説明

扁平な発送物の搬送方向及び搬送方向に対して相対的な発送物の位置を変更するための装置

この装置は駆動される回転式コンベヤテーブル(1)を有しており、この回転式コンベヤテーブル(1)には制御により変更可能な長さを有する1つ又は複数のグリッパアーム(2)が固定されている。これらのグリッパアーム(2)の自由な端部には2つ又は3つの自由度を有する制御可能なジョイントヘッド(3)が位置しており、これらのジョイントヘッド(3)にはグリッパ(4)が取り付けられている。グリッパ(4)のグリッパアーム長さ、回転の間の空間的な配向、及び回転速度が次のように制御可能である、すなわち、グリッパ(4)が、供給及び排出する搬送手段の搬送軌道に沿って、ほぼ当該搬送手段の搬送速度により線状運動を行うように制御可能である。該線状運動の間には、ジョイントヘッド(3)のグリッパ(4)は当該搬送軌道に対して常に空間的に等しく整列されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平な発送物の搬送方向及び搬送方向に対して相対的な発送物の位置を変更するための装置に関する。
【0002】
仕分け機械の材料挿入部の有利な引抜き位置(Abzugslage)に基づき、発送物は個別化の後にはまず長手方向に挟幅側で立った形で搬送される。次いで特に大きい手紙、雑誌などのための仕分け機械では発送物が旋回モジュールによって、長手方向軸線を中心として横たわった位置へ回動され、搬送ベルト上を横たわったままさらに搬送される。発送物を仕分け時に仕分け容器内に素早く確実に投入するためには、長手方向搬送から横方向搬送への交換が行われなければならない。なぜならば、これにより、発送物容器内への良好な投入位置が得られるからである。発送物流れ内の搬送位置のこのような交換は、90°だけ速度ベクトルの方向を変更することにより得られる。このためには、国際公開第98/49083号パンフレットに対応して、発送物は搬送ベルトによって、横方向スライダにより衝撃により搬送方向に対して横方向に加速され、これにより、発送物は搬送ベルトを離れ、90°だけずらされて配置された別の搬送ベルト上へ滑り、この搬送ベルトによりさらに搬送される。横方向スライダにより搬送品に衝撃が負荷されることは、しばしば搬送品の衝突及びねじれをもたらし、薄く不安定な、又は部分的に充填された発送物の折れ曲がり又はしわをもたらす。さらに高い材料負荷、並びに抑制が困難なスライドシステムの振動特性について述べておかなければならない。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許公開第1137993号明細書につき、スペース内の発送物の搬送方向及び絶対的な位置が変更されるが、しかしながら、搬送方向に対して相対的な発送物の位置は変更されない装置が公知となっている。この公知の装置では、装置による発送物の把持及び解放がそれぞれグリッパの直線運動の間に行われる。
【0004】
さらに発送物は読取り及び押圧モジュールの前に所定の縁部に合わせて整列されなければならない。このことは、発送物が傾斜ローラによって、搬送方向の速度ベクトルと並んでさらに搬送方向に対して横方向の速度ベクトルを受ける見込み距離(Aussichtsstrecke)で行われ、これによりストッパに対して滑走せしめられ、このストッパで整列される。このストッパは側方ベルトの形で構成されている。大きく重い発送物のためにも不可欠な力が設計されていなければならないので、不安定な発送物はストッパでしばしば折り曲げられるか、又はしわになる。平坦に横たわった発送物はさらに処理時に変向され、種々異なった搬送平面へもたらされなければならない。このことは、高い所要スペースを有するカーブベルト、切換装置並びに上昇距離を用いて行われる。この場合、さらに発送物のねじれ及び摺動の危険が生じる。
【0005】
そこで本発明の課題は、扁平な発送物の搬送方向及び搬送方向に対して相対的な発送物の位置を変更するための装置において、発送物に負荷が加えられることがほぼ阻止され、わずかな所要スペースを有しているものを提供することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有する装置により解決される。この場合に、駆動される回転式コンベヤテーブルには、制御により変更可能な長さを有する1つ又は複数のグリップアームが固定されており、これらのグリップアームの自由な端部には、2つ又は3つの自由度を有する制御可能なジョイントヘッドが位置しており、これらのジョイントヘッドにはグリッパが取り付けられている。グリッパのグリップアーム長さ、回転の間の空間的な配向及び回転速度が次のように制御可能になっている、すなわち、グリッパが、供給及び排出する搬送手段の搬送軌道に沿った線状運動を、ほぼ当該搬送手段の搬送速度により行うように制御可能になっている。線状運動の間には、ジョイントヘッドのグリッパは、当該搬送軌道に対して常に空間的に等しく整列されている。発送物はグリッパにより把持され、引き渡される。
