説明

指紋照合方法及び指紋照合装置

【課題】 少ない処理負荷で指紋の照合処理を行う指紋照合方法及び装置を提供する。
【解決手段】 採取された指紋画像からN(Nは4以上の整数)個の採取特徴点を抽出し、各採取特徴点と該各採取特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接採取特徴点とを結ぶ複数の採取結線から得られる採取数値群を採取数値情報として該各採取特徴点に付与し、採取特徴点に付与された採取数値群の各採取数値とN(Nは4以上の整数)個の登録特徴点それぞれに付与された登録数値群の各登録数値とを比較し、登録数値と一致した採取数値に該登録数値が付与された登録特徴点を割り振り、各採取数値に割り振られた登録特徴点を用いてm(mは整数)個の採取特徴点とm個の登録特徴点とを一対一に対応付け、m個の採取特徴点間の位置関係とm個の登録特徴点間の位置関係とを比較照合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋照合方法及び指紋照合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子決済等の機密保持性が要求される分野では、個人を同定するために指紋を用いた認証処理が行われる場合がある。認証処理では、例えば指紋の画像が取り込まれる。この場合、プログラム処理により、対となる秘密鍵及び公開鍵を用い、暗号化された指紋画像を復号化した画像により照合を行うことで機密保持性を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、取り込まれた指紋画像からは、特徴点が抽出可能である。ここで指紋画像の特徴点は、例えば指紋の稜線の分岐点や端点である。このような特徴点の分布は、指紋ごとに異なる。そのため、抽出された特徴点の位置と予め登録された特徴点の位置とを比較する指紋照合処理により、個人を同定することができる。
【特許文献1】特開2002−101092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指紋画像の特徴点を用いた照合処理では、登録された複数の特徴点の分布のどの部分に、しかもどの向きに該当するかを探索した上で、特徴点の分布が一致するか否かを判別する必要がある。しかしながら、特許文献1に開示された技術では、暗号化及び復号化に用いる鍵の管理が煩雑となる。また、画像の復号化処理に加え、本人の認証に必要な指紋照合処理を行うため、処理負荷が増大する。指紋照合処理において、取り込まれた指紋画像から抽出された特徴点を、個人を同定するために予め登録された固有の特徴点に対応付ける処理を行う必要があるからである。ICカード等の携帯型の情報機器への適用を考慮した場合、できるだけ少ない処理負荷で照合処理を行うことができることが望ましい。
【0005】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より少ない処理負荷で指紋の照合処理を行うことができる指紋照合方法及び指紋照合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、指紋画像を用いた指紋照合方法であって、採取された指紋画像からN(Nは4以上の整数)個の採取特徴点を抽出し、各採取特徴点と該各採取特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接採取特徴点とを結ぶ複数の採取結線から得られる採取数値群を採取数値情報として該各採取特徴点に付与し、前記採取数値情報と、N(Nは4以上の整数)個の登録特徴点それぞれに付与された登録数値群である登録数値情報との比較結果に基づき、m(3≦m≦N、mは整数)個の採取特徴点をm個の登録特徴点にそれぞれ対応付けし、前記m個の採取特徴点間の位置関係と、前記m個の登録特徴点間の位置関係とを比較照合する指紋照合方法に関係する。
【0007】
ここで、採取特徴点に近接するL個の近接採取特徴点は、該採取特徴点に近い該採取特徴点とは異なる他のL個の採取特徴点である。
【0008】
本発明においては、抽出した採取特徴点ごとに、近接する他のL個の近接採取特徴点との間の位置関係に基づいて生成した採取数値が付与される。その後、抽出された採取特徴点ごとに、採取数値と登録数値情報の各登録数値とが比較されて、m個の採取特徴点とm個の登録特徴点とが対応付けられる。そして、m個の採取特徴点間の位置関係と、m個の登録特徴点間の位置関係とが比較照合され、個人の同定が行われる。
【0009】
これにより、全ての採取特徴点について、登録特徴点と比較する必要がなくなり、より少ない処理負荷で照合することができる。また、数値情報の比較のみで本人と認証される偶然性を排除し、高い安全性が維持される指紋照合を実現することができる。
【0010】
また本発明は、指紋画像を用いた指紋照合方法であって、採取された指紋画像からN(Nは4以上の整数)個の採取特徴点を抽出し、各採取特徴点と該各採取特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接採取特徴点とを結ぶ複数の採取結線から得られる採取数値群を採取数値情報として該各採取特徴点に付与し、採取特徴点に付与された採取数値群の各採取数値と、N(Nは4以上の整数)個の登録特徴点それぞれに付与された登録数値群の各登録数値とを比較し、登録数値と一致した採取数値に、該登録数値が付与された登録特徴点を割り振り、各採取数値に割り振られた登録特徴点を用いて、m個の採取特徴点とm個の登録特徴点とを対応付け、前記m個の採取特徴点間の位置関係と、前記m個の登録特徴点間の位置関係とを比較照合する指紋照合方法に関係する。
【0011】
本発明においては、抽出した採取特徴点ごとに、近接する他のL個の近接採取特徴点との間の位置関係に基づいて生成した採取数値が付与される。そして、採取特徴点に付与された採取数値群の各採取数値と、各登録特徴点に付与された登録数値群の各登録数値とを比較し、登録数値と一致した採取数値に、該登録数値が付与された登録特徴点を割り振る。さらに、各採取数値に割り振られた登録特徴点を用いて、m個の採取特徴点とm個の登録特徴点とを対応付けるようにしている。その後、m個の採取特徴点間の位置関係と、m個の登録特徴点間の位置関係とが比較照合され、個人の同定が行われる。
【0012】
これにより、登録特徴点の分布のどの部分に、しかもどの向きに、抽出された採取特徴点が対応するかといった複雑な処理の負荷を、登録特徴点及び採取特徴点に付与された数値情報の比較処理により大幅に軽減することができる。また、採取特徴点及び登録特徴点の対応付けが行われた後、各特徴点間の位置関係を照合することで、数値情報の比較のみで本人と認証される偶然性を排除し、高い安全性が維持される指紋照合を実現することができる。
【0013】
また本発明に係る指紋照合方法では、採取数値群のうち登録特徴点が割り振られなかった採取数値が第1の割合以上存在する採取特徴点を削除し、削除された採取特徴点を除く採取特徴点の各採取数値に割り振られた登録特徴点を用いて、m個の採取特徴点とm個の登録特徴点とを対応付け、前記m個の採取特徴点間の位置関係と、前記m個の登録特徴点間の位置関係とを比較照合することができる。
【0014】
本発明においては、採取数値群のうち登録特徴点が割り振られなかった採取数値が第1の割合以上存在する採取特徴点を削除して、対応付けられた採取特徴点と登録特徴点それぞれの位置関係を比較照合する。これにより、例えば削除後の採取特徴点について再度近接採取特徴点との位置関係に基づく数値情報を用いることで、特徴点同士の照合処理の確度を大幅に向上させることができるようになる。
【0015】
また本発明に係る指紋照合方法では、採取特徴点に付与された採取数値群の各採取数値に割り振られた登録特徴点が第2の割合以上共通する登録特徴点を、該採取特徴点に対応付け、登録特徴点に対応付けられた採取特徴点の数がm個以上のとき、該採取特徴点間の位置関係と、該採取特徴点に対応付けられた登録特徴点間の位置関係とを比較照合することができる。
【0016】
本発明においては、上述のように数値情報の比較処理のみで各採取数値に割り振った登録特徴点が、1つの採取特徴点に付与された採取数値群において第2の割合以上共通する場合に、該採取特徴点と該登録特徴点とを対応付けるようにしている。こうすることで、照合の確度をより向上させることができ、数値情報の比較のみで本人と認証される偶然性を排除することができる。
【0017】
また本発明に係る指紋照合方法では、採取数値群のうち登録特徴点が割り振られなかった採取数値が第1の割合以上存在する採取特徴点を削除し、削除された採取特徴点を除く採取特徴点に付与された採取数値群の各採取数値に割り振られた登録特徴点が第2の割合以上共通する登録特徴点を、該採取特徴点に対応付け、登録特徴点に対応付けられた採取特徴点の数がm個以上のとき、該採取特徴点間の位置関係と、該採取特徴点に対応付けられた登録特徴点間の位置関係とを比較照合することができる。
【0018】
本発明によれば、登録特徴点の分布のどの部分に、しかもどの向きに、抽出された採取特徴点が対応するかといった複雑な処理の負荷を、登録特徴点及び採取特徴点に付与された数値情報の比較処理により、大幅に軽減することができる。また、採取特徴点及び登録特徴点の対応付けが行われた後、各特徴点間の位置関係を照合することで、数値情報の比較のみで本人と認証される偶然性を排除し、高い安全性が維持される指紋照合を実現することができる。
【0019】
さらに、1つの採取特徴点に付与された採取数値群において第2の割合以上共通する場合に、該採取特徴点と該登録特徴点とを対応付けるようにしたので、処理負荷の軽減を図りながら、照合の確度をより向上させることができる。
【0020】
また本発明に係る指紋照合方法では、登録すべき指紋画像から抽出されたN個の登録特徴点の各登録特徴点と、該各登録特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接登録特徴点とを結ぶ複数の登録結線から得られる前記登録数値群を、該各登録特徴点に付与することができる。
【0021】
本発明によれば、採取特徴点の抽出に先立って、採取特徴点に付与される採取数値と同様の手法で作成された登録数値情報を各登録特徴点に付与することにより、照合確度が高く、かつ処理負荷が軽減される指紋照合処理の装置への実装を容易にすることができる。
【0022】
また本発明に係る指紋照合方法では、LがL以上が好ましい。こうすることにより、登録数値情報の精度が向上し、採取数値情報との比較照合の容易化と確度の向上とを図ることができる。
【0023】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録数値群の登録数値は、前記複数の登録結線の各登録結線の長さを含み、前記採取数値群の採取数値は、前記複数の採取結線の各採取結線の長さを含むことができる。
【0024】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録数値群の登録数値は、前記複数の登録結線の各登録結線同士がなす角度を含み、前記採取数値群の採取数値は、前記複数の採取結線の各採取結線同士がなす角度を含むことができる。
【0025】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録数値群の登録数値は、前記複数の登録結線の各登録結線の長さと該各登録結線同士がなす角度とを含み、前記採取数値群の採取数値は、前記複数の採取結線の各採取結線の長さと該各採取結線同士がなす角度とを含むことができる。
【0026】
本発明によれば、各採取特徴点及び各登録特徴点に、他の特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。また、採取特徴点に付与される採取数値情報及び登録特徴点に付与される登録数値情報を簡素な処理で求めることができるので、指紋照合処理における処理負荷を大幅に軽減することができる。
【0027】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録数値群の登録数値は、登録特徴点を始点として結ばれる登録結線を該登録特徴点を始点とする登録ベクトルとした場合に、登録ベクトル同士で作られる内積値を含み、前記採取数値群の採取数値は、採取特徴点を始点として結ばれる採取結線を該採取特徴点を始点とする採取ベクトルとした場合に、採取ベクトル同士で作られる内積値を含むことができる。
【0028】
本発明によれば、登録ベクトル同士で作られる内積値を含む登録数値群と、採取ベクトル同士で作られる内積値を含む採取数値群とを用いて数値情報の比較を行うようにしたので、指紋照合の確度を高めると共に、各数値情報の情報量を削減することができる。
【0029】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録数値群の登録数値は、前記複数の登録結線の各登録結線を横切る指紋稜線数を含み、前記採取数値群の採取数値は、前記複数の採取結線の各採取結線を横切る指紋稜線数を含むことができる。
【0030】
本発明によれば、各人の間で異なる指紋の稜線の態様を、登録結線及び採取結線を横切る指紋の稜線数により登録特徴点の分布及び採取特徴点の分布を数値情報として表すようにしたので、数値情報の情報量の削減と共に、照合の確度を向上させることができる。
【0031】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録数値群の登録数値は、前記複数の登録結線の各登録結線を横切る指紋稜線数と、該各登録結線同士がなす角度とを含み、前記採取数値群の採取数値は、前記複数の採取結線の各採取結線を横切る指紋稜線数と、該各採取結線同士がなす角度とを含むことができる。
【0032】
本発明によれば、指紋稜線数に加えて登録結線同士がなす角度、採取結線同士がなす角度を含めるようにしたので、指紋照合の角度をより一層向上させることができる。
【0033】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録数値群の登録数値は、登録結線を横切る指紋稜線数をベクトル長として登録特徴点を始点とする登録稜線ベクトルを定義した場合に、登録稜線ベクトル同士で作られる内積値を含み、前記採取数値群の採取数値は、採取結線を横切る指紋稜線数をベクトル長として採取特徴点を始点とする採取稜線ベクトルを定義した場合に、採取稜線ベクトル同士で作られる内積値を含むことができる。
【0034】
本発明によれば、指紋稜線数をベクトル長とするベクトルにより作られる内積値を含む数値情報により照合を行うようにしたので、照合処理に必要な数値情報の情報量を削減することができる。
【0035】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録特徴点が第1種特徴点の場合に該登録特徴点に実数単位値を付与し、前記登録特徴点が第2種特徴点の場合に該登録特徴点に虚数単位値を付与し、前記登録数値群の登録数値は、前記登録結線の両端に位置する登録特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値と該登録結線の長さとの積を含み、前記採取特徴点が第1種特徴点の場合に該採取特徴点に実数単位値を付与し、前記採取特徴点が第2種特徴点の場合に該採取特徴点に虚数単位値を付与し、前記採取数値群の採取数値は、前記採取結線の両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値と該採取結線の長さとの積を含むことができる。
