説明

抗酸化食品

【課題】緑色植物由来の素材を含む抗酸化に優れた組成物を提供すること。
【解決手段】緑色植物由来の素材を天然水で懸濁して得られた組成物を含有する食品組成物であって、緑色植物由来の素材が、大麦、ケール、甘藷および茶からなる群より選択される一または二以上である、食品組成物。さらに、天然水が、非加熱ろ過方式によって汲み上げた、日本アルプスの地下水脈の硬度16mg/LおよびpH値6.8を特徴とする、食品組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑色植物由来の素材を天然水で懸濁して得られた組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、緑色植物由来の素材は、コレステロールの吸収抑制、有害物質の吸着、食後血糖値の急上昇防止、および抗高血圧予防に効果があることが知られている(特許文献1)。その中でも、緑色植物由来の素材に含まれるポリフェノール(カテキン、フラボン等)は、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)様活性を有することが知られている(特許文献2)。そのため、ポリフェノールを含む緑茶、青汁等の食品が健康食品として注目を集めている。
【0003】
しかしながら、消費者の多くは、緑色植物由来の素材を水道水に懸濁し、食している。また、緑色植物由来の素材に含まれるポリフェノールは、水道水では十分に抽出されない。そのため、緑色植物由来の素材のポリフェノールは、体内の腸管内では吸収されず、排出されるという問題がある。
【0004】
そこで、緑色植物のポリフェノールを高濃度で抽出可能な天然水を使用した、組成物の開発が求められている。
【特許文献1】特開2000−232864号公報
【特許文献2】特開2006−45178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、緑色植物由来の素材を天然水で懸濁して得られた、抗酸化に優れた組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、緑色植物由来の素材を天然水で懸濁することにより、抗酸化に優れた組成物を見出した。
【0007】
すなわち本発明は、緑色植物由来の素材を天然水で懸濁して得られた組成物に関する。
【0008】
好ましくは、前記緑色植物由来の素材が、大麦、ケール、甘藷および茶からなる群より選択される一または二以上である、上記の組成物に関する。
【0009】
さらに好ましくは、前記天然水が、日本アルプスの地下水脈から取水した硬度16mg/L及びpH6.8であることを特徴とする、上記の組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、緑色植物由来の素材を、硬度16mg/LおよびpH6.8の天然水で抽出することにより、抗酸化に優れた食品組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記実施形態の記載により限定して解釈するべきでなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0012】
本発明で使用する緑色植物由来の素材としては、イネ科植物、アブラナ科植物、ヒルガオ科植物、ツバキ科植物などが挙げられる。これらの素材に含まれる食物繊維には体内の老廃物を排出する効果が期待できる。食物繊維を含有する食品組成物を摂取することにより、体内浄化効果が期待でき、さらには便通改善効果、肌荒れ改善効果などが期待できる。
【0013】
本発明に使用されるイネ科植物としては、大麦、小麦、ライ麦、燕麦などが挙げられる。これらのイネ科植物の若葉を乾燥して粉末化した乾燥粉末、乾燥前に圧搾して得られた搾汁、このような搾汁を乾燥した搾汁乾燥粉末または有機溶媒で抽出して得られた抽出物などが使用される。
【0014】
本発明に使用されるアブラナ科植物としては、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラードおよび緑葉カンランなどが挙げられる。これらのアブラナ科植物の若葉を乾燥して粉末化した乾燥粉末、乾燥前に圧搾して得られた搾汁、このような搾汁を乾燥した搾汁乾燥粉末または有機溶媒で抽出して得られた抽出物などが使用される。
【0015】
本発明に使用されるヒルガオ科植物としては、すいおう、ジョイホワイト、コガネセンガン、シロユタカ、サツマスターチおよびアヤムラサキなどが挙げられる。これらのヒルガオ科植物の若葉を乾燥して粉末化した乾燥粉末、乾燥前に圧搾して得られた搾汁、このような搾汁を乾燥した搾汁乾燥粉末または有機溶媒で抽出して得られた抽出物などが使用される。
【0016】
本発明に使用されるツバキ科植物としては、茶樹(学名:Camellia sinensis )が挙げられる。これらのツバキ科植物の若葉を乾燥して粉末化した乾燥粉末、乾燥前に圧搾して得られた搾汁、このような搾汁を乾燥した搾汁乾燥粉末または有機溶媒で抽出して得られた抽出物などが使用される。
【0017】
本発明で使用する天然水としては、中央アルプスの地下1,500mの水脈から汲み上げた天然水が挙げられる。これらの天然水が硬度16mg/LおよびpH6.8であることを特徴とする非加熱ろ過方式によって汲み上げた天然水として使用される。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0019】
(実施例1:ポリフェノール抽出の検証)
緑色植物由来の素材と飲食可能な天然水を使用し、以下の方法によりポリフェノールの抽出を検証した。
【0020】
大麦若葉末3.0gに硬度16mg/LおよびpH6.8であることを特徴とする天然水100mlで懸濁し、薄型多連式スターラーで2時間攪拌した。次に、50ml遠沈管に懸濁液を40ml移し、3,500rpmで10分間遠心分離を行った。そして、得られた上清を蒸留水で3倍希釈しサンプルとした。さらに、サンプル500μLとFolin試薬500μLを混合し、3分間静置した。その後、10%炭酸ナトリウム溶液に加え、1時間静置後、3,500rpmで20分間遠心し、上清を730nmにおける吸光度で測定した。結果を表1に示す。
【0021】
(比較例1:ポリフェノール抽出の検証)
大麦若葉末3.0gを硬度及びpHが異なるそれぞれの天然水100mlで懸濁し、薄型多連式スターラーで2時間攪拌した。次に、50ml遠沈管に懸濁液を40ml移し、3,500rpmで10分間遠心分離を行った。そして、得られた上清をDWで3倍希釈しサンプルとした。さらに、サンプル500μLとFolin試薬500μLを混合し、3分間静置した。その後、10%炭酸ナトリウム溶液に加え、1時間静置後、3,500rpmで20分間遠心し、上清を730nmにおける吸光度で測定した。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】

