説明

手の清潔度検出

特に、人の手の清潔度の状態を検出するために人によって使用される電子センサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記述は、手の清潔度検出に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルス・ケア・ワーカー、糧食勤務員、およびその他の人々は、手を頻繁にかつ入念に清潔にしなければならないが、これらの人々はしばしば手を清潔にしていない。より適切な手の洗浄習慣を、政府の規制、会社の規則、社会的圧力、および科学技術によって促進することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
洗浄習慣を改善するべく、提案する技術は、特別な洗浄剤の使用に加えて、どのくらい頻繁に、かつ、どのくらい効果的に人々が手を洗浄しているかを規制、監視および通知するための機構、ならびに電子装置を含む。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概して、1つの態様において、本発明は、1人の人によって携帯され、かつ使用されることにより、その人の手の清潔度の状態を検出するように構成された電子センサを特徴とする。
【0005】
1つの実装形態は、以下の1つまたは複数の特徴を含むことができる。装置は、(a)人を識別可能であり、(b)電子センサに連結され、かつ(c)人によって携帯されるように構成される。また、装置は、電子センサに連結されて、人の手の清潔度の状態の提示を行うように構成される。提示装置は、人によって携帯されるように構成され、提示装置およびセンサは、当該機器と当該機器の外部のいかなる装置との間での協働も必要とすることなく、一体となって、人の手の清潔度の状態を検出してその清潔度の状態を提示することができる。また、人の手の状態が清潔であると判断された後、どのくらいの時間でその状態が清潔ではなくなると推定されるかを制御する回路が設けられる。
【0006】
概して、1つの態様では、本発明は、人の手の清潔度の状態を検出するために人によって使用される電子センサと、人の手の清潔度の状態を提示する装置とを含む単一のユニットを特徴とする。
【0007】
概して、1つの態様では、本発明は、人の手の清潔度の状態を検出するために人によって使用される電子センサと、人を識別するための装置とを含む単一のユニットを特徴とする。
【0008】
概して、1つの態様では、本発明は、1人の人によって携帯される装置の一部であり、人の手の清潔度の状態が清潔であると判断された後、どのくらいの時間でその状態が清潔ではなくなると推測されるかを制御するように構成される回路を特徴とする。
【0009】
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。電子センサは、例えば蒸気またはアルコールといった、清潔度の状態を示す物質の有無を感知するように構成される。清潔度の状態は消毒状態を含む。識別装置は身分証(badge)を含む。識別装置およびセンサは、単一ユニットの一部である。電子センサ、識別装置、および提示装置は、単一ユニットの一部である。ユニットは、人によって身に着けられるように構成される。提示装置は可視表示器を含む。回路は、清潔であると判断された清潔度の状態に関連して起動されるカウントダウン・タイマーを含む。回路はユニットの一部である。
【0010】
概して、1つの態様では、本発明は、身分証であって、当該身分証を携帯する人を識別するための証拠(indicia)と、人の手の清潔度の状態を検出するのに使用されるセンサと、人の手の清潔度の状態を他の人に提示するための可視表示器とを含む身分証を特徴とする。
【0011】
概して、1つの態様では、本発明は、人によって携帯され、かつ使用されることによって人の手の清潔度の状態を検出する電子センサを特徴とする。
概して、1つの態様では、本発明は、人によって携帯される装置の一部である回路から、人の手の状態が清潔であると判断された後にどのくらいの時間でその状態が清潔ではなくなると推測されるかを指示するための信号を送出することを特徴とする。
【0012】
概して、1つの態様では、電子センサは、人によって携帯されかつ使用されることによって人の手の清潔度の状態を検出し、電子センサ用のホルダは、人の識別身分証を一時的に受け入れるための構造体を有する。
【0013】
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。身分証およびホルダは、電子センサを使用する人によって行われる清潔度テストに関する情報を身分証に伝達することを可能にする通信素子をそれぞれ含む。身分証は、電子的に読み取り可能である、その人の固有の識別子を含む。
【0014】
概して、1つの態様では、電子センサは、人によって携帯されるか、あるいは人の手が届く静止位置に取り付けられており、人によって使用されることによりその人の手の清潔度の状態を検出する。回路は、電子センサがその耐用年数の限界に近づいていることを検出して警告を与える。
【0015】
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。回路は、センサが使用された回数のカウンタを含む。センサはエタノール・センサを含む。
概して、1つの態様では、センサは、エタノール以外の洗浄物質を感知する化学センサを含む。
【0016】
概して、1つの態様では、センサは、エタノール用のセラミック・センサを含む。
概して、1つの態様では、回路は、人がセンサを使用して清潔度テストを行った回数をカウントする。
【0017】
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。回路は、第3者に通知するためにカウント数を読取り装置に無線で伝達する。
概して、1つの態様では、センサに接続された記憶装置は、電子センサを使用する使用者によって行われた清潔度の測定頻度、測定タイミング、および/または測定結果に関する情報を記憶する。
【0018】
概して、1つの態様では、モニタは、モニタ領域に2人以上の人がいるかどうかを検出するための検出回路と、人の手の上の消毒剤を検出するのに使用される1つまたは複数のセンサによって得られる情報に基づいて、モニタ領域内の人の手の清潔度の状態を通知するための通知回路とを有する。
【0019】
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。検出回路は、人が保持しているあるいは人の近くにある装置を用いた無線通信によって2人以上の人がいるかどうかを検出する。無線通信は、RFID通信を含む。モニタ領域は、医療施設内の部屋を含む。センサは、1人または複数の人によって身に着けられる。センサは、モニタに連結される。センサは、エタノールを感知する。清潔度の状態は、個別にそれぞれの人に対して通知される。清潔度の状態は、領域内のすべての人に通知される。
【0020】
概して、1つの態様では、入口モニタは、人がモニタ領域に入ってきたことを検出するための回路と、領域に入ってきた人の手の清潔度の状態を、領域内の他の人に認識可能に提示する提示器とを有する。
【0021】
1つの実装形態では、1つまたは複数の以下の特徴を具体化することができる。モニタ領域に人が入ってきたことを検出するための回路は、無線通信素子を含む。提示器は光を含む。提示器は、消毒状態および非消毒状態を提示することができる。提示器は、人が領域内に入ってきたとき、人の手がそのときに消毒状態であるかどうかにかかわらず、人の手の非消毒状態を提示するように設定される。提示器は、消毒薬の存在を感知するセンサを使用して人が消毒状態の証明に成功した後にのみ、消毒状態を提示するべく切り替えられるように設定される。提示器は、消毒薬の存在を感知する1つまたは複数のセンサを使用して、部屋に入ってきたすべての人が消毒状態の証明に成功した後にのみ、消毒状態を提示するべく切り替えられるように設定される。回路は、人が身に着けている装置から、その人を一意的に特定する情報を得る。
【0022】
概して、1つの態様では、領域に入ってくる人が身に着ける身分証は、その身分証を身に着けている人を固有に特定するための証拠を有しており、1つまたは複数のセンサは、それぞれの人の手の上の消毒物質の存在を感知し、モニタは、領域内の1人または複数の人の存在を感知して領域内の人の清潔度の状態を提示する。
【0023】
概して、1つの態様では、システムは、施設内のある領域から別の領域に移動する人の手の清潔度の状態をモニタリングし、このシステムは、施設の2つ以上の領域内のそれぞれの人を固有に特定するための回路と、1つまたは複数の領域内の1人または複数の人の手の清潔度の状態をテストするための回路と、テストと人の個人情報とを関連付けるための回路と、施設の領域内のテストされた人の清潔度に関する情報をその時々において交換して、関連する通知を第3者に提示するための通信ネットワークとを含む。
【0024】
概して、1つの態様では、人によって身に着けられるかあるいは携帯され、人に固有に関連付けされた識別子を含む装置において、人の手の清潔度の状態を判断するためのセンサ上で人によって実行されるテストは、一連のテスト回数ごとに記憶される。
【0025】
概して、1つの態様では、着用可能な装置は、(a)使用者の手が清潔度を示すレベルの消毒物質を保持しているかどうかを検出することに基づいて使用者の手の清潔度の状態を提示するための提示器と、(b)使用者の手の清潔度の状態を提示することに関して有用である情報を外部装置に伝達するための無線通信素子とを含む。
【0026】
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。機器の構成要素は、消毒状態および非消毒状態を含む使用者の手の清潔度状態を維持する。この構成要素は、使用者の手の実際の清潔度の状態にかかわらず機器の清潔度の状態を消毒から非消毒に切り替える。提示器は、視覚表示器、音響装置、ランプ、またはバイブレータのうちの少なくとも1つである。記憶装置は、使用者の手の清潔度の状態を示すデータを保持する。
【0027】
概して、1つの態様では、着用可能な装置において、状態を消毒から非消毒に切り替えるコマンドが受信され、そのコマンドに応答して、着用可能な装置の使用者の近傍にいる人によって認識可能な提示器は、使用者の手が清潔度を示すレベルの消毒物質を保持しているかどうかを検出することに基づいて判断される使用者の手の実際の清潔度の状態にかかわらず、消毒の提示を非消毒の提示に切り替える。いくつかの実装形態では、使用者の手の清潔度の状態に関する情報が外部装置に送信される。
【0028】
概して、1つの態様では、中央の記憶位置(central location)において、着用可能な清潔度モニタの使用者の手の清潔度の状態のトラッキングが行われる。
概して、1つの態様では、無線装置から、その無線装置の範囲内の着用可能なモニタに、該着用可能なモニタの状態を着用可能なモニタの使用者の手の非消毒状態に更新するためのコマンドが送信される。
【0029】
概して、1つの態様では、アルコール蒸気を感知する素子の抵抗値の継続的な測定に基づいて、素子のアルコール蒸気に対する感度が低下している状態にあるかどうかが判定され、感度が低下している場合には、その素子のアルコール蒸発に対する感度を回復するために、その素子が加熱される。
【0030】
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。上記状態は水の存在を含む。上記判定は、測定値の変動の特性が予想された変動と異なるかどうかに基づく。上記状態が解消されるまで素子は加熱される。この素子は、使用者の指から発散されるアルコール蒸気のレベルのテストで使用される。
【0031】
概して、1つの態様では、アルコール蒸気感知装置は、使用者の手の清潔度を判定する当該感知装置の使用または使用者に関連する情報を表示する表示器に組み合わされる。
