説明

手洗い装置付き水洗便器

【課題】洗浄水制御ユニットに内蔵される制御部を手洗い用水の制御にも利用して、構成部品の数を少なくし、コスト的に有利に手洗い装置付き水洗便器を提供する。
【解決手段】瞬時に便器本体1に排出される洗浄水の流れを制御する洗浄水制御ユニット2を有する水洗便器Aにおいて、該洗浄水制御ユニット2に内蔵された制御部21が、水洗便器Aに付設された手洗い装置Bの吐水口4に流す手洗い用水の吐水をも制御するようにされた手洗い装置付き水洗便器。上記洗浄水制御ユニット2に内蔵された制御部21は、便器本体1の便座に設けられた着座センサー11からの信号を受けた後、遅れて手洗い用水を上記吐水口4に一定時間流すように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗便器に関する。さらに詳しくは、水洗便器の洗浄水制御ユニットの指令によって作動する手洗い装置が付設された手洗い装置付き水洗便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手洗い装置が付設された水洗便器は公知であり、例えば、ロータンクの蓋部の略中央部に下方に膨出した水洗ボウル部を設け、この水洗ボウル部に洗浄用の補給水の一部を分流して蛇口から流下させ、手洗い用とする構造はよく知られている。このとき、手を洗った後の排水はロータンクに溜められ、トイレの洗浄用として再び利用される。
【0003】
しかしながら、近年普及しつつあるタンクレス水洗便器においては、ロータンクを設けることなく、水道の給水管から直接トイレに洗浄水を導入しているため、手洗い装置を別途トイレルーム内に設ける必要がある。このとき、本願図5に模式的に示されているように、手洗い装置Bに供給する手洗い用水は、水道等の給水管91から吐水配管6を経由して吐水口4に送られる。
【0004】
すなわち、吐水口4に内蔵された手洗いセンサー41が、かざされた手を検知すると、手洗水制御ユニットCが動作し、手洗水制御弁5に弁の開を指令し、吐水配管6を経て手洗い用水が吐出し、使用者は手を洗うことができる。使用者が手を洗い終えると、手洗いセンサー41は手がかざされていないとの信号を手洗水制御ユニットCに送り、手洗水制御ユニットCは、手洗水制御弁5に弁の閉を指令する。また、手洗い後の排水は排水管92を経由して水洗便器Aの便器本体1内に排出される。
【0005】
一方、水洗便器Aの便器本体1の温水便座には着座センサー11が内蔵され、使用者が用を済ませた後、離座すると、洗浄水制御ユニット2に内蔵されている制御部21がそれを検知して洗浄水制御弁7に弁開を指令し、洗浄水配管8から便器本体1のリムに洗浄水が勢いよく流れて汚物を排出する。
【0006】
一方、下記特許文献1には、便器洗浄用水を貯水するロータンクと共に便器の後端部上に設けられた温風発生装置からの温風を手洗い器に付設されたセンサーの検知により、温風吐出口から吹き出させ、洗った後の手を乾かすことができる水洗便器が開示されている。
【特許文献1】特開平10−237926号公報(第1〜4頁、第1、第2図、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記本願図5に示した手洗い装置Bには、手洗いセンサー41によって作動し、手洗い用水の吐出を制御する手洗水制御ユニットCが設けられている。それゆえ、手洗水制御ユニットCに内蔵される高価な制御部が手洗い用水の制御にのみ用いられているため、コスト的に有利ではないという問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題を解決して、手洗い用水の制御を温水便座の着座センサーや、リモコン器によって作動する水洗便器の洗浄水の制御ユニットを利用して行い、洗浄水制御ユニットに内蔵される制御部を手洗い用水の制御にも利用することにより、構成部品の数を少なくしてコスト的に有利に手洗い装置付き水洗便器を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明においては、つぎのような技術的手段を講じている。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、瞬時に便器本体に排出される洗浄水の流れを制御する洗浄水制御ユニットを有する水洗便器において、該洗浄水制御ユニットに内蔵された制御部が、水洗便器に付設された手洗い装置の吐水口に流す手洗い用水の吐水をも制御するようにされた手洗い装置付き水洗便器が提供される。
【0010】
請求項2に記載の手洗い装置付き水洗便器は、請求項1に記載の発明に加えて、上記洗浄水制御ユニットに内蔵された制御部が、便器本体の便座に設けられた着座センサーからの信号を受けた後、遅れて手洗い用水を上記吐水口に一定時間流すように制御する。上記制御部には、通常、着座センサーが使用者の離座を検知してから、例えば、3〜15秒遅れて手洗水制御弁に弁開を指令し、一定時間弁を開として手洗い用水を吐水口に流した後、弁を閉とするプログラムが組み込まれている。また、上記遅れの時間は、例えば、上記3〜15秒の間で任意に設定することができる。
