説明

折り畳み梯子の展開防止構造

【課題】外観意匠を損なわず、緊急時の係止解除は容易に行えるとともに、階下からの係止解除は困難にできる折り畳み梯子の展開防止構造を得る。
【解決手段】建物に固定される固定柱13と、この固定柱13に一端15aが回動自在に固定された複数の踏桟15の他端15bに回動自在に固定され固定柱13に対して上下方向に平行移動して収納及び展開される可動柱17と、を備えてなる折り畳み梯子100の展開防止構造であって、可動柱17は、収納の位置で固定柱13に沿って近接するとともに、上端部27が固定柱13の上端部25と同一高さに配置され、同一高さに配置された固定柱13及び可動柱17の上端部25,27に上方から着脱自在に挿入されて可動柱17の展開を阻止する係止具を備える。係止具と上端部25,27には挿入の方向と直交方向の係止ピン33にて挿入反対方向の係止具の抜脱を規制する係合手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に固定される固定柱と、この固定柱に踏桟を介して上下方向に平行移動して収納及び展開される可動柱とを備えてなる折り畳み梯子の展開防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マンション等の避難用梯子として、建物に固定されて収納・展開自在となった折り畳み梯子が知られている(例えば、特許文献1参照)。この折り畳み梯子は、下枠、上枠、固定縦桟、可動縦桟、及び複数の踏桟とからなり、固定縦桟はその下端部が下枠に固定され且つ上端部が上枠に固定され、踏桟はその一方端が固定縦桟に他方端が可動縦桟に回動自在に固定される。通常時は、固定縦桟と可動縦桟及び踏桟が1本の棒状に折り畳まれた状態にあり、使用時には可動縦桟を押し下げることにより、ワンタッチで梯子に展開できる。開いた状態では下枠、上枠、固定縦桟、可動縦桟とで閉構造をなして剛性が増し、安全に避難することができた。このように折り畳み梯子は、普段は一本棒に見えるので美観に良く、又普段は一本なので、いたずらで昇り降りすることもない。火災時には有効な梯子となり人命を救う(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−44247号公報
【特許文献2】実開昭63−73500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、折り畳み梯子は、棒状に収納が行え、外観意匠が良好である反面、通常の収納状態にあっても可動縦桟が階下に達しているため、悪意のある侵入者が階下から可動縦桟をガタガタ揺する等の外力を加えると、緊締具の係止が外れて、梯子が使用可能状態に展開され、不法侵入を許してしまう虞があった。その一方で、厳重な係止装置を設ければ、緊急時の係止解除が容易に行えず、安全性の確保が困難となるとともに、装置が大型化すれば、折角の良好な外観を低下させることにもなった。このため、外観意匠性を低下させることなく、緊急時の係止解除は容易に行え、しかも、防犯性は確保することのできる折り畳み梯子の展開防止構造が切望されていた。
【0004】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、外観意匠を損なわず、緊急時の係止解除は容易に行えるとともに、階下等からの係止解除は困難にできる折り畳み梯子の展開防止構造を提供し、もって、見栄え、防犯性、緊急対応性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の折り畳み梯子の展開防止構造は、建物11に固定される固定柱13と、該固定柱13に一端15aが回動自在に固定された複数の踏桟15の他端15bに回動自在に固定され前記固定柱13に対して上下方向に平行移動して収納及び展開される可動柱17と、を備えてなる折り畳み梯子の展開防止構造であって、
前記可動柱17は、前記収納の位置で前記固定柱13に沿って近接するとともに、上端部27が前記固定柱13の上端部25と同一高さに配置され、
同一高さに配置された該固定柱13及び該可動柱17の上端部25,27に上方から着脱自在に挿入されて前記可動柱17の展開を阻止する係止具31を備え、
該係止具31と前記上端部25,27には前記挿入の方向と直交方向の係止ピン33にて挿入反対方向の前記係止具31の抜脱を規制する係合手段35が設けられたことを特徴とする。
【0006】
この折り畳み梯子100の展開防止構造では、係止具31が上方向でなければ引き抜けず、しかも、単に挿入反対方向に抜こうとしても係止ピン33にて抜脱が阻止され、上階での脱着操作性を低下させることなく、階下からの脱着が困難となる。
【0007】
請求項2記載の折り畳み梯子の展開防止構造は、前記係合手段35が、
