説明

成膜方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び成膜装置

【課題】基板上にシランカップリング剤を適切に成膜し、基板処理のスループットを向上させる。
【解決手段】テンプレートTの表面に紫外線を照射し、当該表面を洗浄する(図11(a))。その後、テンプレートT上に離型剤Sを塗布する(図11(b))。その後、テンプレートTの離型剤S上にアルコールAを塗布する(図11(c))。その後、テンプレートT上の離型剤Sに超音波振動を付与する(図11(d))。この超音波振動により、テンプレートTの表面と離型剤Sとの化学反応が促進され、当該テンプレートTの表面と離型剤Sとの密着性が向上する。その後、テンプレートT上の離型剤Sをリンスし、当該テンプレートT上に転写パターンに沿った離型膜Sを成膜する(図11(e))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上にシランカップリング剤を成膜する成膜方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成することが行われている。
【0003】
上述したレジストパターンを形成する際には、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、当該レジストパターンの微細化が求められている。一般にフォトリソグラフィー処理における微細化の限界は、露光処理に用いる光の波長程度である。このため、従来より露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
【0004】
そこで、近年、ウェハにフォトリソグラフィー処理を行う代わりに、いわゆるインプリントと呼ばれる方法を用いてウェハ上に微細なレジストパターンを形成することが提案されている。この方法は、表面に微細なパターンを有するテンプレート(モールドや型と呼ばれることもある。)をウェハ上に形成したレジスト表面に圧着させ、その後剥離し、当該レジスト表面に直接パターンの転写を行うものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−43998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のインプリント方法で用いられるテンプレートの表面には、テンプレートをレジストから剥離し易くするため、通常、レジストに対して撥液性を有する離型剤が成膜されている。
【0007】
テンプレートの表面に離型剤を成膜する際には、先ず、テンプレートの表面を洗浄した後、当該テンプレートの表面に離型剤を塗布する。次に、成膜される離型剤が所定の接触角を有してレジストに対する撥液性機能を発揮できるようにするため、離型剤をテンプレートの表面に密着させる。具体的には、離型剤とテンプレートの表面を化学反応させて、離型剤中に含まれる成分のうち、レジストに対して撥液性を有する成分、例えばフッ化物成分をテンプレートの表面に吸着させる。その後、離型剤の未反応部を除去して、テンプレートの表面に所定の膜厚の離型剤が成膜される。なお、離型剤の未反応部とは、離型剤がテンプレートの表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0008】
ところで、上述のインプリント方法を繰り返し行うと、すなわち一のテンプレートを用いて複数のウェハ上にレジストパターンを複数形成すると、テンプレート上の離型膜が劣化する。このため、テンプレートを定期的に交換する必要がある。そこで、テンプレートの交換頻度を減少させるため、離型剤の材質を変更して、当該離型剤の耐久性を向上させることが試みられている。
【0009】
しかしながら、発明者らが調べたところ、離型剤の耐久性を向上させるため、当該離型剤の材質を変更した場合、上述のように離型剤を成膜すると、離型剤をテンプレートの表面に密着させるのに時間がかかる場合があることが分かった。このため、テンプレート処理のスループットに改善の余地があった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板上にシランカップリング剤を適切に成膜し、基板処理のスループットを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板上にシランカップリング剤を成膜する成膜方法であって、基板上にシランカップリング剤を供給する供給工程と、前記供給工程で基板上に供給されたシランカップリング剤に超音波振動を付与して、当該基板上にシランカップリング剤の膜を形成する成膜工程と、を有することを特徴としている。
【0012】
発明者らが鋭意検討した結果、基板上のシランカップリング剤に超音波振動を付与すると、基板の表面とシランカップリング剤との化学反応が促進され、当該基板の表面とシランカップリング剤との密着性が向上することが分かった。具体的には、シランカップリング剤に超音波振動を付与すると、当該シランカップリング剤が振動することによって、シランカップリング剤と基板の表面との間に水分子が進入する。そうすると、水分子によってシランカップリング剤分子の加水分解が促進され、さらに加水分解されたシランカップリング剤分子と基板の表面の水酸基が脱水縮合により結合される。こうして、基板の表面とシランカップリング剤が強固に結合し、基板の表面とシランカップリング剤の密着性が向上する。したがって、シランカップリング剤に超音波振動を付与すると、基板の表面にシランカップリング剤を短時間で密着させることができ、基板上にシランカップリング剤を適切に成膜することができる。このように短時間でシランカップリング剤を基板の表面に密着させることができるので、基板処理全体のスループットも向上させることができる。
【0013】
前記成膜工程において、前記基板上のシランカップリング剤に、基板の表面とシランカップリング剤との反応を促進させる反応促進剤を供給し、当該反応促進剤が供給されたシランカップリング剤に前記超音波振動を付与してもよい。
【0014】
前記成膜工程において、前記反応促進剤の供給は、前記基板上のシランカップリング剤が乾燥する前に行われてもよい。
【0015】
前記成膜工程において、前記基板上のシランカップリング剤と対向して支持板を配置し、前記シランカップリング剤と前記支持板との間で前記反応促進剤を拡散させてもよい。
【0016】
前記成膜工程において、基板を移動させて、前記基板上のシランカップリング剤上で前記反応促進剤を拡散させてもよい。
【0017】
前記成膜工程において、前記基板上のシランカップリング剤に前記反応促進剤を供給する際、当該反応促進剤と前記シランカップリング剤の溶剤との混合液を供給してもよい。
【0018】
前記反応促進剤は、アルコールであってもよい。
【0019】
前記成膜工程において、前記超音波振動を基板表面に垂直な方向に付与してもよい。
【0020】
前記成膜工程において、前記超音波振動を付与する超音波振動子又は前記基板を相対的に移動させてもよい。
【0021】
前記供給工程において、基板上に液体状又は気体状のシランカップリング剤を供給してもよい。
【0022】
前記基板は表面に所定のパターンが形成されたテンプレートであり、前記シランカップリング剤は離型剤であってもよい。
【0023】
別な観点による本発明によれば、前記成膜方法を成膜装置によって実行させるために、当該成膜装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0024】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0025】
さらに別な観点による本発明は、基板上にシランカップリング剤を成膜する成膜装置であって、基板上にシランカップリング剤を供給するシランカップリング剤供給部と、前記シランカップリング剤供給部から基板上に供給されたシランカップリング剤に超音波振動を付与する超音波振動子と、を有することを特徴としている。
【0026】
前記成膜装置は、前記シランカップリング剤供給部から基板上に供給されたシランカップリング剤に、基板の表面とシランカップリング剤との反応を促進させる反応促進剤を供給する反応促進剤供給部を有していてもよい。
【0027】
前記成膜装置は、前記基板上のシランカップリング剤と対向して配置され、当該シランカップリング剤との間で前記反応促進剤を拡散させる支持板を有していてもよい。
【0028】
前記反応促進剤供給部は、前記反応促進剤と前記シランカップリング剤の溶剤との混合液を供給してもよい。
【0029】
前記反応促進剤は、アルコールであってもよい。
【0030】
前記超音波振動子は、前記超音波振動を基板表面に垂直な方向に付与してもよい。
【0031】
前記成膜装置は、前記基板を移動させる基板移動機構を有していてもよい。
【0032】
前記成膜装置は、前記超音波振動子を移動させる振動子移動機構を有していてもよい。
【0033】
前記シランカップリング剤供給部は、基板上に液体状又は気体状のシランカップリング剤を供給してもよい。
【0034】
前記基板は表面に所定のパターンが形成されたテンプレートであり、前記シランカップリング剤は離型剤であってもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、基板上にシランカップリング剤を適切に成膜し、基板処理のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施の形態にかかる塗布ユニットを備えたテンプレート処理装置テンプレート処理装置の構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図3】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図4】テンプレートの斜視図である。
【図5】塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】塗布ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図7】リンスユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図8】洗浄ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図9】洗浄ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図10】テンプレート処理の各工程を示したフローチャートである。
