説明

押釦スイッチ

【課題】 回路基板の横方向からの押し強度を確保すると共に、小型化が可能な押釦スイッチを提供する。
【解決手段】 底面と直交する面に固定接点2が配設された収納部1aを有するハウジング1と、固定接点2から導出されてハウジング1の底面側に突出する外部端子3と、固定接点2と接離する可動接点4と、ハウジング7から突出して可動接点4を押圧操作可能に設けられた操作部材6と、操作部材6をハウジング7内に抜け止め保持すると共に、ハウジング7、1の前面及び側面を覆うように取り付けられたフレーム8とを備え、ハウジング7の前面を覆うフレーム8の前面板8aの底面側端部を、外部端子3と共に回路基板10へ表面実装可能に突出形成し、フレーム8の前面板8aとハウジング7の前面との対向面には、フレーム8の底面側端部とハウジング7の前面との間にフラックス上がりを防止する空隙部Sを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押釦スイッチに係り、特に回路基板への表面実装用として使用される横押し操作タイプの押釦スイッチの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表面実装用として使用される横押し操作タイプの押釦スイッチの構造としては、合成樹脂製のハウジングの前面を覆うように取り付けられた、金属製の取付フレームの下端側に設けられた平面状の取付面を、ハウジングの底面側に突出されて平面状の取付面を有する外部端子と一緒に、回路基板の同一の平面上に半田付けして固定する構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、従来の押釦スイッチの構造を図に基づいて説明する。
図8は従来の押釦スイッチの正面図、図9は従来の押釦スイッチの側面図である。
【0004】
図において、ハウジング31は、合成樹脂などの絶縁材で形成され、有底で側面が開口されて箱状に形成されている。また、ハウジング31には、導電性の金属材で形成された外部端子32aが、ハウジング31の外方へと突設されている。また、ハウジング31の外方へ突設された外部端子32aは、ハウジング31の底面部で側方に折り曲げられ、ハウジング31の底面と面一となるような取付面32cが形成されている。
【0005】
また、ハウジング31の対向する両側壁部には、取付フレーム36の係合孔部36dと係合する係合突部31bが形成されている。この係合突部31bには、第1の直線部31cと、第1の傾斜面31dとが形成されており、第1の直線部31cと第1の傾斜面31dを有する係合突部31bが、取付フレーム36の係合孔部36dと係合することにより、外部端子32aの取付面32cと取付フレーム36の取付面36cとを面一に一致させることができるものとなっている。
【0006】
操作部材35は、合成樹脂などの絶縁材で略矩形状に形成され、その上面側には、人の指などで操作される操作部35aが設けられている。また、操作部材35の周面部には鍔部が形成されており、操作部材35の移動復帰時に、この鍔部が取付フレーム36に当接することで、操作部材35がハウジング31から飛び出すのを規制している。
【0007】
取付フレーム36は、平板状の金属板で略U字状に形成されており、この取付フレーム36の中央には操作部材35の操作部35aが挿通される挿通孔36aが設けられている。また、取付フレーム36の対向する一対の側板36bの下端には、側方に水平に折り曲げられてハウジング31の底面と面一となるような取付面36cが形成されており、この取付面36cを設けることにより押釦スイッチの回路基板上への表面実装が可能となっている。
【0008】
また、取付フレーム36の対向する一対の側板36bには、ハウジング31の係合突部31bと係合する係合孔部36dが形成されている。この係合孔部36dには、側板36bの取付面36cに平行な第2の直線部36eと、第2の傾斜面36fとが形成されている。第2の直線部36e及び第2の傾斜面36fを有する係合孔部36dが、ハウジング31の第1の直線部31c及び第1の傾斜面31dを有する係合突部31bと係合することにより、外部端子32aの取付面32cと取付フレーム36の取付面36cとを面一に一致させることができるものとなっている。
