説明

押出麺の製造方法

【課題】クラック現象が減少し、調理時の解きほぐし性が優秀で、向上した復元力を有するとともに、製造時間を画期的に減少し、製造原価を節減できる押出麺の製造方法の提供。
【解決手段】 麺材料を混合する段階と、前記混合された麺材料及び配合水11を、第1押出機13を通して捏ねて糊化する段階と、前記糊化した捏ね物を40℃以下に冷却させる段階と、前記冷却して糊化した捏ね物を、第2押出機14を通して麺線として押し出す段階と、前記押し出された麺線を切断する段階と、前記切断された麺線を所定量ずつ枠16に入れて成形する段階と、前記成形された麺を40〜70℃の温度、相対湿度20%以上で1〜20分間1次的に乾燥する段階と、前記1次的に乾燥された麺を60〜100℃の温度で30〜60分間2次的に乾燥する段階とを含んで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出麺の製造方法に関するもので、より詳細には、麺材料を混合する段階と、混合された麺材料及び配合水を、第1押出機を通して捏ねて糊化する段階と、糊化した捏ね物を40℃以下に冷却させる段階と、冷却して糊化した捏ね物を、第2押出機を通して麺線として押し出す段階と、押し出された麺線を切断する段階と、切断された麺線を成形する段階と、成形された麺を40〜70℃の温度、相対湿度20%以上で1〜20分間1次的に乾燥する段階と、1次的に乾燥された麺を、60〜100℃の温度で30〜60分間2次的に乾燥する段階と、を含む押出麺の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昔から広く愛用されてきた伝統麺類のうち、うどんは小麦粉を主原料とし、冷麺は小麦粉、澱粉及びそば粉を主原料とし、唐麺は澱粉を主原料として製造される食品である。
従来の押出機を用いた麺の製造方法においては、それぞれの麺に符合する処方の原料を配合し、55%以上の高い加水量で捏ねた後、捏ねた物を一つの押出機を通して糊化及び押し出す段階を経て押出麺が製造される。押出機を通して押し出された麺は、冷たい水または冷風の送風機で冷却して麺線掛けに掛けた後、冷蔵熟成、冷凍及び解凍工程を経て麺どうしを手揉みで分離し、これを日干しまたは機械的乾燥によって乾燥した後、所定の長さに切断することで完成品として包装・流通される。
【0003】
上記のように、冷麺、唐麺などの押出麺を製造する従来の方法は、原料配合から完成品の包装に至るまで、ほとんどの作業が人の労働力に依存する労働集約的な工程となっている。そのため、正常的に作業がなされる場合、原料配合及び配合水製造から始めて、最終的に流通形態の製品に製造されるまで40時間以上要されるので、生産性が非常に低いという短所を有する。
また、従来の方法は、別途の冷凍のための冷凍空間が要求されるとともに、乾燥器などの乾燥設備のための広い作業空間が必要であるという短所を有する。
また、既存の乾燥方式で乾燥された押出麺の場合、麺の中間にクラックが多く生じるので、包装前の切断工程や流通及び調理時に切断されて好ましくない。また、乾燥された麺の組織が緻密であるので、水に入れて調理するときに水分の浸透速度が遅く、調理時間も長くかかってしまう。また、製造工程で麺どうしの付着現象が生じるので、調理前に手で分離したり、茹でながら箸などで一々分離すべきであるという短所を有する。
上記のように、冷麺、唐麺などのインスタント押出麺類は、過去の伝統的な方法によって製造されるので、生産工程が煩雑であるとともに、非連続的な製造方式による生産損失が多く、品質管理も困難であるという短所を有する。
【0004】
A.D.2000年以前には、上記のような在来式乾燥冷麺が主流をなしていたが、最近は、熟麺形態の冷麺が多く流通されている。これら熟麺形態の冷麺は、酒精に浸漬した後、個々に包装された製品の形態で冷蔵・流通されるが、伝統的な冷麺の製造工程(冷蔵熟成、冷凍及び解凍工程を通した麺線分離)を経て製造されるもので、冷蔵流通を前提条件とすることで、常温流通の場合に比べて流通及び物流費が追加的に要される。
