説明

抗菌物質としてのプレウロムチリン誘導体

【課題】新規化合物、それらの製造法、それらを含む医薬組成物の提供。
【解決手段】14位のグリコール酸エステル部分がR(CHX(CHCHCOOで置換されている式(IA):式中、nおよびmの各々は独立して0、1または2;Xは−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−CO・O−、−NH−、−CONH−、−NHCONH−および結合から選択され;Rはビニルまたはエチル;Rは1個または2個の塩基性窒素原子を含み、環炭素原子を介して結合した非芳香族単環式もしくは二環式基;RはHまたはOHを意味する;あるいは(IA)の14位のR(CHX(CHCHCOO部分はRC=CHCOOで置換されているプレウロムチリンの誘導体またはその医薬上許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規化合物、それらの製造法、それらを含む医薬組成物およびそれらの医療、特に抗菌剤療法における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
式(A)の化合物、プレウロムチリン(Pleuromutilin)は抗マイコプラズマ活性と、穏やかな抗菌活性を有する天然の抗生物質である。その14位のグリコール酸エステル部分をR−X−CH2CO2−(ここに、Rは脂肪族または芳香族基、XはO、SまたはNR’)で置き換えると、その抗菌活性が向上することが示されている(非特許文献1)。獣医用抗生物質として使用されている式(B)の化合物、チアムリン(Tiamulin)は、この種の誘導体である(非特許文献2)。
【0003】
【化1】

【0004】
本明細書においては、文献(非特許文献2)で一般的に使用されている非慣用的ナンバリング系を使用する。
特許文献1(スミスクライン・ビーチャム)は、アシルオキシ基のさらなる修飾を記載し、ムチリンまたは19,20−ジヒドロムチリンの14−O−カルバモイル誘導体を開示しており、該カルバモイル基のN原子は、非置換、モノ−またはジ−置換されている。
特許文献2(スミスクライン・ビーチャム、国際公開日1998年4月9日)は、病原性生物による鼻咽腔の転移増殖に伴う細菌感染の処置用、特に、再発性副鼻腔炎および再発性中耳炎の予防処置用、とりわけ鼻咽腔への投与に適した新規スプレーまたはクリーム処方の局所抗菌剤ムピロシン(mupirocin)の使用を開示している。さらに、Nsouli(非特許文献3)は副鼻腔炎の発作の減少にムピロシンの0.2%水溶液の使用を含む臨床研究を記載している。
【特許文献1】WO97/25309
【特許文献2】WO98/14189
【非特許文献1】H. EggerおよびH. Reinshagen, J. Antibiotics, 1976, 29, 9223
【非特許文献2】G. Hogenauer, Antibiotics, Vol. V, part 1, ed. F. E. Hahn, Springer-Verlag, 1979, p.344
【非特許文献3】Annals of Allergy, Asthuma and Immunology, January 1996, 76 (1), 117
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らはさらに新規なプレウロムチリン誘導体が改善された抗菌特性を有することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かくして、本発明は、一般式(IA)または(IB):
【化2】

【0007】
【化3】

【0008】
[式中、
nおよびmの各々は、独立して0、1または2;
Xは、−O−、−S−、−S(O)−、−SO2−、−CO・O−、−NH−、−CONH−、−NHCONH−および結合から選択され;
はビニルまたはエチル;
は、1個または2個の塩基性窒素原子を含み、環炭素原子を介して結合した非芳香族単環式もしくは二環式基;
は、HまたはOHを意味する;あるいは
(IA)または(IB)の14位のR(CHX(CHCHCOO基はRC=CHCOO(ここに、RおよびRの一方は水素で他方はRまたはRおよびRが一緒になってRを形成する)で置換されている]
で示される化合物またはその製薬上許容される塩を提供する。
【0009】
が単環式基の場合、典型的には4〜8個の環原子を含み、二環式基の場合、典型的には各環に5〜10個の環原子を含み、所望により炭素上に3個までの置換基を有する。適当な置換基には、アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルケニルオキシが包含され、その各々は橋頭炭素原子または非橋頭炭素原子のいずれかによって担持されていてよい。また、窒素原子または各窒素原子は酸素で置換され、N−オキシドを形成してもよく、あるいはモノまたはジアルキルで置換されていてもよく、このような場合、4級カチオンを形成してもよい。対イオンはクロライドまたはブロマイドのようなハライド、好ましくはクロライドとすることができる。アザ環系はさらに1個またはそれ以上の二重結合を有してもよい。
の代表的な単環式または二環式基には、ピペリジニル、ピロリジル、キヌクリジニル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アザビシクロ[4,3,0]ノニル、アザビシクロ[3.2.1]オクチル、アザビシクロ[3,3,0]オクチル、アザビシクロ[2.2.2]オクチル、アザビシクロ[3.2.1]オクテニル、アザビシクロ[3.3.1]ノニルおよびアザビシクロ[4.4.0]デシルが包含され、いずれも置換されていても、非置換でもよい。Rの好ましい例としてはキヌクリジニルが挙げられる。
がヒドロキシの式(IA)の化合物は、このヒドロキシを有する炭素原子において(2S)立体配置を有する。
好ましくは、nは0である。好ましくは、mは0または1である。
好ましい化合物は式(IA)の化合物である。
【0010】
本明細書で用いるアルキルおよびアルケニル基なる語は、6個までの炭素原子を有する分枝または直鎖の基で、所望により、アリール、ヘテロサイクリル、(C1−6)アルコキシ、(C1−6)アルキルチオ、アリール(C1−6)アルコキシ、アリール(C1−6)アルキルチオ、アミノ、モノ−およびジ−(C1−6)アルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、カルボキシおよびそのエステル、カルボキシのアミド、ウレイド、カルバミミドイル(アミジノ)、グアニジノ、アルキル−スルホニル、アミノ−スルホニル(C1−6)アシルオキシ、(C1−6)アシルアミノ、アジド、ヒドロキシおよびハロゲンからなる群から選ばれる1個以上の基で置換されていてもよい。
本明細書におけるシクロアルキルおよびシクロアルケニル基には、3〜8個の環炭素原子を有する基が包含され、所望によりアルキルおよびアルケニル基について上記したと同様に置換されていてもよい。
【0011】
本明細書で用いる「アリール」なる語は、各環に、好適には、4〜7個、好ましくは5または6個の環原子を有する単環式または縮合環式基を意味し、各環は、例えば、3個までの置換基で置換されていてもよい。縮合環系は、脂肪族環を含んでよく、ただ1個の芳香族環を含むことを必要とする。代表的なアリール基としては、フェニルおよび1−ナフチルまたは2−ナフチルのようなナフチルが挙げられる。
フェニルおよびナフチルを含む好適なアリールは、所望により5個まで、好ましくは3個までの置換基により置換されていてもよい。適当な置換基には、ハロゲン、(C1−6)アルキル、アリール、アリール(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、(C1−6)アルコキシ(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、アリール(C1−6)アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アジド、アミノ、モノ−およびジ−N−(C1−6)アルキルアミノ、アシルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アシロキシ、カルボキシ、カルボキシ塩、カルボキシエステル、カルバモイル、モノ−およびジ−N−(C1−6)アルキルカルバモイル、(C1−6)アルコキシカルボニル、アリールオキシカルモニル、ウレイド、グアニジノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、(C1−6)アルキルチオ、(C1−6)アルキルスルフィニル、(C1−6)アルキルスルホニル、ヘテロサイクリルおよびヘテロサイクリル(C1−6)アルキルが包含される。また、2個の隣接する炭素原子が(C3−5)アルキレン鎖によって連結されて炭素環を形成してもよい。
【0012】
本明細書にて用いる「ヘテロサイクリル」および「複素環」なる語は、特に断らないかぎり、好ましくは、芳香族および非芳香族単環式および縮合環式を包含し、好ましくは、各環に4個までの酸素、窒素および硫黄から選ばれるヘテロ原子を含み、非置換でも、例えば、3個までの置換基で置換されていてもよい。各複素環は4〜7個、好ましくは5または6個の環原子を有する。縮合複素環系は炭素環を含んでもよく、ただ1個の複素環を必要とする。
好ましい複素環基の置換基は、ハロゲン、(C1−6)アルキル、アリール(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、(C1−6)アルコキシ(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ、アミノ、モノ−およびジ−N−(C1−6)アルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキシ、カルボキシ塩、カルボキシエステル、カルバモイル、モノ−およびジ−N−(C1−6)アルキルカルボニル、アリールオキシカルボニル、(C1−6)アルコキシカルボニル(C1−6)アルキル、アリール、オキシ基、ウレイド、グアニジノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、(C1−6)アルキルチオ、(C1−6)アルキルスルフィニル、(C1−6)アルキルスルホニル、ヘテロサイクリルおよびヘテロサイクリル(C1−6)アルキルから選択される。
【0013】
置換基の結合位置により、2個以上のジアステレオマーが存在しうる。この場合、本発明は個々のジアステレオマーおよびその混合物を包含する。
本発明の好ましい化合物には、
ムチリン14−(キヌクリジン−4−イルスルファニル)アセテート、
ムチリン14−(キヌクリジン−4−イルメチルスルファニル)アセテート、
ムチリン14−(1−メチルピペリド−4−イルスルファニル)アセテートおよび
ムチルン14−(exo−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルスルファニル)アセテート
が包含される。
【0014】
本発明の化合物は、結晶形でも非結晶形でもよく、結晶の場合は、所望により、溶媒和、特に水和されていてもよい。本発明の範囲には、化学量論量の水和物および種々の量の水を含む化合物が包含される。
本発明の化合物は、好適には、実質的に純粋な形、例えば、少なくとも50%純度、適当には少なくとも60%純度、有利には少なくとも75%純度、好ましくは少なくとも85%純度、より好ましくは少なくとも95%純度、特に少なくとも98%純度(いずれの%もw/w%である)で提供される。
本発明の化合物は、遊離塩基または酸付加塩の形であってよい。カルボキシ置換基を有する化合物は双性イオンまたはアルカリ金属塩(カルボキシ基の)の形であってよい。製薬上許容される塩が好ましい。
製薬上許容される酸付加塩には、Berge、BighleyおよびMonkhouse (J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19)に記載される塩が包含される。好適な塩には、塩酸塩、リンゴ酸塩およびメタンスルホン酸塩、特に、塩酸塩が包含される。
本発明の化合物は、入手可能な出発物質から、当該分野でよく知られた合成法を採用することにより容易に製造できる。
したがって、第1の態様において、本発明は、式(IIA)または(IIB):
【0015】
【化4】

【0016】
[式中、
Yは水素または脱離可能なヒドロキシ保護基;
1AおよびR3Aは式(IA)および(IB)おけるRおよびRと同意義またはRおよびRに変換可能な基を意味する]
で示される化合物と、式(III):
【0017】
2A−(CH−X−(CH−CHCO
【0018】
[式中、R2Aは式(IA)および(IB)におけるRと同意義またはRに変換可能な基を意味する]
で示されるカルボン酸の活性誘導体とをエステル形成条件下で反応させ、要すれば、あるいは所望により、Yを水素に変換し、R1A、R2AおよびR3AをR、RおよびRに変換し、および/またはR、RまたはR基の1つを他のR、RまたはR基に変換することを特徴とする式(I)の化合物の製造法を提供する。
【0019】
エステル形成の常法は文献、例えば、Comprehensive Organic Functional Group Transformations, Vol. 5, ed. C. J. Moody, p. 123-130, Elsevier Scientific, Oxford, 1995に記載されている。アシル化剤として使用する活性誘導体は、例えば、酸クロライド、酸ブロマイド、混酸無水物またはN−アシルイミダゾールとすることができる。好ましい薬剤は酸クロライドである。このようなアシル化剤を形成する一般的な方法は化学文献に記載されている(I. O. Sutherland, Comprehensive Organic Chemistry, Vol. 2, ed. I. O. Sutherland, pages 875-883 (Pergamon Press, Oxford, 1979)およびそこに引用されている文献参照)。
エステル形成反応は、有機塩基、無機塩基または酸の存在下に行うことができる。有機塩基には、ピリジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミンおよびN,N−ジメチルアニリンが包含される。無機塩基には、水素化ナトリウム、水素化リチウム、炭酸カリウム、リチウムヘキサメチルジシラザイドおよびナトリウムヘキサメチルジシラザイドが包含される。酸には、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸および硫酸が包含される。反応を塩基の存在下で行なう場合、所望により、反応混合物に4−ジメチルアミノピリジンまたは4−ピロリジノピリジンのようなアシル化触媒(G. HofleおよびW. Steglich, Synthesis, 1972, 612)を添加してもよい。エステル形成反応用の溶媒には、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタンおよびクロロホルムが包含される。好ましい溶媒はテトラヒドロフランである。
【0020】
本発明における14−ヒドロキシのアシル化の有用な方法は、以下のものの使用である。高温(例、100℃〜120℃)でのN,N−ジメチルホルムアミド中酸クロライド;有機塩基(例、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、ジイソプロピルエチルアミン)または無機塩基(例、ナトリウムまたはリチウムヘキサメチルジシラジド)の存在下の酸クロライド;ジシクロヘキシルカルボジイミドとアシル化触媒(例、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン)の存在下のカルボン酸;ムチリン14−クロロホルメート誘導体と、カルボン酸、3級塩基(例、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン)およびアシル化触媒(例、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン)。
1A、R2AまたはR3A基のR1、R2またはR3基への変換は、典型的には、上記のカップリング反応または以下に記載する反応体の調製の間に保護基が必要な場合に起きる。R1、R2またはR3基の相互変換は、典型的には、式(IA)/(IB)の化合物を他の式(IA)/(IB)の化合物の中間体前駆体として使用する場合、または合成工程の最後により複雑または反応性の置換基を導入することが容易な場合に起きる。
好ましくは、Yはアシル基のようなヒドロキシ保護基であり、例えば、−OYがトリフルオロアセチルまたはジクロロアセチルとなる。R3もヒドロキシとする場合、R3Aも好ましくはアシルオキシ、例えば、アセチルまたはジクロロアセチルである。11および2位のヒドロキシ基(OYおよびR3A基としての)は、例えば、0℃においてテトラヒドロフラン中のジクロロ酢酸無水物およびピリジンまたはテトラヒドロフラン中のN−トリフルオロアセチルイミダゾールを用いて保護できる。式(III)の酸の誘導体との反応が完了した後、保護アシル基は加水分解、例えば、MeOH中NaOHを用いて脱離でき、ヒドロキシ基を復元できる。
式(IIA)または(IIB)の化合物との反応に先立ち、酸化合物(III)の置換基も保護が必要でありえ、例えば、N原子をアルコキシカルボニル、例えば、t−ブトキシカルボニルで保護する。
適当なヒドロキシ、カルボキシおよびアミノ基保護基は、当該分野でよく知られており、常法により分子の他の部分を乱すことなく脱離できる。ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノ基を保護する方法および得られた保護誘導体を解裂する方法の包括的な検討は、例えば、"Protective Groups in Organic chemistry"(T. W. Greene, Wiley-Interscience, New York, 2nd edition, 1991)に記載されている。特に適当なヒドロキシ保護基には、例えば、トリアルキルシリルのようなトリオルガノシリルおよび、例えば、アセチル、アリルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニルおよび4−ニトロベンジルオキシカルボニルのようなオルガノカルボニルおよびオルガノオキシカルボニルが包含される。特に適当なカルボキシ保護基にはアルキルおよびアリール基、例えば、メチル、エチルおよびフェニルが包含される。特に適当なアミノ基保護基にはアルコキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニルおよび4−ニトロベンジルオキシカルボニルが包含される。
【0021】
1Aは典型的にはR基ビニルであり、これはビニル基を水素添加してエチル基を形成させることにより、もう一方のR基エチルに変換できる。典型的には、酢酸エチル、エタノール、ジオキサンまたはテトラヒドロフランのような溶媒中、パラジウム触媒(例、10%パラジウム−炭素)上で水素添加する。
3Aは、典型的には水素またはアシルオキシのような保護ヒドロキシである。カップリング反応の後、例えば、MeOH中NaOHを用いて加水分解して保護基を脱離させることにより、ヒドロキシ基を復元できる。
別法として、Rが水素の式(IA)の化合物は、式(IIC):
【0022】
【化5】

【0023】
[式中、R1Aは式(IIA)および(IIB)と同意義である]
で示される化合物と、式(III)の酸の活性誘導体をエステル形成条件下で反応させ、ついで、生成物を酸で処理し、必要により、または所望によりR1AまたはR2A基をRまたはR基へ、および/またはRまたはR基を他のRまたはR基へ変換することにより製造できる。
上記の酸処理は式(IIC)のエピ−ムチリン配置を式(IIA)の通常のムチリン核ヘ変換する。典型的には、この変換は、ジオキサン中、濃塩酸またはLukas試薬(ZnCl飽和濃塩酸)で処理することにより行う。
式(IIA)および(IIB)と同様、R2Aは典型的にはR基ビニルであり、これは、ビニル基を水素添加してエチル基を形成させることによりもう一方のR基エチルに変換できる。また、同様に、反応に先立ち酸化合物の誘導体(III)における置換基も保護する必要がありうえ、例えば、N原子をt−ブトキシカルボニルで保護する。
式(IIA)および(IIB)の中間体(Y=アセチルのような)を使用する場合、塩基に影響され易い保護基はY基の脱保護と同時に都合よく脱離できる。式(IIC)の中間体を使用する場合、酸に影響され易い保護基は、エピ−ムチリン配置を本発明の化合物の所望の配置へ変換する酸処理と同時に都合よく脱離できる。
式(IIA)、(IIB)および(IIC)の化合物は式(IV)および(V)の化合物から製造できる。
【0024】
【化6】

【0025】
式(IV)の適当な化合物には、11−O−アシルムチリン誘導体、例えば、ムチリン11−アセテート(A. J. Birch, C. W. Holzapfel, R. W. Richards, Tetrahedron (Suppl.), 1966, 8, Part II, 359)またはムチリン11−ジクロロアセテートまたはムチリン11−トリフルオロアセテートを包含する。式(V)は、(3R)−3−デオクソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オクソ−4−エピ−ムチリン(H. Berner, G. SchulzおよびH. Scheider, Tetrahedron, 1980, 36, 1808)である。
式(IV)および(V)の化合物は、各々、R1Aがビニル、R3Aが水素(化合物IIA)の式(IIA)および(IIC)の化合物に効果的である。これらは水素添加により、R1Aがエチルの対応する化合物に変換できる。典型的には、酢酸エチル、エタノール、ジオキサンまたはテトラヒドロフランのような溶媒中、パラジウム触媒(例えば、10%パラジウム−炭素)上での水素添加による。
R3Aがヒドロキシの式(IIA)の化合物は、式(IV)の化合物から、まず、2−ヒドロキシメチレンムチリンを製造することにより得ることができる。A. J. Birch, C. W. Holzapfelおよび R. W. Rickards (Tet. (Suppl.), 1996 8, Part III 359)の記載に基づく方法を用い、トルエンおよびギ酸メチル中、式(IV)の化合物をナトリウムメトキシドで処理し、アルゴン下で撹拌する。生成物は、所望の2−ヒドロキシメチレン化合物と、11位(OYがOHの場合)および/または14位がホルメートによって置換された対応する化合物の混合物である。このホルメート基は、所望によりメタノール中、水酸化カリウムで処理することにより除去できる。
しかし、生成物混合物は、H. Berner, G. SchulzおよびG. Fisher, Monatsh. Chem., 1981, 112, 1441に記載される方法を用いて2−ジアゾムチリン誘導体の製造に直接使用してもよい。例えば、2−ヒドロキシメチレンムチリンおよびホルメート誘導体のジクロロメタン溶液をアルゴン下、−10℃でトシルアジドおよびトリエチルアミンと反応させる。上記のごとくしてホルメート基を除去して2−アジドムチリンを得、これをカルボン酸と反応させると、R3Aが保護ヒドロキシ基の式(IIA)の化合物である2−アシルオキシムチリンを効率よく得ることができる。好適には、ジクロロ酢酸と反応させて2−ジクロロアセトキシムチリンを得、好ましくは、式(III)の酸の誘導体とカップリング後に、これを上記のようにして脱保護して2−OHを得る。この反応により(2S)−2−ヒドロキシ誘導体が製造される。
式(IIB)の化合物は、1,2−ジデヒドロムチリンであるか、それからOYおよびR1Aを上記のように処理して得ることができる。1,2−ジデヒドロムチリンはG. Schulzおよび H. Berner, Tetrahedron, 1984, 40, 905に記載される方法を用いて製造できる。
上記したムチリン核に対する修飾はまた、R3Aが水素の式(IIA)および(IIC)の化合物(すなわち、ムチリンおよびエピ−ムチリンに基づく)と式(III)の酸の活性誘導体のカップリング後にも行うことができる。
他の態様において、本発明は、式(VIA)または(VIB):
【0026】
【化7】

