成膜装置及び成膜方法
【課題】超臨界流体により所望の有機薄膜を形成し得る成膜装置及び成膜方法を提案する。
【解決手段】成膜装置1では、ノズル36の先端開口部36aを基板31の表面近傍に配置し、超臨界流体と基板31との温度差により発生させた過飽和のアントラセンが粉体化する前に基板31の表面に到達させるようにしたことにより、アントラセンが粉体化することなく過飽和状態のアントラセンを基板31の表面にて析出させ堆積させることができ、かくして、超臨界流体により所望の有機薄膜60を形成し得る。
【解決手段】成膜装置1では、ノズル36の先端開口部36aを基板31の表面近傍に配置し、超臨界流体と基板31との温度差により発生させた過飽和のアントラセンが粉体化する前に基板31の表面に到達させるようにしたことにより、アントラセンが粉体化することなく過飽和状態のアントラセンを基板31の表面にて析出させ堆積させることができ、かくして、超臨界流体により所望の有機薄膜60を形成し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置及び成膜方法に関し、有機薄膜を形成する成膜装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バルク固体分子を昇華させて気相中に分散させる蒸着法や、有機分子を溶解させた超臨界流体を用い、圧力を高圧から急激に減圧することにより有機分子を析出させるRESS(Rapid Expansion of Supercritical Solution)法などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−113652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蒸着法及びRESS法のいずれの場合においても、基板上に有機薄膜を形成しようとすると、有機分子が基板に達する前に結晶化して粉体化してしまい、基板上に粒子が単に並ぶだけで膜状にならず、所望の有機薄膜が形成し得ないという問題があった。
【0005】
また、近年、有機薄膜を用いた太陽電池等の有機エレクトロニクス分野では、平面基板上にp型半導体薄膜及びn型半導体薄膜を積層してデバイスが製造されているが、さらなる高効率化のために、ピラーやトレンチ等にp型半導体薄膜及びn型半導体薄膜を形成し、これらp型半導体薄膜及びn型半導体薄膜を立体的な構造とすることが望まれている。そこで、基板上に有機薄膜を形成する際にも、単に膜状の有機薄膜を形成するだけでなく、立体的な構造を有した所望の有機薄膜を形成し得ることが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は以上の点を考慮してなされたもので、超臨界流体により所望の有機薄膜を形成し得る成膜装置及び成膜方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の請求項1は、基板が載置され、臨界圧力以上で一定の圧力に維持されたチャンバと、有機分子を超臨界溶媒中に溶解させた超臨界流体を前記チャンバ内に排出する先端開口部を備え、該先端開口部が前記基板の表面近傍に配置され、前記有機分子が析出して粉体化する前に該有機分子を前記基板の表面に到達させるノズルと、前記基板の温度を前記超臨界流体の温度よりも低くし、前記超臨界流体の前記有機分子の溶解度を低下させて、過飽和状態の前記有機分子を前記基板の表面に析出させる温度調整手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2は、前記温度調整手段は、前記基板の表面にて前記有機分子が表面拡散する温度以上で、かつ前記超臨界流体の温度以下に前記基板の温度を調整していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3は、前記ノズルは、前記基板の表面に対して垂直に配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4は、前記超臨界流体には、フッ素系有機分子、アセン系分子、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アルコール類又はアセトンのいずれかが助溶媒として含まれていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項5は、基板が載置され、臨界圧力以上で一定の圧力に維持されたチャンバ内に、有機分子を超臨界溶媒中に溶解させた超臨界流体を、前記基板の表面近傍に配置させたノズルの先端開口部から排出し、前記有機分子が析出して粉体化する前に、前記超臨界流体の温度よりも温度が低い前記基板の表面に該有機分子を到達させ、前記超臨界流体の前記有機分子の溶解度を低下させて、過飽和状態の前記有機分子を前記基板の表面に析出させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6は、温度調整手段によって、前記基板の表面にて前記有機分子が表面拡散する温度以上で、かつ前記超臨界流体の温度以下に前記基板の温度を調整していることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項7は、前記基板の表面に対して垂直に配置された前記ノズルから、前記基板の表面に向けて前記超臨界流体を排出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項8は、フッ素系有機分子、アセン系分子、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アルコール類又はアセトンのいずれかを助溶媒として含ませた前記超臨界流体を、前記ノズルの先端開口部から排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、有機分子が粉体化することなく過飽和状態の有機分子を基板の表面にて析出させ堆積させることができ、かくして、超臨界流体により所望の有機薄膜を形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の成膜装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】リアクタの全体構成を示す概略図である。
【図3】チャンバの側断面構成を示す断面図である。
【図4】溶解度と圧力と温度との関係を示すグラフである。
【図5】冷却ブロックの全体構成を示す分解図である。
【図6】本願発明の成膜方法の説明に供する概略図である。
【図7】基板のトレンチ断面部分のSEM写真と、EDX写真である。
【図8】他の基板のトレンチ断面部分のSEM写真である。
【図9】銅製基板のトレンチ断面部分のSEM写真である。
【図10】他の実施の形態による有機分子を示す化学式である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を詳述する。
【0018】
図1において、1は本発明による成膜装置を示し、この成膜装置1は、超臨界溶媒となり得る二酸化炭素を循環経路2に供給する供給経路3を備えており、シリンダ4と脱水器5と供給ポンプ6が当該供給経路3に設けられている。供給経路3では、シリンダ4内に充填された液体二酸化炭素から水分や不純物を脱水器5により除去した後、供給ポンプ6によってこの二酸化炭素を循環経路2に供給し、一定時間後にバルブ7が閉められ得る。これにより、成膜装置1は、閉塞された循環経路2内が二酸化炭素で満たされ得る。
【0019】
成膜装置1には、流速計10と、循環ポンプ11と、メータリングバルブ12と、圧力制御部13と、熱交換器14と、リザーバ15と、リアクタ16とが循環経路2に設けられており、循環ポンプ2によって流体が循環経路2を一方向に循環し得るようになされている。なお、この実施の形態の場合、成膜装置1は、循環ポンプ11によって流体が循環経路2を時計回り方向に流れ、供給経路3から供給された二酸化炭素が、流速計10及び循環ポンプ11を介して、メータリングバルブ12、圧力制御部13及び熱交換器14を順に経由し得るようになされている。
【0020】
ここで、成膜装置1は、供給経路3から二酸化炭素が供給されると、メータリングバルブ12により二酸化炭素の流速、及び循環経路2内の圧力を制御し、循環経路2の圧力を二酸化炭素の臨界圧力以上の圧力(例えば15Mpa)に調整し得る。メータリングバルブ12の下流に設けられた圧力制御部13は、例えば容器13a内部にブラダ(ゴム風船)13bを備えており、循環ポンプ11により生じた圧力の脈動に応じてブラダ13bが膨張収縮することで、当該圧力の脈動を抑制し循環経路2内を一定の圧力に維持し得るようになされている。
【0021】
また、成膜装置1は、熱交換器14によって臨界圧力以上の圧力下で二酸化炭素を臨界温度以上(例えば180℃)まで加熱することにより、超臨界溶媒として超臨界二酸化炭素を生成し得る。ここで、成膜装置1は、初期設定として、バイパスライン20aのバルブ21aが開かれているとともに、バイパスライン20aと並列に配置された原料ライン20bのバルブ21b,21cが閉じられており、熱交換器14からの超臨界二酸化炭素がバイパスライン20aを経由してリアクタ16に送出され得る。これにより超臨界二酸化炭素は、リアクタ16を経由して流速計10に再び戻り、上述した循環ポンプ11及びメータリングバルブ12等の順に連続的に循環経路2内を循環し得るようになされている。
【0022】
その後、成膜装置1は、超臨界二酸化炭素が安定して生成され循環経路2が超臨界二酸化炭素で満たされると、バイパスライン20aのバルブ21aが閉じられるとともに、原料ライン20bのバルブ21b,21cが開かれ、超臨界二酸化炭素の通過経路をバイパスライン20aから原料ライン20bに切り換え、原料ライン20bに設けられたリザーバ15に超臨界二酸化炭素を供給し得る。
【0023】
リザーバ15は、アントラセンが充填された容器(図示せず)を備え、焼結フィルタ24aを介して流入口から容器に入った超臨界二酸化炭素が、容器内を通過して流出口から焼結フィルタ24bを介して排出されることで、超臨界二酸化炭素にアントラセンを溶解させた超臨界流体を生成し得るようになされている。
