説明

把捉物位置認識装置、把捉物位置認識方法、把捉物位置認識プログラム

【課題】把捉対象である記憶媒体の把捉機構に対する相対位置を正確に把握する。
【解決手段】記憶媒体がハンド機構10に対して近づくまたは遠ざかる方向を当該記憶媒体の奥行き方向として、カメラ部20により撮影された画像を解析した結果に基づき記憶媒体の画像内の位置に係る特徴物情報を検出し、記憶媒体の奥行き方向における位置を特徴物情報に1対1対応した奥行き位置情報として導出する演算処理機構30を備えたことを特徴とする把捉物位置認識装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納機構内に格納された把捉対象物の位置検出を行う把捉物位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる複数のセルからなる媒体格納機構を有するライブラリ装置では、運用時にセル内に格納された記憶媒体を、ハンド機構を利用して把捉しセルから取り出し、この記憶媒体に対するデータの読み書き処理を行う。
【0003】
また、データ読み書きの対象となる記憶媒体は、セル内における記憶媒体はハンド機構による把捉可能な位置に格納されている必要がある。
記憶媒体のセル内における格納位置は予め決められた領域内に納まるように各セルは設計されており、記憶媒体が各セル内の決められた領域内に、ハンド機構による把捉用に格納されている場合には、ハンド機構が確実にデータ読み書き対象の記憶媒体を確実に把捉し、セルから取り出すことができ、データの読み書きも迅速に行われる。
【0004】
しかしながら、例えば、地震等の自然災害や、意図しない装置振動や、装置の部品の経年劣化などにより、媒体格納機構に格納された媒体の奥行き方向の位置(格納位置)が、あらかじめ決められた位置に対して奥側または手前側にずれてしまうといったことが生じ得る。
【0005】
具体的には、図5、6に示すように、予め決められた位置に媒体が格納されていない、つまり格納位置が予め定められた位置から、セル内の奥側(図5)又はセル内の手前側(図6)に記憶媒体の位置がずれてしまっている場合が生じた場合、記憶媒体の外面部に設けられた媒体引き抜き用の凹みにハンド機構のアーム部が上手く掛からず、このため、ハンド機構は記憶媒体を掴むことができず、このため、データ読み書きを行うことができないという不都合が起こる。
【0006】
これに対する関連技術としては、各セル内の記憶媒体の格納位置を検出するために、各記憶媒体のセル内における奥行き方向の位置をフォトセンサ等の位置検出手段を利用して検出する手法が考えられる。
【0007】
また、これに対する関連技術として、カメラにより撮影した、決められた位置の撮影対象者の顔情報を記憶し、基準となる顔情報と比較することにより、カメラから撮影対象者までの距離を推察する技術が開示されている(特許文献1、2)。
また、関連技術として、読み取り対象におけるバーコードを読み取ると共に、読み取られた画像に基づき読み取り口から離れた位置にある読み取り対象までの距離を算出する光学的読み取り装置が開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−109114公報
【特許文献2】特開2002−351603公報
【特許文献3】特開平11−120279公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、セルなどの格納手段内における格納対象物の位置確認用の検出センサやカメラなどの装置を追加搭載する必要があり、ライブラリ装置自体の構成が煩雑となり、且つ運用コストが膨大となってしまうといった不都合がある。
【0010】
また、上記特許文献1、2に開示された関連技術の内容では、カメラから撮影対象までの距離を測定することができるが、撮影対象を把捉することを目的とした場合に顔情報を利用する手法を適用することができず、このため、把捉対象のセル内における遠近位置を正確に把握することができないという不都合がある。
さらに、上記特許文献3に開示された関連技術においても、把捉可能に近接した位置にある読み取り対象までの距離を測定することは困難であるという不都合がある。
【0011】
[発明の目的]
