折箱
【課題】組み立てが容易であるとともに、箱状本体の各角部の隙間をなくすことができる折箱を提供する。
【解決手段】四角形状の底板部25に折曲部21,22,23,24を介して連接された端板部30,35及び側板部40,45を立設して箱状本体20を組み立てるようにした折箱10であって、各端板部30,35と各側板部40,45とを連接する各角部11,12,13,14に、各端板部30,35と各側板部40,45を立設した際に隣接する端板部30,35と側板部40,45とを一体に接続し、かつ端板部30,35に折り重ねられる薄膜部50が形成されているとともに、各端板部30,35の外辺部31,36には、折曲部61,66を介して該端板部30,35に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部30,35に折り重ねられた薄膜部50を上面から重合して箱状本体20を組み立てる折重片60,65が形成されている。
【解決手段】四角形状の底板部25に折曲部21,22,23,24を介して連接された端板部30,35及び側板部40,45を立設して箱状本体20を組み立てるようにした折箱10であって、各端板部30,35と各側板部40,45とを連接する各角部11,12,13,14に、各端板部30,35と各側板部40,45を立設した際に隣接する端板部30,35と側板部40,45とを一体に接続し、かつ端板部30,35に折り重ねられる薄膜部50が形成されているとともに、各端板部30,35の外辺部31,36には、折曲部61,66を介して該端板部30,35に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部30,35に折り重ねられた薄膜部50を上面から重合して箱状本体20を組み立てる折重片60,65が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四角形状の底板部に連接された端板部及び側板部を立設して組み立てられる折箱に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の物品を収納するための箱状の容器として、例えば、四角形状の底板部の各辺部にV溝等の折曲部を介して一体に連接された端板部及び側板部を有し、各端板部及び各側板部を折曲げ部を介して立設して箱状本体を組み立ててなる折箱が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この折箱では、物品の未収納時に保管等する際には、各板部を展開することによって一枚の板状体とすることができ省スペース化を図ることができ、しかも、展開した状態から各板部を立設させることで容易に組み立てることが可能である。また、各板部を合成樹脂発泡体等の素材とすることによって、軽量で保護性や保温性を備えた折箱を容易に成形することができる。
【0004】
このような折箱は、低温での保存が必要な魚等の生ものや冷凍食品等の物品の運搬等に用いられることが一般的である。その際、前記物品とともに氷等の保冷剤が適宜収納される。しかしながら、上記従来の折箱にあっては、各端板部及び各側板部をそれぞれ立設して組み立てる構成であるから、箱状本体の各角部を完全に密着させることが困難であり、わずかな隙間が生じる。そして、前記物品を長期間収納すると折箱内で結露や氷が溶け出す等して水が発生することが避けられないことから、前記各角部の隙間から液漏れするおそれがあった。また、前記隙間によって外気が内部に侵入する等して折箱の保温効果が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−47126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、組み立てが容易であるとともに、箱状本体の各角部の隙間をなくすことができる折箱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1の発明は、それぞれ平行な縦辺部(a,b)及び横辺部(c、d)からなる四角形状の底板部と、前記底板部の各縦辺部に折曲部を介して連設された端板部と、前記底板部の各横辺部に折曲部を介して連設された側板部とを有し、前記各端板部及び各側板部をそれぞれの折曲部を介して立設して箱状本体を組み立てるようにした折箱であって、前記各端板部と前記各側板部とを連接する各角部に、前記各端板部と前記各側板部を立設した際に隣接する端板部と側板部とを一体に接続し、かつ前記端板部に折り重ねられる薄膜部が形成されているとともに、前記各端板部の外辺部には、折曲部を介して該端板部に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部に折り重ねられた前記薄膜部を上面から重合して箱状本体を組み立てる折重片が形成されていることを特徴とする折箱に係る。
【0008】
請求項2の発明は、前記薄膜部が端板部内面に折重ねられる請求項1に記載の折箱に係る。
【0009】
請求項3の発明は、前記折重片が前記折曲部を介して該端板部内面に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部両側の側板部内面に嵌着して該端板部内面に折り重ねられた前記薄膜部を上面から押圧して箱状本体を組み立てるように形成されている請求項2に記載の折箱に係る。
【0010】
請求項4の発明は、前記端板部及び折重片に前記薄膜部を収容する薄肉部が形成されている請求項3に記載の折箱に係る。
【0011】
請求項5の発明は、前記底板部上面の縦辺部近傍に前記折曲部を介して前記端板部内面に折重ねられた前記折重片を係止するための係止部が形成されている請求項3又は4に記載の折箱に係る。
【0012】
請求項6の発明は、前記薄膜部の外面が前記端板部及び側板部の外面と面一に形成されている請求項2ないし5のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0013】
請求項7の発明は、前記薄膜部の厚みが0.1〜1.5mmである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0014】
請求項8の発明は、前記各側板部の少なくとも一方に蓋折曲部を介して蓋板部が一体に形成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0015】
請求項9の発明は、前記各板部及び折重片が合成樹脂発泡体からなる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0016】