【0024】
また、このリザーバ15は、加熱手段(図示せず)を備えており、容器内を当該加熱手段により加熱することで、例えば熱交換器14により加熱した温度(例えば180℃)と同じ温度の超臨界流体を生成し得るようになされている。これによりリザーバ15は、超臨界流体を高温状態にすることで超臨界流体の溶解度を上げ、より多くのアントラセンを超臨界流体中に溶解させ、当該アントラセンを超臨界二酸化炭素中に飽和溶解させた超臨界流体をリアクタ16に送出し得るようになされている。なお、成膜装置1では、循環経路2の熱交換器14からリアクタ16までの各配管にリボンヒータ等の加熱手段(図示せず)を設け、加熱手段により各配管を加熱しており、各配管にて超臨界流体の温度低下を抑制している。
【0025】
ここで、リザーザ15の下流に設けられたリアクタ16は、図2に示すように、底面部30に基板31が載置されるチャンバ32と、当該チャンバ32の下部に設けられた温度調整器33とから構成されており、当該チャンバ32内に載置された基板31を温度調整器33により冷却し得るようになされている。
【0026】
実際上、このリアクタ16は、温度調整器33の冷却ブロック35の上部にチャンバ32が設置されており、超臨界二酸化炭素中にアントラセンを溶解させた超臨界流体が管状のノズル36を介してチャンバ32内に供給され、当該チャンバ32の底面部30に穿設された貫通孔38から当該超臨界流体を冷却ブロック35の連通路35aを通過させて下流の流速計10に送出し得るようになされている。因みに、この実施の形態の場合、成膜装置1では、流速計10を目安に循環経路2内の超臨界流体の流速がメータリングバルブ12により制御されており、約17cc/minの流速で超臨界流体が循環経路2内を循環している。
【0027】
ここで、チャンバ32には、根元部がリザーバ15と連通した直線状のノズル36がチャンバ32内の上面部32aに設けられており、リザーバ15からの超臨界流体がノズル36の先端開口部36aから排出され、超臨界流体がチャンバ32内部に供給され得る。実際上、このノズル36は、円筒状からなり、チャンバ32の上部からチャンバ32の底面部30に向けて直線状に延びるように形成され、例えば1/4インチ(開口直径6.4mm)配管で吐出線速度2.3cm/secで超臨界流体を排出し得るように形成されている。
【0028】
また、このノズル36は、チャンバ32の底面部30に載置された基板31の真上に先端開口部36aが配置され、先端開口部36aから排出された超臨界流体を、チャンバ32の底面部30に載置された基板31に直接吹きつけ得る。なお、このノズル36は、先端開口部36aに温度計39aを有しており、先端開口部36aから排出される超臨界流体の温度を確認し得、先端開口部36aでの超臨界流体の温度を180℃に調整し得る。
【0029】
チャンバ32は、底面部30が平面状に形成されており、当該底面部30の中央領域に基板31を水平に載置し得、ノズル36の先端開口部36aから排出される超臨界流体が基板31の表面に均一に到達し得るようになされている。また、この実施の形態の場合、チャンバ32は、ノズル36の先端開口部36aと、底面部30に載置された基板31との距離Hが約1cmと極めて短く選定されており、超臨界流体に溶解しているアントラセンが析出して粉体化する前に当該アントラセンを基板31の表面に到達させ得るようになされている。
【0030】
ここで、図3は、鉛直方向に沿ってチャンバ32の一部を切り欠いた側断面構成を示す断面図である。図3に示すように、実際上、このチャンバ32は、円筒状で端部に円盤状の上面部32a及び底面部30を有した内部が中空構造の容器32bを備え、容器32bの内部において上面部32aのほぼ中心位置から底面部30のほぼ中心位置に向け垂直に延びるノズル36が上面部32aに立設されている。底面部30には、複数の貫通孔(この場合、貫通孔38は8つとし、図3ではそのうち6つを示す)38が周縁に沿って設けられており、当該貫通孔38に合わせて設けられた円菅状の連接部38aに冷却ブロック35(図2)の連通路35aが嵌合され得る。これによりチャンバ32は、ノズル36から供給された超臨界流体が、底面部30の周縁に配置された貫通孔38から抜けて冷却ブロック35の連通路35aに送出し得るようになされている。
【0031】
ここで、チャンバ32の下部に設けられる温度調整器33は、図2に示したように、冷却ブロック35と、冷却水41が貯溜され、かつ冷却ブロック35を収納可能な冷却槽42と、冷却水41を循環し冷却水41の温度を調整するチラー43とから構成されており、冷却ブロック35の上面部が、冷却槽42内の冷却水41の水位とほぼ一致するように配置され得る。
【0032】
これにより温度調整器33を備えたリアクタ16では、冷却ブロック35の上面部に設置されたチャンバ32内の基板31が冷却水41の水位近傍に位置し、冷却ブロック35周辺が冷却水41で冷やされることで、当該冷却ブロック35の上面部に設置したチャンバ32内の基板31の温度を、超臨界流体の温度よりも低い温度に設定し得るようになされている。
【0033】
かくして、リアクタ16は、冷却ブロック35のみを冷却することで、チャンバ32内のノズル36部分の温度を大きく下げることなく、高温の超臨界流体をチャンバ32内に供給しつつ、チャンバ32内の底面部30の温度だけを下げ、当該底面部30に載置される基板31の温度だけを低下させ得るようになされている。この実施の形態の場合、チャンバ32は、底面部30に載置される基板31の温度が例えば約80℃になるように、チラー43によって冷却水41の温度が調整されており、基板31の温度と超臨界流体の温度との温度勾配が約100℃となっている。
【0034】
ところで、超臨界流体における有機分子の溶解度と温度と圧力の関係は、図4Aに示すように、圧力が一定に保たれていても、温度が高くなると溶解度が高くなり、一方、温度が低くなると溶解度が低くなることから、超臨界流体の温度が高温から低温に移行すると、超臨界流体に溶解されている有機分子が過飽和状態となり析出し得る。なお、図4Bに示すように、超臨界流体は、温度が一定に保たれていても、圧力が15Mpaから20Mpaに上がると、これに応じて溶解度も高くなり、より多くの有機分子を溶解させることができる。因みに、図4A及び図4Bは、文献「David J. Miller and Steven B. Hawthome: Anal. Chem., 1995, 67, 273-279」に記載されているグラフである。
【0035】
この実施の形態の場合、チャンバ32は、基板31の温度と超臨界流体の温度との温度勾配が約100℃となっていることから、ノズル36の先端開口部36aから排出された超臨界流体が基板31近傍で温度低下により溶解度が下がり、過飽和状態のアントラセンが基板31の表面にて析出して堆積し得るようになされている。
【0036】
リアクタ16は、チャンバ32の内部の圧力が一定に維持されていることから、チャンバ32に供給される超臨界流体と、チャンバ32の底面部30に載置された基板31との温度勾配に対応した溶解度差の分だけアントラセンが基板31の表面上に析出し、析出しなかった残りのアントラセンが超臨界流体に溶解した状態で、チャンバ32の貫通孔38から排出され、冷却ブロック35の連通路35aを通って下流に供給され得るようになされている。
【0037】
また、この際、チャンバ32は、基板31が温度調整器33により冷却されているものの、基板31の温度が約80℃に上げられていることにより、吸着分子たるアントラセンの基板31の表面での表面拡散を促進し得、基板31の表面にてアントラセンが拡散してゆき、当該基板31の表面の凹部にもアントラセンが入り込んで堆積し得るようになされている。
【0038】
ここで、冷却ブロック35は、図5に示すように、第1ブロック46、第2ブロック47及び第3ブロック48から構成されており、これら第1ブロック46、第2ブロック47及び第3ブロック48の順に積層された状態で固定され、冷却槽42に収納され得る。第1ブロック46は、短円柱状からなり、上部46aが平面状に形成され、当該上部46aにチャンバ32を設置し得るようになされている。
【0039】
また、この第1ブロック46には、チャンバ32の貫通孔38に対応して複数の貫通孔49が厚みを貫通するように穿設されており、例えばチャンバ32の連接部38aがそれぞれ貫通孔49に嵌合されることで上部46aにチャンバ32が固定され得る。なお、この第1ブロック46は、中心に貫通孔50を有しており、図2に示したように、当該貫通孔50に下方から温度計39bを挿入し得、当該温度計39bによってチャンバ32の底面部30の温度を計測し得るように構成されている。なお、この実施の形態の場合では、この中心の貫通孔50に設置された温度計39bの温度が約80℃になるように温度調整器33が冷却水41の温度を調整し得るようになされている。
【0040】
図5に示したように、第2ブロック47は、上部47aが第1ブロック46の下部46bの直径とほぼ同じ直径に選定された薄肉の短円筒状からなり、周縁に第1ブロック46の周縁を一致させた状態で平面状の上部47aに第1ブロック46が設置され得る。また、第2ブロック47は、上部47aに第1ブロック46が位置決めされると、第1ブロック46の各貫通孔49,50が中央領域の1つの貫通孔51と連通し得るようになされている。
【0041】
第3ブロック48は、平面状の上部48aが第2ブロック47の下部47bの直径とほぼ同じ直径に選定された釣り鐘形からなり、中心に厚みを貫通する貫通孔52が形成された構成を有している。第3ブロック48は、上部48aの周縁に合わせて第2ブロック47の下部47bの周縁が位置決めされると、中心の貫通孔52と第2ブロック47の貫通孔51とが連通し得るようになされている。
【0042】
このように、冷却ブロック35は、第1ブロック46、第2ブロック47及び第3ブロック48の順に積層され固定されることにより、第1ブロック46の貫通孔49,50と、第2ブロック47の貫通孔51と、第3ブロック48の貫通孔52とが連通して連通路35aを形成し、チャンバ32からの超臨界流体がこの連通路35aを通過し下流の流速計10等に供給させ得る。
