説明

折れた肩関節を復元するセット

本発明によれば、復元セットは、下部(11)および上記下部(11)に接続されるか、またはこの下部(11)への接続が意図される上部(10)を備える復元要素(1)を備え、上記下部(11)は、上腕骨インプラント(2)の外側に取り付けられる手段(12、25、26)を備え、上腕骨インプラント(2)に取り付けられた後、上腕骨インプラント(2)の外面(2a)を越えると共に、この上腕骨インプラント(2)の前面(2b)または後面(2c)のうちの少なくとも一方を、これらの表面外側に越えて突出するサイズを有し、上記上部(10)は、上腕骨インプラント(2)に取り付けられた後、この上腕骨インプラント(2)の外面(2a)およびこの上腕骨インプラント(2)の前面(2b)または後面(2c)のうちの少なくとも一方から離れて延びる湾曲外面を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折れた肩関節を復元するセットに関する。
【背景技術】
【0002】
肩関節の骨折は、多くの場合、上腕骨の上端部、すなわち、小結節および大結節の1つまたは複数の結節の破損を含む。この骨折を治療する場合、そのようなあらゆる結節を上腕骨上の所定位置に完璧に再び位置決めする必要があり、これに失敗すると、関節機能の復元が不完全になる。特に、結節が上腕骨上に完璧に再び位置決めされない場合、関節の動きを妨げ、さらには制限する恐れがある。
【0003】
結節のこの復元のために、既知の肩の人工器官は、1つまたは複数の穴が開けられた外部フィンを備えた髄内ステムを備え、これまたはこれらの穴は、1つまたは複数の糸を受けることを意図され、髄内ステムを上腕骨の髄菅内に組み込んだ後、これまたはこれらの糸が、髄内ステム上に結節の保持ループを形成することが可能である。
【0004】
この技法は、骨との接着性および結節の再位置決めの点で完全に満足のいくものではない。実際に、破損した結節は、完全な骨の接着を達成するには不十分な量の海面質骨を有する場合があり、この海面質骨の量は、患者の年齢と共に減少する。さらに、結節の表層は、上記フィンまたは上腕骨ステムの金属に当てて配置されることが多く、一般に、結果として、結節間の骨の接着を妨げるか、または制限する。そして、結節の再位置決めは、比較的経験的なものであり、上記フィンおよび1つまたは複数のループは、結節の、上腕骨の残りの部分に対する完全な固定を保証するには不十分であり得る。さらに、フィンは、結節が関節の内側に向かって変位する危険性を効率的に回避しない。
【0005】
本発明の目的は、上述した欠点を解消することにより、折れた肩関節を復元するセットを提供することである。
【0006】
(特許文献1)には、髄内ステムの端部に配置され、この髄内ステムと関節の上腕頭との間に配置された肩人工器官の骨伝導性ケージが記載されている。ケージは、上腕骨インプラントの外周縁側に、大きな開口部を有し、結節の位置への再位置決めは、1つまたは複数のセルクラージュにより行われる。
【0007】
従来技術の文献によるケージは、備えることが可能な移植片を通して結節を骨に接着させる可能性を向上させるが、上述した他の欠点を解消することはできない。
【0008】
(特許文献2)には、骨片、骨削り片、またはこれらと同様のものを受ける薄く中空の中央横「クイバー(quiver)」を備えた肩人工器官が記載されている。この「クイバー」も、結節が骨に接着する可能性を向上させるが、フィンと同等であり、上述した他の欠点を解消することができない。
【0009】
(特許文献3)には、結節に関して、塊状で平滑な壁付きで丸められたボスを備える肩人工器官が記載されている。この人工器官は、結節の下に、人工器官の髄内ステムに係合し、所定位置に設置された後、この髄内ステムの骨幹端−骨幹領域内に配置されるように適合されたスリーブを備える。このスリーブは、髄内ステムで筐体を区切る。
【0010】
この人工器官は、上記筐体内への骨細胞の成長により、髄内ステムを骨に固定する可能性を向上させるが、上述した欠点を解消することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】仏国特許第2726994号明細書
