説明

抗菌性植物組成物

【課題】新規で有効な抗マイコバクテリア剤の提供。
【解決手段】本発明は、医薬担体ならびにコバルトセン−オクタメチル及びスチグマスタン−3,5−ジエンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、有機溶媒中に植物物質を抽出し、抽出した物質をクロマトグラフカラムに接触させ、極性移動相を用いてクロマトグラフカラムから溶出して組成物を得ることを含む、抗微生物活性を有する組成物を調製する方法も提供する。植物物質は、マミーアップル、ゼニゴケ、またはハナマキ由来である。本発明はまた、担体ならびにコバルトセン−オクタメチル及びスチグマスタン−3,5−ジエンの中から選択される少なくとも1種の化合物を含む組成物を投与することを含む、マイコバクテリウムの増殖を抑制する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出し精製した、抗微生物および抗マイコバクテリア活性を有する植物化合物の単離ならびに使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコバクテリウム属には、ヒト、他の哺乳動物、および鳥類で病気を引き起こす多くの細菌種が含まれている。例えば、ヒト型結核菌は、現在世界で最も一般的な感染症である結核の原因物質である。世界保健機関(WHO)は、17億人(もしくは世界の人口の約3分の1)が、ヒト型結核菌に感染しているまたは彼らの生涯のある時点で感染していたことを報告している(非特許文献1参照。)。米国では、1千万から1千5百万人が潜伏感染していると推定されている(非特許文献2参照。)。1年当り8百万の新しい臨床的な結核の症例が世界的に生じ、毎年約3百万人が死亡すると計算されている(非特許文献3参照)。
【0003】
鳥型結核菌群(MAC complex)(主に鳥型結核菌およびバテー杆菌)のマイコバクテリアは、AIDS患者の日和見病原体である。病気がかなり進行した段階のAIDS患者の約43%が、MAC症を患っている(非特許文献4参照。)。AIDS関連感染症の他に、鳥型結核菌の亜種であるパラ結核菌が、腸の炎症性疾患であるクーロン病に関連していると考えられている(非特許文献5参照。)。
【0004】
ヒト病原体と考えられている別のマイコバクテリアには、らい菌、M.カンサシ、M.マリヌム、M.フォーチュイタム菌群、ウシ型結核菌、M.スクロフラセウム、およびM.ウルセランスがある(非特許文献6、非特許文献7参照。)。世界的にらい菌感染症が推定550万症例ある(非特許文献8参照。)。
【0005】
パラ結核菌も反芻動物で腸の炎症を引き起こし、これはより一般的にはヨーネ病として知られている(非特許文献9参照)。パラ結核菌の試験で陽性のウシは殺して処分する。全国的な群れの間の発生率は、通常3%〜18%である(非特許文献10参照)。この病気の酪農業界への経済的な影響は、毎年15億ドルを超える(非特許文献11参照)。ウシ型結核菌は、獣医学で重要な別のマイコバクテリアである。M.フォーチュイタムは、動物およびヒトの病巣から単離された土壌細菌である。鳥型結核菌は、ニワトリに病気を引き起こし、養鶏業界にとって重大な関心事である。M.マリヌムは、冷血動物および魚類に感染し、これもヒトの四肢の表層の肉芽種から単離されたものである。
【0006】
抗癌、抗微生物、抗菌、および時には抗マイコバクテリア活性を求めて、これまで数百の植物種由来の抽出物が試験されてきた。全抽出物、または時には葉、幹、および根におよぶ植物組織由来の油には、様々な活性レベルがあることが示されている。ほとんどの場合、物質の化学組成は記載されていない。その概説については、非特許文献12を参照できる。非特許文献13、非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、および非特許文献20も参照できる。したがって、純粋で有効な抗マイコバクテリア化合物を同定する必要性が残っている。抗マイコバクテリア活性をもつ植物からの鉛抽出物の同定に関しての結果は、一般的に期待はずれであった(上掲の非特許文献12を参照できる。しかし、非特許文献21、非特許文献22、および上掲の非特許文献19も参照できる。)。
【0007】
マイコバクテリア細胞壁の脂質性は、乾燥および酸またはアルカリ条件に対する耐性を与えることによって、マイコバクテリアの生存に寄与するように思われる。例えば、マイコバクテリアは、酸またはアルカリ条件および限られた期間の加熱滅菌に耐える。マイコバクテリウムは、強靭で、制御するのが困難な細菌であることが証明されている。数カ月後には、古い培養物または汚染された表面から新しい感染性マイコバクテリアを回収することができる。マイコバクテリア汚染を制御できる新しい薬剤が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,235,871号明細書
【特許文献2】米国特許第4,501,728号明細書
【特許文献3】米国特許第4,837,028号明細書
【特許文献4】米国特許第5,019,369号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kochi, A. Tubercle 72: 1-6 (1991)
【非特許文献2】Morbidity and Mortality Weekly Report 39 (RR-8): 9-12 (1990)
【非特許文献3】Morbidity and Mortality Weekly Report 42 (49): 961-964 (1993)
【非特許文献4】Nightingale et al., J. Infect. Dis. 165: 1082-1085 (1992)
【非特許文献5】Chiodini, R. J. Clin. Micro. Rev. 2: 90-117 (1989)
【非特許文献6】Baron, S., editor, MEDICAL MICROBIOLOGY, Second Edition, pages 562-564 Addison-Wesley Pub. Co., Menlo Park, CA (1996)
【非特許文献7】Wayne, L. G. et al., Clin. Micro. Rev. 5: 1-25 (1992)
【非特許文献8】Nordeen, S. K. et al., Int. J. Lepr. 63: 282-287 (1993)
【非特許文献9】Thoen, C. O. et al., Rev. Infect. Dis. 3: 960-972 (1981)
【非特許文献10】Merkal, R. S. et al., J. Am. Vet. Med. Assoc. 190: 676-680 (1987)
【非特許文献11】Whitlock, R. PROCEED. OF THE THIRD INTERNAT. COLL0Q. PARATUBERCUL., pp. 514-522 (1991)
【非特許文献12】Newton et al., Phytother. Res., 14: 303-322 (2000)
【非特許文献13】Soliman et al., Flavour and Fragrance Journal, 9 (1): 29-33 (1994)
【非特許文献14】Hebda, Dissertation Abstracts International, 53 (4-C): 737 (1991)
【非特許文献15】Robbs, Dissertation Abstracts International, 58 (6-B): 3009 (1997)
【非特許文献16】Kurtulik, Dissertation Abstracts International, 43 (4-B): 1050 (1982)
【非特許文献17】Oguntimein, Dissertation Abstracts International, 42 (02-B): 577 (1981)
【非特許文献18】Frame et al., P. R. Health Sci. J., 17: 243-252 (1998)
【非特許文献19】Lall et al., J Ethnopharmacol, 66: 347-354 (1999)
【非特許文献20】Rastogi et al., FEMS Immuno. Med. Microblol. 20: 267-273 (1998)
【非特許文献21】Rejab et al., Phytotherapy Research, 14: 303-322 (2000)
