説明

打たせ湯装置

【課題】装置の高コスト化などを抑制しつつ、ユーザが従来技術よりも心地よい打たせ湯を行なうことが可能な打たせ湯装置を提供する。
【解決手段】湯を吐出落下させるためのノズル32を有する打たせ湯配管部3と、この打たせ湯配管部3に湯を送り込んでノズル32から吐出させるためのポンプP1と、を備えている打たせ湯装置A1であって、ポンプP1は、吐出量が可変であり、かつ打たせ湯配管部3には、ノズル32から湯を断続的に吐出させることが可能に開閉動作が自在な打たせ湯断続用バルブ31が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室においてユーザの身体の肩、首、背中、頭などの所望箇所にその上方から湯を落下させて当てることによりマッサージ効果を得るのに利用される打たせ湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の打たせ湯装置の具体例としては、浴室の天井またはその近辺に打たせ湯用のノズルを設け、ポンプを利用して浴槽内の湯を前記ノズルまで送給することにより、前記ノズルから湯を吐出落下させるようにしたものがある(たとえば、特許文献1〜3を参照)。このような打たせ湯装置によれば、浴槽内の湯を利用した打たせ湯が可能であり、ユーザにマッサージ効果を与えることができる。
【0003】
しかしながら、前記従来の打たせ湯装置においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、温泉地の露天風呂や旅館の大浴場などにおいて見掛ける打たせ湯のなかには、たとえば4〜6m、あるいはそれよりも大きな落差で湯を落とし、落下速度の早い湯を入浴者の身体に当てるようにしているものがある。このように打たせ湯の落差を大きくすれば、打たせ湯による刺激が大きいばかりか、湯が落下途中において不連続な水流に分離し、これが入浴者の身体に断続的に当たることによって、独特な心地よさが得られるという効果も期待できる。
【0005】
これに対し、前記従来の打たせ湯装置を一般家屋に設置して使用する場合、打たせ湯のノズルの高さは、浴室の天井の高さと略同等とされるが、一般家屋の浴室の天井高さは、せいぜい2〜3m程度であり、それよりもノズルの高さを高くすることは難しい。一方、前記従来の打たせ湯装置は、浴槽内の湯をポンプによって単に打たせ湯用のノズルまで送り込むだけのものに過ぎない。したがって、このような構成では、打たせ湯が刺激の少ない単調なものとなってしまうばかりか、落下してくる湯が不連続な水流に分離してユーザに断続的に当たるといったことも生じ難い。このようなことから、前記従来の打たせ湯装置を一般家屋の浴室などに設置して使用する場合、温泉地などにおいてみられる落差の大きい打たせ湯と比較すると、ユーザが物足りなさを感じる場合があり、この点において改善の余地があった。
【0006】
なお、従来においては、たとえば特許文献4に示すように、浴槽内の湯を汲み上げるポンプの回転数を周期的に変更することにより、打たせ湯の湯量が一定の周期で規則的に変化するようにした打たせ湯装置もある。ところが、この打たせ湯装置によっても、湯を不連続な水流としてユーザの身体に断続的に当てるといったことは困難であり、やはりユーザが物足りなさを感じる場合がある。
【0007】
【特許文献1】特許第3016802号公報
【特許文献2】特開平7−178146号公報
【特許文献3】特開2001−224522号公報
【特許文献4】特許第2861067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、装置の高コスト化などを抑制しつつ、ユーザが従来技術よりも心地よい打たせ湯を行なうことが可能な打たせ湯装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明の第1の側面により提供される打たせ湯装置は、湯を吐出落下させるためのノズルを有する打たせ湯配管部と、この打たせ湯配管部に湯を送り込み、または前記打たせ湯配管部に送り込まれた湯を前記ノズルから吐出させるためのポンプと、を備えている、打たせ湯装置であって、前記ポンプは、吐出量が可変であり、かつ前記打たせ湯配管部には、前記ノズルから湯を断続的に吐出させることが可能に開閉動作が自在な打たせ湯断続用バルブが設けられていることを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、ポンプの吐出量を変更することによってノズルから吐出落下する打たせ湯の湯量を調整することができることは勿論のこと、その打たせ湯を実行している際に、打たせ湯断続用バルブを開閉させることにより、打たせ湯を不連続な水流とし、ユーザの身体に湯を断続的に当てるようにすることが可能となる。したがって、連続した水流のみによって打たせ湯を行なわせていた従来技術では得ることができない独特の心地よさ、およびマッサージ効果が得られる。とくに、本発明に係る打たせ湯装置は、一般家屋の浴室などに設置され、ノズルの高さをさほど高くできない場合であっても、ポンプの吐出量を多くしてノズルからの湯の吐出圧を高めた状態において、前記したような断続的な打たせ湯を実行することによって、温泉地などにおいて見掛ける落差の大きい打たせ湯と同様な心地よさをユーザに与えることが可能である。一方、本発明においては、ポンプとしては、可変容量形のものを使用し、また打たせ湯配管部には打たせ湯断続用バルブを設けるという改良を施したものであるが、装置全体の大型化や複雑化を抑制し、従来のものと比較して製造コストが大幅に上昇するといったことも適切に回避することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ポンプおよび前記打たせ湯断続用バルブを制御するための制御手段と、この制御手段に信号入力を行なうための操作手段と、を備えており、前記操作手段の所定の操作により、前記ポンプの吐出量の変更が可能であるとともに、前記打たせ湯断続用バルブを開状態に維持するモードおよび開閉動作を繰り返すモードの一方に選択設定可能な構成とされている。このような構成によれば、打たせ湯の湯量や圧力、および打たせ湯を連続・不連続のいずれの水流にするかといったことが操作手段を操作することによって簡単に選択設定することが可能となり、便利となる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記操作手段の所定の操作により、前記打たせ湯断続用バルブの開閉周期が変更可能とされている。このような構成によれば、打たせ湯断続用バルブの開閉周期を変更することによって、ノズルから吐出された湯の流れ落ち方を変更することができる。たとえば、水流が短く、小さな塊となった湯をユーザに当てたり、あるいはこれとは反対に、水流が長く、大きな塊となった湯をユーザに当てるといったことが自在に選択できることとなる。したがって、ユーザにとってより心地よい打たせ湯が可能となる。
【0014】
本発明の第2の側面により提供される打たせ湯装置は、湯を吐出落下させるためのノズルを有する打たせ湯配管部と、この打たせ湯配管部に湯を送り込み、または前記打たせ湯配管部に送り込まれた湯を前記ノズルから吐出させるためのポンプと、を備えている、打たせ湯装置であって、前記ポンプは、吐出量が可変であり、前記打たせ湯配管部に設けられ、かつ前記ノズルから湯を断続的に吐出させることが可能に開閉動作が自在な打たせ湯断続用バルブと、前記ポンプおよび前記打たせ湯断続用バルブを制御するための制御手段と、前記制御手段に信号入力を行なうための操作手段と、をさらに備えており、前記制御手段には、前記ポンプの吐出量、または前記打たせ湯断続用バルブの開閉の有無もしくは開閉周期が相違する複数種類の打たせ湯モードのデータが記憶されているとともに、前記操作手段としては、打たせ湯モード選択用のスイッチが設けられており、前記制御手段は、前記スイッチの操作によって前記複数種類の打たせ湯モードのいずれかが選択されたときには、その選択されたモードの打たせ湯を実行させる制御を行なうように構成されていることを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される打たせ湯装置において得られるのと同様な効果が得られることに加え、前記スイッチを操作するだけで、複数種類の打たせ湯モードのうちからユーザが要望するモードを選択し、かつこの選択したモードの打たせ湯を簡単に実行させることができる。したがって、ユーザにとってより便利となる。
【0016】
