説明

手洗用石鹸

【課題】 携帯性に優れ、手洗いの効果を視覚的に認識し易い手洗用石鹸の製品化を実現する。
【解決手段】 カプセル状の外皮の内部に歯垢染色剤等を含むジェル状の有色素洗浄剤を充填して、カプセルは両方の手のひらの圧力で破砕されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル状の外皮に有色素洗浄剤が充填された携帯型の手洗用石鹸に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願時点において、新型インフルエンザの拡大が社会的な問題となっている。この点について、本発明者らによる独自の調査では、東京近郊のファーストフード店において90%以上の来店者が手洗いを実施していないことがわかった。
また、米国のミネソタ州の統計データによると男性の42%、女性の25%が外食の際に手洗いを実施していないことがわかっている。
【0003】
この点について、従来より携帯可能な石鹸に関する先行技術がいくつか散見される。
たとえば、特開2004−277490号公報(特許文献1)は、屋外でも気軽に石鹸で手を洗うことが出来る携帯性に優れ、使い勝手が良く、ファッション性にも優れた石鹸をつくることを目的として、粉状、またはゲル状、ゾル状等にした石鹸(2)をゼラチン、グリセリンなどからなる水溶性の皮膜(1)で覆い、皮膜が水に溶けて石鹸として使えるカプセル型せっけんでケースに入れ携帯出来るようにしたものである。
【0004】
また、特開平9−31500号公報(特許文献2)では、外出先や石けん設置のないトイレや手洗い場で、手などを洗いたいとき、紙包みや使い残しの石けん、いわゆるゴミが出ないように、水に溶解する物質で一回分ずつ石けんを覆った携帯用石けんを提供する技術が開示されている。
【0005】
さらに、実用新案登録第3143869号公報(特許文献3)では、石鹸を携帯可能として外出時に必要な分を無駄なく使用できるようにするため、開閉自在の容器内に、複数個で1回の手洗い量となる大きさの石鹸を複数個収容すると共に、この容器は開放時に一回に振り出せる複数個の石鹸の数を規制した振り出し口が露出する振り出し容器とした構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2004−277490号公報
【特許文献2】 特開平9−31500号公報
【特許文献3】 実用新案登録第3143869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記特許文献はいずれも、石鹸の携帯性という点では優れているものの、それ以前に外出時等に石鹸を持参させるための、すなわち手洗いが必要でありその効果が認識できるというモチベーションを使用者に与えるための工夫に欠けていた。
すなわち、前記特許文献以前より昭和30年代より「紙せっけん」と呼ばれるシート状の石鹸が開発されていたが、一般に普及しているとはいえない状況が続いている。
かかる要因について、本発明者らは、手を洗うという行為による効果が視覚的に捉えづらく、そのために手を洗うという意識を持ちにくいのではないかという仮説を有するに到った。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、携帯性に優れ、手洗いの効果を視覚的に認識し易い手洗用石鹸の製品化を実現することを技術的課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明では、以下の手段を採用した。
本発明の請求項1は、外皮が所定形状のカプセルで構成され、前記外皮で隔成される内部空間に有色素洗浄剤が充填されてなる手洗用石鹸である。
有色素洗浄剤をカプセル内に充填することによって、携帯性に優れるとともに、カプセルから排出された有色素洗浄剤によって洗浄効果が視覚的に確認しやすくなる。
請求項2は、前記外皮は、使用者の両掌の挟圧力で破壊可能であり、内部に充填された有色素洗浄剤が両掌表面に供給されることを特徴とする請求項1記載の手洗用石鹸である。
【0010】
前記カプセルを構成する外皮を使用者の両掌の挟圧力で破壊可能な構造とすることによって、カプセルを両掌に挟んだまま手洗いを開始するだけで外皮が破壊されて内部に充填された有色素洗浄剤が両掌面に供給されるため、洗面所において個別のプラスチックボトル等の洗浄剤のための容器を必要としない。
【0011】
請求項3は、前記外皮を、水溶性物質で構成した請求項1または2記載の手洗用石鹸である。
外皮を水溶性物質で構成することによって、カプセルの廃棄等が不要となり、幼児の使用に際しても、手間をかけずに手洗いを完了させることができる。
【0012】
請求項4は、前記有色素洗浄剤として歯垢染色剤を含むようにした請求項1または2記載の手洗用石鹸である。