【0027】
[式中
Yは水素または脱離可能なヒドロキシ保護基;
1AおよびR3Aは、式(IA)および(IB)におけるRおよびRと同意義またはRおよびRに変換できる基;
nは式(IA)および(IB)におけると同意義;
は脱離基またはOHまたはNHを意味する]
で示される化合物を、式(VII):
【0028】
2A−(CH−XH
(VII)
【0029】
[式中、
2Aは式(IA)および(IB)におけるRと同意義またはRに変換できる基;
Xおよびmは式(IA)および(IB)におけると同意義である]
で示される化合物または式(VII)の酸の反応性誘導体(XがCO・Oの場合)と、以下に記載する方法の1つで反応させ、必要により、または所望により、Yを水素に変換し、R1A、R2AまたはR3A基をR、RまたはR基へ変換し、および/またはR、RまたはR基を他のR、RまたはR基へ変換することを特徴とするXがO、S、NH、CO・OまたはCONHの本発明の化合物の製造法を提供する。
化合物(IIA/B/C)から出発する上記した方法と同様に、好ましくはYは、例えば、−OYがトリフルオロアセチルまたはジクロロアセチルとなるようなアシル基のごときヒドロキシ保護基である。また、Rがヒドロキシ基の場合も、R3Aは、好ましくはアシルオキシ、例えば、アセチルまたはジクロロアセチルである。
式(VIA)または(VIB)との反応に先立ち、式(VII)の化合物の置換基を保護することも必要であり得る。例えば、N原子をアルコキシカルボニル、例えば、t−ブトキシカルボニルで保護する。
適当なヒドロキシ、カルボキシおよびアミノ保護基は当該分野でよく知られており、上記で検討した。
1Aは典型的にはR基ビニルであり、これはビニル基を水素添加してエチル基を形成することによりもう一方のR基エチルに変換できる。典型的には、酢酸エチル、エタノール、ジオキサンまたはテトラヒドロフランのような溶媒中、パラジウム触媒(例、10%パラジウム−炭素)上で水素添加する。
R3Aは典型的には水素またはアシルオキシのような保護ヒドロキシ基である。カップリング反応後、例えば、MeOH中、NaOHを用いる加水分解により保護アシル基を脱離してヒドロキシ基を復元できる。
【0030】
基R(CHCHCO・O−を化合物R2A−(CH−XHとカップリングさせる方法は、つぎのとおりである。
(a)Rが4−MeCSOO、MeSOO、FCSOO、BrまたはCl、XがO、SまたはNHの場合:
(i)X=Oの場合、式(V1A/B)の化合物との反応に先立ち、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランのような非ヒドロキシル性溶媒中、式R−(CH−OHのアルコールを、水素化ナトリウム、水素化リチウム、ナトリウムヘキサメチルジシラジドまたはリチウムヘキサメチルジシラジドのような無機塩基と反応させてアルコキシドに変換する。
(ii)X=Sの場合、式R−(CH−SHのチオールを、2−プロパノール、エタノール、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランのような溶媒中、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムヘキサメチルジシラジドまたはリチウムヘキサメチルジシラジドのような無機塩基の存在下で式(VIA/B)の化合物と反応させることができる。
(iii)X=NHの場合、式R−(CH−NHのアミンを、所望により炭酸カリウム、ピリジン、N,N−ジ−(イソプロピル)エチルアミンまたはトリエチルアミンのような塩基の存在下、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランのような溶媒中、式(VIA/B)の化合物と反応させることができる。
(b)XがCONHの場合、Rがアミノの式(VIA/B)の化合物を、化学文献に記載されているアミド形成の一般的方法の一つを用いて式R2A−(CH−COHの化合物またはそれから誘導されるアシル化剤と反応させることができる。アミド形成の一般的方法は、B. C. ChallisおよびJ. A. ChallisのComprehensive Organic Chemistry, Vol. 2, ed. I O Sutherland, pages 959-964 (Pergamon Press, Oxford, 1979)に記載されている。
(c)XがCO・Oの場合、Rがヒドロキシの式(VIA/B)の化合物を、化学文献に記載されている一般的方法の一つを用いて式RA−(CH−COHの化合物から誘導されるアシル化剤と反応させることができる。例えば、該酸を塩化オキサリルで処理し、DMFのような適当な溶媒中でR=ヒドロキシと反応させる。
別法として、上記反応は、式(VIC):
【0031】
【化8】

【0032】
[式中、YおよびR1Aは、式(IIA)および(IIB)におけると同意義;Rは式(VIA)および(VIB)と同意義である]
で示される化合物と、式(VII)の化合物を上記(a)、(b)または(c)の方法によって反応させ、づいで生成物を酸で処理し、必要により、または所望によりR1AまたはR2A基をRまたはR基に変換し、および/またはRまたはR基を他のRまたはR基に変換することにより行うことができる。
上記のごとく、該酸処理は、式(VIC)のエピ−ムチリン配置を式(VIA)の通常のムチリン核に変換するものである。典型的には、この変換はジオキサン中、濃塩酸またはLukas試薬(ZnCl飽和濃塩酸)で処理することにより行う。
式(VIA)および(VIB)におけるように、R1Aは典型的にはR基ビニルで、これはビニル基の水素添加によるエチル基形成によって、もう一方のR基に変換できる。また、反応に先立ち、式(VII)の化合物の置換基を保護する必要がありうる。例えば、N原子をアルコキシカルボンニル、例えば、t−ブトキシカルボニルで保護する。
式(VIA)、(VIB)および(VIC)の化合物は、常法により対応する式(IIA)、(IIB)および(IIC)を反応させて、ヒドロキシまたはアミンまたは脱離基で置換されたアシル基を導入することにより製造できる。
プレウロムチリンまたは19,20−ジヒドロプレウロムチリン(n=0)から出発するクロライドおよびトシレートの製造については、K. RiedlのJ. Antibiotics, 1976, 29, 132;トシレートおよびメシレートについては、H. EggerおよびH. ReinshagenのJ. Antibiotics, 1976, 29, 915を参照のこと。また、RLがクロロまたはブロモの化合物は、Br(CH(CH)COOClまたはCl(CH(CH)COOClを上記式(IV)および(V)の化合物と反応させることにより製造できる。n=0の場合、Rがヒドロキシの化合物はプレウロムチリンおよび19,20−ジヒドロプレウロムチリンである。RがNHの化合物は、Rが脱離基の化合物から、例えば、トシレートをナトリウムアジドで処理し、ついでトリフェニルホスフィンおよび塩基で処理することにより製造できる。
【0033】
XがS(O)またはSOの式(IA)の化合物は、X=Sの対応する化合物を製造し、これを酸化剤、例えば、クロロホルム中、3−クロロパーオキシ安息香酸またはテトラヒドロフランおよびt−ブタノール中、触媒量の三酸化オスミウム+N−メチルモルホリンN−オキシドで処理することにより得ることができる。
式(VIA/B/C)の化合物と、(VII)化合物とを置換基を逆にして、すなわち、14−ムチリン置換基として−CH(CHXHおよびR2A−(CH−残基上のRとして反応を行うことも可能である。例えば、2−プロパノール、エタノール、メタノールまたはテトラヒドロフランのような溶媒中、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたは水素化ナトリウムのような無機塩基の存在下、22−デオキシ−22−スルファニルプレウロムチリン(米国特許4130709号)を式R2A−(CH−R(ここに、Rは4−MeCSOO、MeSOO、CFSOOまたはClのような脱離基)と反応させることができる。
式(III)および(VII)の化合物は商業的に入手可能か、商業的に入手可能な化合物または文献に記載されている化合物から常法により形成することができる。上記方法において、中間体が新規化合物である場合は、それらも本発明の範囲のものである。
【0034】
本発明の化合物はキラル中心を有しており、上記方法の生成物はジアステレオマーの混合物または単一のジアステレオマーを含みうる。単一のジアステレオマーは、ラセミ体の出発物質を用いて合成したジアステレオマーの混合物を分離するか、光学的に純粋な出発物質を用いて合成することにより製造できる。
本発明の化合物は結晶形または非結晶形で存在しえ、結晶形の場合、所望により水和物または溶媒和物であってもよい。本発明の化合物の幾つかを有機溶媒から結晶または再結晶させる場合、結晶溶媒が結晶性生成物に存在してよい。そのような溶媒和物も本発明範囲のものである。同様に、本発明の化合物の幾つかは、水を含む溶媒から結晶または再結晶させることができる。そのような場合、水和水が結晶性生成物に存在しうる。化学量論量の水和物および凍結乾燥のような方法によって製造される種々の量の水を含む化合物も本発明範囲のものである。
本発明の方法で得られた化合物は、好適には実質的に純粋な形、例えば、少なくとも50%純度、適当には少なくとも60%純度、有利には少なくとも75%純度、好ましくは少なくとも85%純度、より好ましくは少なくとも95%純度、特に、少なくとも98%純度(%はいずれもw/wとして計算する)に仕上げる。本発明の化合物の純粋でない、または純度の低い形のものは、例えば、製剤用に適した同じまたは関連する化合物(例えば、対応する誘導体)のより純粋な形のものの製造に使用できる。
【0035】
本発明の化合物の製薬上許容される塩および誘導体も本発明範囲のものである。置換基の1つが酸性または塩基性基を有する場合、造塩が可能でありうる。塩は、通常の方法による塩交換によっても製造できる。
酸付加塩は製薬上許容されるものも、許容されないものもある。後者の場合、そのような塩は、本発明の化合物の単離および精製に、または中間体として結うようであり、後に製薬上許容される塩または遊離塩基に変換される。製薬上許容される酸付加塩には、Berge, BighleyおよびMonkhous, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19に記載されるものが包含される。適当な塩には、塩酸塩、リンゴ酸塩およびメタンスルホン酸塩、特に塩酸塩が包含される。
本発明の化合物が遊離カルボキシ基を含む場合、双性イオンを形成できる。
【0036】
本発明の化合物およびその製薬上許容される塩または誘導体は抗菌活性を有し、それ故、治療、特に、ヒトを含む動物、とりわけヒトおよび家畜(牧畜動物を含む)の細菌感染症の治療に使用される。本発明の化合物は、例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus epidermidis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガカクティア(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ニウモニア(Streptococcus pneumoniae)、ヘモフィラス・エス・ピー(Haemophilus sp.)、ナイセリア・エス・ピー(Neisseria sp.)、レジオネラ・エス・ピー(Legionella sp.)、クラミジア・エス・ピー(Chlamydia sp.)、モラキセラ・カタラリス(Moraxella catarrhalis)、マイコプラズマ・ニウモニア(Mycoplasma pneumoniae)およびマイコプラズマ・ガリセプチカム(Mycoplasma gallisepticum)のようなグラム陽性菌、グラム陰性菌およびマイコプラズマによって起こる感染症の治療に使用できる。
【0037】
また、本発明は、必要とする患者に本発明の化合物またはその製薬上許容される塩、誘導体または溶媒和物あるいは本発明の組成物を投与することを特徴とする動物、特にヒトおよび家畜の微生物感染症の治療方法も提供する。
本発明はさらに、微生物感染症の治療用の医薬の製造における本発明の化合物またはその製薬上許容される塩、誘導体または溶媒和物の使用も提供するものである。
本発明の化合物は、局所適用により皮膚および軟組織感染およびアクネの治療に使用できる。したがって、本発明のさらなる態様は、ヒトにおける皮膚および軟組織感染症の治療およびアクネの治療用の局所投与用医薬の製造における本発明の化合物またはその製薬上許容される塩、誘導体または溶媒和物の使用も提供する。
【0038】
また、本発明の化合物は、本発明の化合物を鼻咽腔に投与することにより、特にそこに留まるエス・アウレウス(S. aureus)、エイチ・インフルエンザ(H. influenzae)、エス・ニウモニア(S. pneumonia)およびエム・カタラリス(M.catarrahlis)のような病原細菌の鼻保菌の除去または減少にも使用できる。したがって、さらなる態様において、本発明は、病原性性生物の鼻保菌の除去または減少のために鼻腔投与用の医薬の製造における本発明の化合物またはその製薬上許容される塩、誘導体または溶媒和物の使用を提供する。好ましくは、該薬剤は、鼻咽腔、特に前鼻咽腔へ集中したデリバリーに使用される。
鼻保菌の除去または減少は、ヒトにおける再発性急性細菌性副鼻腔炎または再発性中耳炎の予防、特に、所定の期間にわたって患者が経験する症状の発現の回数を減らし、または症状の発現の間の時間的間隔を減らすために有用である。したがって、さらなる態様において、本発明は、再発性急性細菌性副鼻腔炎または再発性中耳炎の予防のために鼻腔投与用の医薬の製造における本発明の化合物またはその製薬上許容される塩、誘導体または溶媒和物の使用を提供する。
また、本発明の化合物は慢性副鼻腔炎の治療にも有用である。したがって、さらなる態様において、本発明は慢性副鼻腔炎治療用の医薬の製造における本発明の化合物またはその製薬上許容される塩、誘導体または溶媒和物の使用を提供する。
本発明の化合物は、1日の用量1.0〜50mg/kg体重で患者に投与するのに適している。ヒト成人(約体重70kg)に対しては、50〜3000mg、例えば、約1500mgの本発明の化合物を毎日投与できる。好適にはヒト成人の1日当りの用量は5〜20mg/kgである。しかし、通常の臨床プラクティスに従って、これより高いまたは低い用量でもよい。
【0039】
再発性中耳炎または再発性急性細菌性副鼻腔炎の予防の間に抵抗性の生物の発生を促す危険性を少なくするため、該薬剤は連続的よりも断続的に投与することが好ましい。再発性中耳炎または再発性副鼻腔炎の予防用の適当な断続的療法においては、薬剤物質を短い日数、例えば、2〜10日間、適当には3〜8日間、さらに適当には約5日間、毎日投与し、ついで、間隔をあけて、例えば、数ヶ月の期間、例えば、6ヶ月までの期間にわたって1ヶ月ベースで、投与を繰り返す。あまり好ましくはないが、薬剤物質を、毎日長期にわたって、例えば、数ヶ月連続的に投与してもよい。再発性中耳炎および再発性副鼻腔炎の予防のため、好適には、薬剤物質は1日1回または2回投与する。好適には、薬剤物質は、再発性中耳炎や再発性副鼻腔炎が蔓延する経口にある冬季の月に投与する。薬剤物質は各鼻孔に1日1回または2回0.05〜1.00mg、典型的には約0.1〜0.2mgの用量で投与できる。
より一般的には、本発明の化合物および組成物は、他の抗生物質と同様に、ヒトまたは獣医用医薬用のいずれかの通常の方法で投与用に処方できる。
したがって、さらなる態様において、本発明は、本発明の化合物またはその製薬上許容される塩、誘導体または溶媒和物と、製薬上許容される担体またな賦形剤と合してなることを特徴とする医薬組成物を提供する。
【0040】
本発明の化合物および組成物は、いずれの経路での投与用にも処方でき、例えば、経口、局所または非経口用投与用に処方できる。例えば、組成物は錠剤、カプセル、粉末、顆粒、ロゼンジ、クリーム、シロップ、スプレーまたは液体製剤、例えば、経口用または滅菌して注射または点滴による非経口投与用に処方される溶液または懸濁液の形態とすることができる。
経口投与用の錠剤およびカプセルは単位投与形でよく、例えば、結合剤、例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントまたはポリピニルピロリドン;充填剤、例えば、乳糖、ショ糖、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;製錠滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えば、馬鈴薯澱粉;および製薬上許容される湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを包含する通常の賦形剤を含有することができる。錠剤は、通常の製剤プラクティスにおいてよく知られる方法に従って被覆されてもよい。
液体製剤は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエレキシルの形態とすることができ、また、使用前に水または他の適当なビヒクルで復元するための乾燥製品として提供してもよい。このような液体製剤は、例えば、沈殿防止剤、例えば、ソルビトール、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化食用油脂;乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアカシア;非水性ビヒクル(食用油脂を含む)、例えば、アーモンド油、油状エステル(例えば、グリセリン)、プロピレングリコールまたはエチルアルコール;保存料、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルまたはソルビン酸を包含する通常の添加剤を含有してよく、所望により、通常のフレーバーおよび着色料を含有することができる。
【0041】
本発明の局所投与用組成物は、例えば、軟膏、クリーム、ローション、眼軟膏、点眼剤、点耳剤、点鼻剤、含浸包帯およびエアゾルの形態とすることができ、例えば、保存料、薬剤製造を補助する溶媒および軟膏およびクリームにおけるエモリエント剤を包含する適当な通常の添加剤を含有することができる。このような典型的な処方はまた、例えば、クリームおよび軟膏ベース、ローション用のエタノールまたはオレイルアルコールおよびスプレー用の水性ベースのような適合する通常の担体を含むことができる。そのような担体は、処方の約1重量%〜約98重量%を構成してよく、通常、処方の約80重量%までを構成する。
本発明の局所投与用組成物は、上記に加え、例えば、ベタメサゾンのようなステロイド系抗炎症剤を含有してもよい。
本発明の組成物は坐薬としても処方でき、例えば、ココアバターまたは他のグリセライドのような通常の坐薬ベースを含有することができる。
【0042】
本発明の非経口投与用組成物は、都合よくは液体単位投与形とすることができ、本発明の化合物と、滅菌ビヒクル、好ましくは水を用いて製造できる。用いるビヒクルおよび濃度に応じて化合物をビヒクル中に懸濁または溶解できる。溶液の製造においては、化合物を注射用水に溶解し、適当なバイアルまたはアンプルに充填前に濾過滅菌し、ついで密封することができる。有利には、例えば、局所麻酔剤、保存料および緩衝剤を含む通常の添加剤をビヒクルに溶解できる。溶液の安定性を増強するため、組成物は、バイアルに充填後に凍結し、真空下で水を除去し、得られた凍結乾燥粉末をバイアル中に密封し、使用前に液を復元するために使用する付属の注射用水バイアルを供給することができる。非経口投与用懸濁液は、溶解の代わりに化合物をビヒクル懸濁すること、および滅菌を濾過でできないこと以外は実質的に同じ方法で製造できる。代わりに化合物は、滅菌ビヒクルに懸濁する前に、エチレンオキサイドに暴露して滅菌する。有利には、化合物の均一な分布を促進するためにそのような懸濁剤には界面活性剤または湿潤剤を含ませる。
【0043】
好適には、本発明の化合物および組成物は抗菌有効量で非経口投与される。
本発明の組成物は、投与方法に応じて、好適には、0.001重量%以上、好ましくは(スプレー組成物以外)10〜60重量%の本発明の化合物(組成物の全重量に基づいて)を含有できる。
本発明の組成物が、例えば、錠剤のような単位投与形の場合、各単位投与形は本発明の化合物を25〜1000mg、好ましくは50〜500mg含有する。
本発明の好ましい組成物は、鼻内投与、特に、鼻咽腔に到達させる投与用の組成物を包含する。このような組成物は、好ましくは、鼻咽腔に集中デリバリーされ、そこに滞在させるために使用される。本明細書で使用する「集中デリバリー」なる用語は、組成物が鼻孔内に留まるよりも、鼻咽腔に配達されることを意味する。鼻咽腔に「留まる」なる用語は、一旦鼻咽腔に配達された組成物が、多かれ少なかれ直ちに洗い流されるよりも、数時間の過程にわたって鼻咽腔内に残ることを意味する。好ましい組成物にはスプレー組成物およびクリームが包含される。代表的のスプレー組成物には水性組成物と、水分と接触すると組成物粘度が増加するように両親媒性剤を含む油性組成物とが包含される。クリームも使用でき、特に、鼻咽腔内で容易にクレームが広がることのできるレオロジーを有するクリームが使用できる。
【0044】
好ましい水性スプレー組成物には、水に加えて、さらに、塩、例えば、塩化ナトリウムのような張力調節剤;ベンザルコニウム塩のような保存料;ノニオン界面活性剤、例えば、ポリソルベートのような界面活性剤;リン酸二水素ナトリウムのような緩衝剤;を包含する賦形剤を低含量、典型的には1%以下含める。組成物のpHも、貯蔵中の薬剤物質の好適な安定性のため調整できる。本発明の化合物は、5〜6の範囲pH、好ましくは約5.3〜5.8、典型的には約5.5が至適である。
代表的な油性スプレーおよびクリーム組成物はWO98/14189(スミスクライン・ビーチャム)に記載されている。
【0045】
好適には、薬剤物質は鼻孔デリバリー用に、組成物の重量に基づき、0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の割合で組成物中に存在させる。適当な量には、組成物の重量に基づき、0.5〜1重量%(油性組成物およびクリーム)および0.01〜0.2重量%(水性組成物)が包含される。
好ましくは、水性スプレー組成物を用いる。そのような組成物はガンマシンチグラフィー研究において標的区域(鼻腔および鼻咽腔)において同様な保持を示すことが判明し、WO98/14189に記載されている油性組成物と比較すると、合成膜研究において優れた放出速度を有している。さらに、水性ベースは、官能性分析研究において油性ベースよりも好まれることが判明した。
本発明のスプレー組成物は鼻孔スプレーの分野でよく知られたスプレー装置、例えば、エアリフトポンプにより鼻腔にデリバリーできる。好ましい装置は、組成物の単位用量、好ましくは約100μlを提供できるように計量でき、所望により調節ノズルを付加して鼻に投与できるものである。
【実施例】
【0046】
以下の実施例は、本発明、特に、本発明の範囲内の具体的な化合物の調製を参照して上記の概略説明した調製操作を説明するものである。
プレウロムチリンアナログの命名に関する注意
実施例において、化合物(a)はIUPAC名では(1S,2R,3S,4S,6R,7R,8R,14R)−3,6−ジヒドロキシ−2,4,7,14−テトラメチル−4−ビニル−トリシクロ[5.4.3.01,8]テトラデカン−9−オンなる名称を有するが、慣用名はムチリンであり、H Berner, G SchulzおよびH SchneiderのTetrahedron, 1981, 37, 915-919による番号付けを用いる。
【0047】
【化9】

