説明

押出形材用のレオロジーが改質された熱可塑性エラストマー組成物

レオロジーが改質された、ゲルを含まない熱可塑性エラストマー組成物であって、エチレン/α−オレフィンポリマーとポリプロピレンまたはプロピレン/α−オレフィンコポリマーなどの高融点のポリマーとの溶融ブレンドを含み、過酸化物:補助剤の比が1:4〜1:20でありかつ過酸化物の最高濃度が0.075wt%である過酸化物とフリーラジカル補助剤との組合せにより、レオロジーの改質が誘導される。得られる組成物には、エラストマー性相、非エラストマー性相、および過酸化物単独または1:2〜2:1の比の過酸化物と補助剤とでレオロジーが改質された同様の組成物より優れたいくつかの物理的諸特性がある。圧延、押出、およびブロー成形などの成形技法で、チューブやウェザーストリップなどの様々な製品を作製するために、その組成物を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、エラストマー性エチレン/アルファ(α)−オレフィン(EAO)ポリマーまたはEAOポリマーブレンドと、高融点のプロピレンポリマーとを含み、この両成分が過酸化物で改質された、レオロジーが改質された熱可塑性エラストマー(TPE)組成物に関し、かつその組成物の調製方法、製品を作製するためのフィルム押出、シート押出、異形押出、ブロー成形、圧延、射出成形、熱成形作業などの方法におけるかかる組成物の使用、およびその得られた製品に関する。本発明は、特に、低レベルの有機過酸化物と高レベルのフリーラジカル補助剤とを極めて特定の比で含む特定の組合せにより、レオロジーの改質が誘導されるかかる組成物、その成分の物理的ブレンドを改質するなどによりその組成物を調製する方法、ならびに押出、成形、圧延、および熱成形作業におけるかかる組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘック(Heck)らは、(特許文献1)に、レオロジーが改質されたTPE組成物を記載している。過酸化物や放射線を含めて様々な手段により、レオロジーの改質を誘導することができる。ヘック(Heck)らの組成物は、4つの特性(すなわち剪断減粘性指数(STI)、溶融強度(MS)、凝固温度(ST)、およびより高い使用温度(UST))の組合せを示すと言われている。ヘック(Heck)らは、過酸化物のみを使用して組成物のレオロジー改質を行っている。ヘック(Heck)らは、ポリマー組成物のSTIは、少なくとも20、好ましくは少なくとも25、より好ましくは少なくとも30、さらにより好ましくは少なくとも35でなければならないことを教示する。これらの組成物は、自動車部品やブーツ用シャフトなどのいくつかの用途で有用となり得るが、押出、成形、圧延作業、特に高速作業には、組成物の改善が必要である。
【0003】
ウォルトン(Walton)は、(特許文献2)に、圧延および熱成形作業のためのレオロジーが改質された組成物を記載している。その組成物は、過酸化物と補助剤を1:10〜10:1の比で含むものとして大まかに記載されているが、実施例では、過酸化物と補助剤を約1:2〜2:1の比で使用することにより、レオロジー改質が実現されている(当業者は、比は整数のみを用いて定義されることを理解している)。ウォルトン(Walton)のレオロジーが改質された組成物は、少なくとも約600cN・mm/秒の溶融靭性、少なくとも約3MPaの140℃における真の極限引張強さ、および少なくとも約400%の140℃における破断点伸びを示す。ウォルトン(Walton)の組成物には、多くの押出や他の成形法にとって望ましくないゲルを測定可能な量で含んでいる可能性がある。これらの組成物は、いくつかの圧延作業に有用となり得るが、平滑な表面、低臭気、耐破壊性(耐破壊性)、および高速な生産ラインスピードが望まれる押出、成形、圧延作業には、組成物の改善が必要である。
【0004】
押出、成形、および圧延には、平滑な表面を有する組成物が望ましい。異形押出には、保形性すなわち耐破壊性が、特に重要である。押出、成形、および圧延を含めて、すべての作業には、低臭気の組成物が望ましく、押出およびブロー成形作業には、高速なラインスピードで押出されることができる組成物が特に望ましい。平滑な表面は、美観的に見て美しく、かつ良好な封止性を得るために必要とされることもあり、保形性は、ダイを出てからの押出形材の破壊を防ぐために必要とされ、また製造工程で化学残留物に労働者が暴露されるのを最小限に抑えるためには、低臭気が望ましい。高速なラインスピードは、生産者にとって生産性の改善になる。
【0005】
【特許文献1】国際公開第98/32795号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/24803号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,272,236号明細書
【特許文献4】米国特許第5,278,272号明細書
【特許文献5】米国特許第4,177,160号明細書
【非特許文献1】エル・イー・ニールソン(L.E.Nielson)著「ポリマーおよびコンポジットの機械的性質」(Mechanical Properties of Polymers and Composites)1巻、マーセルデッカー(Marcel Dekker, Inc.)出版、pp.139−150(1974)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
驚くべきことに、低レベルの過酸化物と、過酸化物のレベルに比較して高レベルの補助剤とで、TPE組成物のレオロジーを改質することにより、極めて高速なラインスピードで押出すことができる組成物が製造され、表面と臭気について優れた特徴を有する物品が提供されることが、発見された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願特許出願人は、少なくとも1つの過酸化物と少なくとも1つのフリーラジカル補助剤とを特定の比で添加することによるレオロジー改質は、少なくとも1つのエラストマー性EAOポリマーまたはEAOポリマーブレンドと、PPなどのポリオレフィンとのブレンドの押出適性、ならびに表面特性に重要な影響を与えることを見出した。過酸化物、または過酸化物と補助剤とを1:2〜2:1の比で添加することによってレオロジーが改質された対応する組成物に比較して、本発明のレオロジーが改質された組成物を押出し、成形し、圧延して作製された物品は、かなり高い生産速度でさえ、表面特性が改善されている。したがって、本発明の1つの態様は、EAOポリマーまたはEAOポリマーブレンドと、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択される高融点のポリマーとを含む、レオロジーが改質された、ゲルを含まないTPE組成物であって、TPE組成物を基準にして0.005〜0.075wt%の濃度の少なくとも1つの過酸化物と、過酸化物対補助剤の比が少なくとも1:4である少なくとも1つのフリーラジカル補助剤とによって組成物のレオロジーが改質され、レオロジーが改質された組成物は、190℃でのタンデルタ(tan delta)が1.05〜1.40であり、STIが両端の数字を含めて15〜30である。本発明のレオロジーが改質されたポリマーから調製された化合物を、高速なラインスピードで押出することができ、同じポリマーで調製されたが過酸化物単独または1:2〜2:1の比の過酸化物と補助剤とでレオロジーが改質された形材よりも、かなり平滑な表面の形材が作製される。
【0008】