【図11】テンプレート処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はテンプレートの表面を洗浄する様子を示し、(b)はテンプレートの表面に離型剤を塗布する様子を示し、(c)はテンプレートの離型膜上にアルコールを塗布する様子を示し、(d)はテンプレートに超音波振動を付与する様子を示し、(e)はテンプレート上に離型膜が成膜された様子を示す。
【図12】テンプレート上の離型剤とアルコールの挙動を模式的に示した説明図であり、(a)は離型剤上にアルコールが供給された様子を示し、(b)は離型剤の官能基が萎縮する様子を示し、(c)は離型剤の官能基が伸長する様子を示し、(d)は離型剤とテンプレートの表面との間にアルコールが進入する様子を示す。
【図13】テンプレートの表面と離型剤分子が脱水縮合する様子を示す説明図である。
【図14】テンプレートの表面と離型剤分子が結合した様子を示す説明図である。
【図15】他の実施の形態にかかる塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図16】他の実施の形態にかかる塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図17】他の実施の形態にかかる塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図18】他の実施の形態にかかる塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図19】保持部材の構成の概略を示す平面図である。
【図20】他の実施の形態にかかる塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図21】インプリントシステムの構成の概略を示す平面図である。
【図22】インプリントシステムの構成の概略を示す側面図である。
【図23】インプリントシステムの構成の概略を示す側面図である。
【図24】インプリントユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図25】インプリントユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図26】インプリント処理の各工程を示したフローチャートである。
【図27】インプリント処理の各工程におけるテンプレートとウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハ上に密着膜が成膜された様子を示し、(b)はウェハの密着膜上にレジスト液を塗布する様子を示し、(c)はウェハ上にレジスト膜が成膜された様子を示し、(d)はウェハ上のレジスト膜を光重合させる様子を示し、(e)はウェハ上にレジストパターンが形成された様子を示し、(f)はウェハ上の残存膜が除去された様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる成膜装置としての塗布ユニットを備えたテンプレート処理装置1の構成の概略を示す平面図である。図2及び図3は、テンプレート処理装置1の構成の概略を示す側面図である。
【0038】
本実施の形態のテンプレート処理装置1では、図4に示すように直方体形状を有し、表面に所定の転写パターンCが形成された、基板としてのテンプレートTが用いられる。以下、転写パターンCが形成されているテンプレートTの面を表面Tといい、当該表面Tと反対側の面を裏面Tという。なお、テンプレートTには、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えば石英ガラスが用いられる。
【0039】
テンプレート処理装置1は、図1に示すように複数、例えば5枚のテンプレートTをカセット単位で外部とテンプレート処理装置1との間で搬入出したり、テンプレートカセットCに対してテンプレートTを搬入出したりするテンプレート搬入出ステーション2と、テンプレートTに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えたテンプレート処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0040】
テンプレート搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10は、複数のテンプレートカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、テンプレート搬入出ステーション2は、複数のテンプレートTを保有可能に構成されている。
【0041】
テンプレート搬入出ステーション2には、X方向に延伸する搬送路11上を移動可能なテンプレート搬送体12が設けられている。テンプレート搬送体12は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレートカセットCとテンプレート処理ステーション3との間でテンプレートTを搬送できる。
【0042】
テンプレート処理ステーション3には、その中心部に搬送ユニット20が設けられている。この搬送ユニット20の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば4つの処理ブロックG1〜G4が配置されている。テンプレート処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2が順に配置されている。テンプレート処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第3の処理ブロックG3、第4の処理ブロックG4が順に配置されている。テンプレート処理ステーション3のテンプレート搬入出ステーション2側には、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット21が配置されている。
【0043】
搬送ユニット20は、テンプレートTを保持して搬送し、且つ水平方向、鉛直方向及び鉛直周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、搬送ユニット20は、処理ブロックG1〜G4内に配置された後述する各種処理ユニット、及びトランジションユニット21に対してテンプレートTを搬送できる。
【0044】
第1の処理ブロックG1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートTの表面Tにシランカップリング剤としての液体状の離型剤と反応促進剤を塗布する、成膜装置としての塗布ユニット30、テンプレートT上の離型剤をリンスするリンスユニット31が下から順に2段に重ねられている。第2の処理ブロックG2も同様に、塗布ユニット32、リンスユニット33が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックG1及び第2の処理ブロックG2の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室34、35がそれぞれ設けられている。
【0045】
第3の処理ブロックG3には、図3に示すようにテンプレートTに対して紫外線を照射し、テンプレートT上に離型膜が成膜される前の表面Tを洗浄する洗浄ユニット40、41が下から順に2段に重ねられている。また、第4の処理ブロックG4にも、第3の処理ブロックG3と同様に、洗浄ユニット42、43が下から順に2段に重ねられている。
【0046】
次に、上述した塗布ユニット30、32の構成について説明する。塗布ユニット30は、図5に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器100を有している。
【0047】
処理容器100内の底面には、テンプレートTが載置される載置台101が設けられている。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くように載置台101の上面に載置される。載置台101の下方には、駆動部を内蔵した基板移動機構としてのテンプレート移動機構102が設けられている。このテンプレート移動機構102によって、載置台101及び当該載置台101に載置されたテンプレートTは、水平方向に移動自在になっている。
【0048】
載置台101の上面であって、当該載置台101に載置されるテンプレートTの下方には、テンプレートTの表面Tに垂直な方向、すなわち鉛直方向に超音波振動を付与する超音波振動子する超音波振動子110が設けられている。超音波振動子110には、当該超音波振動子110から超音波を発振させるための超音波発振装置(図示せず)が設けられている。超音波振動子110の下方には、駆動部を内蔵した振動子移動機構111が設けられている。この振動子移動機構111によって、超音波振動子110は水平方向に移動自在になっている。なお、超音波振動子110は、載置台101と独立して移動自在になっている。
【0049】
載置台101の内部には、テンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン112が設けられている。昇降ピン112は、昇降駆動部113により上下動できる。超音波振動子110には、当該超音波振動子110を厚み方向に貫通する貫通孔114が形成されており、昇降ピン112は、貫通孔114を挿通するようになっている。
【0050】
図6に示すように載置台101のX方向負方向(図6の下方向)側には、Y方向(図6の左右方向)に沿って延伸するレール120が設けられている。レール120は、例えば載置台101のY方向負方向(図6の左方向)側の外方からY方向正方向(図6の右方向)側の外方まで形成されている。レール120には、アーム121、122が取り付けられている。
【0051】
第1のアーム121には、テンプレートT上に離型剤を供給するシランカップリング剤供給部としての離型剤ノズル123が支持されている。離型剤ノズル123は、例えばテンプレートTの一辺寸法と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。そして、離型剤ノズル123の吐出口は、スリット状に形成されている。また、離型剤ノズル123には、図5に示すように離型剤供給源124に連通する供給管125が接続されている。なお、離型剤の材料には、後述するウェハ上のレジスト膜に対して撥液性を有する材料、例えばフッ素炭素系化合物等が用いられる。