【0043】
次に、アントラセンからなる有機薄膜を基板31上に形成し得る原理を、図6に示す概略図を用いて以下説明する。図6に示す55はチャンバを概略的に示したものであり、チャンバ55の上方を高温とし、チャンバ55の底面部55aを上方の温度より低い低温としたとき、溶解度の温度依存性によって当該チャンバ55の上方で超臨界流体が高溶解度となり、チャンバ55の底面部55aで超臨界流体が低溶解度となり得る。
【0044】
ここで、第1エリアER1(図6中「粒子成長モード」と表す)に示す概略図では、ノズル36の先端開口部36aが基板56aから遠ざけられ、さらに基板56aの温度も低くした状態で、チャンバ55上方の先端開口部36aから下方の基板56aに向けて超臨界流体を供給し、チャンバ55の底面部55aの貫通孔57から超臨界流体を排出したときの様子を示す。
【0045】
この場合、ノズル36の先端開口部36aから排出された超臨界流体は、温度低下により溶解度が下がり、過飽和で発生したアントラセンの核がクラスター化する。そして、この粒子成長モードでは、ノズル36の先端開口部36aが基板56aから遠ざけられていることから、アントラセンが基板56aに到達する前に、さらにこれらクラスター化したアントラセンが結合し粒子化してしまう。これにより、基板56aの表面には、薄膜ではなく粒子が並ぶだけとなり、当該基板56aの表面の凹部にもアントラセンが入り込み難くなって立体的な有機薄膜をも形成し難い。
【0046】
一方、本発明による成膜方法を示す第2エリアER2(図6中「膜成長モード」と表す)の概略図では、ノズル36の先端開口部36aを、基板56bの表面近傍に配置し、さらに基板56bの温度が超臨界二酸化炭素の温度よりも低いものの、粒子成長モードよりも高温とした状態で、超臨界流体をチャンバ55上方のノズル36から下方の基板56bに向けて供給し、チャンバ55の底面部55aの貫通孔57から超臨界流体を排出したときの様子を示す。
【0047】
この場合、ノズル36の先端開口部36aから排出された超臨界流体は、基板56b近傍での温度低下により溶解度が下がり、過飽和で発生したアントラセンの核がクラスター化するものの、ノズル36の先端開口部36aと基板56bとの距離が極めて短いことから、アントラセンが結合し粒子化する前に、クラスター化したアントラセンがそのまま基板56bに到達する。また、この際、基板56bが高温であることから、アントラセンの表面拡散が促進され(表面マイグレーション)、アントラセンの核が一定方向に成長し、基板56bの表面上で2次元の島状結晶を形成して有機薄膜が形成され得る。また、ここで基板温度を上げることは不均一核の発生の頻度因子を上昇させることができ、高密度核発生にも寄与している。
【0048】
ここで、上述した実施の形態のように、例えばノズル36の吐出線速度を2.3cm/secとした場合には、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hが短すぎると、基板31の表面上に膜厚が均一な有機薄膜を形成し難いため、距離Hを最適な長さに調整することが好ましい。一方、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hを3cm以上にした場合には、図6に示したように、アントラセンが基板表面に到達する前に粉体が多量に析出してしまい有機薄膜を形成し難くなるため、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hは、3cm未満が好ましい。
【0049】
但し、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hを仮に短くしても、ノズル36の吐出線速度を小さくすることで、基板31の表面上に均一な膜厚の有機薄膜を形成し得、一方、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hを仮に長くしても、ノズル36の吐出線速度を大きくすることで、アントラセンが基板表面まで到達する速度が速くなるため、アントラセンが粉体化する前に基板31の表面に到達し得、基板31に有機薄膜を形成できる。
【0050】
また、超臨界溶媒として超臨界二酸化炭素を用い、この超臨界二酸化炭素に溶解させる有機分子としてアントラセンを用いた場合には、基板31と超臨界流体の温度勾配を約80〜100℃や、圧力を約10〜20Mpaとしてもよく、この場合、温度勾配や圧力に応じて過飽和状態により析出するアントラセンの量が変わるため、基板31の表面に形成される有機薄膜の膜厚も変わり得る。
【0051】
従って、本発明の成膜装置1では、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hと、ノズル36の吐出線速度と、基板31と超臨界流体の温度勾配及び圧力とを、アントラセンが粉体化せずに基板31の表面まで到達し得、さらに基板31の表面上に均一な膜厚の有機薄膜を形成し得るように適宜調整する必要がある。
【0052】
次に、実際に、図1に示した成膜装置1を用いて、基板31の表面に有機薄膜を形成し、この有機薄膜について観察した。ここでは、超臨界溶媒として超臨界二酸化炭素を用い、超臨界二酸化炭素に溶解させる有機分子として溶解度データが豊富なアントラセンを用いた。因みに、ここでは、有機薄膜を形成する基板31として、基板31の表面エネルギーを変えるため、前処理として、表面をアセトンで洗浄する等して有機物を除去するとともに、表面の酸化膜を除去した基板31を用いた。
【0053】
また、成膜装置1では、成膜条件として、循環経路2やリザーバ15、リアクタ16の圧力を15Mpaとし、リザーバ15内を180℃としこの温度で超臨界二酸化炭素にアントラセンを溶解させ超臨界流体を生成し、これをリアクタ16のチャンバ32に供給した。なお、実際上、リザーバ15では、アントラセンが充填された容器内に超臨界二酸化炭素を供給しつつ、容器内をホットスターラーで攪拌しながら加熱し、約180℃にてアントラセンを超臨界二酸化炭素に溶解させ超臨界流体を生成した。また、循環経路2のリザーバ15からチャンバ32間の配管にもリボンヒータを設け、チャンバ32内のノズル36の先端開口部36aから180℃の超臨界流体が排出されるようにした。
【0054】
さらに、温度調整器33では、成膜条件として、冷却槽42内の冷却水41の温度をチラー43により調整し、チャンバ32内の基板31の温度を80℃とし、ノズル36の先端開口部36aから供給される超臨界流体と、基板31との温度勾配を100℃とした。そして、ここでは、このような成膜条件下で超臨界流体を約1時間リアクタ16のチャンバ32へ供給し続けた後、基板31の表面を観察したところ、図7A及び図7Bに示すような有機薄膜60が基板31の表面に形成されていることが確認できた。
【0055】
なお、有機薄膜60を形成させる成膜対象としては、開口幅1μm、深さ10μmのアスペクト比10の微細構造のトレンチ31aが表面に形成されたシリコン製の基板31を用いた。ここで、図7Aは、基板31のトレンチ断面部分のSEM(scanning electron microscope)写真であり、このSEM写真では基板31の表面に有機薄膜60が形成されていることが確認できた。また、トレンチ31a部分における有機薄膜60の状態をより分かり易く観察するため、基板31のトレンチ断面部分をEDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:エネルギー分散型X線分光法)により観察した。その結果、図7Bに示すようなEDX写真が得られ、図7Bから基板31の表面にあるトレンチ31a内の根元部分にもアントラセンが入り込み、トレンチの形状と同じ形状の立体的な有機薄膜60が形成されていることが確認できた。
【0056】
次に、上述したアスペクト比10のトレンチが形成された基板に換えて、開口幅0.85μm、深さ61μmのアスペクト比72の微細構造のトレンチが表面に形成されたシリコン製の基板を用意し、上述した成膜条件と同じ成膜条件にて、この基板の表面に有機薄膜を形成した。そして、基板のトレンチ断面部分のSEM写真を観察したところ、図8A〜図8Dに示すような結果が得られた。これら図8A〜図8Dに示すように、アスペクト比72の深いトレンチ61aを有した基板61でも、トレンチ61aの根元部分までアントラセンが入り込み、トレンチ61aの形状と同じ形状の立体的な有機薄膜60が形成できることが確認できた。なお、図8B〜図8Dは、図8Aのトレンチ61aの開口部分、中間部分、根元部分の各部分を拡大したSEM写真である。
【0057】
次に、シリコン製の基板31,61に換えて、銅製基板を用い、上述した成膜条件と同じ成膜条件にて銅製基板に有機薄膜を形成した。そして、銅製基板のトレンチ断面部分のSEM写真を観察したところ、図9に示すような結果が得られた。図9の結果では、トレンチ71a内が暗くSEM写真では分かり難い箇所もあるが、実際には、銅製基板71であってもトレンチ71a内にまでアントラセンが確実に入り込み、立体的な有機薄膜60が形成できることが確認できた。
【0058】
以上の構成において、成膜装置1では、アントラセンを溶解させた高温の超臨界流体を、ノズル36の先端開口部36aから、圧力が一定に維持されたチャンバ32内に供給する。また、この成膜装置1では、基板31が載置されるチャンバ32の底面部30が、温度調整器33によって超臨界流体の温度よりも低い温度に設定されており、この底面部30の温度調整によって基板31の温度を、超臨界流体の温度よりも低い温度に設定する。
【0059】
さらに、この成膜装置1では、ノズル36の先端開口部36aと、基板31の表面との距離Hが短く選定されており、ノズル36の先端開口部36aを基板31の表面近傍に配置させ、超臨界流体の温度を基板31の近傍にて低下させて、基板31の近傍でのみ超臨界流体の溶解度を下げさせる。
【0060】
