手術用装置
【課題】人工股関節置換術に用いられ、位置合わせハンドルを備える装置を提供する。
【解決手段】位置合わせハンドル159が、遠位端部161及び近位端部223を定める本体182と、近位端部223に又はその近傍に設けられるゲージ172と、補綴寛骨臼カップを着脱可能に接続するための、遠位端部161に又はその近傍に設けられるコネクタと、を含み、ゲージ172が接続されている補綴寛骨臼カップの向きを示し、補綴寛骨臼カップが基準系内の少なくとも第1の面に対して所定の向きにあるか否かを決定するよう構成される。
【解決手段】位置合わせハンドル159が、遠位端部161及び近位端部223を定める本体182と、近位端部223に又はその近傍に設けられるゲージ172と、補綴寛骨臼カップを着脱可能に接続するための、遠位端部161に又はその近傍に設けられるコネクタと、を含み、ゲージ172が接続されている補綴寛骨臼カップの向きを示し、補綴寛骨臼カップが基準系内の少なくとも第1の面に対して所定の向きにあるか否かを決定するよう構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工股関節置換手術用の手術装置に関し、詳細には、人工股関節置換手術に用いるための手術用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の人工股関節置換手術の技術は、外科医が最初に、股関節を露出するために、大きな初期切開を行うことを伴うことが一般的である。次に外科医は、患者の脚を操作して股関節を外すのが一般的である。股関節を外すためには、しばしば大きな力を加える必要がある。過剰な操作及び力を加えると、患者に付随的な損傷を与える場合があり、術後の痛み及び/又は治癒に要する期間の延長を生じる可能性がある。次に、大腿骨の骨頭をその頸部で切断する。股関節部に、補綴寛骨臼カップ(例えばリンク(LINK)T.O.P.寛骨臼カップ)を受容するためのキャビティがリーミング形成され、大腿骨軸に補綴ステム(例えばリンクC.F.P.股関節部ステム)が挿入される。一般的に、外科医は、切断及びリーミング器具を目視で位置合わせするので、僅かな位置ずれが生じる可能性がある。従って、補綴物が取り付けられた後、補綴寛骨臼カップと補綴大腿骨頭との間に、視覚的には知覚できない位置ずれが生じている場合がある。これにより、脚の位置ずれ、不正確な脚の長さ、及び/又は不正確な軟部組織の緊張等の問題が生じ得る。更に、長期的には、位置ずれした補綴部品の摩耗が早まり、部品の無菌状態に不備が生じ、早期に手術を繰り返す必要が生じる可能性がある。
【0003】
本明細書を通して、従来技術のいかなる議論も、そのような従来技術が周知のもの又は当該技術分野における一般的な共通の知見の一部であると認めたものと見なされるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の短所の少なくとも1つを克服又は改良すること、或いは、有用な代替物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、人工股関節置換術に用いられる位置合わせハンドルであって、遠位端部及び近位端部を定める本体と、前記近位端部に又はその近傍に設けられたゲージと、補綴寛骨臼カップを接続するための、前記遠位端部に又はその近傍に設けられたコネクタと、を含み、前記ゲージが、前記補綴寛骨臼カップが基準系内の少なくとも第1の面に対して所定の向きにあるか否かを示すよう構成された、位置合わせハンドルが提供される。
【0006】
前記基準系が局所的重力場を含むのが好ましい。
【0007】
本発明の他の実施形態によれば、上述のような置合わせハンドルと共に用いられるよう構成された位置合わせフレームであって、該位置合わせフレームの第2の端部を平面に対して位置合わせするために、該平面に当接するよう構成された第1の端部と、前記第2の端部に設けられると共に前記位置合わせハンドルと係合するよう構成された係合手段と、を含む、位置合わせフレームが提供される。
【0008】
前記手術台の平面が手術台の側面であるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による治具の斜視図である。
【図2】図1に示されている治具の平面図である。
【図3】図1に示されている治具の側面図である。
【図4】図1に示されている治具の正面図である。
【図5】3通りの使用可能な切断線が大腿骨頸部と交差する部位と、治具が大腿骨の構成部と係合する様子とを説明する目印がついた、大転子、大腿骨頸部及び大腿骨頭部を示す図である。
【図6】スペーサの斜視図である。
【図7】図6に示されているスペーサの平面図である。
【図8】へらの斜視図である。
【図9】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図10】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図11】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図12】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図13】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図14】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図15】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す模式図である。
【図16】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す模式図である。
【図17】大腿骨を示す図である。
【図18】別のスペーサの平面図である。
【図19】図18に示されているスペーサの側面図である。
【図20】別のスペーサの正面図である。
【図21】図20のスペーサの平面図である。
【図22】図20のスペーサの左側面図である。
【図23】更に別のスペーサの正面図である。
【図24】スペーサが寛骨臼カップに係合する様子を示す、スペーサの部分拡大図である。
【図25】本発明による治具の別の実施形態を示す側面図である。
【図26】本発明による治具の別の実施形態を示す平面図である。
【図27】本発明による治具の別の実施形態を示す端面図である。
【図28】ドリルの平面図である。
【図29】へらの平面図である。
【図30】摘出器の平面図である。
【図31】パンチの平面図である。
【図32】パンチの側面図である。
【図33】左用カップ保持具を示す平面図である。
【図34】右用カップ保持具を示す平面図である。
【図35】ハンドルアセンブリを示す平面図である。
【図36】位置合わせハンドルを示す平面図である。
【図37】第1のスペーサの側面図である。
【図38】第1のスペーサの平面図である。
【図39】第2のスペーサの側面図である。
【図40】第2のスペーサの平面図である。
【図41】第3のスペーサの側面図である。
【図42】第3のスペーサの平面図である。
【図43】位置合わせフレームの側面図である。
【図44】位置合わせフレームの平面図である。
【図45】パンチアセンブリの断面図である。
【図46】留め具ドライバの平面図である。
【図47】留め具ドライバの端面図である。
【図48】図46及び図47に示されている留め具ドライバの駆動ヘッドの平面図である。
【図49】図46及び図47に示されている留め具ドライバの駆動ヘッドの端面図である。
【図50】左股関節部の手術用のスペーサ部材を示す平面図である。
【図51】右股関節部の手術用のスペーサ部材を示す平面図である。
【図52】中幅の追加スペーサの平面図である。
【図53】中幅の追加スペーサの端面図である。
【図54】厚い幅の追加スペーサの平面図である。
【図55】厚い幅の追加スペーサの端面図である。
【図56】ピン摘出器の側面図である。
【図57】ピンの平面図である。
【図58】ピンの端面図である。
【図59】ねじの平面図である。
【図60】ねじの平面図である。
【図61】ねじの平面図である。
【図62】ねじの平面図である。
【図63】本発明による治具の別の実施形態の側面図である。
【図64】本発明による治具の別の実施形態の平面図である。
【図65】本発明による治具の別の実施形態の端面図である。
【図66】骨盤保持具と、大転子の隆起に関係する初期切開部位とを示す、人工股関節置換術の開始直前の患者の斜視図である。
【図67】大腿骨頸部の骨切り前に大腿骨に適用された、本発明の変形実施形態による治具を示す斜視図である。
【図68】骨切りされた大腿骨頭部に適用された図30の摘出器の端部を示す斜視図である。
【図69】患者の寛骨臼に適用されたカップ位置合わせ器具の一部を示す斜視図である。
【図70】患者の寛骨臼に適用されたスペーサ位置合わせ器具の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、例示のみを目的として、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0011】
図1を参照すると、手術用治具1は、大腿骨2に適用されるよう構成される。図17に最もよく示されるように、大腿骨2は、大腿骨頭部3と大腿骨頸部4と(これらは(これらに限らないが)しばしば切断部位となる)大転子5とを含む。外科医が、人工股関節置換術に際してリンクT.O.P.寛骨臼カップ及びC.F.P.ステムの使用を選択した場合には、大腿骨頭部3は切骨り(即ち「切断」)されなければならず、この切断は、大転子5の基部から約1.5cmの位置で大腿骨頸部を横断する線に沿って行われる。当然ながら、マルグロン(MARGRON)THR
及びSP2装具等の他の補綴物は、大腿骨2の他の部位、例えば大転子5を横断する部位等の切断を要し得る。治具1のジオメトリは、必要に応じてこのような用途に合わせて構成される。
【0012】
治具1は、治具1を骨2との所定の関係に位置合わせするために骨の構成部3、4及び5と組み合わさるように構成された治具位置合わせ手段6を含む。治具1は手術器具ガイド手段7を更に含み、手術器具ガイド手段7は治具位置合わせ手段6との関係において、治具1が骨の構成部3、4及び5と組み合わさった際に、手術器具ガイド手段が、例えば往復動する刃等の手術器具を前記骨の構成部の所定の部位に向けてガイドするように、配設される。
【0013】
治具1は本体8を含む。治具位置合わせ手段6の1つの態様は、本体8に設けられた第1及び第2の対向する突起9及び10の形態をとる。突起9及び10は、大腿骨頸部4と組み合わさるように構成される。突起9及び10の各々は長手寸法を有し、治具1が大腿骨頸部4と組み合わさった際に、突起9及び10の長手方向が大腿骨頸部4の長手方向と略同じ方向になるように配向されている。これは図5に最もよく示されており、図中の線11及び12は、突起9及び10がそれぞれ大腿骨頸部と係合する部位を示している。突起9及び10は大腿骨頸部4にスナップ式に嵌るように係合可能である。突起9及び10の各々は弓形であり、その曲率中心は長手方向に沿って延びている。
【0014】
治具位置合わせ手段6の別の態様は、例えば大腿骨頭部3等の骨の構成部を受容するよう構成された、面13である。好ましい実施形態では、図4に最もよく示されるように、面13は逆V字形を定める。逆V字形の面13は、側方に延びる部材16を介して本体8に配設された逆V字形部材14によって設けられる。逆V字形部材14は、突起9及び10の側方に配設される。図5の線15は、逆V字形部材14が適用される大腿骨頭部3の断面を示す。
【0015】
治具位置合わせ手段6の更に別の態様は、骨の構成部と組み合わさる形状の、本体8の側壁17である。より具体的には、側壁17は、大転子5の自然な湾曲に当接する形状の湾曲を有する弓形である。側壁17が大転子5の自然な湾曲に実質的に当接する線は、図5の線18によって最もよく示されている。
【0016】
従って、図1〜図5に示されている治具1の好ましい実施形態は、次に挙げる要素を介して大腿骨2の構成部と組み合わさる。
・大腿骨頸部に係合する突起9及び10、
・大腿骨頭部の一部分に係合するV字形部材、及び
・大転子の自然な湾曲に当接する弓形の側壁17。
【0017】
大腿骨頸部4の骨切りの位置合わせを補助するために、これらの位置合わせ手段が組み合わさって、治具1を大腿骨2に正確に配置し且つ適切な位置に確実に維持可能になる。或いは、治具1は、逆V字形部材14が大腿骨頸部4に接し且つ突起9及び10が大腿骨頭部に接するよう逆向きに配向されてもよい。本体8又は突起9及び10を通って大腿骨頭部3に至るピン等の1つ以上の留め具を打ち込むことにより、治具1を正しい位置にさらに固定してもよい。大腿骨頭部3は骨切りされるので、当然ながら、留め具によって大腿骨頭部3が損傷されてもほとんど問題はない。詳細を後述するように、ピンで大腿骨頭部3に固定された治具1を、大腿骨頭部を切断後に除去する際の補助に用いることも可能である。
【0018】
図1〜図5に示されているように、手術器具ガイド手段7は、逆V字形部材14と突起9及び10との間に設けられる。これは、手術器具から治具1に伝達され得る力による、治具1の回転又は位置ずれ防止の一助となる。手術器具ガイド手段7は、本体8に設けられた1つ以上のスロット20の形態をとる。好ましい実施形態は3つのスロット20を有する。スロット20が、手術器具を骨の構成部の2つ以上の所定部位へとガイド可能なように、各スロットは本体8の横方向の異なる位置に設けられる。これらの所定部位は、異なるサイズの補綴物に対応するように選択される。例えば、或るタイプの補綴物は、大転子5の基部から1.5cmの位置における大腿骨頸部4の骨切りを要し、従って、スロット20の1つは、この位置に向かって手術器具をガイドするように設けられる。各スロット20は、本体8を横断して延びると共に、例えば糸鋸等の往復動する刃等の手術器具を、受容及びガイドするよう構成される。図5の線21は、治具1が大腿骨2に組み合わされた後の、スロット20の配置を示す。別の好ましい実施形態(図示せず)は、異なる器具をガイドするよう構成され、例えば、或る器具ガイド手段は、回転ドリルの刃をガイドするための筒状部材である。
【0019】
図1〜図4には示されていないが、好ましい実施形態は、前記本体8に設けられたハンドルを含む。ハンドルは、治具1が骨の構成部に組み合わされた際に、患者から外部まで延びるのに十分な長さを有する。これにより、外科医が治具1を、患者の体の肉を越えて大腿骨2と組み合わせるために操作可能になる。
【0020】
好ましい手術法は、変形性関節症、関節リウマチ及び骨壊死の症例における人工股関節置換術に特に適している。しかし、以下の状況では一般的に推奨されない。・大腿骨頭部又は大腿骨頸部に大きな解剖学的変形を有する患者への使用、または、
