説明

手摺ユニット及びこれに用いる振動防止装置

【課題】手摺ユニットの外観を損ねることなく、強風時に手摺子の上端部と上桟とが摺れて音が発生することを防止すること。
【解決手段】手摺ユニットは、間隔を置かれた2つの支柱と、該支柱の間に間隔を置いて配置された上桟及び下桟と、前記上桟と前記下桟との間に間隔を置いて配置された複数の手摺子と、各手摺子の上端部の各側部分の水平方向外方に配置され、該側部分と前記上桟とに取り付けられた振動防止装置とを含む。前記振動防止装置は、水平方向に対して垂直な側部及び該側部の上に設けられた水平な頂部を有する剛体と、一方の面が前記側部に接着された、該側部に平行な縦部分及び該縦部分の上に設けられ、一方の面が前記頂部に接着された、該頂部に平行な横部分を有するシート状の弾性体とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺ユニット及びこれに用いる振動防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅のベランダ、屋上等に手摺ユニットが設置されている。前記手摺ユニットは、水平方向に間隔を置かれた2つの支柱と、該支柱の間に間隔を置いて配置され、前記支柱に固定された上桟及び下桟と、前記上桟と前記下桟との間に水平方向に間隔を置いて配置された複数の手摺子とを有する。各手摺子の上端部は前記上桟に、下端部は前記下桟にそれぞれ取り付けられている。
【0003】
従来、前記手摺ユニットには、前記上桟と前記下桟との間に配置され、前記支柱に固定された、各手摺子と交差する中桟と、該中桟と前記手摺子との間に配置され、前記中桟と前記手摺子とに固定された弾性体とからなる振動防止装置を有するものがある(特許文献1参照)。前記振動防止装置は、強風時に前記手摺子が振動することを防ぐ。
【0004】
強風時、前記手摺子は振動しようとする。このとき、前記手摺子は前記中桟に対して周期的に水平方向にずれようとし、前記弾性体は前記手摺子から外力を受けて弾性変形すること及び復元することを繰り返す。これにより、前記振動防止装置は、前記手摺子に作用する振動エネルギーを吸収し、前記手摺子の振動を防止する。仮に、前記手摺子が振動した場合、前記手摺子の前記上端部と前記上桟とが摺れて音が発生し、騒音問題が生じる恐れがある。前記振動防止装置が前記手摺子の振動を防ぐことにより、前記音の発生を防止することができ、騒音問題が生じないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−200210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記上桟と前記下桟との間に前記中桟が配置されているため、該中桟により前記手摺ユニットの外観が損なわれる。
【0007】
本発明の目的は、手摺ユニットの外観を損ねることなく、強風時に手摺子の上端部と上桟とが摺れて音が発生することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、手摺子の上端部の各側部分の水平方向外方に配置され、該側部分と上桟とに取り付けられた振動防止装置が、強風時に前記手摺子及び前記上桟のそれぞれが振動することを防ぐことにより、前記手摺子の上端部と前記上桟とが摺れて音が発生することを防止する。これにより、上桟と下桟との間に配置され、支柱に固定された、手摺子と交差する中桟と、該中桟と前記手摺子との間に配置され、前記中桟と前記手摺子とに固定された弾性体とからなる振動防止装置が前記手摺子の振動を防ぐ従来の場合のように前記中桟により手摺ユニットの外観を損ねることなく、前記音の発生を防止する。
【0009】