これにより、成膜装置1では、基板31の近傍でのみ過飽和を生じさせ、過飽和状態となった直後にアントラセンを基板31の表面に到達させることができるので、アントラセンの粉体化を抑制でき、かくして、基板31の表面にて析出した過飽和状態のアントラセンを基板31に堆積させ、アントラセンからなる有機薄膜60を基板31の表面に形成できる。
【0061】
また、この成膜装置1では、アントラセンが表面拡散し得る温度以上で、かつ超臨界流体の温度以下に、基板31の温度が選定されていることから、温度勾配により析出したアントラセンが基板31の表面にて拡散し易くなり、当該表面のトレンチ31a内にもアントラセンを確実に入り込ませることができ、かくして、当該トレンチ31aの形状と同じ形状の立体的な凹凸形状の有機薄膜60を形成できる。
【0062】
さらに、この成膜装置1では、超臨界流体と基板31との温度勾配が約100℃程度に選定されていることから、基板31の表面にて過飽和のアントラセンの過剰な発生を抑制し得、基板31の表面に最適な膜厚の有機薄膜60を形成できる。
【0063】
また、この成膜装置1では、ノズル36が基板31に対して垂直に配置されていることにより、基板31の表面の境膜層を薄層化でき、過飽和のアントラセンの基板31の表面への輸送を促進できる。
【0064】
以上の構成によれば、成膜装置1では、ノズル36の先端開口部36aを基板31の表面近傍に配置し、超臨界流体と基板31との温度差により発生させた過飽和のアントラセンが粉体化する前に基板31の表面に到達させるようにしたことにより、アントラセンが粉体化することなく過飽和状態のアントラセンを基板31の表面にて析出させ堆積させることができ、かくして、超臨界流体により所望の有機薄膜60を形成し得る。
【0065】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能であり、例えば、上述した実施の形態においては、超臨界流体に溶解させる有機分子として、アントラセンを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、テトラセンやペンタセン等の図10に示す化学式(1)〜(20)の有機分子を適用してもよく、この場合、成膜装置1において、これら有機分子を超臨界溶媒中に溶解させることで、リアクタ16によって基板31の表面にこれら有機分子からなる有機薄膜を形成することができる。
【0066】
また、上述した実施の形態においては、超臨界流体として、アントラセンだけを超臨界二酸化炭素に溶解させた超臨界流体を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、アントラセンに加えて助溶媒を超臨界二酸化炭素に溶解させた超臨界流体を適用するようにしてもよく、この場合、助溶媒の働きによって超臨界流体の溶解度曲線(図4A及び図4B)が変わり、超臨界流体中のアントラセンの溶解度を向上させることができる。
【0067】
具体的には、助溶媒を超臨界流体に溶解させることで、超臨界流体を高温にまで加熱しなくとも、当該超臨界二酸化炭素中に一段と多くのアントラセンを溶解させることができるとともに、僅かな温度変化により一段と多くのアントラセンを析出させることができる。
【0068】
また、助溶媒を超臨界流体に溶解させた場合には、超臨界流体の溶解度が向上し、有機分子を超臨界溶媒中に溶解させ易くなるので、種々の有機分子を有機薄膜の形成材料として用いることができるようになる。さらに、助溶媒を溶解させた超臨界流体を用いた場合には、成膜装置1において超臨界二酸化炭素にアントラセンを溶解させる際の加熱温度を下げることができるので、その分だけ加熱費用が低減しコスト低減を図ることもできる。因みに、助溶媒としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系有機分子や、ナフタレン又はベンゼン等のアセン系分子の他、さらに、クロロベンゼンや、ジクロロベンゼン、アルコール類、アセトンを適用することができる。
【0069】
さらに、上述した実施の形態においては、超臨界溶媒として、二酸化炭素を超臨界状態とした超臨界二酸化炭素を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、H2や、N2、Xeを超臨界状態とし、これを超臨界溶媒として適用してもよい。
【0070】
さらに、上述した実施の形態においては、チャンバ32内の圧力を15Mpa、循環経路2内での超臨界流体の流速を約17cc/min、ノズル36の吐出線速度を2.3cm/sec、超臨界流体の温度を180℃、基板31の温度を約80℃、基板31と超臨界流体の温度勾配を約100℃、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hを約1cmに選定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、有機分子が析出して粉体化する前に当該有機分子を基板31の表面に到達させるとともに、基板31の温度を超臨界流体の温度よりも低くし、超臨界流体の有機分子の溶解度を基板31の近傍でのみ低下させて、過飽和状態の有機分子を基板31の表面に析出させることができれば、これら成膜条件をその他種々の数値に設定してもよい。
【0071】
なお、上述した変形例の超臨界溶媒や有機分子を用いた場合には、ノズルの吐出線速度や、ノズルの先端開口部と基板との距離H、基板と超臨界流体の温度勾配を適切に選定することで、上述した実施の形態と同様に、有機分子が析出して粉体化する前に当該有機分子を基板31の表面に到達させるとともに、基板31の温度を超臨界流体の温度よりも低くし、超臨界流体の有機分子の溶解度を基板31の近傍でのみ低下させて、過飽和状態の有機分子を基板31の表面に析出させることができる。
【0072】
さらに、上述した実施の形態においては、温度調整手段として、冷却槽42内にて冷却水41により冷却ブロック35を冷却してチャンバ32の底面部30上の基板31を冷却する温度調整器33を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば気体により冷却ブロック35を冷却しチャンバ32の底面部30上の基板31を冷却する温度調整手段や、ステンレスパイプ等を用いて冷却水をチャンバ内まで引き込みチャンバ内に設置した冷却ブロックのみを冷却し、チャンバ内の基板31を冷却する温度調整手段、或いは、チャンバ内に電線を引き込みチャンバ内部に設置したペルチエ素子(この場合、電気を流すと冷える素子)を用いてチャンバ内の基板31を冷却する温度調整手段等、ここではチャンバ32内の基板31を冷却できれば、その他種々の手法による温度調整手段を適用してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 成膜装置
31 基板
32 チャンバ
33 温度調整器(温度調整手段)
36 ノズル
36a 先端開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置及び成膜方法に関し、有機薄膜を形成する成膜装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バルク固体分子を昇華させて気相中に分散させる蒸着法や、有機分子を溶解させた超臨界流体を用い、圧力を高圧から急激に減圧することにより有機分子を析出させるRESS(Rapid Expansion of Supercritical Solution)法などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−113652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蒸着法及びRESS法のいずれの場合においても、基板上に有機薄膜を形成しようとすると、有機分子が基板に達する前に結晶化して粉体化してしまい、基板上に粒子が単に並ぶだけで膜状にならず、所望の有機薄膜が形成し得ないという問題があった。
【0005】
また、近年、有機薄膜を用いた太陽電池等の有機エレクトロニクス分野では、平面基板上にp型半導体薄膜及びn型半導体薄膜を積層してデバイスが製造されているが、さらなる高効率化のために、ピラーやトレンチ等にp型半導体薄膜及びn型半導体薄膜を形成し、これらp型半導体薄膜及びn型半導体薄膜を立体的な構造とすることが望まれている。そこで、基板上に有機薄膜を形成する際にも、単に膜状の有機薄膜を形成するだけでなく、立体的な構造を有した所望の有機薄膜を形成し得ることが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は以上の点を考慮してなされたもので、超臨界流体により所望の有機薄膜を形成し得る成膜装置及び成膜方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の請求項1は、基板が載置され、臨界圧力以上で一定の圧力に維持されたチャンバと、有機分子を超臨界溶媒中に溶解させた超臨界流体を前記チャンバ内に排出する先端開口部を備え、該先端開口部が前記基板の表面近傍に配置され、前記有機分子が析出して粉体化する前に該有機分子を前記基板の表面に到達させるノズルと、前記基板の温度を前記超臨界流体の温度よりも低くし、前記超臨界流体の前記有機分子の溶解度を低下させて、過飽和状態の前記有機分子を前記基板の表面に析出させる温度調整手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2は、前記温度調整手段は、前記基板の表面にて前記有機分子が表面拡散する温度以上で、かつ前記超臨界流体の温度以下に前記基板の温度を調整していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3は、前記ノズルは、前記基板の表面に対して垂直に配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4は、前記超臨界流体には、フッ素系有機分子、アセン系分子、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