【0048】
同様に、化合物(b)はIUPAC名では(1R,2R,4S,6R,7R,8S,9R,14R)−6−ヒドロキシ−9−メトキシ−2,4,7,14−テトラメチル−4−ビニル−トリシクロ[5.4.3.01,8]テトラデカン−3−オンであるが、(3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピ−ムチリンと称す。
【0049】
【化10】

【0050】
実施例1−ムチリン14−(キヌクリジン−4−イル−スルファニル)アセテート
アルゴン雰囲気下、室温において、キニクリジン−4−チオール臭化水素塩(1.9g,0.009モル)(W. Eckhardt and E. A. Grob, Helvetica Chimica Acta (1974), 57(8)m 2339-2345)を、エタノール(50ml)中のナトリウムエトキシド(1.72g,0.0253モル)の撹拌溶液に添加した。混合物を10分間撹拌し、次いで、メチルエチルケトン(20ml)中のムチリン14−トルエンスルホニルオキシアセテート(K. Ridel, J. Antibiotics (1976), 29m 132-139)(6.23g,0.0117モル)の溶液を添加した。アルゴン雰囲気下で混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、減圧濃縮した。残渣をジクロロメタンおよび水間に分配させた。有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液(19:1:0.1)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して標記化合物を1.8gの固体として得た(40%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.75 (3H, d, J 6.7 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.25 (3H, s), 1.46 (3H, s), 1.68 (6H, t, J 7.6 Hz), 2.93 (6H, t, J 7.6 Hz), 3.18 (2H, ABq), 3.35 (1H, m), 5.19 (1H, dd, J 17.5 および ), 5.33 (1H, dd), 6.45 (1H, dd, J 17.4 および 11 Hz). MS (EI) m/z 504 (M+)
【0051】
実施例2−ムチリン14−(キヌクリジン−4−イル−スルファニル)−アセテート塩酸塩
ムチリン14−(キヌクリジン−4−イル−スルファニル)アセテート(1.0g)を最小体積のアセトンに溶解し、エーテル中HCl 1M溶液を添加した。不均質混合物を減圧濃縮した。残渣をエーテル(20ml)および1M HCl/エーテル(5ml)で粉砕して標記化合物をベージュ色固体として得た(0.94g)。1H NMR (D2O) 特に 0.63 (3H, d, J 6 Hz), 0.86 (3H, d, J 6.8 Hz), 1.09 (3H, s), 1.36 (3H, s), 2.05 (6H, m), 3.40 (6H, m), 3.49 (1H, m), 5.10 (2H, m), 5.64 (1H, d, J 8.3 Hz), 6.29 (1H, dd, J 17.4 および 11 Hz). MS (EI) m/z 504 (M+)
【0052】
実施例3−19,20−ジヒドロムチリン14−(キヌクリジン−4−イル−スルファニル)−アセテート
エタノール(30ml)中のムチリン14−(キヌクリジン−4−イル−スルファニル)−アセテート(0.314g,0.00063モル)の溶液を、10% Pd/Cペースト(水分含量50%)上で室温において1時間水素化した。触媒を濾別し、濾液を減圧濃縮した。残渣をクロロホルムに溶解し、炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液を蒸発乾固させて標記化合物を得た(0.18g)(57%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.71 (3H, 1d, J 6.6 Hz), 0.78 (3H, t, J 7.5 Hz), 0.94 (3H, d, J 7 Hz), 0.96 (3H, s), 1.43 (3H, s), 1.7 (6H, t, J 7 Hz), 2.40 (1H, m), 2.94 (6H, t, J 7.5 Hz), 3.19 (2H, s), 3.41 (1H, d, J 8.4 Hz), 5.60 (1H, d). MS (EI) m/z 506 (M+)
【0053】
実施例4−ムチリン14−(キヌクリジン−3−イルオキシ)−アセテート塩酸塩
乾DMF(4ml)中の3−キニクリジノール(0.635g)をアルゴン雰囲気下で撹拌し、水素化ナトリウム(油中60%分散物0.21g)で処理した。1時間後、混合物を−15℃まで冷却し、乾DMF(4ml)中のムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート(2.28g,H. Egger and H. Reinshagen, J. Antibiotics 29 (9), 915参照)を滴下した。混合物を室温まで除々に暖め、1時間放置し、水(30ml)およびクロロホルム(30ml)で希釈した。2相を振盪し、分離させ、有機相を2回以上水洗し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。ジクロロメタン/メタノール/35%アンモニア溶液(19:1:0.1)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーに残渣を供し、同じ溶媒を用いるシリカゲルtlcでRfが約0.45の化合物を単離した。クロロホルム(5ml)中のこの化合物の溶液をエーテル(2ml)中の1N HClで処理し、蒸発させて標記化合物を淡黄色泡状物質として得た(0.339g)。υmax (CHCl3) 3562, 3435 (広い), 2447 (広い), 1735 cm-1; 1H NMR (CDCl3) 特に 0.71 (3H, d, J 6.7 Hz), 0.90 (3H, d, J 6.7 Hz), 3.1-3.6 (7H, m), 3.8-4.1 3H, m), 5.22 (1H, d, 17.5 Hz), 5.38 (1H, d, J 10.8 Hz), 5.81 (1H, d, J 8.3 Hz), 6.48 (1H, dd, J 14.7 および 11.0 Hz), 12.3 (1H, 広い s, D2O 交換で消失); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 488 (MH+, 90%), 186 (100%)。
【0054】
実施例5−ムチリン14−(キヌクリジン−3−イルスルファニル)−アセテート
キヌクリジン−3−チオールの調製は特許文献(J. Barriere, C. Cotret and J. Paris, E.P. 248703 [1987])に基づくものであった。THF(85ml)中のトリフェニルホスフィン(12g)の溶液をアルゴン雰囲気下で氷冷し、アゾジ炭酸ジイソプロピル(9ml)を滴下して処理した。30分後、THF(170ml)中の3−キヌクリジノール(2.9g)およびチオール酢酸(3.24ml)を1時間かけて滴下した。混合物を室温で一晩撹拌し、蒸発させ、残渣をエーエル(250ml)中に取った。この溶液を1M塩酸(2x40ml)で抽出し、一緒にした水性抽出物をエーテル(100ml)で洗浄し、蒸発乾固させた。残渣をP25で4日間減圧乾燥してうす黄色固体を得た。この固体の一部(0.443g)をエタノール(10ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(0.216g)で処理した。1時間後、ムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート(0.912g)を添加し、混合物をさらに1時間振盪し、クロロホルム(30ml)および水(30ml)で希釈し、振盪し、層分離させた。有機層を水(30ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。ジクロロメタン/メタノール/35%アンモニア溶液(19:1:0.1)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーに残渣を供して、標記化合物をうす黄色泡状物質として得た。0.62g(62%)。υmax (CHCl3) 3563, 1730 cm-1; 1H NMR (CDCl3) 特に 0.74 (3H, d, J 6 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 5.1-5.4 (2H, m), 5.76 および 5.77 (1H, 2d, J 8.3 Hz), 6.49 (1H, dd, J 17 および 11 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 504 (MH+, 100%), 202 (55%)。
【0055】
実施例6−ムチリン14−(キヌクリジン−4−イル−スルファニル)−アセテート
工程1 キヌクリジン−4−チオール塩酸塩
粗キヌクリジン−4−チオール塩酸塩(Eckharat et al., Helv. Chem. Acta, 57 (4), (1974) 2339-2345)(15.1g,0.057モル)を水(20ml)に溶解した。炭酸ナトリウム(21.0g,0.2モル)を添加した。混合物をクロロホルム(200mlx7)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。濃縮物にエーテル(100ml)中の1M塩化水素を添加した。混合物を蒸発乾固させて標記化合物を白色固体7.135g(71%)として得た。1H NMR (D2O) 2.18 (6H, t, J 8 Hz), 3.40 (6H, t, J 8 Hz), MS (EI) m/z 144 ([(M-HCl)H]+, 100%)
工程2 ムチリン14−(キヌクリジン−4−イル−スルファニル)−アセテート
アルゴン雰囲気下でキヌクリジン−4−チオール塩酸塩(5g)をエタノール(110ml)とともに撹拌し、ナトリウムメトキシド(3.15g)を添加した。30分後、ムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート(12.7g)を添加し、次いで、エタノール(30ml)を添加した。さらに30分後、混合物をクロロホルム(250ml)および水(250ml)で希釈し、振盪し、層分離させた。有機層を水(200ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。ジクロロメタン/メタノール/35%アンモニア溶液(19:1:0.1)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーに残渣を供して、標記化合物をうすく着色した泡状物質として得て(12.24g)、NMRによれば実施例1の生成物と同一であった。
【0056】
実施例7−ムチリン14−[N−(2,2−ジメチルアザビシクロ[4.3.0]ノン−4−イルメチル)]−アミノアセテート
工程1 (±)エクアトリアル4−シアノ−2,2−ジメチルアザビシクロ[4.3.0]ノナン
−10℃の乾ジメトキシエタン(100ml)中の(±)2,2−ジメチルアザビシクロ[4.3.0]ノン−4−オン(4.7g,0.028モル)(F.D. King, J. Chem. Soc. Perkins. Trans 1, 447, 1986)およびトシルメチルイソシアニド(6.47g,0.033モル)の混合物に、エタノール(3.4ml)、次いで、カリウム−tert−ブトキシド(7.21g,0.064モル)を添加した。混合物を−10℃で1時間撹拌し、次いで、50℃で2時間暖めた。混合物を放冷し、ジエチルエーテル(500ml)を添加した。濾過し、濾液を減圧濃縮して油状物質を得た。酢酸エチルで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより標記化合物3.0g(60%)を油状物質として得た:1H NMR (CDCl3) 0.95 (3H, s), 1.21 (3H, s), 1.35-1.51 (2H, m), 1.61-1.91 (4H, m), 2.15-2.19 (1H, m), 2.28-2.39 (2H, m), 2.57-2.71 (1H, m), 2.89-2.98 (1H, m)。
工程2(±)エクアトリアルアミノメチル−2,2−ジメチルアザビシクロ[4.3.0]ノナン
テトラヒドロフラン(50ml)中の(±)エクアトリアル4−シアノ−2,2−ジメチルアザビシクロ[4.3.0]ノナン(1.0g,0.0056モル)を水素化アルミニウムリチウム(1.07g,0.028モル)で処理し、周囲温度で18時間撹拌した。次いで、ジエチルエーテル(50ml)、次いで、水(4ml)および10%水酸化ナトリウム水溶液(1.5ml)を添加した。濾過し、濾液を減圧濃縮して標記化合物0.97g(95%)を油状物質として得た:1H NMR (CDCl3) 0.95 (3H, s), 1.20 (3H, s), 1.25-1.95 (9H, m), 2.25-2.40 (2H, m), 2.55 (2H, d, J 6 Hz), 2.89-2.97 (1H, m)。
工程3ムチリン14−[N−(2,2−ジメチルアザビシクロ[4.3.0]ノン−4−イルメチル)]−アミノアセテート
(±)エクアトリアルアミノメチル−2,2−ジメチルアザビシクロ[4.3.0]ノナン(0.1g,0.0006モル)を、エタノール(20ml)中のムチリン14−トルエンスルホニルオキシアセテート(0.25g,0.0005モル)(K Riedl, J Antibiotics 29 (2), 133, 1976)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.1ml,0.0006モル)で処理し、加熱して6時間還流させた。次いで、混合物を減圧濃縮し残渣を炭酸水素ナトリウム飽和溶液およびジクロロメタン間に分配させた。有機層を分離し、乾燥させた(Na2SO4)。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア(90:9:1)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより標記化合物0.08g(31%)を得た:1H NMR (CDCl3) 0.71 (3H, d, J 6.5 Hz) 0.90 (3H, d, J 6.5 Hz), 0.95 (3H, s), 1.25-2.55 (38H, m), 2.85-2.97 (1H, m), 3.19-3.39 (2H, m), 5.15 (1H, d, J 16.5 Hz), 5.31 (1H, d, J 11.1 Hz), 5.78 (1H, d, J 8.6 Hz), 6.50 (1H, dd, J 15.0 および 11.1 Hz). MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 543 (MH+, 100%)。
【0057】
実施例8−ムチリン14−(キヌクリジン−4−イルカルボニルアミノ)−アセテート
工程1 ムチリン14−アジドアセテート
アセトン(50ml)中のムチリン14−トルエンスルホニルオキシアセテート(5.33g,0.01モル)の撹拌されている溶液に、水(6.5ml)中のアジ化ナトリウム(0.7g,0.011モル)を添加した。即座に固体が沈殿し、次いで、再溶解した。均質混合物を周囲温度で2時間撹拌し、次いで、加熱して3時間還流させた。混合物を減圧濃縮して体積を減じ、次いで、クロロホルムで希釈した。得られた溶液を3回水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧濃縮してうす黄色泡状物質を得て、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。酢酸エチル/ヘキサン混合物で溶離して標記化合物3.3g(82%)を白色泡状物質として得た;1H NMR (CDCl3) 特に 0.73 (3H, d, J 6.8 Hz), 0.89 (3H, d, J 7.1 Hz), 1.23 (3H, s), 1.47 (3H, s), 3.37 (1H, dd, J 10.7 および 6.6 Hz), 3.77 (2H, s), 5.22 (1H, dd, J 17.4 および 1.3 Hz), 5.38 (1H, dd, J 11 および 1.3 Hz), 5.86 (1H, d, J 8.5 Hz), 6.49 (1H, dd, J 17.4 および 11 Hz)。
工程2 ムチリン14−(トリフェニルホスフィンイミノ)−アセテート
アルゴン雰囲気下において、トリフェニルホスフィン(0.275g,0.00105モル)を、ジクロロメタン中のムチリン14−アジドアセテート(0.404g,0.001モル)の撹拌されている溶液に添加した。溶液はすみやかに均質となり、気体が発生した。撹拌を17時間継続した。次いで、混合物を減圧濃縮し、石油エーテル中で粉砕した後、標記化合物0.638g(100%)を白色固体として得た;MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 638 (MH+, 100%)。
工程3 ムチリン14−アミノアセテート
ムチリン14−(トリフェニルホスフィンイミノ)−アセテート(1g,0.00157モル)をエタノール(25ml)に懸濁し、水酸化カリウム(0.175g,0.00314モル)を添加した。混合物を17時間撹拌し、その間に均質となった。次いで、2M塩酸(1.7ml)を添加し、撹拌を10分間継続し、混合物を減圧濃縮した。残渣を2M塩酸中に取り、溶液をジクロロメタンで3回洗浄した。次いで、水相にジクロロメタンを加え、激しき撹拌しながら固体炭酸カリウムを添加することによりpHを11に合わせた。次いで、有機相を分離し、水相をジクロロメタンで抽出し、一緒にした有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。標記化合物0.505g(85%)を白色泡状物質として得た;1H NMR (CDCl3) 特に 0.71 (3H, d, J 6.5 Hz), 0.89 (3H, d, J 6.9 Hz), 1.17 (3H, s), 1.45 (3H, s), 3.33 (3H, m), 5.21 (1H, d, J 17.4 Hz), 5.36 (1H, d, J 11 Hz), 5.78 (1H, d, J 8.4 Hz), 6.52 (1H, dd, J 17.4 および 11 Hz)。
工程4 キヌクリジン−4−イルカルボニルクロリド塩酸塩
キヌクリジン−4−カルボン酸塩酸塩(0.192g,0.001モル)をジクロロメタン(5ml)に懸濁し、ジメチルホルムアミド(1滴)および塩化オキサリル(0.436ml,0.635g,0.005モル)を添加した。得られた懸濁液を、アルゴン雰囲気下で加熱して6時間還流させた。懸濁液を減圧濃縮後、残渣をジクロロメタンに懸濁し、減圧濃縮し、最後に減圧乾燥して標記化合物をうす褐色固体として得た。
工程5 ムチリン14−(キヌクリジン−4−イルカルボニルアミノ)−アセテート
キヌクリジン−4−イルカルボニルクロリド塩酸塩(理論量0.001モル、工程4)をジクロロメタン(6ml)に懸濁し、ムチリン14−アミノアセテート(0.126g,0.00033モル)を添加した。アルゴン雰囲気下において撹拌されている懸濁液にトリエチルアミン(0.278ml,0.202g,0.002モル)を添加し、撹拌を18時間継続した。クロロホルムおよび水を添加し、固体炭酸カリウムを添加することにより水相のpHを11に合わせた。振盪後、相分離させ、有機相を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で1回、次いで、ブラインで1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物をわずかに灰色がかった白色の泡状物質として得た。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製してうす黄色ガラス状物質を得た。生成物を2M塩酸に溶解し、溶液をジクロロメタンで2回洗浄し、次いで、ジクロロメタンを添加した。固体炭酸カリウムを添加することにより水相のpHを11に合わせた。振盪後、有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。残渣を繰り返してクロロホルムに溶解し、減圧濃縮した。最後に、残渣をジエチルエーテルで粉砕して標記化合物0.0019g(11%)を淡黄色固体として得た;1H NMR (CDCl3) 特に 0.71 (3H, d, J 6.9 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.18 (3H, s), 1.45 (3H, s), 2.96 (6H, m), 3.37 (1H, m), 3.93 (2H, d, J 4.9 Hz), 5.23 (1H, d, J 17.4 Hz), 5.36 (1H, d, J 11 Hz), 5.79 (1H, d, J 8.5 Hz), 6.02 (1H, m(br)), 6.47 (1H, dd, J 17.4 および 11 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー m/z 515 (MH+, 100%)。
【0058】
実施例9 ムチリン14−[(3R,4R)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イルカルボニルアミノ]−アセテート
工程1 (3R,4R)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イルカルボニルクロリド塩酸塩
3R,4R−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−カルボン酸臭化水素塩(0.127g,0.0005モル)をジクロロメタン(2ml)に添加し、ジメチルホルムアミド(1滴)および塩化オキサリル(0.131ml,0.191g,0.0015モル)を添加した。アルゴン雰囲気下で混合物を4時間撹拌した。得られた均質溶液を減圧濃縮し、残渣をジクロロメタンに溶解し、減圧濃縮し、最後に減圧濃縮して標記化合物をわずかに灰色がかった白色の固体として得た。
工程2 ムチリン14−[(3R,4R)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イルカルボニルアミノ]−アセテート
(3R,4R)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イルカルボニルクロリド塩酸塩(理論量0.0005モル、工程1)をジクロロメタン(4ml)に溶解し、ムチリン14−アミノアセテート(0.126g,0.00033モル)を添加した。アルゴン雰囲気下で撹拌されている溶液に、トリエチルアミン(0.134ml,0.101g,0.001モル)を添加した。得られた溶液を17時間撹拌した。クロロホルムおよび水を添加し、固体炭酸ナトリウムを添加することによりpHを11に合わせた。振盪後、相分離させ、有機相を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で1回、ブラインで1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物をわずかに灰色がかった白色の固体として得た。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによる精製により生成物0.142g(86%)を白色泡状物質として得た;1H NMR (CDCl3) 特に 0.72 (3H, d, J 6.9 Hz), 0.89 (3H, d, J 7 Hz), 1.18 (3H, s), 1.46 (3H, s), 3.37 (1H, m(br)), 3.96 (2H, d, J 5.1 Hz), 5.22 (1H, d, J 17.4 Hz), 5.36 (1H, d, J 11 Hz), 5.78 (1H, d, J 8.4 Hz), 5.96 (1H, m(br)), 6.47 (1H, dd, J 17.4 および 11 Hz),; MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 501 (MH+, 40%)。
【0059】
実施例10 ムチリン14−(1−メチルピペリド−4−イルカルボニルアミノ)−アセテート
工程1 1−メチルピペリド−4−イルカルボニルクロリド塩酸塩
1−メチルピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩(0.09g,0.0005モル)をジクロロメタン(5ml)に懸濁し、ジメチルホルムアミド(1滴)および塩化オキサリル(0.131ml,0.19g,0.0015モル)を添加した。アルゴン雰囲気下で混合物を4時間撹拌した。得られた均質溶液を減圧濃縮し、残渣をジクロロメタンに溶解し、減圧濃縮し、最後に減圧濃縮して標記化合物をわずかに灰色がかった白色の固体として得た。
工程2 1−メチルピペリド−4−イルカルボニルクロリド塩酸塩(理論量0.0005モル、工程1)をジクロロメタン(4ml)に溶解し、ムチリン14−アミノアセテート(0.126g,0.00033モル)を添加した。アルゴン雰囲気下で撹拌されている溶液にトリエチルアミン(0.139ml,0.101g,0.001モル)を添加した。2時間後、クロロホルムおよび水を添加し、固体炭酸カリウムを添加することにより水相のpHを11に合わせた。振盪後、相分離させ、有機相を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で1回、次いで、ブラインで1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物をわずかに灰色がかった白色の泡状物質として得た。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによる精製により生成物0.150g(90%)を白色泡状物質として得た;1H NMR (CDCl3) 特に 0.71 (3H, d, J 6.8 Hz), 0.89 (3H, d, J 7 Hz), 1.18 (3H, s), 1.45 (3H, s), 3.36 (1H, m), 3.94 (2H, d, J 5 Hz), 5.22 (1H, d, J 18.6 Hz), 5.35 (1H, d, J 12.2 Hz), 5.78 (1H, d, J 8.4 Hz), 5.99 (1H, m(br)), 6.47 (1H, dd, J 17.4 および 11 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 503 (MH+, 25%)。
【0060】
実施例11−ムチリン14−[3−(1−メチルピペリド−4−イル)]−プロピオネート
工程1 3−(1−メチルピペリド−4−イル)プロピオニルクロリド
乾ジクロロメタン(10ml)中の3−(1−メチルピペリド−4−イル)プロピオン酸塩酸塩(WO 9620173 A1の実施例1)(0.33 g, 0.00159 mole)の懸濁液を、アルゴン雰囲気下においてジメチルホルムアミド(1滴)および塩化オキサリル(0.416ml,0.605g,0.00477モル)で処理した。31/2時間撹拌後、混合物を減圧濃縮した。残渣を乾ジクロロメタンに溶解し、減圧濃縮して標記化合物を白色固体として得た。
工程2
乾ジメチルホルムアミド中の3−(1−メチルピペリド−4−イル)プロピオニルクロリド(理論量0.00159モル、工程1)および(3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピ−ムチリン(H Berner, G. Schulz and H. Schneider, Tetrahedron, 1980, 36, 1807)の溶液を、アルゴン雰囲気下で110℃で17時間加熱した。次いで、混合物を減圧濃縮し、ジクロロメタン/メタノール/35%アンモニア溶液混合物で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーに残渣を供した。標記化合物0.284g(49%)をうす黄色油状物質として得た;1H NMR (CDCl3) 特に 0.79 (3H, d, J 6.9 Hz), 0.99 (3H, d, J 6.4 Hz), 1.18 (3H, s), 1.24 (3H, s), 2.37 (3H, s), 2.97 (3H, m), 3.23 (3H, s), 3.48 (1H, m), 5.01 (1H, d, J 17.6 Hz), 5.30 (1H, d, J 10.7 Hz), 5.74 (1H, d, J 10 Hz), 6.67 (1H, dd, J 17.5 および 10.6 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 488 (MH+, 100%)。
工程3 ムチリン14−[3−(1−メチルピペリド−4−イル)]−プロピオネート
ジオキサン(3ml)中の(3R)−3−デオキシ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピ−ムチリン(0.355g,0.000728モル)の溶液を、濃塩酸(3ml)で処理した。4時間後、混合物を水で希釈し、ジクロロメタンを添加し、混合物を激しく撹拌しながら固体炭酸カリウムを添加することによりpHを11に合わせた。次いで、相分離させ、水相をジクロロメタンで抽出した。一緒にした有機抽出物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。ジクロロメタン/メタノール/35%アンモニア溶液混合物で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーに残渣を供して標記化合物0.284g(82%)を白色泡状物質として得た;1H NMR (CDCl3) 特に 0.70 (3H, d, J 6.6 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.17 (3H, s), 1.45 (3H, s), 2.44 (3H, s), 3.05 (2H, m), 3.36 (1H, dd, J 11.4 および 7.4 Hz), 5.20 (1H, d, J 17.5 Hz), 5.36 (1H, d, J 11 Hz), 5.74 (1H, d, J 8.4 Hz), 6.51 (1H, dd, J 17.5 および 11 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 474 (MH+, 100%)。
【0061】
実施例12−ムチリン14−(キヌクリド−4−イルメチルスルファニル)−アセテート
乾テトラヒドロフラン中のトリフェニルホスフィン(1.19g,0.0042モル)の氷冷溶液に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.85g,0.0042モル)を滴下して処理した。30分後、乾テトラヒドロフラン(20ml)中のキヌクリド−4−イルメタノール(0.565g,0.004モル)およびチオール酢酸(0.315ml,0.0042モル)の溶液を、10分かけて滴下した。混合物を5℃で72時間放置し、次いで、減圧濃縮し、残渣をエーテル(200ml)に溶解した。得られた溶液を1M塩酸(3x50ml)で抽出した。一緒にした抽出物を減圧濃縮し、減圧乾燥してゴム状残渣0.65gを得た。残渣をエタノール(30ml)に溶解し、アルゴン雰囲気下でカリウム−tert−ブトキシド(0.785g,0.007モル)で30分処理した。次いで、ムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート(1.38g,0.003モル)をエタノール溶液に添加し、混合物をアルゴン雰囲気下で一晩撹拌した。不溶性副生成物を濾別し、濾液を蒸発乾固させた。残渣をクロロホルムおよび水間に分配させた。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固させた。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液(19:1:0.1)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより標記化合物0.48g(31%)を白色泡状物質として得た;1H NMR (CDCl3) 特に 0.74 (3H, d, J 6.6 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.76 (3H, s), 1.44 (6H, t, J 7.7 Hz), 2.47 (2H, s), 2.87 (6H, t, J 7.5 Hz), 3.09 (2H, s), 3.36 (1H, m), 5.1-5.4 (2H, m), 5.75 (1H, d, J 8.3 Hz), 6.48 (1H, m); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 518 (MH+, 100%)。
【0062】
実施例13−19,20−ジヒドロムチリン14−(キヌクリジン−4−イルスルホニル)アセテート
乾テトラヒドロフラン(2ml)およびtert−ブタノール(0.2ml)中の19,20−ジヒドロムチリン14−(キヌクリジン−4−イルチオ)アセテート(0.05g,0.0001モル)を、アルゴン雰囲気下で、N−メチルモルホリンオキシド(0.036g,0.003モル)および触媒量の四酸化オスミニウムで4.5時間処理した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機溶液を濾過して無機残基を除去した。濾液を減圧濃縮した。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより標記化合物0.043g(80%)を泡状物質として得た;1H NMR (CDCl3) 特に 0.70 (3H, d, J 7 Hz), 0.82 (3H, t, J 7 Hz), 0.93 (3H, d, J 7 Hz), 0.96 (3H, s), 1.92 (6H, t, J 7.5 Hz), 3.01 (6H, t, J 7.5 Hz), 3.41 (1H, m), 3.73 (1H, d, J 13.3 Hz), 3.87 (1H, d, J 13.3 Hz), 5.68 (1H, d, J 8 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 538 (MH+, 60%)。
【0063】
実施例14 19,20−ジヒドロムチリン14−(キヌクリジン−4−イルスルホニル)−アセテート
クロロホルム(5ml)中の13−19,20−ジヒドロムチリン14−(キヌクリジン−4−イルチオ)アセテート(0.152g,0.0003モル)および氷酢酸(0.06g,0.001モル)の冷却溶液を、0℃において80% 3−クロロペルオキシ安息香酸(0.069g,0.0032モル)で処理し、次いで、放置して室温まで暖めて72時間撹拌した。溶媒を減圧除去した。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液(20:1:0.1)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによりで溶離するクロマトグラフィーに残渣を供して標記化合物0.064g(41%)を白色固体として得た;1H NMR (CDCl3) 特に 0.72-0.95 (12H, m), 1.45 (6H, t, J 8.5 Hz), 1.74 (6H, t, J 8 Hz), 2.13-2.25 (3H, m), 2.39 (1H, m), 3.02 (6H, t, J 7.6 Hz), 3.35-3.42 (3H, m), 5.71 (1H, d, J 8.4 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 522 (MH+, 100%)。
【0064】
実施例15−ムチリン−14−(1−メチルピペリド−4−イルスルファニル)−アセテート
乾テトラヒドロフラン(100ml)中のトリフェニルホスフィン(5.51g,0.021モル)の溶液をアルゴン雰囲気下で氷冷し、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(2.3g,0.021モル)で処理した。30分後、乾テトラヒドロフラン(50ml)中の4−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン(2.3g,0.02モル)およびチオール酢酸(1.54g,0.02モル)を、30分かけて添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、減圧蒸発させ、残渣をエーテル(200ml)中に取った。エーテル溶液を1M塩酸(50mlx4)で抽出した。一緒にした水性抽出物をエーテルで洗浄し、蒸発乾固させて黄色ゴム状物質(2.4g)を得た。このゴム状物質の一部(0.517g)をエタノールに溶解し、アルゴン雰囲気下でカリウム−tert−ブトキシド(0.785g)で30分処理した。ムチリン−14−メタンスルホニルオキシアセテート(0.92g,0.002モル)を添加し、混合物を一晩撹拌し、次いで、減圧濃縮した。残渣をクロロホルムおよび水間に分配させた。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより標記化合物0.557g(57%)を泡状物質として得た;1H NMR (CDCl3) 特に 0.73 (3H, d, J 6.5 Hz), 0.87 (3H, d, J 7 Hz), 1.30 (3H, s), 1.67 (3H, s), 2.25 (3H, s), 3.16 (2H, s), 3.36 (1H, m), 5.28 (2H, m), 5.77 (1H, d, J 8.5 Hz), 6.47 (1H, m); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 492 (MH+, 100%)。