本発明の第2の態様は、レオロジーが改質された、ゲルを含まないTPE組成物を調製する方法であって、方法が、a)過酸化物:補助剤が少なくとも1:4の比で、少なくとも1つの過酸化物と少なくとも1つのフリーラジカル補助剤を、溶融ポリマーブレンドに添加する工程であり、前記溶融ポリマーブレンドがエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーと、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択される高融点のポリマーとを含む工程、ならびにb)溶融ポリマーブレンド全体に過酸化物と補助剤とを分散し、かつポリマーのレオロジー改質をもたらすのに十分な剪断の条件に、そのポリマーブレンドをかけながら、そのポリマーブレンドを溶融状態に維持する工程を含み、TPE組成物についてSTI15〜30、タンデルタ1.05〜1.40、および測定可能な量のゲルを含まないことにより、十分なレオロジー改質が測定される。この方法は、好ましくはレオロジーが改質されたポリマーブレンドを固形物として回収し、次いで製品を作製するのに十分な溶融状態にその固形物を変換する中間工程を含むことなく、レオロジーが改質されたポリマーブレンドを、製品に加工する工程c)を任意に含む。しかしながら、必要に応じて、この方法は任意に中間工程を含む。
【0009】
第2の態様の1つの変形は、レオロジーが改質された、ゲルを含まないTPE組成物を調製する方法であって、方法が、a)過酸化物:補助剤が少なくとも1:4の比で、少なくとも1つの過酸化物と少なくとも1つのフリーラジカル補助剤を、成分をブレンドする前に、ポリマーブレンドの少なくとも1つの成分に添加する工程であり、前記成分ポリマーがエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーと、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択される高融点のポリマーとを含む工程、b)その成分ポリマーをブレンドする工程、ならびにc)溶融ポリマーブレンド全体に過酸化物と補助剤とを分散しポリマーのレオロジー改質をもたらすのに十分な剪断の条件に、そのポリマーブレンドをかけながら、そのポリマーブレンドを溶融ポリマーブレンドに変換する工程を含み、TPE組成物についてSTI15〜30、タンデルタ1.05〜1.40、および測定可能な量のゲルを含まないことにより、十分なレオロジー改質が測定される。この方法は、好ましくはレオロジーが改質されたポリマーブレンドを固形物として回収し、次いで製品を作製するのに十分な溶融状態に、その固形物を変換する中間工程を含むことなく、レオロジーが改質されたポリマーブレンドを、製品に加工する連続した工程c)を任意に含む。しかしながら、必要に応じて、この方法は任意に中間工程を含む。
【0010】
第2の態様の第2の変形は、レオロジーが改質された、ゲルを含まない熱可塑性エラストマー製品を調製する方法であって、方法が、a)過酸化物:補助剤が少なくとも1:4の比で、少なくとも1つの過酸化物および少なくとも1つのフリーラジカル補助剤を、溶融したエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーまたは溶融したエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーブレンドに添加して、レオロジーが改質されたエチレン/アルファ−オレフィンポリマーまたはレオロジーが改質されたエチレン/アルファ−オレフィンポリマーブレンドを得る工程、b)そのレオロジーが改質されたポリマーまたはポリマーブレンドに、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択される高融点のポリマーを添加して、複合ポリマーブレンドを形成する工程、ならびにc)複合ポリマーブレンドを製品に変換する工程を含み、押出、成形、または圧延されると、製品が平滑な表面を有する。
【0011】
本発明の第3の態様は、その少なくとも1つの成分が本発明のTPE組成物から作製された製品である。組成物により、容易に押出および/または圧延用の装置を使用して、製品を形成することができる。関連する態様では、製品を作製する前に、本発明のTPE組成物を、別のポリマー、好ましくはTPE組成物を作製するために使用するポリマーの1つとブレンドする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のレオロジーが改質された組成物は、エラストマー性EAOポリマーまたはEAOポリマーブレンドと、高融点のポリマーとを含む。組成物は望ましくは、EAOポリマーまたはEAOポリマーブレンドを約60〜約90wt%の量で、かつ高融点のポリマーを約40〜約10wt%の量で含有し、両パーセントは組成物重量を基準にしたものである。量は、総100wt%ポリマーを基準にして決定される。
【0013】
本発明の趣旨において、「レオロジーが改質された」は、STIが15〜30、190℃でのタンデルタが1.05〜1.40の組成物を意味する。
【0014】
本発明に適したEAOポリマー(「エチレンポリマー」ともいわれる)には、インターポリマー、およびジエン改質インターポリマーが含まれる。例示的なポリマーには、エチレン/プロピレン(EP)コポリマー、エチレン/ブチレン(EB)コポリマー、エチレン/オクテン(EO)コポリマー、およびエチレン/プロピレン/ジエン改質(EPDM)インターポリマーが含まれる。より具体的な例には、超低密度直鎖状ポリエチレン(ULDPE)(例えば、ダウケミカルカンパニー(The Dow Chemical Company)製造のアタン(Attane(商標)))、均質に分岐した直鎖状EAOコポリマー(例えば、三井石油化学株式会社(Mitsui PetroChemicals Company Limited)のタフマー(Tafmer(商標))やエクソンケミカルカンパニー(Exxon Chemical Company)のイグザクト(Exact(商標)))、および均質に分岐した実質的に直鎖状EAOポリマー(例えば、ダウケミカルカンパニー(The Dow Chemical Company)から市販されているアフィニティ(Affinity(商標)))ポリマーや本願特許出願人から市販されているエンゲージ(Engage(登録商標)ポリマー)が含まれる。より好ましいEAOポリマーは、密度(ASTM D−792に従って測定)が約0.85〜約0.92g/cm、特に約0.85〜約0.90g/cm、メルトインデックスすなわちI(ASTM D−1238(190℃/2.16kg重量)に従って測定)が約0.01〜約30、好ましくは0.05〜10g/10分である均質に分岐した直鎖状および実質的に直鎖状エチレンコポリマーである。
【0015】
実質的に直鎖状エチレンコポリマーまたはインターポリマー(「SLEP」ともいわれる)が、特に好ましい。さらに、EVA(酢酸ビニルから誘導された単位を約0.5〜約50wt%含有)など様々な官能化エチレンコポリマーも適している。EVAポリマーを使用するとき、Iは約0.01〜約500、好ましくは0.05〜50g/10分が好ましい。
【0016】
「実質的に直鎖状」は、ポリマーの主鎖が、主鎖中の炭素1000個当たり0.01〜3個の長分岐鎖で置換されていることを意味する。
【0017】
「長分岐鎖」すなわち「LCB」は、EAOポリマーまたはEAOポリマーブレンドのアルファ−オレフィン成分の鎖長を超える鎖長を意味する。炭素13核磁気共鳴(C−13 NMR)分光分析により、鎖長が6個の炭素原子より長い場合、鎖の炭素原子の実数を識別または決定することはできないが、EAOポリマーの分子量分布からLCBの存在を決定または少なくとも予想することができる。また、ASTM D−1238(190℃、10kg重量)によるメルトフロー比(MFR)、すなわちメルトインデックス(I10)対Iの比(I10/I)から決定することもできる。
【0018】
「インターポリマー」は、少なくとも2つのモノマーが重合しているポリマーを指す。それには、例えば、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマーが含まれる。特に、エチレンと少なくとも1つのコモノマー、通常3〜20個の炭素原子(C〜C20)のα−オレフィンとを重合させることによって調製したポリマーが含まれる。例示的なα−オレフィンには、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、およびスチレンが含まれる。α−オレフィンは望ましくは、C〜C10のα−オレフィンである。好ましいコポリマーには、EP、EB、エチレン/ヘキセン−1(EH)、およびEOポリマーが含まれる。例示的なターポリマーには、エチレン/プロピレン/オクテンターポリマー、ならびにエチレンと、C〜C20のα−オレフィンと、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ピペリレン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのジエンとのターポリマーが含まれる。