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。表示器は、ピクセルがある状態から電力を使用する別の状態に切り替えられてその後当該電力が解除されるまでその状態を維持し得る装置を含む。記憶装置は、使用者の手の清潔度に関する情報を保存し、プロセッサは、表示器上にその情報を表示させる。
【0032】
概して、1つの態様では、使用者の手におけるアルコールの存在の測定に応答して、使用者の手の清潔度の状態の可聴の信号が、使用者の近傍の装置から使用者の近傍の他の人に向けて送信される。
【0033】
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。上記信号は、清潔度の状態が、消毒か非消毒かによって異なる。上記信号は不快音を含む。上記信号は、一定の間隔で繰り返される短い音を含む。この音の大きさは経時的に増大する、および/または、上記間隔は経時的に短縮される。
【0034】
概して、1つの態様では、着用可能なユニットは、アルコール・センサと、そのセンサによって判定される使用者の手の清潔度の状態を提示する提示器と、清潔度の状態に関する情報を外部装置に伝達する無線送信器とを含む。
【0035】
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。着用可能なユニットに付随あるいは非付随の信号送信素子(signaling element)は、使用者の近傍の人に使用者の手の清潔度の状態を通知する。
【0036】
概して、1つの態様では、人の手の消毒に関する実際の状態にかかわらず、人が身に着けている着用可能な装置を人の手の非消毒を表す状態に電子的に同時に切り替えることにより、施設内の人の手の清潔度を管理する。
【0037】
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。上記状態の切り替えは選択的に行われる。この選択は、施設内の人の位置に基づく。この選択は、人の特性または行動に基づく。
【0038】
概して、1つの態様では、施設内の人の手の清潔度の状態は、人が身に着けているモニタ装置から電子的に受信される情報を用いてモニタリングされ、使用者の手が清潔度を示すレベルの消毒物質を保持しているかどうかを検出するモニタ装置に基づいて決定される。
【0039】
1つの実装形態は、1つまたは複数の以下の特徴を含むことができる。モニタリングは、モニタ装置に連絡されている中央の記憶位置から行われる。施設内の人および施設内の複数のグループの人々の清潔度の状態は、経時的に通知される。人の位置は電子的にモニタリングされる。
【0040】
他の利点および特徴は、以下の説明ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に説明するシステムは、例えば、病気の蔓延を低減したり、または、製造される製品の汚染を低減したり、あるいは他の目的のために、手の清潔度が重要である場所で働くあるいはそうではなくその場所にいる人々の手の清潔度をモニタリング、促進、および管理するのに使用することができる。このシステムの重要な目的は、手の清潔度を促進することまたはさらには強制すること、手の清潔度に対する施設または政府の規制の遵守を通知すること、および、手の清潔度の強制および通知の集中的ならびに施設的な監督および管理を可能にすることを含む。
【0042】
図1に示すように、いくつかの実施例では、医者が身に着ける識別身分証10が、医者の手が清潔(例えば、消毒状態、緑色光)な状態、または清潔でない(例えば、非消毒状態、赤色光)状態である可能性があることをそれぞれ提示する赤色および緑色光12、14を含む。この2つの光は、(a)身分証のエタノール・センサ16から得られる情報と、(b)手が消毒状態である可能性があると回路が判定した後の時間の経過を記録するタイマー(図1には図示せず)からの信号と、(c)制御回路(図1には図示せず)によって実装される論理回路の状態とに基づいて、同制御回路(図示せず)によって制御される。LCD表示器23は、身分証、制御回路、またはセンサの状態、時間、医者の手の清潔度の状態、および他の情報を含むことができる表示情報を提示する。
【0043】
消毒確定機能の実現に加えて、身分証10は、ある形状および形態であってよく、ヘルス・ケア・ワーカーに可視の身分証明物を携帯することを要求する政府および施設の規則を遵守するという従来の機能を果たすのに十分な情報を表示することができる。例えば、身分証は、医者の写真17、ならびに、医者の名前19および認識番号21を含む他の情報を含む。典型的な身分証は、ほぼクレジットカードの大きさでよい。
【0044】
ヘルス・ケア・ワーカーは別の理由でこのような身分証を携帯することを要求されることから、同一の身分証内で消毒確定機能を実現することは、職員が別個に携帯することになるであろう分離した装置においてこの機能が実現される場合と比較して、職員がこの機能を使用する可能性を増大させることになる。加えて、職員が身に着ける身分証は医療環境内の他の人に対して可視でなければならないことから、使用者の手が清潔であるか不清潔であるかを提示する身分証のこの特徴は、当然他の人に対して可視である。したがって、職員は、単に身分証を身に着けなければならないことにより、その職員の手の清潔度に関して、同僚、患者、および管理者の社会的圧力を受けることになる。このことにより、身分証の消毒確定機能の使用および清潔習慣の改善が自己強要になる。職員が勤務する施設は、これらの機能を含む身分証を供給する必要があるだけで、それらの使用を直接に管理またはモニタリングすることはない。
【0045】
センサの両側の1対の電極24、26が、指28または手の他の部位、あるいは他の皮膚が、いつセンサに接触して置かれたかを判断するのに使用される。指または手の他の部位の皮膚が両方の電極に触れたとき、それらの間の抵抗が低下する。その抵抗を測定することにより、制御回路は指の存在を感知することができる。
【0046】
身分証は、エタノール(例えば、GOJOインダストリー(GOJO Industries)[米国オハイオ州アクロン(Akron)所在]から入手可能なピュレル(Purell)の名前で知られている液体があり、これは、エチルアルコール62%を含有する)を含む種類のクリーナーを使用して医者の手を消毒するときに医者に使用される。このようなクリーナーは、バクテリアおよびウィルスを除去することに関しては石鹸および洗浄剤より効果的である考えられており、医療環境および他の環境において広く使用されている。エタノールベースのクリーナーが手の皮膚上でこすられると、エタノールがバクテリアおよびウィルスを除去する。効果は数時間持続するが、最終的には消滅する。エタノールは揮発性であり、最終的には皮膚から蒸発するので、生きたバクテリアおよびウィルスが、例えば空気および触れた物体から再び皮膚を汚染する可能性(これは経時的に増大する)が残る。
【0047】
皮膚上のエタノールの濃度、および蒸発によるその濃度の減衰が、次の汚染の開始に影響する。また、皮膚上のエタノールの濃度は、皮膚の近傍のエタノール蒸気の濃度によって推測できる。エタノール感知器の近傍に皮膚を短い時間置くことにより、エタノールの蒸発濃度を判断可能であり、その場合、皮膚上のエタノール濃度および皮膚の消毒状態を推測可能になる。最後に推測された濃度が最低基準を超えている場合、あとどのくらいの時間手が消毒状態でいられるかについて推定可能である。
【0048】
身分証は、以下の方式で使用者の手の洗浄習慣を改善するのに使用することができる。
いくつかの簡単な実施例では、身分証は、消毒状態および非消毒状態の2つの異なる状態を判断および表示するように構成される。
【0049】
身分証が十分に短い時間(例えば、2時間または3時間)内にエタノール蒸気の適切な濃度が感知された測定サイクルにより消毒状態に入った場合を除いて、身分証は、使用者の皮膚が非消毒状態であるデフォルト状態になる。したがって、身分証が最初に電源を入れられるときもしくはリセットされるとき、あるいは、前回の正常な測定から許容時間が経過したとき、状態は非消毒状態になる。状態が非消毒状態のとき、赤色光が点灯してさらに「re−test」の文字がLCD上に表示される。
【0050】
いくつかの実装形態では、身分証は、正常なエタノール測定サイクルのみにより、非消毒状態から消毒状態に切り替えられる。正常なサイクルとは、指または体の他の部位が、センサを覆う位置(両方向の電極に触れる)に、少なくとも要求される測定時間(回路の設計に依存しており、例えば、30秒または45秒または60秒)の長さの一定時間停止されて、皮膚からセンサの測定区間内へ通るエタノール蒸気の濃度が、皮膚が消毒されているという推測を許容するのに十分に高濃度である、サイクルのことである。
【0051】
従って、医者が手を消毒するためにクリーナーを手に塗るときには、医者は、清潔な指の1本を例えば60秒間、センサ16および2つの電極24、26に接触させて押すことができる。
【0052】
指が両方の電極に同時に触れると、制御回路によって感知されて測定サイクルが開始される。制御回路は、赤色ランプおよび緑色ランプの交互の点滅を開始させることができ、両方の電極に触れており測定サイクルが進行していることの使用者に向けての提示として、その点滅を継続する。検出サイクルの終了時点で、制御回路はエタノールの濃度レベルを決定し、そのレベルを用いて、医者の指、ならびに推測によって医者の手が消毒されているかどうかを判断する。測定サイクルが完全に終了するごとに、赤色光および緑色光の両方が短く点滅し、サイクルが終了したので指を外してよいことを合図することができる。
【0053】
制御回路は継続して電極をモニタリングして、指または他の皮膚が両方の電極に触れたことを判断する。この事象が感知されると、測定サイクル・カウント・ダウン・タイマー(これは、1回の測定を完了するのに必要な秒数用に初期化される)が始動される。サイクルの開始時点で、電圧が加熱器に印加されて、センサ素子の加熱が開始される。始めは、加熱器の電圧は、以下に記載する初期動作(initial action)時間を短縮するために、正常値より高く設定されてよい。従って、加熱器の電圧は低下する。測定サイクルの終了時点では、測定電圧が測定セルの直列接続および直列抵抗の両端に印加され、直列抵抗の両端の電圧が検出されて、消毒状態あるいは非消毒状態のどちらに設定すべきかを判断するための最低基準と比較される。
【0054】
制御回路が手が消毒されていると判断した場合、制御回路は消毒状態に切り替わり、緑色ランプを点灯させて(赤色ランプを消す)、LCD上に「clean」の文字を表示する。加えて、消毒状態の初期化の際に、制御回路は、皮膚が消毒状態を維持すると予想される時間(例えば、2時間)の始めに設定される再テスト・カウント・ダウン・タイマーを始動させる。
【0055】
制御回路が消毒状態にあり、使用者が自発的にもう1度正常な測定サイクルを実行した場合(例えば、前回の正常な測定後の2時間の間に医者が手を再度消毒する場合)、再テスト・カウント・ダウン・タイマーはリセットされる。
【0056】
医者の近傍にいて光またはLCDを見ることができる人は誰でも、医者が身分証を使用することにより、医者の手が消毒されているかいないかを認識することができる。ある人の手が非消毒状態であるという問題を知らせる提示に気づいた人々は、例えば当人または雇用者に申し出ることができる。
【0057】
検出サイクルの間、医者は、センサおよび制御回路に適切な読取り値を取得するための時間を与えるために、例えば60秒といった少なくとも一定の時間、指をセンサに接触するのを維持しなければならい。時間が終了する前に医者が指を外した場合、制御回路は非消毒状態を維持し、あるいは非消毒状態に切り替わり、LCD表示器上に「re−test」の文字を表示する。
【0058】
医者が、検出サイクルが完了するのに十分な長さの時間、指をセンサに接触させて維持した場合、検出サイクルの結果がLCD上に表示され、赤色光または緑色光のいずれかが点灯する。
【0059】
