説明

抗菌コーティングされた超吸収体の製造方法

抗菌剤のコーティングを有する超吸収体を、前記超吸収体と、前記抗菌剤およびポリオールを有する溶液とを、それを表面架橋剤と接触させるのと同時にまたは接触させた直後に、且つ表面架橋を完成させる硬化段階に先立って接触させること、および/または前記超吸収体と、前記抗菌剤および200から5000g/モルの間の分子量のポリアルキレングリコールを有する溶液とを表面架橋の完成後に接触させることを含む方法によって製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、抗菌剤でコーティングされている超吸収体の製造方法に関する。
【0002】
超吸収体は公知である。超吸収体は、自重の数倍の水を、場合によっては自重の数百倍までの水を吸収し、中程度の圧力下でも保持することが出来る材料である。吸収能力はたいてい、蒸留水またはそうでなければ脱イオン水と比較して塩含有溶液においてより低い。一般に、超吸収体は少なくとも5g/g、好ましくは少なくとも10g/gおよびより好ましくは少なくとも15g/gの遠心保持容量("CRC"、測定法は下記を参照のこと)を有する。そのような材料はまた普通、例えば"高膨潤性ポリマー"、"ヒドロゲル"(しばしば乾燥形でも用いられる)、"ヒドロゲル形成性ポリマー"、"吸水性ポリマー"、"吸収性のゲル形成材料"、"膨潤性樹脂"、"吸水性樹脂"等の名称で公知である。当該材料は、架橋された親水性ポリマー、特に(共)重合される親水性モノマーから形成されたポリマー、適したグラフトベース上の1つ以上の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、セルロースまたはデンプンの架橋されたエーテル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分架橋されたポリアルキレンオキシドまたは水性液体中で膨潤可能である天然産物、例えばグアー誘導体等であり、なかでも部分中和アクリル酸を基礎とする吸水性ポリマーが最も頻繁に使用される。超吸収体繊維のように、超吸収体粒子が不織布、一般に不織布に結合されている形態もいくつかの適用において公知であるけれども、超吸収体はたいてい、ポリマー粒子の乾燥粉末の形で製造、貯蔵、輸送および加工され、その際、"乾燥"とは、たいてい5質量%未満の含水率を意味する。超吸収体は液体を吸収することでゲルに変わり、特に、例によって水を吸収するとヒドロゲルに変わる。超吸収体の断然重要な分野は、体液の吸収である。超吸収体は、例えば幼児用おむつ、成人または女性衛生用品のための失禁製品において用いられている。他の分野の使用例は、市場園芸における保水剤として、火除け用貯水体、食品包装における液体吸収のため、一般に湿分を吸収するためである。
【0003】
超吸収体の製造方法も公知である。市場を席巻しているアクリレートベースの超吸収体は、架橋剤("内部架橋剤")の存在下で、たいてい水の存在下でのアクリル酸のラジカル重合によって製造され、その際、該アクリル酸はある程度が、重合に先立ってまたは重合後に、または選択的に、部分的に重合に先立って且つ部分的に重合後に導かれる中和段階において、たいていアルカリ、最も頻繁には水酸化ナトリウム溶液を添加することによって中和される。これにより、粉砕(用いられる反応器のタイプに依存し、粉砕は重合と同時に実施してもよい)および乾燥されているポリマーゲルが生じる。たいてい、そのようにして製造された乾燥粉末("ベースポリマー")は、粒子バルクより高度に架橋している表面層を作り出すために、更なる有機または多価カチオン架橋剤を添加することによって表面架橋(表面"後"架橋とも呼ばれる)されている。最も頻繁には、硫酸アルミニウムが多価カチオン架橋剤として用いられている。多価金属カチオンを超吸収体粒子に適用することは、時に表面架橋とは見なされず、"表面錯化"と呼ばれるか、または表面処理の別の形として見なされる。ただし、それは粒子表面で個々のポリマーストランド間の結合数を増大させる同じ効果を備えており、従って有機表面架橋剤が備えるようなゲル粒子剛性を増大させる。有機および多価カチオン表面架橋剤は、蓄積的に、そのつど補って、または任意に連続して適用され得る。
【0004】
表面架橋は、各々の超吸収体粒子の表面に、より高い度合いの架橋密度をもたらす。ここのことは、超吸収体の以前のタイプでは液体に曝されることで、実際に連続的なゲル層になる超吸収体粒子バルクの粒子の最も外側の層の膨潤が起きることを意味する"ゲルブロッキング"の問題に向けられており、それは事実、更なる量の液体(例えば2度目の暴露)がゲル層より下の未使用の超吸収体に輸送されることをブロックする。これは超吸収体のいくつかの適用において所望された効果である一方で(例えば封止用水中ケーブル)、人的な衛生用品において起こる場合は望ましくない効果をもたらす。表面架橋剤による個々のゲル粒子の剛性の増大は、ゲル層内の個々のゲル粒子間の開水路をもたらし、且つこのようにしてゲル層に液体を通させる。表面架橋はCRCまたは超吸収体サンプルの全体的な吸収能力を表している他のパラメーターを減少させるにも関わらず、それは所定量の超吸収体を含んでいる衛生用品によって吸収され得る液体量を十分に増大させることができる。
【0005】
超吸収体の透過性を増大させる別の手段もまた公知である。これらには、おむつコア中で超吸収体と繊維、例えば毛羽とを混合すること、またはゲル剛性を増大させるか、さもなければゲル層内での液体輸送のための開水路を生み出す別の成分を混合することが含まれる。
【0006】
Frederic L.Buchholz und Andrew T.Graham (Hrsg.)は、"Modern Superabsorbent Polymer Technology",J.Wiley & Sons,New York,U.S.A./Wiley−VCH,Weinheim,Germany,1997,ISBN 0−471−19411−5の中で、超吸収体および超吸収体の製造方法についての広範な概観を示している。
【0007】
超吸収体が衛生部門において使用される場合、それらは尿または月経のような体液に曝される。そのような体液は常に、不快な体臭の原因である臭気成分、例えばアミン、脂肪酸および他の有機成分を含有している。そのような衛生用品が伴う更なる問題は、衛生用品が処分されるまで体液が該衛生用品中に一定の時間残存し、且つ吸収された体液中に存在する窒素化合物の細菌分解が、同様に目立った臭気公害をもたらすアンモニア、さもさければ他のアミンを生じさせることである。それに応じて頻繁に衛生用品を変えることは相当都合が悪く、それに使用者またはその保護者に費用が掛かるので、この臭気公害が回避される衛生用品が有利である。
【0008】
臭気公害を回避するための様々な手段が公知である。臭気は、香料によってマスキングされ得る:生じるアンモニアまたはアミンは、吸収または反応によって除去され得、また微生物分解は、例えば殺虫剤またはウレアーゼ阻害剤によって阻害され得る。これらの手段は、一方では超吸収体に、そして他方では衛生用品に適用され得る。
【0009】
例えば、EP1358894は、一連の臭気防止添加剤、特に酸無水物基、酸基、シクロデキストリン、殺虫剤、11未満のHLB値を有する界面活性剤、吸着剤、例えばゼオライト、クレー、活性炭、シリカまたは活性アルミナ、アンタゴニストとして不所望の臭気形成微生物に対して作用する微生物、pH緩衝液、キレート剤を含んでいてよい衛生用品を教示する。WO03/076514A2は、不快な臭気を回避するための既存の手段の広範な概観を示している。殺虫剤、例えばブロノポールまたはグリオキシル酸の使用は、他の手段の中で開示されている。加えて、この文献は、アンモニアまたはアミンと反応し、且つ結果として、それらと不揮発性の形で結合し得る酸無水物基を含有する超吸収体を教示している。
【0010】
EP739635A1は、超吸収体におけるウレアーゼ阻害剤として有用なメタホウ酸ナトリウムおよびテトラホウ酸ナトリウムを教示している。WO94/25077A1は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属テトラホウ酸塩およびホウ酸、クエン酸、酒石酸またはアスコルビン酸の混合物を7〜10のpH範囲のバッファーとして用いている。WO03/053486A1は、ウレアーゼ阻害剤としてユッカ属パームエキスを有するおむつを開示している。EP1214878A1は、ウレアーゼ阻害剤として二価金属イオンのキレート錯体、例えば別にタンパク質が付加されたエチレンジアミンテトラ酢酸の銅錯体を開示している。WO95/24173A2は、臭気制御のために殺菌性重金属、例えば銀、亜鉛または銅で含浸されたゼオライトの使用を教示している。