前記固定柱13及び前記可動柱17の上端部25,27から前記挿入の方向と直交方向に突出する前記係止ピン33と、
前記係止具31に凹設され前記挿入方向に対し傾斜する斜め溝37を有して該係止ピン33を受け入れる係合溝39と、
からなることを特徴とする。
【0008】
この折り畳み梯子の展開防止構造では、上端部25,27に挿入されている係止具31を引き抜きながら、係止ピン33が斜め溝37に沿って移動するように回転させることで、係止具31が上端部25.27から脱着可能となる。
【0009】
請求項3記載の折り畳み梯子の展開防止構造は、前記係合手段35が、
前記固定柱13及び前記可動柱17の上端部25,27に挿入された前記係止具31Bを、前記固定柱13及び前記可動柱17と共に貫通する前記係止ピン53と、
該係止ピン53の基端に固設され貫通穴61からの抜けを阻止する大径把持部55と、
前記係止ピン53の先端に螺合されるナット部材59と、
からなることを特徴とする。
【0010】
この折り畳み梯子の展開防止構造では、ナット部材59と大径把持部55を両手で持って螺合解除し、係止ピン53を挿入の方向と直交方向に抜き取った後に、係止具31Bが上端部から脱着可能となる。
【0011】
請求項4記載の折り畳み梯子の展開防止構造は、前記係止具31の上端面43に、手掛け部45が設けられたことを特徴とする。
【0012】
この折り畳み梯子の展開防止構造では、手掛け部45が上端面43に配設されていることで、上階からの操作性にのみ寄与し、階下からの操作性、すなわち、把持易さは向上されない。
【0013】
請求項5記載の折り畳み梯子の展開防止構造は、前記係止具31が、可撓性線体で固定物に締結されて前記上端部25,27に着脱自在となったことを特徴とする。
【0014】
この折り畳み梯子の展開防止構造では、折り畳み梯子を展開するために、上端部25,27から係止具31が脱着されても、係止具31が可撓性線体を介して固定物に繋がれて、上端部25,27の傍らから離れない。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る請求項1記載の折り畳み梯子の展開防止構造によれば、同一高さに配置された固定柱及び可動柱の上端部に着脱自在に挿入されて可動柱の展開を阻止する係止具を備え、係止具と上端部には、挿入の方向と直交方向の係止ピンにて挿入反対方向の係止具の抜脱を規制する係合手段を設けたので、係止具が上方向でなければ引き抜けず、しかも、単に挿入反対方向に抜こうとしても係止ピンにて抜脱が阻止され、上階での脱着操作性を低下させることなく、階下からの脱着は困難にできる。これにより、外観意匠を損なわず、緊急時の展開は容易に行えるとともに、階下からの展開は困難にできる。この結果、見栄え、緊急対応性を低下させずに、防犯性を向上させることができる。
【0016】
請求項2記載の折り畳み梯子の展開防止構造によれば、係合手段が、固定柱及び可動柱の上端部から挿入方向と直交方向に突出する係止ピンと、係止具に凹設され挿入方向に対し傾斜する斜め溝を有して係止ピンを受け入れる係合溝とからなるので、上端部に挿入されている係止具を、引き抜きながら、係止ピンが斜め溝に沿って移動するように回転させることで、係止具の上階での取り外し性を低下させずに、階下からの取り外しを困難にできる。
【0017】
請求項3記載の折り畳み梯子の展開防止構造によれば、係合手段が、上端部に挿入された係止具を固定柱及び可動柱と共に貫通する係止ピンと、係止ピンの基端に固設され貫通穴からの抜けを阻止する大径把持部と、係止ピンの先端に螺合されるナット部材とからなるので、ナット部材と大径把持部を両手で持って螺合解除し、係止ピンを挿入の方向と直交方向に抜き取った後に、係止具を引き抜き可能とすることで、係止具の上階での取り外し性を低下させずに、階下からの取り外しを困難にできる。
【0018】
請求項4記載の折り畳み梯子の展開防止構造によれば、係止具の上端面に、手掛け部が設けられたので、階下からの係止具の把持を困難にしつつ、上階での係止具の把持を容易にすることができる。
【0019】
請求項5記載の折り畳み梯子の展開防止構造によれば、係止具が、可撓性線体で固定物に締結されて上端部に着脱自在となったので、上端部から脱着された係止具の紛失を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る折り畳み梯子の展開防止構造の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る展開防止構造を備えた折り畳み梯子の展開状態を(a)、収納状態を(b)で表した上部斜視図、図2は図1に示した折り畳み梯子の収納状態を(a)、展開状態を(b)で表した正面図である。