【0009】
【特許文献1】特開2002−93272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の押釦スイッチの構造においては、横押し操作タイプのため、横方向からの押し強度を確保するのに取付フレームの取付面をスイッチ本体の横方向へ張出させて、この取付面を回路基板のパターン平面上に半田付けして固定しているので、スイッチ及び取付パターンを含めた実装領域が横方向に大きくなってしまい、小型化できないという問題があった。
【0011】
したがって、本発明では上述した問題点を解決し、回路基板の横方向からの押し強度を確保すると共に、小型化が可能な押釦スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明では第1の解決手段として、底面と直交する面に固定接点が配設された収納部を有するハウジングと、前記固定接点から導出されて前記ハウジングの底面側に突出する外部端子と、前記固定接点と接離する可動接点と、前記ハウジングから突出して前記可動接点を押圧操作可能に設けられた操作部材と、この操作部材を前記ハウジング内に抜け止め保持すると共に、前記ハウジングの前面及び側面を覆うように取り付けられたフレームとを備え、前記ハウジングの前面を覆う前記フレームの前面板の底面側端部を、前記外部端子と共に回路基板へ表面実装可能に突出形成し、前記フレームの前面板と前記ハウジングの前面との対向面には、前記フレームの底面側端部と前記ハウジングの前面との間にフラックス上がりを防止する空隙部を設けた構成とした。
【0013】
また、第2の解決手段として、前記フレームの前面板と前記ハウジングの前面との対向面に部分的に当接する当接部を設け、この当接部の有する厚みで前記空隙部を形成した構成とした。
また、第3の解決手段として、前記当接部を、前記フレームの前面板あるいは前記ハウジングの前面の少なくともどちらか一方に一体に形成した構成とした。
また、第4の解決手段として、前記ハウジングを、前記固定接点及び前記可動接点が配設された第1のハウジングと、この第1のハウジングとの間に防塵シートを挟んで係合される第2のハウジングで形成し、前記第1のハウジングと前記フレームの前面板との間に前記第2のハウジングが挟持されると共に、前記第2のハウジングの前面に前記当接部を形成した構成とした。
【0014】
また、第5の解決手段として、前記第1のハウジングの前面両端に、一対の支持腕部を形成し、この支持腕部の先端を前記フレームの前面板の両端に形成した一対の支持孔に係合させた構成とした。
また、第6の解決手段として、前記フレームの側面板に、内側へ屈曲可能な折曲片を設け、この折曲片を前記第1のハウジングの背面側で折り曲げることにより、前記当接部を介して前記第1のハウジングと前記第2のハウジング、及び前記フレームとを一体化した構成とした。
【発明の効果】
【0015】
上述したように、本発明の押釦スイッチは、底面と直交する面に固定接点が配設された収納部を有するハウジングと、固定接点から導出されてハウジングの底面側に突出する外部端子と、固定接点と接離する可動接点と、ハウジングから突出して可動接点を押圧操作可能に設けられた操作部材と、操作部材をハウジング内に抜け止め保持すると共に、ハウジングの前面及び側面を覆うように取り付けられたフレームとを備え、ハウジングの前面を覆うフレームの前面板の底面側端部を、外部端子と共に回路基板へ表面実装可能に突出形成し、フレームの前面板とハウジングの前面との対向面には、フレームの底面側端部とハウジングの前面との間にフラックス上がりを防止する空隙部を設けたことから、横方向からの押し強度を確保するのに、フレームの前面板の底面側端部を直接半田付けすることにより横押し強度を得ることができ、フレームの取付面をスイッチ本体の横方向へ張出させる必要がなくなるので、スイッチの小型化が可能となる。また、フレームの底面側端部とハウジングの前面との間に空隙部を設けたので、毛細管現象によって半田付け時にフラックスが這い上がるのを防止でき、接触不良や動作不良を引き起こす虞がない。
【0016】