【0011】
EP311344A23は、pH緩衝液と同じく、殺虫剤、例えばアルキルアンモニウムハロゲン化物またはビスグアニジンを有する衛生用品に関する。EP389023A2は、殺性剤または吸着剤、特にモレキュラーシーブから選択される臭気制御剤を有する衛生用品を開示する。WO98/26808A2は、臭気吸着剤としてシクロデキストリン、ゼオライト、活性体、ケイ藻土または酸性塩形成物質および、また臭気形成を阻害するために殺虫剤、ウレアーゼ阻害剤およびpH調節剤を有する超吸収体を開示する。
【0012】
WO2007/012581A1は、臭気阻害剤として置換されたチオホスホルアミドを有する貯蔵安定性超吸収体に関する。該チオホスホルアミドは、水、水−アセトンまたは水−プロピレングリコール溶媒中のチオホスホルアミドを超吸収体粒子上に、その製造中の任意の時間に、例えば表面架橋段階中に噴霧することによって超吸収粒子上にコーティングされる。
【0013】
WO98/20916A1は、抗菌性殺虫剤でコーティングされている、衛生用品中の超吸収体を利用しており、そこで一覧表示される主だった好ましい抗菌物質は、一般の殺虫剤、例えば塩化ベンズアルコニウム、トリクロサン(2,4,4'−トリクロロ−2'−ヒドロキシジフェニルエーテルの一般名)、ナトリウムパラベン、2,4−イミダゾリジンジオン、クエン酸およびソルビン酸またはブロノポール(2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの一般名)である。該抗菌物質は、溶液、好ましくは水溶液において、そして水中に不溶性であれば、極性有機溶媒、例えばメタノール、エタノールまたはプロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミドまたはそれらの混合物、またはそれらと水の混合物、または非極性溶媒、例えば炭化水素を用いて、超吸収体とこの溶液とを接触させてコーティングを形成し、続けて溶媒の除去により、抗菌コーティングされた超吸収体が製造される。
【0014】
WO00/66187A1は、超吸収体粒子全体にわたって均一に分散された臭気制御化合物を有する超吸収体ポリマーを開示している。該臭気制御化合物は、シクロデキストリン、両性表面活性剤、水溶性リン酸塩、トリクロサンまたはそれらの混合物である。この超吸収体は、臭気制御化合物も有するモノマー溶液を重合するかまたは、特に、トリクロサンのような、臭気制御化合物が重合条件下で不安定である場合、乾燥および任意の更なる処理前の化合物を有するモノマーの溶液重合から得られる湿潤ゲルを混合するかのいずれかによって製造されている。
【0015】
WO01/44355A1は、抗菌剤、特にトリクロサン0.01〜0.5質量%を含有し、超吸収体からのトリクロサンの沈殿または分離に対しての安定性が改善された超吸収体、およびその製造方法を開示している。この方法において、トリクロサンは超吸収体中に混合され、次いで該混合物はトリクロサンの融点を少なくとも5℃上回る温度に加熱されるか、または最初に超吸収体およびトリクロサンの混合物を加熱してトリクロサン約5質量%を含有するマスターバッチが製造され、次いでこのマスターバッチを超吸収体と混合して最終生成物が製造される。
【0016】
WO2004/020514A2は、抗菌特性を付与するトリクロサンおよびオルトフェニルフェノールを有する、アクリルポリマー、特に熱成形可能なポリメチルアクリル酸ポリマーシートを開示している。
【0017】
引用先行技術の中で略述されるような高度な最新技術にも関わらず、依然として抗菌剤でコーティングされた超吸収体の製造方法を改善する必要がある。そのような方法は、単純であり、且つ抗菌剤の十分な量が少なくとも適度に一様にコーティングされている超吸収体を、超吸収体製造自体との干渉または付加的な処理段階または装置を含まずに簡単且つ経済的にもたらすことが所望されている。この発明の目的は、そのような方法を見出すことである。
【0018】
この目的は、超吸収体と、抗菌剤およびポリオールを有する溶液とを、該超吸収体を表面架橋剤と接触させるのと同時にまたは接触させた直後に、且つ表面架橋を完成させる硬化段階に先立って接触させること、および/または超吸収体と、抗菌剤および200から5000g/モルの間の分子量のポリアルキレングリコールを有する溶液とを表面架橋の完成後に接触させることを含む、抗菌剤のコーティングを有する超吸収体の製造方法によって解決された。
【0019】
抗菌剤は、超吸収体の適用において臭気を生み出す微生物の成長を阻害するのに有効である従来技術において公知の任意の抗菌剤である。第四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンズアルコニウムまたはポリ(ヘキサメチレンビグアニド)ヒドロクロリド("PHMB"、式−[CH2−CH2−CH2−NH−CNH−NH−CNH2Cl−NH−CH2−CH2−CH2]n−のオリゴマー化合物、その際、nは10〜20、および市販製品においては平均16であり、商標Reputex(R)20またはPurista(R)20の名称にてArch Chemicals Inc.,Norwalk,Connecticut,USA、またはBASF Aktiengesellschaft,Ludwigshafen,Germanyから入手可能)、フェノール誘導体、例えばトリクロサン、フェノキシエタノールまたはパラベン、酸、例えば安息香酸、クエン酸およびソルビン酸、ニトロ化合物、例えばブロノポール、金属イオン化合物、特に銀化合物または金属イオン、特に銀イオンを放出する化合物、イソチアゾロン、例えば2−メチル−3−(2H)−イソチアゾロンまたは5−クロロ−2−メチル−3−(2H)−イソチアゾロン、またはそれらの混合物である。特に好ましい抗菌剤はトリクロサンである。
【0020】
一般に抗菌剤は、そのつど材料の全量に対して、少なくとも100質量ppm、好ましくは少なくとも200質量ppm、より好ましくは少なくとも300質量ppmで、且つせいぜい5000質量ppm、好ましくはせいぜい3000質量ppmおよびより好ましくはせいぜい1500質量ppmの量で添加される。
【0021】
本発明における超吸収体は、特定の圧力下でその自重の数倍に等しい量の水を吸収し且つ保持することができる超吸収体である。一般に、それは少なくとも5g/g、好ましくは少なくとも10g/gおよびより好ましくは少なくとも15g/gの遠心保持容量(CRC、測定法は下記を参照のこと)を有する。好ましくは、超吸収体は部分中和アクリル酸を基礎とする架橋ポリマーであり、且つより好ましくは、それは表面後架橋されている。"超吸収体"は、重要なのが化学組成というよりはむしろ超吸収特性であるので化学的に異なる個々の超吸収体の混合物であってもよい。
【0022】
超吸収体、例えば表面後架橋された超吸収体の製造方法は公知である。合成超吸収体は、例えば
a)少なくとも1つのエチレン性不飽和酸官能性モノマー、
b)少なくとも1つの架橋剤、
c)選択的に、モノマーa)と共重合可能な1つ以上のエチレン性および/またはアリル性不飽和モノマー、および
d)選択的に、モノマーa)、b)および適切な場合c)が少なくとも部分的にグラフトされ得る1つ以上の水溶性ポリマー
を有するモノマー溶液の重合によって得られる。
【0023】
例えば適したモノマーa)は、エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸、またはそれらの誘導体、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルである。アクリル酸およびメタクリル酸は、特に好ましいモノマーである。アクリル酸が最も好ましい。
【0024】
モノマーa)および特にアクリル酸は、好ましくは0.025質量%までのヒドロキノン半エーテルを有する。好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)である。α−トコフェロールのようなトコフェロール、特にラセミ体α−トコフェロールまたはRRR−α−トコフェロールもまた好ましい。
【0025】
モノマー溶液は、全てアクリル酸を基礎とするヒドロキノン半エーテルを、好ましくは130質量ppmを上回ることなく、より好ましくは70質量ppmを上回ることなく、好ましくは10質量ppmを下回ることなく、より好ましくは30質量ppmを下回ることなく、および特に約50質量ppmを有し、その際、アクリル酸塩は、計算上アクリル酸と見なされている。例えば、該モノマー溶液は、適切なヒドロキノン半エーテル含量を有するアクリル酸を使用して製造することができる。
【0026】
架橋剤b)は、フリーラジカルによりポリマー網目内に内部重合され得る少なくとも2個の重合性基を有する化合物である。有用な架橋剤b)は、例えばEP530438A1に記載されているようなエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン、EP547847A1、EP559476A1、EP632068A1、WO93/21237A1、WO03/104299A1、 WO03/104300A1、WO03/104301A1およびDE10331450A1に記載されているようなジ−およびトリアクリレート、DE10331456A1およびWO04/01364A2に記載されているような、アクリレート基と同様に、更にエチレン性不飽和基を有する混合アクリレート、または例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1およびWO02/032962A2に記載されているような架橋剤混合物を包含する。
【0027】
有用な架橋剤b)は、例えばEP343427A2に記載されているような、特にN,N'−メチレンビスアクリルアミドおよびN,N'−メチレンビスメタクリルアミド、ポリオールの不飽和モノカルボン酸またはポリカルボン酸のエステル、例えばジアクリレートまたはトリアクリレート、例えばブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートおよびまたトリメチロールプロパントリアクリレートおよびアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステルおよびまたビニルホスホン酸誘導体を包含する。有用な架橋剤b)は、更にペンタエリトリトールジアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、ペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ソルビトールを基礎とするポリアリルエーテル、およびそれらのエトキシ化変異体も包含する。本発明の方法は、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートを使用してよく、その際、使用される該ポリエチレングリコールは300から1000の間の分子量を有する。
【0028】
しかしながら、特に有利な架橋剤b)は、3〜15箇所エトキシ化されたグリセリン、3〜15箇所エトキシ化されたトリメチロールプロパン、3〜15箇所エトキシ化されたトリメチロールエタンのジ−およびトリアクリレート、特に2〜6箇所エトキシ化されたグリセリンまたは2〜6箇所エトキシ化されたトリメチロールプロパン、3箇所プロポキシ化されたグリセリン、3箇所プロポキシ化されたトリメチロールプロパン、およびまた3箇所混合してエトキシ化またはプロポキシ化されたグリセリン、3箇所混合してエトキシ化またはプロポキシ化されたトリメチロールプロパン、15箇所エトキシ化されたグリセリン、15箇所エトキシ化されたトリメチロールプロパン、40箇所エトキシ化されたグリセリン、40箇所エトキシ化されたトリメチロールエタンおよびまた40箇所エトキシ化されたトリメチロールプロパンのジ−およびトリアクリレートである。
【0029】
架橋剤b)としての使用に非常に好ましいのは、例えばWO03/104301A1に記載されているような、ジアクリル化、ジメタクリル化、トリアクリル化またはトリメタクリル化された複数箇所エトキシ化および/またはプロポキシ化されたグリセリンである。3〜10箇所エトキシ化されたグリセリンのジ−および/またはトリアクリレートが特に有利である。極めて好ましいのは、1〜5箇所エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのジ−またはトリアクリレートである。3〜5箇所エトキシ化および/またはプロポキシ化されたグリセリンのトリアクリレートが最も好ましい。これらは、吸水性ポリマー中での特に低い残留含量(一般に10質量ppmを下回る)が特徴的であり、且つそれによって生じた吸水性ポリマーの水性エキスは、同じ温度で水と比較してほとんど変わらない表面張力(一般に少なくとも0.068N/m)を有する。
【0030】
モノマーa)と共重合可能であるエチレン性不飽和モノマーc)の例は、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレートおよびジメチルアミノネオペンチルメタクリレートである。
【0031】
有用な水溶性ポリマーd)は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリエチレンイミン、ポリグリコール、ビニルアミンモノマーの全体的にまたは部分的に形式的に構成されたポリマー、例えば部分的にまたは完全に加水分解されたポリビニルアミド(いわゆる"ポリビニルアミン")またはポリアクリル酸、好ましくはポリビニルアルコールおよびデンプンを包含する。
【0032】
重合は選択的に、慣例の重合調節剤の存在下で実施される。適した重合調整剤は、例えばチオ化合物、例えばチオグリコール酸、メルカプトアルコール、例えば2−メルカプトエタノール、メルカプトプロパノールおよびメルカプトブタノール、ドデシルメルカプタン、ギ酸、アンモニアおよびアミン、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、モルホリンおよびピペリジンである。
【0033】
モノマー(a)、(b)および選択的に(c)は、水溶性ポリマーd)の存在下で互いに、重合開始剤の存在における20質量%〜80質量%、好ましくは20質量%〜50質量%および特に30質量%〜45質量%の水溶液中で(共)重合される。有用な重合開始剤は、重合条件下でフリーラジカルに分解する全ての化合物、例えばペルオキシド、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ化合物およびいわゆるレドックス開始剤を包含する。水溶性開始剤の使用が好ましい。場合によっては様々な重合開始剤の混合物を使用することが有利であり、その際、例は過酸化水素およびペルオキソ二硫酸ナトリウムまたはペルオキソ二硫酸カリウムとの混合物である。過酸化水素およびペルオキソ二硫酸ナトリウムとの混合物は、任意の所望された比で使用してよい。適した有機過酸化物は、例えばアセチルアセトンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−アミルペルピバレート、t−ブチルペルピバレート、t−ブチルペルネオヘキサノエート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルイソノナノエート、t−ブチルペルマレエート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペル−3,5,5−トリメチルヘキサノエートおよびt−アミルペルネオデカノエートである。更なる適した重合開始剤は、アゾ開始剤、例えば2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス(N,N−ジメチレン)−イソブチルアミジンジヒドロクロリド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリルおよび4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)である。上述の重合開始剤は、重合されるべきモノマーに対して慣例の量で、例えば0.01〜5モル%、好ましくは0.1〜2モル%の量で使用される。
【0034】
レドックス開始剤は、酸化性成分として、化合物毎に上記の少なくとも1つを、そして還元性成分、例えばアスコルビン酸、グルコース、ソルボース、重亜硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、次亜硫酸アンモニウム、ピロ亜硫酸アンモニウム、硫化アンモニウム、重亜硫酸アルカリ金属、亜硫酸アルカリ金属、チオ硫酸アルカリ金属、次亜硫酸アルカリ金属、ピロ亜硫酸アルカリ金属、硫化アルカリ金属、金属塩、例えば鉄(II)イオンまたは銀イオン、ヒドロキシメチルスルホキシル酸ナトリウム、またはスルフィン酸誘導体を有する。レドックス開始剤の還元成分は、好ましくはアスコルビン酸またはピロ亜硫酸ナトリウムである。レドックス開始剤の還元成分1・10-5〜1モル%および酸化性成分1・10-5〜5モル%が、重合において使用されるモノマーの量に対して使用される。酸化性成分の代わりにまたはそれに加えて、1つ以上の水溶性アゾ開始剤を使用することも可能である。