本発明の第3の側面により提供される打たせ湯装置は、湯を吐出落下させるためのノズルを有する打たせ湯配管部と、この打たせ湯配管部に湯を送り込み、または前記打たせ湯配管部に送り込まれた湯を前記ノズルから吐出させるためのポンプと、を備えている、打たせ湯装置であって、前記ポンプは、吐出量が可変であり、前記打たせ湯配管部に設けられ、かつ前記ノズルから湯を断続的に吐出させることが可能に開閉動作が自在な打たせ湯断続用バルブと、前記ポンプおよび前記打たせ湯断続用バルブを制御するための制御手段と、前記制御手段に信号入力を行なうための操作手段と、をさらに備えており、前記制御手段には、前記ノズルから湯が吐出されて実行される打たせ湯の強さの指標となる指標データと、この指標データに対応させて前記ポンプの吐出量および前記打たせ湯断続用バルブの動作内容を定めたデータとが記憶されており、前記操作手段は、前記指標データの内容を選択設定可能であり、前記制御手段は、前記操作手段によって前記指標データの内容が選択されたときには、その選択された指標データに対応して定められた内容で前記ポンプおよび前記打たせ湯断続用バルブを制御する構成されていることを特徴としている。ここで、前記打たせ湯の強さの指標となる指標データの具体例としては、たとえば湯の落差を数値あるいは図形などによって表わすものを挙げることができる。
【0017】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される打たせ湯装置において得られるのと同様な効果が得られることに加え、ユーザが所定のスイッチ操作を行なって打たせ湯の強さの指標データの内容を選択すると、打たせ湯の強さがその指標データの内容に対応したものとなるようにポンプや打たせ湯断続用バルブが制御される。したがって、ユーザが要望する強さの打たせ湯を簡単に、かつ早期に実施することができ、やはり便利である。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数種類の映像を表示可能な映像装置をさらに備えており、この映像装置は、実行される打たせ湯の態様に対応して表示映像を切り換えるように構成されている。このような構成によれば、打たせ湯が実行されている際の映像表示による視覚的な効果によってユーザをリラックスさせたり、あるいは打たせ湯の趣向性を高めるといったことが可能となる。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ノズルとしては、主ノズルと、この主ノズルから離間した位置に配された補助ノズルとがあり、前記補助ノズルからの湯の吐出およびその停止を切り換え自在な補助ノズル用の開閉バルブをさらに備えている。このような構成によれば、主ノズルと補助ノズルとの双方から湯を吐出させる打たせ湯と、補助ノズルを用いることなく主ノズルからのみ湯を吐出させる打たせ湯とが可能となり、打たせ湯のバリエーションを多彩にするのに好適となる。また、補助ノズルは、主ノズルとは異なる角度でユーザに湯を当てることとなるため、これが打たせ湯の趣向性をさらに高めることとなる。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、浴槽と、この浴槽に接続された浴槽用配管部と、を備えており、前記浴槽用配管部は、前記ポンプを備え、かつ前記打たせ湯配管部と接続されており、前記ポンプの駆動により前記浴槽内の湯を前記打たせ湯配管部に送給可能な構成とされている。このような構成によれば、浴槽内の湯を打たせ湯に有効に利用することができる。
【0021】
本発明の第4の側面により提供される打たせ湯装置は、浴槽と、この浴槽に接続された浴槽用配管部と、この浴槽用配管部に接続され、かつ湯を吐出落下させるためのノズルを有する打たせ湯配管部と、前記浴槽用配管部に設けられ、かつ前記浴槽内の湯を前記打たせ湯配管部に送給可能なポンプと、を備えている、打たせ湯装置であって、前記ポンプは、吐出量が可変であり、前記打たせ湯配管部に設けられ、かつ前記ノズルから湯を断続的に吐出させることが可能に開閉動作が自在な打たせ湯断続用バルブと、前記浴槽から前記浴槽用配管部に流入した湯を加熱するための加熱手段と、前記加熱手段による湯の加熱温度を制御する加熱制御手段と、をさらに備えており、前記浴槽用配管部は、前記浴槽内と前記加熱手段との間で湯を循環流通させることが可能な往き管と戻り管とを有しているとともに、前記往き管には、前記打たせ湯配管部が方向切換バルブを介して接続されており、前記加熱手段によって加熱された湯が、前記方向切換バルブの切り換えにより、前記浴槽と前記打たせ湯配管部との一方に選択的に流入可能とされていることを特徴としている。
【0022】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される打たせ湯装置において得られるのと同様な効果が得られることに加え、浴槽内の湯を加熱手段を利用して所望の温度に加熱してから浴槽内に戻すいわゆる追い焚き運転と、前記加熱手段によって加熱された湯を利用した打たせ湯とのそれぞれを簡易な構成によって適切に実行することもできる。
【0023】
本発明の第5の側面により提供される打たせ湯装置は、浴槽と、この浴槽に接続された浴槽用配管部と、この浴槽用配管部に接続され、かつ湯を吐出落下させるためのノズルを有する打たせ湯配管部と、前記浴槽用配管部に設けられ、かつ前記浴槽内の湯を前記打たせ湯配管部に送給可能なポンプと、を備えている、打たせ湯装置であって、前記打たせ湯配管部に設けられた吐出量が可変の追加のポンプと、前記打たせ湯配管部に設けられ、かつ前記ノズルから湯を断続的に吐出させることが可能に開閉動作が自在な打たせ湯断続用バルブと、前記浴槽から前記浴槽用配管部に流入した湯を加熱するための加熱手段と、前記加熱手段による湯の加熱温度を制御する加熱制御手段と、をさらに備えており、前記浴槽用配管部は、前記浴槽内と前記加熱手段との間で湯を循環流通させることが可能な往き管と戻り管とを有しているとともに、前記往き管には、前記打たせ湯配管部が方向切換バルブを介して接続されており、前記加熱手段によって加熱された湯が、前記方向切換バルブの切り換えにより、前記浴槽と前記打たせ湯配管部との一方に選択的に流入可能とされていることを特徴としている。
【0024】
このような構成によれば、ポンプによって汲み上げられて打たせ湯配管部に送り込まれてきた浴槽内の湯を追加のポンプによりさらにノズルに向けて吐出することによって打たせ湯が行なわれるが、前記追加のポンプは、前記ノズルに近い位置に設けることができるために、その分だけ吐出量の変更に際しての応答性が良好となる。もちろん、前記構成によれば、本発明の第4の側面により提供される打たせ湯装置と同様に、浴槽内の湯の追い焚き運転と、加熱手段により加熱された湯を利用した打たせ湯とを簡易な構成によって適切に実施することができる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、給水管から供給される水を前記加熱手段によって加熱させることにより所望温度の新湯を生成可能な新湯供給配管部を備えており、この新湯供給配管部において生成された新湯および前記浴槽内の湯の一方を前記打たせ湯配管部に選択的に送り込むことが可能な構成とされている。このような構成によれば、新湯と浴槽内の湯とのいずれかを任意に選択して打たせ湯に用いることができ、融通性に優れる。また、浴槽内に湯が張られていない場合であっても、打たせ湯が可能となるので、便利である。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記打たせ湯配管部に送り込まれてくる湯を貯留可能な貯湯部を備えており、前記追加のポンプは、前記貯湯部内の湯を汲み上げて前記ノズルに向けて送給するように構成されている。このような構成によれば、貯湯部内の湯が無くならないように、この貯湯部に湯を供給して補充させている限りは、追加のポンプから吐出される湯の量に不足を生じないようにすることができ、打たせ湯の湯量を多くするのに好適となる。すなわち、前記構成とは異なり、たとえばポンプによって浴槽から汲み上げた湯を追加のポンプに直接送給させた場合には、追加のポンプの吐出量を浴槽から湯を汲み上げるポンプの吐出量よりも多くすることが困難となるが、前記構成によれば、これを解消することが可能となる。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、給水管から供給される水を前記加熱手段によって加熱させることにより所望温度の新湯を生成可能な新湯供給配管部と、この新湯供給配管部において生成された新湯を貯留しておくための貯湯部と、前記打たせ湯配管部に追加の方向切換バルブを介して接続され、かつ一端部が前記貯湯部内に配された分岐管と、を備えており、前記追加の方向切換バルブの切り換えにより、前記貯留部内に貯留された新湯と前記ポンプによって汲み上げられる前記浴槽内の湯との一方が前記追加のポンプに対して選択的に供給可能な構成とされている。このような構成によれば、新湯を用いた打たせ湯と浴槽内の湯を用いた打たせ湯とのいずれもが可能となり便利である。また、新湯を用いて打たせ湯を行なう場合には、貯湯部内の新湯が無くならないように、この貯湯部に新湯を供給して補充させている限りは、追加のポンプから吐出される湯の量に不足を生じないようにすることができ、打たせ湯の湯量を多くするのに好適となる。
