説明

拡張可能な外科部位アクセスシステム

拡張可能な外科部位アクセスシステムと、当該拡張可能な外科部位アクセスシステム方法を使用して、最小侵襲的、経皮的外科手術を実行して脊髄またはその他の骨構造又は身体の局所にアクセスする方法が開示されている。一の実施例では、本外科部位アクセスシステムは、外科的手順の間に身体内で拡開するように特に構成された細長い、拡張可能なステント(20)を具え、身体内の外科部位(24)へのアクセスを提供する。ステント(20)は、入り口地点(28)から外科部位(24)へ身体を通る作業チャネル(26)を規定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2005年6月24日に出願された米国暫定出願第60/693,446号の出願の利益を主張する。この開示は、全体的に本明細書に参照されている。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般的に最小侵襲性の、経皮的外科手術用デバイスおよび方法に関する。特に、本発明は、外科器具と、身体内の外科部位にアクセスを提供する方法に関する。
【0003】
発明の背景
従来の外科的手順では、所望の外科部位にアクセスするには、ほとんどの場合、長い外傷と、筋肉の除去、及び引き延ばした組織の収縮が必要であり、また、周辺組織の神経遮断と、脈管遮断を必要とするものである。これは、身体内の深い位置にアクセスする必要があるため、特に脊髄へ適用する場合である。このような外科的手順は、組織の収縮量と収縮期間によって、介在組織に優位な外傷が生じ、良好な組織に潜在的なダメージが起こる。この結果、回復にかかる時間が長くなり、永久的な瘢痕が生じ、元々の外科的手順を刺激していた痛みよりひどい痛みとなることがある。これは、外科医が注意を必要とする身体内部の領域を正しく見ることができるような大きな損傷を作る必要性から、更に悪化を招く。
【0004】
内視鏡的な、あるいは最小侵襲性、外科的技術によって、身体内のより小さい外傷を通って、より少ない身体組織の破損で、患者の身体に外科的手順を実行することが可能となる。内視鏡的外科手術は、通常、カニューラ(あるいはポータル)として知られている筒状構造を用いて、これを身体の外傷に挿入する。典型的なカニューラは、外径固定のチューブであり、外科医はこれを用いて外傷を開いた状態に保持する。このカニューラは身体の外部と外科手術を実行するべき身体内部の局所との間に延在する導管として作用する。従って、カニューラは、視覚化のために、器具の通路として、及びその他に使用することができる。
【0005】
しかしながら、典型的なカニューラには、二つの欠点がある。第1に、カニューラを挿入するには、通常、外傷を必要とする。この外傷は、ほとんどの場合、カニューラを用いずに実行する外科的手順のために作る外傷よりは、比較的小さいが、それでも健康な組織を傷つける。更に、後方椎間板切除術に用いる操縦可能な外科手術器具などのいくつかの外科手術器具は、時に、カニューラによって規定される開口のサイズより大きいため、内視鏡的外科手術の技術がカニューラのサイズによって制限を受けることがある。従って、組織の最小外傷で挿入することができ、更に十分な器具の通路と操作ができる寸法の入り口開口と導管を提供する外科部位アクセスシステムが求められている。
【0006】
発明の概要
本発明は、現在知られている外科部位アクセスシステムの上述した欠点及びその他の欠点を克服するものである。本発明を実施例に関連して述べるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないと理解される。反対に、本発明は、本発明の精神と範囲内に含まれる全ての代替、変更、均等物を含むものである。
【0007】
本発明は、外科部位アクセスシステムと、脊椎またはその他の骨構造、身体の器官または局所にアクセスする、最小侵襲性の、経皮的外科手術を実行する方法に関する。一の実施例では、この外科部位アクセスシステムは、外科的手順の間に身体内で拡開するように特に構成されている細長の、拡張可能なステントを具え、身体内の外科部位にアクセスを提供する。
【0008】
本発明の一の態様によれば、前記ステントは、入り口地点から外科部位へ身体を通る作業チャネルを規定する。この作業チャネルは、周辺の組織、器官、体液その他に対してバリアを提供することによって、外科医が対象領域を見て、外科器具及び/又はその他のデバイス(図示せず)を入り口地点の外側から外科部位に通過させる経路を規定する。
【0009】
一の実施例では、前記ステントは、送出カテーテルによって外科部位で拡開する自己拡張ステントである。このステントは、送出カテーテルの遠位端に折りたたまれた状態で外科部位へ送出される。拡開した後、この自己拡張ステントは圧縮された状態から外側に向けて第1の断面寸法へ拡張する。拡開した状態においては、ステントは、柔組織、器官および体液からの内側へ向けた圧力に耐えるように構成されており、入り口地点から外科部位まで開作業チャネルを維持するようにしている。