また、冷蔵条件で流通される酒精に浸漬した冷麺の場合、約35%の水分含量を有し、流通中における澱粉成分の老化のために押出麺特有のしこしこした食感が低下することを確認できる。さらに、酒精特有の臭いが調理後にも感じられる場合があり、消費者たちの不満要素となっている。
【0005】
連続的な冷麺の製造方法に対する先行技術として、特許文献1に開示された"品質の向上したインスタント押出麺の製造方法"の場合、二軸押出機を通して麺線を形成した後、麺線の付着を抑制するためにラーメンのようなウェーブを形成していた。
【0006】
【特許文献1】大韓民国特許出願番号第10―2000―0039891号
【特許文献2】大韓民国特許出願番号第10―2000―0039890号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、調理後にも麺のウェーブが維持されるので、冷麺固有の外観を再現するのに限界があった、という問題があった。
また、特許文献2に記載された発明は、押出麺固有の食感は、麺を直接押し出した場合に比べて相対的に不足し、ウェーブを解きほぐすために実施した冷水噴霧によって今後の乾燥適性が低下するという短所を有する、という問題があった。
特に、上記の方法で乾燥した場合、2〜3ケ月過ぎたときに激しいクラック現象が発生するので、製品の品質が著しく低下し、調理時に麺線が多く切れるという短所を有する、という問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、その目的は、均一な品質を有し、麺どうしの付着現象を防止し、向上した麺品質によってクラック現象を減少させ、調理時の解きほぐし性が優秀で、向上した復元力を有する押出麺を提供するとともに、冷蔵または冷凍工程をなくし、乾燥工程のための別途の設備や作業空間を要しないので、製造時間を画期的に減少し、製造原価を節減できる、乾燥時間が短縮した押出麺の製造方法を提供することにある。
また、麺の分離を助けるための先行発明におけるウェーブが形成された麺とは異なって、直線形態となることで、美観上に消費者の嗜好に一層符合できる押出麺の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明は、麺材料を混合する段階と、混合された麺材料及び配合水を、第1押出機を通して捏ねて糊化する段階と、糊化した捏ね物を40℃以下に冷却させる段階と、冷却して糊化した捏ね物を、第2押出機を通して麺線として押し出す段階と、押し出された麺線を切断する段階と、切断された麺線を成形する段階と、成形された麺を40〜70℃の温度、相対湿度20%以上で1〜20分間1次的に乾燥する段階と、1次的に乾燥された麺を、60〜100℃の温度で30〜60分間2次的に乾燥する段階と、を含む押出麺の製造方法を提供する。
【0010】
一般的に、押出麺を製造するときは、糊化及び成形機能を兼ねる一つの押出機を使用していたが、本発明では、糊化機能のための押出機(第1押出機)及び成形機能のための押出機(第2押出機)をそれぞれ別途に使用し、糊化した捏ね物が第2押出機に投入される前に40℃以下に冷却され、第2押出機に熱が加えられないことを特徴とする。
また、既存の押出麺の場合は、55%以上の加水量を有することで、一つの押出機を通過しながら完全に糊化する反面、本発明の押出麺の場合は、押し出される前に別途の第1押出機を用いて糊化度を70〜95%に維持し、押し出された麺どうしが互いに付着しないように調節する。
【0011】
この捏ね物を第2押出機に送り、シリンダーに冷却水を循環させると同時に、シリンダーを真空状態にしながら、麺線がダイを通して押し出される。
次いで、押し出された麺線を切断し、これを蝋型の形状に合わせて成形して熱風で乾燥させることで、本発明の押出麺を製造する。このときの乾燥方法は、温度及び湿度を維持させ、熱風を吹き込んで循環させる方法である。