指が消毒されていないという判断で検出サイクルが終了した場合、医者は、回路に適合するのに十分な量のクリーナーを再び手につけることを試みて、再度エタノール濃度をテストすることができる。また、消毒状態と判断されるまで、このサイクルを繰り返すことができる。
【0060】
また、緑色光を点灯させてさらにLCD上清潔であることを示すことに加えて、エタノールテストが正常に完了すると、制御回路は、カウント・ダウン・タイマー(図1には図示せず)を所定の時間(例えば、2時間)にリセットする。その所定の時間後では、エタノール処置の効果が消滅しており、医者の手がもはや消毒された状態ではないと想定される。所定の時間の終了時点でタイマーが時間切れになると、制御回路は緑色光を消して赤色光を点灯させ、表示される文字を「clean」から「re−test」に変更する。医者によって正常なエタノールテストが行われるまで、赤色光は点灯したままであり、「re−test」の文字は表示されつづける。
【0061】
図2、3および4に示すように、身分証10は、3つの層を組み合わせることにより製造される。
底部層29(図2に概略的に示す)は、プリント回路31、およびその回路に取り付けられる構成要素群を含む。構成要素群は、センサのセンサ素子30、2つの薄型電池32、34、マイクロプロセッサ36(前述した制御回路の1つの例)、クロック38(前述したタイマー回路の1つの例であり、測定カウントダウン・タイマーおよび再テスト・カウントダウン・タイマーの両方に使用することができる)、2つのLEDランプ12、14、および、LCD表示装置40を含む。底部層に取り付けられるこれらの装置の詳細の相互接続は、図2に示していない。制御回路は、例えば、マイクロチップテクノロジー社(Microchip Technology, Inc.)[米国アリゾナ州チャンドラー(Chandler)所在]より入手可能なPICマイクロコントローラでよい。
【0062】
中間層(図3に概略的に示す)は、底部層や上部層より薄く、底部層に取り付けられる構成要素群のための物理的な逃げを形成する。図3に示すパターンは、切り抜き部43または中間層の打ち抜きを表す。
【0063】
上部層50(図4に概略的に示す)は、LCD表示器を見ることを可能とするための、非打ち抜きおよび非プリントのクリア領域52を含む。図1に示すように、写真および他の情報を加えるための空間が残されている。打ち抜き領域54には、エタノール蒸気の身分証内への通過のための開口部が形成されており、打ち抜き領域54の対向する2つの打ち抜き部56、58が、指の存在を感知するのに使用される導電性電極を受け入れる。
【0064】
図5に示すように、センサの近傍の3つの層の構成が、感知チャンバ56を形成する。エタノール蒸気55は、指53から打ち抜き領域54(図4より狭く示す)の孔を介してチャンバ内へ通過する。酸化スズ・センサ素子30(一体型加熱器を含む)がチャンバ内に存在する。センサ素子は、ワイヤで接合された接続部61により、身分証の底部層上の回路配線59に接続される。加熱器がチャンバ内の蒸気を加熱して、センサ素子がエタノールの濃度を測定する。
【0065】
酸化スズ・センサは、小型で、安価で、ならびに電力需要が比較的低い。酸化スズ・エタノール・センサの1つの例として、フィガロUSA社(Figaro USA Inc.)[米国イリノイ州グレンビュー(Glenview)所在]より入手可能なModel_TGS_2620−Mがあるが、他の業者から入手可能な他のセンサも使用することができる。
【0066】
センサは、一体型加熱器と、2つはセンサ素子用で2つは加熱器用の4つの接続部とを含む。抵抗器を構成要素と直列に配線して抵抗器の両端の電圧降下を測定することにより、制御回路が、構成要素内を流れる電流の量を決定することができ、したがって、エタノールの濃度と共に変化する構成要素の抵抗値を決定することができる。
【0067】
加熱器を備える酸化スズ・センサは、センサに一定期間電力が供給されず、その後電力供給される場合に起こるいわゆる初期動作(initial action)を受ける。センサの抵抗値は、周囲空気内のガスの有無にかかわらず、電力供給の初期期間の間に急激に降下する。記憶装置に電力が供給されていない期間が長いほど(最大約30日)、初期動作の時間が長くなる。したがって、身分証で酸化スズ・センサを使用する際には、電源を入れる間は、初期動作より長い時間でそれらの操作をトレードオフする必要があるが、測定サイクルにより起こるエネルギーの消耗によって電池の寿命が容認できないくらいの短い期間まで短縮されるほど長くはない。使用者が、指をセンサに少なくとも20または30秒間接触させた場合、エタノールの検出が初期動作を制止し始めて、エタノール濃度の検出が可能になることが、実験により示されている。他の手法により、短い初期動作を実現することができる(作動の最初の数秒間はより大きな電圧を印加して、その後通常の電圧を印加するなど)。
【0068】
身分証は、例えば2時間前以降にエタノール処置が行われていないことを確認するための、簡単で、効率的で、携帯可能で、ならびに安価な方式を実現する。この2時間とは、手が消毒状態を維持している可能性があることを意味する。他の外部装置は必要ではない。消毒状態は、患者、監督者、管理者、および同僚を含む、その医者の近傍にいるあらゆる人に明白である。手が消毒されていないと容易に識別されることに付随する社会的圧力は、洗浄の頻度および徹底を改善する効果的な方法である。このシステムは、医者に従わせることを強制しない。洗浄の規則および方針の遵守は、この身分証を使用しても、依然として完全には及ばない可能性はあるが、洗浄の遵守は著しく改善されると考えられる。任意の程度の改善は、消毒されていない手に付随する現行のコストおよび被害の低減につながる。多種多様な他の実施形態は、特許請求の範囲に基づく。
【0069】
医者によるこのシステムの使用について言及したが、他のヘルス・ケア・ワーカー、クリーンルームワーカー、および、客、消費者、業者、従業員、ならびに、手または体の他の部位の清潔度が重要である任意の種類の作業に関係する他の人々を含む他の多種多様な人々にもこのシステムは有用である。
【0070】
例えば、測定されたエタノール濃度の最低基準に対する単純な判定を、消毒状態であるか非消毒状態であるかを単純に判断するのに使用することができるが、経時的に測定された濃度をより複雑に分析すること、ならびに動的に選択された最低基準に対して測定された濃度を比較することを実現することも可能である。
【0071】
例えば、異なるレベルの消毒を示すための、あるいは、次の測定が要求される前においてより長い時間が経過してもよいことを示すための3つ以上の状態も可能である。
第1の測定が無効であるとみなされて次の測定が要求される前の時間の長さは、皮膚上のエタノールが有効である期間の推測に基づく必要はなく、1時間ごとなどの任意の期間に基づいてもよい。
【0072】
エタノール濃度の測定の精度および反復の程度は、測定を行うのに必要となる回路のコストおよび複雑度と合わせて考慮することができる。いくつかの実施例では、目標値が、使用者の手が常時徹底して消毒された状態であることを保証することである必要はない。むしろ、システムがより頻繁におよびより徹底した洗浄を幾らか人目を引く程度に促進する場合のほうが、より良い成果を生む。したがって、非常に単純なシステムでは、何人かの使用者に不正を行うことを許す可能性があったり、かつ常時正確に状態を判断することができない可能性もあったりするが、それでも、非常に単純なシステムは極めて有用で効果的である。
【0073】
追加の光および表示される文字を種々の目的のために使用することができる。消毒状態の期間の終了時点に近づいたことを黄色光によって提示してもよく、これによって、まもなく洗浄する必要があることを使用者に警告する。
【0074】
光およびLCD表示器は、それらの機能のすべてまたは一部を、可聴の警告にて補ったり、あるいは可聴の警告に置き換えたりすることができる。
いくつかの実施例では、すべての回路を単一の身分証に取り付ける必要はない。一部の回路は、装置の異なる部片に配置されてもよい。例えば、多くの人に共通に使用されるセンサを壁に取り付けて、測定されたエタノールの濃度を身分証に伝達(例えば、無線通信によって)してもよく、その場合、身分証が状態を判断して光によってならびにLCD上でその状態を提示する。2つに分離することにより、身分証をより安価にすることができるとともに、センサをより複雑でより正確なものとすることができ、さらに、センサを、消毒液が供給される場所に配置することができるようになる。必要となるセンサの数は減少する。
【0075】
各身分証は、無線であるいは有線によって互いに連絡される2つの構成要素にそれ自体が分割されてもよい。例えば、センサ・モジュールを、使用者のポケット内に配置してもよく、この場合、身分証は論理回路のみを含む。
【0076】
測定される洗浄剤は、エタノールに限定される必要はなく、エタノールと他の物質の組み合わせ、または、エタノールが存在しない他の物質を含むことができ、他の物質用の適切なセンサが使用される。
【0077】
身分証は、クリップ、マジックテープ式ファスナー、チェーン、ピン、リボン、および、ベルト通し、ならびに、身分証を使用者に付けるための他の装置を含んでよい。
この装置は身分証の形態をとる必要はなく、ベルト、折り襟、衣類の他の任意の物品、および、腕、脚または首を含む体の他の部分に取り付けられるID装置でもよい。
【0078】
身分証、センサ、および提示器を1つのユニット内に統合するのではなく、身分証は、例えば従業員を識別するために、病院内で使用されている種類の既に現存する身分証でもよい。これらの身分証は、しばしば、名前、写真および磁気ストライプ、または、読取り機に通すことができるバー・コードを含む。図8に示すように、装置80は、既存の身分証84を保持可能なホルダ82の形態をとることができる。その場合、装置は、身分証上に見られる構成要素以外の他のすべての構成要素を含む。この分離型の身分証および身分証ホルダの構成は、複数の利点を有する。身分証を取り外すことができるので、装置から独立して使用したり読み取ったりすることができる。身分証は、装置の電子機器を置き換えることを必要とすることなく、個別に交換することができる。既存の身分証の装置および技術を引き続き使用することができる。いくつかの実施例では、身分証は、例えば、身分証内にRFID素子85、ならびにホルダ内にRFIDトランシーバ87を備えるRFID技術を使用してホルダに電子的に結合されるように設計することができる。身分証がホルダ内に配置されると、ホルダは使用者の身分証明および他の情報を認識する。
【0079】
いくつかの実施例では、身分証、ホルダ、およびRFIDトランシーバ87は、別々に配置される。例えば、RFIDトランシーバは使用者が身に着ける別の装置に配置され、この場合、身分証は、ホルダ内に取り付けられたままでよい。
【0080】
身分証は、電池ではなく、周辺光を使用する光電池によって電力供給されてもよい。
消毒状態および非消毒状態を提示するために、2つの異なる光を使用してもよい。色を変化させることができる単一の光も使用可能であり、コストと空間が節約される。
【0081】
エタノール・センサには寿命がありテスト・サイクルの回数が限定されることから、身分証は、実施されたテストの回数をカウントする回路を含むことができ、この場合、センサは、その耐用寿命の終わりに達したときに警告灯を点灯させるあるいは他の何かしらの提示を行う。
【0082】
他のタイプのエタノール・センサも使用することができる。そのようなセンサの1つはセラミック・チップを含むが、前述したセンサより相当に高価である。
エタノールおよびエタノール・センサは、ここで説明する一部の実施例のベースを形成するが、他の消毒薬(例えば、トリクロサン)も、それらのための効果的なセンサが入手可能であることを条件として、使用することができる。
【0083】
