説明

折り畳み式カメラ

【課題】ファインダ兼用液晶表示装置にフードを設けてウエストレベルでも見易くするとともに、不使用時には、表示画面や操作ボタンを非露出にするとともに、フードが嵩張らないようにする。
【解決手段】背面カバー20は回動軸23を中心に回転して、液晶表示画面26を上方から除き込むウエストレベルファインダとなる位置20Bとカバー位置20Aとに姿勢変更できる。背面カバー20には庇部27,29が形成され、カバー位置では、庇部27がカメラ本体11の側面を覆って、そこに配置された操作ダイヤル31を保護し、庇部29がカメラ本体11の底面30を覆う。液晶表示画面26はカメラ本体11の背面19に近接して背面19に設けられた複数の操作ボタンを覆い隠して保護し、液晶表示画面26自身も隠れるため保護される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの外観や操作部材を保護するカバー部材に関し、詳しくは、カメラを使用するときにはカバー部材に設けられた画像表示装置が露呈してウエストレベルファインダとなるようにした折り畳み式カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カメラは携帯時の傷・汚れなどの保護のため、不使用時にはカメラケースに収容されることが多い。最近はカメラの小型化により、カメラ本体の大部分を覆うケースをカメラ本体にスライド自在に設け、カメラの使用時に、該ケースをスライド移動させて、撮影レンズやシャッタボタンあるいは機能設定ボタンなどを露出させるようにしたものがある。
【0003】
一方、デジタルカメラは液晶あるいはEL(エレクトロ・ルミネッセンス)などによる画像表示装置を備え、撮影した画像あるいはこれから撮影する画像を表示させる。画像表示装置はファインダ機能を兼ねているので、光学式ファインダを備えていないものもある。このように、ファインダ兼用画像表示装置は、表示画面を様々な角度から視認できるように、角度が変更自在に支持されている。また、カメラの不使用時には画像表示装置を裏返し、又は本体内に格納して、携帯時に表示画面に傷が付かないようにしたものもある。
【0004】
下記特許文献1には、画像表示装置を上下又は左右にスライド又は回転させて、収納位置から使用位置へと移動させるとともに表示画面を様々な角度から視認できるようにした画像表示装置の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−088740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カメラを持ち運んでいるときに、撮影画像を表示する表示画面や操作ダイヤル、操作スイッチなどにゴミや汚れが付着したり、傷が付いたりすることがある。これらからカメラを保護するためにカメラケースに入れて使用するが、カメラケースを使用すると撮影時に邪魔になることが多く、また、カメラの取り出しや収納に手間がかかってしまう。
【0007】
屋外撮影では表示画面に太陽光が当たって、表示画像が見難くなることがある。前記特許文献1記載の画像表示装置は様々な角度に調整可能であるが、ウエストレベルで見るときには問題は解決されない。これに対しては、表示画面の周囲にフードを設けると見やすくなるが、それでは嵩張ってしまい、持ち運びに支障が生じてしまう。また、表示画面にフードが設けられていてはカメラケースに入れることも出来ない。
【0008】
本発明は、上記問題点の全てを解決するためになされたものであり、ファインダ兼用画像表示装置にフードを設けてウエストレベルでも見易くするとともに、不使用時には、表示画面や操作ボタンを非露出にするとともに、フードが嵩張らないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による折り畳み式カメラは、カメラ本体の上部背面側に軸支され、前記カメラ本体の背面に配置された操作部材を覆い隠して保護するカバー位置と前記カバー位置から270°回転した位置との間で回動自在とされた背面カバーと、撮影画像が表示される表示画面を有するとともに前記背面カバーに固定され、前記カバー位置では前記表示画面が前記カメラ本体の背面と近接対向するとともに前記270°回転した位置では前記表示画面が前記カメラ本体の上方で水平に露呈されてウエストレベルファインダとなる画像表示装置と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記背面カバーは、前記カバー位置において前記カメラ本体の左右の側面と底面とを覆う庇部が形成され、前記カメラ本体の側面に配置された操作部材を覆い隠して保護するようにすると良い。
【0011】
