説明

抗炎症剤

【課題】好適な抗炎症作用を奏する非ステロイド系の抗炎症剤を提供することにある。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるフタリド誘導体を有効成分として含有する抗炎症剤。
【化1】


(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子と水酸基とアルコキシ基からなる群より選ばれる一つの基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎症剤に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の抗炎症作用を奏する薬剤として、ステロイド剤が公知である(特許文献1の明細書の段落[0004]を参照)。このステロイド剤は、重篤な副作用を伴うことが知られており、長期の使用により誘発感染症や糖尿病などの各種疾患を発症する危険性が指摘されていた。このため特許文献1には、黄ごん由来成分(フラボノイド)によって、ステロイド剤の副作用を低減する技術の開示がある。しかし公知技術では、若干の副作用の軽減が認められるものの、実用的といえるレベルではなかった。
【0003】
そこで特許文献2では、非ステロイド系の抗炎症剤として、柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物が開示されている。この非ステロイド系の薬剤によれば、上述のステロイド剤に見られる副作用を極力伴うことなく、抗炎症作用を奏することが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-182384号
【特許文献2】特開2007-332119号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献2では、インビトロの試験によって水不溶物の抗炎症作用が確認されたものの、生体に対する抗炎症作用や副作用の有無は検証されていない(特許文献2の明細書の段落[0040]等を参照)。また同文献では、薬剤又は食品に対して水不溶物を高濃度で含有させる必要があり、やや実用性に欠ける抗炎症剤であった(特許文献2の明細書の段落[0029]、[0035]を参照)。
このため従来、ステロイド剤等に見られる副作用を伴うことなく、実用的な抗炎症作用を奏する薬剤が切望されていた。而して本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、好適な抗炎症作用を奏する非ステロイド系の抗炎症剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ある種のフタリド誘導体が、好適な抗炎症作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち上記課題を解決するための手段として、第1発明は、下記一般式(1)で表されるフタリド誘導体を有効成分として含有する抗炎症剤である。
【化1】


(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子と水酸基とアルコキシ基からなる群より選ばれる一つの基を示す。)
【0007】
第2発明の抗炎症剤は、第1発明に記載の抗炎症剤であって、下記一般式(2)で表される第一のフタリド誘導体と、下記一般式(3)で表される第二のフタリド誘導体と、下記一般式(4)で表される第一のフタリド誘導体とからなる群から選ばれる少なくとも一つのフタリド誘導体を有効成分として含有する。本発明の抗炎症剤は、副作用の発生を極力防止しつつ好適な抗炎症作用を奏する。
【化2】


(一般式(2)中、Rは、炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
【0008】
【化3】


(一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
【0009】
【化4】


(一般式(4)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
【0010】
第3発明の抗炎症剤は、第2発明に記載の抗炎症剤であって、上記第一のフタリド誘導体を有効成分として含有するとともに、一般式(2)中、Rがメトキシ基である。本発明の抗炎症剤は、副作用の発生を極力防止しつつ、より実用的な抗炎症作用を奏する。
【0011】
第4発明の抗炎症剤は、第2発明に記載の抗炎症剤であって、上記第二のフタリド誘導体を有効成分として含有するとともに、一般式(3)中、R及びRが共にメトキシ基である。本発明の抗炎症剤は、副作用の発生を極力防止しつつ、より実用的な抗炎症作用を奏する。
【0012】