・患者が肥満している場合には、解剖学的な目印を触診で確認するのが困難になる。
【0021】
患者に対して人工股関節置換術を行う好ましい方法に際しては、後外側からの手術アプローチが好ましいが、他の手術アプローチでも十分である。実際、例えば以前の坐骨神経の重度の損傷によって、後外側からの手術アプローチが禁忌される場合には、他の手術アプローチが必要になり得る。
【0022】
好ましい方法は、患者の大転子5及び大腿骨頸部4を露出する工程a)で開始する。これは、患者の大腿に3cm〜7cm、好ましくは5cmの長さの初期切開を行うことを伴う。切開の一端部は大転子5の約1cm〜3cm後で開始し、そこから後方にカーブする。患者の三頭筋の腱を剥離することにより、大腿骨頸部4の後側外面が露出される。三頭筋の腱には、後で再取り付けするための標識を施してもよい。大腿骨頸部4を完全に露出するために、被膜摘除術も行われる。この段階では大腿骨頭部3は外されないことを留意することが重要である。患者の脚は、好ましくは脚保持具によって、垂直から約45度の位置に保たれる。外科医がヘッドライトを使用することも有用であろう。
【0023】
工程b)は、図9に示されるように、手術器具ガイド手段7が大腿骨頸部4に隣接するように、手術器具ガイド手段7を有する治具1を大腿骨2に適用することを含む。好ましい治具1は上述の通りである。治具1を大腿骨2に適切に組み合わせることにより、手術器具ガイド手段7が、大転子5の基部からほぼ所定の距離に配置される。より具体的には、この所定の距離は10mm〜20mmであり、好ましい実施形態では、スロット20の少なくとも1つが大転子5の基部から15mmに配置される。
【0024】
状況に応じて、外科医は、寛骨臼から大腿骨頸部を連続除去することを補助するために大腿骨頸部4の骨切り部位26の大腿骨頭部3側に切欠22を形成してもよい。骨切り前に切欠22が形成されるのが好ましい。切欠は、往復動する糸鋸の刃を大腿骨頸部4又は大腿骨頭部3に少し押し当てることによって形成されてもよい。
【0025】
工程c)は、大腿骨頸部を骨切りするために切断器具をガイドするよう手術器具ガイド手段を用いることを含む。一般的には、糸鋸の刃が、大腿骨頸部4の骨切り部位に当たるように、スロット20の1つを通って送られるが、他の切断手段を用いてもよい。次に、糸鋸を作動させて切刃を往復させ、糸鋸の刃がスロット20によってガイドされて、大腿骨頸部4を横断して徐々に大腿骨頭部3まで移動され、大腿骨頸部4の一部が骨切りされる。
【0026】
工程d)は、切断された大腿骨頭部を患者の股関節から除去することを伴う。これを達成するために、多くの異なる技術が用いられ得る。例えば、図8に示されるようなへら23を「てこ」として用いて、切断された大腿骨頭部4を股関節から取り出してもよい。図10に示されるように、へら23がてことして大腿骨頭部3を動かすのに好都合な部位を、切欠22が提供してもよい。股関節部26内で大腿骨頭部3を保持している腱25の切断を補助するために、へら23の部分24に、鋭利なエッジ等の切断手段を設けてもよい。鋭利なエッジ24は、外科医が、鋭利なエッジ24が腱25に向かうようにへら23を操作するのを補助するための、2つの突起27及び28の間に設けられる。即ち、外科医は、突起27及び28が腱25の両側に位置するように、へら23を配置し、次に、へらの位置をその長軸に沿って腱25に向けて変えることにより、鋭利なエッジ24が腱25を切断する。
【0027】
上述したように、治具がピンによって大腿骨頭部3に固定されている場合には、大腿骨頸部4を除去するための別の方法を用いてもよい。この場合には、治具1に力を加えてもよく、その力がピンを介して大腿骨頭部3に伝わる。股関節から大腿骨頭部3を除去するのに、この力のみで十分な場合もある。或いは、この力によって、上述したへら23等の他の除去手段を補助する場合もある。
【0028】
先に大腿骨頸部4を骨切りしてから、切断された大腿骨頭部3を除去することは、従来技術における、最初に股関節を外す必要を回避することにより、これが与え得る損傷を回避又は最小限にすると共に手術手順を単純化する点において好ましいことが、当業者にはわかるであろう。切断された大腿骨頭部3の除去に引き続き、従来技術に従って人工股関節置換術が完了されてもよい。しかし、既知の手術手順に対する多くの更なる改良の概要を、以下に述べる。
【0029】
大腿骨軸に補綴ステムを移植する従来技術の方法は、大腿骨管に骨圧縮器を通すことを含む。代わりの好ましい方法は、
e)患者の大腿骨軸31の大腿骨管30内にガイドワイヤ29を配置する工程(図11参照)と、
f)ガイドワイヤ29を用いて、大腿骨管30にアパチャーを設けるために可撓性リーマ32をガイドする工程と、
g)補綴ステム33の第1の端部34が大腿骨軸31の一端部から突出するように、アパチャーに補綴ステム33を挿入する工程と、
を含む。或いは、最終的なステム33の代わりに、着脱可能な試用ステムを用いることも可能である。この場合、股関節の置換を点検して満足な結果が得られたら、着脱可能な試用部品の代わりに実際の部品を移植する。
【0030】
寛骨臼にキャビティをリーミングする従来技術の方法は、リーミング器具を目視で位置合わせすることを含む。一方、補綴寛骨臼カップを受容するよう寛骨臼をリーミングする好ましい工程は、
h)第1の端部34を患者の寛骨臼内に配置する工程と、
i)大腿骨軸31の端部と寛骨臼との間にスペーサ35(ロリポップとも称される)を挿入する工程と、
j)スペーサ35を用いて、患者の寛骨臼上の基準点36を決定する工程(図12参照)と、
k)前記基準点36を用いて、寛骨臼をリーミングするためのガイダンスを与える工程と、
を含む。
【0031】
より具体的には、工程i)で用いられるスペーサ35の例が、図6及び図7に示されている。これらの目的は、手術完了後に大腿骨がとるほぼ適切な位置に大腿骨を配置することである。スペーサ35の目印40は、工程j)において基準点を決定するためのガイダンスを与える。基準点36は、はんだごての加熱された先端部と機能的に類似した加熱素子を用いて、寛骨臼上に焼き付けられるのが好ましい。スペーサ35は、ハンドル37と、補綴ステム33の第1の端部34への配置のためのスロット38とを含む。
【0032】
工程j)で設定された基準点36の中心は、工程k)における寛骨臼のリーミングの開始点を与える。これにより、目視で位置合わせを行う従来技術のリーミング技術に対して、より正確であり且つ一貫性のある代わりの方法が提供される。
【0033】
図20〜図24には、工程i)及び工程j)において用いられ得るスペーサの別の例100が示されている。これらのスペーサ100は、補綴寛骨臼カップ104の曲率半径に略対応する曲率半径を有する外周エッジ123を含む。好ましい実施形態では、外周エッジ123の曲率半径は、一連の補綴寛骨臼カップ104の最も小さいものの曲率半径と一致する。工程j)では、外科医は、工程k)のリーミング前に、寛骨臼に基準点36を焼き付ける際に、エッジ123をガイドとして用いる。
【0034】
従来技術の人工股関節置換術の手術法は、外科医が、補綴頸部/頭部の長さ及び寛骨臼カップのサイズ等といった必要な補綴部品のサイズに関して、経験的な見積りを行うことを含む。この場合、見積りサイズを有する試用部品を用いて、一時的に股関節が組み立てられる。得られた試用の関節が、例えば不正確な組織の緊張に起因して、満足なものでない場合には、この関節を分解し、異なるサイズの試用部品を用いる。好ましい方法は、この従来技術の手順に対して、ここでもスペーサ35を利用することにより、代わりの手順を提供する。図18に最もよく示されるように、1つ以上のスペーサ35又は45は、中央に設けられた球面48を有する。球面48は、試用の大腿骨頭部として機能するように大腿骨頭部の形状を模したものである。幾つかの実施形態では、球面48は、補綴頭部に部分的に対応する半球の半分の形状(半球状)である。球面48を有するスペーサ35又は45は、球面48が寛骨臼カップに面するように、寛骨臼カップに最も近いステム33の第1の端部34に配設される。各スペーサ35の厚さ39は、入手可能な補綴部品のサイズに関して選択される。例えば、従来技術の補綴部品の1つは、40mm、43.5mm及び47mmの3通りのサイズで入手可能である。この場合には、少なくとも2つのスペーサ35の厚さ39は、入手可能な補綴部品間のサイズの増分に対応するように3.5mmである。これらの2つのスペーサは、平行な平面46及び47を有する。様々な数又は厚さのスペーサ41を用いることにより、異なるサイズの補綴部品の使用効果を模してもよい。例えば、図14には、補綴ステム33の第1の端部34に適用された3つのスペーサ35のエッジが示されている。これは、47mmの補綴部品を用いて得られる間隔を模したものである。2つのスペーサ35を用いた場合には、43.5mmの補綴部品に伴う間隔を模したものになり、以下同様である。図14に最もよく示されるように、別のスペーサ45は楔形である。この楔形は、補綴寛骨臼カップ及び補綴大腿骨ステムの前傾(又は「向き」)を決定する。前又は前外側の手術アプローチが採用された場合には、逆楔形が必要である。この楔形は、14mmの最大幅から約3.5mmの最小幅へと先細になっている。
【0035】
補綴寛骨臼カップ104の前傾を制御するよう構成されたスペーサ100の別の実施形態が、図20〜図24に示されている。スペーサ100は、第1の端部102を定めるハンドル101を含む。第1の端部102又はその近傍には位置合わせ手段103が設けられている。位置合わせ手段103は、使用に際してカップ104が患者の寛骨臼に対して所定の関係に配置されるように、補綴寛骨臼カップ104と組み合わさるように構成されている。
【0036】
位置合わせ手段103は、補綴寛骨臼カップ104の対応する平面106に当接するよう構成された平面105を定める。位置合わせ手段103は、補綴寛骨臼カップ104の凹内面120と係合するよう構成された1つ以上の突起119の形態をとる係合手段を含む。平面105は半円面107によって定められ、ハンドル101によって定められる平面112に対して鋭角111で配設される。従って、位置合わせ手段103は、第1の端部102に設けられた楔形部材110の形態をとる。角度111は5度〜25度の範囲内であるのが好ましい。角度111は10度〜20度の範囲内であるのがより好ましく、好ましい実施形態では、角度111は約15度である。この角度111は、股関節の自然な傾斜角度に対応するよう選択される。
【0037】
好ましい実施形態では、ハンドルに対する位置合わせ手段のジオメトリは、股関節部の手術に対する後外側の手術アプローチに適するように選択される。当然ながら、他の手術アプローチは僅かに異なるジオメトリを必要とする場合があり、例えば、別の手術アプローチには、図20と比較して、23に示されている異なるハンドルジオメトリが適している。一般的な目標は、補綴大腿骨ステム33の露出された端部34にスペーサ100が適用された際に、位置合わせ手段103が補綴寛骨臼カップ104を、手術完了時に望まれる補綴カップ104の前傾と略同一の前傾をもって配置することが確実になることである。
【0038】
位置合わせ手段103は、補綴大腿骨ステム33の突出した端部34を受容するよう構成されたスロット108を含む。ステム33の端部34がスロット108内に配置されたら、スペーサ100は、図14においてスペーサ45がステムの端部34と係合するのと同様に、ステム33と係合する。
【0039】
補綴ステム33に対する補綴寛骨臼カップの角度傾斜は、股関節の自然なジオメトリを可能な限り正確に反映すべきである。スペーサ100が回転軸118周りに回転すると、15度の角度傾斜の方向は変化する。外科医に、位置合わせ手段103が患者の寛骨臼に対する前記所定の関係に配置されたか否かに関するガイダンスを与えるために、スペーサ100の第2の端部113又はその近傍に配向ガイダンス手段109が設けられる。配向ガイダンス手段109は、重力の影響下で略垂直に懸吊されるよう、スペーサ100上に回転可能に設けられた下げ振り114を含む。下げ振り114は、ピン116によって、スペーサ100の円形部材115に回転可能に取り付けられている。前記スペーサ100上には基準点117が設けられており、位置合わせ手段103が患者の寛骨臼に対する前記所定の関係に配置された際には、下げ振り114が基準点117と揃って懸吊されるようになっている。即ち、図20及び図23に示されるように、スペーサ100が回転軸118に対して必要な回転位置をとった際に、下げ振り114は基準点117と揃った状態で懸吊される。従って、患者が側臥位にある時、スロット108は大腿骨軸の端部34と組み合わさり、スペーサ100は下げ振り114が基準点117と揃うまで軸114周りに回転すると、補綴寛骨臼カップ104がステム33に対して必要な前傾を有した状態になる。即ち、スペーサを正しく用いれば、楔形部材110の厚い方の端部121が患者の前に向かって配置され、薄い方の端部122が患者の後に向かって配置されることが確実になる。従って、15度の傾斜は患者の外側前方に向けられ、股関節の自然なジオメトリを反映する。
【0040】
より具体的には、必要な補綴部品のサイズを決定する好ましい方法は、
l)第1の端部34に試用頭部41を配置する工程と、
m)リーミングされた寛骨臼に試用寛骨臼カップ42を配置する工程(図13参照)と、n)前記試用寛骨臼カップ42内に前記試用頭部41を配置する工程と、
o)試用頭部41と試用寛骨臼カップ42との必要な嵌合いが得られるまで、大腿骨軸31の端部と試用頭部41との間に1つ以上のスペーサ35を挿入する工程(図13、図14、図15及び図16参照)と、
p)スペーサ35の数又はサイズと必要な補綴部品のサイズとを相関させる工程と、
を含む。
【0041】
外科医は工程o)において、組織の緊張、部品の整合、脚の長さ等のファクタを調べることにより、試用頭部41と試用寛骨臼カップ42との必要な嵌合いが得られたか否かを判定する。工程n)において必要な補綴部品のサイズが決定されたら、試用補綴部品41及び42(図15)が最終的な補綴部品43及び44(図16)と取り換えられるが、寛骨臼カップはこの時点では嵌入されない。更にスペーサ35を用いて、ステム33に対するカップ44の最終的な正確な向きを決定し、次に、カップ44が恒久的に適切な位置にセットされるようにしっかりと嵌入される。寛骨臼カップ44内にライナーが配置され、次に、補綴頭部43が復位される。新しい関節の運動範囲が確認されたら、これらの層が閉じられ、三頭筋の腱が再び取り付けられる。
【0042】
図25〜図65を参照すると、器具は、好ましい手術手順を行うための用具一式の実施形態を構成するものである。器具の用具一式は、寛骨臼内の大腿骨2に適用される別の実施形態治具140を有し、大腿骨頸部4の骨切される最適な部位を規定する。この好ましい手術手順は、患者を、図66に最もよく示されている、手術される側が一番上にある側臥位に配置することで開始する。患者を必要な体位に保つために、骨盤保持具230を用いるのが好ましい。また、手術前及び手術中には、患者の下肢の温度を下げるのが好ましい。