一般的な熱風乾燥方式で製造した乾燥押出麺の最も大きな短所は、上述したように、熟麺に比べて調理時間が長く、流通中にクラック現象が発生しうる点にある。したがって、上記のような短所を解決できる方法を模索すべきである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法によると、乾燥工程を低温・加湿状態の1次工程と高温の2次工程とに分離して実施することで、従来の麺製造工程で必須的な冷凍または冷蔵の段階を省略し、乾燥に必要な乾燥器などの設備及び空間を画期的に減少させることで、製造時間、設備及び労働力などにかかる製造原価を節減できるという効果がある。
【0013】
次に、本発明の乾燥時間が短縮した押出麺の製造方法によると、表面の組織が緻密でなく粗いので、外部組織への水分浸透及び移動が容易であって乾燥時間が減少する効果がある。さらに、調理時にも解きほぐし性が優秀で、水分の吸収が速く、復元力が増加するので、麺の調理を簡便に行えるという効果がある。
また、本発明の乾燥時間が短縮した押出麺の製造方法によると、麺のクラック現象が減少して流通・調理時に麺が切れることなく、ウェーブでない直線形態を維持することで、調理時の簡便さ及び消費者がより好む外観の麺を提供できるという効果がある。
さらに、本発明の乾燥時間が短縮した押出麺の製造方法によると、糊化工程及び押出工程を分離して押出前に予め糊化を進行し、糊化した捏ね物を充分に冷却させて水分含量を少なくすることで、麺どうしの付着現象を防止し、食感及び外観の良い麺を提供できるという効果がある。
【0014】
すなわち、本発明によって製造された押出麺は、特許文献1及び2の発明と比べると、より伝統的な押出麺特有の外観及び食感を再現することができ、調理が簡便であり、乾燥形態であって常温での流通が可能になる。また、クラック現象が著しく減少することで、保存及び流通時に安定化及び利便性が与えられた麺を製造できるという効果がある。
また、最近、市場に多く流通されている酒精に浸漬した麺(冷麺、うどんなど)は、調理時に酒精の風味が完全に除去されない場合があり、乾燥されていない状態の麺として水分含量が高いので、長期間保存または冷蔵・流通するとき、澱粉の老化による麺の固まり現象及び食感低下現象が生じるが、本発明によって製造された冷麺は、乾燥状態の冷麺として冷蔵保管する必要がなく、既存の乾燥冷麺に比べて調理時間の短い冷麺を製造できるという効果がある。さらに、より正統冷麺に類似した食感を有し、流通中の澱粉老化による食感低下現象も少ないので、しこしこした食感の麺を製造できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図1に示す製造例に基づいて一層詳細に説明する。
[製造例]
麺材料の混合段階
小麦粉10〜90重量%と、ジャガイモ澱粉、サツマイモ澱粉、タピオカ澱粉、トウモロコシ澱粉などの澱粉、そば粉、黒米粉、ドングリ粉などから選択された一つまたは二つ以上の材料の10〜90重量%とが所定の配合割合で第1押出機13に投入されるように投入量を調節する。
【0016】
捏ね及び糊化段階
第1押出機13を用いて麺混合物を捏ねると同時に、熱を加えることで捏ね物を糊化する。
特に、本発明による押出麺の製造方法によると、配合水11の配合比は、麺混合物12の重量に対する10〜50%で、一般的な押出麺(冷麺など)の加水量が55%〜75%であるのに比べて比較的に少量である。ここで、麺混合物12に対する配合水11の加水量を50%以上にすると、押出時に麺どうしの付着現象が発生し、10%以下にすると、麺線の形成が不可能である。
【0017】
捏ね物を冷却させる段階
第1押出機13を通して糊化した捏ね物を40℃以下に冷却させる段階で、糊化した捏ね物は、冷却と同時に水分含量が約5%以上に減少し、以後の乾燥工程における乾燥が容易になる。また、第1押出機13を通過した捏ね物は、所定の時間間隔を維持しながら冷却と同時に第2押出機14に投入することが重要である。
【0018】
押出機による麺線形成段階
