説明

手摺りユニット

【課題】防振用連結部材を手摺り子に対し傷つけることなく簡単容易に取り付けでき、十分な振動抑制機能を発揮させることができるようにした手摺りユニットを提供する。
【解決手段】互いに所要間隔をおいて配置される複数の支柱1と、対向する両支柱1,1に固定され、横方向に延びる上下の横桟2,3とによって形成されるフレーム4内に、縦方向又は横方向に延びる多数の手摺り子5…が所要間隔おきに配置されて上下横桟2,3又は両支柱1,1に固定されてなる手摺りユニットである。フレーム4内の多数の手摺り子5…が、手摺り子5と直交する方向に延びる両側一対の防振用連結部材6,6により両連結部材6,6の夫々内側に配置される振動減衰部材7を介して手摺り子両面側から挟み付けられ、両連結部材6,6間に介装される複数の締付用ボルト8・ナット9で一体的に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅のベランダ等に設置される手摺りユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
手摺りユニットは、互いに所要間隔をおいて配置される複数の支柱と、対向する両支柱に固定され、横方向に延びる上下の横桟とによって形成されるフレーム内に、縦方向又は横方向に延びる多数の手摺り子が所要間隔おきに配置されて上下横桟又は両支柱に固定されてなるものである。
【0003】
ところで、例えば集合住宅のベランダに設置された手摺りユニットにおいては、手摺り子が風を受けることにより振動を生じて、風切音を発生するという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているように、振動減衰性能を有する物質により手摺り子に接着又は固着されて横方向に延びる振動防止用の桟を設けることが提案されている。これによると、手摺り子の振動が振動減衰性能を有する部材によって減衰され、手摺り子の振動による風切音の発生が抑制される。
【特許文献1】特開2006−200210号公報
【特許文献2】特開平11−93363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、例えば特許文献1にあっては、振動防止用の桟が振動減衰性能を有する物質により接着されているだけであるため、長期間使用中に接着力が劣化して振動防止用桟から剥離することがあり、また特許文献1のように振動防止用桟をビスによって手摺り子に取り付ける場合は、取付作業に非常に手間がかかる上に、手摺り子に傷がついて手摺り子のメッキや塗装が剥げて、手摺り子が早期に腐食するといった問題がある。更に、特許文献1及び特許文献2の何れも、振動防止用桟が手摺り子の片面側にしか接着されていないため、振動抑制機能が十分ではなかった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑み、防振用連結部材を手摺り子に対し傷つけることなく簡単容易に取り付けることができると共に、十分な振動抑制機能を発揮させることができるようにした手摺りユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、互いに所要間隔をおいて配置される複数の支柱1と、対向する両支柱1,1に固定され、横方向に延びる上下の横桟2,3とによって形成されるフレーム4内に、縦方向又は横方向に延びる多数の手摺り子5…が所要間隔おきに配置されて上下横桟2,3又は両支柱1,1に固定されてなる手摺りユニットであって、
前記フレーム4内の多数の手摺り子5…が、手摺り子5と直交する方向に延びる両側一対の防振用連結部材6,6により両連結部材6,6の夫々内側に配置される振動減衰部材7を介して手摺り子両面側から挟み付けられ、両連結部材6,6間に介装される複数の締付用ボルト8・ナット9で一体的に連結されてなることを特徴とする。
【0008】
請求項2は、請求項1に記載の手摺りユニットにおいて、前記振動減衰部材7はゴム材又は軟質合成樹脂材からなることを特徴とする。
【0009】
