説明

持上支持機能付き包装箱

【課題】商品を確実に持上状態に支持して、高い位置で展示できるようにする。
【解決手段】底壁1、天壁2、それぞれ対向する側壁3及び端壁15から成る包装箱において、天壁2及び両側壁3を左右に分割可能とし、底壁1の両側部に、前後方向に延びる谷折線11と、その端壁15側に並行する山折線12とを設け、展示状態への転換に際して、天壁2及び両側壁3を分割し、底壁1の谷折線11及び山折線12での折り曲げに伴い、山折線12より側方の部分から成る脚体部16を、底壁1の谷折線11と山折線12に挟まれた受板部17と共に縦位置に回転させ、受板部17を折り返すと、底壁1の谷折線11に挟まれた載置部18が受板部17に載るように脚体部16で持上状態に支持されるようにする。谷折線11及び山折線12での折り曲げが反発で戻ろうとしても、その反発力は載置部18をさらに上昇させる方向に作用し、脚体部16に回転力が生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品を持ち上げた状態で支持して展示できる包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子レンジでの食品調理に適した包装箱として、下記特許文献1には、図7及び図8に示すようなものが記載されている。
【0003】
この包装箱は、食品を載せる内トレー51と、これを収納する外箱52とから成り、外箱52は、底壁53、天壁54、それぞれ対向する長手方向の側壁55及び幅方向の端壁56から形成され、天壁54の略中央に繋部を有する切目線57を設け、両側壁55に切目線57を頂点として下拡がりとなる切欠部58を形成し、底壁53の両側部に切欠部58の下端から幅方向に延びる谷折線59を設けたものとされている。
【0004】
このような包装箱の内トレー51に収容された食品を電子レンジで調理する際には、切目線57の繋部を切断して、天壁54を分割し、谷折線59での折り曲げに伴い、山折線59より側方の部分から成る脚体部60を縦位置に回転させると、内トレー51が持上状態に支持されるので、電子レンジのマイクロ波が内トレー51の下方からも含めて、満遍なく食品に照射され、食品がむらなく均一に加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−100117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような包装箱を、店頭で展示される商品を目立たせるために使用した場合、商品が内トレー51から順次抜き取られて荷重が減少すると、谷折線59での折り曲げが反発で戻り、内トレー51の持上状態が維持されなくなるおそれがある。
【0007】
そこで、この発明は、商品を確実に持上状態に支持して、高い位置で展示できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明は、底壁、天壁、それぞれ対向する側壁及び端壁から成る包装箱において、前記天壁及び両側壁を左右に分割可能とし、底壁の両側部に、前後方向に延びる谷折線と、その端壁側に並行する山折線とを設け、展示状態への転換に際して、天壁及び両側壁を分割し、底壁の谷折線及び山折線での折り曲げに伴い、山折線より側方の部分から成る脚体部を、底壁の谷折線と山折線に挟まれた受板部と共に縦位置に回転させ、受板部を折り返すと、底壁の谷折線に挟まれた載置部が受板部に載るように脚体部で持上状態に支持されるようにしたのである。
【0009】
また、前記天壁に天切線を、側壁に側切線を間隔をあけて2本設け、その切断に伴い、天壁及び両側壁を左右に分割可能としたのである。
【0010】
さらに、前記側壁の2本の側切線を、下方へかけて間隔が広がるように傾斜させ、受板部の折り返しに伴い、載置部が脚体部の外側部分をなす天壁の上端よりも下がるようにしたのである。
【発明の効果】
【0011】
この包装箱では、商品を載せた載置部を脚体部により持ち上げた状態で、谷折線及び山折線での折り曲げが反発で戻ろうとしても、その反発力は載置部をさらに上昇させる方向に作用し、脚体部に回転力が生じないので、商品を確実に持上状態に支持して、高い位置で展示でき、優れた訴求効果を得ることができる。
【0012】
