説明

折り畳みコンテナ

【課題】側壁部の好適な折り畳みを実現しつつ、収容された物品のガタツキをより確実に抑制することのできる折り畳みコンテナを提供する。
【解決手段】折り畳みコンテナ1は、略矩形板状をなす底壁部2と、各側辺部に沿って上方に突出する各土台部6、7に対してそれぞれ回動可能に連結された側壁部3、4とを備えている。また、側壁部3には、側壁部3の内面から突出する保持部材31が設けられ、保持部材31は、側壁部3が起立位置にある場合に、側壁部3と土台部6とを上下に跨ぐようにして延在する使用位置と、側壁部3の内面にのみ対向配置される収納位置との間を回動変位可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される折り畳みコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、略矩形板状の底壁部と、底壁部の各側辺部に対応して回動可能に連結された側壁部とを備え、各側壁部を底壁部の上方に重ねるようにして内側に折り畳むことのできる折り畳みコンテナが知られている。さらに、側壁部の内面側から突出する保持部を設け、当該保持部によって折り畳みコンテナに収容された物品を保持し、当該物品のガタツキを抑制するといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−14980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の保持部は、側壁部(側壁板)の高さ方向のほんの一部に対応して設けられているに過ぎず、例えば、複数の物品を上下に積み重ねた状態で折り畳みコンテナに収容して運搬等する場合には、保持部で物品のガタツキを抑制するといった作用効果が十分に奏されないおそれがある。また、特許文献1に記載の保持部は、側壁部とは別に折り畳み可能に構成された内側部材に設けられているため、折り畳みコンテナを組み立てたり折り畳んだりする際の作業性の低下を招くおそれがある。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、側壁部の好適な折り畳みを実現しつつ、収容された物品のガタツキをより確実に抑制することのできる折り畳みコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.略矩形板状をなすとともに、各側辺部に沿ってそれぞれ上方に突出する土台部を有する底壁部と、前記各土台部に対してそれぞれ回動可能に連結された側壁部とを備え、
前記各側壁部は、前記土台部の上方に立設される起立位置と、前記底壁部の上方に畳まれる寝かせ位置との間を回動変位可能に構成された折り畳みコンテナであって、
前記側壁部及び前記土台部のうち一方に対して回動可能に設けられ、前記側壁部が前記起立位置にある場合において、前記側壁部及び前記土台部の内面から突出する保持部材を備え、
前記保持部材は、前記側壁部が前記起立位置にある場合に、前記側壁部と前記土台部とを上下に跨ぐようにして延在する使用位置と、前記側壁部及び前記土台部のうち一方の内面に対してのみ対向配置される収納位置との間を回動変位可能に構成されていることを特徴とする折り畳みコンテナ。
【0008】
手段1によれば、側壁部を起立位置とし、保持部材を使用位置とすることで、保持部材を側壁部と土台部とに跨がせて上下に延在させることができる。従って、側壁部及び土台部の内面から突出した保持部材によって、折り畳みコンテナに収容された物品の外周面を支持して、水平方向における位置ずれを防止することができる。特に、側壁部から土台部にかけて切れ目なく保持部材を延在させることができるため、例えば、折り畳みコンテナに複数の物品を積み重ねて収容する場合において、側壁部の下辺部よりも上方に位置する物品だけでなく、側壁部の下辺部よりも下方に位置する物品についても、保持部材が各段の物品に直接触れるようにして確実に保持することができる。従って、折り畳みコンテナに収容された物品のガタツキや傾倒等をより確実に防止することができる。
【0009】
さらに、保持部材を収納位置とすることで、保持部材が、側壁部及び土台部の一方側に寄せられて側壁部と土台部との境界部を上下に跨がなくなるため、側壁部を内側に回動させて折り畳むことが可能となる。従って、上下に積み重ねられて折り畳みコンテナに収容された各段の物品に対してそれぞれ保持部材を当接させて保持可能な構成としても、側壁部を確実に折り畳むことができる。