また、フレームの前面板とハウジングの前面との対向面に部分的に当接する当接部を設け、当接部の有する厚みで空隙部を形成したことから、当接部の厚みにより空隙部を精度良く形成できるので、フラックスの侵入を確実に防止することが出来る。
また、当接部を、フレームの前面板あるいはハウジングの前面の少なくともどちらか一方に一体に形成したことから、簡単に空隙部を形成できる。
また、ハウジングを、固定接点及び可動接点が配設された第1のハウジングと、第1のハウジングとの間に防塵シートを挟んで係合される第2のハウジングで形成し、第1のハウジングとフレームの前面板との間に第2のハウジングが挟持されると共に、第2のハウジングの前面に当接部を形成したことから、2重のハウジングにより防塵性を高めることができ、接触不良や動作不良を確実に防止することができる。
【0017】
また、第1のハウジングの前面両端に、一対の支持腕部を形成し、支持腕部の先端をフレームの前面板の両端に形成した一対の支持孔に係合させたことから、ハウジングの収納部を有する面が、操作部材により横方向から押されても、ハウジングの支持腕部の先端がフレームに係合されているので、ハウジングの起き上がりを防止できる。
また、フレームの側面板に、内側へ屈曲可能な折曲片を設け、折曲片を第1のハウジングの背面側で折り曲げることにより、当接部を介して第1のハウジングと第2のハウジング、及びフレームとを一体化したことから、フレームと第1及び第2のハウジングの取り付けを確実に行なえ、折曲片がフレームの外方へ突出しないため、スイッチの小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の押釦スイッチの実施形態を図1乃至図7に示す。図1は本発明の押釦スイッチの分解斜視図、図2は本発明の押釦スイッチの平面図、図3は本発明の押釦スイッチの正面図、図4は本発明の押釦スイッチの側面図、図5は図3の5−5線における断面図、図6は図3の6−6線における断面図、図7は回路基板に表面実装した状態を示す説明図である。
【0019】
図において、第1のハウジング1は、合成樹脂等の絶縁材から形成され、底面(取付面)とは直交する前面には、凹状の収納部1aが設けられている。また、この収納部1aを挟んで前面の両端には、長尺状の一対の支持腕部1b、1bが前面と直交する方向に突出して形成されている。また、収納部1aが形成された前面と対向する背面の両側部には、それぞれ対向して一対の係止段部1c、1cが設けられており、この係止段部1c、1cに後述するフレーム8の側面板8bに形成された折曲片8gが係止されるものとなっている。
【0020】
また、前記収納部1aの内底面には、導電性の金属板からなる固定接点2が配設されている。この固定接点2は、中央接点2aと、これを挟んで対向して配設された一対の周辺接点2b、2bとを有している。この固定接点2は前記第1のハウジング1内にインサート成形等の方法で一体に埋設されており、中央接点2aと周辺接点2b、2bの他端側は固定接点2から導出されて前記第1のハウジング1の底面側に突出して外部端子3が形成されている。また、この外部端子3の自由端は、第1のハウジング1の底面から背面側にL字状に直角に屈曲されており、表面実装用の端子構造となっている。尚、端子形状はL字状の屈曲のない直線状でも良く、表面実装可能な他の形状を用いても良い。
【0021】
可動接点4は、ばね性を有する導電性の薄板金属板からなり、中央に反転可能な膨出部を有する長円のドーム状に形成されている。この可動接点4は、前記第1のハウジング1の固定接点2の上面側に載置され、長手方向両端の外周縁部が前記周辺接点2b、2bと接触し、中央の膨出部頂部が前記中央接点2aと対峙された状態で第1のハウジング1の収納部1aに配設されている。尚、本実施例では動作フィーリング(重トルク)対応のため、可動接点4は2枚重ねて配設されている。
また、可動接点4が配設された前記第1のハウジング1の収納部1aの上面側には、収納部1aを覆うように可撓性を有する合成樹脂製のシート材からなる防塵シート5が粘着剤によって張り付けられて配設されている。この防塵シート5を配設することにより、接点部への塵埃の侵入を防止している。尚、可動接点4は円形のドーム状や短冊形状としても良い。
【0022】