アルコール類又はアセトンのいずれかが助溶媒として含まれていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項5は、基板が載置され、臨界圧力以上で一定の圧力に維持されたチャンバ内に、有機分子を超臨界溶媒中に溶解させた超臨界流体を、前記基板の表面近傍に配置させたノズルの先端開口部から排出し、前記有機分子が析出して粉体化する前に、前記超臨界流体の温度よりも温度が低い前記基板の表面に該有機分子を到達させ、前記超臨界流体の前記有機分子の溶解度を低下させて、過飽和状態の前記有機分子を前記基板の表面に析出させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6は、温度調整手段によって、前記基板の表面にて前記有機分子が表面拡散する温度以上で、かつ前記超臨界流体の温度以下に前記基板の温度を調整していることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項7は、前記基板の表面に対して垂直に配置された前記ノズルから、前記基板の表面に向けて前記超臨界流体を排出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項8は、フッ素系有機分子、アセン系分子、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アルコール類又はアセトンのいずれかを助溶媒として含ませた前記超臨界流体を、前記ノズルの先端開口部から排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、有機分子が粉体化することなく過飽和状態の有機分子を基板の表面にて析出させ堆積させることができ、かくして、超臨界流体により所望の有機薄膜を形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の成膜装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】リアクタの全体構成を示す概略図である。
【図3】チャンバの側断面構成を示す断面図である。
【図4】溶解度と圧力と温度との関係を示すグラフである。
【図5】冷却ブロックの全体構成を示す分解図である。
【図6】本願発明の成膜方法の説明に供する概略図である。
【図7】基板のトレンチ断面部分のSEM写真と、EDX写真である。
【図8】他の基板のトレンチ断面部分のSEM写真である。
【図9】銅製基板のトレンチ断面部分のSEM写真である。
【図10】他の実施の形態による有機分子を示す化学式である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を詳述する。
【0018】
図1において、1は本発明による成膜装置を示し、この成膜装置1は、超臨界溶媒となり得る二酸化炭素を循環経路2に供給する供給経路3を備えており、シリンダ4と脱水器5と供給ポンプ6が当該供給経路3に設けられている。供給経路3では、シリンダ4内に充填された液体二酸化炭素から水分や不純物を脱水器5により除去した後、供給ポンプ6によってこの二酸化炭素を循環経路2に供給し、一定時間後にバルブ7が閉められ得る。これにより、成膜装置1は、閉塞された循環経路2内が二酸化炭素で満たされ得る。
【0019】
成膜装置1には、流速計10と、循環ポンプ11と、メータリングバルブ12と、圧力制御部13と、熱交換器14と、リザーバ15と、リアクタ16とが循環経路2に設けられており、循環ポンプ2によって流体が循環経路2を一方向に循環し得るようになされている。なお、この実施の形態の場合、成膜装置1は、循環ポンプ11によって流体が循環経路2を時計回り方向に流れ、供給経路3から供給された二酸化炭素が、流速計10及び循環ポンプ11を介して、メータリングバルブ12、圧力制御部13及び熱交換器14を順に経由し得るようになされている。
【0020】
ここで、成膜装置1は、供給経路3から二酸化炭素が供給されると、メータリングバルブ12により二酸化炭素の流速、及び循環経路2内の圧力を制御し、循環経路2の圧力を二酸化炭素の臨界圧力以上の圧力(例えば15Mpa)に調整し得る。メータリングバルブ12の下流に設けられた圧力制御部13は、例えば容器13a内部にブラダ(ゴム風船)13bを備えており、循環ポンプ11により生じた圧力の脈動に応じてブラダ13bが膨張収縮することで、当該圧力の脈動を抑制し循環経路2内を一定の圧力に維持し得るようになされている。
【0021】
また、成膜装置1は、熱交換器14によって臨界圧力以上の圧力下で二酸化炭素を臨界温度以上(例えば180℃)まで加熱することにより、超臨界溶媒として超臨界二酸化炭素を生成し得る。ここで、成膜装置1は、初期設定として、バイパスライン20aのバルブ21aが開かれているとともに、バイパスライン20aと並列に配置された原料ライン20bのバルブ21b,21cが閉じられており、熱交換器14からの超臨界二酸化炭素がバイパスライン20aを経由してリアクタ16に送出され得る。これにより超臨界二酸化炭素は、リアクタ16を経由して流速計10に再び戻り、上述した循環ポンプ11及びメータリングバルブ12等の順に連続的に循環経路2内を循環し得るようになされている。
【0022】
その後、成膜装置1は、超臨界二酸化炭素が安定して生成され循環経路2が超臨界二酸化炭素で満たされると、バイパスライン20aのバルブ21aが閉じられるとともに、原料ライン20bのバルブ21b,21cが開かれ、超臨界二酸化炭素の通過経路をバイパスライン20aから原料ライン20bに切り換え、原料ライン20bに設けられたリザーバ15に超臨界二酸化炭素を供給し得る。
【0023】
リザーバ15は、アントラセンが充填された容器(図示せず)を備え、焼結フィルタ24aを介して流入口から容器に入った超臨界二酸化炭素が、容器内を通過して流出口から焼結フィルタ24bを介して排出されることで、超臨界二酸化炭素にアントラセンを溶解させた超臨界流体を生成し得るようになされている。
【0024】
また、このリザーバ15は、加熱手段(図示せず)を備えており、容器内を当該加熱手段により加熱することで、例えば熱交換器14により加熱した温度(例えば180℃)と同じ温度の超臨界流体を生成し得るようになされている。これによりリザーバ15は、超臨界流体を高温状態にすることで超臨界流体の溶解度を上げ、より多くのアントラセンを超臨界流体中に溶解させ、当該アントラセンを超臨界二酸化炭素中に飽和溶解させた超臨界流体をリアクタ16に送出し得るようになされている。なお、成膜装置1では、循環経路2の熱交換器14からリアクタ16までの各配管にリボンヒータ等の加熱手段(図示せず)を設け、加熱手段により各配管を加熱しており、各配管にて超臨界流体の温度低下を抑制している。
【0025】
ここで、リザーザ15の下流に設けられたリアクタ16は、図2に示すように、底面部30に基板31が載置されるチャンバ32と、当該チャンバ32の下部に設けられた温度調整器33とから構成されており、当該チャンバ32内に載置された基板31を温度調整器33により冷却し得るようになされている。
【0026】
実際上、このリアクタ16は、温度調整器33の冷却ブロック35の上部にチャンバ32が設置されており、超臨界二酸化炭素中にアントラセンを溶解させた超臨界流体が管状のノズル36を介してチャンバ32内に供給され、当該チャンバ32の底面部30に穿設された貫通孔38から当該超臨界流体を冷却ブロック35の連通路35aを通過させて下流の流速計10に送出し得るようになされている。因みに、この実施の形態の場合、成膜装置1では、流速計10を目安に循環経路2内の超臨界流体の流速がメータリングバルブ12により制御されており、約17cc/minの流速で超臨界流体が循環経路2内を循環している。
【0027】
ここで、チャンバ32には、根元部がリザーバ15と連通した直線状のノズル36がチャンバ32内の上面部32aに設けられており、リザーバ15からの超臨界流体がノズル36の先端開口部36aから排出され、超臨界流体がチャンバ32内部に供給され得る。実際上、このノズル36は、円筒状からなり、チャンバ32の上部からチャンバ32の底面部30に向けて直線状に延びるように形成され、例えば1/4インチ(開口直径6.4mm)配管で吐出線速度2.3cm/secで超臨界流体を排出し得るように形成されている。
【0028】
また、このノズル36は、チャンバ32の底面部30に載置された基板31の真上に先端開口部36aが配置され、先端開口部36aから排出された超臨界流体を、チャンバ32の底面部30に載置された基板31に直接吹きつけ得る。なお、このノズル36は、先端開口部36aに温度計39aを有しており、先端開口部36aから排出される超臨界流体の温度を確認し得、先端開口部36aでの超臨界流体の温度を180℃に調整し得る。
【0029】
チャンバ32は、底面部30が平面状に形成されており、当該底面部30の中央領域に基板31を水平に載置し得、ノズル36の先端開口部36aから排出される超臨界流体が基板31の表面に均一に到達し得るようになされている。また、この実施の形態の場合、チャンバ32は、ノズル36の先端開口部36aと、底面部30に載置された基板31との距離Hが約1cmと極めて短く選定されており、超臨界流体に溶解しているアントラセンが析出して粉体化する前に当該アントラセンを基板31の表面に到達させ得るようになされている。
【0030】
ここで、図3は、鉛直方向に沿ってチャンバ32の一部を切り欠いた側断面構成を示す断面図である。図3に示すように、実際上、このチャンバ32は、円筒状で端部に円盤状の上面部32a及び底面部30を有した内部が中空構造の容器32bを備え、容器32bの内部において上面部32aのほぼ中心位置から底面部30のほぼ中心位置に向け垂直に延びるノズル36が上面部32aに立設されている。底面部30には、複数の貫通孔(この場合、貫通孔38は8つとし、図3ではそのうち6つを示す)38が周縁に沿って設けられており、当該貫通孔38に合わせて設けられた円菅状の連接部38aに冷却ブロック35(図2)の連通路35aが嵌合され得る。これによりチャンバ32は、ノズル36から供給された超臨界流体が、底面部30の周縁に配置された貫通孔38から抜けて冷却ブロック35の連通路35aに送出し得るようになされている。