【0010】
本発明の別の態様によれば、外科部位にあるステントに膨張バルーンを挿入する。このバルーンは、ステント内で膨張して、これによって、ステントを外側に拡張させ、前記第1の断面の寸法より大きい第2の断面の寸法とする。ステントの拡張量は、ステントの構成、膨張バルーンの構成と動作、及び拡張したステントによって規定される作業チャネルの所望のサイズと形状によって異なる。ステントが拡張した後、バルーンは除去され、拡張したステントが、入り口地点から外科部位まで所望のサイズと形状を有する作業チャネルを規定する。
【0011】
本発明の別の態様によれば、このステントに一又はそれ以上の光ファイバロッドまたはチューブ、またはその他の好適な照明デバイスを具える照明システムを設けても良い。この照明システムは、外科的手順の間、入り口地点と外科部位間の作業チャネルを照明するように構成することができる。
【0012】
本発明のこれらの目的と利点及びその他の目的と利点は、添付図面と本発明の説明から明らかになる。
【0013】
好適な実施例の詳細な説明
ここで、図面、特に図1−5を参照すると、本発明の一実施例による細長の、拡張可能なステント20が示されている。以下により詳細に説明するように、ステント20は特に、身体22内へ拡開するように構成されており、外科的手順の間に外側に拡張して、ステント20が拡開して拡張したときに、おそらく身体内部深く、外科部位24にアクセスを提供することができる。ステント20は、一体的な部品であり、外科的手順の間に身体の遠隔部位に外科的アクセスを提供するために、身体内の柔組織を通る開経路を維持するように構成されている。
【0014】
本発明の原理によれば、ステント20は、入り口地点28から外科部位24まで身体22を通る作業チャネル26(図13参照)を規定している。作業チャネル26は、周辺の組織、器官、体液、その他に対してバリアを提供することによって、外科医が対象領域を見ることができ、外科器具及び/又はその他のデバイス(図示せず)を入り口地点28の外側から外科部位24に通過させることができる経路を規定している。作業チャネルは、いくつもの外科的手順用に設けることができると理解される。入り口地点28は、患者の皮膚30に針(図示せず)またはガイドワイヤ32を刺して、患者の皮膚に小さな外傷を作ることによって、あるいは当業者に公知のその他の最小侵襲的アプローチによって作った経皮的開口である。
【0015】
一の実施例では、ステント20は一般的な自己拡張ステントであって良く、形状記憶構造を有するメッシュ、ラティス、あるいはその他の構造を具え、ステント20が自身の自然な構造を取るときに、拡張した、開ルーメン構造になる。一の実施例では、ステント20は、(例えば、ステンレススチールワイヤ、プラスチック、またはニチノール)などの材料でできた網ワイヤ34のセットを具え、所望の開いた、拡開構造に設定することができる。ワイヤ34は、所望の構造に編むことができ、次いで、以下に詳細に述べるように、送出カテーテル36(図2参照)の上に配置するために圧縮される。その他の実施例において、ステント20は自己拡張性でなくとも良く、また、その他のメッシュ構造または非メッシュ構造を具えており、及び/又は、本発明の精神と範囲から外れない限り、この分野の当業者には公知のその他の金属または非金属材料で構成されていても良いことは、自明である。ステント20は、ステントを連続的に拡大するような材料で構成できることは自明である。ステント20の構造は、実行する外科的手順によって変更することができ、その特徴と構造は、柔組織、器官および体液に対するバリアの要求、作業チャネル26の所望のサイズと形状、及び、身体内における外科部位24の位置などの要素に依存する。
【0016】
図12に示すように、一の実施例では、ステント20に、拡大したPTFEでできた膜38を設けても良い。膜38は、ステント壁40の外側周辺の回りに配置することができ、一の実施例では、網ワイヤ34の端部で終端しており、ワイヤが露出しないようにしている。代替的に、図12に示すように、膜38は、ステント壁40の内側周辺上に配置するようにしても良い。更に別の実施例では、内側及び外側の両方の膜38を、ステント壁40に固定して、網ワイヤ34を完全に封入するようにしても良い。膜38は、液体バリヤを提供して、外科的手順を行う間に、ステント20の壁40を通って、作業チャネル26に入る体液の流入を最小限に押さえる。
【0017】
