説明

手摺りのガラス板取付構造

【課題】支柱の目地枠部分の目地幅をできるだけ小さくし、外観上の体裁、見栄えを良くし、ガラス板の取付作業を簡単に行えるガラス板取付構造を提供する。
【解決手段】手摺り枠体1の支柱2と上枠3と下枠4とからなるガラス取付枠5にガラス板6を嵌装してなる手摺りのガラス板取付構造である。各ガラス取付枠5の支柱2は、支柱本体8とこれの室外側面に突設された目地枠9とからなり、目地枠9は、基台部10と突条壁12と、これの先端部に断面略T字状を成すように突設された化粧縁13とからなり、ガラス板6は、左右端部の室外面側に凹段部6oを有し、ガラス取付枠5にガラス板6を嵌装するにあたり、目地枠9の化粧縁13に先付けビート14を取り付け、左右に対向する両突条壁12,12のガラス嵌合部11,11間にガラス板6を上方より挿入し、ガラス板6端部の凹段部6oに先付けビート14を突入嵌合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物のベランダ等の室外側端部に設置される手摺りに関するもので、特に、堰壁上に一定間隔をおいて立設される支柱と、これら支柱の上端部をつなぐ上枠と、支柱の下端部をつなぐ下枠とによって矩形状の手摺り枠体を形成し、この手摺り枠体の左右に対向する支柱と上枠と下枠とからなる各ガラス取付枠にガラス板を嵌装するようにした手摺りのガラス板取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるこの種手摺りのガラス板取付構造として、特許公報等の具体的な公知文献を挙げることはできないが、現在使用されている高さ1.2mの手摺りにおいては、矩形状のガラス取付枠体を形成する支柱の見附幅が5cm程度以上と可なり大きいことから、室内外から見た支柱の見栄えが良くない。
【0003】
従来のガラス取付枠の支柱の見附幅を5cm程度以上と幅広くせざるを得ない理由は、各支柱が、室内外方向に間隔をおいた内外一対の枠部と、両枠部をつなぐと共に、両枠部間の空間を左右に仕切って左右両側にガラス嵌合溝を形成する仕切壁とにより構成されていて、ガラス取付枠にガラス板を嵌め込むのに、ガラス板の一側端部を左右支柱の何れか一方のガラス嵌合溝に深く嵌め込んだ後、ガラス板の他側端部を他方のガラス嵌合溝に嵌め込んで左右方向にスライドさせる、言わば左右検鈍式によって、ガラス板をガラス取付枠に嵌め込むことから、仕切壁の両側に形成されるガラス嵌合溝の深さを十分に深くする必要があり、それがために支柱の見附幅がどうしても幅広くなり、外観上の体裁、見栄えが悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑み、支柱の目地枠部分の目地幅をできるだけ小さくすると共に目地枠部分がガラス面から出っ張らないようにして、外観上の体裁、見栄えを良くし、更にガラス板の取付作業を簡単に行えるようにしたガラス板取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、堰壁7上に一定間隔おきに立設される支柱2と、支柱2の上端部をつなぐ上枠3と、支柱2の下端部をつなぐ下枠4とによって手摺り枠体1を形成し、この手摺り枠体1の左右に対向する支柱2,2と上枠3と下枠4とからなる各ガラス取付枠5にガラス板6を嵌装してなる手摺りのガラス板取付構造であって、各ガラス取付枠5の支柱2は、角筒状の支柱本体8とこれの室外側面に突設された目地枠9とからなり、目地枠9は、基台部10と、これの幅方向中央部に突設されてその左右両側にガラス嵌合部11を形成する突条壁12と、これの先端部に断面略T字状を成すように突設された化粧縁13とからなり、ガラス板6は、左右端部の室外面側に凹段部6oを有し、ガラス取付枠5にガラス板6を嵌装するにあたって、目地枠9の化粧縁13に先付けビート14を取り付け、左右に対向する両突条壁12,12のガラス嵌合部11,11間にガラス板6を上方より挿入して、ガラス板6端部の凹段部6oに先付けビート14を突入嵌合させることにより、目地枠9の化粧縁13がガラス板6の室外面から出っ張らないようにし、ガラス板6の下端部及び上端部は、下枠4及び上枠3のガラス嵌合部22,16に夫々嵌め込んで保持してなることを特徴とする。
【0006】