操作部材6は、合成樹脂等の絶縁材からなり、方形状の押釦部6aと、この押釦部6aの下端周縁に延設された鍔部6bと、この下側に突出された押圧部6cとを有している。操作部材6は前記第1のハウジング1と後述する第2のハウジング7に横方向に移動可能に収容されており、押釦部6aが押圧された際には、押圧部6cが、前記防塵シート5を介して前記可動接点4の膨出部を押圧して、可動接点4が反転することにより固定接点2の中央接点2aと導通するものとなっている。
【0023】
第2のハウジング7は、同じく合成樹脂等の絶縁材から形成され、中央に方形状の開口部7aを有する略方形の枠状に形成されている。この開口部7aに前記操作部材6の押釦部6aが挿通されるものとなっている。また、この開口部7aを囲む枠の前面側には段差部7bが形成されており、この段差部7bに前記操作部材6の鍔部6bが当接されて抜け止めされ、操作部材6が前記第2のハウジング7に移動可能に収容されるものとなっている。この時、前記防塵シート5が第1のハウジング1と第2のハウジング7との間に挟持されるものとなる。このように、防塵シート5を介して隔てた2重のハウジングにより接点部と押圧操作部とを区分けしたので防塵性を高めることができ、接触不良や動作不良を確実に防止することができる。
【0024】
また、第2のハウジング7の長手方向の両端部には、一対の切溝部7c、7cが設けられており、この切溝部7c、7cに、前記第1のハウジング1に設けられた、長尺状の一対の支持腕部1b、1bが挿通されて第1のハウジング1と第2のハウジング7が一体化されるものとなっている。
【0025】
また、第2のハウジング7の枠には前記開口部7aを挟んで短手方向の両側中央に、一対の突出部7d、7dが設けられており、また、開口部7aを挟んで長手方向の両側中央には、同じく一対の突出部7e、7eが設けられている。そして、これらの突出部7d、7eの先端側が後述するフレーム8の前面板8aの背面との当接部となっており、第2のハウジング7の前面とフレーム8の前面板8aとの間に、これらの突出部7d、7eの厚みで半田付け時の毛細管現象を防止可能な所定の空隙部Sを0.1mm以上好ましくは0.15mm以上となるように形成するようになっている。そして、第2のハウジング7の前面とフレーム8の前面板8aとの間に、空隙部Sを設けることにより、半田付け時のフラックス上がりを防止することが可能となっている。
【0026】
フレーム8は、平板状の金属板を略コ字状に折り曲げて形成されており、方形状の前面板8aと、前面板8aの両端から直角に折り曲げられて対向して配設された一対の側面板8b、8bとを有している。また、前面板8aの中央には、方形状の貫通孔8cが設けられており、この貫通孔8cに前記操作部材6の押釦部6aが挿通されて押し込み可能に突設されている。
【0027】
また、前記貫通孔8cを挟んだ前面板8aの両端部には一対の支持孔8d、8dが形成されている。この支持孔8d、8dに、前記第1のハウジング1の前面に長尺状に突出して形成された一対の前記支持腕部1b、1bが挿通されて係合されるものとなっている。また、前面板8aの底面側の両端部が突出形成され、この一対の突出部が、スイッチが実装される回路基板10に表面実装される際の基板受部8e、8eとなっている。
【0028】
このように、前記第1のハウジング1の前面両端に、一対の前記支持腕部1b、1bを形成して、この支持腕部1b、1bの先端を前記フレーム8の前面板8aの両端に形成した一対の前記支持孔8d、8dに係合させている。前記第1のハウジング1の収納部1aを有する面が、前記操作部材6により回路基板の実装面に沿った横方向から押されると、押圧方向後ろのハウジング1の後部の外部端子3を支点として第1及び第2のハウジング1、7が上方へ回転する方向に力が働くが、前記第1のハウジング1の支持腕部1b、1bの先端が前記フレーム8に係合されており、このフレーム8が回路基板に固定されているので、前記第1のハウジング1及び第2のハウジング7の起き上がりを防止できるものとなっている。
【0029】