一の実施例では、膜38は、膜に含侵させた、あるいは、膜の外側に被覆した生物活性材料を具えていても良い。この生物活性材料は、ステント20の周辺組織に届く、一又はそれ以上の抗菌、抗炎症、痛み緩和及び/又はプロトロンビン剤を具えていても良い。これらの薬剤は、術後期間に、例えば、痛みの緩和、感染率、および出血を抑える利点を提供する。
【0018】
代替的に、図15及び16に示されているように、ステント20は、膜を有しておらず、ステント20の壁40が周辺組織に直接接触するようにしてもよい。この実施例では、ステント壁40は、図15の符号42で一般的に示すように、一又はそれ以上の生物活性材料を含侵していても良い。更なる実施例では、図16に示すように、ステント壁40の外側表面を、図16の符号44で一般的に示すような一又はそれ以上の生物活性材料で被覆して、ステント壁40に接触する周辺組織内に薬剤が届くようにしても良い。
【0019】
図13及び14を参照すると、ステント20に、一又はそれ以上の光ファイバロッドまたはチューブ48を具える照明システム46、あるいはその他の好適な照明デバイスを設けるようにしても良い。この光ファイバロッドまたはチューブ48は、光学的特性ポリマ、ガラス、あるいはその他の好適な材料でできていても良い。光ファイバロッドまたはチューブ48は光ファイバフィード50を介して照明源(図示せず)に連結されている。一の実施例では、図13に示すように、光ファイバロッドまたはチューブ48が、ステント20に支持されており、一又はそれ以上のロッドまたはチューブ48は、ステント20の長さの軸方向に延在して、外科的手順の間に作業チャネル26を照明することができる。代替的に、図14に示すように、一又はそれ以上の光ファイバロッドまたはチューブ48をステント20の壁40と一体的に形成して、ステント壁構造の一部を成すようにしても良い。光ファイバロッドまたはチューブ48は、ステント20の使用中にステント20を拡張させるように取り付けて、以下に詳細に示すように作業チャネル26を作る。その他の照明システムも同様に用いることができる。
【0020】
本発明のステント20を、図1乃至5に示すように、脊椎椎間板除去手術手順間の使用に関連して述べる。本発明を、脊椎外科手術に関連して述べるが、本発明のステント20は、身体を介して外科部位にアクセスが必要な様々な外科的手順において広く使用でき、脊椎外科手術自体に限定されるものでないことは自明である。
【0021】
図1に示すように、この手順の第1のステップで、ガイドワイヤ32を、皮膚30と柔組織を介して椎間板52などの所望の外科部位へ進める。ガイドワイヤ32には、貫通先端が設けられており、また、EMG活性を記録する能力を設けて、神経ルートを傷つけるリスクを最小限に抑える。貫通先端は、ポリイミド、PEEK、あるいは、好適な金属、ポリマ、あるいは貫通先端をガイドワイヤ32に一致させるセラミックであっても良い。
【0022】
好ましくは、アクセス針(図示せず)を用いて局所麻酔を投与して、長さ約1cmの小さな損傷(損傷の長さは外科的手順によって変わる)を皮膚30と、その下の筋膜に作り、ガイドワイヤ32の皮膚30への貫通を容易にする。ガイドワイヤ32は、入り口地点28から外科部位24へ蛍光透視、直接的な可視ガイダンス、あるいはその他の好適な案内方法の下に進めることができる。ガイドワイヤ32が椎間板52などのターゲットに届いた後、ワイヤ32を図1に示すようなアクセス位置としての椎間板スペース54に進めることができる。
【0023】
一の実施例では、ステント20は、図2に示すように送出カテーテル36の上に解放可能に装着されている。送出カテーテル36は、ポリエステル、ポリブチレン、ポリアミド、エラストマ、などで作ることができる。ステント20は、自己拡張ステントが送出カテーテル36の遠位端に用いられている場合は折りたたまれており、一の実施例では、細長の保持シース56によって覆われている。ここで使用されている、用語「遠位」は、外科医から離れた位置を意味し、用語「近位」は、外科医により近い位置を意味する。送出カテーテル36とステント20を、ガイドワイヤ32に沿って、ステント20を拡開させるべき外科部位24に進める。保持シース56は、後退可能なシースであり、(自己拡張ステントを使用している場合)、シース56が移動して、ステント20から後退するまで、ステント20が半径方向にこれ以上制限されることなく送出カテーテル36の遠位端から解放されるように、ステント20を圧縮された形状で保持している。一の実施例では、ステント20は、圧縮した状態で約3mmから12mmの外径を有していても良いが、特定の外科的手順に必要な作業チャネルに応じて、ステント20に合ったその他の外径としてもよい。
【0024】