【0052】
図6に示すように第1のアーム121は、ノズル駆動部126により、レール120上を移動自在である。これにより、離型剤ノズル123は、載置台101のY方向正方向側の外方に設置された待機部127から載置台101上のテンプレートTの上方まで移動でき、さらに当該テンプレートTの表面T上をテンプレートTの辺方向に移動できる。また、第1のアーム121は、ノズル駆動部126によって昇降自在であり、離型剤ノズル123の高さを調整できる。
【0053】
第2のアーム122には、テンプレートT上(テンプレートT上の離型剤上)に反応促進剤としてのアルコール、例えばt−ペンチルアルコールを供給する、反応促進剤供給部としてのアルコールノズル130が支持されている。アルコールノズル130は、例えばテンプレートTの一辺寸法と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。そして、アルコールノズル130の吐出口は、スリット状に形成されている。また、アルコールノズル130には、図5に示すようにアルコール供給源131に連通する供給管132が接続されている。なお、反応促進剤であるアルコールは、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの化学反応を促進できる。
【0054】
図6に示すように第2のアーム122は、ノズル駆動部133により、レール120上を移動自在である。これにより、アルコールノズル130は、載置台101のY方向正方向側の外方に設置された待機部134から載置台101上のテンプレートTの上方まで移動でき、さらに当該テンプレートTの表面T上をテンプレートTの辺方向に移動できる。また、第2のアーム122は、ノズル駆動部133によって昇降自在であり、アルコールノズル130の高さを調整できる。
【0055】
なお、塗布ユニット32の構成は、上述した塗布ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0056】
次に、上述したリンスユニット31、33の構成について説明する。リンスユニット31は、図7に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器140を有している。
【0057】
処理容器140内の底面には、テンプレートTを浸漬させる浸漬槽141が設けられている。浸漬槽141内には、テンプレートT上の離型剤をリンスするためのリンス液、例えば有機溶剤が貯留されている。
【0058】
処理容器140内の天井面であって、浸漬槽141の上方には、テンプレートTを保持する保持部142が設けられている。保持部142は、テンプレートTの裏面Tの外周部を吸着保持するチャック143を有している。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くようにチャック143に保持される。チャック143は、昇降機構144により昇降できる。そして、テンプレートTは、保持部142に保持された状態で浸漬槽141に貯留された有機溶剤に浸漬され、当該テンプレートT上の離型剤がリンスされる。
【0059】
保持部142は、チャック143に保持されたテンプレートTの上方に設けられた気体供給部145を有している。気体供給部145は、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスを下方、すなわちチャック143に保持されたテンプレートTの表面Tに吹き付けることができる。これにより、浸漬層141でリンスされたテンプレートTの表面Tを乾燥させることができる。なお、リンスユニット31には、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)が接続されている。
【0060】
なお、リンスユニット33の構成は、上述したリンスユニット31の構成と同様であるので説明を省略する。
【0061】
次に、上述した洗浄ユニット40〜43の構成について説明する。洗浄ユニット40は、図8に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器150を有している。
【0062】
処理容器150内には、テンプレートTを吸着保持するチャック151が設けられている。チャック151は、テンプレートTの表面Tが上方を向くように、その裏面Tを吸着保持する。チャック151の下方には、チャック駆動部152が設けられている。このチャック駆動部152は、処理容器150内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール153上に取付けられている。このチャック駆動部152により、チャック151はレール153に沿って移動できる。
【0063】
処理容器150内の天井面であって、レール153の上方には、チャック151に保持されたテンプレートTに紫外線を照射する紫外線照射部154が設けられている。紫外線照射部154は、図9に示すようにX方向に延伸している。そして、テンプレートTがレール153に沿って移動中に、紫外線照射部154から当該テンプレートTの表面Tに紫外線を照射することで、テンプレートTの表面T全面に紫外線が照射される。
【0064】
なお、洗浄ユニット41〜43の構成は、上述した洗浄ユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。
【0065】
以上のテンプレート処理装置1には、図1に示すように制御部160が設けられている。制御部160は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、テンプレート搬入出ステーション2とテンプレート処理ステーション3との間のテンプレートTの搬送や、テンプレート処理ステーション3における駆動系の動作などを制御して、テンプレート処理装置1における後述するテンプレート処理を実行するプログラムが格納されている。なお、このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部160にインストールされたものであってもよい。
【0066】
本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1は以上のように構成されている。次に、そのテンプレート処理装置1で行われるテンプレート処理について説明する。図10は、このテンプレート処理の主な処理フローを示し、図11は、各工程におけるテンプレートTの状態を示している。
【0067】
先ず、テンプレート搬送体12によって、カセット載置台10上のテンプレートカセットCからテンプレートTが取り出され、テンプレート処理ステーション3のトランジションユニット21に搬送される(図10の工程A1)。このとき、テンプレートカセットC内には、テンプレートTは、転写パターンCが形成された表面Tが上方を向くように収容されており、この状態でテンプレートTはトランジションユニット21に搬送される。
【0068】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは、洗浄ユニット40に搬送され、チャック151に吸着保持される。続いて、チャック駆動部152によってテンプレートTをレール153に沿って移動させながら、紫外線照射部154から当該テンプレートTに紫外線が照射される。こうして、図11(a)に示すようにテンプレートTの表面T全面に紫外線が照射され、テンプレートTの表面Tの有機汚染物やパーティクル等の不純物が除去され、当該表面Tが洗浄される(図10の工程A2)。
【0069】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは、塗布ユニット30に搬送される。塗布ユニット30に搬送されたテンプレートTは、昇降ピン112に受け渡され、載置台101に載置される。その後、離型剤ノズル123をテンプレートTの辺方向に移動させながら、当該離型剤ノズル123からテンプレートT上に離型剤Sを供給する。そして、図11(b)に示すようにテンプレートTの表面T全面に離型剤Sが塗布される(図10の工程A3)。
【0070】
その後、離型剤ノズル123からの離型剤Sの供給を停止し、当該離型剤ノズル123を待機部127に移動させる。続いて、テンプレートT上の離型剤Sが乾燥する前に、アルコールノズル130をテンプレートTの辺方向に移動させながら、当該アルコールノズル130からテンプレートTの離型剤S上にt−ペンチルアルコールA(以下、単に「アルコールA」という場合がある。)を供給する。そして、図11(c)に示すようにテンプレートTの離型剤S上の全面にアルコールAが塗布される(図10の工程A4)。
【0071】
その後、図11(d)に示すように超音波振動子110からテンプレートT上の離型剤Sに超音波振動を付与する(図10の工程A5)。そうすると、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの化学反応が促進され、当該テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの密着性が向上する。
【0072】
なお、超音波振動子110から付与される超音波振動の振動強度が、テンプレート面内で均一でない場合、少なくともテンプレート移動機構102又は振動子移動機構111によって、テンプレートT又は超音波振動子110を相対的に移動させてもよい。かかる場合、超音波振動の振動強度をテンプレート面内で均一にすることができ、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの化学反応をムラなく促進させることができる。
【0073】
ここで、上述したテンプレートT上の離型剤Sに超音波振動を付与した場合の作用と効果について、図12に基づいて詳しく説明する。図12(a)は超音波振動を付与する前のテンプレートTの表面Tの状態を示し、図12(b)〜(d)は超音波振動を付与中のテンプレートTの表面Tの状態を示している。
【0074】
図12に示すようにテンプレートTの表面Tには、水酸基(OH基)が形成されている。また、シランカップリング剤である離型剤Sの離型剤分子は、2つの官能基を有している。すなわち、一の官能基であるOR基は、テンプレートTの表面Tと結合される。また、隣り合う離型剤分子のOR基同士も結合される。なお、Rはアルキル基であって、例えばCHである。一方、他の官能基Sで(図12中の斜線部分)は、離型機能を発揮する官能基であって、フッ化物成分を有している。
