説明

抗コリン作用薬を含有する安定な粉末製剤

【課題】式の化合物i)及び適切な埋め込み材料ii)を含有する安定な噴霧乾燥粉末製剤の提供。
【解決手段】
本発明は、以下の成分i)〜iii)を含有する粒子を含む噴霧乾燥粉末製剤に関する: i)抗コリン作用薬、特に式の少なくとも一つの化合物(式中、X - は、負に荷電したアニオンを示す)、ii)単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールからなる群より選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料、iii)アスコルビン酸、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸、好ましくはフマル酸、シュウ酸、又はアセト酢酸、及びフルーツ酸又は料理用酸、好ましくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸からなる群より選ばれる、生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸。本発明は、また、前記製剤の製造方法、及び式の前記化合物i)及び適切な埋め込み材料ii)を含有する噴霧乾燥によって製造される粉末製剤を安定化するための、アスコルビン酸、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸、好ましくはフマル酸、シュウ酸、又はアセト酢酸、及びフルーツ酸又は料理用酸、好ましくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸からなる群より選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の使用に関する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の成分i)〜iii)を含有する粒子を含む噴霧乾燥粉末製剤に関する:
i)抗コリン作用薬、特に式の少なくとも一つの化合物
【0002】
【化1】

1,
【0003】
(式中、X - は、負に荷電したアニオンを示す)、
ii)単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールより選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料、
iii)アスコルビン酸、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸、好ましくはフマル酸、シュウ酸又はコハク酸、及びフルーツ酸又は料理用酸、好ましくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸より選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される酸。
本発明は、また、上記噴霧乾燥粉末製剤を調製する方法に関する。更に、本発明は、
i)抗コリン作用薬、特に式の少なくとも一つの化合物
【0004】
【化2】

1,
【0005】
(式中、X - は、負に荷電したアニオンを示す)、
ii)単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールより選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料
を含有する噴霧乾燥によって調製される粉末製剤を安定化するための、アスコルビン酸、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸、好ましくはフマル酸、シュウ酸又はコハク酸、及びフルーツ酸又は料理用酸、好ましくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸より選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の使用に関する。
【背景技術】
【0006】
の化合物は、WO 02/30928から既知である。これらは、有益な薬理学的性質を有し、呼吸器疾患の治療において、特に炎症性及び/又は閉塞性疾病の治療において、特に喘息又はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療において、極めて効果的な抗コリン作用薬として治療効果を示すことができる。
の少なくとも一つの化合物を含有する適切な粉末製剤は、種々の要件を満たさなければならない:
・粉末製剤は、“呼吸用”であるために、即ち、肺への局所適用を可能にするために、“吸入用”である粒子を含有しなければならない、即ち、粒子は、比較的小さい平均径、好ましくは≦10μmを有するものでなければならない
・粉末製剤は、長期間にわたって周囲温度で貯蔵される場合に充分な安定性を有するものでなければならない
・粒子における個々の成分i)〜iii)の均一な分配。
粒子の幾何学的平均直径は、例えば、乾燥分散(Rodos 3バール)によるSympatec(焦点距離50mm)製のレーザを用いたレーザ回折プロセスによって、実験的に求めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
その結果、本発明の目的は、上記条件を満たす、活性物質として、抗コリン作用薬、特に式の化合物を含有する粉末製剤を提供することであった。
粉末製剤を調製するために、例えば、好ましくはエアジェットミルを用いて、活性物質を微粉化する選択肢がある。しかしながら、式の化合物を微粉化する場合に多くの欠点に直面する。従って、例えば、活性物質として式の化合物を含有する微粉化粉末製剤は、一般に、水分作用によって短時間後に粒子成長を示し、その結果、粒子はある種の条件下にのみ“呼吸用”である。更に、式の化合物が微粉化される場合、活性物質 - 即ち、式の化合物 - が全体として製剤に均一に分配されないという欠点がある。式の化合物に所望される治療的に有効な用量は、全製剤に基づき約1%の活性物質で、非常に少量であり、その結果、簡単に微粉化と混合によって全製剤中にこの少量の活性物質の一様な分配を達成することはほとんど可能でない。
粉末製剤を調製する他の可能な方法は、噴霧乾燥によって製剤を調製することである。活性物質と適切な不活性の埋め込み材料の溶液は、好ましくはノズルを用いて噴霧されて、次いで熱風流れにおいて乾燥させる。しかしながら、噴霧乾燥によって活性物質と適切な埋め込み材料として式の少なくとも一つの化合物を含有する粉末製剤を調製する場合、式の化合物の化学安定性に関して厳しい問題に直面する。噴霧乾燥の間、式の化合物と適切な埋め込み材料だけを含有する溶液が噴霧され、次いで乾燥される場合には、式の化合物の大幅な化学分解につながる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
しかしながら、驚くべきことに、以下の成分i)〜iii)を含有する粒子を含む噴霧乾燥粉末製剤:
i)抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物
【0009】
【化3】

