説明

投写型映像表示装置

【課題】パルス変調方式により光源を駆動する場合に発生しやすい画像劣化を抑えることができる投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】プロジェクタは、3つの光源201R、201G、201Bと、これら光源201R、201G、201Bからの光を変調するDMD40と、DMD40へ光を導く導光光学系30と、DMD40により変調された光を拡大投写する投写光学ユニット50と、各光源201R、201G、201Bをパルス幅変調方式により駆動するLED駆動回路70と、DMD40を駆動するDMD駆動回路603と、DMD駆動回路603により生成された駆動信号をDMD40へ出力する出力端子部604とを備える。ここで、出力端子部604は、本体キャビネット10内の第1領域に配置されるとともに、LED駆動回路70は第1領域の対角方向に配される第2領域に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調素子により変調した光を拡大投写する投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源からの光を光変調素子により変調し、これにより生成した光(以下、「映像光」という)を被投写面に投写する投写型映像表示装置(以下、「プロジェクタ」という)が知られている。
【0003】
この種のプロジェクタにおいて、光変調素子には、たとえばDMD(DigitalMicro-mirror Device)が用いられ得る。DMDは、多数のマイクロミラーが平面上に配列された構成を有している。これらマイクロミラーが、映像信号に応じてオン・オフ駆動され、マイクロミラーの傾斜角度が切り替えられることにより、光源からの光が変調される。また、光源には、たとえば、LED光源が用いられ得る(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
かかるプロジェクタでは、画像の高輝度化を図るために、高出力のLED光源を用いることが考えられる。この場合、消費電力を抑えて効率よく高輝度化を図るために、パルス変調方式の駆動回路を用いてLED光源を駆動することが望ましい。パルス変調方式には、たとえば、パルス幅変調方式(PWM:Pulse Width Modulation)やパルス振幅波形変調方式(PAM:Pulse Amplitude Modulation)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−36823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高出力のLED光源をパルス変調方式(PWM、PAM)により駆動する場合には、比較的高い電流値による変調が行われる。このため、LED光源の駆動回路(特に、ケーブルとの接続部)や、駆動回路とLED光源を結ぶケーブルにおいて電磁場によるノイズ(以下、「EMIノイズ」という)が発生しやすい。
【0007】
光変調素子には、対応する駆動回路からマイクロミラーの駆動信号、即ち、マイクロミラーを高速にオン・オフする信号が出力される。発生したEMIノイズが光変調素子への駆動信号に重畳されると、マイクロミラーが適正に駆動されず、この結果、投写される画像の階調に狂いが生じ、画質が劣化する惧れがある。
【0008】
本発明は、このような課題を解消するためになされたものであり、特に大電流にてパルス変調方式により光源を駆動する場合に発生しやすい画像劣化を抑えることができる投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の投写型映像表示装置は、光源と、前記光源からの光を変調する光変調素子と、前記光源からの光を前記光変調素子へ導く導光光学部と、前記光変調素子により変調された光を拡大投写するための投写光学部と、前記光源をパルス変調方式により駆動するための光源駆動部と、前記光変調素子を駆動するための変調素子駆動部と、前記変調素子駆動部により生成された駆動信号を前記光変調素子へ出力するための出力部とを備える。前記出力部は、本体キャビネット内の第1領域に配置されるとともに、前記光源駆動部は前記
第1領域の対角方向に配される第2領域に配置される。
【0010】
本発明の投写型映像表示装置によれば、光変調素子へ駆動信号を出力するための出力部を、光源駆動部から極力離して配置することができるので、光源駆動部で発生したEMIノイズが、光変調素子へ出力される駆動信号に重畳されるのを抑制することができる。
【0011】
本発明の投写型映像表示装置は、前記光源を複数備えるような構成とされ得る。この場合、前記複数の光源のうち、駆動電流が最も大きな光源が、前記光源駆動部の最も近くに配置され得る。
【0012】
たとえば、前記複数の光源が、赤色波長帯の光を出射する赤色光源と、緑色波長帯の光を出射する緑色光源と、青色波長帯の光を出射する青色光源とを含む場合には、前記複数の光源のうち、赤色光源が前記光源駆動部の最も近くに配置され得る。
【0013】
光源駆動部と光源とを繋ぐケーブルから発生するEMIノイズは、ケーブルに流れる駆動電流が大きいほど大きくなる。たとえば、赤色光源、緑色光源および青色光源が設けられている場合、これら光源の中で、導光光学部での損出が大きく、発光効率も低い赤色光源への駆動電流が最も大きくなる。このため、赤色光源へのケーブから発生するEMIノイズが最も大きくなる。
【0014】
上記構成によれば、最も大きな駆動電流を必要とする光源が光源駆動部の最も近くに配置されている。これにより、最も大きな駆動電流が流れるケーブルの長さを短くできるので、そのケーブルから発生するEMIノイズを低減することができる。よって、全体として、ケーブルから発生するEMIノイズを低減することができる。
【0015】
本発明の投写型映像表示装置において、前記出力部と前記光源駆動部との間には、電磁波を遮蔽するための遮蔽部が設けられ得る。
【0016】
このような構成とすれば、光源駆動部から出力部へ向かうEMIノイズが遮蔽されるので、光変調素子駆動部への駆動信号にEMIノイズが重畳されるのを一層抑制することができる。
【0017】
本発明の投写型表示装置において、前記投写光学部は、レンズユニットと、前記レンズユニットの出射面側に設けられた曲面ミラーとを備えるような構成とされ得る。この場合、前記光源駆動部は、前記曲面ミラーの側方に配置され得る。
【0018】
このような構成とすれば、レンズユニットと曲面ミラーの並び方向に投写光学部が長くなるため、曲面ミラーの側方にスペースが生じやすい。また、光変調素子は、レンズユニットの入射面側、即ち曲面ミラーと反対側に配置され、通常、その近くに出力部が配置されることとなる。よって、曲面ミラーの側方に生じるスペースを用いて光源駆動部を配置することにより、光源駆動部を、出力部と対角となるように円滑に配置することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のとおり本発明によれば、特にパルス変調方式により光源を駆動する場合に発生しやすい画像劣化を抑制した投写型映像表示装置を提供することができる。
【0020】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係るプロジェクタの外観構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るプロジェクタの内部構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るプロジェクタの内部構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係るプロジェクタの構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係る赤色光源、緑色光源および青色光源の発光特性を示す図である。
【図6】変更例1に係るプロジェクタの構成を示す図である。
【図7】変更例2に係る光源装置および導光光学系の構成について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態に係るプロジェクタ1の外観構成を示す図である。本実施の形態では、便宜上、プロジェクタ1から見てスクリーンのある方向を前、スクリーンと反対方向を後ろ、スクリーン側からプロジェクタ1を見て右方向を右、スクリーン側からプロジェクタ1を見て左方向を左、前後左右方向に垂直な方向であってプロジェクタ1からスクリーン側に向かう方向を上、その反対方向を下と定義する。
【0024】
本実施の形態に係るプロジェクタは、いわゆる短焦点投写型のプロジェクタ1である。プロジェクタ1は、略方形状の本体キャビネット10を備える。本体キャビネット10の上面には、後方に向けて下る第1傾斜面101と、この第1傾斜面101に続いて後方に向けて上る第2傾斜面102が形成される。第2傾斜面102は上斜め前方を向いており、この第2傾斜面102に投写口103が形成される。投写口103から上斜め前方へ出射された映像光が、プロジェクタの前方に配されたスクリーンに拡大投写される。
【0025】
図2および図3は、本実施の形態に係るプロジェクタの内部構成を示す図である。図2は、プロジェクタの斜視図であり、図3は、プロジェクタの平面図である。なお、図2および図3では、便宜上、本体キャビネット10を一点鎖線にて表わす。
【0026】
図3に示すように、上方から見て、キャビネット10内は、2つの二点鎖線L1、L2によって4つの領域に区画され得る。以下、仮に、右前に形成される領域を第1領域、第1領域から対角の位置にある領域を第2領域、左前に形成される領域を第3領域、第3領域から対角の位置にある領域を第4領域と定義する。
【0027】
図2および図3を参照して、本体キャビネット10の内部には、光源装置20と、導光光学系30と、DMD40と、投写光学ユニット50と、制御回路60と、LED駆動回路70とが配置される。
【0028】
光源装置20は、3つの光源ユニット20R、20G、20Bを有する。赤色光源ユニット20Rは、赤色波長帯の光(以下「R光」という)を出射する赤色光源201Rと、赤色光源201Rで発生した熱を放出するためのヒートシンク202Rとにより構成される。緑色光源ユニット20Gは、緑色波長帯の光(以下「G光」という)を出射する緑色光源201Gと、緑色光源201Gで発生した熱を放出するためのヒートシンク202Gとにより構成される。青色光源ユニット20Bは、青色波長帯の光(以下「B光」という)を出射する青色光源201Bと、青色光源201Bで発生した熱を放出するためのヒートシンク202Bとにより構成される。
【0029】
各光源201R、201G、201Bは、高出力タイプのLED光源であり、基板上に配されたLED(赤色LED、緑色LED、青色LED)によって構成される。赤色LEDは、たとえば、AlGaInP(アルミニウムインジウムガリウム)から構成され、緑色LEDおよび青色LEDは、たとえば、GaN(窒化ガイウム)から構成される。
【0030】
導光光学系30は、各光源201R、201G、201Bに対応して設けられた第1レンズ301R、301G、301Bおよび第2レンズ302R、302G、302Bと、ダイクロイックプリズム303と、中空のロッドインテグレータ(以下、中空ロッドと略す。)304と、2つのミラー305、307と、2つのリレーレンズ306、308とにより構成される。
【0031】
各光源201R、201G、201Bからそれぞれ出射されたR光、G光およびB光は、第1レンズ301R、301G、301Bおよび第2レンズ302R、302G、302Bによって平行光化され、ダイクロイックプリズム304によって光路が合成される。
【0032】
ダイクロイックプリズム304から出射された光(R光、B光、G光)は、中空ロッド304に入射する。中空ロッド304は、内部が中空であり、内側面がミラー面となっている。中空ロッド304は、入射端面側から出射端面側に向かって断面積が大きくなるテーパ形状を有する。中空ロッド304において、光は、ミラー面によって反射が繰り返され、出射端面における照度分布が均一化される。
【0033】
なお、中空ロッド304を用いることによって、中実のロッドインテグレータよりも屈折率が小さい(空気の屈折率<ガラスの屈折率)ので、ロッド長を短くすることが可能になる。
【0034】
中空ロッド304から出射された光は、ミラー305、307による反射とリレーレンズ306、308によるレンズ作用によってDMD40に照射される。
【0035】
DMD40は、マトリクス状に配された複数のマイクロミラーを備える。1つのマイクロミラーは、1つの画素を構成する。マイクロミラーは、入射するR光、G光およびB光に対応するDMD駆動信号に基づいて、高速でオン・オフ駆動される。
【0036】
マイクロミラーの傾斜角度が切り替えられることによって、各光源201R、201G、201Bからの光(R光、G光およびB光)が変調される。具体的には、ある画素のマイクロミラーがオフ状態の場合には、このマイクロミラーによる反射光はレンズユニット501には入射しない。一方、マイクロミラーがオン状態の場合には、このマイクロミラーによる反射光はレンズユニット501に入射する。マイクロミラーがオン状態にある時間の比率を調整することにより、画素ごとに画像の階調が調整される。
【0037】
投写光学ユニット50は、レンズユニット501および曲面ミラー502と、これらを収容するハウジング503とにより構成される。
【0038】
DMD40によって変調された光(映像光)は、レンズユニット501を通り、曲面ミラー502へ出射される。映像光は、曲面ミラー502によって反射され、ハウジング503に形成された投写口103から外部へ出射される。
【0039】
図4は、本実施の形態に係るプロジェクタの構成を示すブロック図である。
【0040】
図4を参照して、制御回路60は、信号入力回路601と、信号処理回路602と、DMD駆動回路603とを含む。
【0041】
信号入力回路601は、コンポジット信号、RGB信号などの各種映像信号に対応する各種入力端子を介して入力された映像信号を信号処理回路602へ出力する。
【0042】
信号処理回路602は、RGB信号以外の映像信号をRGB信号に変換する処理や、入力した映像信号の解像度をDMD40の解像度に変換するスケーリング処理、あるいは、ガンマ補正等の各種の補正処理を行う。そして、これら処理を施したRGB信号を、DMD駆動回路603およびLED駆動回路70へ出力する。
【0043】
信号処理回路602は、同期信号生成回路602aを含む。同期信号生成回路602aは、各光源201R、201G、201Bの駆動と、DMD40の駆動とを同期させるための同期信号を生成する。生成された同期信号は、DMD駆動回路603およびLED駆動回路70へ出力される。
【0044】
DMD駆動回路603は、信号処理回路602からのRGB信号に基づいて、R光、G光およびB光に対応するDMD駆動信号(オンオフ信号)を生成する。そして、生成した各光に対応するDMD駆動信号を、同期信号に従って、1フレームの画像ごとに時分割にて順次DMD40へ出力する。
【0045】
LED駆動回路70は、信号処理回路602からのRGB信号に基づいて、光源201R、201G、201Bを駆動する。具体的には、LED駆動回路70は、パルス幅変調方式(PWM)によりLED駆動信号を生成し、LED駆動信号(駆動電流)を各光源201R、201G、201Bに出力する。
【0046】
即ち、LED駆動回路70は、RGB信号に基づいて、パルス波のデューティ比を調整することにより、各光源201R、201G、201Bから出力される光量を調整する。これにより、各光源201R、201G、201Bから出力される光量が、画像の色情報に応じて、1フレームの画像ごとに調整される。
【0047】
また、LED駆動回路70は、同期信号に従って、各光源にLED駆動信号を出力する。これにより、各光源201R、201G、201Bから出射される光(R光、G光、B光)の発光タイミングと、それぞれの光に対応するDMD駆動信号がDMD40へ出力されるタイミングとの同期を取ることができる。
【0048】
即ち、R光に対応するDMD駆動信号が出力されている期間に、そのときの画像の色情報に適する光量のR光が、赤色光源201Rから出射される。同様に、G光に対応するDMD駆動信号の出力されている期間に、そのときの画像の色情報に適する光量のG光が、緑色光源201Gから出射される。さらに、B光に対応するDMD駆動信号の出力されている期間に、そのときの画像の色情報に適する光量のB光が、青色光源201Bから出射される。
【0049】
画像の色情報に応じて各光源201R、201G、201Bから出射される光の光量を変えることにより、消費電力を抑えながら投写画像の高輝度化を図ることができる。
【0050】
スクリーンには、R光、G光およびB光による画像が、順次、投写されることになる。しかしながら、これら画像の切り替わりが非常に高速で行われるため、ユーザの目にはちらつきのないカラー画像として映る。
【0051】
図2および図3に戻り、光源ユニット20R、20G、20B、導光光学系30、DMD40、投写光学ユニット50、制御回路60およびLED駆動回路70は、本体キャビ
ネット10の底面を取付面として、取付面上に配置される。
【0052】
投写光学ユニット50は、本体キャビネット10の中央よりも右側面寄りであって、前後方向におけるほぼ中央から後部(第4領域)にかけて配置される。ここで、レンズユニット501はほぼ中央に位置し、曲面ミラー502は後部に位置する。
【0053】
DMD40は、レンズユニット501の前方に配置される。即ち、DMD40は、本体キャビネット10の中央よりも右側面寄りであって、前面の近く(第1領域)に配置される。
【0054】
光源装置20は、レンズユニット501およびDMD40の左側方(第3領域)に配置される。3つの光源ユニット20R、20G、20Bは、赤色光源201Rと青色光源201Bが、緑色光源201Gの上方であって、緑色光源201Gを挟んで互いに対向する位置関係となる。
【0055】
ここで、投写光学ユニット50において、曲面ミラー502は、本体キャビネット10の底面から低い位置(第4領域下部)に配置されており、レンズユニット501は、曲面ミラーよりもやや高い位置(第4領域の中間高さ位置)に配置されている。また、DMD40は、本体キャビネット10の底面から高い位置(第1領域上部)に配置されており、3つの光源201R、201G、201Bは、本体キャビネット10の底面に対して低い位置(第3領域下部)に配置される。このため、導光光学系30は、3つの光源201R、201G、201Bの配置位置からDMD40の前方位置に亘って、各構成部品が配列されており、プロジェクタの前方から見て、直角に2つ折りした構成を有する。
【0056】
即ち、第1レンズ301R、301G、301B、第2レンズ302R、302G、302Bおよびダイクロイックプリズム303は、3つの光源201R、201G、201Bで囲まれた領域内に配置される。中空ロッド304は、ダイクロイックプリズム303の上方に、上下方向に沿って配置される。そして、中空ロッド304の上方からレンズユニット501側に向かって、順にミラー305、リレーレンズ306、ミラー307が配置され、ミラー307とDMD40の間に、リレーレンズ308が配置される。
【0057】
このように、導光光学系30は、各光源201R、201G、201Bから中空ロッド304により上方に導光された後、レンズユニット502へ屈曲する光路を有する。これにより、導光光学系30の左右方向の長さが短くできるので、本体キャビネット10の底面の面積を小さくすることが可能となる。よって、プロジェクタのコンパクト化を図ることが可能となる。
【0058】
制御回路60は、本体キャビネット10の右側面近傍であって、前後方向におけるほぼ中央から前端にかけて配置される。制御回路60は、所定のパターン配線が形成された基板上に各種の電装部品を実装されており、基板面が本体キャビネット10の右側面に沿うように配置される。
【0059】
制御回路60の前端部であって、本体キャビネット10の右前角部の位置(第1領域最端部)には、DMD駆動回路603により生成されたDMD駆動信号が出力される出力端子部604が設けられる。この出力端子部604は、たとえば、コネクタで構成される。出力端子部604には、DMD40から延びるケーブル401が接続されており、ケーブル401を介してDMD40へDMD駆動信号が送られる。
【0060】
LED駆動回路70は、本体キャビネット10の左後角部(第2領域)に配置される。LED駆動回路70は、所定のパターン配線が形成された基板上に各種の電装部品を実装
することにより構成される。
【0061】
LED駆動回路70の前方(前端部)には、3つの出力端子部701R、701G、701Bが設けられる。各出力端子部701R、701G、701Bには、それぞれ、対応する各光源201R、201G、201Bから延びるケーブル203R、203G、203Bが接続されており、これらケーブル203R、203G、203Bを介して各光源201R、201G、201BへLED駆動信号(駆動電流)が送られる。
【0062】
ここで、3つの光源201R、201G、201Bのうち、赤色光源201RがLED駆動回路70の最も近くに配置される。これにより、3つのケーブル203R、203G、203Bの中で、赤色光源201Rに対するケーブル203Rが最も短くなる。
【0063】
なお、制御回路60の出力端子部604は、DMD40同様、第1領域上部に配置される。一方、LED駆動回路70は、3つ光源201R、201G、201Bと同様、第2領域下部に配置される。
【0064】
本実施の形態では、高出力のLED光源がパルス幅変調方式によって駆動されており、LED駆動回路70では、比較的高い電流値による変調が行われる。このため、出力端子部701R、701G、701Bやケーブル203R、203G、203BにおいてEMIノイズが発生しやすい。このEMIノイズが、制御回路60の出力端子部604からケーブル401へと流れるDMD駆動信号に重畳されると、DMD40の駆動が不安定となり、投写画像の画質が劣化する惧れがある。
【0065】
本実施の形態では、制御回路60の出力端子部604が、第1領域最端部の上部位置に、LED駆動回路70が第2領域下部にそれぞれ配される。即ち、両者が、本体キャビネット10の底面上において、二次元的に対角の位置に配置される。また、両者が、本体キャビネット10の内部空間において、三次元的にも対角の位置に配置される。よって、本実施の形態では、制御回路60の出力端子部604を、LED駆動回路70から極力離すことができる。即ち、LED駆動回路70で発生したEMIノイズが、出力端子部604からDMD40へ出力されるDMD駆動信号に重畳されにくい。したがって、EMIノイズによる画質の劣化を抑制することができる。
【0066】
図5は、赤色光源201R、緑色光源201Gおよび青色光源201Bの発光特性を示す図である。図中の実線は赤色光源201Rの特性を示し、破線は緑色光源201Gおよび青色光源201Bの特性を示す。グラフの横軸は発散角度を示し、縦軸は光の強度を示す。
【0067】
図5に示すように、赤色光源201Rは、光の拡がり角が他の2つの光源201G、201Bより大きい。このため、光がレンズに取り込まれにくく、導光光学系30での損失が大きい。このため、赤色光源201Rへの駆動電流を、他の2つの光源201G、201Bに比べて大きくする必要があり、大きな駆動電流が流れる赤色光源用のケーブル203Rにおいて大きなEMIノイズが発生しやすい。
【0068】
本実施の形態では、赤色光源201RがLED駆動回路70の最も近くに配置されており、3つのケーブル203R、203G、203Bの中で、赤色光源201Rに対するケーブル203Rが最も短くされる。これにより、最も大きなEMIノイズが発生しやすいケーブル203RでのEMIノイズを低減することができる。よって、全体として、ケーブル203R、203G、203Bで発生するEMIノイズを低減することができる。
【0069】
さらに、本実施の形態では、投写光学ユニット50が、レンズユニット501と、レン
ズユニット501の出射面側に設けられた曲面ミラー502とにより構成とされる。このため、投写光学ユニット50は、前後方向に長くなり、第1および第4領域に亘って配置される。したがって、レンズユニット501の側方に光源装置20が配置されても、曲面ミラー502の側方、即ち、第2領域に広いスペースが生じやすい。DMD40は、レンズユニット501の入射面側に配置され、通常、その近くに出力端子部604が配置される。このため、出力端子部604は、第1領域最端部に配置されることとなる。よって、第2領域にLED駆動回路70を配置することにより、LED駆動回路70を、出力端子部604と対角となるように円滑に配置することができる。
【0070】
<変更例1>
図6は、変更例1に係るプロジェクタの構成を示す図(平面図)である。
【0071】
本変更例に係るプロジェクタでは、LED駆動回路70と制御回路60の出力端子部604との間に、電磁波を遮蔽する電磁シールド部80が配置される。電磁シールド部80は、たとえば、フェライトやアモルファス金属からなるシート状のシールド材やメッシュ状の樹脂シートに銀をコーティングしてなるシールド材で構成される。このようなシート状のシールド材を板部材に張り付けることによって、LED駆動回路70と出力端子部604との間に電磁シールド部80が配置される構成とすると良い。あるいは、投写光学ユニット50のハウジング503の側面や導光光学系30の各構成部品を保持するハウジング(図示せず)の側面にシート状のシールド材を張り付けても良い。
【0072】
このような構成とすれば、LED駆動回路70から出力端子部604へ向かうEMIノイズが遮蔽されるので、出力端子部604から出力されるDMD駆動信号にEMIノイズが重畳されるのを一層抑制することができる。
【0073】
<変更例2>
図7は、変更例2に係る光源装置20および導光光学系30の構成について説明するための図である。図7(a)は、上記実施の形態に係る光源装置20と導光光学系30の一部を模式的に示す図であり、図7(b)、(c)は、変更例2に係る光源装置20と導光光学系30の一部を模式的に示す図である。また、図7には、各光源201R、201G、201BとLED駆動回路70との位置関係を示すため、LED駆動回路70が模式的に示されている。
【0074】
図7(a)に示す上記実施の形態に係る光源装置20および導光光学系30の構成に替えて、図7(b)、(c)に示す構成を用いることもできる。
【0075】
図7(b)に示す光源装置20では、赤色光源201R、緑色光源201Gおよび青色光源201Bが、一つのヒートシンク211の一面に所定の間隔で配置される。また、導光光学系30は、図7(a)に示すダイクロイックプリズム303および中空ロッド304に替えて、ミラー311と、2つのダイクロイッミラー312、313と、中空ロッド314と、リレーレンズ315とを備える。
【0076】
ダイクロイックミラー312は、R光を透過し、G光を反射する。ダイクロイックミラー313は、B光を透過し、R光およびG光を反射する。中空ロッド314は、入射端面側から出射端面側に向かって断面積が小さくなるテーパ形状を有する。
【0077】
赤色光源201Rから出射されたR光は、第1レンズ301Rおよび第2レンズ302Rによって平行光化され、ミラー311によって反射される。R光は、ダイクロイックミラー312を透過し、ダイクロイックミラー313によって反射されて中空ロッド314に入射する。
【0078】
緑色光源201Gから出射されたG光は、第1レンズ301Gおよび第2レンズ302Gによって平行光化され、ダイクロイックミラー312によって反射される。G光は、ダイクロイックミラー313で反射されて中空ロッド314に入射する。
【0079】
青色光源201Bから出射されたB光は、第1レンズ301Bおよび第2レンズ302Bによって平行光化され、ダイクロイックミラー313を透過して中空ロッド314に入射する。
【0080】
R光、G光およびB光は、中空ロッド314の作用により、出射端面における照度分布が均一化される。中空ロッド314から出射されたR光、G光およびB光は、リレーレンズ315を通ってミラー305へ向かう。その後、R光、G光およびB光は、上記実施の形態と同様にして、DMD40へと導かれる。
【0081】
次に、図7(c)に示す光源装置20では、赤色光源201Rが、ヒートシンク221の一面に配置されており、緑色光源201Gおよび青色光源201Bが、ヒートシンク222の一面に所定の間隔で配置される。赤色光源201Rは、緑色光源201Gおよび青色光源201Bに対して、ほぼ垂直な向きを有する。また、導光光学系30は、図7(a)に示すダイクロイックプリズム303および中空ロッド304に替えて、2つのダイクロイッミラー321、322と、フライアイレンズ323と、コンデンサレンズ324とを備える。ダイクロイックミラー321は、R光を透過し、G光を反射する。ダイクロイックミラー322は、B光を透過し、R光およびG光を反射する。フライアイレンズ323は一対のレンズからなり、各レンズは蠅の目状に配列された多数のレンズセルから構成される。
【0082】
赤色光源201Rから出射されたR光は、第1レンズ301Rおよび第2レンズ302Rによって平行光化され、ダイクロイックミラー321を透過する。R光は、ダイクロイックミラー322で反射されてフライアイレンズ323に入射する。
【0083】
緑色光源201Gから出射されたG光は、第1レンズ301Gおよび第2レンズ302Gによって平行光化され、ダイクロイックミラー321で反射される。G光は、ダイクロイックミラー322で反射されてフライアイレンズ323に入射する。
【0084】
青色光源201Bから出射されたB光は、第1レンズ301Bおよび第2レンズ302Bによって平行光化され、ダイクロイックミラー322を透過してフライアイレンズ323に入射する。
【0085】
R光、G光およびB光は、フライアイレンズ323の各レンズセルによって分割され、分割された光がコンデンサレンズ324によりDMD40に重畳される。これにより、DMD40に照射されるR光、G光およびB光の照度分布が均一化される。
【0086】
コンデンサレンズ324から出射されたR光、G光およびB光は、ミラー305へ向かい、上記実施の形態と同様にして、DMD40へと導かれる。
【0087】
なお、これら図7(b)、(c)の構成においても、LED駆動回路70に最も近くなるように、赤色光源201Rが配置される。このため、上記実施の形態と同様、ケーブル203R(図7では図示省略されている)で発生するEMIノイズを低減することができる。
【0088】
なお、図7(a)の構成において、中空ロッド304に替えて、図7(b)の中空ロッ
ド314とリレーレンズ315からなる構成や図7(c)のフライアイレンズ323とコンデンサレンズ324からなる構成を用いることができる。また、図7(b)の構成において、中空ロッド314とリレーレンズ315からなる構成に替えて、図7(a)の中空ロッド304や図7(c)のフライアイレンズ323とコンデンサレンズ324からなる構成を用いることができる。さらに、図7(c)の構成において、フライアイレンズ323とコンデンサレンズ324からなる構成に替えて、図7(a)の中空ロッド304や図7(b)の中空ロッド314とリレーレンズ315からなる構成を用いることができる。
【0089】
さらに、インテグレータとして、中空ロッドに替えてガラスロッドインテグレータ(中実のロッドインテグレータ)を用いるようにしても良い。また、ヒートシンクに替えて冷却ジャケットを用い、冷却ジャケット内に冷却液を供給することにより、各光源201R、201G、201Bを冷却するようにしても良い。
【0090】
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も上記の他に種々の変更が可能である。
【0091】
たとえば、上記実施の形態では、各光源201R、201G、201Bに、LED光源が用いられているが、これに限らず、レーザ光源が用いられても良い。
【0092】
また、上記実施の形態では、パルス幅変調方式(PWM)によって各光源201R、201G、201Bを駆動するようにしているが、これに限らず、パルス振幅波形変調方式(PAM)によって各光源201R、201G、201Bを駆動するようにしても良い。
【0093】
さらに、上記実施の形態では、制御回路60の出力端子部604が本体キャビネット10の上部に配置され、LED駆動回路70が本体キャビネット10の下部に配置されることにより、両者が、本体キャビネット10の内部空間において、三次元的に対角の位置に配置されている。しかしながら、両者の高さ位置は同じとされても良く、少なくとも、両者が、本体キャビネット10の底面上(取付面上)において、二次元的に対角の位置に配置されていればよい。勿論、両者が三次元的に対角の位置に配置することにより、両者の距離を最も離すことができるので、他に配置の制約等がなければ、両者を三次元的に対角の位置に配置することが望ましい。
【0094】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
10 本体キャビネット
20 光源装置
201R 赤色光源(光源)
201G 緑色光源(光源)
201B 青色光源(光源)
30 導光光学系(導光光学部)
40 DMD(光変調素子)
50 投写光学ユニット(投写光学部)
501 レンズユニット
502 曲面ミラー
60 制御回路
603 DMD駆動回路(変調素子駆動部)
604 出力端子部(出力部)
70 LED駆動回路(光源駆動部)
80 電磁シールド部(遮蔽部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投写型映像表示装置において、
光源と、
前記光源からの光を変調する光変調素子と、
前記光源からの光を前記光変調素子へ導く導光光学部と、
前記光変調素子により変調された光を拡大投写するための投写光学部と、
前記光源をパルス変調方式により駆動するための光源駆動部と、
前記光変調素子を駆動するための変調素子駆動部と、
前記変調素子駆動部により生成された駆動信号を前記光変調素子へ出力するための出力部と、を備え、
前記出力部は本体キャビネット内の第1領域に配置されるとともに、前記光源駆動部は前記第1領域の対角方向に配される第2領域に配置される、
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投写型映像表示装置において
前記光源が複数備えられるとともに、
前記複数の光源のうち、駆動電流が最も大きな光源が、前記光源駆動部の最も近くに配置される、
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の投写型映像表示装置において、
前記複数の光源は、赤色波長帯の光を出射する赤色光源と、緑色波長帯の光を出射する緑色光源と、青色波長帯の光を出射する青色光源とを含み、
前記複数の光源のうち、赤色光源が前記光源駆動部の最も近くに配置される、
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の投写型映像表示装置において、
前記出力部と前記光源駆動部との間には、電磁波を遮蔽するための遮蔽部が設けられる、
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の投写型映像表示装置において、
前記投写光学部は、レンズユニットと、前記レンズユニットの出射面側に設けられた曲面ミラーとを備え、
前記光源駆動部は、前記曲面ミラーの側方に配置される、
ことを特徴とする投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−227402(P2011−227402A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99192(P2010−99192)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】