【0019】
本明細書に使用する「エラストマー性」は、密度が有益には約0.920g/cc未満、望ましくは約0.900g/cc未満、好ましくは約0.895g/cc未満、より好ましくは約0.880g/cc未満、さらにより好ましくは約0.875g/cc未満、なおさらより好ましくは約0.870g/cc未満であり、結晶化度パーセントが約33%未満、好ましくは約29%未満、より好ましくは約23%未満であるEAOポリマーまたはEAOポリマーブレンドを意味する。密度は、好ましくは約0.850g/ccより大きい。結晶化度パーセントは、示差走査熱量計(DSC)で決定される。
【0020】
SLEPは、狭い分子量分布(MWD)と狭い短分岐鎖分布(SCBD)を特徴とし、米国特許公報(特許文献3)と米国特許公報(特許文献4)に記載されるように調製してもよく、両公報の関連部分を参照により本明細書に援用する。SLEPは長分岐鎖(LCB)とカップリングして、その狭いMWDと狭いSCBDにより、優れた物理的諸特性を示す。
【0021】
米国特許公報(特許文献3)(5列67行から6列28行)は、少なくとも1つの反応器を使用して連続制御重合法によるSLEP製造を記載しているが、複数の反応器を、所望の特性を有するSLEPを作製するのに十分な重合温度および圧力にすることができる。重合は、好ましくは幾何拘束触媒技術を使用する20℃〜250℃の温度での溶液重合法により行われる。適当な幾何拘束触媒は、米国特許公報(特許文献3)の6列29行から13列50行に開示されている。
【0022】
好ましいSLEPには多数の明確な特徴がある。その1つは、エチレン含有量であって、20〜90wt%、より好ましくは30〜89wt%であり、残量には1つまたは複数のコモノマーが含まれる。エチレンおよびコモノマー含有量は、SLEP重量を基準にしており、総モノマー含有量100wt%を実現するために選択される。6個までの炭素原子の鎖長については、C−13 NMR分光分析を用いてSLEPコモノマー含有量を測定することができる。
【0023】
SLEPの別の明確な特徴には、IおよびMFRすなわちI10/Iが含まれる。インターポリマーは、望ましくはIが0.01〜30g/10分、より好ましくは0.05〜10g/10分である。また、SLEPは、I10/I(ASTM D−1238)が≧5.63、好ましくは6.5〜15、より好ましくは7〜10である。SLEPについては、I10/Iの比が大きいほどポリマー中のLCBの度合いが高いと見なされるように、I10/Iの比がLCBの度合いの指標として働く。
【0024】
上記の基準に合うSLEPには、例えば、本願特許出願人のエンゲージ(Engage(登録商標))ポリオレフィンエラストマーやダウケミカルカンパニーおよび本願特許出願人による幾何拘束触媒反応で作製された他のポリマーが含まれる。
【0025】
本発明のTPEの高融点のポリマー成分は、プロピレンのホモポリマー、プロピレンのエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンとのコポリマー、またはホモポリマーとコポリマーとのブレンドである。このホモポリマー、コポリマー、またはホモポリマーとコポリマーとのブレンドのそれぞれを、有核化してもよい。α−オレフィンはエチレンであることが好ましい。コポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはランダムコポリマーとブロックコポリマーとのブレンドであってもよい。従って、この成分は、好ましくはポリプロピレン(PP)ホモポリマーとプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択される。この成分は、MFRが0.3〜60g/10分、好ましくは0.8〜40g/10分、より好ましくは1〜35g/10分である。高融点を、融点130〜165℃のポリマーと定義する。それは、MFRには関係していない。
【0026】
本明細書では、「有核」はミリケン(Milliken)から市販されているジベンジルソルビトールのミラド(Millad(商標))などの造核剤を添加して改質されたポリマーを指す。他の通常の造核剤を使用してもよい。
【0027】
セッチン(Cecchin)の米国特許公報(特許文献5)に記載されているように、ポリプロピレン(PP)の調製法も、ジエチル一塩化アルミニウムと組み合わせた三塩化チタンなどのチーグラー触媒を使用するものである。PPを製造するために使用する重合法には、約50〜90℃、0.5〜1.5MPa(5〜15気圧)で行われるスラリー法と、非晶質ポリマーの除去に特別な注意を払わなければならない気相法および液状モノマー法が含まれる。エチレンを反応に加えて、エチレンブロックを有するポリプロピレンを形成してもよい。その関連する方法とともに、様々なメタロセン触媒、シングルサイト触媒、および幾何拘束触媒のいずれかを使用して、PP樹脂を調製してもよい。
【0028】
過酸化物は有機過酸化物が好ましい。適当な有機過酸化物は、120℃での半減期が少なくとも1時間である。例示的な過酸化物には、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼンを含み、バルカップ(VULCUP(商標))という商品名で、ヘラクレス(Hercules, Inc.)によって市販されている一連の加硫・重合剤、過酸化ジクミルを含み、ダイカップ(Di−cup(商標))という商品名で、ヘラクレス(Hercules, Inc.)によって市販されている一連のかかる反応物質、ならびに北米エルフ・アトケム(Elf Atochem)によって製造されたルペロックス(Luperox(商標))過酸化物やアクゾノーベル(Akzo Nobel)によって製造されたトリゴノックス(Trigonox(商標))有機過酸化物が含まれる。ルーパーゾル(Lupersol(商標))過酸化物には、ルーパーゾル(Lupersol(商標))101(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン)、ルーパーゾル(Lupersol(商標))130(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3)、およびルーパーゾル(Lupersol(商標))575(2,5−t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキソネート)が含まれる。他の適当な過酸化物には、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジ−(t−アミル)、2,5−ジ(t−アミルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジフェニルヘキサン、過酸化ビス(アルファ−メチルベンジル)、過酸化ベンゾイル、過安息香酸t−ブチル、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナン、およびビス(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼンが含まれる。
【0029】
過酸化物は約0.075wt%以下、より望ましくは約0.050wt%以下の量で存在することが適当である。過酸化物は約0.005〜約0.075wt%の範囲で存在することが好ましい。この範囲は、より好ましくは約0.01〜約0.05wt%、最も好ましくは約0.015〜約0.025wt%である。過酸化物重量のすべては、エラストマー性EAOポリマーまたはポリマーブレンドと高融点のポリマーに基づく。低濃度の過酸化物を使用すると、しばしば不快臭に関連する過酸化物分解生成物の濃度が低下し、最終TPE組成物の臭気問題を低減するようになる。
【0030】