【0036】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録特徴点が第1種特徴点の場合に該登録特徴点に実数単位値を付与し、前記登録特徴点が第2種特徴点の場合に該登録特徴点に虚数単位値を付与し、前記登録数値群の登録数値は、前記複数の登録結線中の2本の登録結線がなす角度と該2本の登録結線の両端に位置する登録特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積を含み、前記採取特徴点が第1種特徴点の場合に該採取特徴点に実数単位値を付与し、前記採取特徴点が第2種特徴点の場合に該採取特徴点に虚数単位値を付与し、前記採取数値群の採取数値は、前記複数の採取結線中の2本の採取結線がなす角度と該2本の採取結線の両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積を含むことができる。
【0037】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録特徴点が第1種特徴点の場合に該登録特徴点に実数単位値を付与し、前記登録特徴点が第2種特徴点の場合に該登録特徴点に虚数単位値を付与し、前記登録数値群の登録数値は、前記登録結線の両端に位置する登録特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値と該登録結線の長さとの積を含むと共に、前記複数の登録結線中の2本の登録結線がなす角度と該2本の登録結線の両端に位置する登録特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積を含み、前記採取特徴点が第1種特徴点の場合に該採取特徴点に実数単位値を付与し、前記採取特徴点が第2種特徴点の場合に該採取特徴点に虚数単位値を付与し、前記採取数値群の採取数値は、前記採取結線の両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値と該採取結線の長さとの積を含むと共に、前記複数の採取結線中の2本の採取結線がなす角度と該2本の採取結線の両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積を含むことができる。
【0038】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録特徴点が第1種特徴点の場合に該登録特徴点に実数単位値を付与し、前記登録特徴点が第2種特徴点の場合に該登録特徴点に虚数単位値を付与し、前記登録数値群の登録数値は、登録特徴点を始点として結ばれる登録結線を、該登録特徴点を始点とする登録ベクトルとした場合に、登録ベクトル同士で作られる内積値と該登録ベクトルの始点及び終点に位置する登録特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積を含み、前記採取特徴点が第1種特徴点の場合に該採取特徴点に実数単位値を付与し、前記採取特徴点が第2種特徴点の場合に該採取特徴点に虚数単位値を付与し、前記採取数値群の採取数値は、採取特徴点を始点として結ばれる採取結線を、該採取特徴点を始点とする採取ベクトルとした場合に、採取ベクトル同士で作られる内積値と該採取ベクトルの始点及び終点に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積を含むことができる。
【0039】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録特徴点が第1種特徴点の場合に該登録特徴点に実数単位値を付与し、前記登録特徴点が第2種特徴点の場合に該登録特徴点に虚数単位値を付与し、前記登録数値群の登録数値は、前記登録結線の両端に位置する登録特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値と該登録結線を横切る指紋稜線数との積を含み、前記採取特徴点が第1種特徴点の場合に該採取特徴点に実数単位値を付与し、前記採取特徴点が第2種特徴点の場合に該採取特徴点に虚数単位値を付与し、前記採取数値群の採取数値は、前記採取結線の両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値と該採取結線を横切る指紋稜線数との積を含むことができる。
【0040】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録特徴点が第1種特徴点の場合に該登録特徴点に実数単位値を付与し、前記登録特徴点が第2種特徴点の場合に該登録特徴点に虚数単位値を付与し、前記登録数値群の登録数値は、登録結線を横切る指紋稜線数をベクトル長として登録特徴点を始点とする登録稜線ベクトルを定義した場合に、登録稜線ベクトル同士で作られる内積値と該登録稜線ベクトルの始点及び終点に位置する登録特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積を含み、前記採取特徴点が第1種特徴点の場合に該採取特徴点に実数単位値を付与し、前記採取特徴点が第2種特徴点の場合に該採取特徴点に虚数単位値を付与し、前記採取数値群の採取数値は、採取結線を横切る指紋稜線数をベクトル長として前記採取特徴点を始点とする採取稜線ベクトルを定義した場合に、採取稜線ベクトル同士で作られる内積値と該採取稜線ベクトルの始点及び終点に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積を含むことができる。
【0041】
本発明においては、各採取特徴点及び各登録特徴点に、他の採取特徴点及び他の登録特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。また、実数又は複素数で表現される数値情報群によって、抽出された特徴点の分布が特定される。したがって、他の特徴点同士を結ぶ線分の長さが同じ場合でも、両端に位置する特徴点の種類が異なれば、当該特徴点に、異なった数値情報を付与することができる。その結果、採取特徴点及び登録特徴点の照合結果を精度良く求めることができることを意味する。
【0042】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記第1種特徴点が指紋稜線の端点であり、前記第2種特徴点が指紋稜線の分岐点であってもよい。
【0043】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記第1種特徴点が指紋稜線の分岐点であり、前記第2種特徴点が指紋稜線の端点であってもよい。
【0044】
本発明によれば、指紋の稜線の態様として一般的な分岐点及び端点を、各特徴点の種類として区別し、各特徴点に付与される数値情報に反映させるようにしたので、分岐点及び端点を求める処理を流用することができ、かつ照合確度の高い指紋照合方法を提供することができる。
【0045】
また本発明は、指紋画像からN(Nは4以上の整数)個の採取特徴点を抽出する特徴点抽出部と、各採取特徴点と該各採取特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接採取特徴点とを結ぶ複数の採取結線から得られる採取数値群を採取数値情報として該各採取特徴点に付与し、前記採取数値情報と、N(Nは4以上の整数)個の登録特徴点それぞれに付与された登録数値群である登録数値情報との比較結果に基づき、m(3≦m≦N、mは整数)個の採取特徴点をm個の登録特徴点にそれぞれ対応付けする画像解析部と、前記m個の採取特徴点間の位置関係と、前記m個の登録特徴点間との位置関係とを比較照合する照合部とを含む指紋照合装置に関係する。
【0046】
また本発明に係る指紋照合装置では、前記指紋画像を取り込む指紋画像取込部を含むことができる。
【0047】
また本発明に係る指紋照合装置では、前記登録数値情報を生成する登録部を含み、前記登録部は、登録すべき指紋画像から抽出されたN個の登録特徴点の各登録特徴点と、該各登録特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接登録特徴点とを結ぶ複数の登録結線から得られる数値群であって、該各登録特徴点に付与される前記登録数値情報を生成することができる。
【0048】
また本発明に係る指紋照合装置では、LがL以上であってもよい。
【0049】
また本発明は、指紋画像を用いた指紋照合方法であって、採取された指紋画像からN(Nは4以上の整数)個の採取特徴点を抽出し、各採取特徴点と該各採取特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接採取特徴点とを結ぶ複数の採取結線から得られる採取数値群を採取数値情報として該各採取特徴点に付与し、採取特徴点に付与された採取数値群の各採取数値と、N(Nは4以上の整数)個の登録特徴点それぞれに付与された登録数値群の各登録数値とを比較し、登録数値と一致した採取数値に、該登録数値が付与された登録特徴点を割り振り、各採取数値に割り振られた登録特徴点を用いて、m(mは整数)個の採取特徴点とm個の登録特徴点とを一対一に対応付け、前記m個の採取特徴点間の位置関係と、前記m個の登録特徴点間の位置関係とを比較照合する指紋照合方法に関係する。
【0050】
また本発明に係る指紋照合方法では、採取数値群のうち登録特徴点が割り振られなかった採取数値が第1の割合以上存在する採取特徴点を削除し、削除された採取特徴点を除く採取特徴点の各採取数値に割り振られた登録特徴点を用いて、m個の採取特徴点とm個の登録特徴点とを対応付け、前記m個の採取特徴点間の位置関係と、前記m個の登録特徴点間の位置関係とを比較照合することができる。
【0051】
また本発明に係る指紋照合方法では、登録すべき指紋画像から抽出されたN個の登録特徴点の各登録特徴点と、該各登録特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接登録特徴点とを結ぶ複数の登録結線から得られる前記登録数値群を、該各登録特徴点に付与することができる。
【0052】
また本発明に係る指紋照合方法では、LがL以上であってもよい。
【0053】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録数値群の登録数値は、前記複数の登録結線の各登録結線の長さを含み、前記採取数値群の採取数値は、前記複数の採取結線の各採取結線の長さを含むことができる。
【0054】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録数値群の登録数値は、前記複数の登録結線の各登録結線同士がなす角度を含み、前記採取数値群の採取数値は、前記複数の採取結線の各採取結線同士がなす角度を含むことができる。
【0055】
また本発明に係る指紋照合方法では、前記登録数値群の登録数値は、前記複数の登録結線の各登録結線の長さと該各登録結線同士がなす角度とを含み、前記採取数値群の採取数値は、前記複数の採取結線の各採取結線の長さと該各採取結線同士がなす角度とを含むことができる。
【0056】
また本発明は、指紋画像からN(Nは4以上の整数)個の採取特徴点を抽出する特徴点抽出部と、各採取特徴点と該各採取特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接採取特徴点とを結ぶ複数の採取結線から得られる採取数値群を採取数値情報として該各採取特徴点に付与し、採取特徴点に付与された採取数値群の各採取数値と、N(Nは4以上の整数)個の登録特徴点それぞれに付与された登録数値群の各登録数値とを比較し、登録数値と一致した採取数値に、該登録数値が付与された登録特徴点を割り振り、各採取数値に割り振られた登録特徴点を用いて、m(mは整数)個の採取特徴点とm個の登録特徴点とを一対一に対応付けする画像解析部と、前記m個の採取特徴点間の位置関係と、前記m個の登録特徴点間との位置関係とを比較照合する照合部とを含む指紋照合装置に関係する。
【0057】
また本発明に係る指紋照合装置では、前記指紋画像を取り込む指紋画像取込部を含むことができる。
【0058】
また本発明に係る指紋照合装置では、前記登録数値群を生成する登録部を含み、前記登録部は、登録すべき指紋画像から抽出されたN個の登録特徴点の各登録特徴点と、該
各登録特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接登録特徴点とを結ぶ複数の登録結線から得られる数値群であって、該各登録特徴点に付与される前記登録数値群を生成することができる。
【0059】
また本発明に係る指紋照合装置では、LがL以上であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0061】
1. 指紋照合方法
図1に、以下の実施形態に係る指紋照合処理の流れの概要を示す。以下に説明する指紋照合処理においては、取得した指紋画像を用いて照合が行われる。そのため、まず指紋画像が取得される(ステップS10)。その次に、取得した指紋画像からN(Nは4以上の整数)個の特徴点(採取特徴点)が抽出される(ステップS11)。
【0062】
図2に、指紋画像から抽出された特徴点について説明するための図を示す。図2において、指紋画像は、指紋の凸部である稜線の形態を表している。指紋画像は、特徴点を有している。この特徴点は、分岐点B及び端点Tである。指紋画像の分岐点Bは、指紋の稜線が2以上の稜線に分岐する部分である。また指紋画像の端点Tは、指紋の稜線が終端する部分である。
【0063】
指紋の形態が同一となることがないため、その分岐点又は端点の分布も個人によって異なる。したがって、指紋画像の分岐点又は端点を求めることができれば、求めた分岐点又は端点の分布のみを比較すればよいので、比較すべき情報量が少なくなり比較処理の負荷を軽減することができる。
【0064】
図1に戻って説明を続ける。抽出された採取特徴点には、それぞれ採取数値情報が付与される(ステップS12)。採取数値情報は、採取特徴点と該採取特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の採取特徴点(近接採取特徴点)とを結ぶ複数の線分(採取結線)から得られる。ここで、採取特徴点に近接するL個の近接採取特徴点は、該採取特徴点に近い順に第1近接採取特徴点、第2近接採取特徴点、・・・、第L近接採取特徴点と呼ぶ他のL個の採取特徴点ということができる。Lは、3又は4であることが理想であり、さらに照合の確度を高めるためにはLを5とすることができる。また、処理の簡素化のためにLを2とすることも可能である。
【0065】
一方、照合処理に先立って、同定する個人の指紋画像のN(Nは4以上の整数)個の特徴点を登録特徴点として、各登録特徴点に登録数値情報が付与されている。そして、抽出された採取特徴点ごとに付与された採取数値情報と登録数値情報とを比較し(ステップS13)、両数値情報がある一定以上の割合で一致したm(3≦m≦N、mは整数)個の採取特徴点とm個の登録特徴点について、それぞれ対応付けがされる(ステップS14)。その後、対応付けされたm個の採取特徴点間の位置関係とm個の登録特徴点間の位置関係とが比較される(ステップS15)。
【0066】