図3に示すように、送出カテーテル36と保持シース56が除去されると、ステント20が、外科部位24で拡開し、入り口地点28の外側から椎間板52の環58へ延在する。自己拡張ステントの場合、拡開したステント20は、圧縮した状態から外側へ向けてより大きな第1の断面寸法へ拡張する。拡開した状態で、ステント20は、柔組織、器官、体液からの内側への圧力に耐えて、入り口地点28から外科部位24へ開作業チャネル26を維持するように構成されている。一の実施例では、ステント20は、円筒形断面プロファイルを有しており、このステント20は、ステント20が圧縮状態から解放されると、ステント20の圧縮した外径を超えて直径約1mmと3mmの間に拡大する。別の実施例では、ステント20は、送出カテーテル36から解放されると、より大きいあるいはより小さい断面寸法に拡張する。拡開した自己拡張ステント20の拡張量は、ステント20の特定の形状と、外科的手順を行う間に存在するその他の生体構造ファクタに依存する。
【0025】
ここで、図3及び4を参照すると、外科部位24におけるステント20の拡開に続いて、バルーン60をガイドワイヤ32に沿って進め、拡張したステント20内に挿入する。代替的に、バルーン60を、ガイドワイヤ32に沿った案内なしにステント20内に挿入するようにしても良い。バルーン60は、液体源62に公知の方法で連結されており、バルーン60が外側に拡張して、これによって、ステント20を外側に向けて、前記第1の断面寸法より大きい第2の断面の寸法に拡張させる。ステント20の拡張量は、ステント20の形状、膨張バルーン60の形状と動作、及び、拡張したステント20によって規定される作業チャネル26の所望のサイズと形状に依存する。一の実施例では、ステント20が円筒形断面プロファイルを有しており、ステント20は、直径約24mmに拡張することができるが、ステント20のその他の拡張した直径も可能である。バルーン60は所望の大気圧に拡張することができ、この圧力を組織を傷つけるレベル以下に維持することができる。更に、バルーン60の膨張、従って、ステント20の拡張が一般的に継続し、拡張率を制御して、ステント20の拡開中に、更に組織が傷つくのを最小限に抑えることができる。
【0026】
図5に示すように、ステント20の拡張に続いて、バルーン60を除去する。拡張したステント20は、入り口地点28から外科部位24へ延在する作業チャネル26を規定する。ガイドワイヤ32は、この作業チャネル26内の適所に残り、ドリル、リーマ、ねじ、ケージ、などのデバイスがガイドワイヤ32に沿って外科部位24へ進めることができる。外科的手順に続いて、ステント20の近位端を手であるいは器具で握り、ステント20を入り口地点28から撤退させることで、ステント20を少なくとも部分的に折りたたむことができる。
【0027】
図6に示すように、入り口地点28の外側の過剰なステント材料は、外科医がハサミ64を用いて、あるいはその他の好適な器具を用いて容易につみ取ることができ、外科医が所望であれば、ステント20の近位端を患者の皮膚30とほぼ同一平面になるようにする。このことで、外科医の仕事距離が短縮され、ステント20をどのような外科的環境にもカスタマイズすることができる。脊髄外科的手順では、例えば、ステント20は、頸椎、胸椎、腰椎の外科的手順に使用することができる。この外側への可変拡張、及びステント20の可変長が、病院にストックしておかなくてはならないものを少なくし、作業チャネル26の所望の長さと径に関して、予め動作プランを立てる必要性を低減する。
【0028】
一の実施例では、第1のバルーンを拡開したステント20の中に挿入し、ステント20を外側に拡張させて、拡開した自己拡張ステント20の外径より大きな第1の断面寸法にする。第1のバルーンがステント20から取り除かれ、その後第2のバルーンをステント20に挿入して、ステント20を外側に向けて前記第1の断面寸法より大きい第2の断面寸法に拡張する。第2のバルーンを、次いで、拡張したステント20から取り除いて、拡張したステント20が作業チャネル26の所望のサイズと形状を規定するようにする。例えば、外科医が、約12mmの直径で、簡単な椎間板切除を開始し、次いで、より大きなバルーンを用いてステント20を外側に向けてより大きな断面寸法に開く。これによって、外科医は同じケースの、あるいは椎間板切除の前に患者に実行する必要があるより複雑な手順の外科部位の露出度を上げることができる。
【0029】
別の実施例では、第1のステントを第1のガイドワイヤに沿って拡開することができ、脊椎の骨構造などの、第1の外科部位で拡張する。その後、第1のガイドワイヤを除去して、第1のステントを介して、第2のガイドワイヤを椎間板スペースなどの第2の外科部位に挿入することができる。次いで、第2のステントを同様に第2のガイドワイヤを介して拡開させて、骨と椎間板からの距離にわたるように第1のステントに対して入れ子式に拡張する。
【0030】