【非特許文献22】George et al., Phytotherapy Research, 14: 303-322 (2000)
【非特許文献23】Gordon et al., Phytotherapy Research 14: 303-322 (1996)
【非特許文献24】Chung et al., Phytotherapy Research 14: 303-322 (1995)
【非特許文献25】Gomez-Florex et al. J. Clin. Microbiol. 33: 1842-1846 (1995)
【非特許文献26】Yajko et al., J. Clin. Microbiol. 33: 2324-2327 (1995)
【非特許文献27】Crowle and May, Antimicrob. Agents Chemother. 34: 2217-2222 (1990)
【非特許文献28】Pharmaceutics and Pharmacy Practice, J. B. Lippincott Company, Philadelphia, PA, Banker and Chalmers, eds., pages 238-250 (1982)
【非特許文献29】ASHP Handbook on Injectable Drugs, Toissel, 4th ed., pages 622-630 (1986)
【非特許文献30】Remington's Pharmaceutical Science (17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985)
【非特許文献31】Szoka et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9, 467 (1980)
【非特許文献32】Bauer et al., Amer. J. Clin. Path., 21: 941-946 (1985)
【非特許文献33】Siddiqi, Bactec TB system: Product and Procedure Manual, Becton Dickinson Diagnostic Instrument System, Towson, MD (1989)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
アメリカ合衆国における、ヒト型結核菌(MTB)の多剤耐性株の発生についての報告によって、結核に対する新しい恐怖が生じている。これらの菌株は、少なくとも最も重要な抗結核剤であるイソニアシドおよびリファンピシンに耐性がある。アメリカ合衆国における多剤耐性結核の発生頻度は3〜7%、ニューヨークでは約19%であると報告されている。したがって、現在使用されているものに代わる、またはそれに追加するための、新規で有効な抗マイコバクテリア剤が緊急に必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様として、本発明は、医薬担体ならびにコバルトセン−オクタメチルおよびスチグマスタン−3,5−ジエンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む医薬組成物を提供する。好ましい実施形態によれば、この組成物は、コバルトセン−オクタメチル、スチグマスタン−3,5−ジエン、およびフリーデリンを含む。別の好ましい実施形態によれば、この組成物は、α−カリオフィレン、β−カリオフィレン、カリオフィレンオキサイド、シクロドデカン、酢酸、およびテルペンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含む。
【0012】
医薬担体ならびにガロキソリド、サリチル酸ベンジル、ユーカリプトール、およびα−ピネンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む医薬組成物も提供する。好ましい実施形態によれば、この医薬組成物は、ガロキソリド、サリチル酸ベンジル、ユーカリプトール、およびα−ピネンを含む。別の好ましい実施形態によれば、この医薬組成物はさらに、3−シクロヘキサン−1−メタノール、カンフェン、1,4−シクロプロパ−アズレン、およびフィトールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。この医薬組成物は、これらの成分を単離または精製した形態で含む。
【0013】
本発明の別の態様によれば、有機溶媒中に植物物質を抽出し、抽出した物質をクロマトグラフ分離システムに接触させ、極性移動相を用いてクロマトグラフ分離システムから溶出して組成物を得ることを含む、抗微生物活性を有する組成物を調製する方法を提供する。植物物質は、マミーアップル、ゼニゴケ、またはハナマキから得たものであり、その組成物は抗微生物活性を有する。
【0014】
本発明のさらに別の態様によれば、担体ならびにコバルトセン−オクタメチル、スチグマスタン−3,5−ジエン、ガロキソリド、サリチル酸ベンジル、ユーカリプトール、およびα−ピネンの中から選択される少なくとも1種の化合物を含む組成物を投与することを含む、マイコバクテリウムの増殖を抑制する方法を提供する。マイコバクテリアは、鳥結核菌、ウシ型結核菌、バテー杆菌、M.カンサシ、らい菌、M.マリヌム、チモテ菌、M.スクロフラセウム、スメグマ菌、M.フォーチュイタム、ヒト型結核菌、またはM.ウルセランスである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】マミーアップルの活性画分のガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)分析の図である。この物質は、HPLCを組み合わせて4回実行し、1滴まで濃縮し、それにメタノール約0.3mlを加えることによって調製した。10μlをGC/MSで分析した。ピークを同定した。13分におけるピークはコバルトセン−1,1’,2,2’,3,3’,4,4’−オクタメチルであり、30分の直後のピークはスチグマスタン−3,5−ジエンであり、36分の直後のピークはフリーデリンである。
【図2】ゼニゴケの活性画分のガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)分析の図である。この物質は、HPLCを組み合わせて8回実行し、1滴まで濃縮し、それにメタノール約0.3mlを加えることによって調製した。10μlをGC/MSで分析した。ピークを同定した。13分におけるピークはコバルトセン−1,1’,2,2’,3,3’,4,4’−オクタメチルである。
【図3】ハナマキの活性画分のガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)分析の図である。この物質は、HPLCを組み合わせて4回実行し、1滴まで濃縮し、それにメタノール約0.3mlを加えることによって調製した。10μlをGC/MSで分析した。ピークを同定した。20分の直前のピークはガロキソリドであり、それにサリチル酸ベンジルを含むピークが続いている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、抗微生物活性があると示されている精製植物画分および化合物の同定ならびに単離によって可能になった。本発明の一態様によれば、抗微生物活性を有する組成物を調製する方法を提供する。この方法は、有機溶媒中に植物物質を抽出し、抽出した物質をクロマトグラフ分離システムに接触させ、極性移動相を用いてクロマトグラフ分離システムから溶出して抗微生物活性を有する組成物を得ることを含む。植物物質は、マミーアップル、ゼニゴケ、またはハナマキ由来である。
【0017】
植物のどんな部分も抽出手順にかけることができる。例えば、種子、幹、葉、花、または植物液汁が、有機溶媒を用いて抽出する植物物質であってよい。好ましい実施形態によれば、植物物質は葉である。
【0018】
有機溶媒は、極性溶媒を含むことが好ましい。有機溶媒は、1種の溶媒を含むことができ、または溶媒の混合物とすることもできる。当業者によく知られている方法で緩衝液または塩を加えてもよい。一実施形態によれば、溶媒は水素結合しているものである。水素結合性溶媒は、例えば、ヒドロキシ、カルボキシ、またはアミン含有溶媒とすることができる。溶媒にアルコールが含まれていると好ましい。より好ましい実施形態によれば、溶媒はエタノールであり、別の好ましい実施形態によれば、溶媒は塩化メチレンである。実際の抽出手順は当技術分野でよく知られている。例えば、溶媒中での振盪、または植物組織上への溶媒の滴下を使用することができる。
【0019】
