十六時間後にはCD40Lネガティブになる。CD40Lの同起源の受容体分子であるCD40の発現は、「サイトカインカクテル」のみを受け取るDCと比較すると、CD40LをコードするmRNAによるDCのトランスフェクションによって変更されない。
【0239】
CD40LおよびIFN-γによる成熟にはPGE2がDC遊走を誘発することが必要である。
IL-12p70を分泌し、かつCD80、CD83、およびCD86(表III参照)のような補助刺激分子を高レベルで発現する細胞として定義された成熟表現型を示す能力に加えて、DCがイン・ビボでリンパ節へ回帰することができるようになるには、それらは遊走能力を発揮しなければならない。幾つかの研究は、PGE2が成熟DCの遊走をプライム(prime)することを示している(Luft et al. (2002) Blood 100: 1362, Scandella et al. (2002) Blood 100:1354)。図8は、IFN-γの他に1μg/mLのPGE2が含まれると成熟するDCを遊走させることができ、この遊走能力の獲得はCD40L mRNAペイロードに比例することを示している。従って、CD40Lは成熟するDC表現型および主要なIL-12p70プロファイルに寄与するだけでなく(表II参照)、遊走のプライミングにも寄与する。対照的に、DCは、CD40L mRNAによるトランスフェクションによって成熟し、IFN-γの存在下であるが、PGE2の非存在下で培養したDCは、ケモカイン受容体CCR7の有意な細胞表面発現を示すにも関わらず、遊走することができない(データは示さない)。
【0240】
【表3】

【0241】
DCを粘着単球から調製し、GM-CSF/IL-4中で六日間培養した。採取時に、DCを様々なmRNAペイロードでトランスフェクトし、さらに二十四時間成熟を行った。DCを再度採取し、細胞を様々な細胞表面マーカー、特に機能、すなわち補助刺激および遊走の増加と関連したものについて染色した。成熟培養物の上清を集めて、IL-12p70およびIL-10サイトカイン分析を行った。
【0242】
(a) DCを、4 μg/106のeGFP mRNAの他に抗原コードペイロードとしてflu mRNAを用いて2μg/106細胞でトランスフェクトした。eGFP mRNAにより、FACSによるトランスフェクション、および代替工程での4μg/106細胞のCD40L mRNAの成熟ペイロードの代替コントロールとして作用することを確かめることができる。これらのflu/eGFPでトランスフェクトしたDCは、「サイトカインカクテル」の存在下で成熟した。
【0243】
(b) DCを抗原コードペイロードとしてのMART-APL mRNAを2μg/106細胞でトランスフェクトし、「サイトカインカクテル」を用いて成熟させた。
【0244】
(c) DCを抗原コードペイロードとしてのflu mRNAを2μg/106細胞、ならびに抗原コードペイロードとしてのCD40L mRNAを4μg/106細胞でトランスフェクトした。これらの細胞を、材料および方法に記載のIFN-γおよびPGE2と共に直ちに培養した。
【0245】
(d) DCを抗原コードペイロードとしての2μg/106細胞MART-APLならびに成熟ペイロードとしてのCD40L mRNAを4μg/106細胞でトランスフェクトした。これらの細胞を、材料および方法に記載のIFN-γおよびPGE2と共に直ちに培養した。
【0246】
(e) 成熟を行うDCからのIL-12p70の分泌。
【0247】
(f) 成熟を行うDCからのIL-10の分泌。
【0248】
CD40L mRNAおよびIFN-γ/PGE2によるトランスフェクションを介して連続的に成熟したDCは、強力なT細胞リコール応答を誘導する。
CD40L mRNAトランスフェクションおよびIFN-γ/PGE2を介して成熟したDCの「免疫力(immunopotency)」を測定するため、DCを、CD40L mRNAおよびIFN-γ/PGE2培養環境の他にfluマトリックスタンパク質をコードする2μg/106DCのmRNAで同時トランスフェクトした。トランスフェクションの十八時間後に、DCを採取し、洗浄して、自己由来T細胞と共にIFN-γ ELISポット(ELISpot)分析法で共培養した。図9は、CD40L/IFN-γ/PGE2により成熟したDCが、この分析法でflu特異的IFN-γスポットの頻度によって定義されるように、flu mRNAでトランスフェクトして「サイトカインカクテル」で成熟したDCと比較して、免疫力が増加していることを示す。
【0249】
CD40L mRNAおよびIFN-γ/PGE2を用いるトランスフェクションによって連続的に成熟したDCは一次応答を誘発する。
図9に記載されているようなリコール応答は、最適化補助刺激分子を発現し、かつサイトカイン環境を維持するDCの存在によってあまり変化しない。従って、DCを、多数の健康な提供者が高いナイーブT細胞前駆体出現率を保持している黒色腫関連抗原MART-1に対する一次免疫応答を誘発する能力について試験した。HLA-A201提供者を優先的に用いたので、DCをMART-1をコードするmRNAでトランスフェクトし、A2制限決定基を位置指定突然変異誘発によるmRNA配列の突然変異によって最適化し、27位のアラニンはロイシンによって置換され、本明細書ではMART-APLと呼ばれている (Valmori, D et al (1998) J. Immunol. 160:1750)。