展開防止構造を備える折り畳み梯子100は、建物、例えばバルコニーの壁部11に固定される固定柱13と、この固定柱13に一端15aが回動自在に固定された複数の踏桟15の他端15bに回動自在に固定され固定柱13に対して上下方向に平行移動して収納及び展開される可動柱17とを備える。
【0021】
固定柱13及び可動柱17は、それぞれが円筒を半割にした形状で形成され、収納状態では、図1(b)に示すように、円筒状、外観としては一本の棒状となる。固定柱13及び可動柱17の内側湾曲面にはコ字形状のブラケット19が固設され、ブラケット19は内側に配置した踏桟15の一端15a、他端15bを、貫通する回動軸21にて回動自在に固定する。固定柱13及び可動柱17は、同一長さで形成される。固定柱13は、図2(a)に示すように、階下のバルコニー床23から浮上して配置される。この浮上距離Hは、展開時における可動柱17の下方移動距離Aと一致する。
【0022】
したがって、通常時は、図2(a)に示すように、固定柱13と可動柱17及び踏桟15が1本の棒状に折り畳まれた状態にあり、使用時には、図2(b)に示すように、可動柱17を押し下げることにより、簡単に梯子に展開できる。開いた状態では可動柱17の下端17aがバルコニー床23に接地して支持され、ぐらつくことなく安全に避難することができる。
【0023】
図3は変形例に係る分割型折り畳み梯子の収納状態を(a)、展開状態を(b)で表した正面図である。
なお、折り畳み梯子100は、図3に示すように、上下に連結される分割構造とすることができる。図例では、固定柱13及び可動柱17が、分割固定柱13A,13B,13C、分割可動柱17A,17B,17Cのそれぞれ3つに分割されることで、それぞれが踏桟15によって連結された上中下段の3分割構造となっている。このような分割構造とすることで、折り畳み梯子の運搬性、現場搬入性、設置施工性を向上させることができる。すなわち、この分割可動柱の構造によれば、下段の分割可動柱17Cは、その上側の分割可動柱17Bが展開しないと展開できず、この分割可動柱17Bは、その上側の分割可動柱17Aが展開しないと展開できないようになっている。つまり、上方の分割可動柱17Aを階下からの展開が困難なようにしておけば、その下方の分割可動柱17Cも分割可動柱17Bも階下からの展開が困難となる。また、分割可動柱17Bは、その下側の分割可動柱17Cが収納しないと収納できず、分割可動柱17Aは、その下側の分割可動柱17Bが収納しないと収納できないようになっており、すなわち、正しい収納状態へと自然に導かれるようになっている。
【0024】
図4は上端部と係止具の分解斜視図である。
可動柱17は、収納の位置で固定柱13に沿って近接するとともに、上端部27が固定柱13の上端部25と同一高さに配置される。展開防止構造では、この同一高さに配置された固定柱13及び可動柱17の上端部25,27に上方から着脱自在に挿入されて可動柱17の展開を阻止する係止具31を備える。この係止具31は、図1(b),図2(a),図3(a)に示すような折り畳み梯子の収納状態で、収納状態の折り畳み梯子の上端に被せられ展開を阻止し、図2(b),図3(b)のように外されることで、折り畳み梯子の展開を可能にする。係止具31と上端部25,27には、挿入の方向(図4の矢印a方向)に対して直交する方向(矢印b方向)の係止ピン33にて挿入反対方向(図4の矢印c方向)すなわち取り外し方向への係止具31の抜脱を規制する係合手段35が設けられている。
【0025】
係合手段35は、固定柱13及び可動柱17の上端部25,27から挿入の方向と直交方向に突出する係止ピン33と、係止具31の内面に凹設され挿入方向に対し傾斜する斜め溝37を有して係止ピン33を受け入れる係合溝39とからなる。この展開防止構造では、上端部25,27に挿入されている係止具31を、引き抜きながら、係止ピン33が斜め溝37に沿って移動するように回転、本実施の形態では、一方向の回転ではなく、左右方向に振りながら上方へ引き、係合溝39の形状、すなわち略Z字状に沿って移動させることで、係止具31の上階41(図2参照)での取り外し性を低下させずに、階下(バルコニー床23)からの取り外しを困難にできる。
【0026】
係止具31の上端面43には手掛け部45が設けられ、手掛け部45は逆U字形状に形成されて両下端が上端面43に固着される。手掛け部45が上端面43に配設されていることで、上階41からの操作性にのみ寄与し、階下からの操作性、すなわち、把持易さは向上されない。これにより、階下からの係止具31の把持を困難にしつつ、上階41での係止具31の把持を容易にして操作性を高めることができる。
【0027】