また、一対の前記側面板8bの下端には、脚部8fが形成されており、この脚部8fが回路基板10の取付穴10aに挿入されて位置決めされるものとなっている。また、側面板8bの後方には、T字状からなる折り曲げ可能な折曲片8gが形成されている。この折曲片8gは、互いに対向する側面板8b、8bの内側へ屈曲可能となっており、この折曲片8gが、前記第1のハウジング1の背面側に形成された前記係止段部1c、1cの斜面に食い込むように折り曲げられて係止されることにより、操作部材6による押圧時に折曲片8gが外方へ開き難く、第1のハウジング1と第2のハウジング7がフレーム8と強固に一体的に係合されるものとなっている。
【0030】
このように、前記フレーム8の側面板8bに、内側へ屈曲可能な前記折曲片8gを設け、この折曲片8gを前記第1のハウジング1の背面側で折り曲げることにより、前記突出部7d、7eにより形成された空隙部Sを介して前記第1のハウジング1と前記第2のハウジング7、及び前記フレーム8とを一体化したことから、前記フレーム8と前記第1及び第2のハウジング1、7の取り付けを確実に行なえ、前記折曲片8gが前記フレーム8の外方へ突出しないため、スイッチの小型化が可能となっている。
本発明の実施例に係る押釦スイッチにおいては、操作部材6の押圧方向に直交する方向に可動接点4を配置したので、可動接点4のドーム部の頂部からの押圧ずれがなく、小型化しても良好なクリック感触を得ることが可能となっている。
【0031】
図7は、本発明の上記構成の押釦スイッチを、回路基板10に表面実装して取り付けた状態を示している。この場合、フレーム8の両側面板8b、8bに設けられた一対の脚部8f、8fが、回路基板10の取付穴10aに挿入されて位置決めされた状態で、第1のハウジング1の底面から背面側に屈曲して形成された外部端子3と、フレーム8の前面板8aの底面側の両端に形成された基板受部8e、8eとが半田11により半田付けされて固着されている。
【0032】
この場合、図2、図6に示すように、第2のハウジング7の前面とフレーム8の前面板8aとの間には、突出部7d、7eを設けることにより、これらの突出部7d、7eの厚みで所定の空隙部Sが形成されており、この空隙部Sを設けることにより、半田付け時のフラックス上がりを防止することが可能となっている。
【0033】
また、フレーム8を回路基板10に取り付ける際の半田付け部となる基板受部8e、8eを、フレーム8の外形から横幅方向に外側へ張出させずに、内側に形成するようにしたので、スイッチの小型化が図れるものとなっている。また、フレーム8の前面板8aの底面側の両端部で半田付けして取り付けたので、操作部材6の押釦6aを横方向に押し込んだ場合のフレーム8の取り付け強度を確保することが可能となっている。また、基板受部8e、8eを操作部材6と第2のハウジング7の摺動部から離間させて突出形成しているので、沿面距離を長く形成できる。
【0034】
尚、上記実施例では、前記第2のハウジング7の前面と前記フレーム8の前面板8aとの間に空隙部Sを形成するのに、前記突出部7d、7eを第2のハウジング7の前面に設けるようにしたが、これに限らず、突出部を前記フレーム8の前面板8aの背面に突出させて形成するようにしても良い。このように、簡単に空隙部Sを形成することができる。
【0035】
上記した本発明の実施例によれば、前記第2のハウジング7の前面を覆う前記フレーム8の前面板8aの底面側端部を、外部端子3と共に回路基板10へ表面実装可能に突出形成して、前記フレーム8の前面板8aと前記第2のハウジング7の前面との対向面には、前記フレーム8の底面側端部と前記第2のハウジング7の前面との間にフラックス上がりを防止する空隙部Sを設けたことから、横方向からの押し強度を確保するのに、前記フレーム8の前面板8aの底面側端部を直接半田付けすることにより横押し強度を得ることができ、前記フレーム8の回路基板10への取付面をスイッチ本体の横方向へ張出させる必要がなくなるので、スイッチの小型化が可能となっている。
また、前記フレーム8の底面側端部と、前記第2のハウジング7の前面との間に空隙部Sを設けたので、この空隙部Sにより毛細管現象によって半田付け時にフラックスが這い上がるのを防止でき、接触不良や動作不良を引き起こす虞がないものとなっている。