第2押出機14を通して麺線を作るときも、既存の押出麺製造方式のように約100℃の熱を加えて配合粉の澱粉を糊化するのでなく、熱を全く加えずに押出機のダイを通して麺線を作り出すことが重要である。熱を加えて糊化を進行しながら麺線を押し出すと、麺どうしの付着現象が発生し、以後の工程に良くない影響を及ぼすようになる。押出機のダイを通して麺線が作られると同時に、押出機の出口に冷風(麺線付着防止用エア15)を吹き込むと、麺線がやや乾燥して互いに付着しなくなる。
【0019】
切断及び成形段階
上記のように形成された麺線は、20〜60cmの長さに切断して所定の枠(蝋型16)に入れる。
【0020】
乾燥段階
乾燥は、大きく二つの段階に分けて行う。
すなわち、40〜70℃の低温、相対湿度20%以上で1〜20分間1次的に乾燥した後、60〜100℃で30〜60分間2次的に乾燥し、乾燥後の水分含量を9〜12%にする。
乾燥段階を、相対湿度を調節した状態での低温と高温の二つの段階に分ける理由は、乾燥が過度に速い場合、風に当たる表面が先に乾燥されて硬化されることで、却って内部の乾燥が遅れて形状が曲がり、内部応力にねじれが生じて乾燥中に折れてしまい、乾燥後に割れることから、斯かる現象を防止するために乾燥の速度を調節すべきであるためである。
【0021】
麺線の表面が乾燥されると、内部との水分差が生じて内部水分が表面に移動するが、この内部水分の表面への移動が表面の乾燥より遅れると、上記のような悪い状況が発生してしまう。そのため、表面からの蒸発を減少させることで、内部からの水分拡散効果を試みることが重要である。
したがって、まず、低い温度で湿度を加えた状態で乾燥すると、上述したように、内部水分が先に表面に移動するようになる。
また、一般の熱風乾燥のみで実施した乾燥押出麺に比べて、温度を異ならせて乾燥した本発明によると、表面組織が緻密でないので、調理時の水分吸収が速くなり、復元力も増加するという効果を有する。一方、低温のみで長時間乾燥する場合、多くの乾燥時間が要求され、産業化時に工場レイアウトで過度に長い空間を占めるので、経済性の欠如及び産業化の障害などの問題が生じる。
【0022】
以下、本発明の製造方法によって製造された押出麺及びその製造方法を、各条件を異ならせた比較例と比較して説明する。
[実施例]
小麦粉60重量%と、ジャガイモ澱粉及びそば粉40重量%とを第1押出機に投入した。このとき、加水量は、麺混合物の30重量%にした。配合水には、精製塩を1重量%の範囲で予め溶解しておいた。
第1押出機に配合粉と配合水を投入しながら、バレルの温度を調節して捏ね段階と糊化段階を同時に行った。完成した捏ね物は、30℃に冷却した後、所定量ずつ第2押出機に投入して押し出した。このとき、ダイホールは、0.7mmの直径を有するものを用いた。
押出機を通して作られた麺線を40cmの長さに切断して蝋型に投入した後、乾燥器に移送した。ここで、1次予備乾燥を50℃、相対湿度45%で9分間行った後、2次乾燥を70℃で1時間実施した。
【0023】
乾燥条件による実験結果を、次の[表1]に示した。
【表1】

[表1]から分かるように、1次乾燥を70℃以上の温度で行うと、多数のクラックが発生し、調理時に多数の麺線が切れる一方、40℃より低い温度で行うと、乾燥時間及び調理時間が長くなり、調理後にも硬い食感があって好ましくない。
また、2次乾燥を100℃より高い温度で行うと、クラックが発生し、調理時に麺線が切れる一方、60℃より低い温度で行うと、乾燥時間が2時間以上所要され、調理時間が4分以上に長くなる。
【0024】
[比較例1]既存の押出麺の製造工程(熟麺)
実施例と同一の配合粉と配合水の構成によって捏ねた。
このとき、配合水は、配合粉に対して60重量%に加水した。
完成した捏ね物を押出機に投入して押し出した。このとき、押出機のダイホールは、0.8mmの直径を有し、100℃の高温で押し出し、冷却ファンを通して押し出された麺線を冷却してやや乾燥した。コンベヤを通過した麺線を40cmに切断し、10℃の冷蔵庫に入れて12時間の間冷蔵・熟成した。冷蔵を終えた麺は、−15℃以下の冷凍庫で約24時間の間冷凍した。冷凍を終えると、常温で解氷しながら麺線を分離し、酒精に約5秒間浸漬して殺菌した後、包装して冷麺を完成した。
【0025】
[比較例2]既存の押出麺の製造工程(乾燥押出麺)