比較の結果、ステップS14で対応付けされたm個の採取特徴点間の位置関係とm個の登録特徴点間の位置関係とが一致すると判別されたとき(ステップS16:Y)、ステップS10で取得された指紋画像は、登録された本人のものであると判断され、認証処理が行われる(ステップS17)。認証処理では、例えば登録された本人のものである旨の表示が行われる。
【0067】
一方、ステップS16で、対応付けされたm個の採取特徴点間の位置関係とm個の登録特徴点間の位置関係とが一致しないと判別されたとき(ステップS16:N)、登録された本人のものではないと判断され、非認証処理が行われる(ステップS18)。非認証処理では、例えば登録された本人のものではない旨の表示が行われる。
【0068】
このように図1に示す指紋照合処理においては、N個の採取特徴点のそれぞれについて、採取数値情報と登録数値情報とが比較され、その比較結果に基づいてm個の採取特徴点とm個の登録特徴点とが対応付けされる。すなわち、照合対象の採取特徴点及び登録特徴点の数が削減される。そして、照合対象の採取特徴点同士の位置関係と、該採取特徴点に対応付けされ個人を同定するための登録特徴点同士の位置関係との比較照合が行われる。これにより、全ての採取特徴点について、登録特徴点と照合する必要がなく、より少ない処理負荷で照合することができる。また、数値情報の比較のみで本人と認証される偶然性を排除し、高い安全性が維持される指紋照合を実現することができる。
【0069】
採取数値情報と登録数値情報との比較に基づき対応付けされた特徴点の組み合わせ数mが3以上の場合、少なくとも3点の採取特徴点と3点の登録特徴点とで位置関係が照合されることになり、偶然照合結果が一致するという誤認が排除される。これは、mが2の場合には線分長の一致しか検証できないために偶然一致の可能性を無視できないのに対し、mが3の場合には三角形の合同が照合条件となるために偶然一致の可能性が著しく小さくなるからである。
【0070】
理想的にはmが4で、4個以上の採取特徴点が同数の登録特徴点と位置関係が一致すると判断されたときに認証処理されるのが望ましい。4組の特徴点で位置関係が一致するとは、採取特徴点により作られた4個の三角形と、登録特徴点により作られた4個の三角形とがそれぞれ合同になることを意味するので、偶然一致の誤認はほぼ完璧に排除される。
【0071】
このように「位置関係が一致する」とは、m個の採取特徴点間に作られる個の三角形と、対応するm個の登録特徴点間に作られる個の三角形とがそれぞれ合同になることである。
【0072】
以下では、このような指紋画像の特徴点を用いた照合処理を、より具体的に説明する。
【0073】
1.1 第1の実施形態
第1の実施形態では、新たに定義される複素線分長を含む数値情報が、抽出された特徴点(採取特徴点又は登録特徴点)ごとに付与される。複素線分長は、線分(結線)の端点にそれぞれ付与された実数単位値(1)又は虚数単位値(i)と、該線分(結線)の長さとの積により表される。したがって、抽出された特徴点ごとに実数(正数、負数)又は複素数で表現される数値情報が付与される。これにより、各特徴点に、他の特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。また、実数又は複素数で表現される数値情報群によって、抽出された特徴点の分布が特定される。したがって、他の特徴点同士を結ぶ線分の長さが同じ場合でも、両端の特徴点の種類が異なれば、当該特徴点に、異なった数値情報を付与することができる。これは、特徴点の照合結果を精度良く求めることができることを意味する。
【0074】
図3(A)、(B)に、第1の実施形態において分岐点に付与される数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点が分岐点の場合に該採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点が分岐点の場合に該登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0075】
図3(A)においては、抽出された複数の採取特徴点のうち、1つの採取特徴点に近い順に4つの他の採取特徴点(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、着目する1つの採取特徴点が分岐点Bであり、第1近接採取特徴点が端点T、第2近接採取特徴点が分岐点B、第3近接採取特徴点が端点T、第4近接採取特徴点が分岐点Bであるものとする。そして、例えば第3近接採取特徴点までの各近接採取特徴点との間で結線処理を行うものとすると、採取特徴点Bは、採取特徴点T、B、Tとの間で結ばれる3本の線分(採取結線)の始点(終点)となる。
【0076】
分岐点である採取特徴点B、Bには、実数単位値(1)が付与される。また端点である採取特徴点T、Tには、虚数単位値(i)が付与される。そして、採取特徴点Bを始点として他の採取特徴点との間を結ぶ3本の採取結線それぞれについて、採取数値が求められる。図3(A)では、採取特徴点Bを始点に第1〜第3近接採取特徴点までの各近接採取特徴点を結ぶ複数の採取結線について、採取数値群が求められる。採取数値は、各採取結線の両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値と該各採取結線の長さとの積である。その結果、図3(B)に示すように、採取特徴点Bには、3本の採取結線について求められた採取数値群が、採取数値情報(Li1・i,Li2,Li3・i)として付与される。
【0077】
ここで複素線分長「Li1・i」は、実数単位値が付与された採取特徴点Bと虚数単位値が付与された端点Tとを結ぶ採取結線の長さLi1に対応した値である。複素線分長「Li2」は、実数単位値が付与された採取特徴点Bと実数単位値が付与された分岐点Bとを結ぶ採取結線の長さLi2に対応した値である。複素線分長「Li3・i」は、実数単位値が付与された採取特徴点Bと虚数単位値が付与された端点Tとを結ぶ採取結線の長さLi3に対応した値である。
【0078】
このように、採取特徴点Bに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、採取特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0079】
図4(A)、(B)に、第1の実施形態において端点に付与される数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点が端点の場合に該採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点が端点の場合に該登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。図4(A)においては、図3(A)と同様に、着目する端点に近い順に4つの他の採取特徴点(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、着目する1つの採取特徴点が端点Tであり、第1近接採取特徴点が端点T、第2近接採取特徴点が分岐点B、第3近接採取特徴点が端点T、第4近接採取特徴点が分岐点Bであるものとする。そして、例えば第3近接採取特徴点までの各近接採取特徴点との間で結線処理を行うものとすると、採取特徴点Tは、採取特徴点T、B、Tとの間で結ばれる3本の採取結線の始点となる。
【0080】
分岐点である採取特徴点Bには、実数単位値(1)が付与される。また端点である採取特徴点T、T、Tには、虚数単位値(i)が付与される。そして、採取特徴点Tを始点として他の採取特徴点との間を結ぶ3本の採取結線それぞれについて、採取数値が求められる。図4(A)では、採取特徴点Tを始点に第1〜第3近接採取特徴点までの各近接採取特徴点を結ぶ複数の採取結線について、採取数値群が求められる。採取数値は、各採取結線の両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値と該各採取結線の長さとの積である。その結果、図4(B)に示すように、採取特徴点Tには、3本の採取結線について求められた採取数値群が、採取数値情報(−Li1,Li2・i,−Li3)として付与される。
【0081】
ここで複素線分長「−Li1」は、虚数単位値が付与された採取特徴点Tと虚数単位値が付与された端点Tとを結ぶ採取結線の長さLi1に対応した値である。複素線分長「Li2・i」は、虚数単位値が付与された採取特徴点Tと実数単位値が付与された分岐点Bとを結ぶ採取結線の長さLi2に対応した値である。複素線分長「−Li3」は、虚数単位値が付与された採取特徴点Tと虚数単位値が付与された端点Tとを結ぶ採取結線の長さLi3に対応した値である。
【0082】
なお第3近接採取特徴点までの各近接採取特徴点について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0083】
図3(B)及び図4(B)に示すように、着目する採取特徴点の種類の応じて、他の採取特徴点との間の位置関係がほぼ同等であっても、採取特徴点に付与される数値情報を異ならせることができる。したがって、このような数値情報を用いて照合処理を行うことで、照合の確度を高めることが可能となる。
【0084】
以下では、このような数値情報が付与された特徴点を用いて指紋照合処理について説明する。まず指紋の照合処理を行うのに先立って、個人を同定するための登録数値情報の登録処理が行われる。登録数値情報は、個人の指紋画像から抽出された各特徴点(登録特徴点)について、上述と同様に付与される。また登録数値情報が付与される各登録特徴点には、位置情報もまた付与される。この位置情報としては、所与の平面座標系のX座標及びY座標を採用することができる。
【0085】
図5に、登録数値情報の登録処理の一例を示す。登録処理においても、まず同定する個人の指紋画像が取得される(ステップS20)。取得された指紋画像からN(Nは4以上の整数)個の登録特徴点が抽出される(ステップS21)。ステップS20で取得された指紋画像が例えば図2に示す指紋画像である場合、ステップS21で抽出された登録特徴点は図6に示すように特徴点抽出領域に点在する。図6では、分岐点(B)と、端点(T)とを区別して示している。これら分岐点及び端点からなる特徴点が、登録特徴点として登録されることになる。
【0086】
ステップS21で登録特徴点が抽出されると、各登録特徴点に名称が付けられる(ステップS22)。例えば図7に示すように、分岐点には登録分岐点を意味する「BR(Branch Registered)」と分岐点固有の番号とにより、それぞれ固有の名称が付けられる。また図7に示すように、端点には登録端点を意味する「TR(Terminal Registered)」と端点固有の番号により、それぞれ固有の名称が付けられる。
【0087】
次に、登録特徴点同士の結線処理が行われる(ステップS23)。より具体的には、登録特徴点と該登録特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の登録特徴点(近接登録特徴点)とを結び、複数の線分(登録結線)を(仮想的に)生成する。ここで、登録特徴点に近接するL個の近接登録特徴点は、該登録特徴点に近い順に第1近接登録特徴点、第2近接登録特徴点、・・・、第L近接登録特徴点と呼ぶ他のL個の登録特徴点ということができる。
【0088】
ところで、N又はNが3の場合には、近接採取特徴点の数又は近接登録特徴点の数が2となり、採取数値群又は登録数値群の情報量が少なくなってしまう。そのため、照合対象の指紋が誤って一致と判断される場合が発生し、照合の確度を低下させてしまう。そのため、N、Nはそれぞれ4以上の整数であることが望ましい。
【0089】
図8に、結線処理が行われた状態を説明する図を示す。ここでは、特徴点ごとに、第4近接登録特徴点(L=4)まで結線処理を行った場合を示している。各登録特徴点は、少なくとも4本の登録結線の始点となる。また相手方からの登録特徴点にとって第1〜第4近接登録特徴点のいずれかに該当する場合には、相手方の登録特徴点を始点とする登録結線の終点となり得るため、登録特徴点によっては5(=L+1)本以上の登録結線が設けられる場合もある。
【0090】
なお登録特徴点に付与される登録数値情報の情報量は、少なくとも照合処理において取得される指紋画像の特徴点に付与される数値情報の情報量と同等であることが望ましい。そのため、照合処理で第L近接採取特徴点までの結線処理により採取数値情報が付与される場合には、LがL以上であることが望ましい。この場合、登録処理で第L近接登録特徴点までの結線処理により付与された登録数値情報は、照合処理で第L近接採取特徴点までの結線処理により付与された採取数値情報より情報量が多くなる。
【0091】
やLには、それぞれ(a)式〜(c)式の条件が課せられるが、LやLが大きいと照合処理に負担がかかる。理想的には、Lが4、5、6又は7で、Lが2、3、4又は5である。
【0092】
2≦L≦N−1 ・・・(a)
2≦L≦N−1 ・・・(b)
≦L ・・・(c)
図8に示すように登録特徴点ごとに第L近接登録特徴点まで結線処理が行われると、各登録特徴点に登録数値情報が付与される(ステップS24)。ここで付与された登録数値情報が、登録される(ステップS25)。
【0093】
図8では端点に虚数単位値を付与し、分岐点に実数単位値を付与する例となっている。端点同士を結ぶ結線はそれ故負数が定められ、分岐点同士を結ぶ結線には正数が定められ、端点と分岐点とを結ぶ結線には虚数が定められる。図8では負数結線が二重線、正数結線が実線、虚数結線が破線で描かれている。
【0094】
図9に、登録数値情報の一例を示す。登録数値情報には、図8に示す特徴点を登録特徴点とし、各登録特徴点に対応した登録数値群が付与される。図8では第4近接登録特徴点まで結線処理を行ったため、図9に示す登録数値情報の各登録特徴点には、少なくとも4つの複素線分長を含む登録数値が付与されている。
【0095】
なお登録処理においては、各登録特徴点に付与される登録数値情報のみならず、各登録特徴点の位置情報もまた求められる。位置情報は、各登録登録点に対応付けて記憶される。
【0096】
続いて、上述の登録数値情報を用いた第1の実施形態における指紋照合処理を、具体的に説明する。
【0097】
図10に、第1の実施形態における指紋照合処理の一例を示す。図10は、図1を用いて説明した概要をより詳細に説明しており、図10のステップS32からステップS40が図1のステップS12からステップS16に対応する。具体的には、図10のステップS40のY出力が図1のステップS16のY出力に相当し、図10のステップS33のN出力が図1のステップS16のN出力に相当する。
【0098】
指紋照合処理においても、まず照合対象の指紋画像が取得される(ステップS30)。次に、取得された指紋画像からL個の特徴点(採取特徴点)が抽出される(ステップS31)。抽出された採取特徴点には、それぞれ名称が付けられる(ステップS32)。
【0099】
例えば図11に示すように、分岐点には検出分岐点を意味する「BD(Branch
Detected)」と分岐点固有の番号とにより、それぞれ固有の名称が付けられる。また図11に示すように、端点には検出端点を意味する「TD(Terminal Detected)」と端点固有の番号により、それぞれ固有の名称が付けられる。
【0100】