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、把捉対象としての記憶媒体とハンド機構との相対位置関係を確実に認識し得る把捉物位置認識装置、格納物位置認識方法、および把捉物位置認識プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る把捉物位置認識装置は、格納部内に格納された記憶媒体を把捉し前記格納部から引き出すハンド部と、前記格納部内における前記記憶媒体の把捉用位置を検出する位置認識部とを備えた把捉物位置認識装置であって、前記ハンド部は前記記憶媒体を撮影するカメラ手段を備え、前記位置認識部は、前記カメラ手段により撮影された画像を解析する画像解析部と、前記カメラ手段により撮影された前記記憶媒体の外側面である正面側が前記ハンド部に対して近づくまたは遠ざかる方向を前記記憶媒体の奥行き方向とした場合に、前記解析結果に基づき前記記憶媒体の外側面に設けられた特徴物の位置およびサイズに係る特徴物情報を検出する特徴物情報検出手段と、前記記憶媒体の前記奥行き方向における位置を示す前記把捉用位置を前記特徴物情報に1対1対応した値として導出する奥行き位置導出手段とを備えたことを特徴としている。
【0013】
また、本発明にかかる把捉物位置認識方法は、格納部内に格納された記憶媒体を把捉するハンド部と、入力された画像に基づき前記記憶媒体のおける特徴物を検知する位置認識部とを備えた把捉物位置認識装置にあって、前記格納部内における前記記憶媒体の把捉用位置を検出する把捉物位置認識方法であって、前記ハンド部が備えたカメラ手段により撮影された画像を解析し、前記記憶媒体の外側面である正面側が前記ハンド部に対して近づくまたは遠ざかる方向を前記記憶媒体の奥行き方向とした場合に、前記解析結果に基づき前記記憶媒体の正面側に予め設けられた特徴物の位置およびサイズに係る特徴物情報を検出し、前記ハンド部に対する前記記憶媒体の前記奥行き方向の位置を示す前記位置情報を前記特徴物情報に1対1対応した値として導出することを特徴としている。
【0014】
又、本発明にかかる把捉物位置認識プログラムは、格納部内に格納された記憶媒体を把捉するハンド部と、入力された画像に基づき前記記憶媒体のおける特徴物を検知する位置認識部とを備えた把捉物位置認識装置にあって、前記格納部内における前記記憶媒体の把捉用位置を検出するための把捉物位置認識プログラムであって、前記ハンド部が備えたカメラ手段により撮影された画像を解析する画像解析機能と、前記記憶媒体の外側面である正面側が前記ハンド部に対して近づくまたは遠ざかる方向を前記記憶媒体の奥行き方向とした場合に、前記解析結果に基づき前記記憶媒体の正面側に予め設けられた特徴物の位置およびサイズに係る特徴物情報を検出する特徴物情報検出機能と、前記ハンド部に対する前記記憶媒体の前記奥行き方向の位置を示す前記把捉位置情報を前記特徴物情報に1対1対応した値として導出する把捉用位置情報導出機能とを、前記位置認識部の備えたコンピュータにより実現することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、前記ハンド部が備えたカメラ手段により前記記憶媒体を撮影し、当該撮影した記憶媒体に設けられた特徴物の画面内におけるサイズ情報に基づきハンド部に対する記憶媒体の奥行き方向の奥行き位置を1対1に導出する構成を備えたことにより、把捉対象としての記憶媒体におけるハンド機構に対する相対位置関係を正確に認識し得る把捉物位置認識装置、把捉物位置認識方法、および把捉物位置認識プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態にかかる把捉物位置認識装置の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に開示した把捉物位置認識装置における把捉対象である記憶媒体の外側面を示す説明図である。
【図3】図1に開示した把捉物位置認識装置におけるカメラ画像における特徴物情報と把捉対象の位置と関係を示す説明図である。
【図4】図1に開示した把捉物位置認識装置における動作処理ステップを示すフローチャートである。
【図5】図1に開示した把捉物位置認識装置における記憶媒体の格納位置が決められた位置からずれている場合の一例を示す説明図である。
【図6】図1に開示した把捉物位置認識装置における記憶媒体の格納位置が決められた位置からずれている場合の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態]
次に、本発明の実施形態について、その基本的構成内容を説明する。
【0018】
