説明

折戸式ドア装置

【課題】 簡単な構成で、ドア開口部の開放状態を的確に保持することができる折戸式ドア装置を提供する。
【解決手段】 ドアパネル31によるドア開口部16の閉塞状態を保持するドアロック機構50のラッチ機構部51を、ドアパネル31の展開時にドア開口部内16に対向し、且つ、ドアパネル31の折り畳み時にフロントドアパネル部31Fに対向する位置でリヤドアパネル部31Rに固設する。これにより、フロントドアパネル部31に固設するストライカ65を追加するだけの簡単な構成で、ドア開口部16の開放状態を的確に保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開口部を開閉するドアパネルが、ヒンジを介して互いに折り畳み可能に連結する一対のドアパネル部で構成された折戸式ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、車載のコンテナやマイクロバス等に設けられるドア装置としては、ドア開口部を開閉するドアパネルが一対のドアパネル部を用いて折り畳み可能に構成された折戸式ドア装置が広く用いられている。
【0003】
この種の折戸式ドア装置は、例えば、特許文献1に開示されているように、ヒンジによって連結された一対のドアパネル部(左右ドアパネル)のうち、固定端側のドアパネル部(右ドアパネル)の端部がヒンジを介してコンテナ本体(コンテナ)に揺動自在に支持され、さらに、自由端側のドアパネル部(左ドアパネル)の端部がドア開口部の上部及び下部に設けられたレールに摺動自在に係合されて要部が構成されている。さらに、この種の折戸式ドア装置には、ドア開口部の閉塞時にコンテナ本体とドアパネルとの間をロックして、ドアパネルの開放動作を禁止するロック機構が設けられている。
【特許文献1】特開平6−278469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特に、折戸式のドア装置をコンテナ等に適用する場合において、良好な荷物の積み卸し作業等を実現するためには、ドア開口部の開放時に、ドアパネルを開放位置で保持することが望ましい。しかしながら、このようなドアパネルの保持構造を新設することは、構造の複雑化を招き、製造コストの高騰等を招く虞がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、ドア開口部の開放状態を的確に保持することができる折戸式ドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ドア開口部を開閉するドアパネルが、ヒンジを介して互いに折り畳み可能に連結する一対のドアパネル部で構成され、展開時に上記ドア開口部を閉塞し、折り畳み時に上記ドア開口部を開放する折戸式ドア装置において、一方の上記ドアパネル部に固設され、上記ドアパネルの展開時に上記ドア開口部内に対向し、且つ、上記ドアパネルの折り畳み時に他方の上記ドアパネル部に対向する第1のドアロック機構部と、上記ドア開口部に固設され、上記ドアパネルの展開時に上記第1のドアロック機構部に係合する第2のドアロック機構部と、他方の上記ドアパネル部に固設され、上記ドアパネルの折り畳み時に上記第1のドアロック機構部に係合するロック機構部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の折戸式ドア装置によれば、簡単な構成で、ドア開口部の開放状態を的確に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一形態に係わり、図1は車載コンテナの左側面図、図2は折戸式ドア装置の要部を一部破断して示す平面図、図3はドアパネルの動作説明図、図4はラッチ機構部の底面図、図5は図4のI−I断面図である。
【0009】
図1において符号1は車両を示す。本実施形態において、車両1は、例えば、簡易保冷車であり、この車両1の後部に設定された荷台2には、保冷用コンテナ(以下、単にコンテナと称す)10が搭載されている。
【0010】
コンテナ10は略箱形形状をなすコンテナ本体11を有し、このコンテナ本体11には、例えば、後部及び左側部に、それぞれドア開口部15,16が開口されている。