図7に示すように、ステント20は、その長さの少なくとも一部に沿って可撓性があるように構成して、手順を行う間外科医によって、外科部位への曲がった軌道を受ける及び/またはステント20の操作を受けるように構成することができる。拡開され拡張した状態で、ステント20は、ステント20の少なくとも部分長に沿って曲がった作業チャネル26を規定できる。ステント20の拡張した断面プロファイルは筒状である必要はない。例えば、図8に示すように、フレア状バルーン(図示せず)を使用してステント20を外側に拡大する場合は、ステント20の遠位端66をフレア状にすることができる。図9及び10に示す別の実施例では、対応する形状のバルーンを使用してステント20を拡張した結果、ステント20の断面プロファイルは一般的な矩形とすることができる。さらに、ステント20は、図11に示すように、その長さに沿って一以上の断面プロファイルで形成することができる。この実施例では、ステント20は、その長さのある部分に沿って一般的な円筒形断面プロファイルを有し、その長さの別の一部に沿って一般的な矩形断面プロファイルに移行するような、プロファイルを具えていてもよい。本発明のステント20によって取得可能な曲率と様々な断面形状は、ステント20の形状、特定の外科的手順用の要件、ステントを外側に拡張させるのに使用するバルーンの形状に応じて、外科医によって変更可能であり、選択可能である。
【0031】
本発明は一又はそれ以上の実施例に記載によって説明されており、実施例がある程度詳細に記載されているが、これらは、どのような場合でも、特許請求項の範囲をこのように詳細に限定するまたは制限するものではない。追加の利点と変形は、当業者には自明である。より広い態様の本発明は、従って特定の詳細、代表的な装置及び方法、及び図に示して詳細を説明した実施例に限定されるものではない。従って、出願人の一般的な発明概念の範囲または精神から離れることなく、このような詳細からの逸脱が成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
添付の図面は、本明細書に含まれており、本明細書の一部を構成しており、上述した本発明の一般的な記載、及び、以下に述べる詳細な説明と共に本発明の実施例を説明するものであり、本発明の原理を説明している。
【図1】図1は、入り口地点から外科部位へのアクセスを提供するための、本発明の一実施例によるステントを拡開する一連のステップを示す線図である。
【図2】図2は、入り口地点から外科部位へのアクセスを提供するための、本発明の一実施例によるステントを拡開する一連のステップを示す線図である。
【図3】図3は、入り口地点から外科部位へのアクセスを提供するための、本発明の一実施例によるステントを拡開する一連のステップを示す線図である。
【図4】図4は、入り口地点から外科部位へのアクセスを提供するための、本発明の一実施例によるステントを拡開する一連のステップを示す線図である。
【図5】図5は、入り口地点から外科部位へのアクセスを提供するための、本発明の一実施例によるステントを拡開する一連のステップを示す線図である。
【図6】図6は、入り口地点近くを切り取っている図2乃至5のステントの一部を示す側面図である。
【図7】図7は、本発明の一態様による可撓性のあるステントを示す側面図である。
【図8】図8は、一般的なフレア端部を有する本発明の別の態様によるステントを示す側面図である。
【図9】図9は、少なくとも一部に沿って一般的な矩形断面プロファイルを有する本発明の更に別の態様によるステントを示す側面図である。
【図10】図10は、図9の10−10線に沿った断面図である。
【図11】図11は、異なる部分に沿って一般的な円筒状断面プロファイルと一般的な区泥断面プロファイルを有する本発明の更に別の態様によるステントを示す側面図である。
【図12】図12は、ステントに固定した膜を有する本発明の別の態様によるステントを示す断面図である。
【図13】図13は、図2乃至5のステントに関連した本発明の一の態様による照明システムを示す斜視図である。
【図14】図14は、図2乃至5のステントに関連した代替の照明システムを示す断面図である。
【図15】図15は、生物活性材料を含侵させた本発明の別の態様によるステントを示す断面図である。
【図16】図16は、図15と同様の図であり、ステントの外側表面に生物活性材料を被覆した本発明の更に別の態様によるステントを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入り口地点から外科部位へのアクセスを提供する外科器具において、
折りたたんだ第1の形状から拡張した第2の形状へ構成可能なステント本体を具え、当該ステント本体が更に操作可能であり、拡張した第2の形状において、前記入り口地点と前記外科部位の間で前記ステント本体によって規定された作業チャネルを通る前記外科部位へのアクセスを提供することを特徴とする外科器具。
【請求項2】
