説明

折り畳み可能なカートン

【課題】長方形をした角筒状のカートンの廃棄時に、薄く折り畳めるばかりでなく長さ方向の辺を複数の部分に折り返して小面積・小容積化する。
【解決手段】正面部1、背面部5、左右側面部2、3、底面部6、天面部8を有し、該背面部の上端に前記天面部が連設された長方形角筒状のカートンにおいて、前記左右側面部の中央対称位置に、前記底面部寄りの位置から天面部開口方向に向けて施された内折線o、p、r、sと、前記正面部・前記背面部の天面部開口縁から底面方向に向けた一部に形成した正面および背面の逆折部と、背面逆折部に、天面部開口縁から背面逆折部内に向けて破断可能に形成した一定幅の連結片と、天面部先端に差し込み片9を有する。これにより、廃棄時にコンパクトに折り畳んだ状態のまま、これを確実に固定維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子その他の食品や化粧品・医薬品など、とくに長方形をした嵩張るカートン容器に関し、使用後の廃棄時において薄く折り畳めるばかりでなく長さ方向の辺を複数の部分に折り返して小面積および小容積化することができるようにすることを目的とする。
【背景技術】
【0002】
長方形の紙パック類を使用済後に折り畳んで小容積化することに関しては、たとえば互いに平行する2つの側面を、その各々の側面の4隅から側面の幅方向中心に向かって対向的に配設された横V型または横Y型の谷折り用折り目線を含みかつ当該側面を容器内方に折り込むための谷折り用折り目線を施して折り込み用側面に形成するとともに、天面または底面の幅方向両端部近傍に、この幅方向と直交しかつ上記の開口部形成用側面を天面または底面上に折り畳むための谷折り用折り目線を施したティッシュペーパー用容器が知られている(特開2006−240688号公報参照)。
【0003】
また、対向側面に施された折目により牛乳パックなど長方形の容器を平坦に押し潰すとともに、その長さ方向両端部を対向方向に内折して重ね合わせ、さらにその内折した天面・底面の両端部外周面に粘着テープを貼り付け固定して廃棄できるようにした箱やパッケージも知られている(実開昭61−137517号公報参照)。
【0004】
さらに、シート部材の両側縁部を一方の側縁部に設けた糊代を介して接着することにより断面を四角形とし、表面、底面及び二つの側面からなる角筒体と、該角筒体の両端部を延長してなるフラップからなり、該フラップによって、前記角筒体の第1蓋部と第2蓋部を形成してなる包装用容器において、前記底面が前記包装用容器を折り畳むときの前記底面の底面折り畳み位置に谷折り畳み線を有し、前記側面部がY字状谷折り込み線を設けることにより折り畳みが可能とした包装用容器も知られている(特開2009−161200号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−240688号公報
【特許文献2】実開昭61−137517号公報
【特許文献3】特開2009−161200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特開2006−240688号公報(特許文献1)に開示された内容の容器にあっては、廃棄時に一端略平坦に押し潰すことはできるが、押し潰すことができるのは側面部分だけである。そればかりでなく押し潰した後に各々の側面の4隅から側面の幅方向中心に向かって対向的に配設された横V型または横Y型の谷折り用折り目線部分および天面または底面の幅方向両端部近傍に施した谷折り用折り目線部分を中心とした反力により、特に天面および底面の幅方向両端部が起立しやすく、結果的に十分な容積の縮小をはかることができない。
【0007】
また実開昭61−137517号公報(特許文献2)に開示されたパッケージについても、カートンの天面および底面の端部折り曲げ部分にはあらかじめ折線が施されていないため、中央部で内折した場合にカートンの両端部の膨らみにより折り畳み状態がかなり厚手となってしまい、しかも内折した天面・底面の両端部外周面に、該両端面を互いに圧接方向に押さえつけながら別体の粘着テープを用いて貼り付け固定する必要があり、使い勝手が良くない。
【0008】
