説明

折り畳み型携帯端末

【課題】折り畳み型携帯端末の二つの筐体にそれぞれ大画面の表示パネルを実装可能にし、かつ、筐体サイズを小さくする。
【解決手段】本発明の折り畳み型携帯端末は、ディスプレイ1を有する第1の筐体2と、第1の筐体2のディスプレイ1上に重ねられ、第1の筐体2の側とは反対のおもて面側にディスプレイ3を有する第2の筐体4と、を備える。さらに、第1及び第2の支持部5,6の一端が第1の筐体2の左右端部に第1及び第2のヒンジ7,8の各々によって回転可能に連結されている。そして、第1及び第2の支持部5,6の中央部が第2の筐体4の左右の側面に第3及び第4のヒンジ9,10の各々によって回転可能に連結されている。芯11が、第2の筐体4と第3及び第4のヒンジ9,10とを貫通して第1の支持部5と第2の支持部6を連結している。第3及び第4のヒンジ9,10は、第1及び第2のヒンジ5,6の並ぶ方向に対して平行な方向に沿って配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの筐体を重ねた状態から展開したり再び重ねたりすることが可能な折り畳み型携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や携帯情報端末に代表される携帯端末は、一般に、互いに連結された二つの筐体を備えており、一方の筐体は液晶パネルなどが設けられた表示面を有し、もう一方の筐体は操作ボタンなどが配設された操作面を有する。しかし最近は、操作面においてもタッチパネルなどの表示パネルが採用された携帯端末が登場し、付加価値を上げている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、携帯端末のフォームには、二つの筐体をヒンジ軸によって連結して折り畳み可能にするもの(折り畳み型)と、二つの筐体を積層しスライドヒンジによって連結することで一方の筐体上で他方の筐体をスライド自在にするもの(スライド型)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-172395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、携帯端末の二つの筐体にそれぞれ表示パネルを実装する場合、上述した折り畳み型とスライド型の双方のフォームにおいて、実装上の利点と欠点が存在していた。特に、大画面の2画面ディスプレイ端末を開発する際に課題があった。
【0006】
すなわち、折り畳み型の場合、ヒンジの機構が簡易なので、連結された筐体の各々に大きな表示パネルの実装エリアを確保することは比較的容易である。
【0007】
ところが、その表示パネルの実装エリアは、ヒンジを中心に二つの筐体を折り畳んでいるときに互いに向き合うが開いたときは使用者側へ向く各筐体の面(以下、内面と呼ぶ。)にある。このため、二つの筐体を折り畳んだときの端末のおもて面側に表示を実施したい場合、おもて面に新たに表示パネルを用意する必要があった。結果、その分の厚みが必要となり筐体サイズが大きくなってしまう要因となっていた。
【0008】
一方、スライド機構の場合、表示パネルの実装エリアは、一方の筐体上に他方の筐体を重ねた状態からスライドさせて展開したときに使用者側へ露呈する各筐体の面にある。したがって、前記他方の筐体の表示パネルはスライド前もスライド完了後もおもて面に常に露出するので、前記一方の筐体の表示パネルが前記他方の筐体で隠れていても、おもて面側に表示を実施することができる。しかし、スライドヒンジの構造が複雑であるため、前記一方の筐体にはその上の他方の筐体と重なるエリアが必要であった。結果、前記一方の筐体に、筐体の外周縁まで広がるような大きな表示パネルの実装エリアを確保することが困難であった。
【0009】
本発明は、上述した背景技術の課題を解決することができる折り畳み型携帯端末を提供しようとするものである。その目的の一例は、折り畳み型携帯端末の二つの筐体にそれぞれ大画面の表示パネルを実装可能にし、かつ、筐体サイズを小さくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の態様は、第1の表示パネルを有する第1の筐体と、第1の筐体の前記第1の表示パネル上に重ねられ、第1の筐体の側とは反対のおもて面側に第2の表示パネルを有する第2の筐体と、を備えた折り畳み型携帯端末である。
【0011】