【0007】
本発明の有利な構成が従属請求項に記載されている。
【0008】
搬送手段における発送物の運動と、グリップアーム及びグリッパの運動を同期化し、これにより、供給する搬送手段からグリッパへ、かつグリッパから、排出する搬送手段へのそれぞれの発送物の引渡しが保証されることは有利である。
【0009】
特に有利には、グリップアームの長さ、間隔及び回転速度並びにの回転式コンベヤテーブルの中心点と搬送軌道との間隔を次のように選択すること、すなわち、発送物が搬送速度により、前縁又は後縁の規定された間隔をおいて、かつ側方の基準縁部と、搬送軌道の側方の境界との規定された間隔をおいて受取り又は引渡し可能になっていることも特に有利である。
【0010】
有利な実施態様では、グリッパは少なくとも1つの可動な側面を有するクランプの形で構成されている。発送物を種々異なった高さで把持又は降下するためには、グリッパアームが鉛直方向に制御されて旋回可能になっていることが有利である。
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面につきさらに詳しく説明する。
【0012】
図1に示したように、一定不変の、又は増大する回転数により連続的に回転する回転式コンベヤテーブル1が本発明の核であり、この回転式コンベヤテーブル1には1つ又は複数のグリップアームが位置している。概観を見るために、1つのグリッパアーム2のみが回転式コンベヤテーブル1の回転の間の種々異なった時点で示されている。テレスコープ式アームの形で構成されたグリップアーム2の長さが制御により変更可能である。さらにグリップアーム2は垂直方向に制御により旋回可能である。グリップアーム2の自由な端部にはジョイントヘッド3が位置しており、これらのジョイントヘッド3は2つ又は3つの自由度で制御可能に可動になっており、発送物受取り及び引渡しのためのそれぞれ1つのグリッパ4、例えば閉鎖可能なクランプを有している。回転数が一定不変でない場合には、搬送速度が一様でない場合に供給及び排出する搬送手段が同時に発送物5を受け取り、引き渡すことがないように注意すべきである。
【0013】
カバーベルトの形で構成された供給する搬送手段は、回転するグリッパアーム2の上方に次のように配置されている、すなわち、最大限に送出されたグリッパアーム2の回転円に対して弦を形成しているように配置されている。挟幅なカバーベルトが発送物5を立てたままで供給速度VZu及び等しい縁部LZuの一定不変の間隔をおいて搬送し、この場合に下側の発送物区分はカバーベルトから自由に突出している。発送物前縁若しくは発送物後縁が、最大限に送出されたグリップアーム2の回転円と交差する時点では、グリップアーム2の開かれたグリッパ4は、カバーベルト距離の後には整列されて同様に交差点に位置していなければならない。この時点からは、グリップアーム2は回転数が一定不変の場合には連続的に短縮され、これにより、グリッパ4は、発送物運動に対して同期的に線状運動を行い、ジョイントヘッド3は回転平面で連続的に回動せしめられ、これにより、グリッパ4はカバーベルト距離の後には常に整列されたままに維持される。発送物5若しくはグリッパ4がグリッパアーム2に対して直角に位置するまで続くこの段階1では、グリッパ4の接線速度Vは供給速度VZuに等しい。前記段階1の間にはグリッパ4と発送物5との間の同期的な運動経過が得られるので、すなわち、速度差もないので、グリッパ4はカバーベルトから突出した下側の発送物部分の辺りで閉じられ、発送物5は、発送物への衝撃的な力導入を受けることなしに把持された状態でカバーベルトを離れる。
【0014】
カバーベルトを離れた後には、段階2では、整列されることが望ましい基準縁部の、グリッパ4に対する位置が、例えば光バリア列により検出され、ジョイントヘッド3は90°だけ下方へ旋回され、これにより、発送物5は横たえられる。これに対して平行して、横たえられた、供給方向に対して垂直に真っすぐな軌道で運動せしめられる発送物5の、規定された縁部間隔LAbに対応した長さに、グリッパ4に対する基準縁部の検出された補正値を差し引いてグリッパアーム長さが連続的に変更され、ジョイントヘッド3は直線の整列を維持するために、排出時にはグリッパ4に対して場合によって起こり得る縁部ねじれの検出された修正値を差し引いて、回転平面で連続的に回動される。これにより、配向、縁部変更及び整列が調和良く(衝突なしに)行われる。
【0015】