図11では、図6〜図8に示したように登録特徴点が抽出された領域に対し、照合対象の指紋が採取された指紋採取領域を示している。指紋採取領域では、誤って特徴点として抽出された誤出点や、本来抽出されるべき特徴点が抽出されなかった喪失点が存在し得る。図11では、抽出された採取特徴点のうち、採取特徴点BD3、BD4が誤出分岐点であり、採取特徴点TD3、TD4が誤出端点である。また図11においては、喪失端点が存在する。
【0101】
取得された指紋画像から抽出された採取特徴点と誤出点又は喪失点とが混在するため、照合処理において、採取特徴点が点在する登録特徴点のどの部分に該当するかを探索する必要がある。そこで第1の実施形態では、以下のように照合対象の採取特徴点数を削減した上で、確度の高い採取特徴点及び登録特徴点の位置確認を行うことで、処理負荷の軽減と安全性の維持とを両立させる。
【0102】
すなわち、ステップS32において図11に示すように名称が付けられると、まず照合対象の採取特徴点数が4以上存在するか否かを判別する(ステップS33)。採取特徴点数が4以上存在すると判別されたとき(ステップS33:Y)、採取特徴点ごとに第L近接採取特徴点までの結線処理が行われる(ステップS34)。
【0103】
図12に、第L近接採取特徴点までの結線処理が行われた状態を示す。ここでは、第3近接採取特徴点までの結線処理が行われた場合を示している(L=3)。採取特徴点同士を結ぶ採取結線の複素線分長が正数のときは実線、負数のときは二重線、虚数のときは破線で各採取結線を示している。
【0104】
図10において、ステップS34で結線処理が行われると、各採取特徴点の位置から、採取特徴点同士を結ぶ採取結線の長さが求められる。そして、各採取特徴点に、図3(A)、(B)、図4(A)、(B)に示したような複素線分長を含む採取数値情報が付与される(ステップS35)。その後、第1照合処理として、各採取特徴点に付与された採取数値ごとに登録特徴点に付与された登録数値情報の登録数値と照合する。そして登録数値と一致した採取数値に、該登録数値が付与された登録特徴点を割り振る(ステップS36)。
【0105】
図13に、第1照合処理の結果の一例を示す。ここでは、図11に示す採取特徴点ごとに、採取数値情報と図9に示す登録数値情報とが一致する登録特徴点が検出される。ここで登録数値情報の検索範囲は、特徴点の種類が同一の登録特徴点の範囲に限定することができる。例えば検出端点TD1の採取数値「15i」については、特徴点の種類が同一の端点であって該採取数値と同一の登録数値を有する端点の登録点TR1、TR3が検出される。同様に例えば検出分岐点BD2の採取数値「20i」については、特徴点の種類が同一の分岐点であって該採取数値と同一の登録数値を有する分岐点の登録点BR18が検出される。一方、検出分岐点BD2の採取数値「11i」と同じ登録数値を有する分岐点は存在しないので、図13では空欄になっている。
【0106】
こうして各採取特徴点に付与された採取数値ごとに、登録数値が一致する登録特徴点が検出されると、図10に示すように、照合対象の採取特徴点のうち、該採取特徴点に付与された採取数値群の採取数値に1つも登録特徴点が割り振られなかった誤数値がαパーセント(広義には第1の割合)以上存在する採取特徴点が削除される(ステップS37)。αは「51」〜「65」とする(51%<α%<65%)。理想的には、αは「60」である。
【0107】
例えばαを「60」(α%=60%)とすると、採取特徴点に付与された採取数値の数が4の場合、登録特徴点を割り振られなかった採取数値の数が2.4(=4×0.6)個以上存在する採取特徴点は削除される。同様に、採取特徴点に付与された採取数値の数が3の場合、登録特徴点を割り振られなかった採取数値の数が1.8(=3×0.6)個以上存在する採取特徴点も削除される。図13においては、検出特徴点TD1は、採取数値の数が3であり、特徴点を割り振られなかった採取数値の数は0であるため、削除の対象外となる。一方、検出分岐点BD4は、採取数値の数が3であり、特徴点を割り振られなかった採取数値の数は2であるため、先の基準に従い検出分岐点BD4は削除される。この結果、図14に示すように、検出端点TD3(誤数値75%)、TD4(誤数値75%)、検出分岐点BD4(誤数値67%)が削除される。
【0108】
このようにして照合対象の採取特徴点の数を削減した後、図10に示す指紋照合処理では、ある採取特徴点の採取数値群の各採取数値に割り振られた登録特徴点が、この採取数値群のβパーセント(広義には第2の割合)以上共通し、しかもそれが1種類の登録特徴点に限られる場合には、この登録特徴点を、該採取数値群を有する採取特徴点に対応付ける(ステップS38)。βは「51」以上「100」以下とする(51%≦β%≦100%)。理想的には、βは「60」である。
【0109】
そして、登録特徴点に対応付けされた採取特徴点がm個以上あるか否かが判別される(ステップS39)。その結果、登録特徴点に対応付けられた採取特徴点がm個以上存在すると判別されたとき(ステップS39:Y)、m個の採取特徴点間の位置関係と、該m個の採取特徴点に対応付けられたm個の登録特徴点の位置関係とが一致するか否かが判別される(ステップS40)。
【0110】
一方、登録特徴点に対応付けられた採取特徴点がm個以上存在しないと判別されたとき(ステップS39:N)、ステップS33に戻って、不一致特徴点が削除された状態で再び第L近接採取特徴点までの結線処理が行われることになる。
【0111】
図13に示す第1照合処理の結果では、検出端点TD2には4つの採取数値に対して3つの採取数値に共通して登録端点TR5が割り振られている。4つの採取数値に対して3つが共通しており、共通割合は75%である。先に示したβ%(第2の割合)を60%とすると、採取特徴点TD2には登録特徴点TR5が対応付けられる。同様にして、採取特徴点BD2には登録特徴点BR18が対応付けられ、採取特徴点BD6には登録特徴点BR16が対応付けられる。これに対して採取特徴点BD1には登録特徴点BR9、BR18が共に67%(=2/3)の割合で共通しているが、1つに定まらないので採取特徴点BD1には登録特徴点BR9も登録特徴点BR18も対応付けされない。
【0112】
結局、図13に示す第1照合処理の結果では、3つの採取特徴点TD2、BD2、BD6が、それぞれ登録特徴点TR5、BR18、BR16に対応付けされる。この場合、登録特徴点に対応付けられた採取特徴点の数mを3とすれば、対応付けられた採取特徴点が3個存在するので、ステップS39における判定は「Y」となり、採取特徴点TD2、BD2、BD6の位置関係が登録特徴点TR5、BR18、BR16の位置関係に一致するかが調べられる(ステップS40)。具体的には、採取特徴点TD2、BD2、BD6が作る三角形(採取三角形)と、登録特徴点TR5、BR18、BR16が作る三角形(登録三角形)とが合同か否かが判定される。登録数値や採取数値に各結線を横切る指紋稜線数を用いた場合、ステップS40の位置関係判定を採取三角形と登録三角形とが相似関係にあるかどうかで判定してもよい。こうすると、成長や体型変化等で指の大きさが変わっても認証できる。
【0113】
図10に戻り、登録特徴点に対応付けされた採取特徴点の数mが4個以上のとき(ステップS39)、位置関係の判定(ステップS40)に進む場合を考える。図13の第1の照合処理では、3点しか対応付けされていなかったので、誤数値が多い採取特徴点TD3、TD4、BD4を削除して採取特徴点数を数える判定(ステップS33)に戻る。
【0114】
図15に示すように、図10のステップS37で削除された不一致特徴点を除いた残りの採取特徴点の数は7個で4よりも大きいので(ステップS33:Y)、再び第3近接採取特徴点(L=3)までの結線処理が行われることになる(ステップS34)。その後、採取特徴点ごとに新たな結線処理後に改めて付与された採取数値(ステップS35)と、図9に示す登録特徴点に付与された各登録数値とを比較する第2照合処理が行われる(ステップS36)。
【0115】
図16に、第2照合処理の結果の一例を示す。第2照合処理の結果、検出分岐点BD3を除き他の6つの採取特徴点には各採取数値に6割以上共通する特徴点が認められて、採取特徴点に登録特徴点が対応付けられる。具体的には、採取特徴点TD1には登録特徴点TR7が対応付けられ、採取特徴点TD2には登録特徴点TR5、採取特徴点BD1には登録特徴点BR19、採取特徴点BD2には登録特徴点BR18、採取特徴点BD5には登録特徴点BR17、採取特徴点BD6には登録特徴点BR16が対応付けられる。対応付けられた採取特徴点が6個で、mが4以上であるため、ステップS39の判定は「Y」となる。こうして、第2照合処理の結果を用いて、図10のステップS40において、検出分岐点BD3を除く他の採取特徴点間の位置関係と、各採取特徴点に対応付けられた登録特徴点間の位置関係との確認処理が行われる。位置関係の確認処理は、絶対的又は相対的に規定される採取特徴点間の位置関係及び登録特徴点間の位置関係を比較し、例えば所与の誤差範囲内で一致するか否かが判別される。ここでは、採取特徴点TD1、TD2、BD1、BD2、BD5及びBD6が作る(=20)個の採取三角形と、登録特徴点TR7、TR5、BR19、BR18、BR17、BR16が作る20個の登録三角形とが合同であるかどうかを調べる。
【0116】
図10のステップS40における採取特徴点間の位置関係と登録特徴点間の位置関係との比較照合は、通常の指紋画像の特徴点を用いた指紋照合処理で行われるものと同様のものを用いてもよい。ただし、第1の実施形態では、特徴点ごとに付与された数値情報を用いて一致可能性の高い登録点を割り出しているため、全ての登録特徴点との一致照合を行う場合に比べて大幅に処理負荷を軽減することができる。また数値情報の一致のみで、偶然に登録特徴点と一致すると判断されて、本人と認証されてしまう事態を回避することができる。
【0117】
検出端点及び検出分岐点の位置関係が、対応する登録特徴点間の位置関係と一致すると判別されたとき(ステップS40:Y)、登録された本人の指紋と一致すると判断され、認証処理が行われる(ステップS41)。認証処理では、例えば登録された本人と同定された旨の表示が行われる。
【0118】
一方、検出端点及び検出分岐点の位置関係が、対応する登録特徴点間の位置関係と一致しないと判別されたとき(ステップS40:N)、ステップS33に戻る。
【0119】
なお、ステップS33で、採取特徴点数が4以上ではないと判別されたとき(ステップS33:N)、指紋照合の確度を保証できないと判断して、非認証処理が行われる(ステップS42)。非認証処理では、例えば登録された本人と同定されなかった旨の表示が行われる。
【0120】
以上示してきたように、第1の実施形態では、採取数値群のうち登録特徴点が割り振られなかった採取数値が第1の割合(αパーセント)以上存在する採取特徴点を削除した後、削除された採取特徴点を除く採取特徴点に付与された採取数値群の各採取数値に割り振られた登録特徴点が第2の割合以上共通する登録特徴点を、該採取特徴点に対応付けて、位置関係の比較照合を行うようにしている。
【0121】
1.2 第2の実施形態
第2の実施形態では、採取結線の長さを含む採取数値(数値情報)が、抽出された採取特徴点ごとに付与される。線分長は、採取結線の長さである。したがって、抽出された採取特徴点ごとに正数で表現される採取数値が付与される。これにより、各採取特徴点に、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、採取特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。また、正数で表現される採取数値群によって、抽出された採取特徴点の分布が特定される。
【0122】
したがって、このような採取数値群を有する採取特徴点と、同様に得られる登録数値群が付与された登録特徴点とを用いることで、非常に簡素な処理で採取特徴点及び登録特徴点の分布を表現することができ、かつ指紋照合結果の処理負荷を軽減することができる。
【0123】
図17(A)、(B)に、第2の実施形態における採取結線の長さを含む数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0124】
図17(A)においては、抽出された複数の採取特徴点のうち、1つの採取特徴点Pに近い4つの他の採取特徴点P〜P(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、採取特徴点ごとに例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとする。すなわち、採取特徴点Pは、採取特徴点P〜Pとの間で結ばれる3本の採取結線の始点となる。そこで図17(B)に示すように、採取特徴点Pに、各採取結線の長さLi〜Liを付与する。これにより、採取特徴点Pに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、採取特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0125】
なお第3近接採取特徴点までの採取結線について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0126】
第2の実施形態における登録数値の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第2の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。ただし、指紋照合処理においては、第1の実施形態と異なり採取結線及び登録結線の両端の特徴点の種類に関わらず結線の長さのみで判断される。そのため、ステップS36における登録数値情報の照合範囲が広くなると共に、第1の実施形態に比べて照合の確度が低くなる。しかしながら、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に比べ、登録数値及び採取数値の情報量の低減と処理の簡素化を図ることができるという効果を得ることができる。
【0127】
1.3 第3の実施形態
第3の実施形態では、採取結線間のなす角度を含む採取数値(数値情報)が、抽出された採取特徴点ごとに付与される。第3の実施形態では、このような採取数値を含む採取数値群を有する採取特徴点と、同様に得られる登録数値群が付与された登録特徴点とが用いられる。
【0128】
図18(A)、(B)に、第3の実施形態における採取結線間のなす角度を含む数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0129】
図18(A)においては、抽出された複数の採取特徴点のうち、1つの採取特徴点Pに近い4つの他の採取特徴点P〜P(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、採取特徴点ごとに例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとする。すなわち、採取特徴点Pは、採取特徴点P〜Pとの間で結ばれる3本の採取結線LN〜LNの始点となる。そして、これら3本の採取結線が互いになす角度も3種類(採取結線LN、LNがなす角度θi12と、採取結線LN、LNがなす角度θi23と、採取結線LN、LNがなす角度θi31)である。
【0130】