このような態様の携帯端末はさらに、一端が第1の筐体の両端部に第1及び第2のヒンジの各々によって回転可能に連結され、かつ、中央部が第2の筐体の両側面に第3及び第4のヒンジの各々によって回転可能に連結された第1及び第2の支持部と、
第2の筐体と第3及び第4のヒンジとを貫通して第1の支持部と第2の支持部を連結する芯と、を備える。
【0012】
そして、第3及び第4のヒンジの回転軸線は、第1及び第2のヒンジの並ぶ方向に対して平行な方向に沿って配置されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、折り畳み型携帯端末の二つの筐体にそれぞれ大画面の表示パネルを実装可能にし、かつ、筐体サイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による携帯電話端末の基本構成を示す図である。
【図2】図1に示した第2の筐体の支持構造を説明する図である。
【図3】図1に示した第2の筐体と支持部の間のヒンジ部における構造と動きを説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態による携帯電話端末の筐体の開閉動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは、携帯電話端末を例にして説明するが、本発明は、表示パネルを持つ筐体の二つを折り畳み可能に結合した装置であれば、以下の例に限定されず、ディスプレイ装置、ノートパソコン、電子ブック、携帯情報端末などに適用可能である。
【0016】
(構成の説明)
図1は本発明の一実施形態による携帯電話端末の基本構成を示す。図1(a)は端末全体の正面図、図1(b)は図1(a)の矢印Aからみた端末の側面図、図1(c)は図1(a)の矢印Bからみた端末の側面図、図1(d)は図1(a)の矢印Cからみた端末の側面図である。
【0017】
これらの図に示すように、本実施形態の携帯電話端末は折り畳み型であり、ディスプレイ1が実装された第1の筐体2と、ディスプレイ3が実装された第2の筐体4とを備える。ディスプレイ1,3は、二つの筐体2,4を図1(a)に示すように開いたときに使用者側へ向く各筐体2,4の面に実装されている。ディスプレイ1とディスプレイ3はそれぞれタッチパネルの機構を備えている。
【0018】
また、第2の筐体4は、2つの支持部5,6の間に支持されている。第1の支持部5は、第1の筐体2の左端部に第1のヒンジ部7によって連結されており、第2の支持部6は、第1の筐体2の右端部に第2のヒンジ部8によって連結されている。さらに、第1の支持部5は略中央部が第2の筐体4の左側面に第3のヒンジ部9によって連結されている。第2の支持部6は略中央部が第2の筐体4の右側面に第4のヒンジ部10によって連結されている。これにより、2つの支持部5,6の間の第2の筐体4は、第3及び第4のヒンジ部9,10を中心に回転自在である。
【0019】
図2(b)は、図2(a)に点線で囲んで示す部分の構成を説明する図である。この図に示すように、第2の筐体4と第1及び第2の支持部5,6とは、第2の筐体4の内部に配置され、第3及び第4のヒンジ部9,10の内部を通る芯11によって結合している。したがって、第1及び第2の支持部5,6は、第2の筐体4を支持しつつ、連動して動くことができる。
【0020】
図3(a)は第1の支持部5と第2の筐体4の動きを、図1(a)の矢印Bの方向から見た図である。図3(b)は第1の支持部5と第2の筐体4を結合するヒンジ部9の周辺部分を拡大した正面図である。図3(c)はヒンジ部9の構成部品を示す斜視図である。これらの図に示すように、ヒンジ部9は、芯11を通せる2つの円筒形の構造物9aを重ねたものであり、一方の構造物9aが支持部5に結合され、もう一方の構造物9aが第2の筐体4に結合されている。また、第1の支持部5と第2の筐体4は逆の回転動作を行う構造となっている。例えば図3(a)に示すように、第1の支持部5が反時計回りに動くと第2の筐体4は時計回りに回転する。このような動きは、隣り合うギアが互いに逆回転することを利用して実現可能である。例えば、第1の支持部5の動きに連動する第1のヒンジ部7の回転軸に第1ギアを設け、第1ギアに第2ギアを噛み合わせ、第2ギアの回転を、第3のヒンジ部9の筐体4側の構造物に伝達すればよい。
【0021】
なお、図3には代表してヒンジ部9の部分を示したが、ヒンジ部10における構造と動きもヒンジ部9と同じである。
【0022】