また、受板部の折り返しに伴い、載置部が脚体部の外側部分をなす天壁の上端よりも下がるようにして、この天壁で商品を外側から支えることにより、載置部からの商品の転落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明に係る持上支持機能付き包装箱のブランクを示す図
【図2】同上の包装状態を示す斜視図
【図3】同上の展示状態への転換時の切断過程を示す斜視図
【図4】同上の展示状態への転換時の変形過程を示す斜視図
【図5】同上の展示状態を示す斜視図
【図6】同上の包装状態から展示状態への転換時の各過程を示す正面図
【図7】従来の持上支持機能付き包装箱の包装状態を示す斜視図
【図8】同上の持上支持状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
この持上支持機能付き包装箱は、小箱入りの菓子等の商品を集積して包装するラップラウンド形式の段ボール箱であり、図1に示すようなブランクから形成される。このブランクは、底壁1、天壁2、一対の側壁3及び継代片4の長辺同士を組立時に角筒状となるように一列に連設し、側壁3の両短辺に内端板5を、底壁1及び天壁2の両短辺に外端板6をそれぞれ連設したものとされている。
【0016】
天壁2には、両側壁3に亘る2本の平行な天切線7が設けられ、各側壁3には、天切線7に続いて、組立時の下方へかけて間隔が広がるように傾斜した2本の側切線8が設けられている。また、継代片4にも、側壁3の側切線8と重なるように側切線8が設けられている。底壁1と側壁3及び継代片4との境界には、側切線8に続いて、内側へ延びる底切線9が設けられている。
【0017】
また、各側壁3の中間部には、2本の側切線8に亘り、中央部が天壁2側へ弧状に膨出した横切線10が設けられている。
【0018】
天切線7、側切線8、底切線9及び横切線10は、切目と繋部が交互に断続するミシン目状の切目線とされ、繋部の破断に伴い切断されるようになっている。
【0019】
底壁1の両側部には、底切線9の内端に続いて、幅方向に延びる谷折線11と、これより外端板6側で幅方向に延びる山折線12とが設けられている。谷折線11は、段ボールの表側から入れた押罫とされ、山折線12は、段ボールの裏側から入れた押罫と切目とが断続するリード罫とされている。
【0020】
谷折線11は、底壁1の側壁3及び継代片4との境界寄りの部分のみに存在し、同一線上の谷折線11に挟まれた部分には、外側へ張り出したコ字状の載切線13が設けられている。載切線13は、切目と繋部が交互に断続するミシン目状の切目線とされている。
【0021】
継代片4には、谷折線11の延長線上に、展示状態への転換時に撓みを許容するため、切目を入れて補助罫14が設けられている。
【0022】
このようなブランクを組み立てて菓子等の商品を包装する際には、図2に示すように、底壁1、天壁2及び一対の側壁3を角筒状に折り曲げ、商品を包み込んだ状態で、継代片4を反対側の側壁3の内面に貼り付け、内端板5及び外端板6を順次内側へ折り曲げて貼り合わせることにより、一対の端壁15を形成して封緘する。
【0023】
一方、このように包装した商品を小売店へ配送し、図2及び図6(a)に示す包装状態から、店頭で展示状態へ転換する際には、側壁3の横切線10の直下部分を押して、図3に示すように、横切線10を切断し、横切線10の直上部分を持ち上げて、横切線10より上方の2本の側切線8及び天切線7を切断し、天切線7と側切線8に挟まれた帯状部分を切り取って、天壁2及び両側壁3を左右に分割する。
【0024】
次に、図4及び図6(b)に示すように、側壁3において、横切線10より下方の2本の側切線8を切断した後、底切線9を切断しつつ、谷折線11を軸として、山折線12より側方の部分から成る脚体部16を、谷折線11と山折線12に挟まれた受板部17と共に縦方向へ回転させる。
【0025】
そして、図6(c)に示すように、脚体部16及び受板部17が直立した状態から、図5及び図6(d)に示すように、谷折線11及び山折線12における相反する方向への折り曲げに伴い、受板部17を折り返すと、谷折線11に挟まれた載置部18が受板部17に載るように脚体部16で持上状態に支持される。
【0026】
このとき、載置部18は、載切線13の形状に従って、谷折線11の間の部分が左右へ張り出すので、商品Gが左右方向に安定して支持される。また、載置部18の前後に繋がった側壁3の残存部は、その両端部を撓ませつつつ、脚体部16の側壁3の内側に沿わせると、起立状態に保持される。