【0075】
そして、図12(a)に示すように、テンプレートTの表面T上に離型剤SとアルコールAが供給されても、離型剤Sの官能基Sには原子が密に配置されているため、アルコールAが離型剤SとテンプレートTの表面Tとの間に進入するのに時間がかかる。
【0076】
そこで、超音波振動子110からテンプレートT上の離型剤Sに超音波振動を付与する。この超音波振動は、疎密波であって、テンプレートTの表面Tに垂直な方向、すなわち離型剤Sの厚み方向に進行する。そうすると、この超音波振動によって、図12(b)〜(d)に示すように離型剤Sの官能基Sが鉛直方向に振動する。そして、図12(b)に示すように官能基Sが萎縮すると、アルコールAが下方に移動する。次に、図12(c)に示すように官能基Sが伸長すると、官能基Sの原子が疎になるので、当該官能基SにアルコールAが浸透する。そして、図12(d)に示すように官能基Sが再び萎縮すると、アルコールAがさらに下方に移動して、当該アルコールAの一部が離型剤SとテンプレートTの表面Tとの間に進入する。このようにテンプレートT上の離型剤Sに超音波振動を付与すると、アルコールAを移動させ易くなる。
【0077】
アルコールAが離型剤SとテンプレートTの表面Tとの間に進入すると、離型剤Sの離型剤分子が加水分解される。そして、図13に示すようにテンプレートTの表面Tと離型剤分子が脱水縮合により結合される。また、隣接する離型剤分子同士が脱水縮合により結合する。こうして、図14に示すようにテンプレートTの表面Tと離型剤Sとの化学反応が促進され、当該テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの密着性が向上する。
【0078】
なお、塗布ユニット30において、このようにンプレートTの表面Tと離型剤Sとの密着させた後、テンプレートT上の離型剤Sに対して例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスを吹き付けて、当該離型剤Sを乾燥させてもよい。
【0079】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはリンスユニット31に搬送され、保持部142に保持される。続いて、保持部142を下降させ、テンプレートTを浸漬槽141に貯留された有機溶剤に浸漬させる。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみ、すなわち離型剤SがテンプレートTの表面Tと化学反応して当該表面Tと密着する部分以外のみが剥離する。このとき、上述の工程A5においてテンプレートTの表面Tに離型剤Sが密着しているので、テンプレートTの表面Tから所定の距離の離型剤Sが剥離することはない。こうして、図11(e)に示すようにテンプレートT上に転写パターンCに沿った離型膜Sが所定の膜厚で成膜される(図10の工程A6)。その後、保持部142を上昇させ、気体供給部145から気体ガスをテンプレートTに吹き付け、その表面Tを乾燥させる。
【0080】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはトランジションユニット21に搬送され、テンプレート搬送体12によってテンプレートカセットCに戻される(図10の工程A7)。こうしてテンプレート処理装置1における一連のテンプレート処理が終了し、テンプレートTの表面Tに、転写パターンCの形状に沿った離型剤Sが所定の膜厚で成膜される。
【0081】
以上の実施の形態によれば、工程A5において、超音波振動子110からテンプレートT上の離型剤Sに超音波振動が付与されるので、離型剤Sの官能基Sが振動し、アルコールAが離型剤SとテンプレートTの表面Tとの間に進入する。そうすると、アルコールAによって離型剤分子の加水分解が促進され、加水分解された離型剤分子とテンプレートTの表面Tの水酸基が脱水縮合により結合される。したがって、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの化学反応が促進され、当該テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの密着性が向上する。すなわち、テンプレートTの表面Tに離型剤Sを短時間で密着させることができる。これによって、工程A1〜工程A7のテンプレート処理のスループットを向上させることができる。
【0082】
また、テンプレートTには石英ガラスが用いられ、アモルファス状態である。このため、テンプレートTの表面Tの水酸基は、不規則な位置に配置され、また不規則な方向を向いおり、離型剤Sと反応し難い。本実施の形態によれば、テンプレートT上の離型剤Sに超音波振動を付与することによって離型剤Sが振動するので、従来結合し難かった結合も促進される。したがって、テンプレートTの表面Tと離型剤Sをより短時間で結合できると共に、その結合をより強固にすることができる。
【0083】
また、超音波振動子110からテンプレートTへの超音波振動は、離型剤Sの厚み方向(鉛直方向)に振動するので、離型剤Sの官能基Sも厚み方向に振動する。すなわち、官能基Sの振動方向とアルコールAの移動方向が一致している。したがって、アルコールAの移動を効率よく行うことができる。なお、超音波振動を離型剤Sの厚み方向以外の方向から付与しても、離型剤Sを振動させることができるので、従来よりもテンプレートTの表面Tと離型剤Sの化学反応を促進できる。本実施の形態は、その中でも、最も効率よくアルコールAを移動させて化学反応を促進できる。
【0084】
また、発明者らが鋭意検討した結果、反応促進剤としてアルコールを用いると、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの化学反応を促進できることが分かった。すなわち、本実施の形態のように離型剤S上にアルコールAを供給すると、離型剤分子の加水分解が効率よく行われることが分かった。したがって、テンプレートTの表面Tに離型剤Sをより短時間で密着させることができる。
【0085】
なお、本実施の形態では、離型剤分子の加水分解にアルコールAを用いたが、塗布ユニット30内の雰囲気に含まれる水分子を用いてもよい。かかる場合、アルコールAを用いるよりも、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの化学反応に時間がかかるが、アルコールAを供給するための機構(アルコールノズル130等)を省略することができ、装置構成を簡略化することができる。
【0086】
以上の実施の形態では、塗布ユニット30において、超音波振動はテンプレートTの下方から付与されていたが、テンプレートTの上方から付与されてもよい。例えば図15に示すように超音波振動子110は、処理容器100の天井面であって、載置台101に載置されたテンプレートTに対向する位置に設けられる。また、処理容器100の天井面には、超音波振動子110を水平方向に移動させる振動子移動機構111も設けられる。かかる場合においても、超音波振動をテンプレートTの表面Tに垂直な方向、すなわち離型剤Sの厚み方向に付与できるので、離型剤Sを振動させて、テンプレートTの表面Tと離型剤Sの化学反応を促進できる。
【0087】
以上の実施の形態では、塗布ユニット30において、テンプレートTの離型剤S上にアルコールAを供給していたが、アルコールAと、離型剤Sの溶剤として例えば有機溶剤との混合液を供給してもよい。例えば図16に示すように第2のアーム122には、アルコールノズル130に代えて、混合液ノズル200が支持される。混合液ノズル200には、アルコール供給源131に連通する供給管132に加えて、有機溶剤供給源201に連通する供給管202が接続されている。
【0088】
かかる場合、工程A4において、アルコール供給源131から供給されたアルコールAと有機溶剤供給源201から供給された有機溶剤は、混合液ノズル200において混合される。そして、混合液ノズル200からテンプレートTの離型剤S上に混合液が供給される。この離型剤S上に供給される混合液には有機溶剤が含まれているので、当該混合液が離型剤S上で拡散し易くなる。そうすると、アルコールAを離型剤S上でより均一に塗布することができ、離型剤分子の加水分解を適切に行うことができる。したがって、テンプレートTの表面Tと離型剤Sの化学反応を促進できる。
【0089】
ここで、上記実施の形態の工程A4では、テンプレートT上の離型剤Sが乾燥する前に当該離型剤S上にアルコールAを塗布していたが、アルコールAを塗布する前に離型剤Sが乾燥する場合もある。かかる場合、アルコールAが離型剤S上を拡散し難くなる。これに対して、アルコールAと有機溶剤の混合液は離型剤S上を拡散し易いので、離型剤Sが乾燥していても本実施の形態を適用することができる。
【0090】
なお、本実施の形態では、混合液ノズル200においてアルコールAと有機溶剤を混合していたが、アルコールAと有機溶剤の混合方法はこれに限定されない。例えばアルコールAと有機溶剤を混合して貯留する混合液供給源(図示せず)から混合液ノズル200に混合液を供給してもよい。
【0091】
以上の実施の形態の塗布ユニット30において、図17に示すように載置台101の上方に、離型剤S及びアルコールAをテンプレートT上で拡散させるための支持板210を配置してもよい。支持板210は、例えば平板形状を有している。支持板210は、載置台101上のテンプレートTに対向し、当該テンプレートTの表面Tとの距離が所定の距離、例えば1mm以内となる位置に配置されている。また、支持板210は、テンプレートTの表面T全面を覆うように配置されている。なお、支持板210は移動機構(図示せず)によって処理容器100内を移動可能になっている。
【0092】
第1のアーム121には、離型剤ノズル123に代えて、下端部の供給口211aが斜め下方に向くように配置された離型剤ノズル211が支持されている。離型剤ノズル211の供給口211aは、例えば円形状であってもよいし、スリット状であってもよい。同様に、第2のアーム122にも、アルコールノズル130に代えて、下端部の供給口212aが斜め下方に向くように配置されたアルコールノズル212が支持されている。アルコールノズル212の供給口212aは、例えば円形状であってもよいし、スリット状であってもよい。
【0093】
