説明

折り畳み平面材

【課題】この発明が解決しようとする課題は、ミウラ折り(登録商標)の一変形についての製造に資する折り畳み平面材を提供するものである。
【解決手段】ミウラ折り(登録商標)として知られる折り畳み構造では、畳まれた形状の端部がジグザグとなる問題がある。本発明は、あらかじめそのジグザグ分を補正した平面材を用いて、折り畳んだ形状が小口の揃った形状になる手段で解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み平面材およびそれを用いた折り畳み構造の製造の方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本明細書における、「折り畳み平面材」の「平面材」とは、紙・プラスチック・複合材など相対的に薄い素材を意味するものとし、差し支えない部分では、説明上「紙」で代表して記述するものである。
現代では、非常に多くの文書が、殆ど一つのサイズA4判となっている。しかし多様な情報を記載する必要から、地図、設計図、マニュアル等、より大判で見る文書の需要が増大している。大判のものは、その携行、保存のために、その出力後の折り畳みが、必要となる場合が多い。従って、専業の印刷所はともかく、特に小規模事業者や事務所などで、個別に出力した場合の処理など、市販の事務機レベルの、小型の折り畳み器械の需要が増加している。
【0003】
各種の折り畳みの構造のなかで、ミウラ折り(登録商標)とよばれる折り畳み構造は、展開/収納性、強度、折り目の記憶等の特異な性質により、他の構造にくらべて、固有の可能性をもっている(特許文献1、2、3)。中でも、特許文献2、3に記載されたミウラ折り(以後ミウラ折りBとする)では、最終的な折り畳み形状が、長方形となるので、長方形の書類が主体な現状への適応性に優れている。また表紙なしに折り畳むだけで完成するので、事務機レベルの小型の折り畳み器械には本質的に適した性質をもつものといえる。
【0004】
【特許文献1】特許公報、昭50−11683
【特許文献2】特許出願、2007−154527
【特許文献3】特許出願、2007−220027
【0005】
しかしながら、一方では、元となる平面材の形状が、ジグザグの縁辺をもつ極めて特殊な形状であるので、折り畳み工程だけでなく、該特殊形状の処理工程が加わることになった。従来特許文献3で提案された方法では、折り畳み工程の後に、裁断工程により、ミウラ折りBを製作することが示されている。しかし、小型軽量の器械で、この二つの工程を達成することは困難であるので、前記の「本質的に適した性質」と相反する結論となる。
従って、ミウラ折りBの小型軽量の器械での製造方法、いわば効率的な製造の方法の開発を可能にするには、上記の相反する性質を合理的に処理する有効な方法が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、ミウラ折りBの効率的な製造の方法に資する折り畳み平面材およびそれを用いた製造の方法を提示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ミウラ折りBの製造の方法に資する折り畳み平面材を実現するため、隣接して並進連接された複数の同一の平行四辺形及び前記各平行四辺形から並進方向に交差して連接された隣接間で鏡映の平行四辺形の各隣接線として折り畳み線が形成された基本パターンを有し、前記基本パターンの前記併進方向に交差する両縁部に対し、該両縁部で端部の平行四辺形から並進方向へ仮想に連接された隣接間で鏡映の仮想平行四辺形が前記縁部に並進された平行四辺形に対し位置ずれした分のマージンを付加し、かくて形成された修正パターンで両縁部外郭形が記述されたことを、折り畳み平面材の最も主要な特徴とする。
【0008】
また、前記折り畳み平面材において前記マージンの折り畳み線は、前記両縁部における各平行四辺形の各隣接線を延長したものであり、かくて形成された修正パターンで両縁部外郭形が記述され、前記折り畳み線に溝加工したことを、折り畳み平面材の最も主要な特徴とする。
【0009】
また、前記前処理した折り畳み平面材を用いて、折り畳み器械によって、ミウラ折りBを製造することを、折り畳み平面材の製造の方法の最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
ミウラ折りBの製造に含まれる全工程は、印刷、特殊形状の裁断(溝加工を含む)、折り畳みの三つである。このうち、印刷を除いた、裁断と折り畳みの工程が考察の対象となる。小規模事業者や事務所での利用を想定すると、上記二つの工程を同時に自動化する事務器械は、理想ではあるが、コストと技術の点で無理と思われる。また、裁断工程は折り畳み工程より本質的に高剛性の機械装置を必要とするばかりか危険でもあり、小規模の事務機械にはなじまない。そこで、本発明では、裁断で前処理した平面材を用意し、折り畳み器械に託すという製造の方法をとる。
【0011】
さて、隣接して併進連接された複数の同一の平行四辺形及び前記各平行四辺形から併進方向に交差して連接された隣接間で鏡映の平行四辺形の各隣接線として折り畳み線が形成された基本パターンを有し、前記基本パターンの前記併進方向に交差する両縁部に対し、該両縁部で端部の平行四辺形から並進方向へ仮想に連接された隣接間で鏡映の仮想平行四辺形が前記縁部に並進された平行四辺形に対し位置ずれした分のマージンを付加し、かくて形成された修正パターンで両縁部外形が記述されている平面材において、前記の、隣接間で鏡映の仮想平行四辺形を鏡の位置で折り畳めば、すべて端部の平行四辺形に畳み込まれ、それゆえ縁部外形は同一の線におさまり小口がそろう。従って、上記の前処理によって作られた平面材は、折り畳むことによって、ミウラ折りBになる。
【0012】
以上のように、あらかじめ前処理した折り畳み平面材を用いれば、折り畳み器械のするべき作業は簡単軽量化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図示例に基づいて説明する。図1は、本考案で、課題を解決するための手段を説明するための、説明図である。ここで、基本パターン10は、隣接して並進連接された複数の同一の平行四辺形1,2,3・・・及び前記各平行四辺形から並進方向に交差して連接された隣接間で鏡映の平行四辺形の各隣接線として折り畳み線が形成されたものである。また一点鎖線mは山折り線、破線nは谷折り線を示す。
ここで、図の上縁部の(左に傾斜した)平行四辺形1から、並進方向に隣接して鏡映の仮想平行四辺形2’、さらにその鏡映の仮想平行四辺形3’の該操作を順に行うと、前記縁部に並進された平行四辺形にたいし、位置ずれした仮想平行四辺形群2’,3’,4’・・・が構成される、この位置ずれした分に応じたマージン20により、元の縁辺11を修正したものをその縁辺21とする。
【0014】
さて、このような形状の平面材を、折り畳むとすれば、前記の鏡映と逆の操作となるから、仮想平行四辺形群2’,3’,4’・・・は、前記縁部の平行四辺形1に折り畳まれ、縁辺21も一つの線に折り畳まれるはずである、つまり縁辺の小口が揃う。対辺12についても同様に修正すると、縁辺22が形成される。該修正をした基本パターンを修正パターン30とし、その外郭線を25とする。修正パターン30の折り畳み平面材40を折り畳めば、結果としてミウラ折りBが生成される。
【実施例1】
【0015】
以下、図面によって、第1実施例を説明する。図2aは、本考案の第1実施例の平面図である。ここで、折り畳み平面材40の外郭形状は、修正パターン30の外郭線25を補正したものである。上下の縁辺21,22は、図1で示された修正パターン30の縁辺21,22を部分的に延長し、左右の側縁23,24は、基本の平行四辺形の並進方向に直交する直線とした。これによって補正された外郭線を、補正外郭線26とする。該外郭線は、長方形のトレーサイズ参考線27に収まり、用紙の位置決めおよびハンドリングでの便宜を与える。同時に、畳まれたときの外郭形状が長方形となることにも資する。該平面材を折り畳み工程にかけると、ミウラ折りBが完成する。図2bは、結果としてのミウラ折りBの平面図である。
【実施例2】
【0016】
第2実施例では、図3aに示すように、第1実施例の外郭形状26の平面材40について、修正パターンに対応する折り線位置に溝加工を加えたものである。図では、山折りm,谷折りnの区別をしているが、区別しない場合もある。また、裁断と溝加工は、多少の工夫を施せば、多くの場合同一の機械で実行できる利点がある。これによって、折り畳み工程の一部がすでに進んだことになり、その後の作業を進めるに好都合である。また場合によっては、手作業でできる状態になる。
【0017】
第3実施例では、実施例1、2に従い、あらかじめ特殊形状に裁断された折り畳み平面材40について、通常の印刷工程を経て、折り畳み工程にかけることで、ミウラ折りBが製造される。前記のように、折り畳み平面材は、長方形のトレーサイズ27に適合するような形状に裁断されており、通常の長方形の平面材とほぼ同等に取り扱える。折り畳み工程は、既存のミウラ折り(登録商標)の製造の原理の援用で実行可能である。前記のように、ミウラ折りBは、表紙を必要としないので、これで完結できる。以上の製造工程は、次の二つのステップに分けられよう。
1.(原紙)―裁断工程―(折り畳み平面材)
2.(折り畳み平面材)―印刷工程−折り畳み工程−(完成品)
この具体的なイメージは、第一のステップは専門の業者によっておこなわれ、折り畳み平面材が市場に供給される。第二のステップは、事務所などで、該平面材を用い、プリンターで印刷、次いで折り機でミウラ折りBを作成するということである。
【0018】
以上要するに、本発明の前処理された折り畳み平面材を使うことによって、折り畳みの自動化の作業をより一層簡素化することになり、その製造の方法の確立に資することができた。なお、本発明の折り畳み平面材は、その基本形の本質を損なわないかぎり、目的に応じて部分的に改変することは可能であり、その他、種々付加的な使い方、あるいは削除的な使い方が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の折り畳み平面材の形状生成原理の参考図である。