請求項10の発明は、前記合成樹脂発泡体からなる各板部及び折重片の片面または両面にラミネートシートが貼着されている請求項9に記載の折箱に係る。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明に係る折箱は、それぞれ平行な縦辺部(a,b)及び横辺部(c、d)からなる四角形状の底板部と、前記底板部の各縦辺部に折曲部を介して連設された端板部と、前記底板部の各横辺部に折曲部を介して連設された側板部とを有し、前記各端板部及び各側板部をそれぞれの折曲部を介して立設して箱状本体を組み立てるようにした折箱であって、前記各端板部と前記各側板部とを連接する各角部に、前記各端板部と前記各側板部を立設した際に隣接する端板部と側板部とを一体に接続し、かつ前記端板部に折り重ねられる薄膜部が形成されているとともに、前記各端板部の外辺部には、折曲部を介して該端板部に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部に折り重ねられた前記薄膜部を上面から重合して箱状本体を組み立てる折重片が形成されているため、極めて簡易な構成によって箱状本体の各角部の隙間をふさぐことができ、しかも、箱状本体の組み立てが容易である。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1において、前記薄膜部が端板部内面に折重ねられるため、薄膜部が外部に露出しなくなり、外観上有利である。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2において、前記折重片が前記折曲部を介して該端板部内面に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部両側の側板部内面に嵌着して該端板部内面に折り重ねられた前記薄膜部を上面から押圧して箱状本体を組み立てるように形成されているため、別途固定部材を用いることなく薄膜部を上面から重合して箱状本体の組立てを行うことができる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項3において、前記端板部及び折重片に前記薄膜部を収容する薄肉部が形成されているため、より確実に端板部両側の側板部内面に嵌着させることができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項3又は4において、前記底板部上面の縦辺部近傍に前記折曲部を介して前記端板部内面に折重ねられた前記折重片を係止するための係止部が形成されているため、端板部内面に折重ねられた折重片を容易かつ確実に固定することができる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項2ないし5において、前記薄膜部の外面が前記端板部及び側板部の外面と面一に形成されているため、薄膜部が成形し易くなるとともに、保管等の際に重ね易くなる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項1ないし6において、前記薄膜部の厚みが0.1〜1.5mmであるため、折り重ねやすくしかも十分な強度も確保することができる。
【0024】
請求項8の発明は、請求項1ないし7において、前記各側板部の少なくとも一方に蓋折曲部を介して蓋板部が一体に形成されているため、極めて簡易な構成で箱状本体の上部開口部の開閉を行うことができる。
【0025】
請求項9の発明は、請求項1ないし8において、前記各板部及び折重片が合成樹脂発泡体からなるため、軽量で保護性や保温性に優れた折箱を提供することができる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項9において、前記合成樹脂発泡体からなる各板部及び折重片の片面または両面にラミネートシートが貼着されているため、当該折箱の外面に容易に装飾性を持たせることができるとともに、各折曲部を補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一実施例に係る折箱の斜視図である。
【図2】図1の折箱の展開図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】端板部の折り曲げ例を模式的に表した断面図である。
【図6】折重片の折り曲げ例を模式的に表した断面図である。
【図7】底板部に形成された係止部の断面図である。
【図8】双方の側板部に蓋板部が形成された折箱の斜視図である。
【図9】第一実施例の折箱の角部の組み立て例を模式的に表した断面図である。
【図10】第二実施例の折箱の角部の組み立て例を模式的に表した断面図である。
【図11】第三実施例の折箱の角部の組み立て例を模式的に表した断面図である。
【図12】第四実施例の折箱の角部の組み立て例を模式的に表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1〜図4に示すように、本発明の折箱10は、それぞれ平行な縦辺部a,b及び横辺部c、dからなる四角形状の底板部25と、前記底板部25の各縦辺部a,bに折曲部21,22を介して連設された端板部30,35と、前記底板部25の各横辺部c,dに折曲部23,24を介して連設された側板部40,45とを有し、前記各端板部30,35及び各側板部40,45をそれぞれの折曲部21,22,23,24を介して立設して箱状本体20を組み立てるようにしてなる。この折箱10において、各折曲部21,22,23,24は、V溝や凹状溝等適宜の形状で形成することができる。実施例では、各折曲部21,22,23,24は、図2,3,5に示すようにV溝である。
【0029】
この折箱10では、各板部25,30,35,40,45の厚みが、収納する物品の種類や大きさ、用途等に応じて適宜に設定される。特に、利便性や強度、保温性等の観点から、底板部25,側板部40,45の厚みは3〜10mmとされる。厚みが3mmより薄い場合、十分な強度や保温効果を得ることができず、厚みが10mmより厚い場合、必要以上にかさばったり組み立てにくくなる等の利便性の低下のおそれがある。また、端板部30,35の厚みは、後述するように側板部40,45の略半分とされる。実施例の底板部25及び側板部40,45の厚みは3mmである。
【0030】
この折箱10は、各端板部30,35と各側板部40,45とを連接する各角部11,12,13,14に薄膜部50,50,50,50が形成されているとともに、各端板部30,35の外辺部31,36に折重片60,65が形成されていることを特徴とする。
【0031】
薄膜部50は、図2に示すように、各端板部30,35と各側板部40,45とを連接する各角部11,12,13,14に形成され、各端板部30,35と各側板部40,45を立設した際に隣接する端板部30,35と側板部40,45とを一体に接続し、かつ端板部30,35に折り重ねられるように構成される。
【0032】
この薄膜部50にあっては、各端板部30,35と各側板部40,45を立設した際に隣接する端板部30,35と側板部40,45とを一体に接続するものであるから、隣接する端板部30,35と側板部40,45との隙間をふさいで、箱状本体20として組み立てた際の各角部11,12,13,14の隙間からの水漏れ等を効果的に防ぐことが可能となる。また、この薄膜部50は、上記水漏れ等の防止が可能であれば、各角部11,12,13,14に形成する位置や形状等は特に限定されない。特に、薄膜部50の外面を端板部30,35及び側板部40,45の外面30B,35B,40B,45Bと面一に形成すれば、薄膜部50が成形し易くなる他、箱状本体20を展開した状態で積み重ねて保管する等の際に重ね易くなる等、好都合である。
【0033】
さらに、この薄膜部50には、図2の展開図に示すように、底板部25の角部11,12,13,14側から斜め方向に易折部51を形成することが好ましい。易折部51は、折り曲げ方向の面に適宜の切り込みや溝等からなり、薄膜部50の特定位置での折り重ねが容易となって、作業性の向上や折り重ね時のズレ等を防止することができる。
【0034】
薄膜部50の折り重ね方向としては、端板部30,35の内面30A,35A側または外面側30B,35Bのいずれでも可能である。特には、薄膜部50を端板部30,35の内面30A,35Aに折り重ねることにより、箱状本体20を組み立てた際に薄膜部50が外部に露出しなくなり、外観上好ましい。
【0035】