さらに特開2009−161200号公報(特許文献3)に開示された包装容器にあっては、角筒体の第1谷折り線(51)、第2谷折り線(52)およびこの第2谷折り線(52)に対応する位置に設けられた山折り畳み線(62)および谷折り畳み線(60)の位置が底面(28)の長さ方向略中間部に位置するものであることから、包装容器を折り畳んだ際に、少なくとも第1側面(22)および第2側面(26)の高さ分に相当する容積については残存することになり、押し潰しによる十分な扁平廃棄ができない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記した従来技術における課題を解決し、とくに長方形をした角筒状の嵩張るカートン容器の使用後の廃棄時において、薄く折り畳めるばかりでなく長さ方向の辺を複数の部分に折り返して小面積および小容積化し、しかも別体の部材を用いることなくコンパクトな折り畳み状態を維持することができるようにしたものである。
【0010】
すなわち、第1の発明は、正面部、背面部、左右側面部、底面部、天面部を有し、該背面部の上端に天面部が連設された長方形角筒状のカートンにおいて、
左右側面部の中央対称位置に、底面部寄りの位置から天面部開口方向に向けて施された内折線と、正面部・背面部の天面部側の開口縁から底面方向の一部に正面および背面の逆折部を形成し、天面部側の開口縁から背面逆折部内に向けて破断可能に形成した一定幅の連結片と、該連結片に一端が連接され、先端に差し込み片を有する天面部とからなる折り畳み可能なカートンに関する。
【0011】
本発明は、上記したように長方形角筒状カートンにおける左右側面部の中央対称位置に、底面部寄りの位置から天面部開口方向に向けて内折線を施すのみならず、正面部・背面部の各天面部側の開口縁から底面方向の一部に正面および背面の逆折部を形成するとともに、該背面逆折部に、天面部側の開口縁から逆折部内に向けて一定幅の連結片を破断可能に形成し、しかも天面部の先端、すなわち自由端側に差し込み片を設けたものである。
【0012】
これにより、廃棄時において長方形角筒状カートンを平坦に押し潰すとともに底面部を巻芯としてカートンの長さ方向に巻折りした後、巻折り端面上に背面および正面逆折部を折り重ね、背面逆折部に形成した連結片を破断して引き伸ばし、該連結片および天面部により前記折り畳んだ部分を包み込んで天面部先端(自由端)側の差し込み片を、正面逆折部と背面逆折部との隙間に差し込んで折り畳み状態を固定維持することができる。
【0013】
また本発明は、長方形角筒状カートンを押し潰すとともに、底面部を巻芯としてカートンの長さ方向に巻折りし、該巻折り端面上に、正面および背面逆折部を折り重ね、さらに背面逆折部に形成したところの、天面部側の開口縁から逆折部の面内にかけて破断可能に形成した一定幅の切り込みによって形成された連結片の奥部の端辺を支点として天面部つきの連結片を外側に折り返し、前記巻折りした部分を包み込んで天面部先端の差し込み片を正面逆折部と背面逆折部との隙間に差し込み固定するようにしたものであるために、カートンの折り畳み状態が薄く折り畳めるばかりでなく長さ方向の辺を複数の部分に折り返して小面積および小容積化することができ、しかも折り畳み状態を固定して廃棄時の嵩張りを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施例である長方形角筒状カートンブランクの平面図。
【図2】図1のカートンブランクにより形成された長方形角筒状カートンを押し潰した状態の斜視図。
【図3】図2の状態から底面部を巻芯としてカートンの長さ方向に巻折するとともに天面部折線から逆折部の面内にかけて形成した一定幅の切り込みによって形成された連結片の奥部の端辺を支点として天面部と連結片を外側に折り返す過程をあらわした斜視図。
【図4】図3の状態から底面部上に逆折部を折り返して重ね合わせ、連結片および天面部をもって上記巻折りした部分を包み込んで天面部先端の差し込み片を正面逆折部と背面逆折部との隙間に差し込み固定する直前の状態をあらわした斜視図。
【図5】図4の状態から差し込み片を正面逆折部と背面逆折部との隙間に差し込み固定した状態の平面図。
【図6】本発明の第2実施例である長方形角筒状カートンブランクの平面図。