【0028】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0030】
図1は、本発明に係る打たせ湯装置の一実施形態を示している。本実施形態の打たせ湯装置A1は、浴室1とその近傍部分とに設置されており、浴槽10、加熱装置2、浴槽10に接続された浴槽用の往き管8Aならびに戻り管8B、戻り管8Bに設けられた可変容量形のポンプP1、往き管8Aに連結された打たせ湯配管部3、打たせ湯用の複数のノズル32、制御部4、操作盤5、および映像装置6を備えている。
【0031】
加熱装置2は、浴槽10に供給される湯や、打たせ湯配管部3に供給される湯を加熱するための装置であり、本発明でいう加熱手段の一例に相当する。この加熱装置2は、たとえば灯油などの燃料を燃焼させるタイプであり、缶体20の底部に設けられた燃焼室21内に噴霧ノズル22から燃料を噴霧させるとともに、送風ファン23から燃焼用空気を送り込むことによって、燃焼室21内において前記燃料を燃焼させることが可能である。燃焼室21内において発生した燃焼ガスは、燃焼室21の上方に設けられた複数の煙管24を通過し、その後排気ダクト26から排ガスとして外部に排出される。燃焼室21の周囲および複数の煙管23の周りには、貯湯部25が設けられている。この貯湯部25内には、常に湯(水も含む)が貯留されており、いわゆる空焚き運転が防止されるようになっている。この貯湯部25に貯留された湯は、たとえば床下暖房などの入浴以外の用途に利用可能である。燃焼室21の上方には、湯水加熱用の2つのコイル部81A,81Bが設けられている。
【0032】
往き管8Aおよび戻り管8Bは、本発明でいう浴槽用配管部の一例に相当するものであり、コイル部81Bを挟んで互いに繋がり、かつともにこのコイル部81Bから浴槽10まで延びている。ただし、往き管8Aは、複数の管体80a〜80cからなり、その途中には、三方弁である2つの方向切換バルブV1,V2が設けられている。既述したとおり、戻り管8BにはポンプP1が設けられている。このポンプP1と加熱装置2とを駆動させることにより、いわゆる風呂の追い焚きと打たせ湯とを選択的に実行可能である。具体的には、ポンプP1を駆動させると、浴槽10内の湯が戻り管8Bに流入してコイル部81Bに送り込まれ、このコイル部81Bにおいて加熱されてから往き管8Aに流入する。方向切換バルブV1,V2において、湯が図1の矢印N1,N2方向に流れるように設定しておけば、前記加熱された湯は浴槽10内に戻される。これに対し、方向切換バルブV2において、湯が矢印N3方向に流れるようにすれば、前記加熱された湯は打たせ湯配管部3に流入し、打たせ湯が実行されることとなる。
【0033】
燃焼装置2のコイル部81Aは、水道配管などの給水管89を介して供給されてくる水を加熱するための部分であり、このコイル部81Aには、給水管89の第1分岐管89aと補助管88とが接続されている。この補助管88と給水管89の第2分岐管89bとは混合バルブV3に接続されており、この混合バルブV3においては、第2分岐管89bを流通してくる水と補助管28を流通してくる湯とが混合され、所望温度の湯が生成されるようになっている。この混合バルブV3は、方向切換バルブV1と配管接続されている。これら混合バルブV3やコイル部81Aなどを備えた配管部分が、本発明でいう新湯供給配管部の一例に相当する。方向切換バルブV1において、矢印N4方向に湯が流れるようにすれば、混合バルブV3において生成された湯を往き管8A内に流入させて浴槽10に導き、湯張りに使用することができる。また、前記湯を打たせ湯配管部3に導くことにより、打たせ湯に使用することができる。
【0034】
打たせ湯配管部3は、方向切換バルブV2から略鉛直状に立ち上がった起立管体部30aと、この起立管体部30aの上部先端から略水平に延びた水平管体部30bとを有している。起立管体部30aには、打たせ湯断続用バルブ31が設けられている。この打たせ湯断続用バルブ31は、たとえば電磁開閉バルブであり、通常時は開状態にあるが、後述するように、このバルブ31の開閉動作によって打たせ湯を不連続な水流にすることができる。水平管体部30bは、浴室1の天井壁11よりも上方に位置しており、この水平管体部30bの長手方向中間部および先端部には、打たせ湯用の複数のノズル32が取り付けられている。これら複数のノズル32としては、1つの主ノズル32Aと2つの補助ノズル32Bとがあり、これらは短管33a,33bおよび電磁式の開閉バルブ34a,34bを介して水平管体部30bに連結されている。
【0035】
主ノズル32Aは、浴槽10に設けられた腰掛け部10aの略直上に位置しており、腰掛け部10aに座ったユーザに略真上から湯を当てるのに好適な配置とされている。これに対し、2つの補助ノズル32Bは、図2にも示されているように、互いに離間しているとともに、主ノズル32Aからも離間しており、ユーザに対して斜め上方から湯を当てる配置とされている。
【0036】
図3に示すように、主ノズル32Aは、略球状に膨らんだ頭部320を有しており、この頭部320が短管33aに取り付けられたホルダ35に球面摺動可能に保持されている。この球面摺動作用により、主ノズル32Aの向きは変更自在となっている。好ましくは、主ノズル32Aの近傍には、この主ノズル32Aを互いに直交する水平な2方向に揺動自在とするモータあるいはシリンダなど(図示略)の駆動手段が設けられており、かつこの駆動手段を操作盤5のスイッチ操作によって遠隔操作することにより、主ノズル32Aの向きを所望の向きに変更できるようにされている。主ノズル32Aは、湯を通過させるための流路321を有しており、かつこの流路321の先端開口部の近傍には、部分的に内径が大きくされた大径部321aが設けられている。この大径部321aは、流路321の先端開口部から湯を吐出落下させる際に、湯に空気を混入させる作用を発揮する。補助ノズル32Bについての詳細な図示説明は省略するが、この補助ノズル32Bは、主ノズル32Aよりもノズル開口径がやや小さめに形成されている。ただし、それ以外の基本的な構造は、前述した主ノズル32Aの構造と同様である。
【0037】
映像装置6は、浴室1の天井壁11に画像を映写するものであり、浴室1の一側壁の上部に設けられている。この映像装置6は、制御部4によって制御されており、天井壁11に映写される映像は、後述するように、打たせ湯の種類によって切り替わるように構成されている。なお、映像が映される場所は、天井壁11に代えて、または加えて、浴室1の側壁などであってもよいことは勿論である。
【0038】
制御部4は、本発明でいう制御手段の一例に相当するものであり、CPUやこれに付属する各種のメモリなどを備えたマイクロコンピュータを用いて構成されている。この制御部4は、前記メモリに記憶されたプログラムや各種のデータ、および操作盤5のスイッチ操作などに基づき、この打たせ湯装置A1の各部の動作制御や所定の信号処理を行なうように構成されている。この制御部4は、後述するように、打たせ湯配管部3に湯を流入させて打たせ湯を行なわせ、かつそのバリエーションを変更する制御や、打たせ湯の温度制御などを行なうように構成されている。制御部4は、戻り管8Bおよび打たせ湯配管部3に設けられた温度センサSa,Sbからの信号に基づいて戻り管8B内の湯温(浴槽10内の湯温に相当)および打たせ湯配管部3内の湯温を検出可能である。
【0039】
制御部4には、たとえば4種類の打たせ湯モードのデータが予め記憶されており、後述するように、それらのうちいずれかが選択されると、そのモードの打たせ湯が実行されるようにポンプP1やその他の動作制御がなされるように構成されている。それら4種類の打たせ湯モードは、たとえば次の表1に示す第1ないし第4のモードである。
【0040】
【表1】

【0041】
