説明

抗炎症剤

【課題】 3−アシル化フラバン−3−オール化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする抗炎症剤を提供すること。
【解決手段】 抗炎症作用を有する物質として今回新たに3−アシル化フラバン−3−オール化合物を見出した。3−アシル化フラバン−3−オール化合物は、アシル基の炭素鎖長が長い程、その活性が強いことを見出した。したがって、この3−アシル化フラバン−3−オール化合物は、抗炎症剤として食品や医薬品等へ利用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−アシル化フラバン−3−オール化合物の新規な医薬用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アトピー性皮膚炎、化学物質過敏症、花粉症など、炎症性疾患の患者数が増大し、社会問題になっている。従来、皮膚炎などの炎症性疾患にはステロイド系の薬剤が多用され、一定の治療効果が認められてきた。しかし、最近ではむしろ、ステロイド剤の過剰使用による副作用が問題とされるようになってきている。また、非ステロイド系の抗炎症剤であるアスピリンや、インドメタシンは、多量に服用することにより、急性の胃潰瘍を発症するなど深刻な副作用を有している。
一方、フラバン−3−オール化合物は、植物中に広く存在し、その中には有用な特性を有する化合物が数多く含まれている。例えば、3位の水酸基にアシル基を導入したフラバン−3−オール化合物の生物活性、及び、その利用に関しては、例えば、下記の非特許文献1において、3位の水酸基に炭素鎖長3〜18のアシル基を導入した(2R,3R)−3’,4’,5’,5,7−ペンタヒドロキシフラバン−3−オール{(−)−エピガロカテキン、EGC}の抗腫瘍活性が評価され、炭素鎖長8〜10のアシル基を導入した誘導体が、(2R,3R)−3’,4’,5’,5,7−ペンタヒドロキシフラバン−3−ガレート{(−)−エピガロカテキンガレート、EGCg}よりも強い活性を持つことが見出されている。また、3位の水酸基にアシル基を導入したフラバン−3−オール化合物の、免疫調節特性を有する化合物としての用途についての特許文献が存在する(下記特許文献1参照)。さらに、3位の水酸基にアシル基を導入したカテキン類が油脂類に対して優れた抗酸化性を有することが知られている(下記特許文献2参照)。しかしながら、3位の水酸基にアシル基を導入したフラバン−3−オール化合物についての抗炎症作用に関する開示は、これまでなされていない。
【特許文献1】特開昭56−154415号公報
【特許文献2】特開平6−279430公報
【非特許文献1】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2000, 10, 1673-1675頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、安全性が高く、かつ、抗炎症作用において優れている物質を見出し、新規な抗炎症剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、3位の水酸基にアシル基を導入したフラバン−3−オール化合物が強い抗炎症作用を有することを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、請求項1記載の本発明は、下記の一般式(1)により表される3−アシル化フラバン−3−オール化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする抗炎症剤である。
【0006】
【化4】

【0007】
(式中、R1、R2、R3、R5、R6は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、低級アルコキシ基、低級アシルオキシ基を表し、R4は、直鎖もしくは分岐状のアルキル基を表す)
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の抗炎症剤において、有効成分が下記の一般式(2)により表される3−アシル化フラバン−3−オール化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0009】
【化5】

【0010】
(式中、R1、R2、R3、R4は前記の通り)
【0011】
請求項3記載の本発明は、請求項1または2記載の抗炎症剤において、有効成分が下記の一般式(3)により表される3−アシル化フラバン−3−オール化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0012】
【化6】

【0013】
(式中、R1、R2、R3は前記の通り。nは4〜16の整数を表す)
【発明の効果】
【0014】
本発明の抗炎症剤は、抗炎症作用において優れているだけでなく、安全性においても問題が無い。したがって、医薬品としての使用はもとより、食品、化粧品などに添加するなど、多様な利用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の具体的態様、技術的範囲等について詳しく説明する。
【0016】
本発明は、3−アシル化フラバン−3−オール化合物が炎症を抑制しうることに基づくものであり、特に、12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate(TPA)によって誘発される慢性炎症に対して好適に効果を奏する。
【0017】
フラバン−3−オール化合物とは、一般的に、式(4)により表される骨格を有する化合物の総称である。
【0018】
【化7】

【0019】
本発明の抗炎症剤の有効成分である3−アシル化フラバン−3−オール化合物とは、フラバン−3−オール化合物の3位の水酸基をアシル化した化合物であり、下記の一般式(1)により表される化学構造を有するものである。
【0020】
【化8】

【0021】
(式中、R1、R2、R3、R5、R6は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、低級アルコキシ基、低級アシルオキシ基を表し、R4は、直鎖もしくは分岐状のアルキル基を表す)
【0022】
ここで、3位の水酸基に導入されるアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基などの炭素数が2〜20のものが挙げられる。これらアシル基は直鎖状であっても分岐状であってもどちらでもよい。本発明の抗炎症活性はアシル基の炭素鎖長が長くなるほど強くなる傾向があるため、炭素数が6〜18であるヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基などを用いることが好ましく、炭素数が12〜18であるラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基などを用いることがさらに好ましい。
【0023】
低級アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、1−メチルエトキシ基、1,1−ジメチルエトキシ基、プロポキシ基、2−メチルプロポキシ基等の直鎖もしくは分岐した炭素数が1〜6のものが挙げられる。低級アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、2,2−ジメチルプロピオニルオキシ基等の直鎖もしくは分岐した炭素数が2〜6のものが挙げられる。
【0024】
一般式(1)で表される3−アシル化フラバン−3−オール化合物は、2位と3位に不斉炭素を有するので、種々の立体異性体や光学異性体が存在し得るが、本発明の抗炎症剤の有効成分としては、そのいずれであってもよい。
【0025】
3位の水酸基がアシル化されるフラバン−3−オール化合物の具体例としては、下記の一般式(5)により表される化学構造を有するものが挙げられる。
【0026】
【化9】

【0027】
(式中、R1、R2、R3は前記の通り)
【0028】
一般式(5)により表される化学構造を有するフラバン−3−オール化合物から合成される3−アシル化フラバン−3−オール化合物の具体例としては、以下のような化合物が挙げられる。
【0029】
(2R,3S)−5,7−ジヒドロキシフラバン−3−オール{一般式(5)においてR1、R2、R3は水素原子を表し、2位および3位の立体配置は2R、3Sを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化−5,7−ジヒドロキシフラバン−3−オール。
(2S,3R)−5,7−ジヒドロキシフラバン−3−オール{一般式(5)においてR1、R2、R3は水素原子を表し、2位および3位の立体配置は2S、3Rを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化−5,7−ジヒドロキシフラバン−3−オール。
(2S,3S)−5,7−ジヒドロキシフラバン−3−オール{一般式(5)においてR1、R2、R3は水素原子を表し、2位および3位の立体配置は2S、3Sを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化−5,7−ジヒドロキシフラバン−3−オール。
(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシフラバン−3−オール{一般式(5)においてR1、R2、R3は水素原子を表し、2位および3位の立体配置は2R、3Rを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化−5,7−ジヒドロキシフラバン−3−オール。
【0030】
(2R,3S)−4’,5,7−トリヒドロキシフラバン−3−オール{(+)−アフゼレキン:一般式(5)においてR1、R3は水素原子を表し、R2は水酸基を表し、2位および3位の立体配置は2R、3Sを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化アフゼレキン。
(2S,3R)−4’,5,7−トリヒドロキシフラバン−3−オール{(−)−アフゼレキン:一般式(5)においてR1、R3は水素原子を表し、R2は水酸基を表し、2位および3位の立体配置は2S、3Rを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化アフゼレキン。
(2S,3S)−4’,5,7−トリヒドロキシフラバン−3−オール{(+)−エピアフゼレキン:一般式(5)においてR1、R3は水素原子を表し、R2は水酸基を表し、2位および3位の立体配置は2S、3Sを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化エピアフゼレキン。
(2R,3R)−4’,5,7−トリヒドロキシフラバン−3−オール{(−)−エピアフゼレキン:一般式(5)においてR1、R3は水素原子を表し、R2は水酸基を表し、2位および3位の立体配置は2R、3Rを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化エピアフゼレキン。
【0031】
(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール{(+)−カテキン:一般式(5)においてR3は水素原子を表し、R1、R2は水酸基を表し、2位および3位の立体配置は2R、3Sを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化カテキン。
(2S,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール{(−)−カテキン:一般式(5)においてR3は水素原子を表し、R1、R2は水酸基を表し、2位および3位の立体配置は2S、3Rを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化カテキン。
(2S,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール{(+)−エピカテキン:一般式(5)においてR3は水素原子を表し、R1、R2は水酸基を表し、2位および3位の立体配置は2S、3Sを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化エピカテキン。
(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール{(−)−エピカテキン:一般式(5)においてR3は水素原子を表し、R1、R2は水酸基を表し、2位および3位の立体配置は2R、3Rを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化エピカテキン。
【0032】
(2R,3S)−3’,4’,5’,5,7−ペンタヒドロキシフラバン−3−オール{(+)−ガロカテキン:一般式(5)においてR1、R2、R3は水酸基を表し、2位および3位の立体配置は2R、3Sを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化ガロカテキン。
(2S,3R)−3’,4’,5’,5,7−ペンタヒドロキシフラバン−3−オール{(−)−ガロカテキン:一般式(5)においてR1、R2、R3は水酸基を示し、2位および3位の立体配置は2S、3Rを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化ガロカテキン。
(2S,3S)−3’,4’,5’,5,7−ペンタヒドロキシフラバン−3−オール{(+)−エピガロカテキン:一般式(5)においてR1、R2、R3は水酸基を表し、2位および3位の立体配置は2S、3Sを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化エピガロカテキン。
(2R,3R)−3’,4’,5’,5,7−ペンタヒドロキシフラバン−3−オール{(−)−エピガロカテキン:一般式(5)においてR1、R2、R3は水酸基を表し、2位および3位の立体配置は2R、3Rを表す}の3位の水酸基をアシル化した3−アシル化エピガロカテキン。
【0033】
なお、前記の具体例には、一般式(5)により表されるフラバン−3−オール化合物において、5位(R5)と7位(R6)がいずれも水酸基である化合物群しか挙げていないが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、下記の一般式(6)により表されるフラバン−3−オール化合物のように、5位が水素原子、7位が水酸基である化合物群や、下記の一般式(7)により表されるフラバン−3−オール化合物のように、5位が水酸基、7位が水素原子である化合物群や、下記の一般式(8)により表されるフラバン−3−オール化合物のように、5位と7位がいずれも水素原子である化合物群も含むことができる。
【0034】
【化10】