【0035】
過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウムおよびアスコルビン酸からなるレドックス開始剤が好ましくは用いられる。これらの成分は例えば、モノマーに対して過酸化水素1・10-2モル%、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.084モル%およびアスコルビン酸2.5・10-3モル%の濃度で使用される。
【0036】
重合を開始するための多数の他の公知の手段によって重合を開始することも可能である。一例は、十分に高いエネルギー、とりわけ紫外光の照射によって重合を開始することである。たいてい、紫外光によって重合が開始される場合、紫外光の放射によりラジカルに分解する化合物が添加される。そのような化合物の例は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパンおよび/またはα,−α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンである。
【0037】
モノマー水溶液は、開始剤を溶解された形または分散された形で有していてよい。しかしながら、開始剤をモノマー溶液とは別個に重合反応器に添加してもよい。
【0038】
好ましい重合禁止剤は、最適な効果のために溶解酸素を必要とする。それゆえ、重合禁止剤から溶解酸素が、重合前に、不活性化、すなわち不活性ガス、好ましくは窒素をそれらに通すことによって除去されていてよい。これは、並流、向流または中間の入射角で導入され得る不活性ガスによって行われる。例えばノズル、静的または動的ミキサーまたは気泡塔を用いて良好な混合が達成され得る。モノマー溶液の酸素含量は、重合前に好ましくは1質量ppm未満およびより好ましくは0.5質量ppm未満に低下されている。モノマー溶液は、選択的に不活性ガス流を用いて反応器に通される。
【0039】
適したポリマーと同様に更なる適した親水性エチレン性不飽和モノマーa)の調製は、例えばDE19941423A1、EP686650A1、WO01/45758A1およびWO03/104300A1に記載されている。
【0040】
一般に超吸収体は、モノマー水溶液の付加重合および選択的にヒドロゲルの引き続く微粉砕によって得られる。適した製造方法は、該文献中に記載されている。例えば超吸収体は、
・例えばEP445619A2およびDE19846413A1に記載されているような、バッチ工程または管状反応器中でのゲル重合および引き続くミートグラインダー、押出機または混練機中での微粉砕;
・例えばWO01/38402A1に記載されているような、反転撹拌シャフトによる連続的な微粉砕を伴った混練機中での重合;
・例えばEP955086A2、DE3825366A1またはUS6,241,928に記載されているような、ベルト上での重合および引き続くミートグラインダー、押出機または混練機中での微粉砕;
・例えばEP457660A1に記載されているような、比較的狭いゲルサイズ分布を有するビーズポリマーを生成する乳化重合;
・例えばWO/0294328A2、WO02/94329A1に記載されているような、たいてい連続的な操作において、予めモノマー水溶液で噴霧され、且つその後に光重合に供された織物層上での現場重合
によって得られる。
【0041】
これら引用文献は、処理方法の詳細について明示的に本明細書中に組み込まれる。反応は、好ましくは混練機またはベルト型反応器中で実施される。
【0042】
連続的なゲル重合は経済的に好ましいので、超吸収体を製造する方法に現在用いられている。連続的なゲル重合法は、アクリル酸溶液を中和剤、選択的にコモノマーおよび/または更なる助剤と異なる時間および/または場所で混合することによって最初にモノマー混合物を製造し、次いで該混合物を反応器に移すかまたは該混合物を装入物として反応器中で調製することによって実施される。開始剤系は、重合を開始するために最後に添加される。重合の連続的処理を保証することは、ゲルを形成するために、ポリマーゲル、すなわち重合溶媒中−一般に水中−で膨潤したポリマーを形成するための反応を伴い、且つ該ポリマーゲルはすでに攪拌重合中に微粉砕されている。該ポリマーゲルは、必要な場合、引き続き乾燥され、且つまたチップ状に粉砕され、且つ篩分けされ、且つ更なる表面処理に移される。
【0043】
得られたヒドロゲルの酸基は、酸中和段階で部分的に、一般に少なくとも25モル%の程度に、好ましくは少なくとも50モル%の程度に、およびより好ましくは少なくとも60モル%程度に、且つ一般に85モル%を上回らない程度に、好ましくは80モル%を上回らない程度に、およびより好ましくは75モル%を上回らない程度に中和される。
【0044】
中和はまた、ヒドロゲル段階で重合後に実施してもよい。しかし、重合前に全体的または部分的に所望の中和度へと中和することも可能である。部分中和および重合に先立つ場合、重合前に中和剤の一部をモノマー溶液に添加することによって、使用されるモノマー中の酸基が、一般に少なくとも10モル%、好ましくは少なくとも15モル%、且つまた一般に40モル%を上回らず、好ましくは30モル%を上回らず、およびより好ましくは25モル%を上回らずに中和される。所望される最終的な中和度は、この場合、重合の終わりに向けてまたは重合後に、好ましくはその乾燥前のヒドロゲルの段階で設定されるのみである。該モノマー溶液は、中和剤を添加することによって中和される。ヒドロゲルは、例えばミートグラインダーまたはゲル様材料を微粉砕するための類似する装置によって、中和中に機械的に微粉砕してよく、この場合、中和剤を噴霧、散在させるかまたは注入し、次いで注意深く混合することができる。このために、得られたゲル材料を繰り返し均質化のためにミートグラインダーに通すことができる。
【0045】
中和剤の添加または重合後の中和の実施による重合前に所望される最終的な中和度へのモノマー溶液の中和は、たいてい部分的に重合前および部分的に重合後に中和を行うより簡単であるので、それゆえ好ましい。
【0046】
重合したままのゲルは、選択的にいくらかの時間、例えば少なくとも30分、好ましくは少なくとも60分およびより好ましくは少なくとも90分、且つまた一般に12時間を上回らずに、好ましくは8時間を上回らずに、および6時間を上回らずに、一般に少なくとも50℃および好ましくは少なくとも70℃の温度で、且つまた一般に130℃を上回らない、および好ましくは100℃を上回らない温度で維持され、これはたいていそれらの特性を更に改善する。
【0047】
次いで、中和されたヒドロゲルは、ベルト式またはドラム式乾燥機を用いて、残留湿分が好ましくは15質量%、および特に10質量%を下回るまで乾燥される(その際、湿分含量は下記の通りに測定される)。従って、乾燥超吸収体は15質量%までの、且つ好ましくは10質量%を上回らない湿分を含有する。"乾燥"として区分される決定的な基準は、例えば空気輸送、充填、篩分けまたは固体処理技術に関係している他の処理段階用に、粉末として処理するのに十分な流動性である。しかしながら、選択的に乾燥は流動床乾燥機または加熱型プローシェアーミキサーを用いて実施することもできる。特に無色の製品を得るために、このゲルを蒸発水の迅速な除去を確実にすることによって乾燥させることが有利である。このために、乾燥機温度が最適化されていなければならず、空気供給および除去が監視される必要があり、且つ全ての時間で十分な通気が保証される必要がある。乾燥は、ゲルの固体含量が可能な限り高い場合には、当然のことながらより簡単であり、且つ生成物は一層無色である。それゆえ付加重合における溶媒画分は、乾燥する前のゲルの固体含量が、それゆえ一般に少なくとも20質量%、好ましくは少なくとも25質量%およびより好ましくは少なくとも30質量%、且つまた一般に90質量%を上回らず、好ましくは85質量%を上回らず、およびより好ましくは80質量%を上回らないように設定される。乾燥機を、窒素または任意の他の非酸化性不活性ガスにより通気することが特に有利である。しかしながら、選択的に簡単にただ酸素の分圧を乾燥中に低下させ、酸化黄変プロセスを防ぐこともできる。しかし一般に、水蒸気の適切な通気および除去も同様に、なお許容され得る生成物をもたらす。非常に短い乾燥時間は、色および生成物品質に関して一般に有利である。