【0010】
また、例えば、保持部材を側壁部の高さ方向において伸縮可能に構成する場合には、保持部材の外面に段差が形成されてしまうおそれがあるが、本手段のように、保持部材を回動変位させる構成を採用することで、保持部材の長さを確保しつつ、保持部材の外面に段差が形成されないように(面一に)構成することができる。従って、折り畳みコンテナに収容された物品を段差のない平坦面で支持することができ、物品のガタツキをより確実に抑制することができる。さらに、保持部材を伸縮させるための構成が不要なため、構成の簡素化等を図ることができる。
【0011】
手段2.前記保持部材は、一側面から突出する軸突起及びガイド突起を備え、
前記側壁部及び前記土台部のうち一方には、前記軸突起を軸支する軸受孔と、前記軸受孔を中心とする円弧に沿って形成され、前記ガイド突起を挿通可能なガイドスリットとが形成され、
前記保持部材は、前記軸受孔に軸支された前記軸突起を中心として、前記ガイド突起が前記ガイドスリットに案内されつつ、回動可能に構成され、
前記軸受孔及び前記ガイドスリットは、前記保持部材が前記使用位置とされた場合に、前記保持部材を下方に変位させることで前記軸突起及び前記ガイド突起が挿通される第1係止凹部と、前記保持部材が前記収納位置とされた場合に、前記保持部材を当該保持部材の長手方向に沿って変位させることで前記軸突起及び前記ガイド突起が挿通される第2係止凹部とを備えていることを特徴とする手段1に記載の折り畳みコンテナ。
【0012】
手段2によれば、保持部材は、軸突起が軸受孔に軸支されている上、保持部材の回動に際してガイド突起がガイドスリットに案内される。このため、保持部材の回動の際の安定感を向上させるとともに、保持部材を支える軸突起の負担を軽減し、軸突起の劣化、損傷等を抑制することができる。また、軸突起及びガイド突起を、軸受孔及びガイドスリットに形成された第1係止凹部及び第2係止凹部に挿通させることにより、使用位置及び収納位置とされた保持部材の回動変位を防止することができる。従って、使用位置及び収納位置とされた保持部材の位置決めをより確実に行うことができる。
【0013】
さらに、軸受孔及びガイドスリットを横に延ばす(横穴を形成する)だけで、保持部材を収納位置にて保持するよう構成できる。このため、保持部材を収納位置にて保持しておくための構成の簡略化を図ることができる。
【0014】
手段3.前記保持部材は、前記使用位置とされた場合に、前記底壁部に形成された水抜き孔に係止される係止突部を備えていることを特徴とする手段1又は2に記載の折り畳みコンテナ。
【0015】
手段3によれば、保持部材には、使用位置とされた場合に底壁部の水抜き孔に係止される係止突部が設けられており、構成の複雑化を抑制しつつ、使用位置にある保持部材自身のガタツキを抑制することができる。尚、上記手段2の構成を採用する場合、保持部材を底壁部に対して直交する方向に沿って近づけることができるため、係止突部を水抜き孔に挿入し易くなり、止突部を水抜き孔に無理やりねじ込むこと等に起因する係止突部の損傷等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】組み立て状態にある折り畳みコンテナの斜視図である。
【図2】組み立て状態にあり、保持部材が収納位置にある折り畳みコンテナの斜視図である。
【図3】折り畳み状態にある折り畳みコンテナの斜視図である。
【図4】長辺側側壁部の外面側を示す側面図である。
【図5】保持部材の斜視図である。
【図6】折り畳みコンテナの一部断面を含む斜視図である。
【図7】折り畳みコンテナの一部断面を含む斜視図である。
【図8】物品が収容された折り畳みコンテナの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1等に示すように、折り畳みコンテナ1は、略矩形板状の底壁部2と、底壁部2の相対する一対の長辺部に対応してそれぞれ回動可能に設けられた長辺側側壁部3と、底壁部2の相対する一対の短辺部に対応してそれぞれ回動可能に設けられた短辺側側壁部4とを備えている。本実施形態では、底壁部2、長辺側側壁部3、及び短辺側側壁部4はポリプロピレンにより構成されている。
【0018】