本発明に係る手摺ユニットは、第1水平方向に間隔を置かれた2つの支柱と、該支柱の間に間隔を置いて配置され、それぞれが前記支柱に固定された上桟及び下桟と、前記上桟と前記下桟との間に前記第1水平方向に間隔を置いて配置され、それぞれが、前記第1水平方向に間隔を置かれた2つの側部分と該側部分の間に前記第1水平方向と直交する第2水平方向に間隔を置かれた頂部分及び底部分とを有する上端部を有する複数の手摺子であってそれぞれの前記上端部が前記上桟に取り付けられ、下端部が前記下桟に取り付けられた複数の手摺子と、各手摺子の前記上端部の各側部分の第1水平方向外方に配置され、該側部分と前記上桟とに取り付けられた、強風時に前記手摺子及び前記上桟のそれぞれが振動することを防止する振動防止装置とを含む。前記振動防止装置は、前記第1水平方向に対して垂直な側部及び該側部の上に設けられた水平な頂部を有する剛体と、一方の面が前記側部に接着された、該側部に平行な縦部分及び該縦部分の上に設けられ、一方の面が前記頂部に接着された、該頂部に平行な横部分を有するシート状の弾性体であって前記縦部分の他方の面が前記手摺子の前記上端部の前記側部分に接着され、前記横部分の他方の面が前記上桟に接着された弾性体とを有する。
【0010】
強風時、前記手摺子が振動しようとするとき、該手摺子の前記上端部が前記上桟に対して周期的に前記第1水平方向にずれようとする。このとき、前記弾性体は前記手摺子の前記上端部から外力を受けて弾性変形すること及び復元することを繰り返す。これにより、前記振動防止装置は、前記手摺子に作用する振動エネルギーを吸収し、前記手摺子の振動を防止する。仮に、前記手摺子が振動した場合、この振動が前記上桟に伝わることがある。このとき、前記弾性体は前記上桟から外力を受けて弾性変形すること及び復元することを繰り返す。これにより、前記振動防止装置は、前記上桟に作用する振動エネルギーを吸収し、前記上桟の振動を防止する。このようにして前記振動防止装置は前記手摺子及び前記上桟のそれぞれの振動を防止する。これにより、前記手摺子の前記上端部と前記上桟とが摺れることを防ぐことができ、前記手摺ユニットから音が発生することを防止することができる。
【0011】
前記手摺子の前記上端部の各側部分の水平方向外方に配置され、該側部分と上桟とに取り付けられた前記振動防止装置が前記手摺子及び前記上桟のそれぞれの振動を防ぐため、上桟と下桟との間に配置され、支柱に固定された、手摺子と交差する中桟と、該中桟と前記手摺子との間に配置され、前記中桟と前記手摺子とに固定された弾性体とからなる振動防止装置が前記手摺子の振動を防ぐ従来の場合のように前記中桟により手摺ユニットの外観を損ねることなく、前記音の発生を防止することができる。
【0012】
本発明に係る振動防止装置は、第1水平方向に間隔を置かれた2つの支柱と、該支柱の間に間隔を置いて配置され、それぞれが前記支柱に固定された上桟及び下桟と、前記上桟と前記下桟との間に前記第1水平方向に間隔を置いて配置され、それぞれが、前記第1水平方向に間隔を置かれた2つの側部分と該側部分の間に前記第1水平方向と直交する第2水平方向に間隔を置かれた頂部分及び底部分とを有する上端部を有する複数の手摺子であってそれぞれの前記上端部が前記上桟に取り付けられ、下端部が前記下桟に取り付けられた複数の手摺子とを含む手摺ユニットに用いられ、強風時に各手摺子及び前記上桟のそれぞれが振動することを防止する。前記振動防止装置は、前記第1水平方向に対して垂直な側部及び該側部の上に設けられた水平な頂部を有する剛体と、一方の面が前記側部に接着された、該側部に平行な縦部分及び該縦部分の上に設けられ、一方の面が前記頂部に接着された、該頂部に平行な横部分を有するシート状の弾性体であって前記手摺ユニットの製作後に前記縦部分の他方の面が前記手摺子の前記上端部の各側部分に接着され、前記横部分の他方の面が前記上桟に接着される弾性体とを有する。前記剛体は、前記第2水平方向に対して垂直な面で見て逆L字形の断面形状を有するものとすることができる。
【0013】