クロマトグラフ分離システムは、どんな適当なタイプにすることもできる。極性移動相の使用を可能にするどんな分離システムも、本発明で使用することができる。クロマトグラフ分離システムに、可能な限りの植物物質の分離に十分な容量があると好ましい。例えば、分離は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、セファデックスもしくはセファロースカラム、DEAE−セルロース、または高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)システムであってよい。好ましい実施形態では、クロマトグラフ分離はHPLCシステムである。一実施形態によれば、アミド系カラムを使用する。
【0020】
任意の極性移動相を使用して、単離した純粋な化合物または1組の化合物を得ることができる。一般に、より極性が弱い移動相よりも、より極性が強い移動相が好ましい。好ましくは、溶媒は、極性溶媒およびNaClなどの塩、またはリン酸を含むことができる。極性移動相は、水素結合溶媒を含むことができる。水素結合溶媒は、例えば、ヒドロキシ、カルボキシ、またはアミン系溶媒となろう。一実施形態では、移動相の溶媒はアルコールを含む。好ましい実施形態によれば、移動相の溶媒はメタノールであり、より好ましい実施形態によれば、極性移動相はメタノールとリン酸の混合物を含む。好ましい実施形態によれば、メタノール−リン酸移動相は、1mMから少なくとも約20mM、好ましくは約10mMのリン酸を含む。極性移動相は、定組成、すなわち一濃度とすることができ、または1%から99%の勾配とすることもできる。
【0021】
任意の適当な分析技術、例えば時間の関数として溶出した物質の紫外可視化によって、またはTLCの使用によって画分を回収し分析する。次に、抗微生物活性を有する画分を同定する。1組の条件がわかると、次いで、それが活性画分または化合物の回収に関する標準になり得る。例えば、1組の条件下におけるカラムの保持時間は、同じ植物からの精製した活性画分または化合物のさらなる単離の指針である。
【0022】
単離した画分、ならびにこれらの画分から単離および精製した化合物を、抗微生物活性について試験する。抗微生物活性を有する画分および化合物は、以下に時々「活性」であると称する。
【0023】
例えば、抗微生物活性は、抽出した物質、精製および単離した画分、または単離および精製した化合物、またはその組成物を微生物と接触させ、その微生物の感受性を調べることによって実証することができる。微生物は、任意の微生物、例えば細菌、真菌、または原生動物とすることができる。好ましくは、微生物は細菌である。より好ましくは、エシェリキア属またはマイコバクテリウム属由来である。さらにより好ましくは、マイコバクテリウム属が病原細菌、すなわちヒト、動物または鳥類に対して病原性である。最も好ましくは、細菌がヒト型結核菌である。
【0024】
当業者は、当技術分野で周知の標準アッセイにより、どのようにして感受性を調べるかを知っているはずである。当業者は、適切な負および正の対照を含めて、どのようにしてアッセイを実施して、アッセイの結果を確実に意味があるものにするか知っているはずである。選択するアッセイは、感受性について試験する生物によって決まる可能性がある。マイコバクテリアアッセイ(これは他の微生物を試験するために、当業者によって容易に変えることができる)の例として、上掲の非特許文献12を参照できる。例えば、最も一般に、使用する試験方法は、ディスク拡散法および液体希釈法である。ディスク拡散法の場合、試験中の抽出物を含浸させた紙のディスクを、マイコバクテリアを播種した半固体(寒天系)培地上に置く。培養後、ディスク周囲の細菌増殖が抑制された領域を測定する。液体希釈法の場合、播種した液体培地中に抽出物の希釈系列を含む一連のチューブを用いて、細菌増殖を抑制するのに必要な最小濃度(最小阻止濃度、MIC)を決定する。
【0025】
高スループットのスクリーニングには、自動化できる迅速な方法が知られている。非特許文献23にその総説がある。例えば、14C−パルミチン酸を含む培地中で培養したヒト型結核菌からの14CO2の発生を測定することにより、BACTEシステム(Becton−Dickinson、Oxford、英国)の基準が形成された。BACTEシステムは、臨床分離菌の感受性試験に使用されており、従来の方法では3〜4週間かかるのと比べて、数日で結果を得ることができる。非特許文献24では、M.アウルム中への放射標識したウラシルの吸収を測定することに基づいたアッセイが開発されている。
【0026】
マイコバクテリア生存度を細菌またはホタルルシフェラーゼのいずれかを用いて決定するアッセイが開発された。細菌酵素は、還元型フラビン(生きたマイコバクテリアによって生成される)を用いて加えられたアルデヒド基質(デカナール)を酸化し、それは490nmにおける光の生成を伴う。ホタルルシフェラーゼは、マイコバクテリアによって生成されるATPに依存してルシフェリンを脱炭酸し、その結果562nmにおける光が生成される。光の生成は、高スループットシステムのルミノメータを用いて容易に測定することができる。ヒト型結核菌を含む数種のマイコバクテリアが、バクテリアルシフェラーゼの産生に関する遺伝子を挿入することにより遺伝子操作されている。デカナールを加えたときに生きた桿菌だけが光を放出し、増殖に対する要求条件はなく、したがって感受性試験を迅速に行うことができる。同様に、ホタルルシフェラーゼに関する遺伝子は、M.アウルム.Id.を含むいくつかのマイコバクテリア種に組み込まれている。
【0027】
比色法は、マイクロタイタープレートで使用するのに適しており、分光光度計を用いて結果を容易に得ることができる。生きた細菌のジメチルチアゾールジフェニルテトラゾリウムをホルマザンに還元する能力に依存する、鳥型結核菌群に対する試験のアッセイとして報告されている(非特許文献25参照。)。別の類似の方法では、生きたヒト型結核菌が存在すると色が青からピンクに変化する酸化還元染色液アラマーブルーを利用している(非特許文献26参照。)。
【0028】
ヒト大食細胞内でヒト型結核菌を抑制するのに、植物化合物の能力を評価することは役立つかもしれない。これは、非特許文献27の方法によって行うことができる。
【0029】
当業者には、「単離した純粋な」画分、1種または複数の化合物は、ある種の他の物質を常に伴うことが理解されよう。本明細書では、「単離した純粋な」画分、1種または複数の化合物は、出発物質(本明細書では植物組織)中のその重量、または体積、または重量/体積に対して、重量、または体積、または重量/体積で少なくとも100、好ましくは150、200、300、400、500、600、700、800、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、もしくは10000倍以上豊富な画分、1種または複数の化合物を意味する。あるいは、当業者は、「単離した純粋な」を純度の点から表してもよい。もしそうならば、本発明の活性画分、1種または複数の化合物は、出発物質(本明細書では植物組織)に対して、少なくとも70%、好ましくは、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、あるいはそれ以上純粋である。
【0030】
最初に、エタノールを用いてマミーアップル、ゼニゴケ、およびハナマキ組織を別々に抽出し、抽出物には、大腸菌およびスメグマ菌に対して活性があることが判明した。ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)による分析ならびに得られたプロフィールと既知の化合物のプロフィールとの比較によって、抽出物中の大きな組の化合物が明らかになった。例えば、既知の化合物は、そのプロフィールをデータベース中の既知のプロフィールと比較することにより、この方法によって同定することができる。1つの好ましいこのようなデータベースは、米国ワシントンにある国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology)から入手可能な129K NIST Mass Spectroscopy Libraryと称される分子クラッキングパターンのライブラリである。同じ組の抽出物および分析(抗微生物活性およびGC/MS)を追加の植物物質で行い、ただし抽出溶媒を塩化メチレンとした場合、抗微生物活性抽出物中で同定された化合物の数は少なかった(それぞれがしたがってより純粋である)。最も興味深いことには、活性化合物が両方の抽出物中に存在していたにもかかわらず、エタノールおよび塩化メチレン抽出物中の化合物の間でほとんど重複していなかったことである(またいくつかの植物ではまったく重複していなかった)。これについては、表2〜4を参照できる。これは、各植物においてたった1種または極少数の化合物が抗微生物活性を引き起こしいること、および2種以上の化合物の場合、2つの異なる抽出システムで同時精製していることから、活性化合物の溶解性が非常によく似ていることを示すものであった。