図3に示すように、底壁部2には、各長辺部に沿って底壁部2から上方に突出する長辺側土台部6と、各短辺部に沿って底壁部2から上方に突出する短辺側土台部7とが設けられている。本実施形態では、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4は、それぞれ長辺側土台部6及び短辺側土台部7に対して回動可能に連結されており、それぞれ土台部6、7の上方に立設される起立位置と、底壁部2の上方に折り畳まれ、当該底壁部2と平行して延在する寝かせ位置との間を回動変位可能に構成されている。
【0019】
図3、図7等に示すように、各長辺側土台部6は、底壁部2の長辺部から上方に延びる内壁部11と、内壁部11の上縁部から外方に延びる上壁部12と、上壁部12の外縁部から下方に延びる外壁部13とを備え、下方に開口した断面略コ字状をなしている。また、各長辺側土台部6には、長辺側側壁部3を回動可能に支持するための軸受部15が設けられている。軸受部15は、内壁部11と外壁部13との間を連結する連結壁部16を各土台部6、7の延在方向において対向するようにして一対で設け、一対の連結壁部16間の部位において、上壁部12を切欠くとともに、内壁部11を連結壁部16との連接部位を残すようにして切欠き、残された内壁部11の上辺部から外壁部13側に向けて突出するフック部(図示略)を設けることによって構成されている。
【0020】
また、図3に示すように、各短辺側土台部7についても、上壁部12は省略されているものの、底壁部2の短辺部に沿って互いに平行して延びる内壁部11及び外壁部13を備えるとともに、連結壁部16で区画され、フック部17を備える軸受部15が設けられている。
【0021】
本実施形態の短辺側土台部7の底壁部2からの突出長は、長辺側土台部6の底壁部2からの突出長よりも短くなっている。また、短辺側土台部7は、相対する一対の長辺側土台部6の内面同士を連結するようにして設けられている。さらに、各長辺側土台部6の両端部近傍部位の内壁部11から短辺側土台部7の上方に突出するずれ防止凸部18が形成されている。ずれ防止凸部18の内面は、短辺側土台部7の内壁部11の内面と面一となっている。
【0022】
尚、図6、図7等に示すように、本実施形態の底壁部2は、碁盤目状に上下に貫通する開口部が形成された底板2aと、底板2aに形成された各開口部の周縁部から下方に延出する格子状の底リブ2bとを備えている。底リブ2bは、土台部6、7より構成される枠状部の内周側の範囲全域に形成されている。また、土台部6、7の外壁部13の下縁部は、底壁部2の底板2aの下面とほぼ同じ高さ位置となっており、底リブ2bの下縁部よりも上方に位置している。本実施形態では、底板2aにおいて碁盤目状に形成された各開口部が水抜き孔に相当する。
【0023】
図1、図4、図6等に示すように、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4は、長辺側土台部6又は短辺側土台部7とほぼ同じ横幅を有する略矩形板状の壁本体21と、壁本体21の下辺部(起立位置では下側を向き、寝かせ位置では底壁部2の外周側を向く面)から突出するヒンジ部23とを備えている。また、壁本体21の外面には、少なくとも壁本体21の外周縁に沿って、適宜、補強リブ24が外方に突出形成されており、これによって、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4の厚みが長辺側土台部6又は短辺側土台部7の厚みとほぼ同じに構成されている。
【0024】
図4等に示すように、ヒンジ部23は、壁本体21の外周に沿って形成された補強リブ24のうち起立位置にある側壁部3、4の下辺部を構成する部位から下方に向けて垂直に延出する略棒状の連結部25と、連結部25の先端部の両側面からそれぞれ側壁部3、4の長手方向に沿って突出する一対の軸部26とを備え、全体として略T字状をなしている。そして、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4のヒンジ部23の軸部26が、それぞれ長辺側土台部6又は短辺側土台部7の軸受部15に挿入されることで、軸部26が軸受部15のフック部17の下面側に位置して(引っ掛かって)軸支されるようになる。これによって、各側壁部3、4が土台部6、7に対して回動可能に連結されている。
【0025】