そこで図18(B)に示すように、採取特徴点Pに、採取結線がなす角度θi12〜θi31を付与する。なお角度は、正方向(順方向)を定義しておくことが望ましく、その値は0度〜360度となる。これにより、採取特徴点Pに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、採取特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0131】
なお第3近接採取特徴点までの採取結線について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0132】
第3の実施形態における登録数値の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第3の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。ただし、指紋照合処理においては、第1の実施形態と異なり採取結線及び登録結線の両端の特徴点の種類に関わらず結線同士のなす角度のみで判断される。そのため、ステップS36における登録数値情報の照合範囲が広くなると共に、第1の実施形態に比べて照合の確度が低くなる。しかしながら、第3の実施形態によれば、登録数値及び採取数値の情報量の低減と処理の簡素化を図ることができるという効果を得ることができる。更に成長等により指が大きくなっても角度はさほど変化しないため、長期間にわたって登録数値を利用できるという利点が認められる。
【0133】
1.4 第4の実施形態
第4の実施形態では、採取結線の長さ及び採取結線同士のなす角度を含む採取数値が、抽出された採取特徴点ごとに付与される。第4の実施形態では、このような採取数値を含む採取数値群を有する採取特徴点と、同様に得られる登録数値群が付与された登録特徴点とが用いられる。
【0134】
図19(A)、(B)に、第4の実施形態における採取結線の長さ及び採取結線間のなす角度を含む数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0135】
図19(A)においては、抽出された複数の採取特徴点のうち、1つの採取特徴点Pに近い4つの他の採取特徴点P〜P(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、採取特徴点ごとに例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとする。すなわち、採取特徴点Pは、採取特徴点P〜Pとの間で結ばれる3本の採取結線LN〜LNの始点となる。採取結線LN〜LNの長さは、それぞれLi〜Liである。そして、これら3本の採取結線が互いになす角度も3種類(採取結線LN、LNがなす角度θi12と、採取結線LN、LNがなす角度θi23と、採取結線LN、LNがなす角度θi31)である。
【0136】
そこで図19(B)に示すように、採取特徴点Pに、各採取結線の長さL〜Lと、これら採取結線がなす角度θi12〜θi31とを付与する。なお角度は、正方向(順方向)を定義しておくことが望ましい。例えば反時計回りを正方向と定め、0度〜360度の値を付与する。これにより、採取特徴点Pに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、採取特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0137】
なお第3近接採取特徴点までの採取結線について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0138】
第4の実施形態における登録数値の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第4の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。ただし、指紋照合処理においては、第1の実施形態と異なり採取結線及び登録結線の両端の特徴点の種類に関わらず結線の長さ及びそのなす角度のみで判断される。そのため、ステップS36における登録数値情報の照合範囲が広くなると共に、第1の実施形態に比べて照合の確度が低くなる。しかしながら、第4の実施形態によれば、第2及び第3の実施形態に比べて照合の確度を高め、かつ処理の簡素化を図ることができるという効果を得ることができる。
【0139】
1.5 第5の実施形態
第5の実施形態では、採取特徴点と近接採取特徴点とを結ぶ採取結線を採取ベクトルとした場合に、採取ベクトル同士で作られる内積値が、採取数値情報として採取特徴点ごとに付与される。第5の実施形態では、このような採取数値を含む採取数値群を有する採取特徴点と、同様に登録結線を登録ベクトルとして、登録ベクトル同士で得られる内積値を含む登録数値群が付与された登録特徴点とが用いられる。
【0140】
図20(A)、(B)に、第5の実施形態における数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0141】
図20(A)においては、抽出された複数の採取特徴点のうち、1つの採取特徴点Pに近い4つの他の採取特徴点P〜P(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、採取特徴点ごとに例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとする。すなわち、採取特徴点Pは、採取特徴点P〜Pとの間で結ばれる3本の採取結線LN〜LNの始点となり、採取特徴点Pを始点とする3本の採取ベクトルが生成される。採取結線LN〜LNの長さは、それぞれLi〜Liである。したがって、採取ベクトルのベクトル長も、それぞれLi〜Liである。そして、これら3本の採取結線が互いになす角度も3種類(採取結線LN、LNがなす角度θi12と、採取結線LN、LNがなす角度θi23と、採取結線LN、LNがなす角度θi31)である。
【0142】
そこで、図20(B)に示すように、採取ベクトル同士で作られる内積値が、2つの採取ベクトルのベクトル長とそのなす角度とにより求められる。求められた内積値IPi12、IPi23、IPi31は、採取特徴点Pに付与される。
【0143】
内積値IPi12は、採取結線LN、LNにより求められる内積値である。内積値IPi23は、採取結線LN、LNにより求められる内積値である。内積値IPi31は、採取結線LN、LNにより求められる内積値である。これにより、採取特徴点Pに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、採取特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0144】
なお第3近接採取特徴点までの採取結線について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0145】
第5の実施形態における登録数値の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第5の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。ただし、指紋照合処理においては、第1の実施形態と異なり採取結線及び登録結線の両端の特徴点の種類に関わらず、いずれか2つの結線により求められる内積値のみで判断される。そのため、ステップS36における登録数値情報の照合範囲が広くなると共に、第1の実施形態に比べて照合の確度が低くなる。しかしながら、第5の実施形態によれば、第4の実施形態に比べて情報量の削減を図ることができるという効果を得ることができる。
【0146】
1.6 第6の実施形態
第6の実施形態では、採取結線を横切る指紋の稜線数を含む採取数値が、抽出された採取特徴点ごとに付与される。第6の実施形態では、このような採取数値を含む採取数値群を有する採取特徴点と、同様に得られる登録数値群が付与された登録特徴点とが用いられる。
【0147】
図21(A)、(B)に、第6の実施形態における指紋稜線数を含む数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0148】
図21(A)においては、抽出された複数の採取特徴点のうち、1つの採取特徴点Pに近い順に4つの他の採取特徴点P〜P(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、採取特徴点ごとに例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとする。すなわち、採取特徴点Pは、採取特徴点P〜Pとの間で結ばれる3本の採取結線LN〜LNの始点となる。採取結線LN〜LNそれぞれを横切る図示しない指紋の稜線の数をa、b、c(a、b、cは自然数)とする。
【0149】
そこで図21(B)に示すように、採取特徴点Pに、該採取特徴点Pを起点とする採取結線LN〜LNそれぞれを横切る指紋稜線数を付与する。これにより、採取特徴点Pに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0150】
なお第3近接採取特徴点までの採取結線について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0151】
第6の実施形態における登録数値の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第6の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0152】
第6の実施形態によれば、採取結線を横切る指紋稜線数を、各採取特徴点に付与したので、第1の実施形態に比べて照合の確度を向上させることが可能となる。
【0153】
1.7 第7の実施形態
第7の実施形態では、採取結線を横切る指紋の稜線数と、該採取結線同士がなす角度とを含む採取数値が、抽出された採取特徴点ごとに付与される。第7の実施形態では、このような採取数値を含む採取数値群を有する採取特徴点と、同様に得られる登録数値群が付与された登録特徴点とが用いられる。
【0154】
図22(A)、(B)に、第7の実施形態における指紋稜線数と結線同士がなす角度とを含む数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0155】
図22(A)においては、抽出された複数の採取特徴点のうち、1つの採取特徴点Pに近い順に4つの他の採取特徴点P〜P(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、採取特徴点ごとに例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとする。すなわち、採取特徴点Pは、採取特徴点P〜Pとの間で結ばれる3本の採取結線LN〜LNの始点となる。採取結線LN〜LNそれぞれを横切る図示しない指紋の稜線の数をa、b、cとする。
【0156】
そこで図22(B)に示すように、採取特徴点Pに、該採取特徴点Pを起点とする採取結線LN〜LNそれぞれを横切る指紋稜線数と、採取結線がなす角度θi12〜θi31を付与する。これにより、採取特徴点Pに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0157】
なお第3近接採取特徴点までの採取結線について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0158】
第7の実施形態における登録数値の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第7の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0159】
第7の実施形態によれば、採取結線を横切る指紋稜線数と採取結線同士のなす角度とを、各採取特徴点に付与したので、第6の実施形態に比べて照合の確度を向上させることが可能となる。
【0160】
1.8 第8の実施形態
第8の実施形態では、採取特徴点と近接採取特徴点とを結ぶ採取結線を採取稜線ベクトルとし、該採取結線を横切る指紋稜線数をそのベクトル長とした場合に、採取稜線ベクトル同士で作られる内積値が、採取数値情報として採取特徴点ごとに付与される。第8の実施形態では、このような採取数値を含む採取数値群を有する採取特徴点と共に、登録結線を横切る指紋稜線数をベクトル長として有し該登録稜線を登録稜線ベクトルとした場合に登録稜線ベクトル同士で得られる内積値を含む登録数値群が付与された登録特徴点が用いられる。
【0161】
図23(A)、(B)に、第8の実施形態における採取稜線ベクトル同士により求められる内積値を含む数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0162】
図23(A)においては、抽出された複数の採取特徴点のうち、1つの採取特徴点Pに近い順に4つの他の採取特徴点P〜P(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、採取特徴点ごとに例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとする。すなわち、採取特徴点Pは、採取特徴点P〜Pとの間で結ばれる3本の採取結線LN〜LNの始点となり、採取特徴点Pを始点とする3本の採取稜線ベクトルが生成される。採取結線LN1〜LN3それぞれを横切る指紋の稜線の数をa、b、cとすると、3本の採取稜線ベクトルのベクトル長は、それぞれa、b、cである。そして、これら3本の採取結線が互いになす角度も3種類(採取結線LN、LNがなす角度θi12と、採取結線LN、LNがなす角度θi23と、採取結線LN、LNがなす角度θi31)である。
【0163】
そこで、図23(B)に示すように、採取稜線ベクトル同士で作られる内積値が、2つの採取稜線ベクトルのベクトル長とそのなす角度とにより求められる。求められた内積値IPi12、IPi23、IPi31は、採取特徴点Pに付与される。
【0164】
内積値IPi12は、採取結線LN、LNにより求められる内積値である。内積値IPi23は、採取結線LN、LNにより求められる内積値である。内積値IPi31は、採取結線LN、LNにより求められる内積値である。これにより、採取特徴点Pに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、採取特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0165】
なお第3近接採取特徴点までの採取結線について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0166】
第8の実施形態における登録数値の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第8の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。第8の実施形態によれば、第7の実施形態に比べて情報量の削減を図ることができるという効果を得ることができる。
【0167】
1.9 第9の実施形態