かかる場合、工程A3において、離型剤ノズル211からテンプレートTの表面Tの端部と支持板210の端部との間に離型剤Sを供給する。供給された離型剤Sは、毛細管現象(表面張力)によってテンプレートTの表面Tと支持板210との間を拡散する。その後、工程A4において、アルコールノズル212からテンプレートTの表面Tの端部と支持板210の端部との間にアルコールAを供給する。供給されたアルコールAは、毛細管現象(表面張力)によってテンプレートTの離型剤Sと支持板210との間を拡散する。
【0094】
本実施の形態によれば、離型剤S及びアルコールAがテンプレートT上を拡散し易くなるので、離型剤S及びアルコールAをテンプレートT上でより均一に塗布することができ、テンプレートTの表面Tと離型剤Sの化学反応を促進できる。また、アルコールAが離型剤S上を拡散し易いので、離型剤Sが乾燥していても本実施の形態を適用することができる。
【0095】
なお、以上の実施の形態では、支持板210は平板形状を有していたが、メッシュ形状を有していてもよい。かかる場合でも、離型剤S及びアルコールAを表面張力によってテンプレートTの表面Tを拡散させることができる。また、かかる場合、支持板210の上方から離型剤S及びアルコールAを供給することもできる。
【0096】
以上の実施の形態の工程A3及び工程A4において、離型剤S及びアルコールAをテンプレートTの表面Tで拡散させるため、テンプレートTを移動させてもよい。例えば工程A3において、テンプレートT上に離型剤Sを供給した後、テンプレートTの表面T全面に離型剤Sが拡散していないような場合には、テンプレート移動機構120によってテンプレートTを移動させて、離型剤Sを拡散させることができる。同様に工程A4においても、テンプレート移動機構120によってテンプレートTを移動させて、アルコールAをテンプレートTの離型剤S上で拡散させることができる。
【0097】
また、工程A3及び工程A4において、離型剤S及びアルコールAをテンプレートTの表面Tで拡散させるため、テンプレートTを回転させてもよい。かかる場合、例えば図18に示すように塗布ユニット30の処理容器100内には、上記実施の形態の載置台101に代えて、テンプレートTを保持して回転させる保持部材220が設けられている。保持部材220の中央部分は下方に窪み、テンプレートTを収容する収容部221が形成されている。収容部221の下部には、テンプレートTの外形より小さい溝部221aが形成されている。したがって、収容部221内では、溝部221aによってテンプレートTの下面内周部は保持部材220と接しておらず、テンプレートTの下面外周部のみが保持部材220に支持されている。収容部221は、図19に示すようにテンプレートTの外形に適合した略四角形の平面形状を有している。収容部221には、側面から内側に突出した突出部222が複数形成され、この突出部222により、収容部221に収容されるテンプレートTの位置決めがされる。また、搬送ユニット20の搬送アームから収容部221にテンプレートTを受け渡す際に、当該搬送アームが収容部221と干渉するのを避けるため、収容部221の外周には、切欠き部223が4箇所に形成されている。
【0098】
保持部材220は、図18に示すようにカバー体224に取り付けられ、保持部材220の下方には、シャフト225を介して回転駆動部226が設けられている。この回転駆動部226により、保持部材220は鉛直周りに所定の速度で回転でき、且つ昇降できる。
【0099】
保持部材220の周囲には、テンプレートTから飛散又は落下する離型剤を受け止め、回収するカップ230が設けられている。カップ230の下面には、回収した離型剤を排出する排出管231と、カップ230内の雰囲気を排気する排気管232が接続されている。
【0100】
第1のアーム121には、離型剤ノズル123に代えて、吐出口の形状が円形状の離型剤ノズル240が支持されている。同様に第2のアーム121には、アルコールノズル130に代えて、吐出口の形状が円形状のアルコールノズル241を有している。
【0101】
処理容器100の天井面であって、保持部材220に保持されたテンプレートTに対向する位置には、超音波振動子110が設けられている。また、処理容器100の天井面には、超音波振動子110を水平方向させる振動子移動機構111も設けられている。なお、本実施の形態では、超音波振動子110と振動子移動機構111は、テンプレートTの上方に設けられているが、当該テンプレートTの下方に設けてもよい。例えばこれら超音波振動子110と振動子移動機構111を、溝部221a内に配置してもよい。
【0102】
かかる場合、工程A3において、塗布ユニット30に搬送されたテンプレートTは、保持部材220に受け渡される。続いて、離型剤ノズル240をテンプレートTの中心部上方まで移動させると共に、テンプレートTを回転させる。そして、離型剤ノズル240から回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給し、遠心力により離型剤SをテンプレートT上で拡散させる。
【0103】
その後、工程A4において、アルコールノズル241をテンプレートTの中心部上方まで移動させると共に、引き続きテンプレートTを回転させる。そして、アルコールノズル241から回転中のテンプレートT上にアルコールAを供給し、遠心力によりアルコールAをテンプレートT上で拡散させる。
【0104】
本実施の形態においても、離型剤S及びアルコールAをテンプレートT上でより均一に塗布することができ、テンプレートTの表面Tと離型剤Sの化学反応を促進できる。
【0105】
以上の実施の形態の塗布ユニット30では、離型剤ノズル123、211、240からテンプレートT上に離型剤Sが供給されていたが、例えば離型剤Sが貯留された浸漬槽にテンプレートTを浸漬させて、テンプレートT上に離型剤Sを塗布してもよい。
【0106】
以上の実施の形態では、塗布ユニット30において、テンプレートTの離型剤S上には液体状のアルコールAを供給していたが、離型剤S上に気化したアルコールAを供給してもよい。かかる場合、工程A4において、処理容器100内に気化したアルコールAが供給され、当該処理容器100内の雰囲気がアルコール雰囲気にされる。また、工程A4において、処理容器100内をアルコール雰囲気にしつつ、アルコールノズル130から離型剤S上に液体状のアルコールAを供給してもよい。
【0107】
以上の実施の形態では、塗布ユニット30において、テンプレートTの表面Tに液体状の離型剤Sを供給していたが、テンプレートTの表面Tに気化した離型剤ガスを蒸着させてもよい。かかる場合、テンプレート処理装置1の第1の処理ブロックG1には、図2に示した塗布ユニット30とリンスユニット31に代えて、後述する塗布ユニット250が配置される。同様に、第2の処理ブロックG2にも、塗布ユニット32とリンスユニット33に代えて、塗布ユニット250が配置される。
【0108】
塗布ユニット250は、図20に示すようにテンプレートTが載置される載置台260と、当該載置台260の上方に設けられた蓋体261とを有している。蓋体261は、例えば昇降機構(図示せず)によって鉛直方向に移動自在に構成されている。また、蓋体261の下面は開口している。そして、蓋体261と載置台260とが一体となって、密閉された処理空間Kを形成できるようになっている。
【0109】
載置台260には、テンプレートTの表面Tが上方を向くように当該テンプレートTが載置される。載置台260の上面には、テンプレートTの温度を制御する温度制御板270が設けられている。温度制御板270は、例えばペルチェ素子などを内蔵し、テンプレートTを所定の温度に調節できる。載置台260内には、テンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン271が設けられている。昇降ピン271は、昇降駆動部272により上下動できる。載置台260の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔273が形成されおり、昇降ピン271は、貫通孔273を挿通するようになっている。
【0110】
蓋体261の天井面であって、載置台260上に載置されたテンプレートTに対向する位置には、テンプレートT上の離型剤Sに超音波振動を付与する超音波振動子280と、当該超音波振動子280を水平方向に移動させる振動子移動機構281が設けられている。これら超音波振動子280と振動子移動機構281は、上記実施の形態の超音波振動子110と振動子移動機構111と同様であるので説明を省略する。なお、本実施の形態では、超音波振動子280と振動子移動機構281は、テンプレートTの上方に設けられているが、当該テンプレートTの下方に設けてもよい。例えばこれら超音波振動子280と振動子移動機構281を、載置台260の上面に配置してもよい。
【0111】
また、蓋体261の天井面には、テンプレートT上に離型剤ガスと水蒸気を供給するガス供給管290が設けられている。ガス供給管290には、離型剤ガスを供給する離型剤供給源291と、水蒸気を供給する水蒸気供給源292が接続されている。また、ガス供給管290には、離型剤供給源291から供給される離型剤ガスと、水蒸気供給源292から供給される水蒸気の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群293が設けられている。なお、本実施の形態では、ガス供給管290がシランカップリング剤供給部として機能している。
【0112】
離型剤供給源291は、内部に液体状の離型剤Sを貯留している。また、離型剤供給源291には、当該離型剤供給源291内に窒素ガスを供給するガス供給管(図示せず)が接続されている。離型剤供給源291では、内部に窒素ガスが供給されることで液体状の離型剤Sが気化して、離型剤ガスが生成される。この離型剤ガスは、前記窒素ガスをキャリアガスとしてガス供給管290に供給さる。
【0113】
水蒸気供給源292は、例えば内部に液体状の水を貯留している。そして、例えばこの液体状の水を加熱して気化させて、水蒸気が生成される。
【0114】
蓋体261の側面には、処理空間Kの雰囲気を排気する排気管294が接続されている。排気管294には、処理空間Kの雰囲気を真空引きする排気ポンプ295が接続されている。
【0115】
かかる場合、工程A3において、塗布ユニット250に搬送されたテンプレートTは、昇降ピン271に受け渡され、載置台260に載置される。このとき、載置台260上のテンプレートTは、温度制御板270によって所定の温度、例えば50℃に温度調節される。続いて、蓋体261が下降し、当該蓋体261と載置台260とで密閉された処理空間Kが形成される。その後、ガス供給管290から処理空間Kに気体状の離型剤ガスが供給される。供給された離型剤ガスは、テンプレートTの表面T上の転写パターンCに沿って堆積する。その後、工程A4において、ガス供給管290から処理空間Kに水蒸気が供給され、当該水蒸気はテンプレートT上に堆積した離型剤Sに供給される。
