説明

手すりのジョイント材

【課題】手すりの縦方向への屈曲部を施工するために使用することが可能であり、施工現場での施工性が高く、手すりの連続性を確保することができる、手すりのジョイント材を提供する。
【解決手段】一方の手すりに連結される第1の連結端部11と、他方の手すりに連結される第2の連結端部12と、第1及び第2の連結端部の間に延在し、かつ、第1及び第2の連結端部に一体化された、架橋部13とを有する。この架橋部13は、上面14及び下面15を有し、この上面14及び下面15の方向のみに曲げ変形が可能なように、全体として板状の形態をなす。架橋部13は上面14又は下面15の方向に予め湾曲成形されている。この架橋部13にリブ16a、16bを一体的に形成し、このリブに、笠木の内面に当接して笠木の形状を保持する支持面Sbと、笠木の縁部を係止する係止部Eaを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手すりの芯材を構成する笠木受(金台)に樹脂製の笠木を被せて構成される連続手すりに関し、更に詳細に述べると、例えば、階段に沿った壁面に傾斜して取付けられた笠木受の端部と、階段の踊り場の壁面に水平に取付けられた笠木受の端部を連結し、手すりの縦方向への屈曲部を構成する、手すりのジョイント材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廊下や階段に連続手すりを設置する場合には、特に、階段には曲がり角が多いので、従来は、手すりの金台を予め工場などで屈曲加工したり、手すりの屈曲部に専用のコーナー材を用意し、手すりの屈曲部を施工する必要があった。金台を予め屈曲加工する場合には、手すりの屈曲部を美麗に仕上げることができるが、手すりの施工距離が長く、手すりの屈曲部が多い場合には、金台に多大の加工を施す必要がある。また、可撓性材料やコイルスプリングで構成されたコーナー材や、回転軸を中心に屈曲可能なコーナー材を使用して、手すりの屈曲部を施工する場合には、金台の屈曲加工が不要になるから手すりの施工は容易になるが、特殊なコーナー材を用意する必要があるため施工費用が高騰するばかりでなく、手すりの屈曲部に隙間や凹凸が発生し、手すりの連続性が失われる場合がある。
【0003】
特開2005−2758号公報は、金属製の笠木受(金台)に樹脂製の笠木を被せて構成される連続手すりを開示する。この手すりは、手すりの直線部分に金属芯材1を配し、手すりの湾曲部分に、金属芯材1と同様に、断面がほぼC字状の被覆材6が嵌着可能な形状の軟質または半硬質の熱可塑性合成樹脂製の樹脂芯材10を配し、この樹脂芯材10を所定の円弧に湾曲処理して金属芯材1に連結固定し、金属芯材1と樹脂芯材10を長尺の被覆材(笠木)6で被覆する。
【0004】
特開2004−131966号公報は、手すりに曲り部を形成するための自在コーナー具を開示する。この自在コーナー具は、合成樹脂製の手すり主体2を備え、手すり主体2は、伸縮屈曲自在な軸体7と、軸体7に任意間隔を置いて一体に形成された複数のフランジ6と、軸体7の両端に延長形成された連結軸部3と、フランジ6と等しい外径寸法を有し、連結軸部3に一体形成された合成樹脂製のボス部材4とを有し、手すり主体2の各フランジ6とボス部材4の外側に可撓性のチューブ5を嵌合して構成される。
【0005】
特開2005−2758号公報に開示された手すりの熱可塑性合成樹脂製の樹脂芯材10は、工場などで予め所望の円弧に湾曲処理されて使用される。この樹脂芯材10の曲げ角度を建築現場で変更することは容易でない。
【0006】
特開2004−131966号公報に開示された自在コーナー具は、軸体7の各部位がそれぞれ独立して全方向に伸縮屈曲自在であるから(段落番号0019参照)、軸体7の変形自由度が過大となり、かえって連続手すりの施工性を低下させる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−2758号公報