また、この薄膜部50では、折り重ね易さや強度等の関係から、厚みが0.1〜1.5mmとされる。薄膜部50の厚みが0.1mmより薄い場合、十分な強度を得ることが困難であり、破損し易いという問題がある。厚みが1.5mmより厚い場合、折り重ね時の薄膜部50が膜厚になり過ぎて、後述する折重片60,65による重合に支障が出るという問題がある。実施例の薄膜部50の厚みは、0.3mmである。
【0036】
折重片60,65は、各端板部30,35の外辺部31,36に形成され、折曲部61,66を介して該端板部30,35に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部30,35に折り重ねられた薄膜部50,50,50,50を上面から重合して箱状本体20を組み立てるように構成される。すなわち、折り重ねられた薄膜部50,50,50,50を折重片60,65によって上面から重合することにより、薄膜部50,50,50,50と一体に接続された各端板部30,35及び各側板部40,45を、別途固定するための部材等を用いることなく立設状態で保持することが可能となる。なお、実施例において、折曲部61,66は、図2,3,6に示すように、凹状溝である。
【0037】
この折重片60,65は、箱状本体20の組み立て時に端板部30,35に折り重ねられるものであることから、端板部30,35と折重片60,65との折り重ね状態での厚みを側板部40,45の厚みと略同一とすることが外見上好ましい。特に好ましくは、端板部30,35と折重片60,65の厚みは、それぞれ側板部40,45の厚みの略半分である。実施例では、側板部40,45の厚みが3mmであるのに対し、端板部30,35と折重片60,65の厚みはそれぞれ1.5mmである。これにより、箱状本体20の側面の厚みに統一感を持たせることができる。
【0038】
折重片60,65の折り重ね方向は、薄膜部50の折り重ね方向に対応して、折曲部61,66を介して端板部30,35の内面30A,35A側あるいは外面30B,35B側に折り重ね可能とされる。特に、薄膜部50が端板部30,35の内面30A,35Aに折り重ねられる際には、端板部30,35両側の側板部40,45内面40A,45Aに嵌着して該端板部30,35内面30A,35Aに折り重ねられた薄膜部50を上面から押圧して箱状本体20を組み立てるように構成される。これにより、別途固定部材を用いることなく薄膜部50を上面から重合して箱状本体20の組立てを行うことができる。
【0039】
さらに、端板部30,35及び折重片60,65には、薄膜部50を収納するための薄肉部32,37,62,67が形成されていることが好ましい。この薄肉部32,37,62,67は、端板部30,35または折重片60,65との厚みの差によって折り重ね時に空間部分を形成するものである。この空間部分に折り重ねられた薄膜部50が収納されることにより、薄膜部50の厚みの影響を受けることなく折重片60,65を折り重ねることが可能となり、より確実に端板部30,35両側の側板部40,45内面40A,45Aに嵌着させることができる。
【0040】
薄肉部32,37,62,67の形状としては、折り重ねられた薄膜部50が収納可能であれば特に限定されない。また、薄肉部32,37,62,67の厚みは、折り重ねられた薄膜部50が収納可能でかつ端板部30,35の厚みより薄く薄膜部50の厚みより厚く形成され、例えば、0.6mm〜1.3mmとされる。薄肉部32,37,62,67の厚みが1.3mmより厚い場合、薄膜部50を収納するための十分な空間を確保することが困難であり、0.6mmより薄い場合、強度面で問題がある。実施例の薄肉部32,37は、図2に示すように、薄膜部50に隣接して形成された略三角形状で、それぞれ厚みが1mmとされる。薄肉部62,67は、それぞれ厚みが1mmで、折曲部61,66を介して薄肉部32,37と対称形状に形成される。
【0041】
当該折箱10においては、図1,2,7に示すように、底板部25上面の縦辺部a,b近傍に折曲部21,22を介して端板部30,35内面30A,35Aに折重ねられた折重片60,65を係止するための係止部26を形成することが好ましい。この係止部26としては、図1,2に示すように底板部25の縦辺部a(b)方向に所定長さで形成された突出部であって、図7に示すように、底板部25の縦辺部a(b)側が底板部25上面に対して略垂直な面とされ、その反対側がテーパ面とされる。この係止部26により、端板部30(35)内面30A(35A)に折重ねられた折重片60(65)を容易かつ確実に固定することができる。また、係止部26が縦辺部a(b)の反対側にテーパ面を有することにより、折重片60(65)を折り返した際にも円滑に端板部30(35)内面30A(35A)への折り重ねることができる。特に、テーパ面を円弧状に形成すれば、より円滑な折り重ねが可能となる。
【0042】
また、この係止部26の長さや高さ、幅等は、折箱10の大きさに応じて適宜に設定されるが、長さを20〜50mm、高さを2〜4mm、幅を5〜10mmとすることが好ましい。長さが20mmより短い場合、折重片60,65を十分に係止することが困難であり、50mmより長い場合、必要以上に係止部26が大きくなって物品の収納の妨げとなるおそれがある。高さが2mmより低い場合、折重片60,65を十分に係止することが困難であり、4mmより高い場合、折り返した折重片60,65が引っ掛かりやすくなって円滑な折り重ねが困難となる。幅が5mmより小さい場合、テーパ面の傾斜が大きくなって円滑な折り重ねが困難となり、10mmより大きい場合、必要以上に係止部26が大きくなって物品の収納の妨げとなるおそれがある。
【0043】
この折箱10では、必要に応じて箱状本体20の上部開口部20Aに蓋板部70を設け、開閉可能な構成とすることができる。この蓋板部70は、各側板部40,45の少なくとも一方に蓋折曲部75を介して一体に形成されていることが好ましい。この蓋板部70としては、例えば、図1に示すように、一方の側板部40(45)に単一の蓋板部71を形成して片開き状に構成することができる。また、図8に示すように双方の側板部40,45にそれぞれ蓋板部72,73を形成し、観音開き状に構成することもできる。なお、双方の側板部40,45に蓋板部72,73を形成する場合、各蓋板部72,73の端部に互いに係合可能な延出部を形成すれば、蓋板部72,73の開閉部分の大きな隙間が形成されることがない。なお、実施例の蓋折曲部75は、折曲部21,22,23,24と同様にV溝である。
【0044】
また、この折箱10において、各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65を構成する素材としては、軽量で保形性を備えた合成樹脂発泡体、段ボール、積層紙等の適宜の材料を使用することができる。特には、保護性や保温性等の観点から、各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65を合成樹脂発泡体で構成することが好ましい。用いる合成樹脂としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等であり、これらの発泡成形品からなる。なお、各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65を合成樹脂発泡体とした場合では、各折曲部21,22,23,24,75,61,66や薄膜部50、薄肉部32,37,62,67等を公知の加熱圧縮等を用いることによって容易に形成することができる。
【0045】