請求項1に記載の外科器具において、前記ステント本体が一般的な自己拡張ステント本体であることを特徴とする外科器具。
【請求項3】
請求項1に記載の外科器具において、前記ステント本体が、その長さの少なくとも一部に沿って一般的な可撓性があることを特徴とする外科器具。
【請求項4】
請求項3に記載の外科器具において、前記ステント本体が前記ステント本体の少なくとも部分的長さに沿って非直線状の作業チャネルを規定していることを特徴とする外科器具。
【請求項5】
請求項1に記載の外科器具において、前記ステント本体が拡張可能な一体的部品であることを特徴とする外科器具。
【請求項6】
請求項1に記載の外科器具が更に、前記ステント本体に操作可能に連結された膜を具えることを特徴とする外科器具。
【請求項7】
請求項1に記載の外科器具が更に、前記ステント本体と関連し、前記作業チャネルを照明する照明システムを具えることを特徴とする外科器具。
【請求項8】
請求項1に記載の外科器具において、前記ステント本体がメッシュ構造を具えることを特徴とする外科器具。
【請求項9】
請求項1に記載の外科器具が更に、前記ステント本体に関連した生物活性材料を具えることを特徴とする外科器具。
【請求項10】
入り口地点から外科部位へアクセスを提供する外科器具において、
折りたたんだ第1の形状から拡張した第2の形状へ構成可能な一般的な自己拡大ステント本体を具え、当該ステント本体が更に動作可能であり、拡張した第2の構成では、前記ステント本体によって前記入り口地点と前記外科部位との間で規定された作業チャネルを通って前記外科部位にアクセスを提供するステント本体と、
前記ステント本体と関連し、前記作業チャネルを照明するように動作可能である照明システムと、
を具えることを特徴とする外科器具。
【請求項11】
請求項10に記載の外科器具において、前記ステント本体が、その長さの少なくとも一部に沿って一般的な可撓性があることを特徴とする外科器具。
【請求項12】
請求項11に記載の外科器具において、前記ステント本体が、前記ステント本体の少なくとも部分的な長さに沿って非直線状の作業チャネルを規定することを特徴とする外科器具。
【請求項13】
請求項10に記載の外科器具において、前記ステント本体が拡張可能な一体的部材であることを特徴とする外科器具。
【請求項14】
請求項11に記載の外科器具が更に、前記ステント本体に動作可能に接続された膜を具えることを特徴とする外科器具。
【請求項15】
請求項10に記載の外科器具において、前記ステント本体がメッシュ構造を具えることを特徴とする外科器具。
【請求項16】
請求項10に記載の外科器具が更に、前記ステント本体と関連する生物活性材料を具えることを特徴とする外科器具。
【請求項17】
拡張可能なステントを用いて入り口地点から外科部位へのアクセスを提供する方法において、
前記入り口地点から前記外科部位へ前記ステントを案内するステップと、
前記ステントを外側に拡張させて、前記外科部位へ、前記入り口地点と前記外科部位の間で前記拡張したステントによって規定した作業チャネルを通ってアクセスを提供するステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記拡張ステップが、
前記ステント内にバルーンを配置するステップと、
前記外科部位において前記バルーンを外側に向けて拡張させて前記ステントを拡張させるステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法が更に、
前記バルーンを前記外科部位に案内するステップと、
前記外科部位に前記ステント内で前記バルーンを配置するステップと、
前記外科部位において前記バルーンを外側に向けて拡張させ、前記ステントを拡張するステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法が更に、前記作業チャネルを照明するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法において、前記拡張ステップが、
前記ステントを外側に拡張させて第1の断面寸法にするステップと、その後、前記ステントを外側に拡張させてより大きな第2の断面寸法にするステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法が更に、第1のバルーンを前記ステント内に配置するステップと、
前記第1のバルーンを前記外科部位において外側に拡張させて、前記ステントを前記第1の断面寸法に拡張するステップと、
前記ステントから前記第1のバルーンを除去するステップと、
前記ステント内で第2のバルーンを配置するステップと、