【特許文献2】特開2004−131966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、手すりの縦方向への屈曲部を施工するために使用することが可能であり、施工現場での施工性が高く、手すりの連続性を確保することができる、手すりのジョイント材を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、簡単な構成の金型を使用し、樹脂製の単一部品として一体成形することが可能であり、材料費を低減することができる、手すりのジョイント材を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、予め、手すりの縦方向への屈曲部における一般的な屈曲角度に屈曲成形され、この屈曲角度を基準として、予め規制された角度範囲内で、縦方向への屈曲のみを行うことができる、手すりのジョイント材を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、手すりの芯材を構成する笠木受(金台)に連結されて、笠木受から連続する樹脂製の笠木を被せることができるように構成された、手すりのジョイント材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的を達成するため、本発明の手すりのジョイント材は、一方の手すりに連結される第1の連結端部と、他方の手すりに連結される第2の連結端部と、第1及び第2の連結端部の間に延在し、かつ、第1及び第2の連結端部に一体化された、架橋部とを有する。この架橋部は、上面及び下面を有し、かつ、この上面及び下面の方向のみに曲げ変形が可能なように、全体として板状の形態をなす。この架橋部は、また、第1の連結端部の軸線と第2の連結端部の軸線が、これらの軸線が通る平面内で、所定の角度で交差するように、上面又は下面の方向に予め湾曲成形されている。更に、この架橋部にリブを一体的に形成し、このリブに、笠木の内面に当接して笠木の形状を保持する支持面と、笠木の縁部を係止する係止部を形成する。そして、このリブに沿って、架橋部の上面及び下面を露出させている。
【0013】
本発明の手すりのジョイント材は、一実施態様として、上面及び下面から鉛直方向に伸び、かつ、架橋部を横断する方向に延在する、複数の板状リブを有することができる。これらの板状リブは、第1及び第2の連結端部の間に、所定間隔をおいて配列される。これらの板状リブのうち、第1及び第2の連結端部の方向に隣り合う一対の板状リブの間に、それぞれ、前記一対の板状リブに沿って延在する空隙を形成する。これらの空隙は、それぞれ、架橋部を横断する方向に延在し、架橋部の上面及び下面をこれらの空隙の内部に露出させることができる。そして、笠木の内面に当接して笠木の形状を保持する凸状湾曲面を、これらの板状リブの側面と架橋部の側面に連続させて形成し、笠木の縁部を係止する係止部を、凸状湾曲面の一方又は双方の端縁部に形成することができる。
【0014】
本発明の手すりのジョイント材は、他の実施態様として、架橋部の両側縁に沿って第1及び第2の連結端部の間に延在し、かつ、架橋部を挟んで互いに対向して位置する、一対の側壁リブを有することができる。これらの側壁リブは、架橋部の上面及び下面から鉛直方向に延在する。架橋部の上面及び下面を、これらの側壁リブの間に露出させることができる。また、笠木の内面に当接して笠木の形状を保持する凸状湾曲面を、側壁リブの外面と架橋部の側面に連続するように形成する。更に、笠木の縁部を係止する係止部を、凸状湾曲面の一方又は双方の端縁部に形成する。そして、これらの側壁リブに、架橋部の上面側の側壁リブの端縁部から架橋部の上面に向かって伸びる複数の溝を形成し、更に、架橋部の下面側の側壁リブの端縁部から架橋部の下面に向かって伸びる複数の溝を形成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の手すりのジョイント材は、予め、手すりを連結する方向に湾曲成形された架橋部によって、ジョイント材の第1の連結端部と第2の連結端部を連結してある。したがって、ジョイント材の第1の連結端部を一方の手すりに連結し、第2の連結端部を他方の手すりに連結するに際し、架橋部を曲げ変形させる必要がある場合にも、架橋部の曲げ変形量を減少させることができる。また、この架橋部は、その上面及び下面の方向のみに曲げ変形が可能なように、全体として板状の形態を有する。すなわち、ジョイント材は、架橋部の上面及び下面の方向以外の方向に曲げ変形することができない。したがって、ジョイント材の屈曲作業が単純化され、架橋部の曲げ変形量の減少と相俟って、施工現場における手すりの屈曲部の施工性が向上すると共に、施工時間を短縮することができる。
【0016】
また、本発明のジョイント材の架橋部にリブを一体的に形成し、このリブに、笠木の内面に当接して笠木の形状を保持する支持面と、笠木の縁部を係止する係止部を形成したから、手すりの笠木受と本発明のジョイント材に笠木を連続して被せることができる。したがって、手すりと本発明のジョイント材の接合部に隙間や凹凸が発生することによって、手すりの連続性が失われることを回避することができる。
【0017】