尚、図1等に示すように、本実施形態では、長辺側土台部6の軸受部15(長辺側側壁部3の回転中心)は、短辺側土台部7の軸受部15(短辺側側壁部4の回転中心)よりも上方位置に設けられている。このため、短辺側側壁部4を先に畳まないと、長辺側側壁部3を畳むことができない構成となっている。従って、図3、図7等に示すように、折り畳みコンテナ1を折り畳んだ状態(全ての側壁部3、4を底壁部2と平行な寝かせ位置とした非使用状態)では、長辺側側壁部3が、短辺側側壁部4の上側に重なるようにして畳まれている。加えて、図1に示すように、折り畳みコンテナ1を上方に開口する箱型に組み立てた状態(全ての側壁部3、4を起立位置とした使用状態)とすると、各側壁部3、4の上面がほぼ面一となるように構成されている。
【0026】
また、長辺側側壁部3の壁本体21の上下幅は、一対の長辺側土台部6間の距離の半分よりも若干短くなっている。さらに、短辺側側壁部4の壁本体21の上下幅は、一対の短辺側土台部7間の距離の半分よりも短くなっている。
【0027】
加えて、図3、図7に示すように、長辺側側壁部3の壁本体21の下辺部の両端部近傍部位には、長辺側側壁部3を折り畳んだ際に、ずれ防止凸部18が挿入されるずれ防止凹部28が形成されている。これにより、短辺側側壁部4の上方に折り畳まれた長辺側側壁部3の水平方向におけるずれ移動をより確実に防止することができる。
【0028】
また、長辺側側壁部3は、寝かせ位置とされると、長辺側土台部6の上面よりも下方に位置する。このため、折り畳まれた状態の折り畳みコンテナ1を上下に積み重ねる(段積みする)と、下側の折り畳みコンテナ1の長辺側土台部6の上面によって上側の折り畳みコンテナ1の下面が支持されるとともに、上側の折り畳みコンテナ1の底リブ2bの外周面の4隅が、下側の折り畳みコンテナ1の各ずれ防止凸部18と長辺側土台部6とでなすコーナー部に略当接して位置決めされる。従って、折り畳み状態にある折り畳みコンテナ1を安定して段積みすることができる。
【0029】
さらに、全ての側壁部3、4を起立させて箱型とした使用状態でも、折り畳みコンテナ1を段積みすると、下側の折り畳みコンテナ1の側壁部3、4の上辺部によって、上側の折り畳みコンテナ1の下面外周部が支持されるとともに、上側の折り畳みコンテナ1の底リブが、下側の折り畳みコンテナ1の側壁部3、4の内周側に進入して位置決めが行われる。従って、使用状態にある折り畳みコンテナ1を安定して段積みすることができる。
【0030】
さて、図1、図2等に示すように、本実施形態では、長辺側側壁部3に対して回動可能に設けられ、長辺側側壁部3が起立位置にある場合において、長辺側側壁部3及び長辺側土台部6の内面から突出する略直方体形状の保持部材31を備えている。保持部材31は、長辺側側壁部3が起立位置にある場合に、長辺側側壁部3と長辺側土台部6とを上下に跨ぐようにして延在する使用位置と、長辺側側壁部3の内面に対してのみ対向配置される収納位置との間を回動変位可能に構成されている。
【0031】
図5に示すように、保持部材31は、長辺側側壁部3の内面に対向する一側面から突出する軸突起32及びガイド突起33を備えている。軸突起32及びガイド突起33は、それぞれ断面略円形をなし、先端部において拡径部32a、33aを備えている。本実施形態では、軸突起32とガイド突起33とは同形状の突起であり、保持部材31の長手方向一端部近傍に設けられている方が軸突起32として構成され、保持部材31の長手方向中央部側に設けられている方がガイド突起33として構成されている。尚、軸突起32及びガイド突起33は、保持部材31の本体とは別体で構成されてもよいし、一体的に構成されてもよい。
【0032】
これに対し、長辺側側壁部3には、図4等に示すように、軸突起32を軸支する軸受孔41と、軸受孔41を中心とする四半円状の円弧に沿って形成され、ガイド突起33を挿通可能なガイドスリット42とが形成されている。基本的に、軸受孔41及びガイドスリット42の幅は、軸突起32及びガイド突起33の付け根部(拡径部32a、33aまでの間の部位)よりは大きく、軸突起32及びガイド突起33の拡径部32a、33aよりは小さくなっている。そして、軸突起32及びガイド突起33が、それぞれ軸受孔41及びガイドスリット42に挿通されることで、保持部材31は、軸突起32を中心として、軸突起32及びガイド突起33が、軸受孔41及びガイドスリット42に案内されつつ、回動可能に構成されている。また、拡径部32a、33aが長辺側側壁部3の壁本体21の外面側に位置するため、保持部材31の脱落が防止される。