請求項3は、請求項1又は2に記載の手摺りユニットにおいて、前記一対の防振用連結部材6,6の各連結部材6には内側面の上端部側と下端部側とに振動減衰部材取付用の嵌合溝部10が連結部材6全長に亘って形成され、上下両嵌合溝部10,10の中間にボルト挿通孔11が形成され、上部側嵌合溝部10には上部側振動減衰部材7の裏面側に形成された取付部片7oが、また下部側嵌合溝部10には下部側振動減衰部材7の裏面側に形成された取付部片7oが夫々スライド可能に嵌合され、しかして一方の連結部材6のボルト挿通孔11から手摺り子5と手摺り子5の間を通って他方の連結部材6のボルト挿通孔11に亘って締付用ボルト8が挿通され、その先端部にナット9が螺合されるようになっていることを特徴とする。
【0010】
請求項4は、請求項1又は2に記載の手摺りユニットにおいて、前記一対の防振用連結部材6,6の各連結部材6には、内側面の上端部側と下端部側とに振動減衰部材取付用の嵌合溝部10が連結部材全長に亘って形成されると共に、上下両嵌合溝部10,10の中間にボルト頭嵌合溝部12が連結部材全長に亘って形成され、上部側嵌合溝部10には上部側振動減衰部材7の裏面側に形成された取付部片7oが、また下部側嵌合溝部10には下部側振動減衰部材7の裏面側に形成された取付部片7oが夫々スライド可能に嵌合され、両連結部材6,6の一方にはボルト頭嵌合溝部12にボルト挿通孔11が形成され、しかして他方の連結部材6のボルト頭嵌合溝部12にボルト頭8oを嵌合させた締付用ボルト8が前記一方の連結部材6のボルト挿通孔11に挿通され、その先端部に袋ナット19が螺合されるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明によれば、フレーム内の多数の手摺り子5…が、両側一対の防振用連結部材6,6により両連結部材6,6の夫々内側に配置される振動減衰部材7を介して手摺り子5…の両面側から挟み付けられて、両連結部材6,6間に介装される複数の締付用ボルト8・ナット9で一体的に連結されるから、風を受けて生じる手摺り子5の振動が振動減衰部材7により減衰又は吸収されて、手摺り子5の振動による風切音の発生が抑制されるが、特に、手摺り子5…を一対の連結部材6,6により振動減衰部材7,7を介して手摺り子5…の両面側から挟み付けるため、従来の振動防止手段に比べ、格段にすぐれた振動抑制機能を発揮することができると共に、長期間使用しても振動減衰部材7は手摺り子5から剥離するおそれがなく、手摺り子5に確実に装着させることができる。そして、振動減衰部材7が劣化した時などは容易に交換することができる。
【0012】
また、連結部材6を手摺り子5に取付け固定するボルト8は、両防振用連結部材6,6の間で手摺り子5と手摺り子5との間を通して介装されるから、手摺り子5を傷つけることなく連結部材6及び振動減衰部材7を手摺り子5に対し簡単容易に取付け固定することができる。
【0013】
請求項2に記載のように、振動減衰部材7はゴム材又は軟質合成樹脂材からなるものが好ましい。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、連結部材6を手摺り子5に取付け固定するのに、一方の連結部材6のボルト挿通孔11から手摺り子5と手摺り子5との間を通して他方の連結部材6のボルト挿通孔11にボルト8を挿通し、その挿通端部にナット9を螺合して締め付けることにより、手摺り子5を傷つけることなく連結部材6及び振動減衰部材7を手摺り子5に簡単容易に取付け固定できる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、連結部材6を手摺り子5に取り付けるボルト8の頭8oが連結部材6の内側に隠れてしまい、またボルト8の先端部は袋ナット19によって隠れるから、外観上の体裁、見栄えが良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1は本発明に係る手摺りユニットをベランダの外側から見た正面図であり、図2は図1のX−X線拡大断面図、図3は図1のY−Y線拡大断面図である。この手摺りユニットは、集合住宅のベランダの立ち上り壁T上に互いに所要間隔をおいて配置される複数の支柱1と、対向する両支柱1,1に固定され、横方向に延びる上下の横桟2,3とによって形成されるフレーム4内に、縦方向に延びる多数の手摺り子5が所要間隔おきに配置されて上下横桟2,3に固定されてなるもので、フレーム4内の多数の手摺り子5は、手摺り子5と直交する方向に延びる両側一対の防振用連結部材6,6により両連結部材6,6の夫々内側に配置される振動減衰部材7を介して手摺り子5,5両面側から挟み付けられ、両連結部材6,6間に介装される複数の締付用ボルト8・ナット9で一体的に連結されている。このナット9は、袋ナットに限らず、普通のナットでもよい。