本発明のジョイント材は、架橋部の上面及び下面の少なくとも一部を架橋部に形成されたリブに沿って露出させることができるから、リブを形成することにより架橋部の曲げ変形が阻害されることはない。更に、架橋部の上面及び下面の露出部の面積、形状及び位置を規制することによって、架橋部の曲げ変形可能な範囲を規制することができる。
【0018】
本発明のジョイント材は、ポリプロピレン等の合成樹脂材料によって単一の部材として成形することができるから、材料費を比較的安価に抑えることができる。また、本発明のジョイント材を一般的な2方向の抜き型で製造すれば、生産コストを安価に抑えることができる。
【0019】
本発明のジョイント材は単一部材で構成されるから、施工現場での管理や施工等の取り扱いが容易である。
【0020】
そして、本発明のジョイント材を多用すれば、連続手すりの構成部分のうち、予め工場で曲げ加工しておく必要がある部分が減少するから、工場での曲げ加工作業が減少し、連続手すりの製造費用及び施工費用を減少させることができる。
【0021】
なお、本発明のジョイント材の架橋部の曲げ変形量には限界があるから、本発明のジョイント材が、より多くの手すりの屈曲部に対応できるようにするため、換言すると、より多くの曲げ角度に対応することができるように、第1の連結端部の軸線と第2の連結端部の軸線の交差角度は、比較的施工例の多い140度とし、この140度を基準として、架橋部の撓みを利用して±30度程度の調整幅を持たせることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、上方に湾曲したジョイント材によって連結された手すりの斜視図である。
【図2】図2は、下方に湾曲したジョイント材によって連結された手すりの斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施例のジョイント材と、このジョイント材によって図1のように連結される二つの手すりの金台(笠木受)の斜視図である。(第1実施例)
【図4】図4は、図3のジョイント材の側面図である。(第1実施例)
【図5】図5は、図3及び4のジョイント材の縦断面図である。(第1実施例)
【図6】図6は、図3乃至5のジョイント材によって二つの手すりの金台(笠木受)を連結したときの手すりの側面図であって、ジョイント材と手すりの金台に被せられた笠木の一部を切り欠いた側面図である。(第1実施例)
【図7】図7は、図6及び8の手すりのA−A線に沿う断面図である。(第1及び第2実施例)
【図8】図8は、図4及び5のジョイント材のB−B線に沿う断面図である。(第1実施例)
【図9】図9は、本発明のジョイント材の微調整可能な撓み角度を示すジョイント材の側面図である。
【図10】図10は、本発明の第1実施例のジョイント材と、このジョイント材によって図2のように連結される二つの手すりの金台(笠木受)の斜視図である。(第1実施例)
【図11】図11は、図10のジョイント材によって二つの手すりの金台(笠木受)を連結したときの手すりの側面図であって、ジョイント材と手すりの金台に被せられた笠木の一部を切り欠いた側面図である。(第1実施例)
【図12】図12は、本発明の第2実施例のジョイント材の斜視図である。(第2実施例)
【図13】図13は、図12のジョイント材の側面図である。(第2実施例)
【図14】図14は、図12及び13のジョイント材の縦断面図である(第2実施例)
【図15】図15は、図12のジョイント材によって二つの手すりの金台(笠木受)を連結したときの手すりの側面図であって、ジョイント材と手すりの金台に被せられた笠木の一部を切り欠いた側面図である。(第2実施例)
【図16】図16は、図13及び14のジョイント材のC−C線に沿う断面図である。(第2実施例)
【図17】図17は、図12のジョイント材の変更態様のジョイント材の斜視図であって、図12のジョイント材の湾曲方向とは逆方向に湾曲した湾曲部を有するジョイント材の斜視図である。(第2実施例)
【図18】図17のジョイント材によって二つの手すりの金台(笠木受)を連結したときの手すりの側面図であって、ジョイント材と手すりの金台に被せられた笠木の一部を切り欠いた側面図である。(第2実施例)
【発明を実施するための形態】
【0023】
連続手すりのコーナー部のうち、縦方向に屈曲したコーナー部を施工するためのジョイント材を、2方向の抜き型を使用して一体成形された、ポリプロピレン製の単一部材で構成する。
【実施例1】
【0024】