表1において、ポンプP1の単位時間当たりの吐出量Q1〜Q4は、Q1<Q2<Q3<Q4の関係にある。第2および第4のモードにおいては、打たせ湯断続用バルブ31を開閉させているが、その際の開閉周期t1,t2も予め定められている。ここで、「開閉周期」とは、打たせ湯断続用バルブ31が開状態から閉状態を経て次の開状態になるまでの時間であり、たとえば図7(a)を一例に挙げると、打たせ湯断続用バルブ31の開状態時間taと閉状態時間tbとの合計値である。表1においては、第2および第4のモードにおいて、開閉周期t1,t2が相違しており、たとえばt1<t2の関係とされている。ただし、これに限定されず、前記とは反対にt1>t2の関係、あるいはt1=t2の関係としてもかまわない。
【0042】
本実施形態においては、打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期を変更させる場合、打たせ湯断続用バルブ31の開状態と閉状態とのそれぞれの時間がともに変更されるようになっている。より具体的には、図7(a)に示すような打たせ湯断続用バルブ31の開閉動作に対して、同図(b)に示すように、それよりも周期を長くする場合には、開状態および閉状態のそれぞれの時間ta,tbを、ともにそれらよりも長い時間ta',tb'とするように構成されている。ただし、本発明においては、これとは異なり、図8(a),(b)に示すように、閉状態の時間tbは一定のままであって、開状態の時間taがta'に変化することにより開閉動作の周期が変化する構成としてもよい。さらには、図9(a),(b)に示すように、開状態の時間taは一定のままであって、閉状態の時間tbがtb'に変化することにより開閉動作の周期が変化する構成としてもよい。なお、いずれの場合においても、打たせ湯断続用バルブ31の閉状態時には、ポンプP1から吐出される湯がバルブ31によりせき止められて、ポンプP1の吐出側の配管内の圧力が高まり、ポンプP1や配管の負荷が増大するため、閉時間を余り長くしないようにすることが好ましい。
【0043】
操作盤5は、制御部4と配線接続されており、好ましくは、ユーザが浴槽10内に座ったまま操作することが可能な箇所に設けられている。この操作盤5は、制御部4に対する信号送信をワイヤレス送信(光通信を含む)で行なうように構成されていてもかまわない。図4に示すように、この操作盤5は、液晶表示器などを用いて構成された画像表示部50や、複数の各種の操作スイッチを備えている。これら操作スイッチの具体例としては、打たせ湯装置A1の運転のオン・オフを行なうための運転スイッチ52a、打たせ湯のオン・オフを行なうためのスイッチ52b、補助ノズル32Bを使用するか否かを選択するためのスイッチ52c、打たせ湯の湯量変更を選択するためのスイッチ52d、打たせ湯を断続にするか否かを選択するためのスイッチ52e、打たせ湯の断続周期の変更を選択するためのスイッチ52f、打たせ湯の湯量ならびに温度の変更を行なうためのスイッチ52g,52h、前記4種類の打たせ湯モードのなかからいずれか1つを選択して実行させるための打たせ湯モード選択用のスイッチ52i、打たせ湯の温度変更を選択するためのスイッチ52j、およびこの打たせ湯装置Aにおいて実行される打たせ湯を自然落下の打たせ湯とみなした場合の湯の落差(高さ)を表示させながらポンプP1の吐出量を変更するためのスイッチ52kを備えている。制御部4には、スイッチ52kの操作に対応するためのデータとして、図5および図6に示すデータが記憶されているが、その詳細については後述する。
【0044】
操作盤5には、前記4種類の打たせ湯モードを表示する4つの表示ランプ53がさらに設けられているとともに、これらの近傍には、前記4種類の打たせ湯を滝にみたてた場合の名称も付されている。それらの名称は、たとえば「白糸の滝」「千草の滝」「雨滝」「天滝」である。
【0045】
次に、打たせ湯装置A1の作用、ならびに制御部4の動作処理手順の具体例について、図10および図11のフローチャートを参照しつつ説明する。ただし、この打たせ湯装置A1においては、打たせ湯を実行する場合にそのバリエーションの変更制御と温度制御とが可能であり、これらの制御は並行して実行されるが、内容の理解を容易にするため、以下においては、前記2つの制御の内容を分けて説明する。
【0046】
まず、打たせ湯を開始させるべく操作盤5のスイッチ52bが操作されると、制御部4は、ポンプP1を駆動させるとともに、方向切換バルブV2における湯の流通方向が矢印N3方向となるように制御する(S1:YES,S2)。これにより、浴槽10内の湯は、ポンプP1によってコイル部81Bに送られた後に、方向切換バルブV1,V2を経由して打たせ湯配管部3内に送り込まれる。その結果、主ノズル32Aからは、前記湯が吐出され、その下方に位置するユーザの頭や首などの所望箇所に湯が当たる。開閉バルブ34bは閉じており、通常の打たせ湯開始時においては、補助ノズル32Bから湯が吐出されないようになっている。もちろん、これとは異なり、特別なスイッチ操作などを行なわせなくても、主ノズル32Aと補助ノズル32Bとの双方から湯が吐出されるように構成してもかまわない。制御部4は、前記した打たせ湯が開始されたときには、映像装置6を駆動させ、打たせ湯に対応させて予め選択されている映像を浴室1の天井壁11に映写させる(S3)。好ましくは、天井壁11に映像が映写されるときには、この天井壁11を照らす照明が暗くなるなど、この映像装置6と浴室1内に設置されている照明装置(図示略)とは映像効果を高めるように連動している。
【0047】
前記打たせ湯が実行されている場合において、打たせ湯の湯量を変更すべく操作盤5のスイッチ52dが操作され、かつこれに引き続いてスイッチ52g,52hのいずれかが操作されると、制御部4は、そのスイッチ操作に対応して、ポンプP1の出力を変更する(S4:YES,S5)。より具体的には、スイッチ52dが操作された後に、スイッチ52gが操作されると、制御部4はポンプP1の出力を高める。スイッチ52gに代えて、スイッチ52hが操作された場合には、前記とは反対に、制御部4はポンプP1の出力を低くする。ポンプP1の出力は、たとえばスイッチ52g,52hが押圧操作される都度、段階的に変更されるようになっている。ただし、これに代えて、スイッチ52g,52hが押圧される時間に比例してポンプP1の出力が無段階に変更される構成としてもかまわない。
【0048】
前記したポンプP1の出力変更がなされると、主ノズル32Aから吐出される湯の量が変更される。主ノズル32Aのノズル口径は一定であるため、吐出量が変更されると、その吐出圧も変更されることとなる。したがって、この打たせ湯装置A1においては、打たせ湯の湯量および吐出圧をユーザの要望に応じて変更することが可能となり、ユーザは心地よい打たせ湯が行なえることとなる。とくに、ポンプP1の吐出量を多くした場合には、主ノズル32Aの設置高さがさほど高くない場合であっても、ユーザの身体に対して比較的強い圧力で湯を当てて、浴室1の天井壁11よりもかなり高い位置から湯を落下させたのと同様な圧力で湯を落とすことが可能となるため、いわゆる強い打たせ湯を要望するユーザに対しても心地よい打たせ湯を行なわせることができる。
【0049】
制御部4は、打たせ湯が実行される際には、現に実行されている打たせ湯の勢いが、湯を自然落下させる場合においてどの程度の落差に相当するかの換算処理を実行し、かつその結果を操作盤5の画像表示部50に表示するようになっている。この表示は、たとえば「湯の落差は、5〜7m」あるいは「湯の落差は、8〜10m」といったふうに、落差を具体的に表示することにより行なわれる。このような表示を行なわせると、ユーザはこの表示を参照しながら打たせ湯の強さを的確に認識することができ、打たせ湯の強さを調整する際の好適な目安となる。また、打たせ湯に面白みをもたせることも可能となる。なお、前記した換算処理は、たとえば後述する図5および図6に示すデータを利用して簡単に行なうことが可能である。制御部4は、打たせ湯の状況の変化に対応して画像表示部50における湯の落差の表示を切り換える前記した制御に加え、後述するように、湯の落差の値を予め指定することによってそれに対応した強さの打たせ湯を実行させる制御をも実行可能に構成されている。
【0050】
制御部4は、打たせ湯を断続にするためのスイッチ52eが操作されたときには、打たせ湯断続用バルブ31を予め設定された所定の周期で繰り返し開閉させる制御を行なう(S6:YES,S7)。このことにより、主ノズル32Aからは湯が断続的に吐出されることとなって、ユーザの身体に対して不連続な流れの湯を当てることが可能となる。この断続的な打たせ湯は、連続した流れの湯の落下では得られない独特な心地よさおよびマッサージ効果をユーザに与えることとなる。
【0051】
