説明

手工具装置

【課題】粉塵粒子を最大限に吸引する手工具装置を得る。
【解決手段】加工すべき加工材に当接するための案内シュー20と、切断工具または研削工具11を部分的に覆うための保護機構30と、工具を駆動するためのモータ13と、モータを冷却するための通風装置15とを備え、案内シューには、工具のための工具開口26を設け、保護機構には少なくとも1個のフード状の保護素子31を備えた手工具装置において、案内シューに少なくとも1個の通風チャネル21を設け、この通風チャネルには、少なくとも1個の吸込み開口22を設け、この吸込み開口を介して通風チャネル21を通気装置15に連通し、さらに通通風チャネル21には、工具開口26の側方に少なくとも1個の吹出し開口23を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば研削装置または切断装置などの手工具装置であって、研削工具または切断工具を部分的に覆うための保護機構を備えた手工具装置に関するものである。
【0002】
このような手工具装置では、作動中、多量の粉塵が発生する。このような粉塵を捕捉するために、保護機構を設け、この保護機構を、粉塵を吸引する粉塵吸込み装置に接続可能にする。
【背景技術】
【0003】
特許文献1(独国特許公開第3525092号)に記載された、鋸装置として構成された手工具装置において、例えば丸のこ刃などの円板状の工具を、駆動モータによって、回転運動可能とする。この円板状の工具は、保護フードとして構成した保護機構によって部分的に保護される。この保護機構には、接続短管または吸引短管を備え、これにより、作動中に発生した粉塵を吸引する吸引装置を接続可能にしている。
【0004】
この既知の装置の欠点は、粉塵吸引装置が作動するにも係わらず、粉塵粒子が保護機構に設けられた開口から外部に流出し、加工すべき加工体を見えにくくするおそれがある点にある。
【特許文献1】独国特許出願公開第3525092号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、上述の欠点を回避し、粉塵粒子をできるだけ完全に吸引できる手工具装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載する特徴によって解決される。本発明によれば、手工具装置の案内シューに少なくとも1個の通風チャネルを設け、この通風チャネルには、少なくとも1個の吸込み開口を設け、この吸込み開口を介して通風チャネルを通風装置に連通し、さらにこの通風チャネルには、工具開口の側方に少なくとも1個の吹出し開口を設ける。
【発明の効果】
【0007】
本発明のこの構成により、手工具装置の作動中、少なくとも1個の吹出し開口から保護素子の方向に吹出す空気によって、切断工具または研削工具の、少なくともその作業領域の外部を保護するエアカーテンが発生し、このエアカーテンは、粉塵粒子および/または材料破片が、保護機構から外部に出るのをできるだけ阻止する。作業領域には粉塵および材料破片がとどまることはなく、ユーザーは、常に作業領域の視界を良好に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
好適には、工具開口の両側に2個の吹出し開口を設ける。この構成により切断工具または研削工具の両側にエアカーテンを生ずる。
【0009】
さらに、少なくとも1個の吹出し開口を細長いスリット状に構成すると好適である。この構成により、作業領域に、速度の速い気流が一定時間生じるようになる。
【0010】
また、通風チャネルを案内シュー内に構成すると、構造的に簡単となる。この構成により、通風チャネルを案内シューの外部に設けなくて済む。
【0011】
好適には、保護機構には、吸引装置に接続するために、保護素子から突出する、管状の少なくとも1個の接続短管を設ける。この構成により、エアカーテンは、吸引装置により発生する吸引気流があることで接続短管まで延長されるので、比較的連続的なエアカーテンが得られる。
【0012】
このとき好適には、例えば、管状の接続短管を少なくとも1個の吹出し開口に対して直径方向に対向させて設ける。こうすることで、作動中のエアカーテンは、最適に構成される。
【実施例】
【0013】
以下図面につき、本発明の実施例について詳述する。
図1には、切断装置、例えば手持ち丸のこの形態とした手工具装置10を示す。この手工具装置10は、対象物を切断するための、丸のこ刃として構成された円板状の切断工具または研削工具11を備え、この工具11は手工具装置10のハウジング12内に取り付けたモータ13によって駆動可能である。さらに手工具装置10には、ベースプレートとして構成した案内シュー20を設け、この案内シュー20によって手工具装置10は、加工すべき加工材に当接可能である。モータ13から突出する駆動軸14には通風装置15を取り付け、この通風装置15により、手工具装置10を冷却する空気が装置全体にわたり通過できる。駆動軸14は、さらに、円板状の切断工具または研削工具11の駆動にも使用する。
【0014】