図1及び2は、連続手すりの縦方向に屈曲したコーナー部を示す。図1は、階段1の上り口に形成された手すりのコーナー部2を示し、コーナー部2は、踊り場3の壁面に水平に設置された手すり4と、階段1に沿って傾斜して設置された手すり5の間に形成されている。図2は、階段1の下り口に形成された手すりのコーナー部6を示し、コーナー部6は、踊り場7の壁面に水平に設置された手すり8と、階段1に沿って傾斜して設置された手すり9の間に形成されている。コーナー部2、6は、いずれも、縦方向に屈曲したコーナー部である。
【0025】
図3乃至6は、本発明の第1実施例のジョイント材10を示す。ジョイント材10は、図1に示したコーナー部2を施工するために使用される。ジョイント材10はポリプロピレン製の単一部品で構成される。ジョイント材10は、第1の連結端部11と第2の連結端部12を架橋部13によって一体的に連結し、架橋部13の上面14と下面15には複数のリブ16a、16bが一体的に形成されている。
【0026】
第1の連結端部11と第2の連結端部12は、図3及び7に示すように、十字形状の横断面を有する。第1の連結端部11は、手すり4の笠木受(金台)17の端部17aから、笠木受17の十字形状の中空孔17bに挿入されて、止めねじ18、18によって笠木受17に固定される(図6参照)。また、第2の連結端部12は、手すり5の笠木受(金台)19の端部19aから、笠木受19の十字形状の中空孔19bに挿入されて、止めねじ20、20によって笠木受19に固定される(図6参照)。笠木受17、19は、アルミニウム合金の押出し型材によって構成されている。
【0027】
図6中、参照番号21は、笠木受17を壁面Wに固定するためのブラケットを示し、参照番号22は、笠木受19を壁面Wに取付けるためのブラケットを示す。また、参照番号23、24は、これらのブラケット21、22を壁面Wに固定するためのボルトである。そして、参照番号25は、笠木受17、ジョイント材10及び笠木受19を連続して覆う笠木を示す。笠木25は可撓性の合成樹脂によって形成され、手触りの良い表面25aを備える。
【0028】
笠木25は、図7に示すように、全体として管状の形態を有する。笠木25は、その内周面25bを、笠木受17、19の外面にそれぞれ形成された4つの支持面Saに密着させて、笠木受17、19によって支持される。これらの支持面Saは、図3に示すように、笠木受17、19の外面の4つの角部に形成され、笠木25の内周面25bに沿う方向に湾曲している。図7に示すように、笠木25の一対の縁部25c、25cには、笠木25の内周面25bの方向に屈曲した鈎状縁25d、25dが形成される。笠木25は、これらの鈎状縁25d、25dを笠木受17、19の係止部Ea、Eaに係合させて、笠木受17、19に係止される。笠木受17、19の鈎状縁25d、25dは、笠木笠木受17、19の下部に形成され、互いに一定の間隔をおいて、笠木受17、19の長手方向に延在する。図7中、参照番号26は目隠しチューブを示す。目隠しチューブ26は、必要に応じて、笠木受17、19の一対の縁部25c、25cの間に嵌合され、一対の縁部25c、25cの間の空隙を密閉する。
【0029】
ジョイント材10の架橋部13は上面14と下面15を有し、上面14の方向と下面15の方向のみに曲げ変形が可能なように、全体として板状の形態をなす。架橋部13は、図4及び5に示すように、第1の連結端部11の軸線Xaと第2の連結端部12の軸線Yaが、これらの軸線Xa、Yaが通る平面内で、140度の角度で交わるように、滑らかに湾曲成形されている。140度という角度は、施工例の多い角度である。架橋部13は、また、第1の連結端部11の中央部と第2の連結端部12の中央部を連結する。
【0030】
架橋部13の上面14と下面15に形成されたリブ16a、16bは、図3に示すように、第2の連結端部12に向かって架橋部13の右半分にリブ16a、16aが形成され、これらのリブ16a、16aと互い違いになるように、架橋部13の左半分にリブ16b、16bが形成される。これらのリブ16a、16bは板状リブを構成する。リブ16a、16aとリブ16b、16bを互い違いに形成する理由は、架橋部13に沿って隣り合うリブ16a、16aの間に形成される空隙Gaと、架橋部13に沿って隣り合うリブ16b、16bの間に形成される空隙Gbの形成位置をずらすことにより、櫛歯状の半型を架橋部13の両側から出入させることができるようにするためである。図8に示すように、リブ16a、16aは同一の形状及び寸法を有し、リブ16b、16bは中央軸線Cに関してリブ16a、16aの線対称をなす。リブ16a、16bには、笠木25の内周面25bに当接して笠木25の形状を保持する支持面Sbと、笠木25の縁部25cを係止する係止部Ebが形成されている。支持面Sbは凸状湾曲面によって構成される。図8に示すように、リブ16a、16aの支持面Sbは、笠木25の内周面25bに当接するように、架橋部13の側面を介して滑らかに連続し、リブ16b、16bの支持面Sbも、架橋部13の側面を介して滑らかに連続する。図6に示すようにジョイント材10を取付けたとき、リブ16a、16bの係止部Ebは、笠木受17、19の係止部Eaに対応する位置にある。したがって、笠木25の鈎状縁25d、25dを笠木受17、19の係止部Eaとジョイント材10の係止部Ebに連続的に係止させることができる。
