説明

抗癌特性を有する化合物

癌の兆候を緩和し、癌を治療または予防するための方法を提供し、当該方法は7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を有効量で含んで成る医薬製剤を、癌を有する対象または癌を発達させるリスクを有する対象に投与することを含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞アポトーシスを誘導し、且つ抗癌特質を有し得る化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書中で参照または検討された文献の知識の作用または項目は、この参照または検討或いはそれらの任意の組み合せが、優先日前に公に入手可能、公知、通常の常識の一部;または本明細書が関連する任意の問題を解決するための試みに関連することが公知であったことを認めるものではない。
【0003】
今日、数百万人の人々が癌を有しながら暮らし、または癌を有していた。百万人を超える人々は、毎年癌に罹っている。誰でも何歳ででも癌に罹り得るが、全ての癌の約77%は、55歳を超えた人々で診断されている。男性の最も一般的な3種の癌は、前立腺癌、肺癌、及び結腸癌である。女性で最も頻繁に発生する3種の癌は、乳癌、肺癌、及び結腸癌である。
【0004】
癌は体の一部の細胞が制御を超えて成長し始める時に発達する。多くの種類の癌が存在するが、それらは全て異常細胞の制御不能な成長のせいで開始する。正常の体細胞は、規則的な方法で成長し、分裂し、そして死ぬ。人の生涯の初期では、正常細胞は、人が成人になるまでより迅速に分裂する。その後、体の大部分の細胞は、疲弊した細胞または死を迎える細胞に置き換わるため、及び損傷を修復するためにのみ分裂する。癌細胞は成長と分裂を継続するため、それらは正常細胞とは異なる。死を迎える代わりに、それらは正常細胞より長生きし、そして新しい異常細胞を形成し続ける。この成長はこれらの細胞が生命維持に不可欠な器官の正常な機能を妨げ、または体中に広がり、本質的なシステムを損傷させれば鎮静化する。より早期に癌を発見すること、そして治療を始めることは、多くの年月を生きるためのより良いチャンスである。
【0005】
癌細胞は、DNAの損傷によって発達する。多くの場合、DNAが身体を損傷し始めても、それを修復することができる。癌細胞では、損傷したDNAは修復されない。人々は遺伝する癌の原因となる損傷したDNAを受け継ぎ得る。多くの時間を経て、人々のDNAは喫煙等の環境中の何かに曝されることによって損傷し始める。多くのタイプの癌を発達させるリスクは、人のライフサイクルの変化、例えば禁煙及びより良い食生活によって減少され得る。
【0006】
癌細胞は、それらが成長し始め、そして正常組織に置き換わる身体の他の部分にしばしば移動する。このプロセスは転移と呼ばれ、身体の血流またはリンパ管に入るがん細胞により引き起こされる。一次腫瘍由来の細胞は、血流を介して拡散し、全ての器官ではないが、ある特定の器官でのみ成長し得る。
【0007】
少なくとも200の異なる種類の癌が存在する。それらはほとんどの任意の器官、体液または組織で発達し得る。多様なタイプの癌は、非常に異なる挙動をし得る。なぜなら、癌を有する人々は、彼らの特殊な癌を目的とする治療を必要とするからである。
【0008】
癌治療の4つの主要のタイプは、手術、放射線、化学療法、及び生物療法である。更にタモキシフェン等のホルモン療法、及び骨髄移植等の移植オプションが存在する。
【0009】
治療は癌のタイプ及びその段階に応じて変化する。癌の段階とは、癌がどの程度成長したか、また腫瘍が本来ある場所から拡散したかどうかを言う。癌が一箇所に留まり、且つ拡散していないならば、治療の目標は、手術と養生であろう。癌の全てが手術で摘出できない場合は、治療のオプションは、放射線、化学療法、または両方を含む。いくつかの癌は、手術、放射線、及び化学療法の組み合せを要求する。
【0010】
更に手術及び放射線療法は局在化した癌を治療するために使用され、化学療法は身体の別の部分に転移した(拡散した)癌細胞を処理するために使用される。癌のタイプ及びその発達段階に依存しながら、化学療法は癌を治療し、癌の拡散を予防し、癌の成長を遅らせ、身体の別の部分に拡散し得る癌細胞を殺すために、または癌によって引き起こされる兆候を緩和するために使用され得る。
【0011】
化学療法の副作用は、薬物のタイプ、摂取量、及び治療期間の長さに依存する。最も一般的には、悪心及び嘔吐、一時的な脱毛、増加した感染症のリスク、及び疲労である。これらの副作用の多くは、心地悪く、または気分的に動揺させるようなものであり得る。しかしながら、ほとんどの副作用は、薬剤、対症的なケア対策、または治療スケジュールを変えることによって制御され得る。
【0012】
それでもなお、副作用がより少なく、そして現行の治療に耐性を持つようになる癌株を処理するために使用され得る化学療法薬の必要性が存在する。
【0013】
リコピン
プロビタミン-A活性がない開鎖不飽和カロテノイドであるリコピンは、多くの果実及び野菜に存在する。それは赤色で、脂溶性色素であり、トマト、グアバ、ローズヒップ、スイカ、及びピンクグレープフルーツに赤色を与える。リコピンは証明された抗酸化物質である。体内で、リコピンは肝臓、肺、前立腺、結腸、及び皮膚に沈着する。体内組織中でのその濃度は、他の全てのカルチノイドよりも高い傾向にある(ヒト血清中の全てのカロテノイドの50%を占める)。