フリーラジカル補助剤は、フリーラジカルに対して強く応答する2つ以上の官能基を有するモノマーまたは低分子量ポリマーである。通常、これらの官能基は、メタクリレート、アリル、またはビニルである。フリーラジカル補助剤は、2つの機構により、過酸化物のレオロジー改質を高める。第1に、過酸化物によって誘導されたアリル水素を、その補助剤から抽出することによって、より低エネルギー状態でより長い寿命のフリーラジカルが生成される。次いで、このフリーラジカルは、水素抽出により、エチレンエラストマー中の分岐を誘導することができる。フリーラジカルがより低エネルギー状態であるので、ポリプロピレンまたはエチレンエラストマー相のβ−分断および不均化は起こりそうにない。第2に、多官能性機能補助剤は、ポリマー鎖間の架橋基として働くことができる。
【0031】
本願に適したフリーラジカル補助剤には、テレフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、1,2−ポリブタジエン、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、メタクリル酸アリル、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルエンビスマレイミド−p−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジンが含まれるであろう。好ましい補助剤は、シアヌル酸トリアリル、1,2−ポリブタジエン、ジビニルベンゼン、およびトリメチロールプロパントリメタクリレートである。
【0032】
補助剤は約0.025〜1.0wt%の範囲内の量で存在することが適当である。この範囲は約0.05〜約0.5wt%が好ましい。
【0033】
過酸化物対補助剤の比は1:4〜1:20が適当である。補助剤の最適比は、組成物に使用するエチレン/α−オレフィン:ポリプロピレンの比に依存する。重量パーセント単位によるEAO:PPの適当な範囲は、60:40〜90:10である。好ましい範囲は、65:35〜80:20重量パーセントである。
【0034】
過酸化物とフリーラジカル補助剤は、通常の手段のいずれによっても添加することができる。例示的な手順には、配合する前にポリマーペレットに吸収させること;ポリマーペレットを配合装置に入れるとき、押出機のスロートなどにおいてそのペレットに添加すること;ハーケ(Haake)、バンバリー(Banbury)ミキサー、ファレル(Farrel)連続ミキサー、バス(Buss)混練機などの配合装置中のポリマー溶融物に添加すること;または、100%活性材料(すなわち、無溶媒)で、もしくは任意にプロセス油などのオイルを溶媒とする分散液や溶液として、押出機の内容物が溶融している場所において押出機に注入することが含まれる。好ましい手順は、過酸化物と補助剤を、配合する前にポリマーペレットに吸収させることである。
【0035】
平滑な表面を有し、高速なラインスピード(例えば、ブラベンダー(Brabender)一軸スクリュー(直径3/4インチ)押出機で最高150rpm)で押出すことが可能で、優れた耐破壊性を有する押出形材を作製するために、本発明のTPE組成物は、STIが15〜30であり、190℃でのタンデルタが1.05〜1.40である必要がある。過酸化物レベルが高すぎるかまたは過酸化物対補助剤の比が低すぎる場合、押出形材はつぶつぶの表面であり、妥当なラインスピードで押出しすることができない。
【0036】
本明細書では、STIは、通常のSTI試験温度190℃における指定された低剪断速度(0.1ラジアン/秒)でのポリマー粘度を、指定された高剪断速度(100ラジアン/秒)でのポリマー粘度で割った比である。ポリマー粘度は、通常レオメトリックス(Rheometrics)のRMS−800やARESなどの動的機械分光計を使用して、窒素雰囲気中190℃かつ1秒当たり0.1〜100ラジアン(rad/秒)の範囲の剪断速度でのポアズ(ダイン−秒/平方センチメートル(d−秒/cm2))で示される。STIは、基本的に様々な剪断条件下でのポリマーの流動性の程度を示す。本発明のTPE組成物のSTIは15〜30が好ましい。
【0037】
タンデルタは、本発明のポリマー組成物の加工性を調査するのに特に有用な関係である。タンデルタは、減衰ピーク(dampening peak)、または損失弾性率対貯蔵弾性率の比として定義される損失正接としても知られている。減衰は、固形状態および溶融状態の材料中で起こる分子運動の極めて感度の良い指標である。減衰ピークは、ガラス転移での鎖の小セグメントについての自由度増加に関係付けられる。また、タンデルタは、分子からみ合い効果を無視することができ摩擦力が唯一流れを妨げるものとなる粘性流れ領域に材料が入るときにも、ピークを示す。タンデルタ値は、溶融強度とそのままの状態での流動性とのバランスを図るために極めて良好な指標であり、定義では粘性成分対弾性成分の比である。タンデルタが上昇または高くなるにつれて材料はより流動性になり、タンデルタが低くなるにつれて材料はより弾性になる。ある剪断速度における温度の関数としてのタンデルタ値は、粘性流れ領域を経由しており、かかる値は、加工の際の温度および剪断速度に対するポリマーブレンドの感度を示すことができる。参照により本明細書に援用される(非特許文献1)で定義および記載されたタンデルタは、当業者に公知である。好ましくは、本発明のTPE組成物の190℃でのタンデルタは、1.05〜1.40である。
【0038】
本発明については、ダイギャップが0.487mmの直径41.25mmの円錐状ダイ2個を含む、ローターのない両円錐型ダイデザインを備えたアルファ(Alpha)のラバー・プロセッシング・アナライザー(Rubber Processing Analyzer)RPA−2000を使用して、タンデルタを決定した。50℃に始まり190℃で終わる温度範囲にわたって、歪度15%、周波数1.6Hzで、試料を試験した。190℃でのタンデルタが記録される。従って、本明細書に出てくるタンデルタ値のすべては、190℃でのタンデルタを指す。
【0039】
耐破壊性は、形材物品が押出ダイを出てからその形状を維持する能力の視覚確認である。例えば、チューブはダイを出ると、元のその形状を維持しなければならず、破壊すなわち「垂れ下がる」ことをしてはいけない。
【0040】
本発明のレオロジーが改質された組成物などのポリマー組成物中に不溶なゲルが存在しているかどうかを決定するために、ASTM D 2765−90、方法Bに記載するように、組成物を還流キシレンなどの適当な溶媒に12時間浸漬する。次いで、組成物の知識に基づいて適当な修正をしながら、組成物の不溶なあらゆる部分を単離し、乾燥し、計量する。例えば、溶媒に可溶な非ポリマー成分の重量を、初期重量から差し引き、溶媒に不溶な非ポリマー成分の重量を、初期重量と最終重量とから差し引く。回収された不溶なポリマーは、パーセントゲル含有量で記録される。本発明において、「ゲルを含まない」、「不溶なポリマーゲルの形成を妨げる」、および「測定可能な量のゲルを含まない」はすべて、ASTM D 2765−90、方法Bにおいて溶媒としてキシレンを使用したとき検出限界未満のゲル含有量であることを意味する。
【0041】
ポリマーに通常添加される1つまたは複数の材料のいずれかを、本発明の組成物と配合してもよい。この材料には、例えば、レオロジーが改質されていないEAO、プロセス油、可塑剤、分散剤、ならびに安定剤、充填剤(補強剤および非補強剤)、発泡剤、および顔料を含めて特殊添加剤が含まれる。本発明の組成物を、かかる組成物のレオロジーが改質される前または後に、これらの材料と配合してもよい。当業者は、添加剤と添加剤の量との適当な組合せのいずれか、ならびに必要以上の実験をせずに配合のタイミングを容易に選択することができる。
【0042】
プロセス油は、組成物の粘度、硬度、弾性率、および価格のいずれか1つまたは複数を低下させるために、しばしば使用される。最も一般的なプロセス油には、パラフィン系油、ナフテン系油、または芳香油に分類されているかにより、特定のASTM(米国材料試験協会)指定が与えられている。一般にエラストマーの加工、特に本発明のレオロジーが改質されたTPE組成物の当業者なら、どのタイプの油が最も有益であるかわかるであろう。プロセス油は、使用されるとき、組成物総重量を基準にして、0を超えて、好ましくは約0.5wt%〜約50wt%の範囲内の量で存在することが望ましい。
