説明

折畳可能な衣類収納具

【目的】不使用の場合に、カバン等にコンパクトに収納できる折畳可能な衣類収納具を提供する。
【構成】 折り畳まない状態、又は、折り畳んだ状態の衣類の一面全体を覆うことができる外覆部材2と、該外覆部材2の内側に設け、前記衣類を掛けて支持できる支持部材5と、持手部7を有し、前記外覆部材2と支持部材5との間に前記衣類を挿通できる空間を形成し、前記外覆部材2は、前記支持部材5と持手部7をを内側に位置させて折り畳みできるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳可能な衣類収納具に関するもので、詳しくは、例えば、背広の上衣を掛けて持ち運びができる折畳可能な衣類収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネスマン等は、顧客と会う際等には、スーツの上衣を着用する必要があるが、その移動等の際には、上衣を脱ぎ、この上衣を片手に掛けるなどして持つことがある。
【0003】
この際、もう一方の手に鞄を持っていると、両手がふさがってしまい、駅で乗車券を購入する際や、携帯電話を取る際などにおいて不便である。
【0004】
従来、上部内側にハンガーを収納するとともに、該ハンガーのフック部を外に突出できる開口部を、上下方向の両端部に設け、更に、前記ハンガーに掛けた衣服を出し入れできる開閉部を設けた衣服カバーが知られている。
【0005】
その使用時には、前記ハンガーに、上衣を掛けて、その後に、一方の開口部にハンガーのフック部を挿通して上衣を衣服カバーで覆い、その後に、カバー全体を上下方向において2つ折にし、ハンガーのフック部を他方の開口部に挿通して、その2つ折にした状態を保持した状態で持ち運ぶことができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このハンガーと衣服カバーを用いることにより、内部に上衣を収納した衣服カバーと、カバンとを、片手で同時に持つことができるため、両方の手がふさがることをさけることができる。また、上衣を片手に掛けて持ち歩く場合よりも、ハンガーに掛けて持ち歩くほうが、上衣にしわがよりにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2002−209708
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来のハンガーと衣服カバーにおいては、上衣を着用し、ハンガーと衣服カバーを使用しない状態で、これらを携帯する場合に、ハンガーをコンパクトに折り畳むことができないために、カバン等に収納することができず邪魔になるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、不使用の場合に、カバン等にコンパクトに収納できる折畳可能な衣類収納具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、折り畳まない状態、又は、折り畳んだ状態の衣類の一面全体を覆うことができる外覆部材と、該外覆部材の内側に設け、前記衣類を掛けて支持できる支持部材と、持手部を有し、
前記外覆部材と支持部材との間に前記衣類を挿通できる空間を形成し、前記外覆部材は、前記支持部材と持手部を内側に位置させて折り畳みできるようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記外覆部材は、前記支持部材を内側に位置させて巻回して折り畳みできるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記支持部材を棒状に形成し、該支持部材の長手方向の両側部分に、前記持手部の両端部を固着したことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2又は3記載の発明において、前記外覆部材における長手方向の中央部の内側に、前記支持部材を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の発明において、前記外覆部材の内側に、内覆部材を設け、この外覆部材と内覆部材で袋状の袋状部材を形成し、該袋状部材を開閉可能に形成し、前記外覆部材を、前記内覆部材とともに折り畳みできるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、外覆部材と支持部材との間に衣類を挿通して、支持部材に衣類を掛けた状態で、持手部を持つことにより、カバン等とともに衣類を掛けた折畳可能な衣類収納具を片手で持つことが出来、両方の手がふさがることを防止することができる。