【0043】
手術部位の露出は、大転子5の隆起(図66に線232で示す)の約2cm後に設けられた線231に沿った、約5cmの長い切開で開始する。次に、張筋の筋膜が切開され、外科医は、大腿骨2の頸部4が露出されるまで、鈍的剥離(blunt dissection)を行う。皮膚のラインの下に断続的に自己保持具が用いられる。三頭筋の腱及び短い外側回転筋(これらには後で再取り付けするための標識を施す)を剥離することにより、大腿骨頸部4の後部外面が露出される。包切除によって転子窩(即ち、大転子5の基部)が露出され、更に、大腿骨頸部4が露出され、次に、処置可能な位置にある寛骨臼の骨棘が除去される。従来技術の人工股関節置換術の手術法とは異なり、頭部3はこの時点では除去されない。外科医は、視認性を補助するためにヘッドライトを使用することを選択してもよい。手術中に用いられるいかなる潅注液も、出血を最小限にするために冷却されるのが好ましい。
【0044】
脚は、脚保持具内に配置され、垂直に対して約45度に保たれる。外科医は、治具140のハンドル141を把持し、図67で最もよく示されるように、患者の傷を通って大腿骨頸部4に至るよう治具のヘッド210を操作する。治具140のヘッド210は、スペーサ142として作用する細長い棒の形態の治具位置合わせ手段を含む。スペーサ142は端部211を有し、端部211は転子窩に当接して、治具140のスロット143が必要な位置に配置される。この必要な位置は、好ましい実施形態では転子窩から5mm〜25mmの位置であり、最も好ましくは15mmの位置である。
【0045】
図67に示されている治具140の第1バージョンは、患者の左側の股関節に用いられるよう構成されている。別のバージョンの治具140は、患者の右側の股関節に用いられるよう構成されている。2つのバージョンの唯一の実質的な違いは、スペーサ142がヘッド210の反対側に設けられている点である。
【0046】
骨の構成部を受容するよう構成された面212によって、更なる治具位置合わせ手段が設けられる。この面212は、大腿骨の輪郭と組み合わさるよう構成されたヘッド210の基部の輪郭146によって設けられる。
【0047】
治具が正しく配置されたら、図57及び図58に示されるように、治具140のヘッド210の穴144を通して大腿骨頭部3に、ピン等の固定手段143を打ち込む。
【0048】
スロット143は、棒142の長手方向に対して鋭角に配向される。この角度は、手術で用いられる特定の補綴部品に合わせた切断に必要な角度によって異なる。スロット143は手術器具ガイド手段として機能し、治具140によって、大腿骨頸部4の骨切りのための正しい位置に配置される。上述のように、大腿骨頭部3が依然として寛骨臼内に配置されている状態で骨切りが行われる。必要と考えられる場合には、外科医は、近傍に二次的な楔形の骨切り(secondary proximal wedge osteotomy)を行ってもよい。
【0049】
大腿骨頸部4の骨切りに続き、大腿骨頭部3が前方に曲げられ、多くの可能な選択肢のうちの1つ以上を用いて除去される。図28に示されるようなドリル147を用いて、大腿骨頭部3に穴233をあけてもよい。その場合、摘出器149のハンドル150を回すことにより、摘出器149のセルフタッピングねじ部材148が穴233にねじ込まれる。大腿骨頭部3内に配置されたら、外科医はハンドル150に外向きの力を及ぼし、その力は大腿骨頭部3に及び、大腿骨頭部3が除去される。摘出器149と併用されても併用されなくてもよい別の選択肢が、へら151によって提供される。遠位端部152はエッジに向かって先細になっており、これを大腿骨頭部3の下に押し込み、寛骨臼から大腿骨頭部3を押し出すのを補助することができる。先細の端部152を用いて、寛骨臼内で大腿骨頭部3を保持している腱を切断することも可能である。除去の他の選択肢としては、大腿骨頭部3を切片にする、即ちダイシングすることが含まれる。
【0050】
次の手術工程のために、患者の脚が手術台に対して垂直に支持される。標準的な従来技術に従って、トロカール目打ち及びガイドを用いて近位大腿骨に準備がなされる。大腿骨頸部4のいずれかの側に、尖形ホーマン(Hohmann)(即ちリトラクタ)を配置する。或
いは、大腿骨頸部4の下に幅広の鈍形ホーマンを適用して大腿骨頸部4を持ち上げてもよい。
【0051】
パンチ153の押し込み面154に骨圧縮器を取り付け可能であり、ピン156によって適切な位置に保持される。骨圧縮器は、パンチ153を用いて、近位端部157をハンマー、マレット又は他の適切な器具で叩くことにより、大腿骨の縦軸に押し込まれる。このプロセスにより、大腿骨管に(後述するように)後でステム34を取り付けるための空洞が形成される。パンチ153の押し込み面154は、細長い長手部材155から側方にずれており、外科医が、患者の傷を通してパンチ153を何とか操作しながら、骨圧縮器を正しい方向に押し込むことが、より容易になる。これは、大腿骨の外縁部にひび割れが生じ得る角度で骨圧縮器が大腿骨に押し込まれるリスクを、最小限にする補助となる。次に、距リーマを用いて、大腿骨頸部4の端部に円形の平面を形成する。これで、後述する寛骨臼カップの挿入後に行われる、補綴ステムを挿入するための大腿骨の準備が整ったことになる。
【0052】
次に、外科医は、患者の下肢を手術台上で中立の位置に配置し、寛骨臼のリーミングに備える。次に、寛骨臼の前方マージンの上に尖形ホーマンを配置する。次に、寛骨臼を、段階的に径を拡大させながらリーミングする。
【0053】
リーミングされた寛骨臼に補綴寛骨臼カップを挿入するために、図36に示されている位置合わせハンドル159、図35に示されているハンドル213、及び、図33及び図34にそれぞれ示されている左カップ保持具158又は右カップ保持具158の3つの部品から、カップ位置合わせ器具167が組み立てられる。位置合わせハンドル159は、遠位端部161及び近位端部223を定める本体182と、これらの端部間のハンドル182とを含む。近位端部223には、下げ振り172の形態のゲージが配設されている。ゲージ172は、補綴寛骨臼カップが、基準系の少なくとも第1の平面に対して所定の向きであるか否かを示すように構成されている。遠位端部161には、内ねじカラー163を含むコネクタが配設されている。
【0054】
位置合わせハンドル159には、必要に応じて左又は右カップ保持具158が、カップ保持具158の近位端部164に設けられた取り付け手段160を介して取り付けられる。より具体的には、取り付け手段160は突起169を含み、突起169は、位置合わせハンドル159の遠位端部161上のコネクタに差し込まれて、2つの部品間の正しい相対的な位置合わせを確実にする。相互に差し込まれたら、内ねじカラー163はカップ保持具158の外ねじ224と係合し、2つの部品を一体に固定する。
【0055】
ハンドル213は、外科医に、カップ位置合わせ器具167を操作する際の更なる手段を提供する。ハンドル213をカップ保持具158に接続するために、ハンドル213の外ねじ163とカップ保持具158内に設けられたねじ162が、ねじ込み式に係合する。得られたカップ位置合わせ器具167は、図69に示されている(但し、カップ保持具158の一部は、患者の傷234に挿入されているため見えない)。
【0056】
次の工程では、適切なサイズの補綴寛骨臼カップがカップ位置合わせ器具167に取り付けられる。補綴寛骨臼カップのサイズに応じて、スペーサ174、215又は216が必要となり得る。図37〜図42に示されている様々な幅のスペーサは、カップ保持具158の遠位端部165に設けられたボス170の第1の端部168と係合可能である。より具体的には、スペーサ174に設けられた突起166が、ボス170の第1の端部168に設けられた対応するアパチャー214に圧入されるよう係合可能である。
【0057】
外科医は、患者の股関節部に挿入される補綴カップのサイズと一致する、適切な幅を有するスペーサ174、215又は216を選択する。最も小さい補綴寛骨臼カップにはスペーサ174は必要ない。スペーサ174、215及び216は、1回のみの手術での使用に耐えるように設計された、プラスチック材料で作られた消耗品である。器具の用具一式は、図59〜図62にそれぞれ示されるように、異なる長さを有する4つのねじ217、218、219及び220を含む。従って、このねじ及びスペーサ構成は、以下の構成にそれぞれ対応する4つのサイズの補綴寛骨臼カップの要求を満たすものである。
補綴寛骨臼カップサイズ1:ねじ217、スペーサ無し、
補綴寛骨臼カップサイズ2:ねじ218及びスペーサ174、
補綴寛骨臼カップサイズ3:ねじ219及びスペーサ215、及び
補綴寛骨臼カップサイズ4:ねじ220及びスペーサ216。
【0058】
ねじ217、218、219及び220は、アレンヘッドソケット221を有するのが好ましい。各ねじは、ボス170のアパチャー214を通って軸方向に延びるのに丁度十分な長さを有する。ねじの頭部222はボス170の第2の端部171に隣接する。ねじ付き端部223は、ボス170の第1の端部168を丁度越えると共に第1の端部168に係合するかもしれない何れのスペーサ174、215又は216をも丁度越えて露出する。ねじ付き端部223の露出した先端部は、補綴寛骨臼カップ104とねじ込み式に係合可能である。このようにして、カップ位置合わせ器具167に補綴寛骨臼カップが取り付けられる。より具体的には、寛骨臼カップは、寛骨臼カップの凹面がボス170の第2の端部171に面するようにして、カップ保持具158と係合する。
【0059】
次に外科医は、図69に示されるように、リーミングされた寛骨臼にカップが隣接するように、カップ位置合わせ器具167を傷234の中へと操作する。この時点で、補綴寛骨臼カップが、リーミングされた寛骨臼に挿入されるための解剖学的に正しい向きになることが確実になるよう、カップ位置合わせ器具167を配向することが必要である。これは、位置合わせフレーム176と組み合わされた、位置合わせハンドル159のゲージ172を基準にして達成される。
【0060】
ゲージ172は、下げ振りとして機能する針173を有する。針173は、局所的な重力場の影響下で略垂直に懸吊されるように、位置合わせハンドル159に回転可能に設けられる。このゲージによって、外科医は、下げ振り172の回転可能な針173が固定針175の形態の基準点と揃うようにカップ位置合わせ器具167を配置することにより、寛骨臼カップを少なくとも第1の面において正しく位置合わせできる。
【0061】
下げ振り172の影響を受ける面以外の面において寛骨臼カップを正確に位置合わせするために、図43及び図44に示されている位置合わせフレーム176を用いてもよい。位置合わせフレーム176は、第1の端部178及び第2の端部179を定めるフレーム部材177を含む。フレーム部材177は側面視で略L字形であり、平面視でA字形である。第1の端部178には当接パッド180が設けられており、平面、具体的には手術台の垂直な側面に当接するよう構成されている。例えば、外科医は自分の膝を用いて、当接パッド180を手術台の側面に押しつける。位置合わせフレーム176の第2の端部179は、患者の股関節部に隣接して配置される。
【0062】
第2の端部179にはスロット部材181の形態の係合手段が設けられており、患者の股関節部に向かって突出するよう位置合わせされる。スロット部材181の開放端スロット225は、位置合わせハンドル159の本体182の外周曲率半径と一致する内周曲率半径を有する半円面226を定める。即ち、スロット225は、位置合わせハンドル159の本体182を受容し且つ方向づけるサイズを有する。このジオメトリは、位置合わせハンドル159と係合手段181とが係合することにより、位置合わせハンドル159が、第2の平面(下げ振り172と関連づけられた第1の平面とは異なる)に対して所定の向きに強制されるようになっている。これは、スロット部材181が、本体182がスロット部材181と係合した際に、本体182の縦軸がスロット部材181の軸と確実に一致するのに十分な幅227を有するからである。より具体的には、スロット部材181内に本体182が配設されると、本体182は手術台の側面に対して略垂直になる。
【0063】
例えば骨盤保持器230及び/又は手術台上で患者の位置を固定するための他の手段を用いることにより、手術台上で患者の股関節部を、手術台に対して所定の位置に保つのが好ましい。以下の各条件が満たされた際には、外科医は、補綴寛骨臼カップが患者の股関節部に挿入されるために正しく配置されたことを確信できる。
・患者の股関節部が手術台上の所定位置にある、
・位置合わせフレーム176の第1の端部178が、患者の股関節部に隣接した手術台の側面に当接し、スロット部材181が患者の股関節部に面している、
・位置合わせハンドル159の本体182がスロット部材181と係合している、及び
・下げ振り172の回転可能針173が固定針175と揃っており、補綴寛骨臼カップが所定の向きであることを示している。
【0064】
この時点で、外科医は、図45に示されているようなパンチアセンブリ183を用いて、リーミング済みの寛骨臼に寛骨臼カップを嵌入する。より具体的には、パンチアセンブリ183の押し込みヘッド184を、ボス170の第2の端部171に当てて配置し、外科医がハンドル186を介してパンチアセンブリ183を把持しながら、嵌入面185をハンマー又は類似の器具で叩く。このプロセスにより、リーミング済みの寛骨臼に寛骨臼カップが固定される。
【0065】
図46及び図47に示されるように、固定具ドライバ187は、寛骨臼カップをカップ保持具158に固定するのに用いられるねじ217、218、219又は220のアレンソケット221と組み合わさるアレンキーであるのが好ましい。アレンキー187は丸みがついた駆動端部188を有し、まっすぐに位置合わせされた状態に加えて、或る範囲の角度からねじ217、218、219又は220を駆動できる。これは、外科医が、患者の傷234を通してねじを締めるのに伴う困難に対処するためのある程度の自由度を許容するので、好ましい。アレンキー187は、駆動ヘッド188の回転を容易にするよう構成されたハンドル189も有する。寛骨臼カップからねじ217、218、219又は220が外された後、カップ保持具158は患者から引き出される。
【0066】
所望の場合には、オプションとして、寛骨臼カップを介して患者の骨盤に通されるねじ等の固定手段によって、リーミング済みの寛骨臼に寛骨臼カップを更に固定することも可能である。次に、寛骨臼カップにライナーを挿入し、その後の位置ずれを回避するために、ライナーの下に鈍形ホーマンを挿入してもよい。
【0067】