【0116】
なお、上述の工程A4ではテンプレートT上の離型剤Sに対して水蒸気を供給したが、上記実施の形態と同様にアルコール、例えばt−ペンチルアルコールを供給してもよい。かかる場合、t−ペンチルアルコールを気化させてガス供給管290から処理空間Kに供給するのが好ましい。また、工程A3とA4において、ガス供給管290からの離型剤ガスと水蒸気(t−ペンチルアルコール)の供給を同時に行ってもよい。
【0117】
その後、工程A5において、超音波振動子280からテンプレートT上の離型剤Sに超音波振動を付与する。そうすると、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの化学反応が促進され、当テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの密着性が向上する。具体的には、水蒸気によってテンプレートT上に堆積した離型剤Sの離型剤分子が加水分解され、さらにテンプレートTの表面Tと離型剤分子が脱水縮合により結合される。なお、この結合における超音波振動の作用は、上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。こうして、テンプレートT上に転写パターンCに沿った離型膜Sが所定の膜厚で成膜される。なお、テンプレートT上に離型膜Sを成膜した後、処理空間Kの雰囲気を不活性ガス、例えば窒素ガスに置換してもよい。
【0118】
本実施の形態の工程A3では、気体状の離型剤ガスがテンプレートT上の転写パターンCに沿って堆積するので、離型剤Sをリンスする必要がない。したがって、上記実施の形態の工程A6を省略することができる。
【0119】
以上の実施の形態の塗布ユニット30において、テンプレートT上に離型剤Sを塗布する際、テンプレートTの表面Tに紫外線を照射しながら、離型剤Sを塗布してもよい。また、テンプレートT上に離型剤Sを塗布した後、当該テンプレートT上の離型剤Sに超音波振動を付与しつつ、さらにテンプレートT上の離型剤Sを所定の温度、例えば200℃に加熱してもよい。このようにテンプレートTの表面Tへの紫外線の照射や、テンプレートT上の離型剤Sの加熱を行うことによって、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの密着性を向上させることができる。
【0120】
以上の実施の形態のリンスユニット31では、浸漬層141に貯留された有機溶剤にテンプレートTを浸漬することで離型剤Sをリンスしていたが、塗布ユニット30と同様の構成を有するリンスユニットを用いてもよい。かかる場合、塗布ユニット30の離型剤ノズル123、211、240に代えて、テンプレートT上に離型剤Sのリンス液としての有機溶剤を供給するリンス液ノズルが用いられる。
【0121】
以上の実施の形態では、基板としてのテンプレートT上にシランカップリング剤としての離型剤Sを成膜する場合について説明したが、基板とシランカップリング剤の組合せの種類はこれに限定されない。例えば基板としてのウェハ上に、シランカップリング剤としての密着剤を成膜する際にも本発明を適用することができる。
【0122】
ウェハ上への密着膜の成膜は、テンプレート処理装置1と同様の構成を有するウェハ処理装置で行われる。また、図21に示すようにテンプレート処理装置1とウェハ処理装置310は、インプリントシステム300に設けられていてもよい。なお、ウェハ処理装置310は、上記実施の形態のテンプレート処理装置1と同様に独立して設けられていてもよいが、本実施の形態では、インプリントシステム300内に設けられた場合について説明する。
【0123】
インプリントシステム300は、上記テンプレート処理装置1とウェハ処理装置310に加えて、テンプレート処理装置1で処理されたテンプレートTを用いて、ウェハ処理装置310で処理されたウェハW上にレジストパターンを形成するインプリントユニット320を有している。インプリントユニット320とテンプレート処理装置1との間には、テンプレートTの受け渡しを行うインターフェイスステーション321が配置されている。また、インプリントユニット320とウェハ処理装置2との間には、テンプレートTの受け渡しを行うインターフェイスステーション322が配置されている。すなわち、テンプレート処理装置1、インターフェイスステーション321、インプリントユニット320、インターフェイスステーション322、ウェハ処理装置310は、この順でY方向(図21の左右方向)に並べて配置され、且つ一体に接続されている。
【0124】
ウェハ処理装置310は、複数、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部とインプリントシステム300との間で搬入出したり、ウェハカセットCに対してウェハWを搬入出したりするウェハ搬入出ステーション330と、ウェハWに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えたウェハ処理ステーション331とを一体に接続した構成を有している。
【0125】
ウェハ搬入出ステーション330には、カセット載置台340が設けられている。カセット載置台340は、複数のウェハカセットCをX方向(図21中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、ウェハ搬入出ステーション330は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。
【0126】
ウェハ搬入出ステーション330には、X方向に延伸する搬送路341上を移動可能なウェハ搬送体342が設けられている。ウェハ搬送体342は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハカセットCとインプリントユニット310との間でウェハWを搬送できる。
【0127】
ウェハ処理ステーション331には、その中心部に搬送ユニット350が設けられている。この搬送ユニット350の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば4つの処理ブロックF1〜F4が配置されている。ウェハ処理ステーション331の正面側(図21のX方向負方向側)には、ウェハ搬入出ステーション330側から第1の処理ブロックF1、第2の処理ブロックF2が順に配置されている。ウェハ処理ステーション331の背面側(図21のX方向正方向側)には、ウェハ搬入出ステーション330側から第3の処理ブロックF3、第4の処理ブロックF4が順に配置されている。ウェハ処理ステーション331のウェハ搬入出ステーション330側には、ウェハWの受け渡しを行うためのトランジションユニット351が配置されている。また、ウェハ処理ステーション331のインターフェイスステーション322側にも、ウェハWの受け渡しを行うためのトランジションユニット352が配置されている。
【0128】
搬送ユニット350は、ウェハWを保持して搬送し、且つ水平方向、鉛直方向及び鉛直周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、搬送ユニット350は、処理ブロックF1〜F4内に配置された後述する各種処理ユニット、及びトランジションユニット351、352に対してウェハWを搬送できる。
【0129】
第1の処理ブロックF1には、図22に示すように複数の液処理ユニット、例えばウェハWの表面(被処理面)にシランカップリング剤としての密着剤を塗布する、成膜装置としての塗布ユニット360、ウェハW上の密着剤をリンスするリンスユニット361が下から順に2段に重ねられている。第2の処理ブロックF2も同様に、塗布ユニット362、リンスユニット363が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックF1及び第2の処理ブロックF2の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室364、365がそれぞれ設けられている。
【0130】
なお、塗布ユニット360、362の構成は、テンプレートT上に離型剤Sを塗布する塗布ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。但し、離型剤ノズル123に代えて、ウェハW上に密着剤を塗布する密着剤ノズルが設けられる。密着剤は、ウェハWとレジスト膜との密着性を向上させるものであり、離型剤Sと同様にシランカップリング剤である。したがって、密着剤中の密着剤分子は2つの官能基を有している。すなわち、一の官能基はOR基(Rは例えばアルキル基)である。また、他の官能基Sは、レジスト膜と反応し易い官能基であって、有機物成分を有している。
【0131】
また、リンスユニット361、363の構成は、テンプレートT上の離型剤Sをリンスするリンスユニット31の構成と同様であるので説明を省略する。すなわち、これらリンスユニット361、363においても、リンス液として例えば有機溶剤が用いられる。
【0132】
第3の処理ブロックF3には、図23に示すようにウェハWに対して紫外線を照射し、ウェハW上に密着膜が成膜される前の表面(被処理面)を洗浄する洗浄ユニット370、371が下から順に2段に重ねられている。また、第4の処理ブロックF4にも、第3の処理ブロックF3と同様に、洗浄ユニット372、373が下から順に2段に重ねられている。
【0133】
なお、洗浄ユニット370〜373の構成も、テンプレートTの表面Tを洗浄する洗浄ユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。
【0134】
インターフェイスステーション321には、図21に示すようにX方向に延伸する搬送路380上を移動するテンプレート搬送体381が設けられている。また、搬送路380のX方向正方向側には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転ユニット382が配置され、搬送路380のX方向負方向側には、複数のテンプレートTを一時的に保管するバッファカセット383が配置されている。テンプレート搬送体381は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレート処理ステーション3、反転ユニット382、バッファカセット383、インプリントユニット320との間でテンプレートTを搬送できる。なお、テンプレート処理装置1のテンプレート処理ステーション3には、搬送ユニット20のインターフェイスステーション321側に、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット384が配置されている。