【0065】
実施例16−ムチリン14−{(3RS,4SR)−1−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イル−スルファニル}−アセテート
実施例5に記載の手順を用いてエンド−3−ヒドロキシ−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(S.M. Jenkins et al, J. Med. Chem.; 1992, 35, 2392-2406)から標記化合物を全収率32%で調製した。標記化合物を無色固体として単離した。1H NMRスペクトルにおいて、d3.05〜3.40および6.43〜6.56の8本の多重線はジアステレオマーの1:1混合物であることを示す;1H NMR (CDCl3) 特に 0.74 (3H, d, J 6.4 Hz), 0.88 (3H, d, J 7.0 Hz), 3.05-3.40 (2H, m), 5.21 (1H, d, J 17.5 Hz), 5.35 (1H, d, J 11.0 Hz), 5.75-5.80 (1H, m), 6.43-6.56 (1H, m); MS (+ve エレクトロスプレー) m/z 490 (MH+)。
【0066】
実施例17−ムチリン14−{(3RS,4SR)−1−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イル−スルファニル}−アセテート塩酸塩
実施例2に記載の手順を用いて、ムチリン14−{(3RS,4SR)−1−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イル−スルファニル}−アセテートから標記化合物を調製した。標記化合物を無色固体のジアステレオマーの1:1混合物として得た;1H NMR (DMSO-d6) 特に 0.65 (3H, d, J 6.4 Hz), 0.84 (3H, d, J 6.8 Hz), 1.09 (3H, s), 1.39 (1H, s), 4.61 (1H, d, J 5.2Hz, D2Oと交換), 5.05-5.12 (2H, m), 5.60 (1H, d, J 7.9 Hz), 6.14 (1H, dd, J 18 および 10.7 Hz), 10.4-10.6 (1H, br, D2Oと交換); MS (+ve エレクトロスプレー) m/z 490 (遊離塩基のMH+)。
【0067】
実施例18−ムチリン14−(キヌクリジン−3−イリデン)−アセテート塩酸塩(両方の幾何異性体)
工程1 キヌクリジン−3−イリデン酢酸メチル塩酸塩
DMF(20ml)中のキヌクリジン−3−オン塩酸塩(3.23g)の懸濁液をナトリウムメトキシド(1.08g)で処理し、30分間激しく撹拌した。DMF(20ml)中のホスホノ酢酸トリメチル(4.05ml)およびナトリウムメトキシド(1.35g)の溶液を15分かけて滴下し、さらに2時間半撹拌した。DMFを蒸発させ、残渣を乾エーテル(100ml)で処理し、粉砕し、濾過した。濾液をエーテル中1N HCl(30ml)で処理し、生じた固体を粉砕し、エーテルをデカンテーションした。エーテル(200ml)を添加し、懸濁液を30分間激しく撹拌し、固体を濾別し、減圧下、60℃で2日間加熱した。得られたメチルキヌクリジン−3−イリデンアセテート塩酸塩(3.93g)は幾何異性体のほぼ1:1の混合物であった。1H NMR (D2O) 特に 5.84 (ブロード s) および 5.94 (t, J 2.5 Hz) (2種の幾何異性体のビニルプロトン)。
工程2 キヌクリジン−3−イリデン酢酸塩酸塩
メチルキヌクリジン−3−イリデンアセテート塩酸塩(1g)を濃塩酸(10ml)中、60℃で18時間加熱し、次いで、溶液を蒸発乾固させた。残渣を減圧下でP25上に保ち、キヌクリジン−3−イリデン酢酸塩酸塩0.91g(97%)を白色固体として得た。1H NMR (D2O) 特に 5.77 (ブロード s) および 5.86 (ブロード s) (ほぼ 1:1, 2種の幾何異性体のビニルプロトン)。
工程3 (3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン14−(キヌクリジン−3−イリデン)−アセテート
キヌクリジン−3−イリデン酢酸塩酸塩(0.204g)をクロロホルム(5ml)に懸濁し、アルゴン雰囲気下で撹拌し、1滴のDMFおよび塩化オキサリル(0.87ml)で処理した。2時間後、溶媒を蒸発させ、トルエン(10ml)を残渣に添加し、蒸発させた。残渣をDMF(2ml)中に取り、(3R)−3−デオキシ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン(0.334g,H. Berner, G. Schulz and H. Schneider, Tetrahedron (1980) 36 1807に準じて調製)で処理し、アルゴン雰囲気下、100℃で3時間加熱した。室温で一晩放置した後、混合物をクロロホルム(20ml)で希釈し、NaHCO3水溶液、次いで水で洗浄し、蒸発乾固させた。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液(19:1:0.1)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより標記化合物の2種の幾何異性体が分離された。
極性の小さい異性体 0.1 g (20%); 1H NMR (CDCl3) 特に 3.23 (3H, s), 3.4-3.6 (1H, m), 3.96 (2H, ABq, J 20 Hz), 5.02 (1H, d, J 17.5Hz), 5.34 (1H, d, J 10.5 Hz), 5.64 (1H, t, J 2.5 Hz), 5.81 (1H, d, J 10 Hz), 6.74 (1H, dd, J 17.5 および 10.5 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 484 (MH+, 100%)。
極性の大きい異性体, 0.234 g (48%); 1H NMR (CDCl3) 特に 3.12 (2H, s), 3.23 (3H, s), 3.4-3.5 (1H, m), 5.01 (1H, d, J 17.5 Hz), 5.30 (1H, d, J 10.5 Hz), 5.78 (1H, d, J 10 Hz), 6.37 (1H, d, J 0.95 Hz), 6.65 (1H, dd, J 17.5 および 10.5 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 484 (MH+, 100%)。
工程4 ムチリン14−(キヌクリジン−3−イリデン)−アセテート塩酸塩
(3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン14−(キヌクリジン−3−イリデン)−アセテートの極性の小さい幾何異性体(0.1g)をジオキサン(3ml)に溶解し、氷水で即座に冷却し、濃塩酸(2ml)で処理した。室温で5時間置いた後、CHCl3(10ml)および水(20ml)を添加し、次いで、NaHCO3を添加して塩基性にした。層分離させ、水層をCHCl3で再抽出し、一緒にした有機層を蒸発乾固させた。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液(97:3:0.3)で溶離するクロマトグラフィーに残渣を供して、標記化合物の極性の小さい幾何異性体を白色泡状物質として得た(0.105g)。1H NMR (CD3SOCD3) 特に 2.85 (1H, s), 4.38 (2H, ABq, J 19 Hz), 4.59 (1H, d, J 6 Hz, D2O交換により消失), 5.0-5.2 (2H, m), 5.64 (1H, d, J 8 Hz), 5.92 (1H, s), 6.27 (1H, dd, J 17.5 および 11 Hz), 10.7 (1H, ブロード s,D2O交換により消失); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m.z 470 (MH+ - HCl, 100%)。
同じ方法で、(3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン14−(キヌクリジン−3−イリデン)−アセテートの極性の大きな幾何異性体(0.116g)を標記化合物の極性の大きな幾何異性体に変換した(わずかに灰色がかった白色の泡状物質、0.096g)。1H NMR (CD3SOCD3) 特に 4.62 (1H, d, J 6 Hz,D2O交換により消失), 5.0-5.2 (2H, m), 5.65 (1H, d, J 8 Hz), 6.18 (1H, dd, J 17.5 and 11 Hz), 6.64 (1H, s), 11.42 (1H, ブロード s,D2O交換により消失); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 470 (MH+- HCl, 100%)。
【0068】
実施例19−ムチリン14−[(±)−キヌクリジン−3−イル]−アセテート塩酸塩
工程1 (±)−キヌクリジン−3−酢酸塩酸塩
キヌクリジン−3−イリデン酢酸メチル塩酸塩(実施例18、工程1)(2g)、エタノール(50ml)、2M塩酸(5ml)および10% Pd/C(1g)の混合物をH2雰囲気下(加圧)で24時間撹拌し、セライトで濾過し、蒸発乾固させた。残渣を濃塩酸(10ml)に溶解し、60℃で18時間加熱し、さらに10mlの濃塩酸で処理し、80℃で6時間加熱し、次いで、蒸発乾固させた。残渣を減圧下、P25上に3時間置いて標記化合物を白色固体として得た(1.8g)。MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 170 (MH+, 100%)。
工程2 (3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン14−[(±)−キヌムリジン−3−イル]−アセテート
(±)−キヌクリジン−3−酢酸塩酸塩を酸塩化物に変換し、実施例18の工程3の方法で(3R)−3−デオキソ−11−デオキソ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリンと反応させた。生成物をクロマトグラフィーに供して標記生成物を白色泡状物質として得た(68%)。1H NMR (CDCl3) 特に 3.23 (3H, s), 3.3-3.5 (1H, m), 5.01 (1H, d, J 17.5 Hz), 5.32 (1H, d, J 10.5 Hz), 5.75 (1H, d, J 9.8 Hz), 6.68 および 6.69 (1H, 2 dd, J 17.5 および 10.5 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 486 (MH+, 100%)。
工程3 ムチリン14−[(±)−キヌクリジン−3−イル]−アセテート塩酸塩
実施例18の工程4の方法で(3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン14−[(±)−キヌクリジン−3−イル]−アセテートを転移させて、標記化合物を白色泡状物質として得た(95%)。1H NMR (CDCl3) 特に 5.1-5.4 (2H, m), 5.74 (1H, d, J 8.3 Hz), 6.43 および 6.47 (1H, 2 dd, J 17.5 および 10.5 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 472 (MH+, 100%)。
【0069】
実施例20−ムチリン14−[(±)−キヌクリジン−3−イルアセトキシ]−アセテート塩酸塩
アルゴン雰囲気下で(±)−キヌクリジン−3−酢酸塩酸塩(0.206g)をクロロホルム(5ml)に懸濁し、DMF(1ml)および塩化オキサリル(0.87ml)で処理し、1時間撹拌した。溶液を蒸発させ、トルエンを添加し、蒸発させ、残渣をDMF(2ml)中に取った。プレウロムチリン(0.378g)を添加し、混合物をアルゴン雰囲気下で18時間撹拌し、次いで、110℃で30分撹拌した。クロロホルム(10ml)で希釈し、NaHCO3水溶液で2回洗浄し、蒸発乾固させた。残渣を、クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液(9:1:0.1)で溶離するクロマトグラフィーに供した。エアれた物質のクロロホルム溶液をエテル中1M HCl(2ml)で処理し、蒸発させた。エーテル下で粉砕し、濾過して標記化合物をわずかに灰色がかった白色の固体して得た(0.22g,42%)。1H NMR (CD3SOCD3) 特に 4.5-4.7 (3H, m, 2Hに減少, D2O交換によりm); 5.0-5.2 (2H, m), 5.59 (1H, d, J 8 Hz), 6.10 (1H, dd, J 17.5 および 10.5 Hz), 10.06 (1H, ブロード s, D2O交換により消失); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 530 (MH+, 100%)。
【0070】
実施例21−ムチリン14−(キヌクリジン−3−イルメチルスルファニル)−アセテート
工程1 (±)−キヌクリジン−3−イルメチルスルファニルアセテート塩酸塩および(±)−キヌクリジン−3−イルメタンチオール塩酸塩の混合物
実施例5の手順を用いて(±)−キヌクリジン−3−メタノール(L.I. Mastafonova, L.N Yakhontov, M.V. Rubtsov, Khim. Geterotsikl. Soedin., Akad. Nauk Latv. SSR. 1965(6), 858-863)を標記混合物に変換した。MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 200 (チオアセテートに関してMH+, 100%), 158 (チオールに関してMH+, 40%)。
工程2 ムチリン14−(±−キヌクリジン−3−イルメチルスルファニル)−アセテート
工程1からの混合物を、実施例5記載の方法でムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテートと反応させて、標記化合物をわずかに灰色がかった白色の泡状物質として得た(28%)。1H NMR (CDCl3) inter alia 0.75 (3H, d, J 6.7 Hz), 0.89 (3H, d, J 7.0 Hz), 3.12 (2H, s), 3.37 (1H, ブロード, D2O交換で d, J 6.3 Hz となる), 5.21 (1H, d, J 17.5 Hz), 5.36 (1H, d, J 11 Hz), 5.75 (1H, d, J 8.4 Hz), 6.51 (1H, dd, J 17.5 および 11 Hz); MS (陽イオンエレクトロスプレー) m/z 518 (MH+, 100%)。
【0071】
実施例22−1,2−ジデヒドロムチリン14−(キヌクリジン−4−イルスルファニル)−アセテート
工程1 1,2−ジデヒドロムチリン−14−メタンスルホニルオキシアセテート
以前にプレウロムチリンに関して説明された方法(H. Egger and H. Reinshagen, J. Antibiotics (1976), 29, 915-22)により1,2−ジデヒドロプレウロムチリン(0.2g,0.00053モル)(G. Schulz and H. Berner, Tetrahedron, (1984) 40, 905-17)を1,2−ジデヒドロムチリン−14−メタンスルホニルオキシアセテートに変換して、生成物を黄色泡状物質として得た(100%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.80 (3H, d, J 6.7 Hz), 1.10 (3H, d, J 7.0 Hz), 1.16 (3H, s), 1.54 (3H, s), 3.21 (3H, s), 4.67 (2H, s), 5.22 (1H, dd, J 17.4 および 1.3 Hz), 5.38 (1H, dd, J 11 および 1.2 Hz), 5.81 (1H, d, J 8.9 Hz), 6.05 (1H, d, J 6.1 Hz), 6.44 (1H, dd, 17.3 および 11 Hz), 7.74 (1H, d, J 6.1 Hz)。
工程2 1,2−ジデヒドロムチリン14−(キヌクリジン−4−イルスルファニル)−アセテート
エタノール中の1,2−ジデヒドロムチリン−14−メタンスルホニルオキシアセテート(0.00053モル)の溶液を、キヌクリジン−4−チオール塩酸塩(0.105g,0.000583モル)で処理した。15分後、ナトリウムメトキシド(0.057g,0.00106モル)を撹拌溶液に添加した。1時間後、混合物を減圧濃縮してスラリー化させた。次いで、クロロホルムおよび水を添加した。固体炭酸カリウムを添加することにより水相のpHを11〜12に合わせた。相分離させ、水相をクロロホルムで再抽出した。一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによる精製で標記化合物をわずかに灰色がかった白色の泡状物質(0.19g,72%)として得た。1H NMR (CDCl3) 特に 0.80 (3H, d, J 6.4 Hz), 1.08 (3H, d, J 7 Hz), 1.15 (3H, s), 1.55 (3H, s), 3.20 (2H, ABq), 5.20 (1H, dd, J 17.4 および 1.4 Hz), 5.35 (1H, dd, J 11 および 1.4 Hz), 5.74 (1H, d, J 8.7 Hz), 6.04 (1H, d, J 6.1 Hz), 6.47 (1H, dd, J 17.3 および 11 Hz), 7.74 (1H, d, J 6.1 Hz); MS (-ve イオンエレクトロスプレー) m/z 500 ([M-H]-, 50%)。
【0072】
実施例23−2α−ヒドロキシムチリン14−(キヌクリジン−4−イルスルファニル)−アセテート
工程1 2−ジアゾムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート
プレウロムチリンに関して説明された方法により、2−ジアゾプレウロムチリン(0.809g,0.002モル)(H. Egger and H. Reinshagen, J. Antibiotics (1976), 29, 915-22)を2−ジアゾムチリン−14−メタンスルホニルオキシアセテートに変換し、生成物を明黄色ゴム状物質として得た(100%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.75 (3H, d, J 6.9 Hz), 0.93 (3H, d, J 6.9 Hz), 1.18 (3H, s), 1.50 (3H, s), 3.20 (3H, s), 4.65 (2H, s), 5.24 (1H, d, J 17.5 Hz), 5.37 (1H, d, J 11 Hz), 5.84 (1H, d, J 8.5 Hz), 6.43 (1H, dd, J 17.4 および 11 Hz)。
工程2 2α−ジクロロアセトキシムチリン−14−メタンスルホニルオキシアセテート
ジクロロメタン(20ml)中の工程1からの2−ジアゾムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート(理論量0.002モル)をアルゴン雰囲気下でアイスバスで冷却した。撹拌されている溶液に、ジクロロ酢酸(0.309g,0.0024モル)を2分間かけて滴下した。撹拌を2.5時間継続した。混合物をジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回洗浄し、次いで、ブラインで1回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮して標記化合物をうす黄色泡状物質として得た(100%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.76 (3H, d, J 6 Hz), 0.93 (3H, d, J 7 Hz), 1.12 (3H, s), 1.49 (3H, s), 3.20 (3H, s), 4.66 (2H, s), 5.05 (1H, t, J 9 Hz), 5.25 (1H, d, J 17.3 Hz), 5.38 (1H, d, J 11 Hz), 5.83 (1H, d, J 8.5 Hz), 5.97 (1H, s), 6.43 (1H, dd, J 17.4 および 11 Hz)。
工程3 2α−ヒドロキシムチリン14−(キヌクリジン−4−イルスルファニル)−アセテート
工程2からの、エタノール(2ml)中の2−ジクロロアセトキシムチリン−14−メタンスルホニルオキシアセテート(理論量0.001モル)を、エタノール(8ml)中のキヌクリジン−4−チオール塩酸塩(0.27g,0.0015モル)およびナトリウムメトキシドの予め混合物された溶液に添加した。1時間撹拌後、混合物をクロロホルムで希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回、次いで、ブラインで1回洗浄し、その後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧濃縮し、次いで、クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーに供した。生成物を白色泡状物質として得た。(0.2g,3工程を通して38%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.75 (3H, d, J 6.5 Hz), 0.92 (3H, d, J 7 Hz), 1.17 (3H, s), 1.48 (3H, s), 3.19 (2H, ABq), 3.99 (1H, t, J 8.7 Hz), 5.20 (1H, d, J 17.3 Hz), 5.33 (1H, d, J 11 Hz), 5.75 (1H, d, J 8.4 Hz), 6.45 (1H, dd, J 17.3 および 11 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 520 (MH+, 100%)。
【0073】
実施例24−ムチリン14−(キヌクリジン−4−イル)−アセテート
工程1 キヌクリジン−4−イルメタノール
テトラヒドロフラン(300ml)中のキヌクリジン−4−カルボン酸塩酸塩(6.0g,0.031モル)を、水素化アルミニウムリチウム(5.0g,0.137モル)で、周囲温度において18時間処理した。水(20ml)および10%水酸化ナトリウム水溶液(7.5ml)を注意深く添加し、ジエチルエーテルで洗浄した。一緒にした濾液を蒸発乾固させて標記化合物を白色固体として得た(4.04g,91%)。MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 142 (MH+, 100%)。
工程2 キヌクリジン−4−イルアセトニトリル
クロロホルム中のトリエチルアミン/塩化メタンスルホニルで処理することにより、キヌクリジン−4−イルメタノール(2.19g,0.015モル)を対応メシレートに変換した。有機相を炭酸カリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させてメシレートを得た(3.24g,95%)。メシレートを乾ジメチルホルムアミド(50ml)に溶解し、シアン化ナトリウム(2.26g,0.046モル)で処理し、次いで、130℃で18時間加熱した。混合物を蒸発乾固させ、残渣を炭酸カリウム飽和溶液およびクロロホルム間に分配させた。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、0〜10%メタノール/クロロホルムで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーに供した。これにより標記化合物1.1g(50%)を得た。1H NMR (CDCl3) 1.45 (6H, t, J 9 Hz), 2.12 (2H, s), 2.85 (6H, t, J 9 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 151 (MH+, 100%)。
工程3 キヌクリジン−4−イル酢酸エチル
還流されているエタノール(40ml)中のキヌクリジン−4−イルアセトニトリル(1.1g,0.007モル)の溶液に塩化水素を48時間吹き込んだ。混合物を減圧濃縮し、炭酸カリウム飽和溶液で処理した。クロロホルム(4x50ml)で抽出し、乾燥させ、0〜10%メタノール/クロロホルムで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより標記化合物を得た(1.0g,69%)。1H NMR (CDCl3) 1.25 (3H, t, J 8 Hz), 1.45 (6H, t, J 9 Hz), 2.08 (2H, s), 2.85 (6H, t, J 9 Hz), 4.05 (2H, q, J 8 Hz)。
工程4 キヌクリジン−4−イル酢酸塩酸塩
5M塩酸(60ml)中のキヌクリジン−4−イル酢酸エチル(1.0g,0.005モル)を加熱して18時間還流させた。蒸発乾固させ、アセトンで粉砕して標記化合物を得た(0.93g,89%)。1H NMR (CD3SOCD3) 1.71 (6H, t, J 9 Hz), 2.15 (2H, s), 3.05 (6H, t, J 9 Hz), 10.35-10.55 (1H, br s), 12.19-12.29 (1H, br s)。
工程5 キヌクリジン−4−イルアセチルクロリド塩酸塩
実施例8の工程4の方法を用いてキヌクリジン−4−イル酢酸塩酸塩(0.5g,0.0024モル)を標記化合物に変換した。
MS (+ve メタノール中イオンエレクトロスプレー) m/z 183 (メチルエステルに関してMH+, 100% 完全な変換が示された)。
工程6 (3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン14−(キヌクリジン−4−イル)−アセテート
キヌクリジン−4−イルアセチルクロリド塩酸塩(0.54g,0.0024モル)および(3R)−3−デオキソ−11−デオキソ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン(0.84g,0.0025モル)を、乾ジメチルホルムアミド(15ml)中で一緒にして100℃で6時間加熱した。混合物を蒸発乾固させ、残渣を、炭酸水素ナトリウム飽和溶液およびクロロホルム間に分配させた。有機層を乾燥させ、0〜6%メタノール/クロロホルムで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーに供して標記化合物を泡状物質として得た(0.4g,39%)。1H NMR (CDCl3) 0.87 (3H, d, J 7 Hz), 0.98 (3H, d, J 7 Hz), 1.05-1.70 (19 H, m), 1.95-2.03 (2H, m), 2.15 (2H, d, J 5 Hz), 2.17-2.21 (1H, m), 2.35-2.45 (1H, m), 2.85-2.97 (8H, m), 3.15 (3H, s), 3.35-3.45 (1H, m), 4.95 (1H, d, J 17 Hz), 5.30 (1H, d, J 12 Hz), 5.70 (1H, d, J 12 Hz), 6.67 (1H, dd, J 17 Hz および J 10 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 486 (MH+, 100%)。
工程7 ムチリン14−(キヌクリジン−4−イル)−アセテート
1,4−ジオキサン(5ml)中の(3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン14−(キヌクリジン−4−イル)−アセテート(0.37g,0.008モル)を濃塩酸(5ml)で処理し、周囲温度で4時間撹拌した。水(20ml)を添加し、炭酸水素ナトリウムを用いて混合物を塩基性にした。生成物をクロロホルム(2x25ml)で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発乾固させて標記化合物を白色泡状物質として得た(0.33g,92%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.7 (1H, d, J 7 Hz), 0.85 (1H, d, J 7 Hz), 1.1 (3H,s), 1.4 (3H, s), 2.85 (6H, t, J 9 Hz), 3.30-3.45 (1H, br s), 5.18 (1H, d, J 17 Hz), 5.31 (1H, d, J 10 Hz), 5.75 (1H, J, 10 Hz), 6.50 (1H, dd, J 17 および 10 Hz). MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 472 (MH+, 100%)。
【0074】
実施例25−ムチリン14−(キヌクリジン−4−イルメチル)−アミノアセテート
工程1 4−シアノキヌクリジン
キヌクリジン−4−イルカルボニルクロリド塩酸塩(実施例8、工程4)(3.4g,0.016モル)をアセトニトリル(150ml)に溶解し、35%アンモニア溶液(50ml)で処理した。混合物を周囲温度で18時間撹拌し、次いで、減圧乾燥した。次いで、残渣1gをオキシ塩化リン(8ml)とともに5時間還流させて処理した。次いで、混合物を減圧濃縮し、残渣を、炭酸カリウム飽和溶液およびジエチルエーテル(4x50ml)間に分配させた。一緒にした有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。0〜5%メタノール/クロロホルムで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより標記化合物を得た(0.34g,75%)。1H NMR (CDCl3) 1.85 (6H, t, J 10 Hz), 2.91 (6H, t, J 10 Hz)。
工程2 4−アミノメチルキヌクリジン
4−シアノキヌクリジン(0.31g,0.0028モル)を、テトラヒドロフラン(20ml)中の水素化アルミニウムリチウム(0.45g,0.012モル)を用いて、周囲温度で18時間還元した。ジエチルエーテル(20ml)を添加し、次いで、水(1.8ml)および10%w/v水酸化ナトリウム水溶液(0.68ml)を添加し、混合物を30分撹拌した。次いで、混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮して標記化合物を得た(0.3、94%)。
工程3 ムチリン14−(キヌクリジン−4−イルメチル)−アミノアセテート
クロロホルム(20ml)中の4−アミノメチルキヌクリジン(0.2g,0.0014モル)をジイソプロピルエチルアミン(0.54g,0.0042モル)およびムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート(0.65g,0.0014モル)で処理した。混合物を還流下で4時間加熱し、次いで、放冷した。溶液を炭酸水素ナトリウム飽和溶液(2x20ml)で洗浄した。有機相を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、ついで、濃縮した。クロロホルム中0〜10%(9:1 メタノール/35%アンモニア溶液)で溶離するSep-Pakシリカゲル(10g)カートリッジでのクロマトグラフィーにより標記化合物を得た(0.0065g,1%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.71 (3H, d, J 7 Hz), 0.89 (3H, d, J 7 Hz), 1.1 (3H, s), 1.41 (3H, s), 2.80 (6H, t, J 10 Hz), 3.28 (2H, q, J 21 Hz), 5.20 (1H, d, J 17 Hz), 5.35 (1H, d, J 11 Hz), 5.75 (1H, d, J 8 Hz), 6.52 (1H, dd, J 17 および 11 Hz). MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 501 (MH+, 30%)。
【0075】
実施例26−ムチリン14−[3−(キヌクリジン−4−イル)−アクリレート]
工程1 N’,O−ジメチルキヌクリジン−4−イルアミド
アセトニトリル(600ml)中のキヌクリジン−4−イルカルボニルクロリド塩酸塩(実施例8、工程4)(16.5g,0.079モル)を0℃においてN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(8.8g,0.09モル)およびピリジン(20ml,0.24モル)で処理し、周囲温度で18時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、残渣を炭酸カリウム飽和溶液およびジエチルエーテル間に分配させた。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発乾固させて標記化合物を得た(8.8g,57%)。1H NMR (CDCl3) 1.88 (6H, t, J 10 Hz), 2.91 (6H, t, J 10 Hz), 3.13 (3H, s), 3.65 (3H, s)。
工程2 キヌクリジン−4−カルボキシアルデヒド
乾トルエン中のN,O−ジメチルキヌクリジン−4−イルアミド(8.77g,0.044モル)を−70℃において1.5モラーのジイソブチルアルミニウムヒドリド(45ml,0.067モル)で処理し、2時間かけて周囲温度まで暖めた。過剰の5M塩酸を添加して反応を制止し、炭酸カリウムで塩基性にし、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。クロロホルム中0〜10%(9:1 メタノール/880アンモニア)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより標記化合物を得た(1.3g,21%)。1H NMR (CDCl3) 1.59 (6H, t, J 10 Hz), 2.90 (6H, t, J 10 Hz), 9.40 (1H, s)。
工程3 3−(キヌクリジン−4−イル)−アクリル酸エチル
ジメトキシエタン(50ml)中のホスホノ酢酸トリエチル(1.6ml,0.0077モル)を水素化ナトリウム油中60%分散物(0.35g,0.0088モル)で周囲温度において1時間処理した。次いで、キヌクリジン−4−カルボキシアルデヒド(1.0g,0.0072モル)を添加し、混合物を還流下で2時間加熱し、次いで、放冷し、減圧濃縮した。残渣を、工程2と同様に溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにかけて標記化合物を得た(0.71g,47%)。1H NMR (CDCl3) 1.29 (3H, t, J 10 Hz), 1.55 (6H, t, J 10 Hz), 2.99 (6H, t, J 10 Hz), 4.18 (2H, q, J 10 Hz), 5.65 (1H, d, J 19 Hz), 6.79 (1H, d, J 19 Hz)。
工程4 3−(キヌクリジン−4−イル)−アクリル酸塩酸塩
3−(キヌクリジン−4−イル)−アクリル酸エチル(0.7g,0.0033モル)を5モラーの塩酸(30ml)とともに還流下で18時間加熱し、次いで、減圧濃縮して油状物質を得た。アセトンで粉砕して標記化合物をわずかに灰色がかった白色の固体として得た(0.43g,60%)。
MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 182 (MH+, 100%)。
工程5 3−(キヌクリジン−4−イル)−アクリロイルクロリド塩酸塩
実施例8の工程4の方法で3−(キヌクリジン−4−イル)−アクリル酸から標記化合物を調製した。MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 196 (MH+, 100% - メタノールとの反応から生じたメチルエステル)。
工程6 (3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン−14−[3’−(キヌクリジン−4−イル)−アクリレート]
3−(キヌクリジン−4−イル)アクリロイルクロリド(0.24g,0.001モル)および(3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン(0.34g,0.001モル)を一緒にしてジメチルホルムアミド(15ml)中で、110℃において18時間加熱した。混合物を放冷し、減圧濃縮した。残渣をクロロホルムおよび炭酸水素ナトリウム飽和溶液間に分配させた。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発乾固させた。クロロホルム中0〜10%(9:1 メタノール/35%アンモニア溶液)で溶離するSep-Pakシリカゲル(10g)カートリッジでのクロマトグラフィーにより標記化合物を得た(0.035g,6.5%)。MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 498 (MH+, 100%)。
工程7 ムチリン14−[3−(キヌクリジン−4−イル)−アクリレート]