この時点で、例えばC.F.P.ステム等のステム33を大腿骨管に挿入できるように、患者の脚は垂直な位置に保持される。挿入後、ステム33の端部34は大腿骨の端部から突出する。
【0068】
この時点で、術後の正しい脚の長さ、組織の緊張及び筋肉の緊張を得るために必要な、補綴頸部の長さを決定することが必要である。ステムに短い試用ヘッドが配置され、股関節が復位される。図70に最もよく示されているように、この時点で、前にハンドルアセンブリ159にカップ保持具158を取り付けたのと同様にして、位置合わせハンドル159に必要に応じて左又は右用スペーサ部材190を取り付けることにより、スペーサ位置合わせ器具189を組み立てる。即ち、ハンドルアセンブリ159の遠位端部に161に設けられたアパチャーに突起191が差し込まれ、スペーサ部材190の近位端部192にカラー163がねじ込み式に係合する。前のカップ位置合わせ器具167の組み立てと同様に、スペーサ部材190の近位端部192に設けられたスペーサ部材の内ねじ193に、ハンドル162がねじ込まれる。即ち、スペーサ位置合わせ器具189を組み立てるには、単に、カップ位置合わせ器具167で開始して、カップ保持具158をスペーサ部材190と置き換えるだけのことである。
【0069】
スペーサ部材190はスペーサ194を含み、スペーサ194は、ステム33の端部34と係合するよう構成されたスロット195を有する。これにより、図70に示されるように、試用ヘッドと大腿骨の端部34との間にスペーサ194が配置される(但し、試用ヘッドはリーミングされた寛骨臼カップ内にあるので見えない)。適切に配置されると、試用ヘッドは半球面203内に配設される。ここでも、スペーサ194及び試用ヘッドが解剖学的に正しい方法で配向されることが確実になるように、外科医は以下のテストを行いながら、下げ振り172及び位置合わせフレーム176を用いてもよい。
【0070】
スペーサ194が適切な位置にある状態で、外科医は、脚の長さ及び/又は組織の緊張及び/又は筋肉の緊張が十分であるか否かをテストする。十分でない場合には、外科医は、スペーサ位置合わせ器具189を引き出して、(図52及び図53に示されるような)中幅の追加スペーサ196をスペーサ194に留める。中幅の追加スペーサ196は、これら2つの部品に設けられた圧入構成部198を介してスペーサ194に留められる。脚の長さ及び/又は組織の緊張及び/又は筋肉の緊張がまだ不十分である場合には、中幅の追加スペーサ196の代わりに厚い幅の追加スペーサ197を用いて、このプロセスを繰り返す。
【0071】
即ち、解剖学的に正しい脚の長さ及び/又は組織の緊張及び/又は筋肉の緊張が得られるまで、幅が異なる(又は異なる数の)スペーサ194、196又は197を用いて、テストプロセスを繰り返す。次に、外科医は、最良の結果を与えたスペーサの厚さ(又はスペーサの数)を記録し、所定の相関スキームに従って、この記録を、必要な補綴頸部の長さと相関させる。例えば、追加スペーサ196又は197を必要とせずに、正しい脚の長さ及び/又は組織の緊張及び/又は筋肉の緊張が得られたら、最も短い補綴頸部長が用いられる。中間の厚さの追加スペーサ196を用いて、正しい脚の長さ等が得られたら、中間の補綴頸部長が用いられる。厚い幅の追加スペーサ197を用いて、正しい脚の長さ等が得られたら、最も長い補綴頸部長が用いられる。当然ながら、他の方法に対しては、他の相関スキームが考案されてもよい。
【0072】
この、正しい脚の長さ等を与えるのに必要な補綴部品のサイズを確認するプロセスは、補綴部品の正しいサイズがわかるまで股関節を外すことを繰り返す従来技術の方法よりも好ましい。
【0073】
股関節部が外され、この時点で、試用補綴部品が実際の補綴部品と交換され、股関節部が復位される。この時点で、外科医は、患者の脚が適切な範囲で動くことを確認すると共に、許容可能な脚の長さ、組織の緊張及び筋肉の緊張が得られていることを再確認する。外科医は、標準的な方法で、三頭筋の腱及び短い外側回転筋を再び取り付け、様々な層を閉じることにより、手術を完了させる。術後の機能回復を補助するために、股関節部領域にクリオカフ(cryocuff)を適用することが推奨される。
【0074】
大腿骨頭部3が患者から除去された後で、前に大腿骨頭部3に打ち込まれたまま大腿骨頭部3に埋め込まれているピン143の回収が望まれる場合には、ピン摘出器199を用いてもよい。大腿骨頭部3にテストを行うことが必要な場合もあり、その場合には、ピン143の除去が必要となり得る。トング200とトング201とを径方向に引き離すことにより、係合部材203を越えてアパチャー202内にピン143を挿入できる。次に、係合部材203が、ピン143の端部229近傍に設けられた切欠228に横向きの力を及ぼすように、これらのトングを一緒に径方向に把持することにより、ピン摘出器199がピン143をしっかりつかむ。次に、ピン摘出器199に長手方向の力が及ぼされ、この力がピン143に伝えられ、切断された大腿骨頭部3からピン143を引き抜く際の補助となる。この長手方向の力は、突起204をハンマーで叩くことによって与えられてもよい。
【0075】
この人工股関節置換術の好ましい方法は、従来技術の方法と比べて多くの長所を提供するものであることを認識されたい。具体的には、骨切り術の前に股関節を外す必要がないこと、大腿骨管及び寛骨臼のリーミングの正確さ及び一貫性が高まること、並びに、必要な補綴部品のサイズ合わせ及び配向を確立するプロセスに伴う試行錯誤が概ね少ないことである。一般的に、これによって、患者の靭帯及び筋肉の付着部が受ける障害が最小限になる手術手順が得られ、術後の痛みが少ない、より迅速な患者の機能回復が可能になる。好ましい実施形態に典型的に伴う更なる長所としては、傷の低減、血液の損失及び凝固の低減、感染リスクの低減、入院期間の短縮、並びにコストの低減が含まれる。
【0076】
特定の例を参照して本発明を説明したが、本発明は他の多くの形態で実施され得ることが当業者にはわかるであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工股関節置換手術用の手術装置に関し、詳細には、人工股関節置換手術に用いるための手術用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の人工股関節置換手術の技術は、外科医が最初に、股関節を露出するために、大きな初期切開を行うことを伴うことが一般的である。次に外科医は、患者の脚を操作して股関節を外すのが一般的である。股関節を外すためには、しばしば大きな力を加える必要がある。過剰な操作及び力を加えると、患者に付随的な損傷を与える場合があり、術後の痛み及び/又は治癒に要する期間の延長を生じる可能性がある。次に、大腿骨の骨頭をその頸部で切断する。股関節部に、補綴寛骨臼カップ(例えばリンク(LINK)T.O.P.寛骨臼カップ)を受容するためのキャビティがリーミング形成され、大腿骨軸に補綴ステム(例えばリンクC.F.P.股関節部ステム)が挿入される。一般的に、外科医は、切断及びリーミング器具を目視で位置合わせするので、僅かな位置ずれが生じる可能性がある。従って、補綴物が取り付けられた後、補綴寛骨臼カップと補綴大腿骨頭との間に、視覚的には知覚できない位置ずれが生じている場合がある。これにより、脚の位置ずれ、不正確な脚の長さ、及び/又は不正確な軟部組織の緊張等の問題が生じ得る。更に、長期的には、位置ずれした補綴部品の摩耗が早まり、部品の無菌状態に不備が生じ、早期に手術を繰り返す必要が生じる可能性がある。
【0003】
本明細書を通して、従来技術のいかなる議論も、そのような従来技術が周知のもの又は当該技術分野における一般的な共通の知見の一部であると認めたものと見なされるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の短所の少なくとも1つを克服又は改良すること、或いは、有用な代替物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、人工股関節置換術に用いられる位置合わせハンドルであって、遠位端部及び近位端部を定める本体と、前記近位端部に又はその近傍に設けられたゲージと、補綴寛骨臼カップを接続するための、前記遠位端部に又はその近傍に設けられたコネクタと、を含み、前記ゲージが、前記補綴寛骨臼カップが基準系内の少なくとも第1の面に対して所定の向きにあるか否かを示すよう構成された、位置合わせハンドルが提供される。
【0006】
前記基準系が局所的重力場を含むのが好ましい。
【0007】
本発明の他の実施形態によれば、上述のような置合わせハンドルと共に用いられるよう構成された位置合わせフレームであって、該位置合わせフレームの第2の端部を平面に対して位置合わせするために、該平面に当接するよう構成された第1の端部と、前記第2の端部に設けられると共に前記位置合わせハンドルと係合するよう構成された係合手段と、を含む、位置合わせフレームが提供される。
【0008】
前記手術台の平面が手術台の側面であるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による治具の斜視図である。
【図2】図1に示されている治具の平面図である。
【図3】図1に示されている治具の側面図である。
【図4】図1に示されている治具の正面図である。
【図5】3通りの使用可能な切断線が大腿骨頸部と交差する部位と、治具が大腿骨の構成部と係合する様子とを説明する目印がついた、大転子、大腿骨頸部及び大腿骨頭部を示す図である。
【図6】スペーサの斜視図である。
【図7】図6に示されているスペーサの平面図である。
【図8】へらの斜視図である。
【図9】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図10】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図11】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図12】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図13】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図14】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す図である。
【図15】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す模式図である。
【図16】人工股関節置換術を行う好ましい方法に含まれる工程の一部を示す模式図である。
【図17】大腿骨を示す図である。
【図18】別のスペーサの平面図である。
【図19】図18に示されているスペーサの側面図である。
【図20】別のスペーサの正面図である。
【図21】図20のスペーサの平面図である。
【図22】図20のスペーサの左側面図である。
【図23】更に別のスペーサの正面図である。
【図24】スペーサが寛骨臼カップに係合する様子を示す、スペーサの部分拡大図である。
【図25】本発明による治具の別の実施形態を示す側面図である。
【図26】本発明による治具の別の実施形態を示す平面図である。
【図27】本発明による治具の別の実施形態を示す端面図である。
【図28】ドリルの平面図である。
【図29】へらの平面図である。
【図30】摘出器の平面図である。
【図31】パンチの平面図である。
【図32】パンチの側面図である。
【図33】左用カップ保持具を示す平面図である。
【図34】右用カップ保持具を示す平面図である。
【図35】ハンドルアセンブリを示す平面図である。
【図36】位置合わせハンドルを示す平面図である。
【図37】第1のスペーサの側面図である。
【図38】第1のスペーサの平面図である。
【図39】第2のスペーサの側面図である。
【図40】第2のスペーサの平面図である。
【図41】第3のスペーサの側面図である。
【図42】第3のスペーサの平面図である。
【図43】位置合わせフレームの側面図である。
【図44】位置合わせフレームの平面図である。
【図45】パンチアセンブリの断面図である。
【図46】留め具ドライバの平面図である。
【図47】留め具ドライバの端面図である。
【図48】図46及び図47に示されている留め具ドライバの駆動ヘッドの平面図である。
【図49】図46及び図47に示されている留め具ドライバの駆動ヘッドの端面図である。
【図50】左股関節部の手術用のスペーサ部材を示す平面図である。
【図51】右股関節部の手術用のスペーサ部材を示す平面図である。
【図52】中幅の追加スペーサの平面図である。
【図53】中幅の追加スペーサの端面図である。
【図54】厚い幅の追加スペーサの平面図である。
【図55】厚い幅の追加スペーサの端面図である。
【図56】ピン摘出器の側面図である。
【図57】ピンの平面図である。
【図58】ピンの端面図である。
【図59】ねじの平面図である。
【図60】ねじの平面図である。
【図61】ねじの平面図である。
【図62】ねじの平面図である。
【図63】本発明による治具の別の実施形態の側面図である。
【図64】本発明による治具の別の実施形態の平面図である。
【図65】本発明による治具の別の実施形態の端面図である。
【図66】骨盤保持具と、大転子の隆起に関係する初期切開部位とを示す、人工股関節置換術の開始直前の患者の斜視図である。
【図67】大腿骨頸部の骨切り前に大腿骨に適用された、本発明の変形実施形態による治具を示す斜視図である。
【図68】骨切りされた大腿骨頭部に適用された図30の摘出器の端部を示す斜視図である。
【図69】患者の寛骨臼に適用されたカップ位置合わせ器具の一部を示す斜視図である。
【図70】患者の寛骨臼に適用されたスペーサ位置合わせ器具の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、例示のみを目的として、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0011】
図1を参照すると、手術用治具1は、大腿骨2に適用されるよう構成される。図17に最もよく示されるように、大腿骨2は、大腿骨頭部3と大腿骨頸部4と(これらは(これらに限らないが)しばしば切断部位となる)大転子5とを含む。外科医が、人工股関節置換術に際してリンクT.O.P.寛骨臼カップ及びC.F.P.ステムの使用を選択した場合には、大腿骨頭部3は切骨り(即ち「切断」)されなければならず、この切断は、大転子5の基部から約1.5cmの位置で大腿骨頸部を横断する線に沿って行われる。当然ながら、マルグロン(MARGRON)THR
及びSP2装具等の他の補綴物は、大腿骨2の他の部位、例えば大転子5を横断する部位等の切断を要し得る。治具1のジオメトリは、必要に応じてこのような用途に合わせて構成される。
【0012】