【0023】
表1の結果より、比較例1〜4に比べて、実施例のポリフェノールが有意に抽出されていることを示す。
【0024】
(実施例2:SOD様活性の測定)
大麦若葉末3.0gを硬度16mg/LおよびpH6.8であることを特徴とする天然水100mlに懸濁し、薄型多連式スターラーで2時間攪拌した。次に、96ウェルプレートに7.5μLを摂取し、発色試薬75μLおよび酵素液を75μL加えて、37℃で20分間インキュベートを行った。さらに、反応停止液を150μL加えて反応を停止させ、よく攪拌後、560nmにおける吸光度で測定した。結果を表2に示す。
【0025】
(比較例2:SOD様活性の測定)
大麦若葉末3.0gを硬度及びpHが異なるそれぞれの天然水100mlに懸濁し、薄型多連式スターラーで2時間攪拌した。次に、96ウェルプレートに7.5μLを摂取し、発色試薬75μLおよび酵素液を75μL加えて、37℃で20分間インキュベートを行った。さらに、反応停止液を150μL加えて反応を停止させ、よく攪拌後、560nmにおける吸光度で測定した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】

【0027】
表2の結果より、比較例1〜4に比べて、実施例のSOD様活性が有意に高いことを示す。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、緑色植物由来の素材を日本アルプスから取水した硬度16mg/LおよびpH6.8の天然水を用いることにより、多くのポリフェノールを抽出でき、そのうえ、抗酸化力が強い組成物を提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑色植物由来の素材を天然水で懸濁して得られた組成物。
【請求項2】
緑色植物が、大麦、ケール、甘藷および茶からなる群より選択される1または2以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
天然水が、日本アルプスの地下水脈から取水した硬度16mg/LおよびpH6.8であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。




【公開番号】特開2009−11163(P2009−11163A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172943(P2007−172943)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】