概して、期間が経過した後に身分証の状態の変化を誘因することに加えて、所与の期間内にセンサを使用して人がテストを行った回数(タップの回数と称する場合がある)のカウントを維持することも有用である。身分証は、タップの回数の記録を維持して24時間単位のカウントを判断するカウンタを含むことができる。その後、この回数は、施設内においての適切な清潔度慣習の証拠として使用者の雇用主または管理代理業者に通知される。通知目的の場合、カウントの回数は、RFID技術により、あるいは他の任意の伝達技術により、読取り機に伝達される。
【0084】
センサおよび提示器は識別情報に関連する必要はないが、濃度を測定してそれの提示を行うことが唯一の目的である装置内に設けることができる。
装置は、手が清潔であることが重要であるあるいは期待される非医療環境内で使用することができる。
【0085】
医療環境内では、装置は、サービスに従事する任意の人に加えて、患者および患者の家族または友人によって使用可能である。
頻度、タイミング、および、使用者によって過去に実施された測定の結果に関する情報は、身分証に記憶される。
【0086】
身分証のプロセッサの能力、メモリ、表示能力、通信能力、および、使用者の入力機能を増加させることにより、身分証に多くの追加機能を加えることができる。
清潔度検出身分証200の別の実施例では、図10、11、12、13および14に示すように、電池202、回路基板204、センサ206、マルチカラーLED207、2次元表示器209、および一時的な入力スイッチ208が、ハウジングの2つの二等分部分210および212内に取り付けられる。ハウジング内部の構成要素の汚染または損傷の危険性を低下させるために、シール要素が、2つの2等分部分の間の接合部に沿って、ならびに、それぞれのLED、スイッチおよび表示器が中を通って取り付けられる2つの2等分部分内の開口部に沿って設けられる。
【0087】
図14に示すように、検出身分証の構成要素は、(a)I/Oライン222を介した表示器209(ヴァリトロニクス社(Varitronix)の部品、COG−ZBD9696−02)と、(b)制御出力226、228、およびA/D入力230を介したアルコール・センサ224(フィガロ社の部品、TGS2620)と、(c)出力234、236を介した圧電スピーカー231と、(d)出力238、240を介した2色LED207と、(e)I/Oバス242を介した外部EPROM(マイクロチップ社の部品、24FC256)とを制御するためのフラッシュ・メモリ(マイクロチップ社の部品、18F6720)を有するCPU220を含む。CPU220はまた、スイッチ208から情報を受け取り、電圧レベル・シフトレバー244(マキシム社(Maxim)の部品、Max3001E)、RFトランシーバ246(チップコン社(Chipcon)の部品、CC2420)、バルーン回路248、およびアンテナ250を介して、トランスポンダー、基地局、および考えられる他の外部装置251と双方向に通信する。電圧レベル・シフトレバーは、CPUへ往復して送信される信号のDC電圧レベルを、CPUによって使用される5.0ボルトのレベルからトランシーバによって使用される3.3ボルトのレベルまで変換して、電力を節約する。
【0088】
回路用の電力は、DC/DC変換器252(マキシム社の部品、Max1677)および電圧調整器254(テキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments)の部品、TPS77033)を介して、電池202によって供給される。
【0089】
アルコール・センサ224は、センサ素子225および加熱器227を含む。センサ素子の抵抗は、アルコール蒸気の存在下でその蒸気の濃度に関連する量によって変化する。人の指からのアルコール蒸気がセンサに到達可能となることにより、ならびに、適切なテスト・プロトコルが使用されることにより、蒸気の濃度と最低基準との関係が決定されるとともに、使用者の手が消毒状態であるか非消毒状態であるかを証明するのに使用される。センサ素子225の抵抗は、CPUのA/D入力でのアナログ電圧として測定される。センサ素子が乾燥したままである場合、アルコールが存在しないときの素子の抵抗は、非常に小さな変動の影響を受ける。しかし、センサ素子が水または水蒸気に触れると、その抵抗は大幅に変化する。そのため、センサ素子225の典型的な使用においては、測定が行われる前にセンサ素子を乾燥させるために加熱器に一定期間電力を供給する。このため、測定が要求される時点から測定が完了する時点までに、時間の遅延が起こる。
【0090】
テストが開始される時間においてセンサ素子を加熱するのに要する時間を排除するために、センサ素子の抵抗を継続的にモニタリングする。素子の抵抗の変動がバックグラウンドの変動率よりゆっくり生じて、センサ素子が乾燥したままであることが示される場合、処置は講じられず、センサ素子はスタンバイ・モードにあるとみなされる。逆に、抵抗の変動が、センサ素子に水蒸気が存在するときに予想される変動と同程度である場合、CPUは、加熱器を加熱モードで駆動してセンサ素子を乾燥させる。抵抗が期待される乾燥値まで戻るとすぐに加熱器は切られて、システムはスタンバイ・モードに戻る。
【0091】
手を消毒した人がモニタの近傍に指を置いたときなどによりセンサ素子にアルコール蒸気が存在する場合、乾燥したセンサ素子の抵抗は大幅に変化して、アルコール蒸気の存在を示す。これにより、CPUがテスト・モードに入り、蒸気の濃度が手が消毒されていることを示す最低基準を超えているかどうかの判断が行われる。テストが完了すると、その結果に応答してCPUの関連動作が行われてCPUは乾燥モードに戻る。すなわち加熱器が、トランジスタ256のゲートを介してCPU出力によって起動される。センサ素子の抵抗を感知するために、CPUはトランジスタ258のゲートを介してセンサ素子を起動して、ノード260の電圧レベルがCPUへのアナログ入力となる。
【0092】
このようにして、センサは、加熱サイクルを必要とすることのない測定テスト用に常に利用可能になるとともに、使用者は、起動するためのオンスイッチを必要とすることなく、センサ素子の近傍に指を置くことのみによりテストを行うことができる。しかし、他の実施形態では、テスト・モードを開始するべく使用者によって押されるスイッチが設けられる。
【0093】
スタンバイ・モード、加熱モード、およびテスト・モードにおいて作動するためにCPUによって使用されるプログラムは、CPUのフラッシュ・メモリに記憶され、一方、これらのモードにおいての作動に必要なデータ、センサ素子の抵抗の測定から得られるデータ、および他の情報は、RAMまたは外部の不揮発性EPROMに存在する。
【0094】
これらのデータは、それ自体のために、あるいは、外部のトランスポンダー、基地局、および、種々の目的の他の装置のために、CPUによってEPROM内に記憶されるあるいはEPROMから引き出される。データは、製造時、使用者の登録時、モニタの作動の間、または任意の後の時間において記憶される。
【0095】
EPROM内のデータは、センサ素子の抵抗の、水蒸気の種々の濃度およびアルコールの種々の濃度の存在に対する経験的関係に関する較正情報を含むことができる。
EPROMに包含されるデータは、較正データ、最低基準値、および、アルコール・センサの作動に有用な他のデータ、身分証の使用者に関するデータ、LCD表示器用に使用されるデータ、圧電スピーカーを起動するためのデータ、センサ抵抗の測定から得られたデータ、測定の回数および結果に関する過去のデータ、ならびに、外部装置との通信に有用な情報を含む。
【0096】
アルコール・センサ用の較正データは、経験的データ、または、種々のレベルの水蒸気またはアルコールに関連するセンサ素子の予想される抵抗を表すテーブルを含むことができる。最低基準値は、水蒸気の存在を示す抵抗の最低基準値、アルコール蒸気の存在を示す最低基準値、および、消毒された手に関連する値を超えるアルコール蒸気の濃度を示す最低基準値を含む。アルコール・センサのデータは、水蒸気の導入またはアルコール蒸気の導入に関連する抵抗の変化率に関する情報も含むことができる。この情報は、CPUが、スタンバイ・モード、加熱モードおよびテスト・モードの間で、モードの切り替えをいつ行うかを決定することを可能にする。EPROM内に記憶されるデータはまた、スタンバイ・モードの間の抵抗の予想される経時的な変動率と、水蒸気およびアルコール蒸気が存在するときの抵抗の予想される変動率とを示す変動情報を含むことができる。センサ素子は、それが使用された試験サイクルの回数に関連する耐用寿命を有する。EPROMは、予想されるサイクルの回数と、実際のサイクルの回数を示すカウンタとに関する情報を記憶することができる。
【0097】
作動中、開始時間および終了時間、開始時の抵抗、終了時の抵抗、テストの結果(消毒されていない状態、消毒されている状態、および不確定)の提示、試験結果が外部装置に通知されたかの提示、ならびに、オンボタンを押すことによりあるいは単に指を身分証に触れることによりテストが初期化されたかどうかの提示を含む各テストが行われる場合の記録を含むデータは、EPROMに記憶される。EPROMはまた、一定の電圧を印加して経時的に得られる抵抗値を計算することによるセンサ素子の診断テストの実行に有用なデータを含むことができる。
【0098】
EPROMに記憶されてCPUによって実行される、センサ素子に関するアルゴリズムは、以下のシーケンスを含み得る。身分証の初期化の間(例えば、身分証が最初に起動されるとき)、センサ加熱器が、センサ素子を加熱するために起動される。その場合、センサ素子には+5ボルトの電圧が加えられ、A/D入力の電圧がCPUによって読み取られる。加熱器は、センサ素子からの電圧測定値が安定する(傾斜が実質的に平坦になる)までオンを維持し、加熱モードが実行されていること、センサ素子が作動中で乾燥していること、および、身分証がスタンバイ・モードに移行可能であることを示す。その後、加熱器およびセンサ素子の電源が切られ、センサ素子は周囲温度まで冷却される。その後、加熱器およびセンサ素子は、較正テストのために再度電圧が加えられる。所定のテスト時間の経過後(例えば、2秒)、センサ素子からの電圧が測定されて、その値が、基準乾燥状態を示す較正基準値として保存される。
【0099】
オンボタンが押されると、CPUは、固定されたテスト周期時間(例えば、2秒)にて加熱器およびセンサ素子に電圧を加える。センサ素子の抵抗を表す測定された電圧が、基準乾燥状態の基準値より高い一定のパーセンテージ(例えば、20%)である場合、CPUは、消毒された状態を示すのに十分なアルコールが存在すると判断する。そうでない場合は、CPUは非消毒状態と判断する。いくつかの実施例では、最初の較正後にアルコール・センサの電源を切るのではなく、CPUは、継続的に(あるいは頻繁であるが断続的に)センサ素子に電力を供給して、抵抗の継続的な(あるいは、断続的な)測定を行う。オンボタンを押すことの代替形態として、抵抗の急激な変化が検出された場合、CPUは、使用者がセンサ素子の近傍に指を置いてテストの開始を望んでいると想定する。加えて、水蒸気の存在を示すのに十分に抵抗レベルが変化する場合、CPUは加熱モードを開始する。
【0100】
センサの変動を補正するために、CPUは、上記ボタンを押すことに関する記述ステップを使用して、定期的にセンサ素子からの電圧出力を測定する。その測定値がセンサの抵抗の適度な変動のみを示す場合、CPUは、以前に記憶した測定値を最新の測定値に置換する。変動が有意である場合(例えば、以前の測定値との差異が1パーセントより大きい)、CPUは、最初の起動に関する記述ステップを使用して再較正モードに入る。
【0101】
較正モード、加熱モード、テスト・モード、およびスタンバイ・モードを制御するアルゴリズムの実行に加えて、CPUは、CPUのフラッシュ・メモリに記憶されている、身分証と外部装置との通信を制御する工程を実行することができる。
【0102】
この通信工程は、CPU自体あるいは外部装置のいずれかによって開始される多種多様な機能を実行することができる。