本発明に係る振動防止装置は、水平方向に間隔を置かれた2つの支柱と、該支柱の間に間隔を置いて配置され、それぞれが前記支柱に固定された上桟及び下桟と、前記上桟と前記下桟との間に水平方向に間隔を置いて配置され、それぞれの上端部が前記上桟に取り付けられ、下端部が前記下桟に取り付けられた複数の手摺子とを含む手摺ユニットに用いられ、強風時に各手摺子及び前記上桟のそれぞれが振動することを防止する。前記振動防止装置は、水平方向に間隔を置かれた、相対する2つの側部及び該側部の間に設けられた水平な頂部を有する剛体であって下方に開放された凹状の剛体と、水平方向に間隔を置かれた第1縦部分及び第2縦部分であって一方の面が前記剛体の一側部に接着された、該一側部に平行な第1縦部分及び一方の面が前記剛体の他側部に接着された、該他側部に平行な第2縦部分と、前記第1縦部分と前記第2縦部分との間に設けられ、一方の面が前記頂部に接着された、該頂部に平行な横部分とを有するシート状の弾性体であって前記手摺ユニットの製作後に前記第1縦部分の他方の面が、隣接する2つの手摺子のうち一方の手摺子の前記上端部に接着され、前記第2縦部分の他方の面が、他方の手摺子の前記上端部に接着され、前記横部分の他方の面が前記上桟に接着される弾性体とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、手摺子の上端部の各側部分の水平方向外方に配置され、該側部分と上桟とに取り付けられた振動防止装置が、強風時に前記手摺子及び前記上桟のそれぞれが振動することを防ぐことにより、前記上桟と下桟との間に中桟を要することなく、前記手摺子の前記上端部と前記上桟とが摺れて音が発生することを防止することができる。これにより、前記中桟により手摺ユニットの外観を損ねることなく前記音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施例に係る手摺ユニットの正面図。
【図2】図1の線2における、振動防止装置の縦断面図。
【図3】図2の線3における、振動防止装置の水平断面図。
【図4】本発明の第2実施例に係る振動防止装置の縦断面図。
【図5】本発明の第3実施例に係る振動防止装置の水平断面図。
【図6】図5の線6における、振動防止装置の縦断面図。
【図7】本発明の第4実施例に係る振動防止装置の縦断面図。
【図8】本発明の第5実施例に係る振動防止装置の縦断面図。
【図9】本発明の第6実施例に係る手摺ユニットの正面図。
【図10】図9の線10における、振動防止装置の縦断面図。
【図11】手摺ユニットから発生した音の測定値を示す図。
【図12】ケース1における音の測定値とケース2における音の測定値との差を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、手摺ユニット10に振動防止装置12が用いられている。手摺ユニット10は、第1水平方向(図1における左右方向)に間隔を置かれた2つの支柱14と、該支柱の間に間隔を置いて配置され、それぞれが支柱14に固定された上桟16及び下桟18と、上桟16と下桟18との間に前記第1水平方向に間隔を置いて配置された複数の手摺子20とを有する。支柱14、上桟16、下桟18及び手摺子20のそれぞれは、アルミニウムのような金属材料で作られている。上桟16に、該上桟を覆う笠木22が取り付けられている。手摺ユニット10は、集合住宅のベランダ、屋上等に設置される。
【0017】
各手摺子20の上端部24は上桟16に取り付けられ、下端部26は下桟18に取り付けられている。図2、3に示すように、上端部24は、前記第1水平方向に間隔を置かれた2つの側部分28と該側部分の間に前記第1水平方向と直交する第2水平方向(図2における奥行き方向)に間隔を置かれた頂部分30及び底部分32とを有する。手摺子20は中空であり、上端部24及び下端部26のそれぞれは開放されている。
【0018】
上桟16への手摺子20の上端部24の取り付けは、上端部24の頂部分30の第2水平方向内方に配置され、該頂部分に固定された、上下方向に伸びる第1筒状部材34と、上桟16を貫いて第1筒状部材34にねじ込まれた第1ビス36と、上端部24の底部分32の第2水平方向内方に配置され、該底部分に固定された、上下方向に伸びる第2筒状部材38と、上桟16を貫いて第2筒状部材38にねじ込まれた第2ビス40とによる。第1筒状部材34は上端部24の頂部分30に、第2筒状部材38は底部分32にそれぞれ一体に形成されている。図3に示したように、第1筒状部材34及び第2筒状部材38のそれぞれは水平面で見てC字形の断面形状を有する。
【0019】