比較例1と同一の方式で解氷までの工程を経た後、乾燥器内で約6時間の間乾燥して乾燥冷麺を製造した。
【0026】
[比較例3]先行特許10―2000―0039891(特許文献1)
実施例と同一の配合で捏ねた後、押出速度より遅い移送コンベヤを通してウェーブを形成し、冷水を噴霧した後、実施例と同一の方法で乾燥して冷麺を製造した。
【0027】
[比較例4]先行特許10―2000―0039890(特許文献2)
実施例と同一の配合で捏ねた後、押し出された麺帯は、一般のラーメン工程における圧延、切り出し、ウェーブ形成及び蒸熟工程を経る。その後、冷水による水噴霧によってウェーブを解きほぐし、これを蝋型に入れて実施例と同一の方法で乾燥して冷麺を製造した。
【0028】
[比較例5]一般の乾燥法
実施例と同一の方法で製造するが、80℃で45分間乾燥して押出麺を製造した。
【0029】
[比較例6]高温乾燥法
実施例と同一の方法で製造するが、120℃で7分間乾燥して押出麺を製造した。
【0030】
[比較例7]
捏ね時に麺混合物に対する加水量を51重量%にして製造し、その他の工程は、実施例と同一にして押出麺を製造した。
【0031】
[比較例8]
第1押出機を通して糊化した捏ね物を、45℃の温度に維持した状態で第2押出機に投入し、それ以外の工程は、実施例と同一にして押出麺を製造した。
【0032】
[比較例9]
50℃、相対湿度15%で9分間1次的に乾燥し、それ以外の工程は、実施例と同一にして押出麺を製造した。
【0033】
[試験例1]
官能検査
上記の実施例と比較例1〜7から製造した押出麺の食感、全体的な嗜好度に対する官能検査をした。冷麺は、しこしこした食感が重要な要素であるので、しこしこした弾力性と全体的な選好度に分けて評価した。判定基準は、充分に訓練された専門官能試験要員15人が試食をし、それぞれ良好(5点)、やや良好(4点)、普通(3点)、やや不良(2点)、不良(1点)の5段階で評価し、その平均点によって判定した。試験結果は、下記の[表2]に示した。外観は、乾燥時の水分拡散によるクラック発生有無及びウェーブを判断の基準とした。解きほぐし性は、麺どうしの付着程度を判断する基準として、各冷麺の調理時間に合せて調理した後、良好〜不良の5段階で評価した。
また、長期間保管した後(3ケ月以上)、麺調理時の麺線切れ現象に対する試験結果も示した。押出麺は、インスタント化し、市場で3ケ月以上良い品質に維持することも重要である。調理時の麺線切れ現象の発生程度は、官能検査のような方法で評価した。
【0034】
【表2】

しこしこした弾力性においては、ほとんどがやや良好〜良好に示された。これは、押出を通して作った麺の乾燥による共通的な特徴といえる。比較例1の場合、熟麺の特性上、水分含量が乾燥押出麺に比べて高く、保存時の澱粉老化によってしこしこした食感が落ちることに示された。
外観においては、比較例3及び比較例4の場合、ウェーブ形状のためにラーメンのように見えて不良に示され、比較例6の場合は、120℃の高温で乾燥しながら麺の色相が明るくなるが、麺線の内部に形成された多数のクラックを発見できた。また、比較例9の場合も、クラックの発生程度は比較例6の場合に比べて少ないが、多数のクラックが発生し、長期間保存時に麺が折れる現象を示した。
【0035】
麺の官能評価において、麺どうしの付着によって団塊部分が残ると、品質判断に決定的な悪影響を及ぼすようになる。評価結果、[表2]に示すように、比較例7及び比較例8の場合、調理後にも麺どうしの付着部分が多くて不良に示され、比較例3及び比較例4の場合は、製造工程中にウェーブを解きほぐすために水噴霧をすると、乾燥前の麺表面の水によって麺どうしの付着現象がやや発生した。
品質的な側面において、本発明によって製造された押出麺は、既存の押出麺製造方式による製品と比較したとき、全体的な嗜好度が遥かに良好であることが分かる。
また、全体的な製造工程の時間と調理時間は、下記の[表3]に示す通りである。
【0036】
【表3】