第9の実施形態では、2本の登録結線がなす角度と、これら登録結線の両端に位置する登録特徴点に付与される実数単位値又は虚数単位値との積を含む採取数値情報が、採取特徴点ごとに付与される。第9の実施形態では、このような採取数値を含む採取数値群を有する採取特徴点と、同様にして得られる登録数値群が付与された登録特徴点とが用いられる。
【0168】
図24(A)、(B)に、第9の実施形態において分岐点に付与される数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点が分岐点の場合に該採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点が分岐点の場合に該登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0169】
図24(A)において、着目する1つの採取特徴点が分岐点Bであり、第1近接採取特徴点が端点T、第2近接採取特徴点が分岐点B、第3近接採取特徴点が端点T、第4近接採取特徴点が分岐点Bであるものとする。そして、例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとすると、採取特徴点Bは、採取特徴点T、B、Tとの間で結ばれる3本の採取結線の始点となる。
【0170】
分岐点である採取特徴点B、Bには、実数単位値(1)が付与される。また端点である採取特徴点T、Tには、虚数単位値(i)が付与される。
【0171】
そこで採取特徴点Bに、複数の採取結線中の2本の採取結線がなす角度と該2本の採取結線の両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積を含む採取数値群が付与される。その結果、図24(B)に示すように、採取特徴点Bには、上述の採取数値群が、採取数値情報(θi12・i,θi23・i,−θi31)として付与される。
【0172】
ここで採取数値「θi12・i」は、採取特徴点Bと端点T及び分岐点Bとを結ぶ2本の採取結線LN、LNに対応した値である。採取数値「θi23・i」は、採取特徴点Bと分岐点B及び端点Tとを結ぶ2本の採取結線LN、LNに対応した値である。採取数値「−θi31」は、採取特徴点Bと端点T、Tとを結ぶ2本の採取結線LN、LNに対応した値である。
【0173】
これにより、採取特徴点Bに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した採取数値を付与することが可能となり、特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0174】
ここでは、採取特徴点が分岐点である場合について説明したが、端点の場合であっても同様にして採取数値を付与することができる。
【0175】
なお第3近接採取特徴点までの採取結線について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0176】
第9の実施形態における登録数値の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第9の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0177】
第9の実施形態によれば、第1の実施形態に比べて照合の確度を向上させることができるという効果を得ることができる。
【0178】
1.10 第10の実施形態
第10の実施形態では、第1の実施形態における複素線分長と、第9の実施形態における2本の登録結線がなす角度とこれら登録結線の両端に位置する登録特徴点に付与される実数単位値又は虚数単位値との積とを含む採取数値情報が、採取特徴点ごとに付与される。第10の実施形態では、このような採取数値を含む採取数値群を有する採取特徴点と、同様にして得られる登録数値群が付与された登録特徴点とが用いられる。
【0179】
図25(A)、(B)に、第10の実施形態において分岐点に付与される数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点が分岐点の場合に該採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点が分岐点の場合に該登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0180】
図25(A)において、着目する1つの採取特徴点が分岐点Bであり、第1近接採取特徴点が端点T、第2近接採取特徴点が分岐点B、第3近接採取特徴点が端点T、第4近接採取特徴点が分岐点Bであるものとする。そして、例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとすると、採取特徴点Bは、採取特徴点T、B、Tとの間で結ばれる3本の採取結線LN〜LNの始点となる。
【0181】
分岐点である採取特徴点B、Bには、実数単位値(1)が付与される。また端点である採取特徴点T、Tには、虚数単位値(i)が付与される。
【0182】
そこで採取特徴点Bに、第1の実施形態において図3(B)に示すように各採取結線の複素線分長と、第9の実施形態において図24(B)に示すように複数の採取結線中の2本の採取結線がなす角度と該2本の採取結線の両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積とを含む採取数値群が付与される。その結果、図25(B)に示すように、採取特徴点Bには、上述の採取数値群が、採取数値情報(Li1・i,Li2,Li3・i,θi12・i,θi23・i,−θi31)として付与される。
【0183】
これにより、採取特徴点Bに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した採取数値を付与することが可能となり、特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0184】
ここでは、採取特徴点が分岐点である場合について説明したが、端点の場合であっても同様にして採取数値を付与することができる。
【0185】
なお第3近接採取特徴点までの採取結線について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0186】
第10の実施形態における登録数値の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第10の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0187】
第10の実施形態によれば、第9の実施形態に比べて照合の確度を向上させることができるという効果を得ることができる。
【0188】
1.11 第11の実施形態
第11の実施形態では、第5の実施形態における採取ベクトル同士で作られる内積値と、該採取ベクトルの始点及び終点に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積が、採取数値情報として採取特徴点ごとに付与される。第11の実施形態では、このような採取数値を含む採取数値群を有する採取特徴点と、同様に登録結線を登録ベクトルとして、登録ベクトル同士で得られる内積値と、該登録ベクトルの始点及び終点に位置する登録特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積を含む登録数値情報が付与された登録特徴点とが用いられる。
【0189】
図26(A)、(B)に、第11の実施形態において分岐点に付与される数値情報を説明するための図を示す。図26(A)においては、抽出された複数の採取特徴点のうち、1つの採取特徴点に近い順に4つの他の採取特徴点(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、着目する1つの採取特徴点が分岐点Bであり、第1近接採取特徴点が端点T、第2近接採取特徴点が分岐点B、第3近接採取特徴点が端点T、第4近接採取特徴点が分岐点Bであるものとする。そして、例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとすると、採取特徴点Bは、採取特徴点T、B、Tとの間の3本の採取結線LN〜LNの始点となる。
【0190】
そこで図26(B)に示すように、採取特徴点Bに、第5の実施形態における採取ベクトル同士で作られる内積値と、該採取ベクトルの始点及び終点に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積IIPi12、IIPi23、IIPi31を付与する。これにより、採取特徴点Bに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0191】
ここでは、採取特徴点が分岐点である場合について説明したが、端点の場合であっても同様にして数値情報を付与することができる。
【0192】
なお第3近接採取特徴点までの採取結線について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0193】
第11の実施形態における数値情報の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第11の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0194】
第11の実施形態によれば、第5の実施形態に比べて照合の確度を向上させることができるという効果を得ることができる。
【0195】
1.12 第12の実施形態
第12の実施形態では、新たに定義する複素稜線数を含む採取数値情報が、抽出された採取特徴点ごとに付与される。複素稜線数は、結線の両端に位置する特徴点にそれぞれ付与された実数単位値(1)又は虚数単位値(i)と、該結線を横切る指紋の稜線数との積である。したがって、抽出された採取特徴点ごとに実数(正数、負数)又は複素数で表現される採取数値が付与される。これにより、他の採取特徴点同士を結ぶ採取結線の長さが同じ場合でも、両端の採取特徴点の種類やその位置が異なれば、当該採取特徴点に、異なった数値情報を付与することができる。第12の実施形態では、このような採取数値を含む採取数値群を有する採取特徴点と、同様に得られる登録数値群が付与された登録特徴点とが用いられる。
【0196】
図27(A)、(B)に、第12の実施形態において分岐点に付与される数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点が分岐点の場合に該採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点が分岐点の場合に該登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0197】
図27(A)においては、抽出された複数の採取特徴点のうち、1つの採取特徴点に近い順に4つの他の採取特徴点(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、着目する1つの採取特徴点が分岐点Bであり、第1近接採取特徴点が端点T、第2近接採取特徴点が分岐点B、第3近接採取特徴点が端点T、第4近接採取特徴点が分岐点Bであるものとする。そして、例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとすると、採取特徴点Bは、採取特徴点T、B、Tとの間で結ばれる3本の採取結線LN〜LNの始点となる。
【0198】
分岐点である採取特徴点B、Bには、実数単位値(1)が付与される。また端点である採取特徴点T、Tには、虚数単位値(i)が付与される。そして、採取特徴点Bを始点とした各採取結線の両端の採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値と、採取結線を横切る図示しない指紋の稜線数との積が求められる。
【0199】
図27(A)において、採取結線LN〜LNをそれぞれ横切る指紋の稜線数をa、b、c(a、b、cは自然数)とすると、図27(B)に示すように、採取特徴点Bには採取数値情報(a・i,b,c・i)が付与される。
【0200】
ここで複素稜線数「a・i」は、実数単位値が付与された採取特徴点Bと虚数単位値が付与された端点Tとを結ぶ採取結線LNに対応した値である。複素稜線数「b」は、実数単位値が付与された採取特徴点Bと分岐点Bとを結ぶ採取結線LNに対応した値である。複素線分長「c・i」は、実数単位値が付与された採取特徴点Bと虚数単位値が付与された端点Tとを結ぶ採取結線LNに対応した値である。
【0201】
このように、採取特徴点Bに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、採取特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0202】
図28(A)、(B)に、第12の実施形態において端点に付与される数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点が端点の場合に該採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点が端点の場合に該登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0203】
図28(A)においては、図27(A)と同様に、着目する端点に近い順に4つの他の採取特徴点(第1〜第4近接採取特徴点)が表されている。ここで、着目する1つの採取特徴点が端点Tであり、第1近接採取特徴点が端点T、第2近接採取特徴点が分岐点B、第3近接採取特徴点が端点T、第4近接採取特徴点が分岐点Bであるものとする。そして、例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとすると、採取特徴点Tは、採取特徴点T、B、Tとの間で結ばれる3本の採取結線LN〜LNの始点となる。
【0204】
分岐点である採取特徴点Bには、実数単位値(1)が付与される。端点である採取特徴点T、T、Tには、虚数単位値(i)が付与される。そして、採取特徴点Tを始点とした各採取結線の両端の採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値と、採取結線を横切る図示しない指紋の稜線数の積が求められる。図28(A)において、採取結線LN〜LNそれぞれを横切る指紋稜線数をa、b、c(a、b、cは自然数)とすると、図28(B)に示すように、採取特徴点Tには採取数値情報(−a,b・i,−c)が付与される。
【0205】
ここで複素稜線数「‐a」は、虚数単位値が付与された採取特徴点Tと虚数単位値が付与された端点Tとを結ぶ採取結線LNに対応した値である。複素稜線数「b・i」は、虚数単位値が付与された採取特徴点Tと分岐点Bとを結ぶ採取結線LNに対応した値である。複素線分長「−c」は、虚数単位値が付与された特徴点Tと虚数単位値が付与された端点Tとを結ぶ採取結線LNに対応した値である。
【0206】
このように、採取特徴点Tに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、採取特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0207】
