説明

指針式計器装置

【課題】見栄えに優れ、デザイン性を向上させることが可能な指針式計器装置を提供する。
【解決手段】指示部4および基部18を有し指針用発光ダイオード10の点灯により発光する指針5と、この指針5の背後に配置される表示板7と、この表示板7の周縁および基部18の前方側に配置され表示板7の可視領域を定める開口部14を有する覆い部材15とを備え、基部18は基部18内に入射した指針用発光ダイオード10の光を指示部4側に反射させる第1の反射面21と、基部18の周面23側に反射させる第2の反射面22とを有しており、基部18の近傍に周面23から出射した光を開口部14側に反射させる反射体13を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に搭載される計器装置に関し、特に光源からの光を受けて光輝する指針を備えた計器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の指針を備えた計器装置は、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載されている計器は、指針と文字板と光導板を備えており、指針の背後に配置された光導板から導かれた光源からの光を指針の受光部から受光し、反射面で反射させて指針全体を光輝させるものである。
【特許文献1】実公昭61−35925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1における計器は、光導板から導かれた光源からの光を指針の受光部から受光し、反射面で反射させて指針の指示部を単に光輝させるものであり、見栄えが単純でデザイン性に欠けていた。
【0004】
本発明はこの様な点に鑑みなされたもので、見栄えに優れ、デザイン性を向上させることが可能な指針式計器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するため、指示部および基部を有し光源の点灯により発光する指針と、この指針の背後に配置される表示板と、この表示板の周縁および前記基部の前方側に配置され前記表示板の可視領域を定める開口部を有する覆い部材とを備え、前記基部は前記基部内に入射した前記光源の光を前記指示部側に反射させる第1の反射面と、前記基部の周面側に反射させる第2の反射面とを有しており、前記基部の近傍に前記周面から出射した光を前記開口部側に反射させる反射体を設けたものである。
【0006】
また、前記反射体が前記表示板を保持するケース体に設けられているものである。
【0007】
また、前記反射体が前記覆い部材に設けられているものである。
【0008】
また、前記開口部に反射壁を設けたものである。
【0009】
また、前記第2の反射面が略円錐形状に形成されているものである。
【0010】
また、前記周面に拡散処理を施したものである。
【発明の効果】
【0011】
見栄えに優れ、デザイン性を向上させることが可能な指針式計器装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態を示す車両用の指針式計器装置の正面図であり、図2はその断面図(図1に於けるA−A断面)である。
【0013】
指針式計器装置は、硬質な回路基板1と、この回路基板1の裏面側に回路基板1と導通状態で装着され、回路基板1を貫通して前方に延びる回動軸2を有する計器本体3と、回動軸2に固着され指示部4を有する指針5と、この指針5の背後に配置され指示部4の指示対象となる表示部6が施された表示板7と、この表示板7と回路基板1との間に配置され表示板7が保持されるケース体8と、回路基板1に装着され例えば車両の走行距離や燃料残量などが表示される液晶表示器9を備えている。
【0014】
また、回動軸2周囲の回路基板1上に実装され指針5の指示部4を照明する光源としての指針用発光ダイオード10と、表示板7の表示部6を照明するための光源としての表示板用発光ダイオード11と、この表示板用発光ダイオード11からの光を表示板7の裏面側に導く導光体12と、指針5の近傍に設けた反射体13と、表示板7の可視領域を定める開口部14を有する覆い部材15と、表示板7や覆い部材15などの前方側を被い光透過性を有する例えば暗色系の合成樹脂からなる上カバー16と、回路基板1の裏面側を覆う合成樹脂製の下カバー17を備えている。
【0015】
指針5は、無色透明な合成樹脂からなる指示部4の他に、指示部4と一体形成された基部18と、基部18の前方側を覆う遮光性の合成樹脂からなる指針キャップ19を備えている。指示部4の裏面には例えば赤色の箔(図示せず)がホットスタンプされている。基部18は、計器本体3の回動軸2の先端側に圧入される指針軸20と、第1の反射面21および第2の反射面22を有している。なお、指示部4と基部18は別体であっても良い。
【0016】
第1の反射面21は、基部18内に入射した指針用発光ダイオード10からの光を指示部4の先端側に向けて反射させるようになっており、ほぼ45度の傾斜した平面で形成されている。第2の反射面22は、基部18内に入射した光を基部18の周面23側に反射させるようになっており、第1の反射面21を除いて指針軸20の軸心を原点としたほぼ45度の傾斜した略円錐面で形成されている。また、周面23には拡散処理としての例えば微細なシボ(図示せず)が施してある。
【0017】
ケース体8は、遮光性のある例えば白色の合成樹脂からなり、底壁24と、回動軸2の周囲に配置された指針用発光ダイオード10を囲むように表示板7と回路基板1との間に配置された略円形の筒部25と、断面形状が表示板用発光ダイオード11側の底壁24から表示板7の周縁側に向けて湾曲状に傾斜して形成された傾斜壁26と、外周壁27などを有している。
【0018】
表示板7は、合成樹脂製の無色透明な基板の表面側に例えば車両の速度を現す目盛,数字などの表示部6を例えば白色の着色透過層で印刷した後、表示部6以外の地部28となる箇所を例えば黒色の遮光層で印刷したものである。なお、図1に於いては、表示部6を黒色で、地部28を無色で示す。
【0019】