通信工程の1つの機構では、CPUは、身分証がトランスポンダー、基地局、または他の装置などの外部装置の通信範囲内にあることを示すトランシーバからの信号を継続的に監視する。その場合、CPUは、EPROMからデータを取り出すルーチンを実行し、そのデータを外部装置に伝達する。取り出される情報は、身分証の使用者の個人情報、センサの較正の結果、較正値、バッテリ寿命の情報、前回のアップロードからのテスト実行回数、および、その間に実行されたすべての試験の結果を含むことができ、記憶されたデータのすべてまたは選択された一部を含む。以下で説明するように、CPUは、外部通信装置によって認識される身分証の建物内または構内での連続的な位置を示すデータをEPROMに記憶しておくことができ、データのアップロードは、その連続的な位置を表すデータを含むことができる。それらの位置の1つでテストが実行されている場合、その位置とテストとの関連付けもアップロードされる。
【0103】
どのデータをアップロードするかの判断は、CPUによってあるいはデータがアップロードされる外部装置によって行われる。
身分証から外部装置へのデータのアップロードに加えて、いくつかの実施例では、情報およびコマンドを、外部装置から身分証にダウンロードすることもできる。ダウンロードされるデータは、最新の較正値、最新の最低基準値、最新の識別子、身分証の表示器に表示される情報、前のテストの結果およびデータの回復データ、および、他の情報を含むことができる。コマンドは、身分証の電源を入れるあるいは切ること、テストを実行して結果を返すこと、前回のテストからのテスト結果をアップロードすること、EPROMから以前のテスト結果を消去すること、LEDの点灯または表示器に表示される情報を制御すること、スピーカーを起動すること、トランシーバを再構成すること、および、CPUを再起動することの指示、ならびに他のコマンドを含む。
【0104】
CPUは、身分証あるいは他の装置のいずれかで実行された最新のテストおよび過去のテストに基づく使用者の清潔度の状態に関する情報を継続して保持することができる(例えば、壁に取り付けられたテスター上で実行されたアルコール・テストの結果を身分証に伝達して、上記目的のために使用することができる)。身分証は、EPROMに記憶されている手のアルコール洗浄の効果の期間に関する過去のデータに基づいて更新される所定の時間後に、消毒状態から非消毒状態に切り替えられる。
【0105】
加えて、身分証は、それが外部装置の通信範囲内にあるとき、外部装置からのコマンドにより消毒状態から非消毒状態に強制的に切り替えられる。この特徴は、建物、空間、または構内の管理者によって使用することができ、使用者の手が現在において消毒状態であるかどうかにかかわらず、特定の場所にいる使用者に新たな手の洗浄の実施を強制する。
【0106】
この目的のため、外部装置は、手の洗浄の実施が強制される場所を確認することができ、範囲内に入ってくるあらゆる身分証に、状態を変更するための指示を継続的に送信することができる。例えばトランスポンダーは、近くで身分証を検出したときに「非消毒状態に切り替える」という指示を絶えずあるいは時折送信し、この指示を受信したことに応答して、身分証は状態を切り替えるとともに、それに応じて、消毒状態に対応して送信されるあらゆる警告信号を更新する。この更新には、LEDを緑色から赤色に切り替えること、LCD表示器に表示されるメッセージを変更すること、および、スピーカーから送出される音を変更することなどが含まれる。状態の変更は、身分証の所有者に、消毒状態に戻すために手を洗浄して手のテストを行うことを強く促進すると考えられる。
【0107】
例えば、施設の管理者は、施設内のすべてのトイレにおいて清潔度管理を強制することを望むと考えられる。トランスポンダーなどの外部装置は、すべてのトイレ(または施設内のクリーンルーム、または手術室内)の入口に掲示され、トイレに入るすべての人の身分証を非消毒状態に切り替える。身分証を消毒状態に戻すために、使用者はアルコールを用いて手を洗浄して正常に指のテストを実施しなければならない。強制的な管理は、状態変更の指示を自動的に送信するトランスポンダーを単に所望の位置に配置することにより静態的に運営することができる。いくつかの実施例では、状態の切り替えを行う外部装置が例えばIPネットワークを介して中央制御装置に連結されている場合は、管理の制御が動的に変更される。このようなシステムでは、中央制御装置は、特定の選択されたトランスポンダーによって身分証の状態が一度で切り替えられるように、さらに、異なるセットの選択されたトランスポンダーによって身分証の状態が一度で切り替えられるように構成される。
【0108】
例えば、病院の管理者は、病院の一方の棟の洗浄管理の強制を1日で行い、他方の棟の洗浄管理の強制を別の1日で行いたいと望むと考えられる。あるいは、昼間勤務中ではなく夜勤中に管理を強制させることもできる。いくつかの実施例では、施設において、一度にすべての位置のすべての身分証の状態の切り替えが決定される場合がある。
【0109】
外部装置は、コマンドの受動型一方向送信機であって折り返しのいかなるデータも受信せずに他のいかなる装置とも接続されていないトランスポンダーなどの独立型の装置を含む。いくつかの実施例では、外部装置はまた、双方向データ通信能力を有する、および/または、追加の機能を有する他の装置に接続される。外部装置は、身分証に関連する機能専用であってよく、あるいは、他の目的のための他の機能を有する装置であってもよい。
【0110】
外部装置は、1つのシステム内に、トランスポーダー、壁取付け型テスト装置、複数のトランスポーダーに送信する基地局、および、複数の基地局および/またはトランスポーダーに連結された中央ステーションを含む複数の種類を含むことができる。トランスポーダー、モニタ、基地局、および中央ステーションの間の通信は、無線であるいは有線接続により、さらに、ピア・トゥ・ピア通信またはクライアント−サーバ形態で行われる。
【0111】
身分証内の状態の変更を引き起こすこと、および、身分証内で実行されたアルコール・テストに関するデータを伝達することに加えて、モニタリング・システムは、身分証所有者の位置および位置の遷移を記録することもできる。いくつかの実施例では、身分証がその識別子の情報を外部装置に伝達する場合、情報は、基地局および/または中央ステーションに送られる。このようにして、中央ステーションは、すべての身分証所有者の最新の位置および過去の位置を確認することができる。その場合、身分証所有者の清潔度の状態は、その位置に関連付けられ、必要な場合には処置が講じられる。例えば、身分証所有者が1日の間に繰り返しトイレに入ったが一度も洗浄しなかった場合、施設の管理者はその人に直接会うことができる。より一般的には、個人またはグループの身分証状態の履歴あるいはすべての身分証所有者は、記憶、通知および分析される。
【0112】
選択されたグループの調査を実施することもできる。例えば調査は、看護婦と比較した場合の外科医の清潔度習慣に焦点を当てて行われる。この目的のために、調査を行う人々は、身分証の状態の切り替えを制御し、さらに、身分証所有者によって実行されたテストに関する情報を経時的に記録および調査する。
【0113】
身分証所有者がどの位置にいたか、ならびにその位置にいたときの清潔度状態が何であったかの履歴は、記録および分析され、さらに、具体的な事象に関連する有用な情報を供給するのに使用される。例えば、患者または病院内にいる他の人が、通常は触れ合うことあるいは近くに接近することによって伝染すると思われている感染症にかかった場合を想定する。患者の部屋が例えば状態を切り替えるトランスポンダーによって保護された位置にある場合、感染症が伝染したと考えられる時期の間にどのヘルス・ケア・ワーカーがその患者の近傍にいたかを、身分証の位置の履歴によって提示することができる。これにより、例えば矯正処置のために、感染症のキャリアである可能性がある個人を識別することが可能になる。多数の患者が感染した感染症と、清潔度の状態および身分証所有者の位置との相関関係が、キャリアを識別することを促進する。
【0114】
モニタリング・システムの作動を制御するために、各基地局および/または中央ステーションは、例えばインターネット・ブラウザのウィンドウにあるインターフェースといったグラフィカル・ユーザ・インターフェースを含むことができる。
【0115】
再び図14を参照すると、LCD表示器209は、たとえ非通電状態であっても安定した表示を実現する種類であってよい。このような表示器では、表示器のピクセルの状態を変更するために電力が必要になるが、ピクセルが安定状態に達すると、電力が除去された後でもピクセルはその状態を維持する。このような表示器は、2状態の「モノクロ」装置に利用可能であり、同じように、非通電状態での安定状態を特徴とするグレー・スケールおよびカラー・LCD・パネルがまもなく利用可能になることが予想される。このような表示器の利点の1つは、たとえ使用者が電池を取り外そうとしたりあるいは装置を故障させたりした場合でも、このシステムの側面では、その状態を維持することができる。このような表示器はまた、電池の電力消費を著しく低減させる。ここで説明する他の特徴(例えば、低電力の3.3ボルトのトランシーバの使用、およびスタンバイ・モード中で作動することができる能力)も、電池負荷の低減に貢献する。
【0116】
表示器に表示される情報は、身分証の使用者の名前、識別番号および写真、使用者の清潔度の状態、清潔後の状態の履歴、ならびに、身分証およびその作動の状態を含むことができる。表示される情報は、CPUによってまたは一部は身分証の使用者によって、あるいは施設の管理者によって、制御することができる。
【0117】
いくつかの実施例での通信プロトコルは、比較的低電力を必要とし、2.4ギガヘルツで作動し、ライセンスフリーであり、ならびに、比較的低いテレメトリ・レートで作動するジグビー(Zigbee)プロトコル(IEEE 802.15.4)である。
【0118】
再び図10から13を参照すると、身分証の前面は、ハウジング内に形成された密封センサ・チャンバ302内へアルコール蒸気が通過することを可能にする、円形構成の線状スリットの形態のセンサ・アクセス・グリッド300を含む。センサ・チャンバは、センサの端面が身分証の前面に平行な方向に向けられている(センサ・アクセス・グリッドの方向に向けられていない)アルコール・センサの円筒形の外側壁が中に保持される管状チャネル304を含む。アルコール蒸気は、矢印306の経路を経てチャンバ302内に入り、そこで、アルコール蒸気はセンサのセンサ素子面に接触する。最終的に、入ってくる蒸気は、ハウジングの後面2等分部分上の蒸気排気口308を垂直に通って排気される。ハウジングの外側面を浸入する異物(例えば、水または他の液体)が、センサ素子の表面に容易に到達しないように、さらに、センサ素子を汚染しないように、入口グリッドおよび排気口は配置されて方向付けされる。ハウジングの別の機能が、2つの二等分部分と、オンスイッチ、表示器およびLEDプロジェクトが通過する孔とを密封する。
【0119】
いくつかの実施例では、使用者の個人情報を身分証のEPROMに記憶するのではなく(あるいはそれに加えて)、その情報(および使用者に関する他の情報)は、RFID技術を使用してRFIDチップ318から取得される。このRFIDチップ318は、他の目的のために施設から使用者に発行される既存の識別身分証316の一部である。これらの実施例では、身分証は、この身分証に適合するために一方の側が拡張された身分証314であってよい。
【0120】
圧電スピーカーは、様々な機能のために使用することができる。1つの機能は、使用者の清潔度の状態に関する可聴の提示を与えることである。EPROM内に適切なオーディオ・クリップを記憶しておき、スピーカーを通してそれらを再生することにより、テストが正常に完了した場合には愉快なあるいは陽気な音を短く再生し、テストが失敗した場合には不快なあるいは暗い音を再生する。なお、テストが失敗したケースでは、暗い音を一定の間隔(例えば、数分間)で繰り返し再生したり、さらに、手を洗浄して正常なテストを実施させるべく抵抗しがたい状態となるように、経時的に音量を増大させて間隔を短縮させることもできる。