振動防止装置12は、手摺子20の上端部24の各側部分28の第1水平方向外方に配置され、該側部分と上桟16とに取り付けられている。振動防止装置12は、前記第1水平方向に対して垂直な側部42及び該側部の上に設けられた水平な頂部44を有する剛体46と、一方の面が側部42に接着された、該側部に平行な縦部分48及び該縦部分の上に設けられ、一方の面が頂部44に接着された、該頂部に平行な横部分50を有するシート状の弾性体52とを有する。縦部分48の他方の面は手摺子20の上端部24の側部分28に接着され、横部分50の他方の面は上桟16に接着されている。剛体46は、前記第2水平方向に対して垂直な面で見て逆L字形の断面形状を有する。振動防止装置12は、強風時に手摺子20及び上桟16のそれぞれが振動することを防止する。
【0020】
剛体46は、鋼製でもよいし、アルミニウムのような他の金属からなるものでもよい。また、剛体46は、金属からなる上記の例に代え、プラスチックからなるものでもよい。弾性体52は、合成樹脂又はゴムからなる。前記合成樹脂は、例えば、シリコン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等であり、前記ゴムは、例えば、クロロプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム等である。図2に示した例では、弾性体52は、「VHBアクリルフォーム構造用接合テープ(住友スリーエム株式会社製)」である。
【0021】
強風時、手摺子20が振動しようとするとき、該手摺子の上端部24が上桟16に対して前記第1水平方向にずれようとする。このとき、弾性体52は手摺子20の上端部24から外力を受けて弾性変形し、復元する。これにより、振動防止装置12は、手摺子20に作用する振動エネルギーを吸収し、手摺子20の振動を防止する。仮に、手摺子20が振動した場合、この振動が上桟16に伝わることがある。この場合、弾性体52は上桟16から外力を受けて弾性変形し、復元する。これにより、振動防止装置12は、上桟16に作用する振動エネルギーを吸収し、上桟16の振動を防止する。このように振動防止装置12が手摺子20及び上桟16のそれぞれの振動を防止することにより、手摺子20の上端部24と上桟16とが摺れることを防ぐことができ、手摺ユニット10から音が発生することを防止することができる。
【0022】
手摺子20の上端部24の各側部分28の第1水平方向外方に配置され、該側部分と上桟16とに取り付けられた振動防止装置12が手摺子20及び上桟16のそれぞれの振動を防ぐことにより、上桟16と下桟18との間に中桟(図示せず)を要することなく前記音の発生を防止することができる。このため、上桟と下桟との間に配置され、支柱に固定された、手摺子と交差する中桟と、該中桟と前記手摺子との間に配置され、前記中桟と前記手摺子とに固定された弾性体とからなる振動防止装置が前記手摺子の振動を防ぐ従来の場合のように前記中桟により手摺ユニットの外観が損ねられることはない。
【0023】
振動防止装置12は、手摺ユニット10の製作時に手摺子20の上端部24の各側部分28の第1水平方向外方に配置され、該側部分と上桟16とに取り付けられてもよいし、支柱14と、上桟16と、下桟18と、手摺子20とを有する手摺ユニットの製作後に手摺子20の上端部24の各側部分28の第1水平方向外方に配置され、該側部分と上桟16とに取り付けられてもよい。すなわち、振動防止装置12は、支柱14と、上桟16と、下桟18と、手摺子20とを有する既存の手摺ユニットに用いられてもよい。この場合、前記手摺ユニットの製作後に弾性体52の縦部分48の前記他方の面は手摺子20の上端部24の側部分28に接着され、横部分50の前記他方の面は上桟16に接着される。剛体46は、逆L字形の断面形状を有する図2に示した例に代え、図4に示すように、四角形の断面形状を有するものでもよい。手摺子20は、中空である図2に示した例に代え、中実でもよい。
【0024】