さらに、この折箱10では、合成樹脂発泡体からなる各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65の片面または両面にラミネートシートを貼着してもよい。ラミネートシートとしては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等の公知の合成樹脂フィルムが好適に用いられる。このラミネートシートによれば、適宜の文字や模様、絵柄等を印刷することによって折箱10外面に容易に装飾性を持たせることが可能となる。また、各折曲部21,22,23,24,75,61,66を補強することができる。なお、この折箱10では、このラミネートシートによって薄膜部50が形成されるように各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65に貼着することも可能である。
【0046】
次に、第一実施例の折箱10Aの組み立て方について説明する。この折箱10Aでは、まず、図5に示すように、端板部30,35がそれぞれの折曲部21,22を介して略90°折り曲げられて立設される。なお、図示しないが、側板部40,45についても、端板部30,35と同様にそれぞれの折曲部23,24を介して略90°折り曲げられて立設される。
【0047】
また、上記の如く各端板部30,35及び各側板部40,45を立設するに際し、各角部11,12,13,14に形成された薄膜部50,50,50,50が、図9(a)に示すように、易折部51を介して端板部30(35)内面30A(35A)側に折り重ねられる。
【0048】
次いで、図6に示すように、折曲部61(66)を介して折重片60(65)が端板部30(35)の内面30A(35A)側に折り返されて、図9(b)に示すように、折り重ね状態の薄膜部50を上面から押圧し、図7及び図9(c)に示すように、端板部30(35)に折り重ねられて重合される。
【0049】
この時、薄膜部50が端板部30(35)の薄肉部32(37)と折重片60(65)の薄肉部62(67)との間に収納されるとともに、折重片60(65)が端板部30(35)の内面30A(35A)に折り重ねられた状態で端板部30,35両側の側板部40,45内面40A,45Aに嵌着され、かつ、折重片60(65)の端部が係止部26に係止されて箱状本体20の組み立てが完了する。
【0050】
図10〜図12は、薄膜部50を端板部30,35に折り重ねて折重片60,65によって重合して箱状本体20を組み立てる様々なバリエーションを表したものである。図10に示す第二実施例は、薄膜部50を端板部30(35)の内面30A(35A)及び側板部40(45)の内面40A(45A)と面一に形成して端板部30(35)の内面30A(35A)に折り重ねた例である。この第二実施例では、第一実施例と同様の手順で箱状本体20が組み立てられる。
【0051】
図11に示す第三実施例は、薄膜部50を端板部30(35)の外面30B(35B)及び側板部40(45)の外面40B(45B)と面一に形成して端板部30(35)の外面30B(35B)に折り重ねた例である。この第三実施例では、まず、薄膜部50が、図10(a)に示すように、易折部51を介して端板部30(35)外面30B(35B)側に折り重ねられる。次いで、図11(b)に示すように、折重片60(65)によって上面から押圧され、図11(c)に示すように、端板部30(35)に重合されて、箱状本体20の組み立てが完了する。なお、折重片60,65は、公知の粘着テープ等によって端板部30,35に固定される。
【0052】
図12に示す第四実施例は、薄膜部50を端板部30(35)の内面30A(35A)及び側板部40(45)の内面40A(45A)と面一に形成して端板部30(35)の外面30B(35B)に折り重ねた例である。この第四実施例では、第三実施例と同様の手順で箱状本体20が組み立てられる。
【0053】
以上、図示し説明したように、本発明の折箱10では、各端板部30,35と各側板部40,45を立設した際に隣接する端板部30,35と側板部40,45とを一体に接続する薄膜部50を有することにより、極めて簡易な構成で隣接する端板部30,35と側板部40,45との隙間をふさぐことができる。あわせて、薄膜部50を端板部30,35に折り重ねるとともに、折重片60,65が薄膜部50を上面から重合して端板部30,35に折り重ねられるものであるから、極めて簡易な手順で箱状本体20を組み立てることができる。
【0054】
また、特に、各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65を合成樹脂発泡体で構成すれば、軽量で保護性や保温性に優れた折箱を提供することができる。これにより、低温での保存が必要な魚等の生ものや冷凍食品等の物品を運搬する際であっても、箱状本体20の各角部11,12,13,14の隙間からの水漏れ等や外気の侵入等による保温効果の低下等を効果的に防ぐことができる。さらに、弁当や寿司、ケーキ等の食品類を店頭で詰め込んで販売する場合等に好適に用いることができる。
【0055】
なお、本発明の折箱は、前述の実施例のみに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。
【0056】
10 折箱
11,12,13,14 角部
20 箱状本体
21,22,23,24 折曲部
25 底板部
30,35 端板部
40,45 側板部
50 薄膜部
60,65 折重片
70 蓋板部
a,b 縦辺部
c,d 横辺部
【技術分野】
【0001】
本発明は、四角形状の底板部に連接された端板部及び側板部を立設して組み立てられる折箱に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の物品を収納するための箱状の容器として、例えば、四角形状の底板部の各辺部にV溝等の折曲部を介して一体に連接された端板部及び側板部を有し、各端板部及び各側板部を折曲げ部を介して立設して箱状本体を組み立ててなる折箱が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この折箱では、物品の未収納時に保管等する際には、各板部を展開することによって一枚の板状体とすることができ省スペース化を図ることができ、しかも、展開した状態から各板部を立設させることで容易に組み立てることが可能である。また、各板部を合成樹脂発泡体等の素材とすることによって、軽量で保護性や保温性を備えた折箱を容易に成形することができる。
【0004】
このような折箱は、低温での保存が必要な魚等の生ものや冷凍食品等の物品の運搬等に用いられることが一般的である。その際、前記物品とともに氷等の保冷剤が適宜収納される。しかしながら、上記従来の折箱にあっては、各端板部及び各側板部をそれぞれ立設して組み立てる構成であるから、箱状本体の各角部を完全に密着させることが困難であり、わずかな隙間が生じる。そして、前記物品を長期間収納すると折箱内で結露や氷が溶け出す等して水が発生することが避けられないことから、前記各角部の隙間から液漏れするおそれがあった。また、前記隙間によって外気が内部に侵入する等して折箱の保温効果が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−47126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、組み立てが容易であるとともに、箱状本体の各角部の隙間をなくすことができる折箱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1の発明は、それぞれ平行な縦辺部(a,b)及び横辺部(c、d)からなる四角形状の底板部と、前記底板部の各縦辺部に折曲部を介して連設された端板部と、前記底板部の各横辺部に折曲部を介して連設された側板部とを有し、前記各端板部及び各側板部をそれぞれの折曲部を介して立設して箱状本体を組み立てるようにした折箱であって、前記各端板部と前記各側板部とを連接する各角部に、前記各端板部と前記各側板部を立設した際に隣接する端板部と側板部とを一体に接続し、かつ前記端板部に折り重ねられる薄膜部が形成されているとともに、前記各端板部の外辺部には、折曲部を介して該端板部に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部に折り重ねられた前記薄膜部を上面から重合して箱状本体を組み立てる折重片が形成されていることを特徴とする折箱に係る。