請求項2は、請求項1に記載の手摺りのガラス板取付構造において、支柱2の目地枠9にはガラス嵌合部11の室内側に、ガラス板6左右端部の室内面を押える押えビート15を取り付けてなることを特徴とする。
【0007】
請求項3は、請求項1又は2に記載の手摺りのガラス板取付構造において、支柱2の目地枠9が支柱本体8とは別体に形成されて、支柱本体8の室外側面に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項4は、請求項1又は2に記載の手摺りのガラス板取付構造において、支柱2の目地枠9が支柱本体8の室外側面に一体に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項5は、請求項1〜4の何れかに記載の手摺りのガラス板取付構造において、支柱2の目地枠9は、下枠4の端部が位置する部分より下方が支柱本体8から切除されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の手摺りのガラス板取付構造によれば、各ガラス取付枠5の支柱2が角筒状の支柱本体8とこれの室外側面に突設された目地枠9とからなり、目地枠9が、基台部10と、これの幅方向中央部に突設された突条壁12と、これの先端部に断面略T字状を成すように突設された化粧縁13とからなり、ガラス板6は左右端部の室外面側に凹段部6oを有するもので、ガラス取付枠5にガラス板6を嵌装するにあたり、目地枠9の化粧縁13に先付けビート14を取り付け、左右に対向する両突条壁12,12のガラス嵌合部11,11間にガラス板6を上方より挿入し、ガラス板6の下端部及び上端部を、下枠4及び上枠3のガラス嵌合部22,16に夫々嵌め込んで保持するようにしたから、ガラス板6の嵌め込み作業に外部足場を仮設することなく、簡単容易に行うことができると共に、目地枠9の突条壁12の左右両側に形成されるガラス嵌合部11へのガラス板6端部の嵌め込み深さを十分浅くすることが可能となり、これによってガラス板6の室外側から見た目地枠9の見附幅vを例えば15mm程度と幅狭にすることができる。そしてまた、目地枠9の化粧縁13に取り付けた先付けビート14をガラス板6端部の凹段部6oに突入嵌合させることによって、目地枠9の化粧縁13がガラス板6の室外面から出っ張らないようにしているから、目地枠9の見附幅vを幅狭にできることと相俟って、室外側から見た外観上の体裁、見栄えを良好なものにすることができる。
【0011】
請求項2に係る発明のように、支柱2の目地枠9にはガラス嵌合部11の室内側に押えビート15を取り付けて、この押えビート15でガラス板6左右端部の室内面を押えるようにすれば、ガラス板6の左右端部室外面が先付けビート14に押し付けられて、ガラス板6の左右端部が室内側の押えビート15と室外側の先付けビート14とで確実に保持固定されると共に、両ビート14,15がガラス板6と金属製目地枠9との緩衝材として機能するため、衝撃や振動等によるガラス板6の破損を防止することができる。
【0012】
請求項3に係る発明のように、支柱2の目地枠9が支柱本体8とは別体に形成されて、支柱本体8の室外側面に取り付けられている場合は、目地枠9の一部が破損したり、ガラス板6の厚さが変更されるときは、目地枠9のみを取り換えればよいから、きわめて経済的である。
【0013】
請求項4に係る発明のように、支柱2の目地枠9が支柱本体8の室外側面に一体に形成されている場合は、支柱2の製作が容易で、支柱2のコストを安くできる。
【0014】
請求項5に係る発明のように、支柱2の目地枠9は、下枠4の端部が位置する部分より下方が支柱本体8から切除されているから、下枠4の取付けが容易になると共に、外観上の体裁がより一層良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る手摺りを室外側から見た正面図である。
【図2】図1のA−A拡大断面図である。
【図3】図1のW−W線拡大面図である。
【図4】(a) は図3の一部拡大図で、本発明のガラス板取付構造の一実施形態を示し、(b) は化粧縁に先付けビートを取り付ける状態を示す説明図である。
【図5】支柱への下枠端部の取付部分を示す斜視図である。
【図6】ガラス板取付構造の他の実施形態を示す、図4の(a) と同様な断面図である。