前記したスイッチ52eの操作に引き続いて、打たせ湯の断続周期を変更すべくスイッチ52fが操作され、またスイッチ52g,52hのいずれかが操作されると、制御部4は、そのスイッチ操作に対応して、打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期を変更する(S8:YES,S9)。より具体的には、スイッチ52fが操作された後に、スイッチ52gが操作されると、打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期が長くなる一方、スイッチ52hが操作されると、打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期が短くなるように制御される。ここで、「開閉周期」とは、先に説明した内容と同一である。この開閉周期の変更に際しては、ポンプP1の出力変更の場合と同様に、スイッチ52g,52hが押圧操作される都度、開閉周期が段階的に変化するようになっているが、むろんこれに限定されず、操作時間に比例して打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期が無段階に変更される構成としてもよい。
【0052】
打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期が変更されると、ユーザに不連続な水流状態の湯が断続的に当たる際の周期が変更されるだけではなく、断続した湯の塊の大きさ(水流長さ)も変更される。ユーザは、スイッチ操作によって、打たせ湯の断続周期を自己の要望に合致した内容に選択することができるために、一層心地よい打たせ湯が行なえることとなる。
【0053】
図10に示すフローチャートにおいては省略されているが、制御部4は、湯の落差の値を予め指定することによってそれに対応した打たせ湯を実行させる制御をも実行可能に構成されている。この構成について、より詳細に説明すると、制御部4は、たとえば図5および図6に示すようなデータを有している。図5に示すデータは、画像表示部50に表示される湯の落差の値と、それに対応するポンプP1の吐出量との関係を予め定めたデータである。前記湯の落差の値は、打たせ湯の強さの指標となる指標データであり、この指標データの値が大きいほど、ポンプP1の吐出量が多くなる関係にある。図6(a)に示すデータは、画像表示部50に表示される湯の落差の値と、それに対応する打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期との関係を定めたデータであり、湯の落差の値が大きくなるほど、開閉周期が長くなる関係にある。好ましくは、前記したデータは、湯の落差の値をたとえば「10m」とした場合に、主ノズル32Aから吐出落下してユーザに当たる湯の勢いが、10mの落差で湯を自然落下させてユーザに当てるときと同様な勢いとなるように、ポンプP1の吐出量および打たせ湯断続用バルブ31が開閉するように関係とされている。このような関係のデータは、たとえば実験により求めることができる。なお、図6(a)に示すデータに代えて、たとえば同図(b)に示すように、ポンプP1の吐出量に対応させて打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期を定めたデータを用いてもよい。この場合であっても、打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期のデータは、間接的ではあるものの、画像表示部50に表示される湯の落差の値に対応した関係にあり、湯の落差の値が定まれば、打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期も必然的に定まることとなる。また、図6(a),(b)に示すデータは、いずれも打たせ湯断続用バルブ31を常に開閉させているが、たとえば湯の落差が5m以下の場合には開閉動作を行なうことなく、開状態のままとされるといった内容にしてもよいことは勿論である。
【0054】
制御部4は、スイッチ52kが操作されたときには、落差を示す数値を画像表示部50に表示可能とし、かつこの数値をスイッチ52g,52hの操作によって増減変更できるように制御する。そして、その後たとえばスイッチ52kが再度操作されるなどして、前記落差に対応する打たせ湯を開始するための所定操作がなされると、制御部4は、前記した図5および図6に示したデータに基づいて、前記設定された落差の値に対応するポンプP1の出力(吐出量)および打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期を決定し、この決定した内容通りにポンプP1および打たせ湯断続用バルブ31を駆動させる。
【0055】
前記した構成によれば、ユーザが予め指示した落差に対応する打たせ湯が直ちに実行される。このため、たとえばユーザが強い打たせ湯を要望する場合に、打たせ湯の吐出圧が低い状態からスイッチ52gを操作して徐々にその吐出圧を高めていくといった煩わしさがなく、ユーザが要望する内容の打たせ湯を早期に開始することができ、便利である。なお、打たせ湯の強さの指標となるデータは、落差を示す数値に限らず、それ以外の数値や図形(棒グラフのようなものも含む)などを用いてもかまわない。また、図5および図6に示すデータは、落差の値に対して、ポンプP1の吐出量や打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期が無段階に変化したものとなっているが、これに限定されず、たとえばポンプP1の吐出量や打たせ湯断続用バルブ31の開閉周期が段階的に変化するよう内容であってもよい。
【0056】
前記打たせ湯は、主ノズル32Aのみを利用して行なわれているが、操作盤5のスイッチ52cが操作されると、制御部4は、開閉バルブ34bを開かせる(S10:YES、S11)。この制御により、2つの補助ノズル32Bからも湯が吐出落下される。この補助ノズル32Bは、主ノズル32Aとは、異なる角度からユーザに湯を当て、またそのノズル口径が主ノズル32Aとは異なることに起因して落下する湯の量も相違するために、主ノズル32Aのみを利用した打たせ湯とは趣が異なった打たせ湯が可能となる。なお、図5および図6に示したデータは、主ノズル32Aのみから湯を吐出させる場合のデータであるが、これに加えて、主ノズル32Aと補助ノズル32Bとの双方から湯を吐出させる場合のデータも制御部4に記憶させておき、補助ノズル32Bを用いる場合にも落差を指定した打たせ湯が実行可能な構成としておくことが好ましい。
【0057】
さらに、制御部4は、打たせ湯モード選択設定用のスイッチ52iが操作されることにより、前記表1に示した第1ないし第4のモードのいずれかが選択された場合には、その選択されたモードの打たせ湯を実行すべく、ポンプP1、打たせ湯断続用バルブ31、および開閉バルブ34bについての必要な制御を行なう(S12:YES,S13)。前記モードの選択は、たとえばスイッチ52iが1回押圧操作される都度、第1のモードから第4のモードまで1つずつ順番に切り換わるようにしてなされる。
【0058】
第1のモードが選択された場合には、湯は主ノズル32Aおよび補助ノズル32Bからさほど多くない流量で連続した水流として吐出落下され、連続した水流の湯が低い高さから多く落ちてくる印象をユーザに与える。この第1のモードは、ユーザがあまり強い刺激を求めない場合に好適である。第2のモードが選択された場合には、湯は主ノズル32Aのみから吐出され、かつその吐出量および吐出圧は第1のモード時よりも高められる。また、湯の水流は不連続となる。したがって、ユーザに対しては打たせ湯の湯が高い位置から落下してくる印象を与える。第3のモードが選択された場合には、主ノズル32Aに加えて2つの補助ノズル32Bからも湯が連続した水流として吐出落下される。湯全体の吐出量は、第2のモード時よりも多いものの、湯の吐出が主ノズル32Aと2つの補助ノズル32Bとに分散してなされるために、これらのノズルからは比較的低い高さから多くの湯が落ちてくる印象をユーザに与える。第4のモードが選択された場合には、主ノズル32Aおよび補助ノズル32Bのそれぞれから吐出される湯の量が増え、しかも不連続な水流となるために、ユーザに対しては高い位置から多量の湯が激しく落ちてくる印象を与える。この第4のモードは、ユーザが強い刺激を求めている場合に好適である。
【0059】
このように、湯の落下の仕方が大きく相違する4種類の打たせ湯モードを予め設定しておき、スイッチ52iを操作するだけで、それらのうちのいずれかのモードを任意に選択し、かつ実行できるようにしておけば、ユーザは、煩雑なスイッチ操作を行なうことなく、自己の要望に近い打たせ湯を簡単に実施することができ、便利である。一方、前述のステップS4〜S11に示したように、前記した4種類のモードとは異なる打たせ湯を任意に実行することが可能である。したがって、この打たせ湯装置A1においては、実行可能な打たせ湯のバリエーションを非常に多くすることができ、種々のユーザの広い要求に的確に応えることが可能である。なお、図10に示したフローチャートにおいては、ステップS1においてスイッチ52bが操作されていない場合であっても、スイッチ52iが操作されれば、第1ないし第4のモードのいずれかの打たせ湯が直ちに実行されるようになっているが、本発明はこれに限定されない。本発明においては、たとえばスイッチ52iが操作される前に、スイッチ52bが予め操作されなければ、第1ないし第4のモードのいずれの打たせ湯をも選択して実行できないようにすることもできる。
【0060】
前記した4種類のモードの打たせ湯が実行される場合、制御部4は、映像装置6の制御を行ない、実行される打たせ湯モードに対応する映像を浴室1の天井壁11に映し出させる(S14)。これらの映像は、たとえば前記した「白糸の滝」「千草の滝」「雨滝」「天滝」の映像、あるいはこれらに関連する映像である。このような映像を写し出せば、この映像の視覚的効果によってユーザに面白さを与えることができる。また、点灯ランプ53を見なくても、ユーザは打たせ湯の種類を簡単に判別することが可能となり、打たせ湯の種類の変更などに際しても便利となる。
【0061】
前記したような打たせ湯を終了させるべく、操作盤5のスイッチ52bが再操作されると、制御部4は、ポンプP1の駆動を停止させるとともに、方向切換バルブV2を元の初期状態(矢印N2方向に湯が流れる状態)に復帰させる(S15:YES,S16)。これにより、打たせ湯配管部3への湯の送り込みが停止され、打たせ湯が終了する。なお、方向切換バルブV2が元の初期状態に復帰した後には、その内部に湯が残存することとなる。
【0062】
次に、打たせ湯装置A1における打たせ湯の温度制御の内容、ならびにその際の制御部4の動作処理手順の一例について説明する。
【0063】
まず、打たせ湯を開始するための操作盤5のスイッチ52bまたはスイッチ52iが操作されると、制御部4は、温度検出センサSbからの信号に基づき、打たせ湯配管部3内に残存している湯の温度T1を検出する(S20:YES,S21)。次いで、制御部4は、この検出温度T1を予めメモリに記憶されている温度T2と比較する(S22)。前回の打たせ湯終了時期から今回の打たせ湯開始時期までの時間間隔が長い場合には、打たせ湯配管部3内の湯が冷めている場合が多い。打たせ湯配管部3内の湯が冷めた結果、検出温度T1が温度T2よりも低い場合には、制御部4は、方向切換バルブV2において湯が矢印N5方向に流れるように方向切換バルブV2を切り換える制御を実行し、打たせ湯配管部3内に残っている湯を往き管8Aを介して浴槽10内に戻させる(S22:NO,S32)。このことにより、打たせ湯配管部3内の低温の湯が打たせ湯の開始時にノズル32から吐出されることを防止し、ユーザが冷たい湯を浴びないようにすることができる。なお、温度T2は、たとえば浴槽10への湯張り設定温度よりも適当量だけ低い温度とされ、かつ湯張り設定温度が変更された場合にはこれに伴って変更されるようになっている。ただし、本発明はこれに限定されず、たとえば湯張り設定温度とは関係なく、一定の値とされていてもよい。好ましくは、温度T2の値は、ユーザが操作盤5のスイッチ操作を行なうことによって適宜変更できるようにされている。
【0064】
制御部4は、前記した方向切換バルブV2の切り換え制御を行なったときには、タイマをセットし、その後予め定められた時間が経過した時点で、方向切換バルブV2を元の状態に復帰させる(S33,S34:YES,S35)。打たせ湯配管部3内の湯を浴槽10内に落とし込むには、ある程度の時間が必要であり、前記したタイマのセットにより、その時間が適切に確保されることとなる。なお、好ましくは、打たせ湯配管部3の水平管体部30bは、起立管体部30a寄りの部分ほど高さが低くなるように傾斜しており、打たせ湯配管部3内の湯を下方に排出させる場合に、水平管体部30b内の湯が起立管体部30a内に流れ易い構造とされている。また、前記した打たせ湯配管部3内の湯を排出させる制御は、検出温度T1が所定の温度T2よりも低温である場合にのみ行なわれ、そうでない場合には実行されないようになっている(S22:YES)。したがって、複数回の打たせ湯を短時間のうちに繰り返して実行するような場合において、打たせ湯配管部3内の湯がさほど冷めていないにも拘わらず、打たせ湯配管部3内の湯が浴槽10内に排出されるといった無駄が無くなる。
【0065】
制御部4は、前記した方向切換バルブV2の復帰動作を終了させた後、あるいは温度T1,T2を比較した結果、温度T1が温度T2以上の高温であると判断した場合には、ポンプP1を駆動させる(S23)。次いで、制御部4は、温度検出センサSaからの信号に基づいて浴槽10内の湯の温度T3を検出し、これを予め設定された温度T4と比較する(S24,S25)。そして、温度T3が温度T4よりも低い場合には、制御部4は、加熱装置2を駆動させる(S31)。このことにより、浴槽10内の湯は、戻り管8B、加熱装置2内のコイル部81B、および往き管8A内を循環流通しつつ加熱される。そして、この動作により、温度T3が温度T4以上になると、制御部4は、その時点で方向切換バルブV2が湯を矢印N3方向に流すようにこの方向切換バルブV2の切り換え制御を行ない、打たせ湯を開始させる(S25:YES,S26)。
【0066】
浴槽10内の湯は、常に打たせ湯に適した温度にあるとは限らず、打たせ湯に使用するには温度が低過ぎる場合がある。また、往き管8Aなどの内部には、浴槽10内よりも低温の湯が存在する場合もある。前記制御によれば、そのような場合に、低温の湯がそのまま打たせ湯配管部3内に流れ込まないようにし、浴槽10内の湯を温めてから打たせ湯に使用することが可能となる。したがって、ユーザに冷たい湯が浴びせられることがより徹底して防止される。なお、前記とは異なり、温度T3が当初から温度T4以上である場合には、加熱装置2を無駄に駆動させることなく、浴槽10内の湯が直ちに打たせ湯配管部3内に送られて打たせ湯が開始される。温度T4は、前記した温度T2と同様に、たとえば浴槽10への湯張り温度よりも適当な温度だけ低い値としたり、あるいは操作盤5のスイッチ操作によって適宜設定された温度とすることが可能である。また、温度T2,T4を同一温度とすることも可能である。
【0067】
制御部4は、その後操作盤5においてスイッチ52jが操作され、かつこれに引き続いてスイッチ52g,52hのいずれかが操作されるなどして、打たせ湯の温度変更操作があると、それに対応して加熱装置2の運転制御を行なう(S27:YES,S28)。ただし、制御部4は、打たせ湯の設定温度が浴槽10内の湯の温度よりも低くされた場合には、この設定を無効とするように構成されている。制御部4は、その後、打たせ湯を終了する旨の操作があったときには、図10に示したフローチャートの場合と同様に、ポンプP1を停止させ、また方向切換バルブV2の復帰などを行なわせる(S29:YES,S30)。
【0068】
この打たせ湯装置A1においては、浴槽10内の湯を用いることなく、打たせ湯を行なわせることも可能である。すなわち、給水管89から供給される水については、加熱装置2のコイル部81Aにおける加熱、および混合バルブV3における水との混合により、所望温度の湯にすることが可能であることは既述したとおりである。この湯を、方向切換バルブV1から往き管8Aに流入させてから、方向切換バルブV2を経て打たせ湯配管部3内に送り込むことが可能である。このようにすれば、浴槽10内に湯が張られていなくても、ユーザは打たせ湯を楽しむことが可能となり、融通性に優れる。もちろん、打たせ湯の温度は、操作盤5のスイッチ操作に基づいて制御部4が加熱装置2や混合バルブV3を制御することにより、ユーザが希望する温度に適宜変更することが可能である。また、主ノズル32Aと補助ノズル32Bとのそれぞれに対応して開閉バルブ34a,34bが設けられているために、主ノズル32Aからの湯の吐出を停止させて、補助ノズル32Bからのみ湯を吐出させる打たせ湯も実行可能となる。
【0069】
図12〜図14は、本発明に係る打たせ湯装置の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0070】
図12に示す打たせ湯装置A2は、打たせ湯配管部3に可変容量形のポンプP2が設けられた構成を有している。打たせ湯配管部3には、前記実施形態の打たせ湯断続用バルブ31に相当するバルブは設けられていないものの、主ノズル32Aおよび補助ノズル32Bに対応して設けられている開閉バルブ34a,34bが制御部(図示略)の制御によって所望の周期で開閉可能となっている。したがって、本実施形態においては、これら開閉バルブ34a,34bが本発明でいう打たせ湯断続用バルブの具体例に相当する。