2μgのMART-APL mRNAと4μgのCD40L mRNAとで同時トランスフェクトし、直ちにIFN-γ/PGE2で十八時間パルスを加えたDCを、MART-APLだけ負荷し「サイトカインカクテル」で一晩成熟したDCと比較した。抗原を負荷して成熟したDCを精製した自己由来CD8+T細胞に加え、0.2U/mLのヒトIL-2の存在下にて七日間培養した。この期間の後、T細胞を回収して、IL-2 ELISポット(ELISpot)分析法において適当な抗原を負荷したDC刺激因子で二回目の共培養を行った。図10は、CD40LおよびIFN-γ/PGE2によって成熟したCDの存在下で培養したCD8+T細胞は、MART-APL mRNA配列内で最初にコードされた最適化MART-APLエピトープに対する特異的応答においてIL-2を分泌することができるT細胞を極めて有意に増加させることを示している。結論としては、IFN-γ/PGE2およびCD40Lを介する連続的成熟に暴露されたDCは、現在受け入れられている標準的「サイトカインカクテル」で成熟したDCよりも一次免疫応答を生じる点で有意に一層強力である。さらに、図11は、「サイトカインカクテル」で成熟したMART-APLを負荷したDCを用いて生成したCTLは、適切なHLA-A2制限MART-APLペプチドでパルスを加えたT2細胞に対するCD4独立でCD8依存性の細胞傷害性を伝達することができないことを示している(図11b)。対照的に、CD40L/IFN-γ/PGE2で成熟したDC上に生成し
たCTLは完全に活性であり、MART-APLペプチドでパルスしたT2標的を殺す(図11a)。
【0250】
PME-CD40L工程で成熟する未成熟DCの表現型分析
DCを、本明細書に記載のPME-CD40L工程で五日目に成熟させた。具体的に説明すれば、単球をGM-CSFおよびIL-4を含む培地で五日間培養して、未成熟CD83-DCを産生した。五日目に、未成熟DCにTNFα、IFNγ、およびPGE2(TIP)を供給した。六日目に、TIP表現型を測定した(表IV参照)。表IVに示されるように、細胞の大半はCD80、CD83、CD86、およびCD209に対してポジティブであった。これらのDCは、CCR7ネガティブでもあった(データは示さない)。低割合のCD14+細胞は、樹状細胞に分化しなかった単球を表す。六日目に、CD83+CCR7-DCを、増幅した腎細胞癌RNAから調製した1μgのmRNAと4μgのCD40L mRNA/106細胞で(エレクトロポレーションにより)同時にトランスフェクトした。CD40L発現を、トランスフェクションの四時間後に測定した。細胞をトランスフェクションの四時間後に、液体窒素に低温保存した。融解直後および融解の二十四時間後、融解後回収率および生存率を測定した。融解の二十四時間後には、DCの大半はCCR7+となることが分かる。CCR7+ DCは、CD80、CD83、およびCD86にもポジティブであった。三回の別々の実験結果を表IVに示す。
【0251】
【表4】


【0252】
PME-CD40L工程によって成熟したDCは、リンパ節帰巣ケモカインCCL19およびCCL21に応答して遊走性が高い。
PME-CD40Lで成熟したDCを、総増幅RCC RNAおよびCD40L RNAを用いる同時トランスフェクションの二十四時間後のケモカインCCL19およびCCL21に応答する遊走について分析した。図12は、四人の独立した提供者を用いると、PME-CD40Lで成熟したDCは遊走性が高く、PME-CD40L工程を用いるエレクトロポレーションの二十四時間後に達成された極めて高いレベルのCCR7発現と一致することを示している(表IV参照)。
【0253】
PME-CD40L工程によって成熟したDCは、「CD40Lベース法」を用いて成熟したDCと比較して有意に増強した免疫力を示す。
「CD40Lベース法」による一次免疫応答が誘導されるにも拘わらず、DCをTNF-α、IFN-γ、およびPGE2で最初に成熟させた後、CD40L + 抗原コードmRNAを用いるエレクトロポレーションを行う「成熟後エレクトロポレーション-CD40L」法では、MART抗原モデル系を用いるCTL活性が有意に向上する(図13)。さらに、PME-CD40L工程を、腎細胞癌患者に由来する完全に自己由来の材料を用いるIFN-γおよびIL-2応答の誘導について試験した。患者DCは、PME-CD40L工程について前記した方法で調製し、自己由来の全増幅RCC腫瘍RNAでエレクトロポレーションした。抗原を負荷したDCを自己由来の患者CD8T細胞と培養し、生成するレスポンダーCTLを、誘導されるDC、および腫瘍関連抗原、hTERT、スルビビン(Survivin)、およびRCC特異性抗原G250でトランスフェクトした個々のDCに応答する細胞内サイトカイン染色によって検討した。eGFPコードmRNAでトランスフェクトしたDCは、ネガティブコントロール刺激因子として用いた。図14は、患者T細胞が全増幅RCC RNAを負荷したDC、および三種類の腫瘍関連抗原にも応答し、eGFP mRNAでトランスフェクトしたネガティブコントロールによって誘導されるより高いIFN-γおよびIL-2の両方の出現頻度を有することを示す(それぞれのRCC関連DC標的に対する全応答から差し引いたeGFPに対する応答)。
【0254】
「ベースCD40L工程」によって成熟し、KRN7000でパルスを加えたDCは、一次CTLの誘導を増強するNKT細胞を補充することができる。