【0043】
カーボンブラック、ガラス、シリカ、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、硫酸カルシウムなどの金属硫酸塩、タルク、クレー、黒鉛繊維などの充填剤および補強剤が、通常TPE組成物に使用される。充填剤は、使用されるとき、組成物総重量を基準にして、0超〜70wt%、好ましくは約0.5wt%〜約40wt%の範囲内の量で存在することが望ましい。
【0044】
様々な特殊添加剤を、有利に本発明の組成物に使用してもよい。添加剤には、酸化防止剤、界面活性剤、粘着防止剤、潤滑剤、有機金属類、イソチアゾロン類、有機硫黄類、メルカプタン類などの抗微生物剤;フェノール類、第二級アミン類、ホスフィット類、チオエステル類などの酸化防止剤;第四級アンモニウム化合物、アミン類、エトキシ化化合物、プロポキシル化化合物、グリセロール化合物などの帯電防止剤;加水分解安定剤;脂肪酸類、脂肪アルコール類、エステル類、脂肪酸アミド類、金属ステアリン酸塩類、パラフィンワックス類、マイクロクリスタリンワックス類、シリコーン類、オルトリン酸エステル類などの潤滑剤;微粒子または粉末固体、石鹸類、ワックス類、シリコーン類、ポリグリコール類、トリステアリン酸トリメチロールプロパンやテトラステアリン酸ペンタエリトリトールなどの複合エステル類などの離型剤;顔料、染料、着色剤;o−フタレート、アペート、ベンゾエートなど二塩基酸(またはその酸無水物)と一価アルコールとのエステル類などの可塑剤;有機スズメルカプチド類、チオグリコール酸オクチルエステル、カルボン酸バリウムまたはカドミウムなどの熱安定剤;ヒンダードアミン、o−ヒドロキシ−フェニルベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−アルコキシベンゾフェノン、サリチレート、シアノアクリレート、ニッケルキレート、ベンジリデンマロネート、オキサルアニリドなどの紫外線安定剤が含まれる。好ましいヒンダードフェノール酸化防止剤は、チバ・ガイギー・コープ(Ciba−Geigy Corp)から市販のイルガノックス(Irganox(商標))1076酸化防止剤である。上記の添加剤のそれぞれは、使用されるとき、一般に組成物総重量を基準にして45wt%を超えることはなく、有利には約0.001〜約20wt%、好ましくは約0.01〜約15wt%、より好ましくは約0.1〜約10wt%である。
【0045】
本発明のレオロジーが改質されたTPE組成物を、TPEを加工するための多数の通常の手順のうちいずれか1つを用いて、チューブ、パーツ、シート、または他の形態に作製してもよい。組成物を形成、紡糸、または延伸して、フィルム、繊維、多層ラミネート、または押出シートもしくは形材にすることもでき、あるいは、かかる目的に適したいずれかの機械で1つまたは複数の有機または無機物質と配合することができる。組成物は、押出、圧延、成形、ブロー成形作業などの高温TPEプロセスに対して特に有利である。
【0046】
本発明のTPE組成物は、過酸化物のみまたは1:2〜2:1の比の過酸化物と補助剤とでレオロジーが改質されたEAOコポリマーとPPなどの高融点のポリマーとのブレンドに比較して、驚くほど特性を改善した。特定の比の過酸化物とフリーラジカル補助剤によるレオロジー改質は、押出パーツまたは圧延パーツについてより高速なラインスピードでのより平滑な表面、および改善された保形性を含めて、望ましい改善された物理的諸特性の組合せを提供する。
【0047】
本発明では、1:2〜2:1の比には、整数のみで示された1:2、1:1、2:1の比が含まれる。
【0048】
本発明の組成物を、上に特定したものなど通常のポリマー作製プロセスを用いて、様々な形状の物品に形成することができる。適当な形状の物品の包括的ではない一部のリストとしては、計器盤スキン、バンパーフェーシア、ボディサイドモールディング、外装トリム、内装トリム、ウェザーストリップ、エアダム、エアダクト、ホイールカバーなどの自動車車体部品、ポリマーフィルム、ポリマーシート、チューブ、ごみ缶、貯蔵容器、芝生用ストリップすなわちウェッピング、芝刈機、ガーデンホース、他のガーデン器具部品などの自動車以外の応用例、レクリエーショナルビークル部品、ゴルフカート部品、ユーティリティカート部品、および船舶部品が含まれる。また、この組成物は屋根膜などの屋根用途にも使用することができる。さらに、組成物は、ブーツ、特に産業労働用ブーツのシャフトなどの履物の成分の作製に使用することができる。当業者は、必要以上の実験をせずにこのリストを容易に増やすことができる。
【0049】
以下の実施例は本発明を説明するものであって、明示的にも暗示的にも限定するものではない。別段の記載のない限り、部およびパーセントのすべては、総重量に対する重量である。数値範囲には、別段の記載のない限り、両端の数字が含まれる。本発明の実施例はアラビア数字で識別され、比較例はアルファベットの文字で表される。
【実施例】
【0050】
(実施例および比較例)
本発明を表す7個(実施例1〜7)および比較である5個(比較例A〜E)からなる組成物12個を、同じEAOポリマーから以下の手順で調製した。過酸化物と補助剤を一緒にタンブルブレンドし、続いて、過酸化物/補助剤の混合物をEAOとPPペレットを30分間タンブルブレンドして、過酸化物/補助剤の混合物をペレットに吸収させ、次いで、K−トロン(K−tron)ロスインウェイト式一軸スクリュー供給装置を使用して、ウェルナー・プフライデラー(Werner Pfliederer)ZSK−30同方向回転二軸スクリュー押出機で、吸収したペレットを加工することによって、12個の組成物のすべてを作製した。押出物を水浴中で冷却し、コネア(Conair)ペレット製造機を使用して、ペレット化した。表1に、押出条件を示す。プロセス油(可塑剤)を第2の押出区分に注入した同じ押出機に、表1と同じスクリュー条件および温度プロフィールを使用して、再度ペレットを通した。TPE組成物の総重量を基準にして、加工助剤0.35wt%(アムファイン(Amfine)AX−71、アムファインケミカル・コーポレーション(Amfine Chemical Corporation))および酸化防止剤0.3wt%(イルガノックス(Irganox)B 225)を一緒に混合し、K−トロン(K−tron)二軸スクリューロスインウェイト式マイクロ供給装置を使用して、押出機に供給口で供給した。
【0051】
【表1】

【0052】
実施例1〜5と比較例AおよびBでは、次いで、押出しペレット化した混合物を、L/Dが15/1のブラベンダー(Brabender)一軸スクリュー(直径3/4インチ)押出機を使用して、チューブに押出した。この押出したチューブは、内径11.1mm、壁厚0.5mmであった。この押出したチューブをコンベヤー上で空冷した。5psigの空気をチューブ内側にかけて、内部からの冷却を促進した。スクリュー速度は、25rpm刻みで、50〜150rpmであった。区分温度は、供給170℃、中間180℃、第3区分(ダイ)190℃であり、ポリマーの溶融温度は193〜197℃であった。
【0053】
実施例6および7と比較例C〜Eでは、直径5mmのロッドダイを備えたL/Dが20/1の50mmデイビス・スタンダード(Davis Standard)一軸スクリュー押出機を使用して、配合したペレットをロッドに押出した。回転摩擦比を1:1に固定したスチュワード・ボウリング(Steward−Bolling)の4ロール逆L形の46cm幅圧延カレンダに、押出物を供給した。押出および圧延の条件を、表IIに示す。
【0054】
【表2】

【0055】
実施例および比較例で使用するEAOポリマーは、I0.5g/10分、公称密度0.863g/ccのエチレン/1−オクテンコポリマー(本願特許出願人のエンゲージ(Engage(登録商標))8180ポリオレフィンエラストマー)であった。実施例で使用するポリプロピレン(PP)は、メルトフローが12のポリプロピレンホモポリマー(ダウケミカルカンパニー(The Dow Chemical Company)から市販のインスパイア(Inspire)PPH 700−12)であった。
【0056】