【0014】
研究では、トマトの中のリコピンがジュース、ソース、ペースト及びケチャップに加工されるならば、体内により効果的に吸収され得ることを示す。トマト中に見出されるリコピンの化学形態は、体内により吸収しやすくするための加工に伴う温度変化によって変わる。
【0015】
トマトは、アメリカ人の食事では、4番目に最も一般的に消費される生野菜であり、そして最も頻繁には缶詰にされた野菜が消費される。高いトマトの消費及び減少した心血管疾患と前立腺癌の両方のリスクの間の関係を支持する新しい疫学的データが存在する。進行中の予備調査は、リコピンが斑状変性疾患、血清脂質酸化並びに肺癌、膀胱癌、頸癌、皮膚癌、消化管癌、乳癌及び前立腺癌の減少したリスクに付随することを示す。研究は、リコピンの他の利益の可能性を研究するために進行中である。
【0016】
トコフェリルホスフェート(Tocopheryl phosphate)
ビタミンEは、抗酸化特質を含む健康を促進する多くの有益な特質を有すると考えられている。ビタミンEは8つの異なる形態:α、β、δ及びγトコフェロール、並びに α、β、δ及びγトコトリエノールを含むと考えられている。トコフェロールはトコトリエノールとは、不飽和イソプレニル側鎖よりもむしろ飽和フィチル側鎖を有する点で異なる。4つの形態は、クロマノール基上のメチル基の数が異なる(αは3個、βとγは2個、及びδは1個を有する)。
【0017】
国際特許出願WO 03/026673は、上昇した記憶(storage)レベルのトコフェリルホスフェートを含むビタミン類は、トコフェロールが細胞接着に影響を及ぼすところの癌を緩和または治療するのに有益であり得ることを開示する。しかしながら、細胞死を引き起こすトコフェリルホスフェート、またはαトコフェロールとδ及びγトコフェロールの間の活性の相違の開示は存在しない。
【0018】
トコフェリルホスフェートは、単球/マクロファージの増殖、平滑筋細胞の増殖、CD36受容体の発現及び酸化LDLの取り込みを阻害することに関連する特質を有するとして国際特許出願WO 2004/064831にも開示されている。実施例では細胞成長の阻害のみを示し、細胞死に関する開示は存在しない。更に、癌治療、またはαトコフェロールとδ及びγトコフェロールの間の活性の相違に関する開示は存在しない。
【0019】
国際特許出願WO 00/16772及びWO 03/039461は天然に発生するα、γ、及びδトコトリエノール、並びにγ及びδトコフェロールが抗癌活性を示すことを教示する。しかしながら、αトコフェロールは抗癌特質を有しない。更にこれらの出願は、トコフェロールタイプの化合物のペルホスフェート誘導体の使用が、癌治療に有用であることを開示する。癌の事象でトコフェロールの取り込みがないことに関連する試みがなされたヒト試験及び調査は、概して決定的なものではなく、そしてトコフェロールが存在しないことは、癌の治療に関する有用な臨床的オプションではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
改良された癌治療の必要性はなお存在している。
【課題を解決するための手段】
【0021】
発明の概要
驚くべきことに、7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン及び8メチル6ヒドロキシクロマン(δ及びγヒドロキシクロマン)のホスフェート誘導体は細胞アポトーシスを引き起こすことができるので癌治療に有用であり得るが、他方、5:7:8トリ-メチル6ヒドロキシクロマン(αヒドロキシクロマン)はこの特質を有しないことがここに見出された。
【0022】
更に、1種以上の抗癌剤と7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン及び8メチル6ヒドロキシクロマン(δ及びγヒドロキシクロマン)のホスフェート誘導体の組み合せは、抗癌剤をより低濃度で使用して癌細胞を殺すために有用であり得ることも示された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の第一の観点によれば、癌の兆候を緩和し、癌を治療または予防するための方法を提供し、当該方法は、癌を有する、または癌が発達するリスクを有する対象に、7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を有効量で含む医薬製剤を投与することを含んで成る。
【0024】
本発明の第二の観点によれば、細胞アポトーシスを誘導するための方法を提供し、当該方法は、細胞に7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を有効量で投与することを含んで成る。
【0025】
本発明の第三の観点によれば、癌の兆候を緩和し、癌を治療または予防するための方法を提供し、当該方法は癌を有する、または癌を発達させるリスクを有する対象に、以下:
(a) 1種以上の抗癌剤;及び
(b) 7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体、を有効量で含む医薬製剤を投与することを含んで成る。
【0026】
本発明の第四の観点によれば、細胞アポトーシスを含む方法を提供し、当該方法は、1種以上の抗癌剤、並びに7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン、及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を含む有効量の製剤を細胞に投与することを含んで成る。