【0031】
ここで、チャンバ32の下部に設けられる温度調整器33は、図2に示したように、冷却ブロック35と、冷却水41が貯溜され、かつ冷却ブロック35を収納可能な冷却槽42と、冷却水41を循環し冷却水41の温度を調整するチラー43とから構成されており、冷却ブロック35の上面部が、冷却槽42内の冷却水41の水位とほぼ一致するように配置され得る。
【0032】
これにより温度調整器33を備えたリアクタ16では、冷却ブロック35の上面部に設置されたチャンバ32内の基板31が冷却水41の水位近傍に位置し、冷却ブロック35周辺が冷却水41で冷やされることで、当該冷却ブロック35の上面部に設置したチャンバ32内の基板31の温度を、超臨界流体の温度よりも低い温度に設定し得るようになされている。
【0033】
かくして、リアクタ16は、冷却ブロック35のみを冷却することで、チャンバ32内のノズル36部分の温度を大きく下げることなく、高温の超臨界流体をチャンバ32内に供給しつつ、チャンバ32内の底面部30の温度だけを下げ、当該底面部30に載置される基板31の温度だけを低下させ得るようになされている。この実施の形態の場合、チャンバ32は、底面部30に載置される基板31の温度が例えば約80℃になるように、チラー43によって冷却水41の温度が調整されており、基板31の温度と超臨界流体の温度との温度勾配が約100℃となっている。
【0034】
ところで、超臨界流体における有機分子の溶解度と温度と圧力の関係は、図4Aに示すように、圧力が一定に保たれていても、温度が高くなると溶解度が高くなり、一方、温度が低くなると溶解度が低くなることから、超臨界流体の温度が高温から低温に移行すると、超臨界流体に溶解されている有機分子が過飽和状態となり析出し得る。なお、図4Bに示すように、超臨界流体は、温度が一定に保たれていても、圧力が15Mpaから20Mpaに上がると、これに応じて溶解度も高くなり、より多くの有機分子を溶解させることができる。因みに、図4A及び図4Bは、文献「David J. Miller and Steven B. Hawthome: Anal. Chem., 1995, 67, 273-279」に記載されているグラフである。
【0035】
この実施の形態の場合、チャンバ32は、基板31の温度と超臨界流体の温度との温度勾配が約100℃となっていることから、ノズル36の先端開口部36aから排出された超臨界流体が基板31近傍で温度低下により溶解度が下がり、過飽和状態のアントラセンが基板31の表面にて析出して堆積し得るようになされている。
【0036】
リアクタ16は、チャンバ32の内部の圧力が一定に維持されていることから、チャンバ32に供給される超臨界流体と、チャンバ32の底面部30に載置された基板31との温度勾配に対応した溶解度差の分だけアントラセンが基板31の表面上に析出し、析出しなかった残りのアントラセンが超臨界流体に溶解した状態で、チャンバ32の貫通孔38から排出され、冷却ブロック35の連通路35aを通って下流に供給され得るようになされている。
【0037】
また、この際、チャンバ32は、基板31が温度調整器33により冷却されているものの、基板31の温度が約80℃に上げられていることにより、吸着分子たるアントラセンの基板31の表面での表面拡散を促進し得、基板31の表面にてアントラセンが拡散してゆき、当該基板31の表面の凹部にもアントラセンが入り込んで堆積し得るようになされている。
【0038】
ここで、冷却ブロック35は、図5に示すように、第1ブロック46、第2ブロック47及び第3ブロック48から構成されており、これら第1ブロック46、第2ブロック47及び第3ブロック48の順に積層された状態で固定され、冷却槽42に収納され得る。第1ブロック46は、短円柱状からなり、上部46aが平面状に形成され、当該上部46aにチャンバ32を設置し得るようになされている。
【0039】
また、この第1ブロック46には、チャンバ32の貫通孔38に対応して複数の貫通孔49が厚みを貫通するように穿設されており、例えばチャンバ32の連接部38aがそれぞれ貫通孔49に嵌合されることで上部46aにチャンバ32が固定され得る。なお、この第1ブロック46は、中心に貫通孔50を有しており、図2に示したように、当該貫通孔50に下方から温度計39bを挿入し得、当該温度計39bによってチャンバ32の底面部30の温度を計測し得るように構成されている。なお、この実施の形態の場合では、この中心の貫通孔50に設置された温度計39bの温度が約80℃になるように温度調整器33が冷却水41の温度を調整し得るようになされている。
【0040】
図5に示したように、第2ブロック47は、上部47aが第1ブロック46の下部46bの直径とほぼ同じ直径に選定された薄肉の短円筒状からなり、周縁に第1ブロック46の周縁を一致させた状態で平面状の上部47aに第1ブロック46が設置され得る。また、第2ブロック47は、上部47aに第1ブロック46が位置決めされると、第1ブロック46の各貫通孔49,50が中央領域の1つの貫通孔51と連通し得るようになされている。
【0041】
第3ブロック48は、平面状の上部48aが第2ブロック47の下部47bの直径とほぼ同じ直径に選定された釣り鐘形からなり、中心に厚みを貫通する貫通孔52が形成された構成を有している。第3ブロック48は、上部48aの周縁に合わせて第2ブロック47の下部47bの周縁が位置決めされると、中心の貫通孔52と第2ブロック47の貫通孔51とが連通し得るようになされている。
【0042】
このように、冷却ブロック35は、第1ブロック46、第2ブロック47及び第3ブロック48の順に積層され固定されることにより、第1ブロック46の貫通孔49,50と、第2ブロック47の貫通孔51と、第3ブロック48の貫通孔52とが連通して連通路35aを形成し、チャンバ32からの超臨界流体がこの連通路35aを通過し下流の流速計10等に供給させ得る。
【0043】
次に、アントラセンからなる有機薄膜を基板31上に形成し得る原理を、図6に示す概略図を用いて以下説明する。図6に示す55はチャンバを概略的に示したものであり、チャンバ55の上方を高温とし、チャンバ55の底面部55aを上方の温度より低い低温としたとき、溶解度の温度依存性によって当該チャンバ55の上方で超臨界流体が高溶解度となり、チャンバ55の底面部55aで超臨界流体が低溶解度となり得る。
【0044】
ここで、第1エリアER1(図6中「粒子成長モード」と表す)に示す概略図では、ノズル36の先端開口部36aが基板56aから遠ざけられ、さらに基板56aの温度も低くした状態で、チャンバ55上方の先端開口部36aから下方の基板56aに向けて超臨界流体を供給し、チャンバ55の底面部55aの貫通孔57から超臨界流体を排出したときの様子を示す。
【0045】
この場合、ノズル36の先端開口部36aから排出された超臨界流体は、温度低下により溶解度が下がり、過飽和で発生したアントラセンの核がクラスター化する。そして、この粒子成長モードでは、ノズル36の先端開口部36aが基板56aから遠ざけられていることから、アントラセンが基板56aに到達する前に、さらにこれらクラスター化したアントラセンが結合し粒子化してしまう。これにより、基板56aの表面には、薄膜ではなく粒子が並ぶだけとなり、当該基板56aの表面の凹部にもアントラセンが入り込み難くなって立体的な有機薄膜をも形成し難い。
【0046】
一方、本発明による成膜方法を示す第2エリアER2(図6中「膜成長モード」と表す)の概略図では、ノズル36の先端開口部36aを、基板56bの表面近傍に配置し、さらに基板56bの温度が超臨界二酸化炭素の温度よりも低いものの、粒子成長モードよりも高温とした状態で、超臨界流体をチャンバ55上方のノズル36から下方の基板56bに向けて供給し、チャンバ55の底面部55aの貫通孔57から超臨界流体を排出したときの様子を示す。
【0047】
この場合、ノズル36の先端開口部36aから排出された超臨界流体は、基板56b近傍での温度低下により溶解度が下がり、過飽和で発生したアントラセンの核がクラスター化するものの、ノズル36の先端開口部36aと基板56bとの距離が極めて短いことから、アントラセンが結合し粒子化する前に、クラスター化したアントラセンがそのまま基板56bに到達する。また、この際、基板56bが高温であることから、アントラセンの表面拡散が促進され(表面マイグレーション)、アントラセンの核が一定方向に成長し、基板56bの表面上で2次元の島状結晶を形成して有機薄膜が形成され得る。また、ここで基板温度を上げることは不均一核の発生の頻度因子を上昇させることができ、高密度核発生にも寄与している。
【0048】
ここで、上述した実施の形態のように、例えばノズル36の吐出線速度を2.3cm/secとした場合には、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hが短すぎると、基板31の表面上に膜厚が均一な有機薄膜を形成し難いため、距離Hを最適な長さに調整することが好ましい。一方、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hを3cm以上にした場合には、図6に示したように、アントラセンが基板表面に到達する前に粉体が多量に析出してしまい有機薄膜を形成し難くなるため、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hは、3cm未満が好ましい。
【0049】
但し、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hを仮に短くしても、ノズル36の吐出線速度を小さくすることで、基板31の表面上に均一な膜厚の有機薄膜を形成し得、一方、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hを仮に長くしても、ノズル36の吐出線速度を大きくすることで、アントラセンが基板表面まで到達する速度が速くなるため、アントラセンが粉体化する前に基板31の表面に到達し得、基板31に有機薄膜を形成できる。