次に、本実施形態の携帯電話端末の各部位の構成を説明する
「第1の筐体2」
第1の筐体2は携帯電話端末の下側筐体となるもので、タッチパネルの機能を持つディスプレイ1を有している。そして、第1の筐体2は第1及び第2のヒンジ部7,8と結合している。このため、ヒンジ部7,8を中心に第2の筐体4を移動して第1の筐体2の上に重ねる動作や、このように重なった状態から第2の筐体4を第1の筐体2から離間させる動作を可能にしている。
【0023】
「第2の筐体4」
第2の筐体4は携帯電話端末の下側筐体となるもので、タッチパネルの機能を持つディスプレイ3を有している。そして、第2の筐体2の左側面は第3のヒンジ部9を介して第1の支持部5と結合しており、第2の筐体2の右側面は第4のヒンジ部10を介して第2の支持部6と結合している。これにより、第2の筐体2は支持部5,6間で回転運動を可能にしている。
【0024】
「第1の支持部5」
第1の支持部5は第1のヒンジ部7を介して第1の筐体2と結合している。これにより、第1のヒンジ部7を中心に第1の支持部5を移動して第1の筐体2の上に重ねる動作や、このように重なった状態から第1の支持部5を第1の筐体2から離間させる動作を可能にしている。
【0025】
また第1の支持部5は、第3のヒンジ部9を介して第2の筐体4とも結合している。これにより、第1の支持部5と第2の筐体4が相互に回転運動を可能にしている。この回転運動では、図1(a)の矢印B方向から見て、第1の支持部5が反時計回りに動くと第2の筐体4は時計周りに動作する。あるいは、第1の支持部5が時計回りに動くと第2の筐体4は反時計周りに動作する。
【0026】
「第2の支持部6」
第2の支持部6は第2のヒンジ部8を介して第1の筐体2と結合している。これにより、第2のヒンジ部8を中心に第2の支持部6を移動して第1の筐体2の上に重ねる動作や、このように重なった状態から第2の支持部6を第1の筐体2から離間させる動作を可能にしている。
【0027】
また第2の支持部6は、第4のヒンジ部10を介して第2の筐体4とも結合している。これにより、第2の支持部6と第2の筐体4が相互に回転運動を可能にしている。この回転運動では、図1(a)の矢印D方向から見て、第2の支持部6が時計回りに動くと第2の筐体4は反時計周りに動作する。あるいは、第2の支持部6が反時計回りに動くと第2の筐体4は時計周りに動作する。
【0028】
「芯11」
芯11は、第3のヒンジ部9と第2の筐体4と第4のヒンジ部10を貫く棒状の構造物であり、上記の第1及び第2の支持部5,6が連動して動くことを可能にしている。また、第3及び第4のヒンジ部9,10を貫く少なくとも芯11の両端が、第1及び第2のヒンジ部7,8の並び方向に対して平行に配置されている。したがって、第3及び第4のヒンジ部9,10の回転軸線も第1及び第2のヒンジ部7,8の並び方向に対して平行な方向に沿って位置している。芯11の、第2の筐体4内に位置する部位は、第2の筐体4内の部品を避けるように屈曲していてもよい。
【0029】
上述したような本例の携帯端末は折り畳み型であるため、ヒンジ部7,8,9,10の機構が比較的簡易にでき、各筐体2,4の外周縁まで広がるような大きなディスプレイ1,3を実施することができる。
【0030】
(動作の説明)
次に、本実施形態による筐体の動作について説明する。
【0031】
図4は本実施形態の携帯電話端末が閉状態(おもて面にディスプレイがある状態)から最終的に開状態(2つのディスプレイが共に使用者側に向いた状態)になる動作を示している。この図は図1(a)の矢印Dの方向から眺めている図である。
【0032】
図4(a)に示す状態では携帯電話端末は閉状態になっている。すなわち、第1の筐体2(下側筐体)の上面のディスプレイ1は第2の筐体4(上側筐体)によって隠れ、第2の筐体4上のディスプレイ3は端末のおもて面側に向いている。
【0033】
この状態から図4(b)に示すように、第2の支持部6を第2のヒンジ部8を軸に時計回りに回転移動させる。このとき、第2の支持部6が時計回りに回転したため、第2の筐体4は、第4のヒンジ部10を中心に、第2の支持部6の回転方向とは反対側(反時計周り)に回転し始める。そして、図4(c)、図4(d)、および図4(e)に順次に示すような第2の筐体4の開動作と回転とが連動した動きを継続しながら、図4(f)の状態に至る。
【0034】
