抗原性GM−CSFペプチドおよび抗GM−CSF抗体
【解決手段】 結合特異性および生物活性が高いヒトモノクローナル抗体を分泌し、特に抗顆粒球マクロファージコロニー刺激因子活性を中和するハイブリドーマ株、および前記ハイブリドーマ株の作成法が提供される。標的抗原およびエピトープも提供される。前記抗体は、治療法、例えば癌、感染症、または自己免疫疾患の治療に利用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願書類の相互参照
この出願書類では、2006年2月8日付出願の米国特許仮出願第60/771,251号および2006年2月17日付出願の第60/774,500号に対して優先権を主張するものであり、各開示内容全体はこの参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
本発明は、免疫治療薬の分野に関する。より具体的には、本発明は、モノクローナル抗体を生成する抗原、および自己免疫細胞および癌細胞を中和することができ、炎症反応を中和することができるモノクローナル抗体に関する。
【背景技術】
【0003】
特許、公開された出願、技術文献、および学術文献を含む様々な文献が本明細書中に引用されている。これらの各引用文献は、すべての目的のためにこの参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0004】
現在いくつかの疾患関連抗原は、その特殊な薬理学的および安全性プロフィールのため、治療用モノクローナル抗体(MAbs)の標的とされている。前記疾患関連標的抗原は、CD20、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、上皮成長因子受容体(EGFR)、および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などである。
【0005】
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)は当初、マウス骨髄の前駆細胞から顆粒球およびマクロファージの両方を発生させることができるタンパク質として発見され、それに合わせて命名された(Burgess et al.(1980)Blood 56:947−58)。その後の研究では、GM−CSFに成熟したマクロファージおよび顆粒球の機能を高める役割も証明され(Handman and Burgess(1979)J.Immunol.122:1134−1137;Hamilton et al.(1980)J.Cell Physiol.103:435−445;Gamble et al.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:8667−8671)、炎症反応にGM−CSFが関与していることが示唆された(Hamilton et al.(1980)J.Cell Physiol.103:435−445)。前記分子が研究されるにつれ、GM−CSFは、顆粒球、マクロファージ、および好酸球などのより成熟した骨髄性細胞の性質に影響できるところに起因する、他の機能を有することが明らかとなった。GM−CSFの機能は、低い親和性でGM−CSFに結合する、コロニー刺激因子2受容体αとしても知られるCD116、つまり顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体に結合することで調節される。IL3およびIL5受容体も共有するCD131と呼ばれるβサブユニットは、それ自体、検出できるGM−CSF結合活性を有していないが、高い親和結合でαサブユニットと結合するために必要であり、シグナル伝達において基礎的な役割を果たす。GM−CSF受容体は骨髄始原細胞、および好中球、好酸球、単核食細胞、および単球を含む、成熟した骨髄性細胞に認められる。さらに、GM−CSF受容体サブユニットは、ヒト胎盤、内皮、および中枢神経系の乏突起膠細胞など、正常な非造血組織に存在することも示された。
【0006】
GM−CSFは、骨髄内の初期骨髄前駆細胞から顆粒球およびマクロファージが生成する過程で重要な生物学的役割を果たしている。外部刺激に対する宿主の反応と、炎症状態および自己免疫疾患におけるGM−CSFのさらなる生理学的機能は、最初は評価されていなかったが、後に発見された。ごく初期の研究では、GM−CSFはリポ多糖類(LPS)をマウスに注入した後の肺組織ならし培地から精製された(Burgess et al.(1977)J.Biol.Chem.252:1998−2003)。GM−CSFは、多くの研究者から、顆粒球、マクロファージ、および好酸球系統の細胞数、および正常な生理的条件での活性化状態の主要な制御因子の1つであると考えられている。しかし、GM−CSFの異常発現は免疫および炎症反応を変化させ、病理的結果が伴うとも仮定されてきた。数年前、GM−CSFは炎症性サイトカイン(proinflammatory cytokine)として考える必要があると指摘された(Hamilton et al.,1980,J.Cell Physiol.103:435−445)。さらに、GM−CSFは関節リウマチ、自己免疫症状、炎症性腎疾患、および喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性肺疾患など、複数のヒトの炎症症状の素因に関与していると考えられる。興味深いことに、多発性硬化症とGM−CSFとの間に関連性があることが提唱された(McQualter et al.(2001)J.Exp.Med.,194:873−881)。多発性硬化症のモデルである自己免疫性脳脊髄炎の実験モデルでは、GM−CSFが自己免疫性脱髄に関与していることが分かった。
【0007】
単球、マクロファージ、および好中球をGM−CSFで処理後のin vivo研究では、GM−CSFがこれらの細胞タイプを活性化し、生存特性を延長できることが証明された。さらに、GM−CSFの曝露はこれらの細胞タイプから炎症性メディエータを放出させ、さらなる研究では、これらの細胞の特定微生物および腫瘍細胞さえも殺傷する能力があることが証明された(Hamilton(1993)Immunol.Today 14:18−24;Hamilton,(1993)Lancet 342:536−539;Takahashi,(1993)Blood 81:357−364)。前記in vivo研究がin vivoでのGM−CSFの機能を示していたか否かを判断するため、齧歯類での全身投与が行われた。前記タンパク質の腹腔内投与によりGM−CSFの循環血液中濃度を人工的に上昇させると、循環血液中の好中球および循環中の腹腔マクロファージ数が増加し、齧歯類の腹腔内でCD5+マクロファージの発達および分化が亢進することが示された(Metcalf et al.,(1987)Exp.Hematol.15:1−9)。
【0008】
GM−CSFは、より強く相乗的にLPSまたはインターフェロンγなど第二の刺激に反応するように、細胞を「初回刺激する(prime)」ことができることも示された(Hart et al.,1988,J.Immunol.141:1516−1521)。マウスはin vitroおよびin vivoのいずれにおいてもGM−CSFで初回刺激することができ、後でLPSまたはTNF−αを負荷後に循環血液中の炎症性サイトカイン値が増加するようになる。
【0009】
臨床条件では、腹膜透析患者にGM−CSFを投与することで、マクロファージが顕著に増加した(Selgas et al.,1996,Kidney Int.50:2070−2078)。興味深いことに、齧歯類の研究から予測される通り、臨床条件でのGM−CSFの投与は炎症性サイトカインの生産を増強し、望ましくない副作用が生じる可能性がある。例えば、関節リウマチ患者にGM−CSFを投与し、フェルティ症候群による好中球減少症を治療した場合、その関節炎が悪化した(Hazenberg et al.,1991,Blood 74:2769−2770)。別の臨床条件では、癌化学療法後のGM−CSF投与が関節リウマチ患者を悪化させた(de Vries et al.,(1991)J.Immunol.163:4985−4993)。ヒトドナーへのGM−CSFの全身投与は単離顆粒球がスーパーオキシドを生産する能力を亢進させ、単球数を増加させるだけでなく、循環血液中の単球の細胞毒性を増強した(Perkins et al.,1993,Am J.Hematol.43:279−285)。GM−CSFの異常発現はヒトの肺疾患とも関連している。例えば、軽度の刺激物、エンドトキシン、または感染による肺GM−CSFのアップレギュレーションにより、TH2免疫偏向および喘息に罹りやすくなると思われる(Eisenbarth et al.(2002)J.Exp.Med.196:1645−1651)。前記研究では、細胞増加、細胞生存の上昇、および/または活性化刺激を介して、GM−CSFが前記炎症プロセスの活性化に関与すると、上記の指摘をまとめた。
【0010】
いくつかの関連性と実験データが、喘息におけるGM−CSFの関与を示唆している。喘息マウスモデルで中和抗体を使用し、喘息の表現型を抑制できることが証明されたが(Yamashita(2002)Cell Immunol.219:92)、喘息患者のBAL液中のサイトカインを測定したいくつかの研究では、GM−CSFの増加が認められた(Gajewska(2003)Curr Drug Targets Inflamm Allergy 2:279)。
【0011】
関節リウマチ(RA)は慢性炎症性自己免疫疾患であり、GM−CSFが関与しているという十分なエビデンスがある。GM−CSF値はRA病変で上昇していることが分かり(Xu et al.(1989)J.Clin.Invest.83:876)、in vitroでは、IL−1およびTNF−αなどの炎症性サイトカインによる刺激後、常在関節細胞(軟骨細胞および滑膜線維芽細胞)により生産される(Leizer et al.(1990)Blood 76:1989)。マウスのコラーゲン誘導関節炎(CIA)は、II型コラーゲン(CII)に対する体液性および細胞性免疫反応に依存するRAの自己免疫モデルである(Seki et al.(1988)J.Immunol.140,1477)。歴史的に、このRA表現型はH−2qまたはH−2rハプロタイプを有するマウス株に限定され、DBA/1マウスで機能する(Wooley(1988)Methods Enzymol.162:361)。マウスGM−CSF遺伝子座がヌルのホモ接合性トランスジェニックマウスにおいて、一連の研究が実施された(Stanley et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5592)。興味深いことに、GM−CSF欠損マウスは、野生型の対照同産仔と比べ、コラーゲン誘導関節炎の導入に対して耐性を示す(Campbell et al.(1998)J.Immunol.161:3639−3644)。
【0012】
さらに興味深い点は、GM−CSFヌルマウスの界面活性物質クリアランスには障害があり、これが、本明細書において説明するヒトの疾患をよく模倣したマウス肺胞タンパク症(PAP)につながるということである。さらに、前記PAPの表現型は、前記GM−CSF遺伝子の肺特異的輸送(Zsengaller et al.(1998)Hum.Gene Ther.9:2101−2109)、GM−CSFのエアロゾル化または造血を再構成するための骨髄移植(Reed et al.(1999)Am.J.Physiol.276:L556−L563;Nishinakamura et al.(1996)J.Exp.Med.183:2657−2662)により修正される可能性がある。
【0013】
成人ヒト肺胞タンパク症(PAP)は、肺胞にリン脂質およびサーファクタントタンパク質が蓄積することで特徴付けられるまれな疾患である。PAPは肺胞マクロファージおよびII型上皮細胞が過剰な界面活性物質を除去できないことによるものと仮定されてきた(Mazzone et al.(2001)Clev.Clin.J.Med.68:977−992)。PAPの診断には開胸肺生検が必要なことも多く、前記疾患の標準的な治療は全肺洗浄により蓄積した界面活性物質を物理的に除去するものである(Shah et al.(2000)Thorax 55:67−77)。さらに、PAP患者は循環血液中に抗GM−CSF中和抗体を有することが示され、そのためこのサイトカインが前記疾患の原因であると考えられてきた。この自己免疫反応がGM−CSFに特異的なものか否かは分かっていない。しかし、PAP患者の一部はGM−CSF療法で改善することが示されており、遺伝子破壊または抗体による中和からGM−CSFがなくなると、PAPが発症するという仮説を支持している。
【0014】
癌におけるGM−CSFの関与を支持する証拠もある。例えば、GM−CSFは、若年性骨髄単球性白血病(JMML)など白血病の発生および進行に関与している(Emanuel PD(2004)Curr.Hematol.Rep.3:203−209)。JMMLは正常な造血機能が崩壊することで特徴付けられ、骨髄の未熟骨髄細胞が過剰に、不適切に増殖する。これらの増殖造血癌細胞は脾臓および肝臓に転移する可能性がある。興味深いことに、JMML患者はGM−CSFに対して感受性が高く、GM−CSFを過剰発現したトランスジェニックマウスと同様の病理学的特徴を示す(Lang et al.(1987)51:675−86)。さらに、GM−CSFはJMMLの細胞増殖および生存を促すことが示された(Emanuel et al.(1991)Blood 77:925−9)。JMMLのトランスジェニックマウスモデルでは、GM−CSFを遮断することで、骨髄、血液、および脾臓のJMML時の細胞負荷が軽減した(Iversen et al.(1997)Blood,90:4910−7)。
【0015】
GM−CSFをノックアウトしたマウス疾患モデル、および体循環で循環血液中に抗GM−CSF抗体が作成されるPAPなどのヒト疾患から、このサイトカインが病状の重要な媒介物質であることは明らかである。従って、前記サイトカイン自体に対する抗体を開発するか、GM−CSF受容体を遮断することで、GM−CSFの活性に拮抗できる薬物を開発するアプローチは、ヒトの治療に有益と考えられる。組み換えGM−CSF分子に対し、いくつかのポリクローナルおよびモノクローナル抗体が作成された。例えば、Beffyら((1994),Hybridoma 13:457−468)は、New Zealand Whiteウサギで組み換えヒトGM−CSFに対するポリクローナル抗体を作成し、Balb/cマウスでモノクローナル抗体を作成した。これらのウサギおよび一部のマウスモノクローナル抗体は、MO7e細胞を用いたin vitro細胞増殖アッセイにおいて、GM−CSFの活性を中和することができた。さらなる研究では、Niceら(1990,Growth Factors 3,159−169)が、マウス抗GM−CSF中和抗体の1つであるLMM102の結合部位でエピトープのマッピングを行った。組み換えヒトGM−CSFの一連の消化産物を作成し、逆相HPLC分画を用いて前記フラグメントを分離した後、さらにトリプシンフラグメントを黄色ブドウ球菌V8により消化し、ジスルフィド結合で結合した2ペプチドを有する生成物を定義することで、明確なエピトープが明らかとなった。3種類の抗ヒトGM−CSFマウス抗体がDempseyら(1990,Hybridoma 9,545−558)によって作成され、0.1〜1.7ナノモルの範囲でEC50を用いるin vitroアッセイ系においてGM−CSFを中和した。これらの抗体はマウスGM−CSFまたは他の関連サイトカインと反応しなかった。上述の抗体はすべて、ヒト血清のGM−CSF検出、およびGM−CSFのシグナル伝達を抑制するin vitroアッセイの有用な試薬である。ただし、これらの抗体はすべてマウスまたはウサギの系に由来するものであるという事実のため、治療薬としての価値はほとんどない。マウス抗GM−CSF抗体からヒトの骨格に様々なドメインをサブクローニングすることにより、マウス抗体からキメラ抗体を作成する試みがなされてきた。この戦略により、in vitroでGM−CSFを中和することができ、治療薬として有用と考えられるキメラ抗体が作成された(WO 03/068924 A2)。
【0016】
治療用抗体の重要な態様は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)などの免疫エフェクター機能を誘発できる点である。例えば、齧歯類のMabsは、Fc領域の配列が異なるため、ヒトではエフェクター機能の媒介が不十分であることが示されたため、キメラ化またはヒト化で最適な薬理学的特性を得る必要がある。さらに、完全なヒト配列を持ったMAbsは、MAbsの天然型グリコシル化パターンを変化させる可能性がある非ヒト宿主細胞で産生されると、ADCCを補助できない可能性がある(Shinkawa et al.(2003)J.Biol.Chem.278:3466−73)。
【0017】
これらの事実を考慮し、ヒトB細胞による治療用抗体の産生が好ましい。ヒトMAbsを分泌するハイブリドーマの作成法はこれまでに報告されている(WO2004/046330)。ヒトB細胞により作成された治療用MAbsは、ヒトエフェクター機能を発揮することができ、天然型ヒト構造のため、免疫原性は非常に限られている。ヒトB細胞由来のハイブリドーマまたはエプスタインバーウイルス(EBV)形質転換リンパ芽球株の作成については以前報告があったが(Kirman et al.(2002)Hybrid Hybridomics 21:405−14;Boerner et al.(1991)J.Immunol.147:86−95;Zafiropoulos et al.(1997)J.Immunol.Methods 200:181−90)、長期的安定性、製造工程適合性、および抗体の薬理学的特性について、これらの抗体および株の特徴に関する情報は限られている(van Dijk et al.(2001)Curr.Opin.Chem.Biol.5:368−74)。
【0018】
そのため、感染による炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患、および癌など他疾患を治療するため、治療用ヒト抗体の需要はある。さらに、そのような抗体が免疫エフェクター機能を誘発し、ヒト患者での忍容性に優れていることも望まれる。本発明は、これらの長年にわたる需要に取り組むものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、GM−CSFに特異的に結合する単離ヒト抗体について特徴付けたものである。前記抗体は、配列ID番号42または48を有する重鎖CDR3を有する可能性がある。いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号8または16を有する重鎖を有する可能性がある。いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号12または18を有する重鎖を有する可能性がある。一部の実施形態では、前記抗体が2つの重鎖を有する。一部の実施形態では、前記抗体が2つの軽鎖を有する。前記抗体は高親和性抗体であり、約1×10−8M未満の親和性を有する可能性がある。好ましくは、前記抗体はモノクローナル抗体であり、より好ましくはヒトモノクローナル抗体である。極めて好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号3、4、5、35、36、37、38、または39のアミノ酸配列を有するポリペプチド上のエピトープに特異的に結合する。ハイブリドーマ細胞など、そのような抗体を発現する細胞も提供される。
【0020】
本発明では、GM−CSFに特異的に結合する抗体をコードするポリヌクレオチドについても特徴付ける。いくつかの好適な実施形態では、前記ポリヌクレオチドが配列ID番号10または17の重鎖配列を有する。いくつかの好適な実施形態では、前記ポリヌクレオチドが配列ID番号14または19の軽鎖配列を有する。そのようなポリヌクレオチドを有するベクターも提供される。
【0021】
本発明では、そのような治療を必要とする被験者においてGM−CSFによる炎症性疾患を治療する方法についても特徴付ける。前記方法は、GM−CSFによる炎症性疾患の治療に有効な量で、薬学的に許容される担体およびGM−CSFに特異的に結合する抗体を少なくとも1つ有する組成を前記被験者に投与する工程を有する。これらの方法の好適な態様では、前記抗体は、配列ID番号42または48を有する重鎖CDR3を有する可能性がある。いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号8または16を有する重鎖を有する可能性がある。いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号12または18を有する重鎖を有する可能性がある。前記抗体は高親和性抗体であり、約1×10−8M未満の親和性を有する可能性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本明細書および請求項を通して、本発明の方法および他の態様に関連する様々な用語が使用されている。そのような用語は、他に指示されていない限り、当該分野における通常の意味を与えられるものとする。他の具体的に定義された用語は、本明細書に提供された定義と一致するように解釈されるものとする。
【0023】
本発明は特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物系に制限されることはなく、当然変更できることは理解されるものとする。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明する目的で、制限する意図はないことも理解されるものとする。本明細書および添付の請求項に用いられる場合、本文において明確に異なることが示されていない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」は複数の言及も含む。従って、例えば「a cell(細胞)」の言及は2若しくはそれ以上の細胞の組み合わせなどを含む。
【0024】
本明細書に列挙された各範囲は、本明細書に含まれる特定の数字だけでなく、範囲内のすべての組み合わせおよび下位の組み合わせを含む。
【0025】
本明細書に用いられる「約」という用語は、量、一時的な期間など、測定可能な値を指す場合、特定の値からの±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%、まださらに好ましくは±0.1%のばらつきを含むことを意味し、それ自体、ばらつきは開示された方法を実施する上で妥当である。
【0026】
「感染症」には、(これに限定されるものではないが)病原体、ウイルス、細菌、真菌、または寄生虫による感染を含む。ウイルスの例には、(これに限定されるものではないが)重症急性呼吸器症候群(SARS;SARS関連コロナウイルスによる)、B型またはC型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、I型またはII型単純ヘルペスウイルス、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、乳頭腫ウイルス、パポーバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス、コクサッキーウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、およびI型またはII型ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含む。細菌の例には、(これに限定されるものではないが)エボラ、ブドウ球菌属A−E、プラスモディウム(マラリア)、結核菌、マイコバクテリウム、マイコプラズマ、ナイセリア、およびレジオネラを含む。寄生虫の例には、(これに限定されるものではないが)リケッチアおよびクラミジアを含む。
【0027】
「炎症性疾患」には、関節リウマチ、自己免疫疾患、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性腎疾患および炎症性肺疾患、多発性硬化症、および自己免疫性脳脊髄炎などの(これに限定されるものではないが)急性および慢性の免疫および自己免疫症状を含む。
【0028】
「自己免疫疾患」は、患者の自己組織または同時分離物またはその徴候またはその結果生じる症状に起因し、これらに向けられる疾患または疾病である。自己免疫疾患の例には、(これに限定されるものではないが)関節炎(急性関節炎、慢性関節リウマチ、痛風または痛風性関節炎、急性痛風性関節炎、急性免疫性関節炎、慢性炎症性関節炎、変性性関節炎、II型コラーゲン誘導関節炎、感染性関節炎、ライム病関節炎、増殖性関節炎、乾癬性関節炎、スティル病、椎骨関節炎、および若年発症関節リウマチなどの関節リウマチ、変形性関節症、関節炎クロニカプログレディエンテ(arthritis chronica progrediente)、変形性関節炎、原発性慢性多発性関節炎(polyarthritis chronica primaria)、反応性関節炎、および強直性脊椎炎)、炎症性過剰増殖性皮膚疾患、プラーク乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、および爪の乾癬などの乾癬、花粉症およびヨブ症候群などのアトピー性疾患を含むアトピー、接触皮膚炎、慢性接触皮膚炎、剥脱性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、疱疹状皮膚炎、貨幣状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、非特異性皮膚炎、一次刺激性接触皮膚炎、およびアトピー性皮膚炎を含む皮膚炎、X連鎖高IgM症候群、アレルギー性眼内炎症性疾患、慢性自己免疫性蕁麻疹、筋炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、中毒性表皮剥離症、(全身性強皮症を含む)強皮症を含む慢性アレルギー性蕁麻疹および慢性特発性蕁麻疹などの蕁麻疹、全身性硬化症などの硬化症、脊髄−視覚多発性硬化症(MS)、原発性進行性MS(PPMS)、および再発寛解型MS(RRMS)などの多発性硬化症(MS)、全身性進行性硬化症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、播種性硬化症(sclerosis disseminata)、失調性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、自己免疫性胃腸疾患、潰瘍性大腸炎、潰瘍性大腸炎(colitis ulcerosa)、顕微鏡的大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、ポリープ性大腸炎(colitis polyposa)、壊死性腸炎、および貫壁性大腸炎などの大腸炎、および自己免疫性炎症性大腸炎)、腸炎、壊疽性膿皮症、結節性紅斑、原発性硬化性胆管炎、成人または急性呼吸促迫症候群(ARDS)を含む呼吸窮迫症候群、髄膜炎、ブドウ膜全体または一部の炎症、虹彩炎、脈絡膜炎、自己免疫性血液疾患、リウマチ様脊椎炎、リウマチ性滑膜炎、遺伝性血管浮腫、髄膜炎に見られるような脳神経障害、妊娠性疱疹、妊娠類天疱瘡(pemphigoid gestationis)、膣掻痒(pruritis scroti)、自己免疫性早発閉経、自己免疫疾患による突発性難聴、アナフィラキシーおよびアレルギー性およびアトピー性鼻炎などのIgE性疾患、ラスムッセン脳炎および辺縁系および/または脳幹脳炎などの脳炎、前部ブドウ膜炎、急性前部ブドウ膜炎、肉芽腫性ブドウ膜炎、非肉芽腫性ブドウ膜炎、水晶体抗原性ブドウ膜炎(phacoantigenic uveitis)、後部ブドウ膜炎、または自己免疫性ブドウ膜炎などのブドウ膜炎、原発性糸球体腎炎(GN)、免疫性GN、膜性GN(膜性腎症)、特発性膜性GNまたは特発性膜性腎症、I型およびII型を含む膜性または膜性増殖性GN(MPGN)、および急速に進行するGNなどの慢性または急性糸球体腎炎などのネフローゼ症候群を併発するか併発しない糸球体腎炎、増殖性腎炎、自己免疫性多腺性内分泌不全、形質細胞限局性亀頭炎(balanitis circumscripta plasmacellularis)を含む亀頭炎、亀頭包皮炎、遠心性環状紅斑、色素異常性固定性紅斑、多形性紅斑、環状肉芽腫、光沢苔癬、硬化性萎縮性苔癬、慢性単純性苔癬、棘状苔癬、扁平苔癬、葉状魚鱗癬、表皮剥離性角質増殖症、前癌性角化症、壊疽性膿皮症、アレルギー疾患および応答、アレルギー反応、アレルギー性またはアトピー性湿疹、乾皮性湿疹、発汗異常性湿疹、および水疱性掌蹠膿湿疹(vesicular palmoplantar eczema)を含む湿疹、気管支喘息、気管支喘息、および自己免疫性喘息などの喘息、T細胞浸潤が関与する状態および慢性炎症反応、妊娠中の胎児A−B−O血液型などの外来抗原に対する免疫反応、慢性肺炎症性疾患、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全症、ループス腎炎、ループス脳炎、小児狼蒼、腎外性ループス、腎外ループス、円板状ループスおよび円板状エリテマトーデスを含むループス、狼瘡性脱毛症(alopecia lupus)、皮膚SLEまたは亜急性皮膚SLE、新生児ループス症候群(NLE)、および播種性紅斑性狼瘡などの全身性エリテマトーデス(SLE)、小児インスリン依存性糖尿病(IDDM)を含む若年型(I型)糖尿病、成人発症型糖尿病(II型糖尿病)、自己免疫性糖尿病、特発性尿崩症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性大動脈疾患、サイトカインおよびTリンパ球を介する急性および遅延型過敏症に伴う免疫応答、結核、サルコイドーシス、リンパ腫様肉芽腫症を含む肉芽腫症、ウェゲナー肉芽腫症、無顆粒球症、血管炎、大血管炎(リウマチ性多発性筋痛および巨細胞(高安)動脈炎を含む)、中血管炎(川崎病および結節性多発動脈炎/結節性動脈周囲炎を含む)、顕微鏡的多発性動脈炎、免疫血管炎(immunovasculitis)、CNS血管炎、皮膚血管炎、過敏性血管炎、全身性壊死性血管炎などの壊死性血管炎、およびチャーグ・ストラウス血管炎または症候群(CSS)およびANCA関連小血管炎などのANCA関連血管炎を含む脈管炎、側頭動脈炎、再生不良性貧血、自己免疫性再生不良性貧血、クームス試験陽性貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、悪性貧血(anemia pemiciosa)、アジソン病、真性赤血球無形成症または形成不全(PRCA)を含む溶血性貧血または免疫性溶血性貧血、第VIII因子欠乏症、血友病A、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出が関与する疾患、CNS炎症性疾患、敗血症、外傷、または出血に続発するような多臓器損傷症候群(multiple organ injury syndrome)、抗原抗体複合体による疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病/症候群、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、水疱性類天疱瘡(pemphigoid bullous)および皮膚類天疱瘡(skin pemphigoid)などの類天疱瘡、天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、pemphigus mucus−membrane pemphigoid、および紅斑性天疱瘡を含む)、自己免疫性多腺性内分泌障害、ライター病または症候群、熱傷、子癇前症、免疫複合体性腎炎などの免疫複合体病、体液性腎炎、多発性神経障害、IgM多発性ニューロパチーまたはIgMによるニューロパチーなどの慢性ニューロパチー、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、輸血後紫斑病(PTP)、ヘパリン起因性血小板減少症、および特発性血小板減少性紫斑病(ITP)などの慢性または急性ITPを含む自己免疫性または免疫性血小板減少症を含む(例えば心筋梗塞患者に発症するような)血小板減少症、idiopathic cerato−scleritisなどの胸膜炎、上強膜炎、自己免疫性睾丸炎および卵巣炎を含む睾丸および卵巣の自己免疫疾患、原発性甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、自己免疫性甲状腺炎、橋本病、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、または亜急性甲状腺炎などの甲状腺炎を含む自己免疫性内分泌疾患、自己免疫性甲状腺疾患、特発性甲状腺機能低下症、グレーブス病、自己免疫性多腺性症候群(または多腺性内分泌障害症候群(polyglandular endocrinopathy syndromes))などの多腺性症候群、ランバート・イートン筋無力性症候群またはイートン・ランバート症候群などの神経腫瘍随伴症候群(neurologic paraneoplastic syndromes)を含む腫瘍随伴症候群、スティフマンまたは全身強直性症候群、アレルギー性脳脊髄炎またはアレルギー性脳脊髄炎(encephalomyelitis allergica)および実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)などの脳脊髄炎、胸腺腫に伴う重症筋無力症、小脳変性症、神経ミオトニー、眼球クローヌスまたは眼球クローヌスミオクローヌス症候群(OMS)、および感覚性ニューロパシーなどの重症筋無力症、多発性運動神経障害、シーハン症候群、自己免疫性肝炎、慢性肝炎、ルポイド肝炎、巨細胞性肝炎、慢性活動性肝炎または自己免疫性慢性活動性肝炎、リンパ性間質性肺炎(LIP)、閉塞性細気管支炎(非移植時)対NSIP、ギラン・バレー症候群、ベルジェ病(IgA腎症)、特発性IgA腎症、線状IgA皮膚症、急性熱性好中球性皮膚症、角層下膿疱症、一過性棘融解性皮膚症、原発性胆汁性肝硬変および肺肝硬変(pneumonocirrhosis)などの肝硬変、自己免疫性腸疾患症候群、セリアック病または小児脂肪便症、セリアック・スプルー(グルテン性腸症)、難治性スプルー、特発性スプルー、クリオグロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症(ALS;ルー・ゲーリック病)、冠動脈疾患、自己免疫性内耳疾患(AIED)などの自己免疫性耳疾患、自己免疫性聴力損失、難治性または再発性または再発性多発性軟骨炎などの多発性軟骨炎、肺胞タンパク症、コーガン症候群/非梅毒性間質性炎症、ベル麻痺、スウィート病/症候群、自己免疫性酒さ(rosacea autoimmune)、帯状疱疹に伴う疼痛、アミロイドーシス、非癌性リンパ球増加症、モノクローナルB細胞リンパ球増加症(例えば、良性単クローン性免疫グロブリン血症および意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症、MGUS)を含む原発性リンパ球増加症、末梢性ニューロパシー、腫瘍随伴症候群、てんかん、片頭痛、不整脈、筋疾患、難聴、失明、周期性四肢麻痺、およびCNSのチャネロパチーなどのチャネロパチー、自閉症、炎症性筋疾患、巣状または分節状または巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、内分泌性眼病、ブドウ膜網膜炎、脈絡網膜炎、自己免疫性肝疾患、線維筋痛、多発性内分泌腺腫、シュミット症候群、副腎炎、胃萎縮症、初老期認知症、自己免疫性脱髄疾患および慢性炎症性脱髄性多発神経障害などの脱髄疾患、ドレスラー症候群、円形脱毛症、完全脱毛症、クレスト症候群(石灰沈着症、レイノー現象、食道運動障害、手指硬化症、および毛細血管拡張症)、例えば抗精子抗体による男性および女性の自己免疫性不妊症、混合性結合組織病、シャーガス病、リウマチ熱、反復流産、農夫肺、多形性紅斑、心術後症候群、クッシング症候群、鳥飼育者肺、アレルギー性肉芽腫性血管炎、良性リンパ球性血管炎、アルポート症候群、アレルギー性肺胞炎および線維化性肺胞炎などの肺胞炎、間質性肺炎、輸血反応、ハンセン病、マラリア、リーシュマニア症などの寄生虫症、kypanosomiasis、住血吸虫症、回虫症、アスペルギルス症、Sampter症候群、カプラン症候群、デング熱、心内膜炎、心内膜心筋線維症、びまん性間質性肺線維症、間質性肺線維症、肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎、Shulman症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、慢性毛様体炎、異時性毛様体炎(heterochronic cyclitis)、虹彩毛様体炎(急性または慢性)、またはフックス毛様体炎などの毛様体炎、ヘノッホ・シェンライン紫斑病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、SCID、後天性免疫不全症候群(AIDS)、エコーウイルス感染、敗血症、内毒素血症、膵炎、甲状腺機能亢進症、パルボウイルス感染症、風疹ウイルス感染、ワクチン接種後症候群、先天性風疹感染、エプスタインバーウイルス感染、おたふく風邪、Evan症候群、自己免疫性
性腺機能不全、シデナム舞踏病、連鎖球菌感染後腎炎、thromboangitis ubiterans、甲状腺機能亢進症、脊髄癆、脈絡膜炎、巨細胞多発筋腫、慢性過敏性肺炎、乾性角結膜炎、流行性角結膜炎、特発性ネフローゼ症候群、微少変化ネフローゼ、良性家族性および虚血再潅流傷害、移植臓器再潅流、自己免疫網膜症(retinal autoimmunity)、関節の炎症、気管支炎、慢性閉塞性気道/肺疾患、珪肺症、アフタ、アフタ性口内炎、動脈硬化症、aspermiogenese、自己免疫性溶血、Boeck病、クリオグロブリン血症、デュピュイトラン拘縮、endophthalmia phacoanaphylactica、アレルギー性腸炎(enteritis allergica)、癩性結節性紅斑、特発性顔面神経麻痺、慢性疲労症候群、リウマチ熱(febris rheumatica)、ハンマン・リッチ病、急性感音難聴、haemoglobinuria paroxysmatica、性腺機能低下症、限局性回腸炎(ileitis regionalis)、白血球減少症、感染性単核球症(mononucleosis infectiosa)、横断性脊髄炎、原発性特発性粘液水腫、ネフローゼ、ophthalmia symphatica、肉芽種性睾丸炎(orchitis granulomatosa)、膵炎、急性多発性神経根炎(polyradiculitis acuta)、壊疽性膿皮症、ケルヴァン甲状腺炎、後天性脾臓萎縮症、非悪性胸腺腫、白斑、毒素性ショック症候群、食中毒、T細胞浸潤が関与する疾患、白血球接着不全症、サイトカインおよびTリンパ球による急性および遅発性過敏症が関与する免疫反応、白血球漏出が関与する疾患、多臓器損傷症候群、抗原抗体複合体による疾患、抗糸球体基底膜疾患、アレルギー性神経炎、自己免疫性多腺性内分泌障害、卵巣炎、原発性粘液水腫、自己免疫性萎縮性胃炎、交感性眼炎、リウマチ性疾患、混合性結合組織病、ネフローゼ症候群、膵島炎、多腺性内分泌不全症、自己免疫性多腺性症候群I型、成人型特発性上皮小体機能低下症(AOIH)、拡張型心筋症などの心筋症、後天性表皮水疱症(EBA)、血色素症、心筋炎、ネフローゼ症候群、原発性硬化性胆管炎、化膿性または非化膿性副鼻腔炎、急性または慢性副鼻腔炎、篩骨洞炎、前頭洞炎、上顎洞炎、またはちょう形骨洞炎、好酸球増加症、肺好酸球増多症、好酸球増加・筋痛症候群、レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎、局所性肺好酸球増多症、気管支肺アスペルギルス症、アスペルギルス腫、または好酸球を含む肉芽種などの好酸球関連疾患、アナフィラキシー、血清反応陰性脊椎関節症(seronegative spondyloarthritides)、多内分泌自己免疫疾患、硬化性胆管炎、強膜、上強膜、慢性粘膜皮膚カンジダ症、ブルトン症候群、乳児一過性低γグロブリン血症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、毛細血管拡張性運動失調症候群、血管拡張症、膠原病、リウマチ、神経疾患、リンパ節炎、血圧反応の低下、血管機能不全、組織傷害、心血管虚血、痛覚過敏、腎虚血、脳虚血、および血管新生を伴う疾患に伴う自己免疫疾患、アレルギー性過敏性疾患、糸球体腎炎、再潅流傷害、虚血再潅流疾患、心筋または他組織の再潅流傷害、リンパ腫様気管気管支炎、炎症性皮膚疾患、急性炎症を伴う皮膚疾患、多臓器不全、水疱性疾患、腎皮質壊死、急性化膿性髄膜炎または他の中枢神経系炎症性疾患、眼球および眼窩の炎症性疾患、顆粒球輸血関連症候群、サイトカイン誘導毒性、ナルコレプシー、急性の重篤な炎症、慢性難治性炎症、腎盂炎、動脈内過形成、消化性潰瘍、弁膜炎、および子宮内膜症を含む。
【0029】
「保存的修飾変異体」はアミノ酸および核酸配列の両方に当てはまる。特定の核酸配列について、保存的修飾変異体は、同一であるか、基本的に同一であるアミノ酸配列をコードする核酸を指し、または前記核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、基本的に同一の配列を指す。遺伝暗号の縮重のため、多数の機能的に同一の核酸が特定タンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべてアミノ酸のアラニンをコードする。従って、アラニンがコドンで特定されるすべての位置で、コードされるポリペプチドを変化させることなく、前記コドンを前述の対応するコドンのいずれかと変更することができる。そのような核酸変異は「サイレント変異」であり、保存的修飾変異体の一種である。ポリヌクレオチドをコードする本明細書のすべての核酸配列は、前記核酸の考えられるすべてのサイレント変異も描写する。当業者は、核酸の各コドン(通常メチオニンの唯一のコドンであるAUGと、通常トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)を修飾し、機能的に同一な分子を生じることができることは理解するだろう。従って、ポリヌクレオチドをコードする核酸の各サイレント変異は、発現生成物について描写された各配列で絶対的であるが、実際のプローブ配列については絶対的ではない。
【0030】
例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに関連して用いる場合の「組み換え型」は、前記細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが異種核酸またはタンパク質の導入、または天然型核酸またはタンパク質の変更により修飾されたか、前記細胞がそのように修飾された細胞に由来することを示す。従って、例えば、組み換え型細胞は前記細胞の天然型(非組み換え型)には見られない遺伝子を発現しているか、そうでなければ異常に発現されるか、発現が少ないか、全く発現されていない天然型遺伝子を発現している。
【0031】
前記「核酸」または「ポリヌクレオチド配列」という表現は、5’から3’末端に向かって読んだ、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の一本鎖または二本鎖重合体を指す。核酸には、ポリメラーゼによる読み取りを補正することができ、例えば保存的修飾変異体を含む核酸でコードされるポリペプチドの発現を変化させない、修飾ヌクレオチドも含むことができる。
【0032】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は本明細書で同義的に使用され、アミノ酸残基の重合体を指す。前記用語は、1若しくはそれ以上のアミノ酸残基が対応する天然型アミノ酸の人工化学的ミメティックであるアミノ酸重合体、および天然型アミノ酸重合体および非天然型アミノ酸重合体にも当てはまる。本発明のポリペプチドには、保存的修飾変異体を含む。当業者は、コード化配列中の単一アミノ酸または少ない割合のアミノ酸を変更、付加、または欠失させる核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列の置換、欠失、または付加は「保存的修飾変異体」であり、前記変化により、アミノ酸が化学的に類似のアミノ酸と置換されることは認識するだろう。機能的に類似のアミノ酸を提供する、保存的置換表は当該分野で周知である。そのような保存的修飾変異体は、本発明の多型変異体、種間相同体、および対立遺伝子に追加され、これを除外しない。以下の8群はそれぞれ互いに保存的置換のあるアミノ酸を含み、それは1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、トレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)である(33)。前記「保存的置換」という用語は、そのようなポリペプチドが必要な結合活性も示す場合、非置換親アミノ酸に代わり置換アミノ酸を使用することも含む。
【0033】
「アミノ酸」は、天然型および合成アミノ酸、および前記天然型アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸ミメティックを指す。天然型アミノ酸は、遺伝暗号でコードされたアミノ酸、および後で修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、およびO−ホスホセリンである。「アミノ酸類似体」は、天然型アミノ酸と同じ基本的化学構造、つまり、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR群、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムに結合するα炭素を有する化合物を指す。そのような類似体は、修飾されたR群(例えばノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然型アミノ酸と同じ基本的化学構造を保持している。「アミノ酸ミメティック」は、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然型アミノ酸と同様に機能する化学化合物を指す。
【0034】
本明細書では、アミノ酸は一般的に知られる3文字記号またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する1文字記号で呼ぶ(以下の表1を参照)。同様に、ヌクレオチドは一般的に受け入れられている1文字コードで呼ぶ。
【0035】
【表1】
【0036】
本明細書では、すべてのアミノ酸配列が、左から右の方向が従来のアミノ末端からカルボキシ末端の方向である式で表されていることに注意する。
【0037】
本明細書に用いられる「in vitro」または「ex vivo」という用語は、人工環境、および例えば試験管および細胞培養などの(これに限定されるものではないが)人工的な環境で発生するプロセスまたは反応を指す。前記「in vivo」という用語は、自然環境(例えば、動物または細胞)および自然環境で発生するプロセスまたは反応を指す。
【0038】
「薬学的に許容される」、「生理学的に忍容性の」、およびその文法的変形形態は、組成、担体、希釈剤、および試薬を指す場合は同義的に用いられ、前記組成の投与を阻害する程度の好ましくない生理学的効果を生じずに、前記物質をヒトに投与できることを示す。
【0039】
「薬学的に許容される担体」という用語は、適切な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比と釣り合い、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の合併症を生じずに、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適した、試薬、添加物、細胞、化合物、物質、組成、および/または投与形態を指す。本明細書でさらに詳細に説明するとおり、本発明での使用に適した薬学的に許容される担体には、気体、液体、および半固体および固体物質を含む。
【0040】
記載がある場合を除き、「被験者」または「患者」は同義的に用いられ、ヒト患者およびヒト以外の霊長類などの哺乳類、およびウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、その他の動物などの実験動物を指す。従って、本明細書に用いられる「被験者」または「患者」は本発明の組成を投与することができるすべての哺乳類患者または被験者を意味する。本発明の一部の実施形態では、前記患者が感染症または炎症性疾患、または自己免疫疾患に罹患する。本発明の一部の実施形態では、前記患者が癌と診断されている。本発明の典型的な実施形態では、本発明に沿った治療の候補患者を特定するため、一般に認められたスクリーニング方法を採用し、被験者の既存の疾患または状態の状況、または標的となるか疑わしい疾患または状態と関連したリスクファクターを決定する。これらのスクリーニング方法には、例えば、被験者が感染症、炎症性疾患、癌、または自己免疫疾患に罹患しているか否かを決定する検査を含む。このようなルーティンな方法により、臨床医は治療が必要な被験者を選択することができる。
【0041】
「治療」は、例えば、感染症、GM−CSFによる炎症性疾患などの炎症性疾患、癌、または自己免疫疾患の治療または改善が成功した兆候を指し、軽減;寛解;症状の減少または患者が疾患状態に耐えられるようにすること;変性または低下の速度が遅くなること;または変性の最終段階の消耗性が低くなることなどの客観的または主観的パラメータを含む。症状の治療または改善は、検査結果などの客観的または主観的パラメータに基づくことができる。従って、前記「治療」という用語には、本発明の化合物または試薬を投与し、癌、感染症、GM−CSFによる炎症性疾患などの炎症性疾患、または自己免疫疾患に伴う症状または状態の発症を遅延、軽減、または停止または抑制することを含む。治療には、例えば、異型細胞増殖の抑制、癌または腫瘍性疾患進行の抑制、腫瘍増殖抑制の維持、および寛解の導入を含む。
【0042】
本明細書に用いられる「治療用化合物」は癌、感染症、炎症性疾患、または自己免疫疾患などの疾患または状態の予防または治療に有用な化合物を指す。
【0043】
「治療効果」は、前記被験者における前記疾患、前記疾患の症状、または前記疾患の副作用の軽減、排除、または予防を指す。「有効量」は、望みの作用を生じるために必要な量を指す。「治療有効量」は、疾患、状態、または障害を治療するために被験者に投与する場合、その疾患の治療を達成するために十分な量を意味する。
【0044】
本明細書に用いられる「併用投与」、「同時投与」、または「併用」には、同時にまたは併用して、一緒に、または互いに前後して活性薬物(例えば、MAbs、化学療法薬、生体分子)を投与することを含む。前記複数の薬物は、すべての薬物が作用部位で十分有効濃度を達成することができる方法で投与される限り、同じ経路または異なる経路で、同時にまたは順次投与することができる。当業者であれば、特定の薬物と本発明の組成を投与する適切なタイミング、順序、および用量を決定することは難しくないだろう。
【0045】
「ドナー細胞」は広義に用いられ、ハイブリドーマを作成するためにヒトB細胞に融合した細胞を指す。前記細胞には、(これに限定されるものではないが)当業者に理解される通りの齧歯類骨髄腫;齧歯類細胞株;ヒト細胞株;トリ細胞株を含む。細胞株は、当業者に既知のいかなる方法によっても得ることができる。
【0046】
「免疫グロブリン」または「抗体」は広義に用いられ、抗体分子と様々な抗体由来分子の両方を指し、前記免疫系の主要成分である、高等哺乳動物で発生する一連の糖タンパク質の一員を含む。前記「抗体」という用語は最も広義の意味で用いられ、望みの生物活性を示す限り、具体的にはモノクローナル抗体、多エピトープ特異性を持つ抗体組成、二重特異性抗体、ダイアボディ(diabodies)、および単鎖分子、また抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2、およびFv)を網羅する。免疫グロブリン分子には抗原結合ドメインを含み、それぞれが軽鎖と、重鎖の末端タンパク質、および補体の固定など様々な機能に必要なFc領域を含む。免疫グロブリンには5種類のクラスがあり、前記Fc領域の重鎖の主要構造が前記免疫グロブリンのクラスを決める。具体的には、α、δ、ε、γ、およびμ鎖がそれぞれIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMに対応する。本明細書に用いる通り、「免疫グロブリン」または「抗体」にはα、δ、ε、γ、およびμのすべてのサブクラスを含み、4鎖の免疫グロブリン構造の天然(例えば、IgAおよびIgM)または合成多量体も指す。抗体は、非共有結合的に、特異的に、および可逆的に抗原と結合する。
【0047】
本明細書に用いられる「モノクローナル抗体」という用語は、かなり均質な抗体集団から得られる抗体を指し、つまり、少量で存在することができ、自然に発生した可能性のある変異を除き、前記集団を有する個々の抗体は同一である。例えば、モノクローナル抗体は抗体産生細胞の単一クローンにより作成することができる。ポリクローナル抗体と異なり、モノクローナル抗体は単一特異的である(例えば、単一抗原の単一エピトープに対して特異的である)。前記「モノクローナル」という修飾語は、かなり均質な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、いかなる特定の方法でも前記抗体の作成が必要であるとは解釈されない。例えば、本発明に従って使用される前記モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495,1975で最初に報告されたハイブリドーマ法により作成することができるか、組み換えDNA法により作成することができる。前記「モノクローナル抗体」は、例えば、Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581−597,1991に報告されている技術を利用し、ファージ抗体ライブラリから単離することもできる。
【0048】
本明細書に使用される場合、「キメラ化」は免疫グロブリンを指し、重鎖および軽鎖の可変領域がヒト由来のものではなく、前記重鎖および軽鎖の定常領域がヒト由来のものである。
【0049】
「ヒト化」は抗体などの免疫グロブリンを指し、前記アミノ酸が直接抗原結合に関与し、前記重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDR)がヒト由来ではないが、残りの免疫グロブリン分子、可変重鎖および軽鎖のフレームワーク領域、および前記重鎖および軽鎖の定常領域がヒト由来のものである。
【0050】
「完全ヒト」とは、抗体などの免疫グロブリンを指し、前記分子全体がヒト由来であるか、前記抗体のヒト型と同一のアミノ酸配列から成る。
【0051】
「エピトープ」は、抗体結合部位として機能する、抗原の免疫決定部分を指す。本明細書に用いられる「立体構造エピトープ」という用語は、連続したアミノ酸以外の、抗原のアミノ酸同士の空間関係によって形成される不連続エピトープを指す。
【0052】
「ハイブリドーマ」は、培養した腫瘍化リンパ球と、親細胞の特異的免疫力を発現し初回刺激を受けたBまたはTリンパ球との細胞融合生成物を指す。
【0053】
「GM−CSF」は、顆粒球および単球−マクロファージの生産、分化、および機能を制御する、糖タンパク質成長因子のファミリーを指す。そのような分子の唯一の形態を意味するものではないが、模範的なものは、米国特許第5,602,007(34)号明細書に見ることができ、参考文献として盛り込まれている。
【0054】
本明細書に用いられる「生体分子」という用語は、複合体を形成し、同時投与され、抗体の投与前後に投与され、またはそれ以外で本発明の抗体と関連して使用することができるすべての分子を指す。生体分子には、(これに限定されるものではないが)酵素、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物、およびフラグメント、相同体、類似体、または誘導体、およびその組み合わせを含む。生体分子の例には、(これに限定されるものではないが)インターロイキン−2、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、リツキサン、ゼバリン、ハーセプチン、エルビタックス、およびアバスチンを含む。前記生体分子は、天然型、組み換え型、または合成とすることができ、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化、ミリスチル化などにより、その天然型から修飾することもできる。本明細書に用いるとおり、前記生体分子という用語は、天然型の分子に限定されず、生物由来ではない合成分子を含む。
【0055】
本発明に従ったポリペプチドは、ポリペプチド分野の当業者に既知の技術により、アミノ酸から合成することができる。一般に、これらの方法は、ペプチド鎖を伸長するため、1若しくはそれ以上のアミノ酸残基または適切に保護されたアミノ酸残基を順次追加する工程を有する。通常は、最初のアミノ酸のアミノ基またはカルボニル基が適切な、選択的に取り外し可能な保護基で保護される。異なる選択的に取り外し可能な保護基は、反応性側鎖(例えば、リジン)を含むアミノ酸に利用される。
【0056】
本発明のポリペプチドを調整する様々な方法は当該分野で既知である(WO 89/06657、WO 92/22315、WO 98/49191、米国特許第5,260,273号、第5,164,369号、第5,407,914号;第5,789,381号、第5,952,303号、第6,013,619号、第6,013,764号、第6,120,795号、第6,613,734号明細書)。
【0057】
本発明のポリペプチドがラベルまたは固体基質、または担体に共有結合することができる「リンカー」を提供する目的などのため、本発明のポリペプチドのいずれの末端にも追加残基を追加することができる。本発明のポリペプチドと一緒に利用可能なラベル、固体基質、および担体は当該分野で既知であり、いくつかの例は本明細書にも説明されている。
【0058】
アミノ酸残基のリンカーは通常少なくとも1残基であり、40若しくはそれ以上、より多くは1〜10残基とすることができる。連結に用いられる典型的なアミノ酸残基は、チロシン、システイン、リジン、グルタミン酸およびアスパラギン酸などである。さらに、本発明のポリペプチドは、末端NH2のアシル化、例えばアセチル化、またはチオグリコール酸のアミド化、末端カルボキシルのアミド化、例えばアンモニア、メチルアミンなどにより修飾される配列が天然配列とは異なる可能性がある。
【0059】
例えば配列ID番号1〜5など、多くの有用なポリペプチドが本明細書に開示されることは理解されるが、まれであるが天然型のアミノ酸、天然アミノ酸の代謝物および異化産物、置換アミノ酸、およびアミノ酸類似体、また「D」配置のアミノ酸を含む広範な他の分子が、本発明の分子および組成に有用であることも真実である。さらに、「設計された」アミノ酸誘導体、類似体、およびミメティックも本発明の様々な化合物、組成、および方法に有用であり、非アミド結合から成る骨格構造を含むポリマーも有用である。
【0060】
本明細書に用いられるように、ポリペプチドおよびアミノ酸残基の「類似体」および「誘導体」は、アミノ酸の代謝物および異化産物、および「天然型」のL型アミノ酸と呼ばれる通常認められるものとは異なる結合、骨格、側鎖、または側基を含む分子を含むことを意図する(前記「類似体」および「誘導体」という用語は、本明細書において都合よく置き換えて使用できる)。従って、アミノ酸および「設計された」側鎖を有するアミノ酸を模倣した(つまり、界面活性作用を有する分子の1若しくはそれ以上のアミノ酸を置換することのできる)分子であるD−アミノ酸も、本明細書の前記「類似体」および「誘導体」という用語に含まれる。
【0061】
例えば、表1に掲載されたL−アミノ酸に加え、ホモアルギニン、シトルリン、オルニチン、およびα−アミノブタン酸などのアミノ酸代謝物も、本発明の分子および組成に有用である。
【0062】
別の変形形態では、より「硬い」立体構造を導入した分子を構築したいと考えることも可能であり、これを達成する1つの方法は、アミノ酸のα炭素原子にメチル基などを追加することである。
【0063】
さらに、タンパク質に由来しないが、天然では知られている置換アミノ酸は本明細書に開示した通り有用であり、以下の例、つまりL−カナバニン;1−メチル−L−ヒスチジン;3−メチル−L−ヒスチジン;2−メチルL−ヒスチジン;α,ε−ジアミノピメリン酸(L型、メソ型、または両方);サルコシン;L−オルニチンベタイン;ヒスチジンのベタイン(herzynine);L−シトルリン;L−ホスホアルギニン;D−オクトピン;o−カルバミル−D−セリン;γ−アミノブタン酸;およびβ−リジンを含む。D−アラニン、D−セリン、D−バリン、D−ロイシン、D−イソロイシン、D−アロイソロイシン、D−フェニルアラニン、D−グルタミン酸、D−プロリン、およびD−アロヒドロキシプロリンなどを含むD−アミノ酸およびD−アミノ酸類似体も、本発明のタンパク質、ペプチド、および組成に有用である。前述のアミノ酸は、本発明のGM−CSFポリペプチドにも利用できる。
【0064】
本発明には、修飾が発生した時間または位置とは無関係に、類似体、代謝物、異化産物、および誘導体を含む広範な修飾アミノ酸を含むことも理解されるものとする。基本的に、修飾アミノ酸は、(1)アミノ酸の異化産物および代謝物、(2)翻訳後修飾(例えば、側鎖の修飾)により発生させた修飾アミノ酸、および(3)非代謝または非異化プロセスによるアミノ酸の修飾(例えば、実験室での修飾アミノ酸または誘導体の合成)の3つのカテゴリーに入れることができる。
【0065】
本発明では、直鎖、分岐鎖、または炭化水素または複素環配列のメチレン基を追加または取り除くことにより側鎖を長くするか、短くしたアミノ酸残基単位の側鎖を容易に設計することができるようにも意図している。前記直鎖および分岐鎖構造は、S、O、またはNなどの非炭素原子を含むこともできる。脂肪酸も、本明細書の界面活性分子の有用な成分となる可能性がある。設計された側鎖は(R’)で終結するか、(R)が負荷されないか、極性基が付加されないで終結する可能性もある。
【0066】
様々なリンカーを使用して生じた分子を含む類似体も、本発明のペプチドに有用である。アミド結合以外の結合によりともに結合した側鎖のある分子、例えば、数例を挙げると、その構成要素がカルボキシまたはホスホエーテル、エチレン、メチレン、ケトン、またはエーテル結合で結合したアミノ酸側鎖または他の側鎖(R−またはR’−)を含む分子も、本明細書で開示される通り有用である。基本的に、すべてのアミノ酸側鎖、RまたはR’基を含む分子が本明細書で開示される通り有用である可能性がある。
【0067】
本発明では、適切なリンカーで結合したペプチド二量体、例えば、システイン分子で結合したペプチド二量体を有する分子も意図している。(当業者が承知の通り、2つのシステイン分子は、チオール基の酸化によって形成するジスルフィド架橋によって互いに結合することができる。)そのため、そのようなリンカーまたは架橋は、異なるポリペプチド鎖、二量体、三量体などに架橋を形成することができる。ペプチド二量体および/または他のペプチド多量体を接続するために使用できる他の有用なリンカーには、例えば、上述のカルボキシまたはホスホエーテル、エチレン、メチレン、ケトン、またはエーテル結合などを含む。
【0068】
当業者は、得られた分子が本明細書に説明する生物活性(例えば、抗原活性)を有する限り、個々のアミノ酸、結合、および/または鎖自体に様々な修飾を加えることができ、その修飾は本発明の範囲内に入る分子を生じることは理解するだろう。
【0069】
本発明の好適な抗原ポリペプチドは、GM−CSF(配列ID番号1)および好ましくは成熟GM−CSF(配列ID番号2)の抗原ペプチドである。一部の実施形態では、前記抗原ペプチドが、配列ID番号1または配列ID番号2に示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも5つの連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、前記抗原ペプチドが、配列ID番号1または配列ID番号2に示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも10連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、前記抗原ペプチドが、配列ID番号1または配列ID番号2に示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも15連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、免疫原性部分が、配列ID番号1または配列ID番号2に示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも20連続アミノ酸を有する。さらに他の実施形態では、前記免疫原性部分が、配列ID番号1または配列ID番号2に示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも25連続アミノ酸を有する。本発明の特定の好適な実施形態では、前記GM−CSFタンパク質の抗原ペプチドが、成熟GM−CSFのアミノ酸配列(配列ID番号2)中のアミノ酸14−28(配列ID番号3)、アミノ酸9−23(配列ID番号4)、またはアミノ酸80−94(配列ID番号5)である。
【0070】
本発明の一部の実施形態では、GM−CSFまたはその抗原ペプチドが免疫原性タンパク質に結合し、前記抗原の免疫原性を高める。前記免疫原性タンパク質は、破傷風トキソイドC(TT)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、アルブミン、オボアルブミン、ニワトリアルブミン(CAB)、ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、ジフテリア類毒素、BCG、コレラ毒素など(これに限定されるものではないが)、細胞の免疫反応を高めるすべてのタンパク質が考えられる。いくつのかの実施形態では、前記抗原が前記成熟タンパク質の変性により生成される。
【0071】
一次ヒトB細胞を用い、ハイブリドーマ分泌ヒトMAbsの作成についてこれまでに報告された方法(WO2004/046330)が本明細書で採用された。末梢血単核細胞、好ましくはヒトPBMCsをex vivoで標的抗原存在下、免疫化し、次にドナー細胞と細胞融合させることで不死化する。代わりに、血清が対象抗原に高い免疫反応を示す特定のPBMCsを同定することもある。
【0072】
前記ドナー細胞由来のハイブリッド細胞は、標的抗原特異的MAbsの分泌をスクリーニングされる。一部の実施形態では、ex vivoで免疫化した免疫グロブリン産生細胞から、標的抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法が提供され、(a)免疫グロブリン産生細胞を有する末梢血単核細胞と標的抗原とをex vivoで合わせる工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞とドナー細胞を融合してハイブリドーマ細胞を形成する工程、(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体による抗原結合を決定する工程、(d)前記標的抗原に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択する工程を有し、それによって、前記標的抗原に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する。好適な実施形態では、前記PBMCsが健常ドナーのものである。前記標的抗原は好ましくはGM−CSFであり、より好ましくは、配列ID番号35−38の1つのアミノ酸配列を有する。
【0073】
或いは、標的となる疾患関連抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作成する方法は、(a)疾患を有する患者またはドナー細胞に抗原曝露したドナー由来の免疫グロブリン産生B細胞を有する末梢血単核細胞をex vivoで融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程、(b)前記ハイブリドーマ細胞から標的抗原に対して産生された抗体による結合を決定する工程、および(c)前記標的抗原に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択する工程を有し、それによって前記標的抗原に対する抗体を発現したハイブリドーマ細胞を作成する。好ましくは、前記標的抗原は疾患関連抗原であり、好ましくは癌、感染症、または自己免疫疾患と関連している。より好ましくは、前記疾患関連抗原はGM−CSFである。前記標的抗原は好ましくはGM−CSFであり、より好ましくは、配列ID番号35〜38の1つのアミノ酸配列を有する。好適な実施形態では、前記抗原曝露したドナーはGM−CSFに曝露したか、肺胞タンパク症(PAP)を有することもある。
【0074】
本発明によると、ex vivoで免疫化した免疫グロブリン産生細胞から、標的抗原(例えば、GM−CSFまたはその抗原ペプチド)に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞の作成法が提供され、(a)ex vivoで免疫グロブリン産生細胞を含む末梢血単核細胞を標的抗原と混合する工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞とドナー細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程、(c)前記ハイブリドーマ細胞により産生された免疫グロブリンの標的抗原に対する結合をスクリーニングする工程を有し、それによって、標的抗原に対する抗体産生ハイブリドーマ細胞を作成する。好適な実施形態では、前記PBMCsが健常ドナーのものである。一部の実施形態では、前記標的抗原が本発明の抗原ポリペプチドを有する。前記標的抗原は、好ましくは配列ID番号1〜5の1つのアミノ酸配列を有し、好ましくは配列ID番号3〜5のいずれか1つである。
【0075】
或いは、本発明によると、標的抗原(例えば、GM−CSF、またはその抗原ペプチド)に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞の作成法が提供され、(a)抗原曝露したドナーから免疫グロブリン産生細胞を含む末梢血単核細胞を選択する工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程、(c)前記ハイブリドーマ細胞により産生される免疫グロブリンの標的抗原に対する結合をスクリーニングする工程を有し、それによって、前記標的抗原に対する抗体産生ハイブリドーマ細胞を作成する。一部の実施形態では、前記標的抗原が本発明の抗原ポリペプチドを有する。前記標的抗原は、好ましくは配列ID番号1〜5、より好ましくは配列ID番号3〜5の1つのアミノ酸配列を有する。好適な実施形態では、前記ドナーはGM−CSF、またはその抗原ペプチドに曝露したか、肺胞タンパク症(PAP)を有することもある。
【0076】
一部の実施形態では、前記ドナー(例えば、骨髄腫)細胞がミスマッチ修復のタンパク質阻害剤を発現している。いくつかの態様では、前記ハイブリドーマ細胞がミスマッチ修復のタンパク質阻害剤を発現している。本発明の方法の一部の実施形態では、ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤が、免疫グロブリン産生細胞と前記骨髄腫を融合させた後、前記ハイブリドーマ細胞に導入される。他の実施形態では、前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤が、前記免疫グロブリン産生細胞との融合前に前記ドナーまたは骨髄腫細胞に導入される。さらに他の実施形態では、前記ドナーまたは骨髄腫細胞または抗体産生細胞のミスマッチ修復が自然に欠損している。
【0077】
ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤には、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を含む。ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子には、(これに限定されるものではないが)PMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3、またはMSH1のドミナントネガティブ対立遺伝子、およびmutLおよびmutS遺伝子の相同体を含む。さらに、ミスマッチ修復に干渉することのできるポリペプチドを利用することもできる。例えば、mutL PMS2のドミナントネガティブ対立遺伝子は、最初の133アミノ酸であるPMS2を有する。さらにmutL相同体のアミノ酸を描写すると、アミノ酸LSTAVKELVENSLDAGATNIDLKLKDYGVDLIEVSDNGCGVEEENFE(配列ID番号6)およびLRQVLSNLLDNAIKYTPEGGEITVSLERDGDHLEITVEDNGPGIPEEDLE(配列ID番号7)またはそのフラグメントが明らかとなる。従って、ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤には、配列ID番号6および7およびそのフラグメントを含む。好適な実施形態では、前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤が不活性化される。例えば、前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤は、前記標的抗原に対するモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマ細胞の同定前後に不活性化することができる。前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤の不活性化は、例えば、誘導因子を除去するか、細胞から前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤を除去する(つまり、前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤の細胞を治療する)など、当該分野で既知のいかなる方法によっても行うことができる。前記ミスマッチ修復阻害剤の不活性化は、過剰変異ハイブリドーマのゲノムを安定化する。
【0078】
本発明のハイブリドーマ細胞の作成法に関する一部の実施形態では、前記ハイブリドーマ細胞がミスマッチ修復の化学抑制剤に曝露される。本発明の方法に関する特定の実施形態で使用されるミスマッチ修復の化学抑制剤には、(これに限定されるものではないが)ミスマッチ修復タンパク質をコードするヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする、アントラセン、ATPアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、RNA干渉分子、ポリメラーゼ阻害剤、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドの少なくとも1つを含む(WO2004/046330)。好適な実施形態では、前記化学抑制剤は以下の化学式を有するアントラセン化合物であり、
【0079】
【化1】
【0080】
R1〜R10は独立して水素、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキニル、N−アルキニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキルオキシ、アリールアルキル、アルキルアリールオキシ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、グアニジノ、カルボキシ、アルコール、アミノ酸、スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、CN、NO2、アルデヒド基、エステル、エーテル、クラウンエーテル、ケトン、有機硫黄化合物、有機金属基、カルボン酸、有機ケイ素、または炭水化物であり、任意選択で1若しくはそれ以上のアルキル化ヒドロキシル基を含み、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールが酸素、硫黄、金属原子、リン、ケイ素、または窒素である少なくとも1つのヘテロ原子を含み、前記置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリール、および置換ヘテロアリールの前記置換基がハロゲン、CN、NO2、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルコキシ、グアニジノ、アルコキシカルボニル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、およびアミノであり、前記アミノ基は任意選択で、アシル基、または1〜3アリールまたは低級アルキル基と置換される。特定の実施例では、R5およびR6が水素である。他の実施形態では、R1〜R10が独立して水素、ヒドロキシ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、トリル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピル、またはヒドロキシブチルである。前記アントラセンの限定されない例には、1,2−ジメチルアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、7,8−ジメチルアントラセン、9,10−デュフェニルアントラセン(9,10−duphenylanthracene)、9,10−ジヒドロキシメチルアントラセン、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン、ジメチルアントラセン−1,2−ジオール、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン−1,2−ジオール、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン−3,4−ジオール、および9,10−ジ−m−トリルアントラセンを含む。
【0081】
前記化学抑制剤は、前記細胞の増殖培地に導入することができる。一部の実施形態では、前記細胞のゲノムを再安定化するため、前記化学抑制剤を過剰変異ハイブリドーマ細胞から取り出すことができる。代わりに、前記方法が前記ミスマッチ修復の化学抑制剤の不活性化を有し、それによって、前記過剰変異ハイブリドーマのゲノムを安定化することができる。
【0082】
一部の実施形態によると、前記方法は、さらに、前記抗体産生細胞から免疫グロブリン産生遺伝子をクローニングする工程、および前記免疫グロブリン遺伝子を哺乳類発現細胞に導入する工程を有し、前記免疫グロブリン遺伝子は操作により発現制御配列に結合される。
【0083】
本発明は、ex invoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、標的抗原に対する高親和性抗体を産生する哺乳類発現細胞を産生する方法も提供し、(a)免疫グロブリン産生細胞を有する末梢血単核細胞と標的抗原とをex vivoで合わせる工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞とドナー細胞を融合してハイブリドーマ細胞を形成する工程、(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体による抗原結合を決定する工程、(d)ミスマッチ修復を阻害することで前記ハイブリドーマの抗体産生を最適化する、または前記ハイブリドーマから哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記哺乳類発現細胞のミスマッチ修復が阻害される工程、および(e)前記標的抗原に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択する工程を有し、それによって、前記標的抗原に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する。工程(a)および(b)の代わりの方法として、疾患を有する患者または抗原に曝露したドナー由来の免疫グロブリン産生B細胞を有する末梢血単核細胞をドナー細胞とex vivoで融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程も利用できる。
【0084】
本発明は、ex invoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、標的抗原に対する高親和性抗体を産生する哺乳類発現細胞を産生する方法も提供し、(a)免疫グロブリン産生細胞を有する末梢血単核細胞と標的抗原とをex vivoで合わせる工程;(b)前記免疫グロブリン産生細胞と骨髄腫細胞を融合してハイブリドーマ細胞を形成する工程;(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の標的抗原への結合をスクリーニングする工程、(d)ミスマッチ修復を阻害することで前記ハイブリドーマの産生を最適化する、または前記ハイブリドーマから哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記哺乳類発現細胞のミスマッチ修復が阻害される工程;および(e)前記ハイブリドーマまたは組み換え細胞から産生された抗体と比較し、標的抗原に対して高い親和性を持つ抗体を分泌する哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程を有する。
【0085】
本発明は、ex invoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、高力価の高親和性抗体を産生する哺乳類発現細胞を産生する方法も提供し、(a)免疫グロブリン産生細胞を有する末梢血単核細胞と標的抗原とをex vivoで混合する工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞とドナー細胞を融合してハイブリドーマ細胞を形成する工程;(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体による抗原結合を決定する工程;(d)前記ハイブリドーマから親哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローン化し、前記哺乳類発現細胞のミスマッチ修復が阻害される工程、(e)前記親哺乳類発現細胞またはハイブリドーマ発現細胞を培養し、突然変異を誘発させることで、過剰変異哺乳類発現細胞を形成する工程、(f)親ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比較し、標的抗原に対する親和性が高い抗体を分泌する過剰変異哺乳類発現細胞を選択するか、または親哺乳類発現細胞よりも高い力価の抗体を分泌する過剰発現哺乳類発現細胞を選択する工程を有し、それによって、ex vivoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、標的抗原に対する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する。工程(a)および(b)の代わりの方法として、疾患を有する患者または抗原に曝露したドナー由来の免疫グロブリン産生B細胞を有する末梢血単核細胞をドナー細胞とex vivoで融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程も利用できる。
【0086】
本発明は、ex invoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、高力価の高親和性抗体を産生する哺乳類発現細胞を産生する方法も提供し、(a)免疫グロブリン産生細胞を有する末梢血単核細胞と標的抗原をex vivoで混合する工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞と骨髄腫細胞を融合してハイブリドーマ細胞を形成する工程、(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体による抗原結合をスクリーニングする工程、(d)前記ハイブリドーマから親哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記哺乳類発現細胞のミスマッチ修復が阻害されるか、ミスマッチ修復を阻害することで前記ハイブリドーマの産生を最適化する工程、(e)前記親哺乳類細胞またはハイブリドーマ発現細胞を培養し、突然変異を誘発させることで、過剰変異哺乳類発現細胞を形成する工程、(f)前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比較し、標的抗原に対する高い親和性を持つ抗体を分泌する過剰変異哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程、および(g)親哺乳類発現細胞よりも高い力価の抗体を分泌する過剰変異哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程を有し、それによって、ex vivoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、高力価の高親和性抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する。
【0087】
本発明の方法に関する一部の実施形態では、ELISAに基づくアッセイまたは当該分野で既知の抗体抗原結合を測定することができる他のアッセイにより、抗体がスクリーニングされる。Crowther,J.R.(2001)The ELISA guidebook,1st ed.Humana Press,Totowa,NJ。
【0088】
一部の実施形態によると、前記スクリーニングで、前記親ハイブリドーマにより産生される抗体よりも親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマのスクリーニングをアッセイする。
【0089】
一部の実施形態によると、本発明の方法は、さらに、最初に選択された細胞により産生される抗体よりも力価の高い過剰変異抗体産生細胞を選択する工程を有する。
【0090】
免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞およびそのような方法で有用な骨髄腫細胞に融合する方法は、当該分野で既知である。Kohler & Milstein,Eur.J.Immunol.1976.6:511−9.Derivation of specific antibody−producing tissue culture and tumor lines by cell fusion。
【0091】
ヒトへの投与を目的として設計されたMabsの生成に使用されるヒトB細胞は、ウイルス伝播が可能な媒体とすることができる。融合の相手となる細胞およびドナーの末梢血単核細胞(PBMCs)を事前にスクリーニングし、例えば、PCRにより、免疫不全−1および2ウイルス、B型およびC型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペス−6ウイルス、およびエプスタインバーウイルスを含むウイルスDNAがないことを確認できる。
【0092】
本発明の方法に従い産生されたハイブリドーマ細胞は、本発明の範囲内に含まれる。
【0093】
本発明は、本発明の方法に従い作成されたハイブリドーマ細胞により産生される標的抗原に対する抗体も有する。本発明の抗体は、本発明のポリヌクレオチドを用い、遺伝子組み換えにより作成された抗体も有する。本発明の好適な抗体は、モノクローナル抗体である。本発明の抗体は好ましくは完全にヒトであり、より好ましくは完全ヒトモノクローナル抗体である。
【0094】
本発明の好適な抗体は、標的抗原のエピトープ、例えば立体構造エピトープに特異的に結合する。本発明の抗体は、例えば(これに限定されるものではないが)GM−CSF、好ましくはヒトGM−CSF(配列ID番号1)、より好ましくは成熟ヒトGM−CSF(配列ID番号2)など、好ましくは疾患関連抗原に向かう。一部の実施形態では、前記抗原が結合するエピトープが、配列ID番号1または配列ID番号2で示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも5個の連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、前記抗原が結合するエピトープが、配列ID番号1または配列ID番号2で示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも10個の連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、前記抗原が結合するエピトープが、配列ID番号1または配列ID番号2で示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも15個の連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、前記抗原が結合するエピトープが、配列ID番号1または配列ID番号2で示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも20個の連続アミノ酸を有する。さらに他の実施形態では、前記抗原が結合するエピトープが、配列ID番号1または配列ID番号2で示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも25個の連続アミノ酸を有する。本発明の特定の好適な実施形態では、前記抗体が結合するGM−CSFのエピトープが、配列ID番号33−36の少なくとも1つのアミノ酸配列を有する。抗体産生細胞は2007年1月18日(10G9)、および2007年1月31日(E10)にAmer.Type Cult.Coll.(10801 University Blvd.,Manassas,Virginia 20110−2209)に掲載され、受入番号 を割り当てられた。本発明の抗GM−CSF抗体の例は、そのような細胞によって産生される抗体である。
【0095】
当業者は、抗体の特異性が主にCDRの6領域、特にH鎖CDR3によって決まることを認識するだろう(Kala M et al.(2002)J.Biochem.132:535−41;Morea V et al.(1998)J.Mol.Biol.275:269−94;およびChothia C et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901−17)。ただし、抗体のフレームワーク領域は抗原−抗体相互作用に関与する可能性があり(Panka DJ et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:3080−4)、特に、CDRループの立体構造に関与する可能性がある(Foote J et al.(1992)J.Mol.Biol.224:487−99)。従って、本発明の抗体は、HまたはL鎖CDRまたはGM−CSFに抗体特異性を与えるFWR領域のいかなる組み合わせも有することができる。当該分野でルーティンに実施されるドメインシャッフリング実験(Jirholt P et al.(1998)Gene 215:471−6;Soderlind E et al.(2000)Nature Biotechnology 18:852−6)を利用し、本明細書に説明、例示される明細に従い、GM−CSFに特異的に結合する抗体を作成することができる。そのようなドメインシャッフリング実験で作成される抗体は、本発明の範囲内である。
【0096】
従って、一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号40または46と実質的に同一または等しい重鎖CDR1アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号41または47と実質的に同一または等しい重鎖CDR2アミノ酸配列を有する。いくつかの特に好適な実施形態では、前記抗体は配列ID番号42または48と実質的に同一または等しい重鎖CDR3アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号43または49と実質的に同一または等しい軽鎖CDR1アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号44または50と実質的に同一または等しい軽鎖CDR2アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号45または51と実質的に同一または等しい軽鎖CDR3アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号52または58と実質的に同一または等しい重鎖FWR1アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号53または59と実質的に同一または等しい重鎖FWR2アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号54または60と実質的に同一または等しい重鎖FWR3アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号55または61と実質的に同一または等しい軽鎖FWR1アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号56または62と実質的に同一または等しい軽鎖FWR2アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号57または63と実質的に同一または等しい軽鎖FWR3アミノ酸配列を有する。
【0097】
いくつかの好適な実施形態では、本発明の抗体が配列ID番号8、9、または16のアミノ酸配列を有する重鎖を有する。前記重鎖は、配列ID番号10、11、または17のヌクレオチド配列を有する核酸配列によってコードされる可能性がある。いくつかの好適な実施形態では、本発明の抗体が配列ID番号12、13、または18のアミノ酸配列を有する軽鎖を有する。前記軽鎖は、配列ID番号14、15、または19のヌクレオチド配列を有する核酸配列によってコードされる可能性がある。
【0098】
重鎖と軽鎖およびそれをコードする遺伝子に存在する可能性のある天然の配列変化のため、当業者はアミノ酸配列またはそれをコードする遺伝子にある程度の変化はあるが、それでも本発明の抗体に独特の結合性(例えば、特異性および親和性)を維持することを期待するだろうことは、理解されるものとする。そのような期待は、一部は遺伝コードの縮重、および保存的アミノ酸配列の変化における既知の進化的成功が原因であり、コード化されたタンパク質の性質はあまり変化させない。従って、そのような変異体および相同体は、実質的に互いに同一と考えられ、本発明の範囲内に含まれる。
【0099】
そのため、本発明の抗体には、単一または複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、または交換を有し、本発明の抗体の生物学的特性(例えば、結合親和性または免疫エフェクター活性)を保持する変異体を含む。当業者は、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加、または交換を有する変異体を作成することができる。これらの変異体には、とりわけ、(a)1若しくはそれ以上のアミノ酸残基が保存的または非保存的アミノ酸と置換された変異体、(b)1若しくはそれ以上のアミノ酸が前記ポリペプチドに追加されるか、前記ポリペプチドから欠失した変異体、(c)1若しくはそれ以上のアミノ酸が置換基を含む変異体、および(d)例えば、抗体エピトープ、ポリヒスチジン配列、ビオチン部分など、前記ポリペプチドに有用な特性を与えることができる、融合パートナー、タンパク質標識、または他の化学部分など、別のペプチドまたはポリペプチドと、前記ポリペプチドが融合した変異体を含むことがある。本発明の抗体には、保存的または非保存的な位置で、1種のアミノ酸残基が別の種の対応する残基と置換された変異体を含むこともある。他の実施形態では、非保存的な位置のアミノ酸残基が保存的または非保存的残基と置換される。遺伝的(抑制、欠失、変異など)、化学的、および酵素的技術を含む、これらの変異体を得る技術は、当業者に周知である。
【0100】
いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号8のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列ID番号12のアミノ酸配列を有する軽鎖を有することができる。いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号16のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列ID番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖を有することができる。一部の実施形態では、前記抗体が配列ID番号9のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列ID番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖を有することができる。ただし、当業者は、場合によっては、特定の重鎖と様々な軽鎖の組み合わせ、または特定の軽鎖と様々な重鎖の組み合わせが、天然の組み合わせと同一またはそれ以上の特異性および/または親和性を持つ抗体を産生することは認識するだろう。従って、本発明は、HおよびL鎖の好ましい組み合わせに限定されず、そのため本発明の抗体は、GM−CSFに対する特異的な高い親和性の結合を得るため、本明細書に説明されるHおよびL鎖、または当業者に周知であるか、それ以外に本明細書に説明されるHおよびL鎖と適合すると実験的に判断された他のHまたはL鎖を含む(これに限定されるものではないが)HおよびL鎖の様々な組み合わせを含む。
【0101】
本発明の好適な抗体は2つの重鎖を有する。本発明の好適な抗体は2つの軽鎖を有する。より好ましくは、本発明の2つの重鎖および2つの軽鎖を有する抗体である。
【0102】
本発明の抗体には、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加、または交換を有し、本発明の抗体の生物学的特性(例えば、結合親和性または免疫エフェクター活性)を保持する変異体を含む。当業者は、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加、または交換を有する変異体を作成することができる。これらの変異体には、とりわけ、(a)1若しくはそれ以上のアミノ酸残基が保存的または非保存的アミノ酸と置換された変異体、(b)1若しくはそれ以上のアミノ酸が前記ポリペプチドに追加されるか、前記ポリペプチドから欠失した変異体、(c)1若しくはそれ以上のアミノ酸が置換基を含む変異体、および(d)例えば、抗体エピトープ、ポリヒスチジン配列、ビオチン部分など、前記ポリペプチドに有用な特性を与えることができる、融合パートナー、タンパク質標識、または他の化学部分など、別のペプチドまたはポリペプチドと、前記ポリペプチドが融合した変異体を含むことがある。本発明の抗体には、保存的または非保存的な位置で、1種のアミノ酸残基が別の種の対応する残基と置換された変異体を含むこともある。別の実施形態では、非保存的な位置のアミノ酸残基が保存的または非保存的残基と置換される。遺伝的(抑制、欠失、変異など)、化学的、および酵素的技術を含む、これらの変異体を得る技術は、当業者に周知である。本発明の抗体には抗体フラグメントも含む。「フラグメント」とはポリペプチド配列を指し、好ましくは少なくとも約40、より好ましくは少なくとも約50、より好ましくは少なくとも約60、より好ましくは少なくとも約70、より好ましくは少なくとも約80、より好ましくは少なくとも約90、より好ましくは少なくとも約100アミノ酸長であり、例えば、結合親和性または結合活性および免疫エフェクター活性など、前記完全な長さの配列の生物活性または免疫活性を一部保持する。
【0103】
本発明の抗体は標的抗原に対する結合親和性を有し、解離定数(KD)は1×10−2未満を含む。一部の実施形態では、前記KDが1×10−3未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−4未満である。一部の実施形態では、前記KDが1×10−5未満である。さらに他の実施形態では、前記KDが1×10−6未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−7未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−8未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−9未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−10未満である。さらに他の実施形態では、前記KDが1×10−11未満である。一部の実施形態では、前記KDが1×10−12未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−13未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−14未満である。さらに他の実施形態では、前記KDが1×10−15未満である。
【0104】
本発明の抗体には、例えば、あらゆるタイプの分子と前記抗体との共有結合により、共有結合が前記抗体のエピトープへの結合を阻害しないように修飾された誘導体を含む。適切な誘導体の例には、(これに限定されるものではないが)グリコシル化抗体およびフラグメント、アセチル化抗体およびフラグメント、ポリエチレングリコール化抗体およびフラグメント、リン酸化抗体およびフラグメント、およびアミド化抗体およびフラグメントを含む。本発明の抗体は、それ自体、既知の保護基/封鎖基、タンパク質分解的切断、細胞のリガンドまたは他のタンパク質との結合などにより誘導体化することができる。さらに、本発明の抗体は、上述の通り、1若しくはそれ以上の非古典的アミノ酸を含むことができる。本発明の一部の実施形態では、GM−CSFまたはそのエピトープが免疫原性タンパク質に接合し、前記抗原の免疫原性を高める。前記免疫原性タンパク質は、破傷風トキソイドC(TT)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、アルブミン、オボアルブミン、ニワトリアルブミン(CAB)、ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、ジフテリア類毒素、BCG、コレラ毒素など(これに限定されるものではないが)、細胞の免疫反応を高めるすべてのタンパク質が考えられる。いくつのかの実施形態では、前記抗原が前記成熟タンパク質の変性により生成される。
【0105】
本発明の抗体は、抗体の活性または安定性を改良する翻訳後部分を有することもできる。これらの部分には硫黄、メチル、炭水化物、リン、および免疫グロブリン分子に一般的に認められる他の化学基を含む。
【0106】
本発明の抗体は、いかなるアイソタイプとすることもできる。それによって、抗体のアイソタイプは、in vivoクラススイッチまたは遺伝子組み換え技術により変化させることができる。
【0107】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が提供される。本発明の核酸には、(これに限定されるものではないが)ゲノムDNA、DNA、cDNA、RNA、二本鎖および一本鎖核酸、およびその相補的配列を含む。
【0108】
本発明の好適なポリヌクレオチドには、配列ID番号8および/または配列ID番号12のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、前記抗体の重鎖が配列ID番号10を有するポリヌクレオチドでコードされる。一部の実施形態では、前記抗体の軽鎖が配列ID番号14を有するポリヌクレオチドでコードされる。配列ID番号8のアミノ酸配列および配列ID番号12のアミノ酸配列をコードする核酸配列を有するポリヌクレオチドも提供される。好ましくは、そのようなポリヌクレオチドが、配列ID番号10および/または配列ID番号14の核酸配列を有する。
【0109】
本発明の好適なポリヌクレオチドには、配列ID番号16および/または配列ID番号18のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、前記抗体の重鎖が配列ID番号17を有するポリヌクレオチドでコードされる。一部の実施形態では、前記抗体の軽鎖が配列ID番号19を有するポリヌクレオチドでコードされる。配列ID番号16のアミノ酸配列および配列ID番号18のアミノ酸配列をコードする核酸配列を有するポリヌクレオチドも提供される。好ましくは、そのようなポリヌクレオチドが、配列ID番号17および/または配列ID番号19の核酸配列を有する。
【0110】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(およびそれらがコードするペプチド)がリーダー配列を含む。当該分野で既知のいかなるリーダー配列も利用することができる。前記リーダー配列には、(これに限定されるものではないが)制限酵素認識部位および/または翻訳開始部位を含むことができる。例えば、本発明では、配列ID番号9および/または配列ID番号13のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一部の実施形態では、前記抗体の重鎖が配列ID番号11を有するポリヌクレオチドでコードされる。一部の実施形態では、前記抗体の軽鎖が配列ID番号15を有するポリヌクレオチドでコードされる。配列ID番号9のアミノ酸配列および配列ID番号13のアミノ酸配列をコードする核酸配列を有するポリヌクレオチドも提供される。好ましくは、そのようなポリヌクレオチドが、配列ID番号11および/または配列ID番号15の核酸配列を有する。
【0111】
本発明では、本発明のポリヌクレオチドを有する発現ベクター、および本発明の前記ポリヌクレオチドを発現した組み換え宿主細胞などの(これに限定されるものではないが)宿主細胞も検討される。
【0112】
対象ポリペプチドをコードする配列を有する組み換え発現ベクターも提供される。前記発現ベクターは、制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー)、選択マーカー、およびポリアデニル化信号などの(これに限定されるものではないが)1若しくはそれ以上の追加配列を含むことができる。
【0113】
本発明の組み換え発現ベクターには、操作により適切な制御要素に結合可能な少なくとも1つの組み換えタンパク質をコードする合成、ゲノム、またはcDNA由来の核酸フラグメントを含む。そのような制御要素には、転写プロモーター、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、および転写および翻訳の停止を制御する配列を含むことができる。発現ベクター、特に哺乳類発現ベクターには、複製起点、発現される遺伝子に結合する適切なプロモーターおよびエンハンサー、他の5’または3’側方非転写配列、(必要なリボソーム結合部位などの)5’または3’非翻訳配列、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、または転写終止配列など、1若しくはそれ以上の非転写要素を含むこともある、宿主に複製能力を与える複製起点も含めることができる。
【0114】
形質転換脊椎動物細胞に使用される発現ベクターの転写および翻訳制御配列は、ウイルス原料によって提供される。典型的なベクターは、Okayama and Berg(1983)Mol.Cell.Biol.3:280に説明される通り、作成することができる。
【0115】
前記系で使用可能な選択マーカーには、抗生物質耐性遺伝子(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ペニシリン耐性遺伝子)、HSV−TK、ガンシクロビル選択用のHSV−TK誘導体、または6−メチルプリン選択用の細菌プリンヌクレオシドホスホリラーゼ遺伝子など(これに限定されるものではないが)、ポジティブおよびネガティブ選択マーカーなどの当該分野で既知のマーカーを含む(Gadi et al.(2000)Gene Ther.7:1738−1743)。[0034]選択マーカーをコードする核酸配列またはそのクローニング部位は、対象ポリペプチドをコードする核酸配列またはそのクローニング部位の上流または下流にある可能性がある。
【0116】
一部の実施形態では、前記ベクターに、構成的、誘導、宿主特異的、および/または組織特異的プロモーターなど(これに限定されるものではないが)、1若しくはそれ以上のプロモーターを含む。例えば、一般に使用されるプロモーターおよびエンハンサーは、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス2、サルウイルス40(SV40)、およびポリオーマに由来する。ウイルスゲノムプロモーター、制御および/またはシグナル配列を利用し、適合する宿主細胞に依存する発現を誘導することができる。前記ベクターが発現される細胞タイプの同一性により、ハウスキーピング遺伝子由来のプロモーターも利用することができる(例えば、β−グロビン、チミジンキナーゼ、およびEF−1αプロモーター)。一部の実施形態では、プロモーターが1若しくはそれ以上の対象ポリペプチドをコードする核酸配列の上流にある。
【0117】
本発明のベクターには、1若しくはそれ以上の内部リボソーム侵入部位(IRES)を含むことができる。融合ベクターにIRES配列を含めることは、一部のタンパク質発現を亢進させる上で有益と考えられる。
【0118】
一部の実施形態では、前記ベクターの系に1若しくはそれ以上のポリアデニル化部位(例えば、SV40)を含み、これは、前述の核酸配列のいずれかの上流または下流にある可能性がある。
【0119】
ベクター成分は隣接して結合しているか、遺伝子産物を発現させるために最適な間隔を提供するように(つまり、ORFs間に「スペーサー」ヌクレオチドを導入することで)配列されているか、別の方法で配置されている可能性がある。IRESモチーフなどの制御要素は、発現に最適な間隔を提供するように配列することもできる。
【0120】
本発明の発現ベクターを形質移入した細胞をポジティブ選択の条件で選択するか、および/または、組み換えタンパク質を発現させるためにスクリーニングすることができる。組み換え陽性の細胞を増殖し、望みの表現型を発現したサブクローンをスクリーニングする。
【0121】
本発明の発現ベクターを用い、真核および原核細胞を含む細胞を形質転換することができる。従って、本発明の別の実施形態では、本発明の発現ベクターで形質転換した宿主細胞を提供する。本発明の細胞は、好ましくは真核細胞であり、より好ましくは植物、齧歯類、またはヒト由来の細胞であり、例えば(これに限定されるものではないが)NSO、CHO、perC.6、Tk−ts13、BHK、HEK29細胞、COS−7、T98G、CV−1/EBNA、L細胞、C127、3T3、HeLa、NS1、Sp2/0骨髄腫細胞、およびBHK細胞株などである。
【0122】
一般に、形質移入は細胞懸濁液、または単細胞を用いて実施されるが、前記処理細胞または組織の十分な分画が前記ポリヌクレオチドを含む限り、他の方法を適用することもでき、それにより形質移入した細胞が増殖、利用できるようにする。形質移入の技術も周知である。いくつかの形質転換プロトコールが当該分野で既知である。例えば、Kaufman(1988)Meth.Enzymology 185:537を参照。当業者に容易に理解される通り、適切な形質転換プロトコールは宿主細胞の種類および対象遺伝子の性質により決まる。そのようなプロトコールの基本要素には、対象タンパク質をコードする核酸配列を適切な宿主細胞に導入する工程、および、次に安定した発現様式でベクターDNAを組み入れた宿主細胞を同定および単離する工程を含む。ポリヌクレオチドの導入技術には、これに限定されるものではないが、電気穿孔法、形質導入、細胞融合、塩化カルシウムの利用、前記ポリヌクレオチドと脂質のパッケージングにより対象細胞と融合させる方法を含む。前記形質移入が安定し、前記選択可能なマーカー遺伝子が多数の細胞世代で一貫したレベルで発現されていれば、細胞株が生じる。
【0123】
哺乳類細胞に形質移入する1つの一般的な方法は、リン酸カルシウム沈殿である。別の方法は、哺乳類細胞を用い、細菌原形質体をポリエチレングリコール(PEG)により融合するものである。Schaffner et al.(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2163。さらに別の方法は電気穿孔法であり、これはDNAを直接宿主細胞の細胞質に導入するために利用することもでき、例えば、Potter et al.(1988)Proc.Natl.Acad.SciUSA 81:7161に報告されている。
【0124】
DNAの形質移入はリポフェクチンおよびリポフェクタミン(Gibco BRL、メリーランド州Gaithersburg)から入手可能)などのポリリソソーム試薬を用いて行うことができ、これが脂質−核酸複合体(またはリポソーム)を形成し、培養細胞に使用すると、細胞への核酸の取り込みを促進する。
【0125】
望みのタンパク質を発現した細胞が同定されると、これを増殖、選択することができる。形質移入細胞は様々な方法で選択できる。例えば、対象ポリペプチドを発現した細胞を選択することができる。ベクターが抗生物質耐性遺伝子も含む細胞では、前記細胞の抗生物質耐性が選択され、これにより前記ベクターを含む細胞をポジティブに選択する。他の実施形態では、前記細胞を選択的条件で増殖させることができる。
【0126】
タンパク質を産生するクローンが同定されると、その系をさらにスクリーニングし、例えば、タンパク質の修飾および/または翻訳後修飾の変更により、高力価の発現、増殖特性の向上、および/または望みの生化学特性を持つタンパク質を産生する能力を示す細胞など(これに限定されるものではないが)望みの表現型を1若しくはそれ以上有するサブクローンを同定することができる。これらの表現型は、特定サブクローンに固有の特性または変異誘発性によるものと考えられる。変異誘発性は、化学物質の使用、UV波長光、放射線、ウイルス、挿入変異誘発要因、不完全DNA修復、またはそのような方法の組み合わせによりもたらされる。
【0127】
本発明の別の観点は、本発明の抗体の薬学的組成を特徴としている。前記薬学的組成を使用し、患者の疾患、例えば、癌、感染症、または炎症性疾患を治療することができる。
【0128】
本発明では、(これに限定されるものではないが)癌、感染症、または炎症性疾患などの疾患を治療するため、薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された、1若しくはそれ以上のMAbsを有する薬学的組成を提供する。
【0129】
予防的応用では、薬学的組成が疾患または病状(例えば、癌、感染症、または炎症性疾患)に罹患しやすいか、そうでない場合はそのリスクがある患者に予防有効量で投与される。リスクがある人には、(これに限定されるものではないが)癌、感染症、または炎症性疾患の家族歴がある人、これまでに癌、感染症、または炎症性疾患の治療を受けたことがある人、および癌、感染症、または炎症性疾患を発症する可能性が上昇していることが示唆される他の臨床徴候を示している人を含む。代わりに述べると、リスクがある人は、癌、感染症、または炎症性疾患を発症するリスクが一般集団よりも高いと考えられる人である。「予防有効量」の用語の意味は、癌、感染症、または炎症性疾患の発症または再発の予防として観察される効果を生じる製剤の量を指す。製剤の予防有効量は、典型的には、活性薬物を含まない第二の製剤を同状況の個人に投与した場合に観察される効果と比べ、認められる効果によって判断される。
【0130】
治療的応用では、そのような疾患に罹患していることが疑われるか、すでに罹患している患者に対し、前記疾患発症時の合併症および中間病理学的表現型を含む疾患の症状を(生化学的および/または組織学的に)治癒または少なくとも部分的に停止させるのに十分な治療有効量で組成が投与される。
【0131】
予防的および治療的体制のいずれにおいても、通常、十分な反応が得られるまで数回に分けて薬物が投与される。典型的には、前記反応はモニターされ、反応が弱くなり始めた場合は繰り返し投与される。
【0132】
本明細書に説明した通り、例えば癌、感染症、または炎症性疾患などの疾患を治療するモノクローナル抗体の有効量は、投与方法、標的部位、前記患者の生理的状態、前記患者がヒトか動物か、他の投与薬物、および投与が予防的か治療的かを含む、様々な多くの要因によって変化する。通常、前記患者はヒトであるが、ヒト以外の哺乳類にも投与可能である。
【0133】
用量は、治療される疾患状態の重症度および反応性に依存し、治療コースは数日から数ヵ月、または治癒が達成されるか、疾患状態の軽減が達成されるまで継続される。最適な投与スケジュールは、患者または被験者の身体の薬物蓄積を測定することで計算可能である。当業者は、最適用量、投与法、および繰り返し周期を容易に決定することができる。最適用量は個々の抗体の相対的力価、および併用投与の場合は、疾患の治療に使用される既知薬物の相対的力価によって変化する可能性がある。最適用量は、in vitroおよびin vivo動物モデルで効果があることが分かっているEC50sに基づき推定することができる。
【0134】
一般に、用量は体重1kgあたり0.01μg〜100gであり、1日、1週、1月、または1年で1回若しくはそれ以上投与することができ、または2〜20年ごとに1回投与することもできる。投与量と投与頻度は、治療が予防的か治療的かによって変化する可能性がある。予防的応用では、長期間にわたり、比較的低頻度の間隔で、比較的低用量が投与される。患者によっては、残りの生涯治療を受け続ける者もいる。治療的応用では、疾患の進行が軽減または停止するまで、および好ましくは前記患者が疾患症状の部分的または完全な寛解を示すまで、比較的短期間の間隔で比較的高用量が必要となることもある。その後、前記患者は予防的体制で投与することができる。
【0135】
個人の必要性は変化する可能性があるが、製剤有効量の最適範囲の決定は当該分野の技術の範囲内とする。ヒトの用量は動物研究から外挿することができる(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,20TH ED.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,2000)。当業者が調節することのできる製剤有効量を提供するために必要な用量は、年齢、健康状態、身体状態、体重、投与者の疾患または病気の種類および程度、投与頻度、(あれば)併用療法の性質、および望みの効果の性質および範囲によって変化する。
【0136】
本発明の薬学的組成は、薬学的に許容される担体とともに製剤化されることもある。適切な薬学的に許容される担体には、水、PBS、食塩水(リンガー溶液など)、アルコール、オイル、ゼラチン、およびラクトース、アミロース、またはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニル・ピロリジンを含む。そのような製剤は滅菌し、望ましい場合は、潤滑剤、保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝液、および着色剤などの助剤と混合することができる。本発明での使用に適した薬学的担体は当該分野で既知である(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,20TH ED.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,2000)。
【0137】
単位投与形態で都合よく提示することができる薬学的製剤は、薬学産業で周知の従来の技術により調整可能である。そのような技術には、前記薬学的担体と前記活性成分を結合させる工程を含む。一般に、前記製剤は前記活性成分を液体担体または微粉化した固体担体またはその両方と均一および密接に結合させることで調整される。前記製剤は、例えば密閉されたアンプルおよびバイアルなど、単位用量または複数回用量の容器で提示することができ、使用直前に滅菌液体担体を追加するだけでよい凍結または凍結乾燥された状態で保存できる。
【0138】
前記薬学的組成は、滅菌、実質的に等張とし、米国食品医薬品局のすべての医薬品製造管理および品質管理基準(GMP)に完全に従い、製剤化される。
【0139】
製剤、用量、投与法に関する追加指針が当該分野で利用できる(Berkow et al.,1997,THE MERCK MANUAL OF MEDICAL INFORMATION,Home,ed.,Merck Research Laboratories,Whitehouse Station,N.J.;Goodman et al.,1996,GOODMAN&GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS,9th ed.McGraw−Hill Health Professions Division,New York;Ebadi,1998,CRC DESK REFERENCE OF CLINICAL PHARMACOLOGY,CRC Press,Boca Raton,Fla.;Katzung,2001,BASIC & CLINICAL PHARMACOLOGY,8TH ED.Lange Medical Books/McGraw−Hill Medical Pub.Division,New York;Speight et al.,1997,AVERV’S DRUG TREATMENT:A GUIDE TO THE PROPERTIES,CHOICE,THERAPEUTIC USE AND ECONOMIC VALUE OF DRUGS IN DISEASE MANAGEMENT,4TH ED.Adis International,Auckland/Philadelphia,PA)。
【0140】
薬学的治療に用いる場合、本発明の組成は単独で投与するか、癌、感染症、または炎症性疾患の治療に用いられる他の化合物または製剤と併用投与することができる。本明細書では「補助化合物」または「補助組成」と呼ばれるそのような化合物の例には、(これに限定されるものではないが)抗生物質、抗サイトカイン、抗喘息薬、抗ホスホリパーゼ(例えば、ホスホリパーゼ阻害薬)、血管拡張薬(例えば、アデノシン、β−アドレナリン作動薬または拮抗薬、β−アドレナリン遮断薬、α−アドレナリン遮断薬、利尿薬、平滑筋血管拡張薬、硝酸塩、およびアンギオテンシン変換酵素阻害薬)、生体分子、細胞増殖抑制剤、および化学療法薬を含む。本発明の薬学的組成は、例えば、1若しくはそれ以上の補助化合物を有することができる。一部の実施形態では、前記抗体が前記補助化合物と結合される。
【0141】
本発明のさらに別の観点では、例えば癌、感染症、または炎症性疾患治療用のキットが提供される。
【0142】
本発明のキットは、本発明の抗体または抗体組成、および患者の癌、感染症、または炎症性疾患を治療する方法において前記キットを使用するか、標的抗原(例えば、GM−CSF)の生物活性を阻害するための使用説明書を有する。前記キットは、少なくとも1つの補助化合物を有することができる。前記キットは、前記抗体または抗体組成を、例えば注射により投与するための使用説明書および/または手段を有することもある。
【0143】
本発明の抗体を使用し、血液血清など(これに限定されるものではないが)生物サンプル中の抗原を検出することができる。フローサイトメトリーなど(これに限定されるものではないが)、当該分野で既知のいかなる方法も利用することができる。例えば、本発明の抗体と生物サンプルをインキュベートした後、洗浄し、標識した二次抗体とインキュベートすることができる。例えば、前記二次抗体を軽鎖に向かわせ、検出用FRTCまたはフィコエリトリンに結合させることができる。
【0144】
本発明の抗体の活性を中和する抗原は、当該分野で既知のいかなる方法によっても、抗原中和アッセイで検査することができる。例えば、前記抗体の中和活性は、抗原依存性の細胞株により評価することができる。GM−CSF依存性細胞株の例には、(これに限定されるものではないが)TF−1およびAML−193を含む。
【0145】
最初の抗原中和アッセイでは、抗原依存性細胞を被験抗体またはアイソタイプの対照抗体と1時間プレインキュベートしたアッセイ培地、アッセイ培地、抗原、または抗原に懸濁する。前記インキュベーション期間後、当該分野で既知のいかなる方法によっても、増殖抑制が評価される。例えば、Cell Titer試薬(Promega、ウィスコンシン州)を添加した後、さらにインキュベートし、分光光度計で490nmの光学濃度(O.D.)を測定し、サンプルから培地のバックグラウンドを差し引くことができる。抗原中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算される。
【0146】
別の中和アッセイでは、抗原を本発明の抗抗原抗体と混合する。抗原依存性細胞を前記混合物に添加した後、インキュベートする。このインキュベーション期間後、増殖阻害を測定する。例えば、前記DNA増殖マーカーのMTSを追加した後、色素の取り込みを測定することができる。前記抗抗原抗体存在下と比較した抗体存在下での色素取り込みの減少は、抗原が中和されたことを示している。
【0147】
代わりに、抗原存在下で抗原依存性細胞を増殖させた後、培地に増量した抗体を追加し、前述の通り中和活性を測定する。
【0148】
本発明の治療法には、例えばGM−CSFなど標的抗原の生物活性を抑制する方法、および本発明の抗体の薬学的組成を、それを必要とする患者または被験者に投与することで、癌、感染症、または炎症性疾患など(これに限定されるものではないが)の疾患を治療する方法を含む。GM−CSFの生物活性には、(これに限定されるものではないが)GM−CSF受容体への結合を含む。前記方法を利用し、例えば、癌、感染症、または炎症性疾患など(これに限定されるものではないが)の疾患の予防的または治療的投与を行うことができる。
【0149】
本発明の治療的方法は、ヒトおよび非ヒト動物での使用に適している。本発明の利益を受ける非ヒト動物には、ペット、外国産(例えば、動物園の動物)および国産家畜を含む。好ましくは、前記非ヒト動物は哺乳類である。
【0150】
本発明で使用される抗体は、カプセル、錠剤、水性懸濁液、溶液など、許容される剤形であれば経口投与することができる。前記抗体は非経口投与することもできる。その場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、鼻腔内、局所、くも膜下腔内、肝内、病巣内、および頭蓋内注射または注入法の投与経路とする。前記抗体は、筋肉内または静脈内注射として提供される。
【0151】
本発明の抗体は、単独、または許容されるアジュバント、賦形剤、および添加物を含む、薬学的に許容される担体との併用で投与することができる。
【0152】
本発明の抗体は、別の治療薬の前、後、または同時に投与することができる。例えば、本発明の抗体は、単独投与、または補助化合物と併用投与することができる。
【0153】
本発明の抗体は、非結合型または結合型抗体の均一混合物として、または非結合型または結合型抗体の不均一混合物として投与することができる。
【0154】
治療が有効であるかについては、様々な方法で評価することができる。1つの実施形態では、癌、感染症、または炎症性疾患の治療が有効であることが、疾患の進行が遅くなったことで判断される。さらに他の実施形態では、体重増加、体力回復、疼痛軽減、成長、および健康回復に関する前記患者からの主観的指標などの徴候を含む、前記患者の幸福(well−being)向上により、治療が有効であると測定される。
【0155】
以下の例は、より詳細に本発明を説明するために提供される。これらは本発明を図示するためのものであるが、制限する意図はない。
【実施例1】
【0156】
GM−CSFに対する抗原特異的ヒトMAbsの作成
材料と方法
ヒトB細胞、ex vivoでの免疫化、および細胞培養。以下のすべての手順において、37℃、5%CO2中で細胞を増殖した。破傷風トキソイド(TT)ワクチンを接種した健常人からleukopacksを得た。PBMCsはFicoll−Plaque(Amersham BioSciences)により精製し、CD19陽性B細胞およびCD4陽性T細胞はEasySep(登録商標)ヒトCD4およびCD19選択キット(StemCell Technologies)によりそれぞれPBMCsから単離し、混合してB細胞/T細胞プール(BT4細胞)を作成した。BT4細胞は、10%熱不活性ヒト血清AB(Nabi、フロリダ州)、2mM L−グルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、55μM 2−メルカプトエタノール(Invitrogen、カリフォルニア州)を含むRPMI1640完全培地(Invitrogen、カリフォルニア州)で培養した。
【0157】
ex vivoでの免疫化については、BT4細胞をTおよびB細胞エピトープ存在下で共培養した。簡単には、BT4細胞を、1:1の比で照射自己PBMCs存在下、破傷風トキソイド(TT)1Lf/mLを含むRPMI完全培地(Cylex、メリーランド州)に106/mLの密度で播種し、活性化T細胞(Tプール)を作成した。抗原活性化B細胞(Bプール)を作成するには、10%ヒト血清ABを含む完全RPMI、活性化T細胞、20U/mL IL−2、0.5ng/mL IL−6、100U/mL IL−10(PrepoTech、ニュージャージー州)、および250ng/mLのペプチド混合物(bio−World、オハイオ州)から作成した5%ならし培地中、3x106細胞/mLの密度でBT4を播種し、これは前述の通りTおよびB細胞エピトープを含むように合成された標的抗原の様々な領域を示した(Zafiropoulos et al.(1997)J.Immunol.Methods 200:181−90)。
【0158】
GM−CSFで選択されたB細胞エピトープは、EHVNAIQEARRLLNL(配列ID番号3)、STQPWEHVNAIQEAR(配列ID番号4)、MASHYKQHCPPTPET(配列ID番号5)であった。
【0159】
TおよびBプールは7日間別に培養した後、照射CHO支持細胞の単層で、10%熱不活性ヒトAB血清および400U/ml IL−4を含むRPMI完全培地中(PeproTech、ニュージャージー州)、それぞれ1:10の比で共培養した(106細胞/mL)。5日後、共培養したTおよびBプールを融合し、説明した通りハイブリドーマを作成した。
【0160】
肺胞タンパク症(PAP)患者のB細胞を不死化するには、100mLの全血を処理し、PBMCsを精製した。照射CHO支持細胞存在下、熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)(JRH Biosciences、カンサス州)、2ng/mL IL−4(PeproTech、ニュージャージー州)、2mM L−グルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、55μM 2−メルカプトエタノール(Invitrogen、カリフォルニア州)、50μg/mLトランスフェリン、5ng/mLホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)、および0.5μg/mLシクロスポリンA(Sigma、ミズーリー州)を含むRPMI完全培地中、7〜10日間リンパ球を培養した。次に、以下に説明する通り、リンパ球を電気融合した。
【0161】
抗原反応性ハイブリドーマの細胞融合および酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)スクリーニング。ヒトへの投与を目的として設計されたMabsの生成に使用されるヒトB細胞は、ウイルス伝播が可能な媒体とすることができる。融合の相手となる細胞および健常ドナーのPBMCsを事前にスクリーニングし、PCRにより、免疫不全−1および2ウイルス、B型およびC型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペス−6ウイルス、およびエプスタインバーウイルスを含むウイルスDNAがないことを確認した。K6H6/B5比に対してリンパ球を1:1とし、CYTOPULSE CEEF−50装置(Cyto Pulse Sciences,Inc.、メリーランド州)を用い、リンパ球をK6H6/B5細胞(ATCC、バージニア州)と融合した。
【0162】
融合後、10%熱不活性化FBS、2mM L−グルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、55μM 2−メルカプトエタノール(Invitrogen、カリフォルニア州)、100μMヒポキサンチン、0.4μMアミノプテリン、および16μMチミジン(HAT、Sigma、ミズーリー州)を含むRPMI完全培地中、約5,000細胞/ウェルで平底96ウェルマイクロプレートに細胞を播種した。培地は毎週交換し、抗原反応スクリーニングが終了するまで(3〜5週間)HAT選択を継続した。
【0163】
抗原反応性MAbsの同定では、プレートウォッシャーおよび分光光時計一体型BIOMEK FX液体分注装置を用い、ELISAによるスクリーニングをロボット制御で行った。簡単には、コーティングバッファー(50mM炭酸塩−重炭酸塩、pH9.4)に希釈した自社作成組み換え抗原(1μg/mL GM−CSF)50μL/ウェルを用い、マイクロタイタープレートを室温で6時間コーティングした。次に、室温で2時間、プレートを結合バッファー(1%BSA(Sigma、ミズーリー州)および0.05%Tween 20(BioRad、カリフォルニア州)を含むPBS)でブロッキングした。プレートを洗浄用バッファー(0.05% Tween 20を含むPBS)で洗い、50μL/ウェルのハイブリドーマ上清を前記ELISAプレートに移した。結合反応は室温で2時間行った。その後、プレートを4回洗い、結合バッファーに1:10,000で希釈した100μLの西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)−結合ヤギ抗ヒトIgG+M(Jackson ImmunoResearch Laboratories、ペンシルバニア州)を添加し、室温で1.5時間反応を行った。最後に、プレートを4回洗い、100μL/ウェルのSureBlue基質(KPL、メリーランド州)を10分間加えた。50μL/ウェルの1N硫酸を加えて反応を停止し、450nmで吸光度を決定した。
【0164】
蛍光活性化細胞選別法(FACS)による分析。Ig結合および細胞洗浄の工程はカルシウムまたはマグネシウムを含まない氷冷した結合バッファー(DPBS)(0.5% BSA)を用いて行い、V底マイクロプレートに反応をセットし、FACSAria装置(BD Biosciences、ニュージャージー州)によりサンプルを分析した。図3Aに示すFACS実験では、106個のマウス抗GM−CSFハイブリドーマ細胞(Mul19/2)を100ng/反応のGM−CSFで充填した後、抗GM−CSFヒトMAb E5でインキュベートした。GM−CSF特異的MAbsの結合は10μg/mLのFITC標識ヤギ抗ヒトIg(SouthernBiotech、アラバマ州)により検出した。図3Bに示すFACS実験では、E10ハイブリドーマ細胞を洗い、90μLの用量、500,000細胞/ウェルで播種した。次に10μLのフィコエリトリン(PE)標識GM−CSF(R&D System、ミネソタ州)を各ウェルに加え、細胞を氷上で1時間インキュベートした。非標識GM−CSFの競合については、前記ハイブリドーマ細胞を5μg/mL組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)とともに室温で1時間プレインキュベートし、3回洗った後、分析前に上述の通りPE−GM−CSFとインキュベートした。図4に示すFACS実験では、A431およびA431−K5細胞(米国国立癌研究所Ira Pastan博士の寄贈)を結合バッファーで希釈した10μg/mLのC12 MAbまたは正常ヒトIgM(Jackson ImmunoResearch Laboratories、ペンシルバニア州)で染色し、上述の通り反応を行った。
【0165】
GM−CSF中和バイオアッセイ。GM−CSF依存性ヒト赤白血病細胞株のTF−1(ATCC、バージニア州)は、10ng/mLの組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)を含むRPMI 1640完全培地(上記参照)で増殖した。実験前日、TF−1細胞をGM−CSFのない0.1% FBSで増殖した。飢餓細胞を2回洗い、アッセイ培地に再懸濁し、10,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルマイクロプレートに播種した。ウェルには、100pg/mL GM−CSF、または図の説明に示した濃度で被験Igまたはアイソタイプの対照Igを1時間プレインキュベートしたGM−CSFのいずれかのアッセイ培地を含めた。3日後、Cell Titer試薬(Promega、ウィスコンシン州)40μLを各ウェルに追加し、プレートをさらに37℃で1時間インキュベートした。分光光時計にて490nmの光学密度(O.D.)を測定し、培地のバックグラウンドをすべてのサンプルから差し引いた。GM−CSF中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算した。
【0166】
抗体クラススイッチ。ハイブリドーマ細胞を1回10mLのPBSで洗い、RPMI完全培地に再懸濁し、平底96ウェルマイクロプレートに播種し、37℃で5% CO2中、インキュベートした。4日後、細胞をピペット操作により再懸濁し、100μLを2.3μg/mLのヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Jackson Immunoresearch、ペンシルバニア州)でコーティングした20 ELISPOTプレート(Millipore、マサチューセッツ州)に移した。組織プレートの残りの細胞に100μLの追加RPMI完全培地を加えた。一晩インキュベートした後、ELISPOTプレートを0.05% Tween(PBST)を含むPBSで3回洗い、次に100μLの2μg/mLヤギ抗ヒトIgG(H+L)−HRPを加え、前記プレートを1時間室温で振盪しながらインキュベートした。プレートをPBSTで3回洗い、次に100μLのAEC基質溶液(Sigma、ミズーリー州St.Louis)をウェルに加え、振盪しながら室温で90分インキュベートした。基質を吸引し、プレートをdH20で洗い、風乾させた。(IgG産生を示した)陽性スポットを示すウェルのクローンを増殖させた。1000、100、10、および0.25細胞/ウェルで陽性クローンを再播種することで前記工程を連続して繰り返し、この間、IgGを分泌する単一細胞のコロニーが同定されるまで陽性ウェルを追跡した。
【0167】
中空繊維および攪拌式バイオリアクターを用いた発酵。1L HyQCDM4NS0無血清培地(HyClone、ユタ州)を含む2Lのバイオリアクター(B Braun Stat B−DU)に2.5×105/mLで細胞を播種し、グルコースとグルタミンをそれぞれ6g/Lおよび4mMで維持した。制御した設定ポイントは、pH 7.1、空気と飽和度40%のdO2、温度37℃、および攪拌速度80rpmであった。2mLのサンプルを毎日回収し、1mLはCedex装置を用いた細胞計数に、1mLはELISAによりIg濃度を測定するために用いた。中空繊維を走らせる場合は、108個の生存細胞を15mLのRPMI完全培地を含むFiberCell系(Bellco、ニュージャージー州)に播種し、50%のグルコースが消費された段階で、1Lの新鮮培地を含む直列容器を用い、再供給した。
【0168】
ハイブリドーマ株の遺伝的多様性を増加させるミスマッチ修復の阻害。ハイブリドーマ細胞は、RPMI完全培地(ネガティブコントロール)または250μMまたは500μMのMMR阻害アントラセン化合物を含むRPMI完全培地で増殖させた。morphoceneを用いた場合と用いない場合で、3〜4日ごとに1:5希釈で細胞を新鮮培地に通し、3週間後、細胞を収集し、FACSバッファー(1% BSAを用いたPBS)に2×106細胞/mLで再懸濁した。細胞は、30分間氷上で、10μg/mLのFITC結合ヤギ抗ヒトIg(Jackson Immunoresearch)により染色した。細胞は10mLの氷冷FACSバッファーで洗浄し、3mLのFACSに再懸濁した。10μL Viaprobe(Becton Dickinson、ニュージャージー州Franklin Lakes)を5分間にわたり氷上で追加し、Ig表面染色が強い生存細胞をFACSAriaセルソーター(Becton Dickinson)で選別した。ゲートはIg表面染色が最も強い亜集団5%となる細胞を選別するように設定した。力価が高いクローンを選択するため、FACSで選別した細胞をU底96ウェルプレートに播種し、1週間37℃で5% CO2中インキュベートした。50μLの上清をウェルから採取し、ヤギ抗ヒトIgM+Gコーティングプレートを用いたELISAにより、IgM産生を分析した。内部標準として、各ELISAプレートにつき3ウェルに、50μLの10ng/mLヒトIgM(Jackson Immunoresearch)を播種した。内部標準のウェルの平均値に対して、450nmで得られたO.D.値を正規化した。高IgMシグナルを示すウェルを増殖し、さらに分析した。マイクロサテライト不安定性(MSI)分析では、Qiagen DNeasy Tissueキット(Qiagen)を用い、親細胞またはmorphocene処理細胞からDNAを抽出した。D4蛍光標識BAT−26−F(5’−tcaccatccattgcacagtt−3’)(配列ID番号20)およびBAT−26−R(5’−ctgcgagaaggtactcaccc−3’)(配列ID番号21)プライマー、pfuUltra(商標)高性能ポリメラーゼ(Stratagene、カリフォルニア州)を用いてBATポリA繰り返しマーカー(7)を増幅し、反応は以下の通りインキュベートした:95℃5分とし;94℃1分、60℃1分、および72℃2分を9サイクルとし、アニーリング温度を各サイクル1℃ずつ低下させ;94℃1分、52℃1分、72℃2分を30サイクルとし;最終増殖72℃10分とした。DNA希釈によりマーカー対立遺伝子の単一コピーを得、前記PCR反応の50%のみで単位複製配列が得られた。PCR産物をCEQサンプル充填溶液で1:10に希釈した後、Beckman CEQ 8000 Genetic Analysis Systemに装填し、フラグメントを分析した。
【0169】
抗原特異的ヒトMAbsの作成。上述の通り、ボランティア被験者(健常ドナー)から入手した冷凍保存B細胞を用い、ex vivoでの免疫化を行った。もう一つの方法として、血清に対象抗原に特異的なMAbsを高力価で含むヒト被験者から、B細胞を入手した。後者のアプローチの理論的根拠は、一部の抗原特異的MAbsは異常な免疫反応により生じるか(自己免疫疾患患者の場合など)、腫瘍、微生物、またはワクチン抗原に対するin vivo免疫反応に由来するという可能性に端を発している。
【0170】
いくつかの抗原反応性ヒトMAbsは、ex vivo免疫化細胞の融合後に、PAP患者のB細胞から作成されたハイブリドーマライブラリから同定された。さらに研究するために4種類のハイブリドーマ株E5(IgM)、G7(IgM)、E10(IgG)、およびG9(IgG)が選択され、これらが産生するヒトMAbsの特異性がELISAにより検討された。図1は、E5、G7、およびE10ヒトMAbsはヒトGM−CSFとしか反応せず、マウスGM−CSFなど、ヒト相同体と53%同一であるが、関連性のない、他に検討された抗原10種類とは反応しなかった。同様の結果がG9ハイブリドーマでも得られた。FACS分析を行い、これらのヒトMAbsの特異性が確認された。ヒトGM−CSFは、異なるエピトープでヒトGM−CSFに特異性を示す膜結合型MAbsを発現するマウスハイブリドーマ細胞表面に結合するようにした。蛍光強度のシフトで示される通り、E5 MAbはこれらの条件で上記細胞表面に結合した(図2A、下図)。この結果は、E5 MAbが天然型ヒトGM−CSFに結合できることを証明している。細胞結合GM−CSFがない場合、E5 MAbはこれらのハイブリドーマ細胞に発現された膜結合型タンパク質のいずれとも交差反応を示さなかった(図2A、中図)。同様に、E10 MAbはFACS分析により高い特異性が示された。さらに、E10 MAbは前記ハイブリドーマ細胞の膜に結合することが分かったため、FACSでE10 MAbが可溶性のフィコエリトリン(PE)標識GM−CSFに結合できることが示された(図2B、中図)。結合特異性は、前記E10ハイブリドーマ細胞と過剰な非標識GM−CSFをプレインキュベートすることで証明された(図2B、下図)。
【0171】
ヒトMAbsのデノボクラススイッチ。上述の2種類の戦略により、様々なヒトおよび非ヒト抗原に対するIgGおよびIgMヒトMAbsを作成した。市場で最も治療に用いられる抗体はIgGのアイソタイプであるが、治療に用いられる可能性のあるIgM MAbsを検討する癌試験は、in vivoで腫瘍が退行することを示していた(16,17)。これらの臨床反応は、補体経路を強力に固定、活性化し、腫瘍細胞を効果的に殺すIgMの能力に起因する可能性がある。IgGはマクロファージおよびNK細胞のFc受容体に結合するため、腫瘍細胞に対するADCC活性を媒介する可能性がある。特異性が同じ(同じ抗原およびエピトープ)IgGおよびIgM両方の最高薬理活性を、in vivoで検討することができる。IgGアイソタイプが好ましい場合、迅速で着実なIgMのデノボクラススイッチ法(材料および方法)を追跡した。例としてE5株を用い、前記増殖条件でIgGアイソタイプにクラススイッチした細胞サブセットを同定した。E5 IgGは、親E5 IgMと可変領域のヌクレオチド配列が同一で、GM−CSFに対する反応性が同等であることが示された(図3)。
【0172】
ヒトMAbsの生物活性。疾患の可溶性メディエータを標的とする治療用MAbsに求められる薬学的特性には、増殖因子を中和する能力を含む。上述の通り、そのような例の1つはRAメディエータのGM−CSFである(9−11)。ヒト赤芽球様細胞(TF1)の増殖が培地中のこのサイトカインの有無に依存する、細胞に基づくアッセイにより、ヒトMAbsがGM−CSFの機能を遮断する能力を評価した。図4に示す通り、E10およびG9はいずれもGM−CSF依存性細胞の増殖を有意に阻害したが、ヒトIgGアイソタイプの対照は作用を示さなかった。E10とG9の間にみられる効果の差は、見かけの親和性がそれぞれ870ピコモルと14ピコモルであることに関連している。E5 MAbは親和性が低いことと一致し、中和活性が最小限であることしか示されなかった(5nM)。
【0173】
ヒトMAbsを分泌するハイブリドーマの力価および安定性の評価。MAb製造ラインの重要な特性は、製造サイクル全体でのIg分泌の安定性である。サイクルの期間が約2ヵ月である1つのシナリオでは、24時間ごとに2倍になるラインは、解凍から回収まで約60世代進むことになる。E5株を、我々の方法により作成したハイブリドーマのMAb力価および生産安定性を検証するためのモデルとして用いた。この株に由来するクローン3D2は倍加時間が24時間であることが示され、2ヵ月以上の連続培養後の希釈を制限し、再評価した。クローン産生の頻度はELISAにより決定し、細胞密度を正規化したならし培地のIg濃度を測定した。図5Aは、検討したすべてのE5−3D2サブクローンが高レベルのIgを分泌することを示しており、60世代後のこの細胞集団でIg産生が均一に維持されていることを証明している。次に、少量(15mL)の中空繊維系を用い、Ig産生を評価した。中空繊維カートリッジに細胞を播種し、新鮮培地1リットルを含む直列容器を用いて連続的に供給した。5日目から、前記カートリッジのならし培地すべて(15mL)を毎日回収し、新鮮培地と交換した。さらに4日発酵させ、この間、既知の濃度の標準Igを用い、毎日Ig力価をELISAにより決定した。4日間で累積1.2g/Lの力価が記録された。8〜9日目の間にグルコース消費量がピークとなり(1日2グラム/L)、細胞は非常に高い細胞密度でも十分耐性があることを示していた。生産の性能は、攪拌したバイオリアクター系を用い、1リットルの量の半回分培養実験でも評価した。凍結したアンプルの細胞はまず解凍し、振盪フラスコに播種した後、無血清培地1リットルを含む攪拌したバイオリアクター(Bauer)に播種した。細胞生存度が60%未満に低下するまで(6日目)発酵させた。Ig産生および細胞密度は1〜5日目に記録し、図5Bに示されている。対数期(1〜4日目)は、倍加時間23.4時間で比産生率(specific productivity)は24pg/細胞/日と測定され、これらの細胞は高い力価を維持したまま、フラスコからバイオリアクターに良好にスケールアップできることが示唆された。
【0174】
ミスマッチ修復の制御によるヒトMAbs分泌ハイブリドーマの遺伝子最適化。MMRを一時的に制御する形態形成と呼ばれる工程により、MAb産生細胞株の質を改善することの有用性はこれまでに報告されてきた(Nicolaides et al.(1995)Genomics 30:195−206;およびNicolaides et al.(1998)Mol.Cell.Biol.18:1635−41.)。この方法により細胞プールの遺伝的多様性を増加させた後、高性能スクリーニングを行い、高い力価、親和性を示すサブクローン(Grasso et al.(2004)Bioprocess Int.2:58−64;およびNicolaides et al.(2005)Ann.N.Y.Acad.Sci.1059:1−11)、または増殖率が上昇したサブクローン(Grasso,L.、個人的所見)を同定したE5細胞を形態形成させ、我々のハイブリドーマ法により作成したMAb分泌株で表現型の多様性を増加できることが証明された。MMR阻害は、BAT poly−A繰り返しマーカーのマイクロサテライト不安定性(MSI)を検出することでモニターした。前記形態形成の工程を行った細胞で分析したBAT対立遺伝子24個のうち、3対立遺伝子が変化を示し、これには図6Aで示す一塩基欠失および挿入が含まれていた。親細胞のBAT対立遺伝子24個では、MSIは検出されなかった。その後、希釈を制限し、親細胞または形態形成処理した細胞をマイクロプレートに播種した。細胞クローンに1週間MAbsを分泌させ、ELISAによりそのならし培地のIg濃度を分析した。O.D.が1以上の(Ig分泌が多い)クローンの頻度をスクリーニングしたクローン総数から決定し(親細胞で3,763、morphoceneプールで2,437)、前記形態形成処理細胞では260%上昇することが分かった(p=0.0014)(図6B)。
【0175】
要約
本研究は、最適化されたex vivoでの免疫化およびヒトB細胞の不死化工程とミスマッチ修復の阻害を併用し、免疫療法用にヒトMAbsを開発するため実行可能な戦略を示している。このアプローチにより、安定したハイブリドーマ株により分泌される、非常に特異性の高く生物学的に活性なMAbsを作成することができる。
【0176】
本発明の方法に従い、倍加60回以上にわたり安定なMAb、および4日間の中空繊維発酵実験で1リットルあたりMAb 1グラム以上を産生することができ、本発明で作成したハイブリドーマ細胞は灌流系、および可能性としては大量製造に適していることが示唆された。さらに、この工程で作成したハイブリドーマは半回分培養バイオリアクター実験でも優れた性能を示し、これらの株を商業的に応用できる可能性が示唆された。まとめると、本明細書に示した基盤となる工程は、免疫療法に用いる高品質の完全ヒト抗体を、迅速かつ高い費用対効果で開発するもう一つのアプローチを提供している。
【実施例2】
【0177】
完全ヒト抗GM−CSF抗体の作成;PAP細胞の単離
成人ヒト肺胞タンパク症(PAP)患者は、肺胞にリン脂質およびサーファクタントタンパク質が蓄積する。PAPは肺胞マクロファージおよびII型上皮細胞が過剰な界面活性物質を除去できないことが原因と考えられてきた。上述の通り、肺の界面活性物質の恒常性制御におけるGM−CSFの役割はマウスモデルで確立され、拡大解釈すればヒトの病理の原因となる。さらに、PAP患者は循環血液中に抗GM−CSF中和抗体を有することが示され、そのためこのサイトカインが前記疾患の原因であると考えられてきた。この自己免疫反応がGM−CSFに特異的なものか否かは分かっていない。しかし、PAP患者の一部はGM−CSF療法で改善することが示されており、遺伝子破壊または抗体による中和からGM−CSFがなくなると、PAPが発症するという仮説を支持している。
【0178】
GM−CSF特異的抗体の単離。末梢血単核細胞(PBMCs)をPAP患者から単離した。簡単には、前記PAP患者のB細胞を全血から回収した。前記全血を当量のPBS−/−で希釈し、容器を逆さにして内容物を静かに混和した。25mlのFicoll−Paque(Amersham Biosciences AB、スウェーデンUppsala)を含む50ml試験管に、25mlの希釈した血液を上から注いだ。前記試験管を室温で30分間2,000rpmで遠心分離した。界面層から10mlピペットでPBMCsを回収し、新しい50ml試験管に移し、PBS−/−で2回洗った。前記PBMCのペレットを10mlのACK溶解バッファー(150mM NH4Cl、10mM KHCO3、0.1mM Na2EDTA、pH 7.2)に再懸濁し、室温で5分間インキュベート、赤血球を溶解し、PBS−/−で2回洗った。
【0179】
PAP B細胞と骨髄腫細胞株を融合し、ハイブリドーマを作成。以下の方法により、PAP患者の濃縮B細胞を様々な骨髄腫細胞(ヒト−マウスヘテロハイブリドーマ、ATCC、VA、USA);CBF−7細胞(ヒト−マウスヘテロハイブリドーマ);HEK293;ヒト骨髄腫細胞と融合した。前記B細胞と融合の相手となる細胞は生存度が良好であると考えられた(生存度90%以上、対数期)。いずれの細胞タイプも最初の培地中で計数し、1:1の比で15ml試験管に混合した後、4℃で6分間、1,000RPMで遠心分離した。10〜15mlの冷却CPFM(CYTOPULSE融合培地、Cyto Pulse Sciences、米国メリーランド州)を用い、細胞を3回洗浄した。最終的なペレットを10×106細胞/mlのCPFMで再懸濁した。CYTOPULSE CEEF−50(Cyto Pulse Sciences、米国メリーランド州)により、電気融合を行った。融合パラメータは製造業者のガイドラインおよび経験的ガイドラインにより最適化し、融合効率の平均はパルスした細胞5,000個あたりハイブリッド1個であった。融合後、平底96ウェルのマイクロプレートに10%の熱不活性化FBS、100μMのヒポキサンチン、0.4μMのアミノプテリン、および16μMのチミジンを含むRPMI完全培地(HAT、Sigma、米国ミズーリー州)を入れ、約5,000細胞/ウェルで細胞を播種した。培地は毎週交換し、抗原の反応が終了するまでHAT選択を継続した。
【0180】
ELISAスクリーニングアッセイ。抗原反応性MAbsの同定では、プレートウォッシャーおよび分光光時計一体型BIOMEK FX液体分注装置を用い、ELISAによるスクリーニングをロボット制御で行った。簡単には、コーティングバッファー(50mM炭酸塩−重炭酸塩、pH 9.4)に希釈した自社作成組み換え抗原(1μg/mL GM−CSF)50μL/ウェルを用い、マイクロタイタープレートを室温で6時間コーティングした。次に、室温で2時間、プレートを結合バッファー(3% BSA(ミズーリー州Sigma)および0.05% Tween 20(カリフォルニア州BioRad)を含むPBS)でブロッキングした。プレートを洗浄用バッファー(0.05% Tween 20を含むPBS)で洗い、50μL/ウェルのハイブリドーマ上清を前記ELISAプレートに移した。結合反応は室温で2時間行った。その後、プレートを4回洗い、結合バッファーに1:10,000で希釈した100μLのHRP−結合ヤギ抗ヒトIgG+M(Jackson ImmunoResearch Laboratories、ペンシルバニア州)を添加し、室温で1.5時間反応を行った。最後に、プレートを4回洗い、100μL/ウェルのSUREBLUE基質(KPL、メリーランド州)を10分間加えた。50μL/ウェルの1N硫酸を加えて反応を停止し、450nmで吸光度を決定した。
【0181】
FACS分析およびソーティング。すべての研究で、氷冷した結合バッファー(DPBS、カルシウムまたはマグネシウムなし、0.5% BSA)を用い、Igの結合工程および細胞洗浄工程を行った。前記PBMCまたはハイブリドーマ細胞は洗浄し、500,000細胞/ウェルで播種した。FITCおよびフィコエリトリン(PE)標識抗ヒトCD3、CD19、CD20(SouthernBiotech、アラバマ州)、およびPE標識GM−CSF(R&D System、ミネソタ州)を加え(10〜100倍希釈)、氷上で1時間インキュベートした。前記細胞を結合バッファーで3回洗浄し、FACSARIA装置(BD Biosciences、ニュージャージー州)により分析、分類した。Mab E10のアイソタイプ分析の結果を図9に示す。E10のアイソタイプを決定するため、抗ヒトIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgM、Lκ、およびLλ Fc特異的抗体を用いた標準的な分析を行い、前記アイソタイプを導き出した。
【0182】
GM−CSF中和バイオアッセイ。ヒトGM−CSF依存性ヒト赤白血病細胞株のTF−1(ATCC、バージニア州)は、10ng/mLの組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)を含むRPMI 1640完全培地(上記参照)で増殖した。実験前日、TF−1細胞をGM−CSFのない0.5% FBSで増殖した。飢餓培養した前記TF−1細胞を回収し、アッセイ培地(0.5% BSAを含むRPMI単純培地)で2回洗った。細胞をアッセイ培地に再懸濁し、10,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルマイクロプレートに播種した。ウェルには、100pg/mL GM−CSF、または図に示した濃度で被験Igまたはアイソタイプの対照Igを1時間プレインキュベートしたGM−CSFのいずれかのアッセイ培地を含めた。3日後、Cell Titer試薬(Promega、ウィスコンシン州)40μLを各ウェルに追加し、プレートをさらに37℃で1時間インキュベートした。分光光時計にて490nmの光学密度(O.D.)を測定し、培地のバックグラウンドをすべてのサンプルから差し引いた。GM−CSF中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算した。図4は、完全なヒトMAbsによるTF−1細胞株のGM−CSF依存性増殖抑制を証明している。
【0183】
ハイブリドーマ株の遺伝的多様性を増加させるミスマッチ修復の阻害。ミスマッチ修復を阻害することで、産生、細胞増殖、または抗体活性が上昇した遺伝的に多様な同種細胞ができる。MAb活性および細胞増殖を改善するため、RPMI完全培地(ネガティブコントロール)または250μMまたは500uMのミスマッチ修復阻害剤morphocene(9,10−ジメチルアントラセン、MP Biomedicals、カリフォルニア州)を含むRPMI完全培地でハイブリドーマ細胞を増殖した。morphoceneを用いた場合と用いない場合で、3〜4日ごとに1:5希釈で細胞を新鮮培地に通し、3週間後、細胞を収集し、FACSバッファー(1% BSAを用いたPBS)に2×106細胞/mLで再懸濁した。細胞は、30分間氷上で、10μg/mLのFITC結合ヤギ抗ヒトIg(Jackson Immunoresearch)により染色した。細胞は10mLの氷冷FACSバッファーで洗浄し、3mLのFACSに再懸濁した。10μL VIAPROBE(Becton Dickinson、ニュージャージー州Franklin Lakes)を5分間氷上で追加し、Ig表面染色が強い生存細胞をFACSARIAセルソーター(Becton Dickinson)で選別した。ゲートはIg表面染色が最も強い亜集団5%となる細胞を選別するように設定した。ミスマッチ修復(MMR)の化学阻害物質がある場合とない場合で1週間この集団を増殖し、前記手順をさらに2回繰り返した。力価が高いクローンを選択するため、FACSで選別した細胞を、200μLのRPMI完全培地を含むU底96ウェルプレートに0.8細胞/ウェルで播種した。プレートは1週間37℃で5%CO2中、インキュベートした。50μLの上清をウェルから採取し、ヤギ抗ヒトIgM+Gコーティングプレートを用いたELISAにより、IgM産生を分析した。内部標準として、各ELISAプレートにつき3ウェルに、50μLの10ng/mLヒトIgM(Jackson Immunoresearch)を播種した。内部標準のウェルの平均値に対して、450nmで得られたO.D.値を正規化した。高IgMシグナルを示すウェルを増殖し、さらに分析した。MSI分析では、Qiagen DNeasy Tissueキット(Qiagen)を用い、親細胞またはMMR阻害剤処理細胞からDNAを抽出した。D4蛍光標識mBAT−26−F(5’−tcaccatccattgcacagtt−3’)(配列ID番号20)およびmBAT−26−R(5’−ctgcgagaaggtactcaccc−3’)(配列ID番号21)プライマー、pfuUltra(商標)高性能ポリメラーゼ(Stratagene、カリフォルニア州)を用いてBATポリA繰り返しマーカーを増幅し、反応は以下の通りインキュベートした。95℃5分、94℃1分、60℃1分、および72℃2分を9サイクル行い、アニーリング温度を各サイクル1℃ずつ低下させ、94℃1分、52℃1分、72℃2分を30サイクル行い、最終増殖72℃10分とした。DNA希釈によりマーカー対立遺伝子の単一コピーを得、前記PCR反応の50%のみで単位複製配列が得られた。PCR産物をCEQサンプル充填溶液で1:10に希釈した後、Beckman CEQ 8000 Genetic Analysis Systemに装填し、フラグメントを分析した(Blake et al.Stepwise deletions of polyA sequences in mismatch repair−deficient colorectal cancers.(2001)Am.J.Pathol.158:1867−70)。
【実施例3】
【0184】
GM−CSFに高い特異性を示すモノクローナル抗体E10の作成
いくつかの抗体はPAP患者のB細胞由来のものであった。これらの抗体はIgM、IgGアイソタイプであった。これらの抗体は、本明細書に説明した特異性アッセイにより、それぞれGM−CSFに特異的に結合することが分かった。いずれかの骨髄腫細胞と融合した肺胞タンパク症(PAP)患者のB細胞から抗GM−CSFヒトIgG1モノクローナル抗体E10を1種類作成し、その後、上述の通り、ELISAにより抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体をスクリーニングした。
【0185】
PAP患者の血液(全血91ml)を用い、合計4950万個のPBMCsを単離した。これらの細胞の生存度は99.0%であった。FACS分析の結果を表2に示す。IL−4 2ng/ml(PeproTech)、トランスフェリン50ug/ml(Sigma)、PMA5ng/ml(Sigma)、およびシクロスポリンA0.5ug/ml(Sigma)と支持細胞を用い、cRPMI1640(10ml)で約2500万個のPBMCsを培養することで、前記B細胞を増殖した。11日間の培養後、1200万個の細胞が残り、この後電気融合(CytoPulse CEEF−50)により骨髄腫細胞と融合した。FACS分析の結果を表2に示す。
【0186】
【表2】
【0187】
融合した細胞は、10% FBS、熱不活性化(JRH Biosciences、米国カンサス州)、L−グルタミン、200mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、非必須アミノ酸、10mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、ピルビン酸ナトリウム溶液、100mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、Pen−Strep(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、2−メルカプトエタノール、55mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、および1×HAT(Sigma、米国ミズーリー州)とともにRPMI 1640(Invitrogen、米国カリフォルニア州)で培養した。
【0188】
12日間培養後、前記ハイブリドーマ培地の約48%が増殖を示した。次に、前記ハイブリドーマを組み換えGM−CSF(PeproTech、米国ニュージャージー州)とともに、GM−CSF特異的ELISAによりスクリーニングした。GM−CSFに陽性を示すものなど、数種類のクローンを単離した。これらのクローンはELISAで再検査し、前記組み換えGM−CSFに特異的で、破傷風毒素(TT)には特異的ではないことを確認した。クローン4E10はGM−CSFと特異的反応を示したが、TTは特異的に反応しなかった。続いてクローン4E10をサブクローニングした。3週間後、培養したサブクローンをELISAでスクリーニングし、GM−CSFに対する特異性が維持されていることを確認し、さらに以下に説明する特性を決定した。
【0189】
E10の特性解析。抗GM−CSF抗体E10の特異性を決定するため、様々な抗原で抗原特異的ELISAを行った(図8)。図8では、抗原hIL−1a、h IL−2、h IL−3、h IL−4、h IL−5、IL−6、hIL−13、hGM−CSF、mGM−CSF、BSA、およびTTに対する結合性を比較している。その後の研究では、抗GM−CSF抗体の結合をヒトGM−CSF、ヒトMesothilin、SEB、BGG、CAB、HEL、TT、BSA、ヤギIgG、ヒトムチン、およびマウスIgGと比較した(データは図示せず)。いずれの研究でも、4E10のみがヒトGM−CSFと反応した。
【0190】
E10のアイソタイプを決定するため、抗ヒトIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgM、Lκ、およびLλを用いた標準的な分析を行い、前記アイソタイプを導き出した。この分析は、4E10がIgG1およびκ抗体であることを証明した(図9を参照)。
【0191】
in vitroでGM−CSFの生物活性を中和するE10の能力を、生存および増殖をこのサイトカインに依存している細胞株TF−1により検討した(図8を参照)。ヒトGM−CSF依存性ヒト赤白血病細胞株のTF−1(ATCC、バージニア州)は、10ng/mLの組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)を含むRPMI 1640完全培地で増殖した。実験前日、TF−1細胞をGM−CSFのない0.1%FBSで増殖した。飢餓培養した前記TF−1細胞を回収し、アッセイ培地(0.5%BSAを含むRPMI単純培地)で2回洗った。細胞をアッセイ培地に再懸濁し、10,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルマイクロプレートに播種した。ウェルには、100pg/mL GM−CSF、または20μg/mL〜0.315μg/mLの範囲の濃度で被験Igまたはアイソタイプの対照Igを1時間プレインキュベートしたGM−CSFのいずれかのアッセイ培地を含めた。3日後、CELL TITER試薬(Promega、ウィスコンシン州)40uLを各ウェルに追加し、プレートをさらに37℃で1時間インキュベートした。分光光時計にて490nmの光学密度(O.D.)を測定し、培地のバックグラウンドをすべてのサンプルから差し引いた。GM−CSF中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算した。抗体4E10はin vitro、濃度100pg/mlでGM−CSFの活性を中和することができた。
【0192】
E10を用いてウエスタンブロット分析を行い、前記抗体がヒト組み換えGM−CSFと交差反応を起こすか否かを決定した。図10に示す通り、還元条件でE10はヒトGM−CSFと交差反応を示した。
【0193】
E10の結合親和性を決定するため、BIACORE分析を以下の通り実施した。E10の結合定数は約870pMである(図11)。
【実施例4】
【0194】
GM−CSFに高い特異性を示すモノクローナル抗体G9の作成
K6またはCBF−7のいずれかと融合した肺胞タンパク症(PAP)患者のB細胞から抗GM−CSFヒトIgG1モノクローナル抗体G9を作成し、その後、上述の通り、ELISAにより抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体をスクリーニングした。
【0195】
PAP患者の血液(全血91ml)を用い、合計4950万個のPBMCsを単離した。これらの細胞の生存度は99.0%であった(データは図示せず)。IL−4 2ng/ml(PeproTech)、トランスフェリン50ug/ml(Sigma)、PMA 5ng/ml(Sigma)、およびシクロスポリンA 0.5ug/ml(Sigma)と支持細胞を用い、cRPMI1640(10 ml)で約2500万個のPBMCsを培養することで、B細胞を増殖した。11日間の培養後、1200万個の細胞が残り、この後電気融合(CytoPulse CEEF−50)により骨髄腫細胞と融合した。
【0196】
融合した細胞は、10% FBS、熱不活性化(JRH Biosciences、米国カンサス州)、L−グルタミン、200mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、非必須アミノ酸、10mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、ピルビン酸ナトリウム溶液、100mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、Pen−Strep(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、2−メルカプトエタノール、55mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、および1×HAT(Sigma、米国ミズーリー州)とともにRPMI 1640(Invitrogen、米国カリフォルニア州)で培養した。
【0197】
12日間培養後、前記ハイブリドーマ培地の約48%が増殖を示した。次に、前記ハイブリドーマを組み換えGM−CSF(PeproTech、米国ニュージャージー州)とともに、GM−CSF特異的ELISAによりスクリーニングした。GM−CSFに陽性を示すものなど、数種類のクローンを単離した。これらのクローンはELISAで再検査し、前記組み換えGM−CSFに特異的で、破傷風毒素(TT)には特異的ではないことを確認した。G9集団はGM−CSFに非常に特異的な反応を示したが、TTには特異的反応を示さなかった。次に、前記G9集団をサブクローニングし、純粋培養を得た。3週間後、培養したサブクローンをELISAでスクリーニングし、GM−CSFに対する特異性が維持されていることを確認し、さらに以下に説明する特性を決定した。
【0198】
E9の特性解析。抗GM−CSF抗体E9の特異性を決定するため、様々な抗原で抗原特異的ELISAを行った(図8)。図8では、抗原hIL−1a、h IL−2、h IL−3、h IL−4、h IL−5、IL−6、hIL−13、hGM−CSF、mGM−CSF、BSA、およびTTに対する結合性を比較している。その後の研究では、抗GM−CSF抗体の結合をヒトGM−CSF、ヒトmesothilin、SEB、BGG、CAB、HEL、TT、BSA、ヤギIgG、ヒトムチン、およびマウスIgGを比較した(データは図示せず)。いずれの研究でも、G9のみがヒトGM−CSFと反応した。
【0199】
G9のアイソタイプを決定するため、抗ヒトIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgM、Lκ、およびLλを用いた標準的な分析を行い、前記アイソタイプを導き出した。この分析は、G9がIgG1およびκ抗体であることを証明した(図12)。
【0200】
G9中和バイオアッセイ。in vitroでGM−CSFの生物活性を中和するG9の能力を、生存および増殖をこのサイトカインに依存している細胞株TF−1により検討した(図4)。ヒトGM−CSF依存性ヒト赤白血病細胞株のTF−1(ATCC、バージニア州)は、10ng/mLの組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)を含むRPMI 1640完全培地で増殖した。実験前日、TF−1細胞をGM−CSFのない0.1% FBSで増殖した。飢餓培養した前記TF−1細胞を回収し、アッセイ培地(0.5% BSAを含むRPMI単純培地)で2回洗った。細胞をアッセイ培地に再懸濁し、10,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルマイクロプレートに播種した。ウェルには、100pg/mL GM−CSF、または20μg/mL〜0.315μg/mLの範囲の濃度で被験Igまたはアイソタイプの対照Igを1時間プレインキュベートしたGM−CSFのいずれかのアッセイ培地を含めた。3日後、CELL TITER試薬(Promega、ウィスコンシン州)40uLを各ウェルに追加し、プレートをさらに37℃で1時間インキュベートした。分光光時計にて490nmの光学密度(O.D.)を測定し、培地のバックグラウンドをすべてのサンプルから差し引いた。GM−CSF中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算した。抗体G9はin vitro、濃度100pg/mlでGM−CSFの活性を中和することができた。
【0201】
G9を用いてウエスタンブロット分析を行い、前記抗体がヒト組み換えGM−CSFと交差反応を起こすか否かを決定した。図10に示す通り、還元性条件でG9はヒトGM−CSFと交差反応を示した。
【0202】
G9の結合親和性を決定するため、BIACORE分析を上述の通り実施した。G9の結合定数は約11〜17pMである(図13)。
【実施例5】
【0203】
完全ヒト抗GM−CSF抗体G9およびE10をコードするヌクレオチド配列
抗体G9。完全ヒト抗GM−CSF抗体G9のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は標準的な方法によって得られた。簡単には、製造業者の使用説明に従い、Trizol試薬(Invitrogen)により全RNAをハイブリドーマG9から単離した。前記製造業者の使用説明に従い、Superscript II逆転写酵素により、伝達内容をcDNAに合成した。軽鎖および重鎖可変領域を増幅するため、Herculase DNAポリメラーゼ(Stratagene)と、軽鎖にはプライマー配列ID番号22および配列ID番号23、重鎖には配列ID番号24および配列ID番号25を用い、PCR反応を行った。PCR産物をpCR4−TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングし、大腸菌Mach1細胞に形質転換し、形質転換細胞はLB Kanamycinプレートで選択した。上記と同じプライマーペアが挿入されたコロニーをスクリーニングし、4つの陽性コロニーそれぞれを用い、TempliPhi試薬(GE Healthcare)によりDNA配列を決定する鋳型DNAを作成した。Beckman Coulter DTCS配列決定試薬を用い、プライマー配列ID番号26および配列ID番号27でDNA挿入断片の配列を決定した後、Beckman Coulter CEQ2000でデータを獲得、分析した。軽鎖にリーダーペプチド配列を加えるため、Herculase DNAポリメラーゼを用い、プライマー配列ID番号28および配列ID番号23で陽性クローンを再増幅した。リーダーペプチド配列を含む重鎖の全長(配列ID番号11)を作成するため、鋳型としてもとのcDNAを用い、プライマー配列ID番号29および配列ID番号30でPCRを行った。得られたPCR産物をTAクローニングし、Mach1細胞に形質転換し、陽性クローンを上述の通り同定した。プライマー配列ID番号25、配列ID番号26、配列ID番号31、配列ID番号32、配列ID番号33、配列ID番号34、配列ID番号27、および配列ID番号30とTempliPhi試薬で作成した鋳型DNAを用い、G9重鎖cDNAの全長の配列を決定した。G9(配列ID番号11)の重鎖の全長およびG9(配列ID番号15)の軽鎖の全長について得られたDNA配列を以下に示す。配列ID番号11および配列ID番号15由来の予想翻訳産物は、それぞれ配列ID番号9および配列ID番号13に示されている。配列ID番号10および配列ID番号14由来の予想翻訳産物は、それぞれ配列ID番号8および配列ID番号12に示されている。下線を引いた配列ID番号11および配列ID番号15の配列は、PCRで追加されたリーダー配列を示している。配列ID番号10および配列ID番号14のポリヌクレオチド配列は、それぞれ、リーダー配列が加えられていないG9抗体の重鎖および軽鎖をコードしている。配列ID番号9および13の小文字配列は、前記PCR反応で追加されたヒトリーダーペプチドを示している。配列ID番号8、9、12、および13の下線付き配列はCDR領域を示している。配列ID番号8、9、12、および13の残りの配列は、可変領域および定常領域のフレームワークである。重鎖の定常領域はアミノ酸配列WGQG(配列ID番号8のアミノ酸111または配列ID番号9の130)で始まり、軽鎖の定常領域はアミノ酸配列FGQG(配列ID番号12のアミノ酸98または配列ID番号13の117)で始まる。
【0204】
抗体E10。完全ヒト抗GM−CSF抗体E10のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は標準的な方法によって得られた。簡単には、製造業者の使用説明に従い、Trizol試薬(Invitrogen)により全RNAをハイブリドーマE10から単離した。前記製造業者の使用説明に従い、、Superscript II逆転写酵素により、伝達内容をcDNAに合成した。軽鎖および重鎖可変領域を増幅するため、Herculase DNAポリメラーゼ(Stratagene)と、軽鎖にはプライマー配列ID番号22および配列ID番号23、重鎖には配列ID番号24および配列ID番号25を用い、PCR反応を行った。PCR産物をpCR4−TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングし、大腸菌Mach1細胞に形質転換し、形質転換細胞はLB Kanamycinプレートで選択した。上記と同じプライマーペアが挿入されたコロニーをスクリーニングし、4つの陽性コロニーそれぞれを用い、TempliPhi試薬(GE Healthcare)によりDNA配列を決定する鋳型DNAを作成した。Beckman Coulter DTCS配列決定試薬を用い、プライマー配列ID番号26および配列ID番号27でDNA挿入断片の配列を決定した後、Beckman Coulter CEQ2000でデータを獲得、分析した。E10(配列ID番号17)の重鎖可変領域およびE10(配列ID番号19)の軽鎖の全長をコードする、得られたDNA配列を以下に示す。配列ID番号17および配列ID番号19由来の予想翻訳産物は、それぞれ配列ID番号16および配列ID番号18に示されている。配列ID番号16および18の下線付き配列はCDR領域を示している。配列ID番号16、および18の残りの配列は、可変領域および定常領域のフレームワークである。重鎖の定常領域はアミノ酸配列WGQG(配列ID番号16のアミノ酸115)で始まり、軽鎖の定常領域はアミノ酸配列FGQG(配列ID番号18のアミノ酸98)で始まる。
【実施例6】
【0205】
抗GM−CSF抗体のエピトープマッピング
G9が結合するGM−CSFのエピトープをマッピングするため、ヒトGM−CSFの長さに及ぶ一連の重複ペプチドを作成した(図14)。簡単には、ヒトGM−CSF配列(GenBank受入番号AAA52578、残基14〜144)を網羅する25種類の12mer重複ペプチドを、7アミノ酸の重複を含むように設計した。各ペプチドのC末端を誘導体化セルロース膜の表面に結合することで(SPOTs法、Sigma Genosys)、固相合成により3.7mm×3.7mmの個別スポットとしてペプチドを作成した。標準的なウエスタンブロット分析を利用し、どのペプチドがG9と交差反応するかを決定した(図15)。前記セルロース膜をメタノールに浸し、4℃で一晩ブロッキング溶液(5%BSA、1XTBS、0.1%Tween−20、0.1%NaN3)でブロックした。1mg/mlの精製10G9抗体を含む新鮮なブロッキング溶液を加え、ブロットを4℃で一晩インキュベートした。前記ブロットをそれぞれ5分間TBS−T(1XTBS、0.1%Tween−20)で3回洗い、希釈剤(5%BSA、1XTBS、0.1% Tween−20)にHRP結合ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch cat.109−035−088)を1:10,000倍希釈した溶液で、1時間インキュベートした。前記ブロットをSuperSignal West Femto ECL基質キット(Pierce cat.34095)を用いて開発した後、BioMAXフィルム(Kodak)に1秒間曝露した。この方法で、ペプチド番号6、13、14、15、および可能性としてはペプチド番号23が前記G9抗体によって特異的に認識され、これはそれぞれ配列ID番号18、配列ID番号19、配列ID番号20、配列ID番号21、および配列ID番号47に対応した。
【0206】
本発明は上記に説明、例示した実施形態に限るものではなく、添付の請求項の範囲で変更、修正できるものとする。
配列ID番号1
【0207】
【表3】
【0208】
【表4】
【0209】
【表5】
【0210】
【表6】
【0211】
【表7】
【0212】
【表8】
【0213】
【表9】
【0214】
【表10】
【0215】
【表11】
【0216】
【表12】
【0217】
【表13】
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】図1は、抗原特異的ヒトMAbsを選択するための抗原パネルELISAを図示している。前記パネルでは、3種類のGM−CSF特異的ヒトMAbs(E5、G7、E10)がヒトGM−CSFと反応し、他の抗原とは反応しなかった。抗体215はマウスMAbであり、ヒトGM−CSF(hGM−CSF)およびマウスGM−CSF(mGM−CSF)に結合する。
【図2A】図2Aおよび2Bは、天然型ヒトGM−CSFに対するヒトMAbsの特異性が高いことを図示したものである。図2Aに示す通り、可溶性ヒトGM−CSFは、ヒトGM−CSFに対する細胞表面免疫グロブリン(Ig)を提示したマウスハイブリドーマ細胞に結合した。その後、反応液にMAb E5が追加され、FITC結合ヤギ抗ヒトIgを用い、ヒトGM−CSFに対する結合が測定された。E5は前記マウスハイブリドーマ細胞に発現された表面タンパク質のいずれにも結合しなかったが(中図)、細胞表面Igに捕獲された可溶性GM−CSFのみと結合した(下図)。
【図2B】図2Aおよび2Bは、天然型ヒトGM−CSFに対するヒトMAbsの特異性が高いことを図示したものである。図2Bに示す通り、フィコエリトリン(PE)標識ヒトGM−CSF(PE−GM)は、E10細胞表面に発現されたIgと反応することができる。過剰な非標識GM−CSF(下図)はPE−GM結合に競合した。
【図3】図3は、クラススイッチしたハイブリドーマ細胞による抗原結合IgGの分泌を証明した図である。ハイブリドーマE5細胞(親)は、材料および方法に示した通り処理した。クラススイッチ(スイッチ)したハイブリドーマクローンは、ELISPOTに基づくスクリーニング法により同定した。プレートにコーティングされたヒトGM−CSFへの特異的結合を測定するELISAを行い、IgMまたはIgGの結合を評価した。スイッチしたIgG MAbsは、親IgMと同等の抗原結合性を示した。
【図4】図4は、完全ヒトMAbsによるTF−1細胞株のGM−CSF依存性増殖抑制を証明している。ヒトGM−CSF依存性ヒト赤白血病細胞株のTF−1(ATCC、バージニア州)は、10ng/mLの組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)を含むRPMI 1640完全培地で増殖した。実験前日、TF−1細胞をGM−CSFのない0.1% FBSで増殖した。飢餓培養した前記TF−1細胞を回収し、アッセイ培地(0.5% BSAを含むRPMI単純培地)で2回洗った。細胞をアッセイ培地に再懸濁し、10,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルマイクロプレートに播種した。ウェルには、100pg/mL GM−CSF、または図に示した濃度で被験Igまたはアイソタイプの対照Igを1時間プレインキュベートしたGM−CSFのいずれかのアッセイ培地を含めた。3日後、Cell Titer試薬(Promega、ウィスコンシン州)40μLを各ウェルに追加し、プレートをさらに37℃で1時間インキュベートした。分光光時計にて490nmの光学密度(O.D.)を測定し、培地のバックグラウンドをサンプルから差し引いた。GM−CSF中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算した。
【図5A】図5Aは、検討したすべてのE5−3D2サブクローンが高レベルのIgを分泌することを示したELISA結果を図示したものである。ハイブリドーマE5−3D2株を60代継代増殖し、次に細胞産生の頻度を分析することで産生の安定性を評価した。限界希釈した3D2細胞由来のサブクローン(X1−X10)をランダムに選択し、そのIg産生をELISAに基づくアッセイで測定した。細胞を含むウェルを目視検査することで、吸光度405nmのコロニーサイズを正規化した。
【図5B】図5Bは、無血清培地1リットルを含む攪拌したバイオリアクターに3D2細胞を播種し、Igを産生させ、1〜5日目に生細胞数を記録後、対数期に測定した比産生率は24pg/細胞/日であることを示した図である。
【図6A】図6Aは、ミスマッチ修復阻害剤で処理したE5ハイブリドーマ細胞に認められる、BATマーカーの一塩基欠失の例を示した図である。ヒストグラム中央のピークを横切る点線は、野生型(wt)または短縮した(−1nt)フラグメントのサイズを示している。
【図6B】図6Bは、親細胞およびミスマッチ修復を阻害した細胞をマイクロプレートに播種し、それぞれ3,763および2,437個のIg分泌クローン(O.D.>0.2)が得られた図である。Ig濃度はELISAにより決定し、O.D.値が1を超えるクローンの頻度を記録し、分泌されたクローン総数の割合として表した。
【図7】図7では、完全ヒトハイブリドーマ細胞株の作成について各工程を説明したダイアグラム式フローチャートを提供している。
【図8】図8は、抗原特異的ヒトMAbsを選択するための抗原パネルELISAを図示している。前記パネルでは、3種類のGM−CSF特異的huMAbs、E10、G9、およびE5(説明せず)がヒトGM−CSFと反応し、他の抗原とは反応しなかった。アッセイ感度を高めるため、様々な抗原に対して特異的MAbsを用い、効率的な抗原コーティングを最適化した。615および215の2つは抗ヒトGM−CSFマウスMAbsである。
【図9】図9は、MAb E10のアイソタイプ決定について示している。E10のアイソタイプを決定するため、抗ヒトIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgM、Lκ、およびLλ Fc特異的抗体を用いた標準的な分析を行い、前記アイソタイプを導き出した。
【図10】図10はE10およびG9 MAbsを用いたウェスタン分析を示している。E10およびG9を用いてウエスタンブロット分析を行い、前記抗体がヒト組み換えGM−CSFと交差反応を起こすか否かを決定した。mAb215は、ポジティブコントロールとしてモノクローナル抗体を中和するマウス抗ヒトGM−CSFであり、レーン:1はタンパク質のネガティブコントロールとして腫瘍細胞溶解物を充填し、レーン:2は500ng rh GM−CSF(PeProTech、米国ニュージャージー州)を充填した。図5に示す通り、E10およびG9はヒトGM−CSFと反応した。
【図11】図11はE10のBIACORE分析を示している。E10.20は、会合速度定数(ka)=2.47x104、解離速度定数(kd)=2.16x10−5、全体的な親和性(KD)は0.87nMであった。
【図12】図12は、MAb G9のアイソタイプ決定について示している。G9のアイソタイプを決定するため、抗ヒトIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgM、Lκ、およびLλ特異的抗体を用いた標準的な分析を行い、前記アイソタイプを導き出した(サンプル2種類、図3)。
【図13】図13はG9のBIACORE分析を示している。10G9.1は、会合速度定数(ka)=8.47x106、解離速度定数(kd)=9.27x10−5、全体的な親和性(KD)は0.87nMであった。
【図14】図14はG9エピトープマッピングの戦略を図示している。G9エピトープ結合位置のマッピングに用いた重複ペプチドは、配列ID番号35〜38、および64〜85のアミノ酸配列に対応する。
【図15】図15は、配列ID番号35〜38、および64〜85のアミノ酸配列に対応するヒトGM−CSFタンパク質配列を網羅する重複ペプチドを用いた、ウエスタンブロット分析によるG9エピトープマッピング分析を示している。抗体陽性ペプチドには配列ID番号35〜38を含む。
【技術分野】
【0001】
関連出願書類の相互参照
この出願書類では、2006年2月8日付出願の米国特許仮出願第60/771,251号および2006年2月17日付出願の第60/774,500号に対して優先権を主張するものであり、各開示内容全体はこの参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
本発明は、免疫治療薬の分野に関する。より具体的には、本発明は、モノクローナル抗体を生成する抗原、および自己免疫細胞および癌細胞を中和することができ、炎症反応を中和することができるモノクローナル抗体に関する。
【背景技術】
【0003】
特許、公開された出願、技術文献、および学術文献を含む様々な文献が本明細書中に引用されている。これらの各引用文献は、すべての目的のためにこの参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0004】
現在いくつかの疾患関連抗原は、その特殊な薬理学的および安全性プロフィールのため、治療用モノクローナル抗体(MAbs)の標的とされている。前記疾患関連標的抗原は、CD20、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、上皮成長因子受容体(EGFR)、および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などである。
【0005】
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)は当初、マウス骨髄の前駆細胞から顆粒球およびマクロファージの両方を発生させることができるタンパク質として発見され、それに合わせて命名された(Burgess et al.(1980)Blood 56:947−58)。その後の研究では、GM−CSFに成熟したマクロファージおよび顆粒球の機能を高める役割も証明され(Handman and Burgess(1979)J.Immunol.122:1134−1137;Hamilton et al.(1980)J.Cell Physiol.103:435−445;Gamble et al.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:8667−8671)、炎症反応にGM−CSFが関与していることが示唆された(Hamilton et al.(1980)J.Cell Physiol.103:435−445)。前記分子が研究されるにつれ、GM−CSFは、顆粒球、マクロファージ、および好酸球などのより成熟した骨髄性細胞の性質に影響できるところに起因する、他の機能を有することが明らかとなった。GM−CSFの機能は、低い親和性でGM−CSFに結合する、コロニー刺激因子2受容体αとしても知られるCD116、つまり顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体に結合することで調節される。IL3およびIL5受容体も共有するCD131と呼ばれるβサブユニットは、それ自体、検出できるGM−CSF結合活性を有していないが、高い親和結合でαサブユニットと結合するために必要であり、シグナル伝達において基礎的な役割を果たす。GM−CSF受容体は骨髄始原細胞、および好中球、好酸球、単核食細胞、および単球を含む、成熟した骨髄性細胞に認められる。さらに、GM−CSF受容体サブユニットは、ヒト胎盤、内皮、および中枢神経系の乏突起膠細胞など、正常な非造血組織に存在することも示された。
【0006】
GM−CSFは、骨髄内の初期骨髄前駆細胞から顆粒球およびマクロファージが生成する過程で重要な生物学的役割を果たしている。外部刺激に対する宿主の反応と、炎症状態および自己免疫疾患におけるGM−CSFのさらなる生理学的機能は、最初は評価されていなかったが、後に発見された。ごく初期の研究では、GM−CSFはリポ多糖類(LPS)をマウスに注入した後の肺組織ならし培地から精製された(Burgess et al.(1977)J.Biol.Chem.252:1998−2003)。GM−CSFは、多くの研究者から、顆粒球、マクロファージ、および好酸球系統の細胞数、および正常な生理的条件での活性化状態の主要な制御因子の1つであると考えられている。しかし、GM−CSFの異常発現は免疫および炎症反応を変化させ、病理的結果が伴うとも仮定されてきた。数年前、GM−CSFは炎症性サイトカイン(proinflammatory cytokine)として考える必要があると指摘された(Hamilton et al.,1980,J.Cell Physiol.103:435−445)。さらに、GM−CSFは関節リウマチ、自己免疫症状、炎症性腎疾患、および喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性肺疾患など、複数のヒトの炎症症状の素因に関与していると考えられる。興味深いことに、多発性硬化症とGM−CSFとの間に関連性があることが提唱された(McQualter et al.(2001)J.Exp.Med.,194:873−881)。多発性硬化症のモデルである自己免疫性脳脊髄炎の実験モデルでは、GM−CSFが自己免疫性脱髄に関与していることが分かった。
【0007】
単球、マクロファージ、および好中球をGM−CSFで処理後のin vivo研究では、GM−CSFがこれらの細胞タイプを活性化し、生存特性を延長できることが証明された。さらに、GM−CSFの曝露はこれらの細胞タイプから炎症性メディエータを放出させ、さらなる研究では、これらの細胞の特定微生物および腫瘍細胞さえも殺傷する能力があることが証明された(Hamilton(1993)Immunol.Today 14:18−24;Hamilton,(1993)Lancet 342:536−539;Takahashi,(1993)Blood 81:357−364)。前記in vivo研究がin vivoでのGM−CSFの機能を示していたか否かを判断するため、齧歯類での全身投与が行われた。前記タンパク質の腹腔内投与によりGM−CSFの循環血液中濃度を人工的に上昇させると、循環血液中の好中球および循環中の腹腔マクロファージ数が増加し、齧歯類の腹腔内でCD5+マクロファージの発達および分化が亢進することが示された(Metcalf et al.,(1987)Exp.Hematol.15:1−9)。
【0008】
GM−CSFは、より強く相乗的にLPSまたはインターフェロンγなど第二の刺激に反応するように、細胞を「初回刺激する(prime)」ことができることも示された(Hart et al.,1988,J.Immunol.141:1516−1521)。マウスはin vitroおよびin vivoのいずれにおいてもGM−CSFで初回刺激することができ、後でLPSまたはTNF−αを負荷後に循環血液中の炎症性サイトカイン値が増加するようになる。
【0009】
臨床条件では、腹膜透析患者にGM−CSFを投与することで、マクロファージが顕著に増加した(Selgas et al.,1996,Kidney Int.50:2070−2078)。興味深いことに、齧歯類の研究から予測される通り、臨床条件でのGM−CSFの投与は炎症性サイトカインの生産を増強し、望ましくない副作用が生じる可能性がある。例えば、関節リウマチ患者にGM−CSFを投与し、フェルティ症候群による好中球減少症を治療した場合、その関節炎が悪化した(Hazenberg et al.,1991,Blood 74:2769−2770)。別の臨床条件では、癌化学療法後のGM−CSF投与が関節リウマチ患者を悪化させた(de Vries et al.,(1991)J.Immunol.163:4985−4993)。ヒトドナーへのGM−CSFの全身投与は単離顆粒球がスーパーオキシドを生産する能力を亢進させ、単球数を増加させるだけでなく、循環血液中の単球の細胞毒性を増強した(Perkins et al.,1993,Am J.Hematol.43:279−285)。GM−CSFの異常発現はヒトの肺疾患とも関連している。例えば、軽度の刺激物、エンドトキシン、または感染による肺GM−CSFのアップレギュレーションにより、TH2免疫偏向および喘息に罹りやすくなると思われる(Eisenbarth et al.(2002)J.Exp.Med.196:1645−1651)。前記研究では、細胞増加、細胞生存の上昇、および/または活性化刺激を介して、GM−CSFが前記炎症プロセスの活性化に関与すると、上記の指摘をまとめた。
【0010】
いくつかの関連性と実験データが、喘息におけるGM−CSFの関与を示唆している。喘息マウスモデルで中和抗体を使用し、喘息の表現型を抑制できることが証明されたが(Yamashita(2002)Cell Immunol.219:92)、喘息患者のBAL液中のサイトカインを測定したいくつかの研究では、GM−CSFの増加が認められた(Gajewska(2003)Curr Drug Targets Inflamm Allergy 2:279)。
【0011】
関節リウマチ(RA)は慢性炎症性自己免疫疾患であり、GM−CSFが関与しているという十分なエビデンスがある。GM−CSF値はRA病変で上昇していることが分かり(Xu et al.(1989)J.Clin.Invest.83:876)、in vitroでは、IL−1およびTNF−αなどの炎症性サイトカインによる刺激後、常在関節細胞(軟骨細胞および滑膜線維芽細胞)により生産される(Leizer et al.(1990)Blood 76:1989)。マウスのコラーゲン誘導関節炎(CIA)は、II型コラーゲン(CII)に対する体液性および細胞性免疫反応に依存するRAの自己免疫モデルである(Seki et al.(1988)J.Immunol.140,1477)。歴史的に、このRA表現型はH−2qまたはH−2rハプロタイプを有するマウス株に限定され、DBA/1マウスで機能する(Wooley(1988)Methods Enzymol.162:361)。マウスGM−CSF遺伝子座がヌルのホモ接合性トランスジェニックマウスにおいて、一連の研究が実施された(Stanley et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5592)。興味深いことに、GM−CSF欠損マウスは、野生型の対照同産仔と比べ、コラーゲン誘導関節炎の導入に対して耐性を示す(Campbell et al.(1998)J.Immunol.161:3639−3644)。
【0012】
さらに興味深い点は、GM−CSFヌルマウスの界面活性物質クリアランスには障害があり、これが、本明細書において説明するヒトの疾患をよく模倣したマウス肺胞タンパク症(PAP)につながるということである。さらに、前記PAPの表現型は、前記GM−CSF遺伝子の肺特異的輸送(Zsengaller et al.(1998)Hum.Gene Ther.9:2101−2109)、GM−CSFのエアロゾル化または造血を再構成するための骨髄移植(Reed et al.(1999)Am.J.Physiol.276:L556−L563;Nishinakamura et al.(1996)J.Exp.Med.183:2657−2662)により修正される可能性がある。
【0013】
成人ヒト肺胞タンパク症(PAP)は、肺胞にリン脂質およびサーファクタントタンパク質が蓄積することで特徴付けられるまれな疾患である。PAPは肺胞マクロファージおよびII型上皮細胞が過剰な界面活性物質を除去できないことによるものと仮定されてきた(Mazzone et al.(2001)Clev.Clin.J.Med.68:977−992)。PAPの診断には開胸肺生検が必要なことも多く、前記疾患の標準的な治療は全肺洗浄により蓄積した界面活性物質を物理的に除去するものである(Shah et al.(2000)Thorax 55:67−77)。さらに、PAP患者は循環血液中に抗GM−CSF中和抗体を有することが示され、そのためこのサイトカインが前記疾患の原因であると考えられてきた。この自己免疫反応がGM−CSFに特異的なものか否かは分かっていない。しかし、PAP患者の一部はGM−CSF療法で改善することが示されており、遺伝子破壊または抗体による中和からGM−CSFがなくなると、PAPが発症するという仮説を支持している。
【0014】
癌におけるGM−CSFの関与を支持する証拠もある。例えば、GM−CSFは、若年性骨髄単球性白血病(JMML)など白血病の発生および進行に関与している(Emanuel PD(2004)Curr.Hematol.Rep.3:203−209)。JMMLは正常な造血機能が崩壊することで特徴付けられ、骨髄の未熟骨髄細胞が過剰に、不適切に増殖する。これらの増殖造血癌細胞は脾臓および肝臓に転移する可能性がある。興味深いことに、JMML患者はGM−CSFに対して感受性が高く、GM−CSFを過剰発現したトランスジェニックマウスと同様の病理学的特徴を示す(Lang et al.(1987)51:675−86)。さらに、GM−CSFはJMMLの細胞増殖および生存を促すことが示された(Emanuel et al.(1991)Blood 77:925−9)。JMMLのトランスジェニックマウスモデルでは、GM−CSFを遮断することで、骨髄、血液、および脾臓のJMML時の細胞負荷が軽減した(Iversen et al.(1997)Blood,90:4910−7)。
【0015】
GM−CSFをノックアウトしたマウス疾患モデル、および体循環で循環血液中に抗GM−CSF抗体が作成されるPAPなどのヒト疾患から、このサイトカインが病状の重要な媒介物質であることは明らかである。従って、前記サイトカイン自体に対する抗体を開発するか、GM−CSF受容体を遮断することで、GM−CSFの活性に拮抗できる薬物を開発するアプローチは、ヒトの治療に有益と考えられる。組み換えGM−CSF分子に対し、いくつかのポリクローナルおよびモノクローナル抗体が作成された。例えば、Beffyら((1994),Hybridoma 13:457−468)は、New Zealand Whiteウサギで組み換えヒトGM−CSFに対するポリクローナル抗体を作成し、Balb/cマウスでモノクローナル抗体を作成した。これらのウサギおよび一部のマウスモノクローナル抗体は、MO7e細胞を用いたin vitro細胞増殖アッセイにおいて、GM−CSFの活性を中和することができた。さらなる研究では、Niceら(1990,Growth Factors 3,159−169)が、マウス抗GM−CSF中和抗体の1つであるLMM102の結合部位でエピトープのマッピングを行った。組み換えヒトGM−CSFの一連の消化産物を作成し、逆相HPLC分画を用いて前記フラグメントを分離した後、さらにトリプシンフラグメントを黄色ブドウ球菌V8により消化し、ジスルフィド結合で結合した2ペプチドを有する生成物を定義することで、明確なエピトープが明らかとなった。3種類の抗ヒトGM−CSFマウス抗体がDempseyら(1990,Hybridoma 9,545−558)によって作成され、0.1〜1.7ナノモルの範囲でEC50を用いるin vitroアッセイ系においてGM−CSFを中和した。これらの抗体はマウスGM−CSFまたは他の関連サイトカインと反応しなかった。上述の抗体はすべて、ヒト血清のGM−CSF検出、およびGM−CSFのシグナル伝達を抑制するin vitroアッセイの有用な試薬である。ただし、これらの抗体はすべてマウスまたはウサギの系に由来するものであるという事実のため、治療薬としての価値はほとんどない。マウス抗GM−CSF抗体からヒトの骨格に様々なドメインをサブクローニングすることにより、マウス抗体からキメラ抗体を作成する試みがなされてきた。この戦略により、in vitroでGM−CSFを中和することができ、治療薬として有用と考えられるキメラ抗体が作成された(WO 03/068924 A2)。
【0016】
治療用抗体の重要な態様は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)などの免疫エフェクター機能を誘発できる点である。例えば、齧歯類のMabsは、Fc領域の配列が異なるため、ヒトではエフェクター機能の媒介が不十分であることが示されたため、キメラ化またはヒト化で最適な薬理学的特性を得る必要がある。さらに、完全なヒト配列を持ったMAbsは、MAbsの天然型グリコシル化パターンを変化させる可能性がある非ヒト宿主細胞で産生されると、ADCCを補助できない可能性がある(Shinkawa et al.(2003)J.Biol.Chem.278:3466−73)。
【0017】
これらの事実を考慮し、ヒトB細胞による治療用抗体の産生が好ましい。ヒトMAbsを分泌するハイブリドーマの作成法はこれまでに報告されている(WO2004/046330)。ヒトB細胞により作成された治療用MAbsは、ヒトエフェクター機能を発揮することができ、天然型ヒト構造のため、免疫原性は非常に限られている。ヒトB細胞由来のハイブリドーマまたはエプスタインバーウイルス(EBV)形質転換リンパ芽球株の作成については以前報告があったが(Kirman et al.(2002)Hybrid Hybridomics 21:405−14;Boerner et al.(1991)J.Immunol.147:86−95;Zafiropoulos et al.(1997)J.Immunol.Methods 200:181−90)、長期的安定性、製造工程適合性、および抗体の薬理学的特性について、これらの抗体および株の特徴に関する情報は限られている(van Dijk et al.(2001)Curr.Opin.Chem.Biol.5:368−74)。
【0018】
そのため、感染による炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患、および癌など他疾患を治療するため、治療用ヒト抗体の需要はある。さらに、そのような抗体が免疫エフェクター機能を誘発し、ヒト患者での忍容性に優れていることも望まれる。本発明は、これらの長年にわたる需要に取り組むものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、GM−CSFに特異的に結合する単離ヒト抗体について特徴付けたものである。前記抗体は、配列ID番号42または48を有する重鎖CDR3を有する可能性がある。いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号8または16を有する重鎖を有する可能性がある。いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号12または18を有する重鎖を有する可能性がある。一部の実施形態では、前記抗体が2つの重鎖を有する。一部の実施形態では、前記抗体が2つの軽鎖を有する。前記抗体は高親和性抗体であり、約1×10−8M未満の親和性を有する可能性がある。好ましくは、前記抗体はモノクローナル抗体であり、より好ましくはヒトモノクローナル抗体である。極めて好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号3、4、5、35、36、37、38、または39のアミノ酸配列を有するポリペプチド上のエピトープに特異的に結合する。ハイブリドーマ細胞など、そのような抗体を発現する細胞も提供される。
【0020】
本発明では、GM−CSFに特異的に結合する抗体をコードするポリヌクレオチドについても特徴付ける。いくつかの好適な実施形態では、前記ポリヌクレオチドが配列ID番号10または17の重鎖配列を有する。いくつかの好適な実施形態では、前記ポリヌクレオチドが配列ID番号14または19の軽鎖配列を有する。そのようなポリヌクレオチドを有するベクターも提供される。
【0021】
本発明では、そのような治療を必要とする被験者においてGM−CSFによる炎症性疾患を治療する方法についても特徴付ける。前記方法は、GM−CSFによる炎症性疾患の治療に有効な量で、薬学的に許容される担体およびGM−CSFに特異的に結合する抗体を少なくとも1つ有する組成を前記被験者に投与する工程を有する。これらの方法の好適な態様では、前記抗体は、配列ID番号42または48を有する重鎖CDR3を有する可能性がある。いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号8または16を有する重鎖を有する可能性がある。いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号12または18を有する重鎖を有する可能性がある。前記抗体は高親和性抗体であり、約1×10−8M未満の親和性を有する可能性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本明細書および請求項を通して、本発明の方法および他の態様に関連する様々な用語が使用されている。そのような用語は、他に指示されていない限り、当該分野における通常の意味を与えられるものとする。他の具体的に定義された用語は、本明細書に提供された定義と一致するように解釈されるものとする。
【0023】
本発明は特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物系に制限されることはなく、当然変更できることは理解されるものとする。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明する目的で、制限する意図はないことも理解されるものとする。本明細書および添付の請求項に用いられる場合、本文において明確に異なることが示されていない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」は複数の言及も含む。従って、例えば「a cell(細胞)」の言及は2若しくはそれ以上の細胞の組み合わせなどを含む。
【0024】
本明細書に列挙された各範囲は、本明細書に含まれる特定の数字だけでなく、範囲内のすべての組み合わせおよび下位の組み合わせを含む。
【0025】
本明細書に用いられる「約」という用語は、量、一時的な期間など、測定可能な値を指す場合、特定の値からの±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%、まださらに好ましくは±0.1%のばらつきを含むことを意味し、それ自体、ばらつきは開示された方法を実施する上で妥当である。
【0026】
「感染症」には、(これに限定されるものではないが)病原体、ウイルス、細菌、真菌、または寄生虫による感染を含む。ウイルスの例には、(これに限定されるものではないが)重症急性呼吸器症候群(SARS;SARS関連コロナウイルスによる)、B型またはC型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、I型またはII型単純ヘルペスウイルス、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、乳頭腫ウイルス、パポーバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス、コクサッキーウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、およびI型またはII型ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含む。細菌の例には、(これに限定されるものではないが)エボラ、ブドウ球菌属A−E、プラスモディウム(マラリア)、結核菌、マイコバクテリウム、マイコプラズマ、ナイセリア、およびレジオネラを含む。寄生虫の例には、(これに限定されるものではないが)リケッチアおよびクラミジアを含む。
【0027】
「炎症性疾患」には、関節リウマチ、自己免疫疾患、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性腎疾患および炎症性肺疾患、多発性硬化症、および自己免疫性脳脊髄炎などの(これに限定されるものではないが)急性および慢性の免疫および自己免疫症状を含む。
【0028】
「自己免疫疾患」は、患者の自己組織または同時分離物またはその徴候またはその結果生じる症状に起因し、これらに向けられる疾患または疾病である。自己免疫疾患の例には、(これに限定されるものではないが)関節炎(急性関節炎、慢性関節リウマチ、痛風または痛風性関節炎、急性痛風性関節炎、急性免疫性関節炎、慢性炎症性関節炎、変性性関節炎、II型コラーゲン誘導関節炎、感染性関節炎、ライム病関節炎、増殖性関節炎、乾癬性関節炎、スティル病、椎骨関節炎、および若年発症関節リウマチなどの関節リウマチ、変形性関節症、関節炎クロニカプログレディエンテ(arthritis chronica progrediente)、変形性関節炎、原発性慢性多発性関節炎(polyarthritis chronica primaria)、反応性関節炎、および強直性脊椎炎)、炎症性過剰増殖性皮膚疾患、プラーク乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、および爪の乾癬などの乾癬、花粉症およびヨブ症候群などのアトピー性疾患を含むアトピー、接触皮膚炎、慢性接触皮膚炎、剥脱性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、疱疹状皮膚炎、貨幣状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、非特異性皮膚炎、一次刺激性接触皮膚炎、およびアトピー性皮膚炎を含む皮膚炎、X連鎖高IgM症候群、アレルギー性眼内炎症性疾患、慢性自己免疫性蕁麻疹、筋炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、中毒性表皮剥離症、(全身性強皮症を含む)強皮症を含む慢性アレルギー性蕁麻疹および慢性特発性蕁麻疹などの蕁麻疹、全身性硬化症などの硬化症、脊髄−視覚多発性硬化症(MS)、原発性進行性MS(PPMS)、および再発寛解型MS(RRMS)などの多発性硬化症(MS)、全身性進行性硬化症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、播種性硬化症(sclerosis disseminata)、失調性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、自己免疫性胃腸疾患、潰瘍性大腸炎、潰瘍性大腸炎(colitis ulcerosa)、顕微鏡的大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、ポリープ性大腸炎(colitis polyposa)、壊死性腸炎、および貫壁性大腸炎などの大腸炎、および自己免疫性炎症性大腸炎)、腸炎、壊疽性膿皮症、結節性紅斑、原発性硬化性胆管炎、成人または急性呼吸促迫症候群(ARDS)を含む呼吸窮迫症候群、髄膜炎、ブドウ膜全体または一部の炎症、虹彩炎、脈絡膜炎、自己免疫性血液疾患、リウマチ様脊椎炎、リウマチ性滑膜炎、遺伝性血管浮腫、髄膜炎に見られるような脳神経障害、妊娠性疱疹、妊娠類天疱瘡(pemphigoid gestationis)、膣掻痒(pruritis scroti)、自己免疫性早発閉経、自己免疫疾患による突発性難聴、アナフィラキシーおよびアレルギー性およびアトピー性鼻炎などのIgE性疾患、ラスムッセン脳炎および辺縁系および/または脳幹脳炎などの脳炎、前部ブドウ膜炎、急性前部ブドウ膜炎、肉芽腫性ブドウ膜炎、非肉芽腫性ブドウ膜炎、水晶体抗原性ブドウ膜炎(phacoantigenic uveitis)、後部ブドウ膜炎、または自己免疫性ブドウ膜炎などのブドウ膜炎、原発性糸球体腎炎(GN)、免疫性GN、膜性GN(膜性腎症)、特発性膜性GNまたは特発性膜性腎症、I型およびII型を含む膜性または膜性増殖性GN(MPGN)、および急速に進行するGNなどの慢性または急性糸球体腎炎などのネフローゼ症候群を併発するか併発しない糸球体腎炎、増殖性腎炎、自己免疫性多腺性内分泌不全、形質細胞限局性亀頭炎(balanitis circumscripta plasmacellularis)を含む亀頭炎、亀頭包皮炎、遠心性環状紅斑、色素異常性固定性紅斑、多形性紅斑、環状肉芽腫、光沢苔癬、硬化性萎縮性苔癬、慢性単純性苔癬、棘状苔癬、扁平苔癬、葉状魚鱗癬、表皮剥離性角質増殖症、前癌性角化症、壊疽性膿皮症、アレルギー疾患および応答、アレルギー反応、アレルギー性またはアトピー性湿疹、乾皮性湿疹、発汗異常性湿疹、および水疱性掌蹠膿湿疹(vesicular palmoplantar eczema)を含む湿疹、気管支喘息、気管支喘息、および自己免疫性喘息などの喘息、T細胞浸潤が関与する状態および慢性炎症反応、妊娠中の胎児A−B−O血液型などの外来抗原に対する免疫反応、慢性肺炎症性疾患、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全症、ループス腎炎、ループス脳炎、小児狼蒼、腎外性ループス、腎外ループス、円板状ループスおよび円板状エリテマトーデスを含むループス、狼瘡性脱毛症(alopecia lupus)、皮膚SLEまたは亜急性皮膚SLE、新生児ループス症候群(NLE)、および播種性紅斑性狼瘡などの全身性エリテマトーデス(SLE)、小児インスリン依存性糖尿病(IDDM)を含む若年型(I型)糖尿病、成人発症型糖尿病(II型糖尿病)、自己免疫性糖尿病、特発性尿崩症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性大動脈疾患、サイトカインおよびTリンパ球を介する急性および遅延型過敏症に伴う免疫応答、結核、サルコイドーシス、リンパ腫様肉芽腫症を含む肉芽腫症、ウェゲナー肉芽腫症、無顆粒球症、血管炎、大血管炎(リウマチ性多発性筋痛および巨細胞(高安)動脈炎を含む)、中血管炎(川崎病および結節性多発動脈炎/結節性動脈周囲炎を含む)、顕微鏡的多発性動脈炎、免疫血管炎(immunovasculitis)、CNS血管炎、皮膚血管炎、過敏性血管炎、全身性壊死性血管炎などの壊死性血管炎、およびチャーグ・ストラウス血管炎または症候群(CSS)およびANCA関連小血管炎などのANCA関連血管炎を含む脈管炎、側頭動脈炎、再生不良性貧血、自己免疫性再生不良性貧血、クームス試験陽性貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、悪性貧血(anemia pemiciosa)、アジソン病、真性赤血球無形成症または形成不全(PRCA)を含む溶血性貧血または免疫性溶血性貧血、第VIII因子欠乏症、血友病A、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出が関与する疾患、CNS炎症性疾患、敗血症、外傷、または出血に続発するような多臓器損傷症候群(multiple organ injury syndrome)、抗原抗体複合体による疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病/症候群、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、水疱性類天疱瘡(pemphigoid bullous)および皮膚類天疱瘡(skin pemphigoid)などの類天疱瘡、天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、pemphigus mucus−membrane pemphigoid、および紅斑性天疱瘡を含む)、自己免疫性多腺性内分泌障害、ライター病または症候群、熱傷、子癇前症、免疫複合体性腎炎などの免疫複合体病、体液性腎炎、多発性神経障害、IgM多発性ニューロパチーまたはIgMによるニューロパチーなどの慢性ニューロパチー、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、輸血後紫斑病(PTP)、ヘパリン起因性血小板減少症、および特発性血小板減少性紫斑病(ITP)などの慢性または急性ITPを含む自己免疫性または免疫性血小板減少症を含む(例えば心筋梗塞患者に発症するような)血小板減少症、idiopathic cerato−scleritisなどの胸膜炎、上強膜炎、自己免疫性睾丸炎および卵巣炎を含む睾丸および卵巣の自己免疫疾患、原発性甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、自己免疫性甲状腺炎、橋本病、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、または亜急性甲状腺炎などの甲状腺炎を含む自己免疫性内分泌疾患、自己免疫性甲状腺疾患、特発性甲状腺機能低下症、グレーブス病、自己免疫性多腺性症候群(または多腺性内分泌障害症候群(polyglandular endocrinopathy syndromes))などの多腺性症候群、ランバート・イートン筋無力性症候群またはイートン・ランバート症候群などの神経腫瘍随伴症候群(neurologic paraneoplastic syndromes)を含む腫瘍随伴症候群、スティフマンまたは全身強直性症候群、アレルギー性脳脊髄炎またはアレルギー性脳脊髄炎(encephalomyelitis allergica)および実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)などの脳脊髄炎、胸腺腫に伴う重症筋無力症、小脳変性症、神経ミオトニー、眼球クローヌスまたは眼球クローヌスミオクローヌス症候群(OMS)、および感覚性ニューロパシーなどの重症筋無力症、多発性運動神経障害、シーハン症候群、自己免疫性肝炎、慢性肝炎、ルポイド肝炎、巨細胞性肝炎、慢性活動性肝炎または自己免疫性慢性活動性肝炎、リンパ性間質性肺炎(LIP)、閉塞性細気管支炎(非移植時)対NSIP、ギラン・バレー症候群、ベルジェ病(IgA腎症)、特発性IgA腎症、線状IgA皮膚症、急性熱性好中球性皮膚症、角層下膿疱症、一過性棘融解性皮膚症、原発性胆汁性肝硬変および肺肝硬変(pneumonocirrhosis)などの肝硬変、自己免疫性腸疾患症候群、セリアック病または小児脂肪便症、セリアック・スプルー(グルテン性腸症)、難治性スプルー、特発性スプルー、クリオグロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症(ALS;ルー・ゲーリック病)、冠動脈疾患、自己免疫性内耳疾患(AIED)などの自己免疫性耳疾患、自己免疫性聴力損失、難治性または再発性または再発性多発性軟骨炎などの多発性軟骨炎、肺胞タンパク症、コーガン症候群/非梅毒性間質性炎症、ベル麻痺、スウィート病/症候群、自己免疫性酒さ(rosacea autoimmune)、帯状疱疹に伴う疼痛、アミロイドーシス、非癌性リンパ球増加症、モノクローナルB細胞リンパ球増加症(例えば、良性単クローン性免疫グロブリン血症および意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症、MGUS)を含む原発性リンパ球増加症、末梢性ニューロパシー、腫瘍随伴症候群、てんかん、片頭痛、不整脈、筋疾患、難聴、失明、周期性四肢麻痺、およびCNSのチャネロパチーなどのチャネロパチー、自閉症、炎症性筋疾患、巣状または分節状または巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、内分泌性眼病、ブドウ膜網膜炎、脈絡網膜炎、自己免疫性肝疾患、線維筋痛、多発性内分泌腺腫、シュミット症候群、副腎炎、胃萎縮症、初老期認知症、自己免疫性脱髄疾患および慢性炎症性脱髄性多発神経障害などの脱髄疾患、ドレスラー症候群、円形脱毛症、完全脱毛症、クレスト症候群(石灰沈着症、レイノー現象、食道運動障害、手指硬化症、および毛細血管拡張症)、例えば抗精子抗体による男性および女性の自己免疫性不妊症、混合性結合組織病、シャーガス病、リウマチ熱、反復流産、農夫肺、多形性紅斑、心術後症候群、クッシング症候群、鳥飼育者肺、アレルギー性肉芽腫性血管炎、良性リンパ球性血管炎、アルポート症候群、アレルギー性肺胞炎および線維化性肺胞炎などの肺胞炎、間質性肺炎、輸血反応、ハンセン病、マラリア、リーシュマニア症などの寄生虫症、kypanosomiasis、住血吸虫症、回虫症、アスペルギルス症、Sampter症候群、カプラン症候群、デング熱、心内膜炎、心内膜心筋線維症、びまん性間質性肺線維症、間質性肺線維症、肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎、Shulman症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、慢性毛様体炎、異時性毛様体炎(heterochronic cyclitis)、虹彩毛様体炎(急性または慢性)、またはフックス毛様体炎などの毛様体炎、ヘノッホ・シェンライン紫斑病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、SCID、後天性免疫不全症候群(AIDS)、エコーウイルス感染、敗血症、内毒素血症、膵炎、甲状腺機能亢進症、パルボウイルス感染症、風疹ウイルス感染、ワクチン接種後症候群、先天性風疹感染、エプスタインバーウイルス感染、おたふく風邪、Evan症候群、自己免疫性
性腺機能不全、シデナム舞踏病、連鎖球菌感染後腎炎、thromboangitis ubiterans、甲状腺機能亢進症、脊髄癆、脈絡膜炎、巨細胞多発筋腫、慢性過敏性肺炎、乾性角結膜炎、流行性角結膜炎、特発性ネフローゼ症候群、微少変化ネフローゼ、良性家族性および虚血再潅流傷害、移植臓器再潅流、自己免疫網膜症(retinal autoimmunity)、関節の炎症、気管支炎、慢性閉塞性気道/肺疾患、珪肺症、アフタ、アフタ性口内炎、動脈硬化症、aspermiogenese、自己免疫性溶血、Boeck病、クリオグロブリン血症、デュピュイトラン拘縮、endophthalmia phacoanaphylactica、アレルギー性腸炎(enteritis allergica)、癩性結節性紅斑、特発性顔面神経麻痺、慢性疲労症候群、リウマチ熱(febris rheumatica)、ハンマン・リッチ病、急性感音難聴、haemoglobinuria paroxysmatica、性腺機能低下症、限局性回腸炎(ileitis regionalis)、白血球減少症、感染性単核球症(mononucleosis infectiosa)、横断性脊髄炎、原発性特発性粘液水腫、ネフローゼ、ophthalmia symphatica、肉芽種性睾丸炎(orchitis granulomatosa)、膵炎、急性多発性神経根炎(polyradiculitis acuta)、壊疽性膿皮症、ケルヴァン甲状腺炎、後天性脾臓萎縮症、非悪性胸腺腫、白斑、毒素性ショック症候群、食中毒、T細胞浸潤が関与する疾患、白血球接着不全症、サイトカインおよびTリンパ球による急性および遅発性過敏症が関与する免疫反応、白血球漏出が関与する疾患、多臓器損傷症候群、抗原抗体複合体による疾患、抗糸球体基底膜疾患、アレルギー性神経炎、自己免疫性多腺性内分泌障害、卵巣炎、原発性粘液水腫、自己免疫性萎縮性胃炎、交感性眼炎、リウマチ性疾患、混合性結合組織病、ネフローゼ症候群、膵島炎、多腺性内分泌不全症、自己免疫性多腺性症候群I型、成人型特発性上皮小体機能低下症(AOIH)、拡張型心筋症などの心筋症、後天性表皮水疱症(EBA)、血色素症、心筋炎、ネフローゼ症候群、原発性硬化性胆管炎、化膿性または非化膿性副鼻腔炎、急性または慢性副鼻腔炎、篩骨洞炎、前頭洞炎、上顎洞炎、またはちょう形骨洞炎、好酸球増加症、肺好酸球増多症、好酸球増加・筋痛症候群、レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎、局所性肺好酸球増多症、気管支肺アスペルギルス症、アスペルギルス腫、または好酸球を含む肉芽種などの好酸球関連疾患、アナフィラキシー、血清反応陰性脊椎関節症(seronegative spondyloarthritides)、多内分泌自己免疫疾患、硬化性胆管炎、強膜、上強膜、慢性粘膜皮膚カンジダ症、ブルトン症候群、乳児一過性低γグロブリン血症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、毛細血管拡張性運動失調症候群、血管拡張症、膠原病、リウマチ、神経疾患、リンパ節炎、血圧反応の低下、血管機能不全、組織傷害、心血管虚血、痛覚過敏、腎虚血、脳虚血、および血管新生を伴う疾患に伴う自己免疫疾患、アレルギー性過敏性疾患、糸球体腎炎、再潅流傷害、虚血再潅流疾患、心筋または他組織の再潅流傷害、リンパ腫様気管気管支炎、炎症性皮膚疾患、急性炎症を伴う皮膚疾患、多臓器不全、水疱性疾患、腎皮質壊死、急性化膿性髄膜炎または他の中枢神経系炎症性疾患、眼球および眼窩の炎症性疾患、顆粒球輸血関連症候群、サイトカイン誘導毒性、ナルコレプシー、急性の重篤な炎症、慢性難治性炎症、腎盂炎、動脈内過形成、消化性潰瘍、弁膜炎、および子宮内膜症を含む。
【0029】
「保存的修飾変異体」はアミノ酸および核酸配列の両方に当てはまる。特定の核酸配列について、保存的修飾変異体は、同一であるか、基本的に同一であるアミノ酸配列をコードする核酸を指し、または前記核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、基本的に同一の配列を指す。遺伝暗号の縮重のため、多数の機能的に同一の核酸が特定タンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべてアミノ酸のアラニンをコードする。従って、アラニンがコドンで特定されるすべての位置で、コードされるポリペプチドを変化させることなく、前記コドンを前述の対応するコドンのいずれかと変更することができる。そのような核酸変異は「サイレント変異」であり、保存的修飾変異体の一種である。ポリヌクレオチドをコードする本明細書のすべての核酸配列は、前記核酸の考えられるすべてのサイレント変異も描写する。当業者は、核酸の各コドン(通常メチオニンの唯一のコドンであるAUGと、通常トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)を修飾し、機能的に同一な分子を生じることができることは理解するだろう。従って、ポリヌクレオチドをコードする核酸の各サイレント変異は、発現生成物について描写された各配列で絶対的であるが、実際のプローブ配列については絶対的ではない。
【0030】
例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに関連して用いる場合の「組み換え型」は、前記細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが異種核酸またはタンパク質の導入、または天然型核酸またはタンパク質の変更により修飾されたか、前記細胞がそのように修飾された細胞に由来することを示す。従って、例えば、組み換え型細胞は前記細胞の天然型(非組み換え型)には見られない遺伝子を発現しているか、そうでなければ異常に発現されるか、発現が少ないか、全く発現されていない天然型遺伝子を発現している。
【0031】
前記「核酸」または「ポリヌクレオチド配列」という表現は、5’から3’末端に向かって読んだ、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の一本鎖または二本鎖重合体を指す。核酸には、ポリメラーゼによる読み取りを補正することができ、例えば保存的修飾変異体を含む核酸でコードされるポリペプチドの発現を変化させない、修飾ヌクレオチドも含むことができる。
【0032】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は本明細書で同義的に使用され、アミノ酸残基の重合体を指す。前記用語は、1若しくはそれ以上のアミノ酸残基が対応する天然型アミノ酸の人工化学的ミメティックであるアミノ酸重合体、および天然型アミノ酸重合体および非天然型アミノ酸重合体にも当てはまる。本発明のポリペプチドには、保存的修飾変異体を含む。当業者は、コード化配列中の単一アミノ酸または少ない割合のアミノ酸を変更、付加、または欠失させる核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列の置換、欠失、または付加は「保存的修飾変異体」であり、前記変化により、アミノ酸が化学的に類似のアミノ酸と置換されることは認識するだろう。機能的に類似のアミノ酸を提供する、保存的置換表は当該分野で周知である。そのような保存的修飾変異体は、本発明の多型変異体、種間相同体、および対立遺伝子に追加され、これを除外しない。以下の8群はそれぞれ互いに保存的置換のあるアミノ酸を含み、それは1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、トレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)である(33)。前記「保存的置換」という用語は、そのようなポリペプチドが必要な結合活性も示す場合、非置換親アミノ酸に代わり置換アミノ酸を使用することも含む。
【0033】
「アミノ酸」は、天然型および合成アミノ酸、および前記天然型アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸ミメティックを指す。天然型アミノ酸は、遺伝暗号でコードされたアミノ酸、および後で修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、およびO−ホスホセリンである。「アミノ酸類似体」は、天然型アミノ酸と同じ基本的化学構造、つまり、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR群、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムに結合するα炭素を有する化合物を指す。そのような類似体は、修飾されたR群(例えばノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然型アミノ酸と同じ基本的化学構造を保持している。「アミノ酸ミメティック」は、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然型アミノ酸と同様に機能する化学化合物を指す。
【0034】
本明細書では、アミノ酸は一般的に知られる3文字記号またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する1文字記号で呼ぶ(以下の表1を参照)。同様に、ヌクレオチドは一般的に受け入れられている1文字コードで呼ぶ。
【0035】
【表1】
【0036】
本明細書では、すべてのアミノ酸配列が、左から右の方向が従来のアミノ末端からカルボキシ末端の方向である式で表されていることに注意する。
【0037】
本明細書に用いられる「in vitro」または「ex vivo」という用語は、人工環境、および例えば試験管および細胞培養などの(これに限定されるものではないが)人工的な環境で発生するプロセスまたは反応を指す。前記「in vivo」という用語は、自然環境(例えば、動物または細胞)および自然環境で発生するプロセスまたは反応を指す。
【0038】
「薬学的に許容される」、「生理学的に忍容性の」、およびその文法的変形形態は、組成、担体、希釈剤、および試薬を指す場合は同義的に用いられ、前記組成の投与を阻害する程度の好ましくない生理学的効果を生じずに、前記物質をヒトに投与できることを示す。
【0039】
「薬学的に許容される担体」という用語は、適切な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比と釣り合い、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の合併症を生じずに、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適した、試薬、添加物、細胞、化合物、物質、組成、および/または投与形態を指す。本明細書でさらに詳細に説明するとおり、本発明での使用に適した薬学的に許容される担体には、気体、液体、および半固体および固体物質を含む。
【0040】
記載がある場合を除き、「被験者」または「患者」は同義的に用いられ、ヒト患者およびヒト以外の霊長類などの哺乳類、およびウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、その他の動物などの実験動物を指す。従って、本明細書に用いられる「被験者」または「患者」は本発明の組成を投与することができるすべての哺乳類患者または被験者を意味する。本発明の一部の実施形態では、前記患者が感染症または炎症性疾患、または自己免疫疾患に罹患する。本発明の一部の実施形態では、前記患者が癌と診断されている。本発明の典型的な実施形態では、本発明に沿った治療の候補患者を特定するため、一般に認められたスクリーニング方法を採用し、被験者の既存の疾患または状態の状況、または標的となるか疑わしい疾患または状態と関連したリスクファクターを決定する。これらのスクリーニング方法には、例えば、被験者が感染症、炎症性疾患、癌、または自己免疫疾患に罹患しているか否かを決定する検査を含む。このようなルーティンな方法により、臨床医は治療が必要な被験者を選択することができる。
【0041】
「治療」は、例えば、感染症、GM−CSFによる炎症性疾患などの炎症性疾患、癌、または自己免疫疾患の治療または改善が成功した兆候を指し、軽減;寛解;症状の減少または患者が疾患状態に耐えられるようにすること;変性または低下の速度が遅くなること;または変性の最終段階の消耗性が低くなることなどの客観的または主観的パラメータを含む。症状の治療または改善は、検査結果などの客観的または主観的パラメータに基づくことができる。従って、前記「治療」という用語には、本発明の化合物または試薬を投与し、癌、感染症、GM−CSFによる炎症性疾患などの炎症性疾患、または自己免疫疾患に伴う症状または状態の発症を遅延、軽減、または停止または抑制することを含む。治療には、例えば、異型細胞増殖の抑制、癌または腫瘍性疾患進行の抑制、腫瘍増殖抑制の維持、および寛解の導入を含む。
【0042】
本明細書に用いられる「治療用化合物」は癌、感染症、炎症性疾患、または自己免疫疾患などの疾患または状態の予防または治療に有用な化合物を指す。
【0043】
「治療効果」は、前記被験者における前記疾患、前記疾患の症状、または前記疾患の副作用の軽減、排除、または予防を指す。「有効量」は、望みの作用を生じるために必要な量を指す。「治療有効量」は、疾患、状態、または障害を治療するために被験者に投与する場合、その疾患の治療を達成するために十分な量を意味する。
【0044】
本明細書に用いられる「併用投与」、「同時投与」、または「併用」には、同時にまたは併用して、一緒に、または互いに前後して活性薬物(例えば、MAbs、化学療法薬、生体分子)を投与することを含む。前記複数の薬物は、すべての薬物が作用部位で十分有効濃度を達成することができる方法で投与される限り、同じ経路または異なる経路で、同時にまたは順次投与することができる。当業者であれば、特定の薬物と本発明の組成を投与する適切なタイミング、順序、および用量を決定することは難しくないだろう。
【0045】
「ドナー細胞」は広義に用いられ、ハイブリドーマを作成するためにヒトB細胞に融合した細胞を指す。前記細胞には、(これに限定されるものではないが)当業者に理解される通りの齧歯類骨髄腫;齧歯類細胞株;ヒト細胞株;トリ細胞株を含む。細胞株は、当業者に既知のいかなる方法によっても得ることができる。
【0046】
「免疫グロブリン」または「抗体」は広義に用いられ、抗体分子と様々な抗体由来分子の両方を指し、前記免疫系の主要成分である、高等哺乳動物で発生する一連の糖タンパク質の一員を含む。前記「抗体」という用語は最も広義の意味で用いられ、望みの生物活性を示す限り、具体的にはモノクローナル抗体、多エピトープ特異性を持つ抗体組成、二重特異性抗体、ダイアボディ(diabodies)、および単鎖分子、また抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2、およびFv)を網羅する。免疫グロブリン分子には抗原結合ドメインを含み、それぞれが軽鎖と、重鎖の末端タンパク質、および補体の固定など様々な機能に必要なFc領域を含む。免疫グロブリンには5種類のクラスがあり、前記Fc領域の重鎖の主要構造が前記免疫グロブリンのクラスを決める。具体的には、α、δ、ε、γ、およびμ鎖がそれぞれIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMに対応する。本明細書に用いる通り、「免疫グロブリン」または「抗体」にはα、δ、ε、γ、およびμのすべてのサブクラスを含み、4鎖の免疫グロブリン構造の天然(例えば、IgAおよびIgM)または合成多量体も指す。抗体は、非共有結合的に、特異的に、および可逆的に抗原と結合する。
【0047】
本明細書に用いられる「モノクローナル抗体」という用語は、かなり均質な抗体集団から得られる抗体を指し、つまり、少量で存在することができ、自然に発生した可能性のある変異を除き、前記集団を有する個々の抗体は同一である。例えば、モノクローナル抗体は抗体産生細胞の単一クローンにより作成することができる。ポリクローナル抗体と異なり、モノクローナル抗体は単一特異的である(例えば、単一抗原の単一エピトープに対して特異的である)。前記「モノクローナル」という修飾語は、かなり均質な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、いかなる特定の方法でも前記抗体の作成が必要であるとは解釈されない。例えば、本発明に従って使用される前記モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495,1975で最初に報告されたハイブリドーマ法により作成することができるか、組み換えDNA法により作成することができる。前記「モノクローナル抗体」は、例えば、Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581−597,1991に報告されている技術を利用し、ファージ抗体ライブラリから単離することもできる。
【0048】
本明細書に使用される場合、「キメラ化」は免疫グロブリンを指し、重鎖および軽鎖の可変領域がヒト由来のものではなく、前記重鎖および軽鎖の定常領域がヒト由来のものである。
【0049】
「ヒト化」は抗体などの免疫グロブリンを指し、前記アミノ酸が直接抗原結合に関与し、前記重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDR)がヒト由来ではないが、残りの免疫グロブリン分子、可変重鎖および軽鎖のフレームワーク領域、および前記重鎖および軽鎖の定常領域がヒト由来のものである。
【0050】
「完全ヒト」とは、抗体などの免疫グロブリンを指し、前記分子全体がヒト由来であるか、前記抗体のヒト型と同一のアミノ酸配列から成る。
【0051】
「エピトープ」は、抗体結合部位として機能する、抗原の免疫決定部分を指す。本明細書に用いられる「立体構造エピトープ」という用語は、連続したアミノ酸以外の、抗原のアミノ酸同士の空間関係によって形成される不連続エピトープを指す。
【0052】
「ハイブリドーマ」は、培養した腫瘍化リンパ球と、親細胞の特異的免疫力を発現し初回刺激を受けたBまたはTリンパ球との細胞融合生成物を指す。
【0053】
「GM−CSF」は、顆粒球および単球−マクロファージの生産、分化、および機能を制御する、糖タンパク質成長因子のファミリーを指す。そのような分子の唯一の形態を意味するものではないが、模範的なものは、米国特許第5,602,007(34)号明細書に見ることができ、参考文献として盛り込まれている。
【0054】
本明細書に用いられる「生体分子」という用語は、複合体を形成し、同時投与され、抗体の投与前後に投与され、またはそれ以外で本発明の抗体と関連して使用することができるすべての分子を指す。生体分子には、(これに限定されるものではないが)酵素、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物、およびフラグメント、相同体、類似体、または誘導体、およびその組み合わせを含む。生体分子の例には、(これに限定されるものではないが)インターロイキン−2、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、リツキサン、ゼバリン、ハーセプチン、エルビタックス、およびアバスチンを含む。前記生体分子は、天然型、組み換え型、または合成とすることができ、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化、ミリスチル化などにより、その天然型から修飾することもできる。本明細書に用いるとおり、前記生体分子という用語は、天然型の分子に限定されず、生物由来ではない合成分子を含む。
【0055】
本発明に従ったポリペプチドは、ポリペプチド分野の当業者に既知の技術により、アミノ酸から合成することができる。一般に、これらの方法は、ペプチド鎖を伸長するため、1若しくはそれ以上のアミノ酸残基または適切に保護されたアミノ酸残基を順次追加する工程を有する。通常は、最初のアミノ酸のアミノ基またはカルボニル基が適切な、選択的に取り外し可能な保護基で保護される。異なる選択的に取り外し可能な保護基は、反応性側鎖(例えば、リジン)を含むアミノ酸に利用される。
【0056】
本発明のポリペプチドを調整する様々な方法は当該分野で既知である(WO 89/06657、WO 92/22315、WO 98/49191、米国特許第5,260,273号、第5,164,369号、第5,407,914号;第5,789,381号、第5,952,303号、第6,013,619号、第6,013,764号、第6,120,795号、第6,613,734号明細書)。
【0057】
本発明のポリペプチドがラベルまたは固体基質、または担体に共有結合することができる「リンカー」を提供する目的などのため、本発明のポリペプチドのいずれの末端にも追加残基を追加することができる。本発明のポリペプチドと一緒に利用可能なラベル、固体基質、および担体は当該分野で既知であり、いくつかの例は本明細書にも説明されている。
【0058】
アミノ酸残基のリンカーは通常少なくとも1残基であり、40若しくはそれ以上、より多くは1〜10残基とすることができる。連結に用いられる典型的なアミノ酸残基は、チロシン、システイン、リジン、グルタミン酸およびアスパラギン酸などである。さらに、本発明のポリペプチドは、末端NH2のアシル化、例えばアセチル化、またはチオグリコール酸のアミド化、末端カルボキシルのアミド化、例えばアンモニア、メチルアミンなどにより修飾される配列が天然配列とは異なる可能性がある。
【0059】
例えば配列ID番号1〜5など、多くの有用なポリペプチドが本明細書に開示されることは理解されるが、まれであるが天然型のアミノ酸、天然アミノ酸の代謝物および異化産物、置換アミノ酸、およびアミノ酸類似体、また「D」配置のアミノ酸を含む広範な他の分子が、本発明の分子および組成に有用であることも真実である。さらに、「設計された」アミノ酸誘導体、類似体、およびミメティックも本発明の様々な化合物、組成、および方法に有用であり、非アミド結合から成る骨格構造を含むポリマーも有用である。
【0060】
本明細書に用いられるように、ポリペプチドおよびアミノ酸残基の「類似体」および「誘導体」は、アミノ酸の代謝物および異化産物、および「天然型」のL型アミノ酸と呼ばれる通常認められるものとは異なる結合、骨格、側鎖、または側基を含む分子を含むことを意図する(前記「類似体」および「誘導体」という用語は、本明細書において都合よく置き換えて使用できる)。従って、アミノ酸および「設計された」側鎖を有するアミノ酸を模倣した(つまり、界面活性作用を有する分子の1若しくはそれ以上のアミノ酸を置換することのできる)分子であるD−アミノ酸も、本明細書の前記「類似体」および「誘導体」という用語に含まれる。
【0061】
例えば、表1に掲載されたL−アミノ酸に加え、ホモアルギニン、シトルリン、オルニチン、およびα−アミノブタン酸などのアミノ酸代謝物も、本発明の分子および組成に有用である。
【0062】
別の変形形態では、より「硬い」立体構造を導入した分子を構築したいと考えることも可能であり、これを達成する1つの方法は、アミノ酸のα炭素原子にメチル基などを追加することである。
【0063】
さらに、タンパク質に由来しないが、天然では知られている置換アミノ酸は本明細書に開示した通り有用であり、以下の例、つまりL−カナバニン;1−メチル−L−ヒスチジン;3−メチル−L−ヒスチジン;2−メチルL−ヒスチジン;α,ε−ジアミノピメリン酸(L型、メソ型、または両方);サルコシン;L−オルニチンベタイン;ヒスチジンのベタイン(herzynine);L−シトルリン;L−ホスホアルギニン;D−オクトピン;o−カルバミル−D−セリン;γ−アミノブタン酸;およびβ−リジンを含む。D−アラニン、D−セリン、D−バリン、D−ロイシン、D−イソロイシン、D−アロイソロイシン、D−フェニルアラニン、D−グルタミン酸、D−プロリン、およびD−アロヒドロキシプロリンなどを含むD−アミノ酸およびD−アミノ酸類似体も、本発明のタンパク質、ペプチド、および組成に有用である。前述のアミノ酸は、本発明のGM−CSFポリペプチドにも利用できる。
【0064】
本発明には、修飾が発生した時間または位置とは無関係に、類似体、代謝物、異化産物、および誘導体を含む広範な修飾アミノ酸を含むことも理解されるものとする。基本的に、修飾アミノ酸は、(1)アミノ酸の異化産物および代謝物、(2)翻訳後修飾(例えば、側鎖の修飾)により発生させた修飾アミノ酸、および(3)非代謝または非異化プロセスによるアミノ酸の修飾(例えば、実験室での修飾アミノ酸または誘導体の合成)の3つのカテゴリーに入れることができる。
【0065】
本発明では、直鎖、分岐鎖、または炭化水素または複素環配列のメチレン基を追加または取り除くことにより側鎖を長くするか、短くしたアミノ酸残基単位の側鎖を容易に設計することができるようにも意図している。前記直鎖および分岐鎖構造は、S、O、またはNなどの非炭素原子を含むこともできる。脂肪酸も、本明細書の界面活性分子の有用な成分となる可能性がある。設計された側鎖は(R’)で終結するか、(R)が負荷されないか、極性基が付加されないで終結する可能性もある。
【0066】
様々なリンカーを使用して生じた分子を含む類似体も、本発明のペプチドに有用である。アミド結合以外の結合によりともに結合した側鎖のある分子、例えば、数例を挙げると、その構成要素がカルボキシまたはホスホエーテル、エチレン、メチレン、ケトン、またはエーテル結合で結合したアミノ酸側鎖または他の側鎖(R−またはR’−)を含む分子も、本明細書で開示される通り有用である。基本的に、すべてのアミノ酸側鎖、RまたはR’基を含む分子が本明細書で開示される通り有用である可能性がある。
【0067】
本発明では、適切なリンカーで結合したペプチド二量体、例えば、システイン分子で結合したペプチド二量体を有する分子も意図している。(当業者が承知の通り、2つのシステイン分子は、チオール基の酸化によって形成するジスルフィド架橋によって互いに結合することができる。)そのため、そのようなリンカーまたは架橋は、異なるポリペプチド鎖、二量体、三量体などに架橋を形成することができる。ペプチド二量体および/または他のペプチド多量体を接続するために使用できる他の有用なリンカーには、例えば、上述のカルボキシまたはホスホエーテル、エチレン、メチレン、ケトン、またはエーテル結合などを含む。
【0068】
当業者は、得られた分子が本明細書に説明する生物活性(例えば、抗原活性)を有する限り、個々のアミノ酸、結合、および/または鎖自体に様々な修飾を加えることができ、その修飾は本発明の範囲内に入る分子を生じることは理解するだろう。
【0069】
本発明の好適な抗原ポリペプチドは、GM−CSF(配列ID番号1)および好ましくは成熟GM−CSF(配列ID番号2)の抗原ペプチドである。一部の実施形態では、前記抗原ペプチドが、配列ID番号1または配列ID番号2に示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも5つの連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、前記抗原ペプチドが、配列ID番号1または配列ID番号2に示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも10連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、前記抗原ペプチドが、配列ID番号1または配列ID番号2に示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも15連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、免疫原性部分が、配列ID番号1または配列ID番号2に示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも20連続アミノ酸を有する。さらに他の実施形態では、前記免疫原性部分が、配列ID番号1または配列ID番号2に示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも25連続アミノ酸を有する。本発明の特定の好適な実施形態では、前記GM−CSFタンパク質の抗原ペプチドが、成熟GM−CSFのアミノ酸配列(配列ID番号2)中のアミノ酸14−28(配列ID番号3)、アミノ酸9−23(配列ID番号4)、またはアミノ酸80−94(配列ID番号5)である。
【0070】
本発明の一部の実施形態では、GM−CSFまたはその抗原ペプチドが免疫原性タンパク質に結合し、前記抗原の免疫原性を高める。前記免疫原性タンパク質は、破傷風トキソイドC(TT)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、アルブミン、オボアルブミン、ニワトリアルブミン(CAB)、ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、ジフテリア類毒素、BCG、コレラ毒素など(これに限定されるものではないが)、細胞の免疫反応を高めるすべてのタンパク質が考えられる。いくつのかの実施形態では、前記抗原が前記成熟タンパク質の変性により生成される。
【0071】
一次ヒトB細胞を用い、ハイブリドーマ分泌ヒトMAbsの作成についてこれまでに報告された方法(WO2004/046330)が本明細書で採用された。末梢血単核細胞、好ましくはヒトPBMCsをex vivoで標的抗原存在下、免疫化し、次にドナー細胞と細胞融合させることで不死化する。代わりに、血清が対象抗原に高い免疫反応を示す特定のPBMCsを同定することもある。
【0072】
前記ドナー細胞由来のハイブリッド細胞は、標的抗原特異的MAbsの分泌をスクリーニングされる。一部の実施形態では、ex vivoで免疫化した免疫グロブリン産生細胞から、標的抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法が提供され、(a)免疫グロブリン産生細胞を有する末梢血単核細胞と標的抗原とをex vivoで合わせる工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞とドナー細胞を融合してハイブリドーマ細胞を形成する工程、(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体による抗原結合を決定する工程、(d)前記標的抗原に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択する工程を有し、それによって、前記標的抗原に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する。好適な実施形態では、前記PBMCsが健常ドナーのものである。前記標的抗原は好ましくはGM−CSFであり、より好ましくは、配列ID番号35−38の1つのアミノ酸配列を有する。
【0073】
或いは、標的となる疾患関連抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作成する方法は、(a)疾患を有する患者またはドナー細胞に抗原曝露したドナー由来の免疫グロブリン産生B細胞を有する末梢血単核細胞をex vivoで融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程、(b)前記ハイブリドーマ細胞から標的抗原に対して産生された抗体による結合を決定する工程、および(c)前記標的抗原に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択する工程を有し、それによって前記標的抗原に対する抗体を発現したハイブリドーマ細胞を作成する。好ましくは、前記標的抗原は疾患関連抗原であり、好ましくは癌、感染症、または自己免疫疾患と関連している。より好ましくは、前記疾患関連抗原はGM−CSFである。前記標的抗原は好ましくはGM−CSFであり、より好ましくは、配列ID番号35〜38の1つのアミノ酸配列を有する。好適な実施形態では、前記抗原曝露したドナーはGM−CSFに曝露したか、肺胞タンパク症(PAP)を有することもある。
【0074】
本発明によると、ex vivoで免疫化した免疫グロブリン産生細胞から、標的抗原(例えば、GM−CSFまたはその抗原ペプチド)に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞の作成法が提供され、(a)ex vivoで免疫グロブリン産生細胞を含む末梢血単核細胞を標的抗原と混合する工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞とドナー細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程、(c)前記ハイブリドーマ細胞により産生された免疫グロブリンの標的抗原に対する結合をスクリーニングする工程を有し、それによって、標的抗原に対する抗体産生ハイブリドーマ細胞を作成する。好適な実施形態では、前記PBMCsが健常ドナーのものである。一部の実施形態では、前記標的抗原が本発明の抗原ポリペプチドを有する。前記標的抗原は、好ましくは配列ID番号1〜5の1つのアミノ酸配列を有し、好ましくは配列ID番号3〜5のいずれか1つである。
【0075】
或いは、本発明によると、標的抗原(例えば、GM−CSF、またはその抗原ペプチド)に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞の作成法が提供され、(a)抗原曝露したドナーから免疫グロブリン産生細胞を含む末梢血単核細胞を選択する工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程、(c)前記ハイブリドーマ細胞により産生される免疫グロブリンの標的抗原に対する結合をスクリーニングする工程を有し、それによって、前記標的抗原に対する抗体産生ハイブリドーマ細胞を作成する。一部の実施形態では、前記標的抗原が本発明の抗原ポリペプチドを有する。前記標的抗原は、好ましくは配列ID番号1〜5、より好ましくは配列ID番号3〜5の1つのアミノ酸配列を有する。好適な実施形態では、前記ドナーはGM−CSF、またはその抗原ペプチドに曝露したか、肺胞タンパク症(PAP)を有することもある。
【0076】
一部の実施形態では、前記ドナー(例えば、骨髄腫)細胞がミスマッチ修復のタンパク質阻害剤を発現している。いくつかの態様では、前記ハイブリドーマ細胞がミスマッチ修復のタンパク質阻害剤を発現している。本発明の方法の一部の実施形態では、ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤が、免疫グロブリン産生細胞と前記骨髄腫を融合させた後、前記ハイブリドーマ細胞に導入される。他の実施形態では、前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤が、前記免疫グロブリン産生細胞との融合前に前記ドナーまたは骨髄腫細胞に導入される。さらに他の実施形態では、前記ドナーまたは骨髄腫細胞または抗体産生細胞のミスマッチ修復が自然に欠損している。
【0077】
ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤には、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を含む。ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子には、(これに限定されるものではないが)PMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3、またはMSH1のドミナントネガティブ対立遺伝子、およびmutLおよびmutS遺伝子の相同体を含む。さらに、ミスマッチ修復に干渉することのできるポリペプチドを利用することもできる。例えば、mutL PMS2のドミナントネガティブ対立遺伝子は、最初の133アミノ酸であるPMS2を有する。さらにmutL相同体のアミノ酸を描写すると、アミノ酸LSTAVKELVENSLDAGATNIDLKLKDYGVDLIEVSDNGCGVEEENFE(配列ID番号6)およびLRQVLSNLLDNAIKYTPEGGEITVSLERDGDHLEITVEDNGPGIPEEDLE(配列ID番号7)またはそのフラグメントが明らかとなる。従って、ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤には、配列ID番号6および7およびそのフラグメントを含む。好適な実施形態では、前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤が不活性化される。例えば、前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤は、前記標的抗原に対するモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマ細胞の同定前後に不活性化することができる。前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤の不活性化は、例えば、誘導因子を除去するか、細胞から前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤を除去する(つまり、前記ミスマッチ修復のタンパク質阻害剤の細胞を治療する)など、当該分野で既知のいかなる方法によっても行うことができる。前記ミスマッチ修復阻害剤の不活性化は、過剰変異ハイブリドーマのゲノムを安定化する。
【0078】
本発明のハイブリドーマ細胞の作成法に関する一部の実施形態では、前記ハイブリドーマ細胞がミスマッチ修復の化学抑制剤に曝露される。本発明の方法に関する特定の実施形態で使用されるミスマッチ修復の化学抑制剤には、(これに限定されるものではないが)ミスマッチ修復タンパク質をコードするヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする、アントラセン、ATPアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、RNA干渉分子、ポリメラーゼ阻害剤、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドの少なくとも1つを含む(WO2004/046330)。好適な実施形態では、前記化学抑制剤は以下の化学式を有するアントラセン化合物であり、
【0079】
【化1】
【0080】
R1〜R10は独立して水素、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキニル、N−アルキニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキルオキシ、アリールアルキル、アルキルアリールオキシ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、グアニジノ、カルボキシ、アルコール、アミノ酸、スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、CN、NO2、アルデヒド基、エステル、エーテル、クラウンエーテル、ケトン、有機硫黄化合物、有機金属基、カルボン酸、有機ケイ素、または炭水化物であり、任意選択で1若しくはそれ以上のアルキル化ヒドロキシル基を含み、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールが酸素、硫黄、金属原子、リン、ケイ素、または窒素である少なくとも1つのヘテロ原子を含み、前記置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリール、および置換ヘテロアリールの前記置換基がハロゲン、CN、NO2、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルコキシ、グアニジノ、アルコキシカルボニル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、およびアミノであり、前記アミノ基は任意選択で、アシル基、または1〜3アリールまたは低級アルキル基と置換される。特定の実施例では、R5およびR6が水素である。他の実施形態では、R1〜R10が独立して水素、ヒドロキシ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、トリル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピル、またはヒドロキシブチルである。前記アントラセンの限定されない例には、1,2−ジメチルアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、7,8−ジメチルアントラセン、9,10−デュフェニルアントラセン(9,10−duphenylanthracene)、9,10−ジヒドロキシメチルアントラセン、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン、ジメチルアントラセン−1,2−ジオール、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン−1,2−ジオール、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン−3,4−ジオール、および9,10−ジ−m−トリルアントラセンを含む。
【0081】
前記化学抑制剤は、前記細胞の増殖培地に導入することができる。一部の実施形態では、前記細胞のゲノムを再安定化するため、前記化学抑制剤を過剰変異ハイブリドーマ細胞から取り出すことができる。代わりに、前記方法が前記ミスマッチ修復の化学抑制剤の不活性化を有し、それによって、前記過剰変異ハイブリドーマのゲノムを安定化することができる。
【0082】
一部の実施形態によると、前記方法は、さらに、前記抗体産生細胞から免疫グロブリン産生遺伝子をクローニングする工程、および前記免疫グロブリン遺伝子を哺乳類発現細胞に導入する工程を有し、前記免疫グロブリン遺伝子は操作により発現制御配列に結合される。
【0083】
本発明は、ex invoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、標的抗原に対する高親和性抗体を産生する哺乳類発現細胞を産生する方法も提供し、(a)免疫グロブリン産生細胞を有する末梢血単核細胞と標的抗原とをex vivoで合わせる工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞とドナー細胞を融合してハイブリドーマ細胞を形成する工程、(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体による抗原結合を決定する工程、(d)ミスマッチ修復を阻害することで前記ハイブリドーマの抗体産生を最適化する、または前記ハイブリドーマから哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記哺乳類発現細胞のミスマッチ修復が阻害される工程、および(e)前記標的抗原に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択する工程を有し、それによって、前記標的抗原に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する。工程(a)および(b)の代わりの方法として、疾患を有する患者または抗原に曝露したドナー由来の免疫グロブリン産生B細胞を有する末梢血単核細胞をドナー細胞とex vivoで融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程も利用できる。
【0084】
本発明は、ex invoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、標的抗原に対する高親和性抗体を産生する哺乳類発現細胞を産生する方法も提供し、(a)免疫グロブリン産生細胞を有する末梢血単核細胞と標的抗原とをex vivoで合わせる工程;(b)前記免疫グロブリン産生細胞と骨髄腫細胞を融合してハイブリドーマ細胞を形成する工程;(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の標的抗原への結合をスクリーニングする工程、(d)ミスマッチ修復を阻害することで前記ハイブリドーマの産生を最適化する、または前記ハイブリドーマから哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記哺乳類発現細胞のミスマッチ修復が阻害される工程;および(e)前記ハイブリドーマまたは組み換え細胞から産生された抗体と比較し、標的抗原に対して高い親和性を持つ抗体を分泌する哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程を有する。
【0085】
本発明は、ex invoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、高力価の高親和性抗体を産生する哺乳類発現細胞を産生する方法も提供し、(a)免疫グロブリン産生細胞を有する末梢血単核細胞と標的抗原とをex vivoで混合する工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞とドナー細胞を融合してハイブリドーマ細胞を形成する工程;(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体による抗原結合を決定する工程;(d)前記ハイブリドーマから親哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローン化し、前記哺乳類発現細胞のミスマッチ修復が阻害される工程、(e)前記親哺乳類発現細胞またはハイブリドーマ発現細胞を培養し、突然変異を誘発させることで、過剰変異哺乳類発現細胞を形成する工程、(f)親ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比較し、標的抗原に対する親和性が高い抗体を分泌する過剰変異哺乳類発現細胞を選択するか、または親哺乳類発現細胞よりも高い力価の抗体を分泌する過剰発現哺乳類発現細胞を選択する工程を有し、それによって、ex vivoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、標的抗原に対する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する。工程(a)および(b)の代わりの方法として、疾患を有する患者または抗原に曝露したドナー由来の免疫グロブリン産生B細胞を有する末梢血単核細胞をドナー細胞とex vivoで融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程も利用できる。
【0086】
本発明は、ex invoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、高力価の高親和性抗体を産生する哺乳類発現細胞を産生する方法も提供し、(a)免疫グロブリン産生細胞を有する末梢血単核細胞と標的抗原をex vivoで混合する工程、(b)前記免疫グロブリン産生細胞と骨髄腫細胞を融合してハイブリドーマ細胞を形成する工程、(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体による抗原結合をスクリーニングする工程、(d)前記ハイブリドーマから親哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記哺乳類発現細胞のミスマッチ修復が阻害されるか、ミスマッチ修復を阻害することで前記ハイブリドーマの産生を最適化する工程、(e)前記親哺乳類細胞またはハイブリドーマ発現細胞を培養し、突然変異を誘発させることで、過剰変異哺乳類発現細胞を形成する工程、(f)前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比較し、標的抗原に対する高い親和性を持つ抗体を分泌する過剰変異哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程、および(g)親哺乳類発現細胞よりも高い力価の抗体を分泌する過剰変異哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程を有し、それによって、ex vivoで免疫性を与えた免疫グロブリン産生細胞から、高力価の高親和性抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する。
【0087】
本発明の方法に関する一部の実施形態では、ELISAに基づくアッセイまたは当該分野で既知の抗体抗原結合を測定することができる他のアッセイにより、抗体がスクリーニングされる。Crowther,J.R.(2001)The ELISA guidebook,1st ed.Humana Press,Totowa,NJ。
【0088】
一部の実施形態によると、前記スクリーニングで、前記親ハイブリドーマにより産生される抗体よりも親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマのスクリーニングをアッセイする。
【0089】
一部の実施形態によると、本発明の方法は、さらに、最初に選択された細胞により産生される抗体よりも力価の高い過剰変異抗体産生細胞を選択する工程を有する。
【0090】
免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞およびそのような方法で有用な骨髄腫細胞に融合する方法は、当該分野で既知である。Kohler & Milstein,Eur.J.Immunol.1976.6:511−9.Derivation of specific antibody−producing tissue culture and tumor lines by cell fusion。
【0091】
ヒトへの投与を目的として設計されたMabsの生成に使用されるヒトB細胞は、ウイルス伝播が可能な媒体とすることができる。融合の相手となる細胞およびドナーの末梢血単核細胞(PBMCs)を事前にスクリーニングし、例えば、PCRにより、免疫不全−1および2ウイルス、B型およびC型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペス−6ウイルス、およびエプスタインバーウイルスを含むウイルスDNAがないことを確認できる。
【0092】
本発明の方法に従い産生されたハイブリドーマ細胞は、本発明の範囲内に含まれる。
【0093】
本発明は、本発明の方法に従い作成されたハイブリドーマ細胞により産生される標的抗原に対する抗体も有する。本発明の抗体は、本発明のポリヌクレオチドを用い、遺伝子組み換えにより作成された抗体も有する。本発明の好適な抗体は、モノクローナル抗体である。本発明の抗体は好ましくは完全にヒトであり、より好ましくは完全ヒトモノクローナル抗体である。
【0094】
本発明の好適な抗体は、標的抗原のエピトープ、例えば立体構造エピトープに特異的に結合する。本発明の抗体は、例えば(これに限定されるものではないが)GM−CSF、好ましくはヒトGM−CSF(配列ID番号1)、より好ましくは成熟ヒトGM−CSF(配列ID番号2)など、好ましくは疾患関連抗原に向かう。一部の実施形態では、前記抗原が結合するエピトープが、配列ID番号1または配列ID番号2で示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも5個の連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、前記抗原が結合するエピトープが、配列ID番号1または配列ID番号2で示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも10個の連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、前記抗原が結合するエピトープが、配列ID番号1または配列ID番号2で示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも15個の連続アミノ酸を有する。他の実施形態では、前記抗原が結合するエピトープが、配列ID番号1または配列ID番号2で示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも20個の連続アミノ酸を有する。さらに他の実施形態では、前記抗原が結合するエピトープが、配列ID番号1または配列ID番号2で示されるアミノ酸配列のうち、少なくとも25個の連続アミノ酸を有する。本発明の特定の好適な実施形態では、前記抗体が結合するGM−CSFのエピトープが、配列ID番号33−36の少なくとも1つのアミノ酸配列を有する。抗体産生細胞は2007年1月18日(10G9)、および2007年1月31日(E10)にAmer.Type Cult.Coll.(10801 University Blvd.,Manassas,Virginia 20110−2209)に掲載され、受入番号 を割り当てられた。本発明の抗GM−CSF抗体の例は、そのような細胞によって産生される抗体である。
【0095】
当業者は、抗体の特異性が主にCDRの6領域、特にH鎖CDR3によって決まることを認識するだろう(Kala M et al.(2002)J.Biochem.132:535−41;Morea V et al.(1998)J.Mol.Biol.275:269−94;およびChothia C et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901−17)。ただし、抗体のフレームワーク領域は抗原−抗体相互作用に関与する可能性があり(Panka DJ et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:3080−4)、特に、CDRループの立体構造に関与する可能性がある(Foote J et al.(1992)J.Mol.Biol.224:487−99)。従って、本発明の抗体は、HまたはL鎖CDRまたはGM−CSFに抗体特異性を与えるFWR領域のいかなる組み合わせも有することができる。当該分野でルーティンに実施されるドメインシャッフリング実験(Jirholt P et al.(1998)Gene 215:471−6;Soderlind E et al.(2000)Nature Biotechnology 18:852−6)を利用し、本明細書に説明、例示される明細に従い、GM−CSFに特異的に結合する抗体を作成することができる。そのようなドメインシャッフリング実験で作成される抗体は、本発明の範囲内である。
【0096】
従って、一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号40または46と実質的に同一または等しい重鎖CDR1アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号41または47と実質的に同一または等しい重鎖CDR2アミノ酸配列を有する。いくつかの特に好適な実施形態では、前記抗体は配列ID番号42または48と実質的に同一または等しい重鎖CDR3アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号43または49と実質的に同一または等しい軽鎖CDR1アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号44または50と実質的に同一または等しい軽鎖CDR2アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号45または51と実質的に同一または等しい軽鎖CDR3アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号52または58と実質的に同一または等しい重鎖FWR1アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号53または59と実質的に同一または等しい重鎖FWR2アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号54または60と実質的に同一または等しい重鎖FWR3アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号55または61と実質的に同一または等しい軽鎖FWR1アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号56または62と実質的に同一または等しい軽鎖FWR2アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、前記抗体は配列ID番号57または63と実質的に同一または等しい軽鎖FWR3アミノ酸配列を有する。
【0097】
いくつかの好適な実施形態では、本発明の抗体が配列ID番号8、9、または16のアミノ酸配列を有する重鎖を有する。前記重鎖は、配列ID番号10、11、または17のヌクレオチド配列を有する核酸配列によってコードされる可能性がある。いくつかの好適な実施形態では、本発明の抗体が配列ID番号12、13、または18のアミノ酸配列を有する軽鎖を有する。前記軽鎖は、配列ID番号14、15、または19のヌクレオチド配列を有する核酸配列によってコードされる可能性がある。
【0098】
重鎖と軽鎖およびそれをコードする遺伝子に存在する可能性のある天然の配列変化のため、当業者はアミノ酸配列またはそれをコードする遺伝子にある程度の変化はあるが、それでも本発明の抗体に独特の結合性(例えば、特異性および親和性)を維持することを期待するだろうことは、理解されるものとする。そのような期待は、一部は遺伝コードの縮重、および保存的アミノ酸配列の変化における既知の進化的成功が原因であり、コード化されたタンパク質の性質はあまり変化させない。従って、そのような変異体および相同体は、実質的に互いに同一と考えられ、本発明の範囲内に含まれる。
【0099】
そのため、本発明の抗体には、単一または複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、または交換を有し、本発明の抗体の生物学的特性(例えば、結合親和性または免疫エフェクター活性)を保持する変異体を含む。当業者は、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加、または交換を有する変異体を作成することができる。これらの変異体には、とりわけ、(a)1若しくはそれ以上のアミノ酸残基が保存的または非保存的アミノ酸と置換された変異体、(b)1若しくはそれ以上のアミノ酸が前記ポリペプチドに追加されるか、前記ポリペプチドから欠失した変異体、(c)1若しくはそれ以上のアミノ酸が置換基を含む変異体、および(d)例えば、抗体エピトープ、ポリヒスチジン配列、ビオチン部分など、前記ポリペプチドに有用な特性を与えることができる、融合パートナー、タンパク質標識、または他の化学部分など、別のペプチドまたはポリペプチドと、前記ポリペプチドが融合した変異体を含むことがある。本発明の抗体には、保存的または非保存的な位置で、1種のアミノ酸残基が別の種の対応する残基と置換された変異体を含むこともある。他の実施形態では、非保存的な位置のアミノ酸残基が保存的または非保存的残基と置換される。遺伝的(抑制、欠失、変異など)、化学的、および酵素的技術を含む、これらの変異体を得る技術は、当業者に周知である。
【0100】
いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号8のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列ID番号12のアミノ酸配列を有する軽鎖を有することができる。いくつかの好適な実施形態では、前記抗体が配列ID番号16のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列ID番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖を有することができる。一部の実施形態では、前記抗体が配列ID番号9のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列ID番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖を有することができる。ただし、当業者は、場合によっては、特定の重鎖と様々な軽鎖の組み合わせ、または特定の軽鎖と様々な重鎖の組み合わせが、天然の組み合わせと同一またはそれ以上の特異性および/または親和性を持つ抗体を産生することは認識するだろう。従って、本発明は、HおよびL鎖の好ましい組み合わせに限定されず、そのため本発明の抗体は、GM−CSFに対する特異的な高い親和性の結合を得るため、本明細書に説明されるHおよびL鎖、または当業者に周知であるか、それ以外に本明細書に説明されるHおよびL鎖と適合すると実験的に判断された他のHまたはL鎖を含む(これに限定されるものではないが)HおよびL鎖の様々な組み合わせを含む。
【0101】
本発明の好適な抗体は2つの重鎖を有する。本発明の好適な抗体は2つの軽鎖を有する。より好ましくは、本発明の2つの重鎖および2つの軽鎖を有する抗体である。
【0102】
本発明の抗体には、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加、または交換を有し、本発明の抗体の生物学的特性(例えば、結合親和性または免疫エフェクター活性)を保持する変異体を含む。当業者は、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加、または交換を有する変異体を作成することができる。これらの変異体には、とりわけ、(a)1若しくはそれ以上のアミノ酸残基が保存的または非保存的アミノ酸と置換された変異体、(b)1若しくはそれ以上のアミノ酸が前記ポリペプチドに追加されるか、前記ポリペプチドから欠失した変異体、(c)1若しくはそれ以上のアミノ酸が置換基を含む変異体、および(d)例えば、抗体エピトープ、ポリヒスチジン配列、ビオチン部分など、前記ポリペプチドに有用な特性を与えることができる、融合パートナー、タンパク質標識、または他の化学部分など、別のペプチドまたはポリペプチドと、前記ポリペプチドが融合した変異体を含むことがある。本発明の抗体には、保存的または非保存的な位置で、1種のアミノ酸残基が別の種の対応する残基と置換された変異体を含むこともある。別の実施形態では、非保存的な位置のアミノ酸残基が保存的または非保存的残基と置換される。遺伝的(抑制、欠失、変異など)、化学的、および酵素的技術を含む、これらの変異体を得る技術は、当業者に周知である。本発明の抗体には抗体フラグメントも含む。「フラグメント」とはポリペプチド配列を指し、好ましくは少なくとも約40、より好ましくは少なくとも約50、より好ましくは少なくとも約60、より好ましくは少なくとも約70、より好ましくは少なくとも約80、より好ましくは少なくとも約90、より好ましくは少なくとも約100アミノ酸長であり、例えば、結合親和性または結合活性および免疫エフェクター活性など、前記完全な長さの配列の生物活性または免疫活性を一部保持する。
【0103】
本発明の抗体は標的抗原に対する結合親和性を有し、解離定数(KD)は1×10−2未満を含む。一部の実施形態では、前記KDが1×10−3未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−4未満である。一部の実施形態では、前記KDが1×10−5未満である。さらに他の実施形態では、前記KDが1×10−6未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−7未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−8未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−9未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−10未満である。さらに他の実施形態では、前記KDが1×10−11未満である。一部の実施形態では、前記KDが1×10−12未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−13未満である。他の実施形態では、前記KDが1×10−14未満である。さらに他の実施形態では、前記KDが1×10−15未満である。
【0104】
本発明の抗体には、例えば、あらゆるタイプの分子と前記抗体との共有結合により、共有結合が前記抗体のエピトープへの結合を阻害しないように修飾された誘導体を含む。適切な誘導体の例には、(これに限定されるものではないが)グリコシル化抗体およびフラグメント、アセチル化抗体およびフラグメント、ポリエチレングリコール化抗体およびフラグメント、リン酸化抗体およびフラグメント、およびアミド化抗体およびフラグメントを含む。本発明の抗体は、それ自体、既知の保護基/封鎖基、タンパク質分解的切断、細胞のリガンドまたは他のタンパク質との結合などにより誘導体化することができる。さらに、本発明の抗体は、上述の通り、1若しくはそれ以上の非古典的アミノ酸を含むことができる。本発明の一部の実施形態では、GM−CSFまたはそのエピトープが免疫原性タンパク質に接合し、前記抗原の免疫原性を高める。前記免疫原性タンパク質は、破傷風トキソイドC(TT)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、アルブミン、オボアルブミン、ニワトリアルブミン(CAB)、ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、ジフテリア類毒素、BCG、コレラ毒素など(これに限定されるものではないが)、細胞の免疫反応を高めるすべてのタンパク質が考えられる。いくつのかの実施形態では、前記抗原が前記成熟タンパク質の変性により生成される。
【0105】
本発明の抗体は、抗体の活性または安定性を改良する翻訳後部分を有することもできる。これらの部分には硫黄、メチル、炭水化物、リン、および免疫グロブリン分子に一般的に認められる他の化学基を含む。
【0106】
本発明の抗体は、いかなるアイソタイプとすることもできる。それによって、抗体のアイソタイプは、in vivoクラススイッチまたは遺伝子組み換え技術により変化させることができる。
【0107】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が提供される。本発明の核酸には、(これに限定されるものではないが)ゲノムDNA、DNA、cDNA、RNA、二本鎖および一本鎖核酸、およびその相補的配列を含む。
【0108】
本発明の好適なポリヌクレオチドには、配列ID番号8および/または配列ID番号12のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、前記抗体の重鎖が配列ID番号10を有するポリヌクレオチドでコードされる。一部の実施形態では、前記抗体の軽鎖が配列ID番号14を有するポリヌクレオチドでコードされる。配列ID番号8のアミノ酸配列および配列ID番号12のアミノ酸配列をコードする核酸配列を有するポリヌクレオチドも提供される。好ましくは、そのようなポリヌクレオチドが、配列ID番号10および/または配列ID番号14の核酸配列を有する。
【0109】
本発明の好適なポリヌクレオチドには、配列ID番号16および/または配列ID番号18のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、前記抗体の重鎖が配列ID番号17を有するポリヌクレオチドでコードされる。一部の実施形態では、前記抗体の軽鎖が配列ID番号19を有するポリヌクレオチドでコードされる。配列ID番号16のアミノ酸配列および配列ID番号18のアミノ酸配列をコードする核酸配列を有するポリヌクレオチドも提供される。好ましくは、そのようなポリヌクレオチドが、配列ID番号17および/または配列ID番号19の核酸配列を有する。
【0110】
一部の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド(およびそれらがコードするペプチド)がリーダー配列を含む。当該分野で既知のいかなるリーダー配列も利用することができる。前記リーダー配列には、(これに限定されるものではないが)制限酵素認識部位および/または翻訳開始部位を含むことができる。例えば、本発明では、配列ID番号9および/または配列ID番号13のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一部の実施形態では、前記抗体の重鎖が配列ID番号11を有するポリヌクレオチドでコードされる。一部の実施形態では、前記抗体の軽鎖が配列ID番号15を有するポリヌクレオチドでコードされる。配列ID番号9のアミノ酸配列および配列ID番号13のアミノ酸配列をコードする核酸配列を有するポリヌクレオチドも提供される。好ましくは、そのようなポリヌクレオチドが、配列ID番号11および/または配列ID番号15の核酸配列を有する。
【0111】
本発明では、本発明のポリヌクレオチドを有する発現ベクター、および本発明の前記ポリヌクレオチドを発現した組み換え宿主細胞などの(これに限定されるものではないが)宿主細胞も検討される。
【0112】
対象ポリペプチドをコードする配列を有する組み換え発現ベクターも提供される。前記発現ベクターは、制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー)、選択マーカー、およびポリアデニル化信号などの(これに限定されるものではないが)1若しくはそれ以上の追加配列を含むことができる。
【0113】
本発明の組み換え発現ベクターには、操作により適切な制御要素に結合可能な少なくとも1つの組み換えタンパク質をコードする合成、ゲノム、またはcDNA由来の核酸フラグメントを含む。そのような制御要素には、転写プロモーター、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、および転写および翻訳の停止を制御する配列を含むことができる。発現ベクター、特に哺乳類発現ベクターには、複製起点、発現される遺伝子に結合する適切なプロモーターおよびエンハンサー、他の5’または3’側方非転写配列、(必要なリボソーム結合部位などの)5’または3’非翻訳配列、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、または転写終止配列など、1若しくはそれ以上の非転写要素を含むこともある、宿主に複製能力を与える複製起点も含めることができる。
【0114】
形質転換脊椎動物細胞に使用される発現ベクターの転写および翻訳制御配列は、ウイルス原料によって提供される。典型的なベクターは、Okayama and Berg(1983)Mol.Cell.Biol.3:280に説明される通り、作成することができる。
【0115】
前記系で使用可能な選択マーカーには、抗生物質耐性遺伝子(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ペニシリン耐性遺伝子)、HSV−TK、ガンシクロビル選択用のHSV−TK誘導体、または6−メチルプリン選択用の細菌プリンヌクレオシドホスホリラーゼ遺伝子など(これに限定されるものではないが)、ポジティブおよびネガティブ選択マーカーなどの当該分野で既知のマーカーを含む(Gadi et al.(2000)Gene Ther.7:1738−1743)。[0034]選択マーカーをコードする核酸配列またはそのクローニング部位は、対象ポリペプチドをコードする核酸配列またはそのクローニング部位の上流または下流にある可能性がある。
【0116】
一部の実施形態では、前記ベクターに、構成的、誘導、宿主特異的、および/または組織特異的プロモーターなど(これに限定されるものではないが)、1若しくはそれ以上のプロモーターを含む。例えば、一般に使用されるプロモーターおよびエンハンサーは、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス2、サルウイルス40(SV40)、およびポリオーマに由来する。ウイルスゲノムプロモーター、制御および/またはシグナル配列を利用し、適合する宿主細胞に依存する発現を誘導することができる。前記ベクターが発現される細胞タイプの同一性により、ハウスキーピング遺伝子由来のプロモーターも利用することができる(例えば、β−グロビン、チミジンキナーゼ、およびEF−1αプロモーター)。一部の実施形態では、プロモーターが1若しくはそれ以上の対象ポリペプチドをコードする核酸配列の上流にある。
【0117】
本発明のベクターには、1若しくはそれ以上の内部リボソーム侵入部位(IRES)を含むことができる。融合ベクターにIRES配列を含めることは、一部のタンパク質発現を亢進させる上で有益と考えられる。
【0118】
一部の実施形態では、前記ベクターの系に1若しくはそれ以上のポリアデニル化部位(例えば、SV40)を含み、これは、前述の核酸配列のいずれかの上流または下流にある可能性がある。
【0119】
ベクター成分は隣接して結合しているか、遺伝子産物を発現させるために最適な間隔を提供するように(つまり、ORFs間に「スペーサー」ヌクレオチドを導入することで)配列されているか、別の方法で配置されている可能性がある。IRESモチーフなどの制御要素は、発現に最適な間隔を提供するように配列することもできる。
【0120】
本発明の発現ベクターを形質移入した細胞をポジティブ選択の条件で選択するか、および/または、組み換えタンパク質を発現させるためにスクリーニングすることができる。組み換え陽性の細胞を増殖し、望みの表現型を発現したサブクローンをスクリーニングする。
【0121】
本発明の発現ベクターを用い、真核および原核細胞を含む細胞を形質転換することができる。従って、本発明の別の実施形態では、本発明の発現ベクターで形質転換した宿主細胞を提供する。本発明の細胞は、好ましくは真核細胞であり、より好ましくは植物、齧歯類、またはヒト由来の細胞であり、例えば(これに限定されるものではないが)NSO、CHO、perC.6、Tk−ts13、BHK、HEK29細胞、COS−7、T98G、CV−1/EBNA、L細胞、C127、3T3、HeLa、NS1、Sp2/0骨髄腫細胞、およびBHK細胞株などである。
【0122】
一般に、形質移入は細胞懸濁液、または単細胞を用いて実施されるが、前記処理細胞または組織の十分な分画が前記ポリヌクレオチドを含む限り、他の方法を適用することもでき、それにより形質移入した細胞が増殖、利用できるようにする。形質移入の技術も周知である。いくつかの形質転換プロトコールが当該分野で既知である。例えば、Kaufman(1988)Meth.Enzymology 185:537を参照。当業者に容易に理解される通り、適切な形質転換プロトコールは宿主細胞の種類および対象遺伝子の性質により決まる。そのようなプロトコールの基本要素には、対象タンパク質をコードする核酸配列を適切な宿主細胞に導入する工程、および、次に安定した発現様式でベクターDNAを組み入れた宿主細胞を同定および単離する工程を含む。ポリヌクレオチドの導入技術には、これに限定されるものではないが、電気穿孔法、形質導入、細胞融合、塩化カルシウムの利用、前記ポリヌクレオチドと脂質のパッケージングにより対象細胞と融合させる方法を含む。前記形質移入が安定し、前記選択可能なマーカー遺伝子が多数の細胞世代で一貫したレベルで発現されていれば、細胞株が生じる。
【0123】
哺乳類細胞に形質移入する1つの一般的な方法は、リン酸カルシウム沈殿である。別の方法は、哺乳類細胞を用い、細菌原形質体をポリエチレングリコール(PEG)により融合するものである。Schaffner et al.(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2163。さらに別の方法は電気穿孔法であり、これはDNAを直接宿主細胞の細胞質に導入するために利用することもでき、例えば、Potter et al.(1988)Proc.Natl.Acad.SciUSA 81:7161に報告されている。
【0124】
DNAの形質移入はリポフェクチンおよびリポフェクタミン(Gibco BRL、メリーランド州Gaithersburg)から入手可能)などのポリリソソーム試薬を用いて行うことができ、これが脂質−核酸複合体(またはリポソーム)を形成し、培養細胞に使用すると、細胞への核酸の取り込みを促進する。
【0125】
望みのタンパク質を発現した細胞が同定されると、これを増殖、選択することができる。形質移入細胞は様々な方法で選択できる。例えば、対象ポリペプチドを発現した細胞を選択することができる。ベクターが抗生物質耐性遺伝子も含む細胞では、前記細胞の抗生物質耐性が選択され、これにより前記ベクターを含む細胞をポジティブに選択する。他の実施形態では、前記細胞を選択的条件で増殖させることができる。
【0126】
タンパク質を産生するクローンが同定されると、その系をさらにスクリーニングし、例えば、タンパク質の修飾および/または翻訳後修飾の変更により、高力価の発現、増殖特性の向上、および/または望みの生化学特性を持つタンパク質を産生する能力を示す細胞など(これに限定されるものではないが)望みの表現型を1若しくはそれ以上有するサブクローンを同定することができる。これらの表現型は、特定サブクローンに固有の特性または変異誘発性によるものと考えられる。変異誘発性は、化学物質の使用、UV波長光、放射線、ウイルス、挿入変異誘発要因、不完全DNA修復、またはそのような方法の組み合わせによりもたらされる。
【0127】
本発明の別の観点は、本発明の抗体の薬学的組成を特徴としている。前記薬学的組成を使用し、患者の疾患、例えば、癌、感染症、または炎症性疾患を治療することができる。
【0128】
本発明では、(これに限定されるものではないが)癌、感染症、または炎症性疾患などの疾患を治療するため、薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された、1若しくはそれ以上のMAbsを有する薬学的組成を提供する。
【0129】
予防的応用では、薬学的組成が疾患または病状(例えば、癌、感染症、または炎症性疾患)に罹患しやすいか、そうでない場合はそのリスクがある患者に予防有効量で投与される。リスクがある人には、(これに限定されるものではないが)癌、感染症、または炎症性疾患の家族歴がある人、これまでに癌、感染症、または炎症性疾患の治療を受けたことがある人、および癌、感染症、または炎症性疾患を発症する可能性が上昇していることが示唆される他の臨床徴候を示している人を含む。代わりに述べると、リスクがある人は、癌、感染症、または炎症性疾患を発症するリスクが一般集団よりも高いと考えられる人である。「予防有効量」の用語の意味は、癌、感染症、または炎症性疾患の発症または再発の予防として観察される効果を生じる製剤の量を指す。製剤の予防有効量は、典型的には、活性薬物を含まない第二の製剤を同状況の個人に投与した場合に観察される効果と比べ、認められる効果によって判断される。
【0130】
治療的応用では、そのような疾患に罹患していることが疑われるか、すでに罹患している患者に対し、前記疾患発症時の合併症および中間病理学的表現型を含む疾患の症状を(生化学的および/または組織学的に)治癒または少なくとも部分的に停止させるのに十分な治療有効量で組成が投与される。
【0131】
予防的および治療的体制のいずれにおいても、通常、十分な反応が得られるまで数回に分けて薬物が投与される。典型的には、前記反応はモニターされ、反応が弱くなり始めた場合は繰り返し投与される。
【0132】
本明細書に説明した通り、例えば癌、感染症、または炎症性疾患などの疾患を治療するモノクローナル抗体の有効量は、投与方法、標的部位、前記患者の生理的状態、前記患者がヒトか動物か、他の投与薬物、および投与が予防的か治療的かを含む、様々な多くの要因によって変化する。通常、前記患者はヒトであるが、ヒト以外の哺乳類にも投与可能である。
【0133】
用量は、治療される疾患状態の重症度および反応性に依存し、治療コースは数日から数ヵ月、または治癒が達成されるか、疾患状態の軽減が達成されるまで継続される。最適な投与スケジュールは、患者または被験者の身体の薬物蓄積を測定することで計算可能である。当業者は、最適用量、投与法、および繰り返し周期を容易に決定することができる。最適用量は個々の抗体の相対的力価、および併用投与の場合は、疾患の治療に使用される既知薬物の相対的力価によって変化する可能性がある。最適用量は、in vitroおよびin vivo動物モデルで効果があることが分かっているEC50sに基づき推定することができる。
【0134】
一般に、用量は体重1kgあたり0.01μg〜100gであり、1日、1週、1月、または1年で1回若しくはそれ以上投与することができ、または2〜20年ごとに1回投与することもできる。投与量と投与頻度は、治療が予防的か治療的かによって変化する可能性がある。予防的応用では、長期間にわたり、比較的低頻度の間隔で、比較的低用量が投与される。患者によっては、残りの生涯治療を受け続ける者もいる。治療的応用では、疾患の進行が軽減または停止するまで、および好ましくは前記患者が疾患症状の部分的または完全な寛解を示すまで、比較的短期間の間隔で比較的高用量が必要となることもある。その後、前記患者は予防的体制で投与することができる。
【0135】
個人の必要性は変化する可能性があるが、製剤有効量の最適範囲の決定は当該分野の技術の範囲内とする。ヒトの用量は動物研究から外挿することができる(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,20TH ED.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,2000)。当業者が調節することのできる製剤有効量を提供するために必要な用量は、年齢、健康状態、身体状態、体重、投与者の疾患または病気の種類および程度、投与頻度、(あれば)併用療法の性質、および望みの効果の性質および範囲によって変化する。
【0136】
本発明の薬学的組成は、薬学的に許容される担体とともに製剤化されることもある。適切な薬学的に許容される担体には、水、PBS、食塩水(リンガー溶液など)、アルコール、オイル、ゼラチン、およびラクトース、アミロース、またはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニル・ピロリジンを含む。そのような製剤は滅菌し、望ましい場合は、潤滑剤、保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝液、および着色剤などの助剤と混合することができる。本発明での使用に適した薬学的担体は当該分野で既知である(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,20TH ED.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,2000)。
【0137】
単位投与形態で都合よく提示することができる薬学的製剤は、薬学産業で周知の従来の技術により調整可能である。そのような技術には、前記薬学的担体と前記活性成分を結合させる工程を含む。一般に、前記製剤は前記活性成分を液体担体または微粉化した固体担体またはその両方と均一および密接に結合させることで調整される。前記製剤は、例えば密閉されたアンプルおよびバイアルなど、単位用量または複数回用量の容器で提示することができ、使用直前に滅菌液体担体を追加するだけでよい凍結または凍結乾燥された状態で保存できる。
【0138】
前記薬学的組成は、滅菌、実質的に等張とし、米国食品医薬品局のすべての医薬品製造管理および品質管理基準(GMP)に完全に従い、製剤化される。
【0139】
製剤、用量、投与法に関する追加指針が当該分野で利用できる(Berkow et al.,1997,THE MERCK MANUAL OF MEDICAL INFORMATION,Home,ed.,Merck Research Laboratories,Whitehouse Station,N.J.;Goodman et al.,1996,GOODMAN&GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS,9th ed.McGraw−Hill Health Professions Division,New York;Ebadi,1998,CRC DESK REFERENCE OF CLINICAL PHARMACOLOGY,CRC Press,Boca Raton,Fla.;Katzung,2001,BASIC & CLINICAL PHARMACOLOGY,8TH ED.Lange Medical Books/McGraw−Hill Medical Pub.Division,New York;Speight et al.,1997,AVERV’S DRUG TREATMENT:A GUIDE TO THE PROPERTIES,CHOICE,THERAPEUTIC USE AND ECONOMIC VALUE OF DRUGS IN DISEASE MANAGEMENT,4TH ED.Adis International,Auckland/Philadelphia,PA)。
【0140】
薬学的治療に用いる場合、本発明の組成は単独で投与するか、癌、感染症、または炎症性疾患の治療に用いられる他の化合物または製剤と併用投与することができる。本明細書では「補助化合物」または「補助組成」と呼ばれるそのような化合物の例には、(これに限定されるものではないが)抗生物質、抗サイトカイン、抗喘息薬、抗ホスホリパーゼ(例えば、ホスホリパーゼ阻害薬)、血管拡張薬(例えば、アデノシン、β−アドレナリン作動薬または拮抗薬、β−アドレナリン遮断薬、α−アドレナリン遮断薬、利尿薬、平滑筋血管拡張薬、硝酸塩、およびアンギオテンシン変換酵素阻害薬)、生体分子、細胞増殖抑制剤、および化学療法薬を含む。本発明の薬学的組成は、例えば、1若しくはそれ以上の補助化合物を有することができる。一部の実施形態では、前記抗体が前記補助化合物と結合される。
【0141】
本発明のさらに別の観点では、例えば癌、感染症、または炎症性疾患治療用のキットが提供される。
【0142】
本発明のキットは、本発明の抗体または抗体組成、および患者の癌、感染症、または炎症性疾患を治療する方法において前記キットを使用するか、標的抗原(例えば、GM−CSF)の生物活性を阻害するための使用説明書を有する。前記キットは、少なくとも1つの補助化合物を有することができる。前記キットは、前記抗体または抗体組成を、例えば注射により投与するための使用説明書および/または手段を有することもある。
【0143】
本発明の抗体を使用し、血液血清など(これに限定されるものではないが)生物サンプル中の抗原を検出することができる。フローサイトメトリーなど(これに限定されるものではないが)、当該分野で既知のいかなる方法も利用することができる。例えば、本発明の抗体と生物サンプルをインキュベートした後、洗浄し、標識した二次抗体とインキュベートすることができる。例えば、前記二次抗体を軽鎖に向かわせ、検出用FRTCまたはフィコエリトリンに結合させることができる。
【0144】
本発明の抗体の活性を中和する抗原は、当該分野で既知のいかなる方法によっても、抗原中和アッセイで検査することができる。例えば、前記抗体の中和活性は、抗原依存性の細胞株により評価することができる。GM−CSF依存性細胞株の例には、(これに限定されるものではないが)TF−1およびAML−193を含む。
【0145】
最初の抗原中和アッセイでは、抗原依存性細胞を被験抗体またはアイソタイプの対照抗体と1時間プレインキュベートしたアッセイ培地、アッセイ培地、抗原、または抗原に懸濁する。前記インキュベーション期間後、当該分野で既知のいかなる方法によっても、増殖抑制が評価される。例えば、Cell Titer試薬(Promega、ウィスコンシン州)を添加した後、さらにインキュベートし、分光光度計で490nmの光学濃度(O.D.)を測定し、サンプルから培地のバックグラウンドを差し引くことができる。抗原中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算される。
【0146】
別の中和アッセイでは、抗原を本発明の抗抗原抗体と混合する。抗原依存性細胞を前記混合物に添加した後、インキュベートする。このインキュベーション期間後、増殖阻害を測定する。例えば、前記DNA増殖マーカーのMTSを追加した後、色素の取り込みを測定することができる。前記抗抗原抗体存在下と比較した抗体存在下での色素取り込みの減少は、抗原が中和されたことを示している。
【0147】
代わりに、抗原存在下で抗原依存性細胞を増殖させた後、培地に増量した抗体を追加し、前述の通り中和活性を測定する。
【0148】
本発明の治療法には、例えばGM−CSFなど標的抗原の生物活性を抑制する方法、および本発明の抗体の薬学的組成を、それを必要とする患者または被験者に投与することで、癌、感染症、または炎症性疾患など(これに限定されるものではないが)の疾患を治療する方法を含む。GM−CSFの生物活性には、(これに限定されるものではないが)GM−CSF受容体への結合を含む。前記方法を利用し、例えば、癌、感染症、または炎症性疾患など(これに限定されるものではないが)の疾患の予防的または治療的投与を行うことができる。
【0149】
本発明の治療的方法は、ヒトおよび非ヒト動物での使用に適している。本発明の利益を受ける非ヒト動物には、ペット、外国産(例えば、動物園の動物)および国産家畜を含む。好ましくは、前記非ヒト動物は哺乳類である。
【0150】
本発明で使用される抗体は、カプセル、錠剤、水性懸濁液、溶液など、許容される剤形であれば経口投与することができる。前記抗体は非経口投与することもできる。その場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、鼻腔内、局所、くも膜下腔内、肝内、病巣内、および頭蓋内注射または注入法の投与経路とする。前記抗体は、筋肉内または静脈内注射として提供される。
【0151】
本発明の抗体は、単独、または許容されるアジュバント、賦形剤、および添加物を含む、薬学的に許容される担体との併用で投与することができる。
【0152】
本発明の抗体は、別の治療薬の前、後、または同時に投与することができる。例えば、本発明の抗体は、単独投与、または補助化合物と併用投与することができる。
【0153】
本発明の抗体は、非結合型または結合型抗体の均一混合物として、または非結合型または結合型抗体の不均一混合物として投与することができる。
【0154】
治療が有効であるかについては、様々な方法で評価することができる。1つの実施形態では、癌、感染症、または炎症性疾患の治療が有効であることが、疾患の進行が遅くなったことで判断される。さらに他の実施形態では、体重増加、体力回復、疼痛軽減、成長、および健康回復に関する前記患者からの主観的指標などの徴候を含む、前記患者の幸福(well−being)向上により、治療が有効であると測定される。
【0155】
以下の例は、より詳細に本発明を説明するために提供される。これらは本発明を図示するためのものであるが、制限する意図はない。
【実施例1】
【0156】
GM−CSFに対する抗原特異的ヒトMAbsの作成
材料と方法
ヒトB細胞、ex vivoでの免疫化、および細胞培養。以下のすべての手順において、37℃、5%CO2中で細胞を増殖した。破傷風トキソイド(TT)ワクチンを接種した健常人からleukopacksを得た。PBMCsはFicoll−Plaque(Amersham BioSciences)により精製し、CD19陽性B細胞およびCD4陽性T細胞はEasySep(登録商標)ヒトCD4およびCD19選択キット(StemCell Technologies)によりそれぞれPBMCsから単離し、混合してB細胞/T細胞プール(BT4細胞)を作成した。BT4細胞は、10%熱不活性ヒト血清AB(Nabi、フロリダ州)、2mM L−グルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、55μM 2−メルカプトエタノール(Invitrogen、カリフォルニア州)を含むRPMI1640完全培地(Invitrogen、カリフォルニア州)で培養した。
【0157】
ex vivoでの免疫化については、BT4細胞をTおよびB細胞エピトープ存在下で共培養した。簡単には、BT4細胞を、1:1の比で照射自己PBMCs存在下、破傷風トキソイド(TT)1Lf/mLを含むRPMI完全培地(Cylex、メリーランド州)に106/mLの密度で播種し、活性化T細胞(Tプール)を作成した。抗原活性化B細胞(Bプール)を作成するには、10%ヒト血清ABを含む完全RPMI、活性化T細胞、20U/mL IL−2、0.5ng/mL IL−6、100U/mL IL−10(PrepoTech、ニュージャージー州)、および250ng/mLのペプチド混合物(bio−World、オハイオ州)から作成した5%ならし培地中、3x106細胞/mLの密度でBT4を播種し、これは前述の通りTおよびB細胞エピトープを含むように合成された標的抗原の様々な領域を示した(Zafiropoulos et al.(1997)J.Immunol.Methods 200:181−90)。
【0158】
GM−CSFで選択されたB細胞エピトープは、EHVNAIQEARRLLNL(配列ID番号3)、STQPWEHVNAIQEAR(配列ID番号4)、MASHYKQHCPPTPET(配列ID番号5)であった。
【0159】
TおよびBプールは7日間別に培養した後、照射CHO支持細胞の単層で、10%熱不活性ヒトAB血清および400U/ml IL−4を含むRPMI完全培地中(PeproTech、ニュージャージー州)、それぞれ1:10の比で共培養した(106細胞/mL)。5日後、共培養したTおよびBプールを融合し、説明した通りハイブリドーマを作成した。
【0160】
肺胞タンパク症(PAP)患者のB細胞を不死化するには、100mLの全血を処理し、PBMCsを精製した。照射CHO支持細胞存在下、熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)(JRH Biosciences、カンサス州)、2ng/mL IL−4(PeproTech、ニュージャージー州)、2mM L−グルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、55μM 2−メルカプトエタノール(Invitrogen、カリフォルニア州)、50μg/mLトランスフェリン、5ng/mLホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)、および0.5μg/mLシクロスポリンA(Sigma、ミズーリー州)を含むRPMI完全培地中、7〜10日間リンパ球を培養した。次に、以下に説明する通り、リンパ球を電気融合した。
【0161】
抗原反応性ハイブリドーマの細胞融合および酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)スクリーニング。ヒトへの投与を目的として設計されたMabsの生成に使用されるヒトB細胞は、ウイルス伝播が可能な媒体とすることができる。融合の相手となる細胞および健常ドナーのPBMCsを事前にスクリーニングし、PCRにより、免疫不全−1および2ウイルス、B型およびC型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペス−6ウイルス、およびエプスタインバーウイルスを含むウイルスDNAがないことを確認した。K6H6/B5比に対してリンパ球を1:1とし、CYTOPULSE CEEF−50装置(Cyto Pulse Sciences,Inc.、メリーランド州)を用い、リンパ球をK6H6/B5細胞(ATCC、バージニア州)と融合した。
【0162】
融合後、10%熱不活性化FBS、2mM L−グルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、55μM 2−メルカプトエタノール(Invitrogen、カリフォルニア州)、100μMヒポキサンチン、0.4μMアミノプテリン、および16μMチミジン(HAT、Sigma、ミズーリー州)を含むRPMI完全培地中、約5,000細胞/ウェルで平底96ウェルマイクロプレートに細胞を播種した。培地は毎週交換し、抗原反応スクリーニングが終了するまで(3〜5週間)HAT選択を継続した。
【0163】
抗原反応性MAbsの同定では、プレートウォッシャーおよび分光光時計一体型BIOMEK FX液体分注装置を用い、ELISAによるスクリーニングをロボット制御で行った。簡単には、コーティングバッファー(50mM炭酸塩−重炭酸塩、pH9.4)に希釈した自社作成組み換え抗原(1μg/mL GM−CSF)50μL/ウェルを用い、マイクロタイタープレートを室温で6時間コーティングした。次に、室温で2時間、プレートを結合バッファー(1%BSA(Sigma、ミズーリー州)および0.05%Tween 20(BioRad、カリフォルニア州)を含むPBS)でブロッキングした。プレートを洗浄用バッファー(0.05% Tween 20を含むPBS)で洗い、50μL/ウェルのハイブリドーマ上清を前記ELISAプレートに移した。結合反応は室温で2時間行った。その後、プレートを4回洗い、結合バッファーに1:10,000で希釈した100μLの西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)−結合ヤギ抗ヒトIgG+M(Jackson ImmunoResearch Laboratories、ペンシルバニア州)を添加し、室温で1.5時間反応を行った。最後に、プレートを4回洗い、100μL/ウェルのSureBlue基質(KPL、メリーランド州)を10分間加えた。50μL/ウェルの1N硫酸を加えて反応を停止し、450nmで吸光度を決定した。
【0164】
蛍光活性化細胞選別法(FACS)による分析。Ig結合および細胞洗浄の工程はカルシウムまたはマグネシウムを含まない氷冷した結合バッファー(DPBS)(0.5% BSA)を用いて行い、V底マイクロプレートに反応をセットし、FACSAria装置(BD Biosciences、ニュージャージー州)によりサンプルを分析した。図3Aに示すFACS実験では、106個のマウス抗GM−CSFハイブリドーマ細胞(Mul19/2)を100ng/反応のGM−CSFで充填した後、抗GM−CSFヒトMAb E5でインキュベートした。GM−CSF特異的MAbsの結合は10μg/mLのFITC標識ヤギ抗ヒトIg(SouthernBiotech、アラバマ州)により検出した。図3Bに示すFACS実験では、E10ハイブリドーマ細胞を洗い、90μLの用量、500,000細胞/ウェルで播種した。次に10μLのフィコエリトリン(PE)標識GM−CSF(R&D System、ミネソタ州)を各ウェルに加え、細胞を氷上で1時間インキュベートした。非標識GM−CSFの競合については、前記ハイブリドーマ細胞を5μg/mL組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)とともに室温で1時間プレインキュベートし、3回洗った後、分析前に上述の通りPE−GM−CSFとインキュベートした。図4に示すFACS実験では、A431およびA431−K5細胞(米国国立癌研究所Ira Pastan博士の寄贈)を結合バッファーで希釈した10μg/mLのC12 MAbまたは正常ヒトIgM(Jackson ImmunoResearch Laboratories、ペンシルバニア州)で染色し、上述の通り反応を行った。
【0165】
GM−CSF中和バイオアッセイ。GM−CSF依存性ヒト赤白血病細胞株のTF−1(ATCC、バージニア州)は、10ng/mLの組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)を含むRPMI 1640完全培地(上記参照)で増殖した。実験前日、TF−1細胞をGM−CSFのない0.1% FBSで増殖した。飢餓細胞を2回洗い、アッセイ培地に再懸濁し、10,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルマイクロプレートに播種した。ウェルには、100pg/mL GM−CSF、または図の説明に示した濃度で被験Igまたはアイソタイプの対照Igを1時間プレインキュベートしたGM−CSFのいずれかのアッセイ培地を含めた。3日後、Cell Titer試薬(Promega、ウィスコンシン州)40μLを各ウェルに追加し、プレートをさらに37℃で1時間インキュベートした。分光光時計にて490nmの光学密度(O.D.)を測定し、培地のバックグラウンドをすべてのサンプルから差し引いた。GM−CSF中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算した。
【0166】
抗体クラススイッチ。ハイブリドーマ細胞を1回10mLのPBSで洗い、RPMI完全培地に再懸濁し、平底96ウェルマイクロプレートに播種し、37℃で5% CO2中、インキュベートした。4日後、細胞をピペット操作により再懸濁し、100μLを2.3μg/mLのヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Jackson Immunoresearch、ペンシルバニア州)でコーティングした20 ELISPOTプレート(Millipore、マサチューセッツ州)に移した。組織プレートの残りの細胞に100μLの追加RPMI完全培地を加えた。一晩インキュベートした後、ELISPOTプレートを0.05% Tween(PBST)を含むPBSで3回洗い、次に100μLの2μg/mLヤギ抗ヒトIgG(H+L)−HRPを加え、前記プレートを1時間室温で振盪しながらインキュベートした。プレートをPBSTで3回洗い、次に100μLのAEC基質溶液(Sigma、ミズーリー州St.Louis)をウェルに加え、振盪しながら室温で90分インキュベートした。基質を吸引し、プレートをdH20で洗い、風乾させた。(IgG産生を示した)陽性スポットを示すウェルのクローンを増殖させた。1000、100、10、および0.25細胞/ウェルで陽性クローンを再播種することで前記工程を連続して繰り返し、この間、IgGを分泌する単一細胞のコロニーが同定されるまで陽性ウェルを追跡した。
【0167】
中空繊維および攪拌式バイオリアクターを用いた発酵。1L HyQCDM4NS0無血清培地(HyClone、ユタ州)を含む2Lのバイオリアクター(B Braun Stat B−DU)に2.5×105/mLで細胞を播種し、グルコースとグルタミンをそれぞれ6g/Lおよび4mMで維持した。制御した設定ポイントは、pH 7.1、空気と飽和度40%のdO2、温度37℃、および攪拌速度80rpmであった。2mLのサンプルを毎日回収し、1mLはCedex装置を用いた細胞計数に、1mLはELISAによりIg濃度を測定するために用いた。中空繊維を走らせる場合は、108個の生存細胞を15mLのRPMI完全培地を含むFiberCell系(Bellco、ニュージャージー州)に播種し、50%のグルコースが消費された段階で、1Lの新鮮培地を含む直列容器を用い、再供給した。
【0168】
ハイブリドーマ株の遺伝的多様性を増加させるミスマッチ修復の阻害。ハイブリドーマ細胞は、RPMI完全培地(ネガティブコントロール)または250μMまたは500μMのMMR阻害アントラセン化合物を含むRPMI完全培地で増殖させた。morphoceneを用いた場合と用いない場合で、3〜4日ごとに1:5希釈で細胞を新鮮培地に通し、3週間後、細胞を収集し、FACSバッファー(1% BSAを用いたPBS)に2×106細胞/mLで再懸濁した。細胞は、30分間氷上で、10μg/mLのFITC結合ヤギ抗ヒトIg(Jackson Immunoresearch)により染色した。細胞は10mLの氷冷FACSバッファーで洗浄し、3mLのFACSに再懸濁した。10μL Viaprobe(Becton Dickinson、ニュージャージー州Franklin Lakes)を5分間にわたり氷上で追加し、Ig表面染色が強い生存細胞をFACSAriaセルソーター(Becton Dickinson)で選別した。ゲートはIg表面染色が最も強い亜集団5%となる細胞を選別するように設定した。力価が高いクローンを選択するため、FACSで選別した細胞をU底96ウェルプレートに播種し、1週間37℃で5% CO2中インキュベートした。50μLの上清をウェルから採取し、ヤギ抗ヒトIgM+Gコーティングプレートを用いたELISAにより、IgM産生を分析した。内部標準として、各ELISAプレートにつき3ウェルに、50μLの10ng/mLヒトIgM(Jackson Immunoresearch)を播種した。内部標準のウェルの平均値に対して、450nmで得られたO.D.値を正規化した。高IgMシグナルを示すウェルを増殖し、さらに分析した。マイクロサテライト不安定性(MSI)分析では、Qiagen DNeasy Tissueキット(Qiagen)を用い、親細胞またはmorphocene処理細胞からDNAを抽出した。D4蛍光標識BAT−26−F(5’−tcaccatccattgcacagtt−3’)(配列ID番号20)およびBAT−26−R(5’−ctgcgagaaggtactcaccc−3’)(配列ID番号21)プライマー、pfuUltra(商標)高性能ポリメラーゼ(Stratagene、カリフォルニア州)を用いてBATポリA繰り返しマーカー(7)を増幅し、反応は以下の通りインキュベートした:95℃5分とし;94℃1分、60℃1分、および72℃2分を9サイクルとし、アニーリング温度を各サイクル1℃ずつ低下させ;94℃1分、52℃1分、72℃2分を30サイクルとし;最終増殖72℃10分とした。DNA希釈によりマーカー対立遺伝子の単一コピーを得、前記PCR反応の50%のみで単位複製配列が得られた。PCR産物をCEQサンプル充填溶液で1:10に希釈した後、Beckman CEQ 8000 Genetic Analysis Systemに装填し、フラグメントを分析した。
【0169】
抗原特異的ヒトMAbsの作成。上述の通り、ボランティア被験者(健常ドナー)から入手した冷凍保存B細胞を用い、ex vivoでの免疫化を行った。もう一つの方法として、血清に対象抗原に特異的なMAbsを高力価で含むヒト被験者から、B細胞を入手した。後者のアプローチの理論的根拠は、一部の抗原特異的MAbsは異常な免疫反応により生じるか(自己免疫疾患患者の場合など)、腫瘍、微生物、またはワクチン抗原に対するin vivo免疫反応に由来するという可能性に端を発している。
【0170】
いくつかの抗原反応性ヒトMAbsは、ex vivo免疫化細胞の融合後に、PAP患者のB細胞から作成されたハイブリドーマライブラリから同定された。さらに研究するために4種類のハイブリドーマ株E5(IgM)、G7(IgM)、E10(IgG)、およびG9(IgG)が選択され、これらが産生するヒトMAbsの特異性がELISAにより検討された。図1は、E5、G7、およびE10ヒトMAbsはヒトGM−CSFとしか反応せず、マウスGM−CSFなど、ヒト相同体と53%同一であるが、関連性のない、他に検討された抗原10種類とは反応しなかった。同様の結果がG9ハイブリドーマでも得られた。FACS分析を行い、これらのヒトMAbsの特異性が確認された。ヒトGM−CSFは、異なるエピトープでヒトGM−CSFに特異性を示す膜結合型MAbsを発現するマウスハイブリドーマ細胞表面に結合するようにした。蛍光強度のシフトで示される通り、E5 MAbはこれらの条件で上記細胞表面に結合した(図2A、下図)。この結果は、E5 MAbが天然型ヒトGM−CSFに結合できることを証明している。細胞結合GM−CSFがない場合、E5 MAbはこれらのハイブリドーマ細胞に発現された膜結合型タンパク質のいずれとも交差反応を示さなかった(図2A、中図)。同様に、E10 MAbはFACS分析により高い特異性が示された。さらに、E10 MAbは前記ハイブリドーマ細胞の膜に結合することが分かったため、FACSでE10 MAbが可溶性のフィコエリトリン(PE)標識GM−CSFに結合できることが示された(図2B、中図)。結合特異性は、前記E10ハイブリドーマ細胞と過剰な非標識GM−CSFをプレインキュベートすることで証明された(図2B、下図)。
【0171】
ヒトMAbsのデノボクラススイッチ。上述の2種類の戦略により、様々なヒトおよび非ヒト抗原に対するIgGおよびIgMヒトMAbsを作成した。市場で最も治療に用いられる抗体はIgGのアイソタイプであるが、治療に用いられる可能性のあるIgM MAbsを検討する癌試験は、in vivoで腫瘍が退行することを示していた(16,17)。これらの臨床反応は、補体経路を強力に固定、活性化し、腫瘍細胞を効果的に殺すIgMの能力に起因する可能性がある。IgGはマクロファージおよびNK細胞のFc受容体に結合するため、腫瘍細胞に対するADCC活性を媒介する可能性がある。特異性が同じ(同じ抗原およびエピトープ)IgGおよびIgM両方の最高薬理活性を、in vivoで検討することができる。IgGアイソタイプが好ましい場合、迅速で着実なIgMのデノボクラススイッチ法(材料および方法)を追跡した。例としてE5株を用い、前記増殖条件でIgGアイソタイプにクラススイッチした細胞サブセットを同定した。E5 IgGは、親E5 IgMと可変領域のヌクレオチド配列が同一で、GM−CSFに対する反応性が同等であることが示された(図3)。
【0172】
ヒトMAbsの生物活性。疾患の可溶性メディエータを標的とする治療用MAbsに求められる薬学的特性には、増殖因子を中和する能力を含む。上述の通り、そのような例の1つはRAメディエータのGM−CSFである(9−11)。ヒト赤芽球様細胞(TF1)の増殖が培地中のこのサイトカインの有無に依存する、細胞に基づくアッセイにより、ヒトMAbsがGM−CSFの機能を遮断する能力を評価した。図4に示す通り、E10およびG9はいずれもGM−CSF依存性細胞の増殖を有意に阻害したが、ヒトIgGアイソタイプの対照は作用を示さなかった。E10とG9の間にみられる効果の差は、見かけの親和性がそれぞれ870ピコモルと14ピコモルであることに関連している。E5 MAbは親和性が低いことと一致し、中和活性が最小限であることしか示されなかった(5nM)。
【0173】
ヒトMAbsを分泌するハイブリドーマの力価および安定性の評価。MAb製造ラインの重要な特性は、製造サイクル全体でのIg分泌の安定性である。サイクルの期間が約2ヵ月である1つのシナリオでは、24時間ごとに2倍になるラインは、解凍から回収まで約60世代進むことになる。E5株を、我々の方法により作成したハイブリドーマのMAb力価および生産安定性を検証するためのモデルとして用いた。この株に由来するクローン3D2は倍加時間が24時間であることが示され、2ヵ月以上の連続培養後の希釈を制限し、再評価した。クローン産生の頻度はELISAにより決定し、細胞密度を正規化したならし培地のIg濃度を測定した。図5Aは、検討したすべてのE5−3D2サブクローンが高レベルのIgを分泌することを示しており、60世代後のこの細胞集団でIg産生が均一に維持されていることを証明している。次に、少量(15mL)の中空繊維系を用い、Ig産生を評価した。中空繊維カートリッジに細胞を播種し、新鮮培地1リットルを含む直列容器を用いて連続的に供給した。5日目から、前記カートリッジのならし培地すべて(15mL)を毎日回収し、新鮮培地と交換した。さらに4日発酵させ、この間、既知の濃度の標準Igを用い、毎日Ig力価をELISAにより決定した。4日間で累積1.2g/Lの力価が記録された。8〜9日目の間にグルコース消費量がピークとなり(1日2グラム/L)、細胞は非常に高い細胞密度でも十分耐性があることを示していた。生産の性能は、攪拌したバイオリアクター系を用い、1リットルの量の半回分培養実験でも評価した。凍結したアンプルの細胞はまず解凍し、振盪フラスコに播種した後、無血清培地1リットルを含む攪拌したバイオリアクター(Bauer)に播種した。細胞生存度が60%未満に低下するまで(6日目)発酵させた。Ig産生および細胞密度は1〜5日目に記録し、図5Bに示されている。対数期(1〜4日目)は、倍加時間23.4時間で比産生率(specific productivity)は24pg/細胞/日と測定され、これらの細胞は高い力価を維持したまま、フラスコからバイオリアクターに良好にスケールアップできることが示唆された。
【0174】
ミスマッチ修復の制御によるヒトMAbs分泌ハイブリドーマの遺伝子最適化。MMRを一時的に制御する形態形成と呼ばれる工程により、MAb産生細胞株の質を改善することの有用性はこれまでに報告されてきた(Nicolaides et al.(1995)Genomics 30:195−206;およびNicolaides et al.(1998)Mol.Cell.Biol.18:1635−41.)。この方法により細胞プールの遺伝的多様性を増加させた後、高性能スクリーニングを行い、高い力価、親和性を示すサブクローン(Grasso et al.(2004)Bioprocess Int.2:58−64;およびNicolaides et al.(2005)Ann.N.Y.Acad.Sci.1059:1−11)、または増殖率が上昇したサブクローン(Grasso,L.、個人的所見)を同定したE5細胞を形態形成させ、我々のハイブリドーマ法により作成したMAb分泌株で表現型の多様性を増加できることが証明された。MMR阻害は、BAT poly−A繰り返しマーカーのマイクロサテライト不安定性(MSI)を検出することでモニターした。前記形態形成の工程を行った細胞で分析したBAT対立遺伝子24個のうち、3対立遺伝子が変化を示し、これには図6Aで示す一塩基欠失および挿入が含まれていた。親細胞のBAT対立遺伝子24個では、MSIは検出されなかった。その後、希釈を制限し、親細胞または形態形成処理した細胞をマイクロプレートに播種した。細胞クローンに1週間MAbsを分泌させ、ELISAによりそのならし培地のIg濃度を分析した。O.D.が1以上の(Ig分泌が多い)クローンの頻度をスクリーニングしたクローン総数から決定し(親細胞で3,763、morphoceneプールで2,437)、前記形態形成処理細胞では260%上昇することが分かった(p=0.0014)(図6B)。
【0175】
要約
本研究は、最適化されたex vivoでの免疫化およびヒトB細胞の不死化工程とミスマッチ修復の阻害を併用し、免疫療法用にヒトMAbsを開発するため実行可能な戦略を示している。このアプローチにより、安定したハイブリドーマ株により分泌される、非常に特異性の高く生物学的に活性なMAbsを作成することができる。
【0176】
本発明の方法に従い、倍加60回以上にわたり安定なMAb、および4日間の中空繊維発酵実験で1リットルあたりMAb 1グラム以上を産生することができ、本発明で作成したハイブリドーマ細胞は灌流系、および可能性としては大量製造に適していることが示唆された。さらに、この工程で作成したハイブリドーマは半回分培養バイオリアクター実験でも優れた性能を示し、これらの株を商業的に応用できる可能性が示唆された。まとめると、本明細書に示した基盤となる工程は、免疫療法に用いる高品質の完全ヒト抗体を、迅速かつ高い費用対効果で開発するもう一つのアプローチを提供している。
【実施例2】
【0177】
完全ヒト抗GM−CSF抗体の作成;PAP細胞の単離
成人ヒト肺胞タンパク症(PAP)患者は、肺胞にリン脂質およびサーファクタントタンパク質が蓄積する。PAPは肺胞マクロファージおよびII型上皮細胞が過剰な界面活性物質を除去できないことが原因と考えられてきた。上述の通り、肺の界面活性物質の恒常性制御におけるGM−CSFの役割はマウスモデルで確立され、拡大解釈すればヒトの病理の原因となる。さらに、PAP患者は循環血液中に抗GM−CSF中和抗体を有することが示され、そのためこのサイトカインが前記疾患の原因であると考えられてきた。この自己免疫反応がGM−CSFに特異的なものか否かは分かっていない。しかし、PAP患者の一部はGM−CSF療法で改善することが示されており、遺伝子破壊または抗体による中和からGM−CSFがなくなると、PAPが発症するという仮説を支持している。
【0178】
GM−CSF特異的抗体の単離。末梢血単核細胞(PBMCs)をPAP患者から単離した。簡単には、前記PAP患者のB細胞を全血から回収した。前記全血を当量のPBS−/−で希釈し、容器を逆さにして内容物を静かに混和した。25mlのFicoll−Paque(Amersham Biosciences AB、スウェーデンUppsala)を含む50ml試験管に、25mlの希釈した血液を上から注いだ。前記試験管を室温で30分間2,000rpmで遠心分離した。界面層から10mlピペットでPBMCsを回収し、新しい50ml試験管に移し、PBS−/−で2回洗った。前記PBMCのペレットを10mlのACK溶解バッファー(150mM NH4Cl、10mM KHCO3、0.1mM Na2EDTA、pH 7.2)に再懸濁し、室温で5分間インキュベート、赤血球を溶解し、PBS−/−で2回洗った。
【0179】
PAP B細胞と骨髄腫細胞株を融合し、ハイブリドーマを作成。以下の方法により、PAP患者の濃縮B細胞を様々な骨髄腫細胞(ヒト−マウスヘテロハイブリドーマ、ATCC、VA、USA);CBF−7細胞(ヒト−マウスヘテロハイブリドーマ);HEK293;ヒト骨髄腫細胞と融合した。前記B細胞と融合の相手となる細胞は生存度が良好であると考えられた(生存度90%以上、対数期)。いずれの細胞タイプも最初の培地中で計数し、1:1の比で15ml試験管に混合した後、4℃で6分間、1,000RPMで遠心分離した。10〜15mlの冷却CPFM(CYTOPULSE融合培地、Cyto Pulse Sciences、米国メリーランド州)を用い、細胞を3回洗浄した。最終的なペレットを10×106細胞/mlのCPFMで再懸濁した。CYTOPULSE CEEF−50(Cyto Pulse Sciences、米国メリーランド州)により、電気融合を行った。融合パラメータは製造業者のガイドラインおよび経験的ガイドラインにより最適化し、融合効率の平均はパルスした細胞5,000個あたりハイブリッド1個であった。融合後、平底96ウェルのマイクロプレートに10%の熱不活性化FBS、100μMのヒポキサンチン、0.4μMのアミノプテリン、および16μMのチミジンを含むRPMI完全培地(HAT、Sigma、米国ミズーリー州)を入れ、約5,000細胞/ウェルで細胞を播種した。培地は毎週交換し、抗原の反応が終了するまでHAT選択を継続した。
【0180】
ELISAスクリーニングアッセイ。抗原反応性MAbsの同定では、プレートウォッシャーおよび分光光時計一体型BIOMEK FX液体分注装置を用い、ELISAによるスクリーニングをロボット制御で行った。簡単には、コーティングバッファー(50mM炭酸塩−重炭酸塩、pH 9.4)に希釈した自社作成組み換え抗原(1μg/mL GM−CSF)50μL/ウェルを用い、マイクロタイタープレートを室温で6時間コーティングした。次に、室温で2時間、プレートを結合バッファー(3% BSA(ミズーリー州Sigma)および0.05% Tween 20(カリフォルニア州BioRad)を含むPBS)でブロッキングした。プレートを洗浄用バッファー(0.05% Tween 20を含むPBS)で洗い、50μL/ウェルのハイブリドーマ上清を前記ELISAプレートに移した。結合反応は室温で2時間行った。その後、プレートを4回洗い、結合バッファーに1:10,000で希釈した100μLのHRP−結合ヤギ抗ヒトIgG+M(Jackson ImmunoResearch Laboratories、ペンシルバニア州)を添加し、室温で1.5時間反応を行った。最後に、プレートを4回洗い、100μL/ウェルのSUREBLUE基質(KPL、メリーランド州)を10分間加えた。50μL/ウェルの1N硫酸を加えて反応を停止し、450nmで吸光度を決定した。
【0181】
FACS分析およびソーティング。すべての研究で、氷冷した結合バッファー(DPBS、カルシウムまたはマグネシウムなし、0.5% BSA)を用い、Igの結合工程および細胞洗浄工程を行った。前記PBMCまたはハイブリドーマ細胞は洗浄し、500,000細胞/ウェルで播種した。FITCおよびフィコエリトリン(PE)標識抗ヒトCD3、CD19、CD20(SouthernBiotech、アラバマ州)、およびPE標識GM−CSF(R&D System、ミネソタ州)を加え(10〜100倍希釈)、氷上で1時間インキュベートした。前記細胞を結合バッファーで3回洗浄し、FACSARIA装置(BD Biosciences、ニュージャージー州)により分析、分類した。Mab E10のアイソタイプ分析の結果を図9に示す。E10のアイソタイプを決定するため、抗ヒトIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgM、Lκ、およびLλ Fc特異的抗体を用いた標準的な分析を行い、前記アイソタイプを導き出した。
【0182】
GM−CSF中和バイオアッセイ。ヒトGM−CSF依存性ヒト赤白血病細胞株のTF−1(ATCC、バージニア州)は、10ng/mLの組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)を含むRPMI 1640完全培地(上記参照)で増殖した。実験前日、TF−1細胞をGM−CSFのない0.5% FBSで増殖した。飢餓培養した前記TF−1細胞を回収し、アッセイ培地(0.5% BSAを含むRPMI単純培地)で2回洗った。細胞をアッセイ培地に再懸濁し、10,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルマイクロプレートに播種した。ウェルには、100pg/mL GM−CSF、または図に示した濃度で被験Igまたはアイソタイプの対照Igを1時間プレインキュベートしたGM−CSFのいずれかのアッセイ培地を含めた。3日後、Cell Titer試薬(Promega、ウィスコンシン州)40μLを各ウェルに追加し、プレートをさらに37℃で1時間インキュベートした。分光光時計にて490nmの光学密度(O.D.)を測定し、培地のバックグラウンドをすべてのサンプルから差し引いた。GM−CSF中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算した。図4は、完全なヒトMAbsによるTF−1細胞株のGM−CSF依存性増殖抑制を証明している。
【0183】
ハイブリドーマ株の遺伝的多様性を増加させるミスマッチ修復の阻害。ミスマッチ修復を阻害することで、産生、細胞増殖、または抗体活性が上昇した遺伝的に多様な同種細胞ができる。MAb活性および細胞増殖を改善するため、RPMI完全培地(ネガティブコントロール)または250μMまたは500uMのミスマッチ修復阻害剤morphocene(9,10−ジメチルアントラセン、MP Biomedicals、カリフォルニア州)を含むRPMI完全培地でハイブリドーマ細胞を増殖した。morphoceneを用いた場合と用いない場合で、3〜4日ごとに1:5希釈で細胞を新鮮培地に通し、3週間後、細胞を収集し、FACSバッファー(1% BSAを用いたPBS)に2×106細胞/mLで再懸濁した。細胞は、30分間氷上で、10μg/mLのFITC結合ヤギ抗ヒトIg(Jackson Immunoresearch)により染色した。細胞は10mLの氷冷FACSバッファーで洗浄し、3mLのFACSに再懸濁した。10μL VIAPROBE(Becton Dickinson、ニュージャージー州Franklin Lakes)を5分間氷上で追加し、Ig表面染色が強い生存細胞をFACSARIAセルソーター(Becton Dickinson)で選別した。ゲートはIg表面染色が最も強い亜集団5%となる細胞を選別するように設定した。ミスマッチ修復(MMR)の化学阻害物質がある場合とない場合で1週間この集団を増殖し、前記手順をさらに2回繰り返した。力価が高いクローンを選択するため、FACSで選別した細胞を、200μLのRPMI完全培地を含むU底96ウェルプレートに0.8細胞/ウェルで播種した。プレートは1週間37℃で5%CO2中、インキュベートした。50μLの上清をウェルから採取し、ヤギ抗ヒトIgM+Gコーティングプレートを用いたELISAにより、IgM産生を分析した。内部標準として、各ELISAプレートにつき3ウェルに、50μLの10ng/mLヒトIgM(Jackson Immunoresearch)を播種した。内部標準のウェルの平均値に対して、450nmで得られたO.D.値を正規化した。高IgMシグナルを示すウェルを増殖し、さらに分析した。MSI分析では、Qiagen DNeasy Tissueキット(Qiagen)を用い、親細胞またはMMR阻害剤処理細胞からDNAを抽出した。D4蛍光標識mBAT−26−F(5’−tcaccatccattgcacagtt−3’)(配列ID番号20)およびmBAT−26−R(5’−ctgcgagaaggtactcaccc−3’)(配列ID番号21)プライマー、pfuUltra(商標)高性能ポリメラーゼ(Stratagene、カリフォルニア州)を用いてBATポリA繰り返しマーカーを増幅し、反応は以下の通りインキュベートした。95℃5分、94℃1分、60℃1分、および72℃2分を9サイクル行い、アニーリング温度を各サイクル1℃ずつ低下させ、94℃1分、52℃1分、72℃2分を30サイクル行い、最終増殖72℃10分とした。DNA希釈によりマーカー対立遺伝子の単一コピーを得、前記PCR反応の50%のみで単位複製配列が得られた。PCR産物をCEQサンプル充填溶液で1:10に希釈した後、Beckman CEQ 8000 Genetic Analysis Systemに装填し、フラグメントを分析した(Blake et al.Stepwise deletions of polyA sequences in mismatch repair−deficient colorectal cancers.(2001)Am.J.Pathol.158:1867−70)。
【実施例3】
【0184】
GM−CSFに高い特異性を示すモノクローナル抗体E10の作成
いくつかの抗体はPAP患者のB細胞由来のものであった。これらの抗体はIgM、IgGアイソタイプであった。これらの抗体は、本明細書に説明した特異性アッセイにより、それぞれGM−CSFに特異的に結合することが分かった。いずれかの骨髄腫細胞と融合した肺胞タンパク症(PAP)患者のB細胞から抗GM−CSFヒトIgG1モノクローナル抗体E10を1種類作成し、その後、上述の通り、ELISAにより抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体をスクリーニングした。
【0185】
PAP患者の血液(全血91ml)を用い、合計4950万個のPBMCsを単離した。これらの細胞の生存度は99.0%であった。FACS分析の結果を表2に示す。IL−4 2ng/ml(PeproTech)、トランスフェリン50ug/ml(Sigma)、PMA5ng/ml(Sigma)、およびシクロスポリンA0.5ug/ml(Sigma)と支持細胞を用い、cRPMI1640(10ml)で約2500万個のPBMCsを培養することで、前記B細胞を増殖した。11日間の培養後、1200万個の細胞が残り、この後電気融合(CytoPulse CEEF−50)により骨髄腫細胞と融合した。FACS分析の結果を表2に示す。
【0186】
【表2】
【0187】
融合した細胞は、10% FBS、熱不活性化(JRH Biosciences、米国カンサス州)、L−グルタミン、200mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、非必須アミノ酸、10mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、ピルビン酸ナトリウム溶液、100mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、Pen−Strep(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、2−メルカプトエタノール、55mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、および1×HAT(Sigma、米国ミズーリー州)とともにRPMI 1640(Invitrogen、米国カリフォルニア州)で培養した。
【0188】
12日間培養後、前記ハイブリドーマ培地の約48%が増殖を示した。次に、前記ハイブリドーマを組み換えGM−CSF(PeproTech、米国ニュージャージー州)とともに、GM−CSF特異的ELISAによりスクリーニングした。GM−CSFに陽性を示すものなど、数種類のクローンを単離した。これらのクローンはELISAで再検査し、前記組み換えGM−CSFに特異的で、破傷風毒素(TT)には特異的ではないことを確認した。クローン4E10はGM−CSFと特異的反応を示したが、TTは特異的に反応しなかった。続いてクローン4E10をサブクローニングした。3週間後、培養したサブクローンをELISAでスクリーニングし、GM−CSFに対する特異性が維持されていることを確認し、さらに以下に説明する特性を決定した。
【0189】
E10の特性解析。抗GM−CSF抗体E10の特異性を決定するため、様々な抗原で抗原特異的ELISAを行った(図8)。図8では、抗原hIL−1a、h IL−2、h IL−3、h IL−4、h IL−5、IL−6、hIL−13、hGM−CSF、mGM−CSF、BSA、およびTTに対する結合性を比較している。その後の研究では、抗GM−CSF抗体の結合をヒトGM−CSF、ヒトMesothilin、SEB、BGG、CAB、HEL、TT、BSA、ヤギIgG、ヒトムチン、およびマウスIgGと比較した(データは図示せず)。いずれの研究でも、4E10のみがヒトGM−CSFと反応した。
【0190】
E10のアイソタイプを決定するため、抗ヒトIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgM、Lκ、およびLλを用いた標準的な分析を行い、前記アイソタイプを導き出した。この分析は、4E10がIgG1およびκ抗体であることを証明した(図9を参照)。
【0191】
in vitroでGM−CSFの生物活性を中和するE10の能力を、生存および増殖をこのサイトカインに依存している細胞株TF−1により検討した(図8を参照)。ヒトGM−CSF依存性ヒト赤白血病細胞株のTF−1(ATCC、バージニア州)は、10ng/mLの組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)を含むRPMI 1640完全培地で増殖した。実験前日、TF−1細胞をGM−CSFのない0.1%FBSで増殖した。飢餓培養した前記TF−1細胞を回収し、アッセイ培地(0.5%BSAを含むRPMI単純培地)で2回洗った。細胞をアッセイ培地に再懸濁し、10,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルマイクロプレートに播種した。ウェルには、100pg/mL GM−CSF、または20μg/mL〜0.315μg/mLの範囲の濃度で被験Igまたはアイソタイプの対照Igを1時間プレインキュベートしたGM−CSFのいずれかのアッセイ培地を含めた。3日後、CELL TITER試薬(Promega、ウィスコンシン州)40uLを各ウェルに追加し、プレートをさらに37℃で1時間インキュベートした。分光光時計にて490nmの光学密度(O.D.)を測定し、培地のバックグラウンドをすべてのサンプルから差し引いた。GM−CSF中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算した。抗体4E10はin vitro、濃度100pg/mlでGM−CSFの活性を中和することができた。
【0192】
E10を用いてウエスタンブロット分析を行い、前記抗体がヒト組み換えGM−CSFと交差反応を起こすか否かを決定した。図10に示す通り、還元条件でE10はヒトGM−CSFと交差反応を示した。
【0193】
E10の結合親和性を決定するため、BIACORE分析を以下の通り実施した。E10の結合定数は約870pMである(図11)。
【実施例4】
【0194】
GM−CSFに高い特異性を示すモノクローナル抗体G9の作成
K6またはCBF−7のいずれかと融合した肺胞タンパク症(PAP)患者のB細胞から抗GM−CSFヒトIgG1モノクローナル抗体G9を作成し、その後、上述の通り、ELISAにより抗ヒトGM−CSFモノクローナル抗体をスクリーニングした。
【0195】
PAP患者の血液(全血91ml)を用い、合計4950万個のPBMCsを単離した。これらの細胞の生存度は99.0%であった(データは図示せず)。IL−4 2ng/ml(PeproTech)、トランスフェリン50ug/ml(Sigma)、PMA 5ng/ml(Sigma)、およびシクロスポリンA 0.5ug/ml(Sigma)と支持細胞を用い、cRPMI1640(10 ml)で約2500万個のPBMCsを培養することで、B細胞を増殖した。11日間の培養後、1200万個の細胞が残り、この後電気融合(CytoPulse CEEF−50)により骨髄腫細胞と融合した。
【0196】
融合した細胞は、10% FBS、熱不活性化(JRH Biosciences、米国カンサス州)、L−グルタミン、200mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、非必須アミノ酸、10mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、ピルビン酸ナトリウム溶液、100mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、Pen−Strep(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、2−メルカプトエタノール、55mM(Invitrogen、米国カリフォルニア州)、および1×HAT(Sigma、米国ミズーリー州)とともにRPMI 1640(Invitrogen、米国カリフォルニア州)で培養した。
【0197】
12日間培養後、前記ハイブリドーマ培地の約48%が増殖を示した。次に、前記ハイブリドーマを組み換えGM−CSF(PeproTech、米国ニュージャージー州)とともに、GM−CSF特異的ELISAによりスクリーニングした。GM−CSFに陽性を示すものなど、数種類のクローンを単離した。これらのクローンはELISAで再検査し、前記組み換えGM−CSFに特異的で、破傷風毒素(TT)には特異的ではないことを確認した。G9集団はGM−CSFに非常に特異的な反応を示したが、TTには特異的反応を示さなかった。次に、前記G9集団をサブクローニングし、純粋培養を得た。3週間後、培養したサブクローンをELISAでスクリーニングし、GM−CSFに対する特異性が維持されていることを確認し、さらに以下に説明する特性を決定した。
【0198】
E9の特性解析。抗GM−CSF抗体E9の特異性を決定するため、様々な抗原で抗原特異的ELISAを行った(図8)。図8では、抗原hIL−1a、h IL−2、h IL−3、h IL−4、h IL−5、IL−6、hIL−13、hGM−CSF、mGM−CSF、BSA、およびTTに対する結合性を比較している。その後の研究では、抗GM−CSF抗体の結合をヒトGM−CSF、ヒトmesothilin、SEB、BGG、CAB、HEL、TT、BSA、ヤギIgG、ヒトムチン、およびマウスIgGを比較した(データは図示せず)。いずれの研究でも、G9のみがヒトGM−CSFと反応した。
【0199】
G9のアイソタイプを決定するため、抗ヒトIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgM、Lκ、およびLλを用いた標準的な分析を行い、前記アイソタイプを導き出した。この分析は、G9がIgG1およびκ抗体であることを証明した(図12)。
【0200】
G9中和バイオアッセイ。in vitroでGM−CSFの生物活性を中和するG9の能力を、生存および増殖をこのサイトカインに依存している細胞株TF−1により検討した(図4)。ヒトGM−CSF依存性ヒト赤白血病細胞株のTF−1(ATCC、バージニア州)は、10ng/mLの組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)を含むRPMI 1640完全培地で増殖した。実験前日、TF−1細胞をGM−CSFのない0.1% FBSで増殖した。飢餓培養した前記TF−1細胞を回収し、アッセイ培地(0.5% BSAを含むRPMI単純培地)で2回洗った。細胞をアッセイ培地に再懸濁し、10,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルマイクロプレートに播種した。ウェルには、100pg/mL GM−CSF、または20μg/mL〜0.315μg/mLの範囲の濃度で被験Igまたはアイソタイプの対照Igを1時間プレインキュベートしたGM−CSFのいずれかのアッセイ培地を含めた。3日後、CELL TITER試薬(Promega、ウィスコンシン州)40uLを各ウェルに追加し、プレートをさらに37℃で1時間インキュベートした。分光光時計にて490nmの光学密度(O.D.)を測定し、培地のバックグラウンドをすべてのサンプルから差し引いた。GM−CSF中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算した。抗体G9はin vitro、濃度100pg/mlでGM−CSFの活性を中和することができた。
【0201】
G9を用いてウエスタンブロット分析を行い、前記抗体がヒト組み換えGM−CSFと交差反応を起こすか否かを決定した。図10に示す通り、還元性条件でG9はヒトGM−CSFと交差反応を示した。
【0202】
G9の結合親和性を決定するため、BIACORE分析を上述の通り実施した。G9の結合定数は約11〜17pMである(図13)。
【実施例5】
【0203】
完全ヒト抗GM−CSF抗体G9およびE10をコードするヌクレオチド配列
抗体G9。完全ヒト抗GM−CSF抗体G9のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は標準的な方法によって得られた。簡単には、製造業者の使用説明に従い、Trizol試薬(Invitrogen)により全RNAをハイブリドーマG9から単離した。前記製造業者の使用説明に従い、Superscript II逆転写酵素により、伝達内容をcDNAに合成した。軽鎖および重鎖可変領域を増幅するため、Herculase DNAポリメラーゼ(Stratagene)と、軽鎖にはプライマー配列ID番号22および配列ID番号23、重鎖には配列ID番号24および配列ID番号25を用い、PCR反応を行った。PCR産物をpCR4−TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングし、大腸菌Mach1細胞に形質転換し、形質転換細胞はLB Kanamycinプレートで選択した。上記と同じプライマーペアが挿入されたコロニーをスクリーニングし、4つの陽性コロニーそれぞれを用い、TempliPhi試薬(GE Healthcare)によりDNA配列を決定する鋳型DNAを作成した。Beckman Coulter DTCS配列決定試薬を用い、プライマー配列ID番号26および配列ID番号27でDNA挿入断片の配列を決定した後、Beckman Coulter CEQ2000でデータを獲得、分析した。軽鎖にリーダーペプチド配列を加えるため、Herculase DNAポリメラーゼを用い、プライマー配列ID番号28および配列ID番号23で陽性クローンを再増幅した。リーダーペプチド配列を含む重鎖の全長(配列ID番号11)を作成するため、鋳型としてもとのcDNAを用い、プライマー配列ID番号29および配列ID番号30でPCRを行った。得られたPCR産物をTAクローニングし、Mach1細胞に形質転換し、陽性クローンを上述の通り同定した。プライマー配列ID番号25、配列ID番号26、配列ID番号31、配列ID番号32、配列ID番号33、配列ID番号34、配列ID番号27、および配列ID番号30とTempliPhi試薬で作成した鋳型DNAを用い、G9重鎖cDNAの全長の配列を決定した。G9(配列ID番号11)の重鎖の全長およびG9(配列ID番号15)の軽鎖の全長について得られたDNA配列を以下に示す。配列ID番号11および配列ID番号15由来の予想翻訳産物は、それぞれ配列ID番号9および配列ID番号13に示されている。配列ID番号10および配列ID番号14由来の予想翻訳産物は、それぞれ配列ID番号8および配列ID番号12に示されている。下線を引いた配列ID番号11および配列ID番号15の配列は、PCRで追加されたリーダー配列を示している。配列ID番号10および配列ID番号14のポリヌクレオチド配列は、それぞれ、リーダー配列が加えられていないG9抗体の重鎖および軽鎖をコードしている。配列ID番号9および13の小文字配列は、前記PCR反応で追加されたヒトリーダーペプチドを示している。配列ID番号8、9、12、および13の下線付き配列はCDR領域を示している。配列ID番号8、9、12、および13の残りの配列は、可変領域および定常領域のフレームワークである。重鎖の定常領域はアミノ酸配列WGQG(配列ID番号8のアミノ酸111または配列ID番号9の130)で始まり、軽鎖の定常領域はアミノ酸配列FGQG(配列ID番号12のアミノ酸98または配列ID番号13の117)で始まる。
【0204】
抗体E10。完全ヒト抗GM−CSF抗体E10のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は標準的な方法によって得られた。簡単には、製造業者の使用説明に従い、Trizol試薬(Invitrogen)により全RNAをハイブリドーマE10から単離した。前記製造業者の使用説明に従い、、Superscript II逆転写酵素により、伝達内容をcDNAに合成した。軽鎖および重鎖可変領域を増幅するため、Herculase DNAポリメラーゼ(Stratagene)と、軽鎖にはプライマー配列ID番号22および配列ID番号23、重鎖には配列ID番号24および配列ID番号25を用い、PCR反応を行った。PCR産物をpCR4−TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングし、大腸菌Mach1細胞に形質転換し、形質転換細胞はLB Kanamycinプレートで選択した。上記と同じプライマーペアが挿入されたコロニーをスクリーニングし、4つの陽性コロニーそれぞれを用い、TempliPhi試薬(GE Healthcare)によりDNA配列を決定する鋳型DNAを作成した。Beckman Coulter DTCS配列決定試薬を用い、プライマー配列ID番号26および配列ID番号27でDNA挿入断片の配列を決定した後、Beckman Coulter CEQ2000でデータを獲得、分析した。E10(配列ID番号17)の重鎖可変領域およびE10(配列ID番号19)の軽鎖の全長をコードする、得られたDNA配列を以下に示す。配列ID番号17および配列ID番号19由来の予想翻訳産物は、それぞれ配列ID番号16および配列ID番号18に示されている。配列ID番号16および18の下線付き配列はCDR領域を示している。配列ID番号16、および18の残りの配列は、可変領域および定常領域のフレームワークである。重鎖の定常領域はアミノ酸配列WGQG(配列ID番号16のアミノ酸115)で始まり、軽鎖の定常領域はアミノ酸配列FGQG(配列ID番号18のアミノ酸98)で始まる。
【実施例6】
【0205】
抗GM−CSF抗体のエピトープマッピング
G9が結合するGM−CSFのエピトープをマッピングするため、ヒトGM−CSFの長さに及ぶ一連の重複ペプチドを作成した(図14)。簡単には、ヒトGM−CSF配列(GenBank受入番号AAA52578、残基14〜144)を網羅する25種類の12mer重複ペプチドを、7アミノ酸の重複を含むように設計した。各ペプチドのC末端を誘導体化セルロース膜の表面に結合することで(SPOTs法、Sigma Genosys)、固相合成により3.7mm×3.7mmの個別スポットとしてペプチドを作成した。標準的なウエスタンブロット分析を利用し、どのペプチドがG9と交差反応するかを決定した(図15)。前記セルロース膜をメタノールに浸し、4℃で一晩ブロッキング溶液(5%BSA、1XTBS、0.1%Tween−20、0.1%NaN3)でブロックした。1mg/mlの精製10G9抗体を含む新鮮なブロッキング溶液を加え、ブロットを4℃で一晩インキュベートした。前記ブロットをそれぞれ5分間TBS−T(1XTBS、0.1%Tween−20)で3回洗い、希釈剤(5%BSA、1XTBS、0.1% Tween−20)にHRP結合ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch cat.109−035−088)を1:10,000倍希釈した溶液で、1時間インキュベートした。前記ブロットをSuperSignal West Femto ECL基質キット(Pierce cat.34095)を用いて開発した後、BioMAXフィルム(Kodak)に1秒間曝露した。この方法で、ペプチド番号6、13、14、15、および可能性としてはペプチド番号23が前記G9抗体によって特異的に認識され、これはそれぞれ配列ID番号18、配列ID番号19、配列ID番号20、配列ID番号21、および配列ID番号47に対応した。
【0206】
本発明は上記に説明、例示した実施形態に限るものではなく、添付の請求項の範囲で変更、修正できるものとする。
配列ID番号1
【0207】
【表3】
【0208】
【表4】
【0209】
【表5】
【0210】
【表6】
【0211】
【表7】
【0212】
【表8】
【0213】
【表9】
【0214】
【表10】
【0215】
【表11】
【0216】
【表12】
【0217】
【表13】
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】図1は、抗原特異的ヒトMAbsを選択するための抗原パネルELISAを図示している。前記パネルでは、3種類のGM−CSF特異的ヒトMAbs(E5、G7、E10)がヒトGM−CSFと反応し、他の抗原とは反応しなかった。抗体215はマウスMAbであり、ヒトGM−CSF(hGM−CSF)およびマウスGM−CSF(mGM−CSF)に結合する。
【図2A】図2Aおよび2Bは、天然型ヒトGM−CSFに対するヒトMAbsの特異性が高いことを図示したものである。図2Aに示す通り、可溶性ヒトGM−CSFは、ヒトGM−CSFに対する細胞表面免疫グロブリン(Ig)を提示したマウスハイブリドーマ細胞に結合した。その後、反応液にMAb E5が追加され、FITC結合ヤギ抗ヒトIgを用い、ヒトGM−CSFに対する結合が測定された。E5は前記マウスハイブリドーマ細胞に発現された表面タンパク質のいずれにも結合しなかったが(中図)、細胞表面Igに捕獲された可溶性GM−CSFのみと結合した(下図)。
【図2B】図2Aおよび2Bは、天然型ヒトGM−CSFに対するヒトMAbsの特異性が高いことを図示したものである。図2Bに示す通り、フィコエリトリン(PE)標識ヒトGM−CSF(PE−GM)は、E10細胞表面に発現されたIgと反応することができる。過剰な非標識GM−CSF(下図)はPE−GM結合に競合した。
【図3】図3は、クラススイッチしたハイブリドーマ細胞による抗原結合IgGの分泌を証明した図である。ハイブリドーマE5細胞(親)は、材料および方法に示した通り処理した。クラススイッチ(スイッチ)したハイブリドーマクローンは、ELISPOTに基づくスクリーニング法により同定した。プレートにコーティングされたヒトGM−CSFへの特異的結合を測定するELISAを行い、IgMまたはIgGの結合を評価した。スイッチしたIgG MAbsは、親IgMと同等の抗原結合性を示した。
【図4】図4は、完全ヒトMAbsによるTF−1細胞株のGM−CSF依存性増殖抑制を証明している。ヒトGM−CSF依存性ヒト赤白血病細胞株のTF−1(ATCC、バージニア州)は、10ng/mLの組み換えヒトGM−CSF(PeproTech、ニュージャージー州)を含むRPMI 1640完全培地で増殖した。実験前日、TF−1細胞をGM−CSFのない0.1% FBSで増殖した。飢餓培養した前記TF−1細胞を回収し、アッセイ培地(0.5% BSAを含むRPMI単純培地)で2回洗った。細胞をアッセイ培地に再懸濁し、10,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルマイクロプレートに播種した。ウェルには、100pg/mL GM−CSF、または図に示した濃度で被験Igまたはアイソタイプの対照Igを1時間プレインキュベートしたGM−CSFのいずれかのアッセイ培地を含めた。3日後、Cell Titer試薬(Promega、ウィスコンシン州)40μLを各ウェルに追加し、プレートをさらに37℃で1時間インキュベートした。分光光時計にて490nmの光学密度(O.D.)を測定し、培地のバックグラウンドをサンプルから差し引いた。GM−CSF中和の割合は100−[O.D.(Igあり)/O.D.(Igなし))x100]から計算した。
【図5A】図5Aは、検討したすべてのE5−3D2サブクローンが高レベルのIgを分泌することを示したELISA結果を図示したものである。ハイブリドーマE5−3D2株を60代継代増殖し、次に細胞産生の頻度を分析することで産生の安定性を評価した。限界希釈した3D2細胞由来のサブクローン(X1−X10)をランダムに選択し、そのIg産生をELISAに基づくアッセイで測定した。細胞を含むウェルを目視検査することで、吸光度405nmのコロニーサイズを正規化した。
【図5B】図5Bは、無血清培地1リットルを含む攪拌したバイオリアクターに3D2細胞を播種し、Igを産生させ、1〜5日目に生細胞数を記録後、対数期に測定した比産生率は24pg/細胞/日であることを示した図である。
【図6A】図6Aは、ミスマッチ修復阻害剤で処理したE5ハイブリドーマ細胞に認められる、BATマーカーの一塩基欠失の例を示した図である。ヒストグラム中央のピークを横切る点線は、野生型(wt)または短縮した(−1nt)フラグメントのサイズを示している。
【図6B】図6Bは、親細胞およびミスマッチ修復を阻害した細胞をマイクロプレートに播種し、それぞれ3,763および2,437個のIg分泌クローン(O.D.>0.2)が得られた図である。Ig濃度はELISAにより決定し、O.D.値が1を超えるクローンの頻度を記録し、分泌されたクローン総数の割合として表した。
【図7】図7では、完全ヒトハイブリドーマ細胞株の作成について各工程を説明したダイアグラム式フローチャートを提供している。
【図8】図8は、抗原特異的ヒトMAbsを選択するための抗原パネルELISAを図示している。前記パネルでは、3種類のGM−CSF特異的huMAbs、E10、G9、およびE5(説明せず)がヒトGM−CSFと反応し、他の抗原とは反応しなかった。アッセイ感度を高めるため、様々な抗原に対して特異的MAbsを用い、効率的な抗原コーティングを最適化した。615および215の2つは抗ヒトGM−CSFマウスMAbsである。
【図9】図9は、MAb E10のアイソタイプ決定について示している。E10のアイソタイプを決定するため、抗ヒトIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgM、Lκ、およびLλ Fc特異的抗体を用いた標準的な分析を行い、前記アイソタイプを導き出した。
【図10】図10はE10およびG9 MAbsを用いたウェスタン分析を示している。E10およびG9を用いてウエスタンブロット分析を行い、前記抗体がヒト組み換えGM−CSFと交差反応を起こすか否かを決定した。mAb215は、ポジティブコントロールとしてモノクローナル抗体を中和するマウス抗ヒトGM−CSFであり、レーン:1はタンパク質のネガティブコントロールとして腫瘍細胞溶解物を充填し、レーン:2は500ng rh GM−CSF(PeProTech、米国ニュージャージー州)を充填した。図5に示す通り、E10およびG9はヒトGM−CSFと反応した。
【図11】図11はE10のBIACORE分析を示している。E10.20は、会合速度定数(ka)=2.47x104、解離速度定数(kd)=2.16x10−5、全体的な親和性(KD)は0.87nMであった。
【図12】図12は、MAb G9のアイソタイプ決定について示している。G9のアイソタイプを決定するため、抗ヒトIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgM、Lκ、およびLλ特異的抗体を用いた標準的な分析を行い、前記アイソタイプを導き出した(サンプル2種類、図3)。
【図13】図13はG9のBIACORE分析を示している。10G9.1は、会合速度定数(ka)=8.47x106、解離速度定数(kd)=9.27x10−5、全体的な親和性(KD)は0.87nMであった。
【図14】図14はG9エピトープマッピングの戦略を図示している。G9エピトープ結合位置のマッピングに用いた重複ペプチドは、配列ID番号35〜38、および64〜85のアミノ酸配列に対応する。
【図15】図15は、配列ID番号35〜38、および64〜85のアミノ酸配列に対応するヒトGM−CSFタンパク質配列を網羅する重複ペプチドを用いた、ウエスタンブロット分析によるG9エピトープマッピング分析を示している。抗体陽性ペプチドには配列ID番号35〜38を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GM−CSFに特異的に結合する単離ヒトモノクローナル抗体。
【請求項2】
請求項1記載の抗体において、前記重鎖CDR3は配列ID番号42のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項3】
請求項1記載の抗体において、前記重鎖CDR3は配列ID番号48のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項4】
請求項1記載の抗体において、前記重鎖は配列ID番号8のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項5】
請求項1記載の抗体において、前記重鎖は配列ID番号16のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項6】
請求項1記載の抗体において、前記軽鎖は配列ID番号12のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項7】
請求項1記載の抗体において、前記軽鎖は配列ID番号18のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項8】
請求項1記載の抗体において、前記抗体の親和性は約1×10−8未満である。
【請求項9】
請求項1記載の抗体において、この抗体は、2つの重鎖を有するものである。
【請求項10】
請求項1記載の抗体において、この抗体は、2つの軽鎖を有するものである。
【請求項11】
配列ID番号35のアミノ酸配列を有するペプチドのエピトープに結合する抗体。
【請求項12】
配列ID番号36のアミノ酸配列を有するペプチドのエピトープに結合する抗体。
【請求項13】
配列ID番号37のアミノ酸配列を有するペプチドのエピトープに結合する抗体。
【請求項14】
配列ID番号38のアミノ酸配列を有するペプチドのエピトープに結合する抗体。
【請求項15】
請求項1記載の抗体と薬学的に許容される担体とを有する組成物。
【請求項16】
請求項1記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項17】
請求項16記載のポリヌクレオチドにおいて、前記重鎖の核酸配列は配列ID番号10を有するものである。
【請求項18】
請求項16記載のポリヌクレオチドにおいて、前記重鎖の核酸配列は配列ID番号17を有するものである。
【請求項19】
請求項16記載のポリヌクレオチドにおいて、前記軽鎖の核酸配列は配列ID番号14を有するものである。
【請求項20】
請求項16記載のポリヌクレオチドにおいて、前記軽鎖の核酸配列は配列ID番号19を有するものである。
【請求項21】
請求項12記載のポリヌクレオチド配列を有するベクター。
【請求項22】
請求項1記載の抗体を発現する細胞。
【請求項23】
請求項22記載の細胞において、前記細胞はハイブリドーマである。
【請求項24】
対象のGM−CSFを介した炎症性疾患を治療する方法であって、前記対象に、薬学的に許容される担体と、およびGM−CSFを介した炎症性疾患の治療に有効な量でGM−CSFに特異的に結合する少なくとも1つの抗体とを有する組成物を投与する工程を有する方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、前記対象はヒトである。
【請求項26】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号42のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を有するものである。
【請求項27】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号48のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を有するものである。
【請求項28】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号10のアミノ酸配列を有する重鎖を有するものである。
【請求項29】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号7のアミノ酸配列を有する重鎖を有するものである。
【請求項30】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号14のアミノ酸配列を有する軽鎖を有するものである。
【請求項31】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号19のアミノ酸配列を有する軽鎖を有するものである。
【請求項32】
請求項24記載の方法において、前記GM−CSFを介した炎症性疾患は関節リウマチである。
【請求項33】
請求項24記載の方法において、前記GM−CSFを介した炎症性疾患は多発性硬化症である。
【請求項34】
請求項24記載の方法において、前記GM−CSFを介した炎症性疾患は喘息である。
【請求項35】
請求項24記載の方法において、前記GM−CSFを介した炎症性疾患は肺胞タンパク症である。
【請求項36】
請求項24記載の方法において、前記GM−CSFを介した炎症性疾患は結腸癌、肺癌、乳癌、膵癌、白血病、または若年性骨髄単球性白血病である。
【請求項37】
GM−CSFに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作成する方法であって、
a.ex vivoで末梢血単核細胞とGM−CSFまたはその抗原フラグメントを混合し、抗GM−CSF抗体を作成する、前記混合する工程と、
b.前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を作成する、前記融合する工程と、
c.前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体のGM−CSFに対する特異的結合性を決定する工程と、
d.GM−CSFに特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択する工程と
を有し、それによりGM−CSFに特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項38】
請求項37記載の方法において、前記抗原フラグメントは、配列ID番号3、4、5、35、36、37、38、または39のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項39】
請求項37記載の方法において、前記ハイブリドーマ細胞は、ミスマッチ修復の化学抑制剤に曝露されるものである。
【請求項40】
請求項37記載の方法において、前記骨髄腫細胞は、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ型をコードするポリヌクレオチドを発現するものである。
【請求項41】
請求項40記載の方法において、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ型を有する前記ポリヌクレオチドは、不活性化されるものである。
【請求項42】
請求項37記載の方法によって生産されるハイブリドーマ細胞。
【請求項43】
請求項42記載のハイブリドーマ細胞によって産生される抗体。
【請求項44】
請求項37記載の方法において、前記ハイブリドーマ細胞は、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を発現するものである。
【請求項45】
請求項44記載の方法において、前記ハイブリドーマ細胞は、前記ミスマッチ修復阻害剤により治癒するものである。
【請求項46】
請求項1記載の抗体を作成する方法であって、前記抗体の産生に適した条件で宿主細胞を培養する工程と、前記細胞培養による抗体を回収する工程とを有する方法。
【請求項47】
配列ID番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項48】
配列ID番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項49】
配列ID番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項50】
配列ID番号35のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項51】
配列ID番号36のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項52】
配列ID番号37のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項53】
配列ID番号38のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項54】
配列ID番号39のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項55】
炎症性疾患を有する患者のヒトGM−CSFの生物活性を阻害する方法であって、炎症性疾患患者に請求項1記載の抗体を投与する工程を有する方法。
【請求項56】
請求項55記載の方法において、前記炎症性疾患は関節リウマチである。
【請求項57】
請求項55記載の方法において、前記炎症性疾患は多発性硬化症である。
【請求項58】
請求項55記載の方法において、前記炎症性疾患は喘息である。
【請求項59】
癌患者のヒトGM−CSFの生物活性を阻害する方法であって、癌患者に請求項1記載の抗体を投与する工程を有する方法。
【請求項60】
請求項59記載の方法において、前記癌は白血病である。
【請求項61】
請求項59記載の方法において、前記癌は若年性骨髄単球性白血病である。
【請求項62】
請求項59記載の方法において、この方法は、さらに、化学療法薬を前記患者に投与する工程を有するものである。
【請求項63】
請求項62記載の方法において、前記抗体は前記化学療法薬と結合されるものである。
【請求項64】
炎症性疾患を有する患者のヒトGM−CSFの生物活性を阻害する方法であって、炎症性疾患患者に請求項1記載の抗体を投与する工程を有する、方法。
【請求項65】
請求項64記載の方法において、前記感染症は敗血症性ショックである。
【請求項66】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞がミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を発現する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から産生した抗体または前記親ハイブリドーマ細胞によって産生された抗体よりも力価が高い産生抗体について、抗原に対する抗体の結合をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも抗原に対する親和性が高いか、力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項67】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体の抗原に対する結合をスクリーニングする工程と、前記抗原に対する抗体を哺乳類発現細胞に産生するハイブリドーマ細胞から免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記哺乳類発現細胞がミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を発現し、前記ハイブリドーマ細胞よりも高い力価で抗体を産生する哺乳類発現細胞、または前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比較し、抗原に対する親和性の高い抗体を産生する哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程とを有し、それによって、対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項68】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、ミスマッチ修復の化学抑制剤少なくとも1種類の存在下で前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、それによって過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも高い力価の抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項69】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体の抗原に対する結合をスクリーニングする工程と、抗原に対する抗体を哺乳類発現細胞に産生するハイブリドーマ細胞から免疫グロブリン遺伝子をクローニングする工程と、ミスマッチ修復遺伝子の化学抑制剤少なくとも1種類存在下、前記哺乳類発現細胞をインキュベートする工程と、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比べ、抗原に対する親和性が高い抗体を分泌する哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項70】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、ミスマッチ修復遺伝子の化学抑制剤少なくとも1種類存在下、前記ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、抗原結合抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項71】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を作成する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成する工程であって、前記親ハイブリドーマ細胞はミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を有し、ミスマッチ修復が欠損しているものである、前記混合させる工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることにより、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から産生した抗体の抗原に対する抗体結合性をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞から産生される抗体よりも抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞と比べ、抗体の力価が上昇した過剰変異ハイブリドーマ細胞の2回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項72】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合する工程であって、前記骨髄腫細胞は天然でミスマッチ修復が欠損しており、それによって、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記親ハイブリドーマ細胞のミスマッチ修復遺伝子が欠損しているものである、前記混合する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰発現ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原に対する抗体結合性について、1回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原への親和性が高い抗体を産生する、過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、親ハイブリドーマ細胞よりも高い力価の抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性の高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞について、2回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親細胞により産生される抗体よりも、前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項73】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、前記対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞はミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を有し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記親ハイブリドーマ細胞はミスマッチ修復を欠損しているものである、前記混合する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項74】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を作成し、抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、前記骨髄腫細胞が天然でミスマッチ修復を欠損することで、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞のミスマッチ修復が欠損している工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞または前記親細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項75】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、前記対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合することで、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体について抗原に対する抗体結合性をスクリーニングする工程と、前記ハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記発現細胞は天然でミスマッチ修復を欠損しており、前記発現細胞をインキュベートすることで突然変異を誘発し、前記親発現細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異発現細胞、または前記親発現細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異発現細胞をスクリーニングする工程と、前記親発現細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異発現細胞または前記親細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異発現細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する過剰変異発現細胞を作成する方法。
【請求項76】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞はミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を発現する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から産生される抗体または前記親ハイブリドーマ細胞によって産生されるものよりも力価が高い産生細胞について、抗原に対する抗体結合性をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも抗原に対する親和性が高いか、力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項77】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体の抗原に対する結合性をスクリーニングする工程と、前記抗原に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記哺乳類発現細胞がミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を発現し、前記ハイブリドーマ細胞よりも高い力価で抗体を産生する哺乳類発現細胞、または前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比べ、抗原に対する親和性の高い抗体を産生する哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項78】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、ミスマッチ修復の化学抑制剤少なくとも1種類の存在下で前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、それによって過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも高い力価の抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項79】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、抗原に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングする工程と、ミスマッチ修復の化学抑制剤少なくとも1種類の存在下で前記哺乳類発現細胞をインキュベートする工程と、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比べ、抗原に対する親和性の高い抗体を分泌する哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項80】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、ミスマッチ修復の化学抑制剤少なくとも1種類存在下、前記ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、抗原結合抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項81】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記親ハイブリドーマ細胞がミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を有し、ミスマッチ修復が欠損している工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原に対する抗体結合性をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞から産生される抗体よりも抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞と比べ、抗体の力価が上昇した過剰変異ハイブリドーマ細胞の2回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞によって産生されるものよりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項82】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、前記親骨髄腫細胞のミスマッチ修復が天然で欠損することで、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞のミスマッチ修復が欠損している工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰発現ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原に対する抗体結合性について、1回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原への親和性が高い抗体を産生する、過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、親ハイブリドーマ細胞よりも高い力価の抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性の高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞について、2回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項83】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞にミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を導入し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合して親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記親ハイブリドーマ細胞のミスマッチ修復が欠損している工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞または前記親細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項84】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、前記骨髄腫細胞が天然でミスマッチ修復を欠損することで、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞がミスマッチ修復を欠損し、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成させる工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項85】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合することで、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体について、抗原に対する抗体結合性をスクリーニングする工程と、前記ハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記発現細胞のミスマッチ修復が天然で欠損し、前記発現細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させ、前記親発現細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異発現細胞、または前記親発現細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異発現細胞をスクリーニングする工程と、前記親発現細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異発現細胞、または前記親細胞により産生される抗原に高い親和性を示す抗体を産生する過剰変異発現細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する過剰変異発現細胞を作成する方法。
【請求項1】
GM−CSFに特異的に結合する単離ヒトモノクローナル抗体。
【請求項2】
請求項1記載の抗体において、前記重鎖CDR3は配列ID番号42のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項3】
請求項1記載の抗体において、前記重鎖CDR3は配列ID番号48のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項4】
請求項1記載の抗体において、前記重鎖は配列ID番号8のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項5】
請求項1記載の抗体において、前記重鎖は配列ID番号16のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項6】
請求項1記載の抗体において、前記軽鎖は配列ID番号12のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項7】
請求項1記載の抗体において、前記軽鎖は配列ID番号18のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項8】
請求項1記載の抗体において、前記抗体の親和性は約1×10−8未満である。
【請求項9】
請求項1記載の抗体において、この抗体は、2つの重鎖を有するものである。
【請求項10】
請求項1記載の抗体において、この抗体は、2つの軽鎖を有するものである。
【請求項11】
配列ID番号35のアミノ酸配列を有するペプチドのエピトープに結合する抗体。
【請求項12】
配列ID番号36のアミノ酸配列を有するペプチドのエピトープに結合する抗体。
【請求項13】
配列ID番号37のアミノ酸配列を有するペプチドのエピトープに結合する抗体。
【請求項14】
配列ID番号38のアミノ酸配列を有するペプチドのエピトープに結合する抗体。
【請求項15】
請求項1記載の抗体と薬学的に許容される担体とを有する組成物。
【請求項16】
請求項1記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項17】
請求項16記載のポリヌクレオチドにおいて、前記重鎖の核酸配列は配列ID番号10を有するものである。
【請求項18】
請求項16記載のポリヌクレオチドにおいて、前記重鎖の核酸配列は配列ID番号17を有するものである。
【請求項19】
請求項16記載のポリヌクレオチドにおいて、前記軽鎖の核酸配列は配列ID番号14を有するものである。
【請求項20】
請求項16記載のポリヌクレオチドにおいて、前記軽鎖の核酸配列は配列ID番号19を有するものである。
【請求項21】
請求項12記載のポリヌクレオチド配列を有するベクター。
【請求項22】
請求項1記載の抗体を発現する細胞。
【請求項23】
請求項22記載の細胞において、前記細胞はハイブリドーマである。
【請求項24】
対象のGM−CSFを介した炎症性疾患を治療する方法であって、前記対象に、薬学的に許容される担体と、およびGM−CSFを介した炎症性疾患の治療に有効な量でGM−CSFに特異的に結合する少なくとも1つの抗体とを有する組成物を投与する工程を有する方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、前記対象はヒトである。
【請求項26】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号42のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を有するものである。
【請求項27】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号48のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を有するものである。
【請求項28】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号10のアミノ酸配列を有する重鎖を有するものである。
【請求項29】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号7のアミノ酸配列を有する重鎖を有するものである。
【請求項30】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号14のアミノ酸配列を有する軽鎖を有するものである。
【請求項31】
請求項24記載の方法において、前記抗体は配列ID番号19のアミノ酸配列を有する軽鎖を有するものである。
【請求項32】
請求項24記載の方法において、前記GM−CSFを介した炎症性疾患は関節リウマチである。
【請求項33】
請求項24記載の方法において、前記GM−CSFを介した炎症性疾患は多発性硬化症である。
【請求項34】
請求項24記載の方法において、前記GM−CSFを介した炎症性疾患は喘息である。
【請求項35】
請求項24記載の方法において、前記GM−CSFを介した炎症性疾患は肺胞タンパク症である。
【請求項36】
請求項24記載の方法において、前記GM−CSFを介した炎症性疾患は結腸癌、肺癌、乳癌、膵癌、白血病、または若年性骨髄単球性白血病である。
【請求項37】
GM−CSFに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作成する方法であって、
a.ex vivoで末梢血単核細胞とGM−CSFまたはその抗原フラグメントを混合し、抗GM−CSF抗体を作成する、前記混合する工程と、
b.前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を作成する、前記融合する工程と、
c.前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体のGM−CSFに対する特異的結合性を決定する工程と、
d.GM−CSFに特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択する工程と
を有し、それによりGM−CSFに特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項38】
請求項37記載の方法において、前記抗原フラグメントは、配列ID番号3、4、5、35、36、37、38、または39のアミノ酸配列を有するものである。
【請求項39】
請求項37記載の方法において、前記ハイブリドーマ細胞は、ミスマッチ修復の化学抑制剤に曝露されるものである。
【請求項40】
請求項37記載の方法において、前記骨髄腫細胞は、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ型をコードするポリヌクレオチドを発現するものである。
【請求項41】
請求項40記載の方法において、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ型を有する前記ポリヌクレオチドは、不活性化されるものである。
【請求項42】
請求項37記載の方法によって生産されるハイブリドーマ細胞。
【請求項43】
請求項42記載のハイブリドーマ細胞によって産生される抗体。
【請求項44】
請求項37記載の方法において、前記ハイブリドーマ細胞は、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を発現するものである。
【請求項45】
請求項44記載の方法において、前記ハイブリドーマ細胞は、前記ミスマッチ修復阻害剤により治癒するものである。
【請求項46】
請求項1記載の抗体を作成する方法であって、前記抗体の産生に適した条件で宿主細胞を培養する工程と、前記細胞培養による抗体を回収する工程とを有する方法。
【請求項47】
配列ID番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項48】
配列ID番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項49】
配列ID番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項50】
配列ID番号35のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項51】
配列ID番号36のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項52】
配列ID番号37のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項53】
配列ID番号38のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項54】
配列ID番号39のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項55】
炎症性疾患を有する患者のヒトGM−CSFの生物活性を阻害する方法であって、炎症性疾患患者に請求項1記載の抗体を投与する工程を有する方法。
【請求項56】
請求項55記載の方法において、前記炎症性疾患は関節リウマチである。
【請求項57】
請求項55記載の方法において、前記炎症性疾患は多発性硬化症である。
【請求項58】
請求項55記載の方法において、前記炎症性疾患は喘息である。
【請求項59】
癌患者のヒトGM−CSFの生物活性を阻害する方法であって、癌患者に請求項1記載の抗体を投与する工程を有する方法。
【請求項60】
請求項59記載の方法において、前記癌は白血病である。
【請求項61】
請求項59記載の方法において、前記癌は若年性骨髄単球性白血病である。
【請求項62】
請求項59記載の方法において、この方法は、さらに、化学療法薬を前記患者に投与する工程を有するものである。
【請求項63】
請求項62記載の方法において、前記抗体は前記化学療法薬と結合されるものである。
【請求項64】
炎症性疾患を有する患者のヒトGM−CSFの生物活性を阻害する方法であって、炎症性疾患患者に請求項1記載の抗体を投与する工程を有する、方法。
【請求項65】
請求項64記載の方法において、前記感染症は敗血症性ショックである。
【請求項66】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞がミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を発現する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から産生した抗体または前記親ハイブリドーマ細胞によって産生された抗体よりも力価が高い産生抗体について、抗原に対する抗体の結合をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも抗原に対する親和性が高いか、力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項67】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体の抗原に対する結合をスクリーニングする工程と、前記抗原に対する抗体を哺乳類発現細胞に産生するハイブリドーマ細胞から免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記哺乳類発現細胞がミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を発現し、前記ハイブリドーマ細胞よりも高い力価で抗体を産生する哺乳類発現細胞、または前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比較し、抗原に対する親和性の高い抗体を産生する哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程とを有し、それによって、対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項68】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、ミスマッチ修復の化学抑制剤少なくとも1種類の存在下で前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、それによって過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも高い力価の抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項69】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体の抗原に対する結合をスクリーニングする工程と、抗原に対する抗体を哺乳類発現細胞に産生するハイブリドーマ細胞から免疫グロブリン遺伝子をクローニングする工程と、ミスマッチ修復遺伝子の化学抑制剤少なくとも1種類存在下、前記哺乳類発現細胞をインキュベートする工程と、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比べ、抗原に対する親和性が高い抗体を分泌する哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項70】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、ミスマッチ修復遺伝子の化学抑制剤少なくとも1種類存在下、前記ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、抗原結合抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項71】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を作成する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成する工程であって、前記親ハイブリドーマ細胞はミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を有し、ミスマッチ修復が欠損しているものである、前記混合させる工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることにより、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から産生した抗体の抗原に対する抗体結合性をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞から産生される抗体よりも抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞と比べ、抗体の力価が上昇した過剰変異ハイブリドーマ細胞の2回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項72】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合する工程であって、前記骨髄腫細胞は天然でミスマッチ修復が欠損しており、それによって、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記親ハイブリドーマ細胞のミスマッチ修復遺伝子が欠損しているものである、前記混合する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰発現ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原に対する抗体結合性について、1回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原への親和性が高い抗体を産生する、過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、親ハイブリドーマ細胞よりも高い力価の抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性の高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞について、2回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親細胞により産生される抗体よりも、前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項73】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、前記対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、前記抗体産生細胞はミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を有し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記親ハイブリドーマ細胞はミスマッチ修復を欠損しているものである、前記混合する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項74】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を作成し、抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、前記骨髄腫細胞が天然でミスマッチ修復を欠損することで、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞のミスマッチ修復が欠損している工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞または前記親細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項75】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、末梢血単核細胞と対象抗原または対象抗原を発現する抗原提示細胞を有する細胞抽出物とをex vivoで混合し、前記対象抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を作成し、抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合することで、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体について抗原に対する抗体結合性をスクリーニングする工程と、前記ハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記発現細胞は天然でミスマッチ修復を欠損しており、前記発現細胞をインキュベートすることで突然変異を誘発し、前記親発現細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異発現細胞、または前記親発現細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異発現細胞をスクリーニングする工程と、前記親発現細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異発現細胞または前記親細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異発現細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する過剰変異発現細胞を作成する方法。
【請求項76】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞はミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を発現する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から産生される抗体または前記親ハイブリドーマ細胞によって産生されるものよりも力価が高い産生細胞について、抗原に対する抗体結合性をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも抗原に対する親和性が高いか、力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項77】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体の抗原に対する結合性をスクリーニングする工程と、前記抗原に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記哺乳類発現細胞がミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を発現し、前記ハイブリドーマ細胞よりも高い力価で抗体を産生する哺乳類発現細胞、または前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比べ、抗原に対する親和性の高い抗体を産生する哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項78】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、ミスマッチ修復の化学抑制剤少なくとも1種類の存在下で前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、それによって過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも高い力価の抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項79】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、抗原に対する抗体を産生するハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングする工程と、ミスマッチ修復の化学抑制剤少なくとも1種類の存在下で前記哺乳類発現細胞をインキュベートする工程と、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体と比べ、抗原に対する親和性の高い抗体を分泌する哺乳類発現細胞をスクリーニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項80】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、ミスマッチ修復の化学抑制剤少なくとも1種類存在下、前記ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、抗原結合抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項81】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記親ハイブリドーマ細胞がミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を有し、ミスマッチ修復が欠損している工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原に対する抗体結合性をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞から産生される抗体よりも抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞と比べ、抗体の力価が上昇した過剰変異ハイブリドーマ細胞の2回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞によって産生されるものよりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項82】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、前記親骨髄腫細胞のミスマッチ修復が天然で欠損することで、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞のミスマッチ修復が欠損している工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記過剰発現ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原に対する抗体結合性について、1回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原への親和性が高い抗体を産生する、過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程と、親ハイブリドーマ細胞よりも高い力価の抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性の高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞について、2回目のスクリーニングを行う工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作成する方法。
【請求項83】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、前記抗体産生細胞にミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブ対立遺伝子を導入し、前記抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合して親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記親ハイブリドーマ細胞のミスマッチ修復が欠損している工程と、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成する工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞または前記親細胞により産生される抗体よりも前記抗原に対する親和性が高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項84】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合し、前記骨髄腫細胞が天然でミスマッチ修復を欠損することで、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞がミスマッチ修復を欠損し、前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させることで、過剰変異ハイブリドーマ細胞を形成させる工程と、前記親ハイブリドーマ細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞、または前記親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程と、前記過剰変異ハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングする工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法。
【請求項85】
標的抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する哺乳類発現細胞を作成する方法であって、対象抗原を負荷した動物から単離された骨髄または末梢血細胞を培養し、前記対象抗原に対する抗体を産生する細胞を単離し、抗体産生細胞と骨髄腫細胞を融合することで、親ハイブリドーマ細胞を形成し、前記ハイブリドーマ細胞から産生される抗体について、抗原に対する抗体結合性をスクリーニングする工程と、前記ハイブリドーマ細胞から哺乳類発現細胞に免疫グロブリン遺伝子をクローニングし、前記発現細胞のミスマッチ修復が天然で欠損し、前記発現細胞をインキュベートし、突然変異を誘発させ、前記親発現細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異発現細胞、または前記親発現細胞により産生される抗体よりも親和性が高い抗原に結合する抗体を産生する過剰変異発現細胞をスクリーニングする工程と、前記親発現細胞よりも力価の高い抗体を産生する過剰変異発現細胞、または前記親細胞により産生される抗原に高い親和性を示す抗体を産生する過剰変異発現細胞を選択する工程とを有し、それによって、前記対象抗原に特異的に結合する抗体を産生する過剰変異発現細胞を作成する方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−526082(P2009−526082A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554507(P2008−554507)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/061874
【国際公開番号】WO2007/092939
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(506031948)モルフォテック、インク. (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/061874
【国際公開番号】WO2007/092939
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(506031948)モルフォテック、インク. (16)
【Fターム(参考)】
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