実施例24の工程7と同様の方法で、(3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン−14−[3’−(キヌクリジン−4−イル)−アクリレート](0.035g,0.00007モル)から標記化合物を調製した(0.026g,76%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.61 (3H, d, J 7 Hz), 0.8 (3H, d, J 7 Hz), 1.1 (3H, s), 2.80 (6H, t, J 10 Hz), 5.12 (1H, d, J 17 Hz), 5.28 (1H, d, J 11 Hz), 5.49 (1H, d, J 15 Hz), 5.70 (1H, d, J 8 Hz), 6.49 (1H, dd, J 17 および 11 Hz), 6.64 (1H, d, J 15 Hz); MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 484 (MH+, 85%)。
【0076】
実施例27−ムチリン14−[3−(キヌクリジン−4−イル)]−プロピオネート
工程1 3(キヌクリジン−4−イル)−プロピオン酸塩酸塩
3−(キヌクリジン−4−イル)−アクリル酸(実施例26、工程4)(0.2g,0.0009モル)を、大気圧下、周囲温度において、活性炭上10%パラジウム(0.05g)を用いて18時間水素添加した。触媒を濾別し、濾液を蒸発乾固させて標記化合物を得た(0.18g,89%)。MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 184 (MH+, 100%)。
工程2 3−(キヌクリジン−4−イル)−プロピオニルクロリド塩酸塩
実施例8の工程4と同様の方法で、3(キヌクリジン−4−イル)−プロピオン酸塩酸塩(0.18g,0.0008モル)から標記化合物を調製した(0.19g,100%)。MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 198 (MH+, 100%)-メタノールとの反応により生じたメチルエステル)。
工程3 (3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン14−[3’−(キヌクリジン−4−イル)−プロピオネート]
実施例24の工程6と同様の方法で、3−(キヌクリジン−4−イル)−プロピオニルクロリド塩酸塩(0.19g,0.0008モル)および(3R)−3−デオキソ−11−デオキソ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン(0.27g,0.0008モル)から標記化合物を調製した(0.19g,48%)。
MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 500 (MH+, 100%)。
工程4 ムチリン14−[3’−(キヌクリジン−4−イル)−プロピオネート]
実施例24の工程7と同様の方法で、(3R)−3−デオキソ−11−デオキシ−3−メトキシ−11−オキソ−4−エピムチリン14−[3’−(キヌクリジン−4−イル)−プロピオネート](0.18g,0.0004モル)から標記化合物を調製した(0.15g,83%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.69 (3H, d, J 7 Hz), 0.87 (3H, d, J 7 Hz), 1.15 (3H, s), 1.45 (3H, s), 2.85 (6H, t, J 10 Hz), 5.17 (1H, d, J 17 Hz), 5.33 (1H, d, J 11 Hz), 5.69 (1H, d, J 8 Hz), 6.51 (1H, dd, J 17 および 11 Hz). MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 486 (MH+, 100%)。
【0077】
実施例28−ムチリン14−(キヌクリジン−4−イルメチルオキシ)−アセテート
工程1 キヌクリジン−4−イルメタノール
キヌクリジン−4−カルボン酸塩酸塩(3.0g,0.016モル)を、テトラヒドロフラン(150ml)中の水素化アルミニウムリチウム(2.5g,0.066モル)で、周囲温度において18時間処理した。実施例25の工程1と同様に反応を仕上げて標記化合物2.24g(100%)を得た。MS (+ve エレクトロスプレー) m/z 142 (MH+, 100%)。
工程2 ムチリン14−(キヌクリジン−4−イルメチルオキシ)−アセテート
乾ジメチルホルムアミド(5ml)中のキヌクリジン−4−イルメタノール(0.3g,0.002モル)を、水素化ナトリウム油中60%分散物(0.095g,0.0022モル)で、周囲温度において1時間処理した。次いで、混合物を−10℃まで冷却し、ムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート(1.0g,0.002モル)を添加した。混合物を周囲温度で4時間撹拌し、次いで、減圧濃縮した。残渣を炭酸水素ナトリウム飽和溶液およびクロロホルム間に分配させた。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発乾固させた。クロロホルム中0〜10%(9:1 メタノール/880アンモニア溶液)で溶離するSep-Pakシリカゲル(10g)カートリッジでのクロマトグラフィーにより標記化合物を得た(0.12g,12%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.71 (3H, d, J 7Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.15 (3H, s), 1.40 (3H, s), 2.85 (6H, t, J 10 Hz), 3.14 (2H, dd, J 10 および J 2.6 Hz), 3.93 (2H, q, J 17 Hz), 5.19 (1H, d, J 17 Hz), 5.35 (1H, d, J 11 Hz), 5.82 (1H, d, J 8 Hz), 6.52 (1H, dd, J 17 および J 11 Hz), 5.82 (1H, d, J 8 Hz), 6.52 (1H, dd, J 17 および J 11 Hz). MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 502 (MH+, 100%)。
【0078】
実施例29−ムチリン14−[(3R)−キヌクリジン−3−イルアミノ]−アセテート
実施例28の工程2と同様の方法で、(R)−(+)−3−アミノキヌクリジン二塩酸塩およびムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテートから標記化合物を調製した(0.05g,9%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.72 (3H, d, J 7 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.18 (3H, s), 1.45 (3H, s), 5.20 (1H, d, J 17 Hz), 5.35 (1H, d, J 11 Hz), 5.78 (1H, d, J 8 Hz), 6.52 (1H, dd, J 17 および J 11 Hz). MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 487 (MH+, 82%)。
【0079】
実施例30−ムチリン14−(キヌクリジン−4−イル−アミノ)−アセテート
工程1 4−アミノキヌクリジン二塩酸塩
キヌクリジン−4−イルカルボニルクロリド(実施例8、工程4)(1.0g,0.0048モル)を、ジメチルホルムアミド(10ml)中のアジ化ナトリウム(0.34g,0.005モル)で、50℃において18時間処理した。混合物を減圧濃縮し、残渣を炭酸カリウム飽和溶液およびトルエン間に分配させた。トルエン溶液を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濾液を還流下で1時間加熱してイソシアネートを得た。混合物を放冷し、次いで、5M 塩酸(3x20ml)で抽出した。ついで、一緒にした酸抽出物を還流下で1時間加熱し、その後冷却し、蒸発乾固させた。アセトンで粉砕し、標記化合物を白色固体として得た(0.56g,60%)。M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 127 (MH+, 100%)。
工程2 ムチリン14−(キヌクリジン−4−イルアミノ)−アセテート
実施例28の工程2と同様の方法で、4−アミノキヌクリジン二塩酸塩およびムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテートから標記化合物を調製した(0.023g,3%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.7 (3H, d, J 7 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.17 (3H, s), 1.48 (3H, s), 2.95 (6H, t, J 10 Hz), 5.20 (1H, d, J 17 Hz), 5.35 (1H, d, J 11 Hz), 5.75 (1H, d, J 8 Hz), 6.49 (1H, dd, J 17 および J 11 Hz). M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 487 (MH+, 100%)。
【0080】
実施例31−ムチリン14−[4−(キヌクリジン−4−イル)]−ブチレート
工程1 キヌクリジン−4−アセトニトリル
クロロホルム中のメタンスルホニルクロリドおよびトリエチルアミンで処理することにより、キヌクリジン−4−イルメタノール(1.94g,0.014モル)を対応メシレートに変換した。メシレートをジメチルホムルアミド(50ml)に溶解し、シアン化ナトリウム(1.4g,0.028モル)で、120℃において18時間処理した。混合物を冷却し、減圧濃縮した。残渣を炭酸カリウム飽和溶液およびクロロホルム間に分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、次いで、蒸発乾固させた。0〜10%メタノール/クロロホルムで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより標記化合物を得た(1.5g,72%)。M.S. (+ve エレクトロスプレー) m/z 151 (MH+, 100%)。
工程2 キヌクリジン−4−イルアセトアルデヒド
乾トルエン(100ml)中のキヌクリジン−4−アセトニトリル(3.0g,0.02モル)を1.5モラーのジイソブチルアルミニウムヒドリド(19.7ml,0.03モル)で、周囲温度において5時間処理した。2M塩酸(50ml)を添加することにより混合物を不活性化させ、30分撹拌した。次いで、混合物を炭酸カリウムで塩基性にし、クロロホルムで抽出した。有機相を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発乾固させて標記化合物を油状物質として得た(2.2g,72%)。M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 154 (MH+, 100%)。
工程3 ムチリン14−[4−(キヌクリジン−4−イル)]−ブチレート
実施例26の工程3〜4および実施例27の工程1〜4と同様にして、キヌクリジン−4−イルアセトアルデヒドから6工程で標記化合物を得た(0.08g,6工程全体で3%)。1H NMR (CDCl3) 特に 0.65 (3H, d, J 7 Hz), 0.81 (3H, d, J 7 Hz), 1.10 (3H, s), 1.39 (3H, s), 2.95 (6H, t, J 10 Hz), 5.12 (1H, d, J 17 Hz), 5.27 (1H, d, J 11 Hz), 5.65 (1H, d, J 8 Hz), 6.43 (1H, dd, J 17 および J 11 Hz). M.S. (+ve エレクトロスプレー) m/z 500 (MH+, 100%)。
【0081】
実施例32−(±)ムチリン14−(1−アザビシクロ[3,3,0]オクト−4−イルメチルスルファニル)−アセテート
実施例15と同様の方法で、(±)−1−アザビシクロ[3,3,0]オクタン−4−イルメタノール(1.85g,0.007モル)(Pizzorno, M.T., Albornico S.M., J. Org. Chem. (1974) 39, 731)から標記化合物を調製した。これにより1.3g(71%)が得られた。1H NMR (CDCl3) 特に 0.75 (3H, d, J 7 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.17 (3H, s), 1.45 (3H, s), 5.20 (1H, d, J 17 Hz), 5.35 (1H, d, J 11 Hz), 5.75 (1H, d, J 8 Hz), 6.50 (1H, dd, J 17 および 11 Hz). M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 518 (MH+, 100%)。
【0082】
実施例33−(±)ムチリン14−(1−アザビシクロ[3,3,0]オクト−3−イルスルファニル)−アセテート
実施例15と同様の方法で、(±)−1−アザビシクロ[3,3,0]オクタン−3−オール(0.6g,0.0047モル)(Schnekenburger, J. Pharm. Inst., Univ. Kiel, Kiel, D-2300, Fed. Rep. Ger. Arch. Pharm. (1988), 321 (12), 925-9)から標記化合物を調製した。これにより0.21g(9%)が得られた。1H NMR (CDCl3) 特に 0.72 (3H, d, J 7 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.18 (3H, s), 1.45 (3H, s), 5.20 (1H, d, J 17 Hz), 5.34 (1H, d, J 11 Hz), 5.74 (1H, d, J 8 Hz), 6.46 (1H, dd, J 17 および J 11 Hz). M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 504 (MH+, 35%)。
【0083】
実施例34−ムチリン14−(エンド8−メチル−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−3−イルスルファニル)−アセテート
実施例15の方法を用いて、エキソ8−メチル−8−アザビシクロ[3,2,1]オクタン−3−オル(1.8g、0.0127モル)から標記化合物を調製した(Nickon, A., Fieser, L.F., J. American. Chem. Soc. (1952) 74, 5566)。その結果0.1g(1.5%)を得た。;1H NMR (CDCl3) 特に 0.73 (3H, d, J 7 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.17 (3H, s), 1.47 (3H, s), 5.18 (1H, d, J 17 Hz), 5.32 (1H, d, J 11 Hz), 5.75 (1H, d, J 8 Hz), 6.47 (1H, dd, J 17 and 11 Hz)。 M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 518 (MH+, 100%)。
【0084】
実施例35−(±)ムチリン14−(1−アザビシクロ[4,3,0]ノン−4−イルスルファニル)−アセテート
工程1 (±)1−アザビシクロ[4,3,0]ノナン−4−オル
テトラヒドロフラン(50ml)中1−アザビシクロ[4,3,0]ノナン−4−オン(1.0g、0.0072モル)(King,F.D.、J.Chem.Soc.Perkin.Trans.1、(1986)447)を、外界温度で18時間、水素化アルミニウムリチウム(0.7g、0.0185モル)で処理した。慣例の方法で後処理して、標記化合物1.0g(100%)を得た。M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 142 (MH+, 95%)。
工程2 (±)ムチリン14−(1−アザビシクロ[4,3,0]ノン−4−イルスルファニル)−アセテート
実施例15の方法を用いて、(±)1−アザビシクロ[4,3,0]ノナン−4−オル(1.0g、0.0072モル)から標記化合物を調製した。その結果、1.12g(28%)を得た。;1H NMR (CDCl3) 特に 0.72 (3H, d, J 7 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.20 (3H, s), 1.47 (3H, s), 5.21 (1H, d, J 17 Hz), 5.34 (1H, d, J 11 Hz), 5.77 (1H, d, J 8 Hz), 6.48 (1H, dd, J 17 and 11 Hz)。M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 518 (MH+, 100%)。
【0085】
実施例36−(±)19,20−ジヒドロムチリン14−(1−アザビシクロ[4,3,0]ノン−4−イルスルファニル)−アセテート
実施例15の方法を用いて、(±)1−アザビシクロ[4,3,0]ノナン−4−オル(0.66g、0.0047モル)および19,20−ジヒドロムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート(2.43g、0.0047ミリモル)から標記化合物を調製し、その結果0.44g(18%)を得た。;1H NMR (CDCl3) 特に0.71 (3H, d, J 7 Hz), 0.8 (3H, t, J 9 Hz), 1.45 (3H, s), 3.15 (2H, s), 5.65 (1H, d, J 8 Hz)。 M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 520 (MH+, 100%)。
【0086】
実施例37−ムチリン14−(1−カルボキシメチルピペリジン−4−イルスルファニル)−アセテート
工程1 tert−ブチル(ピペリジン−4−オン−1−イル)−アセテート
4−ピペリドン一水和物塩酸塩(5g、0.033モル)を、ジメチルホルムアミド(100ml)中のtert−ブチルブロモアセテート(6.98g、0.037モル)および炭酸カリウム(13.65g、0.099モル)を用いて24時間100℃で処理した。該混合物を冷却し、減圧濃縮した。残渣を飽和炭酸カリウム溶液およびジエチルエーテル(2×50ml)間に分配した。合した有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発乾固させ、標記化合物を7.36g(94%)得た。;
1H NMR (CDCl3) 1.45 (9H, s), 2.45 (4H, t, J 7 Hz), 2.3-2.4 (4H, m), 3.29 (2H, s)。
工程2 tert−ブチル(ピペリジン−4−オル−1−イル)−アセテート
tert−ブチル(ピペリジン−4−オン−1−イル)−アセテート(3g、0.014モル)をメタノール(150ml)中の水素化ホウ素ナトリウム(1.13g、0.028モル)を用いて外界温度で1時間処理した。氷酢酸(1.68g、0.028モル)を添加し、該混合物を15分間攪拌した。該混合物を減圧濃縮し、残渣を飽和カルボン酸ナトリウムおよび酢酸エチル間に分配した。有機相を分離して、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発乾固させて、標記化合物(2.9g、96%)を得た。M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 216 (MH+, 100%)。
工程3 ムチリン(1−カルボキシメチルピペリジン−4−イルスルファニル)−アセテート
実施例15の方法を用いて、tert−ブチル(ピペリジン−4−オル−1−イル)−アセテート(1.5g、0.007モル)から標記化合物を調製した。tert−ブチルエステル基を後処理にて加水分解する。この結果0.3g(8%)を得た。; 1H NMR (CDCl3) 特に 0.7 (3H, d, J 7 Hz), 0.88 (3H, d, J 7 Hz), 1.17 (3H, s), 1.47 (3H, s), 5.22 (1H, d, J 17 Hz), 5.35 (1H, d, J 11 Hz), 5.75 (1H, d, J 8 Hz), 6.45 (1H, dd, J 17 and 11 Hz)。 M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 536 (MH+, 100%)。
【0087】
実施例38−ムチリン14−(ピペリジン−4−イルスルファニル)−アセテート
工程1 1(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−オル
1(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリドン(5g、0.025モル)を実施例37の工程2の方法を用いて、水素化ホウ素ナトリウム(1.89g、0.05モル)で処理し、標記化合物5.07g(100%)を得た。;1H NMR (CDCl3) 特に 1.45 (9 H, s), 1.29-1.41 (2 H, m), 2.42-3.05 (2H, m), 3.75-3.99 (3H, m)。
工程2 ムチリン14−(1−tert−ブトキシカルボニルピペリド−4−イルチオ)−アセテート
実施例15の方法を用いて、1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−オル(2.5g、0.012モル)から標記化合物を調製した。M.S. (-ve イオンエレクトロスプレー) m/z 576 (M-H, 100%)。
工程3 ムチリン14−(ピペリジン−4−イルスルファニル)−アセテート
工程2の生成物をジクロロメタン(100ml)中のトリフルオロ酢酸(10ml)で2時間0℃で処理した。混合物を減圧濃縮し、残渣を飽和炭酸水素ナトリウムおよびクロロホルム間に分配した。有機相を分離させ、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発乾固させた。クロロホルム中の0−10%(9:1メタノール/880アンモニア)で溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、標記化合物1.01g(26%)を得た。; 1H NMR (CDCl3) 特に 0.75 (3H, d, J 7 Hz), 0.9 (3H, d, J 7 Hz), 1.18 (3H, s), 1.45 (3H, s), 5.20 (1H, d, J 17 Hz), 5.35 (1H, d, J 11 Hz), 5.80 (1H, d, J 8 Hz), 6.52 (1H, dd, J 17 and 11 Hz)。 M.S. (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 478 (MH+, 65%)。
【0088】
実施例39−ムチリン14−(1−メチルピペリジン−4−イルメチルスルファニル)−アセテート塩酸塩
工程1 1−メチル−4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン
1−メチルピペリジン−4−カルボン酸ヒドロクロリド(J.Med.Chem.1988,31,812)(1g、0.007モル)を、アルゴン雰囲気下0℃で乾テトラヒドロフラン(100ml)中の水素化アルミニウムリチウム(1.3g、0.035モル)の懸濁液に数滴ずつ加えた。該混合物を還流下で一晩加熱した後、0℃まで冷却し、水(1.3ml)、10%水酸化ナトリウム水溶液(1.95ml)および水(3.25ml)で滴下処理し、室温で1時間攪拌した。得たられスラリーをセライトフィルターで濾過し、濾液を減圧蒸発させ、標記化合物0.90g(99.7%)を淡橙色油として得た。; 1H NMR (CDCl3) 1.18-1.53 (3H, m), 1.67-1.81 (2H, m), 1.83-2.12 (3H, m), 2.28 (3H, s), 2.79-2.94 (2H, m), 3.50 (2H, d, J 7 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 130 (MH+)。
工程2 (1−メチルピペリジン−4−イルメチルスルファニル−アセテート
トリフェニルホスフィン(3.67g、0.014モル)を乾テトラヒドロフラン(25ml)中に溶解させ、アルゴン雰囲気下0℃まで冷却した。アゾジカルボン酸ジイソプロピル(2.75ml、0.014モル)を滴下し、混合物を0℃で0.5時間攪拌した。工程1の生成物(0.90g、0.007モル)および乾テトラヒドロフラン(50ml)中のチオ酢酸(1.0ml、0.014モル)を滴下し、混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧除去し、残渣を1M塩酸およびジエチルエーテル間に分配した。水相を、トリフェニルホスホリン酸化物が完全に除去されるまでジエチルエーテルで洗浄し、固体炭酸カリウムで塩基性化し、ジクロロメタンに抽出し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、減圧蒸発させ、標記化合物0.60g(46%)を淡黄色油として得た。; 1H NMR (CDCl3) 1.22-1.59 (3H, m), 1.72-1.85 (2H, m), 1.95 (2H, dt, J 13 and 3 Hz), 2.28 (3H, s), 2.35 (3H, s), 2.80-2.98 (4H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 188 (MH+)。
工程3 ムチリン14−(1−メチルピペリジン−4−イルメチルスルファニル)−アセテート塩酸塩
工程2の生成物(0.19g、0.001モル)をアルゴン雰囲気下、乾燥エタノール(10ml)で溶解し、ナトリウムメトキシド(0.054g、0.001モル)で処理した。混合物を1時間攪拌し、ムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート(0.456g、0.001モル)を加えた。混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧除去し、残渣を水およびジクロロメタン間に分配した。有機相を乾燥させ(硫酸マグネシウム)減圧蒸発させた。残渣をジクロロメタンで15%メタノール/ジクロロメタンまで溶離するカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。得られたゴム状物質を塩酸塩に転化させ、標記化合物0.17g(34%)を白色泡沫として得た。; 1H NMR (CDCl3) 特に 0.73 (3H, d, J 7 Hz), 0.90 (3H, d, J 7 Hz), 5.23 (1H, dd, J 17 and 3 Hz), 5.35 (1H, dd, J 13 and 3 Hz), 5.73 (1H, d, J 7 Hz), 6.48 (1H, q, J 17 and 10 Hz), 12.26-12.69 (1H, br s);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 506 (MH+ 遊離塩基)。
【0089】
実施例40−ムチリン14−{(3S,4R)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト3−イルメチルスルファニル}−アセテート
工程1 (3S,4R)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イルメタノール
実施例1の工程1の方法を用いて、(3S,4R)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−カルボン酸塩酸塩(WO98/05659、スミスクラインビーチャム)から標記化合物0.60g(84%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 1.38-1.65 (1H, m), 1.83-2.00 (1H, m), 2.12-2.66 (7H, m), 2.78-3.05 (2H, m), 3.49-3.81 (2H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 128 (MH+)。
工程2 [(3S,4R)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イルメチルスルファニル]−アセテート
実施例1の工程2の方法を用いて、工程1の生成物から標記化合物0.58g(66%)を調整した。;1H NMR (CDCl3) 1.36-1.63 (2H, m), 1.90-2.01 (1H, m), 2.10-2.29 (1H, m), 2.34 (3H, s), 2.40-2.58 (4H, m), 2.78-2.96 (2H, m), 3.00-3.13 (2H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 186 (MH+)。
工程3 ムチリン14−{(3S,4R)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イルメチルスルファニル}−アセテート
実施例1の工程3の方法を用いて、工程2の生成物から標記化合物0.21g(42%)を調整した。10%メタノール/ジクロロメタンで溶離するフラッシュクロマトグラフィーを用いて化合物を精製した。;1H NMR (CDCl3)特に0.76 (3H, d, J 7 Hz), 0.90 (3H, d, J 7 Hz), 3.13 (2H, s), 5.20 (1H, dd, J 18 and 2 Hz), 5.34 (1H, dd, J 12 and 2 Hz), 5.78 (1H, d, J 7 Hz), 6.51 (1H, q, J 18 and 13 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 504 (MH+)。
【0090】
実施例41−ムチリン14−(キヌクリジン−2−イルメチルスルファニル)−アセテート
工程1 (キヌクリジン−2−イルメチルスルファニル)−アセテート
実施例1の工程2を用いて、キヌクリジン−2−イルメタノールから標記化合物0.78g(55%)を調製した(J. Am. Chem. Soc.、1988、116、1278)。;1H NMR (CDCl3) 1.08-1.22 (1H, m), 1.40-1.58 (4H, m), 1.73-1.90 (2H, m), 2.35 (3H, s), 2.66-3.28 (7H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 158 (MH+ チオール)
工程2 ムチリン14−(キヌクリジン−2−イルメチルスルファニル)-アセテート
実施例1の工程3を用いて、工程1の生成物から標記化合物0.20g(39%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 特に 1.75 (3H, d, J 7 Hz), 0.90 (3H, d, J 7 Hz), 3.18 (2H, d, J 7 Hz), 5.21 (1H, dd, J 18 and 2 Hz), 5.37 (1H, dd, J 12 and 2 Hz), 5.75 (1H, d, J 7 Hz), 6.50 (1H, q, J 18 and 12 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 518 (MH+)。
【0091】
実施例42−ムチリン14−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イルメチルスルファニル)−アセテート
工程1 (1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イルメチルスルファニル)−アセテート
実施例1の工程2の方法を用いて、1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イルメタノール(WO93/15080)から標記化合物0.55g(42%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 1.21-1.35 (2H, m), 1.50-1.68 (2H, m), 2.29 (2H, s), 2.38 (3H, s), 2.53-2.70 (2H, m), 2.99-3.05 (2H, m), 3.28 (2H, s);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 186 (MH+)。
工程2 ムチリン14−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イルメチルスルファニル)−アセテート
実施例1の工程3の方法を用いて、工程1の生成物から標記化合物0.14g(28%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 特に 0.78 (3H, d, J 7 Hz), 0.90 (3H, d, J 7 Hz), 3.16 (2H, s), 5.22 (1H, dd, J 18 and 2 Hz), 5.37 (1H, dd, J 12 and 2 Hz), 5.78 (1H, d, J 8 Hz), 6.50 (1H, q, J 18 and 12 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 504 (MH+)。
【0092】
実施例43−ムチリン14−{(3R,4S)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イルメチルスルファニル}−アセテート
工程1 (3R,4S)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イルメタノール
実施例1の工程1の方法を用いて、(3R,4S)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−カルボン酸から標記化合物0.68g(95%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 1.37-1.71 (2H, m), 1.82-2.00 (1H, m), 2.10-2.72 (6H, m), 2.77-3.05 (2H, m), 3.47-3.76 (2H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 128 (MH+)。
工程2 [(3R,4S)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イルメチルスルファニル]−アセテート
実施例1の工程2の方法を用いて、工程1の生成物から標記化合物0.22g(25%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 1.40-1.70 (2H, m), 1.93-2.09 (1H, m), 2.12-2.31 (1H, m), 2.35 (3H, s), 2.51-2.70 (4H, m), 2.78-2.98 (2H, m), 3.0-3.15 (2H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 186 (MH+)。
工程3 ムチリン14−{(3R,4S)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−イルメチルスルファニル}−アセテート
実施例1の工程3の方法を用いて、工程2の生成物から標記化合物0.12g(20%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 特に 0.72 (3H, d, J 7 Hz), 0.89 (3H, d, J 7 Hz), 3.13 (2H, s), 5.21 (1H, dd, J 18 and 2 Hz), 5.35 (1H, dd, J 12 and 2 Hz), 5.76 (1H, d, J 7 Hz), 6.50 (1H, q, J 18 and 12 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 504 (MH+)。
【0093】
実施例44−ムチリン14−(1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イルメチルスルファニル)−アセテート
工程1 1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イルメタノール
実施例1の工程1の方法を用いて、1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−5−カルボン酸塩酸塩から標記化合物2.05g(93%)を調製した(J. Med. Chem.、 1991、 34、2726-2735)。;1H NMR (CDCl3) 1.39-1.90 (5H, m), 2.61 (2H, s), 2.70 (4H, m), 3.35 -3.75 (4H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 142 (MH+)。