前記背面カバーを前記カバー位置から180°回転させて、前記表示画面がアイレベルファインダとなる位置で位置決め静止させる係止機構を備えるようにすると良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示画面が設けられた液晶表示装置が、操作ボタンを覆ってこれらを格納すると同時に自身の表示画面も露呈しない位置に収容して保護するカバー位置と、ウエストレベルやアイレベルなどの複数の使用位置との間で移動自在に折り畳まれるとともに、使用位置では不要外光をカットするフードとなる3方に張り出した庇部材が不使用時にはカメラ本体の底面と左右側面とに密着して、嵩張ることなく携帯性の良いカバーケースの一部となるので、機能性と携帯性に優れたものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による折り畳み式カメラの不使用状態の外観図である。
【図2】表示画面がウエストレベル位置にあるときのカメラを前方斜め上から見た外観図である。
【図3】図2におけるカメラを背面側下方から見た外観図である。
【図4】図2におけるカメラを側面から見た模式図である。
【図5】ヒンジ部の拡大図である。
【図6】表示画面がアイレベル位置にあるときのカメラを側面から見た模式図である。
【図7】図6におけるカメラを背面側下方から見た外観図である。
【図8】別(第2)の実施形態を説明する図である。
【図9】別(第3)の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示されるように、本発明による折り畳み式カメラ10は、略直方体をしたカメラ本体11に略円柱形の固定鏡筒12が設けられる。固定鏡筒12の内側に撮影レンズ13を有する移動鏡筒14が配置され、撮影レンズ13の前方に一対のレンズカバー板15が開閉自在に設けられている。カメラ本体11は、前面にシャッタボタン16が設けられ、左右側面の上方にネックストラップ(図示せず)が取り付けられる吊り環18が設けられる。カメラ本体11の後方には、カメラ本体11の背面19(図3参照)を覆う背面カバー20が設けられ、背面カバー20の一辺の両端に形成されたヒンジ部21が、カメラ本体11の上部背面側に形成された軸受部22に設けられた回動軸23に回転自在に支持される。
【0015】
図2,3に示されるように、背面カバー20は撮影画像が表示される液晶表示画面26を有する画像表示装置25を備え、液晶表示画面26の三辺を囲むように庇部27〜29が形成される。庇部27〜29は、液晶表示画面26と垂直な方向に張り出して液晶表示画面26に対するフードの役目をする。なお、表示画面は液晶でなくても良く、例えば、ELであっても良い。
【0016】
また、図1に示されるように、背面カバー20は、カバー位置(図4参照)では、庇部27,28がカメラ本体11の左右の側面を覆って、そこに配置された操作ダイヤル31,32を保護する。また、庇部29がカメラ本体11の底面30を覆うとともに、液晶表示画面26がカメラ本体11の背面19に近接して背面19に設けられた十字キーボタン33や決定ボタン34及びその他の操作ボタン35を覆い隠して保護し、液晶表示画面26自身も隠れるため保護される。
【0017】
背面カバー20は、庇部29が立設された一辺に、フラッシュ発光部37とAF合焦補助光源38と手動操作ノブ39を有するフラッシュユニット36が回転自在に設けられる。フラッシュユニット36を回転させるとフラッシュ発光部37とAF合焦補助光源38はその照射方向を上下方向に変化させることができるので、背面カバー20の姿勢が変更されたときに、手動操作ノブ39を操作してフラッシュ発光部37及びAF合焦補助光源38を被写体の方向に向けることができるようになっている。
【0018】
図4に示されるように、背面カバー20はカバー位置20Aから270°回転させて表示画面26がカメラ本体11の上方に露呈した位置20Bにすることができる。この位置では、液晶表示画面26を矢印40で示す方向から見ることになり、液晶表示画面26がウエストレベルファインダの役割をする。このとき、フラッシュ発光部37が被写体の方向(矢印44で示す方向)に向いていないときは、手動操作ノブ39を操作してフラッシュ発光部37及びAF合焦補助光源38を被写体の方向に向ける。
【0019】
図5に示されるように、ヒンジ部21と軸受部22が嵌合する面には、それぞれ球面凹部41と球面凸部42とが回動軸23の同心円上に90°間隔で4つづつ形成され、ヒンジ部21が90°回転するごとにクリックが働いて係止される。
【0020】
図6,7に示されるように、背面カバー20をカバー位置20Aからクリック2つ分動かして180°回転させ、画像表示装置25がカメラ本体11の上に直立した位置20Cにすることができる。この位置では、液晶表示画面26を矢印45で示す方向から見ることになり、液晶表示画面26がアイレベルファインダの役割をする。このとき、フラッシュ発光部37が被写体の方向(矢印46で示す方向)に向いていないときは、手動操作ノブ39を操作してフラッシュ発光部37及びAF合焦補助光源38を被写体の方向に向ける。また、庇部27〜29によって上方からの光が液晶表示画面26に直接当たらないので、液晶表示画面26が見易い。