治具1は、治具1を骨2との所定の関係に位置合わせするために骨の構成部3、4及び5と組み合わさるように構成された治具位置合わせ手段6を含む。治具1は手術器具ガイド手段7を更に含み、手術器具ガイド手段7は治具位置合わせ手段6との関係において、治具1が骨の構成部3、4及び5と組み合わさった際に、手術器具ガイド手段が、例えば往復動する刃等の手術器具を前記骨の構成部の所定の部位に向けてガイドするように、配設される。
【0013】
治具1は本体8を含む。治具位置合わせ手段6の1つの態様は、本体8に設けられた第1及び第2の対向する突起9及び10の形態をとる。突起9及び10は、大腿骨頸部4と組み合わさるように構成される。突起9及び10の各々は長手寸法を有し、治具1が大腿骨頸部4と組み合わさった際に、突起9及び10の長手方向が大腿骨頸部4の長手方向と略同じ方向になるように配向されている。これは図5に最もよく示されており、図中の線11及び12は、突起9及び10がそれぞれ大腿骨頸部と係合する部位を示している。突起9及び10は大腿骨頸部4にスナップ式に嵌るように係合可能である。突起9及び10の各々は弓形であり、その曲率中心は長手方向に沿って延びている。
【0014】
治具位置合わせ手段6の別の態様は、例えば大腿骨頭部3等の骨の構成部を受容するよう構成された、面13である。好ましい実施形態では、図4に最もよく示されるように、面13は逆V字形を定める。逆V字形の面13は、側方に延びる部材16を介して本体8に配設された逆V字形部材14によって設けられる。逆V字形部材14は、突起9及び10の側方に配設される。図5の線15は、逆V字形部材14が適用される大腿骨頭部3の断面を示す。
【0015】
治具位置合わせ手段6の更に別の態様は、骨の構成部と組み合わさる形状の、本体8の側壁17である。より具体的には、側壁17は、大転子5の自然な湾曲に当接する形状の湾曲を有する弓形である。側壁17が大転子5の自然な湾曲に実質的に当接する線は、図5の線18によって最もよく示されている。
【0016】
従って、図1〜図5に示されている治具1の好ましい実施形態は、次に挙げる要素を介して大腿骨2の構成部と組み合わさる。
・大腿骨頸部に係合する突起9及び10、
・大腿骨頭部の一部分に係合するV字形部材、及び
・大転子の自然な湾曲に当接する弓形の側壁17。
【0017】
大腿骨頸部4の骨切りの位置合わせを補助するために、これらの位置合わせ手段が組み合わさって、治具1を大腿骨2に正確に配置し且つ適切な位置に確実に維持可能になる。或いは、治具1は、逆V字形部材14が大腿骨頸部4に接し且つ突起9及び10が大腿骨頭部に接するよう逆向きに配向されてもよい。本体8又は突起9及び10を通って大腿骨頭部3に至るピン等の1つ以上の留め具を打ち込むことにより、治具1を正しい位置にさらに固定してもよい。大腿骨頭部3は骨切りされるので、当然ながら、留め具によって大腿骨頭部3が損傷されてもほとんど問題はない。詳細を後述するように、ピンで大腿骨頭部3に固定された治具1を、大腿骨頭部を切断後に除去する際の補助に用いることも可能である。
【0018】
図1〜図5に示されているように、手術器具ガイド手段7は、逆V字形部材14と突起9及び10との間に設けられる。これは、手術器具から治具1に伝達され得る力による、治具1の回転又は位置ずれ防止の一助となる。手術器具ガイド手段7は、本体8に設けられた1つ以上のスロット20の形態をとる。好ましい実施形態は3つのスロット20を有する。スロット20が、手術器具を骨の構成部の2つ以上の所定部位へとガイド可能なように、各スロットは本体8の横方向の異なる位置に設けられる。これらの所定部位は、異なるサイズの補綴物に対応するように選択される。例えば、或るタイプの補綴物は、大転子5の基部から1.5cmの位置における大腿骨頸部4の骨切りを要し、従って、スロット20の1つは、この位置に向かって手術器具をガイドするように設けられる。各スロット20は、本体8を横断して延びると共に、例えば糸鋸等の往復動する刃等の手術器具を、受容及びガイドするよう構成される。図5の線21は、治具1が大腿骨2に組み合わされた後の、スロット20の配置を示す。別の好ましい実施形態(図示せず)は、異なる器具をガイドするよう構成され、例えば、或る器具ガイド手段は、回転ドリルの刃をガイドするための筒状部材である。
【0019】
図1〜図4には示されていないが、好ましい実施形態は、前記本体8に設けられたハンドルを含む。ハンドルは、治具1が骨の構成部に組み合わされた際に、患者から外部まで延びるのに十分な長さを有する。これにより、外科医が治具1を、患者の体の肉を越えて大腿骨2と組み合わせるために操作可能になる。
【0020】
好ましい手術法は、変形性関節症、関節リウマチ及び骨壊死の症例における人工股関節置換術に特に適している。しかし、以下の状況では一般的に推奨されない。・大腿骨頭部又は大腿骨頸部に大きな解剖学的変形を有する患者への使用、または、
・患者が肥満している場合には、解剖学的な目印を触診で確認するのが困難になる。
【0021】
患者に対して人工股関節置換術を行う好ましい方法に際しては、後外側からの手術アプローチが好ましいが、他の手術アプローチでも十分である。実際、例えば以前の坐骨神経の重度の損傷によって、後外側からの手術アプローチが禁忌される場合には、他の手術アプローチが必要になり得る。
【0022】
好ましい方法は、患者の大転子5及び大腿骨頸部4を露出する工程a)で開始する。これは、患者の大腿に3cm〜7cm、好ましくは5cmの長さの初期切開を行うことを伴う。切開の一端部は大転子5の約1cm〜3cm後で開始し、そこから後方にカーブする。患者の三頭筋の腱を剥離することにより、大腿骨頸部4の後側外面が露出される。三頭筋の腱には、後で再取り付けするための標識を施してもよい。大腿骨頸部4を完全に露出するために、被膜摘除術も行われる。この段階では大腿骨頭部3は外されないことを留意することが重要である。患者の脚は、好ましくは脚保持具によって、垂直から約45度の位置に保たれる。外科医がヘッドライトを使用することも有用であろう。
【0023】
工程b)は、図9に示されるように、手術器具ガイド手段7が大腿骨頸部4に隣接するように、手術器具ガイド手段7を有する治具1を大腿骨2に適用することを含む。好ましい治具1は上述の通りである。治具1を大腿骨2に適切に組み合わせることにより、手術器具ガイド手段7が、大転子5の基部からほぼ所定の距離に配置される。より具体的には、この所定の距離は10mm〜20mmであり、好ましい実施形態では、スロット20の少なくとも1つが大転子5の基部から15mmに配置される。
【0024】
状況に応じて、外科医は、寛骨臼から大腿骨頸部を連続除去することを補助するために大腿骨頸部4の骨切り部位26の大腿骨頭部3側に切欠22を形成してもよい。骨切り前に切欠22が形成されるのが好ましい。切欠は、往復動する糸鋸の刃を大腿骨頸部4又は大腿骨頭部3に少し押し当てることによって形成されてもよい。
【0025】
工程c)は、大腿骨頸部を骨切りするために切断器具をガイドするよう手術器具ガイド手段を用いることを含む。一般的には、糸鋸の刃が、大腿骨頸部4の骨切り部位に当たるように、スロット20の1つを通って送られるが、他の切断手段を用いてもよい。次に、糸鋸を作動させて切刃を往復させ、糸鋸の刃がスロット20によってガイドされて、大腿骨頸部4を横断して徐々に大腿骨頭部3まで移動され、大腿骨頸部4の一部が骨切りされる。
【0026】
工程d)は、切断された大腿骨頭部を患者の股関節から除去することを伴う。これを達成するために、多くの異なる技術が用いられ得る。例えば、図8に示されるようなへら23を「てこ」として用いて、切断された大腿骨頭部4を股関節から取り出してもよい。図10に示されるように、へら23がてことして大腿骨頭部3を動かすのに好都合な部位を、切欠22が提供してもよい。股関節部26内で大腿骨頭部3を保持している腱25の切断を補助するために、へら23の部分24に、鋭利なエッジ等の切断手段を設けてもよい。鋭利なエッジ24は、外科医が、鋭利なエッジ24が腱25に向かうようにへら23を操作するのを補助するための、2つの突起27及び28の間に設けられる。即ち、外科医は、突起27及び28が腱25の両側に位置するように、へら23を配置し、次に、へらの位置をその長軸に沿って腱25に向けて変えることにより、鋭利なエッジ24が腱25を切断する。
【0027】
上述したように、治具がピンによって大腿骨頭部3に固定されている場合には、大腿骨頸部4を除去するための別の方法を用いてもよい。この場合には、治具1に力を加えてもよく、その力がピンを介して大腿骨頭部3に伝わる。股関節から大腿骨頭部3を除去するのに、この力のみで十分な場合もある。或いは、この力によって、上述したへら23等の他の除去手段を補助する場合もある。
【0028】
先に大腿骨頸部4を骨切りしてから、切断された大腿骨頭部3を除去することは、従来技術における、最初に股関節を外す必要を回避することにより、これが与え得る損傷を回避又は最小限にすると共に手術手順を単純化する点において好ましいことが、当業者にはわかるであろう。切断された大腿骨頭部3の除去に引き続き、従来技術に従って人工股関節置換術が完了されてもよい。しかし、既知の手術手順に対する多くの更なる改良の概要を、以下に述べる。
【0029】
大腿骨軸に補綴ステムを移植する従来技術の方法は、大腿骨管に骨圧縮器を通すことを含む。代わりの好ましい方法は、
e)患者の大腿骨軸31の大腿骨管30内にガイドワイヤ29を配置する工程(図11参照)と、
f)ガイドワイヤ29を用いて、大腿骨管30にアパチャーを設けるために可撓性リーマ32をガイドする工程と、
g)補綴ステム33の第1の端部34が大腿骨軸31の一端部から突出するように、アパチャーに補綴ステム33を挿入する工程と、
を含む。或いは、最終的なステム33の代わりに、着脱可能な試用ステムを用いることも可能である。この場合、股関節の置換を点検して満足な結果が得られたら、着脱可能な試用部品の代わりに実際の部品を移植する。
【0030】
寛骨臼にキャビティをリーミングする従来技術の方法は、リーミング器具を目視で位置合わせすることを含む。一方、補綴寛骨臼カップを受容するよう寛骨臼をリーミングする好ましい工程は、
h)第1の端部34を患者の寛骨臼内に配置する工程と、
i)大腿骨軸31の端部と寛骨臼との間にスペーサ35(ロリポップとも称される)を挿入する工程と、
j)スペーサ35を用いて、患者の寛骨臼上の基準点36を決定する工程(図12参照)と、
k)前記基準点36を用いて、寛骨臼をリーミングするためのガイダンスを与える工程と、
を含む。
【0031】
より具体的には、工程i)で用いられるスペーサ35の例が、図6及び図7に示されている。これらの目的は、手術完了後に大腿骨がとるほぼ適切な位置に大腿骨を配置することである。スペーサ35の目印40は、工程j)において基準点を決定するためのガイダンスを与える。基準点36は、はんだごての加熱された先端部と機能的に類似した加熱素子を用いて、寛骨臼上に焼き付けられるのが好ましい。スペーサ35は、ハンドル37と、補綴ステム33の第1の端部34への配置のためのスロット38とを含む。
【0032】
工程j)で設定された基準点36の中心は、工程k)における寛骨臼のリーミングの開始点を与える。これにより、目視で位置合わせを行う従来技術のリーミング技術に対して、より正確であり且つ一貫性のある代わりの方法が提供される。
【0033】
図20〜図24には、工程i)及び工程j)において用いられ得るスペーサの別の例100が示されている。これらのスペーサ100は、補綴寛骨臼カップ104の曲率半径に略対応する曲率半径を有する外周エッジ123を含む。好ましい実施形態では、外周エッジ123の曲率半径は、一連の補綴寛骨臼カップ104の最も小さいものの曲率半径と一致する。工程j)では、外科医は、工程k)のリーミング前に、寛骨臼に基準点36を焼き付ける際に、エッジ123をガイドとして用いる。
【0034】
従来技術の人工股関節置換術の手術法は、外科医が、補綴頸部/頭部の長さ及び寛骨臼カップのサイズ等といった必要な補綴部品のサイズに関して、経験的な見積りを行うことを含む。この場合、見積りサイズを有する試用部品を用いて、一時的に股関節が組み立てられる。得られた試用の関節が、例えば不正確な組織の緊張に起因して、満足なものでない場合には、この関節を分解し、異なるサイズの試用部品を用いる。好ましい方法は、この従来技術の手順に対して、ここでもスペーサ35を利用することにより、代わりの手順を提供する。図18に最もよく示されるように、1つ以上のスペーサ35又は45は、中央に設けられた球面48を有する。球面48は、試用の大腿骨頭部として機能するように大腿骨頭部の形状を模したものである。幾つかの実施形態では、球面48は、補綴頭部に部分的に対応する半球の半分の形状(半球状)である。球面48を有するスペーサ35又は45は、球面48が寛骨臼カップに面するように、寛骨臼カップに最も近いステム33の第1の端部34に配設される。各スペーサ35の厚さ39は、入手可能な補綴部品のサイズに関して選択される。例えば、従来技術の補綴部品の1つは、40mm、43.5mm及び47mmの3通りのサイズで入手可能である。この場合には、少なくとも2つのスペーサ35の厚さ39は、入手可能な補綴部品間のサイズの増分に対応するように3.5mmである。これらの2つのスペーサは、平行な平面46及び47を有する。様々な数又は厚さのスペーサ41を用いることにより、異なるサイズの補綴部品の使用効果を模してもよい。例えば、図14には、補綴ステム33の第1の端部34に適用された3つのスペーサ35のエッジが示されている。これは、47mmの補綴部品を用いて得られる間隔を模したものである。2つのスペーサ35を用いた場合には、43.5mmの補綴部品に伴う間隔を模したものになり、以下同様である。図14に最もよく示されるように、別のスペーサ45は楔形である。この楔形は、補綴寛骨臼カップ及び補綴大腿骨ステムの前傾(又は「向き」)を決定する。前又は前外側の手術アプローチが採用された場合には、逆楔形が必要である。この楔形は、14mmの最大幅から約3.5mmの最小幅へと先細になっている。
【0035】
補綴寛骨臼カップ104の前傾を制御するよう構成されたスペーサ100の別の実施形態が、図20〜図24に示されている。スペーサ100は、第1の端部102を定めるハンドル101を含む。第1の端部102又はその近傍には位置合わせ手段103が設けられている。位置合わせ手段103は、使用に際してカップ104が患者の寛骨臼に対して所定の関係に配置されるように、補綴寛骨臼カップ104と組み合わさるように構成されている。
【0036】