工程2 [1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イルメチルスルファニル]−アセテート
実施例1の工程2の方法を用いて、工程1の生成物から標記化合物1.0g(35%)を調整した;1H NMR (CDCl3) 1.45-1.89 (6H, m), 2.47 (3H, s), 2.60 (2H, s), 2.70-2.94 (3H, m), 3.00-3.17 (3H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 200 (MH+)。
工程3 ムチリン14−(1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イルメチルスルファニル)−アセテート
実施例1の工程3の方法を用いて、工程2の生成物から標記化合物0.19g(7%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 特に 0.73 (3H, d, J 7 Hz), 0.90 (3H, d, J 7 Hz), 5.20 (1H, dd, J 18 and 2 Hz), 5.37 (1H, dd, J 12 and 2 Hz), 5.76 (1H, d, J 7 Hz), 6.48 (1H, q, J 18 and 12 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 518 (MH+)。
【0094】
実施例45−ムチリン14−{(R)−1−メチルピペリド−2−イルメチルスルファニル}−アセテート
工程1 (R)−1−エチルカルバモイルピペリジン−2−カルボン酸
乾ジクロロメタン(10ml)中L−ピペコリン酸(0.50g、0.004モル)をアルゴン雰囲気下で0℃まで冷却し、トリエチルアミン(0.65ml、0.0046モル)で処理し、ついで、乾ジクロロメタン(2ml)中エチルクロロ炭酸塩(0.37ml、0,004モル)を滴下した。混合物を室温で一晩攪拌後、ジクロロメタンで希釈し、5M塩酸で洗浄し、有機相を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、減圧蒸発させて標記化合物0.60g(77%)を橙色油として得た。;1H NMR (CDCl3) 1.12-1.84 (8H, m), 2.15-2.40 (1H, m), 2.88-3.20 (1H, m), 3.90-4.28 (3H, m), 4.77-5.07 (1H, m), 5.68-6.82 (1H, br s)。
工程2 (R)−1−メチルピペリジン−2−イルメタノール
乾テトラヒドロフラン(10ml)中の工程1の生成物(0.60g、0.003モル)を乾テトラヒドロフラン(20ml)中水素化アルミニウムリチウムの懸濁液に滴下した。混合物を還流下2時間加熱し、室温で一晩攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、水(0.5ml)を滴下し、つづいて10%水酸化ナトリウム水溶液(0.9ml)および水(1.4ml)を加えた。混合物を1時間攪拌し、セライトフィルターで濾過し、濾液を減圧蒸発させ、標記化合物0.31g(80%)を淡黄色油として得た。; 1H NMR (CDCl3) 1.17-2.00 (8H, m), 2.14 (1H, dt, J 13 and 2 Hz), 2.30 (3H, s), 2.76-2.96 (1H, m), 3.40 (1H, dd, J 13 and 1 Hz), 3.88 (1H, dd, J 12 and 5 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 130 (MH+)。
工程3 [(R)−1−メチルピペリド−2−イルメチルスルファニル]−アセテート
実施例1の工程2の方法を用いて、工程2の生成物から標記化合物0.30g(71%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 1.16-1.76 (6H, m), 2.00-2.18 (2H, m), 2.29 (3H, s), 2.35 (3H, s), 2.80-2.92 (1H, m), 3.00-3.23 (2H, m)。
工程4 ムチリン 14−{(R)−1−メチルピペリド−2−イルメチルスルファニル}−アセテート
実施例1の工程3の方法を用いて、工程3の生成物から標記化合物0.19g(22%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 特に 0.75 (3H, d, J 7 Hz), 0.89 (3H, d, J 7 Hz), 3.11 (2H, s), 3.36 (1H, q, J 12 and 7 Hz), 5.19 (1H, dd, J 18 and 2 Hz), 5.35 (1H, dd, J 12 and 2 Hz), 5.75 (1H, d, J 7 Hz), 6.50 (1H, q, J 18 and 12 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 506 (MH+)。
【0095】
実施例46−ムチリン14−{(S)−1−メチルピロリド−2−イルメチルスルファニル}−アセテート
工程1 [(S)1−メチルピロリド−2−イルメチルスルファニル]−アセテート
実施例1の工程2の方法を用いて、(S)(−)−1−メチル−2−ピロリド−2−イルメタノールから標記化合物0.64g(85%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 1.44-1.61 (1H, m), 1.65-1.85 (2H, m), 1.87-2.04 (1H, m), 2.15-2.42 (2H, m), 2.35 (3H, s), 2.38 (3H, s), 2.82-2.94 (1H, m), 3.05-3.14 (1H, m), 3.28 (1H, dd, J 13 and 3 Hz);MS (-ve イオンエレクトロスプレー) m/z 130 (M-H for チオール)。
工程2 ムチリン 14−{(S)−1−メチルピロリド−2−イルメチルスルファニル}−アセテート
標記化合物0.17g(23%)を実施例1の工程3の方法を用いて、工程1の生成物から調製した。;1H NMR (CDCl3) 特に 0.76 (3H, d, J 7 Hz), 0.90 (3H, d, J 7 Hz), 3.18 (2H, s), 3.35 (1H, q, J 10 and 7 Hz), 5.20 (1H, dd, J 18 and 2 Hz), 5.35 (1H, dd, J 12 and 2 Hz), 5.75 (1H, d, J 7 Hz), 6.50 (1H, q, J 18 and 12 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 492 (MH+)。
【0096】
実施例47−ムチリン14−{(R)−1−メチルピペリド−3−イルメチルスルファニル}−アセテート
工程1 (R)−エチル1−エチルカルボニルピペリジン−3−カルボキシレート
乾ジクロロメタン(50ml)中(R)−エチルニペコテート(J.Org. Chem.、56、1991、1166-1170)(3.0g、0.019モル)をアルゴン雰囲気下で0℃まで冷却した。トリエチルアミン(3.19ml、0.023モル)を添加し、ついで乾ジクロロメタン(6ml)中エチルクロロ炭酸塩(1.83ml、0.019モル)を滴下し、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)減圧蒸発させて、標記化合物3.45g(79%)を無色油として得た。1H NMR (CDCl3) 1.28 (6H, t, J 7 Hz), 1.38-1.82 (3H, m), 2.00-2.15 (1H, m), 2.38-2.55 (1H, m), 2.77-3.13 (2H, m), 3.91-4.04 (1H, m), 4.07-4.35 (5H, m)。
工程2 (R)1−メチルピペリド−3−イルメタノール
実施例7の工程2の方法を用いて、工程1の生成物から標記化合物1.8g(92%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 0.90-1.12 (1H, m), 1.50-1.90 (5H, m), 1.94-1.99 (1H, m), 2.25 (3H, s), 2.57-2.74 (1H, m), 2.79-2.92 (1H, m), 3.14-3.71 (3H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 130 (MH+)。
工程3 [(R)−1−メチルピペリド−3−イルメチルスルファニル]−アセテート
実施例1の工程2の方法を用いて、工程2の生成物から標記化合物0.59g(81%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 0.87-1.06 (1H, m), 1.44-1.94 (6H, m), 2.27 (3H, s), 2.34 (3H, s), 2.62-2.92 (4H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 188 (MH+)。
工程4 ムチリン14−{(R)−1−メチルピペリド−3−イルメチルスルファニル}−アセテート
実施例1の工程3の方法を用いて、工程3の生成物から標記化合物0.26g(34%)を調製した。;1H NMR (CDCl3) 特に 0.74 (3H, d, J 7 Hz), 0.90 (3H, d, J 7 Hz), 3.12 (2H, d, J 2 Hz), 3.30-3.44 (1H, m), 5.22 (1H, dd, J 18 and 2 Hz), 5.38 (1H, dd, J 12 and 2 Hz), 5.76 (1H, d, J 7 Hz), 6.50 (1H, q, J 18 and 12 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 506 (MH+)。
【0097】
実施例48−ムチリン14−(キヌクリジン−4−イルメチルスルファニル)−アセテート
乾テトラヒドロフラン(50ml)中トリフェニルホスフォリン(1.1g、0.0042モル)をアルゴン雰囲気下で氷冷し、アゾジカルボン酸ジイソピル(0.85g、0.0042モル)で処理した。30分後チオ酢酸の溶液(0.315ml、0.0042モル)および乾テトラヒドロフラン中キヌクリジン−4−イルメタノール(0.565g、0.0042モル)を滴下した。ついで混合物を5℃で72時間放置した。減圧濃縮し、残渣をジエチルエーテルおよび1M塩酸間に分配した。水相をジエチルエーテルで洗浄し、減圧濃縮して固体(0.65g)を得た。該固体をエタノールで溶解し、カリウム−tert−ブトキシド(0.785g、0.007モル)。30分間攪拌した後、ムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート(1.38g、0.003モル)を添加した。混合物をアルゴン雰囲気下で18時間攪拌し、ついで減圧濃縮した。残渣をクロロホルムおよび水間に分配した。有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液(10/1/0.1)で溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、標記化合物0.478g(31%)を得た。; 1H NMR (CDCl3) 特に 0.74 (3H, d, J 6.5 Hz), 0.88 (3H, d, J 6.7 Hz), 1.17 (3H, s), 1.40 (6H, t, J 8 Hz), 1.49 (3H, s), 2.47 (2H, s), 2.87 (6H, t, J 8 Hz), 3.0 (2H, s), 3.36 (1H, m), 5.1 to 5.4 (2H, m), 5.75 (1H, d, J 8.3 Hz), 6.48 (1H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 518 (MH+, 100%)。
【0098】
実施例49−ムチリン14−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルメチルスルファニル)−アセテート
工程1 (8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)メタノール
実施例24の工程1に記載の方法を用いて、8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸塩酸塩(WO98/05659、実施例25、工程3)から標記化合物を調製した。0.78g(100%);1H NMR (CDCl3) 特に 1.3-2.0 (9H, m), 2.25 (3H, s), 3.16 (2H, m), 3.44 (2H, d, J 6.3 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 156 (MH+, 100%)。
工程2 ムチリン 14−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルメチルスルファニル)−アセテート
実施例15に記載の方法を用いて、(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)メタノールおよびムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテートから標記化合物を調製した。0.101g(19%);1H NMR (CDCl3) 特に 0.74 (3H, d, J 6.5 Hz), 0.88 (3H, d, J 7.0 Hz), 1.25 (3H, s), 1.49 (3H, s), 2.34 (3H, s), 2.48 (2H, d,), 3.1 (2H, s), 3.15 (2H, m), 3.36 (1H, m), 5.1-5.4 (2H, m), 5.74 (1H, d, J 8.5 Hz), 6.48 (1H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 533 (MH+, 85%)。
【0099】
実施例 50−ムチリン14−(エキソ−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルスルファニル)−アセテート
実施例15に記載の方法を用いて、エンド−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オルおよびムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテートから標記化合物を調製した。0.09g(17%);1H NMR (CDCl3) 特に 0.74 (3H, d, J 6.7 Hz), 0.99 (3H, d, J 7.5 Hz), 1.18 (3H, s), 1.63 (3H, s), 2.28 (3H, s), 3.0 (1H, m), 3.13 (2H, s), 3.16 (2H, m), 3.36 (1H, m), 5.15 to 5.37 (2H, m), 5.77 (1H, d, J 8.3 Hz), 6.49 (1H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 518 (MH+, 100%)。
【0100】
実施例51−ムチリン14−[(3−(キヌクリジン−4−イルスルファニル)]−プロピオネート
工程1 ムチリン14−アクリレート−11−トリフルオロアセテート
ムチリン11−トリフルオロアセテート(WO97/25309、実施例85、工程2)(3.0g、0.0072モル)、トリエチルアミン(3.74g、0.037モル)およびジクロロメタン(100ml)中の触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを塩化アクリルロイル(3.33g、0.037モル)で、アルゴン雰囲気下、室温で一晩処理した。反応混合物を水およびジクロロメタン間に分配した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。残渣を、酢酸エチル/ペトロレウムエーテル40−60゜(1:10)で溶離するシリカゲル上でクロマトグラフィーに付し、標記化合物1.25g(37%)を得た。; 1H NMR (CDCl3) 特に 0.69 (3H, d, J 6.6 Hz), 0.84 (3H, d, J 7 Hz), 1.06 (3H, s), 1.52 (3H, s), 2.1 to 2.4 (4H, m), 2.65 (1H, m), 5.0 (1H, d, 6.9 Hz), 5.20-5.37 (2H, m), 5.72-5.86 (2H, m), 6.0-6.1 (1H, m), 6.3-6.5 (2H, m)。
工程2 ムチリン14−[(3−キヌクリジン−4−イルスルファニル)]−プロピオネート
ムチリン14−アクリレート−11−トリフルオロアセテート(0.376g、0.008モル)を、メタノール(15ml)中キヌクリジン−4−チオールヒドロクロリド(0.145g、0.0008モル)およびカリウム−tert−ブトキシド(0.094g、0.000838モル)から調製し、カリウムキヌクリジン−4−スルファネートでアルゴン雰囲気下、一晩室温で処理した。溶媒を減圧除去し、残渣をクロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液(10:1:0.1)混合物を用いて溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付した。該処理での生成物(0.262g)をテトラヒドロフラン/水(5:1)(6ml)に溶解し、0.5M水酸化ナトリウム溶液(1ml)で3時間室温で処理した。反応混合物を減圧濃縮した。残渣をクロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液(9:1:0.1)混合物を用いて溶離するクロマトグラフィーに付して、標記化合物0.152g(全収率36%)を得た。;
1H NMR (CDCl3) 特に 0.72 (3H, d, J 6.5 Hz), 0.87 (3H, d, J 7.0 Hz), 1.08 (3H, s), 1.63 (3H, s), 1.69 (6H, t, J 8 Hz), 2.00-2.47 (7H, m), 2.74 (2H, t, J 7.8 Hz), 3.36 (1H, m), 5.17-5.38 (2H, m), 5.74 (1H, d, J 8.5 Hz), 6.52 (1H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 518 (MH+, 100%)。
【0101】
実施例52−ムチリン14−[3−(キヌクリジン−4−イルメチルスルファニル)]−プロピオネート
乾テトラヒドロフラン(50ml)中トリフェニルホスフィン(1.1g、0.0042モル)の氷冷却溶液にアゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.85g、0.0042モル)を滴下した。30分後、乾テトラヒドロフラン(20ml)中チオ酢酸の溶液(0.335g、0.0042モル)およびキヌクリジン−4−イルメタノール(実施例28、工程1)(0.565g、0.004モル)を滴下した。混合物をアルゴン雰囲気下72時間攪拌し減圧蒸発させ、エーテルに溶解した。エーテル性溶液を1M塩酸で抽出した。水性抽出物をエーテルで洗浄し、蒸発乾固して固体(0.65g)を得た。実施例51の工程2の方法にしたがって、latter固体およびムチリン14−アクリレート−11−トリフルオロアセテート(実施例51、工程1)から標記化合物を調製した。0.41g(80%);1H NMR (CDCl3) 特に 0.72 (3H, d, J 6.8 Hz), 0.87 (3H, d, J 7Hz), 1.09 (3H, s), 1.45 (3H, s), 1.48 (6H, t, 8 Hz), 2.46 (2H, s), 2.52 (2H, m), 2.75 (2H, m), 2.95 (6H, t, J 7.8 Hz), 3.44 (1H, m), 5.28 (2H, m), 5.75 (1H, d, J 8.5 Hz), 6.52 (1H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 532 (MH+, 100%)。
【0102】
実施例53−ムチリン14−[3−(1−メチルピペリド−4−イルスルファニル)]−プロピオネート
乾テトラヒドロフラン(100ml)中トリフェニルホスフィンの溶液(5.51g、0.021モル)アゾジカルボン酸ジイソプロピル(4.25g、0.021モル)で処理した。30分後、1−メチルピペリジン−4−オル(2.3g、0.02モル)の溶液および乾テトラヒドロフラン(50ml)中チオ酢酸(1.54g、0.02モル)を30分かけて添加した。混合物を一晩攪拌し、減圧濃縮し、残渣をエーテル中に溶かした。エーテル性溶液を1M塩酸で抽出した。水性抽出物をエーテルで洗浄し、蒸発乾固させ、減圧乾燥させて黄色のゴム状物質(2.4g)を得た。ゴム状物質の一部(0.252g)を実施例51の工程2の方法にしたがって、エタノール中ナトリウムメトキシド(0.120g)で処理し、その後、ムチリン14−アクリレート−11−トリフルオロアセテート(実施例51、工程1)(0.376g)で処理し、標記化合物0.3g(74%)を得た。;1H NMR (CDCl3) 特に 0.73 (3H, d, J 6.8 Hz), 0.87 (3H, d, J 7.0 Hz), 1.17 (3H, s), 1.46 (3H, s), 2.18 (2H, m), 2.25 (3H, s), 2.40 (2H, m), 2.51 (1H, m), 2.80 (4H, m), 3.35 (1H, m), 5.27 (2H, m), 5.74 (1H, d, 8.3 Hz), 6.52 (1H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 506 (MH+, 100%)。
【0103】
実施例54−19,20−ジヒドロムチリン14−(1−メチルピペリド−4−イルスルファニル)−アセテート
工程1 19,20−ジヒドロムチリン14−メタンスルファニルオキシアセテート
プレウロムチリンの製法を記載した文献(H. EggerおよびH. Reinshagen、 J. Antibiotics 29 (9)、 915)を用いて、19,20−ジヒドロプレウロムチリン(A. Birch ら、Tertrahedron (1966) Suppl. 8 part II、 359-387) から標記化合物を調製した。;1H NMR (CDCl3) 特に 0.71 (3H, d, J 7 Hz), 0.77 (3H, t, 7.5 Hz), 0.95 (3H, d, J 8.5 Hz), 0.97 (3H, s), 1.42 (3H, s), 3.21 (3H, s), 3.42 (1H, m), 4.66 (2H, m), 5.72 (1H, d, 8.2 Hz)。
工程2 19,20−ジヒドロムチリン14−(1−メチルピペリジン−4−イルスルファニル)−アセテート
実施例15記載の方法を用いて、4−ヒドロキシ−1−メチルピペリジンおよび19,20−ジヒドロムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテートから標記化合物を調製した。0.42g(83%);1H NMR (CDCl3) 特に 0.71 (3H, d, J 6.8 Hz), 0.78 (3H, t, J 7.6 Hz), 0.94 (3H, d, J 7.6 Hz), 0.97 (3H, s), 1.43 (3H, s), 2.25 (3H, s), 2.42 (1H, m), 2.81 (2H, m), 3.42 (1H, t, J 6 Hz), 5.63 (1H, d, J 8 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 494 (MH+, 75%)。
【0104】
実施例55−19,20−ジヒドロムチリン14−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルメチルスルファニル)−アセテート
実施例15に記載の製法を用いて、19,20−ジヒドロムチリン14−メタンスルホニルオキシアセテート(実施例54、工程1)および8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルメタノールから標記化合物を調製した。0.335g(45%);1H NMR (CDCl3) 特に 0.71 (3H, d, J 6.5 Hz), 0.79 (3H, t, J 7.3 Hz), 0.93 (3H, d, J 7.0 Hz), 0.97 (3H, s), 1.0 to 2.2 (27H, m), 2.28 (3H, s), 2.41 (1H, m), 3.11 (2H, s), 3.17 (2H, m), 3.42 (1H, m), 5.62 (1H, d, J 8.3 Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 520 (MH+, 60%)。
【0105】
実施例56−ムチリン14−[4−(キヌクリジン−4−イルスルファニル)]−ブチレート
工程1 ムチリン14−(4−ブロモブチレート)−11−トリフルオロアセテート
ムチリン11−トリフルオロアセテート(WO97/25309、実施例85、工程2)(1.25g、0.003モル)および乾ジクロロメタン(20ml)中ピリジン(0.237g、0.003モル)を4−ブロモブチロイルクロリド(0.56g、0.003モル)で72時間処理した。混合物を減圧濃縮し、得られた残渣を、ジクロロメタンを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して標記化合物1.5g(93%)を得た。; 1H NMR (CDCl3) 特に 0.72 (3H, d, J 6.7 Hz), 0.83 (3H, d, J 7 Hz), 1.05 (3H, s), 1.43 (3H, s), 2.62 (1H, t, J 7 Hz), 3.46 (2H, t, J 6 Hz), 5.0 (1H, d, J 6.7 Hz), 5.3 (2H, m), 5.69 (1H, d, J 8 Hz), 6.37 (1H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 532 (MH+, 40%)。
工程2 ムチリン14−[4−(キヌクリジン−4−イルスルファニル)]−ブチレート
エタノール(10ml)中キヌクリジン−4−チオール塩酸塩(0.359g、0.002モル)をナトリウムメトキシド(0.216g、0.004モル)で処理した。30分後ムチリン14−(4−ブロモブチレート)(0.565g、0.001モル)を添加し、混合物をアルゴン雰囲気下で一晩放置した。得られた混合物を減圧濃縮し、残渣を水およびクロロホルム間に分配した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧濃縮した。残渣をクロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液(10:1:0.1)を用いたシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、標記化合物0.190g(35%)を得た。; 1H NMR (CDCl3) 特に 0.71 (3H, d, J 6.5 Hz), 0.87 (3H, d, J 6.8 Hz), 1.16 (3H, s), 1.59 (3H, s), 1.81 (14H, m) 2.06 (2H, t, J 8.5 Hz), 2.49 (2H, t, J 7.3 Hz), 2.94 (6H, t, J 7.3 Hz), 3.35 (1H, m), 5.29 (2H, m), 5.75 (1H, d, J 8.5 Hz), 6.52 (1H, m);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) m/z 532 (MH+, 100%)。
【0106】
実施例57
1,2−ジデヒドロムチリン14−(1−メチルピペリジン−4−イルメチルスルファニル)−アセテート
工程11,2−ジデヒドロムチリン11−ジクロロアセテート
1,2−ジデヒドロムチリン(1.41g、0.0044モル)の溶液(1,2−ジデヒドロプレウロムチリン製法に類似した方法で調製し(G.SchulzandH.Berner、Tetrahedron、1984、40、905-17)、テトラヒドロフラン(30ml)中ピリジン(0.56ml、0.0066モル)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(0.02g)をテトラヒドロフラン(5ml)中無水ジクロロ酢酸(1.16g、0.0048モル)で処理した。18時間後、混合物を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルおよび希塩酸間に分配した。有機相を分離し、水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。残渣をヘキサン中20%酢酸エチルで溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、標記化合物(1.3g、69%)を無色固体として得た。; 1H NMR (CDCl3) 特に 4.33 (1H, d, J 7.7Hz), 4.57 (1H, d, J 7.0Hz), 5.34 (1H, d, J 11.2Hz), 5.48 (1H, d, J 17.8Hz), 5.99 (1H, s), 6.10 (1H, d, 6.1Hz), 6.11 (1H, dd, J 17.8 and 11.2 Hz), 7.67 (1H, d, J 6.1 Hz)。
工程2 1,2−ジデヒドロムチリン11ジクロロアセテート−14−クロロアセテート
1,2−ジデヒドロムチリン11ジクロロアセテート(1.2g、0.0028モル)の溶液、0℃のジクロロメタン(10ml)中ピリジン(0.7ml)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(0.01g)をクロロアセチルクロリド(0.33ml、0.0042モル)で処理した。室温で18時間攪拌後、混合物を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルおよび希塩酸間に分配した。有機相を分離し、水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。残渣をヘキサン中20%酢酸エチルで溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、標記化合物(0.7g、50%)を無色固体として得た。; 1H NMR (CDCl3) 特に 0.79 (3H, d, J 6.8Hz), 1.04 (3H, d, J 7.1Hz), 1.10 (3H, s), 1.58 (3H, s), 4.00 (2H, s), 4.60 (1H, d, J 7.0Hz), 5.30 (1H, d, J 17.7Hz) 5.36 (1H, d, J 11.7Hz), 5.70 (1H, d, J 8.6Hz), 5.97 (1H, s), 6.10 (1H, d, J 6.2Hz), 6.34 (1H, dd, J 17.7 and 11.7Hz), 7.66 (1H, d, J 6.2Hz)。
工程3 1,2−ジデヒドロムチリン11−ジクロロアセテート−14−(1−メチルピペリジン−4−イルメチルスルファニル)−アセテート
標記化合物(0.36g、49%)を実施例39の工程3の方法を用いて、1,2−ジデヒドロムチリン11−ジクロロアセテート−14−クロロアセテート(0.7g、0.0012モル)および(1−メチルピペリジン−4−イルメチルスルファニル)−アセテート(0.224g、0.0012モル)から調製した。1H NMR (CDCl3) 特に 0.80 (3H, d, J 6.3Hz), 1.03 (3H, d, J 7.0Hz), 1.09 (3H, s), 1.56 (3H, s), 2.26 (3H, s), 3.13 (2H, s), 4.60 (1H, d, J 6.8Hz), 5.30 (1H, d, J 17.5Hz), 5.34 (1H, d, J 10.7Hz), 5.66 (1H, d, J 8.4Hz), 5.97 (1H, s), 6.09 (1H, d, J 6.1Hz), 6.34 (1H, dd, J 17.5 and 10.7Hz), 7.65 (1H, d, J 6.1Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) 616 and 614 (MH+)。
工程4 1,2−ジデヒドロムチリン14−(1−メチルピペリジン−4−イルメチルスルファニル)−アセテート
ジオキサン(3ml)中1,2−ジデヒドロムチリン11−ジクロロアセテート−14−(1−メチルピペリジン−4−イルメチルスルファニル)−アセテート(0.18g、0.0003モル)の溶液を水性水酸化カリウム(1M、0.36ml)で処理した。室温で1時間攪拌後、混合物を希塩酸で中和し、溶媒を減圧蒸発させた。残渣を酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウム水溶液間に分配した。有機相を分離し、水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。ジクロロメタン/メタノール/35%アンモニア溶液(20:1:0.1)で溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィーを用いて、標記化合物(0.12g、80%)を無色固体として得た。; 1H NMR (CDCl3) 特に 0.81 (3H, d, J 6.5Hz), 1.08 (3H, d, J 7.1Hz), 1.15 (3H, s), 1.55 (3H, s), 2.26 (3H, s), 3.12 (2H, s), 5.20 (1H, dd, J 17.5 and 1.4Hz), 5.36 (1H, dd, J 10.9 and 1.4Hz), 5.72 ( 8.6Hz), 6.04 (1H, d, J 6.1Hz), 6.47 (1H, dd, J 17.5 and 10.9Hz), 7.73 (1H, d, J 6.1Hz);MS (+ve イオンエレクトロスプレー) 504 (MH+)。
【0107】
実施例58−ムチリン14−(エキソ−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルスルファニル)−アセテート
メタノール(4ml)中22−デオキシ−22−スルファニルプレウロムチリン(米国特許4130709、1978)(0.1g、0.00025モル)をナトリウムメトキシド(0.014g、0.0026モル)で処理し、得られた混合物を30分間攪拌した。エンド−3−メタンスルホニルオキシ−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(エンド−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オルおよびエタノール(1ml)中メタンスルホニルクロリドから調製される)(0.061g、0.00028モル)を添加した。攪拌を68時間継続して行った;その後、別のエンド−3−メタンスルホニルオキシ−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(0.061g、0.00028モル)の一部を添加し、さらに18時間攪拌を続けた。ついで、混合物をジクロロメタンで希釈し、水性炭酸カリウムで2回、ブラインで1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。クロロホルム/メタノール/35%アンモニア溶液(9:1:0:1)で溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、実施例50に記載した化合物と同一の標記化合物0.035g(27%)を得た。
【0108】
実施例59−ムチリン14−(1−カルボキシアミドメチルピペリジン−4−イルスルファニル)−アセテート
ジクロロメタン(3ml)中のムチリン(1−カルボキシメチルピペリジン−4−イルスルファニル)−アセテート(実施例37)(0.08g、0.00015モル)を塩化オキサリル(0.032ml、0.00036モル)およびジメチルフォルムアミド(1滴)で処理し外界温度で2時間攪拌した。ついで、混合物を蒸発乾固させ、残渣をテトラヒドロフラン(3ml)で懸濁し、35%水性アンモニア溶液(25ml)で処理し、2時間攪拌した。混合物を蒸発乾固させ、残渣を飽和炭酸水素ナトリウムおよびクロロホルム間に分配した。有機相を分離し乾燥させ(Na2S04)、濾過し、蒸発乾固させた。クロロホルム/メタノール/35%水性アンモニア溶液(90:9:1)で溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付した。メタノール/ジメチルエーテルから得た残渣を粉砕して標記化合物0.035gを得た。;M.S.(+veイオンエレクトロスプレー)m/z535(MH+,88%)。
【0109】
抗菌活性
代表的なムチリン14−エステルの抗菌活性を下記の表に示している。活性は、1ミリリットル当たりのマイクログラム(10-6g/ml)の最小阻害濃度で表す。活性は、マイクロタイターで標準的なブロス希釈法を用いて決定した。
【表1】