【0008】
請求項2の発明は、前記薄膜部が端板部内面に折重ねられる請求項1に記載の折箱に係る。
【0009】
請求項3の発明は、前記折重片が前記折曲部を介して該端板部内面に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部両側の側板部内面に嵌着して該端板部内面に折り重ねられた前記薄膜部を上面から押圧して箱状本体を組み立てるように形成されている請求項2に記載の折箱に係る。
【0010】
請求項4の発明は、前記端板部及び折重片に前記薄膜部を収容する薄肉部が形成されている請求項3に記載の折箱に係る。
【0011】
請求項5の発明は、前記底板部上面の縦辺部近傍に前記折曲部を介して前記端板部内面に折重ねられた前記折重片を係止するための係止部が形成されている請求項3又は4に記載の折箱に係る。
【0012】
請求項6の発明は、前記薄膜部の外面が前記端板部及び側板部の外面と面一に形成されている請求項2ないし5のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0013】
請求項7の発明は、前記薄膜部の厚みが0.1〜1.5mmである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0014】
請求項8の発明は、前記各側板部の少なくとも一方に蓋折曲部を介して蓋板部が一体に形成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0015】
請求項9の発明は、前記各板部及び折重片が合成樹脂発泡体からなる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0016】
請求項10の発明は、前記合成樹脂発泡体からなる各板部及び折重片の片面または両面にラミネートシートが貼着されている請求項9に記載の折箱に係る。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明に係る折箱は、それぞれ平行な縦辺部(a,b)及び横辺部(c、d)からなる四角形状の底板部と、前記底板部の各縦辺部に折曲部を介して連設された端板部と、前記底板部の各横辺部に折曲部を介して連設された側板部とを有し、前記各端板部及び各側板部をそれぞれの折曲部を介して立設して箱状本体を組み立てるようにした折箱であって、前記各端板部と前記各側板部とを連接する各角部に、前記各端板部と前記各側板部を立設した際に隣接する端板部と側板部とを一体に接続し、かつ前記端板部に折り重ねられる薄膜部が形成されているとともに、前記各端板部の外辺部には、折曲部を介して該端板部に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部に折り重ねられた前記薄膜部を上面から重合して箱状本体を組み立てる折重片が形成されているため、極めて簡易な構成によって箱状本体の各角部の隙間をふさぐことができ、しかも、箱状本体の組み立てが容易である。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1において、前記薄膜部が端板部内面に折重ねられるため、薄膜部が外部に露出しなくなり、外観上有利である。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2において、前記折重片が前記折曲部を介して該端板部内面に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部両側の側板部内面に嵌着して該端板部内面に折り重ねられた前記薄膜部を上面から押圧して箱状本体を組み立てるように形成されているため、別途固定部材を用いることなく薄膜部を上面から重合して箱状本体の組立てを行うことができる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項3において、前記端板部及び折重片に前記薄膜部を収容する薄肉部が形成されているため、より確実に端板部両側の側板部内面に嵌着させることができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項3又は4において、前記底板部上面の縦辺部近傍に前記折曲部を介して前記端板部内面に折重ねられた前記折重片を係止するための係止部が形成されているため、端板部内面に折重ねられた折重片を容易かつ確実に固定することができる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項2ないし5において、前記薄膜部の外面が前記端板部及び側板部の外面と面一に形成されているため、薄膜部が成形し易くなるとともに、保管等の際に重ね易くなる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項1ないし6において、前記薄膜部の厚みが0.1〜1.5mmであるため、折り重ねやすくしかも十分な強度も確保することができる。
【0024】
請求項8の発明は、請求項1ないし7において、前記各側板部の少なくとも一方に蓋折曲部を介して蓋板部が一体に形成されているため、極めて簡易な構成で箱状本体の上部開口部の開閉を行うことができる。
【0025】
請求項9の発明は、請求項1ないし8において、前記各板部及び折重片が合成樹脂発泡体からなるため、軽量で保護性や保温性に優れた折箱を提供することができる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項9において、前記合成樹脂発泡体からなる各板部及び折重片の片面または両面にラミネートシートが貼着されているため、当該折箱の外面に容易に装飾性を持たせることができるとともに、各折曲部を補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一実施例に係る折箱の斜視図である。
【図2】図1の折箱の展開図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】端板部の折り曲げ例を模式的に表した断面図である。
【図6】折重片の折り曲げ例を模式的に表した断面図である。
【図7】底板部に形成された係止部の断面図である。
【図8】双方の側板部に蓋板部が形成された折箱の斜視図である。
【図9】第一実施例の折箱の角部の組み立て例を模式的に表した断面図である。
【図10】第二実施例の折箱の角部の組み立て例を模式的に表した断面図である。
【図11】第三実施例の折箱の角部の組み立て例を模式的に表した断面図である。