[表3]に示すように、本発明による押出麺の製造方法は、既存の押出麺の製造方法である比較例1及び比較例2に比べると、製造時間を著しく短縮させることができ、大量生産及び製造工程も単純化できる。また、本発明の構成中、予め糊化した捏ね物から、押出機を通して麺線を作って乾燥する方式による実施例、比較例5及び比較例6の場合、製造時間が比較的短いことが分かる。
調理時間においては、麺の水分含量が相対的に高い比較例1の場合、1分で最も短かったし、従来の乾燥方式で作った麺は、2〜4分で相対的に長かった。乾燥押出麺の調理時間を比較すると、120℃の高温で乾燥する実施例及び比較例6の場合、上述したように、高温乾燥によって麺線表面の組織が相対的に緻密でなく、調理時の水分吸収が速くなって、約1分の調理時間減少効果がある。
また、比較例7及び比較例8の場合、調理時に麺線どうしが付着してよく解きほぐされないので、団塊部分が残り、これを解決するためには、調理時間が実施例の場合に比べて1分以上長くなるという短所があり、調理時間が長くなることで、麺の溶出量も急激に増加するという問題点を示した。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る製造方法を示した概略図である。
【符号の説明】
【0038】
11 水(配合水)
12 配合粉
13 第1押出機
14 第2押出機
15 麺線付着防止用エア
16 蝋型
17 乾燥
18 包装

【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺材料を混合する段階と、
前記混合された麺材料及び配合水を、第1押出機を通して捏ねて糊化する段階と、
前記糊化した捏ね物を40℃以下に冷却させる段階と、
前記冷却して糊化した捏ね物を、第2押出機を通して麺線として押し出す段階と、
前記押し出された麺線を切断する段階と、
前記切断された麺線を所定量ずつ枠に入れて成形する段階と、
前記成形された麺を40〜70℃の温度、相対湿度20%以上で1〜20分間1次的に乾燥する段階と、
前記1次的に乾燥された麺を60〜100℃の温度で30〜60分間2次的に乾燥する段階と、
を含む押出麺の製造方法。
【請求項2】
前記麺材料は、小麦粉10〜90重量%と、ジャガイモ澱粉、サツマイモ澱粉、タピオカ澱粉、トウモロコシ澱粉、そば粉、黒米粉及びドングリ粉からなる群から選択された一つ以上の10〜90重量%とを含むことを特徴とする請求項1に記載の押出麺の製造方法。
【請求項3】
前記配合水の添加量は、麺材料の重量に対して10〜50%であることを特徴とする請求項1に記載の押出麺の製造方法。
【請求項4】
前記糊化段階後の捏ね物の糊化度は、70〜95%であることを特徴とする請求項1に記載の押出麺の製造方法。
【請求項5】
前記第1及び第2押出機のダイホールは、0.4〜1.5mmの直径を有することを特徴とする請求項1に記載の押出麺の製造方法。
【請求項6】
前記第1押出機を通した捏ね物の糊化段階は、バレルから供給される熱と、原料とスクリューとのせん断現象によって供給される熱を受けてなされることを特徴とする請求項1に記載の押出麺の製造方法。
【請求項7】
前記押出麺は、うどん、冷麺、または唐麺であることを特徴とする請求項1乃至6に記載のいずれか1つの押出麺の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−54677(P2008−54677A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215397(P2007−215397)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(500394591)株式會社農心 (3)
【氏名又は名称原語表記】NONG SHIM CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】370,Shindaebang−Dong,Dongjak−Gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】