【図7】本発明の具体的な実施例のカートンにおける各部分の長さ寸法をあらわした展開図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において本発明の具体的な内容について第1実施例をもとに説明をする。図1は本発明の第1実施例である長方形角筒状カートンブランクとして展開したものであり、1は正面部、2および3は正面部1の端辺側に折線cおよびfを介して連設された左右の側面部、4は側面部3の片側端辺に折線iを介して連設された接着片、5は側面部2の片側端辺に折線jを介して連設された背面部をあらわしている。
【0016】
背面部5は、長さ方向(図1において上下方向)の略中間に位置し、互いに平行な折線u・vにより仕切られた中央部5dを有するとともにその片側には折線uを介して下部5aが、また反対側には折線vを介して背面逆折部5bが形成され、さらに下部5aには折線kを介して底面部6が、また背面逆折部5bには折線mを介して天面部8が連接され、しかも前記底面部6には折線lを介して舌片6aが、また天板部8には折線nを介して差し込み片9が、それぞれ連設されている。
【0017】
一方正面部1には上記した背面部5の折線uと折線vとの延長上の位置に折線aおよび折線bが平行に施されており、さらに正面部1の長さ方向端縁1eと折線bとの間には正面逆折部1cが形成されている。
【0018】
さらに正面部1の端縁1fと折線aの中間部に、別の折線wが折線aに平行に施されている。また、左右の側面部2および3の幅方向中央対称位置には、底面部6寄り(折線d・g寄り)の位置から天面部8の開口方向(折線e・h)に向けて内折線o・rが施されている。なおこの内折線o・rは舌片2bおよび3bにかけても折線q・tとして延長して設けられている。
【0019】
上記した内折線o・rの底面部6寄り(折線d・g寄り)の部分は折線dおよびgのそれぞれの側面部2および3の短片両端部から側面部2・3の内方に向けて斜め方向に付された折線p・pおよびs・sとそれぞれ交わる交点で接続されている。
【0020】
さらに側面部2には長さ方向の両端部に、折線dおよびeを介して舌片2aおよび2bが、それぞれ設けられ、また側面部3には長さ方向の両端部に、折線gおよびhを介して舌片3aおよび3bが、それぞれ設けられている。
【0021】
なおこの場合に底面部6の長さ(折線kとlとの間の距離)と天面部8の長さ(折線mとnとの間の距離)、そして側面部2と3の短辺長さ(折線j・c間、およびi・f間の長さ)、そして正面部1の長さ方向端縁1fと1eとの間の長さと背面部5の長さ方向折線mと折線k間の長さは等しくなるように設定する必要がある。
【0022】
背面部5の全体長さについては、本実施例の場合、底面部6の長さ、つまり折線kとlとの間の距離の略3倍強の長さとし、底面部6の長さ(折線kとlとの間の距離)に略等しいか若干長い距離の位置に折線uが、折線kと平行に形成され、折線uから底面部6の長さに略等しいか若干長い距離の位置に折線vが折線uと平行に形成され、折線mと折線vとに挟まれた部分を背面逆折部5bとしている。なおこの場合に上記した折線mから折線uまでの長さについては後述するように2Yとし、また天面部8の長さ(折線mから折線nまでの距離)についてもX2とする。
【0023】
さらに該背面逆折部5bには、天面部8を連設する折線mの長さ方向両端部から背面逆折部5bの内方に向けて傾斜させて形成した切り込み線7a・7aと、該傾斜させた切り込み線7a・7aの先端部から折線v方向に向けて平行に形成された同じ長さの切り込み線7・7によって、一定幅の連結片5cが形成されており、これにより天面部8の開口縁すなわち箱状に組み立てられた場合の、天面部8により開閉される開口面、(つまり折線m・eおよび端縁1eと折線hにより形成される平面をいう=以下同じ)から底面部6方向に向けて背面部5を破断可能になる。
【0024】
なお上記折線mの長さ方向両端部から背面逆折部5bの内方に向けて傾斜させて形成した切り込み線7a・7aと、それらの先端部から折線v方向に向けて形成された切り込み線7・7とによって形成された連結片5cは、最終的に天面部先端の差し込み片9が巻折り端の開口部、すなわち背面逆折部5bと正面逆折部1cの開口縁の隙間に差し込まれた際に、十分な固定状態を保持できる程度の幅を形成するのが好ましい。
【0025】
またこの場合の切り込み線7a・7aおよび7・7は断続的な切れ目でも、あるいはハーフカットの何れでも良いが、ハーフカットを施すと、その部分が外面に現れにくく意匠性が高まったり、内容物のバリア性が向上したりするのでハーフカット処理により破断可能に形成するのが望ましい。