本実施形態は、異なるセルから成る媒体格納機構(格納部)に格納された記憶媒体を取り出し、この記憶媒体内の記憶されたデータの読み書きを行うライブラリ装置にあって、記憶媒体を把捉して取り出すハンド機構を含む把捉物位置認識装置100を示す。
【0019】
この把捉物位置認識装置100は、図1に示すように、格納部に格納された記憶媒体を把捉するハンド機構(把捉機構)10と、記憶媒体を把捉するにあたってハンド機構10が記憶媒体に対向する正面側位置に移動設置された場合に、記憶媒体を撮影するカメラ部20と、このカメラ部20の動作およびハンド機構の移動動作を制御する制御部1から成る。
【0020】
また、制御部1は、カメラ部20により撮影された画像データを取得し格納するデータ格納機構40と、格納された画像データにおける特徴物に係る演算処理を行う演算処理機構30を備えた構成を有する。
【0021】
尚、把捉対象である記憶媒体(以下「媒体50」とする)には、カメラ部20により撮影される側の外面(正面外面部)に、バーコードなどの固有マークが付与されており、この固有マーク内に特徴物が含まれるものとする。また、特徴物としては、バーコードのスタートキャラクタおよびストップキャラクタや、媒体50の正面外面部に予め設けられた物理的な突起物などであってもよい。
【0022】
以下、把捉物位置認識装置100の構成について詳説する。
把捉物位置認識装置100におけるインベントリ動作やキャリブレーション動作などの装置初期動作時に、カメラ部20は、図2に示すように、2つの特徴物80が付与された記憶媒体50の正面側を撮影する(特徴物撮影機能)。
ここで、カメラ部20は、カメラ画角110を固定した状態で記憶媒体50を撮影すると共に、撮影されたカメラ画像150を取得するものとする(図3)。
【0023】
演算処理機構30は、撮影されたカメラ画像150の解析を行う(画像解析部)。
ここで、演算処理機構30は、カメラ画像150に基づき記憶媒体50の正面側における上下・左右のエッジ位置を示す正面位置を検出する設定であってもよい(正面位置検出手段)。
これにより、制御部1は、カメラ部20およびハンド機構10を媒体50に対向した正面位置に正確に移動設定することが可能となる。
【0024】
また、演算処理機構30は、カメラ部20により撮影されたカメラ画像150を取得し、このカメラ画像150中における2つの特徴物の位置80(80a、80bとする)を特定する(特徴物位置特定処理)と共に、2つの特徴物の間隔90を算出する画像認識処理を行う。また、演算処理機構30は、算出した2つの特徴物の間隔90の値(β)をデータ格納機構40に保存する。
【0025】
ここで、演算処理機構30は、2つの特徴物70として、例えば、バーコードのスタートキャラクタ、ストップキャラクタの位置や、記憶媒体50外面部の決められた位置に設けられた、周囲と異なる色の特徴物の位置を利用するものとする(図2)。
【0026】
また、演算処理機構30は、特徴物70として記憶媒体50の外側面にマーク等が印字されている場合には、カメラ画像150に基づき、このマークにおける異なるエッジを検出し、このエッジ間の距離を特徴物のサイズとして利用する設定であってもよい。また、記憶媒体50の外側正面側における特徴物として予め設定された異なる複数のマークを備えている場合、演算処理機構30は、カメラ画像150に含まれるこれらのマークを検出し、マーク間の距離を特徴物のサイズとして検出し利用する設定であってもよい。
【0027】
上記特徴物位置特定処理では、演算処理機構30は、一般に、バーコード認識などで用いられる、画像中における特徴物の座標位置を特定する手法を用いる設定であってもよい。
【0028】
また、演算処理機構30は、算出されたカメラ画像150内の間隔90の距離βに基づき、記憶媒体50の奥方向(図3:一点破線矢印)の位置を特定する。
ここで、演算処理機構30は、具体的には、データ格納機構40に予め保存された間隔αとカメラ画像150に基づき算出した間隔β(具体的には、β’、β”)とを比較することにより、記憶媒体50の格納部内における奥行き方向の位置を1対1に決定するものとする。
【0029】
ここで、媒体50の予め設定された奥方向の基準位置である、決められた位置120よりもカメラ部20寄り(カメラ部20に対して決められた位置120より手前側)の位置を手前方向の位置130、カメラ部20に対して決められた位置120より奥方向寄りの位置(遠い側)を奥方向の位置140とする(図3)。
【0030】