前記外科部位において前記第2のバルーンを外側に向けて拡張させて、前記ステントを第2の断面寸法に拡張するステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法が更に、前記ステントをその長さの少なくとも一部に沿って曲げるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項17に記載の方法が更に、
第1の断面プロファイルを前記拡張したステントへ当該ステントの第1の部分において提供するステップと、
当該ステントの第2の部分において前記拡張したステントへ 第2の断面プロファイルを提供するステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項17に記載の方法が更に、前記ステントの長さを変えるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項17に記載の方法において、前記ステントが一般的な自己拡張ステントであることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項17に記載の方法において、前記ステントがその長さの少なくとも一部に沿って一般的な可撓性を有することを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、前記ステントが当該ステントの少なくとも部分的な長さに沿って非直線状の作業チャネルを規定することを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項17に記載の方法において、前記ステントが拡張可能な一体部材であることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項17に記載の方法において、前記案内するステップがガイドワイヤで実行されることを特徴とする方法。
【請求項31】
一般的な自己拡張ステントを用いて、入り口地点から外科部位へのアクセスを提供する方法において、
前記ステントを折りたたむステップと、
前記折りたたんだステントを前記入り口地点から前記外科部位へ案内するステップと、
前記ステントを外側に向けて拡張して、前記入り口地点と前記外科部位間で、前記拡張したステントによって規定された作業チャネルを通って前記外科部位へのアクセスを提供するステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、前記拡張ステップが前記ステントを折りたたんだ状態から解放するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、前記拡張ステップが更に、
前記解放したステント内にバルーンを配置するステップと、
前記バルーンを外側に向けて前記外科部位において拡張させて、前記解放したステントを拡張するステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法が更に、
前記外科部位へ前記バルーンを案内するステップと、
前記外科部位において、前記解放したステント内に前記バルーンを配置するステップと、
前記バルーンを前記外科部位において外側に向けて拡張して、前記解放したステントを拡張するステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項31に記載の方法において、前記ステントが、その長さの少なくとも一部において一般的な可撓性を有することを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、前記ステントが前記ステントの少なくとも部分的な長さに沿って非直線状の作業チャネルを規定することを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項31に記載の方法において、前記ステントが拡張可能な一体部材であることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項31に記載の方法において、前記案内するステップがガイドワイヤで実行されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−546486(P2008−546486A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518429(P2008−518429)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/024472
【国際公開番号】WO2007/002392
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507416300)パワー テン,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】