【0031】
マミーアップル、ゼニゴケ、またはハナマキ由来の塩素メチレン抽出物をHPLCシステムで分離した。活性画分を同定した。次に活性化合物を同定した。マミーアップル由来の化合物には、コバルトセン−オクタメチル、スチグマスタン−3,5−ジエン、およびフリーデリンが含まれる。さらに、分画前の抽出物中の化合物の化学的性質を考慮すると、1種または複数のα−カリオフィレン、β−カリオフィレン、カリオフィレンオキシド、シクロドデカン、酢酸、およびテルペンも極微量(すなわち、本明細書に記載の条件下でのGC/MSでは検出不可能)存在するかもしれないことが示唆される。
【0032】
ゼニゴケ由来の化合物には、酢酸、コバルトセン−オクタメチル、およびβ−ミルセンが含まれる。さらに、分画前の抽出物中の化合物の化学的性質を考慮すると、ヘキサデカン酸も極微量存在するかもしれないことが示唆される。
【0033】
ハナマキ由来の化合物には、ガロキソリド、サリチル酸ベンジル、ユーカリプトール、およびα−ピネンが含まれる。さらに、分画前の抽出物中の化合物の化学的性質を考慮すると、1種もしくは複数の3−シクロヘキサン−1−メタノール、カンフェン、1,4−シクロプロパ−アズレン、またはフィトールも極微量存在するかもしれないことが示唆される。
【0034】
本発明の別の態様によれば、医薬担体およびコバルトセン−オクタメチルまたはスチグマスタン−3,5−ジエンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む医薬組成物を提供する。好ましい実施形態によれば、この医薬組成物は、コバルトセン−オクタメチル、スチグマスタン−3,5−ジエン、およびフリーデリンを含む。この医薬組成物はさらに、α−カリオフィレン、β−カリオフィレン、カリオフィレンオキシド、フリーデリン、シクロドデカン、酢酸、およびテルペンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことができる。
【0035】
本発明の別の態様によれば、医薬担体ならびにガロキソリド、サリチル酸ベンジル、ユーカリプトール、およびα−ピネンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む医薬組成物を提供する。好ましい実施形態によれば、この組成物は、ガロキソリド、サリチル酸ベンジル、ユーカリプトール、およびα−ピネンを含む。この医薬組成物はさらに、3−シクロヘキサン−1−メタノール、カンフェン、1,4−シクロプロパ−アズレン、およびフィトールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことができる。
【0036】
医薬組成物には、医薬として許容される塩および担体を含んでいてよい。 医薬として許容される塩の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸などの鉱酸、ならびに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、およびアリールスルホン酸などの有機酸から誘導されたものがある。アリールスルホン酸の例は、p−トルエンスルホン酸である。例えば、化合物または画分のカルボキシル基は、当業者に既知の塩、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩、またはアンモニウム塩に変換することができる。本発明はさらに、上記の化合物(または化合物もしくは画分)および医薬として許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0037】
一般に、上記のような本発明の化合物または画分は、医薬組成物として、病原微生物、例えばマイコバクテリウムに感染している、または感染していると疑われている個体に投与することになる。化学療法を受けている、または受けようとしている人は、化合物もしくは画分を用いて個別に、または適宜他の治療と併せて治療することができる。治療適用する場合、病原微生物の増殖の限界を引き出すのに十分な量で組成物を患者に投与する。これを達成するのに十分な量は、「治療有効投与量」と定義する。治療または予防的使用に有効な量は、例えば、治療している疾患の段階および重症度、患者の年齢、体重、および一般的な容態、ならびに処方する医師の判断によって決まることになる。投与サイズも、選択する化合物または画分、投与方法、投与のタイミングおよび頻度ならびに特定の化合物または画分の投与に伴う可能性のある任意の副作用の存在、性質、および程度ならびに所望の生理学的効果によって決定されることになる。様々な疾患状態は、おそらくはそれぞれまたは種々の投与ラウンドで、本発明の一連の異なる化合物または画分を用いて、複数回投与を伴う長期治療を必要とするかもしれないことが当業者には理解されよう。
【0038】
適当な投与量および投与計画は、当業者に既知の従来の範囲検出技術によって決定することができる。一般に、治療は、化合物または画分の最適投与量よりも少ない、より少ない投与量で開始する。その後、その状況下における最適の効果に達するまで、小さな増分で投与量を増大する。本発明の方法は、個体の体重1kg当り1種または複数の化合物または画分について約0.1μgから約50mgの投与を含んでいてよい。70kgの患者では、病原体の増殖制限または抑制を測定することによって決定されるような患者の生理学的応答に応じて、化合物または画分について約10μgから約200mgの投与量がより一般に使用されるであろう。
【0039】
本発明の化合物または画分および組成物は、生死にかかわる、または生死にかかわる可能性がある状況を含む多くの疾患状態で使用できることを留意しておく必要がある。多少の、もしくは実質的に過剰な化合物または画分を投与することが可能であり、また治療している医師にとって望ましく感じられるかもしれない。化合物もしくは画分の1回または複数回投与は、治療している医師によって選択される投与レベルおよびパターンで行うことができる。
【0040】
治療用の医薬組成物は、非経口、局所(topical)、経口または部分(local)投与を目的としており、一般に医薬として許容される担体および病原微生物の増殖を抑制するのに十分な量の有効成分を含む。担体は、従来使用されているもののどれでもよく、溶解性および化合物または画分との反応性の欠如など物理化学的検討材料、ならびに投与ルートによってのみ制限される。
【0041】
医薬として許容される担体(または賦形剤)は、化合物、画分または活性化合物に対して化学的に不活性なもの、および使用条件下で有害な副作用または毒性がないものであることが好ましい。こうした医薬として許容される担体は、生理食塩水(例えば、生理食塩水0.9%)、クレモホールEL(Sigma Chemical Co.、米国ミズーリ州St.Louisから入手可能なヒマシ油およびエチレンオキシドの誘導体である)(例えば、クレモホールEL5%/エタノール5%/生理食塩水90%、クレモホールEL10%/生理食塩水90%、またはクレモホールEL50%/エタノール50%)、プロピレングリコール(例えば、プロピレングリコール40%/エタノール10%/水50%)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400 40%/生理食塩水60%)、およびアルコール(例えば、t−ブタノール40%/水60%)を含むことが好ましい。好ましい医薬担体は、PEG 400などのポリエチレングリコール、特にPEG 400 40%および水または生理食塩水60%を含む組成物である。担体の選択は、選択する特定の化合物または画分、ならびに組成物を投与するのに使用する特定の方法によってある程度決定されるはずである。したがって、本発明の医薬組成物の適当な製剤は多種多様にある。
【0042】
以下の経口、エアロゾル、非経口、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、直腸、および膣投与用の製剤は、単に例示的なものに過ぎず、決して限定するものではない。医薬組成物は、非経口的に、例えば静脈内、動脈内、皮下、皮内、または筋肉内に投与することができる。したがって、本発明は、水性および非水性、等張性無菌注射液を含めた、非経口投与に適した許容される担体中に溶解または懸濁させた化合物もしくは画分の液剤を含む非経口投与用の組成物を提供する。