【0121】
表示器、LEDおよびスピーカーに加えて、身分証は、例えば安全な消毒状態期間が終わりに近づいているあるいは終了したときに使用者に警告するための振動素子を含むことができる。
【0122】
図6に示すように、いくつかの実施例では、モニタ70は、トイレなどの領域74の壁72に取り付けられる。モニタは、使用者の身分証に含まれる無線周波数識別(RFID)素子と協働する無線周波数トランシーバ75を含むことができる。RFID技術を使用することにより、身分証を身に着けた人がモニタの近くを通過するとき、モニタはRF通信を使用して、その人が存在することを判断し、身分証からその人の個人情報に関する情報(および、後述する他の情報)を取得することができる。モニタはまた、身分証自体が非消毒状態に切り替わるように身分証に指示を送信することができる。RFID以外の通信技術も、使用者の存在を感知すること、および、モニタと身分証または使用者が身に着けている他の素子との間で情報を伝達することに使用することができる。使用者が身に着けている素子は、使用者を識別する素子であっても、あるいは使用者を識別しない素子であってもよい。
【0123】
身分証を身に着けた人が、トイレ、あるいは、病室または手術室などの他の任意のモニタ領域に入ったとき、起動装置は、身分証を非消毒状態に切り替えてその状態を示すランプを点灯させる信号を、身分証に送信する。この起動が、トイレを去る前にあるいはさらにモニタ領域に移動する前に使用者が手を消毒することを促進し、赤色光が点灯したままトイレから出てきたことに付随する社会的非難を回避する。これらの実施例では、身分証の状態は、その身分証センサを使用した最新の正常なテストからどのくらいの時間が経過したかにかかわらず、強制的に非消毒状態に切り替えられる。使用者の状態は、使用者が手を洗浄して手のテストを行うことにより消毒状態にリセットされる。
【0124】
図7に示すように、手の清潔度モニタ70は、エタノール用センサまたは他のセンサ106だけでなく、存在感知器108、および、領域に入ってきた1人または複数の人に対しての手の清潔度の1つまたは複数の提示器110を含むことができる。領域内の人から広範囲に可視である(例えば、部屋の内側の壁に配置される場合)あるいは領域外またはその両方の人から広範囲に可視である(例えば、部屋の内側の壁に配置される場合)提示器112の1つは、領域に人に入ってきたことを感知したときに緑色(領域内のすべての人の手が消毒状態であるとみられていることを示す)から赤色に切り替わる。この場合、赤色光は、見ている人に、手の清潔度の状態が不明であり非消毒状態であると想定される人が領域に入ってきたことを提示する。
【0125】
部屋に入る人は、センサに触れることにより(その人の手が、消毒状態を示すのに十分なエタノールを保持していると想定される場合)、あるいは、最初に手を洗浄してその後にセンサに触れることにより、光を赤色から緑色に戻すことができる。
【0126】
いくつかの実施例では、モニタは病室の内側の壁に配置される。ヘルス・ケア・ワーカー、患者、または客を含む任意の人が部屋に入るときは必ず、モニタは、誰かがセンサに触れて赤色光を緑色に切り替えるまで非消毒状態の可能性があることを提示する。赤色光を見た部屋内の人々の社会的圧力が、部屋に入るすべての人に適切な清潔度習慣を強制する助けとなる。
【0127】
モニタの部品は、単一の一体型壁ユニットに含まれる必要はない。例えば、人が領域に入ってきたあるいは領域から出ていったことを感知するモニタの一部分は、既存のシステムを含む分離したシステムであってよく、必要に応じてモニタと情報を交換する。また、提示器は、モニタから分離して配置されてもよく、たとえモニタがモニタ領域への入口またはモニタ領域からの出口の近傍に配置される場合でも、光を多くの人に対して可視にすることができる。センサも、モニタから分離して配置することができる。例えば、身分証センサは、モニタに再テストの情報を供給することができる。
【0128】
いくつかの実施例では、建物のすべての入口の壁にモニタを設けることにより、建物全体がモニタリングされる。非消毒状態であることの公衆での表示に付随する社会的圧力に加えて、従業員または各入口の自動ゲートが、入ってくる人が部屋に入るときにあるいは入口で使用可能な消毒薬を使用した後でセンサを使用してその人の手が消毒状態であることを証明することを要求する。
【0129】
例えば、病院内または食品加工施設内のトイレ(もしくは、消毒することが特に重要である他の場所)および更衣室を含む種々の領域がモニタリングされる。
いくつかの実施例では、モニタは、上述した方式以外の方式で領域内の1人または複数の人の存在(人が領域に入ってくるあるいは出ていくにかかわらず)を検出するとともに、その存在を検出したときにその人の手の清潔度の状態を判断する回路や、清潔度の状態を通知するための回路を含む。
【0130】
領域内の人に対して消毒状態を提示するのに使用される公然と目に見えるモニタは、たとえモニタが部屋に入ってくる人の個人情報に関する情報を何も保持していない場合でも、部屋に入ってくる人にその部屋にいる人々による社会的圧力を促進することができる。加えて、モニタは、領域内に入ってきた人を判断するとともに、センサを使用して手が消毒されていることを示した人とその情報とを関連付ける装置を含むシステムであってもよいし、あるいはそのシステムの一部であってもよい。
【0131】
例えば部屋に入る人は、その人を固有に識別し、さらに、バー・コード、磁気ストライプ、RFID素子、または、モニタ上のあるいは分離されて壁に取り付けられた読取り機114によって読み取り可能な他の装置(例えば、図6のRFトランシーバ75)を含む身分証を携帯することができる。この技術により、使用者の身分証は、離れた位置から読み取ることができる、あるいは読取り機で読み取ることができる。人が部屋に入るとき、その人の存在および個人情報が検出される。その時点で、人の手が消毒状態であることを提示するセンサによって人が正常に測定を完了した場合、その人の個人情報が再び読み取られて、さらに部屋に入って手の消毒状態の測定にパスしたと判断されていない人々の個人情報と比較される。部屋に入ったすべての人がテストにパスした場合にのみ、赤色光は緑色に切り替えられる。
【0132】
企業は、このシステムを用いて使用される識別身分証をまだ所有してなくて建物または他の領域に入ってくるすべての人に一時的な識別カードを発行することができる。
(声紋または指紋あるいはフェイス・プリントなどの)バイオメトリック情報の感知、または、入ってくる人にモニタ上のキーパッド116に識別コードの入力を要求することを含む種々の技術を、領域に入ってくる人を識別するのに使用することができる。(場合によっては、ロックされたドアまたは他の入口門のトリガとして)部屋に入ってモニタを使用して消毒テストにパスした場合、人は識別コードを入力することができる。いくつかの実施形態では、モニタ上の同一の位置で、感知テストが実行されるのと同時に、指紋感知技術を使用して人を識別できる可能性がある。他の技術も、正常なテストが識別可能な人と正確に関連付けられることを確実にするのに使用することができる。
【0133】
モニタはまた、(例えば、誰かが領域から出ていったことを検知することにより)領域内にいる人の数を記録しつづける回路を含むことができる。(既に部屋にいる人数と同じ数のテストの中で)最も古い正常な消毒テストが、所定の期間(例えば、2時間)以前に行われている場合、モニタはタイムアウトして、部屋の中の誰かが再び正常に手をテストするまで緑色光を赤色に切り替えることができる。
【0134】
これらの実施例および他の実施例では、例えば部屋内の1人に部屋内の人々を代表して積極的に繰り返し手のテストを行わせることにより、人々をモニタに気づかせることが可能である。しかし、前述したように、少なくともいくつかの実施例では、領域の消毒状態の公然での表示に付随する社会的圧力と、ある状況においては緑色を赤色に切り替えることとが、領域内の人々の手の洗浄の頻度と質を著しく改善するのに十分である可能性がある。
【0135】
他の構成を、起こり得る不正の程度と質を低下させるのに使用したり、さらには、認識された人々または複数のグループの人々の手の清潔度の維持の実施を記録および通知するためのモニタリング・システムの能力を向上するのに使用したりすることができる。そのような構成の一部は、種々の人に関連してその人々の実施を記録する固有の識別子を使用する。
【0136】
例えば、壁モニタは、人々の固有の識別子に基づいて、部屋に入ってきたおよび出ていった一人一人を記録してその個人情報と正常に行われたテストとを関連付けるプロセッサおよびソフトウェアを含むことができる。その場合、モニタは、少なくとも予め規定されたある時間の期間(例えば、2時間ごと)の頻度において、領域内の各個人の手の清潔度の正常なテストの実施に基づいて赤色光および緑色光を制御する。小型の表示器120をモニタの正面に含むことにより、手の清潔度の再テストが必要である人を、名前または識別子あるいは他の何かしらの提示物によって識別可能である。このようにして、領域内のそれぞれの人に、その時々で必要なときに再洗浄および再テストすることを警告することができ、領域内のすべての人は誰がそれをする必要があるのかを知ることができる。
【0137】
このようなモニタは、例えば前述した着用可能な身分証に関連してならびに協働して使用される。例えば、RFIDまたは無線あるいはモニタ内の他の種類の通信能力と、少なくとも数個の身分証とを使用することにより、モニタおよび身分証は、多種多様な方式で、通信、情報交換、作動制御、および、通知の実行を行うことができる。
【0138】
単一の実施例では、モニタは、モニタ上の光が切り替えられるのと同時に(あるいは異なる時間に)、身分証上の光を赤色から緑色に切り替えられ、領域内の誰が再洗浄および再テストをする必要があるのかを領域内の人々に提示する。身分証上で正常に実行されたテストは、例えば、モニタ上でテストが使用される方式と同じ方式での使用のためにモニタに通知される。逆に、モニタは、身分証の所有者によってモニタ上で正常に行われたテスト(あるいは、失敗したテスト)を身分証に通知する。より一般的には、1つまたは複数の領域内の身分証およびモニタは、身分証の所有者によるテストに関する共通の情報を記憶するために、ならびに、モニタおよび身分証の両方により身分証の所有者の清潔度の状態の共通の提示を与えるようにするために、継続的に同調する。
【0139】
人が複数のモニタ領域を有する建物内をいろいろと移動するときは、モニタおよび身分証は、上の方式のように一体となって、最新の情報を保持して、身分証の所有者の清潔度の状態の最新の提示を供給する。
【0140】
図9に示すように、この協働による情報の維持および通知は、非公式に、異なる組の身分証とモニタの建物を介した経時的な特別の動作によって行われるが、建物132内または建物の構内134の一部またはすべてのモニタ130に対して調整を行うことにより、機能の追加および適切な実施を達成することが可能になる。建物の構内134は、ピア・トゥ・ピア・ベースの、あるいは、中央サーバ136または分配された中央サーバ136、138、140のセットとの連携あるいはそれまたはそれらからの制御による有線または無線通信ネットワークにより、相互接続される。1つの中央サーバまたは複数の中央サーバは、施設に通信を形成するために、ならびに、施設が施設の全体にわたって散在している他の種類の装置を制御するあるいは他の種類の装置からの情報の通知を制御するために、既に使用されているサーバであってよい。
【0141】
モニタ、身分証、および/または、1つの中央サーバもしくは複数の中央サーバは、建物または領域に入って恒久的または一時的に登録された人に関するデータベース146または他の整理された情報を含むメモリまたは大容量記憶装置144を含むことができる。データベースは、個人に付随する情報と、個人のグループおよびサブグループに統計的に関連する情報とを記憶することができる。
【0142】