本実施形態において、コンテナ本体11の後部に開口するドア開口部15には、例えば、観音開き式のドア装置20が設けられている。このドア装置20は、ドア開口部15を開閉する左右一対のドアパネル21L,21Rを有し、各ドアパネル21L,21Rの車幅方向外側の各端部は、ヒンジ22L,22Rを介してそれぞれコンテナ本体11に連結されている。また、ドア装置20は、例えば、ドアパネル21Lに固設するレバー23の回動操作に連動するドアロック機構(図示せず)を有する。そして、このドアロック機構は、レバー23の回動操作に応じて、例えば、ドア開口部15の閉塞時にドアパネル21Lをコンテナ本体11に係止することで両ドアパネル21L,21Rを閉塞位置に保持(ドアロック)し、ドアパネル21Lをコンテナ本体11から解放することでドアロックを解除する。
【0011】
また、コンテナ本体11の左側部に開口するドア開口部16には、例えば、折戸式のドア装置30が設けられている。このドア装置30は、ドア開口部16を開閉するドアパネル31を有し、このドアパネル31は、前後一対のドアパネル部(フロントドアパネル部31F、及びリヤドアパネル部31R)がヒンジ32を介して互いに折り畳み可能に連結されて要部が構成されている。
【0012】
本実施形態において、ドアパネル31の前端部(フロントドアパネル部31Fの前端部)は、ドア開口部16を開閉する際の固定端部として設定されている。すなわち、フロントドアパネル部31Fの前端部は、ヒンジ33を介してドア開口部16の前縁部に連結され、このヒンジ33による連結によって、フロントドアパネル部31Fは、コンテナ本体11に揺動自在に支持されている。
【0013】
一方、ドアパネル31の後端部(リヤドアパネル部31Rの後端部)は、ドア開口部16を開閉する際の自由端部として設定されている。すなわち、リヤドアパネル部31Rの後端部からは上下一対のスライダ34が突設され、これらスライダ34が、ドア開口部16の上下縁部にそれぞれ摺動自在に連結されている。具体的には、ドア装置30は、コンテナ本体11の前後方向に延びる上下一対のガイドレール35を有し、これらガイドレール35がドア開口部16の上下縁部にそれぞれ固設されている。これら各ガイドレール35に各スライダ34がそれぞれ摺動自在に連結されることにより、リヤドアパネル部31Rの後端部は、ドア開口部16に沿って、コンテナ本体11の前後方向への進退移動が可能となっている。
【0014】
そして、これらの構成により、ドアパネル31は、スライダ34がガイドレール35上の後部に位置するとき、ドアパネル部31F,31Rが面一に展開され、ドア開口部16を閉塞する。一方、ドアパネル31は、各スライダ34が各ガイドレール35上の前部に位置するとき、ドアパネル部31F,31Rがヒンジ32を中心に折り畳まれ、ドア開口部16を開放する。ここで、図3に示すように、各ドアパネル部31F,31Rの内面にはストッパ37F,37Rがそれぞれ固設されており、これらストッパ37F,37Rの当接により、ドア開口部16の開放時のドアパネル部31F,31Rの相対位置が規定される。
【0015】
また、ドア装置30は、ドア開口部16の閉塞時に、ドアパネル31を閉位置に保持するためのドアロック機構50を有する。このドアロック機構50は、例えば、ドアパネル31側に固設する第1のドアロック機構部としてのラッチ機構部51と、コンテナ本体11側に固設する第2のドアロック機構部としてのストライカ52とを備え、これらの係合によりドアパネル31を閉位置に保持する。
【0016】
図2,3に示すように、本実施形態において、ラッチ機構部51は、ドアパネル31の展開時にドア開口部16に対向し、且つ、ドアパネル31の折り畳み時にフロントドアパネル部31Fに対向する位置で、リヤドアパネル部31Rに固設されている。具体的には、ラッチ機構部51は、リヤドアパネル部31Rの内面側の上部縁辺部の略中央に固設され、ドアパネル31の展開時にドア開口部16の上縁部に対向し、ドアパネル31の折り畳み時にフロントドアパネル部31Fの内面に対向する。
【0017】
図4,5に示すように、ラッチ機構部51は、ベースプレート55上にそれぞれ揺動自在に軸支されたラッチ56及びディテントレバー57と、ラッチ56と一体に揺動するクロー58と、ラッチ56とディテントレバー57との間に架設するリターンスプリング59と、ディテントレバー57をリターンスプリング59の付勢力に抗してラッチ56から離間する方向に動作させるリリースレバー60とを有して要部が構成されている。
【0018】