【0011】
請求項3に記載の手洗い装置付き水洗便器は、請求項1に記載の発明に加えて、上記洗浄水制御ユニットに内蔵された制御部が、洗浄水を制御するリモコン器の操作後、遅れて手洗い用水を吐水口に一定時間流すように制御される。上記制御部は、通常、リモコン器の操作を検知してから、例えば約10秒遅れて手洗水制御弁に弁開を指令し、一定時間弁を開として手洗い用水を吐水口に流した後、弁を閉とするプログラムが組み込まれている。また、上記遅れの時間は、約10秒にかかわらず、任意に設定することができる。
【0012】
請求項4に記載の手洗い装置付き水洗便器は、請求項1に記載の発明に加えて、上記吐水口に手洗いセンサーを内蔵させ、該手洗いセンサーと洗浄水制御ユニットとを信号線によって結ぶとともに、上記洗浄水制御ユニットの制御部には手洗いセンサーが人の手を検知したとき、上記吐水口から手洗い用水が一定時間吐出するようにされたプログラムが組み込まれている。
【0013】
請求項5に記載の手洗い装置付き水洗便器は、請求項1に記載の発明に加えて、上記水洗便器がタンクレス水洗便器とされる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明にかかる手洗い装置付き水洗便器は上記のとおりであり、水洗便器の洗浄水を制御する洗浄水制御ユニットに内蔵された制御部が、水洗便器に付設された手洗い装置の吐水口に流す手洗い用水の吐水をも制御するようにされているため、一つの制御部が水洗便器の洗浄水と手洗い装置に流す手洗い用水とを制御するため、構成部品が少なくなるとともに、コスト的に有利に手洗い装置付き水洗便器を提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の手洗い装置付き水洗便器は上記のとおりであり、請求項1の手洗い装置付き水洗便器の有する効果に加え、上記洗浄水制御ユニットに内蔵された制御部が、便器本体の便座に設けられた着座センサーからの信号を受けた後、遅れて手洗い用水を上記吐水口に一定時間流すように制御するため、使用者は、用を済ませた後、例えば、3〜15秒後に一定時間吐出する手洗い用水で快適に手を洗うことができる。
【0016】
請求項3に記載の手洗い装置付き水洗便器は上記のとおりであり、請求項1の手洗い装置付き水洗便器の有する効果に加え、上記洗浄水制御ユニットに内蔵された制御部が、洗浄水を制御するリモコン器の操作後、遅れて手洗い用水を吐水口に一定時間流すように制御するため、使用者は、用を済ませた後、例えば、約10秒後に一定時間吐出する手洗い用水で快適に手を洗うことができる。
【0017】
請求項4に記載の手洗い装置付き水洗便器は上記のとおりであり、請求項1の手洗い装置付き水洗便器の有する効果に加え、上記吐水口に内蔵された手洗いセンサーと洗浄水制御ユニットとが信号線によって結ばれ、洗浄水制御ユニットの制御部は、手洗いセンサーが人の手を検知したとき、上記吐水口から手洗い用水が一定時間吐出するように制御するため、水洗便器を使用しないときでも手洗い装置を手洗い用にのみ使用することができる。
【0018】
請求項5に記載の手洗い装置付き水洗便器は上記のとおりであり、請求項1の手洗い装置付き水洗便器の有する効果に加え、上記水洗便器がロータンクの蓋の上で手を洗えないタンクレス水洗便器のとき、トイレルーム内にコンパクトに手洗い装置を設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる手洗い装置付き水洗便器の構成を示す説明図である。図1に示すように、本実施形態においては、本願図5における吐水口4に内蔵された手洗いセンサー41は不要で、水洗便器Aの便器本体1の温水便座に設けられた着座センサー11が代替して用いられる。
【0020】
すなわち、使用者が離座した後、着座センサー11は使用者離座の信号を発信し、その信号を受けて、洗浄水制御ユニット2内の制御部21が例えば3〜15秒後に手洗い用水を吐水口4に流すように制御する。詳しくは、洗浄水制御ユニット2に内蔵された制御部21は、使用者が用を済ませて離座した後、それを検知してすぐに洗浄水制御弁7に弁開を指令し、洗浄水配管8から便器本体1のリムに洗浄水を瞬時に排出させ、洗浄する。
【0021】
そして、3〜15秒後に手洗水制御弁5の開を指令し、吐水配管6を経て手洗い用水が流れ、吐水口4から一定時間吐出した後、手洗水制御弁5の閉を指令する。手洗い後の排水は排水管92を経由して便器本体1に排出される。このようにして、使用者は快適にトイレを使い、自ら蛇口等を操作することなく手を洗うことができる。制御部21は例えば種々の制御部品を実装した制御基板等からなる。
【0022】
