説明

手摺受け部材の取り付け部構造

【課題】手摺部を例えばバルコニーの内側あるいは外側に張り出すように設ける際、取り付け作業が簡単に行なえるようにした手摺受け部材の取り付け部構造を提供する。
【解決手段】建物のバルコニーなどを覆う壁体を支持する各支柱3の上端近傍に鉛直方向に立った状態で一端側が固定される取り付けプレート7と、壁体から突出する取り付けプレート7の他端側の係止片11に係止する係止プレート16を備える手摺支柱固定金具14とを備え、この手摺支柱固定金具14は下端から途中までは鉛直方向に向き、途中から上端までは僅かな角度で傾斜している手摺支柱12の下部の鉛直部12bの下端に取り付けられており、前記手摺支柱12の上部の傾斜部12aの上端および途中には手摺受け部材13が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物のバルコニーや廊下などに設けられる手摺受け部材の取り付け部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種手摺を備えるバルコニーとしては例えば特許文献1に開示されているものが知られている。この特許文献1に開示されているバルコニーは、建物の外壁から突出するように設けられた腕木およびこの腕木に取り付けられた床フレームにバルコニーの周方向に沿う位置において適当間隔おきに支柱を立設し、手摺子と、この手摺子の上側に設けられた笠木と、手摺子の下側に設けられた化粧カバーにより構成される手摺ユニットを前記支柱上に固定して、この手摺ユニットをバルコニーの周方向に配設してなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−25665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているバルコニーの構成は、支柱上に手摺ユニットを固定するものであり、手摺部を例えばバルコニーの外側に張り出すように設けることは複雑で困難であった。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、手摺部を例えばバルコニーの内側あるいは外側に張り出すように設ける際、取り付け作業が簡単に行なえるようにした手摺受け部材の取り付け部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の手摺受け部材の取り付け部構造は、建物のバルコニーなどを覆う壁体を支持する各支柱の上端近傍に鉛直方向に立った状態で一端側が固定される取り付けプレートは、他端側の上下2箇所に係止片が形成されており、この係止片は前記壁体から突出した状態に取り付けプレートが前記支柱に取り付けられ、係止片と取り付けプレートの本体部との境界部で溝が上下方向に形成されており、前記取り付けプレートに支持される手摺支柱は、下端から途中までは鉛直方向に向いており、途中から上端までは僅かな角度で傾斜しており、この手摺支柱の上部の傾斜部の上端および途中には手摺受け部材が取り付けられており、手摺支柱の下部の鉛直部の下端に前記取り付けプレートに対向して手摺支柱固定金具が取り付けられており、この手摺支柱固定金具はそのケーシング状の本体部の一側部が手摺支柱の鉛直部の下端に固着されており、本体部の他側部に前記取り付けプレートの上下の係止片が上下動可能に遊びを持って嵌入させる孔部が形成され、この孔部が形成されている本体部の他側面に重なるように、前記上下の係止片とほぼ同一寸法で一端が前記孔部の一端と合致する孔部を有する係止プレートが本体部の他側面側にビス止めされており、前記取り付けプレートの上下の係止片は前記係止プレートの孔部より差し込まれて、係止プレートと係止片の溝が合致した状態で本体部に螺入するビスにより取り付けプレートを押し付け鉛直方向に押し付け、係止プレートと係止片の溝とを係止させて、取り付けプレートに手摺支柱が取り付けられるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明の手摺受け部材の取り付け部構造は、手摺部を例えばバルコニーの内側あるいは外側に張り出すように設ける際、壁体を支持する各支柱に取り付けた取り付けプレートの係止片に手摺支柱側の手摺支柱固定金具の係止プレートを係止させ、ビスにより締め付け固定するだけで取り付け作業が簡単に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態における手摺受け部材の取り付け部構造の全体分解斜視図である。
【図2】同取り付けプレートと手摺支柱固定金具との関係を示す分解斜視図である。
【図3】同取り付けプレートと手摺支柱固定金具とが結合した状態を示す斜視図である。
【図4】同取り付けプレートと手摺支柱固定金具とが結合した状態を示す断面図である。
【図5】同手摺の取り付け完成状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図5を用いて具体的に説明する。
図において、1は建物のバルコニー2の周囲を覆う壁体で、この壁体1はバルコニー2の床面上にバルコニー2の周方向適当間隔おきに立設する支柱3に支持されて組み立てられるようになっている。前記バルコニー2の周方向適当間隔おきに立設する各支柱3は図面に示す実施の形態では2本のC形の鋼材4がその中央のフラットな面4a同士が互いに近接するように配設されて構成され、壁体1を構成する外壁材5および内壁材6はバルコニー2の内外から支柱3を挟み支柱3を隠すようにして支柱3の2本の鋼材4にねじ止めなどより取り付けられる。この外壁材5および内壁材6が支柱3の2本の鋼材4に取り付けられる前に、各支柱3の上端近傍において2本の鋼材4の前記フラットな面4a間にバルコニー2の内側から取り付けプレート7を鉛直方向に立った状態で嵌入させ、2本の鋼材4に対し取り付けプレート7をボルト8およびナット9で固定する。前記取り付けプレート7は2本の鋼材4間に嵌入する一端側の上下2箇所にボルト挿通孔10が形成され、他端側の上下2箇所に上向きの係止片11が形成されている。この係止片11は取り付けプレート7の本体部7aの上下2箇所から他端側に突出するように形成され、各係止片11の上端部において取り付けプレート7の本体部7aとの境界部で上端に開口する溝11aが上下方向に適当長さ範囲で形成されている。前記取り付けプレート7が2本の鋼材4に取り付けられた後で前記外壁材5および内壁材6が2本の鋼材4に支持される。この外壁材5および内壁材6の取り付け状態において取り付けプレート7の他端側の係止片11は内壁材6からバルコニー2の内方に突出した状態となっている。