第5発明の抗炎症剤は、第2発明に記載の抗炎症剤であって、上記第三のフタリド誘導体を有効成分として含有するとともに、一般式(4)中、R及びRが共にメトキシ基である。本発明の抗炎症剤は、副作用の発生を極力防止しつつ、より実用的な抗炎症作用を奏する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1発明によれば、好適な抗炎症作用を奏する抗炎症剤を提供することができる。また第2発明によれば、副作用の発生を極力防止しつつ好適な抗炎症作用を奏する抗炎症剤を提供することができる。そして第3発明〜第5発明によれば、副作用の発生を極力防止しつつ、より実用的な抗炎症作用を奏する抗炎症剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第一のフタリド誘導体の製造工程図である。
【図2】第二のフタリド誘導体の製造工程図である。
【図3】第三のフタリド誘導体の製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本実施形態の抗炎症剤は、痛風関節炎やリウマチなどの各種の抗炎症性疾患等の予防や治療に用いることができる。
そして本実施形態のフタリド誘導体は、各種の炎症の原因物質であるTNF-α(Tumor Necrosis Factor‐α:腫瘍壊死因子)の血中濃度を低下させることができる([表1]を参照)。このため本実施形態の抗炎症剤は、TNF-αを治療ターゲットとする各種の炎症性疾患に特に有効である。なおTNF-αは、リウマチ、若年性関節炎、強直性脊椎炎、クローン病、乾癬、糸球体腎炎、サルコイドーシス、ベーチェット病等の慢性炎症疾患の主要な治療ターゲットとして知られている。
【0016】
ところで抗痛風剤(抗炎症剤の一例)として各種の薬剤が公知である(特開2007−217366号公報を参照)。
例えば「アロプリノール」は、キサンチンオキシダーゼを阻害して尿酸の生産を抑制する薬剤であり、「ベンズブロマロン」は、血清中の尿酸排泄を促進する薬剤である。しかしこれら公知の薬剤は、重篤な副作用(肝障害、下痢、発疹、血液障害等)を伴うことが知られている(上記公報の明細書の段落[0005]を参照)。
そして本実施形態に係る抗炎症剤では、比較的長期間の継続投与によっても、血液中の「GOT値」又は「GPT値」の極端な増減が見られない。このため本実施形態の抗炎症剤では、各種副作用の発生を極力防止又は低減することができる([表2]を参照)。
【0017】
本実施形態の抗炎症剤は、上記一般式(1)で表されるフタリド誘導体(その医薬的に許容し得る塩又は溶媒和物を含む)を有効成分として含有する。ここで一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子(H)と水酸基(OH)とアルコキシ基からなる群より選ばれる一つの基を示す。
そしてアルコキシ基(OC2n+1:nは正の整数)の種類は、上記フタリド誘導体が所望の効果を奏する限り特に限定しないが、比較的低分子のアルコキシ基であることが好ましい。比較的低分子のアルコキシ基として、炭素数1〜3のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基又はイソプロポキシ基)を例示できる。
【0018】
そして抗炎症剤は、第一のフタリド誘導体、第二のフタリド誘導体、第三のフタリド誘導体(いずれも後述)とからなる群から選ばれる少なくとも一つのフタリド誘導体を有効成分として含有することが好ましい。これらフタリド誘導体を含有する抗炎症剤は、副作用をほとんど起こさせることなく、好適な抗炎症作用を奏する。
ここで抗炎症剤に、第一のフタリド誘導体、第二のフタリド誘導体又は第三のフタリド誘導体が単独で含有されていてもよく、二種以上が含有されていてもよい。第一のフタリド誘導体、第二のフタリド誘導体及び第三のフタリド誘導体の含有比率は、所望の効果を奏する限り特に限定しない。典型的な三者の含有比率は、重量比で第一のフタリド誘導体:第二のフタリド誘導体:第三のフタリド誘導体=1:1:1である。
そして本実施形態の抗炎症剤は、上記複数のフタリド誘導体が、(互いの効果を打ち消すことなく)相乗的な抗炎症作用を奏する。
【0019】
(第一のフタリド誘導体)
第一のフタリド誘導体は、上記一般式(2)で表されるフタリド誘導体(その医薬的に許容し得る塩又は溶媒和物を含む)である。そして一般式(2)中、Rが、比較的低分子の炭素数1〜3のアルコキシ基である。
好ましい抗炎症剤は、第一のフタリド誘導体を有効成分として含有するとともに、一般式(2)中、Rがメトキシ基(OCH)である。すなわち第一のフタリド誘導体が、下記化学式(5)で表わされるフタリド誘導体(4−hydroxy−6−methoxyphthalide、IUPAC名:4−hydroxy−6−methoxy−1(3H)−isobenzofuranone)である。
化学式(5)で表される第二のフタリド誘導体を含有する抗炎症剤は、副作用の発生を極力防止しつつ、比較的低濃度で坑抗炎症作用を奏することができる。
【化5】

【0020】
(第二のフタリド誘導体)
また第二のフタリド誘導体は、一般式(3)で表されるフタリド誘導体(その医薬的に許容し得る塩又は溶媒和物を含む)である。一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、比較的低分子の炭素数1〜3のアルコキシ基である。これらR及びRは、同種のアルコキシ基であってもよく、また各々異なるアルコキシ基であってもよいが、好ましくはR及びRの少なくとも一の置換基がメトキシ基(OCH)である。
【0021】
好ましい抗炎症剤は、第二のフタリド誘導体を有効成分として含有するとともに、一般式(3)中、R及びRがメトキシ基である。すなわち第二のフタリド誘導体が、下記化学式(6)で表わされるフタリド誘導体(6−hydroxy−5,7−dimethoxyphthalide、IUPAC名:5,7−dimethoxy−6−hydroxy−1(3H)−isobenzofuranone)である。
化学式(6)で表される第二のフタリド誘導体を含有する抗炎症剤は、副作用の発生を極力防止しつつ、比較的低濃度で坑抗炎症作用を奏することができる。
【化6】

【0022】
(第三のフタリド誘導体)
また第三のフタリド誘導体は、一般式(4)で表されるフタリド誘導体(その医薬的に許容し得る塩又は溶媒和物を含む)である。一般式(4)中、R及びRは、それぞれ独立に、比較的低分子の炭素数1〜3のアルコキシ基である。これらR及びRは、同種のアルコキシ基であってもよく、また各々異なるアルコキシ基であってもよいが、好ましくはR及びRの少なくとも一の置換基がメトキシ基(OCH)である。
【0023】
好ましい抗炎症剤は、第三のフタリド誘導体を有効成分として含有するとともに、一般式(4)中、R及びRがメトキシ基である。すなわち第三のフタリド誘導体が、下記化学式(7)で表わされるフタリド誘導体(5,7−dimethoxyphthalide、IUPAC名:5,7−Dimethoxy−1(3H)−isobenzofuranone)である。
化学式(7)で表される第三のフタリド誘導体を含有する抗炎症剤は、副作用の発生を極力防止しつつ、比較的低濃度で坑抗炎症作用を奏することができる。
【化7】

【0024】
(飲食物又は特定保健用食品)
そして本実施形態に係るフタリド誘導体(例えば一般式(2)〜(4)、化学式(5)〜(7)のフタリド誘導体)は、単体又は複数組み合わせて、各種の飲食物に添加又は混合して使用する(飲食物又は特定保健用食品として使用する)ことができる。
飲食物は、食用又は飲用に供されるものであればよくその種類は特に限定しない。例えば飲食物として、獣鳥肉類,乳類,卵類などの畜産食品、穀類,豆類,蔬菜類,果実類などの農産食品、魚介類,鯨類,海藻類などの水産食品、キノコ類,山菜類などの林産食品、調味料、香辛料、油脂類、菓子類、醸造食品、水,清涼飲料,酒類などの飲料類又は調味液類を例示することができる。なお上述の飲食物は、その製造段階の適当な工程において本実施形態のフタリド誘導体(有効成分)を所定量添加する以外は常法に準じて調製することができる。
【0025】
また本実施形態に係るフタリド誘導体(特に化学式(5)〜(7)のフタリド誘導体)は、脂肪成分を比較的多量に含有する飲食物においても実用的な抗炎症作用を奏する([表2]を参照)。
脂肪成分の種類は特に限定しないが、例えば、ラード,牛脂,魚油,ミルク脂肪,バター,チーズ,ショートニング,マーガリン,細菌類油,菌類油などの動物性脂肪(脂質)、植物油及び微小藻類油などの植物性脂肪(脂質)を例示することができる。
なお脂肪成分は、飲食物全重量に対して3重量%〜50重量%の範囲で含有されておればよく、好ましくは5%重量%〜40重量%である。
【0026】
そして本実施形態に係るフタリド誘導体の少なくとも一つを、飲食物全重量に対して0.05重量%〜50重量%の範囲で添加又は混合することで好適な抗炎症作用を奏する。フタリド誘導体の全含有量が0.05重量%未満であると所望の抗炎症作用が得られない傾向にある。またフタリド誘導体の全含有量が50重量%より多くてもよいが、抗炎症作用の極端な上昇は見込めず、含有量の増加に比例してコスト高となる。
そして本実施形態に係るフタリド誘導体の少なくとも一つを、飲食物全重量に対して0.1重量%〜10重量%の範囲で添加する(比較的少量添加する)ことで、好適な抗炎症作用を奏することができる。特に化学式(5)〜(7)のフタリド誘導体を含有する抗炎症剤を、飲食物全重量に対して0.1〜1.0重量%の範囲で添加することで、より実用的な抗炎症作用を奏する([表1]及び[表2]を参照)。
【0027】
そして本実施形態の抗炎症剤の食摂又は投与期間は特に限定しないが、典型的には2週間〜5週間の比較的長期にわたる食摂又は投与においても副作用を極力起こさせることなく、好適な抗炎症作用を奏する。
特に化学式(5)〜(7)のフタリド誘導体を含有する抗炎症剤は、例えば1ヵ月におよぶ摂取又は投与においても、ほとんど副作用を起こさせることなく、好適な抗炎症作用を奏する([表2]を参照)。
【0028】
(医薬又は医薬部外品)
そして本実施形態に係るフタリド誘導体は、単体又は複数組み合わせて、医薬又は医薬部外品として使用することができる。
例えば医薬として使用する場合、本実施形態に係るフタリド誘導体の全配合量は、医薬の種類、製品形態などに応じて適宜選択される。典型的には、一回の摂取(投与)で1mg〜1000mg摂取(投与)すればよく、好ましくは一回の摂取で10mg〜100mg摂取(投与)する。
【0029】
そして本実施形態の医薬(薬剤)は、経口摂取や注射投与などの各種投与形態を適用することができ、その投与経路や投与部位は特に限定されない。
また本実施形態の医薬の製剤形態は、その使用目的に応じて適宜決定されるものであり、例えば、錠剤,顆粒剤,粉末剤,丸剤又はカプセル錠剤などの固剤や、液剤,懸濁剤又は乳剤などの液剤を例示することができる。なお製剤化に際しては、医薬の使用形態や製剤形態に応じて、充填剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、表面活性剤、不湿剤、賦形剤及び希釈剤等を担体として使用することができる。
【0030】
そして第一のフタリド誘導体〜第三のフタリド誘導体は、いずれも比較的低分子の化合物(MW180〜280程度)であることから、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)にて容易に定量することが可能である(図1〜図3を参照)。さらに本実施形態のフタリド誘導体は低分子であることから、生体内に素早く吸収される。
【0031】
[試験例]
以下、本実施の形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されるものではない。
(1)第一のフタリド誘導体の製造方法(図1を参照)
実施例1のフタリド誘導体として、上記化学式(5)で表わされるフタリド誘導体(Compound1:4−hydroxy−6−methoxyphthalide)を下記(a)〜(d)の手順により製造した。
出発物質として、IUPAC名:Methyl 3,5−Dimethoxybenzoate(WAKO社製又はALD社製)を用いた。
【0032】
(a)ホルミル化反応{中間体1(IUPAC名:Methyl 2−formyl−3,5−dimethoxybenzoate)の合成}
窒素雰囲気下、1L3口フラスコにDMF37.25g(509.68mmol)を秤量したのち−20℃まで冷却した。滴下ロートからゆっくりと塩化ホスホリル(POCl)46.88g(305.81mmol)を反応温度が5℃を決して超えないように加えた。
そして滴下終了後、出発物質50g(254.81mmol)を投入し室温まで自然昇温させた。スラリー状のまま室温で1時間撹拌しつつ、80℃まで加熱して終夜撹拌した。DMF20.0g、POCl23.45gより調製した溶液を反応系内に投入した。5L3角フラスコ内で調製した飽和NaOAc水溶液500mlを−10℃に冷却して、30℃から40℃の反応溶液をゆっくりと投入した。2時間激しく撹拌した後、吸引ろ過で固体を濾取したのち2Lのイオン交換水で洗浄した。得られた固体を40℃の真空乾燥機で3日間乾燥し、淡緑色を呈する中間体1を50.42g得た(収率87.9%)。
【0033】
(b)位置選択的脱メチル化反応{中間体2(IUPAC名:Methyl 2−formyl−3−hydroxy−5−methoxybenzoate)の合成}
窒素雰囲気下、2L3口フラスコに、50.42g(224.88mmol)の中間体1を秤量しジクロロメタン500mlに溶解した。活性の高いAlCl89.96g(674.64mmol)を空気に触れさせることなく反応系内に−5℃で投入した。室温まで自然昇温させ、24時間後に出発物質がなくなったので反応溶液を氷水中に投入し反応を終了させた。2時間撹拌して、得られた固体を吸引ろ過で濾取したのち、40℃の真空乾燥機で2日間乾燥した。ジクロロメタン:酢酸エチル:ヘキサンの混合溶媒で再結晶を行ったところ、クリーム色の固体を3.76g(収率8%)で得た。ろ液の再精製を、ジクロロメタン:メタノール:酢酸エチル:ヘキサン=100:5:5:10〜100:0:5:0の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで行った。目的物のフラクションを集め、黄土色固体状の中間体2を13.64g得た(収率28.9%)。
【0034】
(c)保護基導入反応{中間体3(IUPAC名:Methyl 2−formyl−3−methoxymethyloxy−5−methoxybenzoate)の合成}
窒素雰囲気下、21.95g(104.43mmol)の中間体2を、2L3口フラスコに秤量し、ピリジン100mlに溶解した。0℃に冷却して、12.61g(156.65mmol)のメトキシメチルクロライド(MOM−Cl)をゆっくり滴下した。室温まで自然昇温させて終夜で撹拌した。ガスクロマトグラフィー(GC)で反応チェックを行い出発物質が残っていない事を確認し、リン酸バッファー(pH7.3)500ml中に投入した。2時間撹拌して、得られたスラリーを吸引ろ過し、メタノールに溶解した後、5%硫酸銅水溶液200ml中にゆっくり投入した。2時間撹拌後、スラリーを吸引ろ過し、2Lのイオン交換水で洗浄し、30℃の真空乾燥機で2日間乾燥し中間体3を26.78gquantで得た。
【0035】
(d)還元的縮合反応(第一のフタリド誘導体の合成)
窒素雰囲気下、26.55g(104.43mmol)の中間体3を2L3口フラスコに秤量し、メタノール200mlに溶解した。0℃に冷却して水素原子化ホウ素ナトリウム11.85g(313.29mmol)を投入した。室温まで自然昇温して終夜で撹拌した。反応終了後、50mlの6M−HClを加え80℃で3時間加熱した。室温まで冷却してイオン交換水を加えスラリー化したのち、吸引ろ過して第一のフタリド誘導体(Compound1)を15.05g得た(収率80.0%)。
【0036】
(2)第二のフタリド誘導体の製造方法(図2を参照)
実施例2のフタリド誘導体として、上記化学式(6)で表わされるフタリド誘導体(Compound2:6−hydroxy−5,7−dimethoxyphthalide)を、下記(a)〜(d)の手順により製造した。出発物質として、シリンガアルデヒド(Syringaldehyde、WAKO社製)を用いた。
【0037】
(a)還元反応{中間体1(IUPAC名:3,5−Dimethoxy−4−hydroxybenzylalcohol)の合成}
窒素雰囲気下、50.00g(274.47mmol)の出発物質を2L3口フラスコに秤量し、メタノール1Lに溶解した。0℃で水素原子化ホウ素ナトリウム31.15g(823.41mmol)を投入し、室温まで自然昇温させて終夜で撹拌した。反応は100ml2M−HClで停止させ、水素原子の発生がなくなるまで撹拌した。その後、イオン交換水を2L加えスラリーを吸引ろ過で濾取、洗浄、乾燥を経て、中間体1を44.55g得た(収率88%)。
【0038】
(b)保護基導入反応{中間体2(IUPAC名:4−Acetoxy−3,5−dimethoxy benzylacetate)の合成}
窒素雰囲気下、44.55g(241.87mmol)の中間体1を2L3口フラスコに秤量し、ピリジン200gに溶解した。0℃に冷却し、滴下ロートから無水酢酸61.73g(604.67mmol)を滴下して、自然昇温しながら終夜で撹拌した。反応溶液は、0℃で1L2M−HClに投入し2時間撹拌した。得られた固体を吸引ろ過して濾取したのち、洗浄、乾燥して中間体2を58.02g得た(収率81.0%)。
【0039】
(c)ホルミル化反応{中間体3(IUPAC名:4−Acetoxy−3,5−dimethoxy−6−formyl benzylacetate)の合成}
窒素雰囲気下、1L3口フラスコにジメチルホルムアミド(DMF)49.66gを秤量し、−20℃まで冷却した。滴下ロートからゆっくりと塩化ホスホリル(POCl)63.81g(416.16mmol)を反応温度が5℃を決して超えないように加えた。滴下終了後、250g(254.81mmol)の中間体2を投入し室温まで自然昇温させた。スラリー状のまま室温で1時間撹拌しつつ、80℃まで加熱して終夜撹拌した。DMF20.0g、塩化ホスホリル(POCl)23.45gより調製した溶液を反応系内に投入した。
5L3角フラスコ内で調製した飽和NaOAc水溶液500mlを−10℃に冷却して、30℃から40℃の反応溶液をゆっくりと投入した。2時間激しく撹拌した後、吸引ろ過で固体を濾取したのち2Lのイオン交換水で洗浄した。得られた固体を40℃の真空乾燥機で3日間乾燥し、淡緑色の中間体3を76.13g得た(収率80.8%)。
【0040】
(d)還元的縮合反応(第二のフタリド誘導体の合成)
窒素雰囲気下、76.13g(256.96mmol)の中間体3を2L3口フラスコに秤量し、1,4−ジオキサン500mlに溶解した。70℃に加熱して滴下ロートからKMnO52.88g(334.05mmol)の水溶液1.5Lを加え終夜で撹拌した。反応温度を下げることなく反応溶液中に2M−NaOH水溶液を加えアルカリ性にした後、50℃以上で吸引ろ過をし、80℃のイオン交換水で洗浄、70℃のジオキサンで洗浄した。ろ液は再び加熱して、80℃に保ち、濃硫酸を加えて酸性にして3時間撹拌した。得られた赤褐色固体を吸引ろ過で濾取して、イオン交換水で洗浄した。
ケーキ状の固体をメタノールに溶解し、ゆっくりイオン交換水を加えて細かく分散したスラリー溶液を調製し、吸引ろ過で濾取したのち、洗浄、乾燥を経て第二のフタリド誘導体(Compound2)を30.25g得た(収率56.0%)。
【0041】
(3)第三のフタリド誘導体の製造方法(図3を参照)
実施例3として、上記化学式(7)で表わされるフタリド誘導体(Compound3:5,7−dimethoxyphthalide)を、下記(a)〜(d)の手順により製造した。
出発物質として、IUPAC名:Methyl3,5−Dimethoxybenzoate(WAKO社製又はALD社製)を用いた。
【0042】
(a)還元反応{中間体1(IUPAC名:Methyl 3,5−Dimethoxybenzylalcohol)の合成}
窒素雰囲気下、100g(509.68mmol)の出発物質を2L3口フラスコに秤量してテトラヒドロフラン(THF)1Lに溶解した。加熱還流した状態に、5時間かけて滴下ロートからメタノール200mlを加えた。反応は100ml 2M−HClで停止させ、水素の発生がなくなるまで撹拌した。その後、有機溶媒を留去して、酢酸エチルで抽出して、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮を経て中間体1を86.35gquantで得た。
【0043】
(b)保護基導入反応{中間体2(IUPAC名:Methyl 3,5−Dimethoxybenzylacetateの合成)
窒素雰囲気下、75.00g(445.92mmol)の中間体1を2L3口フラスコに秤量し、ピリジン200mlに溶解した。0℃に冷却し、滴下ロートから無水酢酸50.08g(490.52mmol)を滴下して、自然昇温しながら終夜で撹拌した。反応溶液は、0℃で1L2M−HClに投入し2時間撹拌した。得られた固体を吸引ろ過して濾取して、洗浄、乾燥を経て中間体2を92.55g得た(収率98.7%)。
【0044】
(c)ホルミル化反応{中間体3(IUPAC名:Methyl 3,5−Dimethoxy−2−formylbenzylacetate)の合成}
窒素雰囲気下、ジメチルホルムアミド(DMF)73.99g(1001mmol)を500mlL3口フラスコに秤量したのち−20℃まで冷却した。滴下ロートからゆっくりと塩化ホスホリル(POCl)100.12g(652.97mmol)を反応温度が5℃を決して超えないように加えた。そして滴下終了後、104.96g(499.26mmol)の中間体2を投入し室温まで自然昇温させた。スラリー状のまま室温で1時間撹拌しつつ、80℃まで加熱して終夜撹拌した。DMF20.0g、POCl23.45gより調製した溶液を反応系内に投入した。5L3角フラスコ内で調製した飽和NaOAc水溶液500mlを−10℃に冷却して、30℃から40℃の反応溶液をゆっくりと投入した。2時間激しく撹拌した後、吸引ろ過で固体を濾取したのち2Lのイオン交換水で洗浄した。得られた固体を40℃の真空乾燥機で3日間乾燥し、中間体3を101.03g得た(収率84.9%)。
【0045】
(d)還元的縮合反応(第三のフタリド誘導体の合成)
窒素雰囲気下、76.13g(256.96mmol)の中間体3を2L3口フラスコに秤量し、1,4−ジオキサン300mlに溶解した。70℃に加熱して滴下ロートから、87.27g(551.29mmol)の過マンガン酸カリウム(KMnO)水溶液1.5Lを加え終夜で撹拌した。反応温度を下げることなく反応溶液中に2M−NaOH水溶液を加えアルカリ性にした後、50℃以上で吸引ろ過をし、80℃のイオン交換水で洗浄、70℃のジオキサンで洗浄した。ろ液は再び加熱して、80℃に保ち、濃硫酸を加えて酸性にして3時間撹拌した。得られた赤褐色固体を吸引ろ過で濾取して、イオン交換水で洗浄した。ケーキ状の固体をメタノールに溶解し、ゆっくりイオン交換水を加えて細かく分散したスラリー溶液を調製し、吸引ろ過で濾取したのち、洗浄、乾燥を経て第三のフタリド誘導体(Compound3)を65.05g得た(収率68.4%)。
【0046】
(4)通常食条件下における摂食試験
(実施例1)
本実施例では、市販のMS粉末(含5%ラード、オリエンタル酵母株式会社)を基礎飼料(1)として用いた。そして基礎飼料(1)中に、実施例1のフタリド誘導体を0.1重量%の濃度で混入して実施例1の飼料を作製した。
そして4週令SD系雄性ラット(8匹)を1週間予備飼育したのち、実施例1の飼料を付与しつつ23±2℃条件下で2週間飼育した。つぎに試験後のラットを断頭して、その血液を採取した。そしてラット血液中の「TNF-alpha値」を、長浜ライフサイエンスラボラトリー(オリエンタル酵母工業株式会社)に委託して測定した。
【0047】
(実施例2)
本実施例では、上述の基礎飼料(1)中に、実施例2のフタリド誘導体を0.1重量%の濃度で混入して実施例2の飼料を作製した。そして4週令SD系雄性ラット(8匹)を1週間予備飼育したのち、実施例2の飼料を付与しつつ23±2℃条件下で2週間飼育した。そして試験後のラットを断頭して、実施例1と同様にラット血液中の「TNF-alpha値」を測定した。
【0048】
(実施例3)
本実施例では、上述の基礎飼料(1)中に、実施例3のフタリド誘導体を0.1重量%の濃度で混入して実施例3の飼料を作製した。そして4週令SD系雄性ラット(8匹)を1週間予備飼育したのち、実施例3の飼料を付与しつつ23±2℃条件下で2週間飼育した。そして試験後のラットを断頭して、実施例1と同様にラット血液中の「TNF-alpha値」を測定した。
【0049】
(比較例1)
本比較例では、4週令SD系雄性ラット(8匹)を1週間予備飼育したのち、上述の基礎飼料(1)を付与しつつ23±2℃条件下で2週間飼育した。そして実施例1と同様に試験後のラットを断頭して、ラット血液中の「TNF-alpha値」を測定した。
【0050】
(5)高脂肪食条件下における摂食試験
(実施例1)
本実施例では、上述のMS粉末にラードを30%添加したものを基礎飼料(2)として用いた。そして基礎飼料(2)中に、実施例1のフタリド誘導体を0.1重量%の濃度で混入して実施例1の飼料を作製した。
そして4週令SD系雄性ラット(6匹)を1週間予備飼育したのち、実施例1の飼料を付与しつつ23±2℃条件下で4週間飼育した。つぎに試験後のラットを断頭して、その血液を採取した。そしてラット血液中の「TNF-alpha値(平均値)」と「GOT値」と「GPT値」を、長浜ライフサイエンスラボラトリーに委託して測定した。
【0051】
(実施例2)
本実施例では、上述の基礎飼料(2)中に、実施例2のフタリド誘導体を0.1重量%の濃度で混入して実施例2の飼料を作製した。そして4週令SD系雄性ラット(6匹)を1週間予備飼育したのち、実施例2の飼料を付与しつつ23±2℃条件下で4週間飼育した。そして試験後のラットを断頭して、実施例1と同様にラット血液中の「TNF-alpha値」と「GOT値」と「GPT値」を測定した。
【0052】
(実施例3)
本実施例では、上述の基礎飼料(2)中に、実施例3のフタリド誘導体を0.1重量%の濃度で混入して実施例3の飼料を作製した。そして4週令SD系雄性ラット(6匹)を1週間予備飼育したのち、実施例3の飼料を付与しつつ23±2℃条件下で4週間飼育した。そして試験後のラットを断頭して、実施例1と同様にラット血液中の「TNF-alpha値」と「GOT値」と「GPT値」を測定した。
【0053】
(実施例4)
本実施例では、上述の基礎飼料(2)中に、実施例1のフタリド誘導体を0.1重量%、実施例2のフタリド誘導体を0.1重量%、実施例3のフタリド誘導体を0.1重量%の濃度で混入して実施例4の飼料を作製した。そして4週令SD系雄性ラット(6匹)を1週間予備飼育したのち、実施例4の飼料を付与しつつ23±2℃条件下で4週間飼育した。そして試験後のラットを断頭して、実施例1と同様にラット血液中の「TNF-alpha値」と「GOT値」と「GPT値」を測定した。
【0054】
(比較例1)
本比較例では、4週令SD系雄性ラット(6匹)を1週間予備飼育したのち、上述の基礎飼料(2)を付与しつつ23±2℃条件下で4週間飼育した。そして試験後のラットを断頭して、実施例1と同様にラット血液中の「TNF-alpha値」と「GOT値」と「GPT値」を測定した。
【0055】
(6)試験結果及び考察
「通常食条件下における摂食試験」の結果を[表1]に示すとともに、「高脂肪食条件下における摂食試験」の結果を[表2]に示す。
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
(通常食条件)
実施例1〜実施例3では、ラットの「TNF-alpha値」が、比較例1のラットと比較して有意に抑制された(表1を参照)。このことから実施例1〜実施例3のフタリド誘導体によれば、好適な抗炎症作用を奏することがわかった。また実施例1〜実施例3の抗炎症剤によれば、比較的低濃度(0.1重量%)で抗炎症作用を奏する(より実用的な抗炎症作用を奏する)ことがわかった。
また本試験では、ラット(生体)を用いて、実施例1〜実施例3の抗炎症作用を確認した。このため実施例1〜実施例3の抗炎症剤によれば、神経系や内分泌の影響を多大に受ける生物内において、実用的な抗炎症作用を奏することがわかった。
【0058】
(高脂肪食条件)
実施例1〜実施例4では、ラットの「TNF-alpha値」が、比較例1のラットと比較して有意に抑制された(表2を参照)。このことから実施例1〜実施例4のフタリド誘導体によれば、高脂肪食条件下においても好適な抗炎症作用を奏することがわかった。
さらに実施例4では、実施例1〜3のフタリド誘導体を複合的に使用することで、(互いに効果を打ち消し合うことなく)相乗的な抗炎症作用を奏することがわかった。
そして実施例1〜実施例4のラットでは、「GOT値」又は「GPT値」の極端な増減が見られず、肝臓などの臓器に対する負荷が小さいことがわかった。このことから実施例1〜実施例4の抗炎症剤は、肝障害などの副作用を極力伴うことなく、好適な抗炎症作用を奏することがわかった。
以上の結果により、実施例1〜実施例4のフタリド誘導体が、より実用的な抗炎症作用により、抗炎症剤(特に抗痛風剤)の有効成分として有用であることがわかった。
【0059】
そして実施例1のフタリド誘導体(化学式(5)のフタリド誘導体)が上記作用を奏することを確認できた。このことから一般式(2)のフタリド誘導体(Rが、比較的低分子のアルコキシ基であるフタリド誘導体)であれば、同様の効果を奏することが容易に推測される。
また実施例2のフタリド誘導体(化学式(6)のフタリド誘導体)が上記作用を奏することを確認できた。このことから、一般式(3)のフタリド誘導体(R及びRが、それぞれ独立に、比較的低分子のアルコキシ基であるフタリド誘導体)であれば、同様の効果を奏することが容易に推測される。
また実施例2のフタリド誘導体(化学式(7)のフタリド誘導体)が上記作用を奏することを確認できた。このことから、一般式(4)のフタリド誘導体(R及びRが、それぞれ独立に、比較的低分子のアルコキシ基であるフタリド誘導体)であれば、同様の効果を奏することが容易に推測される。
さらに上記結果を総合すると、一般式(1)のフタリド誘導体によれば、好適な抗炎症作用を奏することが推測される。
【0060】
本実施形態の抗炎症剤は、上述した実施例に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(a)実施例1では、化学式(5)で示されるフタリド誘導体の合成方法を例示した。一般式(2)に含まれる各種の化合物も、その出発物質を適宜選択することで、化学式(5)で示されるフタリド誘導体と同様の経路により合成することができる。
また実施例2では、化学式(6)で示されるフタリド誘導体の合成方法を例示した。一般式(3)に含まれる各種の化合物も、その出発物質を適宜選択することで、化学式(6)で示されるフタリド誘導体と同様の経路により合成することができる。
そして実施例3では、化学式(7)で示されるフタリド誘導体の合成方法を例示した。一般式(4)に含まれる各種の化合物も、その出発物質を適宜選択することで、化学式(7)で示されるフタリド誘導体と同様の経路により合成することができる。
(b)また化学式(1)で示されるフタリド誘導体も、上記経路を考慮することで合成することができる。
【0061】
(c)また本実施例の抗炎症剤には、ビタミン類、ミネラル類、ホルモン類、酸化防止剤、生理活性物質、甘み料、酸味料、香料、塩分又は糖類を、必要に応じて添加できる。
(d)また本実施形態の抗炎症剤は、牛、豚及び鶏などの家畜の飼料に混合して使用できる。
(e)また本実施形態では、化学的に合成したフタリド誘導体を使用したが、定法に従い植物から単離したフタリド誘導体を使用してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるフタリド誘導体を有効成分として含有する抗炎症剤。
【化1】


(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子と水酸基とアルコキシ基からなる群より選ばれる一つの基を示す。)
【請求項2】
下記一般式(2)で表される第一のフタリド誘導体と、下記一般式(3)で表される第二のフタリド誘導体と、下記一般式(4)で表される第一のフタリド誘導体とからなる群から選ばれる少なくとも一つのフタリド誘導体を有効成分として含有する請求項1に記載の抗炎症剤。
【化2】


(一般式(2)中、Rは、炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
【化3】


(一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
【化4】


(一般式(4)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
【請求項3】
前記第一のフタリド誘導体を有効成分として含有する請求項2に記載の抗炎症剤であって、一般式(2)中、Rがメトキシ基である抗炎症剤。
【請求項4】
前記第二のフタリド誘導体を有効成分として含有する請求項2に記載の抗炎症剤であって、一般式(3)中、R及びRが共にメトキシ基である抗炎症剤。
【請求項5】
前記第三のフタリド誘導体を有効成分として含有する請求項2に記載の抗炎症剤であって、一般式(4)中、R及びRが共にメトキシ基である抗炎症剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−116674(P2011−116674A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273278(P2009−273278)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】