【0027】
本発明の第五の観点によれば、リコピンの効果を上昇させるための方法を提供し、当該方法は、リコピンを7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体と組み合せることを含んで成る。
【0028】
本発明の本観点は、有効量のリコピン及び有効量の7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン、及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を含む医薬製剤を含んで成る。
【0029】
更なる観点では、本発明は、抗癌剤の効果を増加させるための方法を提供し、当該方法は、抗癌剤を7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体と組み合せることを含んで成る。適切な抗癌剤の例は、タモキシフェンである。
【0030】
更なる観点では、本発明は細胞アポトーシスを誘導するために使用される場合の医薬製剤を提供し、当該製剤は、1種以上の抗癌剤、並びに7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を含んで成る。
【0031】
更なる観点では、本発明は、癌の兆候を緩和し、癌を治療または予防するために使用する場合の医薬製剤を提供し、当該製剤は、1種以上の抗癌剤、並びに7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を含んで成る。
【0032】
更なる観点では、本発明は、癌の兆候を緩和し、癌を治療または予防するための医薬の製造において、1種以上の抗癌剤、並びに7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を適切な担体または賦形剤と共に使用することを提供する。
【0033】
更なる観点では、本発明は、細胞アポトーシスを誘導するために使用される場合の医薬組成物を提供し、当該組成物は7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を有効量で含んで成る。
【0034】
更なる観点では、本発明は、癌の兆候を緩和し、癌を治療または予防するための医薬の製造において、7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を有効量にて、適切な担体または希釈物と共に使用することを提供する。
【0035】
抗癌治療は、しばしば細胞毒性剤のカクテルの使用を含む。剤型は、ヒドロキシクロマンのホスフェート誘導体の活性を拮抗しない他の医薬化合物を含み得る。他の医薬化合物は、1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体の前に、同時に、または後に投与され得る。適切な他の医薬化合物の例は、タキソール、ドセタキセル、アドリアマイシン、タモキシフェン及びドキソルビシンを含む。
【0036】
本明細書で使用される用語"有効量"は、細胞アポトーシスを誘導するために、または癌の兆候を緩和し、癌を治療しまたは予防するために十分な量を言う。
【0037】
当業者は、抗癌剤が本発明において使用するために適切であることを知っているだろう。本明細書で使用される用語"抗癌剤"は、制限されずに、全てのプロアポトーシス化合物並びにアルキル化剤、代謝拮抗剤、免疫薬、シグナル変換経路に影響する化合物及び他の化学療法剤を含む。好適には、1種以上の抗癌剤は、リコピンまたはタモキシフェンである。
【0038】
本明細書で使用される用語"ヒドロキシクロマン"は、クロマンのヒドロキシ誘導体を言う。本発明に関連するヒドロキシクロマン誘導体は、エナンチオマー形態であっても、ラセミ形態であっても、7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン及び8メチル6ヒドロキシクロマン異性体である。より好適には、ヒドロキシクロマンは、δ及びγトコール及びそれらの混合物から成る群から選定される。トコールは、6:ヒドロキシ2:メチルクロマン(後述の構造を参照)の誘導体のδ及びγ異性体を含む。式中、R1、R2及びR3は水素またはメチル基であってよく、すなわち、γ-7:8ジ-メチル及びδ-8メチル誘導体であってよい。トコフェロール中の、R4は4:8:12のトリメチルトリデシルで置換され、及び2、4、及び8位(*を参照)はRまたはS活性を有する立体異性体、またはラセミ化合物であってよい。トコトリエノール中の、R4は、4:8:12トリメチルトリデカ-3:7:l1トリエンによって置換され、且つ2位は、RまたはSの立体異性体として、またはラセミ化合物として立体活性であってよい。
【0039】
本明細書で使用される用語"ホスフェート誘導体"とは、リン酸化電子伝達剤の酸形態、ナトリウム、マグネシウム、カリウム及びカルシウム等の金属塩を含むリン酸塩及び任意の他の誘導体を言う。ここでのホスフェートのプロトンは、エチルもしくはメチル基、またはホスファチジル基等の他の置換基によって置き換わる。しかしながら当該用語は、ペルホスフェートを含まない。当該用語はホスフェート誘導体の混合物、特にリン酸化反応からの結果物であるもの、並びにそれぞれ単独のホスフェート誘導体を含む。例えば当該用語は、モノ-トコフェリルホスフェート(TP)及びジ-トコフェリルホスフェート(T2P)の混合物、並びにそれぞれ単独のTP及びT2Pを含む。適切な混合物は、国際特許出願PCT/AUOl/01475に発表されている。