覆い部材15は、遮光性のある例えば黒色の合成樹脂からなり、表示板7の周縁の前方側に配置される周縁部29と、指針5の基部18の前方側に配置される中央部30を有している。中央部30は周縁部29から指針5の基部18を覆うように延設されている。覆い部材15によって、表示板7や指針5の可視領域以外、つまり表示板7の周縁,指針5の基部18および基部18周辺,ケース体8などが覆われている。また、開口部14には反射壁31が設けてある。また、中央部30には液晶表示器の表示が臨まれる開口窓32が設けてある。
【0020】
反射体13は、指針5が回動した際に妨げとならない箇所の基部18近傍にケース体8と一体に設けてあり、基部18の周面23から出射した光を反射させて、覆い部材15の中央部30側の開口部14から周縁部29側の開口部14側に向けて反射光が導かれるようにしてある。なお、反射体13は覆い部材15と一体に設けても良い。或いは、別体で形成したものをケース体8或いは覆い部材15に固着するようにしても良く、材質,形状は任意である。要は基部18の周面23から出射して反射体13で反射した光が、覆い部材15の中央部30と表示板7との間から出射されるようになっていれば良い。
【0021】
導光体12は、無色透明な合成樹脂からなり、断面が略L字形状でケース体8の筒部25を囲むようにケース体8の底壁24に配置してある。そして、例えば白色で発光する表示板用発光ダイオード11を点灯させることにより、導光体12内に入射した光は導光体反射面33で反射して導光体出射面34から出射し、ケース体8の傾斜壁26で反射して表示板7側に向かう。そして、表示板7の表示部6が白色で透過照明されるようになる。なお、導光体出射面34から出射した光は全て傾斜壁26で反射するものではなく、底壁24に反射して表示板7側に向かう光もある。或いは、導光体反射面33から出射して表示板7の裏面を直射する光もある。
【0022】
この様に構成した指針式計器装置に於いて、指針5は例えば白色で発光する指針用発光ダイオード10を点灯させることにより、基部18から入射して第1の反射面21で反射して指示部4側に導かれた光が指示部4の裏面に設けられた白色の箔に反射して指示部4が白色で光輝するようになっている。
【0023】
また、基部18から入射して第2の反射面22で反射した光は周面23から出射する。そして、周面23から出射した光は反射体13に反射した後、中央部30と表示板7との間から出射される。これらの光は基部18周辺の表示板7を照らしたり、開口部14に設けられた反射壁31をうっすらと照らしたりする。
【0024】
この様に、指針5の基部18に基部18の周面23側に指針用発光ダイオード10からの光を反射させる第2の反射面22を設けるとともに、基部18の近傍に周面23から出射した光を覆い部材15の開口部14側に反射させる反射体13を設けたことにより、指針5の基部18周辺を照射することができ、見栄えに優れ、デザイン性を向上させることができる。
【0025】
また、反射体13をケース体8或いは覆い部材15に設けることにより、別体の反射体を用意する必要が無くコストアップを抑えられる。また、覆い部材15の開口部14に反射壁31を設けたことにより、覆い部材15の中央部30と表示板7との間から出射した光が反射壁31を照らすことになり、指針5の指示部4や表示板7の表示部6以外の箇所を加飾することができ、デザイン性,商品性を向上させることができる。
【0026】
また、指針5の基部18を円錐状としたことにより、指針5が回動しても周面23から光を出射でき、基部18周囲の表示板7や反射壁31を常に照射することが可能となる。また、周面23に微細なシボを施したことにより、周面23から出射する光を均一化することができ、延いては覆い部材15の中央部30と表示板7との間から出射する光がほぼ均一となり、デザイン性が向上する。
【0027】
なお、第1の反射面21は第2の反射面22と同一形状であっても良い。即ち、指針用発光ダイオード10から基部18内に入射した光を反射させる反射面は円錐形状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態を示す指針式計器装置の正面図。
【図2】同指針式計器装置の部分断面図(図1に於けるA−A断面)。
【符号の説明】
【0029】
4 指示部
5 指針
7 表示板
8 ケース体
10 指針用発光ダイオード(光源)
13 反射体
14 開口部
15 覆い部材
18 基部
21 第1の反射面
22 第2の反射面
23 周面
31 反射壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示部および基部を有し光源の点灯により発光する指針と、この指針の背後に配置される表示板と、この表示板の周縁および前記基部の前方側に配置され前記表示板の可視領域を定める開口部を有する覆い部材とを備え、前記基部は前記基部内に入射した前記光源の光を前記指示部側に反射させる第1の反射面と、前記基部の周面側に反射させる第2の反射面とを有しており、前記基部の近傍に前記周面から出射した光を前記開口部側に反射させる反射体を設けたことを特徴とする指針式計器装置。
【請求項2】
前記反射体が前記表示板を保持するケース体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の指針式計器装置。
【請求項3】
前記反射体が前記覆い部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の指針式計器装置。
【請求項4】
前記開口部に反射壁を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の指針式計器装置。
【請求項5】
前記第2の反射面が略円錐形状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の指針式計器装置。
【請求項6】
前記周面に拡散処理を施したことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の指針式計器装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−298552(P2008−298552A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144297(P2007−144297)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】