弾性体52は、図2に示した例では、縦部分48と横部分50とが一体に形成されているが、これに代え、縦部分48と横部分50との間に間隔が置かれていてもよい。縦部分48と横部分50とが一体に形成されている場合、縦部分48の前記一方の面を剛体46の側部42に、横部分50の前記一方の面を剛体46の頂部44にそれぞれ接着するとき、剛体46の隅部(側部42と頂部44との境界部)において弾性体52が弛みやすい。このため、弾性体52が弛まないようにするために手間がかかり、作業性が悪くなる恐れがある。縦部分48と横部分50との間に間隔が置かれている場合、剛体46の前記隅部に弾性体52が存在しないようにすることができる。これにより、弾性体52が弛まないようにするために手間がかかることはなく、作業性が悪くなることはない。
【0025】
図5、6に示す例では、手摺ユニット10は、手摺子20の上端部24の各側部分28の第1水平方向外方に配置され、該側部分と上桟16とに取り付けられた振動防止装置(第1振動防止装置)12に加え、手摺子20の上端部24の頂部分30の第2水平方向外方に配置され、該頂部分と上桟16とに取り付けられた第2振動防止装置54と、底部分32の第2水平方向外方に配置され、該底部分と上桟16とに取り付けられた第3振動防止装置56とを有する。これにより、手摺子20及び上桟16のそれぞれの振動をより確実に防止することができる。
【0026】
第2振動防止装置54及び第3振動防止装置56のそれぞれは、前記第2水平方向に対して垂直な側部42及び該側部の上に設けられた水平な頂部44を有する剛体46と、一方の面が側部42に接着された、該側部に平行な縦部分48及び該縦部分の上に設けられ、一方の面が頂部44に接着された、該頂部に平行な横部分50を有するシート状の弾性体52とを有する。第2振動防止装置54の弾性体52の縦部分48の他方の面は手摺子20の上端部24の頂部分30に接着され、横部分50の他方の面は上桟16に接着されている。第3振動防止装置56の弾性体52の縦部分48の他方の面は手摺子20の上端部24の底部分32に接着され、横部分50の他方の面は上桟16に接着されている。
【0027】
図7、8に示す例では、振動防止装置12は、前記第1水平方向に間隔を置かれた、相対する2つの側部42及び該側部の間に設けられた水平な頂部44を有する剛体46と、前記第1水平方向に間隔を置かれた第1縦部分48a及び第2縦部分48bであって一方の面が剛体46の一側部42に接着された、該一側部に平行な第1縦部分48a及び一方の面が剛体46の他側部42に接着された、該他側部に平行な第2縦部分48bと、第1縦部分48aと第2縦部分48bとの間に設けられ、一方の面が頂部44に接着された、該頂部に平行な横部分50とを有するシート状の弾性体52とを有する。第1縦部分48aの他方の面は、隣接する2つの手摺子20a、20bのうち一方の手摺子20aの上端部24の側部分28に接着され、第2縦部分48bの他方の面は他方の手摺子20bの上端部24の側部分28に接着され、横部分50の他方の面は上桟16に接着されている。このように振動防止装置12は、隣接する2つの手摺子20a、20bの間に配置され、一方の手摺子20aの上端部24と他方の手摺子20bの上端部24と上桟16とに取り付けられている。
【0028】
振動防止装置12は、手摺ユニット10の製作時に、隣接する2つの手摺子20a、20bの間に配置され、一方の手摺子20aの上端部24と他方の手摺子20bの上端部24と上桟16とに取り付けられてもよいし、支柱14と、上桟16と、下桟18と、手摺子20とを有する手摺ユニットの製作後に、隣接する2つの手摺子20a、20bの間に配置され、一方の手摺子20aの上端部24と他方の手摺子20bの上端部24と上桟16とに取り付けられてもよい。この場合、前記手摺ユニットの製作後に弾性体52の第1縦部分48aの前記他方の面は一方の手摺子20aの上端部24に接着され、第2縦部分48bの前記他方の面は他方の手摺子20bの上端部24に接着され、横部分50の前記他方の面は上桟16に接着される。剛体46は、図7に示した例では、下方に開放された凹状であるが、これに代え、図8に示したように、前記第2水平方向に対して垂直な面で見て四角形の断面形状を有するものでもよい。
【0029】