【0040】
好適には、1種以上の電子伝達剤の1種以上のホスフェート誘導体は、モノ-トコフェリルホスフェート、ジ-トコフェリルホスフェート、モノ-トコトリエニルホスフェート、ジ-トコトリエニルホスフェート及びそれらの混合物から成る群から選定される。最適には、1種以上の電子伝達剤の1種以上のホスフェート誘導体は、1種以上のモノ-トコフェリルホスフェート、ジ-トコフェリルホスフェート、モノ-トコトリエニルホスフェート及びジ-トコトリエニルホスフェートの混合物である。
【0041】
ある状況では、ホスファチド等のホスフェート誘導体を使用することが必須であり、ここでは増加した水溶性等の更なる特質が好適である。ホスファチジル誘導体は、有機ホスフェートのアミノアルキル誘導体である。これらの誘導体は、R1R2N(CH2)nOHの構造を有するアミンから調製され得る。式中、nは1〜6の整数であり、且つR1及びR2はHまたは3個未満の炭素を有する短鎖であってよい。R1及びR2は同一であっても異なっていてもよい。ホスファチジル誘導体は、電子伝達剤のヒドロキシルプロトンをその後エタノールアミンまたはN,N'ジメチルエタノールアミン等のアミンと反応するホスフェート全体で置き換え、電子伝達剤のホスファチジル誘導体を産生させることによって調製される。ホスファチジル誘導体を調製するための一つの方法は、ピリジンまたはトリエチルアミン等の塩基性溶媒をオキシ塩化リンと一緒に使用し、その後アミンのヒドロキシ基と反応する中間体を調製し、対応のPコリルPトコフェリル二水素ホスフェート等のホスファチジル誘導体を産生する。
【0042】
いくつかの状況では、電子伝達剤のホスフェート誘導体の錯体(complexe)も利用でき、ここでの改善された安定性または送達可能性等の追加の特質が有用であり得る。用語"ホスフェート誘導体の錯体"とは、電子伝達剤の1種以上のホスフェート誘導体と1種以上の錯化剤との反応産物を言う。ここでの錯化剤は、参考文献によって本明細書に導入された国際特許出願PCT/AUOl/01476で開示されたような、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、窒素官能基を有するアミノ酸及びこれらのアミノ酸に富むタンパク質から成る群から選定される。これらのアミノ酸に富むタンパク質の例は、タンパク質カゼインの多様な形態のような、62個のアミノ酸中の少なくとも1個がアルギニン、または83個のアミノ酸中の少なくとも1つがヒスチジン、または65個のアミノ酸中の少なくとも1がリシンを有するそれらのタンパク質である。他の例は、インスリン、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン、カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、プロラクチン、インターフェロンα及び-β及び-γ、黄体形成ホルモン(LH)(ゴナドトロピン放出ホルモンとしても知られている)、卵胞刺激ホルモン(FSH)及びコロニー刺激因子(CSF)を含む。これらの例の大部分のアミノ酸組成物を表に挙げた。
【表1】

【0043】
好適な錯化剤は、以下の式:
NR1R2R3
(式中、R1はC6〜C22の直鎖または分岐鎖を混合したアルキルアジカル及びそれらのカルボニル誘導体を含む群から選定され;
R2及びR3は、H、CH2COOX、CH2CHOHCH2SO3X、CH2CHOHCH2OPO3X、CH2CH2COOX、CH2CH2CHOHCH2SO3XまたはCH2CH2CHOHCH2OPO3Xを含む群から独立して選定され、そしてXはH、Na、Kまたはアルカノールアミンであり、ただしR2及びR3は共にHでななく;及び
式中、R1がRCOである場合、R2はCH3であってよく、且つR3は(CH2CH2)N(C2H4OH)-H2CHOPO3であってよく、またはR2及びR3は一緒になってN(CH2)2N(C2H4OH)CH2COO-であってよい)等のアルギニン、リシン及び置換された第三アミンから成る群から選定される。
【0044】
好適な錯化剤は、アルギニン、リシンまたはラウリルイミノジプロピオン酸を含み、ここでの錯化はアルカリ性の窒素中心とリン酸エステルとの間で起こり、安定な錯体を形成する。
【0045】
ヒドロキシクロマンのホスフェート誘導体は、ヒトまたは動物にサプリメント、経腸栄養、非経口の投与形態、坐薬、経口投与形態、エアロゾル、眼内形態、肺及び鼻の送達形態、パッチ及びクリームを含む経皮送達等の多様な投与形態を介して投与され得る。
【0046】
例えば、ヒドロキシクロマンのホスフェート誘導体は、経口または非経口投与形態で投与され得る。これらは、錠剤、パウダー、チュアブル錠、カプセル、経口懸濁物、懸濁物、エマルションまたは液剤、小児用製剤及び経腸栄養を含む。
【0047】
投与形態は、スターチまたは高分子接着剤、甘味料、着色剤、乳化剤、コーティング等の投与形態の調製において日常的に使用される任意の添加剤を更に含み得る。他の適切な添加剤は、当業者に容易に明確に理解されるだろう。
【0048】
一つの態様では、当該投与形態は、参照によって本明細書に組み入れられた国際特許出願PCT/AUOl/01206に開示されたような腸溶コーティングを有する。