【0033】
さらに、本実施形態では、保持部材31が使用位置にある場合、図1、図6に示すように、保持部材31の長手方向が略鉛直方向(長辺側側壁部3の高さ方向)に沿って延びている。このため、図8に示すように、上下に複数段積み重ねた物品(例えば弁当箱)を複数列(本例では3列)で折り畳みコンテナ1に収容した場合、物品の外周面と長辺側側壁部3との間の隙間を埋めるようにして保持部材31が折り畳みコンテナ1の内側に突出することとなり、該物品が保持部材31によって位置決めされる。これにより、物品の水平方向における位置ずれを防止する(保持する)ことができ、各列の物品同士が接触する等の事態を回避することができる。
【0034】
一方、保持部材31が収納位置にある場合、図2に示すように、保持部材31の長手方向が水平方向(長辺側側壁部3の横幅方向、長辺側土台部6の長手方向)に沿って延びている。そして、保持部材31を収納位置とした状態で長辺側側壁部3を内側に傾倒させることで、保持部材31が長辺側土台部6等に干渉することもなく、長辺側側壁部3を寝かせ位置となるまで折り畳むことができる。
【0035】
また、図4等に示すように、軸受孔41及びガイドスリット42は、保持部材31が使用位置とされた場合に、保持部材31を下方に変位させることで軸突起32及びガイド突起33が挿通される第1係止凹部44と、保持部材31が収納位置とされた場合に、保持部材31を当該保持部材31の長手方向に沿って変位させることで軸突起32及びガイド突起33が挿通される第2係止凹部45とを備えている。すなわち、軸突起32及びガイド突起33がそれぞれ軸受孔41及びガイドスリット42の第1係止凹部44に挿通された場合、保持部材31の上方向以外の方向への変位が規制され、保持部材31が使用位置にて保持されることとなる。一方、軸突起32及びガイド突起33がそれぞれ第2係止凹部45に挿通された場合、保持部材31の使用位置側への回動変位が規制され、保持部材31が収納位置にて保持されることとなる。
【0036】
加えて、図6に示すように、保持部材31は、使用位置とされた場合の下面を構成する面から突出する係止突部34を備えている。そして、保持部材31を使用位置として軸突起32及びガイド突起33を軸受孔41及びガイドスリット42の第1係止凹部44に挿通させることで、底板2aにおいて碁盤目状に形成された開口部(水抜き孔)に対して、係止突部34が嵌入するように構成されている。
【0037】
尚、本実施形態では、折り畳みコンテナ1の折り畳み状態において、保持部材31は短辺側側壁部4の外面よりも上方に位置している。また、本実施形態では、保持部材31は、各長辺側側壁部3に対応して2つずつ均等位置に設けられている。さらに、長辺側側壁部3は長手方向中央部を中心として対称形状をなし、軸受孔41及びガイドスリット42についても左右対称形状をなしている。加えて、相対する一対の長辺側側壁部3においてそれぞれ設けられた保持部材31は、互いに対向する位置に設けられている。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態によれば、長辺側側壁部3を起立位置とし、保持部材31を使用位置とすることで、保持部材31を長辺側側壁部3と長辺側土台部6とに跨がせて上下に延在させることができる。従って、長辺側側壁部3及び長辺側土台部6の内面から突出した保持部材31によって、折り畳みコンテナ1に収容された物品の外周面を支持して、水平方向における位置ずれを防止することができる。特に、長辺側側壁部3から長辺側土台部6にかけて切れ目なく保持部材31を延在させることができるため、例えば、折り畳みコンテナ1に複数の物品を積み重ねて収容する場合において、長辺側側壁部3の下辺部よりも上方に位置する物品だけでなく、長辺側側壁部3の下辺部よりも下方に位置する物品についても、保持部材31が各段の物品に直接触れるようにして確実に保持することができる。従って、折り畳みコンテナ1に収容された物品のガタツキや傾倒等をより確実に防止することができる。
【0039】