【図7】(a) 〜(d) はガラス板の嵌め込み手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1は本発明に係る他の手摺りを室外側から見た正面図、図2は図1のA−A拡大断面図、図3は図1のB−B線拡大面図、図4の(a) は図3の一部拡大図である。ここに示す手摺りは、ベランダの堰壁7上に一定間隔おきに立設される支柱2と、これら支柱2の上端部をつなぐ上枠3と、支柱2の下端部をつなぐ下枠4とによって手摺り枠体1を形成し、この手摺り枠体1の左右に対向する支柱2,2と上枠3と下枠4とからなる各ガラス取付枠5にガラス板6を嵌装してなるものである。
【0017】
各ガラス取付枠5の左右各支柱2は、図3及び図4の(a) から分かるように、角筒状の支柱本体8と、この支柱本体8の室外側面に突設された目地枠9とから構成される。この目地枠9は、支柱本体8とは別体に形成されて、支柱本体8の室外側面に取り付けられるもので、基台部10と、この基台部10の幅方向中央部に突設されてその左右両側にガラス嵌合部11,11を形成する突条壁12と、この凸条壁12の先端部に断面略T字状を成すように突設された化粧縁13とからなり、基台部10は、この基台部10に設けた係嵌用の凸部10a及び凹部10bを、支柱本体8の室外側面に設け係嵌用の凹部8a及び凸部8bに対し夫々互いに係嵌させることにより、支柱本体8に長手方向スライド自在に取り付けられる。
【0018】
各支柱2の支柱本体8及び目地枠9は、夫々アルミ押出形材によって形成されている。目地枠9の化粧縁13にはガラス嵌合部11の室外側に、先付けビート14が、ガラス板6の取付け前に取り付けられる。基台部10にはガラス嵌合部11の室内側に、ガラス板6の左右端部の室内面を押えるための押えビート15が、ガラス嵌合部11へのガラス板6の嵌め込み後に、ガラス板6の室内面との間に介挿される。先付けビート14及び押えビート15は、夫々合成樹脂により形成されたものである。先付けビート14を目地枠9の化粧縁13に取り付けるには、図4の(b) に示すように、先付けビート14の幅の狭くなった一側端部14aを、化粧縁13の裏面部と突条壁12側の小凸条部12aとの間の内隅部に嵌合させると共に、先付けビート14の先端面側に設けてある凹溝部14bを化粧縁13の側端部から内向きに突出する小凸条部13oに嵌め込んだ状態とすればよく、これにより先付けビート14は、化粧縁13に対して確実に固定され、簡単に外れるようなことはない。
【0019】
ガラス板6は、2枚のガラス板を強靱な樹脂膜により接着して一体化した合わせガラスからなるもので、透明ガラス、乳白色ガラス、色ガラスなどを必要に応じて使用することができる。そして、このガラス板6は、図3及び図4の(a) に示すように、左右端部の室外面側に段落ち加工によって形成された凹段部6oを有し、この凹段部6oには、ガラス嵌合部11へのガラス板6の挿入時に、目地枠9に取り付けてある化粧縁13が突入嵌合するようになっている。尚、段落ち加工とは、ガラス板加工方法の一つで、ガラスの端部を断面L字状に切り落として、凹段部を形成する方法である。
【0020】
上枠3は、図2及び図7の(c) ,(d) に示すように、室外側端部にガラス嵌合部16を有し、支柱本体8の上端面にビス17止めされる取付基枠18と、この取付基枠18を被うように被嵌される笠木部材19とからなるもので、この取付基枠18及び笠木部材19は夫々アルミ押出形材によって形成される。尚、取付基枠18を支柱本体8の上端面に固定するビス17は、支柱本体8内のビスホール8c(図3,図4参照)にねじ込まれる。取付基枠18のガラス嵌合部16の室内側端部にはバックアップ材20が取り付けられ、ガラス嵌合部11の室外側端部に受けゴム21が取り付けられている。そして、笠木部材19は、その室外側係止部19aを取付基枠18の係止部18aに係止させ、室内側係止部19bを取付基枠18の室内側係止部18bに係止させることによって、取付基枠18を被うように被嵌される。
【0021】