【0010】
12は前記取り付けプレート7に支持される手摺支柱で、下端から途中までは鉛直方向に向いているが、途中から上端まではバルコニー2の外方に僅かな角度で傾斜している。そして、この手摺支柱12の上部の傾斜部12aの上端および途中にはバルコニー2の外方に向いてU字状の手摺受け部材13が取り付けられている。14は手摺支柱12の下部の鉛直部12bの下端に前記取り付けプレート7に対向して取り付けられた手摺支柱固定金具で、この手摺支柱固定金具14はそのケーシング状の本体部15の一側部が手摺支柱12の鉛直部12bの下端に固着されており、本体部15の他側部に前記取り付けプレート7の上下の係止片11が上下動可能に遊びを持って嵌入させる孔部15aが形成され、この孔部15aが形成されている本体部15の他側面に重なるように、前記上下の係止片11とほぼ同一寸法で下端が前記孔部15aの下端と合致する孔部16aを有する係止プレート16が本体部15の他側面側にビス17止めされている。従って、前記取り付けプレート7の上下の係止片11は前記係止プレート16の孔部16aより差し込まれて、係止プレート16と係止片11の溝11aが合致した状態で本体部15の下面側より締結用のビス18を螺入させて取り付けプレート7の下端に押し付けることにより手摺支柱固定金具14が下降して係止プレート16と係止片11の溝11aとが係止し、取り付けプレート7に手摺支柱12が取り付けられるようになる。
【0011】
以上のようにバルコニー2の壁体1内に位置する各支柱3の上端近傍に支持された取り付けプレート7に手摺支柱固定金具14を介して取り付けられた手摺支柱12の手摺受け部材13で手摺棒19を受け、ビス20止めするものである。この状態において、手摺棒19は手摺支柱12の傾斜部12aに支持されているので、バルコニー2の壁体1から外側に張り出すようになる。
【0012】
なお、図面に示す実施の形態では、各係止片11の上端部において取り付けプレート7の本体部7aとの境界部で上端に開口する溝11aが上下方向に適当長さ範囲で形成されており、係止プレート16の孔部16aを本体部15の孔部15aの下端と合致するようにし、本体部15の下面側より締結用のビス18を螺入させて取り付けプレート7の下端を押し付けるようにしているが、係止片11の溝11aを取り付けプレート7の本体部7aとの境界部で下端に開口するように形成し、係止プレート16の孔部16aを本体部15の孔部15aの上端と合致するようにし、本体部15の上面側より締結用のビス18を螺入させて取り付けプレート7の上端を押し付けるようにしても良い。また、バルコニー2の周囲を覆う壁体1の内面側で取り付けプレート7を介して手摺支柱12を取り付けているが、バルコニー2の周囲を覆う壁体1の外面側で取り付けプレート7を介して手摺支柱12を取り付けるようにしても良い。また、図面に示す実施の形態では、バルコニー2の周囲を覆う壁体1の上方に手摺棒19を配設したが、建物の廊下などに設けられる壁体の上方に手摺棒19を配設する場合も同様に行なえる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明の手摺受け部材の取り付け部構造は、建物のバルコニーや廊下などの壁体の上方に手摺を内側あるいは外側に張り出すように設ける場合に好適な手摺受け部材の取り付け部構造である。
【符号の説明】
【0014】
1 壁体
2 バルコニー
3 支柱
4 鋼材
4a 面
5 外壁材
6 内壁材
7 取り付けプレート
7a 本体部
8 ボルト
9 ナット
10 ボルト挿通孔
11 係止片
11a 溝
12 手摺支柱
12a 傾斜部
12b 鉛直部
13 手摺受け部材
14 手摺支柱固定金具
15 本体部
15a 孔部
16 係止プレート
16a 孔部
17 ビス
18 ビス
19 手摺棒
20 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物のバルコニーなどを覆う壁体を支持する各支柱の上端近傍に鉛直方向に立った状態で一端側が固定される取り付けプレートは、他端側の上下2箇所に係止片が形成されており、この係止片は前記壁体から突出した状態に取り付けプレートが前記支柱に取り付けられ、係止片と取り付けプレートの本体部との境界部で溝が上下方向に形成されており、前記取り付けプレートに支持される手摺支柱は、下端から途中までは鉛直方向に向いており、途中から上端までは僅かな角度で傾斜しており、この手摺支柱の上部の傾斜部の上端および途中には手摺受け部材が取り付けられており、手摺支柱の下部の鉛直部の下端に前記取り付けプレートに対向して手摺支柱固定金具が取り付けられており、この手摺支柱固定金具はそのケーシング状の本体部の一側部が手摺支柱の鉛直部の下端に固着されており、本体部の他側部に前記取り付けプレートの上下の係止片が上下動可能に遊びを持って嵌入させる孔部が形成され、この孔部が形成されている本体部の他側面に重なるように、前記上下の係止片とほぼ同一寸法で一端が前記孔部の一端と合致する孔部を有する係止プレートが本体部の他側面側にビス止めされており、前記取り付けプレートの上下の係止片は前記係止プレートの孔部より差し込まれて、係止プレートと係止片の溝が合致した状態で本体部に螺入するビスにより取り付けプレートを押し付け鉛直方向に押し付け、係止プレートと係止片の溝とを係止させて、取り付けプレートに手摺支柱が取り付けられるように構成したことを特徴とする手摺受け部材の取り付け部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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