【0135】
インターフェイスステーション322には、X方向に延伸する搬送路390上を移動するウェハ搬送体391が設けられている。また、搬送路390のX方向負方向側には、複数のウェハWを一時的に保管するバッファカセット392が配置されている。ウェハ搬送体391は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハ処理ステーション331、バッファカセット392、インプリントユニット320との間でウェハWを搬送できる。
【0136】
次に、上述したインプリントユニット320の構成について説明する。インプリントユニット320は、図24に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)とウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器400を有している。
【0137】
処理容器400内の底面には、ウェハWが載置されて保持されるウェハ保持部401が設けられている。ウェハWは、その被処理面が上方を向くようにウェハ保持部401の上面に載置される。ウェハ保持部401内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン402が設けられている。昇降ピン402は、昇降駆動部403により上下動できる。ウェハ保持部401の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔404が形成されおり、昇降ピン402は、貫通孔404を挿通するようになっている。また、ウェハ保持部401は、当該ウェハ保持部401の下方に設けられた移動機構405により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
【0138】
図25に示すようにウェハ保持部401のX方向負方向(図25の下方向)側には、Y方向(図25の左右方向)に沿って延伸するレール410が設けられている。レール410は、例えばウェハ保持部401のY方向負方向(図25の左方向)側の外方からY方向正方向(図25の右方向)側の外方まで形成されている。レール410には、アーム411が取り付けられている。
【0139】
アーム411には、ウェハW上にレジスト液を供給するレジスト液ノズル412が支持されている。レジスト液ノズル412は、例えばウェハWの直径寸法と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。レジスト液ノズル412には、例えばインクジェット方式のノズルが用いられ、レジスト液ノズル412の下部には、長手方向に沿って一列に形成された複数の供給口(図示せず)が形成されている。そして、レジスト液ノズル412は、レジスト液の供給タイミング、レジスト液の供給量等を厳密に制御できる。
【0140】
アーム411は、ノズル駆動部413により、レール410上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル412は、ウェハ保持部401のY方向正方向側の外方に設置された待機部414からウェハ保持部401上のウェハWの上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、アーム411は、ノズル駆動部413によって昇降自在であり、レジスト液ノズル412の高さを調整できる。
【0141】
処理容器400内の天井面であって、ウェハ保持部401の上方には、図24に示すようにテンプレートTを保持するテンプレート保持部420が設けられている。すなわち、ウェハ保持部401とテンプレート保持部420は、ウェハ保持部401に載置されたウェハWと、テンプレート保持部420に保持されたテンプレートTが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部420は、テンプレートTの裏面Tの外周部を吸着保持するチャック421を有している。チャック421は、当該チャック421の上方に設けられた移動機構422により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートTは、ウェハ保持部401上のウェハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
【0142】
テンプレート保持部420は、チャック421に保持されたテンプレートTの上方に設けられた光源423を有している。光源423からは、例えば可視光、近紫外光、紫外線などの光が発せられ、この光源423からの光は、テンプレートTを透過して下方に照射される。
【0143】
本実施の形態にかかるインプリントシステム300は以上のように構成されている。次に、そのインプリントシステム300で行われるインプリント処理について説明する。図26は、このインプリント処理の主な処理フローを示し、図27は、このインプリント処理の各工程におけるテンプレートTとウェハWの状態を示している。
【0144】
先ず、テンプレート搬送体12によって、テンプレート搬入出ステーション2からテンプレート処理ステーション3にテンプレートTが搬送される(図26の工程B1)。テンプレート処理ステーション3では、テンプレートTの表面Tの洗浄(図26の工程B2)、表面Tへの離型剤Sの塗布(図26の工程B3)、離型剤SへのアルコールAの塗布(図26の工程B4)、テンプレートT上の離型剤Sへの超音波振動の付与(図26の工程B5)、離型剤Sのリンス(図26の工程B6)が順次行われ、テンプレートTの表面Tに離型膜Sが成膜される。なお、これら工程B2〜B6は、上記実施の形態における工程A2〜A6と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0145】
離型膜Sが成膜されたテンプレートTは、トランジションユニット384に搬送される。続いて、テンプレートTは、インターフェイスステーション321のテンプレート搬送体381によって、反転ユニット382に搬送されて、テンプレートTの表裏面が反転される。すなわち、テンプレートTの裏面Tが上方に向けられる。その後、テンプレートTは、テンプレート搬送体381によってインプリントユニット320に搬送され、テンプレート保持部420のチャック421に吸着保持される(図26の工程B7)。このとき、インプリントユニット320にテンプレートTを搬送する前に、バッファカセット383において、離型剤Sが成膜されたテンプレートTを一時的に保管してもよい。
【0146】
このようにテンプレート処理ステーション3においてテンプレートTに所定の処理を行い、インプリントユニット320へテンプレートTを搬送中に、ウェハ搬入出ステーション330では、ウェハ搬送体342により、カセット載置台340上のウェハカセットCからウェハWが取り出され、ウェハ処理ステーション331のトランジションユニット351に搬送される(図26の工程B8)。なお、ウェハカセットC内のウェハWは、その被処理面が上方を向くように収容されている。
【0147】
その後、搬送ユニット350によって、ウェハWは洗浄ユニット370に搬送され、当該ウェハWの表面(被処理面)が洗浄される(図26の工程B9)。その後、ウェハWは塗布ユニット360に搬送され、ウェハW上に密着剤が塗布され(図26の工程B10)、さらにウェハWの密着剤上にアルコールAが塗布される(図26の工程B11)、その後、同塗布ユニット360において、ウェハW上の密着剤に超音波振動が付与される(図26の工程B12)。そうすると、ウェハWの表面と密着剤との化学反応が促進され、当該ウェハWの表面と密着剤との密着性が向上する。その後、ウェハWはリンスユニット361に搬送され、ウェハW上の密着剤がリンスされる(図26の工程B13)。こうして、図27(a)に示すように、ウェハW上に所定の膜厚の密着膜Bが成膜される。なお、これら工程B9〜B13では、上記実施の形態においてテンプレートTに対して行われた工程A2〜A6と同様の処理をウェハWに対して行うので、詳細な説明を省略する。
【0148】
密着膜Bが成膜されたウェハWは、トランジションユニット352に搬送される。続いて、ウェハWは、ウェハ搬送体391によってインプリントユニット320内に搬送される(図26の工程B14)。このとき、インプリントユニット320にウェハWを搬送する前に、バッファカセット392において、密着膜Bが形成されたウェハWを一時的に保管してもよい。
【0149】
インプリントユニット320に搬入されたウェハWは、昇降ピン402に受け渡され、ウェハ保持部401上に載置され保持される。続いて、ウェハ保持部401に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせをした後、レジスト液ノズル412をウェハWの径方向に移動させ、図27(b)に示すようにウェハWの密着膜B上にレジスト液Rが塗布される(図26の工程B15)。このとき、制御部160により、レジスト液ノズル412から供給されるレジスト液Rの供給タイミングや供給量等が制御される。すなわち、ウェハW上に形成されるレジストパターンにおいて、凸部に対応する部分(テンプレートTの転写パターンCにおける凹部に対応する部分)に塗布されるレジスト液Rの量は多く、凹部に対応する部分(転写パターンCにおける凸部に対応する部分)に塗布されるレジスト液Rの量は少なくなるように塗布される。このように転写パターンCの開口率に応じてウェハW上にレジスト液Rが塗布される。そして、ウェハW上の密着膜Bによって、ウェハWの表面とレジスト液Rが密着し、図27(c)に示すようにレジスト膜Rが形成される。
【0150】