さらに、保持部材31を収納位置とすることで、保持部材31が、長辺側側壁部3側に寄せられて長辺側側壁部3と長辺側土台部6との境界部を上下に跨がなくなるため、長辺側側壁部3を内側に回動させて折り畳むことが可能となる。従って、上下に積み重ねられて折り畳みコンテナ1に収容された各段の物品に対してそれぞれ保持部材31を当接させて保持可能な構成としても、長辺側側壁部3を確実に折り畳むことができる。
【0040】
また、例えば、保持部材31を長辺側側壁部3の高さ方向において伸縮可能に構成する場合には、保持部材31の外面に段差が形成されてしまうおそれがあるが、本実施形態のように、保持部材31を回動変位させる構成を採用することで、保持部材31の長さを確保しつつ、保持部材31の外面に段差が形成されないように(面一に)構成することができる。従って、折り畳みコンテナ1に収容された物品を段差のない平坦面で支持することができ、物品のガタツキをより確実に抑制することができる。さらに、保持部材31を伸縮させるための構成が不要なため、構成の簡素化等を図ることができる。
【0041】
また、保持部材31は、軸突起32が軸受孔41に軸支されている上、保持部材31の回動に際してガイド突起33がガイドスリット42に案内される。このため、保持部材31の回動の際の安定感を向上させるとともに、保持部材31を支える軸突起32の負担を軽減し、軸突起32の劣化、損傷等を抑制することができる。また、軸突起32及びガイド突起33を、軸受孔41及びガイドスリット42に形成された第1係止凹部44及び第2係止凹部45に挿通させることにより、使用位置及び収納位置とされた保持部材31の回動変位を防止することができる。従って、使用位置及び収納位置とされた保持部材31の位置決めをより確実に行うことができる。
【0042】
さらに、軸受孔41及びガイドスリット42を横に延ばす(横穴を形成する)だけで、保持部材31を収納位置にて保持するよう構成できる。このため、保持部材31を収納位置にて保持しておくための構成の簡略化を図ることができる。
【0043】
加えて、保持部材31には、下面から突出する係止突部34が設けられ、保持部材31が使用位置とされた場合に、係止突部34が底壁部2の底板2aの開口部(水抜き孔)に係止されるようになっている。このため、構成の複雑化を抑制しつつ、使用位置にある保持部材31自身のガタツキを抑制することができる。また、上記のように、保持部材31が使用位置とされた場合には、軸突起32及びガイド突起33が、軸受孔41及びガイドスリット42の各第1係止凹部44に挿入されるのであるが、当該挿入動作に際しては、上下方向に延びた姿勢の保持部材31が真直ぐ下方にスライド変位することから、係止突部34を水抜き孔に挿入し易くなり、係止突部34を水抜き孔に無理やりねじ込むこと等に起因する係止突部34の損傷等を抑制することができる。
【0044】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0045】
(a)上記実施形態では、側壁部3、4を折り畳んだ状態において、長辺側側壁部3が上側で短辺側側壁部4が下側に重なるようになっているが、長辺側側壁部3が下側で短辺側側壁部4が上側に重なるよう構成してもよい。また、上記実施形態では、長辺側側壁部3にだけ保持部材31が設けられているが、長辺側側壁部3の保持部材31に加えて、又は、代えて、短辺側側壁部4に保持部材31を設けることとしてもよい。さらに、上記実施形態では、保持部材31が、相対する一対の長辺側側壁部3において対向位置に設けられ、各長辺側側壁部3においても均等位置に設けられているが、保持部材31の配置や数などは特に限定されるものではなく、収容される物品に応じて適宜設定される。例えば、保持部材31が一方の長辺側側壁部3にのみ設けられてもよいし、一対の長辺側側壁部3においてそれぞれ設けられた保持部材31の位置が、長辺側側壁部3の長手方向においてずれていてもよい。
【0046】
(b)上記実施形態では、保持部材31が長辺側側壁部3に対して回動可能に軸支されているが、長辺側土台部6に軸支されるよう構成してもよい。但し、この場合、長辺側土台部6の大型化を招き、折り畳みコンテナ1をコンパクトに折り畳めなくなるおそれがあるため、上記実施形態のように、側壁部3の方に設けることが望ましい。
【0047】