【0043】
概して、非経口組成物用の有効な医薬担体に対する要求は、当業者によく知られている。これについては、非特許文献28および非特許文献29を参照できる。こうした組成物は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を対象とするレシピエントの血液と等張にする溶質を含有する液剤;ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含むことができる水性および非水性の無菌懸濁剤を含む。該化合物または画分は、医薬的に受け入れることのできる石鹸または洗浄剤などの界面活性剤、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくはカルボキシメチルセルロースなどの懸濁化剤、または乳濁化剤および他の医薬補助剤を加えて、あるいは加えずに、無菌の液体または液体の混合物などの医薬担体中の生理学的に許容される希釈剤に溶かして投与することができ、該希釈剤としては、水、生理食塩水、水性デキストロースおよび関連する糖液、エタノール、イソプロパノール、もしくはヘキサデシルアルコールなどのアルコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコール、ジメチルスルホキシド、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールなどのグリセロールケタール、ポリ(エチレングリコール)400などのエーテル、油剤、脂肪酸、脂肪酸エステルもしくはグリセリド、またはアセチル化脂肪酸グリセリドを含む。
【0044】
非経口製剤に有用な油剤には、石油、動物油、植物脂、および合成油がある。こうした製剤に有用な油剤の具体的な例には、ピーナッツ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ワセリン、および鉱油がある。非経口製剤に使用する適当な脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸、およびイソステアリン酸がある。オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルは、適当な脂肪酸エステルの例である。
【0045】
非経口製剤に使用する適当な石鹸には、脂肪アルカリ金属塩、アンモニウム塩、およびトリエタノールアミン塩があり、適当な清浄剤には、(a)例えばジアルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、およびアルキルピリジニウムハロゲン化物などの陽イオン性清浄剤、(b)例えばアルキル、アリール、およびオレフィンスルホン酸塩、アルキル、オレフィン、エーテル、およびモノグリセリド硫酸塩、ならびにスルホコハク酸塩などの陰イオン性清浄剤、(c)例えば脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリオキシエチレンポリプロピレンコポリマーなどの非イオン性清浄剤、(d)例えばアルキル−β−アミノプロピオン酸塩、および2−アルキル−イミダゾリン第四級アンモニウム塩などの両性清浄剤、ならびに(e)それらの混合物がある。
【0046】
非経口製剤は通常、溶液中に有効成分または化合物もしくは画分を、約0.5重量%以下の値から約25重量%以上の値までの範囲で含むはずである。防腐剤および緩衝剤を使用してもよい。注射部位で刺激を最小化または排除するために、こうした組成物は、1種または複数の親水性−新油性バランス(HLB)が約12から約17の非イオン性界面活性剤を含んでいてよい。こうした製剤中の界面活性剤の量は典型的には、約5重量%から約15重量%であろう。適切な界面活性剤には、モノオレイン酸ソルビタンなどのポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびプロピレンオキシドとプロピレングリコールの縮合によって形成した疎水性基剤を含んだエチレンオキシドの高分子量付加物が含まれる。非経口製剤は、アンプル剤、バイアルなどの1回分または多数回分の密封容器で提供することができ、注射するのに、使用直前に無菌の液状賦形剤、例えば水の添加しか必要としないフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵することができる。即時注射液および懸濁剤は、無菌の散剤、顆粒剤、および錠剤から調製することができる。
【0047】
経皮薬物放出に有用なものを含む局所製剤は、当業者によく知られており、本発明において皮膚に適用するのに適している。
【0048】
経口投与に適した製剤は、(a)水、生理食塩水、もしくはオレンジジュースなどの希釈剤中に溶解させた有効量の化合物または画分などの溶液、(b)、それぞれが所定量の化合物または画分を固体または顆粒として含むカプセル剤、サッシェ、錠剤、トローチ剤(lozenges)、および口内錠(troches)、(c)散剤、(d)適切な液体中の懸濁剤、および(e)適当な乳剤で構成することができる。液体製剤は、医薬として許容される界面活性剤、懸濁化剤、もしくは乳濁化剤を追加して、または追加しないで、水ならびにアルコール、例えばエタノール、ベンジルアルコール、およびポリエチレンアルコールなどの希釈剤を含んでもよい。カプセル剤形態は、例えば界面活性剤、滑剤、ならびにラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、およびコーンスターチなどの不活性充填剤を含む、通常の硬殻または軟殻ゼラチンタイプとすることができる。錠剤形態は、1種または複数のラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、微結晶性セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、防腐剤、着香料、および薬理学的に適合する賦形剤を含むことができる。トローチ剤形態は、香料、通常スクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴム中に有効成分を含むことができ、同様にゼラチンおよびグリセリンなどの不活性基剤、またはスクロースおよびアラビアゴム、乳剤、ゲル剤などの中に化合物または画分を含み、化合物または画分に加えて、当技術分野で既知の賦形剤を含んだ香錠とすることもできる。
【0049】
本発明の化合物もしくは画分は、単独でまたは他の適当な成分と併せて、エアロゾル製剤にして吸入によって投与することができる。化合物または画分は、界面活性剤および噴射剤と共に微粉砕した形態で供給することが好ましい。活性化合物または画分の典型的なパーセント値は、約0.01重量%から約20重量%、好ましくは約1重量%から約10重量%であってよい。界面活性剤は、もちろん、非毒性であるべきであり、噴射剤中に溶解することが好ましい。こうした界面活性剤を代表するものは、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレステリン酸(olesteric acid)およびオレイン酸などの6から22個の炭素原子を含む脂肪酸と、脂肪族多価アルコールまたはその環状酸無水物によって得られるエステルまたは部分エステルである。混合グリセリドまたは天然グリセリドなどの混合エステルを使用してもよい。界面活性剤は、組成物の約0.1%から約20重量%、好ましくは約0.25%から約5%を構成してもよい。組成物の残りは通常、噴射剤である。所望のように、担体、例えば鼻腔内送達用のレシチンを含めることもできる。これらのエアロゾル製剤は、ジクロロフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容される加圧噴射剤中に入れることができる。これらはまた、ネビュライザーまたはアトマイザー中などの非加圧製剤用の医薬として調製してもよい。こうしたスプレー製剤は、粘膜に噴霧するのに使用してもよい。
【0050】
さらに、化合物もしくは画分は、乳化性基剤または水溶性基剤などの様々な基剤と一緒に混合することによって坐剤にすることができる。膣投与に適した製剤は、有効成分に加えて、当技術分野で適切だということで知られている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、パスタ剤、発泡体、またはスプレー剤として提供することができる。
【0051】