図示は省略するが、係止具31は、可撓性線体(鎖、ボールチェーン、ワイヤ等)で固定物(建物11の壁面等)に締結されて、上端部25,27に着脱自在となることが望ましい。折り畳み梯子100を展開するために、上端部25,27から係止具31が脱着されても、係止具31が可撓性線体を介して固定物に繋がれて、上端部25,27の傍らから離れない。これにより、上端部25,27から脱着された係止具31の紛失を防止することができる。
【0028】
このように、上記の展開防止構造では、係止具31が上方向でなければ引き抜けず、しかも、上端部25,27に対して、固定柱13,可動柱17の長手方向に真直に係止具31が嵌合した取り付け状態ではないことで、単に挿入反対方向に抜こうとしても係止ピン33にて抜脱が阻止され、上階41での脱着操作性を低下させることなく、階下からの脱着が困難となる。
【0029】
発明に係る展開防止構造は、上記構造を基本として種々に変形して構成することができる。以下に、上記した展開防止構造の変形例を説明する。なお、各変形例において、図1〜図4に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図5は係止ピンが上端部に設けられた変形例の斜視図である。
この変形例に係る展開防止構造は、上端部25,27の内側に係止ピン33が突設される。また、係止具31Aの内方には同軸の軸部51が垂設され、この軸部51の外周に、斜め溝37を有した係合溝39Aが形成されている。つまり、係止ピン33、係合溝39Aにて係合手段35Aが構成されている。このような構成によれば、係止ピン33が外方に突出しておらず、固定柱13及び可動柱17の湾曲した外形を損なわず、上端部25,27を把持した際に、係止ピン33が差し障ることがない。
【0030】
図6は貫通係止ピンによる変形例の斜視図である。
この変形例に係る展開防止構造は、係合手段35Bが、係止ピン53と、ナット部材59と、貫通穴61とからなる。係止ピン53は、固定柱13及び可動柱17の上端部25,27に挿入された係止具31Bを、固定柱13及び可動柱17と共に貫通する。係止具31Bの基端には大径把持部55が固設され、大径把持部55は係止ピン53の貫通穴61からの抜けを阻止する。ナット部材59は、係止ピン53の先端に形成されたネジ部57に螺合される。
【0031】
大径把持部55及びナット部材59は、係止ピン53が係止具31Bを貫通した状態で両端に露出し、十分な外径と長さがあり、摘みやすく、また、ローレットなどを表面に形成して、回転操作を行いやすくしている。
【0032】
この変形例に係る展開防止構造によれば、ナット部材59と大径把持部55を両手で持って螺合解除し、係止ピン53を挿入の方向と直交方向に抜き取った後に、係止具31Bが上端部25,27から脱着可能となる。これにより、係止具31Bの上階41での取り外し性を低下させずに、階下からの取り外しを困難にできる。
【0033】
図7は係止具に係止ピンが設けられた変形例の斜視図である。
この変形例に係る展開防止構造は、係止具31Cの内面に係止ピン33が突設され、この係止ピン33に係合する係合溝39Bが固定柱13及び可動柱17の上端部25,27に形成されている。つまり、係止ピン33、係合溝39Bにて係合手段35Cが構成されている。この変形例では、係合溝39Bは、上下一対の平行な縦溝63,65とこれらを接続する横溝67とによりクランク形状に形成されている。
【0034】
図8は踏桟が梯子左右方向の回動軸で連結される変形例に係る折り畳み梯子の収納状態を(a)、展開状態を(b)で表した斜視図である。
展開防止構造の設けられる梯子は、角柱形状の固定柱13D、可動柱17Dからなり、固定柱13D、可動柱17Dの厚み方向で回動軸21を介して踏桟15Aが連結される構造であってもよい。このような構造の折り畳み梯子100Aでは、固定柱13D、可動柱17D及び踏桟15Aを角柱状に収納することができる。この場合、係止具31Dは、挿入反対方向に交差する方向の操作を、脱着前に必要とする例えば図7に示す係合手段35Cと同様の係合手段によって係止する。
【0035】
したがって、上記折り畳み梯子100の展開防止構造によれば、同一高さに配置された固定柱13及び可動柱17の上端部25,27に着脱自在に挿入されて可動柱17の展開を阻止する係止具31を備え、係止具31と上端部25,27には、挿入の方向と直交方向の係止ピン33にて挿入反対方向の係止具31の抜脱を規制する係合手段35を設けたので、係止具31が上方向でなければ引き抜けず、しかも、単に挿入反対方向に抜こうとしても係止ピン33にて抜脱が阻止され、上階41での脱着操作性を低下させることなく、階下からの脱着は困難にできる。これにより、外観意匠を損なわず、緊急時の展開は容易に行えるとともに、階下からの展開は困難にできる。この結果、見栄え、緊急対応性を低下させずに、防犯性を向上させることができる。
【0036】
なお、折り畳み梯子100は、可動柱17を収納する際に、凹凸係止構造等により、節度感(クリック感)が生じるように構成してもよい。このような構成によれば、可動柱17の収納時に、可動柱17が固定柱13に沿う状態が保持される。
また、折り畳み梯子100は、壁面に縦溝を形成し、この縦溝内に設置することで、壁面内に収納されるようにしてもよい。このような構成とすることで、折り畳み梯子100を、建物の外壁などとの意匠性に合せることが可能となる。
さらに、折り畳み梯子100は、固定柱13が、バルコニーの柱を兼ね、例えば、柱内に収納されるような構造としてもよい。
また、折り畳み梯子100は、固定柱13が、窓等のシャッターの縦ガイドレール或いはガイドレールを支持する縦枠を兼ねる構造としてもよい。
さらに、上述した各実施の形態において、係合溝39,39A,39Bの形状について述べたが、この係合溝の形状は、防犯性と取り外し操作性とを好適に有する形状であれば上記形状の限りではなく、これら防犯性と操作性の優先度合いの要請に応じて他の形状とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る展開防止構造を備えた折り畳み梯子の展開状態を(a)、収納状態を(b)で表した上部斜視図である。
【図2】図1に示した折り畳み梯子の収納状態を(a)、展開状態を(b)で表した正面図である。
【図3】変形例に係る分割型折り畳み梯子の収納状態を(a)、展開状態を(b)で表した正面図である。
【図4】上端部と係止具の分解斜視図である。
【図5】係止ピンが上端部に設けられた変形例の斜視図である。
【図6】貫通係止ピンによる変形例の斜視図である。
【図7】係止具に係止ピンが設けられた変形例の斜視図である。
【図8】踏桟が梯子左右方向の回動軸で連結される変形例に係る折り畳み梯子の収納状態を(a)、展開状態を(b)で表した斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
11…建物
13…固定柱
15…踏桟
15a…一端
15b…他端
17…可動柱
25…固定柱の上端部
27…可動柱の上端部
31…係止具
33…係止ピン
35…係合手段
37…斜め溝
39…係合溝
43…係止具の上端面
45…手掛け部
55…大径把持部
59…ナット部材
61…貫通穴
100…折り畳み梯子
b…挿入の方向と直交方向
c…挿入反対方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に固定される固定柱と、該固定柱に一端が回動自在に固定された複数の踏桟の他端に回動自在に固定され前記固定柱に対して上下方向に平行移動して収納及び展開される可動柱と、を備えてなる折り畳み梯子の展開防止構造であって、
前記可動柱は、前記収納の位置で前記固定柱に沿って近接するとともに、上端部が前記固定柱の上端部と同一高さに配置され、
同一高さに配置された該固定柱及び該可動柱の上端部に上方から着脱自在に挿入されて前記可動柱の展開を阻止する係止具を備え、
該係止具と前記上端部には前記挿入の方向と直交方向の係止ピンにて挿入反対方向の前記係止具の抜脱を規制する係合手段が設けられたことを特徴とする折り畳み梯子の展開防止構造。
【請求項2】
前記係合手段が、
前記固定柱及び前記可動柱の上端部から前記挿入の方向と直交方向に突出する前記係止ピンと、
前記係止具に凹設され前記挿入方向に対し傾斜する斜め溝を有して該係止ピンを受け入れる係合溝と、
からなることを特徴とする請求項1記載の折り畳み梯子の展開防止構造。
【請求項3】
前記係合手段が、
前記固定柱及び前記可動柱の上端部に挿入された前記係止具を、前記固定柱及び前記可動柱と共に貫通する前記係止ピンと、
該係止ピンの基端に固設され貫通穴からの抜けを阻止する大径把持部と、
前記係止ピンの先端に螺合されるナット部材と、
からなることを特徴とする請求項1記載の折り畳み梯子の展開防止構造。
【請求項4】
前記係止具の上端面に、手掛け部が設けられたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の折り畳み梯子の展開防止構造。
【請求項5】
前記係止具が、可撓性線体で固定物に締結されて前記上端部に着脱自在となったことを特徴とする請求項1,2,3,4のいずれか1つに記載の折り畳み梯子の展開防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−24799(P2010−24799A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191097(P2008−191097)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】