ディテントレバー57の周部には、ラッチ56側に突出する係合凸部57aが設けられ、この係合凸部57aがリターンスプリング59に付勢されてラッチ56の周部に当接されている。また、ラッチ56の周部には係合凹部56aが設けられ、この係合凹部56aには、ラッチ56がリターンスプリング59の付勢力に抗して設定角度回動されたとき、係合凸部57aが係合される。そして、係合凹部56aに係合凸部57aが係合されると、ラッチ56及びクロー58の揺動が禁止される。
【0019】
その一方で、係合凹部56aと係合凸部57aとの係合解除は、リリースレバー60がディテントレバー57をラッチ56からの離間方向に動作させることにより実現する。具体的に説明すると、リリースレバー60の自由端部には、リヤドアパネル部31Rに内蔵されたリンク機構部62が、ロッド61を介して連結されている(図2参照)。リンク機構62は、リヤドアパネル部31Rに固設されたドアハンドル63上のロック解除ボタン63aに連動して動作するもので、ロック解除ボタン63aが押圧操作された際に、ロッド61を牽引する。そして、このロッド61を通じて、リリースレバー60の自由端部が牽引されることにより、係合凹部56aと係合凸部57aとの係合が解除される。
【0020】
図2,3に示すように、ストライカ52は、ラッチ機構部51のクロー58に対応して、ドア開口部16の上縁部に固設されている。そして、ドアパネル31が展開されているとき、ストライカ52にはクロー58が係合され、その係合状態が保持される。
【0021】
すなわち、本実施形態において、ストライカ52は、ドアパネル31の展開動作の過程でクロー58に当接される位置に配設されており、このクロー58の当接により、ストライカ52は、ドアパネル31の展開動作に連動してラッチ56を回動させる。そして、ドアパネル31の展開動作の終了と略同じタイミングでラッチ56が設定角度回動されることにより、当該ラッチ56の係合凹部56aにディテントレバー57の係合凸部57aが係合する。これにより、クロー58とストライカ52との係合状態が保持され、ドアパネル31によるドア開口部16の閉塞状態が維持される。
【0022】
また、図2,3に示すように、フロントドアパネル部31Fには、ロック機構部としてのストライカ65が、ブラケット66を介して固設されている。本実施形態において、ストライカ65は、フロントドアパネル部31Fの内面側の上部縁辺部の略中央に配設され、ドアパネル部31F,31Rがストッパ37F,37Rで規定される折り畳み位置にあるとき、ラッチ機構部51のクロー58に係合する。
【0023】
すなわち、本実施形態において、ストライカ65は、ドアパネル31の折り畳み動作の過程でクロー58に当接される位置に配設されており、このクロー58の当接により、ストライカ65は、ドアパネル31の折り畳み動作に連動してラッチ56を回動させる。そして、ドアパネル31の折り畳み動作の終了と略同じタイミングでラッチ56が設定角度回動されることにより、当該ラッチ56の係合凹部56aにディテントレバー57の係合凸部57aが係合する。これにより、クロー58とストライカ65との係合状態が保持され、ドアパネル31によるドア開口部16の開放状態が維持される。
【0024】
このような実施形態によれば、ドアパネル31によるドア開口部16の閉塞状態を保持するドアロック機構50のラッチ機構部51を、ドアパネル31の展開時にドア開口部内16に対向し、且つ、ドアパネル31の折り畳み時にフロントドアパネル部31Fに対向する位置でリヤドアパネル部31Rに固設することにより、フロントドアパネル部31Fに固設するストライカ65を追加するだけの簡単な構成で、ドア開口部16の開放状態を的確に保持することができる。
【0025】
すなわち、折戸式のドア装置のドアパネル31において、各ドアパネル部31F,31Rは、ドアパネル31の展開時にドア開口部16内に相対し、ドアパネル31の折り畳み時に相互に対向することに着目し、一方のドアパネル部(リヤドアパネル部31R)の内面側の適所にラッチ機構部51を配設することにより、ドア開口部16に固設するストライカ52に加えて、他方のドアパネル部(フロントドアパネル部31F)にストライカ65を新設するだけの簡単な構成で、ドア開口部16の開放状態を保持する機能をドアロック機構50に追加することができる。
【0026】