実施例および比較例Bで使用する過酸化物は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(エルフ・アトケム(Elf Atochem)のルーパーゾル(Lupersol)101)であった。
【0057】
実施例および比較例で使用するフリーラジカル補助剤は、シアヌル酸トリアリル(サイテック(Cytec Industries,Inc.)のTAC)であった。比較例Bでは、トリメチロールプロパントリメタクリレート(サートマー(Sartomer Company,Inc)の100%SR−350)を使用した。
【0058】
表面外観は、肉眼での視覚確認である。「つぶつぶのある」と分類された表面外観は、尾根と谷が目立ち、手触りがザラザラするので、肉眼で容易に認識できる。「平滑」と分類された表面外観は、肉眼では尾根と谷が検知されず、手触りが滑らかである。表に記載するスクリュー速度は、形材が平滑な表面外観を呈する最高速度(25rpm刻みで)である。初期または最も遅いスクリュー速度は50rpmであり、比較例Bでは、この速度では表面外観が不良である。
【0059】
比較例Aは、レオロジーが改質されていないEAOとPPとのブレンドであった。(特許文献2)の実施例1〜8の調製のために記載されている同じ方法、および表に記載する過酸化物:補助剤の比を使用して、比較例B〜Eを調製した。
【0060】
表IIIに、実施例1〜7および比較例A〜Eの組成物のデータをまとめている。表IIIに、EAOポリマー(EAO)、ポリプロピレン(PP)、プロセス油、過酸化物(POX)、フリーラジカル補助剤(FRC)成分のwt%、および過酸化物:補助剤の比を明記している。
【0061】
【表3】

【0062】
下記の表IVに、実施例および比較例の組成物の特性を決定して記載した。ASTM D 2765−90に記載するように、還流キシレンで12時間抽出することにより、組成物のゲル含有量を測定した。圧延した実施例のゲル含有量を目視検査で決定した。
【0063】
【表4】

【0064】
表IVに示すデータにより、いくつかの点を説明する。第1に、実施例1〜5は、高速な押出スピードで押出すことができ、比較例AおよびBに比較して、平滑な表面および良好な耐破壊性をもつ形材を与えることができる。タンデルタまたはSTIが高すぎるまたは低すぎる場合、押出形材は、表面外観が不良であるか、耐破壊性が不十分である。実施例6および7により、本発明の組成物は、圧延したとき目に見えるゲルのない平滑なシートも与えることがわかる。比較例CおよびDは、圧延したときざらざらしたシートを与えた。比較例Eは平滑な圧延シートを与えることができたが、そのSTIおよびタンデルタは特許請求された範囲外にあり、この組成物は押出したとき同様には作動しないことを示している。上に開示する他のEAOポリマー、プロピレンポリマー、レオロジー改質剤または改質プロセスのすべてについても、同様な結果が予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レオロジーが改質された、ゲルを含まない熱可塑性エラストマー組成物であって、少なくとも1つのエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーまたはエチレン/アルファ−オレフィンポリマーブレンドと、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの高融点のポリマーとを含み、0.075wt%以下の過酸化物とフリーラジカル補助剤を含む組合せによってレオロジーの改質が誘導され、過酸化物:補助剤の比が1:4〜1:20であり、前記レオロジーが改質された、ゲルを含まない熱可塑性エラストマー組成物は、STI15〜30、190℃でのタンデルタ1.05〜1.40であり、かつASTM D 2765−90、方法Bにおいて溶媒としてキシレンを使用したとき検出限界未満のゲル含有量であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記過酸化物濃度が0.050wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記過酸化物が有機過酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記有機過酸化物が、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、過酸化ジクミル、過酸化ジ−(t−アミル)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5(t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキソネート)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、過酸化ジ−t−ブチル、2,5−ジ(t−アミルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジフェニルヘキサン、過酸化ビス(アルファ−メチルベンジル)、過安息香酸t−ブチル、過酸化ベンゾイル、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナン、およびビス(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記フリーラジカル補助剤が、テレフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、1,2−ポリブタジエン、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、メタクリル酸アリル、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルエンビスマレイミド−p−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、およびジフェニルグアニジンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記フリーラジカル補助剤が、シアヌル酸トリアリル、1,2−ポリブタジエン、ジビニルベンゼン、およびトリメチロールプロパントリメタクリレートからなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーが、内部で少なくとも1つのα−オレフィンコモノマーを重合しており、前記α−オレフィンが、3〜20個の炭素原子を含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記α−オレフィンが、3〜10個の炭素原子を含有することを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーが、ジエンで改質されたポリマーであって、前記ジエンが、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ピペリレン、または5−エチリデン−2−ノルボルネン、およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記高融点のポリマーが有核ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組成物総重量を基準にして0超〜約50重量パーセントの範囲内の量でプロセス油をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
組成物総重量を基準にして約0〜約70重量パーセントの範囲内の量で充填剤をさらに含むことを特徴とする請求項1または11に記載の組成物。
【請求項13】