図4(f)の状態は携帯電話端末が完全に開状態になった図である。図4(f)の状態は、第1及び第2の支持部5,6が第1の筐体2の表示パネル実装面に対して所定の角度に達したときになる。そして、この状態で、第1の筐体2上のディスプレイ1と第2の筐体4上のディスプレイ3の双方が、端末の使用者側に良好に向くことになる。
【0035】
以上は携帯電話端末の閉状態から開状態への筐体の動きを説明したが、開状態から閉状態への筐体の動きは上述した動きと逆になる。
【0036】
具体的には、図4(f)の状態から図4(e)に示すように、第2の支持部6を第2のヒンジ部8を軸に反時計回りに回転移動させる。このとき、第2の支持部6が反時計回りに回転したため、第2の筐体4は、第4のヒンジ部10を中心に、第2の支持部6の回転方向とは反対側(時計周り)に回転し始める。そして、図4(d)、図4(c)、図4(b)に順次に示すような第2の筐体4の開動作と回転とが連動した動きを継続しながら、図4(a)の状態に至る。
【0037】
図4(a)は携帯電話端末が完全に閉状態になった図を示している。この状態では、第1の筐体2(下側筐体)の上面のディスプレイ1は第2の筐体4(上側筐体)によって隠れ、第2の筐体4上のディスプレイ3は端末のおもて面側に向いている状態になる。
【0038】
上述したような実施形態によれば、折り畳み型携帯端末が閉状態にされても表示パネルが上側筐体のおもて面にあることで携帯端末の利用が可能となる。そして、閉状態から開状態へ操作すると、上側筐体が反転して、上側筐体の表示パネルが下側筐体の表示パネルと同じ側に現れるので、2画面の携帯端末として利用することが可能である。さらに、その開状態から閉状態にすると、再び上側筐体が回転して表示パネルが端末のおもて面側に来る。したがって、2つの表示パネルだけで、閉状態での表示と開状態での表示を最適に実施することができる。
【符号の説明】
【0039】
1,3 ディスプレイ
2 第1の筐体
4 第2の筐体
5 第1の支持部
6 第2の支持部
7 第1のヒンジ部
8 第2のヒンジ部
9 第3のヒンジ部
9a 円筒形の構造物
10 第4のヒンジ部
11 芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み型携帯端末であって、
第1の表示パネルを有する第1の筐体と、
前記第1の筐体の前記第1の表示パネル上に重ねられ、前記第1の筐体の側とは反対のおもて面側に第2の表示パネルを有する第2の筐体と、
一端が前記第1の筐体の両端部に第1及び第2のヒンジの各々によって回転可能に連結され、かつ、中央部が前記第2の筐体の両側面に第3及び第4のヒンジの各々によって回転可能に連結された第1及び第2の支持部と、
前記第2の筐体と前記第3及び第4のヒンジとを貫通して前記第1の支持部と前記第2の支持部を連結する芯と、を備え、
前記第3及び第4のヒンジの回転軸線は、前記第1及び第2のヒンジの並ぶ方向に対して平行な方向に沿って配置されている、折り畳み型携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の折り畳み型携帯端末において、
前記第2の筐体は、前記第1及び第2のヒンジを中心とした前記第1及び第2の支持部の回転方向とは逆方向に、前記第3及び第4のヒンジ部を中心に回転可能であることを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項3】
請求項2に記載された折り畳み型携帯端末において、
前記第1の筐体の上に前記第2の筐体を重ねた状態では前記第1の表示パネルが前記第2の筐体で隠れ、前記第2の表示パネルがおもて面側に露出し、
前記第1及び第2のヒンジを中心に前記第1及び第2の支持部を前記第1の筐体から所定の角度まで回動させた状態では前記第2の表示パネルが前記第1の表示パネルと同じ側に向くことを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された折り畳み型携帯端末において、
前記第1及び第2の表示パネルはタッチパネルの機能を持つことを特徴とする折り畳み型携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−114533(P2011−114533A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268507(P2009−268507)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】