【0016】
更に、支持部材に掛けた衣類の外側面全体を外覆部材で覆うことができるため、移動中に雨等による衣類の汚れを防止することができる。
【0017】
また、本発明は、前記従来技術のハンガーの代わりに支持部材を用い、この支持部材を外覆部材の内側に設け、支持部材と持手部を内側に位置させて、外覆部材を折り畳みできるようにしたことにより、この折畳可能な衣類収納具の不使用時には、この衣類収納具をコンパクトに折り畳むことができ、容易にカバン等に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の折畳可能な衣類収納具を2つ折にした状態の斜視図。
【図2】図1の状態の折畳可能な衣類収納具をカバンに掛けた状態の斜視図。
【図3】図1の状態から折畳可能な衣類収納具を平らに開いて内側から見た図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】図3の状態から内覆部材を開いた状態の図。
【図6】図5の状態において、背広の上衣を収納した状態の図。
【図7】図1の折畳可能な衣類収納具内に背広の上衣を収納して2つ折にした状態の縦断面図。
【図8】図1の折畳可能な衣類収納具を、巻回して折り畳んだ状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
図1乃至図8は本発明の折畳可能な衣類収納具(以下、衣類収納具ともいう)1を示す。
【0020】
この折畳可能な衣類収納具1は、任意の部分で折曲可能な部材、例えば、布帛、不織布、生地、薄い樹脂性のシート等からなる外覆部材2を有している。該外覆部材2は、図1,2に示すように、衣類収納具1を2つ折にした状態で、外側に位置するもので、図3〜6に示すように、一方向が長く、これと直交する方向が短い略長方形状に形成され、その長手方向の両端部2a,2bは、外覆部材2の中央軸(X−X)上で、かつ、外覆部材2側に中心を有する円弧状に形成されている。
【0021】
この外覆部材2は、図6に示すように、その長尺方向(X−X方向)の長さが、背広やスーツの上衣20の丈より長く、その短尺方向(Y−Y方向)の長さが、背広やスーツの上衣20を左右方向の中央を中心として、左右方向に2つ折にした横方向の長さより長く設定されている。なお、この短尺方向(Y−Y方向)の長さは、図1に示すように、一般的なカバン9の横方向の長さより短く設定されている。また、図8に示すように、巻回して折り畳んだ時にカバン9内に容易に収納できる大きさに設定することが好ましい。本実施例においては、外覆部材2として、撥水性を有する布帛で形成した。
【0022】
前記外覆部材2には、その長手方向(X−X方向)の略中央部の内面に位置して挟持部材3が設けられている。該挟持部材3は、外覆部材2の短手方向(Y−Y方向)に長い帯状に形成され、その長手方向(Y−Y方向)の両側端部3a,3aが、外覆部材2の両側端部に縫接されている。この挟持部材3における、その両端部3a,3a間の部分3bと外覆部材2とは、外覆部材2の長手(X−X)方向の両端部が開口する空間4が形成されている。
【0023】
前記挟持部材3は、図4に示すように、2枚の同一形状の帯状で、布帛、不織布、生地、薄い樹脂性のシート等で形成された片3c,3dを重ねるようにし、その外縁部を相互に縫接して形成されている。該挟持部材3内、すなわち、片3c,3d間には、図3,4に示すように、棒状の支持部材5が固設されている。該支持部材5は、外覆部材2の長手(X−X)方向の略中央に位置して、その左右(Y−Y)方向に設けられている。該支持部材5は、止片3eにより、外覆部材2側の片3cに固着されている。この支持部材5の長さは、図6に示すように、外覆部材2の短手(Y−Y)方向の長さより若干短く設定されている。本実施例においては、前記支持部材5として、木製で、断面が円形の棒状のものを2本並列に設けて形成したが、支持部材5は、背広やスーツの上衣20を掛けて、その状態を保持することができればよく、その材質や形状、本数は任意に設定する。
【0024】
前記支持部材5の両側部の挟持部材3には、帯状で、任意の部分で折曲可能な部材、例えば、布帛、不織布、生地、薄い樹脂性のシート等で形成された持手部7の両側部が固着されている。
【0025】