【0031】
架橋部13に沿って隣り合うリブ16a、16aの間に形成される空隙Gaと、架橋部13に沿って隣り合うリブ16b、16bの間に形成される空隙Gbには、架橋部13の上面14と下面15が露出している。これにより、架橋部13は上面14の方向及び下面15の方向に曲げ変形可能になる。図9に示すように、本実施例では、ジョイント材10の第1の連結端部11の軸線Xaと第2の連結端部12の軸線Yaのなす角度Θは140度に設定され、角度Θを基準にして微調整可能な角度Θ1、Θ2を±30度に設定する。空隙Ga、Gbに露出する架橋部13の上面14と下面15の面積を変更することにより、微調整可能な角度Θ1、Θ2を設定することができる。
【0032】
前述のように、本実施例のジョイント材10の架橋部13は、第1の連結端部11の中央部と第2の連結端部12の中央部を連結し、また、リブ16a、16aは同一の形状及び寸法を有し、リブ16b、16bは中央軸線Cに関してリブ16a、16aの線対称をなすから、図10に示すようにジョイント材10を反転させることにより、図2に示したコーナー部6を施工するために使用することができる。図10及び11中、参照番号25は笠木を示し、参照番号27は手すり8の笠木受を示し、参照番号28は手すり9の笠木受を示し、参照番号18、20は止めねじを示し、参照番号21、22は、笠木受27、28を壁面Wに取付けるためのブラケットを示す。また、図10中、参照番号27aは、笠木受27の十字形状の中空孔を示し、参照番号Saは、笠木受27、28の外面に形成された支持面を示し、参照番号Eaは、笠木受27の係止部を示す。そして、参照番号Gaは、架橋部13に沿って隣り合うリブ16a、16aの間に形成される空隙を示し、参照番号Gbは、架橋部13に沿って隣り合うリブ16b、16bの間に形成される空隙を示す。その他の構成は、図3乃至9に示したジョイント材10と同様である。
【実施例2】
【0033】
図12乃至16は、本発明のジョイント材の第2実施例を示す。以下の説明中、図1乃至11に使用した参照番号と同一の参照番号は、図1乃至11中の当該参照番号の構成要素を示す。このジョイント材100の特徴は、第1の連結端部110と第2の連結端部120を連結する架橋部130を、第1及び第2の連結端部110、120の下面110a、120aに沿って形成し、この架橋部130の両側縁に沿って一対の側壁リブ160、170を形成したことにある。これらの側壁リブ160、170は、第1及び第2の連結端部110、120の間に延在し、架橋部130を挟んで対向して位置する。架橋部130の上面140は側壁リブ160、170の間に露出し、架橋部130の下面150は第1及び第2の連結端部110、120の下面110a、120aに連続する。図16に示すように、側壁リブ150、160の外面には、笠木25の内周面25bに当接して笠木25の形状を保持する支持面Sbが形成され、支持面Sbは、側壁リブ160、170の外面と架橋部130の側面に連続する凸状湾曲面によって構成される。また、側壁リブ160、170の凸状湾曲面の両端縁部には、笠木25の縁部25cを係止する係止部Ebが形成されている。そして、側壁リブ160、170には、架橋部130の上面140側の側壁リブの端縁部から架橋部130の上面140に向かって伸びる複数の溝Gcと、架橋部130の下面150側の側壁リブの端縁部から架橋部130の下面150に向かって伸びる複数の溝Gdが形成される。ジョイント材100のその他の構成及び作用は、前述の第1実施例と同様である。
【0034】