【0049】
他の態様では、当該投与形態は、参照によって本明細書に組み入れられた国際特許出願PCT/AU02/01003に開示されたような局所製剤である。
【0050】
好適には対象は動物である。より好適には当該動物は哺乳動物である。最適には当該哺乳動物はヒトである。
【0051】
本発明の多様な態様/観点は、以下の限定的ではない実施例への言及により本明細書に発表されるだろう。
【実施例1】
【0052】
本試験は、トコフェロール(α、γ及びδ)の多様な形態の効果または効能を、ADM及びBASFからのそれらのリン酸化パートナーと、ラット大動脈平滑筋細胞(SASMC)増殖の阻害について比較した。
【0053】
材料
- 96ウェルプレート(MTS生存細胞アッセイ)
- 6ウェルプレート(存在細胞総数アッセイ)
- DMEM/F 12培地 - GIBCO/Life Technologies
- リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
- ウシ胎仔血清(FBS)
- ラット大動脈平滑筋細胞 (RASMC) p: 6〜8 Cell Applications, Inc.
- Cell Titer 96 Aqueous One Solution (MTS) - Promega
- トリプシン/EDTA溶液 (R-OO1-100) - Chemicon
- トリプシン中和溶液 (R-002-100) - Chemicon
- エタノール
- 血球計
- トリパンブルー (PBS中、0.5% w/v)
- α、γ及びδ異性体のトコフェリルホスフェート混合物(モノ-トコフェリルホスフェート及びジ-トコフェリルホスフェート)
【0054】
方法
ラット大動脈平滑筋細胞増殖- MTSアッセイ:α、δ及びγトコフェロール及びそれらのリン酸化カウンターパートの効果をRASMC中で評価した。全部で3つの濃度(100、500及び1,000μg/ml)をそれぞれの化合物で試験した。ラット大動脈平滑筋細胞(RASMC)を96ウェルプレート(5,000細胞/ウェル)中の成長培地(DMEM/F12 + 10% FBS)に播種し、37℃、5%のCO2で維持した。24時間後、成長培地を取り除き、そして基本のDMEM/F12培地に置き換えた。細胞を48時間、血清を飢餓させ、細胞を同調させた。その後、更に4日間、基本培地を成長培地+多様な処理で置き換えた。その後の処理は、100%のエタノール(α-T、α-TP、γ-T及びδ-Tのため)または100%の酢酸(γ-TP及びδ-TPのため)中にある原液として調製し、その後、最終エタノール濃度が0.1%を超えず、また最終酢酸濃度が0.02%を超えないような最終の細胞濃度に適宜希釈した。これらのアッセイ条件の下では、これらのビヒクル濃度は、RASMC増殖を有意に変化させなかった。個々の処置は、8つの複製で実施した。治療期間の終了時で、20μlのMTS試薬を個々のウェルに付加し、そして490nmでの吸光度を更に1時間、37℃、5%CO2で培養した後に読んだ。CellTiter 96(商標) Aqueous proliferation アッセイは、増殖アッセイにおける生存細胞の数を測定する比色分析方法である。CellTiter 96(商標)Aqueousは、新規のテトラゾリウム化合物(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム、内塩;MTS)及び電子カップリング試薬(フェナジンメトサルフェート;PMS)の溶液から構成される。MTSは、組織培養培地に溶けるホルマザン産物へと、細胞によって生物還元される。490 nmでのホルマザン吸光度は、96-ウェルプレートから直接測定でき、そして当該吸光度は細胞の数に直接比例する(即ち、当該吸光度が大きいほど、生存細胞数が多い)。
【0055】
結果と結論
図1は、δ-及びγ-トコフェロール及びそれらのリン酸化カウンターパートにおける実際の細胞数によって評価されるRASMC増殖のパーセント阻害を示す。
【0056】
結果はγ及びδトコフェリルホスフェート混合物が、RASMCモデルにおいてアポトーシス(細胞死)を誘導することを実証した(90%の細胞がアポトーシスを起こしたことを示唆する染色を導入した細胞の10%のみ)。更に、当該結果はγ及びδトコフェリルホスフェート混合物は有意なアポトーシスを誘導するが、非リン酸化形態は誘導しないことを示す。ADM及びBASFのδ-トコフェリルホスフェート混合物は、共に他の試験されたアナログと比較して最も有効であった。更に当該効果は、用量依存的であると思われる。
【0057】
更にこれはα-トコフェリルホスフェートの効果と非常に異なり、RASMCにおけるアポトーシスを誘導せず、単に調節メカニズムを介する過度な細胞増殖を妨げる。α-トコフェリルホスフェートにより、RASMCは増殖せず、そして全ての細胞が正常で生存能力があった(染色の取り込みを介して検出される)。一方、γ及びδトコフェリルホスフェートの場合、RASMCは増殖しないが、残存細胞は生存しなかった。これは作用メカニズムが相違することを示す。
【実施例2】
【0058】
本試験は、リコピンとγトコフェリルホスフェート混合物について、個々及び一緒に用いた場合の前立腺癌細胞への効果を比較した。
【0059】
材料及び方法