図2は、本発明の第2実施形態にかかる手洗い装置付き水洗便器の構成を示す説明図である。図2に示すように、本実施形態においては、洗浄水制御ユニット2に内蔵された制御部21には、使用者が用を済ませた後、リモコン器3の大用あるいは小用の洗浄ボタンを押す、あるいは便蓋閉の表示にタッチする等の操作を行った後、遅れて吐水口4から手洗い用水が吐出するプログラムが組み込まれている。
【0023】
すなわち、洗浄水制御ユニット2の制御部21は、使用者が上記リモコン器3の操作ボタンを押して便器本体1に洗浄水を瞬時に流した後、例えば、10秒後に、吐水口4から手洗い用水が一定時間吐出するように制御する。なお、着座センサー11とリモコン器3とを備えた水洗便器においては、上記第1実施形態、第2実施形態とを共に実施してもよい。あるいは、どちらか、使いやすい方を選んで実施してもよい。
【0024】
図3は、本発明の第3実施形態にかかる手洗い装置付き水洗便器の構成を示す説明図である。図3に示すように、本実施形態においては、吐水口4に手洗いセンサー41を内蔵させ、この手洗いセンサー41と洗浄水制御ユニット2とが信号線Sによって結ばれている。そして、洗浄水制御ユニット2の制御部21には、手洗いセンサー41が人の手を検知したとき、吐水口4から手洗い用水が吐出するように手洗水制御弁5を開とし、一定時間経過後に閉とするプログラムが組み込まれている。このようにすることにより、水洗便器を使用せずに、手洗い装置Bのみを使用するときでも、洗浄水制御ユニット2に内蔵された制御部21を利用して吐水口4から吐水させ、手を洗うことができる。
【0025】
図4は、上記第3実施形態にかかる手洗い装置付き水洗便器の改良例の構成を示す説明図である。図4に示すように、上記第3実施形態に加えて、さらに、便器本体1の温水便座に着座センサー11を設け、使用者が離座した後、洗浄水制御ユニット2に内蔵された制御部21に、例えば3〜15秒後に手洗水制御弁5に一定時間、弁開を指令するプログラムを組み込むことにより、使用者が用を済ませた後、手洗いができるとともに、単に手洗い装置Bを手洗い用のためにのみ使用することもできる。このように、本発明は種々設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる手洗い装置付き水洗便器の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかる手洗い装置付き水洗便器の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の第3実施形態にかかる手洗い装置付き水洗便器の構成を示す説明図である。
【図4】上記第3実施形態にかかる手洗い装置付き水洗便器の改良例の構成を示す説明図である。
【図5】手洗い装置が付設された公知の水洗便器の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
A 水洗便器
B 手洗い装置
C 公知の手洗水制御ユニット
S 信号線
1 便器本体
11 着座センサー
12 手洗いカウンター
2 洗浄水制御ユニット
21 制御部
3 リモコン器
4 吐水口
41 手洗いセンサー
5 手洗水制御弁
6 吐水配管
7 洗浄水制御弁
8 洗浄水配管
91 給水管
92 排水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
瞬時に便器本体に排出される洗浄水の流れを制御する洗浄水制御ユニットを有する水洗便器において、該洗浄水制御ユニットに内蔵された制御部が、水洗便器に付設された手洗い装置の吐水口に流す手洗い用水の吐水をも制御するようにされた手洗い装置付き水洗便器。
【請求項2】
上記洗浄水制御ユニットに内蔵された制御部が、便器本体の便座に設けられた着座センサーからの信号を受けた後、遅れて手洗い用水を上記吐水口に一定時間流すように制御する請求項1に記載の手洗い装置付き水洗便器。
【請求項3】
上記洗浄水制御ユニットに内蔵された制御部が、洗浄水を制御するリモコン器の操作後、遅れて手洗い用水を吐水口に一定時間流すように制御する請求項1に記載の手洗い装置付き水洗便器。
【請求項4】
上記吐水口に手洗いセンサーを内蔵させ、該手洗いセンサーと洗浄水制御ユニットとを信号線によって結ぶとともに、上記洗浄水制御ユニットの制御部は手洗いセンサーが人の手を検知したとき、上記吐水口から手洗い用水が一定時間吐出するように制御する請求項1に記載の手洗い装置付き水洗便器。
【請求項5】
上記水洗便器がタンクレス水洗便器である請求項1に記載の手洗い装置付き水洗便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−303624(P2008−303624A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152193(P2007−152193)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】