S.a. = スタフィロコッカス・アウレウスオクスフォード; S.p. = スタフィロコッカス・ニューモニアエ 1629;
E.c. =エシェリヒア・コリ DC0; H.i. =ヘモフィルス・インフルエンゼ Q1:
M.c. = モラクセラ・カタラーリス Ravasio
【0110】
医薬組成物
実施例1油性噴霧処方
経鼻噴霧処方の担体を67%w/w分留ココナッツ油(中鎖長)*および33%w/wのグリセリルモノオレアート**を混合して調製した。該混合物に0.2%w/wの粉末レモンジュース香味料を加え、ついで、0.5または1.0%w/wの薬物を加えた(溶液中であるか、または溶解しない場合は微紛する)***
得られた製剤には粘性があり、20℃もしくはそれ以上の温度で噴霧することができる。患者の鼻噴投与した場合、液体が鼻腔を覆い、鼻腔内で湿気を吸収し(粘膜から作用し、通常の湿度環境)、担体を膨張させる。これによって、噴霧した製剤が鼻腔内表面に残留する時間が長くなる。100μlの噴霧量におよそ0.5または1mgの薬物を含有する。

*商品名Miglyol、Condeaより入手可。
**商品名Myverol18−99、Eastmanより入手可。
***例えば、実施例1または実施例8の化合物。
【0111】
実施例 2 水性噴霧製剤
【表2】