レオロジーが改質された、ゲルを含まないTPE組成物を調製する方法であって、前記方法が、a)過酸化物:補助剤が1:4〜1:20の比で、かつ過酸化物最高濃度が0.075wt%で、少なくとも1つの過酸化物と少なくとも1つのフリーラジカル補助剤を、溶融ポリマーブレンドに添加する工程であり、前記溶融ポリマーブレンドがエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーと、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択される高融点のポリマーとを含む工程、ならびにb)前記溶融ポリマーブレンド全体に前記過酸化物と補助剤とを分散し、前記ポリマーのレオロジー改質をもたらし、かつ不溶なポリマーゲルの形成を妨げる(ASTM D 2765−90、方法Bにおいて溶媒としてキシレンを使用して決定される)のに十分な剪断の条件に、前記ポリマーブレンドをかけながら、前記ポリマーブレンドを溶融状態に維持する工程を含み、STI15〜30、タンデルタ1.05〜1.40により十分なレオロジー改質が測定されることを特徴とする方法。
【請求項14】
レオロジーが改質された、ゲルを含まないTPE組成物を調製する方法であって、前記方法が、a)過酸化物:補助剤が1:4〜1:20の比で、かつ過酸化物最高濃度が0.075wt%で、少なくとも1つの過酸化物と少なくとも1つのフリーラジカル補助剤を、成分をブレンドする前に、ポリマーブレンドの少なくとも1つの成分に添加する工程であり、前記成分ポリマーがエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーと、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択される高融点のポリマーとを含む工程、b)前記成分ポリマーをブレンドする工程、ならびにc)前記溶融ポリマーブレンド全体に前記過酸化物と補助剤とを分散し、前記ポリマーのレオロジー改質をもたらし、かつ不溶なポリマーゲルの形成を妨げる(ASTM D 2765−90、方法Bにおいて溶媒としてキシレンを使用して決定される)のに十分な剪断の条件に、前記ポリマーブレンドをかけながら、前記ポリマーブレンドを溶融ポリマーに変換する工程を含み、STI15〜30、タンデルタ1.05〜1.40により十分なレオロジー改質が測定されることを特徴とする方法。
【請求項15】
連続した工程c)がb)に続き、工程c)が、レオロジーが改質されたポリマーブレンドを製品に変換することを含むことを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
工程c)に先立って、連続した中間工程b1)とb2)をさらに含み、工程b1)が、固形物として前記レオロジーが改質されたポリマーブレンドを回収することを含み、工程b2)が、製品を作製するのに十分な溶融状態に前記固形物を変換することを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
レオロジーが改質された、ゲルを含まない熱可塑性エラストマー製品を調製する方法であって、前記方法が、a)過酸化物:補助剤が1:4〜1:20の比で、かつ過酸化物最高濃度が0.075wt%で、少なくとも1つの過酸化物および少なくとも1つのフリーラジカル補助剤を、溶融したエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーまたはエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーブレンドに添加して、レオロジーが改質されたエチレン/アルファ−オレフィンポリマーまたはエチレン/アルファ−オレフィンポリマーブレンドを得る工程、b)前記レオロジーが改質されたポリマーまたはポリマーブレンドに、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択される高融点のポリマーを添加して、複合ポリマーブレンドを形成する工程、ならびにc)前記複合ポリマーブレンドを製品に変換する工程を含み、前記製品が平滑な表面外観を有し、ASTM D 2765−90、方法Bにおいて溶媒としてキシレンを使用したときゲル含有量が検出限界未満であることを特徴とする方法。
【請求項18】
その少なくとも1つの成分が請求項1に記載の組成物から作製されることを特徴とする製品。
【請求項19】
前記組成物が、プロセス油および充填剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記プロセス油が、組成物総重量を基準にして0超〜約50重量パーセントの範囲内の量で存在することを特徴とする請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記充填剤が、ガラス、シリカ、カーボンブラック、金属炭酸塩、金属硫酸塩、タルク、クレー、および黒鉛繊維からなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の物品。
【請求項22】
前記充填剤が、組成物総重量を基準にして0超〜約70重量パーセントの範囲内の量で存在することを特徴とする請求項19に記載の物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レオロジーが改質された、ゲルを含まない熱可塑性エラストマー組成物であって、少なくとも1つのエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーまたはエチレン/アルファ−オレフィンポリマーブレンド60〜80wt%と、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択され、融点が130〜165℃である少なくとも1つの高融点のポリマー40〜20wt%とを含み、0.075wt%以下の過酸化物とフリーラジカル補助剤を含む組合せによってレオロジーの改質が誘導され、過酸化物:補助剤の比が1:4〜1:20であり、前記レオロジーが改質された、ゲルを含まない熱可塑性エラストマー組成物は、STIが15〜30であり、190℃でのタンデルタが1.05〜1.40であり、かつASTM D 2765−90、方法Bにおいて溶媒としてキシレンを使用したとき検出限界未満のゲル含有量であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記過酸化物濃度が0.050wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記過酸化物が有機過酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記有機過酸化物が、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、過酸化ジクミル、過酸化ジ−(t−アミル)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5(t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキソネート)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、過酸化ジ−t−ブチル、2,5−ジ(t−アミルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジフェニルヘキサン、過酸化ビス(アルファ−メチルベンジル)、過安息香酸t−ブチル、過酸化ベンゾイル、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナン、およびビス(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記フリーラジカル補助剤が、テレフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、1,2−ポリブタジエン、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、メタクリル酸アリル、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルエンビスマレイミド−p−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、およびジフェニルグアニジンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記フリーラジカル補助剤が、シアヌル酸トリアリル、1,2−ポリブタジエン、ジビニルベンゼン、およびトリメチロールプロパントリメタクリレートからなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーが、内部で少なくとも1つのα−オレフィンコモノマーを重合しており、前記α−オレフィンが、3〜20個の炭素原子を含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記α−オレフィンが、3〜10個の炭素原子を含有することを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーが、ジエンで改質されたポリマーであって、前記ジエンが、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ピペリレン、または5−エチリデン−2−ノルボルネン、およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記高融点のポリマーが有核ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組成物総重量を基準にして0超〜約50重量パーセントの範囲内の量でプロセス油をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
組成物総重量を基準にして約0〜約70重量パーセントの範囲内の量で充填剤をさらに含むことを特徴とする請求項1または11に記載の組成物。
【請求項13】
レオロジーが改質された、ゲルを含まないTPE組成物を調製する方法であって、前記方法が、a)エラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマー60〜80wt%と、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択され、融点が130〜165℃である高融点のポリマー40〜20wt%とを含む溶融ポリマーブレンドに、過酸化物:補助剤が1:4〜1:20の比で、かつ過酸化物最高濃度が0.075wt%で、少なくとも1つの過酸化物と少なくとも1つのフリーラジカル補助剤とを添加する工程、ならびにb)前記溶融ポリマーブレンド全体に前記過酸化物と補助剤とを分散し、前記ポリマーのレオロジー改質をもたらし、かつ不溶なポリマーゲルの形成を妨げる(ASTM D 2765−90、方法Bにおいて溶媒としてキシレンを使用して決定される)のに十分な剪断の条件に、前記ポリマーブレンドをかけながら、前記ポリマーブレンドを溶融状態に維持する工程を含み、STI15〜30、およびタンデルタ1.05〜1.40により十分なレオロジー改質が測定されることを特徴とする方法。
【請求項14】
レオロジーが改質された、ゲルを含まないTPE組成物を調製する方法であって、前記方法が、a)過酸化物:補助剤が1:4〜1:20の比で、かつ過酸化物最高濃度が0.075wt%で、少なくとも1つの過酸化物と少なくとも1つのフリーラジカル補助剤を、成分をブレンドする前に、ポリマーブレンドの少なくとも1つの成分に添加する工程であり、前記成分ポリマーがエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマー60〜80wt%と、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択され、融点が130〜165℃である高融点のポリマー40〜20wt%とを含む工程、b)前記成分ポリマーをブレンドする工程、ならびにc)前記溶融ポリマーブレンド全体に前記過酸化物と補助剤とを分散し、前記ポリマーのレオロジー改質をもたらし、かつ不溶なポリマーゲルの形成を妨げる(ASTM D 2765−90、方法Bにおいて溶媒としてキシレンを使用して決定される)のに十分な剪断の条件に、前記ポリマーブレンドをかけながら、前記ポリマーブレンドを溶融ポリマーに変換する工程を含み、STI15〜30、およびタンデルタ1.05〜1.40により十分なレオロジー改質が測定されることを特徴とする方法。
【請求項15】
連続の工程c)がb)に続き、工程c)が、レオロジーが改質されたポリマーブレンドを製品に変換することを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
工程c)に先立って、連続の中間工程b1)とb2)をさらに含み、工程b1)が、固形物として前記レオロジーが改質されたポリマーブレンドを回収することを含み、工程b2)が、製品を作製するのに十分な溶融状態に前記固形物を変換することを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
レオロジーが改質された、ゲルを含まない熱可塑性エラストマー製品を調製する方法であって、前記方法が、a)過酸化物:補助剤が1:4〜1:20の比で、かつ過酸化物最高濃度が0.075wt%で、少なくとも1つの過酸化物および少なくとも1つのフリーラジカル補助剤を、溶融したエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーまたはエラストマー性エチレン/アルファ−オレフィンポリマーブレンド60〜80wt%に添加して、レオロジーが改質されたエチレン/アルファ−オレフィンポリマーまたはエチレン/アルファ−オレフィンポリマーブレンドを得る工程、b)前記レオロジーが改質されたポリマーまたはポリマーブレンドに、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーからなる群から選択され、融点が130〜165℃である高融点のポリマー40〜20wt%を添加して、複合ポリマーブレンドを形成する工程、ならびにc)前記複合ポリマーブレンドを製品に変換する工程を含み、前記製品が平滑な表面外観を有し、ASTM D 2765−90、方法Bにおいて溶媒としてキシレンを使用したときゲル含有量が検出限界未満であることを特徴とする方法。
【請求項18】
その少なくとも1つの成分が請求項1に記載の組成物から作製されることを特徴とする製品。
【請求項19】
前記組成物が、プロセス油および充填剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記プロセス油が、組成物総重量を基準にして0超〜約50重量パーセントの範囲の量で存在することを特徴とする請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記充填剤が、ガラス、シリカ、カーボンブラック、金属炭酸塩、金属硫酸塩、タルク、クレー、および黒鉛繊維からなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の物品。
【請求項22】
前記充填剤が、組成物総重量を基準にして0超〜約70重量パーセントの範囲の量で存在することを特徴とする請求項19に記載の物品。
【請求項23】
連続の工程d)が工程c)に続き、工程d)が、前記レオロジーが改質されたポリマーブレンドを製品に変換することを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項24】
工程d)に先立って、連続の中間工程c1)とc2)をさらに含み、工程c1)が、固形物として前記レオロジーが改質されたポリマーブレンドを回収することを含み、工程c2)が、製品を作製するのに十分な溶融状態に前記固形物を変換することを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。

【公表番号】特表2006−501358(P2006−501358A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−500375(P2005−500375)
【出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2003/031678
【国際公開番号】WO2004/031284
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(597035953)デュポン ダウ エラストマーズ エルエルシー (44)
【氏名又は名称原語表記】DuPont Dow Elastomers L.L.C
【Fターム(参考)】