なお第3近接採取特徴点までの線分について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0208】
第12の実施形態における登録数値の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第12の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0209】
第12の実施形態によれば、各特徴点の位置に依存し、かつ上述の実施形態に比べて情報量の削減を図ることができるという効果を得ることができる。
【0210】
1.13 第13の実施形態
第13の実施形態では、第8の実施形態における採取稜線ベクトル同士で作られる内積値と、該採取稜線ベクトルの始点及び終点に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積が、採取数値情報として採取特徴点ごとに付与される。第13の実施形態では、このような採取数値を含む採取数値群を有する採取特徴点と、同様に第8の実施形態における登録稜線ベクトル同士で得られる内積値と、該登録稜線ベクトルの始点及び終点に位置する登録特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積を含む登録数値情報が付与された登録特徴点とが用いられる。
【0211】
図29(A)、(B)に、第13の実施形態における数値情報を説明するための図を示す。ここでは、採取特徴点に付与される採取数値情報について説明するが、登録特徴点に付与される登録数値情報についても同様である。
【0212】
図29(A)において、着目する1つの採取特徴点が分岐点Bであり、第1近接採取特徴点が端点T、第2近接採取特徴点が分岐点B、第3近接採取特徴点が端点T、第4近接採取特徴点が分岐点Bであるものとする。そして、例えば第3近接採取特徴点までの各採取特徴点との間で結線処理を行うものとすると、採取特徴点Bは、採取特徴点T、B、Tとの間で結ばれる3本の採取結線LN〜LNの始点となる。採取結線LN〜LNそれぞれを横切る図示しない指紋の稜線の数をa、b、c(a、b、cは自然数)とする。
【0213】
分岐点である採取特徴点B、Bには、実数単位値(1)が付与される。また端点である採取特徴点T、Tには、虚数単位値(i)が付与される。
【0214】
そこで図29(B)に示すように、採取特徴点Bに、第8の実施形態と同様の採取稜線ベクトル同士で作られる内積値と、該採取稜線ベクトルの始点及び終点に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積IIPi12、IIPi23、IIPi31を付与する。
【0215】
第13の実施形態では、内積値IIPi12は、採取結線LNの複素稜線数aと、採取結線LNの複素稜線数bと、採取結線LN、LNそれぞれの両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積により求められる。また内積値IPi23は、採取結線LNの複素稜線数bと、採取結線LNの複素稜線数cと、採取結線LN、LNそれぞれの両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積により求められる。また内積値IIPi31は、採取結線LNの複素稜線数cと、採取結線LNの複素稜線数aと、採取結線LN、LNそれぞれの両端に位置する採取特徴点に付与された実数単位値又は虚数単位値との積により求められる。
【0216】
これにより、採取特徴点Bに、他の採取特徴点との間の位置関係に対応した数値情報を付与することが可能となり、特徴点固有の情報を割り振ることができるようになる。
【0217】
ここでは、採取特徴点が分岐点である場合について説明したが、端点の場合であっても同様にして数値情報を付与することができる。
【0218】
なお第3近接採取特徴点までの線分について数値情報を付与する場合について説明したが、第2近接採取特徴点、又は第4近接採取特徴点以上についても同様である。
【0219】
第13の実施形態における登録数値の登録処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また第13の実施形態における指紋照合処理は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0220】
第13の実施形態によれば、第8の実施形態に比べて照合の確度を向上させることができるという効果を得ることができる。
【0221】
なお第1〜第13の実施形態では、取得された指紋画像から抽出された採取特徴点に付与される採取数値情報について説明したが、登録特徴点との位置確認に用いられる各特徴点の位置情報は、各実施形態においてそれぞれ同様に求められる。
【0222】
以上説明したように、第1〜第13の実施形態において、取得された指紋画像から抽出した採取特徴点ごとに、他の採取特徴点との位置関係により求められる数値情報が付与される。そして、指紋照合処理の先立って同様に求められた登録数値情報と、照合用に取得された指紋画像の採取特徴点に付与された採取数値情報とを比較し、照合対象となるを選択する。そして、選択された特徴点の位置と、これら特徴点に対応する登録点の位置とを照合する。こうすることで、予め登録された登録点と特徴点との照合処理の負荷を大幅に軽減することができる。したがって、携帯型の情報機器等の搭載を容易にすることができる。
【0223】
2. 指紋照合装置
次に、上述した指紋照合方法を実現する指紋照合装置について説明する。
【0224】
図30に、指紋照合装置の構成の概要のブロック図を示す。指紋照合装置100は、特徴点抽出部110、画像解析部120、照合部130、登録情報記憶部140、登録部150を含む。
【0225】
特徴点抽出部110は、取得された指紋画像から、図2に示す採取特徴点を抽出する。より具体的には、特徴点抽出部110は、指紋画像から分岐点及び端点を区別して抽出する。特徴点抽出部110に供給される指紋画像は、指紋照合装置100の外部から入力されてもよい。また指紋照合装置100が、指紋画像を取り込む指紋画像取込部160を含むように構成されてもよい。この場合、該指紋画像取込部160で取り込まれた指紋画像が、特徴点抽出部110に供給される。
【0226】
画像解析部120は、特徴点抽出部110で抽出された指紋画像の特徴点ごとに、上述した数値情報を付与し、登録情報記憶部140に記憶された登録数値情報とを比較して、照合対象の特徴点を選択する。
【0227】
照合部130は、照合対象の採取特徴点間の位置関係と、照合対象の採取特徴点に対応付けられた登録特徴点間の位置関係とを比較照合し、その結果を出力する。照合対象の特徴点の位置は、特徴点抽出部110又は画像解析部120によって求められる。
【0228】
登録情報記憶部140は、登録数値情報142及び登録特徴点の位置情報144を記憶する。したがって、照合対象の採取特徴点に対応付けられた登録特徴点の位置関係は、登録情報記憶部140の記憶情報に基づいて求められる。
【0229】
登録部150は、登録処理を行う。より具体的には、登録部150は、特徴点抽出部110において登録用に抽出された登録特徴点について、登録数値情報及び位置情報を求める。そして登録部150は、これら登録数値情報及び位置情報を、各登録特徴点に関連付けて登録情報記憶部140に格納する処理を行う。
【0230】
以下では、指紋照合装置100の構成例について具体的に説明する。指紋照合装置100は、ICカード等の高い機密保持性が要求される携帯型の情報装置(情報機器)に適用することができる。この場合、指紋照合装置100は、指紋画像取込部160の機能を有することが望ましい。
【0231】
図31に、指紋照合装置100が適用されるICカードの詳細な構成の一例のブロック図を示す。ICカード180では、バス200に接続された中央演算装置(Central Processing Unit:以下、CPUと略す。)210により、同様にバス200に接続された読み出し専用メモリ(Read Only Memory:以下、ROMと略す。)212に記憶されるプログラムにしたがって各部が制御される。CPU210は、一時記憶装置としてのDRAM(Dynamic Random Access Memory)214を作業領域として種々の処理を行う。なお一時記憶装置としては、SRAM(Static Random Access Memory)を用いることも可能である。
【0232】
CPU210は、長期間記憶装置としての不揮発性メモリ216に記憶されたカード情報の読み出し及び書き込みを行う。ここでカード情報は、機密保持性の高い個人情報(例えば銀行の預金残高等)である。そのため、不揮発性メモリ216に書き込む場合は、エンコーダ(暗号化装置)218により暗号化を行って書き込む。また不揮発性メモリ216から読み出す場合は、デコーダ(暗号解読装置)220により暗号解読(復号化)を行って読み出す。なお不揮発性メモリ216としては、フラッシュメモリやSRAMを用いることができる。
【0233】
バス200には、ディスプレイコントローラ(表示制御部)222と、VRAM224とが接続されている。ディスプレイコントローラ222は、VRAM224に記憶された画像データに基づいてディスプレイ(表示部)226に画像を表示させる。
【0234】
またバス200には、センサコントローラ(個人情報採取部制御部)228と、センサ用RAM230とが接続されている。センサコントローラ228は、指紋センサ(個人情報採取部、指紋画像取込部)232で指紋の凹凸を検出し、センサ用RAMに指紋の凹凸に対応した画像を指紋画像として蓄積する。
【0235】
ここで、指紋画像取込部160の機能は指紋センサ232により実現される。特徴点抽出部110、画像解析部120、照合部130及び登録部150の機能は、ROM212に格納されたプログラムを実行するCPU210により実現される。登録情報記憶部140の機能は、ROM212又は不揮発性メモリ216により実現される。
【0236】
例えば図1、図5及び図10に示した処理を実行するためのプログラムがROM212又は不揮発性メモリ216に記憶され、CPU210が適宜読み出して実行する。また図9に示す登録数値情報は、不揮発性メモリ216に記憶される。第1及び第2照合結果は、例えばDRAM214上で生成される。
【0237】
このような構成のICカード180では、指紋センサ232を介して取り込まれた指紋画像を用いて、予め登録された本人のものであるか否かが照合される。照合された結果、登録された本人のものであると確認されると、例えば不揮発性メモリ216等に記憶された個人情報の読み出し又は表示等の制御が行われるようになる。
【0238】
なおICカード180の各要素が図31に示したデバイスにより実現されるものに限定されるものではない。例えば、指紋画像の特徴点の抽出をソフトウェアで行う必要はなく、汎用チップ若しくは専用チップ等のハードウェアで処理することも可能である。また不揮発性メモリ216に対し、エンコーダ218及びデコーダ220を介さずにアクセスできる構成にしてもよい。この場合、CPU210により暗号化及び復号化を行って不揮発性メモリ216にアクセスするようにしてもよい。
【0239】
ICカード180は、例えば以下に説明する指紋センサを用いることができる。これにより、携帯型の情報機器として必須とされる低消費電力化と、小型軽量化とを両立させることができる。
【0240】
2.1 指紋センサ
指紋画像取得部として用いられる指紋センサ232において、指紋の検出方式には種々の方式があるが、指紋の画像を読み取ることができれば方式に限定されない。ただ指紋センサ232は、以下に示す静電容量検出方式の指紋センサを用いることで、従来の製造技術を用いて省スペース化を実現し、かつ指紋の凹凸を高精度に検出することができる。
【0241】
図32に、指紋センサ232の構成の一例を示す。指紋センサ232には、j本(jは2以上の整数)の電源線240と、k本(kは2以上の整数)の出力線242とを有する。j本の電源線240とk本の出力線242の各交点には静電容量検出素子244が設けられている。
【0242】
静電容量検出素子244は、指が接触した時の閉回路として図示されており、指紋の凹凸パターンに依存して変化する可変容量Cと、信号増幅素子例えば信号増幅MIS型薄膜半導体装置(以下信号増幅用TFTと略記する)246とを有する。静電容量検出素子244に指が接触していないときには、可変容量Cの接地端側はオープン状態である。なお、可変容量Cについては後述する。
【0243】
j本の電源線240の各々は、対応する行に沿って配列されたk個の信号増幅用TFT246のドレインDに接続されている。また、j本の電源線240の各々は、j個の電源用パスゲート250の各々を介して共通電源線252に接続されている。すなわち、電源用パスゲート250はMIS型薄膜半導体装置にて形成され、そのソースSは電源線240に接続され、そのドレインDは共通電源線252に接続されている。電源選択回路260内には、上述のj個の電源用パスゲート250及び共通電源線252に加えて、電源用シフトレジスタ262が設けられている。電源用シフトレジスタ262の電源選択用出力線264に、j個の電源用パスゲート250の各ゲートGが接続されている。
【0244】
k本の出力線242の各々は、対応する列に沿って配列されたj個の信号増幅用TFT246のソースSに接続されている。また、k本の出力線242の各々は、k個の出力信号用パスゲート270の各々を介して共通出力線272に接続されている。すなわち、出力信号用パスゲート270はMIS型薄膜半導体装置にて形成され、そのドレインDは出力線242に接続され、そのソースSは共通出力線272に接続されている。出力信号選択回路280内には、上述のk個の出力信号用パスゲート270及び共通出力線272に加えて、出力信号用シフトレジスタ282が設けられている。出力信号用シフトレジスタ282の出力選択用出力線284に、出力信号用パスゲート270のゲートGが接続されている。
【0245】
図33に、図32に示す静電容量検出素子244の断面図を示す。ここでは、指が接触されていない状態が図示されている。この静電容量検出素子244は、上述の信号増幅素子である信号増幅用TFT246に加えて、信号検出素子248を有する。
【0246】
図33において、絶縁層290上には、ソース領域291A、ドレイン領域291B及びその間のチャネル領域291Cを有する半導体膜291が形成されている。半導体膜291上にはゲート絶縁膜292が形成され、このゲート絶縁膜292を挟んでチャネル領域291Cと対向する領域にゲート電極293が形成されている。この半導体膜291、ゲート絶縁膜292及びゲート電極293で、信号増幅用TFT246が構成される。なお、電源用パスゲート250及び出力信号用パスゲート270も、信号増幅用TFT246と同様にして形成される。
【0247】
この信号用TFT246は第1層間絶縁膜294により被われている。第1層間絶縁膜294上には、図33に示す出力線242に相当する第1配線層295が形成されている。この第1配線層295は信号用TFT246のソース領域291Aに接続されている。
【0248】
第1配線層295は第2層間絶縁膜296により被われている。この第2層間絶縁膜296上には、図33に示す電源線240に相当する第2配線層297が形成されている。この第2配線層297は、信号増幅用TFT246のドレイン領域291Bに接続されている。なお、図33とは異なる構造として、第2配線層297を第1層間絶縁膜294上に形成し、第1配線層295を第2層間絶縁膜296上に形成してもよい。