【0048】
乾燥ヒドロゲル(それはもはやゲルではなく(それでもなおそのように呼ばれることは多いけれども)、用語"超吸収体"のところで出てくる、超吸収特性を有する乾燥ポリマーである)は、好ましくは粉砕且つ篩分けされ、粉砕装置、例えばロールミル、ピンミル、ハンマーミル、カッティングミルまたは振動ミルが一般的に用いられる。篩分けされた乾燥ヒドロゲルの粒度は、好ましくは1000μmより小さく、より好ましくは900μmより小さく、およびより好ましくは850μmより小さく、且つ好ましくは80μmより大きく、好ましくは90μmより大きく、および最も好ましくは100μmより大きい。
【0049】
極めて有利なのは、106〜850μmの範囲の粒度(シーブカット)である。粒度分布は、下記の通りに測定される。
【0050】
そのようにして製造された乾燥超吸収体ポリマーは、"ベースポリマー"として一般に公知であり、次いで好ましくは表面後架橋されている。表面後架橋は、乾燥、粉砕および分級されたポリマー粒子を用いた慣例の方法で行うことができる。表面後架橋のために、架橋によってベースポリマーの官能基と反応することができる化合物が、たいてい溶液の形で、該ベースポリマー粒子の表面に施与される。適した後架橋剤は、例えば:
・ジ−またはポリエポキシド、例えばジ−またはポリグリシジル化合物、例えばホスホン酸ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールのビスクロロヒドリンエーテル、
・アルコキシシリル化合物、
・ポリアジリジン、アジリジン単位を有し、且つポリエーテルまたは置換された炭化水素を基礎とする化合物、例えばビス−N−アジリジノメタン、
・ポリアミンまたはポリアミドアミンおよびまたエピクロロヒドリンとそれらの反応生成物、
・ポリオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、メチルトリグリコール、200〜10000の平均分子量Mwを有するポリエチレングリコール、ジ−およびポリグリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、これらのポリオールのエトキシ化物およびまたそれらとカルボン酸または炭酸とのエステル、例えばエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネート、
・炭酸誘導体、例えば尿素、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、2−オキサゾリジノンおよびその誘導体、ビオキサゾリン、ポリオキサゾリン、ジ−およびポリイソシアネート、
・ジ−およびポリ−N−メチロール化合物、例えばメチレンビス(N−メチロールメタクリルアミド)またはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、
・2つ以上のブロック化イソシアネート基を有する化合物、例えば2,2,3,6−テトラメチルピペリジン−4−オンでブロックされたトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0051】
必要な場合、酸性触媒を添加してよく、例えばそれはp−トルエンスルホン酸、リン酸、ホウ酸またはリン酸二水素アンモニウムである。
【0052】
特に適した後架橋剤は、ジ−またはポリグリシジル化合物、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドアミンとエピクロロヒドリン、2−オキサゾリジノンおよびN−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリジノンとの反応生成物である。
【0053】
表面後架橋(多くの場合"後架橋")は、一般に表面後架橋剤(多くの場合"後架橋剤")の溶液をヒドロゲルまたは乾燥ベースポリマー粉末上に噴霧することによって実施される。
【0054】
表面後架橋剤のために用いられる溶媒は、通常適した溶媒であり、例えば水、アルコール、DMF、DMSOおよびまたそれらの混合物である。特に好ましいのは、水および水−アルコール混合物、例えば水−メタノール、水−1,2−プロパンジオール、水−2−プロパノールおよび水−1,3−プロパンジオールである。
【0055】
後架橋剤の溶液による噴霧は、好ましくは可動式混合手段を備えたミキサー、例えばスクリューミキサー、パドルミキサー、ディスクミキサー、プローシェアーミキサーおよびショベルミキサー中で実施される。特に好ましいのはバーチカルミキサーであり、また極めて好ましいのはプローシェアーミキサーおよびショベルミキサーである。有効な且つ公知のミキサーには、例えばLoedige(R)、Bepex(R)、Nauta(R)、Processall(R)およびSchugi(R)ミキサーが含まれる。非常に好ましいのは、高速ミキサー、例えばShugi−Flexomix(R)またはTurbolizer(R)型の高速ミキサーである。
【0056】
架橋剤溶液による噴霧に続けて選択的に、表面後架橋反応をもたらすことおよび表面架橋を完成させるために重要な熱処理段階を行ってよい。この段階は、時に"硬化"またはちょうど"乾燥"と呼ばれる。それは一般に、表面架橋剤を添加するために使用される装置のまさに下流の加熱ミキサー("乾燥機")中で、一般に少なくとも50℃、好ましくは少なくとも80℃およびより好ましくは少なくとも80℃、且つまた一般に300℃を上回らない、好ましくは250℃を上回らないおよびより好ましくは200℃を上回らない温度で実施される。処理されるべき超吸収体の乾燥機中での平均滞留時間(すなわち、超吸収体の個々の粒子の平均化された滞留時間)は、一般的に少なくとも1分、好ましくは少なくとも3分およびより好ましくは少なくとも5分であり、且つまた一般的に6時間を上回らず、好ましくは2時間を上回らず、およびより好ましくは1時間を上回らない。実際に乾燥を行うのに加えて、分断して存在する任意の生成物のみならず溶媒分画も除去される。熱乾燥は、慣例の乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉または加熱式スクリュー、好ましくは接触式乾燥機中で実施される。好ましいのは、生成物がその中で攪拌される乾燥機、すなわち加熱ミキサー、より好ましくはショベル式乾燥機および最も好ましくはディスク式乾燥機の使用である。Bepex(R)乾燥機およびNara(R)乾燥機が、例えば適した乾燥機である。流動床乾燥機も使用することができる。しかし乾燥は、ジャケットを加熱するかまたは予熱ガス、例えば空気を中に吹き込むことによってミキサー自体においても行うことができる。しかし、例えば乾燥処理として共沸蒸留を利用することも可能である。架橋反応は乾燥前のみならず乾燥中にも行うことができる。
【0057】
添加剤はこの段階で添加してもよい。選択的にこの表面架橋段階において添加される添加剤の例は、そのつど材料の全量に対して、少なくとも0.05質量%、好ましくは少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.3質量%、且つ一般にせいぜい5質量%、好ましくはせいぜい1.5質量%およびより好ましくはせいぜい1質量%の一般的な量における透過性増強剤、例えば粒状無機固体または粒状有機固体、カチオンポリマーおよび水溶性多価金属塩またはそれらの組み合わせ物、および当業者に公知の一般的な方法を用いることである。
【0058】
必ずとは限らないが、非常に一般的に、水溶性多価金属塩は、ポリマーの酸基と反応して錯体を形成し得る二価以上の高い価数の("多価")金属カチオンを有する。多価カチオンの例は、金属カチオン、例えばMg2+、Ca2+、Al3+、Sc3+、Ti4+、Mn2+、Fe2+/3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Y3+、Zr4+、La3+、Ce4+、Hf4+、およびAu3+である。好ましい金属カチオンはMg2+、Ca2+、Al3+、Ti4+、Zr4+およびLa3+であり、また特に好ましい金属カチオンはAl3+、Ti4+およびZr4である。該金属カチオンは、単独でも互いに混合しても使用することができる。上記金属カチオンについて、使用される溶媒に十分な溶解性を示す任意の金属塩を使用することができる。弱錯化性アニオン、例えば塩化物、硝酸塩および硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩およびカルボン酸塩、例えば酢酸塩および乳酸塩を有する金属塩が特に適している。硫酸アルミニウムを使用することが特に好ましい。