MART-1 mRNAを負荷したCD40Lベース法によって成熟し、KRN7000でパルスを加えたDCは、CD1d/KRN7000-四量体染色によって定義されるように、KRN7000の代わりにビヒクルでパルスした同じ成熟したRNAを負荷したDCと比較してPBMC培養物中のNKT細胞の出現頻度を増加する(図15a)。レスポンダーCTL(MART-1/HLA-A2)について四量体分析を用いると、KRN7000でパルスを加え、MART-1 mRNAでトランスフェクトしたDCが存在するすることにより、MART反応性T細胞の出現頻度が有意に増加する(図15b)。従って、PBMC培養物中のNKT細胞の増殖により、NKT細胞由来の「補助」によって達成されると思われる増幅ループが提供され、これにより一次CD8 CTL成長を支持することができる。
【0255】
CD40L mRNAの最適化
成熟の好ましい道筋を示す最初のDC実験で用いたCD40L RNAを、プラスミド鋳型pCR2.1 CD40L WTから転写した。好ましいCD40L RNAは、ARCAキャップ類似体とポリA尾部を含む。プラスミドpCR2.1 CD40L WTを、イニシエーターATGコドンの5'に位置したXbal - EcoRV断片を除去することによって修飾した。この断片は、ベクター配列の32ヌクレオチドを含み、三個の曖昧な潜在的イニシエーターATGコドンを含んでいる。この修飾の理論的根拠は、これらの追加のATGが、正確なCD40L翻訳開始部位と競合することによってCD40L翻訳の効率的開始を妨げることであった。CD40Lのコード配列は、これらの修飾によって影響を受けないままであった。修飾したプラスミド鋳型から転写したCD40L RNAは、IL-12発現の誘導によって測定されるように、二つの独立したDCトランスフェクション実験における現行のCD40L参照標準物より良好に機能した。修飾プラスミドは、pCR2.1 CD40L WT δX-Eと表される。
【0256】
さらに、CD40L RNAの発現を、CD40Lイニシエーターコドンの直ぐ上流にCD40L 5'未翻訳領域を置くことによって、さらに最適化することができるかどうかを決定しようとした。pCR2.1 CD40L WT δX-Eプラスミドを、CD40L翻訳開始部位の直ぐ上流に位置する39bpのCD40L 5'未翻訳配列を挿入することによってさらに修飾した。このプラスミドから転写されるRNAは、CD40L WT δ X-Eから転写されるRNAと同様に機能しなかったが、pCR2.1 CD40L WTから転写される最新のCD40Lと同様に機能した。従って、pCR2.1 CD40L WT δ X-Eプラスミドは、好ましいプラスミドである。pCR2.1 CD40L WT δ X-Eプラスミドから転写されたCD40L RNAに対応するDNA配列を、配列番号:11に示す。ATG開始コドンは、41位から始まる。
【図面の簡単な説明】
【0257】
【図1】図1は、IFN-γ、次いで可溶性CD40LによるDCの連続的成熟により、IL-12p70の分泌が最適になることを示す。DCをサイトカインカクテル、可溶性CD40L単独、または可溶性CD40LとIFN-γを用いて成熟した。未成熟DCを1000U/mLのIFN-γと十八時間予備インキュベーションをした後、可溶性CD40Lを加えてさらに十八時間置くことによって、IL-12p70放出が最大となる。最初に可溶性CD40Lを加えた後に、IFN-γを加えたものはネガティブシグナルと考えられ、IL-12p70放出が最小であり、IL-10を伴う。
【図2】図2は、CD40LをコードするmRNAでトランスフェクトし、ポリA尾部が>400ヌクレオチドであるHELA細胞は、抗CD40L(CD154)抗体を用いるFACS分析によって明らかにされるように細胞表面タンパク質を発現することを示す。
【図3】図3は、CD40L mRNAでトランスフェクトした細胞からのIL-12p70分泌は、トランスフェクションペイロードの大きさに比例することを示す。DCは、CD40L mRNAを滴定した直後に1000U/mL IFN-γを加えることによってトランスフェクトした。百万個のDC当たり少なくとも4μgのCD40L mRNAが、有意水準のIL-12p70放出を誘発するために必要とされる。
【図4】図4は、CD40L mRNAペイロードと相乗作用して、最大IL-12p70分泌を誘導するには、少なくとも100U/mLのIFN-γが必要であることを示す。DCを4μg/106細胞のCD40L mRNAでトランスフェクトし、直ちにIFN-γを滴定しながらインキュベートした。IL-12p70およびIL-10は、二十四時間後に培養上清中で測定した。
【図5A】図5Aは、CD40L/IFN-γによって誘導されたIL-12p70分泌は、DCのトランスフェクションおよびIFN-γの存在下での培養の約二十四時間後に起こることを示す。DCを4μg/106細胞のCD40L mRNAでトランスフェクトし、直ちに1000U/mLのIFN-γと培養した。上清を所定時間にレプリカ培養物から集め、IL-12p70およびIL-10含量について分析した。
【図5B】図5Bは、TNF-αをCD40L mRNAでトランスフェクトしたDCに加えるとIL-12p70を生成するが、発現のレベルは補助成熟剤としてのIFN-γを用いて達成したレベルより低いことを示す。
【図5C】図5Cは、TNF-αを補助成熟因子として用いることによっても、IFN-γの使用と比較してIL-10のレベルが高くなることを示す。