【0026】
一方正面部1には上記した背面部5の折線uと折線vとに等しい位置に折線aと折線bとがそれぞれ平行に施されていることは既述した通りであり、これによって前記した背面部の中央部5dに対応する中央部1dが形成されている。さらに正面部1の長さ方向端縁1eと中央部1dとの間には折線bを介して正面逆折部1cが形成されている。さらに正面部1の長さ方向端縁1fと折線aの中間部に、別の折線wがそれぞれ平行に施されている。
【0027】
上記した構成によるカートンブランクにより、折線c・fを起点に左右の側面部2・3を直角同一方向に曲げるとともに折線iをもって接着片4を直角に内折し、さらに折線jをもって背面部5を直角内折してその端部を上記した接着片4に接着剤を介して重合接着し、折線dおよび折線gにより舌片2aおよび3aを直角に内折した後、折線kにより底面部6を直角内折して先端部の舌片6aを折線lにより直角に内折して、これを正面部1の端縁1fとの間の隙間に差し込み挿入することにより正面部・背面部および正面部と背面部の両側端部間を繋ぐ左右側面部、およびそれらの長さ方向一端に有する底面部と他端開口の背面部に、一端を連設させた天面部とからなる長方形角筒状カートンを形成することができる。
【0028】
この状態において、内部にたとえばお菓子や化粧品、あるいは薬剤等を充填し、折線e・hにより舌片2b・3bを直角内折した後、折線mおよびnにより天面部8および差し込み片9を直角内折して差し込み片9を正面部1の端縁1eから正面部1の内面に沿わせて差し込みして包装を完了する。
【0029】
なお上記した舌片2aおよび3aに対する底面部6の重合部、および底面部6の舌片6aと正面板1の内側端縁の重ね合わせ部分には、必要に応じて接着剤を介して接着するようにしてもよい。同様に舌片2b・3bと天面部8内側面との重合部分にも必要に応じて接着剤を介在して接着するようにしてもよい。
【0030】
使用済みの長方形角筒状カートンを廃棄する場合には、まず長方形角筒状カートンにおける左右の側面部を長さ方向に互いに内折りして押し潰す。すなわち左右の側面部2・3の中央部をカートンの内方に向けて押圧しながら折線o・p・q、および折線r・s・tにより内折して正面部1と背面部5とを略重合状態に押し潰す(図2参照)。
【0031】
つぎに底面部6を巻芯としてカートンの長さ方向に巻折りする。具体的には図2の左右の側面部を長さ方向に互いに内折りして押し潰した状態においては正面部1の下部折線wにより部分面1aと折線a寄りの部分面1b、および底面部6および背面部5の下部5aとが接近しており、これを巻芯として折線aを境に矢印A方向に巻折りする。
【0032】
巻折りした結果は図3にあらわしたように底面部6が背面部5の折線u・k間の下部5aとともに正面中央部1d上に接近して折り重ねられる。図3の状態から巻折りした部分を背面部5の折線u・k間の下部分5aを上にして略完全に折り重ねたところで、該巻折り端面(下部5a)上に正面逆折部1cおよび背面逆折部5bを折り重ねる。
【0033】
すなわちカートンの押し潰しにより略重合状態にある正面部1側の正面逆折部1cと背面部5側の背面逆折部5bとを、折線bおよび折線vにより正面逆折部1cの面を下にして矢印Bで示したように巻折り端面(下部5a)上に折り重ねる。
【0034】
この状態においてさらに背面側逆折部5bに形成したところの、天面部8の折線mの長さ方向両端縁から背面逆折部5bの面内にかけて形成した一定幅の切り込み7a・7a、7・7よって形成された連結片5cの奥部の端辺を支点として連結片およびこれに連設された天面部を裏側(矢印C)方向に折り返し、前記した巻折りした部分の外側を包み込む。
【0035】
具体的には背面逆折部5bに連設された天面部8を掴んでカートン背面側方向に向けて引っ張ると背面逆折部5bにハーフカットなどの切り込み線7a・7aおよび7・7により形成された連結片5cが切り込み線7a・7aから切り込み線7・7の末端に至るまで引き破られることにより連結片5cが裏側に引き出される。
【0036】