位置合わせ手段103は、補綴寛骨臼カップ104の対応する平面106に当接するよう構成された平面105を定める。位置合わせ手段103は、補綴寛骨臼カップ104の凹内面120と係合するよう構成された1つ以上の突起119の形態をとる係合手段を含む。平面105は半円面107によって定められ、ハンドル101によって定められる平面112に対して鋭角111で配設される。従って、位置合わせ手段103は、第1の端部102に設けられた楔形部材110の形態をとる。角度111は5度〜25度の範囲内であるのが好ましい。角度111は10度〜20度の範囲内であるのがより好ましく、好ましい実施形態では、角度111は約15度である。この角度111は、股関節の自然な傾斜角度に対応するよう選択される。
【0037】
好ましい実施形態では、ハンドルに対する位置合わせ手段のジオメトリは、股関節部の手術に対する後外側の手術アプローチに適するように選択される。当然ながら、他の手術アプローチは僅かに異なるジオメトリを必要とする場合があり、例えば、別の手術アプローチには、図20と比較して、23に示されている異なるハンドルジオメトリが適している。一般的な目標は、補綴大腿骨ステム33の露出された端部34にスペーサ100が適用された際に、位置合わせ手段103が補綴寛骨臼カップ104を、手術完了時に望まれる補綴カップ104の前傾と略同一の前傾をもって配置することが確実になることである。
【0038】
位置合わせ手段103は、補綴大腿骨ステム33の突出した端部34を受容するよう構成されたスロット108を含む。ステム33の端部34がスロット108内に配置されたら、スペーサ100は、図14においてスペーサ45がステムの端部34と係合するのと同様に、ステム33と係合する。
【0039】
補綴ステム33に対する補綴寛骨臼カップの角度傾斜は、股関節の自然なジオメトリを可能な限り正確に反映すべきである。スペーサ100が回転軸118周りに回転すると、15度の角度傾斜の方向は変化する。外科医に、位置合わせ手段103が患者の寛骨臼に対する前記所定の関係に配置されたか否かに関するガイダンスを与えるために、スペーサ100の第2の端部113又はその近傍に配向ガイダンス手段109が設けられる。配向ガイダンス手段109は、重力の影響下で略垂直に懸吊されるよう、スペーサ100上に回転可能に設けられた下げ振り114を含む。下げ振り114は、ピン116によって、スペーサ100の円形部材115に回転可能に取り付けられている。前記スペーサ100上には基準点117が設けられており、位置合わせ手段103が患者の寛骨臼に対する前記所定の関係に配置された際には、下げ振り114が基準点117と揃って懸吊されるようになっている。即ち、図20及び図23に示されるように、スペーサ100が回転軸118に対して必要な回転位置をとった際に、下げ振り114は基準点117と揃った状態で懸吊される。従って、患者が側臥位にある時、スロット108は大腿骨軸の端部34と組み合わさり、スペーサ100は下げ振り114が基準点117と揃うまで軸114周りに回転すると、補綴寛骨臼カップ104がステム33に対して必要な前傾を有した状態になる。即ち、スペーサを正しく用いれば、楔形部材110の厚い方の端部121が患者の前に向かって配置され、薄い方の端部122が患者の後に向かって配置されることが確実になる。従って、15度の傾斜は患者の外側前方に向けられ、股関節の自然なジオメトリを反映する。
【0040】
より具体的には、必要な補綴部品のサイズを決定する好ましい方法は、
l)第1の端部34に試用頭部41を配置する工程と、
m)リーミングされた寛骨臼に試用寛骨臼カップ42を配置する工程(図13参照)と、n)前記試用寛骨臼カップ42内に前記試用頭部41を配置する工程と、
o)試用頭部41と試用寛骨臼カップ42との必要な嵌合いが得られるまで、大腿骨軸31の端部と試用頭部41との間に1つ以上のスペーサ35を挿入する工程(図13、図14、図15及び図16参照)と、
p)スペーサ35の数又はサイズと必要な補綴部品のサイズとを相関させる工程と、
を含む。
【0041】
外科医は工程o)において、組織の緊張、部品の整合、脚の長さ等のファクタを調べることにより、試用頭部41と試用寛骨臼カップ42との必要な嵌合いが得られたか否かを判定する。工程n)において必要な補綴部品のサイズが決定されたら、試用補綴部品41及び42(図15)が最終的な補綴部品43及び44(図16)と取り換えられるが、寛骨臼カップはこの時点では嵌入されない。更にスペーサ35を用いて、ステム33に対するカップ44の最終的な正確な向きを決定し、次に、カップ44が恒久的に適切な位置にセットされるようにしっかりと嵌入される。寛骨臼カップ44内にライナーが配置され、次に、補綴頭部43が復位される。新しい関節の運動範囲が確認されたら、これらの層が閉じられ、三頭筋の腱が再び取り付けられる。
【0042】
図25〜図65を参照すると、器具は、好ましい手術手順を行うための用具一式の実施形態を構成するものである。器具の用具一式は、寛骨臼内の大腿骨2に適用される別の実施形態治具140を有し、大腿骨頸部4の骨切される最適な部位を規定する。この好ましい手術手順は、患者を、図66に最もよく示されている、手術される側が一番上にある側臥位に配置することで開始する。患者を必要な体位に保つために、骨盤保持具230を用いるのが好ましい。また、手術前及び手術中には、患者の下肢の温度を下げるのが好ましい。
【0043】
手術部位の露出は、大転子5の隆起(図66に線232で示す)の約2cm後に設けられた線231に沿った、約5cmの長い切開で開始する。次に、張筋の筋膜が切開され、外科医は、大腿骨2の頸部4が露出されるまで、鈍的剥離(blunt dissection)を行う。皮膚のラインの下に断続的に自己保持具が用いられる。三頭筋の腱及び短い外側回転筋(これらには後で再取り付けするための標識を施す)を剥離することにより、大腿骨頸部4の後部外面が露出される。包切除によって転子窩(即ち、大転子5の基部)が露出され、更に、大腿骨頸部4が露出され、次に、処置可能な位置にある寛骨臼の骨棘が除去される。従来技術の人工股関節置換術の手術法とは異なり、頭部3はこの時点では除去されない。外科医は、視認性を補助するためにヘッドライトを使用することを選択してもよい。手術中に用いられるいかなる潅注液も、出血を最小限にするために冷却されるのが好ましい。
【0044】
脚は、脚保持具内に配置され、垂直に対して約45度に保たれる。外科医は、治具140のハンドル141を把持し、図67で最もよく示されるように、患者の傷を通って大腿骨頸部4に至るよう治具のヘッド210を操作する。治具140のヘッド210は、スペーサ142として作用する細長い棒の形態の治具位置合わせ手段を含む。スペーサ142は端部211を有し、端部211は転子窩に当接して、治具140のスロット143が必要な位置に配置される。この必要な位置は、好ましい実施形態では転子窩から5mm〜25mmの位置であり、最も好ましくは15mmの位置である。
【0045】
図67に示されている治具140の第1バージョンは、患者の左側の股関節に用いられるよう構成されている。別のバージョンの治具140は、患者の右側の股関節に用いられるよう構成されている。2つのバージョンの唯一の実質的な違いは、スペーサ142がヘッド210の反対側に設けられている点である。
【0046】
骨の構成部を受容するよう構成された面212によって、更なる治具位置合わせ手段が設けられる。この面212は、大腿骨の輪郭と組み合わさるよう構成されたヘッド210の基部の輪郭146によって設けられる。
【0047】
治具が正しく配置されたら、図57及び図58に示されるように、治具140のヘッド210の穴144を通して大腿骨頭部3に、ピン等の固定手段143を打ち込む。
【0048】
スロット143は、棒142の長手方向に対して鋭角に配向される。この角度は、手術で用いられる特定の補綴部品に合わせた切断に必要な角度によって異なる。スロット143は手術器具ガイド手段として機能し、治具140によって、大腿骨頸部4の骨切りのための正しい位置に配置される。上述のように、大腿骨頭部3が依然として寛骨臼内に配置されている状態で骨切りが行われる。必要と考えられる場合には、外科医は、近傍に二次的な楔形の骨切り(secondary proximal wedge osteotomy)を行ってもよい。
【0049】
大腿骨頸部4の骨切りに続き、大腿骨頭部3が前方に曲げられ、多くの可能な選択肢のうちの1つ以上を用いて除去される。図28に示されるようなドリル147を用いて、大腿骨頭部3に穴233をあけてもよい。その場合、摘出器149のハンドル150を回すことにより、摘出器149のセルフタッピングねじ部材148が穴233にねじ込まれる。大腿骨頭部3内に配置されたら、外科医はハンドル150に外向きの力を及ぼし、その力は大腿骨頭部3に及び、大腿骨頭部3が除去される。摘出器149と併用されても併用されなくてもよい別の選択肢が、へら151によって提供される。遠位端部152はエッジに向かって先細になっており、これを大腿骨頭部3の下に押し込み、寛骨臼から大腿骨頭部3を押し出すのを補助することができる。先細の端部152を用いて、寛骨臼内で大腿骨頭部3を保持している腱を切断することも可能である。除去の他の選択肢としては、大腿骨頭部3を切片にする、即ちダイシングすることが含まれる。
【0050】
次の手術工程のために、患者の脚が手術台に対して垂直に支持される。標準的な従来技術に従って、トロカール目打ち及びガイドを用いて近位大腿骨に準備がなされる。大腿骨頸部4のいずれかの側に、尖形ホーマン(Hohmann)(即ちリトラクタ)を配置する。或
いは、大腿骨頸部4の下に幅広の鈍形ホーマンを適用して大腿骨頸部4を持ち上げてもよい。
【0051】
パンチ153の押し込み面154に骨圧縮器を取り付け可能であり、ピン156によって適切な位置に保持される。骨圧縮器は、パンチ153を用いて、近位端部157をハンマー、マレット又は他の適切な器具で叩くことにより、大腿骨の縦軸に押し込まれる。このプロセスにより、大腿骨管に(後述するように)後でステム34を取り付けるための空洞が形成される。パンチ153の押し込み面154は、細長い長手部材155から側方にずれており、外科医が、患者の傷を通してパンチ153を何とか操作しながら、骨圧縮器を正しい方向に押し込むことが、より容易になる。これは、大腿骨の外縁部にひび割れが生じ得る角度で骨圧縮器が大腿骨に押し込まれるリスクを、最小限にする補助となる。次に、距リーマを用いて、大腿骨頸部4の端部に円形の平面を形成する。これで、後述する寛骨臼カップの挿入後に行われる、補綴ステムを挿入するための大腿骨の準備が整ったことになる。
【0052】
次に、外科医は、患者の下肢を手術台上で中立の位置に配置し、寛骨臼のリーミングに備える。次に、寛骨臼の前方マージンの上に尖形ホーマンを配置する。次に、寛骨臼を、段階的に径を拡大させながらリーミングする。
【0053】
リーミングされた寛骨臼に補綴寛骨臼カップを挿入するために、図36に示されている位置合わせハンドル159、図35に示されているハンドル213、及び、図33及び図34にそれぞれ示されている左カップ保持具158又は右カップ保持具158の3つの部品から、カップ位置合わせ器具167が組み立てられる。位置合わせハンドル159は、遠位端部161及び近位端部223を定める本体182と、これらの端部間のハンドル182とを含む。近位端部223には、下げ振り172の形態のゲージが配設されている。ゲージ172は、補綴寛骨臼カップが、基準系の少なくとも第1の平面に対して所定の向きであるか否かを示すように構成されている。遠位端部161には、内ねじカラー163を含むコネクタが配設されている。
【0054】
位置合わせハンドル159には、必要に応じて左又は右カップ保持具158が、カップ保持具158の近位端部164に設けられた取り付け手段160を介して取り付けられる。より具体的には、取り付け手段160は突起169を含み、突起169は、位置合わせハンドル159の遠位端部161上のコネクタに差し込まれて、2つの部品間の正しい相対的な位置合わせを確実にする。相互に差し込まれたら、内ねじカラー163はカップ保持具158の外ねじ224と係合し、2つの部品を一体に固定する。
【0055】
ハンドル213は、外科医に、カップ位置合わせ器具167を操作する際の更なる手段を提供する。ハンドル213をカップ保持具158に接続するために、ハンドル213の外ねじ163とカップ保持具158内に設けられたねじ162が、ねじ込み式に係合する。得られたカップ位置合わせ器具167は、図69に示されている(但し、カップ保持具158の一部は、患者の傷234に挿入されているため見えない)。
【0056】
次の工程では、適切なサイズの補綴寛骨臼カップがカップ位置合わせ器具167に取り付けられる。補綴寛骨臼カップのサイズに応じて、スペーサ174、215又は216が必要となり得る。図37〜図42に示されている様々な幅のスペーサは、カップ保持具158の遠位端部165に設けられたボス170の第1の端部168と係合可能である。より具体的には、スペーサ174に設けられた突起166が、ボス170の第1の端部168に設けられた対応するアパチャー214に圧入されるよう係合可能である。
【0057】
外科医は、患者の股関節部に挿入される補綴カップのサイズと一致する、適切な幅を有するスペーサ174、215又は216を選択する。最も小さい補綴寛骨臼カップにはスペーサ174は必要ない。スペーサ174、215及び216は、1回のみの手術での使用に耐えるように設計された、プラスチック材料で作られた消耗品である。器具の用具一式は、図59〜図62にそれぞれ示されるように、異なる長さを有する4つのねじ217、218、219及び220を含む。従って、このねじ及びスペーサ構成は、以下の構成にそれぞれ対応する4つのサイズの補綴寛骨臼カップの要求を満たすものである。
補綴寛骨臼カップサイズ1:ねじ217、スペーサ無し、
補綴寛骨臼カップサイズ2:ねじ218及びスペーサ174、
補綴寛骨臼カップサイズ3:ねじ219及びスペーサ215、及び
補綴寛骨臼カップサイズ4:ねじ220及びスペーサ216。
【0058】
ねじ217、218、219及び220は、アレンヘッドソケット221を有するのが好ましい。各ねじは、ボス170のアパチャー214を通って軸方向に延びるのに丁度十分な長さを有する。ねじの頭部222はボス170の第2の端部171に隣接する。ねじ付き端部223は、ボス170の第1の端部168を丁度越えると共に第1の端部168に係合するかもしれない何れのスペーサ174、215又は216をも丁度越えて露出する。ねじ付き端部223の露出した先端部は、補綴寛骨臼カップ104とねじ込み式に係合可能である。このようにして、カップ位置合わせ器具167に補綴寛骨臼カップが取り付けられる。より具体的には、寛骨臼カップは、寛骨臼カップの凹面がボス170の第2の端部171に面するようにして、カップ保持具158と係合する。
【0059】
次に外科医は、図69に示されるように、リーミングされた寛骨臼にカップが隣接するように、カップ位置合わせ器具167を傷234の中へと操作する。この時点で、補綴寛骨臼カップが、リーミングされた寛骨臼に挿入されるための解剖学的に正しい向きになることが確実になるよう、カップ位置合わせ器具167を配向することが必要である。これは、位置合わせフレーム176と組み合わされた、位置合わせハンドル159のゲージ172を基準にして達成される。
