説明

投入光学系

【課題】優れた桔像性能を有する被検レンズ用チャート投入光学系を提供する。
【解決手段】入射瞳が前方に大きく飛び出して全体として正の焦点距離を有する光学系において、その主要部にはいわゆるダブル・ガウス型の構造を持ち、そのダブル・ガウスの中間空間に、接合レンズまたは接合相当の分離レンズを配した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は投入光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
本件は被検レンズに対向させて該被検レンズの光学結像性能を検査するために解像力チャート等を投入する投入光学系に関する。
【0003】
一般的にはこのような目的を有する光学系としては、良く知られたコリメーターレンズがあるが従来既存のコリメーターレンズはその画角も狭く光軸中心の結像性能を活用して例えばフランジバック等の測定に用いられるものが主体であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明にて提供する被検レンズ用チャート投入光学系は、その画角2θが70度にも達し、しかも、被検レンズと投入光学系との間の距離が100mmにも達するものであって、しかも、その光学性能が格段に優れた特徴を有するものである。その優れた結像性能とは、被検レンズの焦点距離と本案投入光学系の焦点距離の比率にも依存するが、仮にそれを1/30と仮定しても、被検レンズ結像面上で優に600本/mmを上回る結像性能を提供可能な光学系である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、入射瞳が前方に大きく飛び出して全体として正の焦点距離を有する光学系において、その主要部にはいわゆるダブル・ガウス型の構造を持ち、そのダブル・ガウスの中間空間に、接合レンズまたは接合相当の分離レンズを配したことを特徴とする結像レンズにある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、優れた結像性能を有する被検レンズ用チャート投入光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る第1の実施形態を示し、(a)は断面図及び光路図であり、(b)はレンズデータを示す図表であり、(c)は各種諸元、焦点距離及び焦点距離比を示す図表である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態における結像性能を示し、(a)は横軸が空間周波数のMTF、(b)は像面湾曲、(c)は歪曲収差、(d)はコマ収差をそれぞれ示すグラフである。
【図3】本発明に係る第2の実施形態を示し、(a)は断面図及び光路図であり、(b)はレンズデータを示す図表であり、(c)は各種諸元、焦点距離及び焦点距離比を示す図表である。
【図4】本発明に係る第3の実施形態を示し、(a)は断面図及び光路図であり、(b)はレンズデータを示す図表であり、(c)は各種諸元、焦点距離及び焦点距離比を示す図表である。
【図5】本発明に係る第4の実施形態を示し、(a)は断面図及び光路図であり、(b)はレンズデータを示す図表であり、(c)は各種諸元、焦点距離及び焦点距離比を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本件光学系は以上の如き使用目的に供されるが、これを光学設計の観点から眺めると逆転して考えて、「入射瞳が前方に大きく飛び出した結像レンズ」と理解するのが妥当である。即ち、個々の被検レンズはその個別の属性を捨象して単純な開口として扱い、本件投入光学系を画角2θの無限光束を入射する結像レンズと捉えれば、入射瞳が前方に大きく飛び出した結像レンズと見なすことが出来る。以下においては、この観点に従って説明する。
【0009】
図1に本発明の第1の実施形態を示す。(特に指定のない長さの単位はmmである。)
図1はレンズ断面に描かれた光路図、レンズ・データ及び各種諸元を含む。光路図の左端は不図示の被検レンズの開口を意味し、また、右端は解像力チャート設置位置を意味する。
【0010】
本発明の特徴とするレンズ構成は、いわゆるダブル・ガウス型の構造を有しながら、その前後の凹レンズ面に囲まれた中央空間に接合レンズまたは相当レンズを配置したことを特徴とする。このようなレンズ構成を採ることによって、入射瞳が前方に100mm離れても、またその画角2θが70度に達しても、良好な収差性能を実現することが出来る。
【0011】
図1において、第1のレンズG1は、図示しない被検レンズ側に配置され、前群を構成する。第2のレンズG2と第3のレンズG3とは、前側ガウス群を構成する。第6のレンズG6は、解像力チャート配置位置RS側にあって、後側ガウス群を構成する。第4のレンズG4と第5のレンズG5は、前側ガウス群と後側ガウス群との中間に配置され、中間群を構成する。
【0012】
図2には本発明の第1の実施形態の結像性能を示す。その内訳は、横軸が空間周波数のMTF、像面湾曲と歪曲収差、及びコマ収差である。これらは以下の実施形態の代表として示す。
【0013】
引き続いて、図3、図4及び図5に本発明の第2、第3及び第4の実施形態を示す。第2、第3の実施形形態は、第1の実施形態と同じレンズ構成を有する。第4の実施形態においては、第1のレンズG1と第2のレンズG2により前群が構成され、第3のレンズG3と第のレンズG4により前側ガウス群が構成され、第5のレンズG5と第6のレンズG5により中間群が構成され、第7のレンズG7により後側ガウス群が構成されている。
これらの実施形態を通して本発明の望ましいレンズ構成は下記の如くである。
即ち、
0.7 <f1/f< 1.3
-2 <f2/f< -20
2 <f3/f< ∞ 及び -50 <f3/f< ∞
-0.8 <f4/f< -1.5
但し、
f 全系の焦点距離(第3の実施形態においては77.942mm、その他は147mm)
f1 前群の焦点距離(第4の実施形態においてはG1及びG2合成、その他はG1の焦点距離)
f2 前側ガウス群の焦点距離(第4の実施形態はG3及びG4合成、その他はG2及びG3合成)
f3 中間群の焦点距離(第4の実施形態はG5及びG6合成、その他はG4及びG5合成)
f4 後側ガウス群の焦点距離(第4の実施形態はG7、その他はG6の焦点距離)
【0014】
全系の焦点距離f は、所与の画角2θと要求される入射瞳までの距離(即ち、別言すれば被検レンズまでの距離)によって決定される。この理由を端的に示せば、短い焦点距離のレンズにおいて、光軸から遠く離れた縁周部を通過する光束の収差を補正することは至って困難だからである。
上記の各条件式は、構成する各レンズ群の最適なパワー配分を示すものであって、像面湾曲や歪曲収差、更には倍率の色収差の補正を可能ならしめるものである。
【0015】
本発明において、「入射瞳が前方に大きく飛び出した」とは、入射瞳までの距離をEnt.P と略記し、全系の焦点距離をfとすれば、その比率が概ね、Ent.P/f >0.5 を意味する。
因みに各実施形態におけるこの比率の値は、0.544 0.680 0.513 及び 0.544である。
【0016】
なお、第4の実施形態の収差補正波長範囲はg線436nmからr線707nm、その他の実施形態においてはF線486nmからC線656nmである。また、本来は接合レンズであるべき箇所の分離構造は、チャート照明光源の照射熱による接着材の剥離を防止するためである。
更に、本実施形態においては、後側ガウスのレンズ外径が巨大になる事を防ぐために全て単凹レンズ形状にしたが、本来形状の接合レンズでも構成可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0017】
G1・・・第1のレンズ
G2・・・第2のレンズ
G3・・・第3のレンズ
G4・・・第4のレンズ
G5・・・第5のレンズ
G6・・・第6のレンズ
G7・・・第7のレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射瞳が前方に大きく飛び出して全体として正の焦点距離を有する光学系において、その主要部にはいわゆるダブル・ガウス型の構造を持ち、そのダブル・ガウスの中間空間に、接合レンズまたは接合相当の分離レンズを配したことを特徴とする結像レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−37202(P2013−37202A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173522(P2011−173522)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(594092278)パール光学工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】