【図6A】図6AおよびBは、CD40LをコードするmRNA(mRNA encoding CD40L)でトランスフェクトしたDCは、抗CD40L(CD154)抗体を用いるFACS分析によって明らかにされる細胞発現を表すことを示している。図6Aでは、DCを4μg/106細胞のCD40L mRNAでトランスフェクトし、様々な時点で分析した。CD40Lの大半は、四時間の時点までに示されるように細胞内コンパートメント内に局在し、表面発現はかなり低い。図6Bは、六十分で有意な細胞内発現が明らかであり、27%のポジティブDCであり、三時間までに79%まで増加することを示している。
【図6B】図6AおよびBは、CD40LをコードするmRNA(mRNA encoding CD40L)でトランスフェクトしたDCは、抗CD40L(CD154)抗体を用いるFACS分析によって明らかにされる細胞発現を表すことを示している。図6Aでは、DCを4μg/106細胞のCD40L mRNAでトランスフェクトし、様々な時点で分析した。CD40Lの大半は、四時間の時点までに示されるように細胞内コンパートメント内に局在し、表面発現はかなり低い。図6Bは、六十分で有意な細胞内発現が明らかであり、27%のポジティブDCであり、三時間までに79%まで増加することを示している。
【図6C】図6Cは、mRNAをコードするCD40L(CD40L encoding mRNA)を用いるDCのトランスフェクション後のCD40Lタンパク質の一過性発現を示す。
【図7】図7は、CD40L mRNAでトランスフェクトして、IFN-γの存在下で培養したDCは、過剰のブロッキング抗CD40L抗体の存在にも拘わらずIL-12p70を分泌し、CD40/CD40L相互作用は「細胞内」コンパートメント内で働くことを示す。DCを4μgのCD40L mRNAでトランスフェクトし、直ちに10μg/mLまたは50μg/mLのブロッキング抗CD40L抗体の存在下にて1000U/mLのIFN-γを用いて培養した。IL-12p70放出はわずか50%まで減少し、細胞間のシグナル化よりはむしろ細胞内シグナル化がIL-12p70の誘導の主要な経路であることを示唆している。
【図8】図8は、CD40L mRNAでトランスフェクトしてIFN-γを用いて共培養したDCは、ケモカイン依存性遊走を可能にするにはPGE2の存在が必要であることを示す。DCをCD40L mRNAの滴定によりトランスフェクトし、直ちに1000U/mLのIFN-γおよび1μg/mLのPGE2と共にインキュベートした。eGFPを用いてトランスフェクトし、PGE2を含むサイトカインカクテルを用いて成熟したDCは、ポジティブコントロールを表す。十八時間の成熟後、それぞれの培養条件からのDCを、リンパ節帰巣ケモカインCCL19および21に対する「トランスウェル」遊走分析で試験した。DC遊走は、CD40L mRNAペイロードの大きさに比例した。
【図9】図9は、CD40L mRNAを用いるトランスフェクションによって成熟し、IFN-γおよびPGE2の存在下で培養したDCは、「サイトカインカクテル」の存在下で成熟したDCと比較すると、効率的T細胞「リコール応答」を引き起こすことを示す。DCを、抗原ペイロードとしての2μg/106細胞のインフルエンザM1 mRNAおよび4μgのeGFP mRNAコントロールで同時トランスフェクトした後、サイトカインカクテルを用いて成熟した。あるいは、DCを、抗原ペイロードとしての2μg/106細胞のインフルエンザM1 mRNAおよび成熟ペイロードとしての4μgのCD40L mRNAを用いて、同時トランスフェクトした。これらの後者の細胞を直ちに1000U/mLのIFN-γおよび1μg/mLのPGE2中で培養し、成熟工程を完成した。二十四時間後に、それぞれのDC個体群をIFN-γを分泌する反応性T細胞の出現率によって決定するように、ELISポット(ELISpot)分析法に用いて抗インフルエンザM1リコール応答を補充した。IFN-γおよびPGE2の存在下にてCD40L mRNAを用いるトランスフェクションによって成熟したDCは、一層強力な抗インフルエンザ応答を引き起こした。
【図10】図10は、CD40L mRNAを用いるトランスフェクションによって成熟し、IFN-γとPGE2の存在下にて培養したDCは、「サイトカインカクテル」の存在にて成熟したDCと比較すると効率的「一次T細胞応答」を引き起こすことを示す。DCを、抗原ペイロードとしての2μg/106細胞のMART-APL mRNAを用いてトランスフェクトした後、サイトカインカクテルを用いて成熟した。あるいは、DCを抗原ペイロードとしての2μg/106細胞のMART-APL mRNAおよび成熟ペイロードとしての4μgのCD40L mRNAを用いて同時トランスフェクトした。これらの後者の細胞を、直ちに1000U/mLのIFN-γおよび1μg/mLのPGE2中で培養して、成熟工程を完成した。二十四時間後に、それぞれのDC個体群を用いて、0.2U/mLのIL-2の存在下にて七日間自己由来ナイーブCD8+T細胞の共培養によってトランスフェクトしたMART-APL mRNAペイロードから生じたMART-APLペプチド配列に対するT細胞応答を生じさせた。この最初の工程の刺激の後、T細胞を採取し、IL-2 ELISポット(ELISpot)分析法において確認し、ほぼ成熟した抗原を負荷したDCを用いて再刺激した。 IFN-γとPGE2の存在下にてCD40L mRNAを用いるトランスフェクションによって成熟したDCは、IL-2を分泌する反応性CD8+T細胞の出現頻度によって決定されるように一層強力な抗MART-APL応答を生じた。