【特許文献2】国際公開第99/37254号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第1415621号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の主な目的は、骨への接着が最適な状況下で行われるように、結節を肩人工器官に対して再位置決めできる復元セットを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、結節が関節の内側に向かって変位する危険性を効率的に回避することができる、そのような復元セットを提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、上腕骨インプラントに対する位置を、骨折の構成に基づいて適合可能な復元セットを提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、そのようなあらゆる結節を構成する海面質骨の量が減少している場合であっても、1つの破損した結節または2つの破損した結節を上腕骨の残りの部分に対して完全に接着させることができる復元セットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
関連する復元セットは、既知のように、上腕骨インプラントと、この上腕骨インプラントに接続されることを意図される復元要素とを備え、上腕骨インプラントは、上腕骨の外側、前側、および後側のそれぞれに配置されることを意図される外面、前面、および後面を備え、復元要素は、上腕骨インプラントに接続された後、この上腕骨インプラントの外側に配置され、1つの破損した結節または2つの破損した結節を受けることができる。用語「上腕骨インプラント」は、非常に広い意味を有するものとして理解されなければならず、特に、人工器官ステムまたは髄内釘を指す。
【0017】
本発明によれば、復元セットは、下部と、上記下部に接続されるか、またはこの下部に接続されることを意図される上部とを備える少なくとも1つの復元要素を備え、
−上記下部は、上腕骨インプラントの外側への取り付け手段を備え、上腕骨インプラント上に設置された後、上腕骨インプラントの外面を越えて、かつこの上腕骨インプラントの前面または後面のうちの少なくとも一方を越えて、これらの表面の外側に突出するサイズを有し、
−上記上部は、上腕骨インプラントに取り付けられた後、この上腕骨インプラントの外面ならびにこの上腕骨インプラントの前面および後面のうちの少なくとも一方から離れて延びる湾曲外面を形成する。
【0018】
本発明による復元要素は、概して、その上部により、上腕骨の外部近位骨幹端部分を充填する手段を構成する。この上部により、肩人工器官の上腕骨インプラントの外周縁の部分に配置され、上腕骨インプラントの外面ならびにこの上腕骨インプラントの前面または後面のうちの少なくとも一方から離れる湾曲側面を形成することができる。したがって、この側面形状は、1つの破損した結節または2つの破損した結節の大きな受け面を有し、この表面および湾曲の程度であれば、そのようなあらゆる結節を完璧に再位置決めし、固定することができる。さらに、この側面は、関節の内側に向かうそのようなあらゆる結節のあらゆる変位に対抗する「バリア」を形成することにより、そのようなあらゆる結節を所定位置に完全に維持する本質的な機能も有する。
【0019】
1つの可能性によれば、上記上部は、上記下部と共に単一の本体を少なくとも部分的に形成し、0.1mm〜1mmの厚さを有する壁により構成される。この側壁およびこの下部は、この場合、特に、金属材料であり得る。
【0020】
したがって、復元要素は、骨細胞の成長により1つまたは複数の結節の固定を促進する1つまたはいくつかの移植片を受けることが可能な「バスケット」を形成する。
【0021】
別の可能性によれば、上記上部は、上記下部とは別個の要素により形成され、組立体により下部に接続される。したがって、この上部およびこの下部は、下部に関して金属材料、上部に関しては骨細胞の成長に適した材料、例えば、骨伝導性材料または骨誘導性材料等、異なる材料であり得る。
【0022】
下部および/または上部は、上腕骨インプラントに取り付けられた後、この上腕骨インプラントの前面または後面のうちの少なくとも一方に沿って延びる拡張部分を備え得、したがって、これらの下部および/または上部は「U」字形または「馬蹄」形を有する。