扁平ベルト、フィンガベルト(Fingerband)又はこれに類する形で構成された排出する搬送手段は、供給するカバーベルトに対して90°ずらされて、回転するグリップアーム2の下方に配置されており、同様に最大限に送出されたグリップアーム2の回転サークルに対して弦を形成している。発送物受取りに類似して、段階3では排出する扁平ベルトに対して同期的に発送物引渡しが行われる。同じ縁部LAbの規定された一定不変の間隔及び排出速度VAbが、グリップアーム長さ及び引渡し回転数NUEgにより規定することができる。図2による経過では、搬送方向の変更が180°だけ行われ、この場合に発送物5は、同様に縁部を整列されて立った位置から横たわった位置へもたらされる。すなわち、段階1は図1のように経過し、段階2ではジョイントヘッド3が回転平面で連続的には回動されず、グリッパ4に対する基準縁部ねじれの検出された補正値だけ回動され、段階3では1つ又は複数の排出するベルトが種々異なった平面に配置されていてよく、この場合に、グリッパアーム2は鉛直方向に、遊園地のための回転走行装置(spinnenfahreinrichtung)に類似して制御されて旋回可能であり、これにより、種々異なった平面での引渡しが実施される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】搬送方向に長い挟幅側で立てられた扁平な発送物を横たわった位置へ旋回させ、90°だけ搬送方向を変更するための装置において、長い発送物側が新しい搬送方向に対して垂直に位置しており、1つのみのグリップアームが回転の間の種々異なった位置で示された概略的な平面図である。
【図2】搬送方向が180°だけ変更され、短い方の発送物側が新しい搬送方向に対して垂直に位置していることにより図1とは異なる、対応した概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な発送物(5)の搬送方向、及び搬送方向に対して相対的な発送物(5)の位置を変更するための装置であって、
発送物(5)が、装置に、供給する搬送手段によって搬送軌道に沿って搬送速度VZuにより供給され、前記装置から、排出する搬送手段によって、変更された搬送方向を有する第2の搬送軌道に沿って、搬送速度VAbにより排出されるようになっており、
駆動される回転式コンベヤテーブル(1)が設けられており、該回転式コンベヤテーブル(1)に、制御により変更可能な長さを有する1つ又は複数のグリップアーム(2)が固定されており、
該グリップアーム(2)の自由な端部に、2つ又は3つの自由度を有する制御可能なジョイントヘッド(3)が設けられており、該ジョイントヘッド(3)にグリッパ(4)が取り付けられており、
回転式コンベヤテーブル(1)の回転速度と、回転式コンベヤテーブル(1)の回転の間にグリッパアーム(2)の長さと、グリッパ(4)の空間的な配向とが次のように制御可能になっている、すなわち、グリッパ(4)が、第1の搬送軌道に沿ってほぼ速度VZuにより、かつ第2の搬送軌道に沿ってほぼ速度VAbにより線状運動を行うように制御可能になっており、
該線状運動の間に、ジョイントヘッド(3)のグリッパ(4)の、それぞれの搬送軌道に対する空間的な整列が、等しく維持されており、
発送物(5)が、線状運動の間にグリッパにより把持され、引き渡される
ことを特徴とする、扁平な発送物(5)の搬送方向、及び搬送方向に対して相対的な発送物(5)の位置を変更するための装置。
【請求項2】
搬送手段における発送物(5)の運動と、グリップアーム(2)及びグリッパ(4)の運動とが、同期化されており、これにより、供給する搬送手段からグリッパへの、かつグリッパ(4)から排出する搬送手段へのそれぞれの発送物(5)の引渡しが保証される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
グリップアーム(2)の長さ、間隔及び回転速度、並びに回転式コンベヤテーブル(1)の中心点と搬送軌道との間隔が次のように選択されている、すなわち、発送物(5)が、搬送速度により、前縁又は後縁の規定された間隔をおいて、かつ側方の基準縁部と搬送軌道の側方の境界との規定された間隔をおいて、受取り可能又は引渡し可能になっている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
グリップアーム(2)が、テレスコープ式アームの形で構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項5】
グリッパ(4)が、少なくとも1つの可動な側面を有するクランプの形で構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項6】
グリップアーム(2)が、鉛直方向に制御されて旋回可能である、請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−522723(P2006−522723A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500074(P2006−500074)
【出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003146
【国際公開番号】WO2004/089790
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】