【0010】
(式中、X - は、負に荷電したアニオンを示す)、
ii)単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールより選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料、及び
iii)アスコルビン酸、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸、好ましくはフマル酸、シュウ酸又はコハク酸、及びフルーツ酸又は料理用酸、好ましくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸より選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸
が周囲温度で(40°Cまでの温度でさえ)長期間に化学的に且つ物理的に安定であることが分かった。
【発明の効果】
【0011】
この改善された安定性は、特に、抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物に対する、好ましくは、アスコルビン酸、アミノカルボン酸を除く一価、二価又は三価のカルボン酸、より好ましくはフマル酸、シュウ酸又はコハク酸、及びフルーツ酸又は料理用酸、好ましくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸より選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の安定化作用によってもたらされる。更に、本発明の粉末製剤は、吸入用、即ち、呼吸用の粒径、また、粒子における式の化合物の均一な分配を有する。従って、本発明の粉末製剤は、活性物質として式の化合物を含有する粉末製剤が満たされなければならないすべての要求を満たしている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の吸入用粉末を含有するカプセルを投与する吸入器である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の噴霧乾燥粉末製剤は、好ましくは、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸として、アスコルビン酸、一価、二価又は三価のカルボン酸(アミノカルボン酸を除く)及びフルーツ酸又は料理用酸より選ばれる酸を含有する。
一価、二価又は三価のカルボン酸は、本発明のためには、アミノカルボン酸を除く、いずれの場合においても一つ、二つ又は三つのカルボキシル基を有するC2-〜C10-、好ましくはC3-〜C6-カルボン酸を意味し、フマル酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸が好ましく、クエン酸が特に好ましい。
料理用酸又はフルーツ酸は、好ましくは、本発明のためには、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸、特に好ましくはクエン酸より選ばれる酸を意味する。
他の好ましい実施態様において、噴霧乾燥粉末製剤は、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸をi)の抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物、及びii)の少なくとも一つの埋め込み材料を含有する噴霧可能な溶液を得るのに必要とされる濃度で含有する、pH<7、好ましくは≦6、好ましくは≦5、特に≦4。
特に好ましくは、噴霧乾燥粉末製剤は、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸としてクエン酸をi)の抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物、及びii)の少なくとも一つの埋め込み材料を含有する噴霧可能な溶液を得るのに必要とされる濃度で含有する、pH<7、好ましくは≦6、好ましくは≦5、特に≦4。
【0014】
更に、驚くべきことに、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸に加えて、生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩の存在が、本発明の噴霧乾燥粉末製剤の化学安定性に対して明らかに有利な作用を有することが分かった。その結果、特に好ましい実施態様において、本発明の上述の噴霧乾燥粉末製剤は、更に、好ましくは、アスコルビン酸塩、アミノカルボン酸の塩を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸の塩、好ましくはフマル酸塩、シュウ酸塩又はコハク酸塩、及びフルーツ酸又は料理用酸の塩、好ましくはクエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、酢酸塩、α-ヒドロキシカプロン酸塩又はグルコン酸塩より選ばれる、生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩を含有する。クエン酸塩が特に好ましい。iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸のこの付加塩は、好ましくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又は亜鉛塩、好ましくはアルカリ金属クエン酸塩、アルカリ土類金属クエン酸塩又はクエン酸亜鉛、特に好ましくはクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム又はクエン酸亜鉛である。
アスコルビン酸塩、アミノカルボン酸の塩を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸の塩、好ましくはフマル酸塩、シュウ酸塩又はコハク酸塩、及びフルーツ酸又は料理用酸の塩、好ましくはクエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、酢酸塩、α-ヒドロキシカプロン酸塩又はグルコン酸塩及びより選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩は、好ましくは、i)の抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物と塩のカチオンのモル比が1:1〜1:12、好ましくは1:2〜1:10、特に1:3〜1:8であるような濃度で用いられる。
本発明の噴霧乾燥粉末製剤は、好ましくは、X - が塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸アニオンより選ばれるアニオン、特に臭素アニオンである、式の化合物を含む。
【0015】
好ましい実施態様において、噴霧乾燥粉末製剤は、抗コリン作用薬、好ましくはi)の式の上で定義した化合物を、固形分に基づき0.01〜5%の濃度で、好ましくは固形分に基づき0.02〜2%の濃度で、特に固形分に基づき0.05〜1%の濃度で含む。
他の好ましい実施態様において、噴霧乾燥粉末製剤は、埋め込み材料ii)として、グルコース、フルクトース、アラビノース、マンニトール、サッカロース、マルトース、ラクトース、セロビオース及びトレハロースより選ばれる単糖類又は二糖類含む。
他の好ましい実施態様において、噴霧乾燥粉末製剤は、埋め込み材料ii)として、オリゴマルトース、オリゴフルクトース、シクロデキストリン、デキストラン、デキストリン(例えば、シクロデキストリン、例えばα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、χ-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びオリゴサッカロースより選ばれるオリゴ糖を含む。
他の好ましい実施態様において、噴霧乾燥粉末製剤は、埋め込み材料ii)として、イヌリン、アルギン酸塩、マルトデキストリン、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体、PVP(plasdone)、ゼラチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、アラビアゴム、ポリラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)及びポリビニルアルコールより選ばれるポリマーを含む。