図9、10に示した例では、手摺子20の上端部24のみならず、下端部26にも振動防止装置が用いられている。手摺子20の下端部26は、前記第1水平方向に間隔を置かれた2つの側部分58と該側部分の間に前記第2水平方向に間隔を置かれた頂部分(図示せず)及び底部分(図示せず)とを有し、手摺ユニット10は、手摺子20の上端部24の各側部分28の第1水平方向外方に配置され、該側部分と上桟16とに取り付けられた振動防止装置(上端側振動防止装置)12に加え、手摺子20の下端部26の各側部分58の第1水平方向外方に配置され、該側部分と下桟18とに取り付けられた下端側振動防止装置60を有する。
【0030】
下端側振動防止装置60は、前記第1水平方向に対して垂直な側部62及び該側部の下に設けられた水平な底部64を有する剛体66と、一方の面が側部62に接着された、該側部に平行な縦部分68及び該縦部分の下に設けられ、一方の面が底部64に接着された、該底部に平行な横部分70を有するシート状の弾性体72とを有する。縦部分68の他方の面は手摺子20の下端部26の側部分58に接着され、横部分70の他方の面は下桟18に接着されている。下端側振動防止装置60は、強風時に手摺子20及び下桟18のそれぞれが振動することを防止する。
【0031】
下端側振動防止装置60は、手摺ユニット10の製作時に手摺子20の下端部26の各側部分58の第1水平方向外方に配置され、該側部分と下桟18とに取り付けられてもよいし、支柱14と、上桟16と、下桟18と、手摺子20とを有する手摺ユニットの製作後、手摺子20の下端部26の各側部分58の第1水平方向外方に配置され、該側部分と下桟18とに取り付けられてもよい。この場合、前記手摺ユニットの製作後に弾性体72の縦部分68の前記他方の面は手摺子20の下端部26の側部分58に接着され、横部分70の前記他方の面は下桟18に接着される。
【0032】
図11に示すように、手摺ユニットが前記第2水平方向の風を受けているときに前記手摺ユニットから発生する音のA特性音圧レベルを測定した。前記風の速さは9m/sである。前記測定は、以下のケース1、2について行った。ケース1では、比較例として、振動防止装置12が取り付けられていない状態の手摺ユニットが前記風を受けているときに前記手摺ユニットから発生する音のA特性音圧レベルを測定した。その結果、2kHz帯域、2.5kHz帯域、3.15kHz帯域、4kHz帯域及び5kHz帯域の周波数を有する音のA特性音圧レベルは、それぞれ、55.7dB、56.4dB、58.7dB、57.1dB及び55.3dBであり、比較的高い。2kHz帯域ないし5kHz帯域の、比較的高い周波数を有する音は、手摺子20が前記風を受けて手摺子20の上端部24と上桟16とが摺れたことにより発生したと考えられる。なお、315Hz帯域の周波数を有する音のA特性音圧レベルが比較的高いが、この音は、暗騒音であり、送風機から発生した音のような、前記手摺ユニットから発生した音以外の音である。
【0033】
ケース2では、図1に示した手摺ユニット10(振動防止装置12が手摺子20の上端部24の側部分28と上桟16とに取り付けられている状態の手摺ユニット10)が前記第2水平方向の風を受けているときに手摺ユニット10から発生する音のA特性音圧レベルを測定した。その結果、図11に示したように、2kHz帯域、2.5kHz帯域、3.15kHz帯域、4kHz帯域及び5kHz帯域の周波数を有する音のA特性音圧レベルは、それぞれ、54.0dB、50.3dB、47.5dB、42.4dB及び36.7dBであり、非常に低い。図12に示すように、ケース1における、手摺ユニット10から発生する音のA特性音圧レベルと、ケース2における、手摺ユニットから発生する音のA特性音圧レベルとの差は、2kHz帯域、2.5kHz帯域、3.15kHz帯域、4kHz帯域及び5kHz帯域の周波数について、それぞれ、1.7dB、6.1dB、11.2dB、14.7dB及び18.6dBである。この結果から、振動防止装置12が手摺子20及び上桟16のそれぞれの振動を防止し、手摺子20の上端部24と上桟16とが摺れることを防ぎ、手摺ユニット10からの音の発生を防止したことがわかる。
【符号の説明】
【0034】
10 手摺ユニット
12 振動防止装置
14 支柱
16 上桟
18 下桟
20 手摺子
24 上端部
26 下端部
28 側部分