【図11】図11は、MART-APL mRNAを発現するDCによる細胞傷害性T細胞の誘導を示す。図11aは、抗原の供給源としてのMART-APL mRNAとCD40L mRNAによる同時トランスフェクションを用い、可溶性インターフェロンγ/PGE2の添加によるDCの成熟によって効果的CTL応答を生じることを示しているが、図11bは、MART-APL mRNAによりトランスフェクトしたが「サイトカインカクテル」で成熟したDCは効果的CTL応答を生じないことを示す。T2-PSA: ネガティブコントロールターゲットとしての前立腺特異抗原(PSA)由来のHLA-A2制限ペプチドでパルスしたT2細胞。MART-T2: 天然配列におけるHLA-A2制限MARTエピトープでパルスしたT2細胞。MART-APL-T2: 好ましい「変更ペプチドリガンド」としてのHLA-A2制限MARTエピトープでパルスしたT2細胞。
【図12】図12は、トランスウエル分析法におけるPME-CD40L成熟DCリンパ節ケモカインCCL19および21への遊走能を示す。四名の独立した健康な提供者を並行して試験し、それぞれのDC製剤は1μgの増幅した総RCC腫瘍RNAを4μg/106DCのCD40L RNAと共に用いてトランスフェクトした。遊走分析は、mRNAペイロードによるトランスフェクションの二十四時間後に行った。
【図13】図13は、黒色腫関連抗原MART-1に対する健康な提供者由来のCTL応答の誘導を示す。DCはMART-1 RNAを用いて調製して負荷し、「CD40Lベース法」によって成熟させるか、またはDCはPME-CD40L法を用いて調製した。DCと精製したCD8T細胞を1 : 10の比で共培養し、IL-2の存在下にて三回刺激を行った。このデータは、エフェクター-標的比の範囲中のMART-1ペプチドでパルスしたT2標的細胞を用いる51CR放出細胞傷害性分析を示す。
【図14】図14は、全増幅RCC腫瘍RNAを負荷したDCである、PNM-CD40L成熟DCに対する完全な自己由来CTL応答を示す。DCと精製CD8T細胞を1 : 10の比で共培養し、IL-2の存在下で三回刺激した。最後の刺激の五日後に、CD8T細胞を全増幅RCC RNA、hTERT RNA、スルビビン(Survivin)RNA、G250 RNAでトランスフェクトしたDC、またはeGFP RNAによりトランスフェクトしたネガティブコントロールDCで再刺激した。このデータは、活性化マーカーCD69についての細胞表面染色、および細胞内IFN-γおよびIL-2の同時検出によって反応T細胞を同定することから誘導される。細胞内サイトカイン応答を再分割して、IFN-γ/IL-2ダブルポジティブ(記憶細胞)からIFN-γシングルポジティブ(エフェクター細胞)を同定した。
【図15】図15は、MART-1 RNAによりトランスフェクトしたCD40Lベース法で成熟し、KRN7000またはビヒクルでパルスしたDCによるNKT細胞(a)およびMART-1反応性CTL(b)の増殖を示す。このデータは、KRN7000でパルスしたDCがCD1d/KRN7000四量体染色によって明らかなようにNKT細胞を増殖することができ、NKT細胞の増殖個体群の存在によりMART-1/HLA-A2四量体を用いる四量体染色によって明らかなようにMART-1への一次CTLの同時補充を増加させることができることを明確に示している。
【図16】図16は、ヒト(配列番号:1)およびマウス(配列番号:9)のCD40L cDNAの配列を示す。図16A、図16B、および図16Cは、連続した三頁にわたる配列番号:1および2の配列を表す。
【図17】図17は、ヒト(配列番号:2)およびマウス(配列番号:10)のCD40Lタンパク質の配列を示す。
【図18】図18は、mMessage mMachine T7 Ultraキット(Ambion)を用いる100μgスケール(δ X-E1)または1mgスケール(δ X-E2)の転写反応における、pCR2.1 CD40L WT δX-Eプラスミドから転写したmRNAによりトランスフェクトしたDCによるIL-12発現のレベルを示す。対照のRNAは、プラスミドpCR2.1 CD40L WTから転写した。転写したCD40L RNAをポリA+キット(Epicentre)を用いるポリA尾部の付加によって修飾した。RNAは、DC中にトランスフェクトした。トランスフェクションの約二十時間後、IL-12の量をElisaを用い、成熟DCの上清中で測定した。ネガティブ: CD40L RNA無しでエレクトロポレートしたDCの上清でのIL-12発現測定。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成熟樹状細胞(DC)を調製する方法であって、
(a)単離した未成熟樹状細胞(iDC)をインターフェロンγ受容体(IFN-γR)アゴニストと、場合によってTNF-αRアゴニストとを含んでなる第一のシグナルによりシグナル化して、IFN-γRアゴニストシグナル化樹状細胞を産生し、
(b)前記IFN-γRアゴニストシグナル化樹状細胞を、有効量のCD40アゴニストを含んでなる第二の一過性シグナルによりシグナル化して、CCR7+成熟樹状細胞を産生させること
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記iDCまたは前記シグナル化DCを、PGE2と接触させることをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(a)および(b)が、前記細胞と、GM-CSFと、IL-4またはIL-13の少なくとも一方とを接触させることをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記CD40アゴニストがCD40に対するアゴニスト性抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CD40アゴニストがCD40Lポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記CD40Lポリペプチドが、下記からなる群から選択される、請求項5に記載の方法:
a) 配列番号:2を含んでなるポリペプチド、
b) 配列番号:2のアミノ酸残基47 - 261を含んでなるポリペプチド、
c) 配列番号:2のアミノ酸残基51 - 261を含んでなるポリペプチド、
d) 配列番号:2のアミノ酸残基120 - 261を含んでなるポリペプチド、
e) 配列番号:2のアミノ酸残基113 - 261を含んでなるポリペプチド、
f) 配列番号:2のアミノ酸残基112 - 261を含んでなるポリペプチド、
g) 配列番号:10を含んでなるポリペプチド、
h) 配列番号:2のアミノ酸残基35 - 261を含んでなるポリペプチド、
i) 配列番号:2のアミノ酸残基34 - 225を含んでなるポリペプチド、
j) 配列番号:2のアミノ酸残基113 - 225を含んでなるポリペプチド、
k) 配列番号:2のアミノ酸残基120 - 225を含んでなるポリペプチド、および
1) (a) - (k)のいずれかのポリペプチドの断片であって、CD40に結合している前記断片。
【請求項7】
前記CD40Lポリペプチドが、下記からなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも77%配列同一性を有するポリペプチドである、請求項5に記載の方法:
a) 配列番号:2を含んでなるポリペプチド、
b) 配列番号:2のアミノ酸残基47 - 261を含んでなるポリペプチド、
c) 配列番号:2のアミノ酸残基51 - 261を含んでなるポリペプチド、
d) 配列番号:2のアミノ酸残基120 - 261を含んでなるポリペプチド、
e) 配列番号:2のアミノ酸残基113 - 261を含んでなるポリペプチド、
f) 配列番号:2のアミノ酸残基112 - 261を含んでなるポリペプチド、
g) 配列番号:10を含んでなるポリペプチド、
h) 配列番号:2のアミノ酸残基35 - 261を含んでなるポリペプチド、
i) 配列番号:2のアミノ酸残基34 - 225を含んでなるポリペプチド、
j) 配列番号:2のアミノ酸残基113 - 225を含んでなるポリペプチド、
k) 配列番号:2のアミノ酸残基120 - 225を含んでなるポリペプチド、および
1) (a) - (k)のいずれかのポリペプチドの断片であって、CD40に結合している前記断片。
【請求項8】
IFN-γRアゴニストをコードするmRNAの翻訳時に前記第一のシグナルを生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記iDCとIFN-γRアゴニストとの接触時に前記第一のシグナルを生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
CD40アゴニストをコードするmRNAの翻訳時に前記第二のシグナルを生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記樹状細胞を前記mRNAでトランスフェクトする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞を、エレクトロポレーションを用いてトランスフェクトする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記mRNAが、CD40Lポリペプチドをコードし、かつ下記からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含んでなる、請求項10に記載の方法:
a) 配列番号:1のポリヌクレオチド、
b) 配列番号:1のヌクレオチド40 - 822を含んでなるポリヌクレオチド、
c) 配列番号:1のヌクレオチド178 - 822を含んでなるポリヌクレオチド、
d) 配列番号:1のヌクレオチド190 - 822を含んでなるポリヌクレオチド、
e) 配列番号:1のヌクレオチド397 - 822を含んでなるポリヌクレオチド、
f) 配列番号:1のヌクレオチド376 - 822を含んでなるポリヌクレオチド、
g) 配列番号:9のポリヌクレオチド、
h) 配列番号:13のポリヌクレオチド、
i) (a) - (h)の任意のポリヌクレオチドと少なくとも80%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、
j) ストリンジェント条件下で(a) - (h)の任意のポリヌクレオチドにハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド、および
k) さらに配列番号:14、15、16、17、または18の核酸からなる群から選択される3'未翻訳配列、および/または配列番号:19、20、21、22、または23の核酸からなる群から選択される5'未翻訳配列を含んでなる(a) - (j)のポリヌクレオチド。
【請求項14】
CCR7+成熟DCが106個のDC当たり0 - 500pgのIL-10を分泌する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
CCR7+成熟DCがIL-12p70タンパク質を分泌する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
未成熟樹状細胞がCD34+造血幹細胞または前駆細胞から調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
未成熟樹状細胞が末梢血単核球(PBMC)から調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
未成熟樹状細胞がIL-4および/または IL-13の存在下にて前記PBMCをGM-CSFと接触させることによって調製される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記IFN-γRアゴニストがIFN-γまたはその生物活性断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記IFN-γが配列番号:6の配列を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記IFN-γRアゴニストが配列番号:6と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
さらに前記iDC、シグナル化DC、またはCCR7+成熟DCに一以上の抗原または一以上の抗原をコードする(複数の)ポリヌクレオチドを導入して、抗原を負荷したCCR7+成熟DCを産生させることを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
抗原が病原体、病原体溶解物、病原体抽出物、病原体ポリペプチド、癌細胞、癌細胞溶解物、癌細胞抽出物、癌細胞特異的ポリペプチドからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
(複数の)抗原をコードする(複数の)ポリヌクレオチドを前記iDC、シグナル化DC、またはCCR7+成熟DCに導入する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリヌクレオチドをエレクトロポレーションによって導入する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリヌクレオチドがmRNAである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
mRNAをコードする抗原を、CD40アゴニストをコードするmRNAと共に導入する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記抗原またはポリヌクレオチドを前記第一のシグナルの前に導入する、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記抗原またはポリヌクレオチドを前記第一のシグナルの後であって、かつ前記第二のシグナルの前に輸送する、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記抗原またはポリヌクレオチドを前記第二のシグナル後に輸送する、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記抗原またはポリヌクレオチドを前記第二のシグナルと実質的に同時に輸送する、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
対象者に免疫応答を生じさせる方法であって、前記対象者に請求項22に記載の方法によって産生した抗原負荷CCR7+成熟DCの有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項33】
前記DCが対象者と同種である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記DCが対象者にとって自己由来である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
免疫エフェクター細胞を刺激する方法であって、請求項22に記載の方法によって産生した抗原負荷CCR7+成熟DCの存在下にて前記細胞を培養して、刺激された免疫エフェクター細胞を産生することを含んでなる、方法。
【請求項36】
対象者の免疫を高める方法であって、前記対象者に請求項35に記載の方法によって産生した刺激された免疫エフェクター細胞の有効量を投与することを含んでなる、方法。
【請求項37】
前記iDCをTNF-αRアゴニストでシグナル化し、前記第二の一過性シグナルを成熟CD83+CCR7-樹状細胞に輸送する、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記IFN-γRアゴニストがIFN-γである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第二の一過性シグナルを、前記成熟CD83+CCR7-樹状細胞におけるCD40アゴニストをコードするmRNAの翻訳時に生じる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記CD40アゴニストがCD40Lである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
CD40アゴニストをコードする前記mRNAをトランスフェクションによって前記成熟CCR7-樹状細胞に導入する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記mRNAをエレクトロポレーションによって導入する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