ウェハW上にレジスト膜Rが形成されると、ウェハ保持部401に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部420に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図27(c)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に下降させる。テンプレートTは所定の位置まで下降し、テンプレートTの表面TがウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウェハW上に形成されるレジストパターンの高さに基づいて設定される。続いて、光源423から光が照射される。光源423からの光は、図27(d)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにして、ウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される(図26の工程B16)。
【0151】
その後、図27(e)に示すようにテンプレートTを上昇させて、ウェハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、テンプレートTの表面Tには離型膜Sが成膜されているので、ウェハW上のレジストがテンプレートTの表面Tに付着することはない。その後、ウェハWは、昇降ピン402によりウェハ搬送体342に受け渡され、インプリントユニット320からウェハ搬入出ステーション330に搬送され、ウェハカセットCに戻される(図26の工程B17)。なお、ウェハW上に形成されたレジストパターンPの凹部には、薄いレジストの残存膜Lが残る場合があるが、例えばインプリントシステム300の外部において、図27(f)に示すように当該残存膜Lを除去してもよい。
【0152】
以上の工程B8〜B17を繰り返し行い、一のテンプレートTを用いて、複数のウェハW上にレジストパターンPをそれぞれ形成する。この間、上述した工程B1〜B6を繰り返し行い、複数のテンプレートTの表面T上に離型膜Sを成膜する。離型膜Sが成膜されたテンプレートTは、インターフェイスステーション321のバッファカセット383に保管される。
【0153】
そして、所定枚数のウェハWに対して工程B8〜B17が行われると、テンプレート搬送体381によって、使用済みのテンプレートTがインプリントユニット320から搬出され、反転ユニット382に搬送される(図26の工程B18)。続いて、テンプレート搬送体381によって、バッファカセット383内のテンプレートTがインプリントユニット320に搬送される。こうして、インプリントユニット320内のテンプレートTが交換される。なお、テンプレートTを交換するタイミングは、テンプレートTの劣化等を考慮して設定される。また、ウェハWに異なるレジストパターンPを形成する場合にも、テンプレートTが交換される。そして、例えばテンプレートTを1回使用する度に当該テンプレートTを交換してもよい。また、例えば1枚のウェハW毎にテンプレートTを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートTを交換してもよい。
【0154】
反転ユニット382に搬送された使用済みのテンプレートTは、その表裏面が反転される。その後、テンプレート搬送体381、搬送ユニット20、テンプレート搬送体12によって、テンプレートTはテンプレートカセットCに戻される。このようにして、インプリントシステム300において、テンプレートTを連続的に交換しつつ、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPが連続的に形成される。
【0155】
以上の実施の形態によれば、ウェハ処理装置310において、密着剤が塗布されたウェハW上の密着剤に超音波振動が付与されるので、ウェハWの表面と密着剤との化学反応を促進することができ、当該ウェハWの表面と密着剤との密着性が向上する。すなわち、ウェハWの表面に密着剤を短時間で密着させることができる。これによって、ウェハ処理のスループットを向上させることができる。
【0156】
また、インプリントシステム300はテンプレート処理装置1とウェハ処理装置310とを有しているので、インプリントシステム300において、テンプレートT上に離型膜Sを成膜すると共に、ウェハW上に密着膜Bを成膜することができる。このようにテンプレート処理とウェハ処理が一のインプリトシステム300で行われるので、インプリント処理のスループットを向上させることができる。また、これによって、半導体デバイスの量産化を実現することも可能となる。
【0157】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0158】
1 テンプレート処理装置
30、32 塗布ユニット
102 テンプレート移動機構
110 超音波振動子
111 振動子移動機構
123 離型剤ノズル
130 アルコールノズル
160 制御部
200 混合液ノズル
210 支持板
250 塗布ユニット
300 インプリントシステム
310 ウェハ処理装置
360、362 塗布ユニット
A アルコール
密着膜
C 転写パターン
S 離型剤
離型膜
T テンプレート
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にシランカップリング剤を成膜する成膜方法であって、
基板上にシランカップリング剤を供給する供給工程と、
前記供給工程で基板上に供給されたシランカップリング剤に超音波振動を付与して、当該基板上にシランカップリング剤の膜を形成する成膜工程と、を有することを特徴とする、成膜方法。
【請求項2】
前記成膜工程において、前記基板上のシランカップリング剤に、基板の表面とシランカップリング剤との反応を促進させる反応促進剤を供給し、当該反応促進剤が供給されたシランカップリング剤に前記超音波振動を付与することを特徴とする、請求項1に記載の成膜方法。
【請求項3】
前記成膜工程において、前記反応促進剤の供給は、前記基板上のシランカップリング剤が乾燥する前に行われることを特徴とする、請求項2に記載の成膜方法。
【請求項4】
前記成膜工程において、前記基板上のシランカップリング剤と対向して支持板を配置し、前記シランカップリング剤と前記支持板との間で前記反応促進剤を拡散させることを特徴とする、請求項2又は3に記載の成膜方法。
【請求項5】
前記成膜工程において、基板を移動させて、前記基板上のシランカップリング剤上で前記反応促進剤を拡散させることを特徴とする、請求項2又は3に記載の成膜方法。
【請求項6】
前記成膜工程において、前記基板上のシランカップリング剤に前記反応促進剤を供給する際、当該反応促進剤と前記シランカップリング剤の溶剤との混合液を供給することを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項7】
前記反応促進剤は、アルコールであることを特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項8】
前記成膜工程において、前記超音波振動を基板表面に垂直な方向に付与することを特徴する、請求項1〜7のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項9】
前記成膜工程において、前記超音波振動を付与する超音波振動子又は前記基板を相対的に移動させることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項10】
前記供給工程において、基板上に液体状又は気体状のシランカップリング剤を供給することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項11】
前記基板は表面に所定のパターンが形成されたテンプレートであり、
前記シランカップリング剤は離型剤であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の成膜方法を成膜装置によって実行させるために、当該成膜装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項14】
基板上にシランカップリング剤を成膜する成膜装置であって、
基板上にシランカップリング剤を供給するシランカップリング剤供給部と、
前記シランカップリング剤供給部から基板上に供給されたシランカップリング剤に超音波振動を付与する超音波振動子と、を有することを特徴とする、成膜装置。
【請求項15】
前記シランカップリング剤供給部から基板上に供給されたシランカップリング剤に、基板の表面とシランカップリング剤との反応を促進させる反応促進剤を供給する反応促進剤供給部を有することを特徴とする、請求項14に記載の成膜装置。
【請求項16】
前記基板上のシランカップリング剤と対向して配置され、当該シランカップリング剤との間で前記反応促進剤を拡散させる支持板を有することを特徴とする、請求項15に記載の成膜装置。
【請求項17】
前記反応促進剤供給部は、前記反応促進剤と前記シランカップリング剤の溶剤との混合液を供給することを特徴とする、請求項15又は16に記載の成膜装置。
【請求項18】
前記反応促進剤は、アルコールであることを特徴とする、請求項15〜17のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項19】
前記超音波振動子は、前記超音波振動を基板表面に垂直な方向に付与することを特徴とする、請求項14〜18のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項20】
前記基板を移動させる基板移動機構を有することを特徴とする、請求項14〜19のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項21】
前記超音波振動子を移動させる振動子移動機構を有することを特徴とする、請求項14〜20のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項22】
前記シランカップリング剤供給部は、基板上に液体状又は気体状のシランカップリング剤を供給することを特徴とする、請求項14〜21のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項23】
前記基板は表面に所定のパターンが形成されたテンプレートであり、
前記シランカップリング剤は離型剤であることを特徴とする、請求項14〜22のいずれかに記載の成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−227317(P2012−227317A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92762(P2011−92762)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】