【図12】第四実施例の折箱の角部の組み立て例を模式的に表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1〜図4に示すように、本発明の折箱10は、それぞれ平行な縦辺部a,b及び横辺部c、dからなる四角形状の底板部25と、前記底板部25の各縦辺部a,bに折曲部21,22を介して連設された端板部30,35と、前記底板部25の各横辺部c,dに折曲部23,24を介して連設された側板部40,45とを有し、前記各端板部30,35及び各側板部40,45をそれぞれの折曲部21,22,23,24を介して立設して箱状本体20を組み立てるようにしてなる。この折箱10において、各折曲部21,22,23,24は、V溝や凹状溝等適宜の形状で形成することができる。実施例では、各折曲部21,22,23,24は、図2,3,5に示すようにV溝である。
【0029】
この折箱10では、各板部25,30,35,40,45の厚みが、収納する物品の種類や大きさ、用途等に応じて適宜に設定される。特に、利便性や強度、保温性等の観点から、底板部25,側板部40,45の厚みは3〜10mmとされる。厚みが3mmより薄い場合、十分な強度や保温効果を得ることができず、厚みが10mmより厚い場合、必要以上にかさばったり組み立てにくくなる等の利便性の低下のおそれがある。また、端板部30,35の厚みは、後述するように側板部40,45の略半分とされる。実施例の底板部25及び側板部40,45の厚みは3mmである。
【0030】
この折箱10は、各端板部30,35と各側板部40,45とを連接する各角部11,12,13,14に薄膜部50,50,50,50が形成されているとともに、各端板部30,35の外辺部31,36に折重片60,65が形成されていることを特徴とする。
【0031】
薄膜部50は、図2に示すように、各端板部30,35と各側板部40,45とを連接する各角部11,12,13,14に形成され、各端板部30,35と各側板部40,45を立設した際に隣接する端板部30,35と側板部40,45とを一体に接続し、かつ端板部30,35に折り重ねられるように構成される。
【0032】
この薄膜部50にあっては、各端板部30,35と各側板部40,45を立設した際に隣接する端板部30,35と側板部40,45とを一体に接続するものであるから、隣接する端板部30,35と側板部40,45との隙間をふさいで、箱状本体20として組み立てた際の各角部11,12,13,14の隙間からの水漏れ等を効果的に防ぐことが可能となる。また、この薄膜部50は、上記水漏れ等の防止が可能であれば、各角部11,12,13,14に形成する位置や形状等は特に限定されない。特に、薄膜部50の外面を端板部30,35及び側板部40,45の外面30B,35B,40B,45Bと面一に形成すれば、薄膜部50が成形し易くなる他、箱状本体20を展開した状態で積み重ねて保管する等の際に重ね易くなる等、好都合である。
【0033】
さらに、この薄膜部50には、図2の展開図に示すように、底板部25の角部11,12,13,14側から斜め方向に易折部51を形成することが好ましい。易折部51は、折り曲げ方向の面に適宜の切り込みや溝等からなり、薄膜部50の特定位置での折り重ねが容易となって、作業性の向上や折り重ね時のズレ等を防止することができる。
【0034】
薄膜部50の折り重ね方向としては、端板部30,35の内面30A,35A側または外面側30B,35Bのいずれでも可能である。特には、薄膜部50を端板部30,35の内面30A,35Aに折り重ねることにより、箱状本体20を組み立てた際に薄膜部50が外部に露出しなくなり、外観上好ましい。
【0035】
また、この薄膜部50では、折り重ね易さや強度等の関係から、厚みが0.1〜1.5mmとされる。薄膜部50の厚みが0.1mmより薄い場合、十分な強度を得ることが困難であり、破損し易いという問題がある。厚みが1.5mmより厚い場合、折り重ね時の薄膜部50が膜厚になり過ぎて、後述する折重片60,65による重合に支障が出るという問題がある。実施例の薄膜部50の厚みは、0.3mmである。
【0036】
折重片60,65は、各端板部30,35の外辺部31,36に形成され、折曲部61,66を介して該端板部30,35に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部30,35に折り重ねられた薄膜部50,50,50,50を上面から重合して箱状本体20を組み立てるように構成される。すなわち、折り重ねられた薄膜部50,50,50,50を折重片60,65によって上面から重合することにより、薄膜部50,50,50,50と一体に接続された各端板部30,35及び各側板部40,45を、別途固定するための部材等を用いることなく立設状態で保持することが可能となる。なお、実施例において、折曲部61,66は、図2,3,6に示すように、凹状溝である。
【0037】
この折重片60,65は、箱状本体20の組み立て時に端板部30,35に折り重ねられるものであることから、端板部30,35と折重片60,65との折り重ね状態での厚みを側板部40,45の厚みと略同一とすることが外見上好ましい。特に好ましくは、端板部30,35と折重片60,65の厚みは、それぞれ側板部40,45の厚みの略半分である。実施例では、側板部40,45の厚みが3mmであるのに対し、端板部30,35と折重片60,65の厚みはそれぞれ1.5mmである。これにより、箱状本体20の側面の厚みに統一感を持たせることができる。
【0038】
折重片60,65の折り重ね方向は、薄膜部50の折り重ね方向に対応して、折曲部61,66を介して端板部30,35の内面30A,35A側あるいは外面30B,35B側に折り重ね可能とされる。特に、薄膜部50が端板部30,35の内面30A,35Aに折り重ねられる際には、端板部30,35両側の側板部40,45内面40A,45Aに嵌着して該端板部30,35内面30A,35Aに折り重ねられた薄膜部50を上面から押圧して箱状本体20を組み立てるように構成される。これにより、別途固定部材を用いることなく薄膜部50を上面から重合して箱状本体20の組立てを行うことができる。
【0039】
さらに、端板部30,35及び折重片60,65には、薄膜部50を収納するための薄肉部32,37,62,67が形成されていることが好ましい。この薄肉部32,37,62,67は、端板部30,35または折重片60,65との厚みの差によって折り重ね時に空間部分を形成するものである。この空間部分に折り重ねられた薄膜部50が収納されることにより、薄膜部50の厚みの影響を受けることなく折重片60,65を折り重ねることが可能となり、より確実に端板部30,35両側の側板部40,45内面40A,45Aに嵌着させることができる。
【0040】
薄肉部32,37,62,67の形状としては、折り重ねられた薄膜部50が収納可能であれば特に限定されない。また、薄肉部32,37,62,67の厚みは、折り重ねられた薄膜部50が収納可能でかつ端板部30,35の厚みより薄く薄膜部50の厚みより厚く形成され、例えば、0.6mm〜1.3mmとされる。薄肉部32,37,62,67の厚みが1.3mmより厚い場合、薄膜部50を収納するための十分な空間を確保することが困難であり、0.6mmより薄い場合、強度面で問題がある。実施例の薄肉部32,37は、図2に示すように、薄膜部50に隣接して形成された略三角形状で、それぞれ厚みが1mmとされる。薄肉部62,67は、それぞれ厚みが1mmで、折曲部61,66を介して薄肉部32,37と対称形状に形成される。
【0041】