演算処理機構30は、間隔90の値が基準位置(決められた位置)120に対応する値αよりも大きい値β’である場合に、演算処理機構30は、媒体50の奥方向の位置は基準位置120よりも手前側の位置(手前方向の位置)130の対応する位置を、奥行き方向の位置として決定する。
【0031】
また、演算処理機構30は、間隔90の値が基準位置(決められた位置)120に対応する値αよりも小さいβ’である場合には、媒体50の奥方向の位置は基準位置120よりも奥側の位置(奥方向の位置)140の対応する位置を、奥行き方向の位置として決定する。
【0032】
尚、演算処理機構30には、媒体50の奥行き方向の想定される位置を示す情報と、2つの特徴物の間隔βとの対応を示す(相関関係を表す)テーブル情報が予め記憶されているものとする。
【0033】
また、把捉物位置認識装置100は、媒体50が異なる媒体格納部に移動格納された場合や、ライブラリ装置に格納された他の記憶媒体を把捉する場合でも、媒体の奥方向の物理位置に対応した補正基準値(補正値)α’を計算し、このα’に基づいて、上述と同様に媒体の奥方向の位置を推察するものとする。
【0034】
以上のように、本実施形態である把捉物位置認識装置100は、ライブラリ装置の媒体格納部に格納された各記憶媒体について、ハンド機構10に設けられたカメラ部20から撮影した二次元画像からその奥方向の格納位置を導出することができる。
このため、例えば、媒体引き抜き用の凹みに対してハンド機構の把捉用アームを確実に挿入することが可能となるため、ライブラリ装置は、所望の記憶媒体を確実に補足することが可能となる。
【0035】
[実施形態の動作説明]
次に、上記実施形態の動作について、その概略を説明する。
まず、ハンド部に備えられたカメラ手段により、ライブラリ装置の格納機構内に格納された記憶媒体を撮影する。
ここで、演算処理機構(位置認識部)30が、撮影された画像を解析し(画像解析工程)、記憶媒体がハンド機構10に対して近づくまたは遠ざかる方向を当該記憶媒体の奥行き方向とした場合に、解析結果に基づき記憶媒体50の特徴物の画像内位置に係る情報としての特徴物情報を検出し(特徴物情報検出工程)、ハンド機構10に対する記憶媒体の奥行き方向における位置である奥行き方向位置を特徴物情報に1対1対応した奥行き位置情報として導出する(把捉用位置導出工程)。
【0036】
ここで、上記画像解析工程、特徴物情報検出工程、および奥行き位置情報導出工程については、その実行内容をプログラム化し、コンピュータに実行させるように構成してもよい。
また、本プログラムは、非一時的な記憶媒体、例えば、DVD、CD、フラッシュメモリなどに記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
【0037】
次に、本実施形態である把捉物位置認識装置100を含むライブラリ装置の動作について、図4のフローチャートに基づき詳説する。
【0038】
まず、ライブラリ装置カメラ部20を備えたハンド機構10を媒体格納部における媒体50の把捉用に移動する初期動作が行われる(ライブラリ装置初期動作)。
ここで、ハンド機構10は、カメラ部20のレンズが媒体50の2つの特徴物70が設けられた外側面(正面外面部)を対向する位置(つまり媒体50の正面外面部が撮影可能な位置)に設定されるものとする。
【0039】
このとき、カメラ部20がカメラ画角110内に収まっている2つの特徴物70を含む媒体50外側面を、図3に示すように、フォーカスを固定した状態で撮影する。
【0040】
次いで、演算処理機構30が、カメラ部20により撮影された画像であるカメラ画像150を取得し解析する。
ここで、演算処理機構30はカメラ画像150内における、バーコード60のスタートキャラクタおよびストップキャラクタ(2つの特徴物70に対応)の位置座標を特定すると共に、このスタートキャラクタおよびストップキャラクタの位置座標(2つの特徴物の位置80に対応)の距離である距離値β(間隔90)を算出する(ステップS101)。
【0041】
ここで、演算処理機構30は、制御部1に設けられたCPUを含み構成され、予め設定された画像認識ソフトウェアに基づく処理を行うことにより、バーコード60のスタートキャラクタおよびストップキャラクタの位置座標を特定する処理、および距離値β(間隔90に対応)を算出する処理などを実行するものとする。
【0042】
次いで、演算処理機構30は、把捉対象である媒体50に対応した、予め設定された固有マークの基準距離値(以下「基準距離値」という)αをデータ格納機構40から取得する(ステップS102)。