いくつかの実施形態では、個々の身分証は、身分証が最初に発行されたときに開始されるあるいはその後で開始される個人の清潔度テストのすべての履歴に関する情報の小型データベースを保持する。あるいは、現在の時間で終了する周期的なデータのセットが保持されてもよい。データベースには、使用者が手の清潔度をテストするごとに、テスト中にセンサによって提示される結果、テストの時間、およびパラメータ値を登録することができる。身分証が異なる領域内またはサブ領域内のモニタと通信できる場合、身分証のデータベースは、それぞれのテストが実行された場所、テストが実行されたときにその領域内にいた他の人、および、その他の情報を記録することもできる。身分証のデータベース内の情報は、モニタへの通信リンクを使用して1つまたは複数のモニタにアップロードすることができる、あるいは、施設内の1つまたは複数の場所に配置される特別な身分証読取り機を使用して身分証から中央サーバに直接アップロードすることができる。
【0143】
各モニタは、モニタと対話した人の身分証からの情報および他の領域(例えば、隣接する領域)の他のモニタからの情報を使用して情報のデータベースを維持することができる。モニタのデータベースは、人がモニタ領域に入ってくるごとに、ならびに、その人が領域から出ていくごとに記録することができる。データは、入ってきた時間、出ていった時間、その使用者が最新にモニタリングされた領域、領域に入ってから再テストが行われるまでの時間、再テストの結果、その部屋で行われた再テストの回数、再テストのときにその部屋にいた他の人の個人情報、および、他の種々の情報を含むことができる。
【0144】
人がモニタ領域131から出ていってモニタ領域132に入っていく場合、以前に領域131内で予め規定された時間内に再テストが行われている場合には領域132のモニタが再テストを要求する必要がないので、この2つの領域のモニタは通信して調整される。
【0145】
モニタおよび/または身分証が、中央サーバを用いてネットワーク化された場合、中央サーバは、モニタおよび/または身分証から供給された情報を使用して、ネットワーク化されたすべての領域内のモニタリングされたすべての人の全般的な清潔度テスト行動を記録する。
【0146】
中央サーバは、詳細な過去の情報および情報の統計的概要を含むデータベース134を維持することができる。この情報には、モニタリングされている任意の人がモニタ領域に入るあるいはモニタ領域から出ていくごとに、再テストが行われた回数およびその時間、各再テストの結果、建物または構内を通って移動する人の経路、人が身分証を身に着けているかどうか、人が身分証または壁モニタを使用して清潔度を再テストしているかどうか、および、他の多種多様な情報を記録することができる。
【0147】
中央サーバは、中央のデータベース内に記憶されている、あるいは、1つまたは複数の身分証またはモニタのデータベース内に記憶されている情報を分析するために1つのサーバまたは複数のサーバ上で実行されるソフトウェア140を使用する。この分析としては、異なるグループの清潔度の実績と、清潔度の場所との相関関係と、人口統計(年齢、性別、地理的な位置)と清潔度の相関関係と、訓練、モニタリングおよび他の活動の清潔度の実績に対する影響力と、個人、グループおよびサブグループによる清潔度の実績の時間依存性の変化とを扱うことができる。
【0148】
清潔度の実績に関する情報のモニタリングおよび分析に加えて、中央サーバは、建物または構内を管理する団体と、他の機関と、責任を負う会社と、団体およびその団体に雇われている個人の実績の一部の状況を取り締まる行政体とにとって有用である、あるいは必要である報告を提示することができる。例えば、政府機関は、病院に、病院の従業員が彼らの手を1日に一定回数以上の頻度で消毒することを確実に行わせること、ならびに、その要求に満たすことができなかったことを報告させることを要求することができる。報告は、個人のグループに属してモニタリングされている個人、彼らの監督者、および、他の人々にも送られる。個人への報告は、Eメールによって行われることができる。例えば、手を消毒していない医者には、彼に清潔度習慣の改善を促すのに十分なほど頻繁に定期的に自動のEメールが送られる。
【0149】
モニタ用に使用される有形のハウジングは、前の実施例で示した身分証よりかなり小さくてよく、他の環境下においても使用されることができる。例えば、リングの形態の身分証は、ベビーシッター用に使用されることができる。その日の終わりに、ベビーシッターが預かっている子供の両親が家に帰ってきたとき、そのリングが、その日そのベビーシッターが少なくとも2時間ごとに手を洗浄したかどうかを直接に示すことになる。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】身分証の斜視図。
【図2】身分証の1つの層の概略平面図。
【図3】身分証の1つの層の概略平面図。
【図4】身分証の1つの層の概略平面図。
【図5】図4の5−5の区間の側面図。
【図6】1領域の3次元図。
【図7】モニタを示す図。
【図8】身分証ホルダ内の身分証を示す図。
【図9】建物の構内の概略図。
【図10】身分証の外側前面図。
【図11】身分証の内側前面図。
【図12】身分証の外側後面図。
【図13】身分証の内側後面図。
【図14】身分証の概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人によって携帯され、かつ使用されることにより人の手の清潔度の状態を検出するように構成された電子センサを備える機器。
【請求項2】
(a)人を識別可能であり、(b)前記電子センサに連結され、かつ(c)人によって携帯されるように構成された装置をさらに含む請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記電子センサに連結され、前記人の手の清潔度の状態を提示するように構成された装置をさらに含む請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記装置は、人によって携帯されるように構成され、前記装置および前記センサは、当該機器と当該機器の外部のいかなる装置との間での協働も必要とすることなく、一体となって、前記人の手の清潔度の状態を検出可能であるとともに前記清潔度の状態を提示可能である、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記人の手の前記状態が清潔であると判断された後、どのくらいの時間で前記状態が清潔ではなくなると推定されるかを制御する回路をさらに含む請求項3に記載の機器。
【請求項6】
人によって使用されることにより人の手の清潔度の状態を検出する電子センサと、前記人の手の清潔度の状態を他の人に対して提示する装置とを単一のユニット内に備える機器。
【請求項7】
人によって使用されることにより人の手の清潔度の状態を検出する電子センサと、前記人を識別するための装置とを単一のユニット内に備える機器。
【請求項8】
人によって携帯される装置の一部であり、前記人の手の清潔度の状態が清潔であると判断された後、どのくらいの時間で前記状態が清潔ではなくなると推定されるかを制御するように構成された回路を備える機器。
【請求項9】
前記電子センサは、前記清潔度の状態を示す物質の有無を検知するように構成される、請求項1、6または7に記載の機器。
【請求項10】
前記物質が蒸気からなる、請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記物質がアルコールからなる、請求項10に記載の機器。
【請求項12】
前記清潔度の状態が消毒状態からなる、請求項1、6、7または8に記載の機器。
【請求項13】
前記識別する装置が身分証からなる、請求項2または7に記載の機器。
【請求項14】
前記識別する装置および前記センサが単一のユニットの一部である、請求項2に記載の機器。
【請求項15】
前記電子センサに連結され、前記人の手の清潔度の状態を提示するように構成された提示装置をさらに含む請求項2または7に記載の機器。
【請求項16】
前記電子センサ、前記識別する装置および前記提示装置が、単一のユニットの一部である、請求項15に記載の機器。
【請求項17】
前記ユニットは、前記人によって身に着けられるように構成される、請求項16に記載の機器。
【請求項18】
前記提示する装置が可視表示器からなる、請求項3または6に記載の機器。
【請求項19】
前記回路が、清潔であると判断される前記清潔度の状態に関連して起動されるカウントダウン・タイマーからなる、請求項8に記載の機器。
【請求項20】
人の手の状態が清潔であると判断された後、どのくらいの時間で前記状態が清潔ではなくなると推定されるかを制御するように構成された回路を含む請求項1に記載の機器。
【請求項21】
人の手の状態が清潔であると判断された後、どのくらいの時間で前記状態が清潔ではなくなると推定されるかを制御するように構成された回路をさらに含む請求項6または7に記載の機器。
【請求項22】
前記回路が前記ユニットの一部である、請求項21に記載の機器。
【請求項23】
前記回路および前記センサが単一のユニットの一部である、請求項20に記載の機器。
【請求項24】
身分証であって、
当該身分証を携帯する人を識別するための証拠と、
前記人の手の清潔度の状態を検出するために使用されるセンサと、
前記人の手の前記清潔度の状態を他の人に提示するための可視表示器と、
を備える身分証。
【請求項25】
人によって携帯される電子センサがその人に使用されることにより、人の手の清潔度の状態を検出することを備える方法。
【請求項26】
回路から信号を送出することであって、前記回路は、人の手の状態が清潔であると判断された後、どのくらいの時間で前記状態が清潔ではなくなると推定されるかを提示すべく前記人によって携帯される装置の一部である、回路から信号を送出することを備える方法。
【請求項27】
人によって携帯され、かつ使用されることにより人の手の清潔度の状態を検出するように構成された電子センサと、
前記人の識別身分証を一時的に受け入れるための構造体を有する、前記電子センサ用のホルダと、
を備える機器。
【請求項28】
前記身分証および前記ホルダはそれぞれ、前記電子センサを使用する人によって実行される清潔度テストに関する情報を前記身分証に伝達するための通信素子を含む、請求項27に記載の機器。
【請求項29】
前記身分証は、電子的に読み取り可能な、人の固有の識別子を含む、請求項27に記載の機器。
【請求項30】
人によって携帯される、あるいは人の手が届く静止位置に取り付けられるように構成され、かつ、人によって使用されることにより人の手の清潔度の状態を検出するように構成された電子センサと、
前記電子センサがその耐用年数に近づいたことを検出して警告を与えるための回路と、
を備える機器。
【請求項31】
前記回路は、前記センサが使用された回数のカウンタを含む、請求項30に記載の機器。
【請求項32】
前記センサがエタノール・センサからなる、請求項30に記載の機器。
【請求項33】
人によって携帯される、あるいは人の手が届く静止位置に取り付けられるように構成され、かつ、人によって使用されることにより人の手の清潔度の状態を検出するように構成された電子センサであって、清潔度を示すレベル、もしくは清潔度を示すエタノール以外の洗浄物質を検出したことに反応する化学センサからなる電子センサを備えた機器。
【請求項34】
人によって携帯される、あるいは人の手が届く静止位置に取り付けられるように構成され、かつ、人によって使用されることにより人の手の清潔度の状態を検出するように構成された電子センサであって、エタノール用のセラミック・センサからなる電子センサを備えた機器。
【請求項35】
人によって携帯される、あるいは人の手が届く静止位置に取り付けられるように構成され、かつ、人によって使用されることにより人の手の清潔度の状態を検出するように構成された電子センサと、
人が前記センサを使用して清潔度テストを実行した回数をカウントするための回路と、
を備える機器。
【請求項36】