下枠4は、図2及び図5に示すような矩形枠状のアルミ押出形材からなるもので、左右に対向する支柱2,2の目地枠9,9間に介挿されて、支柱本体8にビス29止めされるようになっている。この下枠4の内底部にセッティングブロック(スペーサ)30が設けられ、このセッティングブロック30の上部側がガラス嵌合部22を形成し、このガラス嵌合部22の室外側に受けゴム23が取り付けられ、室内側にバックアップシール材24が取り付けられている。
【0022】
また図5に示すように、支柱本体8の目地枠9は、ガラス取付枠5の下枠4の端部4aが位置する部分から下方が支柱本体8から切除されている。そして、この下方部分が切除された目地枠9の下端側に接するように、左右に隣り合うガラス取付枠5,5の双方の下枠4,4の対向端部4a,4aが突き合わされ、この突き合わさった両下枠4,4の対向端部4a,4aの間隙25を覆い隠す化粧カバー26が両下枠4,4の対向端部4a,4aにわたって設けてある。化粧カバー26は、両下枠4,4の対向端部4a,4aの室外側面を覆う正面板部26aと、前記対向端部4a,4aの底面を覆う下板部26bとによって略L字状に形成されたカバー本体26abからなるもので、下板部26bの内側縁部には前記対向端部4a,4aの室内側面にビス37止めされるビス止め片26cが設けられ、正面板部26aの上端部には前記対向端部4a,4aの室外側面上端部に係止される係止縁部26dが設けられている。
【0023】
上記下枠4を支柱2に取り付けるにあたっては、下枠4の端部4aの室内側部分を平面視略L字状に切欠して、その切欠部4oを、図4の(a) 及び図5に示すように、支柱本体8の室外側面及びこれに隣接する横側面部にわたって係合した状態で、下枠4内の室内側で上下に対向突出する上下フランジ片27,28から夫々支柱本体8の室外側面に対してビス29をねじ込むことにより、下枠4の端部4aを支柱本体8に固定する。
【0024】
この場合、下枠4内の室内側上部フランジ片27から支柱本体8の室外側面にビス29をねじ込むにあたり、下枠端部4aの室外側側壁31上部から室外側受けゴム取付溝33及び室内側バックアップシール材取付溝34にわたってドリル、ビス、ドライバー挿通用の孔(図示省略)を開ける必要があり、図5には下枠端部4aの室外側側壁31上部に設けた孔を35で示す。また、下枠端部4aの室外側側壁31下部に同様にドリル、ビス、ドライバー挿通用の孔36を開ける。しかして、この下枠端部4aの室外側側壁31上部に設けた孔35から、先ずドリルを挿入して、下枠4室内側の上部フランジ片27と、下枠端部4aの室内側側壁32上部とにビス挿通用孔を開け、次いで室外側側壁31の下部の孔36からドリルを挿入して、下枠4室内側の下部フランジ片28と、下枠端部4aの室内側側壁32下部とにビス挿通用孔を開ける。この後、前記孔35から上部フランジ片27及び室内側側壁32のビス挿通用孔にビス29を挿入して、ドライバー(図示せず)で支柱本体8の室外側面にビス29をねじ込み、また前記孔36から下部フランジ片28及び室内側側壁32のビス挿通用孔にビス29を挿入して、ドライバーで支柱本体8の室外側面にビス29をねじ込めばよい。
【0025】
化粧カバー26を図5の仮想線で示すように両下枠4,4の対向端部4a,4aにわたって取り付けるには、カバー本体26abを下枠4の室外側面及び底面に嵌合させ、ビス止片26cを下枠4の室内側下端コーナー部に係合させると共に、係止縁部26dを下枠4の室外側面上端部に係止させ、そしてビス止片26cを、図4の(a) に示すようにビス37で下枠4の室内側側壁32に対して固定する。こうして図5の仮想線で示すように両下枠4,4の対向端部4a,4aにわたって化粧カバー26を取り付けることにより、両下枠4,4の対向端部4a,4aの間隙25が覆い隠されると共に、下枠4の室外側側壁31に設けられた孔35,36が覆い隠されるから、両下枠4,4の対向端部4a,4aにおける室外側での外観上の体裁、見栄えを良くすることができる。
【0026】
尚、図1に示す手摺りにおける各ガラス取付枠5の寸法の一例を示せば、左右に対向する支柱2,2間のピッチPは1200mm、目地枠9の化粧縁13に先付けビート14を取り付けた状態での目地幅v(図4の(a) 参照)は約15mm、化粧縁13の幅w(図4の(a) 参照)は10mm、上枠3の厚み幅nは30mm、下枠4の厚み幅mは30mm、手摺り高さHは1200mmである。
【0027】