手工具装置10の作動中に切断工具または研削工具11の半径方向に飛散する、除去された材料片および粉塵粒子からユーザーを保護するために、手工具装置10には、全体的に参照符号30で示す保護機構を設ける。この保護機構30にはフード状の保護素子31を設け、この保護素子31は切断工具または研削工具11を半径方向において円弧状に、少なくとも部分的に覆う。保護素子31は、保護機構30の連結領域を介して手工具装置10のハウジング12の工具側に固定する。
【0015】
保護機構30には、さらに、吸引装置(図1および図2には図示せず)、例えば工業用吸引装置のための管状の接続短管32を設ける。保護素子31は、開口33を通じて接続短管32に対して開口し、したがって、接続短管32に接続し、スイッチ投入した吸引装置により、保護素子31の内部空間34から接続短管32に流れる気流35(図1における矢印35参照)が発生する。
【0016】
案内シュー20には通風チャネル21を設け、この通風チャネル21は、案内シュー20における吸込み開口22およびハウジング開口16を通じて通風装置15に連通し、このため、通風装置15が送る空気を通風チャネル21内に吹き込まれる。空気は、図1および図2に示す矢印24に示すように、通風チャネル21を経て移動し、少なくとも2個の細長いかつスリット状の吹出し開口23から再び放出される。これらの吹出し開口23は、案内シュー20において、切断工具もしくは研削工具11の側方、または切断工具もしくは研磨工具11のための工具開口26の側方に取り付ける。このとき、これらの吹出し開口23は、切断工具または研削工具11が画定する平面Eに対してほぼ平行に延在する。手工具装置10の作動中は、吹出し開口23から吹出す空気によって、切断工具または研削工具11の、少なくともその動作領域外方を保護するエアカーテン25が発生する。このエアカーテン25は、粉塵粒子および/または材料破片が保護機構30から外に出るのをできる限り阻止する。エアカーテン25は、吸引装置により発生した吸引気流によって、接続短管32に移行し、したがって、比較的連続的なエアカーテンが得られる。このとき、接続短管32は、吹出し開口23に対して直径方向にほぼ対向する位置に設ける。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明手工具装置の一実施例における一部断面とする側面図である。
【図2】のこ刃、および通風ファンを有する手工具装置の案内シューの平面図である。
【符号の説明】
【0018】
10 手工具装置
11 切断工具または研削工具
12 ハウジング
13 モータ
14 駆動軸
15 通風装置
16 ハウジング開口
20 案内シュー
21 通風チャネル
22 吸込み開口
23 吹出し開口
24 気流
25 エアカーテン
26 工具開口
30 保護機構
31 保護素子
32 接続短管
33 開口
34 内部空間
35 気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手工具装置(10)であって、
加工すべき加工材に当接するための案内シュー(20)と、
切断工具または研削工具(11)を部分的に覆うための保護機構(30)と、
前記切断または研削工具(11)を駆動するためのモータ(13)と、
前記モータ(13)を冷却するための通風装置(15)と、
を備え、また、
前記案内シュー(20)には、前記切断または研削工具(11)のための工具開口(26)を設け、
前記保護機構(30)には少なくとも1個のフード状の保護素子(31)を備えた、該手工具装置において、
前記案内シュー(20)に少なくとも1個の通風チャネル(21)を設け、この通風チャネル(21)には、少なくとも1個の吸込み開口(22)を設け、この吸込み開口(22)を介して前記通風チャネル(21)を前記通風装置(15)に連通し、さらに前記通風チャネル(21)には、前記工具開口(26)の側方に少なくとも1個の吹出し開口(23)を設けたことを特徴とする、手工具装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保護機構において、前記工具開口(26)の両側に2個の吹出し開口(23)を設けたことを特徴とする保護機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載の保護機構において、前記少なくとも1個の吹出し開口(23)を、細長いスリット状に構成したことを特徴とする保護機構。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の保護機構において、前記通風チャネル(21)を前記案内シュー(20)内に構成したことを特徴とする保護機構。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の保護機構において、前記保護機構(30)には、吸引装置に接続するために、前記保護素子(31)から突出する、管状の少なくとも1個の接続短管(32)を設けたことを特徴とする保護機構。
【請求項6】
請求項5に記載の保護機構において、前記管状の接続短管(32)を、前記少なくとも1個の吹出し開口(23)に対して直径方向に対向させて設けたことを特徴とする保護機構。

【図1】
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【図2】
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