図12乃至16に示したジョイント材100も、図10のジョイント材10と同様に反転させて使用することができる。笠木25の縁部25cを係止する係止部Ebを、側壁リブ160、170の凸状湾曲面の両端縁部に形成したからである(図16参照)。しかしながら、本発明の第2実施例のジョイント材100は、その架橋部材130を第1及び第2の連結端部110、120の下面110a、120aに沿って形成したから、架橋部材130の上面140側の側壁リブ160、170の高さが、架橋部材130の下面150側の側壁リブ160、170の高さよりも大きい。このため、ジョイント材100を反転させるとジョイント材100を握ったときの感触が変化するおそれがある。そこで、本発明の第2実施例では、図12乃至16の実施形態に加えて、図17及び18のように、予め架橋部130aを架橋部130とは逆方向に湾曲成形したジョイント材100aを用意し、図18のように使用することによって、ジョイント材100を握ったときの感触を一定にすることもできる。図17及び18中、図1乃至16の参照番号と同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。また、図17及び18の実施態様のその他の構成は、図12乃至16に示したジョイント材100と同様である。
【符号の説明】
【0035】
10、100、100a ジョイント材
11、110 第1の連結端部
12、120 第2の連結端部
13、130、130a 架橋部
14、140 上面
15、150 下面
16a、16b 板状リブ
Ga、Gb 空隙
160、170 側壁リブ
Gc、Gd 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の手すりに連結される第1の連結端部と、他方の手すりに連結される第2の連結端部と、前記第1及び第2の連結端部の間に延在し、かつ、前記第1及び第2の連結端部に一体化された、架橋部とを有し、前記架橋部は、上面及び下面を有し、かつ、前記上面及び下面の方向のみに曲げ変形が可能なように、全体として板状の形態をなし、前記架橋部は、前記第1の連結端部の軸線と前記第2の連結端部の軸線が、前記両軸線が通る平面内で、所定の角度で交差するように、前記上面又は下面の方向に予め湾曲成形され、前記架橋部にリブを一体的に形成し、前記リブに、笠木の内面に当接して笠木の形状を保持する支持面と、笠木の縁部を係止する係止部を形成したことを特徴とする、手すりのジョイント材。
【請求項2】
請求項1に記載したジョイント材において、前記リブを、前記上面及び下面から鉛直方向に伸び、かつ、前記架橋部を横断する方向に延在する、複数の板状リブによって構成し、前記板状リブを、前記第1及び第2の連結端部の間に、所定間隔をおいて配列し、前記板状リブのうち、前記第1及び第2の連結端部の方向に隣り合う一対の板状リブの間に、それぞれ、前記一対の板状リブに沿って延在する空隙を形成し、前記空隙は、それぞれ、前記架橋部を横断する方向に延在し、笠木の内面に当接して笠木の形状を保持する凸状湾曲面を、前記板状リブの側面と前記架橋部の側面に連続させて形成し、笠木の縁部を係止する係止部を、前記凸状湾曲面の一方又は双方の端縁部に形成したことを特徴とする、前記ジョイント材。
【請求項3】
請求項1に記載したジョイント材において、前記リブを、前記架橋部の両側縁に沿って前記第1及び第2の連結端部の間に延在し、かつ、前記架橋部を挟んで互いに対向して位置する、一対の側壁リブによって構成し、前記側壁リブを、前記上面及び下面から鉛直方向に延在させると共に、笠木の内面に当接して笠木の形状を保持する凸状湾曲面を、前記側壁リブの外面と前記架橋部の側面に連続させて形成し、笠木の縁部を係止する係止部を、前記凸状湾曲面の一方又は双方の端縁部に形成し、前記側壁リブに、前記上面側の前記側壁リブの前記端縁部から前記上面に向かって伸びる複数の溝と、前記下面側の前記側壁リブの前記端縁部から前記下面に向かって伸びる複数の溝を形成したことを特徴とする、前記ジョイント材。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載したジョイント材において、前記第1及び第2の連結端部の軸線が約140度の角度をなし、前記架橋部は、前記140度の角度を基準にして、±約30度の範囲で、前記上面及び下面の方向に曲げ変形可能であることを特徴とする、前記ジョイント材。
【請求項5】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載したジョイント材において、前記ジョイント材をポリプロピレン樹脂によって一体成形したことを特徴とする、前記ジョイント材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−285808(P2010−285808A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140828(P2009−140828)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】