前記外覆部材2の内側には、内覆部材8が設けられている。該内覆部材8は、図3に示すように、その長手(X−X)方向の一方の端部8aと両側端部8b,8cを、外覆部材2と同一形状に形成して、外覆部材2と略同一の大きさに形成されるとともに、その長手方向の一方の端部8aと両側端部8b,8cは外覆部材2に縫接されている。前記内覆部材8は、左右(Y−Y)方向の中央部において左右に分割され、2枚の開閉片8f,8gとからなる。前記内覆部材8の左右の開閉片8f,8gの内縁8i,8jにおける長手方向の他方の縁8d,8eは、中心軸(X−X)から両側部に向かって湾曲する円弧状に形成されている。前記の構成により、外覆部材2と内覆部材8で袋状に形成され、外覆部材2と内覆部材8で袋状部材10を構成している。内覆部材8は、任意の部分で折曲可能な部材、例えば、布帛、不織布、生地、薄い樹脂性のシート等で形成され、本実施例においては、通気性を有するメッシュ状の布帛で構成した。
【0026】
前記内覆部材8における両開閉片8f,8gの内縁8i,8jには、前記円弧状の縁8d,8eを除いて、ファスナー11が設けられ、図3に示すように、該ファスナー11を閉じることにより、内覆部材8、即ち、袋状部材10を閉じ、また、図5に示すようにファスナー11を開くことにより、内覆部材8、即ち、袋状部材10を開くことができるようになっている。
【0027】
前記内覆部材8の円弧状の縁8d,8eを有する部分における外覆部材2と反対側には、挿入部構成片12が設けられ、該挿入部構成片12の他方の端部12aと左右の両側部12b,12cが外覆部材2に縫接され、一方の端部12dは内覆部材8と接合されていない。これにより、図1,4に示すように一方の端部12d側が開口した挿入部13が形成され、この開口部から挿入部13内に、図7に示すように、衣類収納具1の一方の端部1aを挿入できるようになっている。挿入部構成片12の他方の端部12aは、外覆部材2の他方の端部2bと同様に円弧状に形成されている。
【0028】
外覆部材2の長手方向の他方の端部2bには、帯状の係止部材14が、一方の端部を固着して設けられ、該係止部材14の一方の端部の外側には、一方の面ファスナー14aが、係止部材14の他方の端部の内側には、前記一方の面ファスナー14aと係合する他方の面ファスナー14bが設けられている。
【0029】
次に、衣類収納具1の使用方法を説明する。
先ず、図3に示すように、内覆部材8が表面側となるように、衣類収納具1を平らに開く。
【0030】
次に、図5に示すように、ファスナー11を開き、左右の開閉片8f,8gを左右に開いた後に、図6に示すように、外覆部材2と挟持部材3との間の空間4内に、例えば背広の上衣20を、その左右方向の中央を中心として左右方向に2つ折に折り畳んだ状態で挿通し、図6に示すように、外覆部材2と内覆部材8との間に背広の上衣20を配置する。
【0031】
次に、ファスナー11を閉め、左右の開閉片8f,8gを閉じた後に、図1,2,7に示すように、衣類収納具1を、支持部材5を中心として2つ折りにし、その一方の端部1a側を挿入部13内に挿入する。
【0032】
そして、図1に示す状態で、衣類収納具1の持手部7を手に持ったり、図2に示すように、カバン9の持手部9aに、衣類収納具1の持手部7を掛ける。これにより、背広の上衣20は、支持部材5に掛けて支持された状態で衣類収納具1内に収納され、その背広の上衣20を外視されることなく持ち運ぶことができる。
【0033】
また、衣類収納具1を使用しない場合には、図8に示すように、支持部材5を軸として、外覆部材2と内覆部材8を、その外径形状が円筒状となるように、巻回して折り畳んだ後に、その外周を係止部材14で巻き、面ファスナー14a,14b同士を係合することにより、その折り畳み状態を保持することができる。この折り畳んだ状態で、カバン9内等に収納して持ち運ぶことができる。
【0034】
以上のようであるため、前記実施例の衣類収納具1は、次のような作用、効果を発揮することができる。
【0035】
本発明の衣類収納具1によれば、外覆部材2と支持部材5との間に上衣20を挿通して、支持部材5に上衣20を掛けた状態で、持手部7をカバン9の持手部9aに掛けて、カバン9を持つことにより、カバン9等とともに上衣20を掛けた衣類収納具1を片手で持つことが出来、両手がふさがることを防止することができる。
【0036】
更に、上衣20全体を袋状部材10内に収納できるため、移動中に雨等により、上衣20が汚れることを防止することができる。また、支持部材5に上衣20を掛けた状態で持ち歩くことができるため、上衣20を手に持って移動する場合と比較して、上衣20にシワがよることを抑えることができる。
【0037】
また、衣類収納具1を使用しない場合には、図8に示すように、支持部材5と持手部7を内側に位置させて、巻回して折り畳むことができるため、カバン9内等に収納して容易に持ち運ぶことができる。
【0038】