次に、上述した図1に示す手摺りのガラス取付枠5にガラス板6を嵌装する手順を主に図7の(a) 〜(d) を中心に他の図を参照して説明する。このガラス板6の嵌装にあたり、図7の(a) に示すように、上枠3は支柱本体8の上端に未だ取り付けていない状態とし、また各ガラス取付枠5の支柱2には目地枠9の化粧縁13の両端部に先付けビート14を取り付けて、図5に示すような状態にしておく。
【0028】
それから、左右に対向する両突条壁12,12のガラス嵌合部11,11間にガラス板6を図7の(a) に示すように上方より挿入して、ガラス板端部6aの凹段部6oに先付けビート14を突入嵌合させた状態とし、それによって目地枠9の化粧縁13は図4の(a) に示すように、その外面がガラス板6の室外面から出っ張らず、それとほとんど面一状態となる。この時、ガラス板6の下端部は、図7の(b) に示すように下枠4内のガラス嵌合部22に納まって、セッティングブロック(スペーサ)30上に支持されると共に、室外側の受けゴム23と室内側のバックアップシール材24とで挟持されてシールされる。
【0029】
上記のようにしてガラス板6の左右両端部を左右に対向する両突条壁12,12のガラス嵌合部11,11間に嵌め入れると共に、ガラス板6の下端部を下枠4内のガラス嵌合部22に嵌め込んだ後、目地枠9の基台部10とガラス板6との間に押えビート15を挿入して、この押えビート15によりガラス板6の左右端部室内面を押え付け、それによりガラス板6のガラス板6の左右端部室外面を先付けビート14に密接させる。即ち、押えビート15を基台部10とガラス板6との間に挿入することにより、ガラス板6の左右端部室外面が先付けビート14に押し付けられて、ガラス板6の左右端部が室内側の押えビート15と室外側の先付けビート14とで確実に保持固定されると共に、両ビート14,15がガラス板6と金属製目地枠9との緩衝材として機能するため、衝撃や振動等によるガラス板6の破損を防止することができる。
【0030】
次いで、図7の(c) に示すように、上枠3の取付基枠18を支柱本体8の上端面にビス17で固定し、そしてこの取付基枠18に笠木部材19を被嵌して、図7の(d) に示すような状態とする。取付基枠18に形成されるガラス嵌合部16の室内側にはペースト状のシール材38を詰め込み、また下枠4のガラス嵌合部22の室内側にもペースト状のシール材38を詰め込む。これによって、ガラス板6の嵌め込みを終了する。
【0031】
図3〜図5に示す手摺りのガラス板取付構造では、支柱2の目地枠9が支柱本体8と別体に形成されているが、図6には、支柱2の目地枠9が支柱本体8の室外側面に一体に形成されているガラス板取付構造を示す。即ち、支柱2の目地枠9は、基台部10と、この基台部10の幅方向中央部に突設された突条壁12と、この凸条壁12の先端部に断面略T字状を成すように突設された化粧縁13とからなるものであるが、図6に示す支柱2の目地枠9は、基台部10が支柱本体8の室外側面に一体に形成されたもので、この点以外は、図3〜図5に示す手摺りのガラス板取付構造と全く同じであるから同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
図3〜図5に示すように、目地枠9が支柱本体8とは別体に形成されている支柱2は、目地枠9の一部が破損した場合とか、ガラス板6の厚さが変更される場合には、目地枠9のみを取り換えればよいから、きわめて経済的である。また図6に示すように、目地枠9が支柱本体8の室外側面に一体に形成されている支柱2は、製作が容易であるから、支柱2のコストを安くできる。
【0033】
上述した図1〜図7に示すような実施形態の手摺りのガラス板取付構造は、ガラス取付枠5の支柱2が角筒状の支柱本体8とこれの室外側面に突設された目地枠9とからなり、目地枠9は、基台部10と、これの幅方向中央部に突設されてその左右両側にガラス嵌合部11を形成する突条壁12と、これの先端部に断面略T字状を成すように突設された化粧縁13とからなり、ガラス板6は、左右端部の室外面側に凹段部6oを有し、ガラス取付枠5にガラス板6を嵌装するにあたって、目地枠9の化粧縁13に先付けビート14を取り付け、左右に対向する両突条壁12,12のガラス嵌合部11,11間にガラス板6を上方より挿入し、ガラス板6の下端部及び上端部は、下枠4及び上枠3のガラス嵌合部22,16に夫々嵌め込んで保持するようにしたもので、ガラス板6の嵌め込み作業に外部足場を仮設することなく、簡単容易に行うことができると共に、目地枠9の突条壁12の左右両側に形成されるガラス嵌合部11へのガラス板6端部の嵌め込み深さを十分浅くすることが可能となり、これによってガラス板6の室外側から見た時の目地枠9の見附幅vは、図1を見れば分かるように、例えば15mm程度と幅狭にすることができる。