ストック細胞の培養。DU-145前立腺癌細胞を、American Type Culture Collection (Manassas, Virginia,米国)から購入した。ストック細胞を、空気中、5%CO2、37℃の湿気のある環境中で、5%FBS(ウシ胎仔血清、Gibco BRL, Grand Island NY)を補足したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco BRL, Grand Island NY)中で成長させた。細胞は、週に1〜2回継代培養した。
【0060】
細胞成長アッセイ。細胞をトリプシン/ヴェルセンにより処理することによってストックプレートからトリプシン処理し、ウシ胎仔血清(DCFCS)で処理した5%デキストラン-木炭を補足した当容積のフェノールレッド-フリーRPMI-1640(Gibco BRL, Grand Island NY)を付加した。細胞を、血球計測器を使用して0.1x105 細胞/mlの細胞数まで再懸濁し、そして単層中、24ウェルプラスチック培養皿(Costar, Corning 米国)に0.5 ml分割量で播種した。24時間後、細胞を適切な濃度(表を参照)のγ-トコフェリルホスフェート混合物(γ-TP) (Vital Health)及びリコピン (Sigma)またはリコピンの組み合せ物で処理し、そしてγ-TPを5% DCFCSを補足したフェノールレッドフリーRPMI培地1640中で希釈した。培養培地を3〜4日ごとに変えた。組み合せ療法は、5 μg/ml〜40 μg/mlで変化するリコピンによる分子量/質量によって、リコピン及びγ-TPを1:1の比率で含んだ。
【0061】
細胞カウンティング。
細胞を0.9%のNaClで2回洗浄し、非付着性の死んだ細胞を除去し、そして0.5mlの2.5mMのヘペス緩衝剤/1.5M MgCl2+2滴のzap-oglobin II溶解剤(Beckman Coulter, Coulter Corp USA)中で5〜15分間溶解させた。放出された核は、Isoton III (Beckman Coulter, Coulter Corp, USA)の中に懸濁し、そして>5μmの粒子径セットを有するコールターカウンターで数えた。全ての細胞カウントは、3倍のウェル含有量で3倍で実施した。結果は平均値±標準誤差として計算した。P値は、独立サンプルT-検定(標準のソフトウェアパッケージSPSSによる)を用いて決定した。
【0062】
結果
結果は以下の表及び対応の図面に発表する。
【表2】

【表3】

【表4】

【0063】
図2は、生存細胞数の減少をパーセントで表す上記の3つの表(γ-TP混合物(GTP-0805)、リコピン(2μg/ml)、及び組み合わせの前立腺癌細胞株(DU-145)への効果)の結果を示す。
【0064】
結論
結果はリコピン及びγトコフェリルホスフェート混合物の組み合せが、たった8日以内で、前立腺癌細胞を殺す効果があったことを示す。更に、この結果は、リコピン単独よりも組み合せ療法にある場合、より多くの前立腺癌細胞がより低い濃度のリコピンで殺されたことを示す。当該結果は、更にγ-トコフェリルホスフェート混合物が潜在的なアポトーシス剤であることも示す。
【実施例3】
【0065】
γ-TP混合物単独及び一般的に使用される抗癌剤であるタモキシフェンとの組み合せにある場合のin vitro 効果は、乳癌細胞株(MCF-7)において調査された。
【0066】
方法論
ストック細胞の培養:MCF-7ヒト乳癌細胞はDr. K. Osborneから、継代数390で提供された。ストック細胞は、5%のFBS (Gibco BRL, Grand Island NY)、10〜8 Mのエストラジオールを補足したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco BRL, Grand Island NY)中で単層培養として、37℃、加湿空気中5%のCO2の環境中で育成した。17β-エストラジオール(細胞周期アクチベーター)をエタノール中に溶かし、そして培養培地中で1:10,000に希釈した。細胞は0.06%のトリプシン/0.02% EDTA (pH 7.3)で懸濁することによって、1週間間隔で継代培養した。
【0067】
細胞成長アッセイ:細胞をトリプシン/ヴェルセンで処理することによってストックプレートから懸濁し、5%デキストラン-木炭を補足した当容積のフェノールレッドフリーRPMI培地1640 (Gibco BRL, Grand Island NY)を付加し、FCS (DCFCS)で処理した。細胞を、血球計を使用して0.1 x 105細胞/mlの細胞数になるように再懸濁し、そして24ウェルプラスチック培養皿(Costar, Corning USA)に0.5 ml分割量で単層中に播種した。24時間後、5%のDCFCSを補足したフェノールレッドフリーRPMI培地1640中で希釈されたエストラジオールと共に、または該エストラジオール無しで、細胞を適切な濃度のタモキシフェン、リコピン、γ-TP混合物、γ-T(Vital Health)、または組み合せで処理した。培養培地を3〜4日ごとに取り替えた。
【0068】