【図3】実施例2の折り畳み平面材の平面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 基本平行四辺形
2,3,4,・・・平行四辺形
2’,3’,4’,・・・仮想平行四辺形
10 基本パターン
11,12 縁辺
13,14 側辺
20 マージン
21,22 修正縁辺
23,24 修正側辺
25 修正パターンの外郭線
26 補正外郭線
27 トレーサイズ参考線
30 修正パターン
40 折り畳み平面材
m 山折り線(一点鎖線)
n 谷折り線(破線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接して並進連接された複数の同一の平行四辺形及び前記各平行四辺形から並進方向に交差して連接された隣接間で鏡映の平行四辺形の各隣接線として折り畳み線が形成された基本パターンを有し、前記基本パターンの前記並進方向に交差する両縁部に対し、該両縁部で端部の平行四辺形から並進方向へ仮想に連接された隣接間で鏡映の仮想平行四辺形が前記縁部に並進された平行四辺形に対し位置ずれした分に応じたマージンを付加し、かくて形成された修正パターンで両縁部外郭形が記述されたことを特徴とする折り畳み平面材。
【請求項2】
請求項1において、前記マージンの折り畳み線は、前記両縁部における各平行四辺形の各隣接線を延長したものであり、かくて形成された修正パターンで両縁部外郭形が記述され、前記折り畳み線に溝加工したことを特徴とする折り畳み平面材。
【請求項3】
請求項1における折り畳み平面材を用い、折り畳み装置で加工することを最も特徴とする、折り畳み構造を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−263130(P2009−263130A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138728(P2008−138728)
【出願日】平成20年4月26日(2008.4.26)
【出願人】(591048139)
【出願人】(304020074)
【Fターム(参考)】