当該折箱10においては、図1,2,7に示すように、底板部25上面の縦辺部a,b近傍に折曲部21,22を介して端板部30,35内面30A,35Aに折重ねられた折重片60,65を係止するための係止部26を形成することが好ましい。この係止部26としては、図1,2に示すように底板部25の縦辺部a(b)方向に所定長さで形成された突出部であって、図7に示すように、底板部25の縦辺部a(b)側が底板部25上面に対して略垂直な面とされ、その反対側がテーパ面とされる。この係止部26により、端板部30(35)内面30A(35A)に折重ねられた折重片60(65)を容易かつ確実に固定することができる。また、係止部26が縦辺部a(b)の反対側にテーパ面を有することにより、折重片60(65)を折り返した際にも円滑に端板部30(35)内面30A(35A)への折り重ねることができる。特に、テーパ面を円弧状に形成すれば、より円滑な折り重ねが可能となる。
【0042】
また、この係止部26の長さや高さ、幅等は、折箱10の大きさに応じて適宜に設定されるが、長さを20〜50mm、高さを2〜4mm、幅を5〜10mmとすることが好ましい。長さが20mmより短い場合、折重片60,65を十分に係止することが困難であり、50mmより長い場合、必要以上に係止部26が大きくなって物品の収納の妨げとなるおそれがある。高さが2mmより低い場合、折重片60,65を十分に係止することが困難であり、4mmより高い場合、折り返した折重片60,65が引っ掛かりやすくなって円滑な折り重ねが困難となる。幅が5mmより小さい場合、テーパ面の傾斜が大きくなって円滑な折り重ねが困難となり、10mmより大きい場合、必要以上に係止部26が大きくなって物品の収納の妨げとなるおそれがある。
【0043】
この折箱10では、必要に応じて箱状本体20の上部開口部20Aに蓋板部70を設け、開閉可能な構成とすることができる。この蓋板部70は、各側板部40,45の少なくとも一方に蓋折曲部75を介して一体に形成されていることが好ましい。この蓋板部70としては、例えば、図1に示すように、一方の側板部40(45)に単一の蓋板部71を形成して片開き状に構成することができる。また、図8に示すように双方の側板部40,45にそれぞれ蓋板部72,73を形成し、観音開き状に構成することもできる。なお、双方の側板部40,45に蓋板部72,73を形成する場合、各蓋板部72,73の端部に互いに係合可能な延出部を形成すれば、蓋板部72,73の開閉部分の大きな隙間が形成されることがない。なお、実施例の蓋折曲部75は、折曲部21,22,23,24と同様にV溝である。
【0044】
また、この折箱10において、各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65を構成する素材としては、軽量で保形性を備えた合成樹脂発泡体、段ボール、積層紙等の適宜の材料を使用することができる。特には、保護性や保温性等の観点から、各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65を合成樹脂発泡体で構成することが好ましい。用いる合成樹脂としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等であり、これらの発泡成形品からなる。なお、各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65を合成樹脂発泡体とした場合では、各折曲部21,22,23,24,75,61,66や薄膜部50、薄肉部32,37,62,67等を公知の加熱圧縮等を用いることによって容易に形成することができる。
【0045】
さらに、この折箱10では、合成樹脂発泡体からなる各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65の片面または両面にラミネートシートを貼着してもよい。ラミネートシートとしては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等の公知の合成樹脂フィルムが好適に用いられる。このラミネートシートによれば、適宜の文字や模様、絵柄等を印刷することによって折箱10外面に容易に装飾性を持たせることが可能となる。また、各折曲部21,22,23,24,75,61,66を補強することができる。なお、この折箱10では、このラミネートシートによって薄膜部50が形成されるように各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65に貼着することも可能である。
【0046】
次に、第一実施例の折箱10Aの組み立て方について説明する。この折箱10Aでは、まず、図5に示すように、端板部30,35がそれぞれの折曲部21,22を介して略90°折り曲げられて立設される。なお、図示しないが、側板部40,45についても、端板部30,35と同様にそれぞれの折曲部23,24を介して略90°折り曲げられて立設される。
【0047】
また、上記の如く各端板部30,35及び各側板部40,45を立設するに際し、各角部11,12,13,14に形成された薄膜部50,50,50,50が、図9(a)に示すように、易折部51を介して端板部30(35)内面30A(35A)側に折り重ねられる。
【0048】
次いで、図6に示すように、折曲部61(66)を介して折重片60(65)が端板部30(35)の内面30A(35A)側に折り返されて、図9(b)に示すように、折り重ね状態の薄膜部50を上面から押圧し、図7及び図9(c)に示すように、端板部30(35)に折り重ねられて重合される。
【0049】
この時、薄膜部50が端板部30(35)の薄肉部32(37)と折重片60(65)の薄肉部62(67)との間に収納されるとともに、折重片60(65)が端板部30(35)の内面30A(35A)に折り重ねられた状態で端板部30,35両側の側板部40,45内面40A,45Aに嵌着され、かつ、折重片60(65)の端部が係止部26に係止されて箱状本体20の組み立てが完了する。
【0050】
図10〜図12は、薄膜部50を端板部30,35に折り重ねて折重片60,65によって重合して箱状本体20を組み立てる様々なバリエーションを表したものである。図10に示す第二実施例は、薄膜部50を端板部30(35)の内面30A(35A)及び側板部40(45)の内面40A(45A)と面一に形成して端板部30(35)の内面30A(35A)に折り重ねた例である。この第二実施例では、第一実施例と同様の手順で箱状本体20が組み立てられる。
【0051】
図11に示す第三実施例は、薄膜部50を端板部30(35)の外面30B(35B)及び側板部40(45)の外面40B(45B)と面一に形成して端板部30(35)の外面30B(35B)に折り重ねた例である。この第三実施例では、まず、薄膜部50が、図10(a)に示すように、易折部51を介して端板部30(35)外面30B(35B)側に折り重ねられる。次いで、図11(b)に示すように、折重片60(65)によって上面から押圧され、図11(c)に示すように、端板部30(35)に重合されて、箱状本体20の組み立てが完了する。なお、折重片60,65は、公知の粘着テープ等によって端板部30,35に固定される。
【0052】
図12に示す第四実施例は、薄膜部50を端板部30(35)の内面30A(35A)及び側板部40(45)の内面40A(45A)と面一に形成して端板部30(35)の外面30B(35B)に折り重ねた例である。この第四実施例では、第三実施例と同様の手順で箱状本体20が組み立てられる。