【0060】
ゲージ172は、下げ振りとして機能する針173を有する。針173は、局所的な重力場の影響下で略垂直に懸吊されるように、位置合わせハンドル159に回転可能に設けられる。このゲージによって、外科医は、下げ振り172の回転可能な針173が固定針175の形態の基準点と揃うようにカップ位置合わせ器具167を配置することにより、寛骨臼カップを少なくとも第1の面において正しく位置合わせできる。
【0061】
下げ振り172の影響を受ける面以外の面において寛骨臼カップを正確に位置合わせするために、図43及び図44に示されている位置合わせフレーム176を用いてもよい。位置合わせフレーム176は、第1の端部178及び第2の端部179を定めるフレーム部材177を含む。フレーム部材177は側面視で略L字形であり、平面視でA字形である。第1の端部178には当接パッド180が設けられており、平面、具体的には手術台の垂直な側面に当接するよう構成されている。例えば、外科医は自分の膝を用いて、当接パッド180を手術台の側面に押しつける。位置合わせフレーム176の第2の端部179は、患者の股関節部に隣接して配置される。
【0062】
第2の端部179にはスロット部材181の形態の係合手段が設けられており、患者の股関節部に向かって突出するよう位置合わせされる。スロット部材181の開放端スロット225は、位置合わせハンドル159の本体182の外周曲率半径と一致する内周曲率半径を有する半円面226を定める。即ち、スロット225は、位置合わせハンドル159の本体182を受容し且つ方向づけるサイズを有する。このジオメトリは、位置合わせハンドル159と係合手段181とが係合することにより、位置合わせハンドル159が、第2の平面(下げ振り172と関連づけられた第1の平面とは異なる)に対して所定の向きに強制されるようになっている。これは、スロット部材181が、本体182がスロット部材181と係合した際に、本体182の縦軸がスロット部材181の軸と確実に一致するのに十分な幅227を有するからである。より具体的には、スロット部材181内に本体182が配設されると、本体182は手術台の側面に対して略垂直になる。
【0063】
例えば骨盤保持器230及び/又は手術台上で患者の位置を固定するための他の手段を用いることにより、手術台上で患者の股関節部を、手術台に対して所定の位置に保つのが好ましい。以下の各条件が満たされた際には、外科医は、補綴寛骨臼カップが患者の股関節部に挿入されるために正しく配置されたことを確信できる。
・患者の股関節部が手術台上の所定位置にある、
・位置合わせフレーム176の第1の端部178が、患者の股関節部に隣接した手術台の側面に当接し、スロット部材181が患者の股関節部に面している、
・位置合わせハンドル159の本体182がスロット部材181と係合している、及び
・下げ振り172の回転可能針173が固定針175と揃っており、補綴寛骨臼カップが所定の向きであることを示している。
【0064】
この時点で、外科医は、図45に示されているようなパンチアセンブリ183を用いて、リーミング済みの寛骨臼に寛骨臼カップを嵌入する。より具体的には、パンチアセンブリ183の押し込みヘッド184を、ボス170の第2の端部171に当てて配置し、外科医がハンドル186を介してパンチアセンブリ183を把持しながら、嵌入面185をハンマー又は類似の器具で叩く。このプロセスにより、リーミング済みの寛骨臼に寛骨臼カップが固定される。
【0065】
図46及び図47に示されるように、固定具ドライバ187は、寛骨臼カップをカップ保持具158に固定するのに用いられるねじ217、218、219又は220のアレンソケット221と組み合わさるアレンキーであるのが好ましい。アレンキー187は丸みがついた駆動端部188を有し、まっすぐに位置合わせされた状態に加えて、或る範囲の角度からねじ217、218、219又は220を駆動できる。これは、外科医が、患者の傷234を通してねじを締めるのに伴う困難に対処するためのある程度の自由度を許容するので、好ましい。アレンキー187は、駆動ヘッド188の回転を容易にするよう構成されたハンドル189も有する。寛骨臼カップからねじ217、218、219又は220が外された後、カップ保持具158は患者から引き出される。
【0066】
所望の場合には、オプションとして、寛骨臼カップを介して患者の骨盤に通されるねじ等の固定手段によって、リーミング済みの寛骨臼に寛骨臼カップを更に固定することも可能である。次に、寛骨臼カップにライナーを挿入し、その後の位置ずれを回避するために、ライナーの下に鈍形ホーマンを挿入してもよい。
【0067】
この時点で、例えばC.F.P.ステム等のステム33を大腿骨管に挿入できるように、患者の脚は垂直な位置に保持される。挿入後、ステム33の端部34は大腿骨の端部から突出する。
【0068】
この時点で、術後の正しい脚の長さ、組織の緊張及び筋肉の緊張を得るために必要な、補綴頸部の長さを決定することが必要である。ステムに短い試用ヘッドが配置され、股関節が復位される。図70に最もよく示されているように、この時点で、前にハンドルアセンブリ159にカップ保持具158を取り付けたのと同様にして、位置合わせハンドル159に必要に応じて左又は右用スペーサ部材190を取り付けることにより、スペーサ位置合わせ器具189を組み立てる。即ち、ハンドルアセンブリ159の遠位端部に161に設けられたアパチャーに突起191が差し込まれ、スペーサ部材190の近位端部192にカラー163がねじ込み式に係合する。前のカップ位置合わせ器具167の組み立てと同様に、スペーサ部材190の近位端部192に設けられたスペーサ部材の内ねじ193に、ハンドル162がねじ込まれる。即ち、スペーサ位置合わせ器具189を組み立てるには、単に、カップ位置合わせ器具167で開始して、カップ保持具158をスペーサ部材190と置き換えるだけのことである。
【0069】
スペーサ部材190はスペーサ194を含み、スペーサ194は、ステム33の端部34と係合するよう構成されたスロット195を有する。これにより、図70に示されるように、試用ヘッドと大腿骨の端部34との間にスペーサ194が配置される(但し、試用ヘッドはリーミングされた寛骨臼カップ内にあるので見えない)。適切に配置されると、試用ヘッドは半球面203内に配設される。ここでも、スペーサ194及び試用ヘッドが解剖学的に正しい方法で配向されることが確実になるように、外科医は以下のテストを行いながら、下げ振り172及び位置合わせフレーム176を用いてもよい。
【0070】
スペーサ194が適切な位置にある状態で、外科医は、脚の長さ及び/又は組織の緊張及び/又は筋肉の緊張が十分であるか否かをテストする。十分でない場合には、外科医は、スペーサ位置合わせ器具189を引き出して、(図52及び図53に示されるような)中幅の追加スペーサ196をスペーサ194に留める。中幅の追加スペーサ196は、これら2つの部品に設けられた圧入構成部198を介してスペーサ194に留められる。脚の長さ及び/又は組織の緊張及び/又は筋肉の緊張がまだ不十分である場合には、中幅の追加スペーサ196の代わりに厚い幅の追加スペーサ197を用いて、このプロセスを繰り返す。
【0071】
即ち、解剖学的に正しい脚の長さ及び/又は組織の緊張及び/又は筋肉の緊張が得られるまで、幅が異なる(又は異なる数の)スペーサ194、196又は197を用いて、テストプロセスを繰り返す。次に、外科医は、最良の結果を与えたスペーサの厚さ(又はスペーサの数)を記録し、所定の相関スキームに従って、この記録を、必要な補綴頸部の長さと相関させる。例えば、追加スペーサ196又は197を必要とせずに、正しい脚の長さ及び/又は組織の緊張及び/又は筋肉の緊張が得られたら、最も短い補綴頸部長が用いられる。中間の厚さの追加スペーサ196を用いて、正しい脚の長さ等が得られたら、中間の補綴頸部長が用いられる。厚い幅の追加スペーサ197を用いて、正しい脚の長さ等が得られたら、最も長い補綴頸部長が用いられる。当然ながら、他の方法に対しては、他の相関スキームが考案されてもよい。
【0072】
この、正しい脚の長さ等を与えるのに必要な補綴部品のサイズを確認するプロセスは、補綴部品の正しいサイズがわかるまで股関節を外すことを繰り返す従来技術の方法よりも好ましい。
【0073】
股関節部が外され、この時点で、試用補綴部品が実際の補綴部品と交換され、股関節部が復位される。この時点で、外科医は、患者の脚が適切な範囲で動くことを確認すると共に、許容可能な脚の長さ、組織の緊張及び筋肉の緊張が得られていることを再確認する。外科医は、標準的な方法で、三頭筋の腱及び短い外側回転筋を再び取り付け、様々な層を閉じることにより、手術を完了させる。術後の機能回復を補助するために、股関節部領域にクリオカフ(cryocuff)を適用することが推奨される。
【0074】
大腿骨頭部3が患者から除去された後で、前に大腿骨頭部3に打ち込まれたまま大腿骨頭部3に埋め込まれているピン143の回収が望まれる場合には、ピン摘出器199を用いてもよい。大腿骨頭部3にテストを行うことが必要な場合もあり、その場合には、ピン143の除去が必要となり得る。トング200とトング201とを径方向に引き離すことにより、係合部材203を越えてアパチャー202内にピン143を挿入できる。次に、係合部材203が、ピン143の端部229近傍に設けられた切欠228に横向きの力を及ぼすように、これらのトングを一緒に径方向に把持することにより、ピン摘出器199がピン143をしっかりつかむ。次に、ピン摘出器199に長手方向の力が及ぼされ、この力がピン143に伝えられ、切断された大腿骨頭部3からピン143を引き抜く際の補助となる。この長手方向の力は、突起204をハンマーで叩くことによって与えられてもよい。
【0075】
この人工股関節置換術の好ましい方法は、従来技術の方法と比べて多くの長所を提供するものであることを認識されたい。具体的には、骨切り術の前に股関節を外す必要がないこと、大腿骨管及び寛骨臼のリーミングの正確さ及び一貫性が高まること、並びに、必要な補綴部品のサイズ合わせ及び配向を確立するプロセスに伴う試行錯誤が概ね少ないことである。一般的に、これによって、患者の靭帯及び筋肉の付着部が受ける障害が最小限になる手術手順が得られ、術後の痛みが少ない、より迅速な患者の機能回復が可能になる。好ましい実施形態に典型的に伴う更なる長所としては、傷の低減、血液の損失及び凝固の低減、感染リスクの低減、入院期間の短縮、並びにコストの低減が含まれる。
【0076】
特定の例を参照して本発明を説明したが、本発明は他の多くの形態で実施され得ることが当業者にはわかるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工股関節置換術に用いられ、位置合わせハンドルを備える装置であって、
前記位置合わせハンドルは、
遠位端部及び近位端部を定める本体と、
前記近位端部に又はその近傍に設けられるゲージと、
補綴寛骨臼カップを着脱可能に接続するための、前記遠位端部に又はその近傍に設けられるコネクタと、
を含み、
前記ゲージが、接続されている前記補綴寛骨臼カップの向きを示し、前記補綴寛骨臼カップが基準系内の少なくとも第1の面に対して所定の向きにあるか否かを決定するよう構成される、装置。
【請求項2】
前記基準系が局所的に重力場の影響下である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ゲージは、前記本体上に移動可能に設けられる下げ振りを含み、前記下げ振りが前記重力場の影響下で略垂直に懸吊される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記本体に設けられる基準点をさらに含み、前記補綴寛骨臼カップが前記第1の面に対して前記所定の向きに配置された際には、前記下げ振りが前記基準点と揃って懸吊される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記遠位端部及び前記近位端部の間に設けられるハンドルをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記位置合わせハンドルと共に用いられるよう構成される位置合わせフレームをさらに含み、
前記位置合わせフレームは、
平面に当接するよう構成された第1の端部であって、前記平面に対して前記位置合わせフレームの第2の端部を位置合わせする、前記第1の端部と、
前記第2の端部に設けられ、前記位置合わせハンドルと係合するよう構成される係合手段と、
を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記係合手段は、開放端スロットを有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記開放端スロットは、前記位置合わせハンドルの前記本体の外周半径と一致する内周半径を有する半円面を定める、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記係合手段は、前記位置合わせハンドルと前記係合手段とが係合することが前記位置合わせハンドルを前記位置合わせフレームに対しての所定の向きに強制するようなジオメトリを有する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記位置合わせハンドルと前記係合手段とが係合することが前記位置合わせハンドルを前記第1の面と異なる少なくとも第2の面に対しての所定の向きに強制する、請求項6〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
手術台に対して患者の股関節部を所定の位置に位置合わせるボルスターをさらに含み、
以下の条件が満たされた際には、前記補綴寛骨臼カップが前記患者の寛骨臼に正しく固定される位置であり、
前記条件とは、
・前記患者の前記股関節部が前記所定位置にある、
・前記位置合わせフレームの前記第1の端部が前記手術台の平面に当接している、
・前記位置合わせハンドルの前記本体が前記位置合わせフレームの前記係合手段と係合している、
・前記位置合わせハンドルの前記ゲージが、前記補綴寛骨臼カップが前記所定の向きであることを示している、