【0023】
都合のよいことに、上記上部には穴が開けられ、外面が内面に連通する。
【0024】
この上部は、インプラントの壁を使用して、1つまたは複数の移植片を受けることが可能な内部筐体を区切り、移植片は、上腕骨の残りの部分に対する1つまたは複数の結節の骨の完全な接着を達成できるようにし、1つまたは複数の結節の海面質骨が、上記上部が備える穴を通って1つまたは複数の移植片に接触して配置される。したがって、骨細胞の成長は、この海面質骨とこのまたはこれらの移植片との間で、これらの穴を通して行われる。1つまたは複数の移植片の存在は、自然なものであれ、または合成のものであれ、必要な場合に、小量の海面質骨を1つまたは複数の結節に補うようにする。さらに、上記上部が備える穴により、穴を通して、糸、セルクラージュ、ネジ、または1つもしくは複数の結節を所定位置に保持する他の手段を位置決めすることができ、この動作は、骨折の構成により結節を有し得る多様な形状に完全に適合する。
【0025】
上記上部は、互いに近い複数の穴を有する中実の壁を備えることができ、上記上部は、格子構造またはメッシュ構造を有してもよい。
【0026】
好ましくは、上記上部は、剛性構造を有するが、手で変形させることが可能であり、したがって、展性を有し得る。特に、上部は、例えば、0.1mm〜1mmのオーダの厚さである、適した厚さのシートメタルの部分で作ることができる。したがって、上記上部の形状は、治療すべき骨折の構成に応じて、破損した1つまたは複数の結節の特定の形態に適合し得る。
【0027】
必要な場合、特に、上記上部が2つの結節の置換を意図され、したがって、上腕骨インプラントの外周縁の広い領域(約180°)にわたって延びる場合、上記上部は、この上部の上部自由縁部から延びる少なくとも1つのスロットを備え、このスロットにより、上部を、少なくとも主に互いから独立し、互いから独立して変形可能な2つの部分に分けることができる。
【0028】
上記上部のこの変形の可能性に対する代替または追加として、上腕骨インプラントに復元要素を取り付ける上記手段は、上腕骨インプラントに対して復元要素の位置を適合させることができる変形可能な構造を有し得る。この適合により、復元要素を、骨折の構成に起因する骨折した1つまたは複数の結節の形状に従ってよりよく位置決めすることができる。
【0029】
これらの取り付け手段は、例えば、この要素をこのインプラントに溶接することにより、上腕骨インプラント上への復元要素の永久的な取り付けを固定するようなものを着脱可能な接続できるようにする。しかし、好ましくは、これらの取り付け手段は、上腕骨インプラントに復元要素を着脱可能に接続できるようにする。
【0030】
都合のよいことに、この場合、上記取り付け手段は、
−穴に通される、復元要素に固定された出っ張り、
−上腕骨インプラントに配置されたネジ付きの穴、および
−出っ張りの穴を通して係合し、次に、上腕骨インプラントの穴にネジ込むことができるネジ
を備える。
【0031】
上腕骨インプラントは、特に、髄内ステムを備え得、上記穴は、通常、そのような髄内ステムの骨幹端部分を構成する最も近い穴であり得、このステムを上腕骨の髄菅内の導入器具および/または陥入器具に接続できるようにする。
【0032】
上記下部は、好ましくは、従来通り穴が開けられ、これは、下部の変形性を増大させるのみならず、とりわけ、下部を通る骨の交換を促進させることができる。
【0033】
非限定的な例として、関連する復元セットのいくつかの可能な実施形態を表す添付の概略図面を参照することで、本発明がよりよく理解されると共に、本発明の他の特徴および利点が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施形態によるこのセットを構成する復元要素の斜視図である。
【図2】この復元要素の側面図である。
【図3】図2による図の方向に対して垂直な方向による側面図である。
【図4】上面図である。
【図5】復元要素が備えられた肩人工器官の髄内ステムの正面図である。
【図6】この髄内ステムおよびこの復元要素の外側のサジタル図である。
【図7】髄内ステムの中央前後平面による断面での、図5と同様のこの髄内ステムおよびこの復元要素の図である。
【図8】実質的に髄内ステムに復元要素を取り付けるネジの軸によるこの髄内ステムおよびこの復元要素の図である。