塩酸および水酸化ナトリウムを用いて、組成物のpHをおよそ5.5に調整した。薬物分子は、該pHで最適条件を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(IA)または(IB):
【化1】

【化2】

[式中、
は、ビニルまたはエチルであり;
は、各環に5〜10個の環原子を含有する芳香族以外の二環式基であって、ここに、該基は、1個または2個の塩基性窒素原子を含み、環炭素原子を介して結合しており、かつ、アルキル、アルキルオキシ、アルケニルおよびアルケニルオキシから選択される3個までの置換基によって炭素上で置換されていてもよく、該置換基はさらに、アリール、ヘテロサイクリル、(C1−6)アルコキシ、(C1−6)アルキルチオ、アリール(C1−6)アルコキシ、アリール(C1−6)アルキルチオ、アミノ、モノ−またはジ−(C1−6)アルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、カルボキシおよびそのエステル、カルボキシのアミド、ウレイド、カルバミミドイル、グアニジノ、アルキル−スルホニル、アミノ−スルホニル(C1−6)アシルオキシ、(C1−6)アシルアミノ、アジド、ヒドロキシおよびハロゲンからなる群から選ばれる1またはそれ以上の基によって置換されていてもよく、ここに、該二環式基の窒素原子または各窒素原子は、酸素によって置換されてN−オキシドを形成していてもよく、あるいはモノ−アルキルまたはジ−アルキルによって置換されていてもよく;
nおよびmの各々は、独立して0、1または2であり;
Xは、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−CO・O−、−NH−、−CONH−、−NHCONH−および結合から選択され;
は、HまたはOHであり;あるいは
(IA)または(IB)の14位のR(CHX(CHCHCOO基はRC=CHCOO(ここに、RおよびRの一方は水素で他方はRであるか、またはRおよびRが一緒になってRを形成する)で置換されている]
で示される化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項2】
が置換されていてもよいキヌクリジニル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アザビシクロ[4,3,0]ノニル、アザビシクロ[3.2.1]オクチル、アザビシクロ[3,3,0]オクチル、アザビシクロ[2.2.2]オクチル、アザビシクロ[3.2.1]オクテニル、アザビシクロ[3.3.1]ノニルおよびアザビシクロ[4.4.0]デシルから選択される請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが0である請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
mが0または1である請求項1〜3いずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
がキヌクリジニルである請求項1〜4いずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
式(IA)を有する請求項1〜5いずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
ムチリン14−(エキソ−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルスルファニル)−アセテート:
【化3】

である化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項8】
ムチリン14−(エキソ−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルスルファニル)−アセテートである化合物。
【請求項9】
請求項1記載の化合物の製法であって、
(a)11位に保護ヒドロキシ基を有するムチリンまたはエピムチリンを、
2A−(CH−X−(CH−CHCO
[式中、R2Aは請求項1におけるRと同意義またはRに変換可能な基であり、n、mおよびXは請求項1と同意義である]
で示されるカルボン酸の活性誘導体、例えば酸塩化物とカップリングさせ、要すればエピムチリンをムチリンに変換し、また要すればまたは所望により、カップリングの前後を問わず、ムチリン核を修飾し、2−OH、19,20−ジヒドロまたは1,2−デヒドロ置換基を導入するか;あるいは
(b)14位にO−アシル基として(CHCHCOを有するムチリンまたはエピムチリン誘導体を得、ここにアシル基は、脱離基、OHまたはNHであるRで置換されており、その14−O−アシル−(エピ)ムチリン誘導体を化合物R2A(CHXHまたはその活性誘導体とカップリングさせ、要すればエピムチリン配置をムチリンに変換し、また要すればまたは所望により、カップリングの前後を問わず、そのムチリン核を修飾して2−OH、19,20−ジヒドロまたは1,2−デヒドロ置換基を導入する
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9の工程(a)に記載の化合物の製法であって、活性誘導体が酸塩化物である方法。
【請求項11】
請求項9の工程(b)に記載の化合物の製法であって、
(a)XがO、SまたはNHであり、Rが脱離基である場合、
(i)アルコールR−(CH−OH;
(ii)チオールR−(CH−SH;
(iii)アミンR−(CH−NH
と反応させ;
(b)XがCONHであり、Rがアミノである場合、酸R2A−(CH−COHまたはその化合物より由来のアシル化剤と反応させ;
(c)XがCOOであり、Rがヒドロキシである場合、酸R2A−(CH−COHから由来のアシル化剤と反応させる
ことからなる方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物またはその製薬上許容される塩と、医薬上許容される担体とを有してなる医薬組成物。
【請求項13】
鼻腔への投与に適したスプレー形態の請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
スプレーが水性スプレーである請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
局所投与に適した請求項12記載の医薬組成物。
【請求項16】
治療にて用いる薬物の製造における請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物またはその製薬上許容される塩の使用。
【請求項17】
微生物感染の治療にて用いる薬物の製造における請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物またはその製薬上許容される塩の使用。
【請求項18】
病原性生物の鼻保菌を減少または除去するための鼻腔投与用薬物の製造における請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物またはその製薬上許容される塩の使用。
【請求項19】
再発性中耳炎または再発性急性細菌性副鼻腔炎を予防するための鼻腔投与用薬物の製造における請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物またはその製薬上許容される塩の使用。
【請求項20】
皮膚および軟組織感染およびアクネの治療のための局所投与用薬物の製造における請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物またはその製薬上許容される塩の使用。
【請求項21】
さらにステロイド系抗炎症剤を含む請求項15記載の医薬組成物。
【請求項22】
微生物感染の治療に用いるための請求項12〜15および21のいずれか1項記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2009−40789(P2009−40789A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215667(P2008−215667)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【分割の表示】特願2000−517965(P2000−517965)の分割
【原出願日】平成10年10月27日(1998.10.27)
【出願人】(595047190)スミスクライン ビーチャム ピー エル シー (34)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】