【0059】
多価カチオンの溶液による超吸収体ポリマーの処理は、表面後架橋剤を用いたのと同様の方法で、選択的乾燥ステップを含めて実施される。金属塩のための有効な溶媒には、水、アルコール、DMF、DMSOおよびそれらの混合物も含まれる。特に好ましいのは、水および水−アルコール混合物、例えば水−メタノール、水−1,2−プロパンジオール、水−2−プロパノールおよび水−1,3−プロパンジオールである。
【0060】
本発明の好ましい一態様において、透過性増強剤は、表面架橋されている超吸収体に、または表面架橋と同時に、または部分的に同時に且つ部分的に表面架橋後に適用される。例えば、透過性増強剤を適用する適した方法は、多価金属カチオン、例えばAl3+を表面架橋剤と同時に適用すること、および粒状固体、例えばシリカを表面架橋の段階後に、例えば表面架橋された生成物の乾燥後に行われる冷却段階中に適用することである。
【0061】
超吸収体に抗菌剤を添加する第一の方法は、超吸収体と、抗菌剤およびポリオールを有する溶液とを、それを表面架橋剤と接触させるのと同時にまたは接触させた直後に、且つ表面架橋を完成させる硬化段階に先立って接触させることである。このために、ポリオールを有する溶媒中の抗菌剤の溶液は、超吸収体に添加される。該溶液は、粒子上に溶液のコーティングを得るための任意の公知の方法で添加され得る。表面架橋剤の溶液に関してこれを得る任意の公知のまたは上記の方法は、抗菌剤の溶液についても同様に適している。超吸収体上に溶液を噴霧することが好ましい。好ましくは、抗菌剤の溶液は、超吸収体と表面架橋溶液との接触のために使用される同じタイプの装置中に添加され、且つ好ましくは、抗菌剤の溶液は、表面架橋溶液およびこの段階で添加される任意の他の添加剤、例えば上記の多価金属塩と同時に添加される。この文脈において、"同時に"とは"まさに同じ装置中で"のことを意味し、必ずしも"まったく同じノズルまたはノズルセットに通す"ことを意味していない。セパレートノズルまたはノズルセットは、一般に抗菌剤と表面架橋剤との間の干渉または反応を回避するために用いられ、且つ表面架橋剤は、しかし、そのような干渉が排除され得る場合、1個のノズルまたは一組のノズルを介して抗菌剤、表面架橋剤およびポリオール(それは硬化条件が特定のポリオールによる表面架橋の形成につながるのであれば、表面架橋剤の一部またはそれどころか表面架橋剤を構成していてもよい)を有する1つの溶液を噴霧することが可能であり、且つそうである場合、装置および操作の簡便性にとって好ましい。
【0062】
しかしながら、抗菌剤の溶液を、表面架橋剤とは別個に、ベースポリマーと表面架橋剤溶液との接触用の固体と上述のような液体とが接触されるように意図された別個の装置中に添加することも可能である。ベースポリマーと表面架橋剤とを接触させるために用いられる装置型およびベースポリマーと抗菌剤溶液とを接触させるために用いられる装置は異なっていてよい。抗菌剤が表面架橋剤とは別個に添加されるのであれば、それは表面架橋剤の後に、しかし硬化前に、好ましくは硬化の直前に添加される。
【0063】
抗菌剤のために用いられる溶媒は、ポリオールを有する
ポリオールは、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物または表面架橋中に適用される条件下でポリオールを放出する化合物である。溶媒成分として適した一般的なポリオールは、線状または分枝状アルカンジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、sec−ブチルグリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオールまたはネオペンチルグリコールである。適したポリオールの他の例は、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンまたはペンタエリトリトールである。表面架橋中に適用される条件下でポリオールを放出する化合物は一般に、ヒドロキシ基がマスキング基または保護基によってマスキングまたは保護されているポリオールである。そのようなマスキング基または保護基の例は、エーテルまたはカーボネートであり、且つ特に、表面架橋中に適用される条件下でポリオールを放出することができる化合物の例は、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル(例えばそのジメチルまたはジエチルエーテル)、2−メトキシジエチルエーテル、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートである。ポリオールの混合物もまた適している。アルカンジオールが好ましく、且つ1,2−プロパンジオールが最も好ましい。
【0064】
ポリオールに加えて、溶媒は、他の溶媒または例えば水のような成分を有していてよい。好ましくは、抗菌物質のための溶媒は、ポリオールまたは更なる溶媒または成分を含まないポリオールである。
【0065】
一般に、抗菌剤およびポリオールを有する溶液は、少なくとも20質量%、好ましくは少なくとも40質量%およびより好ましくは少なくとも50質量%の、且つ一般に90質量%を上回らず、好ましくは85質量%を上回らず、およびより好ましくは80質量%を上回らない抗菌剤を有する。該溶液は更に、一般に少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも15質量%およびより好ましくは少なくとも20質量%の、且つ一般に80質量%を上回らず、好ましくは60質量%を上回らず、およびより好ましくは50質量%を上回らないポリオールを有する。溶液の成分のパーセント量の合計は、常に100%となる。
【0066】
超吸収体を表面架橋剤溶液でコーティングするのと同時にまたはコーティング直後に添加される非常に適した抗菌剤は、特に、抗菌剤がトリクロサンである場合、抗菌剤65質量%および1,2−プロパンジオール35質量%とからなる。
【0067】
表面架橋剤溶液、抗菌剤溶液および表面架橋段階で添加される任意の他の成分を添加した後、表面架橋が上記の熱処理によって完成される。
【0068】
任意の乾燥段階後、乾燥後に生成物を冷却することは絶対に必要ではないが有利である。冷却は、連続的にまたは不連続的に、適切には生成物を連続的に乾燥機の下流側の冷却器に輸送することによって行うことができる。粉状固体から熱を除去するために公知の任意の装置、特に乾燥装置として上記の任意の装置を使用してよいが、ただし、加熱媒体が供給されるのではなく、熱が壁を介して、且つ、設計に依存して、超吸収体と隔たっていることを除いて、攪拌エレメントまたは他の熱交換表面を介しても超吸収体に導入されないように、例えば冷却水のような冷却媒体が供給されるとの条件が与えられる。好ましいのは、生成物がその中で攪拌される冷却器、すなわち冷却ミキサー、例えばショベル冷却器、ディスク冷却器またはパドル冷却器、例えばNara(R)またはBopex(R)冷却器である。超吸収体は、流動床中で、冷却ガス、例えば冷気をその中に吹き込むことによって冷却することもできる。冷却条件は、更なる処理のために所望された温度を有する超吸収体が得られるように設定される。概して、冷却器中での平均滞留時間は、一般に少なくとも1分、好ましくは少なくとも3分およびより好ましくは少なくとも5分であり、且つまた一般に6時間、好ましくは2時間を上回らず、およびより好ましくは1時間を上回らず、また冷却性能は、得られる生成物が、一般に少なくとも0℃、好ましくは少なくとも10℃およびより好ましくは少なくとも20℃の温度を有し、且つまた一般に100℃を上回らず、好ましくは80℃を上回らず、およびより好ましくは60℃を上回らないように決定される。
【0069】
選択的に超吸収体は、処理を容易にするために凝集制御剤でも処理される。凝集制御剤は、全て20℃にて、少なくとも20mPas、好ましくは少なくとも30mPas、より好ましくは少なくとも40mPasおよび最も好ましくは少なくとも80mPasの、且つ一般に1000mPasを上回らない、好ましくは700mPasを上回らない粘度を有する非水性液体である。適した凝集制御剤は、アルコール、ポリグリコール、シリコーンオイル、親水性変性シリコーンオイルおよびパラフィンオイルからなる群から選択されたこの粘度の少なくとも1つの試剤である。
【0070】