【0017】
一対の防振用連結部材6,6は夫々、アルミ押出形材からなるもので、図2に示すように、各連結部材6には内側面の上端部側と下端部側とに振動減衰部材取付用の嵌合溝部10,10が連結部材6の全長に亘って形成され、上下両嵌合溝部10,10の中間には、連結部材6の長さ方向所要間隔おきにボルト挿通孔11が穿設され、上部側嵌合溝部10には上部側振動減衰部材7の裏面側に形成された略々T字状の取付部片7aが、また下部側嵌合溝部10には下部側振動減衰部材7の裏面側に形成された取付部片7aが夫々スライド可能に嵌合されている。
【0018】
各防振用連結部材6は、対向する両手摺支柱1,1の対向側面間の長さより僅かに短い長さに形成されていて、図3に示すように、連結部材6の端面と手摺支柱1の対向側面との間に僅かに隙間Sができるようにしている。また、各防振用連結部材6に設けられるボルト挿通孔11は、図1から分かるように、手摺り子5のピッチの例えば2倍のピッチで穿設されている。
【0019】
各振動減衰部材7は、手摺り子5の振動を減衰又は吸収する性能を有するもので、クロロプレンゴム、エチレンゴム、プロピレンゴム等のゴム材、又はシリコン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の軟質合成樹脂材によって長尺帯状に形成され、これらのゴム材又は軟質合成樹脂材は弾性を有する点で、振動減衰部材7の形成材料としてより好ましい。図2に示すように、各振動減衰部材7の表面には複数条の滑り止め用凹溝7aが振動減衰部材7の全長に亘って形成されている。
【0020】
しかして、防振用連結部材6を手摺り子5に取り付けるには、内側面の上下部に振動減衰部材7を夫々取り付けた一対の防振用連結部材6,6を、フレーム4内の多数の手摺り子5…の両側に配置して、これらの手摺り子5…を挟み付けた状態とし、かかる状態で、一方の連結部材6のボルト挿通孔11から手摺り子5と手摺り子5との間を通して他方の連結部材6のボルト挿通孔11にボルト8を挿通し、その挿通端部にナット9を螺合して締め付けることにより、多数の手摺り子5…を両連結部材6,6の夫々内側に配置した振動減衰部材7を介して手摺り子5両面側から挟着して、これらの手摺り子5…を一体的に連結し、図1〜3に示すような状態とする。
【0021】
上記のように、フレーム内の多数の手摺り子5…が、両側一対の防振用連結部材6,6により両連結部材6,6の夫々内側に配置される振動減衰部材7を介して手摺り子5…の両面側から挟み付けられて、両連結部材6,6間に介装される複数の締付用ボルト8・ナット9で一体的に連結されることにより、風を受けて生じる手摺り子5の振動が振動減衰部材7により減衰又は吸収されて、手摺り子5の振動による風切音の発生が抑制されるわけであるが、特に、手摺り子5…を両側一対の連結部材6,6により振動減衰部材7,7を介して手摺り子5…の両面側から挟み付けるから、従来の振動防止手段に比較すると、不思議なくらい風切音を消失させることができる。
【0022】
また、連結部材6を手摺り子5に取付け固定するのに、一方の連結部材6のボルト挿通孔11から手摺り子5と手摺り子5との間を通して他方の連結部材6のボルト挿通孔11にボルト8を挿通し、その挿通端部にナット9を螺合して締め付けるから、手摺り子5を傷つけることなく連結部材6及び振動減衰部材7を手摺り子5に簡単容易に取付け固定することができる。
【0023】
また、各防振用連結部材6及び振動減衰部材7が図2に示すような構造となっているから、各連結部材6の上端部側と下端部側に取り付けられる両振動減衰部材7,7を少ないボルト8・ナット9によって手摺り子5に対して的確に取付け固定させることができる。また、ボルト8を取り外すことにより、振動減衰部材7の交換も容易に可能となる。
【0024】
図4は他の実施形態による防振用連結部材6及び振動減衰部材7を示すものであって、図2に示す実施形態とほとんど同様であるが、各防振用連結部材6が、ボルト挿通孔を有する代わりに、ボルト8の頭部8oをスライド可能に嵌合させるボルト頭部嵌合溝部12を有する点が図2に示す実施形態と異なる。尚、図2に示す実施形態と同一部材には同一符号を付している。
【0025】