細胞カウンティング:細胞を0.9%のNaClで2回洗浄し、非付着性の死んだ細胞を除去し、そして0.5mlの2.5mMのヘペス緩衝剤/1.5M MgCl2+2滴のzap-oglobin II溶解剤(Beckman Coulter, Coulter Corp USA)中で5〜15分間溶解させた。放出された核は、Isoton III (Beckman Coulter, Coulter Corp, USA)の中に懸濁し、そして>5μmの粒子径セットを有するコールターカウンターでカウントした。全ての細胞カウントは、3倍のウェル含有量で3倍で実施した。結果は平均値±標準誤差として計算した。P値は、独立サンプルT-検定(標準のソフトウェアパッケージSPSSによる)を用いて決定した。
【0069】
結果
図3は、エストラジオール(-E)が存在しない、変化させた投与量でのタモキシフェン(Tam)、γ-T(γ-Toc)、γ-TP(γ-TP混合物)単独及びγ-TP混合物+タモキシフェン(10-8M)のMCF-7乳癌細胞増殖への影響を示す。γ-TP混合物及び最も低い用量のタモキシフェン(10-8M)の組み合せは最高用量のタモキシフェンよりもより大きな阻害効果を有し、相乗効果を示唆する。
【0070】
結論
In vitroの結果は、γ-TP混合物が単独及びタモキシフェン等の薬剤と組み合わせて投与される場合、潜在的な抗増殖及びプロアポトーシス活性を有することを実証する。γ-TP混合物は乳癌MCF-7細胞株において非常に強力である。乳癌細胞では低い容量で、タモキシフェンと同じ強さである。相乗効果はタモキシフェン(低用量)で見ることができる。更に、γ-TP混合物は、用量依存的な様式で癌細胞の成長を阻害する。
【実施例4】
【0071】
この実施例では、MCF-7乳癌細胞中のγ-トコフェリルホスフェート(γ-T、γ-TP、γ-T2P及びγ-TPM)のin vitro活性が調査された。
【0072】
MCF-7乳癌細胞成長条件:細胞を、10%のFBSを補足したダルベッコ改変イーグル培地中(DMEM)中の単層として、75 cm2のプラスチック組織細胞フラスコ中で、95%の空気中、5% CO2の湿気のある環境中、37℃で育成した。細胞を隔週間隔で、0.06%のトリプシン/0.02%のEDTA(pH 7.3)で懸濁することによって継代培養した。
【0073】
MCF-7乳癌細胞株増殖アッセイ(MTSアッセイ):細胞を10%のFBSを補足したDMEM中でトリプシン処理した(継代培養の間に実施した)。細胞を、血球計を使用して10,000細胞/mlの細胞数になるように再懸濁した。細胞を1,000 細胞/ウェルに播種し、または100μlの細胞懸濁物を96ウェル細胞培養プレートに付加することによって播種した。細胞を一晩放置し、その後、実験を開始する前に同調させた(24時間の血清飢餓による)。
【0074】
細胞を同調させた後、当該細胞を100%のエタノール中で調製した適切な濃度の処理剤(2、5、10、15、20、30及び50μg/ml)で処理し、それらを10%のデキストラン-木炭を補足したRPMI培地1640に付加し、FCS(DCFBS)で処理した。当該細胞に曝される最終エタノール濃度は、1%を超えなかった。72時間後、当該プレートをMTS試薬(実施例1で発表した通り)と共に1時間培養した。当該プレートを分光光度計中で、490nmで読んだ。個々の試験された化合物について8個の複製が存在した(多様な濃度は以下に示す)。
【0075】
処置剤の略語:GT=γ-トコフェロール;GTP=γ-トコフェリルホスフェート;GT2P=γ-ジ-トコフェリルホスフェート、GTPM=γ-トコフェリルホスフェート混合物(GTPとGT2Pの組み合せ)。0μg/mlはビヒクルコントロール(すなわち、1%のエタノール)が使用されたことを示すことに留意する。
【0076】
実施された実験:
−0、2、5、10、15、20、30及び50μg/mlでGT単独(E無し)、
−0、2、5、10、15、20、30及び50μg/mlでGTP単独(E無し)、
−0、2、5、10、15、20、30及び50μg/mlでGT2P単独(E無し)、
−0、2、5、10、15、20、30及び50μg/mlでGTPM単独(E無し)、
【0077】
結果
結果は、以下の表及び図4中に発表する。
【表5】

【0078】
結論
結果はGTPMが最も抗癌治療の可能性があり、GT2P、GTPが続き、そしてGTが最も小さな限られた活性を有したことを示す。細胞がγトコフェリルホスフェートで処理される場合に癌細胞の成長に有意な減少を示すことが発見され、GTP、GT2P及びGTPMが癌の形成及び進行を治療しまたは遅延させ得ることを示す。
【0079】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語”含んで成る”の形態は、特許請求の範囲の発明を、任意の変異体または付加物を除外するように限定しない。
【0080】
本発明の改変及び改良は、当業者に容易に理解されるだろう。かかる修飾及び改変は、本発明の範囲の中にあると意図される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
本発明の多様な態様/観点の描写は、以下の図面への言及により本明細書において発表されるだろう。
【図1】図1は実施例1の結果を示す。
【図2】図2は実施例2の前立腺癌細胞株(DU-145)への効果を示す。
【図3】図3は実施例3のMCF-7乳癌細胞増殖への効果を示す。
【図4】図4は実施例4の多様なγトコフェリルホスフェートの相対活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の兆候を緩和し、癌を治療または予防するための方法であって、癌を有する、または癌を発達させるリスクを有する対象に、7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン(δ)、8メチル6ヒドロキシクロマン(γ)及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を有効量で含んで成る医薬製剤を投与することを含んで成る方法。