また、外覆部材2の一方の端部2aと、挿入部13の他方の端部を円弧状に形成したことにより、挿入部13内に、衣類収納具1の一方の端部1aを挿入する際に、挿入部13内の衣類収納具1の一方の端部1aの位置決めを容易に行うことができる。
【0039】
なお、前記実施例においては、袋状部材10の開閉を、内覆部材8の中央において、その一方の端部8aから、2つの円弧部8d,8eの接点部にかけてファスナー11を設けて開閉するようにしたが、外覆部材2の外縁部と内覆部材8の外縁部間にファスナーを設けて袋状部材10を開閉できるようにしても良い。
【0040】
また、前記実施例においては、図8に示すように、支持部材5を軸として、外覆部材2と内覆部材8を巻回して折り畳むようにしたが、外覆部材2と内覆部材8を、横(Y−Y)を軸として、支持部材5と持手部7を内側に位置させて複数回折り畳むことにより、衣類収納具1をコンパクトにするようにしてもよい。
【0041】
また、衣類収納具1を、巻回等して折り畳んだ後に、これを、円筒状の収納袋に収納するようにしてもよい。
【0042】
また、前記実施例において、衣類収納具1を2つ折にした状態を保持するために、挿入部13内に、衣類収納具1の一方の端部1aを挿入したが、内覆部材8の長手方向の一方の端部と、他方の端部に、夫々に対応したファスナー、夫々に対応した面ファスナー、ボタンとホック等の係合部材を設けて、衣類収納具1を2つ折にした状態を保持するようにしてもよい。
【0043】
また、前記実施例において、衣類収納具1の折り畳んだ状態を保持するために、面ファスナー14a,14bを用いたが、折り畳んだ状態を保持できるのであれば、ボタンとその係合穴や、ボタンとホック等の任意の手段を用いることができる。
【0044】
また、前記内覆部材8は設けなくても良い。
また、前記実施例においては、衣類収納具1内に、背広やスーツの上衣20を2つ折にして収納したが、背広やスーツの上衣20以外にも、背広やスーツの下衣等任意の衣類を収納できるようにしてもよい。また、衣類収納具1内に衣類を収納する際に、その衣類を折り畳まなくてもよいし、衣類を折り畳んで収納する場合も、2つ折り以外にも、3つ折りや、4つ折り等任意に折り畳んで行うことができる。また、衣類収納具1の大きさは、その内部に収納する衣類全体を収納することができれば任意の大きさに設定するものである。
【0045】
また、前記実施例においては、衣類収納具1内に、背広やスーツの上衣20を収納した後に2つ折にしたが、更に2つ折にし、その状態を保持することができるようにしても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 折畳可能な衣類収納具
2 外覆部材
4 空間
5 支持部材
7 持手部
8 内覆部材
10 袋状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まない状態、又は、折り畳んだ状態の衣類の一面全体を覆うことができる外覆部材と、該外覆部材の内側に設け、前記衣類を掛けて支持できる支持部材と、持手部を有し、
前記外覆部材と支持部材との間に前記衣類を挿通できる空間を形成し、前記外覆部材は、前記支持部材と持手部を内側に位置させて折り畳みできるようにしたことを特徴とする折畳可能な衣類収納具。
【請求項2】
前記外覆部材は、前記支持部材を内側に位置させて巻回して折り畳みできるようにしたことを特徴とする請求項1記載の折畳可能な衣類収納具。
【請求項3】
前記支持部材を棒状に形成し、該支持部材の長手方向の両側部分に、前記持手部の両端部を固着したことを特徴とする請求項1又は2記載の折畳可能な衣類収納具。
【請求項4】
前記外覆部材における長手方向の中央部の内側に、前記支持部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の折畳可能な衣類収納具。
【請求項5】
前記外覆部材の内側に、内覆部材を設け、この外覆部材と内覆部材で袋状の袋状部材を形成し、該袋状部材を開閉可能に形成し、前記外覆部材を、前記内覆部材とともに折り畳みできるようにしたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の折畳可能な衣類収納具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−81084(P2012−81084A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229921(P2010−229921)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(503281142)時田毛織株式会社 (1)
【Fターム(参考)】