【0035】
(式中、R1、R2、R3は前記の通り)
【0036】
【化11】

【0037】
(式中、R1、R2、R3は前記の通り)
【0038】
【化12】

【0039】
(式中、R1、R2、R3は前記の通り)
【0040】
本発明で有効成分として用いる3−アシル化フラバン−3−オール化合物は、特に、天然に存在する化合物であることが好ましく、例えば、3−アシル化アフゼレキン、3−アシル化エピアフゼレキン、3−アシル化カテキン、3−アシル化エピカテキン、3−アシル化ガロカテキン、3−アシル化エピガロカテキンが挙げられる。さらに好ましくは、3−アシル化カテキン、3−アシル化エピカテキンである。
【0041】
次に、本発明の抗炎症剤の有効成分である3−アシル化フラバン−3−オール化合物の製造方法について説明する。
まず、原料となるフラバン−3−オール化合物について、その代表的な化合物であるカテキン類は、主にツバキ科に属する茶樹(Camellia sinensis)から得られる葉、茎、木部、樹皮、根、実、種子のいずれか、あるいはこれらの2種類以上の混合物もしくはそれらの粉砕物から水、熱水、有機溶媒、含水有機溶媒あるいはこれらの混合物などにより抽出することにより得られる。特に、茶生葉あるいはその乾燥物から水、熱水、有機溶媒、含水有機溶媒、これらの混合物などを用いて抽出することにより得られる抽出物自体、或い必要に応じて精製して得られる精製物として得ることが好ましい。カテキン類の精製物に関しては、特公平1−44232号公報、同2−12474号公報、同2−22755号公報、特開平4−20589号公報、同5−260907号公報、同8−09178号公報などに記載された方法により製造することができ、例えば茶葉を上記の溶媒で抽出して得られた抽出物を、有機溶媒分画や吸着樹脂などを用いて所望の程度に精製することができる。茶以外の植物から抽出する場合も、茶の場合と同様の方法により実施すればよい。また、本発明で使用するカテキン類は市販品を用いてもよく、このような市販品としては、例えば三井農林(株)製「ポリフェノン」、太陽化学(株)製「サンフェノン」、(株)伊藤園製「テアフラン」などを例示することができる。
【0042】
このようにして得られたフラバン−3−オール化合物の3位をアシル化する方法は、特に限定されるものではなく、一般的によく知られている方法を用いればよい。例えば、下記の一般式(9)により表される容易に入手可能な(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール{(+)−カテキン:一般式(9)においてR7は水酸基を表し、R8は水素原子を表す}、及び、(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール{(−)−エピカテキン:一般式(9)においてR7は水素原子を表し、R8は水酸基を表す}を原料として用い、各種の3−アシル化カテキン及び3−アシル化エピカテキンを以下の方法によって合成することができる。
【0043】
【化13】

【0044】
(式中、R7とR8の組み合わせは、R7が水酸基でR8が水素原子であるか、R7が水素原子でR8が水酸基であるかのいずれかである)
【0045】
【化14】