そしてまた、ガラス板6端部の凹段部6oに先付けビート14を突入嵌合させることによって、目地枠9の化粧縁13がガラス板6の室外面から出っ張らないようにしているから、目地枠9の見附幅vを幅狭にできることと相俟って、室外側から見た外観上の体裁、見栄えが良好となる。
【0034】
また、このガラス板取付構造によれば、ガラス板6に加わる風圧による荷重は、左右に対向する目地枠9,9と上枠3と下枠4との4辺で受けるため、通常のシール目地の場合よりもガラス板の厚さを薄くすることができる。即ち、シール目地の場合は、シリコン等のシール材がガラス板の端面に接着することによってガラス板を保持することから、ガラス板の厚さが相当に厚くないと、十分な保持力が得られないが、本発明のガラス板取付構造では、ガラス板6の上端部及び下端部は、上枠3のガラス嵌合部16及び下枠4のガラス嵌合部22で夫々確実に保持し、ガラス板6の左右端部は、目地枠9の化粧縁13に取り付けた先付けビート14をガラス板端部の凹段部6oに嵌合させるから、ガラス板6が比較的薄くても、凹段部6oに嵌合する先付けビート14によってガラス板6の左右端部を十分に保持できる。
【0035】
また、この手摺りにおいて、各支柱2の目地枠9は、図2及び図5に示されるように、下枠4の端部が位置する部分より下方が支柱本体8から切除されているため、下枠4の取付けが容易になると共に、外観上の体裁がより一層良好となる。
【符号の説明】
【0036】
1 手摺り枠体
2 支柱
3 上枠
4 下枠
5 ガラス取付枠
6 ガラス板
7 堰壁
8 支柱本体
9 目地枠
10 目地枠の基台部
11 ガラス嵌合部
12 目地枠の突条壁
13 目地枠の化粧縁
14 先付けビート
15 押えビート
16 上枠のガラス嵌合部
22 下枠のガラス嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堰壁上に一定間隔おきに立設される支柱と、支柱の上端部をつなぐ上枠と、支柱の下端部をつなぐ下枠とによって手摺り枠体を形成し、この手摺り枠体の左右に対向する支柱と上枠と下枠とからなる各ガラス取付枠にガラス板を嵌装してなる手摺りのガラス板取付構造であって、各ガラス取付枠の支柱は、角筒状の支柱本体とこれの室外側面に突設された目地枠とからなり、目地枠は、基台部と、これの幅方向中央部に突設されてその左右両側にガラス嵌合部を形成する突条壁と、これの先端部に断面略T字状を成すように突設された化粧縁とからなり、ガラス板は、左右端部の室外面側に凹段部を有し、ガラス取付枠にガラス板を嵌装するにあたって、目地枠の化粧縁に先付けビートを取り付け、左右に対向する両突条壁のガラス嵌合部間にガラス板を上方より挿入して、ガラス板端部の凹段部に先付けビートを突入嵌合させることにより、目地枠の化粧縁がガラス板の室外面から出っ張らないようにし、ガラス板の下端部及び上端部は、下枠及び上枠のガラス嵌合部に夫々嵌め込んで保持してなる手摺りのガラス板取付構造。
【請求項2】
支柱の目地枠にはガラス嵌合部の室内側に、ガラス板左右端部の室内面を押える押えビートを取り付けてなる請求項1に記載の手摺りのガラス板取付構造。
【請求項3】
支柱の目地枠が支柱本体と別体に形成されて、支柱本体の室外側面に取り付けられている請求項1又は2に記載の手摺りのガラス板取付構造。
【請求項4】
支柱の目地枠が支柱本体の室外側面に一体に形成されている請求項1又は2に記載の手摺りのガラス板取付構造。
【請求項5】
支柱の目地枠は、下枠の端部が位置する部分より下方が支柱本体から切除されている請求項1〜4の何れかに記載の手摺りのガラス板取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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