さらに天面部8を掴んだままこれを図3の矢印Cであらわしたように、背面中央部5dに対面させつつ、上記により正面部1上に巻折りした部分(下部5aおよび底面部6)を外側から包み込んで下部5a上に対面させ、天面部8の先端の差し込み片9を、前記巻折り端の開口部、すなわち図4に矢印Dにてあらわしたように、正面逆折部1cと背面逆折部5bとの隙間に差し込み固定する。なお折り畳み固定された状態の裏面を図5に示す。
【0037】
さらに図6には本発明の第2実施例のカートンブランクが示されている。これは前記した第1実施例の長方形角筒状カートンの正面部・背面部・左右側面部における中央部1dおよび5dの各中間部分とこれに対応した側面箇所を省略したもので、折り畳み状態を単に二つ折りとしたものである。
【0038】
具体的には図6において、11は正面部、12および13は正面部11の左右両側端辺に折線cおよびfを介して連設された左右の側面部、14は側面部13の片側端辺に折線iを介して連設された接着片、15は側面部12の片側端辺に折線jを介して連設された背面部、16は該背面部15の長さ方向の端部(下端)に折線kを介して連設された底面部、18は背面部15の他側長さ方向の端部(上端)に折線mを介して連設された天面部をあらわしている。
【0039】
さらに側面部12には長さ方向の両端部に、折線dおよびeを介して舌片12aおよび12bが、それぞれ設けられ、また側面部13には長さ方向の両端部に、折線gおよびhを介して舌片13aおよび13bが、それぞれ設けられている。さらに、背面部15には長さ方向の両端部に折線kおよび折線mを介して底面部16および天面部18が、それぞれ連設され、また底面部16には折線lを介して舌片16aが、また天面部18には折線nを介して差し込み片19が、それぞれ連設されている。
【0040】
なおこの場合に底面部16の長さ(折線kとlとの間の距離)と天面部18の長さ(折線mとnとの間の距離)、そして側面部12と13の短辺長さ(折線j・c間およびi・f間の長さ)、そして正面部11の長さ方向端縁11dと11eとの間の長さは等しくなるように設定する必要がある。なお背面部15の全体長さについては、本実施例の場合、底面部16の長さ、つまり折線kとlとの間の距離の略2倍強の長さとし、折線kから底面部16の長さ(折線kとlとの間の距離)に略等しいか若干長い距離の位置に折線vが、折線kと平行に形成されている。
【0041】
また折線mから天面部18の長さ(折線mとnとの間の距離)に略等しいか若干長い距離の位置に折線vを折線mと平行に施すことにより、この折線mと折線vとに挟まれた部分を背面逆折部15Aとしている。さらに該背面逆折部15Aには、天面部18を連設する折線mの長さ方向両端部から背面逆折部15Aの内方に向けて傾斜させて形成した切り込み線17a・17aと、該傾斜させた切り込み線17a・17aの先端部から折線v方向に向けて平行に形成された同じ長さの切り込み線17・17によって、一定幅の連結片15cが形成されており、これにより天面部18の開口縁から底面部16方向に向けて背面部15を破断可能になる。
【0042】
なおこの場合の切り込み線17a・17aおよび17・17はハーフカット処理により形成するのが望ましい。一方正面部11には長さ方向中間部、すなわち上記した背面部15の折線vの延長上に位置して折線aが長さ方向端縁11eと平行に施されており、正面部11の長さ方向端縁11eと折線aとの間の部分が正面逆折部11Aとしてある。
【0043】
さらに正面部11の長さ方向(図6において上下方向)の端縁11dと折線aの中間部に、別の折線wが、上記した長さ方向端縁11dと平行に施されている。なお、左右の側面部12および13の幅方向における中央部の対称位置には、底面部16寄り(折線d・g寄り)の位置から天面部18の開口方向(折線e・h)に向けて内折線o・rが施されている。なおこの内折線o・rは舌片12bおよび13bにかけても折線q・tとして延長して設けられている。
【0044】
この内折線o・rの底面部16寄り(折線d・g寄り)の部分は折線dおよびgのそれぞれの両端部から側面部12・13の内方に向けて斜め方向に付された折線p・pおよびs・sとそれぞれ交わる交点で接続されている。なおqおよびtは前記した内折線o・rの端部が舌片12b・13bの中央部にも延長して形成された折線をあらわしている。
【0045】