【0046】
(式中、RはR4と同義)
【0047】
[第一行程]
本行程は、一般式[I]で表される公知の3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール化合物(木材学会誌、1991,37,488−493頁)の3位の水酸基にアシル基を導入し、一般式[II]で表される3−アシル化3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン化合物を製造するものである。使用する塩基は、ピリジンやトリエチルアミンなど、通常のアシル化反応に用いることができる塩基であれば如何なる塩基も使用できる。また、この行程に用いられる溶媒としては、反応に関与しないものであれば如何なるものも使用できるが、好適には塩素系溶媒、特にジクロロメタンが用いられる。
【0048】
[第二行程]
本行程は、一般式[II]で表される3−アシル化3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン化合物の保護基であるベンジル基を脱保護して、一般式[III]で表される3−アシル化3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール化合物を製造するものである。水素雰囲気化、パラジウムなどの触媒を加えベンジル基を脱保護するが、この行程に用いられる触媒としては、ベンジル基以外の部位に影響を及ぼさないものであれば、如何なる触媒でも使用できるが、公知の方法(J.Am.Chem.Soc.,1999,121,12073−12081頁)、Pd(OH)2/Cを用いる方法が良い。また、この行程に用いられる溶媒としては、反応に関与しないものであれば如何なるものも使用できるが、公知の方法(文献)であるPd(OH)2/Cとの組み合わせで用いられるテトラヒドロフラン−メタノール−水の混合溶媒が良い。
【0049】
この他にも、例えば、ホウ素化合物を用いたカテキン誘導体の合成法(特開昭57−118580号公報、特開昭57−120584号公報)、トリフルオロ酢酸と酸塩化物を用いる方法(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2000, 10, 1673-1675頁)、リパーゼを用いる方法(Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic, 2000, 10, 577-582頁)等の方法を用いることができる。
【0050】
本発明の抗炎症剤の用途としては、一般的な炎症による痛みやかゆみの改善を目的とした飲食品、医薬品、医薬部外品及び化粧品等の他に、アトピー性皮膚炎の皮膚の炎症に伴うかゆみや炎症及び花粉症に伴う炎症の軽減を目的とした飲食品、医薬品、医薬部外品及び化粧品等としても使用することが出来る。また、汎用化粧品成分による炎症予防を目的とした成分としても用いることが出来る。更に、紙おむつを構成するセンターシートや吸収体等の吸収性物品、お尻ふきやウエットティッシュ等のシート状製品に適当な方法で含浸させることにより、おむつかぶれの予防・改善等の抗炎症機能を付加した製品を得ることも出来る。
【0051】
本発明の抗炎症剤は、飲食品や医薬品等へ配合した形態で摂取してもよいが、そのまま単独で摂取することもできる。その摂取量は、摂取形態、年齢、体重などにより異なり、特に制限されるものではないが、体重1kgあたり0.1mg〜100mg/回の摂取が好ましく、0.5mg〜50mg/回の摂取がより好ましい。このとき、1日当たりの摂取回数は1回若しくは数回とする。例えば、注射用製剤の場合、成人で本発明の化合物の重量として1日あたり1mg〜60mgの静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射が適当である。なお、本発明においては、有効成分となる一般式(1)により表される3−アシル化フラバン−3−オール化合物またはその薬学的に許容される塩を単独で用いてもよいし、2種以上を所望とする混合比で組み合わせて用いてもよい。ここで、3−アシル化フラバン−3−オール化合物の薬学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩や、マグネシウム塩やカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
【0052】
本発明の抗炎症剤の投与方法は特に限定されるものではなく種々の方法で投与することができる。
【0053】
本発明の抗炎症剤を単独で製剤化する場合における製剤形態は、有効成分として前述の3−アシル化フラバン−3−オール化合物を含んでなるものであればどのような形態であってもよく、例えば粉末状、顆粒状、錠剤などの固形状であってもよいし、液状や半固形状などであってもよい。
【0054】
また、本発明の抗炎症剤は、他の抗炎症剤と併用して用いても何ら問題は生じない。他の抗炎症剤と併用した場合には、より優れた抗炎症効果を期待することができる。
【0055】
本発明の抗炎症剤を単独で製剤化する場合、あるいは飲食品や医薬品等に配合して利用する場合には、必要に応じて、各種添加剤と適宜組み合わせて用いてもよい。例えば、結合剤、崩壊剤、増量剤、酸化防止剤、着色剤、香料、矯味剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、溶解補助剤、保存剤、糖類、甘味料、酸味料、ビタミン類などの公知の各種添加剤等を適宜に組み合わせて使用することができる。ここに、結合剤としてデンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等を例示できる。崩壊剤としてはデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等を例として挙げることができる。界面活性剤の例としてラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等を挙げることができる。滑沢剤では、タルク、ロウ類、水素添加植物油、蔗糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール等を例示できる。流動性促進剤では、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等を例として挙げることができる。また、注射用製剤として利用する場合は、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、ラッカセイ油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール等を用いることができる。さらに必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤を加えてもよい。また、安定性の点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥処理により水分を除き、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。さらに必要に応じて、等張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤を加えてもよい。
【0056】
本発明の抗炎症剤の配合対象物である飲食品や医薬品等は、抗炎症剤の有効成分である3−アシル化フラバン−3−オール化合物を配合することができるものであれば、どのような形態であってもよく、例えば水溶液や混濁物や乳化物などの液状形態であっても、ゲル状やペースト状の半固形状形態であっても、粉末や顆粒やカプセルやタブレットなどの固形状形態であってもよい。
【0057】
飲食品としては、例えば、即席食品類(即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席味噌汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズドライ食品など)、炭酸飲料、柑橘類(グレープフルーツ、オレンジ、レモンなど)の果汁や果汁飲料や果汁入り清涼飲料、柑橘類の果肉飲料や果粒入り果実飲料、トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガスなどの野菜を含む野菜系飲料、豆乳・豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料やタバコなどの嗜好飲料・嗜好品類、パン、マカロニ・スパゲッティ、麺類、ケーキミックス、唐揚げ粉、パン粉、ギョーザの皮などの小麦粉製品、キャラメル・キャンディー、チューイングガム、チョコレート、クッキー・ビスケット、ケーキ・パイ、スナック・クラッカー、和菓子・米菓子・豆菓子、デザート菓子などの菓子類、しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類、甘味料などの基礎調味料、風味調味料、調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類などの複合調味料・食品類、バター、マーガリン類、マヨネーズ類、植物油などの油脂類、牛乳・加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリームなどの乳・乳製品、素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済み冷凍食品などの冷凍食品、水産缶詰め、果実缶詰め・ペースト類、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、水産乾物類、佃煮類などの水産加工品、畜産缶詰め・ペースト類、畜肉缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物・煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)などの農産加工品、ベビーフード、ふりかけ・お茶漬けのりなどの市販食品などが挙げられる。また、家畜用配合飼料(養牛用飼料、養豚用飼料、養鶏用飼料など)やペットフードなどの動物用飼料であってもよい。
【0058】
医薬用組成物の形態としては、例えば、錠剤、丸剤、飲用液剤、懸濁剤、乳剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤や、注射剤、外用液剤、貼付剤、軟膏剤、クリーム剤、直腸内投与のための坐剤、吸入剤、点鼻剤、スプレー剤等の非経口剤が挙げられる。
【0059】
飲食品や医薬品等への本発明の抗炎症剤の配合方法は特に制限されるものではなく、飲食品や医薬品等の調製段階において、この分野で通常知られた慣用的な方法を用いて配合することができる。また、飲食品や医薬品などに対する本発明の抗炎症剤の配合量については特に制限されないが、配合対象となる物品により配合量を適宜設定することが好ましい。一般的には、最終製品中で0.0001〜50重量%であればよいが、0.001〜20重量%であることが好ましく、さらに0.01〜10重量%がより好ましい。飲食品の場合は、最終製品中で0.0001〜5重量%であればよいが、0.001〜1重量%であることが好ましく、さらに0.01〜0.5重量%がより好ましく、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【実施例】
【0060】
以下に製造例、試験例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
製造例1:化合物1{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ヘキサノエート}の製造
工程1:(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オールの製造
(+)−カテキン{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール}(20.0g,0.069mol)を蒸留して脱水したDMF500mLに溶かし、氷冷しながら炭酸カリウム(52.4g,0.38mol)を少しずつ加えた。10分間0度で攪拌した後、ベンジルブロミド(58.9g、0.34mol)を滴下し、48時間室温で攪拌した。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、生じた沈殿を濾過して祖生成物を得た。この組成生物を酢酸エチルに溶解させ、水、及び、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥した。濾過・濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色粉末の(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(23.8g,0.037mol,53%)を得た。
【0062】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.45-7.29 (20H, m), 7.03 (1H, s), 6.95 (2H, s), 6.27 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.20 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.20-5.13 (2H, m), 5.18 (2H, s), 5.03 (2H, s), 4.99 (2H, s), 4.64 (1H, d, J = 8.3 Hz), 4.06-3.98 (1H, m), 3.11 (1H, dd, J = 5.6, 16.3 Hz), 2.65 (1H, dd, J = 9.0, 16.3 Hz), 1.61 (1H, d, J = 3.9 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 158.8, 157.8, 155.3, 149.3, 149.1, 137.1, 137.0, 136.9, 136.8, 130.8, 128.6, 120.51 (x2), 128.48, 128.44, 128.0, 127.9, 127.8 (x2), 127.52, 127.47, 127.2, 127.1, 120.6, 115.0, 113.8, 102.3, 94.3, 93.8, 81.6, 71.3, 71.2, 71.1, 69.9, 69.2, 27.6.
【0063】
工程2:(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ヘキサノエートの製造
工程1で得られた(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(500mg,0.77mmol)を蒸留して脱水したジクロロメタン30mLに溶かし、氷冷しながらトリエチルアミン(0.32mL,2.31mmol)、ヘキサノイルクロライド(0.16mL,1.16mmol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(5mg)を加え、12時間室温で攪拌した。水で反応を止め、クロロホルムで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過・濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、無色油状物の(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ヘキサノエート(495mg、0.66mmol,86%収率)を得た。
【0064】
[α]D25= +8.8 (c 1.92, CHCl3); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.43-7.25 (20H, m), 6.98 (1H, br s), 6.88 (2H, br s), 6.25 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.23 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.35-5.29 (1H, m), 5.16 (2H, s), 5.13 (2H, s), 5.00 (4H, s), 5.00-4.95 (1H, m), 2.90 (1H, dd, J = 5.6, 16.8 Hz), 2.70 (1H, dd, J = 6.5, 16.8 Hz), 2.20-2.10 (2H, m), 1.47-1.39 (2H, m), 1.28-1.05 (4H, m), 0.83 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 172.8, 158.8, 157.7, 154.8, 148.83, 148.75, 137.1, 137.0, 136.8, 131.0, 128.5, 128.44, 128.37, 128.35, 127.9, 127.8, 127.7 (x2), 127.5, 127.3, 127.1 (x3), 119.9, 114.6, 113.3, 101.3, 94.3, 93.6, 78.3, 71.14, 71.05, 69.99, 69.8, 68.6, 34.2, 30.9, 24.4, 24.0, 22.2, 13.8; IR (neat, cm-1) 3065 (m), 3032 (m), 2955 (s), 2932 (s), 2870 (s), 1952 (w), 1871 (w), 1809 (w), 1736 (s), 1630 (s), 1593 (s), 1515 (s), 1379 (m), 1265 (m), 1145 (s), 1028 (m), 910 (w), 850 (w), 812 (m), 754 (s); FAB-MS (m/z) 722 (3.2), 771 ([M+Na]+, 5.1), 750 (13), 749 ([M+H]+, 24), 748 (5.5), 723 (12), 722 (12), 634 (24), 633 (70), 632 (100), 631 (20); FAB-HRMS 計算値 C49H49O7 [M+H]+, 749.3478; 実測値: 749.3480.
【0065】
工程3:(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ヘキサノエートの製造
工程2で得られた(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ヘキサノエート(382mg,0.51mmol)をテトラヒドロフラン−メタノール−水(20:1:1,22mL)に溶解し、触媒として20%Pd(OH)2/C(5mg)を加え、水素雰囲気下12時間攪拌しベンジル基を脱保護した。触媒を濾過して除き、濾液を濃縮し、Cosmosil(登録商標)75C−18OPNカラムクロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、目的物である、無色油状物の化合物1{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ヘキサノエート}(131mg,0.34mmol,67%)を得た。
【0066】
[α]D24= +8.7 (c 1.06, CH3COCH3); 1H-NMR (400 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 6.78 (1H, d, J = 1.7, 6.71 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.61 (1H, dd, J = 1.7, 8.3 Hz), 5.97 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.84 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.14 (1H, ddd, J = 5.4, 6.8, 6.8 Hz), 4.82 (1H, d, J = 6.8 Hz), 2.73 (1H, dd, J = 5.4, 16.4 Hz), 2.52 (1H, dd, J = 6.8, 16.4 Hz), 2.12-2.08 (2H, m), 1.39-1.30 (2H, m), 1.18-1.00 (4H, m), 0.74 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 173.3, 157.8, 157.0, 155.9, 145.7, 145.6, 130.5, 118.9, 115.6, 114.3, 98.8, 96.1, 95.0, 78.7, 69.9, 34.6, 31.5, 25.1, 24.6, 22.7, 14.0; FAB-MS (m/z) 412 (8.2), 411([M+Na]+, 27), 410 (8.7), 391 (15), 390 (17), 389 ([M+H]+, 59), 388 (9.3), 274 (17), 273 (71), 272 (100), 271 (28); FAB-HRMS 計算値 C21H25O7 [M+H]+, 389.1600; 実測値: 389.1568.
【0067】
製造例2:化合物2{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オクタノエート}の製造
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、製造例1の工程1で得られた(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(500mg,0.77mmol)のジクロロメタン溶液(30mL)に、氷冷しながらトリエチルアミン(0.32mL,2.31mmol)、オクタノイルクロライド(0.20mL,1.16mmol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(5mg)を加え反応させ、後処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、淡黄色油状物の(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オクタノエート(388mg、0.50mmol,65%収率)を得た。
【0068】
[α]D24= +8.0 (c 1.64, CHCl3); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.43-7.28 (20H, m), 6.98 (1H, br s), 6.88 (2H, br s), 6.26 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.23 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.20-5.35 (1H, m), 5.13 (2H, s), 5.10 (2H, s), 5.00 (4H, s), 5,00-4.90 (1H, m), 2.89 (1H, dd, J = 5.2, 16.9 Hz), 2.70 (1H, dd, J = 6.6, 16.9 Hz), 2.26 (2H, m), 1.48-1.41 (2H, m), 1.28-1.14 (8H, m), 0.88 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 127.9, 158.9, 157.6, 154.9, 148.9, 148.8, 137.2, 137.1, 136.8, 131.1, 128.6, 128.52, 128.45, 128.42 (x2), 128.0, 127.9, 127.8 (x2), 127.6, 127.4, 127.22, 127.19, 119.9, 114.8, 113.4, 101.4, 94.3, 93.7, 78.3, 71.23, 71.18, 70.1, 69.9, 68.7, 34.3, 31.6, 28.7 (x2), 24.8, 24.0, 22.6, 14.0; IR (neat, cm-1) 3065 (w), 3032 (m), 2928 (s), 2859 (m), 1734 (s), 1618 (s), 1593 (s), 1516 (s), 1377 (s), 1265 (s), 1145 (s), 1028 (s), 910 (w), 852 (w), 812 (w), 754 (s); FAB-MS (m/z) 800 (3.1), 799 ([M+Na]+, 6.1), 778 (15), 777 ([M+H]+, 27),776 (6.0), 633 (72), 632 (100), 631 (17); FAB-HRMS 計算値 C51H53O7 [M+H]+, 777.3791; 実測値: 777.3787.
【0069】
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オクタノエート(218mg,0.28mmol)のテトラヒドロフラン−メタノール−水(20:1:1,22mL)溶液に、20%Pd(OH)2/C(5mg)を加え、水素雰囲気下12時間攪拌しベンジル基を脱保護した。後処理後、Cosmosil(登録商標)75C−18OPNカラムクロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、目的物である、無色油状物の化合物2{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オクタノエート}(111mg,0.27mmol,96%)を得た。
【0070】
[α]D25= +7.9 (c 0.34, CH3COCH3); 1H-NMR (400 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 6.83 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.76 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.65 (1H, dd, J = 1.7, 8.3 Hz), 6.01 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.89 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.19 (1H, ddd, J = 5.4, 6.6, 6.8 Hz), 4.87 (1H, d, J = 6.6 Hz), 2.77 (1H, dd, J = 5.4, 16.4 Hz), 2.56 (1H, dd, J = 6.8, 16.4 Hz), 2.20-2.12 (2H, m), 1.45-1.38 (2H, m), 1.30-1.10 (8H, m), 0.82 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 173.5, 158.0, 157.2, 156.1, 145.9, 145.8, 130.7, 119.0, 115.8, 114.5, 98.9, 96.3, 95.2, 78.8, 70.1, 34.8, 32.3, 30.6-29.4 (Cx2), 25.6, 24.7, 23.2, 14.3; FAB-MS (m/z) 440 (10), 439 ([M+Na]+, 28), 438 (6.7), 418 (11), 417 ([M+H]+, 31), 275 (14), 274 (57), 273 (100), 272 (27); FAB-HRMS 計算値 C23H28O7 [M+Na]+, 439.1733; 実測値: 439.1747.
【0071】
製造例3:化合物3{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ドデカノエート}の製造
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、製造例1の工程1で得られた(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(500mg,0.77mmol)のジクロロメタン溶液(30mL)に、氷冷しながらトリエチルアミン(0.32mL,2.31mmol)、ドデカノイルクロライド(0.24mL,1.16mmol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(5mg)を加え反応させ、後処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、淡黄色油状物の(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ドデカノエート(468mg、0.58mmol,76%収率)を得た。
【0072】
[α]D23= +8.5 (c 1.32, CHCl3); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.43-7.25 (20H, m), 6.98 (1H, br s), 6.88 (2H, br s), 6.26 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.24 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.32 (1H, ddd, J = 5.3, 6.6, 9.5 Hz), 5.13 (2H, s), 5.10 (2H, s), 4.99 (4H, s), 4.98 (1H, d, J = 9.5 Hz), 2.90 (1H, dd, J = 5.3, 16.8 Hz), 2.70 (1H, dd, J = 6.6, 16.8 Hz), 2.22-2.09 (2H, m), 11.48-1.41 (2H, m), 1.28-1.10 (12H, m), 0.86 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 172.9, 158.9, 157.6, 154.8, 148.9, 148.8, 137.2, 137.0, 136.8, 131.0, 128.6, 128.49, 128.43, 128.40 (x2), 128.0, 127.9, 127.7, 127.5, 127.4, 127.19 (x2), 127.17, 119.9, 114.7, 113.3, 101.4, 94.3, 93.7, 78.3, 71.21, 71.15, 70.1, 69.9, 68.7, 34.3, 31.8, 29.3, 29.24, 29.21, 28.9, 24.8, 24.0, 22.6, 14.1; IR (neat, cm-1) 3065 (w), 3032 (w), 2926 (s), 2855 (s), 1950 (w), 1871 (w), 1811 (w), 1734 (s), 1620 (s), 1593 (s), 1498 (s), 1379 (s), 1265 (s), 1180 (s), 1147 (s), 1028 (s), 910 (w), 850 (w), 812 (m), 754 (m); FAB-MS (m/z) 828 (5.6), 827 ([M+Na]+, 7.7), 807 (5.5), 806 (17), 805 ([M+H]+, 29), 804 (6.9), 634 (22), 633 (69), 632 (100), 631 (22); FAB-HRMS 計算値 C53H57O7 [M+H]+, 805.4104; 実測値: 805.4135.
【0073】
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ドデカノエート(400mg,0.50mmol)のテトラヒドロフラン−メタノール−水(20:1:1,22mL)溶液に、20%Pd(OH)2/C(5mg)を加え、水素雰囲気下12時間攪拌しベンジル基を脱保護した。後処理後、Cosmosil(登録商標)75C−18OPNカラムクロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、目的物である、無色油状物の化合物3{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ドデカノエート}(190mg,0.43mmol,86%)を得た。
【0074】
[α]D25= +6.5 (c 0.34, CH3COCH3); 1H-NMR (400 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 6.83 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.76 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.66 (1H, dd, J = 1.7, 8.3 Hz), 6.01 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.89 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.19 (1H, ddd, J = 5.3, 6.8, 6.8 Hz), 4.87 (1H, d, J = 6.8 Hz), 2.77 (1H, dd, J = 5.3, 16.3 Hz), 2.56 (1H, dd, J = 6.8, 16.3 Hz), 2.18-2.14 (2H, m), 1.45-1.35 (2H, m), 1.25-1.10 (12H, m), 0.82 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 173.3, 157.8, 157.1, 155.9, 145.71, 145.66, 130.56, 118.8, 115.6, 114.3, 98.8, 96.1, 95.0, 78.7, 69.9, 34.6, 32.3, 30.4-29.2 (Cx4), 25.4, 24.5, 23.1, 14.2; FAB-MS (m/z) 468 (11), 467 ([M+Na]+, 29), 466 (6.7), 446 (8.8), 445 ([M+H]+, 21), 275 (16), 274 (59), 273 (100), 272 (30); FAB-HRMS 計算値 C25H33O7 [M+H]+, 445.2226; 実測値: 445.2213.
【0075】
製造例4:化合物4{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ラウロエート}の製造
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、製造例1の工程1で得られた(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(739mg,1.14mmol)のジクロロメタン溶液(50mL)に、氷冷しながらトリエチルアミン(0.32mL,2.28mmol)、ラウロイルクロライド(0.39mL,1.70mmol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(5mg)を加え反応させ、後処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、白色粉末の(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ラウロエート(719mg、0.86mmol,76%収率)を得た。
【0076】
[α]D25= +8.7 (c 2.78, CHCl3);1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.42-7.24 (20H, m), 6.98 (1H, s), 6.87 (2H, s), 6.25 (1H, br s), 6.24 (1H, br s), 5.32 (1H, dt, J = 5.1, 6.8 Hz), 5.12 (2H, s), 5.09 (2H, s), 4.98 (4H, s), 4.97 (1H, d, J = 6.8 Hz), 2.90 (1H, dd, J = 5.1, 16.9 Hz), 2.70 (1H, dd, J = 6.8, 16.9 Hz), 2.21-2.10 (2H, m), 1.47-1.10 (21H, m); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 172.9, 158.9, 157.7, 154.9, 148.93, 148.88, 137.2, 137.1, 136.7, 131.1, 128.6, 128.53, 128.49, 128.46, 128.0, 127.9, 127.8 (x2), 127.6, 127.4, 127.23, 127.22, 120.0, 114.8, 113.4, 101.5, 94.4, 93.7, 78.3, 71.24, 71.18, 70.1, 69.9, 68.7, 60.4, 34.3, 31.9, 29.7, 29.6, 29.5, 29.4, 29.3, 29.0, 24.8, 22.7, 14.2, 14.1; IR (neat, cm-1) 3065 (w), 3032 (m), 2926 (s), 2855 (s), 2361 (w), 1950 (w), 1869 (w), 1809 (w), 1736 (s), 1680 (s), 1593 (s), 1514 (s), 1454 (s), 1377 (s), 1263 (s), 1219 (s), 1180 (s), 1147 (s), 1028 (s), 910 (w), 851 (w), 810 (m), 735 (s); FAB-MS (m/z) 856 (4.6), 855 ([M+Na]+, 6.0), 835 (6,5), 834 (17), 833 ([M+H]+, 29), 832 (7.1), 831 (8.8), 634 (24), 633 (69), 632 (100), 631 (21); FAB-HRMS 計算値 C55H61O7 [M+H]+, 実測値; found: 833.4401.
【0077】
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ラウロエート(91mg,0.11mmol)のテトラヒドロフラン−メタノール−水(20:1:1,11mL)溶液に、20%Pd(OH)2/C(5mg)を加え、水素雰囲気下12時間攪拌しベンジル基を脱保護した。後処理後、Cosmosil(登録商標)75C−18OPNカラムクロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、目的物である、無色アモルファスの化合物4{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ラウロエート}(34mg,0.072mmol,65%)を得た。
【0078】
[α]D23= +3.5 (c 0.68, EtOH); 1H-NMR (400 MHz, CD3OD) 6.78 (1H, d, J = 2.0 Hz), 6.72 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.67 (1H, dd, J = 2.0, 8.3 Hz), 5.94 (1H, d, J = 2.4 Hz), 5.88 (1H, d, J = 2,4 Hz), 5.19 (1H, ddd, J = 5.4, 6.8, 7.1 Hz), 4.85 (1H, d, J = 6.8 Hz), 2.80 (1H, dd, J = 5.4, 16.4 Hz), 2.59 (1H, dd, J = 7.1, 16.4 Hz), 2.19 (2H, m), 1.48-1.39 (2H, m), 1.35-1.13 (6H, m), 0.88 (3H, t, J = 7.1 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 174.7, 158.1, 157.6, 156.6, 146.4, 146.3, 131.1, 119.5, 116.1, 114.8, 96.7, 96.5, 95.5, 79.6, 70.9, 35.2, 33.1, 30.7 (x2), 30.51, 30.48, 30.3, 30.0, 26.0, 25.1, 23.7, 14.5; FAB-MS (m/z) 496 (3.4), 495 ([M+Na]+, 9.9), 474 (3.8), 473 ([M+H]+, 11), 392 (7.9), 391 (27), 330 (27), 329 (100); FAB-HRMS 計算値 C27H37O7 [M+H]+, 473.2539; 実測値: 473.2571.
【0079】
製造例5:化合物5{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ミリストエート}の製造
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、製造例1の工程1で得られた(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(886mg,1.36mmol)のジクロロメタン溶液(50mL)に、氷冷しながらトリエチルアミン(0.57mL,4.08mmol)、ミリストイルクロライド(0.56mL,2.04mmol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(5mg)を加え反応させ、後処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、白色粉末の(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ミリストエート(846mg、0.98mmol,72%収率)を得た。
【0080】
[α]D23= +8.6 (c 0.72, CHCl3); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.43-7.24 (20H, m), 6.97 (1H, br s), 6.88 (1H, br s), 6.25 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.23 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.31 (1H, ddd, J = 5.3, 6.6, 6.8 Hz), 5.13 (2H, s), 5.10 (2H, s), 5.00 (4H, s), 4.97 (1H, d, J = 6.6 Hz), 2.89 (1H, dd, J = 5.3, 16.8 Hz), 2.70 (1H, dd, J = 6.8, 16.8 Hz), 2.22-2.09 (2H, m), 1.47-1.42 (2H, m), 1.35-1.10 (20H, m), 0.87 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 172.9, 158.9, 157.6, 154.8, 148.9, 148.8, 137.2, 137.0, 136.8, 131.0, 128.6, 128.5, 128.44, 128.40, 128.0, 127.9, 127.7 (x2), 127.5, 127.4 (x2), 127.20, 127.17, 119.9, 114.7, 113.4, 101.4, 94.3, 93.7, 78.3, 71.22, 71.15, 70.1, 69.9, 68.7, 34.3, 31.9 (x2), 29.7, 29.6 (x2), 29.4, 29.3, 29.2, 28.9, 24.8, 24.0, 22.7, 14.1; IR (neat, cm-1) 3065 (w), 3032 (w), 2926 (s), 2855 (s), 1736 (s), 1620 (s), 1593 (s), 1376 (m), 1265 (m), 1146 (s), 1028 (m), 910 (w), 850 (w), 810 (w), 735 (m); FAB-MS (m/z) 884 ([M+Na]+, 8.1), 883 (13.1), 862 (16), 861 ([M+H]+, 28), 860 (7.6), 634 (25), 633 (69), 632 (100), 631 (20); FAB-HRMS 計算値 C57H65O7 [M+H]+, 861.4730; 実測値: 861.4737.
【0081】
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ミリストエート(500mg,0.58mmol)のテトラヒドロフラン−メタノール−水(20:1:1,22mL)溶液に、20%Pd(OH)2/C(5mg)を加え、水素雰囲気下12時間攪拌しベンジル基を脱保護した。後処理後、Cosmosil(登録商標)75C−18OPNカラムクロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、目的物である、無色アモルファスの化合物5{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ミリストエート}(212mg,0.42mmol,72%)を得た。
【0082】
[α]D25= +6.3 (c 1.46, CH3COCH3); 1H-NMR (400 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 6.80 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.74 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.63 (1H, dd, J = 1.7, 8.3 Hz), 5.99 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.87 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.18 (1H, ddd, J = 5.4, 6.4, 6.6 Hz), 4.86 (1H, d, J = 6.4 Hz), 2.73 (1H, dd, J = 5.4, 16.4 Hz), 2.54 (1H, dd, J = 6.6, 16.4 Hz), 2.19-2.12 (2H, m), 1.43-1.37 (2H, m), 1.25-1.15 (20H, m), 0.79 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 173.5, 157.4, 156.8, 155.7, 145.5, 130.4, 118.7, 115.6, 114.2, 98.7, 96.0, 95.0, 78.4, 69.7, 34.5, 32.2, 30.4-29.2 (Cx9), 25.2, 24.2, 22.9, 14.1; FAB-MS (m/z) 524 (17), 523 ([M+Na]+, 34), 522 (7.4), 502 (8.7), 501 ([M+H]+, 18), 275 (21), 274 (72), 273 (100). 171 (29); FAB-HRMS 計算値 C29H41O7 [M+H]+, 501.2852; 実測値: 501.2879.
【0083】
製造例6:化合物6{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−パルミトエート}の製造
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、製造例1の工程1で得られた(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(696mg,1.07mmol)のジクロロメタン溶液(50mL)に、氷冷しながらトリエチルアミン(0.45mL,3.21mmol)、パルミトイルクロライド(0.49mL,1.60mmol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(5mg)を加え反応させ、後処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、白色粉末の(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−パルミトエート(682mg、0.77mmol,72%収率)を得た。
【0084】
[α]D24= +7.4 (c 0.74, CHCl3); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.51-7.25 (20H, m), 6.97 (1H, br s), 6.88 (2H, br s), 6.26 (1H, d, J = 1H, d, J = 2.2 Hz), 6.23 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.32 (1H, dt, J = 5.4, 6.8 Hz), 5.13 (2H, s), 5.10 (2H, s), 5.00 (4H, s), 4.98 (1H, d, J = 6.8 Hz), 2.89 (1H, dd, J = 5.4, 16.8 Hz), 2.70 (1H, dd, J = 6.8, 16.8 Hz), 2.22-2.09 (2H, m), 1.48-1.42 (2H, m), 1.35-1.10 (24H, m), 0.88 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 172.9, 158.9, 157.6, 154.8, 148.9, 148.8, 137.2, 137.0, 136.8, 131.0, 128.6, 128.5, 128.42, 128.40, 128.0, 127.9, 127.7 (x2), 127.5, 127.4 (x2), 127.20,127.18, 119.9, 114.7, 113.3, 101.4, 94.3, 93.7, 78.3, 71.21, 71.15, 70.1, 69.9, 68.7, 34.3, 31.9, 29.3 (x3), 29.6 (x3), 29.4, 29.3, 29.2, 28.9, 24.8, 24.0, 22.7, 14.1; IR (neat, cm-1) 3065 (w), 3032 (w), 2924 (s), 2853 (s), 1736 (m), 1618 (m), 1593 (m), 1514 (m), 1377 (m), 1265 (m), 1146 (s), 1028 (m), 910 (w), 850 (w), 810 (w), 735 (m); FAB-MS (m/z) 912 (7.9), 911 ([M+Na]+, 11), 891 (12), 890 ([M+H]+, 19), 634 (18), 633 (58), 632 (75), 631 (23), 321 (27), 319 (100); FAB-HRMS 計算値 C59H69O7 [M+H]+, 889.5043; 実測値: 889.5082.
【0085】
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−パルミトエート(400mg,0.45mmol)のテトラヒドロフラン−メタノール−水(20:1:1,22mL)溶液に、20%Pd(OH)2/C(5mg)を加え、水素雰囲気下12時間攪拌しベンジル基を脱保護した。後処理後、Cosmosil(登録商標)75C−18OPNカラムクロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、目的物である、白色粉末の化合物6{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−パルミトエート}(188mg,0.36mmol,79%)を得た。
【0086】
[α]D25= +6.1 (c 1.14, CH3COCH3); 1H-NMR (400 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 6.81 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.74 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.64 (1H, dd, J = 1.7, 8.3 Hz), 6.00 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.88 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.18 (1H, ddd, J = 5.4, 6.5, 6.6 Hz), 4.86 (1H, d, J = 6.6 Hz), 2.75 (1H, dd, J = 5.4, 16.4 Hz), 2.55 (1H, dd, J = 6.5, 16.4 Hz), 2.21-2.13 (2H, m), 1.44-1.37 (2H, m), 1.30-1.10 (24H, m), 0.81 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 173.4, 157.5, 156.9, 155.7, 145.6, 145.5, 130.4, 118.7, 115.6, 114.2, 98.7, 96.1, 95.0, 78.5, 69.8, 34.5, 32.3, 30.4-29.2 (Cx10), 25.3, 24.3, 23.0, 14.1; FAB-MS (m/z) 552 (10), 551 ([M+Na]+, 30), 550 (6.3), 530 (3.8), 529 ([M+H]+, 11), 275 (12), 274 (62), 273 (100); FAB-HRMS 計算値 C31H45O7 [M+H]+, 529.3165; 実測値: 529.3143.
【0087】
製造例7:化合物7{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ステアロエート}の製造
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、製造例1の工程1で得られた(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(500mg,0.77mmol)のジクロロメタン溶液(50mL)に、氷冷しながらトリエチルアミン(0.32mL,2.31mmol)、ステアロイルクロライド(0.39mL,1.16mmol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(5mg)を加え反応させ、後処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=7:1)で精製し、白色粉末の(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ステアロエート(706mg、0.77mmol,100%収率)を得た。
【0088】
[α]D25= + 6.7 (c 2.70, CHCl3); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.43-7.25 (20H, m), 6.97 (1H, br s), 6.88 (2H, br s), 6.26 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.23 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.32 (1H, ddd, J = 5.4, 6.6, 6.8 Hz), 5.13 (2H, s), 5.10 (2H, s), 5.00 (4H, s), 4.98 (1H, d, J = 6.6 Hz), 2.89 (1H, dd, J = 5.4, 16.9 Hz), 2.70 (1H, dd, J = 6.8, 16.9 Hz), 2.22-2.09 (2H, m), 1.48-1.42 (2H, m), 1.30-1.10 (28H, m), 0.88 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 172.9, 158.9, 158.6, 154.8, 148.9, 148.8, 137.2, 137.0, 136.8, 130.0, 128.54, 128.48, 128.41, 128.40 (x2), 127.94, 127.85, 127.7 (x2), 127.5, 127.4, 127.2 (x2), 119.9, 114.7, 113.3, 101.3, 94.3, 93.7, 78.3, 71.2, 71.1, 70.0, 69.9, 68.7, 34.2, 31.9, 29.7 (x8), 29.4, 29.3, 29.2, 28.9, 24.8, 24.0, 22.7, 14.1; IR (neat, cm-1) 3065 (w), 3032 (w), 2924 (s), 2853 (s), 2363 (w), 1736 (m), 1618 (m), 1593 (m), 1500 (m), 1379 (m), 1265 (m), 1145 (s), 1028 (m), 910 (w), 850 (w), 810 (w), 735 (m); FAB-MS (m/z) 941 (1.2), 940 ([M+Na]+, 1.5), 919 (4.4), 918 ([M+H]+, 7.0), 634 (22), 633 (51), 632 (50), 631 (23), 543 (19), 542 (32), 541 (62), 540 (18), 321 (24), 320 (100); FAB-HRMS 計算値 C61H73O7 [M+H]+, 917.5356; 実測値: 917.5388.
【0089】
製造例1に記載の化合物1の合成と同様にして、(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ステアロエート(385mg,0.42mmol)のテトラヒドロフラン−メタノール−水(20:1:1,22mL)溶液に、20%Pd(OH)2/C(5mg)を加え、水素雰囲気下12時間攪拌しベンジル基を脱保護した。後処理後、Cosmosil(登録商標)75C−18OPNカラムクロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、目的物である、白色粉末の化合物7{(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ステアロエート}(214mg,0.38mmol,90%)を得た。
【0090】
[α]D24= +4.0 (c 1.18, CH3COCH3); 1H-NMR (400 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 6.82 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.75 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.65 (1H, dd, J = 1.7, 8.3 Hz), 6.01 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.89 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.19 (1H, ddd, J = 5.3, 6.5, 6.8 Hz), 4.87 (1H, d, J = 6.8 Hz), 2.76 (1H, dd, J = 5.3, 16.3 Hz), 2.56 (1H, dd, J = 6.5, 16.3 Hz), 2.21-2.13 (2H, m), 1.45-1.38 (2H, m), 1.30-1.10 (28H, m), 0.82 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 173.3, 157.7, 157.0, 155.8, 145.65, 145.61, 130.5, 118.8, 115.6, 114.3, 98.8, 96.1, 95.0, 78.6, 69.8, 34.6, 32.3, 30.4-29.2 (Cx12), 25.3, 24.4, 23.1, 14.2; FAB-MS (m/z) 580 (15), 579 ([M+Na]+, 36), 578 (8.4), 558 (4.3), 557 ([M+H]+, 11), 275 (15), 274 (66), 273 (100), 272 (41); FAB-HRMS 計算値 C33H49O7 [M+H]+, 557.3478; 実測値: 557.3441.
【0091】
製造例8:化合物8{(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ラウロエート}の製造
工程1:(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オールの製造
製造例1の工程1と同様にして、(−)−エピカテキン{(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール}(10.0g,0.035mol)を蒸留して脱水したDMF500mLに溶かし、氷冷しながら炭酸カリウム(26.2g,0.19mol)を少しずつ加えた。10分間0度で攪拌した後、ベンジルブロミド(29.5g、0.17mol)を滴下し、48時間室温で攪拌した。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、生じた沈殿を濾過して祖生成物を得た。この組成生物を酢酸エチルに溶解させ、水、及び、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥した。濾過・濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色粉末の(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(10.2g,0.016mol,45%)を得た。
【0092】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.46-7.26 (20H, m), 7.14 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.99 (1H, dd, J = 1.7, 8.3 Hz), 6.95 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.27 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.26 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.18 (2H, s), 5.16 (2H, s), 5.13-4.98 (2H, m), 5.00 (2H, s), 4.89 (1H, br s), 4.24-4.23 (1H, m), 2.99 (1H, dd, J = 2.0, 17.4 Hz), 2.91 (1H, dd, J = 4.4, 17.4 Hz), 1.68 (1H, d, J = 5.6 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 158.8, 158.3, 155.2, 149.0, 148.8, 137.2, 137.1, 137.0, 136.9, 131.4, 128.6, 128.50, 128.47, 128.45, 128.0, 127.9, 127.83, 127.79, 127.52, 127.48, 127.24, 127.19, 119.5, 115.1, 113.5, 100.9, 94.7, 94.0, 78.3, 71.4, 71.3, 70.1, 69.9, 66.3, 28.2.
【0093】
工程2:(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ラウロエートの製造
製造例1の工程1と同様にして、工程1で得られた(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(692mg,1.06mmol)のジクロロメタン溶液(50mL)に、氷冷しながらトリエチルアミン(0.30mL,2.12mmol)、ラウロイルクロライド(0.37mL,1.60mmol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(5mg)を加え反応させ、後処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、白色粉末の(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ラウロエート(668mg、0.80mmol,76%収率)を得た。
【0094】
[α]D23= -19.5 (c 0.94, CHCl3); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.47-7.28 (20H, m), 7.11 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.96 (1H, dd, J = 1.7, 8.3 Hz), 6.92 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.28 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.27 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.45-5.41 (1H, m), 5.17 (1H, d, J = 12.0 Hz), 5.15 (2H, s), 5.14 (1H, d, J = 12.0 Hz), 5.02 (4H, s), 4.99 (1H, br s), 3.02 (1H, dd, J = 4.6, 18.1 Hz), 2.95 (1H, dd, J = 2.0, 18.1 Hz), 2.19-2.07 (2H, m), 1.45-1.37 (2H, m), 1.32-1.10 (16H, m), 0.86 (3H, t, J = 5.6 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 173.1, 158.7, 157.9, 155.5, 148.9, 148.7, 137.2, 136.9, 131.1, 128.6-127.1 (Cx14), 119.7, 114.7, 113.6, 100.8, 94.6, 93.8, 77.2, 71,4, 71.3, 70.1, 69.9, 67.5, 34.2, 31.9, 29.62, 29.60, 29.4, 29.3, 29.26, 28.98, 26.0, 24.8, 22.7, 14.1; IR (neat, cm-1) 3065 (m), 3034 (m), 2924 (s), 2855 (s), 2361 (w), 2338 (w), 1950 (w), 1871 (w), 1819 (w), 1782 (s), 1618 (s), 1593 (s), 1518 (s), 1454 (s), 1379 (s), 1269 (s), 1217 (s), 1184 (s), 1152 (s), 1115 (s), 1020 (s), 945 (w), 810 (m), 735 (s); FAB-MS (m/z) 856 (11), 855 ([M+Na]+, 17), 834 (3.6), 833 ([M+H]+, 7.5), 633 (21), 632 (28), 610 (54), 609 (100); FAB-HRMS 計算値 C55H61O7 [M+H]+, 833.4417; 実測値: 833.4448.
【0095】
工程3:(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ラウロエートの製造
製造例1の工程1と同様にして、工程2で得られた(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ラウロエート(120mg,0.14mmol)のテトラヒドロフラン−メタノール−水(20:1:1,11mL)溶液に、20%Pd(OH)2/C(5mg)を加え、水素雰囲気下12時間攪拌しベンジル基を脱保護した。後処理後、Cosmosil(登録商標)75C−18OPNカラムクロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、目的物である、無色アモルファスの化合物8{(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ラウロエート}(41mg,0.087mmol,62%)を得た。
【0096】
[α]D24= -54.0 (c 0.58, EtOH); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 6.91 (1H, br s), 6.73 (2H, br s), 5.94 (1H, d, J = 2.4 Hz), 5.91 (1H, d, J = 2.4 Hz), 5.33-5.32 (1H, m), 4.93 (1H, br s), 2.90 (1H, dd, J = 4.7, 17.6 Hz), 2.78 (1H, d, J = 17.6 Hz), 2.19-2.14 (2H, m), 1.44-1.39 (2H, m), 1.30-1.09 (16H, m), 0.88 (3H, t, J = 6.6 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 175.0, 157.83, 157.79, 157.1, 145.99, 145.96, 131.3, 119.0, 115.9, 114.9, 99.1, 96.5, 95.8, 78.2, 69.9, 35.2, 33.1, 30.72, 30.70, 30.51, 30.47, 30.3, 29.9, 26.6, 26.0, 23.7, 14.4; FAB-MS (m/z) 496 (5.5), 495 ([M+Na]+, 17), 494 (5.8), 474 (6.3), 473 ([M+H]+, 20), 275 (13), 274 (55), 273 (100), 272 (22); FAB-HRMS 計算値 C27H37O7 [M+H]+, 473.2539; 実測値: 473.2542.
【0097】
製造例9:化合物9{(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ミリストエート}の製造
製造例8に記載の化合物8の合成と同様にして、製造例8の工程1で得られた(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(500mg,0.77mmol)のジクロロメタン溶液(40mL)に、氷冷しながらトリエチルアミン(0.32mL,2.31mmol)、ミリストイルクロライド(0.31mL,1.16mmol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(5mg)を加え反応させ、後処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=7:1)で精製し、白色粉末の(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ミリストエート(360mg、0.42mmol,54%収率)を得た。
【0098】
[α]D23= -20.4 (c 0.72, CHCl3); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.47-7.30 (20H, m), 7.11 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.96 (1H, dd, J = 1.7, 8.3 Hz), 6.92 (1H, d, J = 8.3 Hz), 5.46-5.41 (1H, m), 5.17 (1H, d, J = 11.9 Hz), 5.15 (2H, s), 5.13 (1H, d, J = 11.9 Hz), 5.12 (4H, s), 4.99 (1H, br s), 3.02 (1H, dd, J = 4.6, 16.1 Hz), 2.94 (1H, d, J = 16.1 Hz), 2.19-2.05 (2H, m), 1.42-1.38 (2H, m), 1.29-1.10 (20H, m), 0.88 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 173.1, 158.7, 157.9, 155.4, 148.8, 148.7, 137.2 (x2), 136.9, 136.8, 131.1, 128.6, 128.5, 128.4 (x2), 128.0, 127.9, 127.8, 127.7, 127.5, 127.4, 127.2, 127.1, 119.7, 114.7, 113.6, 100.8, 94.6, 93.8, 77.2, 71.4, 71.2, 70.1, 69.9, 67.5, 34.2, 31.9, 29.7, 29.63, 29.61 (x2), 29.4, 29.3, 29.2, 29.0, 25.9, 24.8, 22.7, 14.1; IR (neat, cm-1) 2924 (s), 2853 (s), 1732 (s), 1653 (s), 1558 (s), 1456 (s), 1385 (s), 1339 (m), 1151 (s), 1115 (s), 1078 (m), 1028 (m), 902 (w), 810 (w), 733 (m); FAB-MS (m/z) 885 (9.4), 884 (24), 883 ([M+Na]+, 36), 862 (14), 861 ([M+H]+, 29), 860 (7.9), 695 (12), 694 (44), 693 (100); FAB-HRMS 計算値 C57H65O7 [M+H]+, 861.4730; 実測値: 861.4730.
【0099】
製造例8に記載の化合物8の合成と同様にして、(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ミリストエート(312mg,0.36mmol)のテトラヒドロフラン−メタノール−水(20:1:1,22mL)溶液に、20%Pd(OH)2/C(5mg)を加え、水素雰囲気下12時間攪拌しベンジル基を脱保護した。後処理後、Cosmosil(登録商標)75C−18OPNカラムクロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、目的物である、無色アモルファスの化合物9{(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ミリストエート}(153mg,0.31mmol,85%)を得た。
【0100】
[α]D25= -38.3 (c 0.38, CH3COCH3); 1H-NMR (400 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 6.94 (1H, br s), 6.76 (2H, br s), 6.02 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.91 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.33 (1H, br s), 4.96 (1H, br s), 2.92 (1H, dd, J = 4.3, 17.3 Hz), 2.73 (1H, d, J = 17.3 Hz), 2.13-2.10 (2H, m), 1.40-1.36 (2H, m), 1.25-1.08 (20H, m), 0.82 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 173.5, 157.4, 157.3, 156.5, 145.3 (x2), 130.7, 118.6, 115.3, 114.5, 98.4, 96.2, 95.3, 77.5, 68.9, 34.5, 32.3, 30.4-29.1 (Cx8), 26.2, 25.3, 23.0, 14.2; FAB-MS (m/z) 524 (15), 523 ([M+Na]+, 30), 522 (6.8), 502 (6.0), 501 ([M+H]+, 14), 275 (28), 274 (90), 273 (100), 272 (43); FAB-HRMS 計算値 C29H41O7 [M+H]+, 501.2852; 実測値: 501.2861.
【0101】
製造例10:化合物10{(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−パルミトエート}の製造
製造例8に記載の化合物8の合成と同様にして、製造例8の工程1で得られた(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(500mg,0.77mmol)のジクロロメタン溶液(40mL)に、氷冷しながらトリエチルアミン(0.32mL,2.31mmol)、パルミトイルクロライド(0.35mL,1.16mmol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(5mg)を加え反応させ、後処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、白色粉末の(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−パルミトエート(487mg、0.55mmol,71%収率)を得た。
【0102】
[α]D25= -16.1 (c 1.34, CHCl3);1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.46-7.27 (20H, m), 7.12 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.95 (1H, dd, J = 1.7, 8.3 Hz), 6.91 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.29 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.27 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.48-5.41 (1H, m), 5.17 (1H, d, J = 12.2 Hz), 5.14 (2H, s), 5.13 (1H, d, J = 12.2 Hz), 5.01 (4H, s), 4.98 (1H, br s), 3.01 (1H, dd, J = 4.4, 17.8 Hz), 2.95 (1H, dd, J = 2.2, 17.8 Hz), 2.19-2.06 (2H, m), 1.45-1.37 (2H, m), 1.35-1.05 (24H, m), 0.88 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 171.1, 158.7, 157.9, 155.4, 148.8, 148.7, 137.2, 136.84, 136.82, 131.1, 128.54 (x2), 128.48, 128.39 (x2), 127.9, 127.8, 127.74, 127.70, 127.5, 127.3, 127.2, 127.1, 119.6, 114.6, 113.5, 100.8, 94.6, 93.8, 77.1, 71.4, 71.2, 70.0, 69.8, 67.5, 34.2, 31.9, 29.64 (x2), 29.60 (x2), 29.6, 29.4, 29.3, 29.2, 28.9, 25.9, 24.8, 22.7, 21.0, 14.1; IR (neat, cm-1) 3063 (w), 3034 (w), 2923 (s), 2853 (s), 1948 (w), 1809 (w), 1782 (s), 1618 (s), 1593 (s), 1520 (s), 1379 (s), 1184 (s), 1151 (s), 1028 (s), 943 (w), 810 (m), 733 (m); FAB-MS (m/z) 912 (12), 911 ([M+Na]+, 19), 891 (15), 890 ([M+H]+, 21), 889 (7.2), 634 (19), 633 (59), 632 (78), 631 (19), 320 (22), 319 (100); FAB-HRMS 計算値 C59H69O7 [M+H]+, 889.5043; 実測値: 889.5089.
【0103】
製造例8に記載の化合物8の合成と同様にして、(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−パルミトエート(420mg,0.47mmol)のテトラヒドロフラン−メタノール−水(20:1:1,22mL)溶液に、20%Pd(OH)2/C(5mg)を加え、水素雰囲気下12時間攪拌しベンジル基を脱保護した。後処理後、Cosmosil(登録商標)75C−18OPNカラムクロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、目的物である、無色アモルファスの化合物10{(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−パルミトエート}(165mg,0.31mmol,66%)を得た。
【0104】
[α]D25= -42.0 (c 1.22, CH3COCH3); 1H-NMR (400 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 6.94 (1H, br s), 6.76 (2H, br s), 6.01 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.91 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.32-5.31 (1H, m), 4.95 (1H, br s), 2.91 (1H, dd, J = 4.9, 17.5 Hz), 2.72 (1H, dd, J = 2.0, 17.5 Hz), 2.16-2.10 (2H, m), 1.41-1.34 (2H, m), 1.26-1.10 (24H, m), 0.82 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CD3COCD3-D2O, 10 : 1) 173.4, 157.4, 157.2, 156.5, 145.3 (x2), 130.7, 118.6, 115.3, 114.5, 98.4, 96.2, 95.3, 77.5, 68.9, 34.5, 32.3, 30.4-29.2 (Cx10), 26.2, 25.3, 23.0, 14.2; FAB-MS (m/z) 552 (11), 551 ([M+Na]+, 29), 550 (6.1), 530 (4.4), 529 ([M+H]+, 11), 275 (15), 274 (77), 273 (100), 272 (44); FAB-HRMS 計算値 C31H45O7 [M+H]+, 529.3165; 実測値: 529.3167.
【0105】
製造例11:化合物11{(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ステアロエート}の製造
製造例8に記載の化合物8の合成と同様にして、製造例8の工程1で得られた(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(500mg,0.77mmol)のジクロロメタン溶液(40mL)に、氷冷しながらトリエチルアミン(0.32mL,2.31mmol)、ステアロイルクロライド(0.39mL,1.16mmol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(5mg)を加え反応させ、後処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、白色粉末の(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ステアロエート(565mg、0.62mmol,80%収率)を得た。
【0106】
[α]D24= -19.8 (c 1.76, CHCl3); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.46-7.29 (20H, m), 7.11 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.95 (1H, dd, J = 1.7, 8.3 Hz), 6.91 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.28 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.27 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.45-5.41 (1H, m), 5.17 (1H, d, J = 11.9 Hz), 5.14 (2H, s), 5.12 (1H, d, J = 11.9 Hz), 5.00 (4H, s), 4.98 (1H, br s), 3.01 (1H, dd, J = 4.4, 17.3 Hz), 2.94 (1H, d, J = 4.4, 17.3 Hz), 2.17-2.04 (2H, m), 1.42-1.39 (2H, m), 1.35-1.10 (28H, m), 0.88 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) 173.1, 158.7, 157.9, 155.4, 148.8, 148.7, 137.2, 136.9, 136.8, 131.1, 128.6, 128.5, 128.4 (x3), 128.0, 127.9, 127.8, 127.7, 127.5, 127.4, 127.2, 127.1, 119.6, 114.7, 113.6, 100.8, 94.6, 93.8, 77.1, 71.4, 71.2, 70.1, 69.9, 67.5, 34.2, 31.9, 29.7-29.6 (Cx8), 29.4, 29.3, 29.2, 29.0, 25.9, 24.8, 22.7, 14.1; IR (neat, cm-1) 3090 (w), 3065 (w), 3034 (w), 2923 (s), 2853 (m), 1950 (w), 1732 (s), 1620 (s), 1593 (s), 1500 (s), 1379 (s), 1271 (m), 1151 (s), 1115 (s), 1028 (m), 947 (w), 903 (w), 810 (m); FAB-MS (m/z) 941 (3.2), 940 ([M+Na]+, 5.3), 919 (12), 918 ([M+H]+, 17), 917 (7.8), 633 (85), 632 (100): FAB-HRMS 計算値 C61H73O7 [M+H]+, 917.5356; 実測値: 917.5403.
【0107】
製造例8に記載の化合物8の合成と同様にして、(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−ステアロエート(130mg,0.14mmol)のテトラヒドロフラン−メタノール−水(20:1:1,11mL)溶液に、20%Pd(OH)2/C(5mg)を加え、水素雰囲気下12時間攪拌しベンジル基を脱保護した。後処理後、Cosmosil(登録商標)75C−18OPNカラムクロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、目的物である、白色粉末の化合物11{(2R,3R)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−ステアロエート}(50mg,0.090mmol,64%)を得た。
【0108】
[α]D25= -19.4 (c 0.32, CH3COCH3); 1H-NMR (400 MHz, CD3OD) 6.92 (1H, s), 6.74 (2H, s), 5.94 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.91 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.33 (1H, dd, J = 2.0, 4.6 Hz), 4.83 (1H, br s), 2.91 (1H, dd, J = 4.6, 17.5 Hz), 2.78 (1H, dd, J = 2.0, 17.5 Hz), 2.19-2.16 (2H, m), 1.45-1.38 (2H, m), 1.33-1.10 (28H, m), 0.89 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CD3OD) 175.1, 157.9, 157.8, 157.1, 146.02, 145.99, 131.4, 119.0, 115.9, 114.9, 99.1, 96.5, 95.8, 78.2, 69.9, 35.2, 33.1, 30.8-30.74 (Cx7), 30.72, 30.52, 30.46, 30.3, 29.9, 26.6, 26.0, 23.7, 14.4; FAB-MS (m/z) 580 (38), 579 ([M+Na]+, 100), 578 (23), 558 (12), 557 ([M+H]+, 29); FAB-HRMS 計算値 C33H49O7 [M+H]+, 557.3478; 実測値: 557.3445.
【0109】
製造例1〜製造例11において製造した化合物1〜化合物11の化学構造を、以下の表1にまとめて示す。
【0110】
【表1】

【0111】
試験例1:各種の3−アシル化カテキン、及び、3−アシル化エピカテキンの抗炎症活性の評価
(試験方法)
実験では、マウス耳に予め所定量の化合物1〜化合物11を塗布後、TPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)によって誘発される炎症性浮腫の重量を測定することで各阻害効果を算出した。
試験は、基本的にCancer Lett. 1984, 25, 177-85頁記載の方法にしたがって行った。詳細に説明すると、ICR系マウス(4週令・メスを5匹で実施)の一方の耳に、アセトンに溶かした化合物1〜化合物11を250μg塗布して、もう片方の耳にアセトンのみ(コントロール)を塗布する。30分後、両方の耳にアセトンに溶解したTPAを0.5μg塗布する。そして7時間後、両方の耳をパンチで穴を空けて、両方の耳片のTPAによって誘発される炎症性浮腫の重量を測定した。そして以下の計算式を用いて、抗炎症活性を算出した。
【0112】
【数1】

【0113】
(試験結果)
塗布量を250μg/耳とした場合の、化合物1〜化合物11の抗炎症活性を図1に示す。図1から明らかなように、各化合物はそれぞれ、塗布量250μgで炎症を効果的に抑制した。これらの結果より、アシル基の炭素鎖長が長くなるほど抑制活性が強くなることが確認された。なお、化合物4と化合物8の3’,4’,5,7位のフェノール性水酸基をアセチル化した化合物についても同様の評価を行ったところ、フェノール性水酸基をアセチル化することで抗炎症活性は低下する傾向にあることがわかった(データは省略)。
【0114】
試験例2:化合物7の抗炎症活性の濃度依存性の評価
(試験方法)
マウスの一方の耳に製造例7で得られた化合物7を31.25μg、62.5μg、125μg、250μgそれぞれ塗布し、これ以外は試験例1と同様な実験を行った。
【0115】
(試験結果)
図2に示す。図2から明らかなように、化合物7は、濃度依存的に炎症を抑制していることが明らかとなった。これらの実験結果から、化合物1〜化合物11は抗炎症作用を有するものと認められた。
【0116】
製剤例1:錠剤
化合物5を3g、乳糖を80g、ステアリン酸マグネシウムを17g、合計100gを均一に混合し、常法に従って錠剤とした。
【0117】
製剤例2:顆粒剤
化合物7を5g、澱粉を37g、乳糖を58g、合計100gを均一に混合し、常法に従って顆粒剤とした。
【0118】
製剤例3:ビスケット
化合物10を1g、薄力粉を33g、全卵を15g、バターを16g、砂糖を24g、水を10g、ベーキングパウダーを1g、合計100gを用い、常法に従ってビスケットとした。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、3−アシル化フラバン−3−オール化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とするこれまでにない抗炎症剤を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】実施例における、各種の3−アシル化カテキン、及び、3−アシル化エピカテキンのマウス耳に対する抗炎症活性を調べた結果を示すグラフである。
【図2】化合物7のマウス耳に対する抗炎症活性の濃度依存的な作用を調べた結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)により表される3−アシル化フラバン−3−オール化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする抗炎症剤。
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R5、R6は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、低級アルコキシ基、低級アシルオキシ基を表し、R4は、直鎖もしくは分岐状のアルキル基を表す)
【請求項2】
有効成分が下記の一般式(2)により表される3−アシル化フラバン−3−オール化合物またはその薬学的に許容される塩である請求項1記載の抗炎症剤。
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4は前記の通り)
【請求項3】
有効成分が下記の一般式(3)により表される3−アシル化フラバン−3−オール化合物またはその薬学的に許容される塩である請求項1または2記載の抗炎症剤。
【化3】

(式中、R1、R2、R3は前記の通り。nは4〜16の整数を表す)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−115079(P2008−115079A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69038(P2005−69038)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(303044712)三井農林株式会社 (72)
【Fターム(参考)】