有色素洗浄剤として歯垢染色剤を用いることによって、掌の汚れに対する洗浄度合いが視覚的に把握することが可能となる。つまり、色素が目視できる間は洗浄が未完了であり、色素が目視できなくなることによって洗浄が完了したことが認識できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、携帯性に優れ、手洗いの効果を視覚的に認識し易い手洗用石鹸を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明の実施形態であるカプセル石鹸の外観を示す図である。
【図2】 実施形態のカプセル石鹸の断面図である。
【図3】 実施形態のカプセル石鹸を用いた手洗い状態を示す図(1)である。
【図4】 実施形態のカプセル石鹸を用いた手洗い状態を示す図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の最良の実施形態を図面を用いて説明する。
【実施例】
【0016】
図1は本発明の一実施形態であるカプセル石鹸の外観図、図2はその断面図である。
同図に示すように、本実施形態のカプセル石鹸は、外皮で密閉された空間内に有色素洗浄剤が充填されている。
【0017】
外皮はたとえば、セルロースで構成されており、ユーザ(使用者)の掌(手のひら)の挟圧力、すなわち当該カプセル石鹸をユーザが両方の手の平の間に挟み込み、多少の力を加えることによって一部が破砕され、この破砕部から充填されている有色素洗浄剤が放出される程度の強度を有していることが好ましい(図3および図4参照)。
【0018】
なお、挟圧力をかける際に、両方の手の平から加わる外皮外方から中心方向に加わる力の他に、手のひらを擦り合わせることによって外皮回転方向に加わる力によって内部の圧力が偏在することで外皮厚が不均等な部分から破砕するようにしてもよい。
【0019】
さらに、外皮は水溶性高分子樹脂たとえば水溶性セルロースで構成してもよい。またこの外皮自体に赤色105号等の合成着色料を含有させてもよい。
【0020】
外皮の内部に充填される有色素洗浄剤としては、たとえば消毒用エタノール1ml、メイク落とし用の汎用の化粧用クレンジングリキッド2ml、ザルコニン液0.05(塩化ベンザルコニウム液)0.4ml、歯科用の歯垢染色液(商品名:プロスペック)0.1mlで構成した全容量3.5mlの赤色ジェル(たとえば赤色105号)からなる。
【0021】
消毒用エタノールは殺菌作用、クレンジングリキッドは汚れの乖離作用、ザルコニン液は皮膚の消毒作用、歯垢染色液は当該赤色ジェルの目視可能な色素として作用している。
【0022】
有色素洗浄剤の各薬剤の構成は上記に限定されることはないが、少なくとも洗浄効果、殺菌効果、色素確認効果を有するものであればよい。
【0023】
カプセル石鹸は、図では長円球状で構成されているが、その大きさとしては、男性、女性または幼児の手のひらの大きさに合わせた大きさの形状としてもよい。
【0024】
また、カプセル(外皮)の形状としてもこのような形状に限定されるものではなく、幼児の好みに合わせた自動車、人形の形状やキャラクタの形状としてもよい。
【0025】
さらに、乳幼児に手洗いを習慣化させるためには、たとえばカプセル(外皮)の形状を母親の乳房の形として乳頭の先端から有色素洗浄剤が放出される構造としてもよい。
【0026】
なお、本実施形態では、カプセル(外皮)に充填した有色素洗浄剤は手洗いのための洗浄剤で説明したが、色素確認効果を有する洗浄剤であれば、たとえば食器洗浄のための洗浄剤としてもよい。この場合には、カプセル(外皮)に充填する必要はなく、要するに食器洗浄の洗浄効果を食器表面に残存した色素の有無で確認できればよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、医療、衛生用の手洗用洗浄剤に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外皮が所定形状のカプセルで構成され、外皮で隔成される内部空間に有色素洗浄剤が充填されてなる手洗用石鹸。
【請求項2】
前記外皮は、使用者の両掌の挟圧力で破壊可能であり、内部に充填された有色素洗浄剤が両掌表面に供給されることを特徴とする請求項1記載の手洗用石鹸。
【請求項3】
前記外皮は、水溶性物質からなる請求項1または2記載の手洗用石鹸。
【請求項4】
前記有色素洗浄剤は、歯垢染色剤を含む請求項1または2記載の手洗用石鹸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−94094(P2011−94094A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262317(P2009−262317)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(509318169)
【出願人】(509318170)
【出願人】(509318181)
【出願人】(509318192)
【Fターム(参考)】