30 頂部分
32 底部分
42 側部
44 頂部
46 剛体
48 縦部分
50 横部分
52 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1水平方向に間隔を置かれた2つの支柱と、
前記支柱の間に間隔を置いて配置され、それぞれが前記支柱に固定された上桟及び下桟と、
前記上桟と前記下桟との間に前記第1水平方向に間隔を置いて配置され、それぞれが、前記第1水平方向に間隔を置かれた2つの側部分と該側部分の間に前記第1水平方向と直交する第2水平方向に間隔を置かれた頂部分及び底部分とを有する上端部を有する複数の手摺子であってそれぞれの前記上端部が前記上桟に取り付けられ、下端部が前記下桟に取り付けられた複数の手摺子と、
各手摺子の前記上端部の各側部分の第1水平方向外方に配置され、該側部分と前記上桟とに取り付けられた、強風時に前記手摺子及び前記上桟のそれぞれが振動することを防止する振動防止装置とを含み、
前記振動防止装置は、前記第1水平方向に対して垂直な側部及び該側部の上に設けられた水平な頂部を有する剛体と、一方の面が前記側部に接着された、該側部に平行な縦部分及び該縦部分の上に設けられ、一方の面が前記頂部に接着された、該頂部に平行な横部分を有するシート状の弾性体であって前記縦部分の他方の面が前記手摺子の前記上端部の前記側部分に接着され、前記横部分の他方の面が前記上桟に接着された弾性体とを有する、手摺ユニット。
【請求項2】
第1水平方向に間隔を置かれた2つの支柱と、該支柱の間に間隔を置いて配置され、それぞれが前記支柱に固定された上桟及び下桟と、前記上桟と前記下桟との間に前記第1水平方向に間隔を置いて配置され、それぞれが、前記第1水平方向に間隔を置かれた2つの側部分と該側部分の間に前記第1水平方向と直交する第2水平方向に間隔を置かれた頂部分及び底部分とを有する上端部を有する複数の手摺子であってそれぞれの前記上端部が前記上桟に取り付けられ、下端部が前記下桟に取り付けられた複数の手摺子とを含む手摺ユニットに用いられ、強風時に各手摺子及び前記上桟のそれぞれが振動することを防止する振動防止装置であって、
前記第1水平方向に対して垂直な側部及び該側部の上に設けられた水平な頂部を有する剛体と、
一方の面が前記側部に接着された、該側部に平行な縦部分及び該縦部分の上に設けられ、一方の面が前記頂部に接着された、該頂部に平行な横部分を有するシート状の弾性体であって前記手摺ユニットの製作後に前記縦部分の他方の面が前記手摺子の前記上端部の各側部分に接着され、前記横部分の他方の面が前記上桟に接着される弾性体とを有する、振動防止装置。
【請求項3】
前記剛体は、前記第2水平方向に対して垂直な面で見て逆L字形の断面形状を有する、請求項2に記載の振動防止装置。
【請求項4】
水平方向に間隔を置かれた2つの支柱と、該支柱の間に間隔を置いて配置され、それぞれが前記支柱に固定された上桟及び下桟と、前記上桟と前記下桟との間に水平方向に間隔を置いて配置され、それぞれの上端部が前記上桟に取り付けられ、下端部が前記下桟に取り付けられた複数の手摺子とを含む手摺ユニットに用いられ、強風時に各手摺子及び前記上桟のそれぞれが振動することを防止する振動防止装置であって、
水平方向に間隔を置かれた、相対する2つの側部及び該側部の間に設けられた水平な頂部を有する剛体であって下方に開放された凹状の剛体と、
水平方向に間隔を置かれた第1縦部分及び第2縦部分であって一方の面が前記剛体の一側部に接着された、該一側部に平行な第1縦部分及び一方の面が前記剛体の他側部に接着された、該他側部に平行な第2縦部分と、前記第1縦部分と前記第2縦部分との間に設けられ、一方の面が前記頂部に接着された、該頂部に平行な横部分とを有するシート状の弾性体であって前記手摺ユニットの製作後に前記第1縦部分の他方の面が、隣接する2つの手摺子のうち一方の手摺子の前記上端部に接着され、前記第2縦部分の他方の面が、他方の手摺子の前記上端部に接着され、前記横部分の他方の面が前記上桟に接着される弾性体とを有する、振動防止装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate