説明

抗ガン剤として治療への応用に有効な、エピポドフィロトキシンの(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド誘導体の調製方法

本発明は、4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと、保護基を有するアミン反応物とをペプチド結合する過程を含むことを特徴とする、エピポドフィロトキシンの(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド誘導体および該誘導体の塩を調製する新規方法を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学式1のエピポドフィロトキシンの(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド誘導体および該誘導体の薬学的に許容可能な塩の新規調製方法を対象とする。
【0002】
【化1】

【0003】
該化学式において、Rは水素原子または−(CH2c−NH2基を表し、2≦a,b,c≦5である。
【0004】
これらの化合物は、エピポドフィロトキシンタイプのリグナン部分と、アセトアミド・モチーフを有する、エピポドフィロトキシンの4位にグラフトされたポリアミン部分とによって構成されている。ポリアミン鎖が存在することで、分子には、特に塩酸塩による水溶特性、ならびに、ガン治療において特に利点のある薬学的特性が付与される。
【背景技術】
【0005】
これらの化合物は国際公開第2005/100363号パンフレットに記載されており、充実性腫瘍、または、メラノーマのような非充実性腫瘍、結腸直腸ガン、肺ガン、前立腺ガン、膀胱ガン、乳ガン、子宮ガン、胃ガン、膵臓ガン、肝臓ガン、卵巣ガンの治療、ならびに、白血病、リンパ腫および骨髄腫、耳鼻咽喉領域のガンおよび脳腫瘍の治療において特に有効な抗腫瘍性化合物である。
【0006】
化学式1の化合物を調製するための国際公開第2005/100363号パンフレットに記載されている合成方法では、化学式2のポドフィロトキシンが出発物質として用いられる。
【0007】
【化2】

【0008】
また、該方法では化学式3の4’−デメチルエピポドフィロトキシンが用いられる。
【0009】
【化3】

【0010】
該4’−デメチルエピポドフィロトキシンに対して、酸性媒体でクロロアセトニトリルを反応させることで、合成中間体である化学式4の4−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンを得る。
【0011】
【化4】

【0012】
次に、この化合物を化学式5の第一級アミン反応物と縮合する。
【0013】
【化5】

【0014】
該化学式5において、R’は水素または−(CH2C−NHP鎖を表し、a、b、cは先述のものと同じ意味を有し、Pはアミン官能基を保護する基を表す。適切な保護基は、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基またはtert−ブチルオキシカルボニル基とすることができる。この縮合は、ルイス塩基(トリエチルアミン)の存在下で非プロトン性極性溶媒(アセトニトリル、DMF)を含む溶媒混合物の中で行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、この方法には、過程の数が多く、したがって全体の収率がかなり低いということの他に、二つの不都合がある。
【0016】
一方では、国際公開第2005/100363号パンフレットで用いられている条件は化学式1のエピポドフィロトキシン誘導体の2位にある炭素のエピマー化を引き起こしやすく、化学式7の「ピクロ」と名付けられたシス−ラクトン形状へとつながる。
【0017】
【化6】

【0018】
したがって、求められるトランスラクトン生成物の精製は難しく、手間もコストもかかるクロマトグラフィー操作が必要となる。
【0019】
他方では、上述した方法では、保護された形で形成されている化学式1の生成物の第二級アミンに対する4−クロロアセトアミド−4’−デメチルエピポドフィロトキシンのもう一つの分子の反応によって、ビスアルキル化タイプの副生成物ももたらされる。したがって、二次生成物の取得を最小限に抑えて出発物質のできるだけ完全な変換を得るためには、化学式5の第一級アミン反応物を過剰に使用することが必要となり、このことは、余剰アミンを回収するという難しい過程を必要とし、この方法を不経済にする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
予期しなかったことに、本出願人は、化学式4−2の4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンに対して、ペプチド結合によって、R’が水素または−(CN2C−NHP鎖であり、a、b、cが前述のものと同じ値を有し、Pがアミン官能基を保護する基を表す化学式6のポリアミノ酢酸を縮合することによって、いかなる反応物も過剰に使用することなく非常に優れた純度で結合による化合物が得られることを確認した。反応は、優れた収率で行われ、窒素原子が担持する保護基を脱保護した後、化学式1のエピポドフィロトキシンの(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド化合物がもたらされるのだが、該化合物の水に可溶性の塩酸塩は抗ガン剤としての応用に有効である。
【0021】
【化7】

【0022】
【化8】

【0023】
したがって、本発明は、4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと化学式6の置換された酢酸とのペプチド結合の過程を含む、化学式4−2の4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンから、化学式1の化合物と該化合物の薬学的に許容可能な塩を合成する新規方法に関するものである。
【0024】
好ましくは、本方法は塩酸塩の形状での化学式1の化合物の調製に適用される。
【0025】
さらに好ましくは、化学式6の化合物で用いられる保護基はベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である。
【0026】
化学式4−2の4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンは、国際公開第2007/010007号パンフレットに記載されている合成方法によって調製することのできる既知の中間体である(J.Med.Chem.2004,47,2365−2374、およびJ.Med.Chem.1991,34,3346−3350)。
【0027】
したがって、化学式4−2の4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンに縮合されることになる化合物6を得るために、化合物5のポリアミン部分に酢酸モチーフを導入するのは、特に利点のある方略である。
【0028】
化学式6の化合物において、酢酸モチーフは化学式5の(ポリ)アミノアルキルアミノ誘導体の第一級アミン部分とハロ酢酸アルキルとの反応によってもたらされる。好ましくは、ブロモ酢酸エチル、クロロ酢酸エチルまたはヨード酢酸エチルが用いられる。たとえばグリオキシル酸誘導体による還元アミノ化のような、その他の酢酸モチーフの導入方法も用いることができる。エステル官能基の酸への加水分解は希釈された水酸化ナトリウムのような塩基性媒体で行うことができる。
【0029】
化学式5の化合物は文献、Tet.Lett.1998,39,439に記載されている仕方で得られる。この合成を用いた特徴的な実施例は国際公開第2005/100363号パンフレットの実施例27に示されている。
【0030】
この酢酸中間体6と化学式4−2の4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとのペプチド結合によって、中性媒体、したがってエピマー化しない媒体で操作することと同時に、国際公開第2005/100363号パンフレットに記載されているような方略には不可欠なクロマトグラフィー作業を必要としない、より純粋な生成物をもたらすことが可能となる。
【0031】
先行研究、たとえば、雑誌Tet.2005,61,10827に記載されているペプチド結合方法の多種多様性は、最も効果的で、最も純粋な化合物をもたらす適用すべき方法(DCC、混合無水物、CDI、BOPおよびその誘導体、TBTUを用いる方法など)の選択肢を当業者に与えている。たとえば、TBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロボラート)による活性化を用いる方法(J.O.C.1996,61,2322)は、中性媒体において常温で行われ、時間がかからないという利点を有すると同時に、純粋であり、反応物に由来する二次生成物が抽出中に水に可溶性である化合物をもたらす。従来の単純なクロマトグラフィーによって、最終段階直前には完全な質(純度>99%)の化合物をもたらす。
【0032】
以下では、実施の容易さ、抽出処理およびクロマトグラフィー処理によって得られる純度という点でこの方法の利点を示す実施例をいくつか説明することにする。
【0033】
より特徴的には、本発明は、a=3、b=4、R=−(CH23−NH2である化学式1の化合物、すなわち、2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの塩酸塩を調製するための方法に関するものであり、4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと、化学式6の化合物、つまり{ベンジルオキシカルボニル−[3−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸または{t−ブチルオキシカルボニル−[3−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸とをペプチド結合する過程を含むことを特徴とし、これは、a=3、b=4、かつR’=−(CH23−NHP、Pがベンジルオキシカルボニル基あるいはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式6の化合物に対応している。
【0034】
また、本発明は、a=3、b=4、R=Hである化学式1の化合物、すなわち2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドを塩酸塩の形状で調製する方法にも関するものであり、該方法は、4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと、化学式6の化合物、つまり(ベンジルオキシカルボニル−{3−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)酢酸、または、t−ブチルオキシカルボニル−{3−[t−ブチルオキシカルボニル−(4−t−ブチルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)酢酸とをペプチド結合する過程を含むことを特徴としており、これはa=3、b=4、R’=H、Pがベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式6の化合物に対応している。
【0035】
また、本発明は、a=4、b=4、c=4である化学式1の化合物、すなわち2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)−ブチルアミノ]−ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの塩酸塩を調製する方法にも関するものであり、該方法は、4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと化学式6の化合物、つまり{ベンジルオキシカルボニル−[4−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−ブチル]−アミノ}−酢酸または{t−ブチルオキシカルボニル−[4−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(4−t−ブチルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−ブチル]−アミノ}−酢酸とをペプチド結合する過程を含むことを特徴とし、これは、a=4、b=4、c=4、Pがベンジルオキシカルボニル基あるいはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式6の化合物に対応している。
【0036】
また、本発明は、a=4、b=3、R=Hである化学式1の化合物、すなわち2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの塩酸塩を調製する方法にも関するものであり、該方法は、4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと、化学式6の化合物、つまり、(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−酢酸または(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−酢酸とをペプチド結合する過程を含むことを特徴としており、これは、a=4、b=3、R’=H、Pがベンジルオキシカルボニル基あるいはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式6の化合物に対応している。
【0037】
本発明のもう一つの態様は一般化学式1の化合物の新規合成方法に関するものであり、該方法は以下の過程を含むことを特徴としている。
【0038】
a)ハロ酢酸アルキルによって酢酸モチーフを化学式5の第一級アミン反応物にグラフトする過程。
【0039】
【化9】

【0040】
b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを保護基Pによって保護する過程。
【0041】
c)過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化することで、化学式6のポリアミノ酢酸を得る過程。
【0042】
d)過程c)で得られたポリアミノ酢酸を化学式4−2の4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとペプチド結合する過程。
【0043】
e)先行過程で得られた化合物から保護基Pを除去することで、一般化学式1の化合物に到達する過程。
【0044】
好ましくは、化学式5の化合物と過程b)で用いられる保護基は、ベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である。また好ましくは、過程a)ではブロモ酢酸エチル、クロロ酢酸エチルまたはヨード酢酸エチルから選択されるハロ酢酸アルキルが用いられることになる。
【0045】
新規合成方法は以下の反応スキームによって示される。
【0046】
【化10】

【0047】
該反応スキームのさまざまな過程は以下で全般的に説明する。
【0048】
第一級アミン5の調製方法。
反応してはならない窒素原子上における保護基P(たとえばベンジルオキシカルボニル(Z))で保護されている化学式5の第一級アミンの合成は、国際公開第2005/100363号パンフレットに記載されている。ベンジルオキシカルボニル基は特徴的な選択ではあるが、該選択は限定的ではない。その他の保護基も本発明の範囲で用いることができる。開裂がより簡単である置換されたベンジルオキシカルボニル基以外では、酸性媒体での開裂が化学式1の最終的な化合物の安定性と両立し得るブチルオキシカルボニル基も用いることができる。実際、合成終了時の開裂は、最終的な分子にあるさまざまな官能基と適合するものでなければならない。特に、塩基性媒体は上述したように2位にある炭素原子のエピマー化を引き起こすために適合しないのだが、逆に、揮発性もしくは容易に分離または除去できる副生成物をもたらす酸性媒体は使うことができる。
【0049】
過程1。
この過程の間、ハロ酢酸アルキル、たとえばブロモ酢酸エチル、クロロ酢酸エチルまたはヨード酢酸エチルによる化合物5の第一級アミンのアルキル化が行われるのだが、2つの反応物は化学量論的な量である。
【0050】
過程2。
先行過程で得られた第二級アミンは、化学式5の化合物を合成する際に最初に用いたものと同一の保護基Pによって保護されており、このタイプのアミン官能基を保護するために用いられてきた従来技術を利用している。好ましくは、保護基としてはベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基が用いられる。こうしてすべての同一保護基は同じ過程で開裂されることになる。
【0051】
過程3。
先行過程で得られたエステルを塩基性媒体、たとえばエタノールの水酸化ナトリウム溶液によって鹸化することによって、化学式6の化合物を得る。
【0052】
化学式4−2の4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンの合成。
化学式4−2の4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンは合成方法の説明されている既知の化合物である(J.Med.Chem.2004,47,2365−2374およびJ.Med.Chem.1991,34,3346−3350)。より危険性が少なく、より経済的で、より純粋な誘導体をもたらすこの誘導体の新規合成方法は、国際公開第2007/010007号パンフレットの対象となっている。
【0053】
過程4。
この過程の間に、先に合成されている化学式6のポリアミノ酢酸と化学式4−2の4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとのペプチド結合が行われる。この結合は中性媒体において室温で行われる。
【0054】
過程5。
従来の脱保護技術にしたがって、先行過程で得られた化合物から保護基Pを除去することで、化学式1の化合物に到達する。
【0055】
本発明は、より特徴的には、a=3、b=4、R=−(CH23−NH2である化学式1の化合物、すなわち2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドを塩酸塩の形状で調製する方法に関するものであり、該方法は、
a)[3−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸のエチルエステルまたは3−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピルアミノ]−酢酸のエチルエステルを得るために、ブロモ酢酸エチルを用いて、酢酸モチーフを{4−[(3−アミノプロピル)−ベンジルオキシカルボニルアミノ]ブチル}−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−カルバミン酸のベンジルエステルまたはトリBOCスペルミンにグラフトする過程と、
b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを、ベンジルオキシカルボニル基あるいはt−ブチルオキシカルボニル基である保護基によって保護する過程と、
c){ベンジルオキシカルボニル−[3−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸あるいは{t−ブチルオキシカルボニル−[3−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸を得るために、過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化する過程と、
d)過程c)で得られた化合物と4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとをペプチド結合する過程と、
e)過程d)で得られた化合物からベンジルオキシカルボニル保護基またはt−ブチルオキシカルボニル保護基を除去する過程、
を含むことを特徴としている。
【0056】
また本発明は、より特徴的には、a=3、b=4、R=Hである化学式1の化合物、すなわち2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの塩酸塩を調製する方法にも関するものであり、該方法は、
a)ブロモ酢酸エチルを用いて、酢酸モチーフを、a=3、b=4、R’=H、Pがベンジルオキシカルボニル基あるいはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式5の化合物にグラフトする過程と、
b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを、過程a)で用いたものと同一の保護基を用いて保護する過程と、
c)a=3、b=4、R’=H、Pが過程a)および過程b)と同じ意味を有している化学式6の化合物を得るために、過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化する過程と、
d)過程c)で得られた化合物を4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとペプチド結合する過程と、
e)先行過程で得られた化合物からベンジルオキシカルボニル保護基またはt−ブチルオキシカルボニル保護基を除去する過程、
を含むことを特徴としている。
【0057】
本発明は、より特徴的には、a=4、b=4、c=4である化学式1の化合物、すなわち2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)−ブチルアミノ]−ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドを塩酸塩の形状で調製する方法に関するものであり、該方法は、
a)ブロモ酢酸エチルを用いて、酢酸モチーフを、a=4、b=4、c=4、Pがベンジルオキシカルボニル基あるいはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式5の化合物にグラフトする過程と、
b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを、過程a)で用いたものと同一の保護基によって保護する過程と、
c)a=4、b=4、c=4、Pが過程a)および過程b)と同じ意味を有する化学式6の化合物を得るために、過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化する過程と、
d)過程c)で得られた化合物を4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとペプチド結合する過程と、
e)先行過程で得られた化合物からベンジルオキシカルボニル保護基またはt−ブチルオキシカルボニル保護基を除去する過程、
を含むことを特徴としている。
【0058】
より特徴的には、本発明は、a=4、b=3、R=Hである化学式1の化合物、すなわち2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの塩酸塩を調製する方法に関するものであり、該方法は、
a)ブロモ酢酸エチルを用いて、酢酸モチーフを、a=4、b=3、R’=H、Pがベンジルオキシカルボニル基あるいはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式5の化合物にグラフトする過程と、
b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを、過程a)で用いたものと同一の保護基によって保護する過程と、
c)a=4、b=3、R’=H、Pが過程a)および過程b)と同じ意味を有する化学式6の化合物を得るために、過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化する過程と、
d)過程c)で得られた化合物を4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとペプチド結合する過程と、
e)先行過程で得られた化合物からベンジルオキシカルボニル保護基またはt−ブチルオキシカルボニル保護基を除去する過程、
を含むことを特徴としている。
【0059】
また、本発明は化学式6の中間体を調製する方法にも関するものである。
【0060】
【化11】

【0061】
該方法は以下の過程を含むことを特徴としている。
【0062】
a)ハロ酢酸アルキルを用いて酢酸モチーフを化学式5の第一級アミンにグラフトする過程。
【0063】
【化12】

【0064】
b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを保護基Pで保護する過程。
【0065】
c)化学式6のポリアミノ酢酸を得るために、過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化する過程。
【0066】
好ましくは、過程b)で用いられるハロ酢酸アルキルはブロモ酢酸エチル、クロロ酢酸エチルあるいはヨード酢酸エチルから選択される。
【0067】
また好ましくは、化学式5の化合物の保護基と過程b)で用いられる保護基は、ベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である。
【0068】
またより特徴的には、本発明は、a=3、b=4、R’=−(CH23−NHP、Pがベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式6の中間体、すなわち、{ベンジルオキシカルボニル−[3−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸あるいは{t−ブチルオキシカルボニル−[3−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸を調製する方法に関するものであり、該方法は、
a)ブロモ酢酸エチルを用いて、酢酸モチーフを化学式5の第一級アミン反応物、すなわち{4−[(3−アミノプロピル)−ベンジルオキシカルボニルアミノ]ブチル}−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−カルバミン酸のベンジルエステルあるいはトリBOCスペルミン(これはa=3、b=4、R’=−(CH23−NHP、Pがベンジルオキシカルボニル基あるいはt−ブチルオキシカルボニル基である化合物5に対応する)にグラフトする過程と、
b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを先行過程で選択されたものと同一の保護基によって保護する過程と、
c)過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化する過程、
を含むことを特徴としている。
【0069】
また、より特徴的には、本発明は、a=3、b=4、R’=H、Pがベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式6の中間体を調製する方法に関するものであり、該方法は、
a)ブロモ酢酸エチルを用いて、酢酸モチーフを、a=3、b=4、R’=H、Pがベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式5の第一級アミン反応物にグラフトする過程と、
b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを先行過程で選択されたものと同一の保護基によって保護する過程と、
c)過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化する過程、
を含んでいることを特徴としている。
【0070】
また、本発明は、a=4、b=4、c=4、Pがベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式6の中間体を調製する方法にも関するものであり、該方法は、
a)ブロモ酢酸エチルを用いて、a=4、b=4、c=4、Pがベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式5の第一級アミン反応物に酢酸モチーフをグラフトする過程と、
b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを先行過程で選択されたものと同一の保護基によって保護する過程と、
c)過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化する過程、
を含んでいることを特徴としている。
【0071】
また、より特徴的には、本発明は、a=4、b=3、R’=H、Pがベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式6の中間体を調製する方法にも関するものであり、該方法は、
a)ブロモ酢酸エチルを用いて、a=4、b=3、R’=H、Pがベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式5の第一級アミン反応物に酢酸モチーフをグラフトする過程と、
b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを先行過程で選択されたものと同一の保護基によって保護する過程と、
c)過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化する過程、
を含んでいることを特徴としている。
【0072】
また、本発明は一般化学式1の化合物を調製するための、一般化学式6の化合物の使用にも関するものである。
【0073】
本発明はさらに、新規生成物としての以下の化合物にも関するものである。
【0074】
・以下の化学式の(ベンジルオキシカルボニル−{3−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−ブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)−酢酸。
【0075】
【化13】

【0076】
・以下の化学式の(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−プロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−酢酸。
【0077】
【化14】

【0078】
・以下の化学式の(tert−ブトキシカルボニル−{3−[tert−ブトキシカルボニル−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)酢酸。
【0079】
【化15】

【0080】
・以下の化学式の(tert−ブトキシカルボニル−{4−[tert−ブトキシカルボニル−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−酢酸。
【0081】
【化16】

【発明を実施するための形態】
【0082】
以下に述べる実施例は本発明の方法を例示するものであるが、本発明の範囲を限定しない。
【0083】
A)ベンジルオキシカルボニル基を用いる方法。
【実施例1】
【0084】
塩酸塩の形状での2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製(a=3、b=4、R=H)。
【0085】
【化17】

【0086】
過程1。{3−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−プロピルアミノ}−酢酸のエチルエステルの調製。
【0087】
【化18】

【0088】
200mLのアセトニトリルおよび2.6mL(1.86g、15.4mmol)のトリエチルアミン中にある6.35g(15.4mmol)の(3−アミノプロピル)−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−カルバミン酸のベンジルエステル溶液(Synth.Commun.2005,35,1085)に、攪拌下で1.70mL(2.56g、15.4mmol)のブロモ酢酸エチルを室温で加えた。攪拌は4時間維持した。反応混合液を水に注ぎ、酢酸エチルによって抽出した。有機相をデカンテーションし、次に硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過、蒸発させた。次の過程で直接用いられるオイルが7.7g得られた。
【0089】
過程2。(ベンジルオキシカルボニル−{3−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)−酢酸のエチルエステルの調製。
【0090】
【化19】

【0091】
200mLの水/アセトン(1/1)混合物および1.68g(20mmol)のNaHCO3中にある、先に得られた7.7g(15.4mmol)の{3−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−プロピルアミノ}−酢酸のエチルエステル溶液に、攪拌下において、2.42mL(17mmol)のクロロギ酸ベンジルを滴加した。攪拌は2時間維持した。アセトンは減圧下で蒸発させ、次に混合液を1NのHClによって酸性化した。次に混合液を酢酸エチルによって抽出し、有機相を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過、蒸発させた。純粋ヘプタンからヘプタン/AcOEt混合物(60/40)への溶出勾配を用いて、残留物をシリカカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにかけた。対象となる画分の蒸発は6gの無色のオイルに相当した。収率=61%。TLC SiO2,CH2Cl2/MeOH/NH4OH(90/10/1)Rf=0.9。
【0092】
過程3。(ベンジルオキシカルボニル−{3−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)酢酸の調製。
【0093】
【化20】

【0094】
100mLのエタノールおよび13.8mL(13.7mmol)の1N水酸化ナトリウム溶液中にある、先行過程で得られた5.8g(9.2mmol)の(ベンジルオキシカルボニル−{3−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)−酢酸のエチルエステル溶液を、1時間にわたって還流にかけた。冷却後、20mLの1N塩酸溶液を加え、この酸性溶液を塩化メチレンによって抽出した。有機相を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過、蒸発させた。残留物は、純粋ヘプタンから塩化メチレン/MeOH(95/5)への溶出勾配によってシリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにかけた。それから、蒸発後に、収率85%で、透明なオイルを4.7g単離した。TLC;SiO2;CH2Cl2/MeOH(90/10);Rf=0.35。
【0095】
過程4。(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−[3−(ベンジルオキシカルボニル−{[(5S,5aS,8aR,9R)−9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d]−1,3−ジオキソル−5−イルカルバモイル]−メチル}−アミノ)−プロピル]−カルバミン酸のベンジルエステルの調製。
【0096】
【化21】

【0097】
100mLのアセトニトリル中にある、先行過程で得られた3.34g(5.5mmol)の(ベンジルオキシカルボニル−{3−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)酢酸と、2.4g(5.5mmol)の4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシン塩酸塩の懸濁液に、1.63mL(11.6mmol)のトリエチルアミンを加え、混合液を攪拌下で溶解させた。この段階で、1.77g(5.5mmol)のTBTUを加えた。反応混合液を1時間にわたって室温で攪拌した。水を添加した後、酢酸エチルによって混合液を抽出し、有機相を分離し、NaHCO3溶液、次いでNaCl溶液で洗浄した。有機相を再び分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させることで、白色フォームを5g得た。純粋ヘプタンからヘプタン/AcOEt(40/60)への勾配によって溶出されたシリカ上での急速なフラッシュクロマトグラフィーによって、97%の純度を有する4.6gの生成物と、そして73%の純度の0.41gのもう一つの画分を得ることができた。これらの画分を集め、逆相での分取HPLCによって精製した。カラムC 18、H2O/CH3CN(60/40)溶出、次いでH2O/CH3CN(40/60)溶出。この段階で純度が99.8%の4.6gの化合物(収率=84.6%)が得られた。
TLC:SiO2 CH2Cl2/MeOH(90/10);Rf=0.75。
【0098】
過程5。2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの塩酸塩の調製。
【0099】
先行過程で得られた(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−[3−(ベンジルオキシカルボニル−{[(5S,5aS,8aR,9R)−9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d]−1,3−ジオキソル−5−イルカルバモイル]−メチル}−アミノ)−プロピル]−カルバミン酸のベンジルエステル中間体(4.6g、4.7mmol)を攪拌下かつ水素雰囲気下で、3時間にわたって10%でパラジウム処理した460mgの炭素を含んだ200mLのメタノールに入れた。この段階でHCl/イソプロパノールを3当量加えた。溶媒の濾過および蒸発後、残留物を無水エタノールにとり、次いで濾過し、エチルエーテルで洗浄した。3.1gの塩酸塩が単離された(収率60%)。MS−ESI m/z 585.2(MH+)。
【実施例2】
【0100】
塩酸塩の形状での2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製(a=3、b=4、c=3)。
【0101】
【化22】

【0102】
過程1。{ベンジルオキシカルボニル−[3−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸のエチルエステルの調製。
【0103】
【化23】

【0104】
実施例1の過程1で指示した操作方法を再び用いるが、今回は{4−[(3−アミノプロピル)−ベンジルオキシカルボニルアミノ]−ブチル}−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−カルバミン酸のベンジルエステルを用いて、オイル状の[3−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピルアミノ]−酢酸のエチルエステルを得た。
TLC SiO2 CH2Cl2/MeOH/NH4OH(90/9/1)Rf=0.45。
【0105】
過程2。
この中間体は直接次の変換に適用した。この変換はあらゆる点で実施例1の過程2で説明した変換と類似しているが、対応する反応物を用いる。こうして7g(収率=96.8%)の無色オイルが得られた。
TLC SiO2 ヘプタン/AcOEt(50/50)Rf=0.3。
【0106】
過程3。{ベンジルオキシカルボニル−[3−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸の調製。
【0107】
【化24】

【0108】
実施例1の過程3で説明したものと同一の操作手法にしたがうが、先行過程で得られた化合物を用いて、純粋CH2Cl2からCH2Cl2/MeOH(95/5)への溶出勾配によるフラッシュクロマトグラフィーの後、3.6gの対応する酸(収率=53%)が得られた。
TLC SiO2,CH2Cl2/MeOH(95/5)Rf=0.24。
【0109】
過程4および過程5。塩酸塩の形状での2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製。
【0110】
【化25】

【0111】
過程4。
実施例1と同様に、しかし先行過程3で調製した中間体を用いて、4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとの結合によって、53%の収率で白色フォーム状のアミド化合物が得られた。次に、ヘプタンからCH2Cl2/MeOH/NH4OH(90/9/1)混合物への溶出勾配を用いたシリカ上での急速フラッシュクロマトグラフィーを行い、次いで、H2O/CH3CN(60/40)溶出、そしてH2O/CH3CN(35/65)溶出によるC18逆相での分取HPLCを行い、最後にアセトニトリルの蒸発と酢酸エチルによる抽出を行った。
TLC:SiO2 CH2Cl2/MeOH(95/05);Rf=0.35。
【0112】
過程5。
この中間体を実施例1の過程5の操作手法にしたがって脱ベンジル化した。そうして、92%の収率で2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル−アセトアミドの塩酸塩が得られた。
F=267℃;TLC SiO2 CH2Cl2/MeOH/NH4OH(72/25/3)Rf=0.31;SM−ESI m/z=642.2(MH+)。
【実施例3】
【0113】
塩酸塩の形状での2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)−ブチルアミノ]−ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製(a=4、b=4、c=4)。
【0114】
【化26】

【0115】
過程1および過程2。{ベンジルオキシカルボニル−[4−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−ブチル]−アミノ}−酢酸のエチルエステルの調製。
【0116】
過程1。
実施例1の過程1で説明した操作手法を用いて、しかし(4−アミノブチル)−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−ブチル}−カルバミン酸のベンジルエステルを用いて、オイル状の[4−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−ブチルアミノ]−酢酸のエチルエステルを得た。
TLC SiO2 CH2Cl2/MeOH/NH4OH(90/9/1)Rf=0.48。
【0117】
過程2。
この中間体は、あらゆる点で実施例1の過程2で説明したものと類似した方法で行われる次の過程に直接適用した。こうして対応する反応物を用いることで、75%の収率で無色オイル状の{ベンジルオキシカルボニル−[4−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−ブチル]−アミノ}−酢酸のエチルエステルを得た。
TLC SiO2 CH2Cl2/MeOH/NH4OH(95/4.5/0.5)Rf=0.35。
【0118】
過程3。{ベンジルオキシカルボニル−[4−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−ブチル]−アミノ}−酢酸の調製。
【0119】
【化27】

【0120】
実施例1の過程3で説明した操作手法にしたがい、しかし先に得られた化合物を用いることで、純粋CH2Cl2からCH2Cl2/MeOH(90/10)への溶出勾配によるフラッシュクロマトグラフィーの後、88%の収率で対応する酸を得た。
TLC SiO2, CH2Cl2/MeOH(90/10)Rf=0.53。
【0121】
過程4および過程5。塩酸塩の形状での2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)−ブチルアミノ]−ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製。
【0122】
過程4。
実施例1の過程4と同様に、しかし先行過程で調製した中間体を用い、4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと該中間体の結合によって、62%の収率で白色フォーム状のアミド化合物が得られた。CH2Cl2からCH2Cl2/MeOH(95/5)混合物への勾配を用いたシリカ上での急速フラッシュクロマトグラフィーの後、H2O/CH3CN(60/40)溶出、次いでH2O/CH3CN(30/70)溶出によるC18逆相での分取HPLCに続いて、アセトニトリルの蒸発および酢酸エチルによる抽出を行うことで、以下の過程で直接用いることになる中間体を得た。TLC:SiO2 CH2Cl2/MeOH/NH4OH(95/4.5/0.5);Rf=0.24。
【0123】
過程5。
この中間体を実施例1の過程5の操作手法にしたがって脱ベンジル化した。こうして、78%の収率で、2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)−ブチルアミノ]−ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの塩酸塩を得た。
F=263℃;SM−DCI/CH4 m/z=670.5(MH+)。
【実施例4】
【0124】
塩酸塩の形状での2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製(a=4、b=3、R=H)。
【0125】
【化28】

【0126】
過程1および過程2。ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−酢酸のエチルエステルの調製。
【0127】
【化29】

【0128】
過程1。
実施例1の過程1で指示した操作手法を用いて、しかし{3−[(4−アミノブチル)−ベンジルオキシカルボニルアミノ]−プロピル}−カルバミン酸のベンジルエステルを用いることで、オイル状の{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチルアミノ}−酢酸のエチルエステルを得た。
TLC SiO2 CH2Cl2/MeOH/NH4OH(95/4.5/0.5)Rf=0.28,SM−ESI m/z=500.3(MH+)。
【0129】
過程2。
先に得られた中間体は、あらゆる点で実施例1の過程2で説明したものと類似した次の変換に直接適用した。こうして無色オイル状のベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−酢酸のエチルエステルを得た。
TLC SiO2 CH2Cl2/MeOH/NH4OH(95/4.5/0.5)Rf=0.39.SM−APCI m/z=634.3(MH+)
【0130】
過程3。(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−酢酸の調製。
【0131】
【化30】

【0132】
実施例1の過程3で説明したものと同一の操作手法にしたがって、しかし先行過程で得られた化合物を用いて、酸抽出によって収率86%で対応する酸が得られた。
TLC SiO2,CH2Cl2/MeOH(90/10)Rf=0.48。
【0133】
過程4および過程5。塩酸塩の形状での2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製。
【0134】
【化31】

【0135】
過程4。
実施例1の過程4と同様に、しかし先行過程で調製された中間体を用いて、4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと該中間体の結合によって、48%の収率で白色フォーム状のアミド化合物が得られた。ヘプタンからAcOEtへの勾配を用いたシリカ上での急速フラッシュクロマトグラフィーの後、H2O/CH3CN(60/40)溶出、次いでH2O/CH3CN(35/65)溶出によるC18逆相での分取HPLCを行い、そして最後にアセトニトリルの蒸発と酢酸エチルによる抽出を行った。TLC:SiO2 CH2Cl2/MeOH/NH4OH(95/4.5/0.5);Rf=0.30。
【0136】
過程5。
得られた中間体を実施例1の過程5の操作手法にしたがって脱ベンジル化した。79%の収率で、2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの塩酸塩を得た。
F=197℃;SM−ESI m/z=585.3(MH+)。
【0137】
B)t−ブチルオキシカルボニル基を用いる方法。
【実施例5】
【0138】
塩酸塩の形状での2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製(a=3、b=4、c=3)。
【0139】
過程1。3−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピルアミノ]−酢酸のエチルエステルの調製。
【0140】
【化32】

【0141】
120mLのアセトニトリル中にある5.11gのトリBOCスペルミン溶液(Tet.Let.1998,39,439)(10mmol、1当量)に1.7mLのトリエチルアミン(12mmol、1.2当量)を加えた。そして、この溶液に1.13mLのブロモ酢酸エチル(10mmol、1当量)を攪拌下で急速に加えた。常温での1時間にわたる攪拌の後、NaClで飽和した水(300mL)に反応混合液を入れ、酢酸エチル(2×200mL)によって抽出を行った。有機相の乾燥、濾過、蒸発の後、得られた残留物をSiO2上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(純粋ヘプタンから純粋CH2Cl2への勾配、次にCH2Cl2/MeOH−90/10の勾配による溶出)。3.35gの無色オイル(収率=56%)を得た。TLC Rf=0.57(CH2Cl2/MeOH−90/10)。
【0142】
過程2。{t−ブチルオキシカルボニル−[3−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸のエチルエステルの調製。
【0143】
【化33】

【0144】
60mLのTHF中にある3.35gの先行過程1で得られた中間体(5.7mmol、1当量)の室温溶液に、1mLのトリエチルアミン(6.8mmol、1.2当量)を加え、次に攪拌下で1.36gのBOC2O(6.2mmol、1.1当量)の溶液を加え、2時間にわたって攪拌を続けた。次に、反応混合液を水(300mL)に入れ、酢酸エチル(3×200mL)によって抽出した。硫酸ナトリウム上でいったん乾燥させ、濾過した有機相を蒸発させ、SiO2上でのフラッシュクロマトグラフィー(純粋ヘプタンから純粋酢酸エチルへの勾配による溶出)を行うことで、2.52gの無色オイルを得た。収率=64%、TLC Rf=0.43(SiO2 ヘプタン/AcOEt−50/50)。
【0145】
過程3。{t−ブチルオキシカルボニル−[3−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸の調製。
【0146】
【化34】

【0147】
過程2で得られたエステル中間体(2.52g、3.6mmol、1当量)を50mLのEtOH/H2O混合物と5.5mLの1N水酸化ナトリウム溶液における攪拌下での還流によって3時間加熱した。冷たい水(300mL)に入れ、1NのHCl(5.6mL)によって酸性化した。CH2Cl2による抽出、Na2SO4上での乾燥、濾過、蒸発の後、SiO2上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(純粋ヘプタンから純粋CH2Cl2へ、次いでCH2Cl2/MeOH−90/10への溶出勾配)。こうして無色オイル状の2.27gのテトラBOCスペルミン酢酸が得られた。収率=94%。
TLC Rf0.4(SiO2 CH2Cl2/MeOH−90/10)。(文献Tet.Let.1997,38,3219)。
【0148】
過程4および過程5。塩酸塩の形状での2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの調製。
【0149】
過程4。
100mLのアセトニトリル中にある、670mgの4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシン(1.54mmol、1当量)および1.02gの過程3で得られた中間体(1.54mmol、1当量)の攪拌されている溶液に、室温で、0.45mLのトリエチルアミン(3.28mmol、2当量)を加えた。完全な溶解が観察された。そこで0.5gのTBTU(1.54mmol、1当量)を加え、2時間攪拌した。次に300mLの水に反応混合液を入れ、酢酸エチル(3×100mL)によって抽出した。Na2SO4上での有機相の乾燥、濾過、蒸発の後、残留物をSiO2上でフラッシュクロマトグラフィーにかけた(純粋ヘプタンからAcOEtへの勾配による溶出)。92%の純度で得られた化合物を分取HPLC(C18、Sunfire OBD、10μ)によって再びクロマトグラフィーにかけ、CH3CN/H2O−50/50対CH3CN/H2O−65/35によって溶出した。得られた水相を酢酸エチルによって再抽出し、乾燥、蒸発させることで、次の過程に直接適用する800mgの無色オイルが得られた。収率=50%。
TLC SiO2 Rf0.4(CH2Cl2/MeOH/NH4OH−90/9/1)。
【0150】
過程5。
20mLのEtOH中にある、800mgの先に得られた化合物の溶液(0.77mmol、1当量)に、HClで飽和した20mLのイソプロパノール溶液を攪拌下で加えた。攪拌は5時間にわたって維持した。混合液は真空下で蒸発させ、10mLの無水EtOHにとって攪拌した。沈殿物が得られ、該沈殿物を濾過し、真空下で乾燥させた(500mg)。1.54g/LのCH3CN/H2O/AcONH4と2mL/LのAcOHによって溶出させた分取HPLC(C18、Sunfire、OBD、10μ)による精製によって純粋な化合物を得ることができ、該化合物の溶液を凍結乾燥した。その凍結乾燥物を10mLのMeOHにとり、HClイソプロパノール溶液でpH3まで酸性化させた。得られた塩酸塩溶液を蒸発させ、無水EtOHにとった。塩酸塩の形状で、190mg(収率=32%)の2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドが得られた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0151】
【特許文献1】国際公開第2005/100363号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2007/010007号パンフレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Rが水素原子または−(CH2c−NH2基を表し、2≦a,b,c≦5である一般化学式1のエピポドフィロトキシンの(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド誘導体および該誘導体の薬学的に許容可能な塩の調製方法であり、
【化1】

化学式4−2の4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンを、
【化2】

Pがアミン官能基の保護基を表し、R’がHまたは2≦c≦5である−(CH2c−NHP鎖を表す化学式6の化合物、
【化3】

とペプチド結合する過程を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
アミン官能基の保護基がベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化学式1の化合物が塩酸塩の形状であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと、{ベンジルオキシカルボニル−[3−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸または3−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピルアミノ]−酢酸とをペプチド結合させる過程を含むことを特徴とする、塩酸塩の形状で2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドを調製する、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと、(ベンジルオキシカルボニル−{3−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)−酢酸または(t−ブチルオキシカルボニル−{3−[t−ブチルオキシカルボニル−(4−t−ブチルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)−酢酸とをペプチド結合する過程を含むことを特徴とする、2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの塩酸塩を調製する、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと、{ベンジルオキシカルボニル−[4−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−ブチル]−アミノ}−酢酸または{t−ブチルオキシカルボニル−[4−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(4−t−ブチルオキシカルボニルアミノブチル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−ブチル]−アミノ}−酢酸とをペプチド結合させる過程を含むことを特徴とする、2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)−ブチルアミノ]−ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの四塩酸塩を調製する、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンと、(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−酢酸または(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−酢酸とをペプチド結合する過程を含むことを特徴とする、2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドの塩酸塩を調製する、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
a)ハロ酢酸アルキルを用いて、化学式5の第一級アミン反応物に酢酸モチーフをグラフトする過程と、
【化4】

b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを保護基Pで保護する過程と、
c)過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化することで、化学式6のポリアミノ酢酸を得る過程と、
d)過程c)で得られた化学式6のポリアミノ酢酸を4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとペプチド結合する過程と、
e)先行過程で得られた化合物から保護基Pを除去することで、一般化学式1の化合物に到達する過程、
を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の一般化学式1の誘導体を調製する方法。
【請求項9】
用いられる保護基Pがベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
過程a)で用いられるハロ酢酸アルキルが、ブロモ酢酸エチル、クロロ酢酸エチルまたはヨード酢酸エチルであることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
a)ブロモ酢酸エチルを用いて酢酸モチーフを{4−[(3−アミノプロピル)−ベンジルオキシカルボニルアミノ]ブチル}−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−カルバミン酸のベンジルエステルまたはトリBOCスペルミンにグラフトすることで、[3−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸のエチルエステルまたは3−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピルアミノ]−酢酸のエチルエステルを得る過程と、
b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを、ベンジルオキシカルボニル基あるいはt−ブチルオキシカルボニル基である保護基によって保護する過程と、
c)過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化することで、{ベンジルオキシカルボニル−[3−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸あるいは{t−ブチルオキシカルボニル−[3−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸を得る過程と、
d)過程c)で得られた化合物を4−アミノ−4’−デメチルエピポドフィロトキシンとペプチド結合する過程と、
e)先行過程で得られた化合物からベンジルオキシカルボニル保護基またはt−ブチルオキシカルボニル保護基を除去する過程、
を含むことを特徴とする、請求項8〜請求項10のいずれか一つに記載の、塩酸塩の形状で2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドを調製する方法。
【請求項12】
過程a)および過程c)で用いられる化学式5および化学式6の化合物がa=3、b=4かつR’=Hである化合物であることを特徴とする、請求項8〜請求項10のいずれか一つに記載の、塩酸塩の形状で2−[3−(4−アミノブチルアミノ)−プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドを調製する方法。
【請求項13】
過程a)および過程c)で用いられる化学式5および化学式6の化合物がa=4、b=4かつc=4である化合物であることを特徴とする、請求項8〜請求項10のいずれか一つに記載の、塩酸塩の形状で2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)−ブチルアミノ]−ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドを調製する方法。
【請求項14】
過程a)および過程c)で用いられる化学式5および化学式6の化合物がa=4、b=3かつR’=Hである化合物であることを特徴とする、請求項8〜請求項10のいずれか一つに記載の、塩酸塩の形状で2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソル−5−イル]−アセトアミドを調製する方法。
【請求項15】
a)ハロ酢酸アルキルを用いて、化学式5の第一級アミン反応物に酢酸モチーフをグラフトする過程と、
【化5】

b)先行過程a)で得られた化合物の第二級アミンを保護基Pによって保護する過程と、
c)過程b)で得られた化合物を塩基性媒体で鹸化することで、化学式6のポリアミノ酢酸を得る過程、
を含むことを特徴とする、
【化6】

化学式6の化合物の調製方法。
【請求項16】
保護基Pがベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基であることを特徴とする、請求項15に記載の化学式6の化合物の調製方法。
【請求項17】
過程a)で用いられるハロ酢酸アルキルが、ブロモ酢酸エチル、クロロ酢酸エチルまたはヨード酢酸エチルであることを特徴とする、請求項15または請求項16に記載の、一般化学式6の化合物の調製方法。
【請求項18】
a)ブロモ酢酸エチルを用いて、a=3、b=4、R’=−(CH23−NHP、Pがベンジルオキシカルボニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基である化学式5の第一級アミン反応物に酢酸モチーフをグラフトする過程と、
b)過程a)で得られた化合物の第二級アミンを過程a)で選択された保護基と同じ保護基によって保護する過程と、
c)過程b)で得られた化合物を鹸化する過程、
を含むことを特徴とする、請求項15〜請求項17のいずれか一つに記載の、一般化学式6の化合物、つまり、{ベンジルオキシカルボニル−[3−(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸または{t−ブチルオキシカルボニル−[3−(t−ブチルオキシカルボニル−{4−[t−ブチルオキシカルボニル−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸を調製する方法。
【請求項19】
過程a)で用いられる化学式5の化合物がa=3、b=4かつR’=Hの化合物であることを特徴とする、請求項15〜請求項17のいずれか一つに記載のa=3、b=4かつR’=Hである化学式6の化合物の調製方法。
【請求項20】
過程a)で用いられる化学式5の化合物がa=4、b=4かつc=4の化合物であることを特徴とする、請求項15〜請求項17のいずれか一つに記載の、a=4、b=4かつc=4である化学式6の化合物の調製方法。
【請求項21】
過程a)で用いられる化学式5の化合物がa=4、b=3かつR’=Hの化合物であることを特徴とする、請求項15〜請求項17のいずれか一つに記載の、a=4、b=3かつR’=Hである化学式6の化合物の調製方法。
【請求項22】
請求項1に記載の一般化学式1の化合物を調製するための、請求項15〜請求項21にしたがって調製される一般化学式6の化合物の使用。
【請求項23】
以下の化学式の(ベンジルオキシカルボニル−{3−[ベンジルオキシカルボニル−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−ブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)−酢酸。
【化7】

【請求項24】
以下の化学式の(ベンジルオキシカルボニル−{4−[ベンジルオキシカルボニル−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−プロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−酢酸。
【化8】

【請求項25】
以下の化学式の(tert−ブトキシカルボニル−{3−[tert−ブトキシカルボニル−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ブチル)−アミノ]−プロピル}−アミノ)酢酸。
【化9】

【請求項26】
以下の化学式の(tert−ブトキシカルボニル−{4−[tert−ブトキシカルボニル−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−酢酸。
【化10】


【公表番号】特表2010−540506(P2010−540506A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526342(P2010−526342)
【出願日】平成20年9月23日(2008.9.23)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051700
【国際公開番号】WO2009/050365
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(504249145)
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE MEDICAMENT
【Fターム(参考)】