【図9】人工器官関節頭部を備えた、この頭部を上腕骨髄内ステム上に配置した後の肩人工器官の上腕骨部分の正面図である。
【図10】生来の上腕骨頭部の再統合プレートを備えた、このプレートが上腕骨髄内ステム上にセットアップされた後の肩人工器官の上腕骨部分の正面図である。
【図11】復元要素を髄内ステムを取り付けるネジの軸による図10に示される上腕骨部分の図である。
【図12】第2の実施形態による復元要素の斜視図である。
【図13】上面図である。
【図14】側面図である。
【図15】異なるサイズの復元要素が、互い内に埋め込まれるものとして仮想的に表される、この復元要素が有し得る様々なサイズの斜視図である。
【図16】第3の実施形態による復元要素の斜視図である。
【図17】上からの図である。
【図18】構成要素である下部および上部を組み立てる前の第4の実施形態による復元要素の斜視図である。
【図19】この上部の側面図である。
【図20】下部および上部を組み立てた後の、図18と同様の復元要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
簡明にするために、別の実施形態おいて見られる同一または同様の一実施形態の部分または要素は、同じ参照番号で識別され、再び説明しない。
【0036】
図1〜図4は、骨折した肩関節の復元要素1を表し、図5〜図8は、この復元要素1が備えられた肩人工器官内の上腕骨髄内ステム2を表し、図9〜図11は、復元要素1が備えられ、人工器官頭部4(図9)または生来の上腕骨頭部を再統合するための再統合プレート5(図10および図11)を受けるインプラント2を備える肩人工器官の上腕骨部分3を表す。
【0037】
既知のように、インプラント2は、対応してわずかに先細りするキャビティを備える頭部4またはプレート5を取り付けるための、わずかに先細りする近位端を備える。インプラント2は、上腕骨に貫通ロック穴を備えてもよく(図9〜図11)、またはそのような穴がなくてもよい(図5〜図8参照)。
【0038】
この上腕骨インプラント2は、上腕骨100の外側、前側、および後側のそれぞれに位置決めされることを意図される外面2a、前面2b、および後面2cを備える。
【0039】
図1〜図4を参照すると、第1の実施形態による復元要素1が、上壁10、下壁11、および出っ張り12を備え、インプラント2を取り付けられるようにすることが明らかである。このセットは、生物適合性を有する剛性材料で作られるが、手で変形可能であり、特に、1mm厚の純粋なチタンまたは合金のシートで作られ、上壁10は下壁11に一体化する。
【0040】
上壁10は、下壁11の湾曲した外縁に沿って延びる。図4において、この実施形態では、概して丸められた形状であり、約180度まで延び、互いに向かって収束する2つの平坦壁10bにより端部が延長する主部10aを有することが特に明らかである。貫通するいくつかの穴15が開けられ、穴の開いた構造にする。
【0041】
上壁10は、下壁11とは逆の自由端部10cからこの下壁近傍まで延びる3つのスロット16を有し、スロット16は、中央スロットおよび2つの側方スロットがあるように、この壁10の周りに等間隔に離間される。これらのスロット16により、互いに独立しており、互いに独立して手で変形可能な3つの壁部分に上壁10を分けることができる。
【0042】
さらに、壁10は、中央スロット16において、外壁10から、出っ張り12を構成する開口部25へのアクセスを提供できるようにする円形開口部17を有する(図3および図8参照)。
【0043】
下壁11は、壁10で筐体20を区切り、それにより、復元要素1にバスケットの形状にする。下壁11は、例に示されるように中実であってもよく、または壁10の線に沿って穴を開けてもよい。2つの側部を有し、側部間の境界を定めるのは、幅広い切り欠き21であり、切り欠き21により、インプラント2の骨幹端部2dの周りに係合することが可能になり(図5〜図8参照)、それにより、要素が「馬蹄」形になる。切り欠き21は、復元要素1がこのインプラント2上に位置決めされる際、境界を定める縁部が、インプラント2の骨幹端部2dの壁に近くなるような形状およびサイズであり、下壁11の上記側部は、上腕骨インプラント2の前面2bおよび後面2cに沿って延びる。
【0044】