他の好ましい実施態様において、噴霧乾燥粉末製剤は、埋め込み材料ii)として、マンニトール、キシリトール及びソルビトロールより選ばれる糖アルコールを含む。
他の好ましい実施態様として、噴霧乾燥粉末製剤は、埋め込み材料ii)として、コレステロールを含む。
他の好ましい実施態様において、本発明の噴霧乾燥粉末製剤は、成分i)〜iii)に加えて他の生理的に許容され得る賦形剤を含む。本発明の噴霧乾燥粉末製剤を調製するために用いることができる生理的に許容され得る賦形剤の例としては、例えば塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム等、特に、これらの水和物の形には限定されない、錯化剤、香味剤、防腐剤及びビタミンが挙げられる。
【0016】
他の好ましい実施態様において、本発明の噴霧乾燥粉末製剤は、空気動力学的直径中央値が≦15μm、好ましくは≦10μm、特に≦5μmである粒子を含む。“吸入用”である粒子を含有する本発明の噴霧乾燥粉末製剤が特に好ましい。本発明の範囲内の“吸入用粒子”又は“呼吸用粒子”は、これらの粒子が肺に局所適用を達成するのに充分小さい空気動力学的直径中央値を有することを意味する。これは、特に粒子の空気動力学的直径中央値が≦10μmである場合である。
空気動力学的直径中央値(MMAD)は、MMADを決定することに関する欧州薬局方、2000年追補に記載されるカスケードインパクタ法によって実験的に求めることができる。
の化合物は、好ましくは、吸入により投与される。吸入用溶液だけでなく、好ましくは、適切なカプセル(インハレット)に装填され、対応する粉末吸入器を用いて投与される、適切な吸入用粉末を用いることも可能である。
本発明の吸入用粉末は、例えば、計量チャンバ(例えばUS 4570630A)を用いてリザーバーから一回量を送達する吸入器を用いて又は他の種類の装置(例えばDE 36 25 685 A)によって投与することができる。
或いは、また、本発明と等しく重要なことに、本発明の吸入用粉末は、多くの個別に包装された用量(予め定量された乾燥粉末吸入器)の吸入用粉末を含有する吸入器を用いて投与することができる。個別に包装された用量の数は、マルチドーズブリスターの形で、特に円形に配置されるウェルに多くの一回量の粉末を保持することができる円形ディスクの形で供給することができる。或いは、複数の個別に包装された用量は、ブリスター小片の形で配置されてもよい。
或いは、また、本発明と等しく重要なことに、本発明の吸入用粉末は、例えばWO 94/28958に記載されるように、吸入器に用いられるカプセルに装填されてもよい。
好ましくは、図1に示されるように、本発明の吸入用粉末を含有するカプセルは吸入器を用いて投与される。
【0017】
この吸入器は、二つの窓2を含有するハウジング1、空気注入口があり且つスクリーンハウジング4を介して固定されたスクリーン5を備えるデッキ3、二つ鋭いピン7とスプリング8に移動可能なカウンタを備えた押しボタン9があるデッキ3に接続される吸入チャンバ6、及び開閉を反転させることを可能にするスピンドル10と流れ抵抗を調整するための空気穴13を介してハウジング1、デッキ3及びカバー11に接続されるマウスピース12を特徴とする。
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の粉末は、US 5,590,645による吸入器に用いられる。US 5,590,645の開示内容は、本願明細書に全体で含まれるものとする。US 5590645には、薬剤パッケージを用いる吸入装置であって、粉末医薬組成物のための少なくとも一つの容器が二枚の除去紙により画成されている、前記吸入装置が記載されている。
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の粉末製剤は、US 4,627,432による吸入器に用いられる。US 4,627,432の開示内容は、本願明細書に全体で含まれるものとする。US 4,627,432には、担体、例えば、ブリスターパックを収容するための円筒形チャンバを含有するハウジングを備えている患者に薬剤を投与するための吸入器が記載されている。ブリスターパックは、円形に配置された複数の容器又はブリスターを備える。ブリスターパックがホルダーにより収容されると、そのブリスタは、ホルダー内の穴に置かれる。プランジャは、穴を通ってチャンバの中に入り、それによって、その中に含有するブリスターを開放するように配置される。ブリスタが開放される場合、患者は、吸入によってマウスピースを通って薬剤を取り出すことができる。外部要素を用いて、次のブリスターがピストンによって接触することできるようにホルダーを回転させる。空気は、ブリスターパックをホルダー内のチャンバに装填させるのに取り外し可能である、カバー内の穴を通ってチャンバに入ることができる。
【0018】
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の粉末製剤は、WO 95/16483による吸入器に用いられる。WO 95/16483の開示内容は、本願明細書に全体で含まれるものとする。WO 95/16483には、円筒形容器をもったハウジングを含有する、粉末医薬組成物の投与量を分配するための吸入器が記載されている。容器は、複数のらせん状に配置されたコンパートメントを有し、そのすべてが医薬組成物の投与量を保持している。医薬組成物をコンパートメントから放出するために、このコンパートメントは、割り出しメカニズムを用いて吸入器の空気の通り道に配置されなけならず、使用者は、ハウジングのマウスピースによって吸引し、このマウスピースは空気の通り道の空気の出口と連通している。空気の通り道を通る空気の流れは、材料の一回量を放出させる。容器は、交換可能カートリッジであってもよい。
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の粉末製剤は、WO 95/31238による吸入器に用いられる。WO 95/31238の開示内容は、本願明細書に全体で含まれるものとする。WO 95/31238には、容器を収容するためのハウジングを有し、容器が薬剤の個々に封入された投与量を含有する複数の密封された開口を有する、粉末医薬組成物の一回量を分配するための吸入器が記載されている。容器は、マウスピースと連通している空気の通り道にそれぞれが連続して開放させるためにハウジングと相対して移動可能であってもよい。吸入器は、対応するシールを壊して開けるように選ばれた開口に挿入し得る、貫通する部材、例えば、ボルトを含有する。ボルトの構成と運動は、ほとんどの粉末がプロセスに放出されないように調整されている。
【0019】
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の粉末製剤は、WO 02/26302による吸入器に用いられる。WO 02/26302の開示内容は、本願明細書に全体で含まれるものとする。WO 02/26302には、投与量が一放出ゾーンから空気の通り道の出口まで移動する空気の通り道を有する、粉末医薬組成物の一回量を分配するための吸入器が記載されている。空気の通り道は、空気の通り道の一部に流れ込むとともにる放出ゾーンから出口まで達する空気ポケットを形成するように配置される注入部材を有する。空気ポケットは、前記投与量を取り囲み、それによって、空気の通り道の壁に衝突することを防止する。これにより、空気の通り道の壁上に材料が蓄積するのが減少し、このようにして吸入器の性能の一貫性が改善される。好ましくは、注入部材は、高速気流の流れを生じるためのネックを有し、放出ゾーンの前に低圧のゾーンを形成するので、投与量の放出が容易になる。
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の粉末製剤は、WO 05/002654の吸入器に用いられる。WO 05/002654の開示内容は、本願明細書に全体で含まれるものとする。
WO 05/002654には、圧力を対向する面に加えることによって、カバーフィルムを外側から破裂させることによってディスク形状の担体における対応するポーチから粉末医薬組成物の個々の投与量を別々に分配するための吸入器が器されている。吸入器は、各ポーチに対応する個々の分割プロセスと、医薬組成物の改善された流れを可能にするスプリット空気流と、ポーチの外部破壊のためのスイッチ開閉機構と、個々の投与量のためのカウンタとを有する。
本発明は、更に、粒子を含有する粉末製剤を調製する方法であって、以下の工程:
a)適切な溶媒中で、成分i)〜iii)を含む溶液を調製する工程:
i)抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物
【0020】
【化4】

1,
【0021】
X - は、負に荷電したアニオンを示す)、
ii)単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールより選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料、
iii)アスコルビン酸、アミノカルボン酸を除く一価、二価又は三価のカルボン酸、好ましくはフマル酸、シュウ酸又はコハク酸、及びフルーツ酸又は料理用酸、好ましくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸及びより選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸;
b)工程a)からの溶液を熱風流れに噴霧する工程;
c)工程b)からの噴霧した溶液を粒子を含有する粉末乾燥させる工程;
d)工程c)からの粉末をサイクロン及び/又はフィルタを用いて分離させる工程
を含む、前記方法に関する。
工程a)〜d)が行われるいかなる電流噴霧乾燥装置も本発明の方法に用いることができる。
工程a)において、適切な溶媒中の成分i)〜iii)の溶液が調製される。
好ましくは、式の化合物におけるX - は、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸アニオンより選ばれるアニオン、特に臭素アニオンを示す。
【0022】
工程a)から溶液は、好ましくは、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸として、アスコルビン酸、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸、及びフルーツ酸又は料理用酸より選ばれる酸を含有する。
一価、二価又は三価のカルボン酸は、本発明のためには、アミノカルボン酸を除く、いずれの場合においても一つ、二つ又は三つのカルボキシル基を有するC2-〜C10、好ましくはC3-〜C6-カルボン酸を意味し、フマル酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸が好ましく、クエン酸が特に好ましい。
料理用酸又はフルーツ酸は、好ましくは、本発明のためには、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸、特に好ましくはクエン酸より選ばれる酸を意味する。
本発明の方法の他の好ましい実施態様において、すでにi)による抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物、及びii)の少なくとも一つの埋め込み材料を含有する工程a)からの溶液に、工程b)による噴射前の溶液のpHが、<7、好ましくは≦6、好ましくは≦5、特に≦4を有するように充分な量のiii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸が添加される。
本発明の方法の他の好ましい実施態様において、すでにi)の抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物、及びii)の少なくとも一つの埋め込み材料を含有する工程a)からの溶液に、工程b)による噴射前の溶液のpHが、<7、好ましくは≦6、好ましくは≦5、特に≦4を有するように充分な量のクエン酸が添加される。
【0023】
他の特に好ましい実施態様において、工程a)から溶液は、成分i)〜iii)に加えて、好ましくはアスコルビン酸塩、アミノカルボン酸の塩を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸の塩、好ましくはフマル酸塩、シュウ酸塩又はコハク酸塩、及びフルーツ酸又は料理用酸の塩、好ましくはクエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、酢酸塩、α-ヒドロキシカプロン酸塩又はグルコン酸塩より選ばれる、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩を含有する。クエン酸塩が特に好ましい。iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸のこの付加塩は、好ましくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又は亜鉛塩、好ましくはアルカリ金属クエン酸塩、アルカリ土類金属クエン酸塩又はクエン酸亜鉛、特に好ましくはクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム又はクエン酸亜鉛である。
好ましくは、溶液における、生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸、好ましくはクエン酸と、生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩、好ましくはクエン酸塩の比は、i)の抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物及びii)の少なくとも一つの埋め込み材料を含有する工程a)において、調製された溶液のpHが<7、好ましくは≦6、好ましくは≦5、特に≦4であるように調整される。
好ましくは工程a)において、用いられる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩の濃度は、i)の抗コリン作用薬、特に式の化合物と塩のカチオンのモル比が1:1〜1:12、好ましくは1:2〜1:10、特に1:3〜1:8を得るような濃度である。
好ましくは、用いられる埋め込み材料ii)は、グルコース、サッカロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、セロビオース及びトレハロースより選ばれる単糖類又は二糖類、オリゴマルトース、オリゴフルクトース、シクロデキストリン、デキストリン及びオリゴサッカロースより選ばれるオリゴ糖、イヌリン、アルギン酸塩、マルトデキストリン、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体、PVP(plasdone)、ゼラチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、アラビアゴム、ポリラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)及びポリビニルアルコールより選ばれるポリマー、マンニトール、キシリトール及びソルビトロールより選ばれる糖アルコール又はコレステロールである。しかしながら、用いられる特に好ましい埋め込み材料ii)は、ラクトース、トレハロース及びマンニトール、特にラクトースである。
【0024】
好ましくは、i)の式の化合物は、溶媒に0.04g/100ml〜0.4g/100mlの濃度で溶解し、ii)の埋め込み材料は、溶媒に5g/100ml〜15g/100mlの濃度で溶解し、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸は、pHが<7、好ましくは≦6、好ましくは≦5、特に≦4を得るような濃度で添加される。
用いられる溶媒は、水、いかなる適切な有機溶媒も、水と有機溶媒の混合物及び異なる有機溶媒の混合物であってもよい。溶媒として水、エタノール及びエタノール/水混合物を用いることが好ましい。
本発明の方法の特に好ましい実施態様において、工程a)からの溶液を工程b)に噴霧することは、ノズルを用いて行われる。このノズルは、好ましくは、流圧又は圧縮空気又は不活性ガスによって作動させる。噴霧圧力は、例えば、ほぼ<20μm小滴サイズを形成するような圧力である。噴霧溶液の小滴サイズは、例えば、Sympatec(焦点距離50mm、Mie評価)製レーザを用いたレーザ回折プロセスによって、実験的に求めることができる。好ましくは、工程b)からの熱風の流れは、100〜350°C、特に120〜200°Cの温度である。
本発明の方法の他の好ましい実施態様において、工程c)における乾燥後、空気動力学的直径中央値が≦15μm、好ましくは≦10μm、特に≦5μmである噴霧乾燥粒子が得られる。工程c)における乾燥後、“吸入用”である、即ち、肺への局所適用を可能にするのに充分小さい直径を有する噴霧乾燥粒子が得られる本発明の方法が特に好ましい。
本発明は、更に、本発明の上述の方法の一つによって得ることができる粒子を含有する噴霧乾燥粉末製剤に関する。
本発明は、更に、以下の成分i)〜ii)を含有する、噴霧乾燥によって調製される粉末製剤を安定化するための、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸、好ましくはアスコルビン酸、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸、好ましくはフマル酸、シュウ酸又はコハク酸、及びフルーツ酸又は料理用酸、好ましくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸の使用に関する:
i)抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物
【0025】
【化5】

1,
【0026】
(式中、X - は、負に荷電したアニオンを示す)、
ii) 単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールより選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料。
特に好ましくはiii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸は、i)の抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物及びii)の少なくとも一つの埋め込み材料を含有する噴霧可能な溶液のために得られるpHが<7、好ましくは≦6、好ましくは≦5、特に≦4であるように噴霧乾燥される溶液の濃度で用いられる。
他の特に好ましい実施態様において、好ましくは、アスコルビン酸塩、アミノカルボン酸の塩を除く一価、二価又は三価のカルボン酸塩、好ましくはフマル酸塩、シュウ酸塩又はコハク酸塩、及びフルーツ酸又は料理用酸の塩、好ましくはクエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、酢酸塩、α-ヒドロキシカプロン酸塩又はグルコン酸塩より選ばれる、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩は、以下の成分i)〜ii)を含有する、噴霧乾燥により調製される粉末製剤を安定化するために用いられる:
i)式の化合物
【0027】
【化6】

1,
【0028】
(式中、X - は、負に荷電したアニオンを示す)、
ii)単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールより選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料。
生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸のこの付加塩は、好ましくは、i)の抗コリン作用薬、特に式の化合物と塩のカチオンとのモル比が1:1〜1:12、好ましくは1:2〜1:10、特に1:3〜1:8であるような濃度で用いられる。
他の特に好ましい実施態様において、好ましくはアスコルビン酸、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸、好ましくはフマル酸、シュウ酸又はコハク酸、及びフルーツ酸又は料理用酸、好ましくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸より選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸と、好ましくは、アスコルビン酸塩、アミノカルボン酸の塩を除く一価、二価又は三価のカルボン酸の塩、好ましくはフマル酸塩、シュウ酸塩又はコハク酸塩、及びフルーツ酸又は料理用酸の塩、好ましくはクエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、酢酸塩、α-ヒドロキシカプロン酸塩又はグルコン酸塩より選ばれる、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩の混合物が、以下の成分i)〜ii)を含有する、噴霧乾燥によって調製される粉末製剤を安定化するために用いられる:
i)式の化合物
【0029】
【化7】

1,
【0030】
(式中、X - は、負に荷電したアニオンを示す)、
ii)単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールより選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料。
クエン酸とクエン酸塩、好ましくはアルカリ金属クエン酸塩、アルカリ土類金属クエン酸塩又はクエン酸亜鉛、特にクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム又はクエン酸亜鉛の混合物を用いることが特に好ましい。
好ましくは、溶液における、生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸、好ましくはクエン酸と、生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩、好ましくはクエン酸塩との比は、工程a)で調製された溶液のpHが<7、好ましくは≦6、好ましくは≦5、特に≦4であるように調整される。
好ましくは、用いられる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩の濃度は、i)の抗コリン作用薬、特に式の化合物と塩のカチオンとのモル比が1:1〜1:12、好ましくは1:2〜1:10、特に1:3〜1:8を得るような濃度である。
好ましくは、式の化合物におけるX - は、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸アニオンより選ばれるアニオン、特に臭素アニオンを示す。
好ましくは、用いられる埋め込み材料ii)は、グルコース、サッカロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、セロビオース及びトレハロースより選ばれる単糖類又は二糖類、オリゴマルトース、オリゴフルクトース、シクロデキストリン、デキストリン及びオリゴサッカロースより選ばれるオリゴ糖、イヌリン、アルギン酸塩、マルトデキストリン、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体、PVP(plasdone)、ゼラチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、アラビアゴム、ポリラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)及びポリビニルアルコールより選ばれるポリマー、マンニトール、キシリトール及びソルビトロールより選ばれる糖アルコール又はコレステロールである。しかしながら、用いられる特に好ましい埋め込み材料ii)は、ラクトース、トレハロース及びマンニトール、特にラクトースである。
本発明は、また、好ましくは上文に記載される吸入器を用いて、呼吸器疾患を治療する、特にCOPD及び/又は喘息を治療する医薬組成物を調製するための本発明の噴霧乾燥粉末製剤の使用に関する。
【実施例】
【0031】
製剤実施例:
クエン酸による工程a)の溶液


【0032】
クエン酸とクエン酸塩による工程a)の溶液:


【0033】
調製実施例:
噴霧乾燥粉末製剤(クエン酸による):
実施例1:Ba679と吸入用粒子を製造するのに適した噴霧パラメーター
方法:
溶媒をエーレンマイヤーフラスコに入れる。埋め込み材料を、激しく撹拌しながら(例えば、マグネチックスターラを用いて)バッチ方式で添加し、必要により加熱しながらでもよい。溶液が透明でなるとすぐに、pHをクエン酸でpH 3に調整し、式の化合物を添加する。それが完全に溶解されると、直ちに噴霧乾燥を行う。0.5mmの二元物質改良ノズルと連結した改良BUECHI Mini-Spray Dryer(B-191)を用い、プロセスガスとノズルガスとしてN2だけを用いて、噴霧乾燥を行う。本質的にすべてのガラス要素を金属部品に置き換え、アスピレータを取り外す。N2をプロセスガス注入口を通って乾燥ガス(約35m3/h)として送られるので超過圧の装置にガスが流れ込む。サイクロンとアスピレータとの間の出口フィルターは取り外されており、サイクロン直後の出ていくガスを、統合した微粒子フィルターをもったエクストラクタに迂回させる。二元物質ノズルは、ステンレス鋼でできており、混合針とノズル止めナットをもった0.5mmのノズルキャップを、中央噴射ユニットとして保持される。ノズルガススループットの質量流量を、外部計測器(Kobold MAS 3015)を用いて求め、第一のフローティング流量計から外す。通常、ノズルは、約6バール超過圧のガス圧力で作動させる。プロセスガスの入口温度は、150°Cである。噴霧液の質量流量は、82±3°Cの出口温度を得るように選ばれなければならない。噴霧乾燥が終わった後、粉末は、直ちに取り出されなければならず、水分の不在下で貯蔵され或いは更に処理されなければならない。用いられるプロセスパラメーターを表1に示す。
【0034】
表1. 噴霧乾燥パラメーター

【0035】
噴霧乾燥粉末製剤(クエン酸とクエン酸塩による):
方法:
溶媒をエーレンマイヤーフラスコに入れる。埋め込み材料を、激しく撹拌しながら(例えば、マグネチックスターラを用いて)バッチ方式で添加し、必要により加熱しながらでもよい。溶液が透明でなるとすぐに、有機酸の塩を添加し、pHをクエン酸でpH 3に調整する。次いで、式の化合物を添加する。それが完全に溶解されると、直ちに噴霧乾燥を行う。
実施例1に記載されるように、噴霧乾燥を行う。用いられるプロセスパラメーターを表2に示す。
【0036】
表2. 噴霧乾燥パラメーター


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分i)〜iii)を含有する粒子を含む噴霧乾燥粉末製剤:
i)式の化合物
【化1】

1,
(式中、X - は、負に荷電したアニオンを示す)、
ii)単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールより選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料、
iii)アスコルビン酸、フルーツ酸又は料理用酸、及びアミノカルボン酸を除く一価、二価又は三価のカルボン酸より選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸。
【請求項2】
iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸又はグルコン酸より選ばれるフルーツ酸又は料理用酸又はフマル酸、シュウ酸及びコハク酸より選ばれる、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸である、請求項2に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項3】
iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸が、クエン酸である、請求項1又は2に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項4】
噴霧乾燥粉末製剤が、更に、アスコルビン酸塩、フルーツ酸又は料理用酸の塩及びアミノカルボン酸の塩を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸の塩より選ばれるiii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項5】
噴霧乾燥粉末製剤が、更に、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、酢酸塩、α-ヒドロキシカプロン酸塩及びグルコン酸塩より選ばれるフルーツ酸又は料理用酸の塩、又はフマル酸塩、シュウ酸塩及びコハク酸塩より選ばれる、アミノカルボン酸の塩を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸の塩より選ばれるiii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項6】
噴霧乾燥粉末製剤が、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩としてクエン酸塩を含有する、請求項5に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項7】
生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又は亜鉛塩である、請求項5又は6に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項8】
i)の式の化合物におけるX - が、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸アニオンより選ばれるアニオンを示す、請求項1〜7のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項9】
i)の式の化合物におけるX - が、臭素アニオンを示す、請求項8に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項10】
の化合物が、固形分に基づき0.01〜5%の濃度で存在する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項11】
の化合物が、固形分に基づき0.02〜2%の濃度で存在する、請求項10に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項12】
ii)の埋め込み材料が、グルコース、サッカロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、セロビオース及びトレハロースより選ばれる単糖類又は二糖類である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項13】
ii)の埋め込み材料が、オリゴマルトース、オリゴフルクトース、シクロデキストリン、デキストリン及びオリゴサッカロースより選ばれるオリゴ糖である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項14】
ii)の埋め込み材料が、イヌリン、アルギン酸塩、マルトデキストリン、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体、PVP、ゼラチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、アラビアゴム、ポリラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)及びポリビニルアルコールより選ばれるポリマーである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項15】
ii)の埋め込み材料として、マンニトール、キシリトール及びソルビトロールより選ばれる糖アルコールである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項16】
iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸がクエン酸であり、クエン酸をi)の抗コリン作用薬、好ましくは式の化合物、及びii)の少なくとも一つの埋め込み材料を含有する噴霧可能な溶液に溶液のpHが≦6であるような濃度で添加する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項17】
クエン酸を噴霧可能な溶液に溶液のpHが≦5であるような濃度で添加する、請求項16に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項18】
粒子の空気動力学的直径中央値が、最大でも≦15μm、好ましくは最大でも≦10μmである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項19】
粒子が、吸入用である、請求項18に記載の噴霧乾燥粉末製剤。
【請求項20】
粒子を含有する粉末製剤を調製する方法であって、以下の工程:
a)適切な溶媒中で、成分i)〜iii)を含む溶液を調製する工程:
i)式の化合物
【化2】

1,
(式中、X - は、負に荷電したアニオンを示す)、
ii)単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールより選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料、
iii)アスコルビン酸、フルーツ酸又は料理用酸及び、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸より選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸、
b)工程a)からの溶液を熱風流れに噴射する工程;
c)工程b)からの噴射溶液を乾燥させて、粒子を含有する粉末を形成する工程;
d)工程c)からの粉末をサイクロン及び/又はフィルターを用いて分離させる工程
を含む、前記方法。
【請求項21】
工程a)において、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸として、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸及びグルコン酸より選ばれるフルーツ酸又は料理用酸又はフマル酸、シュウ酸及びコハク酸より選ばれる、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸を含有する溶液を調製する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程a)において、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸として、クエン酸を含有する溶液を調製する、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
工程a)において、アスコルビン酸塩、フルーツ酸又は料理用酸の塩及び、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸の塩より選ばれるiii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩を更に含有する溶液を調製する、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
工程a)において、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の付加塩として、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、酢酸塩、α-ヒドロキシカプロン酸塩及びグルコン酸塩より選ばれるフルーツ酸又は料理用酸の塩、又はフマル酸塩、シュウ酸塩及びコハク酸塩より選ばれる、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸の塩を含有する溶液を調製する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程a)において、iii)の生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩として、クエン酸塩、好ましくはアルカリ金属クエン酸塩、アルカリ土類金属クエン酸塩又はクエン酸亜鉛を更に含有する溶液を調製する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
工程a)において、X - が、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸アニオンより選ばれるアニオンを示す、式の化合物を含む溶液を調製する、請求項230〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
工程a)において、X - が、臭素アニオンである、式の化合物を含む溶液を調製する、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
工程a)からの溶液の埋め込み材料ii)が、グルコース、サッカロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、セロビオース及びトレハロースより選ばれる単糖類又は二糖類、又はオリゴマルトース、オリゴフルクトース、シクロデキストリン、デキストリン及びオリゴサッカロースより選ばれるオリゴ糖、又はイヌリン、アルギン酸塩、マルトデキストリン、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体、PVP、ゼラチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、アラビアゴム、ポリラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)及びポリビニルアルコールより選ばれるポリマー、又はマンニトール、キシリトール及びソルビトロールより選ばれる糖アルコール又はコレステロールである、請求項20〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
工程c)からの粒子の平均直径が、最大でも15μm、好ましくは最大でも10μmである、請求項20〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
工程c)からの粒子が、吸入用である、請求項20〜29に記載の方法。
【請求項31】
工程b)の噴霧が、ノズルを用いて行われる、請求項20〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
工程b)の熱風流れが、100〜350°C、好ましくは120〜200°Cの温度である、請求項20〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
請求項20〜32のいずれか1項に記載の方法によって得ることができる粉末製剤。
【請求項34】
以下の成分i)〜ii)を含有する、噴霧乾燥によって調製される粉末製剤を安定化するための、アスコルビン酸、フルーツ酸又は料理用酸及び、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸より選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の使用:
i)式の化合物
【化3】

1,
(式中、X - は、負に荷電したアニオンを示す)、
ii)単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールより選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料。
【請求項35】
生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸及びグルコン酸より選ばれるフルーツ酸又は料理用酸、又はフマル酸、シュウ酸及びコハク酸より選ばれる一価、二価又は三価のカルボン酸である、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸が、クエン酸である、請求項34又は35に記載の使用。
【請求項37】
以下の成分i)〜ii)を含有する、噴霧乾燥によって調製される粉末製剤を安定化するための、アスコルビン酸、フルーツ酸又は料理用酸及び一価、二価又は三価のカルボン酸より選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸と、アスコルビン酸塩、フルーツ酸又は料理用酸の塩及び、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸の塩より選ばれる生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩の混合物の使用:
【化4】

1,
(式中、X - は、負に荷電したアニオンを示す)、
ii)単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリマー、糖アルコール及びコレステロールより選ばれる少なくとも一つの埋め込み材料。
【請求項38】
生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、α-ヒドロキシカプリル酸及びグルコン酸より選ばれるフルーツ酸又は料理用酸又はフマル酸、シュウ酸及びコハク酸より選ばれる、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸であり、生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸の塩が、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、酢酸塩、α-ヒドロキシカプロン酸塩及びグルコン酸塩より選ばれるフルーツ酸又は料理用酸の塩、又はフマル酸塩、シュウ酸塩及びコハク酸塩より選ばれる、アミノカルボン酸を除く、一価、二価又は三価のカルボン酸の塩である、請求項37に記載の混合物の使用。
【請求項39】
生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸としてクエン酸が用いられ、生理的に許容され得る立体的に要求される有機酸としてクエン酸塩、好ましくはアルカリ金属クエン酸塩、アルカリ土類金属クエン酸塩又はクエン酸亜鉛が用いられる、請求項38に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2011−502102(P2011−502102A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537590(P2009−537590)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061911
【国際公開番号】WO2008/061874
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】