また、軸突起32及びガイド突起33の配置についても特に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態ではガイド突起33として構成されている突起を中心として回動可能となるように構成してもよい。さらに、ガイド突起33を省略することも可能である。但し、この場合、第2係止凹部45に代わる保持部材31を収納位置で保持しておくための構成を設けることが望ましい。加えて、第1係止凹部44や係止突部34を省略することも可能であるが、保持部材31を使用位置で保持するために少なくとも一方を設けることが望ましい。
【0048】
(c)上記実施形態では、折り畳みコンテナ1の折り畳み状態において、保持部材31は短辺側側壁部4の外面よりも上方に位置しているが、例えば、短辺側側壁部4の補強リブ24の内周側に保持部材31の一部が収容されるように構成してもよい。この場合、折り畳みコンテナ1のコンパクト化等を図ることができる。また、上記実施形態では、長辺側側壁部3が長手方向中央部を中心として対称形状をなし、各長辺側側壁部3に設けられた一対の保持部材31は、使用位置と収納位置との間を変位する際に逆回りに回動するように構成されているが、同じ方向に回動するように構成してもよい。
【0049】
(d)上記実施形態では、折り畳みコンテナ1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、例えば、保持部材31の素材についても樹脂に限定されるものではなく、例えば、保持部材31の表面に対してゴム製で表面に細かな凹凸が形成されたシートを貼着してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…折り畳みコンテナ、2…底壁部、3…長辺側側壁部、4…短辺側側壁部、6…長辺側土台部、7…短辺側土台部、31…保持部材、32…軸突起、33…ガイド突起、34…係止突部、41…軸受孔、42…ガイドスリット、44…第1係止凹部、45…第2係止凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形板状をなすとともに、各側辺部に沿ってそれぞれ上方に突出する土台部を有する底壁部と、前記各土台部に対してそれぞれ回動可能に連結された側壁部とを備え、
前記各側壁部は、前記土台部の上方に立設される起立位置と、前記底壁部の上方に畳まれる寝かせ位置との間を回動変位可能に構成された折り畳みコンテナであって、
前記側壁部及び前記土台部のうち一方に対して回動可能に設けられ、前記側壁部が前記起立位置にある場合において、前記側壁部及び前記土台部の内面から突出する保持部材を備え、
前記保持部材は、前記側壁部が前記起立位置にある場合に、前記側壁部と前記土台部とを上下に跨ぐようにして延在する使用位置と、前記側壁部及び前記土台部のうち一方の内面に対してのみ対向配置される収納位置との間を回動変位可能に構成されていることを特徴とする折り畳みコンテナ。
【請求項2】
前記保持部材は、一側面から突出する軸突起及びガイド突起を備え、
前記側壁部及び前記土台部のうち一方には、前記軸突起を軸支する軸受孔と、前記軸受孔を中心とする円弧に沿って形成され、前記ガイド突起を挿通可能なガイドスリットとが形成され、
前記保持部材は、前記軸受孔に軸支された前記軸突起を中心として、前記ガイド突起が前記ガイドスリットに案内されつつ、回動可能に構成され、
前記軸受孔及び前記ガイドスリットは、前記保持部材が前記使用位置とされた場合に、前記保持部材を下方に変位させることで前記軸突起及び前記ガイド突起が挿通される第1係止凹部と、前記保持部材が前記収納位置とされた場合に、前記保持部材を当該保持部材の長手方向に沿って変位させることで前記軸突起及び前記ガイド突起が挿通される第2係止凹部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の折り畳みコンテナ。
【請求項3】
前記保持部材は、前記使用位置とされた場合に、前記底壁部に形成された水抜き孔に係止される係止突部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の折り畳みコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−1404(P2013−1404A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131512(P2011−131512)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】