CD40アゴニストをコードする前記mRNAを、抗原をコードするmRNAと同時にトランスフェクトする、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
さらに前記未成熟樹状細胞をPGE2と接触させることを含んでなる、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記第二の一過性シグナルを未成熟樹状細胞に輸送する、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記IFN-γRアゴニストがIFN-γである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第二の一過性シグナルを、前記未成熟樹状細胞におけるCD40アゴニストをコードするmRNAの翻訳時に生じる、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記CD40アゴニストがCD40Lである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
CD40アゴニストをコードする前記mRNAをトランスフェクションによって前記未成熟樹状細胞に導入し、mRNA負荷樹状細胞を産生させる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記mRNAをエレクトロポレーションによって導入する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
CD40アゴニストをコードする前記mRNAを、抗原をコードするmRNAと同時にトランスフェクトする、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
さらに前記mRNA負荷樹状細胞をPGE2と接触させることを含んでなる、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
さらに前記未成熟樹状細胞、前記シグナル化樹状細胞、または前記CCR7+樹状細胞をNKT細胞リガンドと接触させることを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
前記NKT細胞リガンドが、α-ガラクトシルセラミド、α-グルコシルセラミド、α-6-デオキシガラクトシルセラミド、α-6-デオキシガラクトシルセラミド、β-6-デオキシガラクトフラノシルセラミド、β-6-デオキシガラクトフラノシルセラミド、β-アラビノシルセラミド、α-C-ガラクトシルセラミド、およびα-S-ガラクトシルセラミドからなる群から選択される化合物である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記化合物が(2S,3S,4R)-1-O-(α-Dガラクトピラノシル)-2-(N-ヘキサコサノイルアミノ)-1,3,4-オクタデカントリオール(KRN7000)である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記CCR7+樹状細胞を前記化合物と接触させる、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記未成熟DCを前記化合物と接触させる、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記シグナル化DCを前記化合物と接触させる、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
成熟樹状細胞(DC)の調製方法であって、単離した未成熟樹状細胞を腫瘍壊死因子α受容体(TNF-αR)アゴニストを含んでなる第一のシグナルに続いてCD40アゴニストを含んでなる第二のシグナルにより順次シグナル化し、前記シグナル化が有効量のIL-1βおよび/またはIL-6の非存在下におけるものであることを特徴とする、方法。
【請求項60】
前記TNF-αRアゴニストがTNF-αである、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
さらに前記未成熟樹状細胞をPGE2と接触させることを含んでなる、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
CD83+CCR7-成熟樹状細胞。
【請求項63】
請求項1に記載の方法によって調製される、CCR7+成熟DC。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−515439(P2008−515439A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535869(P2007−535869)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/036304
【国際公開番号】WO2006/042177
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(505182915)アルゴス セラピューティクス,インコーポレイティド (8)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】