【0043】
ここで、演算処理機構30は、媒体50が予め格納された媒体格納部から異なる媒体格納部へと移動格納された場合や、ハンド機構10がライブラリ装置に格納された他の記憶媒体を把捉する場合には、対象媒体の奥方向の物理位置に対応した補正基準値である補正値α’を基準距離値αに基づき計算するものとする(補正基準距離値計算機能)。
【0044】
演算処理機構30は、カメラ画像150に基づき算出した距離値βと取得した基準距離値α(またはα’)とを比較する(ステップS103)。
【0045】
ここで、ライブラリ装置における通常の初期化動作が行われた場合には、距離値βと基準距離値α(α’)は等しい値となり(α(α’)=β)、このとき演算処理機構30は、格納部における媒体50の奥行き方向の位置は、予め設定された決められた位置120にあると判定する(ステップS108)。
【0046】
これにより、カメラ部20と媒体50との相対的な位置関係は、予め設定された位置関係にあると判定され、この状態でハンド機構10が媒体50を把捉する動作を行った場合には、ハンド機構10のアーム部は媒体50における媒体引き抜き用の凹み(図5)に確実に挿入されるので、ハンド部10は媒体50を確実に把捉することができる。
【0047】
ここで、カメラ部20と媒体50との相対的な位置関係が予め設定された通常の初期化動作時とは異なる場合、つまり、算出された間隔90の距離値βが間隔90の値(基準距離値)αに比べて、大きくなる(β’)、または小さくなる(β”)について説明する。
【0048】
すなわち、媒体50の位置が媒体格納部内におけるカメラ部20に近い、手前側の位置(例えば、手前方向の位置130)にある場合、図3に示すように、カメラ画像150における2つの特徴物の間隔100の距離値β’は、基準距離値αより大きくなる。
また、媒体50の位置が媒体格納部内におけるカメラ部20から遠い側の位置(例えば、奥方向の位置140)にある場合には、図3に示すように、2つの特徴物の間隔100の値β”は基準距離値αより小さくなる。
【0049】
このため、距離値βが基準距離値α(α’)より大きい場合(α(α’)<β)、演算処理機構30は、媒体50は決められた位置120より手前方向の位置130にある、つまり、決められた位置120よりカメラ部20に近い位置にあると判定する(ステップS104)。
【0050】
次いで、演算処理機構30は、手前方向の位置130における媒体50の奥行き方向の位置を間隔β’に1対1対応した奥行き方向位置を決定する。
ここで、この奥行き方向位置は、媒体50が決められた位置を基準としてどのくらいカメラ部20側に近づいた位置にあるかを示すものとする。
【0051】
ここで、演算処理機構30は、上記決定した媒体50の奥行き方向位置をライブラリ装置に対して通知し(フィードバック)、ライブラリ装置の制御部1は、通知された奥行き方向位置(媒体を掴む位置)に基づき、ハンド機構10の媒体50に対する位置を手前方向側に移動させる制御を行うと共に、媒体50を把捉する(ステップS105)。
【0052】
一方、距離値βが基準距離値α(α’)より小さい場合(α(α’)>β)、演算処理機構30は、媒体50は決められた位置120より奥方向(奥側)の位置130にある、つまり、カメラ部20に対して決められた位置120より遠い側の位置にあると判定する(ステップS106)。
【0053】
次いで、演算処理機構30は、手前方向の位置130における媒体50の奥行き方向の位置を間隔β”に1対1対応した奥行き方向位置を決定する。
ここで、この奥行き方向位置は、媒体50が決められた位置を基準としてどのくらいカメラ部20から遠ざかった位置にあるかを示す。
【0054】
ここで、演算処理機構30は、上記決定した媒体50の奥行き方向位置をライブラリ装置に対して通知し(フィードバック)、ライブラリ装置の制御部1は、通知された奥行き方向位置(媒体を掴む位置)に基づき、ハンド機構10の媒体50に対する位置を手前方向側に移動させる制御を行うと共に、媒体50を把捉する(ステップS107)。
【0055】
以上のように、本実施形態では、セル(媒体格納部)内に記憶媒体が充填されたライブラリ装置における運用時に、把捉対象である記憶媒体のセル内における奥行き方向の位置を確実に把握することができる。
このため、このライブラリ装置では、データ読み書き用の記憶媒体をセルから取り出す場合に、対象の記憶媒体を確実に把捉することが可能となる。
【0056】
また、地震等の自然災害や、ライブラリ装置の初期動作時における意図しない装置振動や、装置の部品の経年劣化などにより、記憶媒体のセル内における位置が変異してしまった場合(すなわち、記憶媒体の奥行き方向の位置がセル内の予め決められた位置にない場合)でも、記憶媒体の奥行き方向の位置を確実に把握し、これをハンド機構の移動位置としてフィードバックすることにより、記憶媒体を確実に把捉することが可能となる。
【0057】
上述の実施形態については、その新規な技術的内容の要点をまとめると、以下のようになる。
尚、上記実施形態の一部または全部は、新規な技術として以下のようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0058】
(付記1)
格納部内に格納された記憶媒体を把捉し前記格納部から引き出すハンド部と、前記格納部内における前記記憶媒体の把捉用位置を検出する位置認識部とを備えた把捉物位置認識装置であって、
前記ハンド部は前記記憶媒体を撮影するカメラ手段を備え、
前記位置認識部は、
前記カメラ手段により撮影された画像を解析する画像解析部と、
前記カメラ手段により撮影された前記記憶媒体の外側面である正面側が前記ハンド部に対して近づくまたは遠ざかる方向を前記記憶媒体の奥行き方向とした場合に、
前記解析結果に基づき前記記憶媒体の外側面に設けられた特徴物の位置およびサイズに係る特徴物情報を検出する特徴物情報検出手段と、
前記記憶媒体の前記奥行き方向における位置を示す前記把捉用位置を前記特徴物情報に1対1対応した値として導出する奥行き位置導出手段とを備えたことを特徴とする把捉物位置認識装置。
【0059】
(付記2)
付記1に記載の把捉物位置認識装置において、
前記位置認識部は、前記画像に基づき前記記憶媒体正面側における上下・左右のエッジ位置を示す正面位置として検出する正面位置検出手段を備えたことを特徴とする把捉物位置認識装置。
【0060】
(付記3)
付記1に記載の把捉物位置認識装置において、
前記記憶媒体は、前記特徴物として外側正面側にマークを備えると共に、前記特徴物情報検出手段は、前記画像に基づき前記マークにおけるエッジを検出し当該エッジ間の距離を前記特徴物のサイズとして検出するエッジ間距離検出機能を備えたことを特徴とする把捉物位置認識装置。
【0061】
(付記4)
付記1に記載の把捉物位置認識装置において、
前記記憶媒体は、前記特徴物として外側正面側に異なる複数のマークを備えると共に、前記特徴物情報検出手段は、前記画像に基づき前記異なるマーク間の距離を前記特徴物のサイズとして検出するマーク間距離検出機能を備えたことを特徴とする把捉物位置認識装置。
【0062】
(付記5)
格納部内に格納された記憶媒体を把捉するハンド部と、入力された画像に基づき前記記憶媒体のおける特徴物を検知する位置認識部とを備えた把捉物位置認識装置にあって、
前記格納部内における前記記憶媒体の把捉用位置を検出する把捉物位置認識方法であって、
前記ハンド部が備えたカメラ手段により撮影された画像を解析し、前記記憶媒体の外側面である正面側が前記ハンド部に対して近づくまたは遠ざかる方向を前記記憶媒体の奥行き方向とした場合に、前記解析結果に基づき前記記憶媒体の正面側に予め設けられた特徴物の位置およびサイズに係る特徴物情報を検出し、前記ハンド部に対する前記記憶媒体の前記奥行き方向の位置を示す前記位置情報を前記特徴物情報に1対1対応した値として導出することを特徴とした把捉物位置認識方法。
【0063】
(付記6)
格納部内に格納された記憶媒体を把捉するハンド部と、入力された画像に基づき前記記憶媒体のおける特徴物を検知する位置認識部とを備えた把捉物位置認識装置にあって、
前記格納部内における前記記憶媒体の把捉用位置を検出するための把捉物位置認識プログラムであって、
前記ハンド部が備えたカメラ手段により撮影された画像を解析する画像解析機能と、前記記憶媒体の外側面である正面側が前記ハンド部に対して近づくまたは遠ざかる方向を前記記憶媒体の奥行き方向とした場合に、前記解析結果に基づき前記記憶媒体の正面側に予め設けられた特徴物の位置およびサイズに係る特徴物情報を検出する特徴物情報検出機能と、前記ハンド部に対する前記記憶媒体の前記奥行き方向の位置を示す前記把捉位置情報を前記特徴物情報に1対1対応した値として導出する把捉用位置情報導出機能とを、前記位置認識部の備えたコンピュータにより実現することを特徴とした把捉物位置認識プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、異なる複数の格納用セルに格納された記憶媒体を取り出し、この記憶媒体に対するデータ読み書きを行うライブラリ装置に対して有効に適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