製剤中の本発明の化合物または画分の濃度は、例えば、重量で約1%未満、通常または少なくとも約10%から、20%から50%あるいはそれ以上まで変動してもよく、選択する特定の投与方法によって、主に流体体積、および粘度によって選択してもよい。
【0052】
したがって、静脈内注入のための典型的な医薬組成物は、無菌リンゲル液250ml、および化合物または画分100mgを含有するように構成することができる。非経口的に投与可能な化合物または画分を調製する実際の方法は、当業者に既知または明らかであり非特許文献30参照に、より詳細に記載されている。
【0053】
上記の医薬組成物に加えて、本発明の方法の化合物または画分は、シクロデキストリン包接錯体などの包接錯体、またはリポソームとして調製できることが当業者によって理解されよう。リポソームは、標的であるリンパ組織または癌性肝細胞などの特定の組織に化合物もしくは画分を送る働きをすることができる。リポソームは、化合物または画分の半減期を増大させるのに使用することもできる。リポソームを調製するために、たとえば、非特許文献31および特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4に記載されているような多くの方法が利用できる。
【0054】
本発明の別の態様によれば、担体ならびにコバルトセン−オクタメチル、スチグマスタン−3,5−ジエン、ガロキソリド、サリチル酸ベンジル、ユーカリプトール、およびα−ピネンの中から選択される少なくとも1種の化合物を含む組成物を投与することを含む、マイコバクテリウムの増殖を抑制する方法を提供する。本組成物は、貯蔵用に適切に調製され、清浄剤として使用することになっている。したがって、本組成物は、上記に挙げた化学物質の化学活性を妨害しない清浄剤をさらに含んでもよい。このような清浄液の調製および一般的な清浄剤の包含は、理論化学的考慮事項を与えられた当業者によって容易に行うことができ、該液剤の安定性および有効性は、当業者によって容易に試験することができる。この試験は、抗微生物アッセイなどの生物学的アッセイを含むだろう。このような清浄液の調製および組成もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0055】
清浄液は、少なくともマイコバクテリアまたは大腸菌(E.coli)に対して活性である。以下は、活性化合物、活性画分、ならびに本発明の方法によって抑制されるマイコバクテリアおよび亜群の一覧である。マイコバクテリウム群もしくはマイコバクテリウム菌群またはマイコバクテリウム種、最も好ましくはヒト型結核菌(MTB)群、鳥型結核菌群、MAIS菌群およびM.フォーチュイタム菌群などのマイコバクテリウム菌群、ならびに特定および不特定の光発色菌、非光発色菌、暗発色菌、特にM.アフリカヌム、M.アジアティクム、鳥型結核菌、ウシ型結核菌、ウシ型結核菌(BCG)、M.ブチリクム、M.ケローネ、M.デュバリ、M.フラベッセンス、M.フォーチュイタム、M.ガストリ、M.ゴルドネ、M.ヘモフィルム、バテー杆菌、M.カンサシ、らい菌、鼠らい菌、M.リンダ、M.ルフ、M.マリヌム、M.マルモエンセ、M.ミクロティ、M.ムコスクム、M.ノンクロモジェニカム、パラ結核菌、M.ペレグリヌム、チモテ菌、M.ロドクラウス、M.スクロフラセウム、M.シモイデイ、M.シミエ、スメグマ菌、M.シュルガイ、M.テラエ、M.サーモレジスタブル、M.トリビアーレ、ヒト型結核菌、M.ウルセランス、M.バッカエ、M.ゼノピ、およびその血清型を含む、迅速発育および遅発育(すなわち、標準な実験室条件での平均発生時間が60分未満)マイコバクテリアが抑制される。M.カンサシ、M.マリヌム、M.シミエおよびM.アジアティクムは、光発色菌の例である。M.スクロフラセウム、M.シュルガイ、M.ゼノピ、M.ゴルドネおよびM.フラベッセンスは、暗発色菌の例である。鳥型結核菌、バテー杆菌、M.ガストリ、M.マルモエンセ、M.テラエおよびM.トリビアーレは、すべて非光発色菌の例である。M.アフリカヌム、鳥型結核菌、ウシ型結核菌、M.ヘモフィルム、バテー杆菌、M.カンサシ、M.マルモエンセ、M.マリヌム、M.ミクロティ、パラ結核菌、M.スクロフラセウム、M.シミエ、M.シュルガイ、ヒト型結核菌、およびM.ゼノピは、すべて遅発育(7日より多く要する)マイコバクテリア種の例である。M.ケロネイ、M.フラベッセンス、M.フォーチュイタム、M.ゴルドネ、らい菌、チモテ菌、スメグマ菌、M.テラエ、M.ウルセランスは、すべて迅速発育(プレート上でコロニー発生に7日未満を要する)マイコバクテリア種の例である。ヒト型結核菌、M.アフリカヌム、ウシ型結核菌、ウシ型結核菌(BCG)、およびM.ミクロティは、MTB菌群に属している。鳥型結核菌およびバテー杆菌は、鳥型結核菌群に属している。鳥型結核菌には少なくとも3種の異なる血清群があり、バテー杆菌には25種以上の血清型がある。
【0056】
このように全般的に説明した本発明は、以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されよう。これらの実施例は、例示する目的で提供されており、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0057】
この実施例は、マミーアップル、ハナマキ、およびゼニゴケのエタノール性植物抽出物は著しい抗マイコバクテリア活性を有するが、エビに対して制限された毒性を有し、また哺乳動物に対して検出可能な毒性を有していないことを示す。
【0058】
50の植物種由来の植物の葉約3ポンド(1.4kg)を42℃でオーブン乾燥し、混合機で粉砕した。粉砕した物質30グラムを無水エタノール(Spectrum Products laboratory、米国カリフォルニア州Garden)300ml中で室温で24〜36時間振盪することによって抽出した。次いで液体を、ワットマン紙#4、次いで#2(VRW Scientific Laboratory、米国オハイオ州Willard)でろ過し、Buchi/Beckmanロータリーエバポレータ(VRW Scientific Laboratory、米国オハイオ州Willard)で40℃で蒸発させた。試験用に、物質を所望の濃度でメタノール中に再懸濁した。
【0059】
各抽出物の活性をスメグマ菌607(ATCC、米国メリーランド州Rockville)について試験した。寒天−ディスク拡散アッセイを、他の植物由来の抽出物、ならびに対照としてのストレプトマイシン10μg、水およびメタノールのアッセイと並行して行った(非特許文献32参照)。各抽出物濃縮物および対照の複数平板培養を行い、抑制結果の領域を表にし平均をとった。試験した他の植物抽出物の中で、マミーアップル、ハナマキ、およびゼニゴケはスメグマ菌に対して、再懸濁させた抽出物をそれぞれ少なくとも25μg、25μg、および50μg試験したとき、測定可能で再現可能な抑制領域を示し、最も活性であることが判明した(上掲の非特許文献18参照)。
【0060】
BACTEC−460法によって、抽出物の活性をヒト型結核菌27294(ストレプトマイシン感受性株、ATCC、米国メリーランド州Rockville)についても試験した。この方法では、試験バイアルから吸引した14CO2の測定によって、試験物質または対照の存在下で液体培養で増殖させた培養物の増殖の抑制をモニターする。この結果を、負の対照培養物(培地に添加された水)に対する試験培養物の増殖速度または増殖指数(GI)の毎日の変化として示す(上掲の非特許文献18および非特許文献33参照)。培養物約4.1mlを12日目まで増殖させ、GIを4日目から始めて毎日調べた。この場合も追加の植物抽出物、およびストレプトマイシン(最終濃度50μg/ml)、水、未処理の試料、およびメタノール(4.1mlの体積中に25μlおよび50μl)を対照として使用し、各増殖培養を3〜6回繰り返した結果の平均をとった。植物抽出物の影響は、一過性の性質をもち、すなわち、数日後、処理への耐性が再び現れた。これは、マミーアップル、ハナマキ、およびゼニゴケ抽出物は、静菌(殺菌ではなく)モードの作用をもつことを示唆している。このアッセイによって、ヒト型結核菌は、マミーアップル、ハナマキおよびゼニゴケに対してそれぞれ抽出物50μg、50μg、および100μgで感受性を示した。マミーアップル植物抽出物に対するスメグマ菌の感受性は、ストレプトマイシンに対する感受性とほぼ同等であった。表1を参照すれば、各抽出物濃度についての3〜6回の読みの結果を表にし、負の対照の増殖指数指標(ΔGI)が>30であったことがわかる。
【0061】
【表1】

【0062】