のいずれかの一つである、請求項6〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記手術台の前記平面が前記手術台の側面であり、前記第2の端部が前記患者の前記股関節部に隣接して配置される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記位置合わせハンドルの前記遠位端部における前記コネクタは、前記補綴寛骨臼カップが着脱可能に取り付けられる左または右の何れかのカップ保持具に嵌まれる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記補綴寛骨臼カップの選択されたサイズに従って、接続された前記補綴寛骨臼カップが前記カップ保持具から離れるように、前記カップ保持具にスペーサが取り付けられる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記カップ保持具と前記スペーサを貫通するねじが、ねじ込み式にかつ着脱可能に前記補綴寛骨臼カップと係合する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
人工股関節置換術に用いられ、スペーサを備える装置であって、
前記スペーサは、
補綴大腿骨ステムを受容する開口を有する第1の端部と、
前記第1の端部に設けられるガイド手段と、
前記第1の端部の一側面を定める位置合わせ面であって、前記位置あわせ面が、補綴寛骨臼カップと係合し、前記補綴寛骨臼カップと前記補綴大腿骨ステムの前傾を決定するよう構成されることで、使用時に前記補綴寛骨臼カップが患者の寛骨臼に対して所定の関係に配置される、前記位置合わせ面と、
を含む、装置
【請求項17】
前記位置合わせ面は、前記補綴寛骨臼カップの対応する面に当接するよう構成された平面を定める、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記スペーサは、前記第1の端部から延在するハンドルをさらに含む、請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記平面は、前記第1の端部から延在するハンドルによって定められる平面に対して5度〜25度の範囲内の角度で形成される、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記角度は10度〜20度の範囲である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記角度は約15度である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記平面は半円面によって定められる、請求項17〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記開口は、骨切りされた大腿骨頸部から突出する前記補綴大腿骨ステムの端部を受容するよう構成されたスロットを有する、請求項16〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記ガイド手段は複数のガイド目印を含み、前記ガイド目印により、寛骨臼カップの望ましい位置が前記患者の前記寛骨臼をリーミングするために決定される、請求項16〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記ガイド手段は、前記位置合わせ面が前記患者の前記寛骨臼に対する前記所定の関係に配置されたか否かに関するガイダンスを与えるように構成される配向ガイダンス手段を有する、請求項16〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記配向ガイダンス手段は、前記スペーサ上に回転可能に設けられ、前記第1の端部から離れている下げ振りを含み、前記下げ振りが重力の影響下で略垂直に懸吊される、請求項16〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記ガイド手段は、前記スペーサに設けられる基準点をさらに含み、前記位置合わせ面が前記患者の前記寛骨臼に対して前記所定の関係に配置された際には、前記下げ振りが前記基準点と揃って懸吊される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記位置合わせ面は、前記補綴寛骨臼カップと係合するよう構成される係合手段を含む、請求項16〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記係合手段は、前記補綴寛骨臼カップの内面と当接するよう構成される1つ以上の突起を含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記位置合わせ面は、前記補綴寛骨臼カップの曲率半径に略対応する曲率半径を有する外周エッジを定める、請求項16〜29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記スペーサが請求項1〜15のいずれか一項に記載の位置合わせハンドルを含む、請求項16〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項1】
人工股関節置換術に用いられ、位置合わせハンドルを備える装置であって、
前記位置合わせハンドルは、
遠位端部及び近位端部を定める本体と、
前記近位端部に又はその近傍に設けられるゲージと、
補綴寛骨臼カップを着脱可能に接続するための、前記遠位端部に又はその近傍に設けられるコネクタと、
を含み、
前記ゲージが、接続されている前記補綴寛骨臼カップの向きを示し、前記補綴寛骨臼カップが基準系内の少なくとも第1の面に対して所定の向きにあるか否かを決定するよう構成される、装置。
【請求項2】
前記基準系が局所的に重力場の影響下である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ゲージは、前記本体上に移動可能に設けられる下げ振りを含み、前記下げ振りが前記重力場の影響下で略垂直に懸吊される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記本体に設けられる基準点をさらに含み、前記補綴寛骨臼カップが前記第1の面に対して前記所定の向きに配置された際には、前記下げ振りが前記基準点と揃って懸吊される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記遠位端部及び前記近位端部の間に設けられるハンドルをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記位置合わせハンドルと共に用いられるよう構成される位置合わせフレームをさらに含み、
前記位置合わせフレームは、
平面に当接するよう構成された第1の端部であって、前記平面に対して前記位置合わせフレームの第2の端部を位置合わせする、前記第1の端部と、
前記第2の端部に設けられ、前記位置合わせハンドルと係合するよう構成される係合手段と、
を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記係合手段は、開放端スロットを有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記開放端スロットは、前記位置合わせハンドルの前記本体の外周半径と一致する内周半径を有する半円面を定める、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記係合手段は、前記位置合わせハンドルと前記係合手段とが係合することが前記位置合わせハンドルを前記位置合わせフレームに対しての所定の向きに強制するようなジオメトリを有する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記位置合わせハンドルと前記係合手段とが係合することが前記位置合わせハンドルを前記第1の面と異なる少なくとも第2の面に対しての所定の向きに強制する、請求項6〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
手術台に対して患者の股関節部を所定の位置に位置合わせるボルスターをさらに含み、
以下の条件が満たされた際には、前記補綴寛骨臼カップが前記患者の寛骨臼に正しく固定される位置であり、
前記条件とは、
・前記患者の前記股関節部が前記所定位置にある、
・前記位置合わせフレームの前記第1の端部が前記手術台の平面に当接している、
・前記位置合わせハンドルの前記本体が前記位置合わせフレームの前記係合手段と係合している、
・前記位置合わせハンドルの前記ゲージが、前記補綴寛骨臼カップが前記所定の向きであることを示している、
のいずれかの一つである、請求項6〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記手術台の前記平面が前記手術台の側面であり、前記第2の端部が前記患者の前記股関節部に隣接して配置される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記位置合わせハンドルの前記遠位端部における前記コネクタは、前記補綴寛骨臼カップが着脱可能に取り付けられる左または右の何れかのカップ保持具に嵌まれる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記補綴寛骨臼カップの選択されたサイズに従って、接続された前記補綴寛骨臼カップが前記カップ保持具から離れるように、前記カップ保持具にスペーサが取り付けられる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記カップ保持具と前記スペーサを貫通するねじが、ねじ込み式にかつ着脱可能に前記補綴寛骨臼カップと係合する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
人工股関節置換術に用いられ、スペーサを備える装置であって、
前記スペーサは、
補綴大腿骨ステムを受容する開口を有する第1の端部と、
前記第1の端部に設けられるガイド手段と、
前記第1の端部の一側面を定める位置合わせ面であって、前記位置あわせ面が、補綴寛骨臼カップと係合し、前記補綴寛骨臼カップと前記補綴大腿骨ステムの前傾を決定するよう構成されることで、使用時に前記補綴寛骨臼カップが患者の寛骨臼に対して所定の関係に配置される、前記位置合わせ面と、
を含む、装置
【請求項17】
前記位置合わせ面は、前記補綴寛骨臼カップの対応する面に当接するよう構成された平面を定める、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記スペーサは、前記第1の端部から延在するハンドルをさらに含む、請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記平面は、前記第1の端部から延在するハンドルによって定められる平面に対して5度〜25度の範囲内の角度で形成される、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記角度は10度〜20度の範囲である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記角度は約15度である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記平面は半円面によって定められる、請求項17〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記開口は、骨切りされた大腿骨頸部から突出する前記補綴大腿骨ステムの端部を受容するよう構成されたスロットを有する、請求項16〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記ガイド手段は複数のガイド目印を含み、前記ガイド目印により、寛骨臼カップの望ましい位置が前記患者の前記寛骨臼をリーミングするために決定される、請求項16〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記ガイド手段は、前記位置合わせ面が前記患者の前記寛骨臼に対する前記所定の関係に配置されたか否かに関するガイダンスを与えるように構成される配向ガイダンス手段を有する、請求項16〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記配向ガイダンス手段は、前記スペーサ上に回転可能に設けられ、前記第1の端部から離れている下げ振りを含み、前記下げ振りが重力の影響下で略垂直に懸吊される、請求項16〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記ガイド手段は、前記スペーサに設けられる基準点をさらに含み、前記位置合わせ面が前記患者の前記寛骨臼に対して前記所定の関係に配置された際には、前記下げ振りが前記基準点と揃って懸吊される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記位置合わせ面は、前記補綴寛骨臼カップと係合するよう構成される係合手段を含む、請求項16〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記係合手段は、前記補綴寛骨臼カップの内面と当接するよう構成される1つ以上の突起を含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記位置合わせ面は、前記補綴寛骨臼カップの曲率半径に略対応する曲率半径を有する外周エッジを定める、請求項16〜29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記スペーサが請求項1〜15のいずれか一項に記載の位置合わせハンドルを含む、請求項16〜30のいずれか一項に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【公開番号】特開2012−81293(P2012−81293A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272294(P2011−272294)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【分割の表示】特願2009−258716(P2009−258716)の分割
【原出願日】平成14年11月1日(2002.11.1)
【出願人】(505199186)インターナショナル パテント オーナーズ (ケイマン) リミテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【分割の表示】特願2009−258716(P2009−258716)の分割
【原出願日】平成14年11月1日(2002.11.1)
【出願人】(505199186)インターナショナル パテント オーナーズ (ケイマン) リミテッド (4)
【Fターム(参考)】
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