これらの凝集制御剤およびそれらを超吸収体に添加する方法は自体公知である。一般に、凝集制御剤を添加する工程に適した方法および装置は、表面架橋剤を適用するための上記方法および装置、および特に冷却装置としての上記の装置である。適したアルコールの例は、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−および1,4−ブタンジオールまたはグリセリンである。適したポリグリコールの例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールである。一般的に、これらは5000g/モルを上回らない、好ましくは3000g/モルを上回らない、且つより好ましくは2000g/モルを上回らない分子量を有する。
【0071】
好ましい凝集制御剤は、1,2−プロピレングリコール、1500g/モル未満の平均分子量を有するポリエチレングリコール、シリコーンオイル、および親水性変性シリコーンオイルである。
【0072】
2つ以上のタイプの凝集制御剤を適用することが可能である。一般に、特定の超吸収体に添加される凝集制御剤の全量は、所望された生成物特性を得るために、且つ"ビッグバッグ"のような輸送容器から供給装置中に自由に流れる生成物を獲得するために調節される。凝集制御剤の最適量は、超吸収体のタイプおよび、特に透過性増強剤のタイプと量に依存する。概して、凝集制御剤は、そのつど材料の全質量に対して、少なくとも100質量ppm、好ましくは少なくとも200質量ppm、より好ましくは少なくとも300質量ppmの量の且つ、一般にせいぜい5000質量ppm、好ましくはせいぜい3000質量ppmおよびより好ましくはせいぜい1500質量ppmの量で使用される。
【0073】
好ましくは、凝集制御剤は、表面架橋後、および透過性増強剤の添加後にポリマーに適用される。最も好ましくは、凝集制御剤は、表面架橋中に適用される熱処理段階後または透過性増強剤の添加中に適用される熱処理段階後に添加される。冷却器が十分な混合品質をもたらすか否かに応じて、表面架橋および透過性増強剤の添加に続く冷却段階中に凝集制御剤を適用することが適切であり得る。凝集制御剤を別個の段階で、たいていミキサー中で、且つ好ましくは表面架橋および透過性増強剤の添加後に添加することが常に可能である。時に、凝集制御剤を表面架橋または透過性増強剤の添加中に適用することも、表面架橋中の凝集制御剤の不活性次第では可能である。
【0074】
凝集制御剤の添加は、たいてい引き続く加熱段階を必要としない。加熱段階がいくつかの特別な環境に基づき必要とされるべき場合、凝集制御剤とポリマーとが反応するのに十分高い温度はいずれも回避することが考慮されなければならない。
【0075】
超吸収体に抗菌剤を添加する第二の方法は、超吸収体を、抗菌剤および200から5000g/モルの間の分子量のポリアルキレングリールを有する溶液と表面架橋の完成後に接触させることである。このために、ポリアルキレングリコールを有する溶媒中の抗菌剤の溶液が超吸収体に添加される。該溶液は、粒子上に溶液のコーティングを得るための任意の公知の方法で添加され得る。表面架橋剤または凝集制御剤の溶液に関してこれを得る任意の公知のまたは上記の方法は、抗菌剤の溶液においても適している。超吸収体上に溶液を噴霧することが好ましい。好ましくは、抗菌剤の溶液は、超吸収体と凝集制御剤との接触のために使用される同じタイプの装置中に添加され、且つ凝集制御剤が超吸収体に添加される場合、好ましくは、抗菌剤の溶液は、凝集制御剤およびこの段階で添加される任意の他の添加剤と同時に添加される。この文脈において、"同時に"とは"まったく同じ装置中で"のことを意味し、必ずしも"まったく同じノズルまたはノズルセットを通して"のことを意味していない。セパレートノズルまたはノズルセットは、一般に抗菌剤と凝集制御剤との間の干渉または反応を回避するために用いられ、且つ凝集制御剤は、しかし、そのような干渉が排除され得る場合、1個のノズルまたは一組のノズルによって抗菌剤および凝集制御剤およびポリアルキレングリコール(凝集制御剤の一部であるか、または実際に凝集制御剤を構成していてもよい)を有する1つの溶液を噴霧することが可能であり、且つそうである場合、装置および操作の簡便性にとって好ましい。
【0076】
しかしながら、抗菌剤の溶液を、凝集制御剤とは別個に、別のまたは、いかなる凝集制御剤も添加されない場合、ベースポリマーと表面架橋剤溶液または凝集制御剤との接触用に固体と上述のような液体とが接触されるように意図された専用の装置中に添加することも可能である。超吸収体と凝集制御剤とを接触させるために用いられる装置型および超吸収体と抗菌剤溶液とを接触させるために用いられる装置は異なっていてよい。抗菌剤が、凝集制御剤とは別個に添加されるのであれば、それは凝集制御剤の前または凝集制御剤の後に添加される。
【0077】
この第二の方法における抗菌剤のために用いられる溶媒は、ポリアルキレングリコールを有する。最も一般的なポリアルキレングリコールは、水またはアルコールの存在下でアルキレンオキシドの開環重合によって技術的に製造され、一般式
HO−(CHR1−CHR2)n−H
[式中、R1およびR2は、用いられるアルキレンオキシドの置換基である]の化合物をもたらす化合物である。一般に、R1およびR2は(各々の反復単位において無関係に)Hまたはアルキル基、特にメチル、エチル、プロピルから選択される。好ましくは、R1およびR2の1個がHおよび他方がHまたはメチル、エチルまたはプロピルである。ポリアルキレングリコールが1種類のアルキレンオキシドのみから、例えばポリエチレングリコール(R1=R2=H)、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールから誘導されることは十分に一般的である。ポリエチレングリコールが好ましい。
【0078】
大体において、添え字nは、一般に少なくとも5および好ましくは少なくとも6である。更に、それは110を上回らず、好ましくは85を上回らず、およびより好ましくは70を上回らない。しかしながら、ずっと一般に且つ正確には、それらの製造において、常に異なるn値を有するポリアルキレングリコールの混合物が結果生じるので、それらの平均分子量に関してこれらのポリアルキレングリコールが言及される。従って、所定量のポリアルキレンオキシドは常に、異なる鎖長さの分子の混合物である。一般に本発明の方法において用いられるポリアルキレングリコールは、少なくとも200g/モル、好ましくは250モル/gおよびより好ましくは少なくとも300g/モルの、且つ一般に5000g/モルを上回らない、好ましくは3000g/モルを上回らない、およびより好ましくは1500g/モルを上回らない分子量を有する。これらの分子量は、当然の事ながら平均分子量である。
【0079】
ポリオールとアルキレンオキシドとを反応させることによって製造される分枝状ポリアルキレングリコールを用いることも可能である。例は、グリセリンまたはトリメチロールプロパンの存在下でのアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはそれらの混合物の開環重合の生成物である。これらの化合物において、全体での核ポリオールに添加されるアルキレンオキシドユニットの数(すなわち、核ポリオールの前者ヒドロキシ基に結合される任意のポリアルキレンオキシド鎖中の全てのアルキレンオキシドユニットの合計)は、少なくとも3、好ましくは少なくとも5およびより好ましくは少なくとも6である。更に、それは110を上回らず、好ましくは85を上回らず、およびより好ましくは70を上回らない。
【0080】
適したポリアルキレングリコールは、一般に公知であり、且つ"PEG−400"として販売されている約400g/モルの平均分子量のポリエチレングリコールである。
【0081】
ポリアルキレングリコールに加えて、溶媒は、他の溶媒または例えば水のような成分を有していてよい。好ましくは、抗菌物質のための溶媒は、ポリアルキレングリコールまたは更なる溶媒あるいは成分を含んでいないポリアルキレングリコール混合物である。
【0082】
一般に、抗菌剤およびポリアルキレングリコールを有する溶液は、少なくとも20質量%、好ましくは少なくとも30質量%およびより好ましくは少なくとも40質量%の、且つ一般に80質量%を上回らない、好ましくは70質量%を上回らない、およびより好ましくは60質量%を上回らない抗菌剤を有する。該溶液は更に、一般に少なくとも20質量%、好ましくは少なくとも30質量%およびより好ましくは少なくとも40質量%の、且つ一般に80質量%を上回らない、好ましくは70質量%を上回らない、およびより好ましくは60質量%を上回らないポリアルキレングリコールを有する。溶液の成分のパーセント量の合計は常に100%になる。