【0027】
上記のような包装箱では、商品Gを載せた載置部18を脚体部16により持ち上げた状態で、商品Gが順次抜き取られて荷重が減少し、谷折線11及び山折線12での折り曲げが反発で戻ろうとしても、その反発力は、載置部18をさらに上昇させる方向に作用し、脚体部16に回転力が生じないので、脚体部16が起立状態で安定する。
【0028】
このため、商品Gを確実に持上状態に支持して、店頭什器の落下防止壁より高い位置で展示でき、商品Gを目立たせて、優れた訴求効果を得ることができる。
【0029】
また、受板部17の折り返しに伴い、載置部18が脚体部16の外側部分を形成する天壁2の上端よりも下がるので、この天壁2で商品Gを外側から支えることにより、載置部18からの商品Gの側方への転落を防止することができ、載置部18の前後から起立する側壁3の残存部により、商品Gの前後方向への転落も防止することができる。
【0030】
さらに、載置部18を介して脚体部16が繋がっているので、包装状態から展示状態への転換作業を容易に行なうことができ、通常の包装箱と同様の輪郭を有する1枚のブランクから形成できるので、段ボールの使用量が増大することがなく、包装コストを抑制することができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、天切線7が2本のものを例示したが、長手方向の寸法が小さい包装箱では、天切線7を1本のみとしてもよい。
【0032】
また、天切線7、側切線8、底切線9及び横切線10がミシン目状の切目線となったものを例示したが、天壁2や側壁3やその稜部、側壁3と底壁1の稜部等を部分的に打ち抜いて貫窓を設け、この貫窓を介して切断が連続するようにしてもよい。
【0033】
また、ラップラウンド形式の段ボール箱を例示したが、溝切り型段ボール箱やタックエンドカートン等においても、同様の構成により、持上支持機能を付与することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 底壁
2 天壁
3 側壁
4 継代片
5 内端板
6 外端板
7 天切線
8 側切線
9 底切線
10 横切線
11 谷折線
12 山折線
13 載切線
14 補助罫
15 端壁
16 脚体部
17 受板部
18 載置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁(1)、天壁(2)、それぞれ対向する側壁(3)及び端壁(15)から成る包装箱において、前記天壁(2)及び両側壁(3)を左右に分割可能とし、底壁(1)の両側部に、前後方向に延びる谷折線(11)と、その端壁(15)側に並行する山折線(12)とを設け、展示状態への転換に際して、天壁(2)及び両側壁(3)を分割し、底壁(1)の谷折線(11)及び山折線(12)での折り曲げに伴い、山折線(12)より側方の部分から成る脚体部(16)を、底壁(1)の谷折線(11)と山折線(12)に挟まれた受板部(17)と共に縦位置に回転させ、受板部(17)を折り返すと、底壁(1)の谷折線(11)に挟まれた載置部(18)が受板部(17)に載るように脚体部(16)で持上状態に支持されるようにしたことを特徴とする持上支持機能付き包装箱。
【請求項2】
前記天壁(2)に天切線(7)を、側壁(3)に側切線(8)を間隔をあけて2本設け、その切断に伴い、天壁(2)及び両側壁(3)を左右に分割可能としたことを特徴とする請求項1に記載の持上支持機能付き包装箱。
【請求項3】
前記側壁(3)の2本の側切線(8)を、下方へかけて間隔が広がるように傾斜させ、受板部(17)の折り返しに伴い、載置部(18)が脚体部(16)の外側部分をなす天壁(2)の上端よりも下がるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の持上支持機能付き包装箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−251720(P2011−251720A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125751(P2010−125751)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】