上記した構成による長方形角筒状カートンの形成、および内容物の充填については前記した第1実施例の場合と同様であるので説明を省略する。使用済の長方形角筒状のカートンを廃棄する場合には、まず長方形角筒状カートンにおける左右の側面部を長さ方向に互いに内折りして押し潰す。すなわち左右の側面部12・13の中央部をカートンの内方に向けて押圧しながら折線o・p・q、および折線r・s・tにより内折して正面部11と背面部15とを略重合状態に押し潰す。
【0046】
つぎに底面部16を巻芯として折線aおよびvによりカートンの長さ方向、すなわちカートンの開口方向に向けて折り曲げて巻折りする。その結果底面部16が背面部15の折線v・k間の下部分15aとともに正面部11上に接近して折り重ねられる。巻折りした部分を背面部15の折線v・k間の下部分15aを上にして略完全に折り重ねたところで、該巻折り端面(下部分15a)上に天面寄りの正面逆折部11Aおよび背面逆折部15Aとを折り重ねる。
【0047】
すなわちカートンの押し潰しにより略重合状態にある正面部11の正面逆折部11Aと背面部15側の背面逆折部15Aとを、折線aおよび折線vにより正面逆折部11Aの面を下にして巻折りされた底面部16上に折り重ねる。
【0048】
この状態において背面逆折部15Aに連設された天面部18を掴んでカートン背面方向に引っ張ると背面逆折部15Aにハーフカットなどの切り込み線17a・17aおよび17・17により形成された連結片15cが切り込み線17a・17aから切り込み線17・17の末端に至るまで引き破られることにより連結片15cが引き出される。
【0049】
さらに天面部18を掴んだままこれを背面部15および底面部16と正面部の部分11a・11bにより前記した巻折り方向と逆方向に折り返すとともに、上記巻折りした部分を外側から包み込むようにして巻折り端面(下部分15a)上に接近させ、先端の差し込み片19を、前記巻折り端の開口部、すなわち背面逆折部15A、正面逆折部11A、との開口隙間に差し込みつつ巻折り端面(下部分15a)上に重合させた状態で固定する。
【0050】
なお、上記した第1および第2実施例の何れの場合においても、連結片5c・15cの切れ込み長さについては巻折りする部分の長さおよび厚みを考慮し、最終的に差し込み片9・19を背面逆折部5b・15A、正面逆折部1c・11A、との開口隙間に差し込み固定することが可能な長さに設定するものとする。
【0051】
また第1実施例および第2実施例の場合を通じて、正面部1・11Aおよび背面部5・15Aに形成する折線a・b・v・uについては押し罫により形成されるが、これらの押し罫がなくても巻折りすることは可能なので必ずしも必要とされるものではない。
【実施例】
【0052】
本発明の具体的な実施例のカートンにおける各部分の寸法関係について図7にあらわした展開図をもとに説明をする。図7において、まず各部の高さについて、背面部5は背面逆折部5b(折線mと折線v間)が64mm、中央部5d(折線vと折線u間)が同じく64mmであり、上記逆折部5bと中央部5dとの合計距離(64mm+64mm=128mm)をもって距離2Yとして設定してある。
【0053】
また底面部6(折線kと折線lとの間)と天面部(折線mとnとの間)の長さはそれぞれ60mmであり、背面部5の下部5aは折線uと折線k間が60mmで底面部6の長さ(折線kと折線lとの間)、および天面部8の長さ(折線mと折線nとの間)と同じにしてある。なお天面部8の自由端に折線nを介して連設した差し込み片9の長さは25mm、また底面部6の自由端に折線lを介して連設した舌片6aは10mmに、それぞれ設定してある。
【0054】
さらに正面部1の高さについても、背面部5に習って正面逆折部1c(短辺1eと折線bとの間)および正面中央部1d(折線bと折線aとの間)、そして部分1bおよび1aを構成するための折線aと端縁1fとの間の長さについても、それぞれの長さが背面部の背面逆折部5b・中央部5d・下部5aに対応する長さ、すなわち64mm・64mm・60mmに設定されている。
【0055】
すなわち側面部2および側面部3の上下方向長さについては、前記した背面部5における長さ2Yに下部5aの長さを加えた長さに等しいことになる。なお側面部2および3のそれぞれの自由端側に突出させた各舌片2a・2bおよび3a・3bの突出長さはそれぞれ25mmとしてある。
【0056】