したがって、2種の異なるアッセイシステムにより、マミーアップル、ハナマキ、およびゼニゴケ由来の植物抽出物はそれぞれ、2種の異なるマイコバクテリア種に対して著しい活性を有することを示した。
【実施例2】
【0063】
マミーアップル、ハナマキ、またはゼニゴケの植物抽出物に関連する哺乳動物への著しい毒性がないことを示す。
【0064】
CF−1非近交系マウス(50日齢のオス、平均重量30グラム)SASCO、Charles River Laboratories(米国マサチューセッツ州Wilmington)7匹のグループを、15日間にわたって、毎日100μlの注射として、メタノール中に再懸濁させた植物抽出物500μgを各グループに腹膜投与することにより試験した。試験した植物抽出物には、マミーアップル、ハナマキ、およびゼニゴケが含まれていた。生理食塩水(100μl)または生理食塩水とメタノールの混合物(それぞれ50μl)を与えたマウスの2つのグループを対照として使用した。
【0065】
マウスを1カ月間観察したままにし、以下のパラメーター、すなわち活性の変化、糞の硬さ、毛の状態、皮膚の損傷、眼の変化、食欲(水および食物の摂取)、体重減少、温度変化および死亡率を毎日測定した。
【0066】
一般に、本研究に含まれている植物に由来する6種すべての抽出物は、マウス毒性試験でよく許容された。ゼニゴケ抽出物を接種した1匹のマウスは、接種中の腸の穿孔によって引き起こされた敗血症が原因で13日目に死亡した。ハナマキを注射した別のマウスは、3日連続して食欲不振および体重減少を経験した後、15日目に死亡した。このマウスが死んでいるのを発見した翌日に行った検死の結果、不審死であることがわかった。
【0067】
体重1グラム当り植物抽出物約16.7μgに曝露したマウスは、植物抽出物の毒作用を示さなかったと結論付けられる。
【実施例3】
【0068】
この実施例は、抗マイコバクテリア抽出物を代替抽出溶媒によって得ることができ、塩化メチレン抽出がより純粋な活性画分をもたらすことを示す。
【0069】
マミーアップル、ゼニゴケ、およびハナマキから活性化合物を精製する可能性を示唆するかもしれない予備段階で、代替有機溶媒を用いた抽出を始めた。代替有機溶媒を用いた抽出によって抗マイコバクテリア活性をもつ抽出物を得ることができるならば、活性成分が純粋な画分として単離できる単一化合物または化合物の極小のグループである可能性が増大するだろう。試験した代替溶媒は、塩化メチレンである。
【0070】
粉末の葉組織約5グラムを室温で4時間無水塩化メチレン100ml中で振盪することによって抽出した。一般にエタノール抽出物を用いた試験について前述したように、寒天拡散アッセイによって抽出した物質を試験した。塩化メチレン抽出物は、スメグマ菌607(ATCC)に対して測定可能で再現可能な抗マイコバクテリア活性を示した。
【0071】
表2、3、および4はそれぞれ、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)分析によって決定したマミーアップル、ゼニゴケ、およびハナマキのエタノール抽出物と塩化メチレン抽出物中の主成分を並べて示す。エタノール抽出は、抽出した物質の重量によって示された可溶物質の保持についてより有効であった。出発物質の重量のパーセント値で、エタノール抽出では、マミーアップル、ゼニゴケ、およびハナマキがそれぞれ18.7%、1.6%、および24.2%得られたが、塩化メチレンでは、1.46%、0.26%、および0.73%得られた。さらに、表2〜4でGC/MSによって同定した化合物を並べて記載したことから観察できるように、塩化メチレン抽出物では化合物がより少ない。したがって、活性化合物は、塩化メチレン抽出によって単離した場合により純粋であると思われる。
【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【実施例4】
【0075】
この実施例は、マミーアップル、ゼニゴケ、およびハナマキ植物抽出物が増大した抗マイコバクテリア活性を有する画分に精製できることを示す。
【0076】
表2〜4から、エタノールおよび塩化メチレン画分は共通の化合物をほとんど含まないことが注目に値する。これは、活性化合物は、抽出物の少数の成分であり、全GC/MSを行う場合、容易に識別できないかもしれないことを示唆している。抗マイコバクテリア化合物をさらに少ない成分を含む画分に分離できる場合、新たなGC/MS分析にかけて本発明の各植物の活性化合物を同定することになるより大量の活性画分の単離が可能かもしれない。
【0077】
活性画分のHPLC分離および単離を試みた。高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を、長さ15cm、幅4.6mmのDiscovery RP−アミドC−16カラム(Supelco、米国ペンシルベニア州Bellefort)を用いて行った。定組成、すなわち定常濃度の極性溶媒相を使用した。溶媒相は、希リン酸のメタノール溶液からなっていた。流量は2ml/分であった。したがって、流出は分子量(より大きい分子量がより遅く流出する)および極性に依存する。化合物の極性がより強いと、溶媒中により早く溶解するが、より極性の強い化合物を保持するカラムの固定相中により長く保持される。画分をUVによって波長254nmでモニターした。示された時間に、植物抽出物当り1から3種の画分を回収した。表5に示すように、大腸菌およびスメグマ菌に対して強い活性を有する個々の画分が同定され、GC/MS分析ではこれらの画分中に存在する化合物を同定した。例えば、図1〜3を参照できる。全塩化メチレン抽出物中のそれぞれの植物に関して同定した化合物の相対極性および分子量の検討に基づき、表5の最も右側の列の化合物「追加の化合物」は、それぞれの植物の抽出物の活性画分では観察されないが、活性画分中により少ない量(「微量」)で存在している可能性が高く、抗マイコバクテリア活性に寄与するかもしれない化合物を記載している。
【0078】
今回、マイコバクテリア活性を有する植物抽出物の活性化合物として、活性な精製した画分および個々の化合物を単離、同定できることを示した。
【0079】
【表5】

【0080】
本明細書で引用した刊行物、特許出願、および特許を含めたすべての参考文献は、各参考文献が参照によって組み込まれるように単独で具体的に指示され、また本明細書にその全体が記載されている場合と同様の範囲まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
本発明の説明において(特に以下の特許請求の範囲において)、「a」および「an」および「the」および類似の対象の用語の使用は、特に本明細書に指示されていないまたは明らかに前後関係と矛盾しない限り、単数と複数の両方を包含すると解釈すべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、特に本明細書に指示されていない限り、また本明細書で個々に記載された場合と同様にそれぞれ別個の値が明細書に組み込まれない限り、単に範囲内に入るそれぞれ別個の値を個々に参照する略記法となるものである。数値を伴う場合の「約(about)」という表現は、表示した数値から10%以下の偏差を示すものと受け取るべきである。本明細書に記載したすべての方法は、特に本明細書に指示されていない、または明らかに前後関係と矛盾しない限り、任意の適当な順序で行うことができる。本明細書に含まれるありとあらゆる例、または例示的な用語(例えば、「など(such as)」)の使用は、特に特許請求しない限り、単に本発明をより明らかにするものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の用語は、特許請求していない任意の構成単語を本発明の実施に必須であると示すものとみなすべきでない。
【0082】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書に記載されており、発明者らが知っている本発明を実施するための最良の態様が含まれている。もちろん、これらの好ましい実施形態の変形形態は、以上の説明を読み込んだ後、当業者に明らかになるであろう。発明者らは、当業者がこうした変形形態を適宜使用することを期待し、発明者らは、特に本明細書に記載以外の方法で本発明が実施されることも意図している。したがって、本発明は、準拠法によって許可されような、ここに追加されている特許請求の範囲に記載の主題のすべての変更形態および同等の形態を含む。さらに、そのすべての可能な変形形態の上記要素の任意の組合せは、特に本明細書に指示されていない限り、または明らかに前後関係と矛盾しない限り、本発明によって包含される。
本明細書に記載の発明につき列記する。
1.