出っ張り12は、下壁11を構成するシートの中央部分により形成され、このシートは、多少なりとも矩形の大まかな形状に従って3辺が切断される。出っ張り12は、壁10の中央部分10aの2つの側端を結ぶ想像線に平行する第4の辺により下壁11に接続された状態を保ち、壁10の自由縁部10cを含む平面に対して約50度のオーダの角度を有するように、第4の辺において折られる(図2参照)。出っ張り12の幅は、比較的小さなままであり、下壁11の全幅の1/3を越えないため(図4参照)、この出っ張り12は手で変形可能な構造を有し、インプラント2に対して復元要素1の位置を適合できるようにする。
【0045】
出っ張り12は、左右を通る開口部25を備える。これは、インプラント2上の取り付け位置において、この開口部25が、骨幹端2dを備えるネジ溝およびネジ山を有する穴26(図7参照)に一致するように、位置決めされ、この穴は一般に、上腕骨の髄管内のインプラントの導入器具および/または陥入器具にこのインプラント2を接続できるようするために、骨幹端部分上に設けられる。
【0046】
実際には、図5〜図11を参照して明らかなように、インプラント2は、骨幹端部分が先にインプラント2に従って切除された上腕骨100(図9または図10参照)の髄菅内に挿入される。
【0047】
次に、復元要素1は、下壁11を構成する切り欠き21を通して、出っ張り12の開口部25が穴26に一致するまで、インプラント2の髄幹端部分2dの外側の周囲に係合し、次に、ネジが開口部17を通して挿入され、開口部25を通して位置決めされ、この穴26内で、インプラント2への復元要素1の取り付けを保証する。このネジは、壁10および開口部17を通して係合し得るネジドライバ(図示せず)を使用することにより、操作される(図8および図11参照)。
【0048】
この取り付け位置において、下壁11は、インプラント2の外面2aを越えて延び、このインプラントの前面2bおよび後面2cを越えて突出する。壁11の湾曲外縁部ひいては上壁10は、図5〜図8に示されるように、それに従ってこれらの表面2a、2b、および2cから離れて延びる。
【0049】
図9〜図11から、復元要素1が全体的に、下壁11および上壁10により、上腕骨の骨幹端部分の近位外側領域をブリッジする手段を構成することが明らかである。壁10は、上腕骨インプラント2の外周縁の部分に位置決めされ、このインプラントの外面2a、前面2b、および後面2cから離れて配置される湾曲外面を形成できるようにし、これは、1つの破損した結節101または2つの破損した結節101の広い受け面を形成し、この程度の表面および曲率があれば、そのようなあらゆる結節101を完全に再位置決めし、固定することが可能である。さらに、上部10の本質的な機能は、そのようなあらゆる結節101を所定位置に完全に保持することが可能であり、関節の内側に向けての1つまたは複数の結節101のいかなる変位にも対抗する「バリア」を形成する。
【0050】
さらに、骨幹端部分2dと上壁10との間に配置される略「U」字形の筐体20は、1つまたは複数の生来または合成の移植片を受けることが可能である。次に、人工器官上腕骨頭部4またはプレート5が位置決めされて、この筐体20を閉じ、それにより、内部に含まれた1つまたは複数の移植片を閉じ込めることができる。
【0051】
頭部4は、半球カップ形を有する。
【0052】
そして、プレート5は、ベースプレート、中央スタッド、保持周辺スタッド、およびベースプレートを貫通する開口部を備える(図11参照)。
【0053】
破損した結節101は、穴15を通る糸により壁10に固定し得る。筐体20内に配置された1つまたは複数の移植片および上壁10の外面への結節101の再位置決めは、上腕骨100の他の部分に対する結節101の完全な骨接着を達成することが可能であり、1つまたは複数の結節の海面質骨は、上壁10が備える穴を通して1つまたは複数の移植片に接触して配置され、この海面質骨とこの移植片との間での骨細胞の成長が、これらの穴を通して行われる。こまたはこれらの自然または合成の移植片の存在により、必要な場合、小量の海面質骨を結節101に補うことができる。
【0054】