【請求項2】
前記1種以上のヒドロキシクロマンのホスフェート誘導体が、モノ-トコフェリルホスフェート、ジ-トコフェリルホスフェート、モノ-トコトリエニルホスフェート、ジ-トコトリエニルホスフェート及びそれらの混合物から成る群から選定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロキシクロマンのホスフェート誘導体が、モノ-トコフェリルホスフェート及びジ-トコフェリルホスフェートの混合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒドロキシクロマンのホスフェート誘導体がモノ-8メチル6ヒドロキシトコフェリルホスフェート(γ)及びジ-8メチル6ヒドロキシトコフェリルホスフェート(γ)の混合物である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒドロキシクロマンのホスフェート誘導体の活性を拮抗しない1種以上の他の医薬化合物を投与するステップを更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記他の医薬化合物が、タキソール、ドセタキセル、アドリアマイシン、タモキシフェン、ドキソルビシン及びそれらの混合物から成る群から選定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
癌の兆候を緩和し、癌を治療または予防するための方法であって、癌を有する、または癌を発達させるリスクを有する対象に
(a) 1種以上の抗癌剤;及び
(b) 7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体、
を含む有効量の医薬製剤を投与することを含んで成る方法。
【請求項8】
前記抗癌剤がリコピンまたはタモキシフェンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
リコピンの効果を増強させるための方法であって、該リコピンを、7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体と組み合せることを含んで成る方法。
【請求項10】
抗癌剤の効果を増強させるための方法であって、該抗癌剤を、7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体と組み合せることを含んで成る方法。
【請求項11】
リコピン、及び7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のリン酸塩誘導体を有効量で含んで成る医薬製剤。
【請求項12】
癌の兆候を緩和し、癌を治療または予防するための医薬の製造における、適宜担体または希釈剤と一緒になった、7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体の有効量での使用。
【請求項13】
癌の兆候を緩和し、癌を治療または予防するための医薬の製造における、適宜担体または希釈剤と一緒になった、1種以上の抗癌剤、及び7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体の使用。
【請求項14】
細胞アポトーシスを誘導するために使用される医薬組成物であって、7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を有効量で含んで成る医薬組成物。
【請求項15】
癌の兆候を緩和し、癌を治療または予防するための医薬製剤であって、1種以上の抗癌剤、及び7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を含んで成る医薬製剤。
【請求項16】
7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を有効量で細胞に投与することを含んで成る細胞アポトーシスを誘導するための方法。
【請求項17】
1種以上の抗癌剤、及び7:8ジメチル6ヒドロキシクロマン、8メチル6ヒドロキシクロマン及びそれらの混合物から成る群から選定される、1種以上のヒドロキシクロマンの1種以上のホスフェート誘導体を含んで成る有効量の製剤を細胞に投与することを含んで成る、細胞アポトーシスを誘導するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−531602(P2008−531602A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557286(P2007−557286)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000280
【国際公開番号】WO2006/092024
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(503129590)バイタル ヘルス サイエンシズ プロプライアタリー リミティド (11)
【Fターム(参考)】