【0083】
表面架橋後に添加される非常に適した抗菌剤溶液は、特に、抗菌剤がトリクロサンである場合、抗菌剤50質量%およびPEG−400 50質量%からなる。
【0084】
抗菌剤は、表面架橋剤の所望の最終含量を得るために表面架橋の過程で、且つ部分的に表面架橋後に添加してよい。表面架橋溶液の一部として抗菌剤を添加すること、ポリオールを抗菌剤のための溶媒としてのみならず、表面架橋剤として、および/または凝集制御剤の一部として用いること、ポリアルキレングルコールを抗菌剤のための溶媒としてのみならず、凝集制御剤として用いることが好ましい。このように、むしろ高い量の抗菌剤を、更なる助剤、溶媒または処理段階を必ずしも用いずに適用することができる。
【0085】
選択的に、貯蔵または処理特性に影響を及ぼすために、超吸収体に更なる通常の添加剤および助剤が供給される。それらに関する例は、いくつかの適用において望ましい膨潤ゲルの可視性を改善するための着色剤、不透明添加剤、界面活性剤等である。同様に、超吸収体の最終的な含水量を、所望される場合、水を添加することによって設定することができる。これらの添加剤および助剤は、それぞれ別個の処理段階において添加してよいが、しかし一つの適切な方法は、冷却器が十分な混合品質をもたらすのであれば、それらを超吸収体にこの冷却器中で、例えば超吸収体を溶液で噴霧するか、またはそれらを微粉固体または液体の形で添加することによって添加することであってもよい。
【0086】
本発明の方法を用いて製造された表面架橋超吸収体は、選択的に、通常の方法で粉砕および/または篩分けされる。粉砕は一般的に必要ではないが、形成される凝集体または篩下画分の篩分けは、たいてい生成物の所望された粒度分布を設定するのに望ましい。凝集体および篩下画分は、廃棄されるか、または好ましくは通常の仕方で且つ適した箇所にて返送されるかのいずれかである:微粉砕後の凝集体。超吸収体粒度は、好ましくは1000μmを上回らず、より好ましくは900μmを上回らず、最も好ましくは850μmを上回らず、且つ好ましくは少なくとも80μm、より好ましくは少なくとも90μmおよび最も好ましくは少なくとも100μmである。典型的なシーブカットは、例えば106〜850μmまたは150〜850μmである。
【0087】
本発明の方法は、粉状でない超吸収体を製造するためにも適している。その場合、抗菌剤はなおも、上記のように表面架橋中および/またはその後に、超吸収体粒子を有する不織布にまたは超吸収体繊維にまたは粒状超吸収体がとる他のどんな形にも添加される。
【0088】
我々は更に、本発明の方法によって製造される超吸収体および本発明の処理によって製造される超吸収体を有する衛生用品を見出した。本発明に従った衛生用品は、例えば軽度の失禁または重度の失禁、例えば重度のまたは軽度の失禁用インサート、失禁ブリーフ、それに赤ん坊および乳幼児用のおむつ、トレーニングパンツまたは他に女性衛生用品、例えばライナー、生理用ナプキンまたはタンポンの使用を目的としているものである。この種の衛生用品は公知である。本発明の衛生用品は、公知の衛生用品とは、それらが本発明の超吸収体を有するという点で異なる。そのうえ我々は、本発明の少なくとも1つの超吸収体を、関連する衛生用品の製造において利用することを含む衛生用品の製造方法も見出した。超吸収体を用いる衛生用品の製造方法は、その他の点では公知である。
【0089】
更に本発明は、体液を吸収するための子供用のトレーニングパンツ、シューインサートおよび他の衛生用品における本発明の組成物の使用を提供する。本発明の組成物は、液体、特に水または水溶液が吸収される他の技術的分野および産業分野においても使用することができる。これらの分野は、例えば貯蔵、包装、輸送(水感受性製品または感湿性製品用、例えば花輸送用の包装材料の構成要素として、それに機械的な衝撃に対する保護体として);家畜衛生(キャットリターにおいて);食品包装(魚、鮮肉の輸送;水、鮮魚またはミートパックにおける血液の吸収);医薬品(火傷手当用または滲出性創傷用の創傷プラスター、吸水性材料)、化粧品(医薬品および薬剤用の担体材料、リウマチ性膏薬、超音波検査用ゲル、冷却用ゲル、化粧用増粘剤、日焼け止め剤);水中油型および油中水型エマルジョンのための増粘剤;テキスタイル(テキスタイル、シューインサートにおける調湿、蒸発冷却のための、例えば保護服、保護グローブ、保護ヘッドバンドにおける調湿);化学工学適用(例えば酵素のような高機能分子を固定化するための、有機反応用触媒として、凝集に対する付着剤、熱貯蔵媒体、ろ過助剤、ポリマーラミネートにおける親水性成分、分散剤、流動化剤として);粉末射出成形における、建築構造および工学における助剤として(設置、ロームベースの下塗りにおいて、振動抑制媒体、水に富んだ土壌におけるトンネル掘削における助剤、ケーブルシースとして);水処理、廃棄物処理、水除去(氷結防止剤、回収砂袋);洗浄;農業技術(灌漑、融雪氷水および露付着物の保持、堆肥化剤、カビ/虫感染からの森林の保護、植物への活性成分の遅延放出);例えば消化用または防火用;熱可塑性ポリマーにおける共押出剤(例えば多層膜を親水化するため);水を吸収することができる膜および熱可塑性成形材の製造(例えば農業用の雨水および露水貯蔵膜;湿潤膜において包装されている果物および野菜を新鮮に保つための超吸収体含有膜;超吸収体−ポリスチレン共押出物、例えば肉、魚、鶏肉、果物および野菜のような食品包装用);または活性成分の配合物中の担体物質としても(薬剤、農産物保護剤)用いることができる。
【0090】
超吸収体特性試験方法
Centrifuge Retention Capacity (CRC)
遠心保持容量(CRC)の測定方法は、US特許出願番号US2002/0165288A1,段落番号[0105]および[0106]に記載されている。
【0091】
湿分含量
湿分含量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association,Avenue Eugene Plasky,157,1030 Bruessels,Belguium,www.edana.org)推奨試験方法番号430.2−02"Moisture content"(EDANAから入手可能)に従って測定される。
【0092】
粒度分布
粒度分布は、EDANA推奨試験方法番号420.2−02"Particle size distribution"(EDANAから入手可能)に従って測定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超吸収体と、抗菌剤およびポリオールを有する溶液とを、前記超吸収体を表面架橋剤と接触させるのと同時にまたは接触させた直後に、且つ表面架橋を完成させる硬化段階に先立って接触させること、および/または前記超吸収体と、前記抗菌剤および200から5000g/モルの間の分子量のポリアルキレングリコールを有する溶液とを、表面架橋の完成後に接触させることを含む、抗菌剤のコーティングを有する超吸収体の製造方法。
【請求項2】
前記抗菌剤がトリクロサンである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリオールがグリコールである、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオールが1,2−プロパンジオールである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールである、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
前記ポリアルキレングリコールが、400g/モルの平均分子量のポリエチレングリコールである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法によって製造されている、抗菌剤のコーティングを有する超吸収体。
【請求項8】
請求項7記載の超吸収体を含む衛生用品。

【公表番号】特表2010−540004(P2010−540004A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524493(P2010−524493)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062111
【国際公開番号】WO2009/034154
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】