【0249】
第2層間絶縁膜296上にはさらに、容量検出電極298が形成され、それを被って容量検出誘電体膜299が形成されている。容量検出誘電体膜299は、指紋センサ232の最表面に位置して保護膜としても機能し、この容量検出誘電体膜299に指が接触される。この容量検出電極298及び容量検出誘電体膜299により、信号検出素子248が構成される。
【0250】
指紋センサ232における指紋検出は、図33に示す容量検出誘電体膜299に指を接触させることで実施される。図32では、j本のうち選択された1本の電源線240に電源電圧を供給し、かつ、そのときの信号を、k本のうち選択された1本の出力線242から検出することで、j×k個の静電容量検出素子244から順次信号を取り出している。
【0251】
指紋検出動作は大別して、(1)指紋の山(凸部)が容量検出誘電体膜299に接触する場合と、(2)指紋の谷(凹部)が容量検出誘電体膜299に対向する場合とがある。
【0252】
(1)指紋の山(凸部)が容量検出誘電体膜299に接触する場合
図34に、この場合の静電容量検出素子244の等価回路を示す。
【0253】
符号310は人体の指紋の山に相当し、図33の容量検出電極298と誘電体膜299を挟んで対向する接地電極310が形成されている。ここで、電源電圧Vddは共通電源線252より供給される。符号Cは、信号増幅用TFT246のトランジスタ容量であり、符号Cは検出電極300と接地電極(指)310との間の容量である。
【0254】
ここで、信号増幅用TFT246のゲート電極長をL(μm)、ゲート電極幅をW(μm)、ゲート絶縁膜の厚みをtox(μm)、ゲート絶縁膜の比誘電率をεox、真空の誘電率をεoとする。このとき、トランジスタ容量Cは、次のようになる。
=εo・εox・L・W/tox
また、容量検出電極298の面積S(μm)、容量検出誘電体膜299の厚みをtd(μm)、容量検出誘電体膜の比誘電率をεdとする。このとき、容量Cは、次のようになる。
【0255】
=εo・εd・S/td
図34の等価回路において、信号増幅用TFT246のゲートに印加される電圧VGTは、(1)式で表される。
【0256】
GT=Vdd/(1+C/C) ・・・(1)
容量Cをトランジスタ容量Cよりも充分に大きく設定しておけば(例えばC>10×C)、(1)式の分母は無限大となり、(2)式のように近似される。
【0257】
GT≒0 ・・・(2)
この結果、信号増幅用TFT246は、そのゲートにほとんど電圧がかからないためオフ状態となる。よって、信号増幅用TFT246のソース−ドレイン間に流れる電流Iは極めて小さくなる。この電流Iを測定することで、測定箇所が指紋パターンの山(凸部)であることが判定できる。
【0258】
(2)指紋の谷(凹部)が容量検出誘電体膜299に対向する場合
図35に、この場合の静電容量検出素子244の等価回路を示す。
【0259】
符号312が人体の指紋の谷に相当する。この場合は、図34に示す容量Cに加えて、誘電体膜299と指紋の谷との間に、空気を誘電体とする新たな容量Cが形成される。
【0260】
図35の等価回路において、信号増幅用TFT246のゲートに印加される電圧VGVは、(3)式で表される。
【0261】
GV=Vdd/{[1+(1/C)]×1/[(1/C)+(1/C)]} ・・・(3)
容量Cをトランジスタ容量Cよりも充分に大きく設定しておけば(例えばC>10×C)、(3)式は、(4)式のように近似される。
【0262】
GV≒Vdd/[1+(C/C)] ・・・(4)
さらに、トランジスタ容量Cを、指紋の谷により形成される容量Cよりも充分に大きくしておけば(例えばC>10×C)、(4)式は、(5)式のように近似される。
【0263】
GV≒Vdd ・・・(5)
この結果、信号増幅用TFT246は、そのゲートに電源電圧Vddがかかるためオン状態となる。よって、信号増幅用TFT246のソース−ドレイン間に流れる電流Iは極めて大きくなる。この電流Iを測定することで、測定箇所が指紋パターンの谷(凹部)であることが判定できる。
【0264】
このように、図32に示す可変容量Cは、指紋の山が容量検出誘電体膜299に接触した時は容量Cとなり、指紋の谷が容量検出誘電体膜299に対向としたときは容量Cと容量Cとの和となり、指紋の凹凸にしたがって容量が変化する。この指紋の凹凸に従った容量変化に基づく電流を検出することで、指紋の山又は谷を検出できる。
【0265】
以上の動作を、図36(A)に示すように配列されたj×k個((1,1)〜(j,k))の静電容量検出素子244にて時分割で実施することで、指紋パターンを検出することが可能となる。より具体的には図36(B)に示すように、(1,1)に位置する静電容量検出素子から(1,k)に位置する静電容量検出素子の順に第1行の指紋の凹凸を検出した後、次に(2,1)に位置する静電容量検出素子から(2,k)に位置する静電容量検出素子の順に第2行の指紋の凹凸を検出するといったように、(j,k)に位置する静電容量検出素子まで順次ピクセルごとに指紋の凹凸を検出していく。その結果、例えば図2に示すような指紋画像を得ることができる。
【0266】
ここで、電源電圧Vddに正電源を用いる場合には、ゲート電圧がゼロ近傍でドレイン電流が流れないエンハンスメント型n型トランジスタにて、信号増幅用TFT246を形成すればよい。C>10×Cを満たす場合には、信号増幅用TFT246の伝達特性におけるドレイン電流が最小値となるゲート電圧(最小ゲート電圧)をVminとしたとき、0<Vmin<0.1×Vddを満たせばよい。
【0267】
電源電圧Vddに負電源を用いる場合には、ゲート電圧がゼロ近傍でドレイン電流が流れないエンハンスメント型p型トランジスタにて、信号増幅用TFT246を形成すればよい。C>10×Cを満たす場合には、信号増幅用TFT246の伝達特性におけるドレイン電流が最小値となるゲート電圧(最小ゲート電圧)をVminとしたとき、0.1×Vdd<Vmin<0を満たせばよい。
【0268】
このようなICカード180に実装された指紋センサ232は、図37に示すように小型軽量化が可能である。そして、操作者の指500を図33に示す容量検出誘電体膜299が形成された検出面に当てることで、低消費電力で、かつ高精度な指紋画像が取得される。
【0269】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0270】
また、本発明のうち従属請求項に係る発明においては、従属先の請求項の構成要件の一部を省略する構成とすることもできる。また、本発明の1の独立請求項に係る発明の要部を、他の独立請求項に従属させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0271】
【図1】指紋照合処理の流れの概要を示すフロー図。
【図2】指紋画像から抽出された特徴点についての説明図。
【図3】図3(A)、(B)は第1の実施形態において分岐点に付与される数値情報の説明図。
【図4】図4(A)、(B)は第1の実施形態において端点に付与される数値情報の説明図。
【図5】第1の実施形態における登録処理のフロー図。
【図6】指紋画像から抽出された特徴点の一例を示す説明図。
【図7】名称付けされた特徴点の一例を示す説明図。
【図8】第4近接採取特徴点まで結線処理された例を示す説明図。
【図9】第1の実施形態における登録数値情報の説明図。
【図10】第1の実施形態における指紋照合処理の一例を示すフロー図。
【図11】照合対象の指紋画像から抽出された採取特徴点の一例を示す説明図。
【図12】第3近接採取特徴点まで結線処理された例を示す説明図。
【図13】第1照合処理の結果を示す説明図。
【図14】不一致の採取特徴点を削除後の特徴点を示す説明図。
【図15】削除後の採取特徴点を第3近接採取特徴点まで結線処理した例を示す説明図。
【図16】第2照合処理の結果を示す説明図。
【図17】図17(A)、(B)は第2の実施形態の数値情報の説明図。
【図18】図18(A)、(B)は第3の実施形態の数値情報の説明図。
【図19】図19(A)、(B)は第4の実施形態の数値情報の説明図。
【図20】図20(A)、(B)は第5の実施形態の数値情報の説明図。
【図21】図21(A)、(B)は第6の実施形態の数値情報の説明図。
【図22】図22(A)、(B)は第7の実施形態の数値情報の説明図。
【図23】図23(A)、(B)は第8の実施形態の数値情報の説明図。
【図24】図24(A)、(B)は第9の実施形態において分岐点に付与される数値情報の説明図。
【図25】図25(A)、(B)は第10の実施形態において分岐点に付与される数値情報の説明図。
【図26】図26(A)、(B)は第11の実施形態において分岐点に付与される数値情報の説明図。
【図27】図27(A)、(B)は第12の実施形態において分岐点に付与される数値情報の説明図。
【図28】図28(A)、(B)は第12の実施形態において端点に付与される数値情報の説明図。
【図29】図29(A)、(B)は第13の実施形態において分岐点に付与される数値情報の説明図。
【図30】指紋照合装置の構成の概要を示すブロック図。
【図31】指紋照合装置のハードウェア構成例を示すブロック図。
【図32】指紋センサの構成の一例を示す構成図。
【図33】指紋センサの静電容量検出素子の断面図。
【図34】指紋センサの誘電体膜に指紋の山を接触させたときの静電容量検出素子の等価回路図。
【図35】指紋センサの誘電体膜に指紋の谷を接触させたときの静電容量検出素子の等価回路図。
【図36】図36(A)は、指紋センサで配列された静電容量検出素子の説明図。図36(B)は、各静電容量検出素子で検出された指紋の凹凸を1枚の指紋画像にするための手順の説明図。
【図37】ICカードに適用される指紋センサで指紋照合を行う操作者の指を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0272】
100 指紋照合装置、110 特徴点抽出部、120 画像解析部、130 照合部、140 登録情報記憶部、142 登録数値情報、144 位置情報、150 登録部、160 指紋画像取込部、180 ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋画像を用いた指紋照合方法であって、
採取された指紋画像からN(Nは4以上の整数)個の採取特徴点を抽出し、
各採取特徴点と該各採取特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接採取特徴点とを結ぶ複数の採取結線から得られる採取数値群を採取数値情報として該各採取特徴点に付与し、
採取特徴点に付与された採取数値群の各採取数値と、N(Nは4以上の整数)個の登録特徴点それぞれに付与された登録数値群の各登録数値とを比較し、登録数値と一致した採取数値に、該登録数値が付与された登録特徴点を割り振り、
各採取数値に割り振られた登録特徴点を用いて、m(mは整数)個の採取特徴点とm個の登録特徴点とを一対一に対応付け、
前記m個の採取特徴点間の位置関係と、前記m個の登録特徴点間の位置関係とを比較照合することを特徴とする指紋照合方法。
【請求項2】
請求項1において、
採取数値群のうち登録特徴点が割り振られなかった採取数値が第1の割合以上存在する採取特徴点を削除し、
削除された採取特徴点を除く採取特徴点の各採取数値に割り振られた登録特徴点を用いて、m個の採取特徴点とm個の登録特徴点とを対応付け、
前記m個の採取特徴点間の位置関係と、前記m個の登録特徴点間の位置関係とを比較照合することを特徴とする指紋照合方法。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかにおいて、
登録すべき指紋画像から抽出されたN個の登録特徴点の各登録特徴点と、該各登録特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接登録特徴点とを結ぶ複数の登録結線から得られる前記登録数値群を、該各登録特徴点に付与することを特徴とする指紋照合方法。
【請求項4】
請求項3において、
がL以上であることを特徴とする指紋照合方法。
【請求項5】
請求項3又は4において、
前記登録数値群の登録数値は、
前記複数の登録結線の各登録結線の長さを含み、
前記採取数値群の採取数値は、
前記複数の採取結線の各採取結線の長さを含むことを特徴とする指紋照合方法。
【請求項6】
請求項3又は4において、
前記登録数値群の登録数値は、
前記複数の登録結線の各登録結線同士がなす角度を含み、
前記採取数値群の採取数値は、
前記複数の採取結線の各採取結線同士がなす角度を含むことを特徴とする指紋照合方法。
【請求項7】
請求項3又は4において、
前記登録数値群の登録数値は、
前記複数の登録結線の各登録結線の長さと該各登録結線同士がなす角度とを含み、
前記採取数値群の採取数値は、
前記複数の採取結線の各採取結線の長さと該各採取結線同士がなす角度とを含むことを特徴とする指紋照合方法。
【請求項8】
指紋画像からN(Nは4以上の整数)個の採取特徴点を抽出する特徴点抽出部と、
各採取特徴点と該各採取特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接採取特徴点とを結ぶ複数の採取結線から得られる採取数値群を採取数値情報として該各採取特徴点に付与し、採取特徴点に付与された採取数値群の各採取数値と、N(Nは4以上の整数)個の登録特徴点それぞれに付与された登録数値群の各登録数値とを比較し、登録数値と一致した採取数値に、該登録数値が付与された登録特徴点を割り振り、各採取数値に割り振られた登録特徴点を用いて、m(mは整数)個の採取特徴点とm個の登録特徴点とを一対一に対応付けする画像解析部と、
前記m個の採取特徴点間の位置関係と、前記m個の登録特徴点間との位置関係とを比較照合する照合部と、
を含むことを特徴とする指紋照合装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記指紋画像を取り込む指紋画像取込部を含むことを特徴とする指紋照合装置。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記登録数値群を生成する登録部を含み、
前記登録部は、
登録すべき指紋画像から抽出されたN個の登録特徴点の各登録特徴点と、該
各登録特徴点に近接するL(2≦L≦N−1、Lは整数)個の近接登録特徴点とを結ぶ複数の登録結線から得られる数値群であって、該各登録特徴点に付与される前記登録数値群を生成することを特徴とする指紋照合装置。
【請求項11】
請求項10において、
がL以上であることを特徴とする指紋照合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2006−4447(P2006−4447A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209842(P2005−209842)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【分割の表示】特願2002−381112(P2002−381112)の分割
【原出願日】平成14年12月27日(2002.12.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】