【0053】
以上、図示し説明したように、本発明の折箱10では、各端板部30,35と各側板部40,45を立設した際に隣接する端板部30,35と側板部40,45とを一体に接続する薄膜部50を有することにより、極めて簡易な構成で隣接する端板部30,35と側板部40,45との隙間をふさぐことができる。あわせて、薄膜部50を端板部30,35に折り重ねるとともに、折重片60,65が薄膜部50を上面から重合して端板部30,35に折り重ねられるものであるから、極めて簡易な手順で箱状本体20を組み立てることができる。
【0054】
また、特に、各板部25,30,35,40,45,70及び折重片60,65を合成樹脂発泡体で構成すれば、軽量で保護性や保温性に優れた折箱を提供することができる。これにより、低温での保存が必要な魚等の生ものや冷凍食品等の物品を運搬する際であっても、箱状本体20の各角部11,12,13,14の隙間からの水漏れ等や外気の侵入等による保温効果の低下等を効果的に防ぐことができる。さらに、弁当や寿司、ケーキ等の食品類を店頭で詰め込んで販売する場合等に好適に用いることができる。
【0055】
なお、本発明の折箱は、前述の実施例のみに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。
【0056】
10 折箱
11,12,13,14 角部
20 箱状本体
21,22,23,24 折曲部
25 底板部
30,35 端板部
40,45 側板部
50 薄膜部
60,65 折重片
70 蓋板部
a,b 縦辺部
c,d 横辺部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ平行な縦辺部(a,b)及び横辺部(c、d)からなる四角形状の底板部と、前記底板部の各縦辺部に折曲部を介して連設された端板部と、前記底板部の各横辺部に折曲部を介して連設された側板部とを有し、前記各端板部及び各側板部をそれぞれの折曲部を介して立設して箱状本体を組み立てるようにした折箱であって、
前記各端板部と前記各側板部とを連接する各角部に、前記各端板部と前記各側板部を立設した際に隣接する端板部と側板部とを一体に接続し、かつ前記端板部に折り重ねられる薄膜部が形成されているとともに、
前記各端板部の外辺部には、折曲部を介して該端板部に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部に折り重ねられた前記薄膜部を上面から重合して箱状本体を組み立てる折重片が形成されていることを特徴とする折箱。
【請求項2】
前記薄膜部が端板部内面に折重ねられる請求項1に記載の折箱。
【請求項3】
前記折重片が前記折曲部を介して該端板部内面に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部両側の側板部内面に嵌着して該端板部内面に折り重ねられた前記薄膜部を上面から押圧して箱状本体を組み立てるように形成されている請求項2に記載の折箱。
【請求項4】
前記端板部及び折重片に前記薄膜部を収容する薄肉部が形成されている請求項3に記載の折箱。
【請求項5】
前記底板部上面の縦辺部近傍に前記折曲部を介して前記端板部内面に折重ねられた前記折重片を係止するための係止部が形成されている請求項3又は4に記載の折箱。
【請求項6】
前記薄膜部の外面が前記端板部及び側板部の外面と面一に形成されている請求項2ないし5のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項7】
前記薄膜部の厚みが0.1〜1.5mmである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項8】
前記各側板部の少なくとも一方に蓋折曲部を介して蓋板部が一体に形成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項9】
前記各板部及び折重片が合成樹脂発泡体からなる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項10】
前記合成樹脂発泡体からなる各板部及び折重片の片面または両面にラミネートシートが貼着されている請求項9に記載の折箱。
【請求項1】
それぞれ平行な縦辺部(a,b)及び横辺部(c、d)からなる四角形状の底板部と、前記底板部の各縦辺部に折曲部を介して連設された端板部と、前記底板部の各横辺部に折曲部を介して連設された側板部とを有し、前記各端板部及び各側板部をそれぞれの折曲部を介して立設して箱状本体を組み立てるようにした折箱であって、
前記各端板部と前記各側板部とを連接する各角部に、前記各端板部と前記各側板部を立設した際に隣接する端板部と側板部とを一体に接続し、かつ前記端板部に折り重ねられる薄膜部が形成されているとともに、
前記各端板部の外辺部には、折曲部を介して該端板部に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部に折り重ねられた前記薄膜部を上面から重合して箱状本体を組み立てる折重片が形成されていることを特徴とする折箱。
【請求項2】
前記薄膜部が端板部内面に折重ねられる請求項1に記載の折箱。
【請求項3】
前記折重片が前記折曲部を介して該端板部内面に折重ね可能でかつ折り重ね時には該端板部両側の側板部内面に嵌着して該端板部内面に折り重ねられた前記薄膜部を上面から押圧して箱状本体を組み立てるように形成されている請求項2に記載の折箱。
【請求項4】
前記端板部及び折重片に前記薄膜部を収容する薄肉部が形成されている請求項3に記載の折箱。
【請求項5】
前記底板部上面の縦辺部近傍に前記折曲部を介して前記端板部内面に折重ねられた前記折重片を係止するための係止部が形成されている請求項3又は4に記載の折箱。
【請求項6】
前記薄膜部の外面が前記端板部及び側板部の外面と面一に形成されている請求項2ないし5のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項7】
前記薄膜部の厚みが0.1〜1.5mmである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項8】
前記各側板部の少なくとも一方に蓋折曲部を介して蓋板部が一体に形成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項9】
前記各板部及び折重片が合成樹脂発泡体からなる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項10】
前記合成樹脂発泡体からなる各板部及び折重片の片面または両面にラミネートシートが貼着されている請求項9に記載の折箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−280432(P2010−280432A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137292(P2009−137292)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(509336303)株式会社ソフトプラテック (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(509336303)株式会社ソフトプラテック (3)
【Fターム(参考)】
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