つぎに図7における各部の幅側の寸法について説明をすると、背面部5、正面部1、左右の側面部2および3のそれぞれの幅寸法(X1および折線j・c間、折線c・f間、折線f・i間の長さ)についてはすべて60mmに設定されており、側面部3に連接された接着片4の幅は10mmとしてある。なお側面部2の幅については前記した天面部8の長さ(折線m・n間の距離)と等しくX2とした。
【0057】
さらに背面部5の背面逆折部5bに形成した連結片5cについては、連結片5cを形成する縦方向の切り込み線7・7間の距離が20mm、そして該連結片5cの幅端(切り込み線7・7)と背面逆折部5bの左右側両幅端までの距離がそれぞれ20mmに設定されている。また切り込み線7・7の上方部は105度の角度をもって天面部8側の開口縁両端(折線mの長さ方向両端部)に向けた切り込み線7a・7aにより接続されている。
【0058】
さらに折線mを起点とした切り込み線7・7の中央部5d方向に向けた背面逆折部5b内に形成される連結片5cの縦方向長さについては図7に示したように40mmとしてある。これにより巻折りする部分の長さおよび厚みを考慮し、最終的に差し込み片9・19を背面逆折部15A、正面逆折部11A、との開口隙間に差し込み固定することが可能な長さとして、〔(2Y+X2)/2〕−X2以上に設定することができる。
【0059】
これを、理論的に表せば、前記した各部の寸法を前提として、〔128mm(2Y)+60mm(X2)〕÷2−60mm(X2)=34mm以上の切り込み長さがあれば足りることになる。なお、本実施例(図7)の場合では切り込み長さを40mmと設定しているので上記の条件を満たしている。
【0060】
また、この公式は既述した第1実施例(下部5a部分を有する)の場合、あるいは第2実施例(第1実施例のような下部5a部分を有しない)の場合のいずれにおいても充足する必要があり、巻折りした場合に、天面部8・18と、背面逆折部5b・15Aと、前記背面逆折部に連設された中央部5dや下部分15aなどの各ブロックが残ることになり、これらのブロックにより形成される3つのブロックにわたる長さの少なくとも半分を超える長さがあれば足りることになる。
【符号の説明】
【0061】
1 正面部
1a 部分面
1b 部分面
1c 正面逆折部
1d 中央部
1e 端縁
1f 端縁
2 側面部
2a 舌片
2b 舌片
3 側面部
3a 舌片
3b 舌片
4 接着片
5 背面部
5a 下部
5b 背面逆折部
5c 連結片
5d 中央部
6 底面部
6a 舌片
7 切り込み線
7a 切り込み線
8 天面部
9 差し込み片
11 正面部
11A 正面逆折部
11a 部分
11b 部分
11d 端縁
11e 端縁
12 側面部
12a 舌片
12b 舌片
13 側面部
13a 舌片
13b 舌片
14 接着片
15 背面部
15A 背面逆折部
15a 下部分
15c 連結片
16 底面部
16a 舌片
17 切り込み線
17a 切り込み線
18 天面部
19 差し込み片
a〜n 折線
o〜q 内折線
r〜t 内折線
u〜w 折線
































【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面部、背面部、左右側面部、底面部、天面部を有し、該背面部の上端に前記天面部が連設された長方形角筒状のカートンにおいて、前記左右側面部の中央対称位置に、前記底面部寄りの位置から天面部開口方向に向けて施された内折線と、前記正面部・前記背面部の天面部開口縁から底面方向に向けた一部に形成した正面および背面の逆折部と、背面逆折部に、天面部開口縁から背面逆折部内に向けて破断可能に形成した一定幅の連結片と、天面部先端に差し込み片を有する折り畳み可能なカートン。
【請求項2】
背面逆折部の切り込み長さ方向の長さが、〔(2Y+X2)/2〕−X2以上の長さを有するものである請求項1に記載の折り畳み可能なカートン。


























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−1453(P2013−1453A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138018(P2011−138018)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】