第3者にカウンタ値を通知するための読み取り機に前記カウンタ値を無線で伝達するための通信回路をさらに含む請求項35に記載の機器。
【請求項37】
人によって携帯される、あるいは人の手が届く静止位置に取り付けられるように構成され、かつ、人によって使用されることにより人の手の清潔度の状態を検出するように構成された電子センサであって、使用者の手が清潔度を示すレベルの消毒物質を保持しているかどうかに基づいて前記人の手の清潔度の状態を検出する電子センサと、
前記センサに接続され、前記使用者が前記電子センサを使用することによって実行される清潔度の測定頻度、測定タイミングおよび/または測定結果に関する情報を記憶する記憶装置と、
を備える機器。
【請求項38】
モニタ領域内の2人以上の人の存在を検出するための検出回路と、人の手の上の消毒剤を検出するために使用される1つまたは複数のセンサから供給された情報に基づいて、前記モニタ領域内の人の手の清潔度の状態を通知するための通知回路とを有するモニタを備える機器。
【請求項39】
前記検出回路は、人が保持しているあるいは人の近くにある装置と無線で通信することにより、前記2人以上の人の存在を検出する、請求項38に記載の機器。
【請求項40】
前記無線通信がRFID通信からなる、請求項39に記載の機器。
【請求項41】
前記モニタ領域が医療施設内の部屋からなる、請求項38に記載の機器。
【請求項42】
前記センサが1人または複数の人によって身に着けられている、請求項38に記載の機器。
【請求項43】
前記センサは前記モニタに連結されている、請求項38に記載の機器。
【請求項44】
前記センサはエタノールを検出する、請求項38に記載の機器。
【請求項45】
前記清潔度の状態がそれぞれの人に対して個別に通知される、請求項38に記載の機器。
【請求項46】
前記清潔度の状態が前記領域内のすべての人に通知される、請求項38に記載の機器。
【請求項47】
人がモニタ領域に入ってきたことを検出するための回路と、前記領域に入ってきた前記人の手の清潔度の状態を前記領域内の他の人に認識可能に通知するための提示器とを有する入口モニタを備える機器。
【請求項48】
モニタ領域に人が入ってきたことを検出するための前記回路が無線通信素子を含む、請求項47に記載の機器。
【請求項49】
前記提示器が光からなる、請求項47に記載の機器。
【請求項50】
前記提示器は、消毒状態および非消毒状態を提示可能である、請求項47に記載の機器。
【請求項51】
前記提示器は、前記領域に人が入ってきたときその人の手が消毒状態であるか否かにかかわらず、その人の手の非消毒状態を提示するように設定される、請求項47に記載の機器。
【請求項52】
前記提示器は、消毒薬の存在を感知するセンサを使用して、人が消毒状態の証明に成功した後にのみ消毒状態を提示するべく切り替えられるように設定される、請求項51に記載の機器。
【請求項53】
前記提示器は、消毒薬の存在を感知する1つまたは複数のセンサを使用して、部屋に入ってきたすべての人が消毒状態の証明に成功した後にのみ消毒状態を提示するべく切り替えられるように設定される、請求項51に記載の機器。
【請求項54】
前記回路は、前記人が身に着けている装置から前記人を固有に識別する情報を取得する、請求項47に記載の機器。
【請求項55】
領域に入ってくる人によって身に着けられる身分証であって、それを身に着けている人を固有に識別する証拠を含む身分証と、
それぞれの人の手の上の消毒物質の存在を感知する1つまたは複数のセンサと、
前記領域内の1人または複数の人の存在を検出するとともに、前記領域内の人の清潔度の状態を提示するモニタと、
を備える機器。
【請求項56】
施設内のある領域から別の領域に移動する人の手の清潔度の状態をモニタリングするシステムであって、該システムが、
前記施設の1つまたは複数の領域内におけるそれぞれの人を固有に識別する回路と、
前記1つまたは複数の領域内における1人または複数の人の手の清潔度の状態をテストして、該テストと人の個人情報とを関連付ける回路と、
前記施設の領域内の人の前記テストされた清潔度に関する情報をその時々で交換して、関連する報告を第3者に提示するための通信ネットワークと、
を含む、システムを備える機器。
【請求項57】
人によって身に着けられるかあるいは携帯され、かつ人に固有に関連付けされた識別子を含む装置に、センサ上で人によって実行されるテストの記録を記憶して、一連のテスト回数ごとに人の手の清潔度の状態を判断することを備える方法。
【請求項58】
(a)使用者の手が清潔度を示すレベルの消毒物質を保持しているかどうかを検出することに基づいて、前記使用者の手の清潔度の状態を提示する提示器と、(b)前記使用者の手の清潔度の状態を提示することに関して有用な情報を外部装置に伝達するための無線通信素子とを含む着用可能な装置を備える機器。
【請求項59】
前記使用者の手の清潔度の状態を維持するための構成要素であって、消毒状態および非消毒状態を含む清潔度の状態を維持するための構成要素をさらに含む請求項58に記載の機器。
【請求項60】
前記使用者の手の実際の清潔度の状態にかかわらずに、当該機器の前記清潔度の状態を消毒状態から非消毒状態に切り替えるための構成要素をさらに含む請求項59に記載の機器。
【請求項61】
前記提示器が、視覚表示器、音響装置、ランプ、またはバイブレータのうちの少なくとも1つである、請求項58に記載の機器。
【請求項62】
前記使用者の手の清潔度の状態を示すデータ用の記憶装置をさらに含む請求項58に記載の機器。
【請求項63】
状態を消毒状態から非消毒状態に切り替えるためのコマンドを、着用可能な装置で受信すること、
前記コマンドに応答して、前記着用可能な装置の使用者の近傍にいる人により認識可能な提示器が、前記使用者の手が清潔度を示すレベルの消毒物質を保持しているかどうかを検出することに基づいて判断される前記使用者の手の実際の清潔度の状態にかかわらず、消毒の提示を非消毒の提示に切り替えること、
を備える方法。
【請求項64】
前記使用者の手の前記清潔度の状態に関する情報を外部装置に伝達することをさらに含む請求項63に記載の方法。
【請求項65】
清潔度を示すレベルの消毒物質を使用者の手が保持しているかどうかを検出することに基づいて判断される、着用可能な清潔度モニタの使用者の手の清潔度を、中央の記憶位置において記録することを備える方法。
【請求項66】
無線装置から該無線装置の範囲内の着用可能なモニタにコマンドを送信して、前記着用可能なモニタの状態を前記着用可能なモニタの使用者の手の非消毒状態に更新することを備える方法。
【請求項67】
アルコール蒸気を感知する素子の抵抗値の継続的な測定に基づいて、前記素子のアルコール蒸気に対する感度が低下している状態にあるかどうかを判定すること、
前記感度が低下している場合、前記素子のアルコール蒸気に対する感度を回復させるべく前記素子を加熱すること、
を備える方法。
【請求項68】
前記状態は、水が存在することを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項69】
前記判定は、測定値の変動の特性が予想された変動と異なるかどうかに基づく、請求項58に記載の方法。
【請求項70】
前記素子は、前記状態が解消されるまで加熱される、請求項58に記載の方法。
【請求項71】
使用者の指から発散されるアルコール蒸気のレベルのテストにおいて前記素子を使用することをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項72】
アルコール蒸気感知装置と、
使用者の手の清潔度を判定する前記感知装置の使用または前記使用者に関連する情報を提示する表示器と、
を備える機器。
【請求項73】
前記表示器は、そのピクセルがある状態から電力を使用する別の状態に切り替えられる装置であって、使用者が前記表示器の効果を妨害するのを防止するためにその後前記電力が解除されるまでその状態を維持する装置を含む、請求項63に記載の機器。
【請求項74】
前記使用者の手の前記清潔度に関する情報を保存するための記憶装置と、前記表示器上に前記情報を表示させるためのプロセッサとをさらに含む請求項63に記載の機器。
【請求項75】
使用者の手におけるアルコールの存在の測定に応答して、前記使用者の近傍の装置から前記使用者の近傍の他の人に向けて、前記使用者の手の清潔度の状態の可聴の信号を送信することを備える方法。
【請求項76】
前記清潔度の状態が消毒状態であるか非消毒状態であるかに応じて前記信号が異なる、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記信号は、不快音を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記信号は、一定の間隔で繰り返される短い音を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記音の大きさが経時的に増大する、および/または、前記間隔が経時的に短縮される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
アルコール・センサと、前記センサにより判定される使用者の手の清潔度の状態を提示する提示器と、前記清潔度の状態に関する情報を外部装置に伝達する無線送信器とを含む着用可能なユニットを備える機器。
【請求項81】
前記着用可能なユニットに付随あるいは非付随の信号送信素子であって、前記使用者の近傍の人に前記使用者の手の清潔度の状態を通知するための信号送信用素子をさらに含む請求項80に記載の機器。
【請求項82】
人の手の消毒に関する実際の状態にかかわらず、人が身に着けている着用可能な装置を人の手の非消毒を表す状態に電子的に同時に切り替えることにより、施設内の人の手の清潔度を管理することを備える方法。
【請求項83】
前記状態の切り替えを選択的に行うことをさらに含む請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記選択は、前記施設内の前記人の位置に基づく、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記選択は、前記人の特性または行動に基づく、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
施設内の人の手の清潔度の状態を、前記人によって身に着けられているモニタ装置から電子的に受信される情報であって、使用者の手が清潔度を示すレベルの消毒物質を保持しているかどうかを検出する前記モニタ装置に基づいて決定される情報を用いてモニタリングすることを備える方法。
【請求項87】
前記モニタリングは、前記モニタ装置と通信する中央の記憶位置から行われる、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記施設内の人および前記施設内の複数のグループの人々の清潔度の状態を経時的に通知することをさらに含む請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記人の位置を電子的にモニタリングすることをさらに含む請求項86に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−501028(P2009−501028A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518244(P2008−518244)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/023204
【国際公開番号】WO2007/001866
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507416263)バイオビジル リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】BIOVIGIL,LLC
【Fターム(参考)】