【0050】
また、超臨界溶媒として超臨界二酸化炭素を用い、この超臨界二酸化炭素に溶解させる有機分子としてアントラセンを用いた場合には、基板31と超臨界流体の温度勾配を約80〜100℃や、圧力を約10〜20Mpaとしてもよく、この場合、温度勾配や圧力に応じて過飽和状態により析出するアントラセンの量が変わるため、基板31の表面に形成される有機薄膜の膜厚も変わり得る。
【0051】
従って、本発明の成膜装置1では、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hと、ノズル36の吐出線速度と、基板31と超臨界流体の温度勾配及び圧力とを、アントラセンが粉体化せずに基板31の表面まで到達し得、さらに基板31の表面上に均一な膜厚の有機薄膜を形成し得るように適宜調整する必要がある。
【0052】
次に、実際に、図1に示した成膜装置1を用いて、基板31の表面に有機薄膜を形成し、この有機薄膜について観察した。ここでは、超臨界溶媒として超臨界二酸化炭素を用い、超臨界二酸化炭素に溶解させる有機分子として溶解度データが豊富なアントラセンを用いた。因みに、ここでは、有機薄膜を形成する基板31として、基板31の表面エネルギーを変えるため、前処理として、表面をアセトンで洗浄する等して有機物を除去するとともに、表面の酸化膜を除去した基板31を用いた。
【0053】
また、成膜装置1では、成膜条件として、循環経路2やリザーバ15、リアクタ16の圧力を15Mpaとし、リザーバ15内を180℃としこの温度で超臨界二酸化炭素にアントラセンを溶解させ超臨界流体を生成し、これをリアクタ16のチャンバ32に供給した。なお、実際上、リザーバ15では、アントラセンが充填された容器内に超臨界二酸化炭素を供給しつつ、容器内をホットスターラーで攪拌しながら加熱し、約180℃にてアントラセンを超臨界二酸化炭素に溶解させ超臨界流体を生成した。また、循環経路2のリザーバ15からチャンバ32間の配管にもリボンヒータを設け、チャンバ32内のノズル36の先端開口部36aから180℃の超臨界流体が排出されるようにした。
【0054】
さらに、温度調整器33では、成膜条件として、冷却槽42内の冷却水41の温度をチラー43により調整し、チャンバ32内の基板31の温度を80℃とし、ノズル36の先端開口部36aから供給される超臨界流体と、基板31との温度勾配を100℃とした。そして、ここでは、このような成膜条件下で超臨界流体を約1時間リアクタ16のチャンバ32へ供給し続けた後、基板31の表面を観察したところ、図7A及び図7Bに示すような有機薄膜60が基板31の表面に形成されていることが確認できた。
【0055】
なお、有機薄膜60を形成させる成膜対象としては、開口幅1μm、深さ10μmのアスペクト比10の微細構造のトレンチ31aが表面に形成されたシリコン製の基板31を用いた。ここで、図7Aは、基板31のトレンチ断面部分のSEM(scanning electron microscope)写真であり、このSEM写真では基板31の表面に有機薄膜60が形成されていることが確認できた。また、トレンチ31a部分における有機薄膜60の状態をより分かり易く観察するため、基板31のトレンチ断面部分をEDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:エネルギー分散型X線分光法)により観察した。その結果、図7Bに示すようなEDX写真が得られ、図7Bから基板31の表面にあるトレンチ31a内の根元部分にもアントラセンが入り込み、トレンチの形状と同じ形状の立体的な有機薄膜60が形成されていることが確認できた。
【0056】
次に、上述したアスペクト比10のトレンチが形成された基板に換えて、開口幅0.85μm、深さ61μmのアスペクト比72の微細構造のトレンチが表面に形成されたシリコン製の基板を用意し、上述した成膜条件と同じ成膜条件にて、この基板の表面に有機薄膜を形成した。そして、基板のトレンチ断面部分のSEM写真を観察したところ、図8A〜図8Dに示すような結果が得られた。これら図8A〜図8Dに示すように、アスペクト比72の深いトレンチ61aを有した基板61でも、トレンチ61aの根元部分までアントラセンが入り込み、トレンチ61aの形状と同じ形状の立体的な有機薄膜60が形成できることが確認できた。なお、図8B〜図8Dは、図8Aのトレンチ61aの開口部分、中間部分、根元部分の各部分を拡大したSEM写真である。
【0057】
次に、シリコン製の基板31,61に換えて、銅製基板を用い、上述した成膜条件と同じ成膜条件にて銅製基板に有機薄膜を形成した。そして、銅製基板のトレンチ断面部分のSEM写真を観察したところ、図9に示すような結果が得られた。図9の結果では、トレンチ71a内が暗くSEM写真では分かり難い箇所もあるが、実際には、銅製基板71であってもトレンチ71a内にまでアントラセンが確実に入り込み、立体的な有機薄膜60が形成できることが確認できた。
【0058】
以上の構成において、成膜装置1では、アントラセンを溶解させた高温の超臨界流体を、ノズル36の先端開口部36aから、圧力が一定に維持されたチャンバ32内に供給する。また、この成膜装置1では、基板31が載置されるチャンバ32の底面部30が、温度調整器33によって超臨界流体の温度よりも低い温度に設定されており、この底面部30の温度調整によって基板31の温度を、超臨界流体の温度よりも低い温度に設定する。
【0059】
さらに、この成膜装置1では、ノズル36の先端開口部36aと、基板31の表面との距離Hが短く選定されており、ノズル36の先端開口部36aを基板31の表面近傍に配置させ、超臨界流体の温度を基板31の近傍にて低下させて、基板31の近傍でのみ超臨界流体の溶解度を下げさせる。
【0060】
これにより、成膜装置1では、基板31の近傍でのみ過飽和を生じさせ、過飽和状態となった直後にアントラセンを基板31の表面に到達させることができるので、アントラセンの粉体化を抑制でき、かくして、基板31の表面にて析出した過飽和状態のアントラセンを基板31に堆積させ、アントラセンからなる有機薄膜60を基板31の表面に形成できる。
【0061】
また、この成膜装置1では、アントラセンが表面拡散し得る温度以上で、かつ超臨界流体の温度以下に、基板31の温度が選定されていることから、温度勾配により析出したアントラセンが基板31の表面にて拡散し易くなり、当該表面のトレンチ31a内にもアントラセンを確実に入り込ませることができ、かくして、当該トレンチ31aの形状と同じ形状の立体的な凹凸形状の有機薄膜60を形成できる。
【0062】
さらに、この成膜装置1では、超臨界流体と基板31との温度勾配が約100℃程度に選定されていることから、基板31の表面にて過飽和のアントラセンの過剰な発生を抑制し得、基板31の表面に最適な膜厚の有機薄膜60を形成できる。
【0063】
また、この成膜装置1では、ノズル36が基板31に対して垂直に配置されていることにより、基板31の表面の境膜層を薄層化でき、過飽和のアントラセンの基板31の表面への輸送を促進できる。
【0064】
以上の構成によれば、成膜装置1では、ノズル36の先端開口部36aを基板31の表面近傍に配置し、超臨界流体と基板31との温度差により発生させた過飽和のアントラセンが粉体化する前に基板31の表面に到達させるようにしたことにより、アントラセンが粉体化することなく過飽和状態のアントラセンを基板31の表面にて析出させ堆積させることができ、かくして、超臨界流体により所望の有機薄膜60を形成し得る。
【0065】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能であり、例えば、上述した実施の形態においては、超臨界流体に溶解させる有機分子として、アントラセンを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、テトラセンやペンタセン等の図10に示す化学式(1)〜(20)の有機分子を適用してもよく、この場合、成膜装置1において、これら有機分子を超臨界溶媒中に溶解させることで、リアクタ16によって基板31の表面にこれら有機分子からなる有機薄膜を形成することができる。
【0066】
また、上述した実施の形態においては、超臨界流体として、アントラセンだけを超臨界二酸化炭素に溶解させた超臨界流体を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、アントラセンに加えて助溶媒を超臨界二酸化炭素に溶解させた超臨界流体を適用するようにしてもよく、この場合、助溶媒の働きによって超臨界流体の溶解度曲線(図4A及び図4B)が変わり、超臨界流体中のアントラセンの溶解度を向上させることができる。
【0067】
具体的には、助溶媒を超臨界流体に溶解させることで、超臨界流体を高温にまで加熱しなくとも、当該超臨界二酸化炭素中に一段と多くのアントラセンを溶解させることができるとともに、僅かな温度変化により一段と多くのアントラセンを析出させることができる。
【0068】
また、助溶媒を超臨界流体に溶解させた場合には、超臨界流体の溶解度が向上し、有機分子を超臨界溶媒中に溶解させ易くなるので、種々の有機分子を有機薄膜の形成材料として用いることができるようになる。さらに、助溶媒を溶解させた超臨界流体を用いた場合には、成膜装置1において超臨界二酸化炭素にアントラセンを溶解させる際の加熱温度を下げることができるので、その分だけ加熱費用が低減しコスト低減を図ることもできる。因みに、助溶媒としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系有機分子や、ナフタレン又はベンゼン等のアセン系分子の他、さらに、クロロベンゼンや、ジクロロベンゼン、アルコール類、アセトンを適用することができる。
【0069】
さらに、上述した実施の形態においては、超臨界溶媒として、二酸化炭素を超臨界状態とした超臨界二酸化炭素を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、H2や、N2、Xeを超臨界状態とし、これを超臨界溶媒として適用してもよい。