医薬担体と、コバルトセン−オクタメチルおよびスチグマスタン−3,5−ジエンからなる群から選択される少なくとも1種の単離または精製した形態の化合物を含むことを特徴とする医薬組成物。
2.
前記化合物が、コバルトセン−オクタメチルであることを特徴とする1.に記載の医薬組成物。
3.
前記化合物が、スチグマスタン−3,5−ジエンであることを特徴とする1.に記載の医薬組成物。
4.
コバルトセン−オクタメチル、スチグマスタン−3,5−ジエン、およびフリーデリンを含むことを特徴とする1.に記載の医薬組成物。
5.
α−カリオフィレン、β−カリオフィレン、カリオフィレンオキシド、フリーデリン、シクロドデカン、酢酸、およびテルペンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含むことを特徴とする1.に記載の医薬組成物。
6.
テルペンまたは酢酸をさらに含むことを特徴とする2.に記載の医薬組成物。
7.
前記テルペンが、β−ミルセンであることを特徴とする6.に記載の医薬組成物。
8.
ヘキサデカン酸をさらに含むことを特徴とする6.に記載の医薬組成物。
9.
医薬担体と、ガロキソリド、サリチル酸ベンジル、ユーカリプトール、およびα−ピネンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを含むことを特徴とする医薬組成物。
10.
ガロキソリド、サリチル酸ベンジル、ユーカリプトール、およびα−ピネンを含むことを特徴とする9.に記載の医薬組成物。
11.
3−シクロヘキサン−1−メタノール、カンフェン、1,4−シクロプロパ−アズレン、およびフィトールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含むことを特徴とする9.に記載の医薬組成物。
12.
前記化合物が、ガロキソリドであることを特徴とする9.に記載の医薬組成物。
13.
前記化合物が、サリチル酸ベンジルであることを特徴とする9.に記載の医薬組成物。
14.
前記化合物が、α−ピネンであることを特徴とする9.に記載の医薬組成物。
15.
前記化合物が、ユーカリプトールであることを特徴とする9.に記載の医薬組成物。
16.
抗微生物活性を有する組成物を調製する方法であって、
有機溶媒中に植物物質を抽出すること、
抽出した物質をクロマトグラフ分離システムに接触させること、および
極性移動相を用いてクロマトグラフ分離システムから溶出して組成物を得ることを含み、
前記植物物質はマミーアップル、ゼニゴケ、またはハナマキ由来であり、前記組成物は抗微生物活性を有することを特徴とする方法。
17.
前記植物が、マミーアップルであることを特徴とする16.に記載の方法。
18.
前記植物が、ゼニゴケであることを特徴とする16.に記載の方法。
19.
前記植物が、ハナマキであることを特徴とする16.に記載の方法。
20.
前記組成物は、コバルトセン−オクタメチル、またはスチグマスタン−3,5−ジエンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする17.に記載の方法。
21.
前記組成物が、α−カリオフィレン、β−カリオフィレン、およびカリオフィレンオキシドを含むことを特徴とする18.に記載の方法。
22.
前記組成物が、ガロキソリド、サリチル酸ベンジル、またはα−ピネンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする19.に記載の方法。
23.
前記有機溶媒が、塩化メチレンであることを特徴とする16.に記載の方法。
24.
前記抗微生物活性が、マイコバクテリウムに対するものであることを特徴とする
16.に記載の方法。
25.
前記マイコバクテリウムが、鳥型結核菌、ウシ型結核菌、バテー杆菌、M.カンサシ、らい菌、M.マリヌム、チモテ菌、M.スクロフラセウム、スメグマ菌、M.フォーチュイタム、ヒト型結核菌、またはM.ウルセランスであることを特徴とする24.に記載の方法。
26.
マイコバクテリウムの増殖を抑制する方法であって、担体と、コバルトセン−オクタメチル、スチグマスタン−3,5−ジエン、ガロキソリド、サリチル酸ベンジル、ユーカリプトール、およびα−ピネンの中から選択される少なくとも1種の化合物とを含む組成物を投与することを含むことを特徴とする方法。
27.
前記マイコバクテリウムが、鳥型結核菌、ウシ型結核菌、バテー杆菌、M.カンサシ、らい菌、M.マリヌム、チモテ菌、M.スクロフラセウム、スメグマ菌、M.フォーチュイタム、ヒト型結核菌、またはM.ウルセランスであることを特徴とする26.に記載の方法。
28.
前記マイコバクテリウムは哺乳動物中に存在し、前記哺乳動物はヒトまたはウシであることを特徴とする26.に記載の方法。
29.
前記組成物が、経口投与されることを特徴とする28.に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬担体と、コバルトセン−オクタメチルおよびスチグマスタン−3,5−ジエンからなる群から選択される少なくとも1種の単離または精製した形態の化合物とを含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
前記化合物が、コバルトセン−オクタメチルであることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記化合物が、スチグマスタン−3,5−ジエンであることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
コバルトセン−オクタメチル、スチグマスタン−3,5−ジエン、およびフリーデリンを含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
α−カリオフィレン、β−カリオフィレン、カリオフィレンオキシド、フリーデリン、シクロドデカンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
ヘキサデカン酸およびβ−ミルセンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ヘキサデカン酸およびβ−ミルセンをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を含むことを特徴とする抗菌剤。
【請求項9】
前記コバルトセン−オクタメチルが、コバルトセン1,1',2,2',3,3',4,4'−オクタメチルであることを特徴とする請求項1,2または4に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−280619(P2009−280619A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201940(P2009−201940)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【分割の表示】特願2003−559532(P2003−559532)の分割
【原出願日】平成13年12月28日(2001.12.28)
【出願人】(504248724)インターアメリカン ユニヴァーシティ オブ プエルト リコ (1)
【Fターム(参考)】