【0071】
本実施形態の打たせ湯装置A2によれば、ポンプP2の出力を制御してその吐出量を変更することにより、主ノズル32Aや補助ノズル32Bから吐出落下する湯量および圧力を変更することができる。ポンプP1を駆動させて浴槽10内の湯を打たせ湯配管部3およびポンプP2に送り込む場合、ポンプP2からの湯の吐出に不足を生じないようにポンプP1の吐出量が確保されていればよく、必ずしもこのポンプP1としては可変容量形のものを用いる必要はない。ただし、ポンプP1として、可変容量形のものを使用し、ポンプP2の吐出量を増加または減少させる際には、それに伴ってポンプP1の吐出量が増加または減少し、ポンプP2に対する湯の供給圧などを安定させるように構成してもよい。
【0072】
また、この打たせ湯装置A2によれば、給水管89から加熱装置2および混合バルブV3などを経由して得られた新湯を、水圧を利用して打たせ湯配管部3内に供給させた場合においても、ポンプP2を駆動させることによって、打たせ湯の量および圧力を適切に変更することができる。したがって、浴槽10内に湯が張られていない場合であっても、湯の量および吐出圧を変更可能な打たせ湯が可能となり、ユーザの要望により的確に応えることができる。ただし、この場合のポンプP2の最大吐出量は、水圧によって打たせ湯配管部3内に供給されてくる湯量と同等となり、それ以上の吐出量とすることは困難である。したがって、この打たせ湯装置A2においては、水圧によって打たせ湯配管部3内に供給される湯量を多くできるようにしておくことが好ましい。さらに、この打たせ湯装置A2によれば、開閉バルブ34a,34bを有効に利用して断続した打たせ湯を行なわせることが可能であるため、合理的である。
【0073】
図13に示す打たせ湯装置A3は、湯を貯留するための貯湯部73を備えている。打たせ湯配管部3は、方向切換バルブV2に下端部が接続された起立管体部30a'を有しており、方向切換バルブV2を介してこの起立管体部30a'に送り込まれた湯は、貯湯部73に流入して貯留されるようになっている。また、打たせ湯配管部3は、一端がポンプP2に接続され、かつ他端が貯湯部73内に挿入された起立管体部30a"をも有しており、この起立管体部30a"を介して貯湯部73の湯がポンプP2によって汲み上げられてノズル32に送給されるようになっている。貯湯部73の底部には、この貯湯部73内の湯を必要に応じて起立管体部30a'に戻すことが可能なバルブ39を備えた配管部38が接続されている。
【0074】
このような構成によれば、浴槽10内の湯をポンプP1によって貯湯部73に送り込んで、この湯を貯湯部73に溜めておくことにより、あるいは溜めながら、ポンプP2を駆動させることにより、打たせ湯を行なうことができる。また、給水管89からコイル部81Aおよび混合バルブV3を経て得られる新湯についても、その水圧を利用して貯湯部73に送り込んで、この湯を貯湯部73に溜めておくことにより、あるいは溜めながら、ポンプP2を駆動させることによって、新湯を用いた打たせ湯を行なうこともできる。本実施形態においては、貯留部73に貯留されている湯をポンプP2によって汲み上げて打たせ湯に使用するため、前記した打たせ湯装置A2の場合とは異なり、ポンプP2の最大吐出量がポンプP1または給水管89の水圧によって打たせ湯配管部3に供給される湯の量以下に制限されるといったことを解消することができる。また、バルブ39を開くと、貯湯部73内の湯が配管部38を通過して起立管体部30a'に流入するために、矢印N5方向に湯が流れるように方向切換バルブV2を設定しておけば、前記湯を往き管8Aを介して浴槽10内に流入させることができる。したがって、打たせ湯の開始時に貯留部73に貯留していた冷たい湯がノズル32から吐出されるといったことも適切に回避することが可能である。
【0075】
図14に示す打たせ湯装置A4は、給水管89から加熱装置2および混合バルブV3を経て得られる新湯を貯留するための貯湯部70を備えている。この貯湯部70には、方向切換バルブV1に接続された分岐管71を介して前記の新湯が供給されるようになっている。一方、打たせ湯配管部3には、貯湯部70に貯留された湯を汲み上げるための分岐管72が方向切換バルブV4を介して接続されている。
【0076】
この打たせ湯装置A4においては、給水管89からの水を加熱することによって得られた新湯を貯湯部70に溜めておくことにより、あるいは溜めながら、ポンプP2を駆動させて、その湯を打たせ湯配管部3に流入させて、打たせ湯に用いることができる。したがって、やはり浴槽10内に湯が張られていない場合であっても、打たせ湯を好適に行なうことができる。また、貯留部70に貯留されている湯を汲み上げて打たせ湯に使用するため、前記した打たせ湯装置A3の場合と同様に、ポンプP2の最大吐出量が打たせ湯配管部3内に水圧によって供給される湯の量以下に制限されるといったことも解消することが可能である。浴槽10内の湯を打たせ湯に使用する場合には、方向切換バルブV2を経て打たせ湯配管部3内に送り込まれた湯をそのままポンプP2に向けて流通させればよい。
【0077】
前記した実施形態から理解されるように、本発明においては、浴槽内の湯を打たせ湯に使用することに代えて、それ以外の湯を打たせ湯に用いた構成とすることもできる。また、打たせ湯配管部に湯を送り込むためのポンプは、打たせ湯配管部に設けた構成とすることもできる。
【0078】
本発明の内容は、上述した実施形態に限定されない。本発明に係る打たせ湯装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0079】
たとえば、打たせ湯断続用バルブは、閉状態となった際に打たせ湯配管部内の水流を完全に停止させるものでなくてもよく、打たせ湯を不連続な水流にし得る程度に、打たせ湯配管部内を流れる湯量を絞ることができればよい。また、打たせ湯断続用バルブの開閉周期については変更できるようにすることが好ましいものの、やはりこれに限定されず、開閉周期を一定にすることもできる。
【0080】
打たせ湯のバリエーションを多くする観点からすると、打たせ湯用のノズルの数を多くして、それらを切り換えて使用することが好ましいものの、その具体的な数も問わない。少なくとも1つあればよい。また、ノズルの向きを変更できるようにすることが好ましいが、やはりこれに限定されず、向きが固定されていてもよい。ノズルは、要は、打たせ湯配管部に送り込まれてきた湯を下向きに吐出させる機能を有すればよく、たとえば打たせ湯配管部の適所に単なる開口孔を形成し、この開口孔の形成箇所をノズルとしてもかまわない。
【0081】
打たせ湯用のノズルに湯を送り込むポンプは、吐出量が可変であればよく、その具体的な種類は問わない。また、本発明でいう方向切換バルブとは、湯の流通方向を制御し得るバルブの意であり、たとえば複数の開閉バルブを組み合わせて湯の流通方向を切り換えるようにしたものも含む概念である。本発明でいう加熱手段は、液体燃料を燃焼させるものに限らず、ガス燃焼方式のもの、電熱ヒータ方式のもの、貯湯タンクに貯留された高温の湯を利用するものなど、種々のものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る打たせ湯装置の一実施形態を示す概略説明図である。
【図2】図1に示す打たせ湯装置の要部斜視図である。
【図3】図1に示す打たせ湯装置が具備する打たせ湯用ノズルの要部断面図である。
【図4】図1に示す打たせ湯装置が具備する操作盤の正面図である。
【図5】湯の落差の表示とポンプ吐出量との関係の一例を示す説明図である。
【図6】(a)は、湯の落差の表示と打たせ湯断続用バルブの開閉周期との関係の一例を示す説明図であり、(b)は、ポンプ吐出量と打たせ湯断続用バルブの開閉周期との関係の一例を示す説明図である。
【図7】(a),(b)は、バルブ開閉周期を変更する場合の一例を示すタイムチャートである。
【図8】(a),(b)は、バルブ開閉周期を変更する場合の他の例を示すタイムチャートである。
【図9】(a),(b)は、バルブ開閉周期を変更する場合の他の例を示すタイムチャートである。
【図10】図1に示す打たせ湯装置が具備する制御部の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】図1に示す打たせ湯装置が具備する制御部の動作手順の他の例を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る打たせ湯装置の他の実施形態を示す概略説明図である。