【0021】
前記実施形態では、背面カバー20の姿勢が変更されたときに、手動操作ノブ39を操作してフラッシュ発光部37及びAF合焦補助光源38を被写体の方向に向けるようにしたが、これを自動的に行うようにしても良い。
【0022】
図8に示されるように、背面カバー20にフラッシュユニット36を回転させるマイクロモータ(角度制御装置)52を設け、フラッシュユニット36の回転を制御する。一方、軸受部22に角度センサ(回転角度検出部)51を設けて、背面カバー20のカバー位置20Aからの回転角度、又は、ウエストレベルファインダとなる位置20Bか、アイレベルファインダとなる位置20Cかを検知させ、この情報を基にマイクロモータ52を回転させてフラッシュユニット36を回転し、フラッシュ発光部37及びAF合焦補助光源38が常に被写体の方向に向くようにしても良い。
【0023】
図9に示されるように、背面カバー20にタイミングベルト53とギヤ54〜57を設けて、背面カバー20の回動をフラッシュユニット36に伝達し、フラッシュ発光部37の向きが常に被写体の方を向くようにしても良い。回動軸23をカメラ本体11の軸受部22に固着し、回動軸23にギヤ54を固定する。ギヤ54と噛合するギヤ55にはタイミングローラ58が一体に形成される。一方、フラッシュユニット36にはギヤ56が設けられ、ギヤ56にはタイミングローラ59が一体に形成される。タイミングローラ58と59の間がタイミングベルト53で連結され、背面カバー20の回転がフラッシュユニット36に伝達される。
【0024】
ギヤ54〜57のそれぞれの歯数を適宜選択して、背面カバー20の回転角とフラッシュユニット36の回転角を一致させることができる。例えば、ギヤ54〜57のそれぞれの歯数を全て同じにすれば良い。
【0025】
なお、本発明による折り畳み式カメラ10は、カメラ本体11に固定鏡筒12が設けられた構成のものだけでなく、取り外し自在な交換式レンズを使用する構成であっても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0026】
10 折り畳み式カメラ
11 カメラ本体
12 固定鏡筒
13 撮影レンズ
14 移動鏡筒
15 レンズカバー板
16 シャッタボタン
18 吊り環
19 背面
20 背面カバー
21 ヒンジ部
22 軸受部
23 回動軸
25 画像表示装置
26 液晶表示画面
27〜29 庇部
31,32 操作ダイヤル(側面に配置された操作部材)
33 十字キーボタン(背面に配置された操作部材)
34 決定ボタン(背面に配置された操作部材)
35 操作ボタン(背面に配置された操作部材)
36 フラッシュユニット
37 フラッシュ発光部
38 AF合焦補助光源
39 手動操作ノブ(手動操作部材)
40,44〜46 矢印
41 凹部(係止機構)
42 凸部(係止機構)
51 角度センサ(回転角度検出部)
52 マイクロモータ(角度制御装置)
53 タイミングベルト(角度制御装置)
54〜57 ギヤ(回転角度検出部及び角度制御装置)
58,59 タイミングローラ(角度制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体の上部背面側に軸支され、前記カメラ本体の背面に配置された操作部材を覆い隠して保護するカバー位置と、前記カバー位置から270°回転した位置との間で回動自在とされた背面カバーと、
撮影画像が表示される表示画面を有するとともに前記背面カバーに固定され、前記カバー位置では前記表示画面が前記カメラ本体の背面と近接対向するとともに前記270°回転した位置では前記表示画面が前記カメラ本体の上方で水平に露呈されてウエストレベルファインダとなる画像表示装置と、
を備えたことを特徴とする折り畳み式カメラ。
【請求項2】
前記背面カバーは、前記カバー位置において前記カメラ本体の左右の側面と底面とを覆う庇部が形成され、前記カメラ本体の側面に配置された操作部材を覆い隠して保護することを特徴とする請求項1記載の折り畳み式カメラ。
【請求項3】
前記背面カバーを前記カバー位置から180°回転させて、前記表示画面がアイレベルファインダとなる位置で位置決め静止させる係止機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の折り畳み式カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−38633(P2013−38633A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173729(P2011−173729)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(591288506)ピクセル技研株式会社 (5)
【Fターム(参考)】