即ち、この図4の実施形態において一対の防振用連結部材6,6の各連結部材6には、内側面の上端部側と下端部側とに振動減衰部材取付用の嵌合溝部10が連結部材全長に亘って形成されていると共に、上下両嵌合溝部10,10の中間にボルト頭嵌合溝部12が連結部材6の全長に亘って形成され、上部側嵌合溝部10には上部側の振動減衰部材7の裏面側に形成された取付部片7oが、また下部側嵌合溝部10には下部側振動減衰部材7の裏面側に形成された取付部片7oが夫々スライド可能に嵌合され、両連結部材6,6の一方にはボルト頭嵌合溝部12にボルト挿通孔11が形成され、しかして他方の連結部材6のボルト頭嵌合溝部12にボルト頭8oをスライド可能にして且つ回転不能に嵌合させた締付用ボルト8が前記一方の連結部材6のボルト挿通孔11に挿通され、その先端部に袋ナット9が螺合されるようになっている。
【0026】
従って、この図4の実施形態によれば、連結部材6を手摺り子5に取り付けるボルト8の頭8oが連結部材6の内側に隠れてしまい、またボルト8の先端部は袋ナット9によって隠れるから、外観上の体裁、見栄えが良好となる。この場合、袋ナット9側がベランダの屋内側に位置するようにする。
【0027】
以上説明した実施形態の手摺りユニットは、フレーム4内に、縦方向に延びる多数の手摺り子5…を所要間隔おきに配置して上下横桟2,3に固定したものであるが、フレーム4内に、横方向に延びる多数の手摺り子を所要間隔おきに配置して対向する支柱1,1に固定したものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態による手摺りユニットをベランダの外側から見た正面図である。
【図2】図1のX−X線拡大断面図である。
【図3】図1のY−Y線拡大断面図である。
【図4】他の実施形態による手摺りユニットを示す図2と同様な断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 支柱
2,3 上下の横桟
4 フレーム
5 手摺り子
6 防振用連結部材
7 振動減衰部材
7o 取付部片
8 締付用ボルト
9 ナット(袋ナット)
10 振動減衰部材取付用の嵌合溝部
11 ボルト挿通孔
12 ボルト頭嵌合溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに所要間隔をおいて配置される複数の支柱と、対向する両支柱に固定され、横方向に延びる上下の横桟とによって形成されるフレーム内に、縦方向又は横方向に延びる多数の手摺り子が所要間隔おきに配置されて上下横桟又は両支柱に固定されてなる手摺りユニットであって、
前記フレーム内の多数の手摺り子が、手摺り子と直交する方向に延びる両側一対の防振用連結部材により両連結部材の夫々内側に配置される振動減衰部材を介して手摺り子両面側から挟み付けられ、両連結部材間に介装される複数の締付用ボルト・ナットで一体的に連結されてなる手摺りユニット。
【請求項2】
前記振動減衰部材はゴム材又は軟質合成樹脂材からなる請求項1に記載の手摺りユニット。
【請求項3】
前記一対の防振用連結部材の各連結部材には内側面の上端部側と下端部側とに振動減衰部材取付用の嵌合溝部が連結部材全長に亘って形成され、上下両嵌合溝部の中間にボルト挿通孔が形成され、上部側嵌合溝部には上部側振動減衰部材の裏面側に形成された取付部片が、また下部側嵌合溝部には下部側振動減衰部材の裏面側に形成された取付部片が夫々スライド可能に嵌合され、しかして一方の連結部材のボルト挿通孔から他方の連結部材のボルト挿通孔に亘って締付用ボルトが挿通され、その先端部にナットが螺合されるようになっている請求項1又は2に記載の手摺りユニット。
【請求項4】
前記一対の防振用連結部材の各連結部材には、内側面の上端部側と下端部側とに振動減衰部材取付用の嵌合溝部が連結部材全長に亘って形成されると共に、上下両嵌合溝部の中間にボルト頭嵌合溝部が連結部材全長に亘って形成され、上部側嵌合溝部には上部側振動減衰部材の裏面側に形成された取付部片が、また下部側嵌合溝部には下部側振動減衰部材の裏面側に形成された取付部片が夫々スライド可能に嵌合され、両連結部材の一方にはボルト頭嵌合溝部にボルト挿通孔が形成され、しかして他方の連結部材のボルト頭嵌合溝部にボルト頭を嵌合させた締付用ボルトが前記一方の連結部材のボルト挿通孔に挿通され、その先端部に袋ナットが螺合されるようになっている請求項1又は2に記載の手摺りユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate