説明

抗癌剤としての3,3’−スピロインドリノン誘導体

式(I)


の化合物(式中、X、Y、R1、R2は本明細書において説明されている。)、又はそれらの医薬として許容される塩若しくはエステルが提供される。本化合物は、抗−増殖剤、特に抗癌剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、X、Y、R1、R2は、本明細書において説明されている。)を有するスピロインドリノンの類似体、又はそれらの医薬として許容される塩若しくはエステルに関する。これらの化合物は、抗増殖剤、特に抗癌剤として有用である。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
p53は、癌発生に対する防御において中心的役割を果たす腫瘍抑制タンパク質である。これは、細胞の完全性を保護し、かつ増殖停止又はアポトーシスの誘導により、永久的に損傷された細胞クローンの増殖を妨害する。分子レベルでは、p53は、細胞周期及びアポトーシスの調節に関与した遺伝子パネルを活性化することができる転写因子である。p53は、細胞レベルでMDM2により厳密に調節される強力な細胞周期阻害物質である。MDM2及びp53は、フィードバック制御ループを形成する。MDM2は、p53に結合し、かつp53−調節される遺伝子をトランス活性化するその能力を阻害することができる。加えてMDM2は、p53のユビキチン−依存型の分解を媒介する。p53は、MDM2遺伝子の発現を活性化することができ、その結果MDM2タンパク質の細胞レベルを上昇する。このフィードバック制御ループは、MDM2及びp53の両方が正常な増殖細胞においては低レベルを維持することを確実にする。MDM2は、細胞周期調節において中心的役割を果たすE2Fの補因子でもある。
【0005】
MDM2のp53(E2F)に対する比は、多くの癌において異常調節される。例えば頻繁に生じるp16INK4/pl9ARF遺伝子座における分子欠損は、MDM2タンパク質分解に影響を及ぼすことが示されている。野生型p53による腫瘍細胞におけるMDM2−p53相互作用の阻害は、p53の蓄積、細胞周期の停止及び/又はアポトーシスに繋がるはずである。従ってMDM2アンタゴニストは、単独の物質として又は広いスペクトルの他の抗腫瘍療法との組合せとしての、癌療法への新たなアプローチを提供することができる。この戦略の実行可能性は、MDM2−p53相互作用の阻害のための様々な大型分子ツール(例えば、抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド)の使用により示されている。MDM2は、p53として保存的結合領域を介しE2Fにも結合し、サイクリンAのE2F−依存型転写を活性化し、このことはMDM2アンタゴニストは、p53変異細胞において影響を有し得ることを示唆する。
【0006】
これまでにMDM2のアンタゴニストとしての一連のスピロインドリノンが、論文J. Am Chem. Soc, 127, 10130 (2005)において、更には2007年9月13日に公開されたUS-2007-0213341-A1において、明らかにされている。
【0007】
本発明は、MDM2−p53相互作用の小型分子阻害物質であるスピロインドリノン誘導体を提供する。無細胞アッセイ及び細胞ベースのアッセイにおいて、本発明の化合物は、MDM2タンパク質のp53−様ペプチドとの相互作用を阻害することが示されている。細胞ベースのアッセイにおいて、これらの化合物は、機構的活性を明らかにしている。癌細胞の野生型p53とのインキュベーションは、p53タンパク質の蓄積、p53−調節されたp21遺伝子の誘導、並びにG1期及びG2期での細胞周期の停止に繋がり、結果的にインビトロにおいて野生型p53細胞に対する強力な抗増殖活性を生じる。対照的に、これらの活性は、同等の化合物濃度で、変異体p53を伴う癌細胞においては認められない。従ってMDM2アンタゴニストの活性は、その作用機序に恐らく結びつけられるであろう。これらの化合物は、強力かつ選択的抗癌剤であり得る。
【発明の概要】
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、下記式
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、
Xは、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、エチニル、シクロプロピル、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ及びビニルからなる群から選択され、
Yは、水素、ヒドロキシル、又はフッ素であり、
1は、低級アルケニル、置換された低級アルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択され、並びに
2は、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換されたヘテロシクリル、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択される。)
のスピロインドリノン、又はそれらの医薬として許容される塩若しくはエステルに関する。
【0011】
好ましいのは、式II
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、
Xは、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、エチニル、シクロプロピル、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ及びビニルからなる群から選択され、
Yは、水素、ヒドロキシル、又はフッ素であり、
1は、低級アルケニル、置換された低級アルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択され、並びに
2は、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換されたヘテロシクリル、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択される。)
に示されるような立体化学構造を有する式Iの化合物、又はそれらの医薬として許容される塩若しくはエステルである。
【0014】
更に好ましいのは、
Xが、Cl、F又はBrであり、
Yが、水素であり、
2が、置換されたフェニル又は置換されたヘテロアリールであり、ここで置換されたフェニル又は置換されたヘテロアリールは
【0015】
【化4】

【0016】
からなる群から選択され、並びに
1が、低級アルケニル、置換された低級アルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択される、式IIの化合物、又はそれらの医薬として許容される塩若しくはエステルである。
【0017】
最も好ましい化合物は、下記式のものである:
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
キラル(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−5−ヒドロキシ−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−4’−(3−フルオロ−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−4’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−イソプロペニル−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−5−フルオロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(フラン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(チオフェン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(ピリジン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−エチニル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’S,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−エチニル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(シクロペンタ−1−エニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;及び
ラセミ体(2’S,3S)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシカルボニル−1−メチル−エトキシ)−フェニル]−4’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
指摘されたように本明細書において、様々な基は、低級アルキル、低級−アルケニル、低級−アルキニル、ジオキソ−低級−アルキレン(例えばベンゾジオキシル基を形成する)、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、CF3、NH2、N(H、低級−アルキル)、N(低級−アルキル)2、アミノカルボニル、カルボキシ、NO2、低級−アルコキシ、チオ−低級−アルコキシ、低級−アルキルスルホニル、アミノスルホニル、低級−アルキルカルボニル、低級−アルキルカルボニルオキシ、低級−アルコキシカルボニル、低級−アルキル−カルボニル−NH、フルオロ−低級−アルキル、フルオロ−低級−アルコキシ、低級−アルコキシ−カルボニル−低級−アルコキシ、カルボキシ−低級−アルコキシ、カルバモイル−低級−アルコキシ、ヒドロキシ−低級−アルコキシ、NH2−低級−アルコキシ、N(H、低級−アルキル)−低級−アルコキシ、N(低級−アルキル)2−低級−アルコキシ、ベンジルオキシ−低級−アルコキシ、モノ−又はジ−低級アルキル置換されたアミノ−スルホニル、及びハロゲン、ヒドロキシ、NH2、N(H、低級−アルキル)又はN(低級−アルキル)2により任意に置換され得る低級−アルキルからなる群から独立して選択される置換基1〜5個、又は好ましくは1〜3個により置換されてよい。アリール環、ヘテロアリール環及び複素環に関する好ましい置換基は、ハロゲン、低級アルコキシ、低級アルキル及びアミノである。
【0019】
アルキル、アルケニル、アルキニル又は類似基が、同じ部分の両端に連結されている場合、該部分の2個の水素が、アルキル、アルケニル、アルキニル又は類似基の2つの末端により置き換えられている環状構造を生じ、従ってテトラリン、大員環又はスピロ化合物などの、環状構造を作製する。
【0020】
用語「アルキル」は、炭素原子1〜約20個を有する、直鎖−又は分岐鎖の飽和された炭化水素基をいう。ある実施態様において、アルキル置換基は、低級アルキル置換基であってよい。用語「低級アルキル」は、炭素原子1〜8個、ある実施態様においては炭素原子1〜4個を有するアルキル基をいう。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、及びs−ペンチルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において使用されるように「シクロアルキル」は、炭素原子のみからなる任意の安定した単環系又は多環系で、その任意の環は飽和されているものをいうことが意図され、並びに用語「シクロアルケニル」は、炭素原子のみからなる任意の安定した単環系又は多環系で、それらの少なくとも1個の環は部分的に不飽和であるものをいうことが意図される。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[2.2.2]ビシクロオクタン又は[3.3.0]ビシクロオクタンなどのビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナンなどのビシクロノナン、及び[4.4.0]ビシクロデカン(デカリン)などのビシクロデカンを含むビシクロアルキル、或いはスピロ化合物を含むが、これらに限定されるものではない。シクロアルケニルの例は、シクロペンテニル又はシクロヘキセニルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本明細書において使用される用語「アルケニル」は、1個の二重結合を含み、かつ炭素原子2〜8個、好ましくは2〜6個を有する、不飽和の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基を意味する。そのような「アルケニル基」の例は、ビニル(エテニル)、アリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル及び5−ヘキセニルである。
【0023】
本明細書において使用される用語「アルキニル」は、1個の三重結合を含み、かつ炭素原子2〜6個、好ましくは2〜4個を有する、不飽和の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基を意味する。そのような「アルキニル基」の例は、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル及び5−ヘキシニルである。
【0024】
本定義において使用される用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、ヨウ素又は臭素を意味し、好ましくはフッ素及び塩素を意味する。
【0025】
「アリール」は、一価の単環又は二環の、芳香族炭素環式炭化水素ラジカル、好ましくは6〜10員の芳香族環系を意味する。好ましいアリール基は、フェニル、ナフチル、トリル、及びキシリルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0026】
「ヘテロアリール」は、最大2個の環を含む芳香族複素環系を意味する。好ましいヘテロアリール基は、チエニル、フリル、インドリル、ピロリル、ピリジニル、ピラジニル、オキサゾリル、チアキソリル、キノリニル、ピリミジニル、イミダゾール及びテトラゾリルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0027】
二環式であるアリール又はヘテロアリールの場合、一方の環はアリールであるが、他方の環はヘテロアリールであってよく、かつ両方共置換されるか又は非置換であることは理解されなければならない。
【0028】
「ヘテロシクリル」は、置換又は非置換の5〜8員の単環又は二環の芳香族又は非芳香族炭化水素を意味し、ここで炭素原子1〜3個は、窒素、酸素又は硫黄原子から選択されたヘテロ原子により置き換えられる。例は、ピロリジン−2−イル;ピロリジン−3−イル;ピペリジニル;モルホリン−4−イルなどを含む。
「ヘテロ原子」は、N、O及びSから選択された原子を意味する。
【0029】
「アルコキシ、アルコキシル又は低級アルコキシ」とは、酸素原子に結合された前記低級アルキル基のいずれかをいう。典型的低級アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ又はプロポキシ、ブチルオキシなどを含む。更にアルコキシの意味に含まれるのは、複数のアルコキシ側鎖、例えばエトキシエトキシ、メトキシエトキシ、メトキシエトキシエトキシなど、及び置換されたアルコキシ側鎖、例えばジメチルアミノエトキシ、ジエチルアミノエトキシ、ジメトキシ−ホスホリルメトキシなどである。
【0030】
医薬として許容される担体、賦形剤などの「医薬として許容される」とは、薬理学的に許容することができ、かつ特定の化合物が投与される対象にとって実質的に無毒であることを意味する。
【0031】
「医薬として許容される塩」とは、本発明の化合物の生物学的効能及び特徴を保持しており、かつ好適な無毒の有機酸若しくは無機酸又は有機塩基若しくは無機塩基から形成された、通常の酸付加塩又は塩基付加塩をいう。酸付加塩の実例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸及び硝酸などの無機酸に由来するもの、並びにp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸に由来するものを含む。塩基付加塩の実例は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム由来のもの、及び例えば水酸化テトラメチルアンモニウムなどの第4級アンモニウムの水酸化物などを含む。医薬化合物(すなわち薬物)の塩への化学修飾は、化合物の改善された物理的及び化学的安定性、吸湿性、流動性並びに溶解度を得るための製薬化学者にとって周知の技術である。例えば、Anselらの文献「医薬剤形及び薬物送達システム(Pharmaceutical Dosage Formes and Drug Delivery Systems)」(第6版、1995年)の196頁及び1456−1457頁を参照のこと。
【0032】
式Iの化合物に加えそれらの塩は、少なくとも1つの不斉炭素原子を有し、その結果ラセミ混合物又は異なる立体異性体として存在することができる。様々な異性体が、例えばクロマトグラフィーなどの、公知の分離法により単離されることができる。本発明は、全ての立体異性体を含む。
【0033】
本発明の化合物は、細胞増殖性障害、特に腫瘍学的障害の治療又は管理に有用である。これらの化合物及び該化合物を含有する製剤は、例えば、乳房、結腸、肺及び前立腺の腫瘍などの固形腫瘍を治療又は管理するのに有用であることができる。
【0034】
本発明の化合物の治療的有効量は、疾患の症状を予防、軽減又は改善するか又は治療される対象の生存を延長するのに有効である化合物の量を意味する。治療的有効量の決定は、当該技術分野の範囲内である。
【0035】
本発明の化合物の治療的有効量又は用量は、広い範囲内で変動することができ、かつ当該技術分野において公知の様式で決定されることができる。そのような用量は、投与される具体的化合物(類)、投与経路、治療される状態、更には治療される患者を含む、各々の特定の場合における個々の必要要件にあうよう調節されるであろう。概して、体重およそ70Kgの成人への経口又は非経口投与の場合、1日量約10mg〜約10,000mg、好ましくは約200mg〜約1,000mgが適しているが、指定される場合は、この上限を超えてよい。この1日量は、一回量又は分割量として投与されることができるか、又は非経口的投与に関しては、これは連続注入として投与されてよい。
【0036】
本発明の製剤は、経口、経鼻、局所用(口腔内及び舌下を含む)、経直腸、経膣及び/又は非経口投与に適したものを含む。本製剤は好都合なことに、単位剤形で提供され、かつ調剤技術分野において周知の任意の方法により調製されてよい。単一剤形を作製するために担体物質と組合せることができる活性成分の量は、治療される宿主に加え、投与の特定の態様に応じて変動するであろう。単一剤形を作製するために担体物質と組合せることができる活性成分の量は一般に、治療的効果を生じる式I又はII又はIIIの化合物の量であろう。一般にこの量は、100%中、活性成分が約1%〜約99%、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは約10%〜約30%の範囲であろう。
【0037】
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の化合物を担体、及び任意に1種又は複数の付属成分と会合させる工程を含む。概して、本製剤は、本発明の化合物を、液体担体と、又は細かく分割された固形担体と、又は両方と、均質かつ密接に会合させ、次に必要ならば製品に成形することにより調製される。
【0038】
経口投与に適した本発明の製剤は、所定量の本発明の化合物を活性成分として含有する、カプセル剤、カシェ剤、サシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(通常ショ糖及びアカシアゴム又はトラガカントゴムなどの、香味基剤を使用する)、散剤、顆粒剤、又は水性若しくは非水性液体中の液剤若しくは懸濁剤、又は水中油型若しくは油中水型液体乳剤、又はエリキシル剤若しくはシロップ剤、又は香錠(ゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアカシアゴムなどの不活性基剤を使用する)、及び/又は洗口剤などの形状であることができる。本発明の化合物は、ボーラス剤、舐剤又はパスタ剤としても投与されることができる。
【0039】
「有効量」は、疾患の症状を予防、軽減又は改善するか又は治療される対象の生存を延長するのに有効である化合物の量を意味する。
【0040】
「IC50」は、特異的な測定された活性の50%を阻害するために必要とされる特定の化合物の濃度をいう。IC50は、とりわけ、以下に説明するように測定することができる。
【0041】
「医薬として許容されるエステル」とは、通常カルボキシル基又はヒドロキシ基を有する、エステル化された式Iの化合物をいい、このエステルは、式Iの化合物の生物学的効能及び特徴を保持しており、かつインビボにおいて(生体内において)、各々、対応する活性カルボン酸又はアルコールへと切断される。
【0042】
合成
式I又はIIの本発明の化合物は、以下の全般的スキームに従い合成することができる。式I−IIIの化合物は、この全般的合成経路の試薬又は物質の置き換えにより調製され得ることは、当業者には容易に明らかであろう。出発物質は、市販されているか、又は当業者に公知のよく確立された文献の方法により合成することができるかのいずれかである。キラルクロマトグラフィーによる精製を用い、式IIの化合物は、光学的に純粋な又は豊富なエナンチオマーとして得ることができる。
【0043】
【化5】

【0044】
全般的に、適宜選択されたアルデヒドIは、ワンポット多工程様式で、リチウムヘキサメチルジシラミド、クロロトリアルキルシラン及びクロロアシルクロリドと反応させ、2−アザ−1,3−ブタジエンIIを生成することができ(スキームI)、かつこれを粗生成物として使用した。Ghosez, L.らは、2−アザ−1,3−ブタジエンの調製及びヘテロシクリル形成のためのアザディールス−アルダー反応におけるそれらの使用を報告した(参照:Tetrahedron, 11021 (1995);J. Am. Chem. Soc., 2617 (1999);及び、それらに引用された文献)。適宜選択されたアルデヒドIは、市販されているか、又はよく確立された複数の文献の方法により合成することができるかのいずれかである。
【0045】
【化6】

【0046】
6−置換された又は5,6−二置換されたオキシインドールIII出発物質は、市販されているか、又は、例えばKraynack, E. A.;Dalgard, J. E.;Gaeta, F. C. A.の論文、Tetrahedron Letters, 39, 7679-7682 (1998)に従い、対応する4−置換された2−ニトロ−フルオロ又はクロロベンゼンから、若しくは5−フルロ−6−クロロオキシインドールについてはEP153818から、文献の方法に従い調製するかのいずれかである。オキシインドールIIIは、適宜置換されたアルデヒドと、いずれかのプロトン性溶媒中、加熱条件下で、塩基の存在下で反応させ、中間体IVを生成することができる。通常使用される塩基は、ピロリジン又はピペリジンのいずれかである。中間体IVは、塩基(類)として二炭酸ジ−tert−ブチル及び4−ジメチルピリジン又は4−ジメチルピリジン及びトリエチルアミンの組合せを使用する保護反応を介して、中間体Vへと変換することができる。次に中間体Vは、トルエン又はキシレン中、110℃〜160℃の加熱及び無水条件下で、2−アザ−1,3−ブタジエンIIと反応させ、引き続きジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸により室温で処理し、スピロインドリノンVI及びVI’のラセミ混合物を供することができる。最後に、VI及びVI’のラセミ混合物を、トルエン中、加熱条件下(110℃)で1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)と反応させ、ラセミ混合物VII及びVII’を供することができる(スキーム2)。化合物VII及びVII’は、キラルSuper Fluidクロマトグラフィー(SFC)又はキラルHPLC又はキラルカラムクロマトグラフィー分離により、2種のキラルエナンチオマーへ容易に分割することができ、2種のキラルエナンチオマーを生じる。
【0047】
本発明の更なる実施態様は、全般的スキーム1〜2に従う、式(I)の化合物の合成プロセスに関する。
下記実施例及び参考文献は、本発明の理解を助けるために提供されており、本発明の実際の範囲は、添付された「特許請求の範囲」に示されている。
【実施例】
【0048】
実施例1
中間体E/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの調製
【0049】
【化7】

【0050】
メタノール(109mL)中の6−クロロオキシインドール(16.2g、92mmol)(Crescent社)及び3−クロロ−ベンズアルデヒド(12.9g、92mmol)(Aldrich社)の混合物へ、ピロリジン(6.55g、92mmol)(Aldrich社)を滴下した。その後この混合物を、70℃で3時間加熱した。4℃に冷却した後、この混合物を濾過し、得られた沈殿物を収集し、乾燥し、E/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの混合物を明黄色固形物として生じた(収量25.2g、95%)。
【0051】
実施例2
中間体E/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【0052】
【化8】

【0053】
ジクロロメタン(50mL)中の実施例4aにおいて調製したE/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(1g、3.4mmol)の溶液へ、室温で、二炭酸ジ−tert−ブチル(1.5g、6.9mmol)(Aldrich社)を添加し、引き続き4−ジメチルアミノピリジン(1g、8.2mmol)を添加した。この反応混合物を、室温で1時間攪拌した。その後この混合液を濃縮し、残渣をクロマトグラフィーにより精製し、E/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルをオレンジ色固形物として生じた(収量1.3g、96%)。
【0054】
実施例3
中間体4−クロロ−1−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエンの調製
【0055】
【化9】

【0056】
窒素下、室温で、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(6.54mL、31.5mmol)(Aldrich社)へ、n−ブチルリチウム(2.5M、12.6mL、31.5mmol)(Aldrich社)を添加した。この反応混合物を、室温で10分間攪拌した。その後無水テトラヒドロフラン(50mL)を添加し、引き続き5−フルオロ−2−メチル−ベンズアルデヒド(4.35g、10.5mmol)(Platte社)を添加した。この混合物を室温で0.5時間攪拌した後、トリメチルシリルクロリド(4.11mL、31.5mmol)(Aldrich社)を滴下した。その後この混合物の温度を、冷却用氷浴上で、0℃まで下げた。この混合物へ、トリエチルアミン(5.86mL、41mmol)を一気に添加し、引き続きジエチルエーテル(120mL)中の塩化クロロアセチル(3.35mL、41mmol)(Aldrich社)の溶液を滴下した。冷却用浴を取り除き、この混合物を室温で1時間攪拌した。この混合物を、窒素下セライト上で迅速に濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、粗4−クロロ−1−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエンを黄色ゴム状物として得、これを更に精製することなく次工程で使用した。
【0057】
実施例4
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0058】
【化10】

【0059】
トルエン(50mL)中の4−クロロ−1−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(31.5mmol)の溶液へ、実施例2において調製したE/Z−6−クロロ−3−(3−クロロベンジリデン)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.53g、3.93mmol)を添加した。この反応混合液を、密封チューブ内で、窒素下、145℃で45分間攪拌した。この溶液を室温まで冷やした後、メタノール(10mL)を添加した。この反応混合液を、短いセライトゲルのパッドを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮した。残渣を、ジクロロメタン(10mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(10mL)を添加した。この反応混合液を室温で1時間攪拌した後、この混合液を濃縮した。残渣を、飽和NaHCO3溶液と酢酸エチルの間で分配した。水層を、酢酸エチルにより抽出した。一緒にした抽出物を、Na2SO4上で乾燥し、かつ濃縮した。この残渣を、クロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:4、1:2)により精製し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを帯黄白色固形物として生じた(収量0.5g、25%)。
【0060】
実施例5
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0061】
【化11】

【0062】
トルエン(50mL)中のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.5g、0.99mmol)の溶液へ、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン(DBU、Aldrich社)(1.48mL、9.9mmol)を添加した。この反応混合液を、120℃で4時間、加熱し攪拌した。室温に冷却した後、この混合液を濃縮した。残渣を、水溶液と酢酸エチルの間で分配した。水層を、酢酸エチルにより抽出した。一緒にした抽出物を、水、ブラインで洗浄し、次にNa2SO4上で乾燥し濃縮した。残渣を、クロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:1、2:1)により精製し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを、帯黄白色固形物として生じた(収量0.17g、37%)。
HRMS(ES+) m/z C2517Cl2FN22+H [(M+H)+]の理論値:467.0724、実測値:467.0723。
【0063】
実施例6
キラル(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0064】
【化12】

【0065】
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン(90mg)からの2種のエナンチオマーの分離を、キラルSFCにより実行し、キラル(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを乳白色固形物(28.5mg、32%)として、及びキラル(2’S,3S)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを乳白色固形物(28.6mg、32%)として提供した。
【0066】
実施例7
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−5−ヒドロキシ−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0067】
【化13】

【0068】
メタノール(30mL)中の実施例5で調製したラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.15g、0.32mmol)の溶液へ、K2CO3(0.12g、0.87mmol)及びH22水溶液(30%、2mL、0.89mmol)を添加した。この反応混合液を、室温で4時間攪拌した。Na2SO3水溶液を、この反応混合液に添加し、次にこの混合液を少量まで濃縮した。この混合液を、水溶液と酢酸エチルの間で分配した。水層を、酢酸エチルにより抽出した。一緒にした抽出物を、水、ブラインで洗浄し、その後Na2SO4上で乾燥し濃縮し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−5−ヒドロキシ−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを白色固形物として生じた(収量0.13g、84%)。
HRMS(ES+) m/z C2517Cl2FN23+H [(M+H)+]の理論値:483.0673、実測値:483.0674。
【0069】
実施例8
中間体メタンスルホン酸テトラヒドロピラン−4−イルエステルの調製
【0070】
【化14】

【0071】
ジクロロメタン(90mL)の中の4−ヒドロキシテトラヒドロピラン(4.5g、44mmol)(Aldrich社)の溶液へ、0℃で、トリエチルアミン(5.4g、53mmol)、及びメタンスルホニルクロリド(3.73mL、48mmol、Aldrich社)を添加した。この反応混合液を、0℃で1時間、その後室温で1.5時間攪拌した。この混合液を、水へと注ぎ、ジクロロメタンにより抽出した。有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し濃縮し、粗メタンスルホン酸テトラヒドロピラン−4−イルエステルを白色固形物として生じた(収量8g、100%)。同様の変換は、Suto, M.J.らの論文(J. Med. Chem, 2484 (1991))に記載されている。
【0072】
実施例9
中間体5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ベンズアルデヒドの調製
【0073】
【化15】

【0074】
N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)の中のクロロサリチルアルデヒド(2.18g、13.8mmol)(Aldrich社)の溶液へ、無水Cs2CO3(13.58g、42mmol)、及び4−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(4.5g、20.8mmol)を添加した。この反応混合液を、140℃で1時間加熱した。この混合液を、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を一緒にし、水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮し、粗5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ベンズアルデヒドを黄色固形物として生じた(収量3.2g、95%)。
【0075】
実施例10
中間体4−クロロ−1−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエンの調製
【0076】
【化16】

【0077】
実施例3に説明された方法に類似した方式で、5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ベンズアルデヒド(1.6g、6.44mmol)を、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(1.38mL、6.44mmol)、n−ブチルリチウム(2.5M、2.6mL、6.44mmol)、トリメチルシリルクロリド(0.85mL、6.44mmol)、トリエチルアミン(1.2mL、8.37mmol)及び塩化クロロアセチル(0.69mL、8.37mmol)と反応させ、粗4−クロロ−1−[5−クロロ−4−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエンを黄色ゴム状物として生じ、更に精製することなく次工程で使用した。
【0078】
実施例11
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−4’−(3−クロロフェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0079】
【化17】

【0080】
実施例4に説明された方法に類似した方式で、実施例2において調製したE/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.31g、0.8mmol)を、トルエン中の4−クロロ−1−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(6.44mmol)と反応させ、次にジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸により処理し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−4’−(3−クロロフェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量0.25g、52%)。
【0081】
実施例12
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0082】
【化18】

【0083】
実施例5に説明された方法に類似した方式で、実施例10のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]]−4’−(3−クロロフェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.25g、0.41mmol)を、トルエン中のDBUと共に加熱し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量25mg、11%)。
HRMS(ES+) m/z C2923Cl324+H [(M+H)+]の理論値:569.0796、実測値:569.0800。
【0084】
実施例13
中間体6−クロロ−3−[1−(3−フルオロ−フェニル)−メチリデン]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの調製
【0085】
【化19】

【0086】
実施例1に説明された方法に類似した方式で、6−クロロオキシインドール(3.61g、21.5mmol)を、メタノール中の3−フルオロ−ベンズアルデヒド(Aldrich社、2.26mL、21.5mmol)及びピペリジン(2.12mL、21.5mmol)と反応させ、6−クロロ−3−[1−(3−フルオロ−フェニル)−メチリデン]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンを黄色固形物として生じた(収量4.5g、76%)。
【0087】
実施例14
中間体E/Z−6−クロロ−3−[1−(3−フルオロ−フェニル)−メチリデン]−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【0088】
【化20】

【0089】
実施例2に説明された方法に類似した方式で、E/Z−6−クロロ−3−[1−(3−フルオロ−フェニル)−メチリデン]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(4.5g、16.4mmol)を、ジクロロメタン中の二炭酸ジ−tert−ブチル(3.94g、18mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(80mg)と反応させ、E/Z−6−クロロ−3−[1−(3−フルオロ−フェニル)−メチリデン]−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色固形物として生じた(収量5.8g、94%)。
【0090】
実施例15
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]]−4’−(3−フルオロ−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0091】
【化21】

【0092】
実施例4に説明された方法に類似した方式で、実施例14において調製したE/Z−6−クロロ−3−[1−(3−フルオロ−フェニル)−メチリデン]−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.3g、0.8mmol)を、トルエン中の実施例10において調製した4−クロロ−1−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(6.44mmol)と反応させ、その後ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸で処理し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]]−4’−(3−フルオロ−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量0.15g、32%)。
【0093】
実施例16
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−4’−(3−フルオロ−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0094】
【化22】

【0095】
実施例5に説明された方法に類似した方式で、実施例16のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]]−4’−(3−フルオロ−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.15g、0.25mmol)を、トルエン中のDBUと一緒に加熱し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−4’−(3−フルオロ−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量50mg、36%)。
HRMS(ES+) m/z C2923Cl2FN24+H [(M+H)+]の理論値:553.1092、実測値:553.1093。
【0096】
実施例17
中間体2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エトキシ]−5−クロロ−ベンズアルデヒドの調製
【0097】
【化23】

【0098】
N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)中の5−クロロサリチルアルデヒド(5g、32mmol)(Aldrich社)の溶液へ、K2CO3(20g、145mmol)、及び(2−ブロモ−エトキシ)−tert−ブチル−ジメチル−シラン(10g、42mmol、Aldrich社)を添加した。この反応混合液を、60℃で18時間加熱した。この粗物質を、室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、水、ブラインで洗浄した。有機層を分離し、濃縮し、かつ残渣をクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン=1:8、その後1:4)により精製し、2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エトキシ]−5−クロロ−ベンズアルデヒドを白色固形物として生じた(収量10g、99%)。
【0099】
実施例18
中間体E/Z−3−{2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エトキシ]−5−クロロ−ベンジリデン}−6−クロロ−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの調製
【0100】
【化24】

【0101】
実施例1に説明された方法に類似した方式で、6−クロロオキシインドール(2.37g、12.7mmol)を、メタノール中の実施例18において調製した2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エトキシ]−5−クロロ−ベンズアルデヒド(4g、12.7mmol)及びピペリジン(1.25mL、12.7mmol)と反応させ、E/Z−3−{2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エトキシ]−5−クロロ−ベンジリデン}−6−クロロ−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンを黄色固形物として生じた(収量5.46g、92%)。
【0102】
実施例19
中間体E/Z−3−{2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エトキシ]−5−クロロ−ベンジリデン}−6−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【0103】
【化25】

【0104】
実施例2に説明された方法に類似した方式で、E/Z−3−{2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エトキシ]−5−クロロ−ベンジリデン}−6−クロロ−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(5.46g、12mmol)を、ジクロロメタン中の二炭酸ジ−tert−ブチル(3.33g、15.3mmol)、トリエチルアミン(6.54mL、47mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(57mg)と反応させ、E/Z−3−{2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エトキシ]−5−クロロ−ベンジリデン}−6−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色固形物として生じた(収量4.8g、72.7%)。
【0105】
実施例20
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0106】
【化26】

【0107】
実施例4に説明された方法に類似した方式で、実施例19において調製したE/Z−3−{2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エトキシ]−5−クロロ−ベンジリデン}−6−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.48g、2.62mmol)を、トルエン中の実施例3において調製した4−クロロ−1−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(21mmol)と反応させ、その後ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸で処理し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量0.2g、14%)。
【0108】
実施例21
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−4’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0109】
【化27】

【0110】
実施例5に説明された方法に類似した方式で、実施例20のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.2g、0.35mmol)を、トルエン中のDBUと一緒に加熱し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−4’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを明黄色固形物として生じた(収量30mg、16%)。
MS(ES+) m/z C2721Cl2FN24+ H [(M+H)+]の理論値:527、実測値:527。
【0111】
実施例22
中間体4−クロロ−1−イソプロペニル−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエンの調製
【0112】
【化28】

【0113】
実施例3に説明された方法に類似した方式で、2−メタクロレイン(0.81g、10.5mmol)(Acros社)を、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(2.18mL、10.5mmol)、n−ブチルリチウム(2.5M、4.2mL、10.5mmol)、トリメチルシリルクロリド(1.33mL、10.5mmol)、トリエチルアミン(1.89mL、14mmol)及び塩化クロロアセチル(1.09mL、14mmol)と反応させ、粗4−クロロ−1−イソプロペニル−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエンを黄色ゴム状物として生じ、更に精製することなく次工程で使用した。
【0114】
実施例23
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−イソプロペニルスピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0115】
【化29】

【0116】
実施例4に説明された方法に類似した方式で、実施例2で調製したE/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.51g、1.31mmol)を、トルエン中の4−クロロ−1−イソプロペニル−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(10.5mmol)と反応させ、次にジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸で処理し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−イソプロペニル スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量0.3g、52%)。
【0117】
実施例24
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−イソプロペニル−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0118】
【化30】

【0119】
実施例5に説明された方法に類似した方式で、実施例24のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−イソプロペニルスピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.52g、0.69mmol)を、トルエン中のDBUと一緒に加熱し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−イソプロペニル−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量50mg、18%)。
HRMS(ES+) m/z C2116Cl222+H[(M+H)+]の理論値:399.0662、実測値:399.0663。
【0120】
実施例25
中間体E/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−5−フルオロ−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの調製
【0121】
【化31】

【0122】
実施例1に説明された方法に類似した方式で、6−クロロ−5−フルオロ−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(0.25g、1.35mmol)(CGENETECH社)を、メタノール中の3−クロロ−ベンズアルデヒド(0.34g、2.44mmol)及びピロリジン(0.19g、2.68mmol)と反応させ、E−及びZ−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−5−フルオロ−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの混合物を黄色固形物として生じた。
【0123】
実施例26
中間体E/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【0124】
【化32】

【0125】
実施例2に説明された方法に類似した方式で、E/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−5−フルオロ−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(0.45g、1.46mmol)を、ジクロロメタン(30mL)中の二炭酸ジ−tert−ブチル(0.4g、1.83mmol)(Aldrich社)、トリエチルアミン(0.5g、4.95mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(5mg)と反応させ、E/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色固形物として生じた(収量:0.6g、100%)。
【0126】
実施例27
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−5−フルオロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0127】
【化33】

【0128】
実施例4に説明された方法に類似した方式で、実施例26において調製したE/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.53g、1.31mmol)を、トルエン中の実施例3において調製した4−クロロ−1−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(10.5mmol)と反応させ、次にジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸により処理し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−5−フルオロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物といて生じた(収量0.14g、20%)。
【0129】
実施例28
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−5−フルオロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0130】
【化34】

【0131】
実施例5に説明された方法に類似した方式で、実施例27のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−5−フルオロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.6g、1.14mmol)を、トルエン中のDBUと一緒に加熱し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−5−フルオロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量40mg、7%)。
HRMS(ES+) m/z C25H16Cl2F2N2O2+H[(M+H)+]の理論値:485.0630、実測値:485.0629。
【0132】
実施例29
中間体E/Z−6−クロロ−3−フラン−3−イルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの調製
【0133】
【化35】

【0134】
実施例1に説明された方法に類似した方式で、6−クロロオキシインドール(2g、11.9mmol)(Alfa社)を、メタノール中の3−フルアルデヒド(1.04mL、11.9mmol)及びピペリジン(1.18mL、11.9mmol)と反応させ、E/Z−6−クロロ−3−フラン−3−イルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンを黄色固形物として生じた(収量1.45g、55%)。
【0135】
実施例30
中間体E/Z−6−クロロ−3−フラン−3−イルメチレン−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【0136】
【化36】

【0137】
実施例2に説明された方法に類似した方式で、E/Z−6−クロロ−3−フラン−3−イルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(1.45g、5.9mmol)を、ジクロロメタン中の二炭酸ジ−tert−ブチル(1.54g、7.08mmol)(Aldrich社)、及び4−ジメチルアミノピリジン(25mg)と反応させ、E/Z−6−クロロ−3−フラン−3−イルメチレン−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色固形物として生じた(収量:1.6g、79%)。
【0138】
実施例31
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(フラン−3−イル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0139】
【化37】

【0140】
実施例4に説明された方法に類似した方式で、実施例30において調製したE/Z−6−クロロ−3−フラン−3−イルメチレン−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.91g、2.62mmol)を、トルエン中の実施例3において調製した4−クロロ−1−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(21mmol)と反応させ、次にジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸で処理し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(フラン−3−イル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量0.25g、21%)。
【0141】
実施例32
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(フラン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0142】
【化38】

【0143】
実施例5に説明された方法に類似した方式で、実施例31のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(フラン−3−イル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.25g、0.54mmol)を、トルエン中のDBUと一緒に加熱し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(フラン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量40mg、18%)。
HRMS(ES+) m/z C2316ClFN23+H [(M+H)+]の理論値:423.0906、実測値:423.0906。
【0144】
実施例33
中間体E/Z−6−クロロ−3−チオフェン−3−イルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの調製
【0145】
【化39】

【0146】
実施例1に説明された方法に類似した方式で、6−クロロオキシインドール(2g、11.9mmol)(Alfa社)を、メタノール中の3−チオフェンカルボキシアルデヒド(1.09mL、11.9mmol)(Aldrich社)及びピペリジン(1.18mL、11.9mmol)により処理し、E/Z−6−クロロ−3−チオフェン−3−イルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンを黄色固形物として生じた(収量2.4g、77%)。
【0147】
実施例34
中間体E/Z−6−クロロ−2−オキソ−3−チオフェン−3−イルメチレン−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【0148】
【化40】

【0149】
実施例2に説明された方法に類似した方式で、E/Z−6−クロロ−3−チオフェン−3−イルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(2.4g、9.17mmol)を、ジクロロメタン中の二炭酸ジ−tert−ブチル(2.4g、11mmol)(Aldrich社)、及び4−ジメチルアミノピリジン(45mg)と反応させ、E/Z−6−クロロ−2−オキソ−3−チオフェン−3−イルメチレン−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色固形物として生じた(収量:2g、60%)。
【0150】
実施例35
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(チオフェン−3−イル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0151】
【化41】

【0152】
実施例4に説明された方法に類似した方式で、実施例34において調製したE/Z−6−クロロ−2−オキソ−3−チオフェン−3−イルメチレン−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.95g、2.6mmol)を、トルエン中の実施例3において調製した4−クロロ−1−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(21mmol)と反応させ、次にジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸で処理し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(チオフェン−3−イル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量0.3g、24%)。
【0153】
実施例36
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(チオフェン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0154】
【化42】

【0155】
実施例5に説明された方法に類似した方式で、実施例35のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(チオフェン−3−イル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.3g、0.63mmol)を、トルエン中のDBUと一緒に加熱し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(チオフェン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量80mg、29%)。
HRMS(ES+) m/z C2316ClFN22S+H [(M+H)+]の理論値:439.0678、実測値:439.0676。
【0156】
実施例37
中間体E/Z−6−クロロ−3−ピリジン−3−イルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの調製
【0157】
【化43】

【0158】
実施例1に説明された方法に類似した方式で、6−クロロオキシインドール(2g、11.9mmol)(Alfa社)を、メタノール中のニコチンアルデヒド(1.13mL、11.9mmol)(Aldrich社)及びピペリジン(1.18mL、11.9mmol)と反応させ、E/Z−6−クロロ−3−ピリジン−3−イルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンを黄色固形物として生じた(収量2.3g、75%)。
【0159】
実施例38
中間体E/Z−6−クロロ−2−オキソ−3−ピリジン−3−イルメチレン−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【0160】
【化44】

【0161】
実施例2に説明された方法に類似した方式で、E/Z−6−クロロ−3−ピリジン−3−イルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(2.3g、8.96mmol)を、ジクロロメタン中の二炭酸ジ−tert−ブチル(2.34g、10.7mmol)(Aldrich社)、及び4−ジメチルアミノピリジン(44mg)と反応させ、E/Z−6−クロロ−2−オキソ−3−ピリジン−3−イルメチレン−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色固形物として生じた(収量:2g、60%)。
【0162】
実施例39
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(ピリジン−3−イル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0163】
【化45】

【0164】
実施例4に説明された方法に類似した方式で、実施例38において調製されたE/Z−6−クロロ−2−オキソ−3−ピリジン−3−イルメチレン−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.94g、2.63mmol)を、トルエン中の実施例3において調製された4−クロロ−1−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(21mmol)と反応させ、次にジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸により処理し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(ピリジン−3−イル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量0.45g、36%)。
【0165】
実施例40
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(ピリジン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0166】
【化46】

【0167】
実施例5に説明された方法に類似した方式で、実施例39のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(ピリジン−3−イル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.45g、0.96mmol)を、トルエン中のDBUと一緒に加熱し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(ピリジン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを白色固形物として生じた(収量70mg、17%)。
HRMS(ES+) m/z C2417ClFN32+H [(M+H)+]の理論値:434.1066、実測値:434.1065。
【0168】
実施例41
中間体5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ベンズアルデヒドの調製
【0169】
【化47】

【0170】
実施例9に説明された方法に類似した方式で、5−ヨードサリチルアルデヒド(3g、12.1mmol)(Aldrich社)を、N,N−ジメチルホルムアミド中のメタンスルホン酸テトラヒドロピラン−4−イルエステル(4g、22mmol)及びK2CO3と反応させ、5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ベンズアルデヒドを黄色固形物として生じた(収量3.4g、85%)。
【0171】
実施例42
中間体4−クロロ−1−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエンの調製
【0172】
【化48】

【0173】
実施例3に説明された方法に類似した方式で、5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ベンズアルデヒド(6.97g、21mmol)を、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(4.38mL、21mmol)、n−ブチルリチウム(2.5M、8.4mL、21mmol)、トリメチルシリルクロリド(2.66mL、21mmol)、トリエチルアミン(3.78mL、27mmol)及び塩化クロロアセチル(2.18mL、27mmol)と反応させ、粗4−クロロ−1−[5−ヨード−4−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエンを黄色ゴム状物として生じ、更に精製することなく次工程において使用した。
【0174】
実施例43
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0175】
【化49】

【0176】
実施例4に説明された方法に類似した方式で、実施例2において調製されたE/Z−6−クロロ−3−(3−クロロ−ベンジリデン)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.02g、2.63mmol)を、トルエン中の4−クロロ−1−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(21mmol)と反応させ、次にジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸により処理し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量0.3g、16%)。
【0177】
実施例44
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0178】
【化50】

【0179】
実施例5に説明された方法に類似した方式で、実施例43のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]]−4’−(3−クロロフェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.3g、0.43mmol)を、トルエン中のDBUと一緒に加熱し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量140mg、43%)。
HRMS(ES+) m/z C2923Cl3IN24+H [(M+H)+]の理論値:661.0153、実測値:661.0156。
【0180】
実施例45
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−エチニル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0181】
【化51】

【0182】
無水N,N−ジメチルホルムアミド(3mL)の中の実施例44において調製したラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.1g、0.15mmol)の溶液に、トリメチルシリルアセチレン(0.15g、1.5mmol)(Aldrich社)、CuI(3mg)(Aldrich社)及びトリエチルアミン(0.63mL、4.5mmol)を添加した。この混合物を、窒素下で5分間脱気し、次にジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(8.4mg、0.012mmol)(Strem社)を添加し、この反応混合物を、窒素下80℃で40分間加熱した。この反応混合物を、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、水で2回洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮した。この残渣に、メタノール(2mL)、NaOH水溶液(2N、2mL)を添加した。この混合物を、室温で1時間攪拌し、次に酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、水層を、酢酸エチルで抽出した。有機層を一緒にし、水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し濃縮し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−エチニル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量24mg、30%)。
HRMS(ES+) m/z C3124Cl224+H [(M+H)+]の理論値:559.1186、実測値:559.1186。
【0183】
実施例46
中間体ラセミ体(2’S,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0184】
【化52】

【0185】
実施例43のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製において、ラセミ体(2’S,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを、黄色固形物の第二生成物として得た(収量0.15g、8%)。
【0186】
実施例47
中間体ラセミ体(2’S,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0187】
【化53】

【0188】
実施例44に説明された方法に類似した方式で、実施例46のラセミ体(2’S,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]]−4’−(3−クロロフェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.15g、0.22mmol)を、トルエン中のDBUと一緒に加熱し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量29mg、20%)。
【0189】
実施例48
ラセミ体(2’S,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−エチニル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0190】
【化54】

【0191】
実施例45に説明された方法に類似した方式で、ラセミ体(2’S,3R,4’S)−6−クロロ−4’−(3−クロロフェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(29mg、0.043mmol)を、トリメチルシリルアセチレン(43mg、0.43mmol)、CuI(8mg、0.043mmol)、トリエチルアミン(44μL、0.043mmol)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(6mg、0.08mmol)と反応させ、次にメタノール中のNaOH水溶液で処理し、ラセミ体(2’S,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−エチニル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを乳白色固形物として生じた(収量12mg、50%)。
HRMS(ES+) m/z C3124Cl224+H [(M+H)+]の理論値:559.1186、実測値:559.1183。
【0192】
実施例49
中間体E/Z−6−クロロ−3−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの調製
【0193】
【化55】

【0194】
実施例1に説明された方法に類似した方式で、6−クロロオキシインドール(3.2g、19.1mmol)(Alfa社)を、メタノール中の5−クロロ−2−フルアルデヒド(2.5g、19.1mmol)(Aldrich社)及びピペリジン(1.89mL、19.1mmol)と反応させ、E/Z−6−クロロ−3−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンを黄色固形物として生じた(収量5.2g、97%)。
【0195】
実施例50
中間体E/Z−6−クロロ−3−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【0196】
【化56】

【0197】
実施例2に説明された方法に類似した方式で、E/Z−6−クロロ−3−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(5.2g、22.3mmol)を、ジクロロメタン中の二炭酸ジ−tert−ブチル(4.86g、22.2mmol)(Aldrich社)、及び4−ジメチルアミノピリジン(91mg)と反応させ、E/Z−6−クロロ−3−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色固形物として生じた(収量:6.1g、87%)。
【0198】
実施例51
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0199】
【化57】

【0200】
実施例4に説明された方法に類似した方式で、実施例50において調製されたE/Z−6−クロロ−3−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.33g、3.5mmol)を、トルエン中の実施例3の4−クロロ−1−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(21mmol)と反応させ、次にジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸により処理し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量0.3g、17%)。
【0201】
実施例52
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0202】
【化58】

【0203】
実施例5に説明された方法に類似した方式で、実施例51のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.3g、0.6mmol)を、トルエン中のDBUと一緒に加熱し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量65mg、24%)。
HRMS(ES+) m/z C2315Cl2FN23+H [(M+H)+]の理論値:320.1493、実測値:320.1493。
【0204】
実施例53
中間体シクロペンタ−1−エンカルボアルデヒドの調製
【0205】
【化59】

【0206】
水(250mL)中の過ヨウ素酸ナトリウム(28.3g、0.13mol)(Aldrich社)の酸性溶液へ、エチルエーテル(150mL)中の1,2−シクロヘキサンジオール(cycohexanediol)(12g、0.10mol)(Acros社)の溶液を添加した。この混合液を、室温で0.5時間激しく攪拌した。KOH水溶液(20%、38.4mL)の添加後、この反応混合液を、更に1時間攪拌した。この混合液を、エチルエーテルで抽出した。有機層を一緒にし、乾燥した。溶媒を除去し、シクロペンタ−1−エンカルボアルデヒドを黄色油状物として生じた(収量:7.2g、75%)。
【0207】
実施例54
中間体E/Z−6−クロロ(hloro)−3−シクロペンタ−1−エニルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの調製
【0208】
【化60】

【0209】
実施例1に説明された方法に類似した方式で、6−クロロオキシインドール(2.51g、15mmol)(Alfa社)を、メタノール中のシクロペンタ−1−エンカルボアルデヒド(1.45g、15mmol)(Aldrich社)及びピペリジン(1.49mL、15mmol)と反応させ、E/Z−6−クロロ(hloro)−3−シクロペンタ−1−エニルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンを黄色固形物として生じた(収量1.13g、30%)。
【0210】
実施例55
中間体E/Z−6−クロロ−3−シクロペンタ−1−エニルメチレン−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【0211】
【化61】

【0212】
実施例2に説明された方法に類似した方式で、E/Z−6−クロロ(hloro)−3−シクロペンタ−1−エニルメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(1.13g、4.6mmol)を、ジクロロメタン中の二炭酸ジ−tert−ブチル(1.1g、5.1mmol)(Aldrich社)、及び4−ジメチルアミノピリジン(23mg)と反応させ、E/Z−6−クロロ−3−シクロペンタ−1−エニルメチレン−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(ester ester)を黄色固形物として生じた(収量:1.5g、94%)。
【0213】
実施例56
中間体ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(シクロペンタ−1−エニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0214】
【化62】

【0215】
実施例4に説明された方法に類似した方式で、実施例55において調製したE/Z−6−クロロ−3−シクロペンタ−1−エニルメチレン−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルエステル(ester ester)(1.21g、3.5mmol)を、トルエン中の実施例3の4−クロロ−1−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(21mmol)と反応させ、次にジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸で処理し、ラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(シクロペンタ−1−エニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量0.3g、19%)。
【0216】
実施例57
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(シクロペンタ−1−エニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0217】
【化63】

【0218】
実施例5に説明された方法に類似した方式で、実施例56のラセミ体(2’R,3R,4’S,5’S)−5’,6−ジクロロ−4’−(シクロペンタ−1−エニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.3g、0.65mmol)を、トルエン中のDBUと一緒に加熱し、ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(シクロペンタ−1−エニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを黄色固形物として生じた(収量25mg、9%)。
HRMS(ES+) m/z C2420ClFN22+H [(M+H)+]の理論値:551.1279、実測値:551.1278。
【0219】
実施例58
中間体2−(4−クロロ−2−ホルミル−フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸 tert−ブチルエステルの調製
【0220】
【化64】

【0221】
N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)中の5−クロロサリチルアルデヒド(5g、32mmol)の溶液へ、2−ブロモ−2−メチル−プロピオン酸tert−ブチルエステル(10.7g、48mmol)、Cs2CO3(3.1g、95mmol)を添加した。この反応混合液を、140℃で18時間加熱した。この混合液を、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を一緒にし、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮し、2−(4−クロロ−2−ホルミル−フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸tert−ブチルエステルを淡黄色固形物として生じた(収量5.2g、54%)。
【0222】
実施例59
中間体E/Z−2−[4−クロロ−2−(6−クロロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−3−イリデンメチル)−フェノキシ]−2−メチル−プロピオン酸tert−ブチルエステルの調製
【0223】
【化65】

【0224】
無水メタノール(100mL)中の2−(4−クロロ−2−ホルミル−フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸tert−ブチルエステル(5.17g、17.3mmol)及び6−クロロオキシインドール(2.89g、17.3mmol)の混合物へ、室温で、ピペリジン(1.7mL、17.3mmol)をゆっくり添加した。この反応混合物を、70℃で0.5時間加熱した。次にこの混合物を室温まで冷却し、濾過した。沈殿物を乾燥させ、収集し、E/Z−2−[4−クロロ−2−(6−クロロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−3−イリデンメチル)−フェノキシ]−2−メチル−プロピオン酸tert−ブチルエステルを黄色固形物として生じた(収量6.5g、84%)。
【0225】
実施例60
中間体E/Z−3−[2−(1−tert−ブトキシカルボニル−1−メチル−エトキシ)−5−クロロ−ベンジリデン]−6−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【0226】
【化66】

【0227】
実施例2に説明された方法に類似した方式で、E/Z−2−[4−クロロ−2−(6−クロロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−3−イリデンメチル)−フェノキシ]−2−メチル−プロピオン酸tert−ブチルエステル(6.5g、14.5mmol)を、ジクロロメタン中の二炭酸ジ−tert−ブチル(3.79g、17.4mmol)(Aldrich社)、及び4−ジメチルアミノピリジン(71mg)と反応させ、E/Z−3−[2−(1−tert−ブトキシカルボニル−1−メチル−エトキシ)−5−クロロ−ベンジリデン]−6−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色固形物として生じた(収量:6.9g、87%)。
【0228】
実施例61
中間体ラセミ体(2’S,3S,4’R,5’R)−4’−[2−(1−tert−ブトキシカルボニル−1−メチル−エトキシ)−5−クロロ−フェニル]−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0229】
【化67】

【0230】
トルエン(30mL)中の実施例3で調製した4−クロロ−1−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−3−トリメチルシリルオキシ−2−アザ−1,3−ブタジエン(21mmol)の溶液へ、実施例60のE/Z−3−[2−(1−tert−ブトキシカルボニル−1−メチル−エトキシ)−5−クロロ−ベンジリデン]−6−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.92g、3.5mmol)を添加した。この反応混合液を、密封チューブ内で、窒素下、140℃で1時間、次に120℃で4時間攪拌した。この溶液を室温まで冷却した後、メタノール(10mL)を添加した。この反応混合液を濃縮した。残渣を、クロマトグラフィー(EtOAc:CH2Cl2=1:19、1:9)により精製し、ラセミ体(2’S,3S,4’R,5’R)−4’−[2−(1−tert−ブトキシカルボニル−1−メチル−エトキシ)−5−クロロ−フェニル]−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオンを帯黄白色固形物として生じた(収量0.4g、17%)。
【0231】
実施例62
ラセミ体(2’S,3S)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシカルボニル−1−メチル−エトキシ)−フェニル]−4’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンの調製
【0232】
【化68】

【0233】
トルエン(20mL)中のラセミ体(2’S,3S,4’R,5’R)−4’−[2−(1−tert−ブトキシカルボニル−1−メチル−エトキシ)−5−クロロ−フェニル]−5’,6−ジクロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)スピロ[3H−インドール−3,3’−ピペリジン]−2,6’(1H)−ジオン(0.4g、0.6mmol)の溶液へ、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン(DBU、Aldrich社)(1.8mL、12mmol)を添加した。この反応混合液を、120℃で4時間、加熱し攪拌した。室温まで冷却した後、この混合液を濃縮した。残渣を、水溶液と酢酸エチルの間で分配した。水層を、酢酸エチルで抽出した。一緒にした抽出物を、水、ブラインで洗浄し、次にNa2SO4上で乾燥し、濃縮した。残渣を、クロマトグラフィー(EtOAc:CH2Cl2=1:19、1:9)により精製した。この生成物を、ジクロロメタン(5mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1mL)を添加した。この反応混合液を室温で20時間攪拌した後、この混合液を濃縮し、かつ残渣を、エチルエーテル、ヘキサンで摩砕し、ラセミ体(2’S,3S)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシカルボニル−1−メチル−エトキシ)−フェニル]−4’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオンを帯黄白色固形物として生じた(収量40mg、12%)。
MS(ES+) m/z C2923Cl2FN25+H [(M+H)+]の理論値:569.1041、実測値:569.1044。
【0234】
実施例63
インビトロ活性アッセイ
本化合物のp53とMDM2タンパク質の間の相互作用を阻害する能力を、組み換えGST−タグ付きMDM2が、p53のMDM2−相互作用領域に似ているペプチドに結合するHTRF(均一時間分解蛍光)アッセイにより測定した(Laneらの論文)。GST−MDM2タンパク質とp53−ペプチド(そのN−末端がビオチニル化された)の結合は、ユーロピウム(Eu)−標識された抗−GST抗体とストレプトアビジン−複合されたアロフィコシアニン(APC)の間のFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)により記録した。
【0235】
試験は、黒色平底384−ウェルプレート(Costar社)において、90nMビオチニル化されたペプチド、160ng/ml GST−MDM2、20nMストレプトアビジン−APC(PerkinElmerWallac社)、2nM Eu−標識された抗−GST−抗体(PerkinElmerWallac社)、0.2%ウシ血清アルブミン(BSA)、1mMジチオスレイトール(DTT)、及び20mMトリス−ホウ酸塩(TBS)緩衝液を含有する総容量40μLで、下記のように行った:各ウェルに、反応緩衝液中のGST−MDM2(640ng/ml作業溶液)10μLを添加した。各ウェルに、希釈した化合物(反応緩衝液中に1:5希釈)10μLを添加し、振盪により混合した。各ウェルに、反応緩衝液中のビオチニル化されたp53ペプチド(180nM作業溶液)20μLを添加し、振盪機上で混合した。37℃で1時間インキュベーションした。0.2%BSAを含むTBS緩衝液中のストレプトアビジン−APC及びEu−抗−GST抗体の混合物(6nM Eu−抗−GST及び60nMストレプトアビジン−APC作業溶液)20μLを添加し、室温で30分間振盪し、TRF−可能なプレートリーダーを665及び615nmで用いて測定した(Victor 5, Perkin ElmerWallac社)。指定されない場合、これらの試薬は、Sigma Chemical社から購入した。本発明の生物活性を表すIC50値は、約10μM未満で活性を示す。
【0236】
代表的値は、例えば、以下である。
【0237】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

(式中、
Xは、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、エチニル、シクロプロピル、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ及びビニルからなる群から選択され、
Yは、水素、ヒドロキシル、又はフッ素であり、
1は、低級アルケニル、置換された低級アルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択され、並びに
2は、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換されたヘテロシクリル、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択される。)
で表される化合物、又はそれらの医薬として許容される塩若しくはエステル。
【請求項2】
下記式:
【化2】

(式中、
Xは、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、エチニル、シクロプロピル、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、及びビニルからなる群から選択され、
Yは、水素、ヒドロキシル、又はフッ素であり、
1は、低級アルケニル、置換された低級アルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択され、並びに
2は、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換されたヘテロシクリル、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択される。)
を有する、請求項1記載の化合物、又はそれらの医薬として許容される塩若しくはエステル。
【請求項3】
Xが、Cl、F又はBrであり、
Yが、水素であり、
2は、置換されたフェニル又は置換されたヘテロアリールであり、ここで置換されたフェニル又は置換されたヘテロアリールは
【化3】

からなる群から選択され、
1は、低級アルケニル、置換された低級アルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択される、請求項2記載の化合物、又はそれらの医薬として許容される塩若しくはエステル。
【請求項4】
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
キラル(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−5−ヒドロキシ−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−4’−(3−フルオロ−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−4’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−イソプロペニル−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−5−フルオロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(フラン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン、及び
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(チオフェン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン:からなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−4’−(ピリジン−3−イル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−ヨード−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−エチニル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’S,3R)−6−クロロ−4’−(3−クロロ−フェニル)−2’−[5−エチニル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−フェニル]−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(5−クロロ−フラン−2−イルメチレン)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;
ラセミ体(2’R,3R)−6−クロロ−4’−(シクロペンタ−1−エニル)−2’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’(2’H)−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン;及び
ラセミ体(2’S,3S)−6−クロロ−2’−[5−クロロ−2−(2−ヒドロキシカルボニル−1−メチル−エトキシ)−フェニル]−4’−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1’,3’−ジヒドロスピロ[3H−インドール−3,3’−ピリジン]−2,6’(1H)−ジオン:からなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
下記式
【化4】

(式中、
Xは、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、エチニル、シクロプロピル、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ及びビニルからなる群から選択され、
Yは、水素、ヒドロキシル、又はフッ素であり、
1は、低級アルケニル、置換された低級アルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択され、並びに
2は、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換されたヘテロシクリル、シクロアルケニル及び置換されたシクロアルケニルからなる群から選択される。)
の化合物又は医薬として許容される塩若しくはエステルを、医薬として許容される賦形剤又は担体と一緒に含有する、医薬組成物。
【請求項7】
癌、特に固形腫瘍、より特には乳房、結腸、肺及び前立腺の腫瘍を治療又は管理するための、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
医薬として使用するための、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
癌、特に固形腫瘍、より特には乳房、結腸、肺及び前立腺の腫瘍を治療又は管理するための、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
癌、特に固形腫瘍、より特には乳房、結腸、肺及び前立腺の腫瘍を治療又は管理するための医薬の製造のための、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2012−517976(P2012−517976A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549573(P2011−549573)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051757
【国際公開番号】WO2010/094622
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】