【0070】
さらに、上述した実施の形態においては、チャンバ32内の圧力を15Mpa、循環経路2内での超臨界流体の流速を約17cc/min、ノズル36の吐出線速度を2.3cm/sec、超臨界流体の温度を180℃、基板31の温度を約80℃、基板31と超臨界流体の温度勾配を約100℃、ノズル36の先端開口部36aと基板31との距離Hを約1cmに選定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、有機分子が析出して粉体化する前に当該有機分子を基板31の表面に到達させるとともに、基板31の温度を超臨界流体の温度よりも低くし、超臨界流体の有機分子の溶解度を基板31の近傍でのみ低下させて、過飽和状態の有機分子を基板31の表面に析出させることができれば、これら成膜条件をその他種々の数値に設定してもよい。
【0071】
なお、上述した変形例の超臨界溶媒や有機分子を用いた場合には、ノズルの吐出線速度や、ノズルの先端開口部と基板との距離H、基板と超臨界流体の温度勾配を適切に選定することで、上述した実施の形態と同様に、有機分子が析出して粉体化する前に当該有機分子を基板31の表面に到達させるとともに、基板31の温度を超臨界流体の温度よりも低くし、超臨界流体の有機分子の溶解度を基板31の近傍でのみ低下させて、過飽和状態の有機分子を基板31の表面に析出させることができる。
【0072】
さらに、上述した実施の形態においては、温度調整手段として、冷却槽42内にて冷却水41により冷却ブロック35を冷却してチャンバ32の底面部30上の基板31を冷却する温度調整器33を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば気体により冷却ブロック35を冷却しチャンバ32の底面部30上の基板31を冷却する温度調整手段や、ステンレスパイプ等を用いて冷却水をチャンバ内まで引き込みチャンバ内に設置した冷却ブロックのみを冷却し、チャンバ内の基板31を冷却する温度調整手段、或いは、チャンバ内に電線を引き込みチャンバ内部に設置したペルチエ素子(この場合、電気を流すと冷える素子)を用いてチャンバ内の基板31を冷却する温度調整手段等、ここではチャンバ32内の基板31を冷却できれば、その他種々の手法による温度調整手段を適用してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 成膜装置
31 基板
32 チャンバ
33 温度調整器(温度調整手段)
36 ノズル
36a 先端開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置され、臨界圧力以上で一定の圧力に維持されたチャンバと、
有機分子を超臨界溶媒中に溶解させた超臨界流体を前記チャンバ内に排出する先端開口部を備え、該先端開口部が前記基板の表面近傍に配置され、前記有機分子が析出して粉体化する前に該有機分子を前記基板の表面に到達させるノズルと、
前記基板の温度を前記超臨界流体の温度よりも低くし、前記超臨界流体の前記有機分子の溶解度を低下させて、過飽和状態の前記有機分子を前記基板の表面に析出させる温度調整手段と
を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記温度調整手段は、前記基板の表面にて前記有機分子が表面拡散する温度以上で、かつ前記超臨界流体の温度以下に前記基板の温度を調整している
ことを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記ノズルは、前記基板の表面に対して垂直に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の成膜装置。
【請求項4】
前記超臨界流体には、フッ素系有機分子、アセン系分子、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アルコール類又はアセトンのいずれかが助溶媒として含まれている
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の成膜装置。
【請求項5】
基板が載置され、臨界圧力以上で一定の圧力に維持されたチャンバ内に、有機分子を超臨界溶媒中に溶解させた超臨界流体を、前記基板の表面近傍に配置させたノズルの先端開口部から排出し、前記有機分子が析出して粉体化する前に、前記超臨界流体の温度よりも温度が低い前記基板の表面に該有機分子を到達させ、前記超臨界流体の前記有機分子の溶解度を低下させて、過飽和状態の前記有機分子を前記基板の表面に析出させる
ことを特徴とする成膜方法。
【請求項6】
温度調整手段によって、前記基板の表面にて前記有機分子が表面拡散する温度以上で、かつ前記超臨界流体の温度以下に前記基板の温度を調整している
ことを特徴とする請求項5記載の成膜方法。
【請求項7】
前記基板の表面に対して垂直に配置された前記ノズルから、前記基板の表面に向けて前記超臨界流体を排出する
ことを特徴とする請求項5又は6記載の成膜方法。
【請求項8】
フッ素系有機分子、アセン系分子、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アルコール類又はアセトンのいずれかを助溶媒として含ませた前記超臨界流体を、前記ノズルの先端開口部から排出する
ことを特徴とする請求項5〜7のうちいずれか1項記載の成膜方法。
【請求項1】
基板が載置され、臨界圧力以上で一定の圧力に維持されたチャンバと、
有機分子を超臨界溶媒中に溶解させた超臨界流体を前記チャンバ内に排出する先端開口部を備え、該先端開口部が前記基板の表面近傍に配置され、前記有機分子が析出して粉体化する前に該有機分子を前記基板の表面に到達させるノズルと、
前記基板の温度を前記超臨界流体の温度よりも低くし、前記超臨界流体の前記有機分子の溶解度を低下させて、過飽和状態の前記有機分子を前記基板の表面に析出させる温度調整手段と
を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記温度調整手段は、前記基板の表面にて前記有機分子が表面拡散する温度以上で、かつ前記超臨界流体の温度以下に前記基板の温度を調整している
ことを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記ノズルは、前記基板の表面に対して垂直に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の成膜装置。
【請求項4】
前記超臨界流体には、フッ素系有機分子、アセン系分子、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アルコール類又はアセトンのいずれかが助溶媒として含まれている
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の成膜装置。
【請求項5】
基板が載置され、臨界圧力以上で一定の圧力に維持されたチャンバ内に、有機分子を超臨界溶媒中に溶解させた超臨界流体を、前記基板の表面近傍に配置させたノズルの先端開口部から排出し、前記有機分子が析出して粉体化する前に、前記超臨界流体の温度よりも温度が低い前記基板の表面に該有機分子を到達させ、前記超臨界流体の前記有機分子の溶解度を低下させて、過飽和状態の前記有機分子を前記基板の表面に析出させる
ことを特徴とする成膜方法。
【請求項6】
温度調整手段によって、前記基板の表面にて前記有機分子が表面拡散する温度以上で、かつ前記超臨界流体の温度以下に前記基板の温度を調整している
ことを特徴とする請求項5記載の成膜方法。
【請求項7】
前記基板の表面に対して垂直に配置された前記ノズルから、前記基板の表面に向けて前記超臨界流体を排出する
ことを特徴とする請求項5又は6記載の成膜方法。
【請求項8】
フッ素系有機分子、アセン系分子、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アルコール類又はアセトンのいずれかを助溶媒として含ませた前記超臨界流体を、前記ノズルの先端開口部から排出する
ことを特徴とする請求項5〜7のうちいずれか1項記載の成膜方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図10】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図10】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−233228(P2012−233228A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102478(P2011−102478)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 〔刊行物名〕 2011年 化学工学会 第76年会 研究発表講演要旨集のCD−ROM 〔発行所〕 公益社団法人 化学工学会 〔発行日〕 平成23年2月22日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「異分野融合型次世代デバイス製造技術開発プロジェクト」に関する委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 〔刊行物名〕 2011年 化学工学会 第76年会 研究発表講演要旨集のCD−ROM 〔発行所〕 公益社団法人 化学工学会 〔発行日〕 平成23年2月22日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「異分野融合型次世代デバイス製造技術開発プロジェクト」に関する委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】
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