また、前記フレーム8の前面板8aと前記第2のハウジング7の前面との対向面に部分的に当接する前記突出部7d、7eからなる当接部を設け、これらの当接部の有する厚みで空隙部Sを形成したことから、当接部の厚みにより空隙部Sを精度良く形成できるので、フラックスの侵入を確実に防止することができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の押釦スイッチを示す分解斜視図である。
【図2】本発明の押釦スイッチを示す平面図である。
【図3】本発明の押釦スイッチを示す正面図である。
【図4】本発明の押釦スイッチを示す側面図である。
【図5】本発明の図3の5−5線における断面図である。
【図6】本発明の図3の6−6線における断面図である。
【図7】本発明の押釦スイッチを回路基板に表面実装した状態を示す説明図である。
【図8】従来の押釦スイッチを示す正面図である。
【図9】従来の押釦スイッチを示す側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1:第1のハウジング(ハウジング)
1a:収納部
1b:支持腕部
1c:係止段部
2:固定接点
2a:中央接点
2b:周辺接点
3:外部端子
4:可動接点
5:防塵シート
6:操作部材
6a:押釦部
6b:鍔部
6c:押圧部
7:第2のハウジング(ハウジング)
7a:開口部
7b:段差部
7c:切溝部
7d:突出部(当接部)
7e:突出部(当接部)
8:フレーム
8a:前面板
8b:側面板
8c:貫通孔
8d:支持孔
8e:基板受部
8f:脚部
8g:折曲片
10:回路基板
10a:取付穴
11:半田
S:空隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と直交する面に固定接点が配設された収納部を有するハウジングと、前記固定接点から導出されて前記ハウジングの底面側に突出する外部端子と、前記固定接点と接離する可動接点と、前記ハウジングから突出して前記可動接点を押圧操作可能に設けられた操作部材と、この操作部材を前記ハウジング内に抜け止め保持すると共に、前記ハウジングの前面及び側面を覆うように取り付けられたフレームとを備え、前記ハウジングの前面を覆う前記フレームの前面板の底面側端部を、前記外部端子と共に回路基板へ表面実装可能に突出形成し、前記フレームの前面板と前記ハウジングの前面との対向面には、前記フレームの底面側端部と前記ハウジングの前面との間にフラックス上がりを防止する空隙部を設けたことを特徴とする押釦スイッチ。
【請求項2】
前記フレームの前面板と前記ハウジングの前面との対向面に部分的に当接する当接部を設け、この当接部の有する厚みで前記空隙部を形成したことを特徴とする請求項1記載の押釦スイッチ。
【請求項3】
前記当接部を、前記フレームの前面板あるいは前記ハウジングの前面の少なくともどちらか一方に一体に形成したことを特徴とする請求項2記載の押釦スイッチ。
【請求項4】
前記ハウジングを、前記固定接点及び前記可動接点が配設された第1のハウジングと、この第1のハウジングとの間に防塵シートを挟んで係合される第2のハウジングで形成し、前記第1のハウジングと前記フレームの前面板との間に前記第2のハウジングが挟持されると共に、前記第2のハウジングの前面に前記当接部を形成したことを特徴とする請求項2、又は3記載の押釦スイッチ。
【請求項5】
前記第1のハウジングの前面両端に、一対の支持腕部を形成し、この支持腕部の先端を前記フレームの前面板の両端に形成した一対の支持孔に係合させたことを特徴とする請求項4記載の押釦スイッチ。
【請求項6】
前記フレームの側面板に、内側へ屈曲可能な折曲片を設け、この折曲片を前記第1のハウジングの背面側で折り曲げることにより、前記当接部を介して前記第1のハウジングと前記第2のハウジング、及び前記フレームとを一体化したことを特徴とする請求項4、又は5記載の押釦スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−19151(P2006−19151A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196339(P2004−196339)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】