図12〜図14を参照すると、第2の実施形態による復元要素1が、インプラント2の前面2bおよび後面2cに沿って延びることが意図される部分を形成しない下壁11を備え、壁10が、これらの表面2bおよび2cに沿って延びることが意図される2つの延長壁10cにより壁11の内縁部を越えて延びることが明らかである。スロット16が、壁10と各壁10cとの間に設けられて、容易に変形可能な断面の比較的小さな部分により、各壁10cを要素1の残りの部分に接続させる。壁10cを安定化させ、壁11を越えて要素1により形成される筐体20を閉じるために、各壁10cは2つの下部フィン30を備える。
【0055】
図15は、本発明による復元セットが異なるサイズの一連の復元要素1を備え得ることを示す。これらの復元要素1は、この図15では、互いに埋め込まれて仮想的に表され、様々な要素1の出っ張り25は通常、そのような埋め込みに対する障害を形成する。
【0056】
図16および図17は、第3の実施形態による復元要素1が、第2の実施形態による要素1と同様であり、中断された下壁11および壁10の延長壁10cを有することを示す。この場合、復元要素1は、1つのみの結節の置換に対して計画されると共に、1つのみの前壁2bまたは後壁2cの側に延びるように計画される。
【0057】
図18〜図20を参照すると、第4の実施形態による復元要素1が、下部11とは別個の要素により形成され、組立体により下部110に接続される上部110を備えることが明らかである。
【0058】
下部11は、金属材料であり、「V」字形に配置され、穴が開けられた出っ張り40を備え、穴は、切り欠き41の両側に配置されて、ネジおよび出っ張り25を挿入できるようにする。
【0059】
上部10は、天然であれ、または合成であれ、骨細胞の成長に適合する多孔性材料の塊により形成される。調整された係合により、出っ張り40を受けることを意図されるクリーバー42をそれぞれ有する。この部分10は、上述した湾曲外面を形成し、図示の例では、これもまた上述したように、「馬蹄」形を有する。
【0060】
上記から、本発明が、以下の目的を達成可能な復元セットを提供することが明らかである:
−骨の接着が最適な条件下で行われるような結節101の再位置決めが可能であり、
−1つまたは複数の結節101が関節の内側に変位する危険性を効率的に回避することができ、
−骨折の構成に応じて、上腕骨インプラント2に対して復元要素1の位置を調整可能であり、
−これらの結節を構成する海面質骨の量が低減している場合であっても、破損した結節と上腕骨の残りの部分との完全な骨接着を得られる。
【0061】
本発明について、例として与えられる実施形態を参照して説明した。本発明がこれらの実施形態に限定されず、添付される特許請求の範囲により包含される他のすべての実施形態に拡張することが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上腕骨インプラント(2)と、この上腕骨インプラント(2)に接続されることを意図される復元要素(1)とを備え、前記上腕骨インプラント(2)は、上腕骨(100)の外側、前側、および後側のそれぞれに配置されることを意図される外面(2a)、前面(2b)、および後面(2c)を備え、前記復元要素(1)は、前記上腕骨インプラント(2)に接続された後、この上腕骨インプラント(2)の前記外側に配置され、1つの破損した結節(101)または2つの破損した結節を受けることができる、骨折した肩関節の復元セットであって、
−前記復元セットが、下部(11)と、前記下部(11)に接続されるか、またはこの下部(11)に接続されることを意図される(10)上部とを備える少なくとも1つの復元要素(1)を備え、
−前記下部(11)が、前記上腕骨インプラント(2)の前記外側への取り付け手段(12、25、26)を備え、前記上腕骨インプラント(2)上に設置された後、前記上腕骨インプラント(2)の前記外面(2a)を越えて、かつこの上腕骨インプラント(2)の前記前面(2b)または前記後面(2c)のうちの少なくとも一方を越えて、これらの表面の前記外側に突出するサイズを有し、
−前記上部(10)が、前記上腕骨インプラント(2)に取り付けられた後、この上腕骨インプラント(2)の前記外面(2a)ならびにこの上腕骨インプラント(2)の前記前面(2b)および前記後面(2c)のうちの少なくとも一方から離れて延びる湾曲外面を形成することを特徴とする、セット。
【請求項2】
前記上部(10)が、前記下部(11)と共に単一の本体を少なくとも部分的に形成し、0.1mm〜1mmの厚さを有する壁により構成されることを特徴とする、請求項1に記載のセット。