【図13】本発明に係る打たせ湯装置の他の実施形態を示す概略説明図である。
【図14】本発明に係る打たせ湯装置の他の実施形態を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0083】
A1〜A4 打たせ湯装置
P1,P2 ポンプ
V1,V2 方向切換バルブ
2 加熱装置
3 打たせ湯配管部
4 制御部(制御手段)
5 操作盤
6 映像装置
8A 往き管
8B 戻り管
10 浴槽
31 打たせ湯断続用バルブ
32A 主ノズル(ノズル)
32B 補助ノズル(ノズル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯を吐出落下させるためのノズルを有する打たせ湯配管部と、この打たせ湯配管部に湯を送り込み、または前記打たせ湯配管部に送り込まれた湯を前記ノズルから吐出させるためのポンプと、を備えている、打たせ湯装置であって、
前記ポンプは、吐出量が可変であり、かつ前記打たせ湯配管部には、前記ノズルから湯を断続的に吐出させることが可能に開閉動作が自在な打たせ湯断続用バルブが設けられていることを特徴とする、打たせ湯装置。
【請求項2】
前記ポンプおよび前記打たせ湯断続用バルブを制御するための制御手段と、この制御手段に信号入力を行なうための操作手段と、を備えており、
前記操作手段の所定の操作により、前記ポンプの吐出量の変更が可能であるとともに、前記打たせ湯断続用バルブを開状態に維持するモードおよび開閉動作を繰り返すモードの一方に選択設定可能な構成とされている、請求項1に記載の打たせ湯装置。
【請求項3】
前記操作手段の所定の操作により、前記打たせ湯断続用バルブの開閉周期が変更可能とされている、請求項2に記載の打たせ湯装置。
【請求項4】
湯を吐出落下させるためのノズルを有する打たせ湯配管部と、この打たせ湯配管部に湯を送り込み、または前記打たせ湯配管部に送り込まれた湯を前記ノズルから吐出させるためのポンプと、を備えている、打たせ湯装置であって、
前記ポンプは、吐出量が可変であり、
前記打たせ湯配管部に設けられ、かつ前記ノズルから湯を断続的に吐出させることが可能に開閉動作が自在な打たせ湯断続用バルブと、前記ポンプおよび前記打たせ湯断続用バルブを制御するための制御手段と、前記制御手段に信号入力を行なうための操作手段と、をさらに備えており、
前記制御手段には、前記ポンプの吐出量、または前記打たせ湯断続用バルブの開閉の有無もしくは開閉周期が相違する複数種類の打たせ湯モードのデータが記憶されているとともに、
前記操作手段としては、打たせ湯モード選択用のスイッチが設けられており、
前記制御手段は、前記スイッチの操作によって前記複数種類の打たせ湯モードのいずれかが選択されたときには、その選択されたモードの打たせ湯を実行させる制御を行なうように構成されていることを特徴とする、打たせ湯装置。
【請求項5】
湯を吐出落下させるためのノズルを有する打たせ湯配管部と、この打たせ湯配管部に湯を送り込み、または前記打たせ湯配管部に送り込まれた湯を前記ノズルから吐出させるためのポンプと、を備えている、打たせ湯装置であって、
前記ポンプは、吐出量が可変であり、
前記打たせ湯配管部に設けられ、かつ前記ノズルから湯を断続的に吐出させることが可能に開閉動作が自在な打たせ湯断続用バルブと、前記ポンプおよび前記打たせ湯断続用バルブを制御するための制御手段と、前記制御手段に信号入力を行なうための操作手段と、をさらに備えており、
前記制御手段には、前記ノズルから湯が吐出されて実行される打たせ湯の強さの指標となる指標データと、この指標データに対応させて前記ポンプの吐出量および前記打たせ湯断続用バルブの動作内容を定めたデータとが記憶されており、
前記操作手段は、前記指標データの内容を選択設定可能であり、
前記制御手段は、前記操作手段によって前記指標データの内容が選択されたときには、その選択された指標データに対応して定められた内容で前記ポンプおよび前記打たせ湯断続用バルブを制御する構成されていることを特徴とする、打たせ湯装置。
【請求項6】
複数種類の映像を表示可能な映像装置をさらに備えており、
この映像装置は、実行される打たせ湯の態様に対応して表示映像を切り換えるように構成されている、請求項4または5に記載の打たせ湯装置。
【請求項7】
前記ノズルとしては、主ノズルと、この主ノズルから離間した位置に配された補助ノズルとがあり、
前記補助ノズルからの湯の吐出およびその停止を切り換え自在な補助ノズル用の開閉バルブをさらに備えている、請求項1ないし6のいずれかに記載の打たせ湯装置。
【請求項8】
浴槽と、この浴槽に接続された浴槽用配管部と、を備えており、
前記浴槽用配管部は、前記ポンプを備え、かつ前記打たせ湯配管部と接続されており、
前記ポンプの駆動により前記浴槽内の湯を前記打たせ湯配管部に送給可能な構成とされている、請求項1ないし7のいずれかに記載の打たせ湯装置。
【請求項9】
浴槽と、この浴槽に接続された浴槽用配管部と、この浴槽用配管部に接続され、かつ湯を吐出落下させるためのノズルを有する打たせ湯配管部と、前記浴槽用配管部に設けられ、かつ前記浴槽内の湯を前記打たせ湯配管部に送給可能なポンプと、を備えている、打たせ湯装置であって、
前記ポンプは、吐出量が可変であり、
前記打たせ湯配管部に設けられ、かつ前記ノズルから湯を断続的に吐出させることが可能に開閉動作が自在な打たせ湯断続用バルブと、前記浴槽から前記浴槽用配管部に流入した湯を加熱するための加熱手段と、前記加熱手段による湯の加熱温度を制御する加熱制御手段と、をさらに備えており、
前記浴槽用配管部は、前記浴槽内と前記加熱手段との間で湯を循環流通させることが可能な往き管と戻り管とを有しているとともに、前記往き管には、前記打たせ湯配管部が方向切換バルブを介して接続されており、
前記加熱手段によって加熱された湯が、前記方向切換バルブの切り換えにより、前記浴槽と前記打たせ湯配管部との一方に選択的に流入可能とされていることを特徴とする、打たせ湯装置。
【請求項10】
浴槽と、この浴槽に接続された浴槽用配管部と、この浴槽用配管部に接続され、かつ湯を吐出落下させるためのノズルを有する打たせ湯配管部と、前記浴槽用配管部に設けられ、かつ前記浴槽内の湯を前記打たせ湯配管部に送給可能なポンプと、を備えている、打たせ湯装置であって、
前記打たせ湯配管部に設けられた吐出量が可変の追加のポンプと、前記打たせ湯配管部に設けられ、かつ前記ノズルから湯を断続的に吐出させることが可能に開閉動作が自在な打たせ湯断続用バルブと、前記浴槽から前記浴槽用配管部に流入した湯を加熱するための加熱手段と、前記加熱手段による湯の加熱温度を制御する加熱制御手段と、をさらに備えており、
前記浴槽用配管部は、前記浴槽内と前記加熱手段との間で湯を循環流通させることが可能な往き管と戻り管とを有しているとともに、前記往き管には、前記打たせ湯配管部が方向切換バルブを介して接続されており、
前記加熱手段によって加熱された湯が、前記方向切換バルブの切り換えにより、前記浴槽と前記打たせ湯配管部との一方に選択的に流入可能とされていることを特徴とする、打たせ湯装置。
【請求項11】
給水管から供給される水を前記加熱手段によって加熱させることにより所望温度の新湯を生成可能な新湯供給配管部を備えており、
この新湯供給配管部において生成された新湯および前記浴槽内の湯の一方を前記打たせ湯配管部に選択的に送り込むことが可能な構成とされている、請求項10に記載の打たせ湯装置。
【請求項12】
前記打たせ湯配管部に送り込まれてくる湯を貯留可能な貯湯部を備えており、
前記追加のポンプは、前記貯湯部内の湯を汲み上げて前記ノズルに向けて送給するように構成されている、請求項11に記載の打たせ湯装置。
【請求項13】
給水管から供給される水を前記加熱手段によって加熱させることにより所望温度の新湯を生成可能な新湯供給配管部と、この新湯供給配管部において生成された新湯を貯留しておくための貯湯部と、前記打たせ湯配管部に追加の方向切換バルブを介して接続され、かつ一端部が前記貯湯部内に配された分岐管と、を備えており、
前記追加の方向切換バルブの切り換えにより、前記貯留部内に貯留された新湯と前記ポンプによって汲み上げられる前記浴槽内の湯との一方が前記追加のポンプに対して選択的に供給可能な構成とされている、請求項10に記載の打たせ湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−51195(P2006−51195A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235264(P2004−235264)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】