そして、このように、単一のラッチ機構部51をドアパネル31によるドア開口部16の閉塞及び開放状態の保持に兼用することにより、単一のドアハンドル63の操作によって一連の開閉操作を実現することが可能となり、ドア装置30の開閉操作時の操作性を向上することができる。
【0027】
また、ドア開口部16の閉塞及び開放状態の保持をラッチ機構部51と各ストライカ52,65の係合によって実現することにより、異なる係合位置での2部材の係合を容易に実現することができる。
【0028】
さらに、ストライカ65及びラッチ機構部51を各ドアパネル部31F,31Rの上部縁辺部に配設し、ストライカ52をドア開口部16の上縁部に配設することにより、特に、ストライカ52等が荷物の積み卸し作業等の妨げとなることを防止でき、作業性を向上することができる。
【0029】
なお、上述の実施形態においては、単一のラッチ機構部に対して2つのストライカを係合させる構成の一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、単一のストライカに対して2つのラッチ機構部を係合可能に構成してもよいことは勿論である。
【0030】
また、上述の実施形態においては、ドアロック機構を構成する第1のドアロック機構部と第2のドアロック機構部とを、ラッチ機構部とストライカとの組み合わせで構成した一例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、他のロック機構を適用してもよいことは勿論である。
【0031】
また、本発明の折戸式ドア装置の適用は、コンテナのドア開口部に限定されるものではなく、例えば、マイクロバス等のドア開口部に適用してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】車載コンテナの左側面図
【図2】折戸式ドア装置の要部を一部破断して示す平面図
【図3】ドアパネルの動作説明図
【図4】ラッチ機構部の底面図
【図5】図4のI−I断面図
【符号の説明】
【0033】
10 … コンテナ
11 … コンテナ本体
16 … ドア開口部
30 … ドア装置(折戸式ドア装置)
31 … ドアパネル
31F … フロントドアパネル部(他方のドアパネル部)
31R … リヤドアパネル部(一方のドアパネル部)
32 … ヒンジ
37F,37R … ストッパ
50 … ドアロック機構
51 … ラッチ機構部(第1のドアロック機構部)
52 … ストライカ(第2のドアロック機構部)
58 … クロー
65 … ストライカ(ロック機構部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア開口部を開閉するドアパネルが、ヒンジを介して互いに折り畳み可能に連結する一対のドアパネル部で構成され、展開時に上記ドア開口部を閉塞し、折り畳み時に上記ドア開口部を開放する折戸式ドア装置において、
一方の上記ドアパネル部に固設され、上記ドアパネルの展開時に上記ドア開口部内に対向し、且つ、上記ドアパネルの折り畳み時に他方の上記ドアパネル部に対向する第1のドアロック機構部と、
上記ドア開口部に固設され、上記ドアパネルの展開時に上記第1のドアロック機構部に係合する第2のドアロック機構部と、
他方の上記ドアパネル部に固設され、上記ドアパネルの折り畳み時に上記第1のドアロック機構部に係合するロック機構部とを備えたことを特徴とする折戸式ドア装置。
【請求項2】
上記第2のドアロック機構部及び上記ロック機構部を、それぞれストライカで構成し、
上記第1のドアロック機構部を、上記各ストライカに係合可能なクローを備えたラッチ機構部で構成したことを特徴とする請求項1記載の折戸式ドア装置。
【請求項3】
上記第1のドアロック機構部及び上記ロック機構部を上記各ドアパネル部の上部縁辺部に配設し、
上記第2のドアロック機構部を上記ドア開口部の上縁部に配設したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の折戸式ドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−211431(P2007−211431A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30231(P2006−30231)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】