【請求項3】
前記上部(10)が、前記下部(11)とは別個の要素により形成され、組立体により前記下部(11)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のセット。
【請求項4】
前記上部(10)が、骨細胞の成長に適した材料、例えば、骨伝導性材料または骨誘導性材料で作られることを特徴とする、請求項3に記載のセット。
【請求項5】
前記下部(11)および/または前記上部(10)が、前記上腕骨インプラント(2)に取り付けられた後、この上腕骨インプラント(2)の前記前面(2b)または前記後面(2c)のうちの少なくとも一方に沿って延びる拡張部分を備え、したがって、これらの下部(11)および/または上部(10)が「U」字形または「馬蹄」形を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセット。
【請求項6】
前記上部(10)には穴が開けられ、前記外面が前記内面に連通することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセット。
【請求項7】
前記上部が、格子構造またはメッシュ構造を有することを特徴とする、請求項6に記載のセット。
【請求項8】
前記上部(10)が、剛性構造を有するが、手で変形させることが可能であり、したがって、展性を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のセット。
【請求項9】
前記上部(10)が、この上部(10)の上部自由縁部(10c)から延びる少なくとも1つのスロット(16)を備え、このスロット(16)により、前記上部(10)を、少なくとも主に互いから独立し、互いから独立して変形可能な2つの部分に分けることができることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のセット。
【請求項10】
前記上腕骨インプラント(2)に前記復元要素(1)を取り付ける前記手段(12、25、26)が、前記上腕骨インプラント(2)に対して前記復元要素(1)の位置を適合させることができる変形可能な構造を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のセット。
【請求項11】
前記取り付け手段が、
−穴(25)に通される、前記復元要素(1)に固定された出っ張り(12)、
−前記上腕骨インプラント(2)に配置されたネジ付きの穴(26)、および
−前記出っ張り(12)の前記穴(25)を通して係合し、次に、前記上腕骨インプラント(2)の前記穴(26)にネジ込むことができるネジ
を備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のセット。
【請求項12】
前記上腕骨インプラント(2)とは別個の人工器官上腕骨頭部(4)を備えることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のセット。
【請求項13】
前記上腕骨インプラント(2)とは別個の、生来の上腕骨の頭部を再統合する再統合プレート(5)を備え、この再統合プレート(5)が、ベースプレート、中央スタッド、保持周縁スタッド、および前記ベースプレートを通る開口部を備えることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のセット。
【請求項14】
異なるサイズの一連の復元要素(1)を備えることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2012−529963(P2012−529963A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515613(P2012−515613)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052698
【国際公開番号】WO2010/146545
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511304327)
【Fターム(参考)】