10 ハンド機構
20 カメラ部
30 演算処理機構
40 データ格納機構
50 記憶媒体
60 バーコード
80a、80b 特徴物(固有マーク)
100 認識装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納部内に格納された記憶媒体を把捉し前記格納部から引き出すハンド部と、前記格納部内における前記記憶媒体の把捉用位置を検出する位置認識部とを備えた把捉物位置認識装置であって、
前記ハンド部は前記記憶媒体を撮影するカメラ手段を備え、
前記位置認識部は、
前記カメラ手段により撮影された画像を解析する画像解析部と、
前記カメラ手段により撮影された前記記憶媒体の外側面である正面側が前記ハンド部に対して近づくまたは遠ざかる方向を前記記憶媒体の奥行き方向とした場合に、
前記解析結果に基づき前記記憶媒体の外側面に設けられた特徴物の位置およびサイズに係る特徴物情報を検出する特徴物情報検出手段と、
前記記憶媒体の前記奥行き方向における位置を示す前記把捉用位置を前記特徴物情報に1対1対応した値として導出する奥行き位置導出手段とを備えたことを特徴とする把捉物位置認識装置。
【請求項2】
請求項1に記載の把捉物位置認識装置において、
前記位置認識部は、前記画像に基づき前記記憶媒体正面側における上下・左右のエッジ位置を示す正面位置として検出する正面位置検出手段を備えたことを特徴とする把捉物位置認識装置。
【請求項3】
請求項1に記載の把捉物位置認識装置において、
前記記憶媒体は、前記特徴物として外側正面側にマークを備えると共に、前記特徴物情報検出手段は、前記画像に基づき前記マークにおけるエッジを検出し当該エッジ間の距離を前記特徴物のサイズとして検出するエッジ間距離検出機能を備えたことを特徴とする把捉物位置認識装置。
【請求項4】
請求項1に記載の把捉物位置認識装置において、
前記記憶媒体は、前記特徴物として外側正面側に異なる複数のマークを備えると共に、前記特徴物情報検出手段は、前記画像に基づき前記異なるマーク間の距離を前記特徴物のサイズとして検出するマーク間距離検出機能を備えたことを特徴とする把捉物位置認識装置。
【請求項5】
格納部内に格納された記憶媒体を把捉するハンド部と、入力された画像に基づき前記記憶媒体のおける特徴物を検知する位置認識部とを備えた把捉物位置認識装置にあって、
前記格納部内における前記記憶媒体の把捉用位置を検出する把捉物位置認識方法であって、
前記ハンド部が備えたカメラ手段により撮影された画像を解析し、前記記憶媒体の外側面である正面側が前記ハンド部に対して近づくまたは遠ざかる方向を前記記憶媒体の奥行き方向とした場合に、前記解析結果に基づき前記記憶媒体の正面側に予め設けられた特徴物の位置およびサイズに係る特徴物情報を検出し、前記ハンド部に対する前記記憶媒体の前記奥行き方向の位置を示す前記位置情報を前記特徴物情報に1対1対応した値として導出することを特徴とした把捉物位置認識方法。
【請求項6】
格納部内に格納された記憶媒体を把捉するハンド部と、入力された画像に基づき前記記憶媒体のおける特徴物を検知する位置認識部とを備えた把捉物位置認識装置にあって、
前記格納部内における前記記憶媒体の把捉用位置を検出するための把捉物位置認識プログラムであって、
前記ハンド部が備えたカメラ手段により撮影された画像を解析する画像解析機能と、前記記憶媒体の外側面である正面側が前記ハンド部に対して近づくまたは遠ざかる方向を前記記憶媒体の奥行き方向とした場合に、前記解析結果に基づき前記記憶媒体の正面側に予め設けられた特徴物の位置およびサイズに係る特徴物情報を検出する特徴物情報検出機能と、前記ハンド部に対する前記記憶媒体の前記奥行き方向の位置を示す前記把捉位置情報を前記特徴物情報に1対1対応した値として導出する把捉用位置情報導出機能とを、前記位置認識部の備えたコンピュータにより実現することを特徴とした把捉物位置認識プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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